JP2004154876A - ワークチャック装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】構造が簡単で故障がなくかつ安価であり異形状のワークをクランプするのに適したワークチャック装置を提供する。
【解決手段】ワークチャック装置10はチャック本体18を含む。チャック本体18の一端側にはワークWの一端部を支持するための基準固定爪20および可動爪26が設けられる。基準固定爪20は固定され、可動爪26は基準固定爪20に対して開閉動作可能に設けられる。駆動手段はチャック本体18の軸方向に往復移動可能なピストン40を有するシリンダ38を含み、可動爪26は、チャック本体18の軸方向へのピストン40の移動動作に従って開閉される。ワークWの他端部はストッパ52によって支持される。
【選択図】 図1
【解決手段】ワークチャック装置10はチャック本体18を含む。チャック本体18の一端側にはワークWの一端部を支持するための基準固定爪20および可動爪26が設けられる。基準固定爪20は固定され、可動爪26は基準固定爪20に対して開閉動作可能に設けられる。駆動手段はチャック本体18の軸方向に往復移動可能なピストン40を有するシリンダ38を含み、可動爪26は、チャック本体18の軸方向へのピストン40の移動動作に従って開閉される。ワークWの他端部はストッパ52によって支持される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明はワークチャック装置に関し、より特定的には、異形状のワークを加工するためにクランプするワークチャック装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ワークをチャックでクランプしワークの端面や内径を精密研削するとき、一般的には図5に示すような、クランプ爪が3等分配置されるいわゆる精密三爪チャックが使用される。
図5に示す従来技術では、チャック本体1の軸心に対して放射状に移動爪2が3等分配置され、移動爪2の動作によって親爪3が移動し、ワークWをクランプするためのクランプ爪4が開閉される。この場合、移動爪2は、チャック本体1に内蔵された図示しない駆動機構によって放射状方向に開閉される。
また、三爪チャックとして、チャック本体内に配設されたスクロール体に伝達された回転によって、クランプ爪が径方向に摺動され、ワークがクランプまたはアンクランプされるチャックも提案されている(たとえば、特許文献1参照。)。
これらの従来技術では、ワーク形状が単純な丸物であればクランプ爪を開状態にしておいてワークを挿入しクランプ爪を閉めればよい。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−314218号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、ワークWが、たとえば図5に示す自動車部品のワークのように異形状でありかつ長く、クランプする箇所w1(クランプ径φを有する部分)より径方向の寸法が大きい突起w2,w3を有し、しかもクランプする箇所w1がワークの端部にある場合には、つぎのような問題がある。
【0005】
図5に示す従来技術において、ワークWを3個のクランプ爪4の中に挿入するには、ワークWの突起w2,w3が通過できるようにチャックの移動爪2によってクランプ爪4を大きく開き軸心方向からワークWを挿入するか、または図6に示すようにワークWが軸心に対して直角方向に移動できるまでクランプ爪4を大きく開きワークWを軸心に対して直角方向に挿入する必要がある。これではチャックが大きくなり、その結果、装置全体が大型になり、コストが掛かってしまい現実的ではなかった。
また、一般的に市販されている精密チャックのクランプ爪の移動量は直径当たり10mmが最大である。したがって、ワークWのようにクランプ径φよりも径方向に20mm〜100mm長い突起w2,w3を有するワークはチャックに挿入不可能であった。
特許文献1の従来技術も上述の問題点を解消できるものではない。
【0006】
さらに、図7に示すように、移動爪2をスライドウェイ5で保持する場合には、スライドウェイ5は直線的な構造であるため防塵・防水シールを取り付けるのが難しく、そのためスライドウェイ5に研削屑や研削水が入り、スライドウェイ5の摩耗や動作不良を起こすという問題があった。
そのため、図8に示すような、クランプ爪6がスイングしてワークWをクランプするようなチャックが提案されているが、クランプ爪6はスイングしてワークWをクランプしなければならないので構造が極めて複雑であり、クランプ精度もよくないので研削工程には不向きであった。さらに、構造が複雑な分、故障も多く、価格も高かった。
【0007】
それゆえに、この発明の主たる目的は、構造が簡単で故障がなくかつ安価であり異形状のワークをクランプするのに適したワークチャック装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、請求項1に記載のワークチャック装置は、ワークを加工するためにクランプするワークチャック装置であって、チャック本体、チャック本体の一端側に固定されかつワークの一端部を支持するための基準固定爪、チャック本体の一端側において基準固定爪に対して開閉動作可能に設けられかつワークの一端部を支持するための可動爪、可動爪を開閉させるための駆動手段、およびワークの他端部を支持するためのストッパを備える。
請求項2に記載のワークチャック装置は、請求項1に記載のワークチャック装置において、可動爪は可動アームに取り付けられ、駆動手段はチャック本体の軸方向に往復移動可能なピストンを有するシリンダを含み、可動アームとピストンとの接触部はチャック本体の軸方向に対して勾配を有し、チャック本体の軸方向へのピストンの移動動作に従って可動爪が開閉されることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載のワークチャック装置は、請求項1または2に記載のワークチャック装置において、ストッパは、ワークの寸法に応じてチャック本体の軸方向に移動可能に構成されることを特徴とする。
請求項4に記載のワークチャック装置は、請求項1から3のいずれかに記載のワークチャック装置において、ワークは縦方向にチャックされることを特徴とする。
【0010】
請求項1に記載のワークチャック装置では、駆動手段で可動爪を開くことによって、ワークをチャック本体の軸方向に対して平行移動して基準固定爪と可動爪との間に出し入れできる。このように基準固定爪に対して可動爪が動くだけの簡単な構造で異形状のワークを容易にクランプ/アンクランプできる。また、構造が簡単なので、故障もなくコストを下げることができる。
請求項2に記載のワークチャック装置では、可動アームとシリンダのピストンとの接触部は勾配を有するので、くさびの打ち込み原理の応用でピストンの推力を増幅できる。したがって、クランプ時には、可動アームひいては可動爪の固定を強くでき、ワークは基準固定爪と可動爪とによって強く固定され、がたつくことなく精度よくクランプできる。また、クランプ力が大きいので高速回転での使用も可能となる。
【0011】
請求項3に記載のワークチャック装置では、ストッパはワークの長さの変化に対応できるように、ワーク長さに応じて位置調整可能であるので、複数種類のワークに対応でき、装置の稼働率を向上できる。
請求項4に記載のワークチャック装置では、ワークは縦方向にチャックされるので、異形状をしかつ軸方向に長いワークであっても容易に保持することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態について説明する。
図1および図2を参照して、この発明の一実施形態のワークチャック装置10は、回転可能な主軸11の端部に取り付けられるチャック軸12を含む。チャック軸12は、軸受14を介して図示しない立型の端面研削装置のワークテーブル16に取り付けられる。したがって、チャック軸12は回転可能に支持される。
【0013】
チャック軸12の端面にはチャック本体18が取り付けられ、チャック本体18の上面には、基準固定爪20が取り付けられた取り付け部材22が固定される。基準固定爪20はワークWをクランプするための2つのクランプ爪24a,24bを有する。クランプ爪24a,24bは、たとえば摩耗し難い超硬部材からなり、チャック本体18の軸心から見て120度の角度を有するように配置される。
【0014】
一方、基準固定爪20のクランプ爪24a,24bと3等分をなす方向に可動爪26が配置される。可動爪26は、基準固定爪20に対して開閉動作可能に設けられ、たとえば超硬部材からなるクランプ爪28を有し、クランプ爪28は、チャック本体18の軸心から見てクランプ爪24a,24bとそれぞれ120度の角度を有するように配置される。
したがって、ワークWの一端部は、基準固定爪20の2つのクランプ爪24a,24bと可動爪26のクランプ爪28とによって3点支持される。
【0015】
可動爪26は可動アーム30に固定され、その両側には両持ち支持のホルダ32a,32bが設けられる。ホルダ32a,32bに保持された軸34によって可動アーム30が支持され、可動アーム30は軸34を支点として揺動可能とされる。
ホルダ32a,32bには可動爪26の開動作用のばね36が取り付けられ、ホルダ32a,32bはエアーシリンダ38の上部に固定される。
エアーシリンダ38はチャック本体18に設けられる。エアーシリンダ38のピストン40はエアー供給孔42,44から供給されるエアーにて前進後退(チャック本体18の軸方向に往復移動)可能とされる。
【0016】
ピストン40が前進(上昇)することによって可動アーム30に押し上げる力が加わると、可動アーム30は軸34(支点)を基準にスイングし、可動爪26が閉じられ、ワークWのクランプ径部Dが可動爪26と基準固定爪20とによってクランプされる。
ここで、可動アーム30の下部46は傾斜しており、ピストン40の先端部48はテーパ状に形成され、その結果、可動アーム30とピストン40との接触部49は、チャック軸12およびチャック本体18の軸方向に対して勾配を有するように形成される。これによって、ピストン40の推力を、くさびの打ち込み原理の応用で増幅できる。
【0017】
また、接触部49の勾配は可動爪26を大きく開くための勾配でもある。
図3および図4に示すように、ピストン40が後退(下降)すると可動アーム30がばね36に押され可動爪26が開かれる。このように可動爪26が開くと、ワークWをチャック本体18の軸方向に対して平行移動(たとえばチャック本体18の軸方向に対して垂直方向に移動)して基準固定爪20と可動爪26との間に出し入れ可能となり着脱できる。
【0018】
図4を参照して、ワークWをアンクランプし取り出すときには、ワークWを搬送装置50によって位置P1からP2まで移動した後、たとえば一点鎖線Aで示す方向にワークWを取り出すことができる。一方、ワークWをクランプするときには、ワークWを搬送装置50によってたとえば一点鎖線Aで示す方向から位置P2まで挿入し、その後位置P1に移動させる。
【0019】
また、チャック軸12の中心軸上には、ワークWの加工面とは反対側の端部を支持するストッパ52が設けられる。ストッパ52はエアーシリンダ54のピストン56の先端に設けられ、エアー供給孔58,60から供給されるエアーにて前進後退可能とされる。前進時にはエアー供給孔58からのエアーにて適宜な推力によりワークWを支持する。
このようにストッパ52はワークWの長さの変化に対応できるように、ワーク長さに応じてエアーシリンダ54によって位置調整可能であり、たとえば図1に示すようにチャック本体18の軸方向においてLの範囲で上下動できる。これによって、複数種類のワークに対応でき、装置の稼働率を向上できる。
【0020】
このようにしてクランプ支持されたワークWについて、ワークチャック装置10と反対側に設けられた砥石研削ユニット(図示しない)に取り付けられた研削砥石62(図1参照)によって、ワークWのクランプ径部Dの端面や端面凹部が研削される。
【0021】
ワークチャック装置10によれば、エアーシリンダ38で可動アーム30および可動爪26を開くことによって、ワークWをチャック本体18の軸方向に対して平行移動して基準固定爪20と可動爪26との間に出し入れできる。このように基準固定爪20に対して可動爪26が動くだけの簡単な構造で異形状のワークWを容易にクランプ/アンクランプできる。また、構造が簡単なので、故障もなくコストを下げることができる。さらに、従来のようなスライドウェイを用いる必要がないので、防塵、防水も問題なく、長時間クランプ精度を維持できる。
【0022】
また、可動アーム30とエアーシリンダ38のピストン40との接触部49は勾配を有するので、くさびの打ち込み原理の応用でエアーシリンダ38のピストン40の推力を増幅できる。したがって、クランプ時には、可動アーム30ひいては可動爪26の固定を強くでき、ワークWは固定された基準固定爪20とこのような可動爪26とによって強く固定され、がたつくことなくさらに精度よくクランプできる。特に、ワークWが軸方向に長く、それに応じて基準固定爪20および可動爪26の保持部すなわち取り付け部材22や可動アーム30等が長くなる場合であっても、がたつきを抑えることができ、効果的である。
【0023】
このようにクランプ力が大きく、可動爪26の支点となる軸34の位置も可動爪26に近く遠心力の影響も受けにくいので、取り付け部材22や可動アーム30等の保持部がたとえ長くても高速回転による遠心力でこれらの保持部が外側に広がることなくクランプ力も落ちないので、ワークチャック装置10の高速回転での使用も可能となる。
【0024】
また、図5に示す従来技術では、3箇所に移動爪2を設けるが、移動爪2が1箇所でもがたつくとワークWの同心度が悪化し、チャックが使用不能になり頻繁にチャックを修理する必要あり、極めて生産性が悪くかつ修理コストが高かった。しかし、ワークチャック装置10では、取り付け部材22や可動アーム30等の保持部のがたつきを抑えることができるので、このような弊害を防止できる。さらに、ワークWは、縦方向にすなわちワークWの軸方向が鉛直方向になるようにチャックされるので、異形状をしかつ軸方向に長いワークであっても容易に保持することができる。
【0025】
なお、上述の実施形態では、固定された基準固定爪20に2つのクランプ爪を設け、開閉可能な可動爪26に1つのクランプ爪を設けたが、これに限定されず、基準固定爪20に1つのクランプ爪を設け、可動爪26に2つのクランプ爪を設けてもよい。
また、上述の実施形態では、ワークWを3つのクランプ爪24a,24b,28で3点支持する場合について説明したが、これに限定されず、4点以上で支持してもよい。
また、クランプ爪のワークに対するクランプ面は、ワークの外径に沿ってクランプ出来るようにR面形状としても良い。
【0026】
【発明の効果】
この発明によれば、基準固定爪に対して可動爪が動くだけの簡単な構造で異形状のワークを容易にクランプ/アンクランプできる。また、構造が簡単なので、故障もなくコストを下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態におけるクランプ状態を示す断面図解図である。
【図2】この発明の一実施形態におけるクランプ状態を示す平面図解図である。
【図3】この発明の一実施形態におけるアンクランプ状態を示す断面図解図である。
【図4】この発明の一実施形態におけるアンクランプ状態を示す平面図解図である。
【図5】(a)は従来技術の一例を示す正面図解図であり、(b)はその側面図解図である。
【図6】従来技術においてワークをクランプ爪の間に挿入する方法の一例を説明するための図解図である。
【図7】従来技術における移動爪近傍を示す図解図である。
【図8】従来技術の他の例を示す図解図である。
【符号の説明】
10 ワークチャック装置
18 チャック本体
20 基準固定爪
22 取り付け部材
24a,24b,28 クランプ爪
26 可動爪
30 可動アーム
32a,32b ホルダ
34 軸
36 ばね
38,54 エアーシリンダ
40,56 ピストン
49 可動アームとエアーシリンダのピストンとの接触部
52 ストッパ
W ワーク
【発明の属する技術分野】
この発明はワークチャック装置に関し、より特定的には、異形状のワークを加工するためにクランプするワークチャック装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ワークをチャックでクランプしワークの端面や内径を精密研削するとき、一般的には図5に示すような、クランプ爪が3等分配置されるいわゆる精密三爪チャックが使用される。
図5に示す従来技術では、チャック本体1の軸心に対して放射状に移動爪2が3等分配置され、移動爪2の動作によって親爪3が移動し、ワークWをクランプするためのクランプ爪4が開閉される。この場合、移動爪2は、チャック本体1に内蔵された図示しない駆動機構によって放射状方向に開閉される。
また、三爪チャックとして、チャック本体内に配設されたスクロール体に伝達された回転によって、クランプ爪が径方向に摺動され、ワークがクランプまたはアンクランプされるチャックも提案されている(たとえば、特許文献1参照。)。
これらの従来技術では、ワーク形状が単純な丸物であればクランプ爪を開状態にしておいてワークを挿入しクランプ爪を閉めればよい。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−314218号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、ワークWが、たとえば図5に示す自動車部品のワークのように異形状でありかつ長く、クランプする箇所w1(クランプ径φを有する部分)より径方向の寸法が大きい突起w2,w3を有し、しかもクランプする箇所w1がワークの端部にある場合には、つぎのような問題がある。
【0005】
図5に示す従来技術において、ワークWを3個のクランプ爪4の中に挿入するには、ワークWの突起w2,w3が通過できるようにチャックの移動爪2によってクランプ爪4を大きく開き軸心方向からワークWを挿入するか、または図6に示すようにワークWが軸心に対して直角方向に移動できるまでクランプ爪4を大きく開きワークWを軸心に対して直角方向に挿入する必要がある。これではチャックが大きくなり、その結果、装置全体が大型になり、コストが掛かってしまい現実的ではなかった。
また、一般的に市販されている精密チャックのクランプ爪の移動量は直径当たり10mmが最大である。したがって、ワークWのようにクランプ径φよりも径方向に20mm〜100mm長い突起w2,w3を有するワークはチャックに挿入不可能であった。
特許文献1の従来技術も上述の問題点を解消できるものではない。
【0006】
さらに、図7に示すように、移動爪2をスライドウェイ5で保持する場合には、スライドウェイ5は直線的な構造であるため防塵・防水シールを取り付けるのが難しく、そのためスライドウェイ5に研削屑や研削水が入り、スライドウェイ5の摩耗や動作不良を起こすという問題があった。
そのため、図8に示すような、クランプ爪6がスイングしてワークWをクランプするようなチャックが提案されているが、クランプ爪6はスイングしてワークWをクランプしなければならないので構造が極めて複雑であり、クランプ精度もよくないので研削工程には不向きであった。さらに、構造が複雑な分、故障も多く、価格も高かった。
【0007】
それゆえに、この発明の主たる目的は、構造が簡単で故障がなくかつ安価であり異形状のワークをクランプするのに適したワークチャック装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、請求項1に記載のワークチャック装置は、ワークを加工するためにクランプするワークチャック装置であって、チャック本体、チャック本体の一端側に固定されかつワークの一端部を支持するための基準固定爪、チャック本体の一端側において基準固定爪に対して開閉動作可能に設けられかつワークの一端部を支持するための可動爪、可動爪を開閉させるための駆動手段、およびワークの他端部を支持するためのストッパを備える。
請求項2に記載のワークチャック装置は、請求項1に記載のワークチャック装置において、可動爪は可動アームに取り付けられ、駆動手段はチャック本体の軸方向に往復移動可能なピストンを有するシリンダを含み、可動アームとピストンとの接触部はチャック本体の軸方向に対して勾配を有し、チャック本体の軸方向へのピストンの移動動作に従って可動爪が開閉されることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載のワークチャック装置は、請求項1または2に記載のワークチャック装置において、ストッパは、ワークの寸法に応じてチャック本体の軸方向に移動可能に構成されることを特徴とする。
請求項4に記載のワークチャック装置は、請求項1から3のいずれかに記載のワークチャック装置において、ワークは縦方向にチャックされることを特徴とする。
【0010】
請求項1に記載のワークチャック装置では、駆動手段で可動爪を開くことによって、ワークをチャック本体の軸方向に対して平行移動して基準固定爪と可動爪との間に出し入れできる。このように基準固定爪に対して可動爪が動くだけの簡単な構造で異形状のワークを容易にクランプ/アンクランプできる。また、構造が簡単なので、故障もなくコストを下げることができる。
請求項2に記載のワークチャック装置では、可動アームとシリンダのピストンとの接触部は勾配を有するので、くさびの打ち込み原理の応用でピストンの推力を増幅できる。したがって、クランプ時には、可動アームひいては可動爪の固定を強くでき、ワークは基準固定爪と可動爪とによって強く固定され、がたつくことなく精度よくクランプできる。また、クランプ力が大きいので高速回転での使用も可能となる。
【0011】
請求項3に記載のワークチャック装置では、ストッパはワークの長さの変化に対応できるように、ワーク長さに応じて位置調整可能であるので、複数種類のワークに対応でき、装置の稼働率を向上できる。
請求項4に記載のワークチャック装置では、ワークは縦方向にチャックされるので、異形状をしかつ軸方向に長いワークであっても容易に保持することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態について説明する。
図1および図2を参照して、この発明の一実施形態のワークチャック装置10は、回転可能な主軸11の端部に取り付けられるチャック軸12を含む。チャック軸12は、軸受14を介して図示しない立型の端面研削装置のワークテーブル16に取り付けられる。したがって、チャック軸12は回転可能に支持される。
【0013】
チャック軸12の端面にはチャック本体18が取り付けられ、チャック本体18の上面には、基準固定爪20が取り付けられた取り付け部材22が固定される。基準固定爪20はワークWをクランプするための2つのクランプ爪24a,24bを有する。クランプ爪24a,24bは、たとえば摩耗し難い超硬部材からなり、チャック本体18の軸心から見て120度の角度を有するように配置される。
【0014】
一方、基準固定爪20のクランプ爪24a,24bと3等分をなす方向に可動爪26が配置される。可動爪26は、基準固定爪20に対して開閉動作可能に設けられ、たとえば超硬部材からなるクランプ爪28を有し、クランプ爪28は、チャック本体18の軸心から見てクランプ爪24a,24bとそれぞれ120度の角度を有するように配置される。
したがって、ワークWの一端部は、基準固定爪20の2つのクランプ爪24a,24bと可動爪26のクランプ爪28とによって3点支持される。
【0015】
可動爪26は可動アーム30に固定され、その両側には両持ち支持のホルダ32a,32bが設けられる。ホルダ32a,32bに保持された軸34によって可動アーム30が支持され、可動アーム30は軸34を支点として揺動可能とされる。
ホルダ32a,32bには可動爪26の開動作用のばね36が取り付けられ、ホルダ32a,32bはエアーシリンダ38の上部に固定される。
エアーシリンダ38はチャック本体18に設けられる。エアーシリンダ38のピストン40はエアー供給孔42,44から供給されるエアーにて前進後退(チャック本体18の軸方向に往復移動)可能とされる。
【0016】
ピストン40が前進(上昇)することによって可動アーム30に押し上げる力が加わると、可動アーム30は軸34(支点)を基準にスイングし、可動爪26が閉じられ、ワークWのクランプ径部Dが可動爪26と基準固定爪20とによってクランプされる。
ここで、可動アーム30の下部46は傾斜しており、ピストン40の先端部48はテーパ状に形成され、その結果、可動アーム30とピストン40との接触部49は、チャック軸12およびチャック本体18の軸方向に対して勾配を有するように形成される。これによって、ピストン40の推力を、くさびの打ち込み原理の応用で増幅できる。
【0017】
また、接触部49の勾配は可動爪26を大きく開くための勾配でもある。
図3および図4に示すように、ピストン40が後退(下降)すると可動アーム30がばね36に押され可動爪26が開かれる。このように可動爪26が開くと、ワークWをチャック本体18の軸方向に対して平行移動(たとえばチャック本体18の軸方向に対して垂直方向に移動)して基準固定爪20と可動爪26との間に出し入れ可能となり着脱できる。
【0018】
図4を参照して、ワークWをアンクランプし取り出すときには、ワークWを搬送装置50によって位置P1からP2まで移動した後、たとえば一点鎖線Aで示す方向にワークWを取り出すことができる。一方、ワークWをクランプするときには、ワークWを搬送装置50によってたとえば一点鎖線Aで示す方向から位置P2まで挿入し、その後位置P1に移動させる。
【0019】
また、チャック軸12の中心軸上には、ワークWの加工面とは反対側の端部を支持するストッパ52が設けられる。ストッパ52はエアーシリンダ54のピストン56の先端に設けられ、エアー供給孔58,60から供給されるエアーにて前進後退可能とされる。前進時にはエアー供給孔58からのエアーにて適宜な推力によりワークWを支持する。
このようにストッパ52はワークWの長さの変化に対応できるように、ワーク長さに応じてエアーシリンダ54によって位置調整可能であり、たとえば図1に示すようにチャック本体18の軸方向においてLの範囲で上下動できる。これによって、複数種類のワークに対応でき、装置の稼働率を向上できる。
【0020】
このようにしてクランプ支持されたワークWについて、ワークチャック装置10と反対側に設けられた砥石研削ユニット(図示しない)に取り付けられた研削砥石62(図1参照)によって、ワークWのクランプ径部Dの端面や端面凹部が研削される。
【0021】
ワークチャック装置10によれば、エアーシリンダ38で可動アーム30および可動爪26を開くことによって、ワークWをチャック本体18の軸方向に対して平行移動して基準固定爪20と可動爪26との間に出し入れできる。このように基準固定爪20に対して可動爪26が動くだけの簡単な構造で異形状のワークWを容易にクランプ/アンクランプできる。また、構造が簡単なので、故障もなくコストを下げることができる。さらに、従来のようなスライドウェイを用いる必要がないので、防塵、防水も問題なく、長時間クランプ精度を維持できる。
【0022】
また、可動アーム30とエアーシリンダ38のピストン40との接触部49は勾配を有するので、くさびの打ち込み原理の応用でエアーシリンダ38のピストン40の推力を増幅できる。したがって、クランプ時には、可動アーム30ひいては可動爪26の固定を強くでき、ワークWは固定された基準固定爪20とこのような可動爪26とによって強く固定され、がたつくことなくさらに精度よくクランプできる。特に、ワークWが軸方向に長く、それに応じて基準固定爪20および可動爪26の保持部すなわち取り付け部材22や可動アーム30等が長くなる場合であっても、がたつきを抑えることができ、効果的である。
【0023】
このようにクランプ力が大きく、可動爪26の支点となる軸34の位置も可動爪26に近く遠心力の影響も受けにくいので、取り付け部材22や可動アーム30等の保持部がたとえ長くても高速回転による遠心力でこれらの保持部が外側に広がることなくクランプ力も落ちないので、ワークチャック装置10の高速回転での使用も可能となる。
【0024】
また、図5に示す従来技術では、3箇所に移動爪2を設けるが、移動爪2が1箇所でもがたつくとワークWの同心度が悪化し、チャックが使用不能になり頻繁にチャックを修理する必要あり、極めて生産性が悪くかつ修理コストが高かった。しかし、ワークチャック装置10では、取り付け部材22や可動アーム30等の保持部のがたつきを抑えることができるので、このような弊害を防止できる。さらに、ワークWは、縦方向にすなわちワークWの軸方向が鉛直方向になるようにチャックされるので、異形状をしかつ軸方向に長いワークであっても容易に保持することができる。
【0025】
なお、上述の実施形態では、固定された基準固定爪20に2つのクランプ爪を設け、開閉可能な可動爪26に1つのクランプ爪を設けたが、これに限定されず、基準固定爪20に1つのクランプ爪を設け、可動爪26に2つのクランプ爪を設けてもよい。
また、上述の実施形態では、ワークWを3つのクランプ爪24a,24b,28で3点支持する場合について説明したが、これに限定されず、4点以上で支持してもよい。
また、クランプ爪のワークに対するクランプ面は、ワークの外径に沿ってクランプ出来るようにR面形状としても良い。
【0026】
【発明の効果】
この発明によれば、基準固定爪に対して可動爪が動くだけの簡単な構造で異形状のワークを容易にクランプ/アンクランプできる。また、構造が簡単なので、故障もなくコストを下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態におけるクランプ状態を示す断面図解図である。
【図2】この発明の一実施形態におけるクランプ状態を示す平面図解図である。
【図3】この発明の一実施形態におけるアンクランプ状態を示す断面図解図である。
【図4】この発明の一実施形態におけるアンクランプ状態を示す平面図解図である。
【図5】(a)は従来技術の一例を示す正面図解図であり、(b)はその側面図解図である。
【図6】従来技術においてワークをクランプ爪の間に挿入する方法の一例を説明するための図解図である。
【図7】従来技術における移動爪近傍を示す図解図である。
【図8】従来技術の他の例を示す図解図である。
【符号の説明】
10 ワークチャック装置
18 チャック本体
20 基準固定爪
22 取り付け部材
24a,24b,28 クランプ爪
26 可動爪
30 可動アーム
32a,32b ホルダ
34 軸
36 ばね
38,54 エアーシリンダ
40,56 ピストン
49 可動アームとエアーシリンダのピストンとの接触部
52 ストッパ
W ワーク
Claims (4)
- ワークを加工するためにクランプするワークチャック装置であって、
チャック本体、
前記チャック本体の一端側に固定されかつ前記ワークの一端部を支持するための基準固定爪、
前記チャック本体の一端側において前記基準固定爪に対して開閉動作可能に設けられかつ前記ワークの一端部を支持するための可動爪、
前記可動爪を開閉させるための駆動手段、および
前記ワークの他端部を支持するためのストッパを備える、ワークチャック装置。 - 前記可動爪は可動アームに取り付けられ、
前記駆動手段は前記チャック本体の軸方向に往復移動可能なピストンを有するシリンダを含み、
前記可動アームと前記ピストンとの接触部は前記チャック本体の軸方向に対して勾配を有し、
前記チャック本体の軸方向への前記ピストンの移動動作に従って前記可動爪が開閉される、請求項1に記載のワークチャック装置。 - 前記ストッパは、前記ワークの寸法に応じて前記チャック本体の軸方向に移動可能に構成される、請求項1または2に記載のワークチャック装置。
- 前記ワークは縦方向にチャックされる、請求項1から3のいずれかに記載のワークチャック装置。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2021100489A1 (ja) | 2019-11-20 | 2021-05-27 | シチズン時計株式会社 | チャック装置 |
CN113894307A (zh) * | 2021-09-23 | 2022-01-07 | 浙江维克机械科技有限公司 | 自定心浮动驱动装置 |
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- 2002-11-05 JP JP2002320928A patent/JP2004154876A/ja active Pending
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