JP2004154170A - 内視鏡 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の目的はトラカール外套管との隙間が小さくなって気腹用のガスの通りを悪くしたりすることなく、内視鏡の先端面に付いて溜まった液体の滴を取り除き、内視鏡手術を円滑に進めることのできる先端キャップ付き内視鏡を提供することである。
【解決手段】本発明は、内視鏡の先端面近傍に吸液・保液機能のある材質で形成した先端キャップ7を着脱自在に設けた内視鏡である。
【選択図】 図4
【解決手段】本発明は、内視鏡の先端面近傍に吸液・保液機能のある材質で形成した先端キャップ7を着脱自在に設けた内視鏡である。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は挿入部の先端部に先端キャップを着脱自在に設けた内視鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】
内視鏡を用いて外科手術を行なう際、術部を洗浄するときに生理食塩水や体液が跳ね返って内視鏡の先端面に付着することが良くある。通常、内視鏡の先端面には体内挿入時の曇りを防止する為、曇り止め剤が塗られる。また、この曇り止め剤は付着した液の濡れ性を上げる働きがあるため、跳ね返った液体が水滴となって内視鏡の先端面に付着して視界を遮ることを防止する機能がある。
【0003】
しかし、内視鏡の先端面に付着した液体は重力で広がりながら下方へ移動し、内視鏡の先端面の最下端部分に溜まった状態に留まってしまうことがある。この溜まった液体の量が多くなってくると、観察視野の下方部分の光線が液体越しに入射してしまい、観察に支障をきたしていた。
【0004】
そこで、上記の問題や先端面の洗浄のために特許文献1に記載のものが提案されている。特許文献1のものは洗浄シースを挿入部の全長にわたり被嵌すると共に、洗浄シースの先端に折り返し部を形成し、体液等が洗浄シースの外周を伝わって先端開口部内に侵入することを防ぐようにしたものである。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−201713号公報(第2頁、第2図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1のように、洗浄シースを用いるのは効果的ではあるものの、挿入部全長の外径が太くなる。その結果、トラカール外套管との隙間が小さくなって、気腹用のガスの通りが悪くなる等の不具合があった。
【0007】
本発明の目的は、例えばトラカール外套管との隙間が小さくなって気腹用のガスの通りを悪くしたりすることなく、内視鏡の先端面に付いて溜まった液体の滴を取り除き、内視鏡手術を円滑に進めることのできる、先端キャップ付き内視鏡を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、内視鏡の先端面近傍に吸液・保液機能のある材質で形成した先端キャップを着脱自在に設けたことを特徴とする内視鏡である。
請求項2に係る発明は、挿入部の先端部に先端キャップを着脱自在に設けた内視鏡において、上記先端キャップを上記先端部に取り付けたとき、上記先端部と上記先端キャップの間に形成され、少なくとも一部が上記内視鏡の先端面近傍において開口し、液体を取り込め得る隙間を設けたことを特徴とする内視鏡である。
請求項3に係る発明は、挿入部の先端部に先端キャップを着脱自在に設けた内視鏡において、上記先端キャップは略円筒状で軸方向に切り欠き部を設けた弾性部材で形成し、上記先端部に被せて取り付ける際に上記切り欠き部が液体を取り込める隙間を生じた状態で開き、上記先端キャップが上記先端部に固定されることを特徴とする内視鏡である。
【0009】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
図1乃至図3を参照して本発明の第1実施形態に係る内視鏡を説明する。
【0010】
図1は内視鏡の挿入部における先端部1を示し、この先端部1の先端面2には対物カバーガラス3と照明光出射部4が、先端部1における外装チューブ5の端面と略同一平面になるように設けられている。先端面2には曇り止め剤を塗布してある。このため、このままでは先端面2や外装チューブ5の外表面に付着した液体は重力により容易に最下端付近に集まり、図1及び図2に示すように液体が滴6となって溜り、これが対物カバーガラス3を通じての視界を遮り、観察に支障をきたす虞がある。図2はその滴6の様子を先端部1の横から見たものである。
【0011】
この先端部1には先端キャップ7が直脱自在に装着される。先端キャップ7は吸水・保水能力の高い材料、例えば、PVA(ポリビニルアルコール)製のいわゆるスポンジ様発泡材やPU(ポリウレタン)製のいわゆるスポンジ様の発泡材で形成されると共に図3に示すように円筒状の部材としてある。先端部1に装着する前のフリーの状態での、先端キャップ7の内径は挿入部における先端部1の外装チューブ5の外径よりも小さく形成されている。
【0012】
次に本実施形態の先端キャップ7を使用する場合について説明する。まず、予め滅菌した内視鏡と先端キャップ7を用意する。そして、先端キャップ7を生理食塩水に漬けて十分柔らかくし、余分な水分をよく絞り落とし、そして、内径を広げながら先端部1に嵌め込み、内視鏡の先端面2と先端キャップ7の先端が図4に示すように略同一平面になる位置に装着する。
【0013】
内視鏡の先端部1に先端キャップ7を装着して使用した場合、図4に示すように先端面2に付着した液体が滴6となって下部に集まると、大きな滴6を生成する前に吸水・保水機能のある先端キャップ7に触れ、毛細管現象により先端キャップ7に吸収し、液体を取り込める。また、液体が飛び散る等によって先端キャップ7に直接に着いた液体はそのまま先端キャップ7に吸収される。
【0014】
先端キャップ7への吸収量が増え、先端キャップ7の吸収能力が限界になり、滴6が出来てしまい、観察に支障を来たす状況になったときは内視鏡を体内から抜いて先端キャップ7を内視鏡に付けたまま絞って液体を排出すると、先端キャップ7は吸収力が回復し、液体を吸収できるようになり、そのまま体内に挿入して使うことができる。
【0015】
本実施形態の先端キャップ7を使用すれば、挿入部先端に溜まって観察に支障をきたす滴6を大きくなる前に先端キャップ7に吸収することにより、内視鏡を体内から取り出して先端を拭く作業がほとんど無くなり、手術時間の短縮が図れ、観察が途切れないことにより作業性の向上が見込める。また、挿入部のトラカール外套管に入る部分の外径を太くしないで済むので、気腹ガスの流量にも何ら悪影響を及ぼさない。
【0016】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態に係る内視鏡について図5乃至図7を参照して説明する。
【0017】
本実施形態の先端キャップ7は第1実施形態の先端キャップ7の先端側端縁を図5に示すように一部切り欠いてなる切り欠き部8を設けたものである。
【0018】
この先端キャップ7に適合する内視鏡の先端部1は図6に示すように外径を細くした細径部9を設け、この細径部9の長さは上記先端キャップ7の円筒部分の長さに略等しくなっている。細径部9の先端には先端キャップ7の切り欠き部8に嵌り合うフランジ部10が設けられている。このため、フランジ部10の円周方向の長さ・軸方向の長さ及び位置は先端キャップ7の切り欠き部8に略等しく形成してある。
【0019】
また、先端部1のフランジ部10の外径は上記細径部9以外の先端部1の部分と同じ外径である。フランジ部10がない先端部分は細径部9と同じ径で連なって同一円周面状を成している。先端キャップ7の内径は細径部9の外径と等しいか僅かに小さく形成してある。
【0020】
次に本実施形態の先端キャップ7を使用する場合について説明する。まず、予め滅菌した内視鏡と先端キャップ7を用意する。先端キャップ7を生理食塩水に漬けて十分に柔らかくし、余分な水分をよく絞り出してから先端キャップ7を広げながら内視鏡の細径部9に被せ、図7に示すように切り欠き部8がフランジ部10に嵌り込むように位置決め装着する。
【0021】
図7は先端キャップ7を先端部1に装着したところを横から見た図である。先端面2に付着した液体が集まり、滴6となったとき、その滴6が先端キャップ7に触れると、毛細管現象により先端キャップ7に吸収される。また、先端キャップ7に直に飛びかかった液体はそのまま先端キャップ7に吸収される。
【0022】
そして、内視鏡の使用中に先端キャップ7への吸収量が増え、先端キャップ7の吸収能力が限界になり、滴6が出来てしまい、観察に支障を来たすようになったときは内視鏡を体内から抜いて先端キャップ7を内視鏡に付けたまま絞って液体を排出すると、先端キャップ7の吸収力が回復し、再び液体を吸収できるようになり、体内に挿入して使うことができる。
【0023】
本実施形態によれば、前述した第1実施形態の効果に加え、先端キャップ7が細径部9に嵌り込んでいるため、トラカール外套管への挿脱時等にも軸方向にずれにくいので、安定的に液体を吸収することができる。
【0024】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態に係る内視鏡について図8乃至図10を参照して説明する。
【0025】
本実施形態では硬性内視鏡(以下、硬性鏡と呼ぶ)の例であり、図8は患者体腔内に挿入される挿入部の先端部11付近のみを示している。図8に示すように挿入部の先端部11には斜めの端面12が形成され、この端面12には対物カバーガラス13と照明光出射部14が先端部11における外装チューブ15の端面と略同一平面になるように設けられている。
【0026】
図8に示すように上記先端部11には外装チューブ15の外周部分の外径を細くして形成した先端キャップ取付部16が設けられている。この先端キャップ取付部16は他の挿入部の部分よりも細い外径となるように形成される。図8に示すように先端キャップ取付部16の基端には先端キャップ17の取付け位置を決める段差18を形成している。
【0027】
また、先端キャップ取付部16の外周の一部には図8に示す如く連接環状溝部19が形成されている。連接環状溝部19の山径と谷径はそれぞれ後述する先端キャップ17の連接環状突起部22の谷径と山径と略嵌合する寸法に形成されている。
【0028】
上記先端キャップ17は図9に示すように、弾性をもった樹脂系の素材、例えばシリコンゴムなどで筒状に形成されている。先端キャップ17の全長は硬性鏡の位置決め用段差18に対し先端キャップ17の硬性鏡挿入側端面20が当接し、この際に先端キャップ17の硬性鏡先端側端面21が硬性鏡の端面12と略同一平面になるような長さに設定されている。
【0029】
また、先端キャップ17の内面は硬性鏡の先端キャップ取付部16の外径と略嵌合する内径で形成されており、その中間部には先端キャップ取付部16の連接環状溝部19と相応する位置にその連接環状溝部19の山径や谷径と略嵌合する寸法を有する連接環状突起部22が設けられている。先端キャップ17の外径は硬性鏡挿入部の外径と略同一以下かあるいは多少大きな寸法であっても硬性鏡の挿入部の外径値を組合わせ対象としたトラカールの内径を通過可能な外径に抑えられている。
【0030】
本実施形態の先端キャップ17を使用する場合にはまず、硬性鏡の挿入部を患者体腔内に挿入する前に硬性鏡の先端キャップ取付部16に先端キャップ17を硬性鏡挿入側端面20が位置決め用段差18に当接するまで押し込み、図10に示すように先端キャップ17を挿入部の先端部11に装着する。この際、先端キャップ17は弾性材で形成されているため、先端キャップ17の内径の連接環状突起部22は押し広げられながら硬性鏡の先端キャップ取付部16の外周に設けた連接環状溝部19内に嵌め込まれていく。連接環状溝部19に接環状突起部22が係合し、先端部11に先端キャップ17を係着することができる。
【0031】
患者の体腔内に硬性鏡の挿入部を挿入して観察することにより処置を開始する。観察中、電気メスや超音波処置具による飛沫が対物カバーガラス13に付着する場合がある。また、患者の体腔内は体温により暖かく、湿度も高いので硬性鏡の挿入部や対物カバーガラス13の表面に滴が付着することもある。このような状態のまま、観察を続行すると重力により挿入部の一番下方の部分、即ち観察視野の下方に雫となって溜まる。
【0032】
しかしながら、その際、図10に示すように、先端キャップ17の硬性鏡先端側端面21が硬性鏡の端面12と略同一平面にあることで、この雫は毛細管現象により先端キャップ17と先端キャップ取付部16の隙間23に吸い上げられる。また、対物カバーガラス13上に付着した滴は観察の支障となることはない。
【0033】
本実施形態では先端キャップ17の端面と硬性鏡の端面が略同一面にあるため、先端キャップ17と先端キャップ取付部16の隙間23に毛細管現象により硬性鏡先端に付着した水滴を確実に吸い込み、取り込むことが出来る。また、先端キャップ17の連接環状突起部22が硬性鏡の連接環状溝部19に弾性的に嵌め込まれるので、硬性鏡の先端部に確実な保持力を持って先端キャップを装着することが出来る。
【0034】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態に係る内視鏡について図11を参照して説明する。
【0035】
本実施形態でも先の第3実施形態の場合と同様、上記先端部11の外装チューブ15の外周部分を先端キャップ取付部16としてあり、この先端キャップ取付部16の外周の一部には連接環状溝部19を形成する。連接環状溝部19の山径と谷径はそれぞれ後述する先端キャップ17の連接環状突起部22の谷径と山径と略嵌合する寸法に形成されている。
【0036】
上記先端キャップ17は弾性をもった樹脂系の素材、例えばシリコンゴムなどで略円筒状に形成されている。先端キャップ17の一方の端部には硬性鏡の先端部11が挿入可能な開口部26を有し、他方の端部には先端キャップ17の内径側に突き出した硬性鏡の外装チューブ15の内径と略同一の開口径を有する円周状の鍔部27を有している。この鍔部27の先端キャップ17内部側の面28は全周全面に渡り、硬性鏡の先端部11における先端面12に略密接する形状に形成される。上記鍔部27以外の先端キャップ17の内周は硬性鏡の外装チューブ15の外径と略嵌合する内径で形成されている。
【0037】
また、先端キャップ17の外径は硬性鏡の挿入部における先端部11の外径よりも大きな寸法であるが、硬性鏡に組合わせて使用する対象のトラカール内を通過可能な外径に抑えられている。
【0038】
本実施形態の先端キャップ17を使用する場合にはまず、硬性鏡の挿入部を患者の体腔内に挿入する前に先端キャップ17の鍔部27が硬性鏡の先端部11における先端面12に当接するまで押し込んで取り付ける。その際、弾性材で形成された先端キャップ17内の連接環状突起部22は押し広げられながら硬性鏡の先端部11の外周に設けられた連接環状溝部19内に嵌め込まれていく。
【0039】
ここで、鍔部27の開口は硬性鏡の先端部11の外装チューブ15の内径より大きいため、鍔部27が観察光学系の視野や照明光学系の照明範囲を蹴る事はない。
【0040】
また、観察視野の下方の対物カバーガラス上に溜った水滴は先端キャップ17の鍔部27によって受け止められ、この鍔部27の内部側の面28と硬性鏡の先端面12の密接面の微細な隙間から毛細管現象により先端キャップ17と硬性鏡の外装チューブ15の隙間に吸い上げられることになり、対物カバーガラス上に付着した水滴が観察の支障となることはない。
【0041】
本実施形態の先端キャップ17を使用する場合は硬性鏡の挿入部の外周部に位置決め部を設ける必要は無く、溝等を設けるだけで簡単に先端キャップ17を装着可能である。また、先端キャップ17の鍔部27により硬性鏡の先端面12に付着した水滴が誘導される。このため、吸水効率が向上する。
【0042】
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態に係る内視鏡について図12乃至図16を参照して説明する。
【0043】
図12は患者の体腔内を観察するための硬性内視鏡(以下、硬性鏡と呼ぶ。)の体腔内に挿入する挿入部31の先端部32付近のみを図示したものである。図12において示すように、先端部32の先端面33の周縁部にはテーパー部34が突き出して形成されている。先端部32の先端面33は全面がカバーガラス35で覆われている。
【0044】
カバーガラス35で覆われた先端面33には対物レンズ36と照明光出射部37が設けられ、照明光出射部37で患者の体腔内を照明し、その体腔内を対物レンズ36により観察可能な構成になっている。
【0045】
上記テーパー部34において先端側に位置する細い方の部分の外径は後述する筒状の先端キャップ41の内径よりも小さい。また、上記テーパー部34はこれより基端側に位置して上記先端部32の外周に細く形成したキャップ取付部42の外径よりも太く形成されている。このため、上記テーパー部34はキャップ取付部42の先端から立ち上がる段差を形成する。
【0046】
図12に示すように、キャップ取付部42は挿入部31の先端部32の外周外径よりも細い外径となるように形成される。キャップ取付部42の後端は挿入部31の本来の太さの外径まで立ち上がる段差44となっており、この段差44の一部には上記先端キャップ41を位置決めするための突出部45が形成されている。
【0047】
上記テーパー部34の一部には上記キャップ取付部42にまで到達するように突き抜けて切り欠き形成した溝46が形成されている。本実施形態では対物レンズ36と照明光出射部37の中心を通る線上で対物レンズ36側に位置する部位に形成されている。この溝46の深さは上記キャップ取付部42の周面に連なる形状であることが望ましいが、キャップ取付部42の周面に一致しない、それよりも浅いもの、或いは深いものでもよい。そして、溝46が観察方向の下方向に位置するような場合において、上記カバーガラス35の表面に付着した液体を上記溝46を通じて上記キャップ取付部42の周面に流し込むようになっている。
【0048】
一方、図13に示すように、上記先端キャップ41は弾性をもった素材、例えばバネ用ステンレス材などで筒状に形成されている。先端キャップ41にはこれを硬性鏡のキャップ取付部42に取り付けた場合において上記位置決め用突出部45と噛み合うことで挿入部31の先端部32の円周方向に対する先端キャップ41の周方向の位置決めする位置決め用切欠き部47が形成されている。
【0049】
上記先端キャップ41にはその全長にわたり形成したスリット状の切欠き部48が形成されている。この切欠き部48の形状について図14を用いて説明する。図14は図13において示す矢印A方向から先端キャップ41を見た状態を示す。上記切欠き部48は図示の如く先端キャップ41の円周上の一箇所に設けられており、図14に示す矢印47及び矢印48の方向へ先端キャップ41を開く力が作用すると、その先端キャップ41が広がるように先端キャップ41を切り欠いている。
【0050】
ここで、硬性鏡のキャップ取付部42に取り付ける前の自然なフリーな状態での先端キャップ41の内径はキャップ取付部42の外径よりもわずかに小さい径となっており、先端キャップ41をキャップ取付部42に取り付けた状態では前記切欠き部48がわずかに開いた状態となるように構成されている。
【0051】
また、図15に示す矢印B方向からみた図16に示したように先端キャップ41をキャップ取付部42に対し取付けた状態では位置決め用突出部45と位置決め用切欠き部47はそれぞれ噛み合い、硬性鏡の先端部32のテーパー部34に形成した溝46と先端キャップ41の切欠き部48の周方向の位置が一致するように構成される。
【0052】
また、先端キャップ41をキャップ取付部42に取り付けた状態での先端キャップ41の外径L1と硬性鏡の挿入部外径L2との関係は図16において破線で示すように先端キャップ41の外径L1は硬性鏡の挿入部外径L2よりも僅かに小さくなるように形成される。
【0053】
本実施形態の先端キャップ17を使用する場合はまず、硬性鏡を患者も体腔内に挿入する前に先端キャップ41をキャップ取付部42に取り付ける。
【0054】
このときの作用について述べると、先端キャップ41を保持した状態で硬性鏡の先端部32にあるテーパー部34を先端キャップ41の内径部に挿入していくと、テーパー部34により弾性材で形成された先端キャップ41の切欠き部48は押し広げられる。そして、位置決め用突出部45と位置決め用切欠き部47の位置が合うように挿入作業を続ける。先に述べたようにキャップ取付部42の外径は先端キャップ41の内径よりも大きいので、切欠き部48はわずかに開いた状態となり、先端キャップ41はキャップ取付部42に対し弾性力により巻き付くように取り付けられる。
【0055】
また、位置決め用突出部45と位置決め用切欠き部47により硬性鏡の先端部32に形成された溝46と前記切欠き部48の周方向の位置が図16に示すように一致することになる。
【0056】
次に患者の体腔内に硬性鏡の挿入部31を挿入して観察することにより処置を開始すると、電気メスや超音波処置具による飛沫がカバーガラス35に付着する場合がある。また、患者の体腔内は体温により暖かく、湿度も高いので硬性鏡の挿入部31やカバーガラス35の表面に滴が付着することがある。この状態のまま観察を続行すると重力により挿入部31の一番下方の部分、即ち観察視野の下方に滴(雫)となって溜まる。この滴は溝46に流れ込み、さらに毛細管現象により先端キャップ41の切欠き部48に吸い上げられ、取り除かれることになり、カバーガラス35上に付着した滴が観察の支障となることはない。
【0057】
上述の現象が繰り返し発生し、滴を吸い上げることが充分にできなくなった場合には硬性鏡の挿入部31を患者の体腔内から抜去し、切欠き部48の部分に乾いたガーゼなど、液体を吸収できる物を押し当てれば、その切欠き部48の内部に溜まった液体を吸い出すことができる。
この後に患者の体腔内に挿入すれば再び滴を吸い上げることにより良好な観察視野を得つづけることができる。
【0058】
ここで、患者の体腔内から硬性鏡の挿入部31を抜去する場合でも挿入部外径L2は先端キャップ外径L1よりも大きい径となるように構成されているため、トロッカーの縁などと先端キャップ41の端面が干渉することで挿入部31の抜去動作を妨げたり、先端キャップ41がキャップ取付部42から脱落することはない。
【0059】
硬性鏡の使用が終了したら、患者の体腔内から抜去したのち切欠き部48を広げるようにしてキャップ取付部42から先端キャップ41を取り外し、洗浄、滅菌して収納しておく。
【0060】
本実施形態によれば、先端キャップ41の着脱がワンタッチで実施できる上に再使用が可能である。また、カバーガラス35上に雫が繰り返し発生し、滴を吸い取りきれなくなった場合でも患者の体腔内から抜去してガーゼなどの液体を吸収できるものを押し当てれば直ぐに機能を回復することができる。
【0061】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、例えばトラカール外套管との隙間が小さくなって気腹用のガスの通りを悪くしたりすることなく、内視鏡の先端面に付いて溜まった液体の滴を取り除き、内視鏡手術を円滑に進めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る内視鏡の挿入部における先端部の斜視図である。
【図2】同じく本発明の第1実施形態に係る内視鏡の挿入部における先端部の側面図である。
【図3】同じく本発明の第1実施形態に係る内視鏡用先端キャップの斜視図である。
【図4】同じく本発明の第1実施形態に係る内視鏡の挿入部における先端部に先端キャップを取り付けた側面図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る内視鏡の先端キャップの斜視図である。
【図6】同じく本発明の第2実施形態に係る内視鏡の先端部の側面図である。
【図7】同じく本発明の第2実施形態に係る内視鏡に先端キャップを取り付けた先端部の側面図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係る内視鏡の挿入部における先端部の斜視図である。
【図9】同じく本発明の第3実施形態に係る内視鏡の先端キャップの縦断面図である。
【図10】同じく本発明の第3実施形態に係る内視鏡に先端キャップを取り付けた先端部の縦断面図である。
【図11】本発明の第4実施形態に係る内視鏡に先端キャップを取り付けた先端部の縦断面図である。
【図12】本発明の第5実施形態に係る内視鏡の挿入部における先端部の斜視図である。
【図13】同じく本発明の第5実施形態に係る内視鏡の先端キャップの斜視図である。
【図14】同じく本発明の第5実施形態に係る内視鏡の先端キャップの正面図である。
【図15】同じく本発明の第5実施形態に係る内視鏡に先端キャップを取り付けた先端部の斜視図である。
【図16】同じく本発明の第5実施形態に係る内視鏡に先端キャップを取り付けた先端部を図15に示す矢印B方向からみた正面図である。
【符号の説明】
1…先端部
2…先端面
3…対物カバーガラス
4…照明光出射部
6…滴
7…先端キャップ
【発明の属する技術分野】
本発明は挿入部の先端部に先端キャップを着脱自在に設けた内視鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】
内視鏡を用いて外科手術を行なう際、術部を洗浄するときに生理食塩水や体液が跳ね返って内視鏡の先端面に付着することが良くある。通常、内視鏡の先端面には体内挿入時の曇りを防止する為、曇り止め剤が塗られる。また、この曇り止め剤は付着した液の濡れ性を上げる働きがあるため、跳ね返った液体が水滴となって内視鏡の先端面に付着して視界を遮ることを防止する機能がある。
【0003】
しかし、内視鏡の先端面に付着した液体は重力で広がりながら下方へ移動し、内視鏡の先端面の最下端部分に溜まった状態に留まってしまうことがある。この溜まった液体の量が多くなってくると、観察視野の下方部分の光線が液体越しに入射してしまい、観察に支障をきたしていた。
【0004】
そこで、上記の問題や先端面の洗浄のために特許文献1に記載のものが提案されている。特許文献1のものは洗浄シースを挿入部の全長にわたり被嵌すると共に、洗浄シースの先端に折り返し部を形成し、体液等が洗浄シースの外周を伝わって先端開口部内に侵入することを防ぐようにしたものである。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−201713号公報(第2頁、第2図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1のように、洗浄シースを用いるのは効果的ではあるものの、挿入部全長の外径が太くなる。その結果、トラカール外套管との隙間が小さくなって、気腹用のガスの通りが悪くなる等の不具合があった。
【0007】
本発明の目的は、例えばトラカール外套管との隙間が小さくなって気腹用のガスの通りを悪くしたりすることなく、内視鏡の先端面に付いて溜まった液体の滴を取り除き、内視鏡手術を円滑に進めることのできる、先端キャップ付き内視鏡を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、内視鏡の先端面近傍に吸液・保液機能のある材質で形成した先端キャップを着脱自在に設けたことを特徴とする内視鏡である。
請求項2に係る発明は、挿入部の先端部に先端キャップを着脱自在に設けた内視鏡において、上記先端キャップを上記先端部に取り付けたとき、上記先端部と上記先端キャップの間に形成され、少なくとも一部が上記内視鏡の先端面近傍において開口し、液体を取り込め得る隙間を設けたことを特徴とする内視鏡である。
請求項3に係る発明は、挿入部の先端部に先端キャップを着脱自在に設けた内視鏡において、上記先端キャップは略円筒状で軸方向に切り欠き部を設けた弾性部材で形成し、上記先端部に被せて取り付ける際に上記切り欠き部が液体を取り込める隙間を生じた状態で開き、上記先端キャップが上記先端部に固定されることを特徴とする内視鏡である。
【0009】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
図1乃至図3を参照して本発明の第1実施形態に係る内視鏡を説明する。
【0010】
図1は内視鏡の挿入部における先端部1を示し、この先端部1の先端面2には対物カバーガラス3と照明光出射部4が、先端部1における外装チューブ5の端面と略同一平面になるように設けられている。先端面2には曇り止め剤を塗布してある。このため、このままでは先端面2や外装チューブ5の外表面に付着した液体は重力により容易に最下端付近に集まり、図1及び図2に示すように液体が滴6となって溜り、これが対物カバーガラス3を通じての視界を遮り、観察に支障をきたす虞がある。図2はその滴6の様子を先端部1の横から見たものである。
【0011】
この先端部1には先端キャップ7が直脱自在に装着される。先端キャップ7は吸水・保水能力の高い材料、例えば、PVA(ポリビニルアルコール)製のいわゆるスポンジ様発泡材やPU(ポリウレタン)製のいわゆるスポンジ様の発泡材で形成されると共に図3に示すように円筒状の部材としてある。先端部1に装着する前のフリーの状態での、先端キャップ7の内径は挿入部における先端部1の外装チューブ5の外径よりも小さく形成されている。
【0012】
次に本実施形態の先端キャップ7を使用する場合について説明する。まず、予め滅菌した内視鏡と先端キャップ7を用意する。そして、先端キャップ7を生理食塩水に漬けて十分柔らかくし、余分な水分をよく絞り落とし、そして、内径を広げながら先端部1に嵌め込み、内視鏡の先端面2と先端キャップ7の先端が図4に示すように略同一平面になる位置に装着する。
【0013】
内視鏡の先端部1に先端キャップ7を装着して使用した場合、図4に示すように先端面2に付着した液体が滴6となって下部に集まると、大きな滴6を生成する前に吸水・保水機能のある先端キャップ7に触れ、毛細管現象により先端キャップ7に吸収し、液体を取り込める。また、液体が飛び散る等によって先端キャップ7に直接に着いた液体はそのまま先端キャップ7に吸収される。
【0014】
先端キャップ7への吸収量が増え、先端キャップ7の吸収能力が限界になり、滴6が出来てしまい、観察に支障を来たす状況になったときは内視鏡を体内から抜いて先端キャップ7を内視鏡に付けたまま絞って液体を排出すると、先端キャップ7は吸収力が回復し、液体を吸収できるようになり、そのまま体内に挿入して使うことができる。
【0015】
本実施形態の先端キャップ7を使用すれば、挿入部先端に溜まって観察に支障をきたす滴6を大きくなる前に先端キャップ7に吸収することにより、内視鏡を体内から取り出して先端を拭く作業がほとんど無くなり、手術時間の短縮が図れ、観察が途切れないことにより作業性の向上が見込める。また、挿入部のトラカール外套管に入る部分の外径を太くしないで済むので、気腹ガスの流量にも何ら悪影響を及ぼさない。
【0016】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態に係る内視鏡について図5乃至図7を参照して説明する。
【0017】
本実施形態の先端キャップ7は第1実施形態の先端キャップ7の先端側端縁を図5に示すように一部切り欠いてなる切り欠き部8を設けたものである。
【0018】
この先端キャップ7に適合する内視鏡の先端部1は図6に示すように外径を細くした細径部9を設け、この細径部9の長さは上記先端キャップ7の円筒部分の長さに略等しくなっている。細径部9の先端には先端キャップ7の切り欠き部8に嵌り合うフランジ部10が設けられている。このため、フランジ部10の円周方向の長さ・軸方向の長さ及び位置は先端キャップ7の切り欠き部8に略等しく形成してある。
【0019】
また、先端部1のフランジ部10の外径は上記細径部9以外の先端部1の部分と同じ外径である。フランジ部10がない先端部分は細径部9と同じ径で連なって同一円周面状を成している。先端キャップ7の内径は細径部9の外径と等しいか僅かに小さく形成してある。
【0020】
次に本実施形態の先端キャップ7を使用する場合について説明する。まず、予め滅菌した内視鏡と先端キャップ7を用意する。先端キャップ7を生理食塩水に漬けて十分に柔らかくし、余分な水分をよく絞り出してから先端キャップ7を広げながら内視鏡の細径部9に被せ、図7に示すように切り欠き部8がフランジ部10に嵌り込むように位置決め装着する。
【0021】
図7は先端キャップ7を先端部1に装着したところを横から見た図である。先端面2に付着した液体が集まり、滴6となったとき、その滴6が先端キャップ7に触れると、毛細管現象により先端キャップ7に吸収される。また、先端キャップ7に直に飛びかかった液体はそのまま先端キャップ7に吸収される。
【0022】
そして、内視鏡の使用中に先端キャップ7への吸収量が増え、先端キャップ7の吸収能力が限界になり、滴6が出来てしまい、観察に支障を来たすようになったときは内視鏡を体内から抜いて先端キャップ7を内視鏡に付けたまま絞って液体を排出すると、先端キャップ7の吸収力が回復し、再び液体を吸収できるようになり、体内に挿入して使うことができる。
【0023】
本実施形態によれば、前述した第1実施形態の効果に加え、先端キャップ7が細径部9に嵌り込んでいるため、トラカール外套管への挿脱時等にも軸方向にずれにくいので、安定的に液体を吸収することができる。
【0024】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態に係る内視鏡について図8乃至図10を参照して説明する。
【0025】
本実施形態では硬性内視鏡(以下、硬性鏡と呼ぶ)の例であり、図8は患者体腔内に挿入される挿入部の先端部11付近のみを示している。図8に示すように挿入部の先端部11には斜めの端面12が形成され、この端面12には対物カバーガラス13と照明光出射部14が先端部11における外装チューブ15の端面と略同一平面になるように設けられている。
【0026】
図8に示すように上記先端部11には外装チューブ15の外周部分の外径を細くして形成した先端キャップ取付部16が設けられている。この先端キャップ取付部16は他の挿入部の部分よりも細い外径となるように形成される。図8に示すように先端キャップ取付部16の基端には先端キャップ17の取付け位置を決める段差18を形成している。
【0027】
また、先端キャップ取付部16の外周の一部には図8に示す如く連接環状溝部19が形成されている。連接環状溝部19の山径と谷径はそれぞれ後述する先端キャップ17の連接環状突起部22の谷径と山径と略嵌合する寸法に形成されている。
【0028】
上記先端キャップ17は図9に示すように、弾性をもった樹脂系の素材、例えばシリコンゴムなどで筒状に形成されている。先端キャップ17の全長は硬性鏡の位置決め用段差18に対し先端キャップ17の硬性鏡挿入側端面20が当接し、この際に先端キャップ17の硬性鏡先端側端面21が硬性鏡の端面12と略同一平面になるような長さに設定されている。
【0029】
また、先端キャップ17の内面は硬性鏡の先端キャップ取付部16の外径と略嵌合する内径で形成されており、その中間部には先端キャップ取付部16の連接環状溝部19と相応する位置にその連接環状溝部19の山径や谷径と略嵌合する寸法を有する連接環状突起部22が設けられている。先端キャップ17の外径は硬性鏡挿入部の外径と略同一以下かあるいは多少大きな寸法であっても硬性鏡の挿入部の外径値を組合わせ対象としたトラカールの内径を通過可能な外径に抑えられている。
【0030】
本実施形態の先端キャップ17を使用する場合にはまず、硬性鏡の挿入部を患者体腔内に挿入する前に硬性鏡の先端キャップ取付部16に先端キャップ17を硬性鏡挿入側端面20が位置決め用段差18に当接するまで押し込み、図10に示すように先端キャップ17を挿入部の先端部11に装着する。この際、先端キャップ17は弾性材で形成されているため、先端キャップ17の内径の連接環状突起部22は押し広げられながら硬性鏡の先端キャップ取付部16の外周に設けた連接環状溝部19内に嵌め込まれていく。連接環状溝部19に接環状突起部22が係合し、先端部11に先端キャップ17を係着することができる。
【0031】
患者の体腔内に硬性鏡の挿入部を挿入して観察することにより処置を開始する。観察中、電気メスや超音波処置具による飛沫が対物カバーガラス13に付着する場合がある。また、患者の体腔内は体温により暖かく、湿度も高いので硬性鏡の挿入部や対物カバーガラス13の表面に滴が付着することもある。このような状態のまま、観察を続行すると重力により挿入部の一番下方の部分、即ち観察視野の下方に雫となって溜まる。
【0032】
しかしながら、その際、図10に示すように、先端キャップ17の硬性鏡先端側端面21が硬性鏡の端面12と略同一平面にあることで、この雫は毛細管現象により先端キャップ17と先端キャップ取付部16の隙間23に吸い上げられる。また、対物カバーガラス13上に付着した滴は観察の支障となることはない。
【0033】
本実施形態では先端キャップ17の端面と硬性鏡の端面が略同一面にあるため、先端キャップ17と先端キャップ取付部16の隙間23に毛細管現象により硬性鏡先端に付着した水滴を確実に吸い込み、取り込むことが出来る。また、先端キャップ17の連接環状突起部22が硬性鏡の連接環状溝部19に弾性的に嵌め込まれるので、硬性鏡の先端部に確実な保持力を持って先端キャップを装着することが出来る。
【0034】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態に係る内視鏡について図11を参照して説明する。
【0035】
本実施形態でも先の第3実施形態の場合と同様、上記先端部11の外装チューブ15の外周部分を先端キャップ取付部16としてあり、この先端キャップ取付部16の外周の一部には連接環状溝部19を形成する。連接環状溝部19の山径と谷径はそれぞれ後述する先端キャップ17の連接環状突起部22の谷径と山径と略嵌合する寸法に形成されている。
【0036】
上記先端キャップ17は弾性をもった樹脂系の素材、例えばシリコンゴムなどで略円筒状に形成されている。先端キャップ17の一方の端部には硬性鏡の先端部11が挿入可能な開口部26を有し、他方の端部には先端キャップ17の内径側に突き出した硬性鏡の外装チューブ15の内径と略同一の開口径を有する円周状の鍔部27を有している。この鍔部27の先端キャップ17内部側の面28は全周全面に渡り、硬性鏡の先端部11における先端面12に略密接する形状に形成される。上記鍔部27以外の先端キャップ17の内周は硬性鏡の外装チューブ15の外径と略嵌合する内径で形成されている。
【0037】
また、先端キャップ17の外径は硬性鏡の挿入部における先端部11の外径よりも大きな寸法であるが、硬性鏡に組合わせて使用する対象のトラカール内を通過可能な外径に抑えられている。
【0038】
本実施形態の先端キャップ17を使用する場合にはまず、硬性鏡の挿入部を患者の体腔内に挿入する前に先端キャップ17の鍔部27が硬性鏡の先端部11における先端面12に当接するまで押し込んで取り付ける。その際、弾性材で形成された先端キャップ17内の連接環状突起部22は押し広げられながら硬性鏡の先端部11の外周に設けられた連接環状溝部19内に嵌め込まれていく。
【0039】
ここで、鍔部27の開口は硬性鏡の先端部11の外装チューブ15の内径より大きいため、鍔部27が観察光学系の視野や照明光学系の照明範囲を蹴る事はない。
【0040】
また、観察視野の下方の対物カバーガラス上に溜った水滴は先端キャップ17の鍔部27によって受け止められ、この鍔部27の内部側の面28と硬性鏡の先端面12の密接面の微細な隙間から毛細管現象により先端キャップ17と硬性鏡の外装チューブ15の隙間に吸い上げられることになり、対物カバーガラス上に付着した水滴が観察の支障となることはない。
【0041】
本実施形態の先端キャップ17を使用する場合は硬性鏡の挿入部の外周部に位置決め部を設ける必要は無く、溝等を設けるだけで簡単に先端キャップ17を装着可能である。また、先端キャップ17の鍔部27により硬性鏡の先端面12に付着した水滴が誘導される。このため、吸水効率が向上する。
【0042】
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態に係る内視鏡について図12乃至図16を参照して説明する。
【0043】
図12は患者の体腔内を観察するための硬性内視鏡(以下、硬性鏡と呼ぶ。)の体腔内に挿入する挿入部31の先端部32付近のみを図示したものである。図12において示すように、先端部32の先端面33の周縁部にはテーパー部34が突き出して形成されている。先端部32の先端面33は全面がカバーガラス35で覆われている。
【0044】
カバーガラス35で覆われた先端面33には対物レンズ36と照明光出射部37が設けられ、照明光出射部37で患者の体腔内を照明し、その体腔内を対物レンズ36により観察可能な構成になっている。
【0045】
上記テーパー部34において先端側に位置する細い方の部分の外径は後述する筒状の先端キャップ41の内径よりも小さい。また、上記テーパー部34はこれより基端側に位置して上記先端部32の外周に細く形成したキャップ取付部42の外径よりも太く形成されている。このため、上記テーパー部34はキャップ取付部42の先端から立ち上がる段差を形成する。
【0046】
図12に示すように、キャップ取付部42は挿入部31の先端部32の外周外径よりも細い外径となるように形成される。キャップ取付部42の後端は挿入部31の本来の太さの外径まで立ち上がる段差44となっており、この段差44の一部には上記先端キャップ41を位置決めするための突出部45が形成されている。
【0047】
上記テーパー部34の一部には上記キャップ取付部42にまで到達するように突き抜けて切り欠き形成した溝46が形成されている。本実施形態では対物レンズ36と照明光出射部37の中心を通る線上で対物レンズ36側に位置する部位に形成されている。この溝46の深さは上記キャップ取付部42の周面に連なる形状であることが望ましいが、キャップ取付部42の周面に一致しない、それよりも浅いもの、或いは深いものでもよい。そして、溝46が観察方向の下方向に位置するような場合において、上記カバーガラス35の表面に付着した液体を上記溝46を通じて上記キャップ取付部42の周面に流し込むようになっている。
【0048】
一方、図13に示すように、上記先端キャップ41は弾性をもった素材、例えばバネ用ステンレス材などで筒状に形成されている。先端キャップ41にはこれを硬性鏡のキャップ取付部42に取り付けた場合において上記位置決め用突出部45と噛み合うことで挿入部31の先端部32の円周方向に対する先端キャップ41の周方向の位置決めする位置決め用切欠き部47が形成されている。
【0049】
上記先端キャップ41にはその全長にわたり形成したスリット状の切欠き部48が形成されている。この切欠き部48の形状について図14を用いて説明する。図14は図13において示す矢印A方向から先端キャップ41を見た状態を示す。上記切欠き部48は図示の如く先端キャップ41の円周上の一箇所に設けられており、図14に示す矢印47及び矢印48の方向へ先端キャップ41を開く力が作用すると、その先端キャップ41が広がるように先端キャップ41を切り欠いている。
【0050】
ここで、硬性鏡のキャップ取付部42に取り付ける前の自然なフリーな状態での先端キャップ41の内径はキャップ取付部42の外径よりもわずかに小さい径となっており、先端キャップ41をキャップ取付部42に取り付けた状態では前記切欠き部48がわずかに開いた状態となるように構成されている。
【0051】
また、図15に示す矢印B方向からみた図16に示したように先端キャップ41をキャップ取付部42に対し取付けた状態では位置決め用突出部45と位置決め用切欠き部47はそれぞれ噛み合い、硬性鏡の先端部32のテーパー部34に形成した溝46と先端キャップ41の切欠き部48の周方向の位置が一致するように構成される。
【0052】
また、先端キャップ41をキャップ取付部42に取り付けた状態での先端キャップ41の外径L1と硬性鏡の挿入部外径L2との関係は図16において破線で示すように先端キャップ41の外径L1は硬性鏡の挿入部外径L2よりも僅かに小さくなるように形成される。
【0053】
本実施形態の先端キャップ17を使用する場合はまず、硬性鏡を患者も体腔内に挿入する前に先端キャップ41をキャップ取付部42に取り付ける。
【0054】
このときの作用について述べると、先端キャップ41を保持した状態で硬性鏡の先端部32にあるテーパー部34を先端キャップ41の内径部に挿入していくと、テーパー部34により弾性材で形成された先端キャップ41の切欠き部48は押し広げられる。そして、位置決め用突出部45と位置決め用切欠き部47の位置が合うように挿入作業を続ける。先に述べたようにキャップ取付部42の外径は先端キャップ41の内径よりも大きいので、切欠き部48はわずかに開いた状態となり、先端キャップ41はキャップ取付部42に対し弾性力により巻き付くように取り付けられる。
【0055】
また、位置決め用突出部45と位置決め用切欠き部47により硬性鏡の先端部32に形成された溝46と前記切欠き部48の周方向の位置が図16に示すように一致することになる。
【0056】
次に患者の体腔内に硬性鏡の挿入部31を挿入して観察することにより処置を開始すると、電気メスや超音波処置具による飛沫がカバーガラス35に付着する場合がある。また、患者の体腔内は体温により暖かく、湿度も高いので硬性鏡の挿入部31やカバーガラス35の表面に滴が付着することがある。この状態のまま観察を続行すると重力により挿入部31の一番下方の部分、即ち観察視野の下方に滴(雫)となって溜まる。この滴は溝46に流れ込み、さらに毛細管現象により先端キャップ41の切欠き部48に吸い上げられ、取り除かれることになり、カバーガラス35上に付着した滴が観察の支障となることはない。
【0057】
上述の現象が繰り返し発生し、滴を吸い上げることが充分にできなくなった場合には硬性鏡の挿入部31を患者の体腔内から抜去し、切欠き部48の部分に乾いたガーゼなど、液体を吸収できる物を押し当てれば、その切欠き部48の内部に溜まった液体を吸い出すことができる。
この後に患者の体腔内に挿入すれば再び滴を吸い上げることにより良好な観察視野を得つづけることができる。
【0058】
ここで、患者の体腔内から硬性鏡の挿入部31を抜去する場合でも挿入部外径L2は先端キャップ外径L1よりも大きい径となるように構成されているため、トロッカーの縁などと先端キャップ41の端面が干渉することで挿入部31の抜去動作を妨げたり、先端キャップ41がキャップ取付部42から脱落することはない。
【0059】
硬性鏡の使用が終了したら、患者の体腔内から抜去したのち切欠き部48を広げるようにしてキャップ取付部42から先端キャップ41を取り外し、洗浄、滅菌して収納しておく。
【0060】
本実施形態によれば、先端キャップ41の着脱がワンタッチで実施できる上に再使用が可能である。また、カバーガラス35上に雫が繰り返し発生し、滴を吸い取りきれなくなった場合でも患者の体腔内から抜去してガーゼなどの液体を吸収できるものを押し当てれば直ぐに機能を回復することができる。
【0061】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、例えばトラカール外套管との隙間が小さくなって気腹用のガスの通りを悪くしたりすることなく、内視鏡の先端面に付いて溜まった液体の滴を取り除き、内視鏡手術を円滑に進めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る内視鏡の挿入部における先端部の斜視図である。
【図2】同じく本発明の第1実施形態に係る内視鏡の挿入部における先端部の側面図である。
【図3】同じく本発明の第1実施形態に係る内視鏡用先端キャップの斜視図である。
【図4】同じく本発明の第1実施形態に係る内視鏡の挿入部における先端部に先端キャップを取り付けた側面図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る内視鏡の先端キャップの斜視図である。
【図6】同じく本発明の第2実施形態に係る内視鏡の先端部の側面図である。
【図7】同じく本発明の第2実施形態に係る内視鏡に先端キャップを取り付けた先端部の側面図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係る内視鏡の挿入部における先端部の斜視図である。
【図9】同じく本発明の第3実施形態に係る内視鏡の先端キャップの縦断面図である。
【図10】同じく本発明の第3実施形態に係る内視鏡に先端キャップを取り付けた先端部の縦断面図である。
【図11】本発明の第4実施形態に係る内視鏡に先端キャップを取り付けた先端部の縦断面図である。
【図12】本発明の第5実施形態に係る内視鏡の挿入部における先端部の斜視図である。
【図13】同じく本発明の第5実施形態に係る内視鏡の先端キャップの斜視図である。
【図14】同じく本発明の第5実施形態に係る内視鏡の先端キャップの正面図である。
【図15】同じく本発明の第5実施形態に係る内視鏡に先端キャップを取り付けた先端部の斜視図である。
【図16】同じく本発明の第5実施形態に係る内視鏡に先端キャップを取り付けた先端部を図15に示す矢印B方向からみた正面図である。
【符号の説明】
1…先端部
2…先端面
3…対物カバーガラス
4…照明光出射部
6…滴
7…先端キャップ
Claims (3)
- 内視鏡の先端面近傍に吸液・保液機能のある材質で形成した先端キャップを着脱自在に設けたことを特徴とする内視鏡。
- 挿入部の先端部に先端キャップを着脱自在に設けた内視鏡において、上記先端キャップを上記先端部に取り付けたとき、上記先端部と上記先端キャップの間に形成され、少なくとも一部が上記内視鏡の先端面近傍において開口し、液体を取り込め得る隙間を設けたことを特徴とする内視鏡。
- 挿入部の先端部に先端キャップを着脱自在に設けた内視鏡において、上記先端キャップは略円筒状で軸方向に切り欠き部を設けた弾性部材で形成し、上記先端部に被せて取り付ける際に上記切り欠き部が液体を取り込める隙間を生じた状態で開き、上記先端キャップが上記先端部に固定されることを特徴とする内視鏡。
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