JP2004154038A - ヒアルロン酸結合性ペプチド - Google Patents
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Abstract
【解決手段】特定のアミノ酸配列からなるポリペプチド、並びにこれらのアミノ酸配列における1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入又は転位したアミノ酸配列からなり、かつ、ヒアルロン酸やリンクプロテインへの結合能を有するポリペプチドを提供する。また、これらのポリペプチドをコードするDNAを提供する。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、(1)ヒアルロン酸とリンクプロテインの双方に結合する「バーシカンの部分ポリペプチド」及び(2)ヒアルロン酸とバーシカンの双方に結合する「リンクプロテインの部分ポリペプチド」に関する。また本発明は、(1)のポリペプチド、(2)のポリペプチド、及びヒアルロン酸の3者が相互に結合した会合体等に関する。
【0002】
【従来の技術】
まず、本明細書において用いる略号を説明する。
【0003】
CS:コンドロイチン硫酸
EDTA:エチレンジアミン四酢酸
FBS:ウシ胎仔血清
FITC:フルオレセインイソチオシアネート
Gu−HCl:グアニジン塩酸
HA:ヒアルロン酸
b−HA:ビオチン化されたHA
HABP:ヒアルロン酸結合性タンパク質
HRP:西洋ワサビペルオキシダーゼ
b−HABP:ビオチン化されたHABP
LP:リンクプロテイン
b−LP:ビオチン化されたLP
NEM:N−エチルマレイミド
PBS:リン酸緩衝生理食塩水
PMSF:フェニルメタンスルホニルフルオリド
SDS−PAGE:ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動
非特許文献1には、バーシカン(versican)は、アグリカン(aggrecan)ファミリーに属するラージ・コンドロイチン硫酸プロテオグリカンである旨が記載されている。しかしバーシカンが、HA及びLPと結合して会合体を形成することは知られていない。
【非特許文献1】
J. Biol. Chem., 268(19) p14461−14469 (1993)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
バーシカン分子やLP分子中に存在する「HA等への結合部分」が同定されれば、その部分ポリペプチドを用いてHA等の結合剤に応用することができる。また、もしバーシカン分子中の当該部分、LP分子中の当該部分、及びHAとの3者が相互作用して会合体を形成することが明らかになれば、これら2つの部分ポリペプチドとHAとから構成される安定な3者会合体を提供することができ、新規な医用素材・材料として利用できる可能性がある。
【0005】
本発明はかかる観点からなされたものであり、バーシカン分子中に存在する「HA及びLPに結合する部分」からなるポリペプチド、LP分子中に存在する「HA及びバーシカンに結合する部分」からなるポリペプチド、これらのポリペプチドとHAとの3者から構成される会合体を提供することを目的とする。また本発明は、バーシカン分子中に存在する「HA及びLPに結合する部分」からなるポリペプチドを有効成分とするHA結合剤及びLP結合剤、LP分子中に存在する「HA及びバーシカンに結合する部分」からなるポリペプチドを有効成分とするHA結合剤及びバーシカン結合剤を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、バーシカン分子中に存在する「HA及びLPとの結合部分」及びLP分子中に存在する「HA及びバーシカンとの結合部分」を同定し、これらの部分を有効成分とするHA結合剤、LP結合剤及びバーシカン結合剤を提供するに至り、本発明を完成した。
【0007】
また本発明者は、バーシカン分子中に存在する当該部分、LP分子中に存在する当該部分、及びHAが相互に作用して極めて安定な会合体を形成することを見出し、この会合体を提供するに至り、本発明を完成した。
【0008】
さらに本発明者は、前記部分をコードするDNAを提供するに至り、本発明を完成した。
【0009】
すなわち本発明は、下記(A)又は(B)のポリペプチド(以下、本発明ポリペプチド1という)を提供する。
(A)配列番号2で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド。
(B)配列番号2で示されるアミノ酸配列における1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入又は転位したアミノ酸配列からなり、かつ、HAへの結合能及びLPへの結合能を有するポリペプチド。
【0010】
また本発明は、下記(A)又は(B)のポリペプチド(以下、本発明ポリペプチド2という)を提供する。
(A)配列番号4で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド。
(B)配列番号4で示されるアミノ酸配列における1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入又は転位したアミノ酸配列からなり、かつ、HAへの結合能及びバーシカンへの結合能を有するポリペプチド。
【0011】
また本発明は、下記(A)又は(B)のポリペプチド(以下、本発明ポリペプチド3という)を提供する。
(A)配列番号8で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド。
(B)配列番号8で示されるアミノ酸配列における1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入又は転位したアミノ酸配列からなり、かつ、HAへの結合能及びバーシカンへの結合能を有するポリペプチド。
【0012】
以下、本発明ポリペプチド1〜3をまとめて「本発明ポリペプチド」という。
【0013】
また本発明は、本発明ポリペプチド1、本発明ポリペプチド2、及びHAが相互に結合してなる会合体(以下、本発明会合体1という)を提供する。
【0014】
また本発明は、本発明ポリペプチド1、本発明ポリペプチド3、及びHAが相互に結合してなる会合体(以下、本発明会合体2という)を提供する。
【0015】
また本発明は、本発明ポリペプチド1を有効成分とするHA結合剤(以下、本発明HA結合剤1という)、本発明ポリペプチド2を有効成分とするHA結合剤(以下、本発明HA結合剤2という)及び本発明ポリペプチド3を有効成分とするHA結合剤(以下、本発明HA結合剤3という)を提供する。以下、これらをまとめて「本発明HA結合剤」という。
【0016】
また本発明は、本発明ポリペプチド1を有効成分とするLP結合剤(以下、本発明LP結合剤という)を提供する。
【0017】
また本発明は、本発明ポリペプチド2を有効成分とする、バーシカン結合剤(以下、本発明バーシカン結合剤1という)を提供する。
【0018】
また本発明は、本発明ポリペプチド3を有効成分とする、バーシカン結合剤(以下、本発明バーシカン結合剤2という)を提供する。
【0019】
さらに本発明は、本発明ポリペプチド1をコードするDNA(以下、本発明DNA1という)、本発明ポリペプチド2をコードするDNA(以下、本発明DNA2という)及び本発明ポリペプチド3をコードするDNA(以下、本発明DNA3という)を提供する。以下、これらをまとめて「本発明DNA」という。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を発明の実施の形態によって詳説する。
<1>本発明ポリペプチド
本発明ポリペプチド1は、下記(A)又は(B)のポリペプチドである。
(A)配列番号2で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド。
(B)配列番号2で示されるアミノ酸配列における1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入又は転位したアミノ酸配列からなり、かつ、HAへの結合能及びLPへの結合能を有するポリペプチド。
また本発明ポリペプチド2は、下記(A)又は(B)のポリペプチドである。
(A)配列番号4で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド。
(B)配列番号4で示されるアミノ酸配列における1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入又は転位したアミノ酸配列からなり、かつ、HAへの結合能及びバーシカンへの結合能を有するポリペプチド。
また本発明ポリペプチド3は、下記(A)又は(B)のポリペプチドである。
(A)配列番号8で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド。
(B)配列番号8で示されるアミノ酸配列における1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入又は転位したアミノ酸配列からなり、かつ、HAへの結合能及びバーシカンへの結合能を有するポリペプチド。
【0021】
天然に存在するポリペプチドには、それをコードするDNAの多型や変異の他、生成後のポリペプチドの細胞内及び精製中の修飾反応などによってそのアミノ酸配列中にアミノ酸の置換、欠失、挿入又は転位等の変異が起こりうるが、それにもかかわらず変異を有しないポリペプチドと実質的に同等の生理、生物学的活性を示すものがあることが知られている。このように構造的に若干の差違があってもその機能については大きな違いが認められないポリペプチドも、本発明ポリペプチドに包含される。人為的にポリペプチドのアミノ酸配列に上記のような変異を導入した場合も同様であり、この場合にはさらに多種多様の変異体を作製することが可能である。例えば、ヒトインターロイキン2(IL−2)のアミノ酸配列中の、あるシステイン残基をセリンに置換したポリペプチドがインターロイキン2活性を保持することが知られている(Science,224,1431(1984))。また、ある種のポリペプチドは、活性には必須でないペプチド領域を有していることが知られている。例えば、細胞外に分泌されるポリペプチドに存在するシグナルペプチドや、プロテアーゼの前駆体等に見られるプロ配列などがこれにあたり、これらの領域のほとんどは翻訳後、又は活性型ポリペプチドへの転換に際して除去される。このようなポリペプチドは、一次構造上は異なった形で存在しているが、最終的には同等の機能を有するポリペプチドである。
【0022】
本明細書において「数個のアミノ酸」とは、本発明ポリペプチド1についてはHA及びLPへのいずれの結合能をも失わない程度の変異を起こしてもよいアミノ酸の数を、本発明ポリペプチド2及び3についてはHA及びバーシカンへのいずれの結合能をも失わない程度の変異を起こしてもよいアミノ酸の数をそれぞれ示し、例えば600アミノ酸残基からなるポリペプチドの場合、2〜30程度、好ましくは2〜15、より好ましくは2〜8以下の数を示す。
【0023】
また本発明ポリペプチドは、上記(A)又は(B)に記載のアミノ酸配列を含んでいる限りにおいて他のポリペプチドやペプチドのアミノ酸配列を含んでいても良い。すなわち本発明ポリペプチドは、他のポリペプチドやペプチドとの融合ポリペプチドであっても良い。
【0024】
例えば、上記(A)又は(B)に記載のアミノ酸配列からなるポリペプチドとマーカーペプチドとの融合ポリペプチド等も本発明ポリペプチドに包含される。このような本発明ポリペプチドは、精製を容易にすることができるというメリットがある。上記マーカーペプチドとしては例えばプロテインA、インスリンシグナル配列、His、FLAG、CBP(カルモジュリン結合ポリペプチド)、GST(グルタチオン S−トランスフェラーゼ)などが挙げられる。例えばプロテインAとの融合ポリペプチドは、IgGを結合させた固相を用いたアフィニティークロマトグラフィーによって簡便に精製することができる。同様に、Hisタグとの融合ポリペプチドについては磁性ニッケルを結合させた固相を用いることができ、FLAGとの融合ポリペプチドについては抗FLAG抗体を結合させた固相を用いることができる。またインスリンシグナルとの融合ポリペプチドは、細胞外(培地等)に分泌されることから、細胞破砕等の抽出操作が不要となる。
【0025】
「HAへの結合能」、「LPへの結合能」及び「バーシカンへの結合能」は、公知のアッセイ方法に準じて検出することができる。その具体例は後述の実施例(「実施例(6)」及び「結果(3)」等)を参照されたい。このような方法によって「HAへの結合能」、「LPへの結合能」又は「バーシカンへの結合能」を保持しているアミノ酸の欠失、置換、挿入又は転位を容易に選択することができる。
【0026】
本発明ポリペプチドの製造方法は特に限定されず、後述の本発明DNAを適当な細胞で発現させることによって製造することができる。また天然物から単離されたものや、化学合成等によって製造されたものについても当然に本発明ポリペプチドに包含される。本発明DNAを用いた本発明ポリペプチドの製造方法については後述する。
【0027】
なお、リンクプロテイン・ファミリーのメンバーとして、現在LP−1、LP−2(Bral1)、LP−3及びLP−4(Bral2)が知られている。本発明ポリペプチド2はLP−1のB−B’ドメインの配列に対応し、本発明ポリペプチド3はLP−2のB−B’ドメインの配列に対応する。しかし本発明ポリペプチドとしての思想はこれらに限定されるものではなく、リンクプロテイン・ファミリーに属する他のメンバーにおけるB−B’ドメインの配列に対応するポリペプチドであってもよい。以下に説明する本発明会合体、本発明HA結合剤、本発明LP結合剤、本発明バーシカン結合剤及び本発明DNAにおける「本発明ポリペプチド」という用語についても同様に解釈されたい。
<2>本発明会合体
本発明会合体1は、本発明ポリペプチド1、本発明ポリペプチド2、及びHAが相互に結合してなる会合体である。
【0028】
本発明会合体2は、本発明ポリペプチド1、本発明ポリペプチド3、及びHAが相互に結合してなる会合体である。
【0029】
本発明会合体の構成成分である、「本発明ポリペプチド1」、「本発明ポリペプチド2」及び「本発明ポリペプチド3」についての説明は、前記の通りである。
【0030】
本発明会合体の構成成分である「HA」の由来等は特に限定されず、鶏冠、臍帯、HAを産生する微生物等から分離、精製されたHA等を用いることができる。また、高分子のものに限らず、低分子のものや、オリゴ糖サイズのものを用いることもできる。
【0031】
本発明会合体は、「本発明ポリペプチド1」、「本発明ポリペプチド2及び/又は本発明ポリペプチド3」及び「HA」の3者を、生理的条件下で共存せしめることによって製造することができる。「共存」の状態は、分子同士が接触しうるものである限りにおいて特に限定されない。また「共存」させる方法も、これら3者を同時に共存させてもよく、いずれか2者を共存させた後、これに残りの1者を共存させてもよい。
【0032】
本発明会合体は非常に安定であって、本発明者が調べた範囲では4MのGu−HCl以外の溶液では解離させることができなかった。
<3>本発明HA結合剤
本発明HA結合剤1は、本発明ポリペプチド1を有効成分とするHA結合剤である。また本発明結合剤2は、本発明ポリペプチド2を有効成分とするHA結合剤である。また本発明結合剤3は、本発明ポリペプチド3を有効成分とするHA結合剤である。
本発明HA結合剤の有効成分である「本発明ポリペプチド1」、「本発明ポリペプチド2」及び「本発明ポリペプチド3」についての説明は、前記と同様である。本発明HA結合剤は、これらのポリペプチドをそのまま有効成分として用いることができる。
【0033】
本発明HA結合剤は、本発明ポリペプチドが有するHA結合能を、HA結合剤として応用したものである。本発明HA結合剤は、HAと結合させる目的で使用することができ、これによってHAの検出・測定、HAの精製、HAの修飾等を行うことができる。
【0034】
本発明HA結合剤の形態も限定されず、溶液形態、凍結形態、凍結乾燥形態、担体と結合した固定化ポリペプチド形態のいずれであってもよい。また、HA結合能に影響を与えない限りにおいて他の成分(例えば、医薬的又は試薬的に許容される担体等)を含んでいてもよい。
<4>本発明LP結合剤
本発明LP結合剤は、本発明ポリペプチド1を有効成分とするLP結合剤である。
本発明LP結合剤の有効成分である「本発明ポリペプチド1」についての説明は、前記と同様である。本発明LP結合剤は、このポリペプチドをそのまま有効成分として用いることができる。
【0035】
本発明LP結合剤は、本発明ポリペプチド1が有するLP結合能を、LP結合剤として応用したものである。LP結合剤は、LPと結合させる目的で使用することができ、これによってLPの検出・測定、LPの精製、LPの修飾等を行うことができる。
【0036】
本発明LP結合剤の形態も限定されず、溶液形態、凍結形態、凍結乾燥形態、担体と結合した固定化ポリペプチド形態のいずれであってもよい。また、LP結合能に影響を与えない限りにおいて他の成分(例えば、医薬的又は試薬的に許容される担体等)を含んでいてもよい。
<5>本発明バーシカン結合剤
本発明バーシカン結合剤1は、本発明ポリペプチド2を有効成分とするバーシカン結合剤である。
【0037】
本発明バーシカン結合剤2は、本発明ポリペプチド3を有効成分とするバーシカン結合剤である。
本発明バーシカン結合剤の有効成分である「本発明ポリペプチド2」及び「本発明ポリペプチド3」についての説明は、前記と同様である。本発明バーシカン結合剤は、これらのポリペプチドをそのまま有効成分として用いることができる。
【0038】
本発明バーシカン結合剤は、本発明ポリペプチド2及び本発明ポリペプチド3が有するバーシカン結合能を、バーシカン結合剤として応用したものである。バーシカン結合剤は、バーシカンと結合させる目的で使用することができ、これによってバーシカンの検出・測定、バーシカンの精製、バーシカンの修飾等を行うことができる。
【0039】
本発明バーシカン結合剤の形態も限定されず、溶液形態、凍結形態、凍結乾燥形態、担体と結合した固定化ポリペプチド形態のいずれであってもよい。また、バーシカン結合能に影響を与えない限りにおいて他の成分(例えば、医薬的又は試薬的に許容される担体等)を含んでいてもよい。
<6>本発明DNA
本発明DNA1は、本発明ポリペプチド1をコードするDNAである。また本発明DNA2は、本発明ポリペプチド2をコードするDNAである。また本発明DNA3は、本発明ポリペプチド3をコードするDNAである。
【0040】
また本発明DNA1は、「(A)配列番号2で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド」をコードするDNA若しくは当該DNAに相補的なDNA又はこれらのDNAの塩基配列の一部を有するDNAと、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAを包含する。
【0041】
同様に本発明DNA2は、「(A)配列番号4で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド」をコードするDNA若しくは当該DNAに相補的なDNA又はこれらのDNAの塩基配列の一部を有するDNAと、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAを包含する。
【0042】
同様に本発明DNA3は、「(A)配列番号8で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド」をコードするDNA若しくは当該DNAに相補的なDNA又はこれらのDNAの塩基配列の一部を有するDNAと、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAを包含する。
【0043】
本明細書において「ストリンジェントな条件」とは、いわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいう(Sambrook, J. et al., Molecular Cloning A Laboratory Manual, second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)等参照)。「ストリンジェントな条件」として具体的には、50%ホルムアミド、4×SSC、50mM HEPES(pH7.0)、10×Denhardt’s solution、100μg/mlサケ精子DNAを含む溶液中、42℃でハイブリダイズさせ、次いで室温で2×SSC、0.1%SDS溶液、50℃下で0.1×SSC、0.1%SDS溶液で洗浄する条件が挙げられる。
【0044】
本発明DNAの製造方法も特に限定されないが、例えば後述の実施例に記載の方法を用いることが好ましい。
【0045】
本発明DNAとして、遺伝暗号の縮重による種々の異なった塩基配列を有するDNAが存在することは、当業者にとって容易に理解されるところである。なお、本発明DNA1として最も好ましいDNAは、配列番号1で示されるDNAである。また本発明DNA2として最も好ましいDNAは、配列番号3で示されるDNAである。また本発明DNA3として最も好ましいDNAは、配列番号7で示されるDNAである。
【0046】
また本発明は、「本発明DNAを保持するベクター」、「このベクターによって宿主が形質転換された形質転換体」及び「この形質転換体を生育させ、その生育物から本発明ポリペプチドを採取することを特徴とする、本発明ポリペプチドの製造方法」としての思想をも包含する。
【0047】
ここにいうベクターは、発現ベクターであることが好ましい。このベクターは、本発明DNAを公知のベクターに組込むことによって調製することができる。本発明DNAの公知ベクターへの組込みは、本発明DNAとベクターとの連結が可能となるように、これら双方を制限酵素等によって処理し、必要に応じて平滑化や粘着末端の連結を行った後、本発明DNAとベクターとを連結することによって行うことができる。このベクターの製造方法は、例えば後述の実施例に記載の方法を用いることができる。
【0048】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を具体的に説明する。しかしながら、これらにより本発明の技術的範囲が限定されるものではない。
<1>材料等
まず、本実施例において用いた物質等を説明する。なお、本実施例で用いたプライマーを表1にまとめて示した。
【0049】
【表1】
(1)発現ベクター
サイトメガロウイルス・プロモーター、ウサギ β−グロビンのスプライシング領域(O’Hare et al., 1981)、ヒト インターロイキン−2受容体のシグナルペプチド配列(LaFlamme et al., 1992)、FLAGのエピトープ・タグ(Kodak ScientificImaging Systems社製)、Xa因子の切断領域、及びマウス ラミニンγ1鎖のセグメント(Sasaki et al., 1987)を含有する発現ベクターpBFX(Watanabe et al., 1997)を、哺乳類における発現に用いた。
【0050】
325アミノ酸からなるヒト バーシカンG1ドメイン断片をコードするcDNA断片を作成するため、pfuDNAポリメラーゼ(Stratagene社製)、Xho Iリンカー領域を有するプライマーF1(配列番号9)、及びBam HIリンカー領域を有するプライマーR3(配列番号16)用いたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行った。
【0051】
反応は、「94℃で20秒間−60℃で30秒間−72℃で2分間」から構成されるステップを25サイクル行った。PCRで増幅された、ヒト バーシカンG1ドメイン断片をコードするDNA断片を、pBFXのXho I及びBam HIサイトに挿入した。得られたプラスミド(VerW/pBFXと命名した)を、以下のバーシカン遺伝子構築の基本ベクターとして用いた。
【0052】
pBluescript II SK(−) にサブクローニングされた「バーシカンG1ドメイン断片をコードするcDNA断片」(鋳型)と、表1に示したプライマーセットとを用いて、バーシカンのサブドメインの発現ベクターの構築に用いた。サブドメインをコードするPCR産物を、同様に、pBFXのXho I及びBam HIサイトに挿入した。全てのコンストラクトのヌクレオチド配列は、自動DNAシーケンサー(ABI PRISIM 310)を用いて確認した。
【0053】
なお表1中の下線部は、Xho IまたはBam HIリンカー部位を示す。バーシカン及びリンクプロテイン・コンストラクトを調製するために、以下のプライマーの組み合わせを用いた。
【0054】
VerW:F1(配列番号9)とR3(配列番号16)
VermutAB:F1(配列番号9)とR2(配列番号15)
VermutBB’:F2(配列番号10)とR3(配列番号16)
VermutA:F1(配列番号9)とR1(配列番号14)
VermutB:F2(配列番号10)とR2(配列番号15)
VermutB’:F3(配列番号11)とR3(配列番号16)
RLP:F4(配列番号12)とR4(配列番号17)
LPBB’γ:F5(配列番号13)とR5(配列番号18)
ヒト軟骨のLPの発現コンストラクト、及びLPのB−B’はpBFXを用いて同様に調製した。全長のcDNA及びB−B’をコードする部分を調製するために、ExTaq ポリメラーゼ(宝酒造株式会社製)を用い、前記と同様の反応プログラムでPCRを行った。PCRで増幅された「LPをコードするDNA断片」をpBFXのXho I及びBam HIサイトに挿入した。得られたプラスミドをLP/pBFXと命名した。「LPのBB’」とラミニンγ鎖との融合タンパク質をコードする発現プラスミド(LPBB’γ/pBFX)は、前記と同様にPCRによって調製した断片をpBFXに挿入することによって構築した。
(2)組換タンパク質の発現と精製
293細胞(ATCC CRL 1573)を、10%(v/v) FBSとペニシリン−ストレプトマイシンを含有するダルベッコ改変イーグル培地(Dulbecco’s modified Eagle’s)中で培養した。〜70%コンフルエントに達した6つのウエルプレート中の細胞を、1ウエルあたり2μgの発現ベクターDNAと6μlのFuGENE 6 TMトランスフェクション試薬(Roche社製)を用いて、試薬の説明書に従ってトランスフェクトした。安定なトランスフェクタントをスクリーニングするために、細胞を650μg/mlのG418(Life Technologies社製)存在下で10日間培養し、トランスフェクタントのプールをさらにコンフルエントになるまで増殖させた。コンフルエントに達したディッシュ(直径15cm)10枚分の細胞を用いて、組換タンパク質を調製した。この細胞を、無血清の順化培地(conditioned medium)中で3日間培養し、この順化培地を出発サンプルとして用いた。フェニルメタンスルホニルフルオリド(PMSF)(2mM)とNEM(10mM)を添加した後、サンプルを20,000 x gで60分間超遠心し、この上清を、平衡化バッファー(20mM Tris−HCl(pH 7.5)、0.15M NaCl)で予め平衡化したanti−FLAG M2 カラム(1ml)にアプライした。カラムをこのバッファー(2ml)で3回洗浄した後、150μg/ml FLAGペプチドを含有するバッファー 5mlで溶出させた。Anti−FLAG M2 カラムからの溶出物を、10mM HEPES(pH 7.5)、0.15MNaCl、及び0.005% 界面活性剤 P−20からなる溶液に対して透析し、SpeedVac(Savant社製)を用いて濃縮した。組換タンパク質を含有するフラクション(イムノブロット解析によってモニターした)をプールして、−80℃で保存した。組換タンパク質の純度は、SDS−PAGEと銀染色によって評価した。
(3)天然バーシカンの調製
ネイティブなバーシカンは既報の方法で調製した(Schmalfeldt et al., 1998)。35gのマウスの脳を、4倍量の抽出バッファー(0.5M NaCl、50mM Tris(pH 7.5)、25mM EDTA、0.5% Nonidet P−40、1mM PMSF、1μg/ml ペプスタチン及び1μg/ml ロイペプチンを含有する)を用いてWarning blender中でホモジナイズした。ホモジネートを4℃で5時間撹拌し、次いで100,000 x gで1時間遠心分離した。固体の硫酸アンモニウムを添加することによって、上清からタンパク質を分画沈殿した。最初の30%飽和のステップを経た後、上清中の硫酸アンモニウム濃度を60%に増加させることによって、バーシカンを含有するフラクションが沈殿した。4℃で一晩放置することによって完全に沈殿を形成させ、27,000 x gで45分間遠心分離することによって回収した。60%飽和での沈殿をバッファーA(50mM Tris−HCl(pH 6)、10mM EDTA、6M 尿素)で再溶解し、4℃で一晩、Q−セファロース FF(Q−Sepharose FF)(ファルマシア社製)にバッチ吸着させた。吸着後の担体をカラムにつめ、0.3M NaClを含有するバッファーAで洗浄した後、NaCl濃度を0.3Mから2Mまで段階的に上昇させることによって溶出させた。抗CS−αモノクローナル抗体を用いたスロットブロットにより同定されたバーシカン含有画分をプールし、蒸留水に対して十分に透析した。
(4)プロテオグリカン会合体の同定
予備試験として、ネイティブなバーシカン、b−LP、及びHAを用いて、超遠心分離の最適条件を決定した。密度1.42mg/mlのCsClを用いてバーシカン画分がA1〜A3に分画されるとき、これらの分子は良好に分離された。
【0055】
湿重量220mgのcmd/cmdマウスの軟骨を、5倍量の抽出バッファー(0.5M Gu−HCl、50mM Tris−HCl(pH 8.0)、10mM EDTA、1mM PMSF、10mM NEM及び0.36mM ペプスタチンを含有する)中でホモジナイズした。ホモジネートを4℃で一晩撹拌し、キャップをしたポリカーボネートチューブ中で遠心分離(4℃下、10,000rpmで10分間)して清澄な溶液を得た。固体のCsClを添加して最初の密度を1.42mg/mlとし、遠心分離した(4℃下、10,000rpmで10分間)。遠心によって生じた浮遊皮膜を除去した後、この清澄な溶液をポリアロマーチューブに入れ、スイングローターを用いて10℃下、35,000rpmで96時間遠心分離した。
【0056】
遠心後、チューブ中の溶液を底から6つに分画し(A1〜A6)、それぞれの画分をチューブに入れた。それぞれの分子を同定するため、組織を、4M Gu−HCl、Tris−HCl(pH 8.0)、10mM EDTA、1mM PMSF、10mM NEM及び0.36mM ペプスタチンからなる溶液で抽出し、解離超遠心分離(dissociative ultracentrifugation)に付した。これらの分子は、ドットブロット及びイムノブロット解析によってモニターした。
(5)免疫沈降、イムノブロット、及びトランスブロット解析
LPとHAのビオチン化は、既報の方法で行った(Yu and Toole, 1995)(Hoare
et al., 1993)。
【0057】
ネイティブなバーシカンとb−LPを混合し、マイクロチューブ中、4℃で一晩インキュベートした。その後、サンプルをプロテインA セファロース(protein A Sepharose;ファルマシア社製)とともに4℃で30分間インキュベートすることによって処理し、次いで2μlの抗CS−αモノクローナル抗体を添加した。4℃で2時間インキュベートした後、10μlのプロテインAセファロースゲル(50%v/vスラリー)と共に4℃で2時間インキュベートすることによって免疫沈降を行った。ゲルを氷冷したバッファー(50mM Tris−HCl(pH 7.5)、150mM NaCl、10mMNEM、1mM PMSF)で10回洗浄し、7.5%ポリアクリルアミドゲルを用いて還元条件下で電気泳動し、ポリビニリデンジフルオリド(polyvinilidene difluoride;PVDF)膜に転写した。その膜を、5%スキムミルクを含有するTBS−T(20mM Tris−HCl(pH 7.4)、0.15M NaCl、0.05% Tween20)中で1時間ブロッキングし、次いで2μg/mlのペルオキシダーゼ結合アビジンと共に、室温で1時間インキュベートした。反応は、ECL(Amersham社製)によって可視化した。
【0058】
サンプルを、SDS−PAGEによって還元条件下又は非還元条件下で分離し、PVDF膜に電気的に転写した。この膜を、5%スキムミルクを含有するTBS−T中、室温で1時間ブロッキングした。イムノブロット解析するために、この膜を抗CS−α抗体(2000倍希釈)又は抗LP抗体(8A4;1000倍希釈)と共にインキュベートした。TBSTで3回洗浄した後、その膜をペルオキシダーゼ結合ヤギ抗マウスIgG抗体(4,000倍希釈;Pierce)で処理した。TBSTで3回洗浄した後、ECL(Amersham社製)で反応を可視化した。
【0059】
トランスブロット解析するために、膜をブロッキングした後、25μg/mlのb−LP又は25μg/mlのb−HAと共に室温で2時間インキュベートした。この膜を、2μg/mlのペルオキシダーゼ結合アビジン(Pierce社製)と共に1時間反応させ、TBSTで3回洗浄した後、ビオチン化したLP又はHAと相互作用したタンパク質を検出するためにECL(Amersham社製)で処理した。
(6)表面プラズモン共鳴結合試験
結合解析は、BIAcoreTM 1000を用いて行った。LP−相互作用のカイネティックスを調べる前に、コントロール試験として、種々の濃度の組換タンパク質をカルボキシメチル(CM)表面上にインジェクションすることによって、これらのタンパク質の非特異的結合や反応のベースライン(コントロール表面)を決定した。これらの「コントロール表面」における結果を、後の実験によって得られた結果から差し引くことによって、非特異的結合やサンプルの屈折率の変化による影響を除去することができる。組換LPのCM5センサーチップへの固定化、及び、b−HAのSAセンサーチップへの固定化は、150mM NaClを含有する10mM HEPES(pH 7.4)に溶解した「10μg/mlのrLP」及び「10μg/mlのb−HA」を、それぞれ10μl/分及び5μl/分の流速でフローセルにインジェクトすることによって行った。それぞれのフローセルに固定化する量は、サンプル溶液をインジェクションするボリュームを変化させることによってコントロールした。カイネティック試験においては、結合試験は、会合相及び解離相のいずれにおいても、25℃で、30〜50μl/分の一定の流速で行った。まず、ランニング・バッファー(10mM HEPES(pH7.5)、150mM NaCl、及び0.005%界面活性剤 P−20)中の0.5〜3.0mMのタンパク質濃度のシリーズをフローセルにインジェクトし、共鳴単位(resonance unit)の変化を記録した。それぞれのランニングの後、センサーチップ表面の再生は、5mM HCl 15μlを2回インジェクションすることによって行った。速度定数の値は、メーカーから提供されたBIA evaluation 2.1 ソフトウエアを用いた非直線の回帰分析によって決定した。この方法は、(Karlsson, 1994) (Karlsson and Stahlberg, 1995)に詳述されている。
【0060】
会合速度定数(ka)は、初期の会合時期におけるセンサーグラムの直線部分から算出した。解離定数(kd)は、サンプルのインジェクションが完了して約20秒後の初期の会合時期におけるセンサーグラムから算出した。見かけの平衡解離定数(KD)は、kd/ka比から算出した。カイネティック係数は、6〜10の独立した実験によって決定した。
【0061】
3つの分子の相互作用を解析するために、3分子解析のためのコ・インジェクト・コマンド(co−inject command)を用いた。まず、ランニング・バッファー中の0.5〜3.0mMのタンパク質濃度のシリーズをフローセルにインジェクトし、共鳴単位(resonance unit)の変化を記録した。それぞれのランニングの後、センサーチップ表面の再生は、5mM HCl 15μl、10mM Gly−HCl(pH 3.0)、0.5M Gu−HCl、及び4M Gu−HClをそれぞれ2回インジェクションすることによって行った。
(7)免疫染色と、HABPによるHAの検出
マウスの組織を10%の緩衝ホルマリンで固定し、パラフィンで包埋し、4μmの切片に薄切して、免疫染色を行った。軟骨の切片を調製するために、組織を0.5M EDTAで14日間脱灰した。抗体として、マウスのバーシカンに対する抗体(500倍希釈)、マウスのLPに対する抗体(100倍希釈)、及びマウスのアグリカンに対する抗体(500倍)を用いた。HAの検出には、bHABP(100倍希釈)を用いた。
【0062】
培養細胞の染色は以下の通り行った。N1511細胞(Kamiya et al., 2002)を、2.2mg/ml NaHCO3及び10% FBSを添加したαMEM中で維持した。染色を行うために、トリプシンによって剥がした細胞を、前記の培地中でスライドグラス(Matsunami Glass Inc.)上に乗せた。免疫染色は、既報の方法(Watanabe and Yamada, 1999)で行った。
【0063】
〜70%コンフルエントに達した6つのウエルプレート中の細胞を、1ウエルあたり1μgの発現ベクターDNAと3μlのTrans It Transfection試薬(Mirus Corporation)を用いて、試薬の説明書に従ってトランスフェクトした。細胞を48時間培養した後、培地を除去し、細胞をPBSで3回洗浄し、4% パラホルムアルデヒドを用いて室温で15分間固定し、PBSで3回洗浄し、ビオチン化抗FLAG M2抗体(200倍希釈)又は抗CS−β抗体(2000倍希釈)を用いて室温、PBS中で1時間反応させた。
【0064】
PBSで3回洗浄した後、スライドクラス上の細胞を、PBSに溶解したストレプトアビジン−FITC(1,000倍希釈) (FLAGを検出する場合)又はアレクサフルオロ・テキサス・レッド(Alexafluore texas red)(1,000倍希釈) (CS−βを検出する場合)を用いて室温で1時間処理した。最終的にこのスライドグラスをPBSで洗浄し、蒸留水中に浸漬させ、マウントした。蛍光は、オリンパス BX50顕微鏡(オリンパス社製)を用いて観察した。HAの検出は、一次抗体及び二次抗体の代わりに、b−HABP(500倍希釈)及びストレプトアビジン−FITC(1000倍希釈)を用いて行った。
<2>結果
(1)天然バーシカンはLPに結合する
バーシカンはHAと相互作用することが報告されているが(LeBaron et al., 1992)、バーシカンとLPとの相互作用については報告されていない。そこでまず、免疫沈降法によって、ネイティブなバーシカンがLPに結合するか否かを調べた。
【0065】
マウスの脳から精製したバーシカンを、b−LPと混合し、抗CS−α抗体を用いて免役沈降した。沈降物中におけるバーシカンの存在は、抗CS−α抗体を用いたイムノブロットによって確認した(図1A;右)。沈降物を、HRP結合アビジンを用いてトランスブロット解析したところ、b−LPが検出されたことから、ネイティブなバーシカンがLPに結合することが示された(図1A;左)。コンドロイチナーゼABC処理した、または処理しないバーシカンを、非還元条件下でSDS−PAGEにアプライし、膜に転写した。イムノブロットを抗CS−α抗体を用いて行った結果、コンドロイチナーゼABC処理していないバーシカンはスメアなバンドとして検出されたが、コンドロイチナーゼABC処理したバーシカンはシャープなバンドとして検出された(図1B;レーン1及び2)。膜を、b−LP、次いでHRP−アビジンで処理した結果、1本のバンドと、バーシカンと同じスメアなバンドが観察された(図1B;レーン3及び4)。トランスブロット解析の特異性は、FLAG−アグリカン G1−ラミニンγの融合組換タンパク質を用い、AgMut13をポジティブコントロールとして確認した(図1B;レーン5及び6)。これらの結果から、LPは現に膜上でバーシカンと相互作用していることが示された。
(2)バーシカン、LP又はアグリカンの種々の組換ドメインと、LPとHAとの相互作用
次に、LP、バーシカンのG1ドメイン、及びアグリカンの種々の組換ドメイン及びサブドメインを、N末端にFLAGタグを有し、かつ、C末端にラミニンγ鎖を有する融合タンパク質として発現させた。ラミニンγ鎖は、発現させたタンパク質の可溶化に必須である。LPの全長は、ラミニンγを有しない形で可溶性のタンパク質として発現させた(図2)。約300μgのそれぞれの組換タンパク質は、250mlの無血清の順化培地から得た。それぞれの発現タンパク質は、抗FLAG M2抗体カラムクロマトグラフィーによって、SDS−PAGEと銀染色によって見かけ上単一となる程度にまで精製した(データは示さない)。
【0066】
これらの発現は、抗FLAG M2抗体を用いたイムノブロットによって確認した(図3B)。全ての組換タンパク質は、単一のモノメリックなバンドを示した。ただしVermutBについては、さらにダイマーであると思われる移動度の小さいバンドが検出された。
【0067】
これらの組換タンパク質を用い、LPとの相互作用に関与するサブドメインを、トランスブロット解析によって決定した(図3C)。b−LPは、バーシカンG1ドメインの「B」及び「B’」サブドメインを含有する「VerW」及び「VermutBB’」に結合したが、VermutAB、VermutA、VermutB、VermutB’及びラミニンγには結合しなかった。これらの結果から、バーシカンG1ドメインの「B−B’」領域が、LPとの相互作用に必須であることが示された。
【0068】
これに対し、アグリカンG1ドメインの組換タンパク質について調べた結果、「Agmut13」及び「Agmut16」はLPに結合したが、Agmut12は結合しなかった。この結果から、アグリカンG1ドメインの「Aサブドメイン」がLPと相互作用することが示された。驚くべきことに、LP及びLPBB’γは、いずれもLPに結合しなかった。
【0069】
我々は、HAとの相互作用に必要な「アグリカンG1ドメインの最小領域」がB−B’であることを決定している(Watanabe et al., 1997)。B−B’は、他のアグリカンファミリーのプロテオグリカンや、LPにも保持されている。バーシカンG1ドメイン中の「B−B’」はLPと相互作用することから、そのB−B’領域が実際にHAと相互作用するか否かについて検討した。
【0070】
HA−トランスブロット解析に付した結果、既に報告されている「Agmut12」及び「Agmut13」(Watanabe et al., 1997)のみならず、「VerW」、「VermutBB’」、「LP」及び「LPBB’」もHAに結合した(図3D)。これらの結果から、バーシカン、アグリカン及びLPの「B−B’」領域が、HAとの相互作用に必須であることが示された。
(3)BIAcoreTM システムを用いた、LP−又はHA−結合機能の解析
組換タンパク質と、LP及びHAとの相互作用のカイネティックスを調べるために、BIAcoreTM バイオセンサーシステムを用いた。表2は、カイネティックスに関する結果の概要を示す。「VerW」、「VermutBB’」、「Agmut13」及び「Agmut16」はチップ上の組換LPに結合したが、VermutAB、VermutA、VermutB、VermutB’、及びLPは結合しなかった。この結果から、LP−トランスブロットによって得られた結果が再確認された。LPとの会合及び解離に関して「VerW」と「VermutBB’」は同様の挙動を示したことから、バーシカンG1のAサブドメインはLPとの相互作用に対してほとんど影響を与えないことが示された。「Agmut13」と「Agmut16」はいずれもLPと相互作用するが、「Agmut16」は「Agmut13」に比して会合速度が低く解離速度が高く、「Agmut13」は「Agmut16」よりも解離平衡定数(KD)が3.1倍高い。このことは、「B−B’」領域がAサブドメインとLPとの相互作用を増強させることを示している。バーシカンとアグリカンのそれぞれのG1ドメイン(VerWとAgmut13)を比較した結果、アグリカンのG1ドメインのKDは〜2.8倍低かった。
【0071】
次に、これらの組換タンパク質のHA−相互作用のカイネティックスを調べた。「VerW」、「VermutBB’」、「LP」及び「LPBB’γ」はHAと相互作用したが、VermutAB、VermutA、VermutB及びVermutB’は相互作用せず(表3)、この結果はHA−トランスブロットの結果と一致した。Aサブドメインを欠いているVermutBB’は、VerWに比してHAとの会合速度が低くて解離速度が高く、その相互作用はKDで比較して〜17倍弱いものであった。これらの結果は、AサブドメインはHA結合活性を有さず、「B−B’」領域とHAとの相互作用を増強させることを示している。これに対して、Aドメインを欠いているLPBB’γは、全長のLPに比して、HAに対する相互作用が若干弱いことが示された。HAに対する相互作用は、「Agmut13」についてはKD=1.41 x 10−7 Mであり、「AgMut12」についてはKD=3.15 x 10−7 Mであった。これらの結果は、我々の先のデータを支持するものである。3つの分子がその「B−B’」領域でHAと相互作用したが、LP及びバーシカンのHAとの相互作用は、アグリカンG1のHAとの相互作用に比して、それぞれ〜22倍、〜8倍強かった。
【0072】
結合ドメインのサイズが、認識されるHAの長さに関連すると考えられたので、種々のサイズのHAオリゴ糖を用いて阻害実験を行った。LPをHA6とプレインキュベートしたところ、そのセンサーチップ上でのHAとの相互作用は約50%減少した。またHA8糖とプレインキュベートしたところ、HAとの相互作用は完全に阻害された(図4A)。同様の結果は、VerWをHAオリゴ糖とプレインキュベートした場合に見られた(図4B)。
【0073】
【表2】
【表3】
(4)バーシカン、LP、及びHAは安定な会合体を形成する
アグリカン、HA、及びLPは互いに作用することによって安定な会合体を形成する。アグリカンG1ドメインは、そのAサブドメインにおいてLPと相互作用するが、バーシカンG1は「B−B’」領域で相互作用する。
【0074】
BIAcoreTM システムを用いて、バーシカンG1が、LPとHAの両方と相互作用して安定な複合体を形成するのか、それともHAをめぐってLPと競合するのかを調べた。BIAcoreTM システムでは、これら3つの分子の定量的な測定はできないが、オーバーレイ・センサーグラムのパターンによって相互作用の程度を調べることができる。まず、固定化されたHAチップのフロー・セルにVerWをインジェクションし、次いでLPをインジェクションした。その結果、VerWはHAと会合し、LPはさらにそのフロー・セルと会合した。このことは、LPが、HA−VerW複合体、又はHAのなかでVerWが結合していない領域と相互作用していることを示している。3つの分子の相互作用は、4M Gu−HClを用いた場合を除いて、ストレプトアビジンとビオチンとを解離させる程度の溶液を2回インジェクションしても解離しないほど強力であった。VerWの代わりにVermutBB’を用いた場合、同様のパターンが観察された。これらの結果は、HA、LP、及びバーシカンの「B−B’」領域は、相互に作用して安定な複合体を形成することを示している。
(5)3つの分子は、大動脈や軟骨において共に局在する
次に、バーシカン、HA、及びLPが共に局在する組織を、免疫染色及びb−HABPを用いて探索した。バーシカンは4つのスプライス・バリアント(V0、V1、V2及びV3)からなる。
【0075】
V3(タンパク質として発現されていない)を除く3つの全てのバリアント形態を認識するために、CS−αとCS−βの混合物を用いた。その結果、3つの分子の共存は、大動脈外膜と、関節軟骨表層においてのみ観察された。4週令マウスの胸部大動脈において、バーシカンはその壁の層全体にわたって局在していたが、LPとHAの双方は外膜に局在していた。バーシカンは、その組織をコンドロイチナーゼABCで前処理した場合にのみ検出された。2週令マウスの成長板軟骨(growth plate cartilage)において、バーシカンは、主として休止期の軟骨細胞のinterteritorial zoneにおいて染色された。LPは、肥大した軟骨細胞の細胞周縁において強く染色され、interteritorial zoneでは中程度の染色が見られた。HAは、細胞周縁に高度に沈着し、かつ、拡散した状態で局在していた。これに対してアグリカンは、主として肥大前の軟骨細胞及び肥大した軟骨細胞の細胞周縁において染色された。
【0076】
これらの分子は脳で発現していることが知られている(Schmalfeldt et al., 1998)ので、胎児及び成体の脳におけるバーシカン、LP、及びHAの局在を調べた。バーシカンは脳梁及び大脳において染色が見られた。LPは主として海馬において、HAは拡散した状態で染色が見られた。これらは免疫組織学的な結果は、大動脈外膜及び関節軟骨表層においてはバーシカン、HA及びLPのプロテオグリカン会合体が存在するが、脳では存在しないことを示唆している。これらの組織に加え、従来の報告と同様(Bode−Lesniewska et al., 1996)、バーシカンは毛包、動脈、静脈、及び平滑筋において染色された(データは示さない)。
(6)in vivoにおいてバーシカンはプロテオグリカン会合体を形成する
次に、バーシカンが、これらの組織においてHAとLPと共にプロテオグリカン会合体を形成して沈着しているか否かを調べた。正常な軟骨は多量のアグリカンを含有しており、バーシカン会合体の同定が困難であることから、アグリカン遺伝子の天然のノックアウトである軟骨マトリクス欠乏マウス(cmd/cmd)の軟骨を用いることとした。Cmd軟骨中における3つの分子の局在を調べたところ、バーシカンとLPは主として軟骨原基の周辺部分に局在していたが、HAは拡散して存在した。この結果は、これら3つの分子がcmd軟骨の周辺に共に局在していることを示している。プロテオグリカン会合体を同定するために、会合塩化セシウム密度勾配超遠心法を用いた(Faltz et al., 1979)。Cmd軟骨から0.5M Gu−HClを用いて抽出されたサンプルを、会合条件下で塩化セシウム密度勾配超遠心に付した。バーシカンの大部分はA1〜A3の画分に存在し、断片化したと思われるものがA6画分に存在した。LPの主要な画分はA5〜A6であったが、A1〜A3画分にも存在した。HAは全ての画分で観察された。4M Gu−HClで抽出されたサンプルを、解離条件下で遠心分離にかけたところ、バーシカンの大部分がA3画分に検出された。これに対して、LPとHAの大部分はA5〜A6画分に存在した。さらに、バーシカンとLPの存在はイムノブロット解析によっても確認された。A1〜A3及びD1〜D3の画分を、コンドロイチナーゼABCで処理してイムノブロットにアプライしたところ、バーシカンのコアタンパク質が観察された。LPはA1〜A3画で観察されたが、D1〜D3画分では観察されなかった。4週令マウスの大動脈の抽出物を超遠心解析に付した場合にも、同様の結果が得られた(データは示さない)。これらの結果は、マウスの大動脈及びcmd軟骨が、バーシカン、LP及びHAのプロテオグリカン会合体を含有していることを示している。
(7)LPは、バーシカンの沈着及びプロテオグリカン会合体の形成を促進するプロテオグリカン会合体の生理学的な意義を探究するために、バーシカンの合成をデキサメタゾンと副甲状腺ホルモン(PTH)によって誘導できる「N1511細胞」(Kamiya et al., 2002)を用いた培養細胞系を使用した。
【0077】
誘導後48時間目に、細胞外マトリクスへのバーシカンの沈着が見られたが、内在性のLPは観察されなかった(データは示さない)。ヒトの組換Flag−LPを過剰発現させると、細胞のマトリクス中への沈着が見られた。興味深いことに、高いレベルでバーシカンの沈着が観察された。同様に、Flag(Flag−LPBB’γ)のタグが付された、LPの「B−B’」部分の細胞内での過剰発現によって、バーシカンの沈着が増加した。バーシカンの沈着の増加を確認するために、イムノブロット解析を行った。細胞破砕した後に細胞外マトリクスのサンプルを抽出し、これをコンドロイチナーゼABCで処理してイムノブロットに付したところ、Flag−LP及びFlag−LPBB’γを過剰発現させたサンプルにおいて、バーシカンコアタンパク質の量の有意な増加が見られた。これらの効果を定量的に評価するために、ドット・ブロット解析を行った。等量のバーシカンが検出されるようにサンプルをブロットしたところ、Flag−LPBB’γの量はFlag−LPの量に比べて明らかに多かった。このことは、同レベルのバーシカンを沈着させるためには、Flag−LPBB’γのより高レベルの発現が必要であることを示している。以上の結果から、LPの「B−B’」領域が、プロテオグリカン会合体を形成させることによってバーシカンの沈着を増加させ、マトリクス形成を促進すること、及び、この効果は全長のLPよりも強いことが示された。
【0078】
【発明の効果】
本発明ポリペプチドは、本発明会合体の原料、本発明HA結合剤、本発明LP結合剤、本発明バーシカン結合剤等の素材とすることができ、極めて有用である。
【0079】
本発明会合体は、医用素材・材料として利用できる可能性があることから極めて有用である。特に、バーシカン、LP及びHAからなる会合体が、大動脈外膜と関節軟骨表層に局在すること、及び生化学的に生体内において会合体を形成していることが明らかにされたことから、バーシカンのプロテオグリカン会合体が、拍動性脈圧や関節加重等に対する物理的抵抗力に寄与していることが示唆される。したがって本発明会合体は、大動脈瘤破裂の治療、中等大の血管の再生医学、変形性膝関節症等の関節破壊疾患の予防、症状緩解、治療等に応用できる可能性があり、極めて有用である。
【0080】
また本発明HA結合剤、本発明LP結合剤及び本発明バーシカン結合剤は、HA、LP、バーシカンの検出・測定、精製、修飾等を行うことができ、極めて有用である。
【0081】
本発明DNAは、本発明ポリペプチドの製造等に用いることができ、極めて有用である。
【0082】
引用文献
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【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】ネイティブなバーシカンの、LPに対する結合活性を示す図である。A:ネイティブなバーシカンとLPからなる複合体の免疫沈降を示す。ネイティブなバーシカンと、b−LPを混合し、抗CS−αモノクローナル抗体と共に免疫沈降した。サンプルを、還元条件下で7.5%(左の図)又は5%(右の図)のSDS−ポリアクリルアミドゲルで電気泳動し、PVDF膜にブロットした。膜上のサンプルを、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)結合アビジン(左の図)又は抗CS−α抗体(右の図)を用いて検出した。
B:LP−トランスブロット解析の結果を示す。コンドロイチナーゼABCで処理した、又は処理していないバーシカンを、非還元条件下で、5% SDS−ポリアクリルアミドゲルで電気泳動し、PVDF膜に転写した。膜を抗CS−α抗体を用いてイムノブロットし(レーン1及び2)又はb−LPで処理した後にHRP−アビジンで処理した(レーン3及び4)。組換タンパク質(Agmut13、レーン5及び7;VerW、レーン6及び8)についても同様に電気泳動し、膜に転写した。その膜を、抗FLAG M2抗体(レーン5及び6)又はb−LP及びHRP−アビジン(レーン7及び8)を用いてイムノブロットした。
【図2】A:バーシカン、LP及びアグリカンの種々の組換ドメインの模式図を示す。N末端にFLAG タグを有する組換ドメインを、マウスのラミニンγ鎖との融合タンパク質として発現させた。ラミニン鎖(単独)は、ネガティブ・コントロールとして用いた。
【図3】バーシカン、LP及びアグリカンの種々の組換ドメインと、LP及びHAとの相互作用を示す図である。
B:抗FLAG M2抗体を用いたイムノブロット解析によって確認された、組換タンパク質の発現を示す図である。組換タンパク質は、還元条件下でのSDS−PAGE(7.5%)によって分離した後、抗FLAG抗体を用いたイムノブロット解析に付した。
C:b−LPを用いたトランスブロット解析の結果を示す図である。
D:HAを用いたトランスブロット解析の結果を示す図である。
【図4】BIAcoreTM システムを用いた3つの分子の相互作用の解析結果を示す図である。
b−HAを、SAセンサー・チップのフロー・セル上に固定化し、VerW及びLP(図A)、又はVerBB’及びLP(図B)を、チップ表面に順にインジェクションした。3つの分子の相互作用は、4M Gu−HClを除いて、種々の溶液を2回インジェクションしても解離しないほど強いものであった。15μlの5mM HClをインジェクションした時のパターンを示した。
Claims (14)
- 下記(A)又は(B)のポリペプチド。
(A)配列番号2で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド。
(B)配列番号2で示されるアミノ酸配列における1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入又は転位したアミノ酸配列からなり、かつ、ヒアルロン酸への結合能及びリンクプロテインへの結合能を有するポリペプチド。 - 下記(A)又は(B)のポリペプチド。
(A)配列番号4で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド。
(B)配列番号4で示されるアミノ酸配列における1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入又は転位したアミノ酸配列からなり、かつ、ヒアルロン酸への結合能及びバーシカンへの結合能を有するポリペプチド。 - 下記(A)又は(B)のポリペプチド。
(A)配列番号8で示されるアミノ酸配列からなるポリペプチド。
(B)配列番号8で示されるアミノ酸配列における1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入又は転位したアミノ酸配列からなり、かつ、ヒアルロン酸への結合能及びバーシカンへの結合能を有するポリペプチド。 - 請求項1に記載のポリペプチド、請求項2に記載のポリペプチド、及びヒアルロン酸が相互に結合してなる会合体。
- 請求項1に記載のポリペプチド、請求項3に記載のポリペプチド、及びヒアルロン酸が相互に結合してなる会合体。
- 請求項1に記載のポリペプチドを有効成分とする、ヒアルロン酸結合剤。
- 請求項2に記載のポリペプチドを有効成分とする、ヒアルロン酸結合剤。
- 請求項3に記載のポリペプチドを有効成分とする、ヒアルロン酸結合剤。
- 請求項1に記載のポリペプチドを有効成分とする、リンクプロテイン結合剤。
- 請求項2に記載のポリペプチドを有効成分とする、バーシカン結合剤。
- 請求項3に記載のポリペプチドを有効成分とする、バーシカン結合剤。
- 請求項1に記載のポリペプチドをコードするDNA。
- 請求項2に記載のポリペプチドをコードするDNA。
- 請求項3に記載のポリペプチドをコードするDNA。
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