JP2004152854A - 光電変換材料用半導体、光電変換素子及び太陽電池 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光電変換材料用半導体、光電変換素子及び太陽電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
光電変換材料とは、電極間の電気化学反応を利用して光エネルギを電気エネルギに変換する材料である。光電変換材料に光を照射すると、一方の電極側で電子が発生し、対電極に移動する。対電極に移動した電子は、電解質中をイオンとして移動して一方の電極にもどる。
【0003】
すなわち、光電変換材料は光エネルギを電気エネルギとして連続して取り出せる材料であり、たとえば、太陽電池などに利用されている。太陽電池にはいくつかの種類があるが、住居設置用発電パネル、卓上計算機、時計、携帯用ゲーム機等に実用化されているものの大部分はシリコン太陽電池である。
【0004】
しかし、最近になって色素増感型太陽電池が注目され、実用化を目指して研究されている。色素増感型太陽電池は古くから研究されており、その基本構造は、具体的には金属酸化物半導体及びそこに吸着した色素、電解質溶液及び対向電極を構成として有するものである。
【0005】
上記のような、従来の色素増感型太陽電池においては、光電変換材料は、半導体表面に可視光領域に吸収を持つ分光増感色素を吸着させたものが用いられている。例えば、金属酸化物半導体の表面に、遷移金属錯体などの分光増感色素層を有する太陽電池を記載しているもの(例えば、特許文献1参照。)、また、金属イオンでドープした酸化チタン半導体層の表面に、遷移金属錯体などの分光増感色素層を有する太陽電池を記載しているもの(例えば、特許文献2参照。)などが挙げられる。
【0006】
一方、光電変換能力を有する酸化物半導体電極としては、初期の頃は半導体の単結晶電極が用いられてきた。その種類としては、酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)等がある。
【0007】
しかし、単結晶電極は色素の吸着量が少ないため効率は非常に低く、コストが高いというデメリットがあった。そこで考え出されてきたのが、微粒子を焼結して形成された多数の細孔を有する高表面積半導体電極である。
【0008】
例えば、坪村らによって有機色素を吸着した多孔質酸化亜鉛電極が非常に性能が高いことが報告されている(例えば、非特許文献1参照。)。
【0009】
その後は、色素にも改良がされるようになり、Graetzelらはルテニウム錯体系色素を多孔質酸化チタン電極に吸着させることで、現在、シリコン太陽電池並みの性能を有するまでになっている(例えば、非特許文献2参照。)。
【0010】
しかし、シリコン太陽電池を代替する実用化のためには、今まで以上に高いエネルギ変換効率や、さらに高い短絡電流、開放電圧、形状因子が求められており、現在のところ、多孔質半導体電極で報告されている物質としてはZnO、TiO2、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化ニオブ(Nb2O5)等を用いての技術開発が行われている。
【0011】
また、色素増感型湿式太陽電池はシリコン太陽電池に比べ製造コストが非常に安いため、将来的には先述の種々の製品に用いられているシリコン太陽電池を代替する可能性があるが、その際には各々の製品に応じた太陽電池の特性が重要になる。太陽電池の特性には様々なものがあり中でも、下記に示す
1.短絡電流
2.開放電圧
3.形状因子
4.エネルギ変換効率
5.光吸収スペクトル
などが重要であるが、特に4.のエネルギ変換効率は太陽電池の最大の課題であり、その改良が強く望まれていた。その効率を左右する技術課題の一つとして、光励起された電子を効率的に半導体に移動する能力を有する増感色素が求められている。これまでに検討された種々の色素のうち、前記ルテニウム錯体系色素は比較的優れた特性を有することがわかっているが、色素が高価であること、および錯体の中心金属であるルテニウムが稀少元素であり将来にわたる安定的な供給に懸念がもたれることから、より安価で安定的に供給可能な有機色素がより好ましい。こうした要請からこれまでにも多くの有機色素が検討されているが、その光電変換効率は未だ充分なものではなく、さらに変換効率の高い光電変換素子を構成できる有機色素が待望されていた。
【0012】
ルテニウム錯体色素の他にもさまざまな色素についての検討が行われているが、よく知られているのはメロシアニン色素、キサンテン系色素、クマリン系色素、アクリジン系色素、フェニルメタン系色素等でアゾメチン色素については殆ど記載されていない。
【0013】
【特許文献1】
特開平1−220380号公報
【0014】
【特許文献2】
特表平5−504023号公報
【0015】
【非特許文献1】
Nature,261(1976)p402
【0016】
【非特許文献2】
J.Am.Chem.Soc.115(1993)6382
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の第一の目的は、高い光電変換効率と優れた安定性とを示す光電変換材料用半導体、光電変換素子及び太陽電池を提供することである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記の構成1〜9により達成された。
【0019】
1.前記一般式(1)で表される化合物を含むことを特徴とする光電変換材料用半導体。
【0020】
2.前記一般式(2)で表される化合物を含むことを特徴とする光電変換材料用半導体。
【0021】
3.前記一般式(3)で表される化合物を含むことを特徴とする光電変換材料用半導体。
【0022】
4.前記一般式(4)で表される化合物を含むことを特徴とする光電変換材料用半導体。
【0023】
5.下記一般式(5)で表される化合物を含むことを特徴とする光電変換材料用半導体。
【0024】
6.前記一般式(2)〜(4)において、R2、R7またはR7′が、N原子と5員または6員で水素結合可能な置換基であることを特徴とする前記2〜4のいずれか1項に記載の光電変換材料用半導体。
【0025】
7.前記光電変換材料用半導体が、金属酸化物半導体または金属硫化物半導体であることを特徴とする前記1〜6のいずれか1項に記載の光電変換材料用半導体。
【0026】
8.前記1〜7のいずれか1項に記載の光電変換材料用半導体が導電性支持体上に設けられていることを特徴とする光電変換素子。
【0027】
9.前記8に記載の光電変換素子、電荷移動層および対向電極とを有することを特徴とする太陽電池。
【0028】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明者等は上記の課題を解決するため鋭意検討を行った結果、請求項1〜5に各々記載されている、前記一般式(1)〜(5)で表されるような特定構造を有する化合物を用いて増感した光電変換材料用半導体により、本発明に記載の効果、すなわち、高い光電変換効率と優れた安定性とを示す光電変換材料用半導体を得ることに成功した。
【0029】
《光電変換材料用半導体》
本発明の光電変換材料用半導体に用いられる半導体としては、シリコン、ゲルマニウムのような単体、周期表(元素周期表ともいう)の第3族〜第5族、第13族〜第15族系の元素を有する化合物、金属のカルコゲニド(例えば酸化物、硫化物、セレン化物等)、金属窒化物等を使用することができる。
【0030】
好ましい金属のカルコゲニドとして、チタン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、またはタンタルの酸化物、カドミウム、亜鉛、鉛、銀、アンチモンまたはビスマスの硫化物、カドミウムまたは鉛のセレン化物、カドミウムのテルル化物等が挙げられる。他の化合物半導体としては亜鉛、ガリウム、インジウム、カドミウム等のリン化物、ガリウム−ヒ素または銅−インジウムのセレン化物、銅−インジウムの硫化物、チタンの窒化物等が挙げられる。
【0031】
本発明の光電変換材料用半導体に係る半導体の具体例としては、TiO2、SnO2、Fe2O3、WO3、ZnO、Nb2O5、CdS、ZnS、PbS、Bi2S3、CdSe、CdTe、GaP、InP、GaAs、CuInS2、CuInSe2、Ti3N4等が挙げられるが、好ましく用いられるのは、TiO2、ZnO、SnO2、Fe2O3、WO3、Nb2O5、CdS、PbSであり、更に好ましく用いられるのは、TiO2またはNb2O5であるが、中でも、好ましく用いられるのはTiO2である。
【0032】
本発明の光電変換材料用半導体に用いる半導体は、上述した複数の半導体を併用して用いてもよい。例えば、上述した金属酸化物もしくは金属硫化物の数種類を併用することもできるし、また、酸化チタン半導体に20質量%の窒化チタン(Ti3N4)を混合して使用してもよい。また、J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,15(1999)記載の酸化亜鉛/酸化錫複合としてもよい。このとき、半導体として金属酸化物もしくは金属硫化物以外に成分を加える場合、追加成分の金属酸化物もしくは金属硫化物半導体に対する質量比は30%以下であることが好ましい。
【0033】
上記の光電変換材料用半導体を前記一般式(1)〜(5)で表されるいずれか1種の化合物により増感処理することにより、本発明に記載の目的のひとつである、高い光電変換効率と優れた安定性とを示す、本発明の光電変換材料用半導体を得ることが出来る。
【0034】
以下、前記一般式(1)〜(5)で各々表される化合物について説明する。
《一般式(1)で表される化合物》
本発明に係る前記一般式(1)表される化合物について説明する。
【0035】
一般式(1)において、Aで表わされる5員または6員環の芳香族炭素環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、インデン環、テトラリン環、アントラセン環、フェナントレン環等が挙げられる。
【0036】
一般式(1)において、Aで表わされる5員または6員環の複素環としては、芳香族複素環(例えば、フラン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、1,2,3−オキサジアゾール環、1,2,3−トリアゾール環、1,2,4−トリアゾール環、1,3,4−チアジアゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、s−トリアジン環、ベンゾフラン環、インドール環、ベンゾチオフェン環、ベンズイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、プリン環、キノリン環及びイソキノリン環等)や複素環(ピラン環、クロメン環、キサンテン環、カルバゾール環、β−カルボリン環、イソクロマン環、クロマン環、ピロリジン環、ピロリン環、イミダゾリジン環、イミダゾリン環、ピラゾリジン環、ピラゾリン環、ピペリジン環、ピペラジン環、インドリン環、イソインドリン環、キヌクリジン環、モルホリン環等)が挙げられる。
【0037】
上記の芳香族炭素環、複素環は、単環でも、縮合環でもよく、また、更に置換基を有していてもよい。
【0038】
一般式(1)において、Qは、前記一般式(1)で表される化合物に可視域または近赤外域に吸収能を付与可能な原子団(部分構造ともいう)を表わし、更に、該Qは、少なくとも1つのカルボキシル基を置換基として有する。
【0039】
また、上記一般式(1)で表される化合物そのもののほかに、該化合物から誘導されるイオンおよび塩を含む。例えば、一般式(1)で表される化合物が分子構造中にスルホ基を有している場合には、該化合物の他にスルホ基が解離して生じる陰イオンおよび該陰イオンと対陽イオンとで形成される塩を含む。
【0040】
このような塩としてはナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等の金属イオンと形成した塩であってもよいし、ピリジン、ピペリジン、トリエチルアミン、アニリン、ジアザビシクロウンデセン等の有機塩基と形成した塩であってもよい。分子内に塩基性基を有する化合物の場合も同様に該化合物がプロトン化されて生成する陽イオン、および塩酸塩、硫酸塩、酢酸塩、メチルスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩などの、酸と形成した分子内塩である場合も含まれる。
【0041】
《一般式(2)で表される化合物》
一般式(2)中、R1は、−NR4R5またはヒドロキシル基を表わし、R4、R5は、各々独立に水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、アリール基または複素環基を表わす。
【0042】
R4、R5で各々表されるアルキル基としては、直鎖でも分岐でもよい炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、エイコシル基、2−クロロエチル基、2−シアノエチル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられる。
【0043】
R4、R5で各々表されるシクロアルキル基としては、炭素数3〜30の置換または無置換のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基等が挙げられる。
【0044】
R4、R5で各々表されるビシクロアルキル基としては、炭素数5〜30の置換または無置換のビシクロアルキル基が好ましい。ここで、本発明に係るビシクロアルキル基とは、炭素数5〜30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基であり、具体的には、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル基、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル基等が挙げられる。
【0045】
また、R4、R5で各々表されるアルキル基、シクロアルキル基、ビシクロアルキル基は、トリシクロアルキル基を形成してもよい。
【0046】
R4、R5で各々表されるアリール基としては、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリール基が好ましく、例えばフェニル基、p−トリル基、ナフチル基、m−クロロフェニル基、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル基等が挙げられる。
【0047】
R4、R5で各々表される複素環基としては、例えば、ピリジル基、チアゾリル基、2−ベンゾチアゾリル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基、2−フリル基、2−チエニル基、ピロリル基、ピラジニル基、2−ピリミジニル基、ピリダジニル基、セレナゾリル基、スルホラニル基、ピペリジニル基、ピラゾリル基、テトラゾリル基等が挙げられる。
【0048】
一般式(2)において、R1は、好ましくは−NR4R5であり、R4、R5で表される基としては、各々水素原子、前記アルキル基またはアリール基であることが好ましく、更に好ましくは、水素原子またはアルキル基であり、特に好ましくは、炭素原子数が1〜18のアルキル基である。
【0049】
一般式(2)において、R4、R5で、各々表されるアルキル基、シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、アリール基、複素環基は、更に置換基を有していてもよく、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、ビシクロアルキル基(例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル基、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基、プレニル基、オクテニル基等)、シクロアルケニル基(例えば、例えば、2−シクロペンテン−1−イル基、2−シクロヘキセン−1−イル基等)、ビシクロアルケニル基(例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル基、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル基等)、アルキニル基(例えば、プロパルギル基、エチニル基、トリメチルシリルエチニル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基、p−トリル基、m−クロロフェニル基、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル基等)、複素環基(例えば、ピリジル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基、フリル基、ピロリル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、セレナゾリル基、スルホラニル基、ピペリジニル基、ピラゾリル基、テトラゾリル基等)、複素環オキシ基(例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ基、2−テトラヒドロピラニルオキシ基、ピリジルオキシ基、チアゾリルオキシ基、オキサゾリルオキシ基、イミダゾリルオキシ基等)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、フッ素原子等)、アルコキシル基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシル基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−tert−ブチルフェノキシ基、3−ニトロフェノキシ基、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、複素環チオ基(例えば、ピリジルチオ基、チアゾリルチオ基、オキサゾリルチオ基、イミダゾリルチオ基、フリルチオ基、ピロリルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基、ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、ホルミルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、アルキルスルフィニル基またはアリールスルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基またはアリールスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、N−メチルアニリノ基、ジフェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、シリルオキシ基(例えば、トリメチルシリルオキシ基、tert−ブチルジメチルシリルオキシ基等)、アミノカルボニルオキシ基(例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ基、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ基、モルホリノカルボニルオキシ基、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ基、N−n−オクチルカルバモイルオキシ基等)、アルコキシカルボニルオキシ基(例えば、メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、tert−ブトキシカルボニルオキシ基、n−オクチルカルボニルオキシ基等)、アリールオキシカルボニルオキシ基(例えば、フェノキシカルボニルオキシ基、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ基、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ基等)、アルコキシカルボニルアミノ基(例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、tert−ブトキシカルボニルアミノ基、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ基、N−メチル−メトキシカルボニルアミノ基等)、アリールオキシカルボニルアミノ基(例えば、フェノキシカルボニルアミノ基、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ基、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ基等)、スルファモイルアミノ基(例えば、スルファモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ基、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ基等)、メルカプト基、アリールアゾ基(例えば、フェニルアゾ基、ナフチルアゾ基、p−クロロフェニルアゾ基、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ基等)、複素環アゾ基(例えば、ピリジルアゾ基、チアゾリルアゾ基、オキサゾリルアゾ基、イミダゾリルアゾ基、フリルアゾ基、ピロリルアゾ基)、イミノ基(例えば、N−スクシンイミド−1−イル基、N−フタルイミド−1−イル基等)、ホスフィノ基(例えば、ジメチルホスフィノ基、ジフェニルホスフィノ基、メチルフェノキシホスフィノ基等)、ホスフィニル基(例えば、ホスフィニル基、ジオクチルオキシホスフィニル基、ジエトキシホスフィニル基等)、ホスフィニルオキシ基(例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ基、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ基等)、ホスフィニルアミノ基(例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ基、ジメチルアミノホスフィニルアミノ基等)、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、フェニルジメチルシリル基等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、スルホ基、カルボキシル基等が挙げられる。
【0050】
前記一般式(2)において、B1は=C(R6)−または=N−を表わすが、好ましくは、B1が=C(R6)−となる場合である。
【0051】
前記一般式(2)において、R2、R3、R6およびR7は、各々独立に水素原子または置換基を表わす。前記置換基は、炭素数1〜30の置換基であるのが好ましく、具体例としては、前記R4、R5で各々表わされる基の置換基として挙げたものと同義である。
【0052】
中でも、R2としては、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、アルコキシル基、アシルアミノ基、ウレイド基が好ましく、更に好ましくは水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシル基である。更に、R2またはR7で表される基の少なくとも1つは、窒素原子と5員または6員の水素結合を形成可能な置換基である事が好ましく、そのような置換基としては、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、ウレイド基、スルファモイルアミノ、基、ホスホニルアミド基等が好ましく、更に好ましくはヒドロキシル基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基である。
【0053】
前記一般式(2)において、R3、R6としては、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、アルコキシル基、アシルアミノ基、ウレイド基が好ましく、更に好ましくは、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基であり、特に好ましくは、水素原子である。
【0054】
尚、R2とR3、R3とR4、R4とR5、R5とR6およびR6とR7は互いに結合して環を形成してもよい。
【0055】
前記一般式(2)において、Qは一般式(2)で表される化合物に可視域または近赤外域に吸収能を付与可能な原子団(部分構造ともいう)を表すが、前記Qとしては、下記一般式(Cp−1)〜下記一般式(Cp−28)で表される原子団(部分構造)が好ましく用いられる。
【0056】
ここで、(Cp−1)〜(Cp−28)で表される原子団は、*印の位置で、前記一般式(2)のQ以外の部分と結合している。また、本発明に係るQは、これらによって限定されない。
【0057】
【化6】
【0058】
【化7】
【0059】
以下に、上記一般式(Cp−1)〜(Cp−28)で表される化合物について詳しく説明する。
【0060】
《一般式(Cp−1)》
一般式(Cp−1)において、R51は、アルキル基、アリール基、複素環基、またはアルコキシル基を表し、R52は、カルバモイル基またはシアノ基を表す。
【0061】
ここで、R51で表される、アルキル基、アリール基、複素環基は、各々、上記一般式(2)において、R4、R5で各々表される基と同義である。
【0062】
式中、R51で表される基としては、好ましくは、tert−ブチル基、1−エチルシクロプロピル基、1−メチルシクロプロピル基、1−ベンジルシクロプロピル基、フェニル基、インドリニン−1−イル基、インドール−3−イル基であり、R52で表される基としては、好ましくは、N−アリールカルバモイル基、シアノ基である。
【0063】
《一般式(Cp−2)》
一般式(Cp−2)において、R53はアリール基または複素環基を表し、R52は、前記一般式(Cp−1)におけるR52と同義である。
【0064】
式中、R53で表される基としては、フェニル基、複素環基が好ましく、特に好ましくは複素環基である。また、前記複素環基の具体例としては、チアゾール−2−イル基、ベンゾチアゾール−2−イル基、オキサゾール−2−イル基、ベンゾオキサゾール−2−イル基、1,2,4−オキサジアゾール−3(または5)−イル基、1,3,4−オキサジアゾール−2(または5)−イル基、1,2,4−チアジアゾール−3(または5)−イル基、1,3,4−チアジアゾール−2(または5)−イル基、ピラゾール−3−イル基、インダゾール−3−イル基、1,2,4−トリアゾール−3−イル基、2−ピリジル基、2−ピリミジニル基、2−ピラジニル基、キナゾリン−2−イル基、キナゾリン−4−イル基等が挙げられる。R52はシアノ基を表す。
【0065】
《一般式(Cp−3)》
一般式(Cp−3)において、R61は、アルキル基、アリール基、複素環基、アシルアミノ基、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ウレイド基またはアルコキシカルボニルアミノ基を表す。R62はアルキル基、アリール基または複素環基を表す。
【0066】
ここで、前記R61、R62で各々表される基は、上記一般式(2)において、R4、R5で各々表される基と同義である。
【0067】
式中、R61で表される基としては、好ましくは、アルキル基、アシルアミノ基、アミノ基、ウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基等が挙げられ、更に好ましくは、アシルアミノ基、アニリノ基である。
【0068】
式中、R62で表される基としては、好ましくは、アリール基、複素環基が挙げられるが、更に好ましくはアリール基である。
【0069】
《一般式(Cp−4)、一般式(Cp−5)》
一般式(Cp−4)、(Cp−5)において、R63、R64は各々、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、複素環基、アシルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシル基、アリールオキシ基、ウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、カルバモイル基、カルボキシル基またはアルコキシカルボニル基を表す。
【0070】
ここで、前記R63、R64で各々表される基は、上記一般式(2)において、R4、R5で各々表される基と同義である。
【0071】
式中、R63で表される基としては、好ましくは、アルキル基、カルボキシル基、アルコキシル基、カルバモイル基が挙げられるが、更に好ましくは、メチル基、tert−ブチル基、カルボキシル基である。
【0072】
式中、R64で表される基としては、好ましくは、アルキル基、アルケニル基、アリール基である。
【0073】
《一般式(Cp−6)、一般式(Cp−7)》
一般式(Cp−6)、(Cp−7)において、R63は、前記一般式(Cp−4)、(Cp−5)に記載のR63と同義である。
【0074】
R65、R66およびR67は、各々、水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、アシルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシル基、アリールオキシ基、ウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基またはカルバモイル基を表す。
【0075】
ここで、前記R65、R66およびR67で各々表される基は、上記一般式(2)において、R4、R5で各々表される基と同義である。
【0076】
式中、R65で表される基としては、好ましくは、アルキル基、アリール基、アルコキシル基、アリールオキシ基等が挙げられ、R65、R66、R67で、各々表される基としては、好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基が挙げられる。
【0077】
《一般式(Cp−8)》
一般式(Cp−8)において、R68およびR69は各々、水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、アシルアミノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニルアミノ基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシル基、アリールオキシ基、ウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、カルボキシル基、アシル基、アルコキシカルボニル基またはカルバモイル基を表す。
【0078】
ここで、前記R68、R69で各々表される基は、上記一般式(2)において、R4、R5で各々表される基と同義である。
【0079】
式中、R68、R69で表される基としては、好ましくは、各々水素原子、アルキル基、アリール基等が挙げられる。
【0080】
《一般式(Cp−9)、(Cp−10)、(Cp−11)、(Cp−12)》
一般式(Cp−9)、(Cp−10)、(Cp−11)、(Cp−12)において、R71は、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、複素環基、シリル基、アシルアミノ基、アルキルスルホニル基アミノ基、アリールスルホニルアミノ基、アミノ基、ウレイド基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシル基、カルボキシル基またはアルコキシカルボニルアミノ基を表し、R72およびR73は各々、水素原子またはアルキル基を表し、aは0ないし3のいずれかの整数を表し、bは0ないし2のいずれかの整数を表し、cは0ないし4のいずれかの整数を表す。a、b、またはcが複数のとき複数個のR71は同一であっても、異なっていてもよい。
【0081】
ここで、前記R70、R71、R72、R73で各々表される基は、上記一般式(2)において、R4、R5で各々表される基と同義である。
【0082】
式中、R70で表される基としては、好ましくは、アルキル基、アリール基であり、R71で表される基としては、好ましくは、ハロゲン原子、アルキル基、アシルアミノ基、カルバモイル基、カルボキシル基等が挙げられ、R72、R73で各々表される基としては、水素原子、メチル基、エチル基等が挙げられる。また、好ましくは、aは1または2を表し、bは1または2を表し、cは0ないし2の整数を表す。
【0083】
《一般式(Cp−13)》
一般式(Cp−13)において、R74はカルバモイル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルファモイル基、アシルアミノ基、ウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基またはアルキルもしくはアリールスルホニルアミノ基を表し、R75はハロゲン原子、アルキル基、アリール基、複素環基、アシルアミノ基、アルキルもしくはアリールスルホニルアミノ基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシル基、アリールオキシ基、カルボキシル基、ウレイド基またはアルコキシカルボニルアミノ基を表し、dは0ないし4のいずれかの整数を表す。dが複数のとき、複数個のR75は同一であっても異なっていてもよい。
【0084】
ここで、前記R74、R75で各々表される基は、上記一般式(2)において、R4、R5で各々表される基と同義である。
【0085】
式中、R74で表される基としては、好ましくは、カルバモイル基、スルファモイル基、アシルアミノ基であり、R75で表される基としては、好ましくは、アシルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、ウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基であり、dは0または1である。
【0086】
《一般式(Cp−14)》
一般式(Cp−14)において、R75およびdは、前記一般式(Cp−13)におけるR75、dと同義である。R78、R79は、各々前記一般式(Cp−13)におけるR75と同義である。R76、R77は、各々シアノ基、スルファモイル基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基またはカルバモイル基を表す。
【0087】
ここで、R76、R77で各々表される基は、上記一般式(2)において、R4、R5で各々表される基と同義である。
【0088】
式中、R75で表される基としては、好ましくは、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基であり、dは、好ましくは、0〜2のいずれかの整数である。R78、R79で、各々表される基としては、好ましくは、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基であり、R76、R77で、各々表される基としては、好ましくはシアノ基である。
【0089】
《一般式(Cp−15)》
一般式(Cp−15)において、R75、dは、各々、前記一般式(Cp−13)におけるR75、dと同義である。R80、R81は、各々シアノ基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基またはカルバモイル基を表す。
【0090】
ここで、R80、R81で各々表される基は、上記一般式(2)において、R4、R5で各々表される基と同義である。
【0091】
式中、R75で表される基としては、好ましくは、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基であり、dは、好ましくは、0〜2のいずれかの整数である。また、R80、R81で表される基としては、好ましくは、シアノ基である。
【0092】
《一般式(Cp−16)》
一般式(Cp−16)において、R82、R83、R84は各々、水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、アシルアミノ基、アルキルもしくはアリールスルホニルアミノ基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシル基、アリールオキシ基、ウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基またはカルバモイル基を表す。
【0093】
ここで、R82、R83、R84で各々表される基は、上記一般式(2)において、R4、R5で各々表される基と同義である。
【0094】
《一般式(Cp−17)》
一般式(Cp−17)において、R85、R86は、各々、水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、アシルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシル基、アリールオキシ基、ウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基またはカルバモイル基を表す。
【0095】
ここで、R85、R86で各々表される基は、上記一般式(2)において、R4、R5で各々表される基と同義である。
【0096】
式中、R85、R86で各々表される基としては、好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、アシルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基等が挙げられる。
【0097】
《一般式(Cp−18)、(Cp−19)、(Cp−20)》
一般式(Cp−18)〜(Cp−20)において、R87、R88は、各々水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基またはニトロ基を表し、R89、R90は各々水素原子、アルキル基、アリール基または複素環基を表す。
【0098】
ここで、R87、R88、R89、R90で、各々表される基は、上記一般式(2)において、R4、R5で各々表される基と同義である。
【0099】
式中、R87で表される基としては、好ましくは、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基等がであり、更に好ましくは、シアノ基である。R88で表される基としては、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基等であり、更に好ましくは、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基等である。R89、R90で、各々表される基としては、好ましくは、アルキル基、アリール基等であり、更に好ましくは、アリール基である。
【0100】
《一般式(Cp−21)〜(Cp−26)》
一般式(Cp−21)〜(Cp−26)において、R91、R92は、各々アルキル基、アリール基、複素環基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、シアノ基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基またはニトロ基を表し、R93、R94、R95は、各々水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、アシルアミノ基、ウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルもしくはアリールスルホニルアミノ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシル基またはアリールオキシ基を表す。
【0101】
ここで、R91、R92、R93、R94、R95で各々表される基は、上記一般式(2)において、R4、R5で各々表される基と同義である。
【0102】
式中、R91で表される基としては、好ましくは、アリール基、複素環基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基等であり、R92で表される基としては、好ましくは、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、スルファモイル基ま、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基等であり、R93、R94、R95で各々表される基としては、好ましくは、水素原子、アルキル基、アシルアミノ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基等が挙げられる。
【0103】
《一般式(Cp−27)》
一般式(Cp−27)において、R97、R98、R99は、各々、水素原子、シアノ基、スルファモイル基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基またはカルバモイル基を表し、R96は、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシル基またはアリールオキシ基を表す。
【0104】
ここで、R96、R97、R98、R99で各々表される基は、上記一般式(2)において、R4、R5で各々表される基と同義である。
【0105】
式中、R97、R98、R99で各々表される基としては、水素原子、シアノ基等であり、R96で表される基としては、N−アリールアミノ基である。
【0106】
《一般式(Cp−28)》
一般式(Cp−28)において、R100、R101は、各々、水素原子、パーフルオロアルキル基、シアノ基、ニトロ基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルチオ基またはアリールチオ基を表し、R102は、アルキル基、アリール基、複素環基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基またはカルバモイル基を表す。
【0107】
ここで、R100、R101、R102で各々表される基は、上記一般式(2)において、R4、R5で各々表される基と同義である。
【0108】
式中、R100、R101で各々表される基としては、好ましくは、水素原子、パーフルオロアルキル基、シアノ基、ニトロ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルチオ基、アリールチオ基等が挙げられ、R102で表される基としては、好ましくは、アリール基、複素環基等である。
【0109】
本発明に係るQとしては、上記一般式(Cp−1)〜(Cp−28)で表される基の中でも、一般式(Cp−1)、(Cp−2)、(Cp−3)、(Cp−4)、(Cp−5)、(Cp−9)、(Cp−11)、(Cp−12)、(Cp−13)、(Cp−18)、(Cp−21)、(Cp−22)、(Cp−23)が好ましい。
【0110】
《一般式(3)で表される化合物》
一般式(3)中、R1、R2、R3、B1、Qで各々表される基は、前記一般式(2)において、R1、R2、R3、B1、Qで各々表される基と同義である。
また、一般式(3)においても、Qで表される基としては、前記一般式(Cp−1)〜(Cp−28)で表される基が好ましい。
【0111】
《一般式(4)で表される化合物》
一般式(4)中、Qは、前記一般式(2)に記載のQと同義であり、更に、前記(Cp−1)〜(Cp−28)で表される基が好ましい。R8、R9は、各々、前記一般式(2)に記載のR4、R5と同義であるが、中でも、炭素原子数が1〜18のアルキル基が最も好ましい。B3は、前記一般式(2)におけるB1と同義である。R7は、前記一般式(2)に記載のR7と同義である。
【0112】
《一般式(5)で表される化合物》
一般式(5)中、Qは、前記一般式(2)に記載のQと同義であり、更に、前記(Cp−1)〜(Cp−28)で表される基が好ましい。R8、R9は、各々、前記一般式(2)に記載のR4、R5と同義であるが、中でも、炭素原子数が1〜18のアルキル基が最も好ましい。B3は、前記一般式(2)におけるB1と同義である。
【0113】
本発明に係る、前記一般式(1)〜(5)で各々表される化合物において、特に好ましく用いられるのは、前記一般式(2)または前記一般式(3)で表される化合物であり、中でも、Qとして、前記一般式(Cp−3)を有するピラゾロンアゾメチン化合物、前記一般式(Cp−4)または(Cp−5)を有するピラゾロアゾールアゾメチン化合物や、前記一般式(Cp−9)または(Cp−13)を有するインドアニリン化合物、前記一般式(Cp−18)を有するピロロトリアゾールアゾメチン化合物が好ましい。
【0114】
以下に、本発明に係る前記一般式(1)、(2)、(3)、(4)または(5)で表される化合物の具体例を示すが、本発明は、これらに限定されない。
【0115】
【化8】
【0116】
【化9】
【0117】
【化10】
【0118】
【化11】
【0119】
【化12】
【0120】
【化13】
【0121】
【化14】
【0122】
【化15】
【0123】
【化16】
【0124】
【化17】
【0125】
【化18】
【0126】
【化19】
【0127】
【化20】
【0128】
【化21】
【0129】
【化22】
【0130】
【化23】
【0131】
【化24】
【0132】
【化25】
【0133】
【化26】
【0134】
【化27】
【0135】
本発明に係る前記一般式(1)、(2)、(3)、(4)または(5)で表される化合物は、例えば、特開平10−193807号公報、同11−78258号公報、特開2001−92091号公報等に記載された従来公知の方法を参考にして合成することができる。
【0136】
以下に具体的に合成法の一例を示すが、その他の化合物も同様にして合成することが可能であり、合成法としては、これらに限定されない。
【0137】
《例示化合物II−32の合成》
以下に記載の合成ルートに従い、例示化合物II−32を合成した。
【0138】
【化28】
【0139】
(a)中間体1の合成
特開2001−92091号公報記載の化合物(m−アセチルアミノアニリン)8.0gに炭酸水素ナトリウム17.9g、水50ml及びエチルブロマイド:13.9gを加え、80℃〜90℃で8時間加熱攪拌する。反応終了後、酢酸エチルで抽出し、分液後、中和、水洗し溶媒を減圧で留去した後カラムクロマトグラフィーにより精製して8.79gのオイルを得た。MASS(質量分析)、1H−NMR(核磁気共鳴スペクトル)、IR(赤外吸収スペクトル)によって同定し、中間体1であることを確認した。
【0140】
(b)中間体2の合成
中間体1:8.65gに氷水40ml及び濃塩酸:17.7mlを加え攪拌し、20℃以下で亜硝酸ナトリウム3.1gを水10mlに溶解した水溶液を加え1時間反応する。更に10%水酸化ナトリウム水溶液を加えpH〜8にして1時間攪拌する。反応終了後酢酸エチルで抽出、水洗し、溶媒を減圧で留去した後カラムクロマトグラフィーにより精製し11.0gのオイルを得た。これにメタノール150mlを加え溶解し、5%パラジウム炭素3.4gを加えて接触水素還元した。規定量の水素を吸収した後、パラジウム炭素を濾別し、濾液の溶媒を減圧で留去した。8.16gの乳白色結晶を得た。MASS(質量分析)、1H−NMR(核磁気共鳴スペクトル)、IR(赤外吸収スペクトル)によって同定し、中間体2であることを確認した。
【0141】
(c)例示化合物II−32の合成
5.12gの中間体3に、120mlのメタノールと21.2mlのトリエチルアミンを加え撹拌溶解させる。次に、13.0gの過硫酸アンモニウムを水20mlに溶解したものを加え、更に、4.64gの中間体2を水20ml、メタノール20mlに溶解したものを20分かけて撹拌しながら滴下する。滴下終了後、1時間室温で撹拌した後、ろ過して析出する無機塩をろ過し、メタノールで洗浄する。ろ液を濃縮後、酢酸エチル:200mlに溶解し1モル/リットルの塩酸を加えpHを1に調整し、分液した後、中和、水洗し濃縮する。濃縮物をカラムクロマトグラフィーにて精製後、アセトニトリルから再結晶し、例示化合物II−32を6.88g得た。
【0142】
得られた化合物をMASS(質量分析)、1H−NMR(核磁気共鳴スペクトル)、IR(赤外吸収スペクトル)によって同定し、目的物であることを確認した。
【0143】
《例示化合物II−66の合成》
以下に記載の合成ルートに従い、例示化合物II−66を合成した。
【0144】
【化29】
【0145】
5.18gの中間体4にメタノール120mlとトリエチルアミン21.2mlを加え撹拌溶解させる。次に過硫酸アンモニウム13.0gを水20mlに溶解したものを加え、更に、3.48gの中間体5を水20ml、メタノール20mlに溶解したものを20分かけて撹拌しながら滴下する。滴下終了後、1時間室温で撹拌した後、ろ過して析出する無機塩と目的物をろ過し、水で洗浄する。
【0146】
ろ過物を、酢酸エチル:200mlに溶解し1モル/リットルを加え、pHを1に調整し、分液した後、中和、水洗し濃縮する。濃縮物をアセトニトリルから再結晶して例示化合物II−66を6.24gを得た。
【0147】
得られた化合物をMASS(質量分析)、1H−NMR(核磁気共鳴スペクトル)、IR(赤外吸収スペクトル)によって同定し、目的物であることを確認した。
【0148】
《例示化合物III−2の合成》
以下に記載の合成ルートに従い、例示化合物III−2を合成した。
【0149】
【化30】
【0150】
5.68gの中間体6にメタノール150mlとトリエチルアミン21.2mlを加え撹拌溶解させる。次に過硫酸アンモニウム15.6gを水25mlに溶解したものを加え、更に、5.87gの中間体7を水25ml、メタノール25mlに溶解したものを20分かけて撹拌しながら滴下する。滴下終了後、1時間室温で撹拌した後、ろ過して析出する無機塩をろ過し、メタノールで洗浄する。
【0151】
ろ液を濃縮後、酢酸エチル250mlに溶解し1モル/リットルを加えpHを1に調整し、分液した後、中和、水洗し濃縮する。
【0152】
濃縮物をカラムクロマトグラフィーにて精製し、アセトニトリルから再結晶し、7.98gの例示化合物III−2を得た。
【0153】
得られた化合物は、MASS(質量分析)、1H−NMR(核磁気共鳴スペクトル)、IR(赤外吸収スペクトル)によって同定し、目的物であることを確認した。
【0154】
《光電変換材料用半導体の増感処理》
本発明の光電変換材料用半導体は、前記一般式(1)〜(5)で表されるいずれか1種の化合物を含むことにより増感し、本発明に記載の効果を奏することが可能となる。ここで、該化合物を含むとは、半導体表面への吸着、半導体が多孔質などのポーラスな構造を有する場合には、半導体の多孔質構造に前記化合物が入りこむ等の種々の態様が挙げられる。また、半導体層(半導体でもよい)1m2あたりの前記一般式(1)〜(5)で表されるいずれか1種の化合物の総含有量は0.01ミリモル〜100ミリモルの範囲が好ましく、更に好ましくは0.1ミリモル〜50ミリモル、特に好ましくは、0.5ミリモル〜20ミリモルである。
【0155】
本発明に係る前記一般式(1)〜(5)で表されるいずれか1種の化合物を用いて増感処理を行う場合、前記化合物を単独で用いてもよいし、複数を併用することも、本発明に係る前記一般式(1)〜(5)で表されるいずれか1種の化合物と他の化合物(例えば米国特許第4,684,537号明細書、同第4,927,721号明細書、同第5,084,365号明細書、同第5,350,644号明細書、同第5,463,057号明細書、同第5,525,440号明細書等の各明細書、特開平7−249790号公報、特開2000−150007号公報等に記載の化合物)とを混合して用いることもできる。
【0156】
特に、本発明の光電変換材料用半導体の用途が、後述する太陽電池である場合には、光電変換の波長域をできるだけ広くして太陽光を有効に利用できるように、吸収波長の異なる二種類以上の色素を混合して用いることが好ましい。
【0157】
半導体に、前記一般式(1)〜(5)で表されるいずれか1種の化合物を含ませるには、前記化合物を適切な溶媒(エタノールなど)に溶解し、その溶液中によく乾燥した半導体を長時間浸漬する方法が一般的である。
【0158】
前記一般式(1)〜(5)で表されるいずれか1種の化合物を複数種類併用したり、その他の増感色素化合物とを併用した光電変換材料用半導体を作製する際には、各々の化合物の混合溶液を調製して用いてもよいし、それぞれの化合物について溶液を用意して、各溶液に順に浸漬して作製することもできる。各化合物について別々の溶液を用意し、各溶液に順に浸漬して作製する場合は、半導体に前記化合物や増感色素等を含ませる順序がどのようであっても本発明に記載の効果を得ることができる。また、前記化合物を単独で吸着させた半導体微粒子を混合する等することにより作製してもよい。
【0159】
吸着処理は半導体が粒子状の時に行ってもよいし、支持体上に膜を形成した後に行ってもよい。吸着処理に用いる化合物を溶解した溶液は、それを常温で用いてもよいし、該化合物が分解せず溶液が沸騰しない温度範囲で加熱して用いてもよい。また、後述する光電変換素子の製造のように、半導体微粒子の塗布後(感光層の形成後)に、前記化合物の吸着を実施してもよい。また、半導体微粒子と本発明の前記化合物とを同時に塗布することにより、前記化合物の吸着を実施してもよい。また、未吸着の化合物は洗浄によって除去することが出来る。
【0160】
また、本発明の光電変換材料用半導体の増感処理については、半導体を、前記一般式(1)〜(5)で表されるいずれか1種の化合物を含むことにより増感処理が行われるが、増感処理の詳細については、後述する光電変換素子のところで具体的に説明する。
【0161】
また、空隙率の高い半導体薄膜を有する光電変換材料用半導体の場合には、空隙に水分、水蒸気などにより水が半導体薄膜上、並びに半導体薄膜内部の空隙に吸着する前に、前記化合物や増感色素化合物等の吸着処理(光電変換材料用半導体の増感処理)を完了することが好ましい。
【0162】
本発明の光電変換材料用半導体は、有機塩基を用いて表面処理してもよい。前記有機塩基としては、ジアリールアミン、トリアリールアミン、ピリジン、4−t−ブチルピリジン、ポリビニルピリジン、キノリン、ピペリジン、アミジン等が挙げられるが、中でも、ピリジン、4−t−ブチルピリジン、ポリビニルピリジンが好ましい。
【0163】
上記の有機塩基が液体の場合はそのまま、固体の場合は有機溶媒に溶解した溶液を準備し、本発明の光電変換材料用半導体を液体アミンまたはアミン溶液に浸漬することで、表面処理を実施できる。
【0164】
また、本発明に係る前記一般式(1)〜(5)で表されるいずれか1種の化合物と併用して用いることの出来る色素としては、本発明に係る半導体を分光増感しうるものならばいずれの色素も用いることができる。光電変換の波長域をできるだけ広くし、かつ変換効率を上げるため、二種類以上の色素を混合することが好ましい。また、目的とする光源の波長域と強度分布に合わせるように、混合する色素とその割合を選ぶことができる。
【0165】
本発明に係る色素の中では、光電子移動反応活性、光耐久性、光化学的安定性等の総合的な観点から、金属錯体色素、フタロシアニン系色素、ポルフィリン系色素、ポリメチン系色素が好ましく用いられる。
【0166】
金属錯体色素の中では、特開2001−223037号、同2001−226607号、米国特許第4,927,721号、同第4,684,537号、同第5,084,365号、同第5,350,644号、同第5,463,057号、同第5,525,440号、特開平7−249750号、特表平10−504512号、世界特許989/50393号等に記載のルテニウム錯体色素が好ましく用いられる。
【0167】
ポルフィリン系色素、フタロシアニン系色素としては、特開2001−223037号に記載の色素が好ましい色素としてあげられる。
【0168】
ポリメチン系色素としては、従来公知のメチン系色素、特開平11−35836号公報、同11−158395号公報、同11−163378号公報、同11−214730号公報、同11−214731号公報、同10−93118号公報、同11−273754号公報、特開2000−106224号公報、同2000−357809号公報、同2001−52766号公報、欧州特許第892,411号、同911,841号等に記載のものが挙げられる。
【0169】
《光電変換材料用半導体の作製方法》
本発明の光電変換材料用半導体の作製方法について説明する。
【0170】
本発明の光電変換材料用半導体の一態様としては、導電性支持体上に上記の光電変換材料用半導体を焼成により形成する等の方法が挙げられる。
【0171】
本発明の光電変換材料用半導体が焼成により作製される場合には、上記の化合物や増感色素を用いての該半導体の増感(吸着、多孔質への入り込み等)処理は、焼成後に実施することが好ましい。焼成後、半導体に水が吸着する前に、素早く化合物の吸着処理を実施することが特に好ましい。
【0172】
本発明の光電変換材料用半導体が粒子状の場合には、光電変換材料用半導体を導電性支持体に塗布あるいは吹き付けて、半導体電極を作製するのがよい。また、本発明の光電変換材料用半導体が膜状であって、導電性支持体上に保持されていない場合には、光電変換材料用半導体を導電性支持体上に貼合して半導体電極を作製することが好ましい。
【0173】
以下、本発明の光電変換材料用半導体の作製工程を具体的に述べる。
《半導体微粉末含有塗布液の調製》
まず、半導体の微粉末を含む塗布液を調製する。この半導体微粉末は、その1次粒子径が微細な程好ましく、その1次粒子径は、1nm〜5000nmが好ましく、更に好ましくは2nm〜50nmである。半導体微粉末を含む塗布液は、半導体微粉末を溶媒中に分散させることによって調製することができる。溶媒中に分散された半導体微粉末は、その1次粒子状で分散する。溶媒としては、半導体微粉末を分散し得るものであればよく、特に制約されない。
【0174】
前記溶媒としては、水、有機溶媒、水と有機溶媒との混合液が包含される。有機溶媒としては、メタノールやエタノール等のアルコール、メチルエチルケトン、アセトン、アセチルアセトン等のケトン、ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素等が用いられる。塗布液中には、必要に応じ、界面活性剤や粘度調節剤(ポリエチレングリコール等の多価アルコール等)を加えることができる。溶媒中の半導体微粉末濃度の範囲は、0.1質量%〜70質量%が好ましく、更に好ましくは0.1質量%〜30質量%である。
【0175】
《半導体微粉末含有塗布液の塗布と形成された半導体層の焼成処理》
上記のようにして得られた半導体微粉末含有塗布液を導電性支持体上に塗布または吹きつけ、乾燥等を行った後、空気中または不活性ガス中で焼成して、導電性支持体上に半導体層(半導体膜)が形成される。
【0176】
導電性支持体上に塗布液を塗布、乾燥して得られる皮膜は、半導体微粒子の集合体からなるもので、その微粒子の粒径は使用した半導体微粉末の1次粒子径に対応するものである。
【0177】
このようにして導電性支持体等の基板上に形成された半導体微粒子集合体膜は、導電性支持体との結合力や、微粒子相互の結合力が弱く、機械的強度の弱いものであることから、前記半導体微粒子集合体膜を焼成処理して機械的強度を高め、基板に強く固着した焼成物膜となるため好ましく行われる。
【0178】
本発明においては、この焼成物膜はどのような構造を有していても良いが、多孔質構造膜(空隙を有する、ポーラスな層ともいう)であることが好ましい。
【0179】
ここで、本発明に係る半導体薄膜の空隙率は、10体積%以下が好ましく、更に好ましくは、8体積%以下であり、特に好ましくは、0.01体積%〜5体積%以下である。尚、半導体薄膜の空隙率は、誘電体の厚み方向に貫通性のある空隙率を意味し、水銀ポロシメーター(島津ポアライザー9220型)等の市販の装置を用いて測定することが出来る。
【0180】
多孔質構造を有する焼成物膜になった、半導体層の膜厚は、少なくとも10nm以上が好ましく、更に好ましくは100nm〜10000nmである。
【0181】
焼成処理時、焼成物膜の実表面積を適切に調整し、上記の空隙率を有する焼成物膜を得る観点から、焼成温度は1000℃より低いことが好ましく、更に好ましくは、200℃〜800℃の範囲であり、特に好ましくは300℃〜800℃の範囲である。
【0182】
また、見かけ表面積に対する実表面積の比は、半導体微粒子の粒径及び比表面積や、焼成温度等によりコントロールすることができる。また、加熱処理後、半導体粒子の表面積を増大させたり、半導体粒子近傍の純度を高め、色素から半導体粒子への電子注入効率を高める目的で、例えば四塩化チタン水溶液を用いた化学メッキや三塩化チタン水溶液を用いた電気化学的メッキ処理を行ってもよい。
【0183】
《半導体の増感処理》
半導体の増感処理は、上記のように、色素を適切な溶媒に溶解し、その溶液に前記半導体を焼成した基板を浸漬することによって行われる。その際には半導体層(半導体膜ともいう)を焼成により形成させた基板を、あらかじめ減圧処理したり加熱処理したりして膜中の気泡を除去し、前記一般式(1)〜(5)のいずれか1種の化合物が半導体層(半導体膜)内部深くに進入できるようにしておくことが好ましく、半導体層(半導体膜)が多孔質構造膜である場合には特に好ましい。
【0184】
《溶媒》
前記一般式(1)〜(5)のいずれか1種の化合物を溶解するのに用いる溶媒は、前記化合物を溶解することができ、且つ、半導体を溶解したり半導体と反応したりすることのないものであれば格別の制限はないが、溶媒に溶解している水分および気体が半導体膜に進入して、前記化合物の吸着等の増感処理を妨げることを防ぐために、あらかじめ脱気および蒸留精製しておくことが好ましい。
【0185】
前記化合物の溶解において、好ましく用いられる溶媒はメタノール、エタノール、n−プロパノールなどのアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル系溶媒、塩化メチレン、1,1,2−トリクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素溶媒であり、特に好ましくはメタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、塩化メチレンである。
【0186】
《増感処理の温度、時間》
半導体を焼成した基板を、前記一般式(1)〜(5)のいずれか1種の化合物を含む溶液に浸漬する時間は、半導体層(半導体膜)に前記化合物が深く進入して吸着等を充分に進行させ、半導体を十分に増感させ、且つ、溶液中のでの前記化合物の分解等により生成して分解物が化合物の吸着を妨害することを抑制する観点から、25℃条件下では、3時間〜48時間が好ましく、更に好ましくは、4時間〜24時間である。この効果は、特に、半導体膜が多孔質構造膜である場合において顕著である。但し、浸漬時間については、25℃条件での値であり、温度条件を変化させて場合には、上記の限りではない。
【0187】
浸漬しておくにあたり前記一般式(1)〜(5)のいずれか1種の化合物を含む溶液は、前記化合物が分解しないかぎりにおいて、沸騰しない温度にまで加熱して用いてもよい。好ましい温度範囲は10℃〜100℃であり、更に好ましくは25℃〜80℃であるが、前記のとおり溶媒が前記温度範囲で沸騰する場合はこの限りでない。
【0188】
《光電変換素子》
本発明の光電変換素子について、図1を用いて説明する。
【0189】
図1は、本発明の光電変換素子の構造の一例を示す部分断面図である。
1は導電性支持体、2は感光層、3は電荷移動層、4は対向電極を表す。尚、導電性支持体1と感光層2をあわせて半導体電極ともいう。
【0190】
ここで、感光層2は本発明の光電変換材料用半導体を有する層であり、電荷移動層3は通常、レドックス電解質が含有し、導電性支持体1、感光層2、対向電極4に接触した形態で用いられる。
【0191】
《光電変換素子の製造方法》
図1を用いながら、光電変換素子の製造方法を説明する。
【0192】
本発明の光電変換素子は、図1に示すような導電性支持体1上に、上記記載のようにプラズマ処理装置を用いて半導体薄膜を形成した後に、本発明に係る前記一般式(1)〜(5)で表されるいずれか1種の化合物を吸着させるという工程を経て製造される。
【0193】
また、半導体薄膜の表面積を増大させたり、半導体薄膜表面の不純物などを除去して、半導体の純度を高め、前記一般式(1)〜(5)で表されるいずれか1種の化合物から半導体への電子注入効率を高める目的で、例えば四塩化チタン水溶液を用いた化学メッキや三塩化チタン水溶液を用いた電気化学的メッキ処理を行ってもよい。
【0194】
導電性支持体1上に形成した半導体膜には上記記載の前記一般式(1)〜(5)で表されるいずれか1種の化合物を吸着させ、半導体膜を増感させて感光層2を形成する。増感処理方法は先に説明したとおり、前記化合物を適切な溶媒に溶解し、導電性支持体1上に形成された半導体膜をその溶液に浸漬することによって行われる。その際には半導体膜は、あらかじめ減圧処理したり加熱処理したりして膜中の気泡を除去し、前記一般式(1)〜(5)で表されるいずれか1種の化合物が半導体膜内部深くに進入できるようにしておくことが好ましい。
【0195】
本発明に係る半導体に、前記一般式(1)〜(5)で表されるいずれか1種の化合物を吸着させる際には、単独で用いてもよいし、複数を併用してもよい。さらに、従来公知の増感色素化合物(例えば、米国特許第4,684,537号、同第4,927,721号、同第5,084,365号、同第5,350,644号、同第5,463,057号、同第5,525,440号、特開平7−249790号、特開2000−150007号等に記載の化合物)とを混合して吸着させてもよい。
【0196】
特に、半導体の用途が太陽電池である場合、光電変換の波長域を広くして太陽光を可能な限り有効に利用できるように、二種類以上の色素を混合して用いることが好ましい。
【0197】
上記記載の前記一般式(1)〜(5)で表されるいずれか1種の化合物を複数種類併用して増感した光電変換材料用半導体は、併用する前記化合物を混合して調製した溶液に浸漬させて作製してもよいし、各々の化合物について溶液を調製し、各溶液に順に浸漬して作製することもできる。
【0198】
各化合物について別々の溶液を用意し、各溶液に順に浸漬して作製する場合は、半導体に前記化合物や従来公知の増感色素を吸着させる順番がどのような順番であっても本発明の効果を得ることができる。
【0199】
吸着処理は、前記化合物が溶解した溶液を常温で用いてもよいし、また、前記化合物に影響を与えない範囲の温度まで溶液を加熱して行っても良い。更に、吸着処理時に未吸着となった色素については溶媒等の洗浄処理により除去することが好ましい。
【0200】
導電性支持体1上に形成した半導体膜に色素を吸着させて感光層2を形成したら、該感光層2と向かい合うようにして対向電極4を配置する。さらに、半導体電極と対向電極4の間に電荷移動層であるレドックス電解質を注入して光電変換素子とする。
【0201】
《太陽電池》
本発明の太陽電池について説明する。
【0202】
本発明の太陽電池は、図1に示すような、本発明の光電変換素子の一態様として、太陽光に最適の設計並びに、回路設計が行われ、太陽光を光源として用いたときに最適な光電変換が行われるような構造を有する。即ち、光電変換材料用半導体に太陽光が照射されうる構造となっている。本発明の太陽電池を構成する際には、前記半導体電極、電荷移動層及び対向電極をケース内に収納して封止するか、あるいはそれら全体を樹脂封止することが好ましい。
【0203】
本発明の太陽電池に太陽光または太陽光と同等の電磁波を照射すると、光電変換材料用半導体に吸着された本発明の化合物は、照射された光もしくは電磁波を吸収して励起する。励起によって発生した電子は半導体に移動し、次いで導電性支持体1を経由して対向電極4に移動して、電荷移動層3のレドックス電解質を還元する。一方、半導体に電子を移動させた本発明の化合物は酸化体となっているが、対向電極4から電荷移動層3のレドックス電解質を経由して電子が供給されることにより、還元されて元の状態に戻り、同時に電荷移動層3のレドックス電解質は酸化されて、再び対向電極4から供給される電子により還元されうる状態に戻る。このようにして電子が流れ、本発明の光電変換素子を用いた太陽電池を構成することができる。
【0204】
《導電性支持体》
本発明の光電変換素子や本発明の太陽電池に用いられる導電性支持体には、金属板のような導電性材料や、ガラス板やプラスチックフイルムのような非導電性材料に導電性物質を設けた構造のものを用いることができる。導電性支持体に用いられる材料の例としては金属(例えば白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム)あるいは導電性金属酸化物(例えばインジウム−スズ複合酸化物、酸化スズにフッ素をドープしたもの)や炭素を挙げることができる。導電性支持体の厚さは特に制約されないが、0.3mm〜5mmが好ましい。
【0205】
また導電性支持体は実質的に透明であることが好ましく、実質的に透明であるとは光の透過率が10%以上であることを意味し、50%以上であることがさらに好ましく、80%以上であることが最も好ましい。透明な導電性支持体を得るためには、ガラス板またはプラスチックフイルムの表面に、導電性金属酸化物からなる導電性層を設けることが好ましい。透明な導電性支持体1を用いる場合、光は支持体側から入射させることが好ましい。
【0206】
導電性支持体は表面抵抗は、50Ω/cm2以下であることが好ましく、10Ω/cm2以下であることがさらに好ましい。
【0207】
《電荷移動層》
本発明に用いられる電荷移動層について説明する。
【0208】
電荷移動層にはレドックス電解質が好ましく用いられる。ここで、レドックス電解質としては、I−/I3−系や、Br−/Br3−系、キノン/ハイドロキノン系等が挙げられる。このようなレドックス電解質は、従来公知の方法によって得ることができ、例えば、I−/I3−系の電解質は、ヨウ素のアンモニウム塩とヨウ素を混合することによって得ることができる。電荷移動層はこれらレドックス電解質の分散物で構成され、それら分散物は溶液である場合に液体電解質、常温において固体である高分子中に分散させた場合に固体高分子電解質、ゲル状物質に分散された場合にゲル電解質と呼ばれる。電荷移動層として液体電解質が用いられる場合、その溶媒としては、電気化学的に不活性なものが用いられ、例えば、アセトニトリル、炭酸プロピレン、エチレンカーボネート等が用いられる。固体高分子電解質の例としては特開2001−160427記載の電解質が、ゲル電解質の例としては『表面科学』21巻、第5号288ページ〜293ページに記載の電解質が挙げられる。
【0209】
《対向電極》
本発明に用いられる対向電極について説明する。
【0210】
対向電極は、導電性を有するものであればよく、任意の導電性材料が用いられるが、I3−イオン等の酸化や他のレドックスイオンの還元反応を充分な速さで行わせる触媒能を持ったものの使用が好ましい。このようなものとしては、白金電極、導電材料表面に白金めっきや白金蒸着を施したもの、ロジウム金属、ルテニウム金属、酸化ルテニウム、カーボン等が挙げられる。
【0211】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0212】
実施例1
《光電変換素子1の作製》
下記に記載のようにして、図1に示すような光電変換素子を作製した。
【0213】
チタンテトライソプロポキシド(和光純薬社製一級)62.5mlを純水375ml中に室温下、激しく攪拌しながら10分間で滴下し(白色の析出物が生成する)、次いで70%硝酸水を2.65ml加えて反応系を80℃に加熱した後、8時間攪拌を続けた。さらに該反応混合物の体積が約200mlになるまで減圧下に濃縮した後、純水を125ml、酸化チタン粉末(昭和タイタニウム社製スーパータイタニアF−6)140gを加えて酸化チタン懸濁液(約800ml)を調製した。フッ素をドープした酸化スズをコートした透明導電性ガラス板上に該酸化チタン懸濁液を塗布し、自然乾燥の後300℃で60分間焼成して、支持体上に膜状の酸化チタンを形成した。
【0214】
ついで、メタノール溶液200ml中に、例示化合物II−1を5g溶解した溶液を調製し、上記膜状酸化チタン(光電変換材料用半導体層)を支持体ごと浸し、さらにトリフルオロ酢酸1gを加えて2時間超音波照射した。反応後膜状酸化チタン(光電変換材料用半導体層)をクロロホルムで洗浄し真空乾燥して、感光層2(光電変換材料用半導体)を作製した。
【0215】
対向電極4として、フッ素をドープした酸化スズをコートし、さらにその上に白金を担持した透明導電性ガラス板を用い、前記導電性支持体1と前記対向電極4との間に体積比が1:4であるアセトニトリル/炭酸エチレンの混合溶媒に、テトラプロピルアンモニウムアイオダイドと沃素とを、それぞれの濃度が0.46モル/リットル、0.06モル/リットルとなるように溶解したレドックス電解質を入れた電荷移動層3を作製して、光電変換素子1を作製した。
【0216】
《光電変換素子2〜24の作製》:本発明
光電変換素子1の作製において、例示化合物II−1を表1に記載の化合物に変更した以外は同様にして、光電変換素子2〜24を得た。
【0217】
《光電変換素子R1、R2の作製》:比較例
光電変換素子1の作製において、表1に記載の比較化合物R1、R2に変更した以外は同様にして、光電変換素子R1、R2を得た。
【0218】
【化31】
【0219】
《太陽電池SC−1〜SC−24の作製》:本発明
光電変換素子1〜24の各々の側面を樹脂で封入した後、リード線を取り付けて、本発明の太陽電池SC−1〜SC−24を各々3ロットずつ作製した。
【0220】
《太陽電池SC−R1、SC−R2の作製》:比較例
上記の太陽電池SC−1の作製において、比較の光電変換素子R1、R2を各々用いた以外は同様にして、太陽電池SC−R1、SC−R2を各々3ロットずつ作製した。
【0221】
《太陽電池の光電変換特性評価》
上記で得られた太陽電池SC−1〜SC−24、及び太陽電池SC−R1、SC−R2の各々にソーラーシミュレーター(JASCO(日本分光)製、低エネルギー分光感度測定装置CEP−25)により100mW/m2の強度の光を照射した時の短絡電流密度Jsc(mA/cm2)および開放電圧値Voc(V)を測定し表1に示した。示した値は、同じ構成および作製方法の太陽電池3つについての測定結果の平均値とした。
【0222】
【表1】
【0223】
表1より、比較に比べて、本発明の太陽電池は高い光電変換特性を示し、前記一般式(1)〜(5)で表されるいずれか1種の化合物を用いることが有効であることがわかる。また、且つ、本発明の太陽電池SC−1〜SC−24は、ソーラーシミュレーターによる100mW/m2の光照射100時間を経ても光電変換効率の低下が認められず、安定性に優れていることが明かになった。
【0224】
実施例2
《光電変換素子101〜116、R4の作製》
実施例1に記載の光電変換素子1の作製において、例示化合物II−1を表2に記載の化合物に変更した以外は同様にして、光電変換素子101〜116、R4を各々作製した。
【0225】
【化32】
【0226】
《太陽電池SC−101〜SC−116、SC−R4の作製》
実施例1に記載の太陽電池SC−1の作製において、光電変換素子1を表2に記載の光電変換素子を用いた以外は同様にして、太陽電池SC−101〜SC−116、SC−R4を各々、3ロットずつ作製した。
【0227】
《太陽電池の光電変換特性評価》
上記で得られた太陽電池SC−101〜SC−116、及び太陽電池SC−R4の各々にソーラーシミュレーター(JASCO(日本分光)製、低エネルギー分光感度測定装置CEP−25)により100mW/m2の強度の光を照射した時の短絡電流密度Jsc(mA/cm2)および開放電圧値Voc(V)を測定し表2に示した。示した値は、同じ構成および作製方法の太陽電池3つについての測定結果の平均値とした。
【0228】
【表2】
【0229】
表2より、比較に比べて、本発明の太陽電池は高い光電変換特性を示し、前記一般式(1)〜(5)で表されるいずれか1種の化合物を用いることが有効であることがわかる。また、且つ、本発明の太陽電池SC−101〜SC−116は、ソーラーシミュレーターによる100mW/m2の光照射100時間を経ても光電変換効率の低下が認められず、安定性に優れていることが明かになった。
【0230】
【発明の効果】
本発明により、高い光電変換効率と優れた安定性とを示す光電変換材料用半導体、光電変換素子及び太陽電池を提供することが出来た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光電変換素子の構造の一例を示す部分断面図である。
【符号の説明】
1 導電性支持体
2 感光層
3 電荷移動層
4 対向電極
【発明の属する技術分野】
本発明は、光電変換材料用半導体、光電変換素子及び太陽電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
光電変換材料とは、電極間の電気化学反応を利用して光エネルギを電気エネルギに変換する材料である。光電変換材料に光を照射すると、一方の電極側で電子が発生し、対電極に移動する。対電極に移動した電子は、電解質中をイオンとして移動して一方の電極にもどる。
【0003】
すなわち、光電変換材料は光エネルギを電気エネルギとして連続して取り出せる材料であり、たとえば、太陽電池などに利用されている。太陽電池にはいくつかの種類があるが、住居設置用発電パネル、卓上計算機、時計、携帯用ゲーム機等に実用化されているものの大部分はシリコン太陽電池である。
【0004】
しかし、最近になって色素増感型太陽電池が注目され、実用化を目指して研究されている。色素増感型太陽電池は古くから研究されており、その基本構造は、具体的には金属酸化物半導体及びそこに吸着した色素、電解質溶液及び対向電極を構成として有するものである。
【0005】
上記のような、従来の色素増感型太陽電池においては、光電変換材料は、半導体表面に可視光領域に吸収を持つ分光増感色素を吸着させたものが用いられている。例えば、金属酸化物半導体の表面に、遷移金属錯体などの分光増感色素層を有する太陽電池を記載しているもの(例えば、特許文献1参照。)、また、金属イオンでドープした酸化チタン半導体層の表面に、遷移金属錯体などの分光増感色素層を有する太陽電池を記載しているもの(例えば、特許文献2参照。)などが挙げられる。
【0006】
一方、光電変換能力を有する酸化物半導体電極としては、初期の頃は半導体の単結晶電極が用いられてきた。その種類としては、酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)等がある。
【0007】
しかし、単結晶電極は色素の吸着量が少ないため効率は非常に低く、コストが高いというデメリットがあった。そこで考え出されてきたのが、微粒子を焼結して形成された多数の細孔を有する高表面積半導体電極である。
【0008】
例えば、坪村らによって有機色素を吸着した多孔質酸化亜鉛電極が非常に性能が高いことが報告されている(例えば、非特許文献1参照。)。
【0009】
その後は、色素にも改良がされるようになり、Graetzelらはルテニウム錯体系色素を多孔質酸化チタン電極に吸着させることで、現在、シリコン太陽電池並みの性能を有するまでになっている(例えば、非特許文献2参照。)。
【0010】
しかし、シリコン太陽電池を代替する実用化のためには、今まで以上に高いエネルギ変換効率や、さらに高い短絡電流、開放電圧、形状因子が求められており、現在のところ、多孔質半導体電極で報告されている物質としてはZnO、TiO2、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化ニオブ(Nb2O5)等を用いての技術開発が行われている。
【0011】
また、色素増感型湿式太陽電池はシリコン太陽電池に比べ製造コストが非常に安いため、将来的には先述の種々の製品に用いられているシリコン太陽電池を代替する可能性があるが、その際には各々の製品に応じた太陽電池の特性が重要になる。太陽電池の特性には様々なものがあり中でも、下記に示す
1.短絡電流
2.開放電圧
3.形状因子
4.エネルギ変換効率
5.光吸収スペクトル
などが重要であるが、特に4.のエネルギ変換効率は太陽電池の最大の課題であり、その改良が強く望まれていた。その効率を左右する技術課題の一つとして、光励起された電子を効率的に半導体に移動する能力を有する増感色素が求められている。これまでに検討された種々の色素のうち、前記ルテニウム錯体系色素は比較的優れた特性を有することがわかっているが、色素が高価であること、および錯体の中心金属であるルテニウムが稀少元素であり将来にわたる安定的な供給に懸念がもたれることから、より安価で安定的に供給可能な有機色素がより好ましい。こうした要請からこれまでにも多くの有機色素が検討されているが、その光電変換効率は未だ充分なものではなく、さらに変換効率の高い光電変換素子を構成できる有機色素が待望されていた。
【0012】
ルテニウム錯体色素の他にもさまざまな色素についての検討が行われているが、よく知られているのはメロシアニン色素、キサンテン系色素、クマリン系色素、アクリジン系色素、フェニルメタン系色素等でアゾメチン色素については殆ど記載されていない。
【0013】
【特許文献1】
特開平1−220380号公報
【0014】
【特許文献2】
特表平5−504023号公報
【0015】
【非特許文献1】
Nature,261(1976)p402
【0016】
【非特許文献2】
J.Am.Chem.Soc.115(1993)6382
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の第一の目的は、高い光電変換効率と優れた安定性とを示す光電変換材料用半導体、光電変換素子及び太陽電池を提供することである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記の構成1〜9により達成された。
【0019】
1.前記一般式(1)で表される化合物を含むことを特徴とする光電変換材料用半導体。
【0020】
2.前記一般式(2)で表される化合物を含むことを特徴とする光電変換材料用半導体。
【0021】
3.前記一般式(3)で表される化合物を含むことを特徴とする光電変換材料用半導体。
【0022】
4.前記一般式(4)で表される化合物を含むことを特徴とする光電変換材料用半導体。
【0023】
5.下記一般式(5)で表される化合物を含むことを特徴とする光電変換材料用半導体。
【0024】
6.前記一般式(2)〜(4)において、R2、R7またはR7′が、N原子と5員または6員で水素結合可能な置換基であることを特徴とする前記2〜4のいずれか1項に記載の光電変換材料用半導体。
【0025】
7.前記光電変換材料用半導体が、金属酸化物半導体または金属硫化物半導体であることを特徴とする前記1〜6のいずれか1項に記載の光電変換材料用半導体。
【0026】
8.前記1〜7のいずれか1項に記載の光電変換材料用半導体が導電性支持体上に設けられていることを特徴とする光電変換素子。
【0027】
9.前記8に記載の光電変換素子、電荷移動層および対向電極とを有することを特徴とする太陽電池。
【0028】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明者等は上記の課題を解決するため鋭意検討を行った結果、請求項1〜5に各々記載されている、前記一般式(1)〜(5)で表されるような特定構造を有する化合物を用いて増感した光電変換材料用半導体により、本発明に記載の効果、すなわち、高い光電変換効率と優れた安定性とを示す光電変換材料用半導体を得ることに成功した。
【0029】
《光電変換材料用半導体》
本発明の光電変換材料用半導体に用いられる半導体としては、シリコン、ゲルマニウムのような単体、周期表(元素周期表ともいう)の第3族〜第5族、第13族〜第15族系の元素を有する化合物、金属のカルコゲニド(例えば酸化物、硫化物、セレン化物等)、金属窒化物等を使用することができる。
【0030】
好ましい金属のカルコゲニドとして、チタン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ、またはタンタルの酸化物、カドミウム、亜鉛、鉛、銀、アンチモンまたはビスマスの硫化物、カドミウムまたは鉛のセレン化物、カドミウムのテルル化物等が挙げられる。他の化合物半導体としては亜鉛、ガリウム、インジウム、カドミウム等のリン化物、ガリウム−ヒ素または銅−インジウムのセレン化物、銅−インジウムの硫化物、チタンの窒化物等が挙げられる。
【0031】
本発明の光電変換材料用半導体に係る半導体の具体例としては、TiO2、SnO2、Fe2O3、WO3、ZnO、Nb2O5、CdS、ZnS、PbS、Bi2S3、CdSe、CdTe、GaP、InP、GaAs、CuInS2、CuInSe2、Ti3N4等が挙げられるが、好ましく用いられるのは、TiO2、ZnO、SnO2、Fe2O3、WO3、Nb2O5、CdS、PbSであり、更に好ましく用いられるのは、TiO2またはNb2O5であるが、中でも、好ましく用いられるのはTiO2である。
【0032】
本発明の光電変換材料用半導体に用いる半導体は、上述した複数の半導体を併用して用いてもよい。例えば、上述した金属酸化物もしくは金属硫化物の数種類を併用することもできるし、また、酸化チタン半導体に20質量%の窒化チタン(Ti3N4)を混合して使用してもよい。また、J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,15(1999)記載の酸化亜鉛/酸化錫複合としてもよい。このとき、半導体として金属酸化物もしくは金属硫化物以外に成分を加える場合、追加成分の金属酸化物もしくは金属硫化物半導体に対する質量比は30%以下であることが好ましい。
【0033】
上記の光電変換材料用半導体を前記一般式(1)〜(5)で表されるいずれか1種の化合物により増感処理することにより、本発明に記載の目的のひとつである、高い光電変換効率と優れた安定性とを示す、本発明の光電変換材料用半導体を得ることが出来る。
【0034】
以下、前記一般式(1)〜(5)で各々表される化合物について説明する。
《一般式(1)で表される化合物》
本発明に係る前記一般式(1)表される化合物について説明する。
【0035】
一般式(1)において、Aで表わされる5員または6員環の芳香族炭素環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、インデン環、テトラリン環、アントラセン環、フェナントレン環等が挙げられる。
【0036】
一般式(1)において、Aで表わされる5員または6員環の複素環としては、芳香族複素環(例えば、フラン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、1,2,3−オキサジアゾール環、1,2,3−トリアゾール環、1,2,4−トリアゾール環、1,3,4−チアジアゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、s−トリアジン環、ベンゾフラン環、インドール環、ベンゾチオフェン環、ベンズイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、プリン環、キノリン環及びイソキノリン環等)や複素環(ピラン環、クロメン環、キサンテン環、カルバゾール環、β−カルボリン環、イソクロマン環、クロマン環、ピロリジン環、ピロリン環、イミダゾリジン環、イミダゾリン環、ピラゾリジン環、ピラゾリン環、ピペリジン環、ピペラジン環、インドリン環、イソインドリン環、キヌクリジン環、モルホリン環等)が挙げられる。
【0037】
上記の芳香族炭素環、複素環は、単環でも、縮合環でもよく、また、更に置換基を有していてもよい。
【0038】
一般式(1)において、Qは、前記一般式(1)で表される化合物に可視域または近赤外域に吸収能を付与可能な原子団(部分構造ともいう)を表わし、更に、該Qは、少なくとも1つのカルボキシル基を置換基として有する。
【0039】
また、上記一般式(1)で表される化合物そのもののほかに、該化合物から誘導されるイオンおよび塩を含む。例えば、一般式(1)で表される化合物が分子構造中にスルホ基を有している場合には、該化合物の他にスルホ基が解離して生じる陰イオンおよび該陰イオンと対陽イオンとで形成される塩を含む。
【0040】
このような塩としてはナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等の金属イオンと形成した塩であってもよいし、ピリジン、ピペリジン、トリエチルアミン、アニリン、ジアザビシクロウンデセン等の有機塩基と形成した塩であってもよい。分子内に塩基性基を有する化合物の場合も同様に該化合物がプロトン化されて生成する陽イオン、および塩酸塩、硫酸塩、酢酸塩、メチルスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩などの、酸と形成した分子内塩である場合も含まれる。
【0041】
《一般式(2)で表される化合物》
一般式(2)中、R1は、−NR4R5またはヒドロキシル基を表わし、R4、R5は、各々独立に水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、アリール基または複素環基を表わす。
【0042】
R4、R5で各々表されるアルキル基としては、直鎖でも分岐でもよい炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、エイコシル基、2−クロロエチル基、2−シアノエチル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられる。
【0043】
R4、R5で各々表されるシクロアルキル基としては、炭素数3〜30の置換または無置換のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基等が挙げられる。
【0044】
R4、R5で各々表されるビシクロアルキル基としては、炭素数5〜30の置換または無置換のビシクロアルキル基が好ましい。ここで、本発明に係るビシクロアルキル基とは、炭素数5〜30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基であり、具体的には、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル基、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル基等が挙げられる。
【0045】
また、R4、R5で各々表されるアルキル基、シクロアルキル基、ビシクロアルキル基は、トリシクロアルキル基を形成してもよい。
【0046】
R4、R5で各々表されるアリール基としては、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリール基が好ましく、例えばフェニル基、p−トリル基、ナフチル基、m−クロロフェニル基、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル基等が挙げられる。
【0047】
R4、R5で各々表される複素環基としては、例えば、ピリジル基、チアゾリル基、2−ベンゾチアゾリル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基、2−フリル基、2−チエニル基、ピロリル基、ピラジニル基、2−ピリミジニル基、ピリダジニル基、セレナゾリル基、スルホラニル基、ピペリジニル基、ピラゾリル基、テトラゾリル基等が挙げられる。
【0048】
一般式(2)において、R1は、好ましくは−NR4R5であり、R4、R5で表される基としては、各々水素原子、前記アルキル基またはアリール基であることが好ましく、更に好ましくは、水素原子またはアルキル基であり、特に好ましくは、炭素原子数が1〜18のアルキル基である。
【0049】
一般式(2)において、R4、R5で、各々表されるアルキル基、シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、アリール基、複素環基は、更に置換基を有していてもよく、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、ビシクロアルキル基(例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル基、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基、プレニル基、オクテニル基等)、シクロアルケニル基(例えば、例えば、2−シクロペンテン−1−イル基、2−シクロヘキセン−1−イル基等)、ビシクロアルケニル基(例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル基、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル基等)、アルキニル基(例えば、プロパルギル基、エチニル基、トリメチルシリルエチニル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基、p−トリル基、m−クロロフェニル基、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル基等)、複素環基(例えば、ピリジル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基、フリル基、ピロリル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、セレナゾリル基、スルホラニル基、ピペリジニル基、ピラゾリル基、テトラゾリル基等)、複素環オキシ基(例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ基、2−テトラヒドロピラニルオキシ基、ピリジルオキシ基、チアゾリルオキシ基、オキサゾリルオキシ基、イミダゾリルオキシ基等)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、フッ素原子等)、アルコキシル基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、シクロアルコキシル基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−tert−ブチルフェノキシ基、3−ニトロフェノキシ基、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、ドデシルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、複素環チオ基(例えば、ピリジルチオ基、チアゾリルチオ基、オキサゾリルチオ基、イミダゾリルチオ基、フリルチオ基、ピロリルチオ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基、ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、アシル基(例えば、アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2−エチルヘキシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(例えば、ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、ホルミルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ基等)、アミド基(例えば、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、アルキルスルフィニル基またはアリールスルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、ブチルスルフィニル基、シクロヘキシルスルフィニル基、2−エチルヘキシルスルフィニル基、ドデシルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、ナフチルスルフィニル基、2−ピリジルスルフィニル基等)、アルキルスルホニル基またはアリールスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2−ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(例えば、アミノ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、N−メチルアニリノ基、ジフェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、シリルオキシ基(例えば、トリメチルシリルオキシ基、tert−ブチルジメチルシリルオキシ基等)、アミノカルボニルオキシ基(例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ基、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ基、モルホリノカルボニルオキシ基、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ基、N−n−オクチルカルバモイルオキシ基等)、アルコキシカルボニルオキシ基(例えば、メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、tert−ブトキシカルボニルオキシ基、n−オクチルカルボニルオキシ基等)、アリールオキシカルボニルオキシ基(例えば、フェノキシカルボニルオキシ基、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ基、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ基等)、アルコキシカルボニルアミノ基(例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、tert−ブトキシカルボニルアミノ基、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ基、N−メチル−メトキシカルボニルアミノ基等)、アリールオキシカルボニルアミノ基(例えば、フェノキシカルボニルアミノ基、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ基、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ基等)、スルファモイルアミノ基(例えば、スルファモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ基、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ基等)、メルカプト基、アリールアゾ基(例えば、フェニルアゾ基、ナフチルアゾ基、p−クロロフェニルアゾ基、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ基等)、複素環アゾ基(例えば、ピリジルアゾ基、チアゾリルアゾ基、オキサゾリルアゾ基、イミダゾリルアゾ基、フリルアゾ基、ピロリルアゾ基)、イミノ基(例えば、N−スクシンイミド−1−イル基、N−フタルイミド−1−イル基等)、ホスフィノ基(例えば、ジメチルホスフィノ基、ジフェニルホスフィノ基、メチルフェノキシホスフィノ基等)、ホスフィニル基(例えば、ホスフィニル基、ジオクチルオキシホスフィニル基、ジエトキシホスフィニル基等)、ホスフィニルオキシ基(例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ基、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ基等)、ホスフィニルアミノ基(例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ基、ジメチルアミノホスフィニルアミノ基等)、シリル基(例えば、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、フェニルジメチルシリル基等)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、スルホ基、カルボキシル基等が挙げられる。
【0050】
前記一般式(2)において、B1は=C(R6)−または=N−を表わすが、好ましくは、B1が=C(R6)−となる場合である。
【0051】
前記一般式(2)において、R2、R3、R6およびR7は、各々独立に水素原子または置換基を表わす。前記置換基は、炭素数1〜30の置換基であるのが好ましく、具体例としては、前記R4、R5で各々表わされる基の置換基として挙げたものと同義である。
【0052】
中でも、R2としては、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、アルコキシル基、アシルアミノ基、ウレイド基が好ましく、更に好ましくは水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、アルコキシル基である。更に、R2またはR7で表される基の少なくとも1つは、窒素原子と5員または6員の水素結合を形成可能な置換基である事が好ましく、そのような置換基としては、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、ウレイド基、スルファモイルアミノ、基、ホスホニルアミド基等が好ましく、更に好ましくはヒドロキシル基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基である。
【0053】
前記一般式(2)において、R3、R6としては、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、アルコキシル基、アシルアミノ基、ウレイド基が好ましく、更に好ましくは、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基であり、特に好ましくは、水素原子である。
【0054】
尚、R2とR3、R3とR4、R4とR5、R5とR6およびR6とR7は互いに結合して環を形成してもよい。
【0055】
前記一般式(2)において、Qは一般式(2)で表される化合物に可視域または近赤外域に吸収能を付与可能な原子団(部分構造ともいう)を表すが、前記Qとしては、下記一般式(Cp−1)〜下記一般式(Cp−28)で表される原子団(部分構造)が好ましく用いられる。
【0056】
ここで、(Cp−1)〜(Cp−28)で表される原子団は、*印の位置で、前記一般式(2)のQ以外の部分と結合している。また、本発明に係るQは、これらによって限定されない。
【0057】
【化6】
【0058】
【化7】
【0059】
以下に、上記一般式(Cp−1)〜(Cp−28)で表される化合物について詳しく説明する。
【0060】
《一般式(Cp−1)》
一般式(Cp−1)において、R51は、アルキル基、アリール基、複素環基、またはアルコキシル基を表し、R52は、カルバモイル基またはシアノ基を表す。
【0061】
ここで、R51で表される、アルキル基、アリール基、複素環基は、各々、上記一般式(2)において、R4、R5で各々表される基と同義である。
【0062】
式中、R51で表される基としては、好ましくは、tert−ブチル基、1−エチルシクロプロピル基、1−メチルシクロプロピル基、1−ベンジルシクロプロピル基、フェニル基、インドリニン−1−イル基、インドール−3−イル基であり、R52で表される基としては、好ましくは、N−アリールカルバモイル基、シアノ基である。
【0063】
《一般式(Cp−2)》
一般式(Cp−2)において、R53はアリール基または複素環基を表し、R52は、前記一般式(Cp−1)におけるR52と同義である。
【0064】
式中、R53で表される基としては、フェニル基、複素環基が好ましく、特に好ましくは複素環基である。また、前記複素環基の具体例としては、チアゾール−2−イル基、ベンゾチアゾール−2−イル基、オキサゾール−2−イル基、ベンゾオキサゾール−2−イル基、1,2,4−オキサジアゾール−3(または5)−イル基、1,3,4−オキサジアゾール−2(または5)−イル基、1,2,4−チアジアゾール−3(または5)−イル基、1,3,4−チアジアゾール−2(または5)−イル基、ピラゾール−3−イル基、インダゾール−3−イル基、1,2,4−トリアゾール−3−イル基、2−ピリジル基、2−ピリミジニル基、2−ピラジニル基、キナゾリン−2−イル基、キナゾリン−4−イル基等が挙げられる。R52はシアノ基を表す。
【0065】
《一般式(Cp−3)》
一般式(Cp−3)において、R61は、アルキル基、アリール基、複素環基、アシルアミノ基、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ウレイド基またはアルコキシカルボニルアミノ基を表す。R62はアルキル基、アリール基または複素環基を表す。
【0066】
ここで、前記R61、R62で各々表される基は、上記一般式(2)において、R4、R5で各々表される基と同義である。
【0067】
式中、R61で表される基としては、好ましくは、アルキル基、アシルアミノ基、アミノ基、ウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基等が挙げられ、更に好ましくは、アシルアミノ基、アニリノ基である。
【0068】
式中、R62で表される基としては、好ましくは、アリール基、複素環基が挙げられるが、更に好ましくはアリール基である。
【0069】
《一般式(Cp−4)、一般式(Cp−5)》
一般式(Cp−4)、(Cp−5)において、R63、R64は各々、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、複素環基、アシルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシル基、アリールオキシ基、ウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、カルバモイル基、カルボキシル基またはアルコキシカルボニル基を表す。
【0070】
ここで、前記R63、R64で各々表される基は、上記一般式(2)において、R4、R5で各々表される基と同義である。
【0071】
式中、R63で表される基としては、好ましくは、アルキル基、カルボキシル基、アルコキシル基、カルバモイル基が挙げられるが、更に好ましくは、メチル基、tert−ブチル基、カルボキシル基である。
【0072】
式中、R64で表される基としては、好ましくは、アルキル基、アルケニル基、アリール基である。
【0073】
《一般式(Cp−6)、一般式(Cp−7)》
一般式(Cp−6)、(Cp−7)において、R63は、前記一般式(Cp−4)、(Cp−5)に記載のR63と同義である。
【0074】
R65、R66およびR67は、各々、水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、アシルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシル基、アリールオキシ基、ウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基またはカルバモイル基を表す。
【0075】
ここで、前記R65、R66およびR67で各々表される基は、上記一般式(2)において、R4、R5で各々表される基と同義である。
【0076】
式中、R65で表される基としては、好ましくは、アルキル基、アリール基、アルコキシル基、アリールオキシ基等が挙げられ、R65、R66、R67で、各々表される基としては、好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基が挙げられる。
【0077】
《一般式(Cp−8)》
一般式(Cp−8)において、R68およびR69は各々、水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、アシルアミノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニルアミノ基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシル基、アリールオキシ基、ウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、カルボキシル基、アシル基、アルコキシカルボニル基またはカルバモイル基を表す。
【0078】
ここで、前記R68、R69で各々表される基は、上記一般式(2)において、R4、R5で各々表される基と同義である。
【0079】
式中、R68、R69で表される基としては、好ましくは、各々水素原子、アルキル基、アリール基等が挙げられる。
【0080】
《一般式(Cp−9)、(Cp−10)、(Cp−11)、(Cp−12)》
一般式(Cp−9)、(Cp−10)、(Cp−11)、(Cp−12)において、R71は、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、複素環基、シリル基、アシルアミノ基、アルキルスルホニル基アミノ基、アリールスルホニルアミノ基、アミノ基、ウレイド基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシル基、カルボキシル基またはアルコキシカルボニルアミノ基を表し、R72およびR73は各々、水素原子またはアルキル基を表し、aは0ないし3のいずれかの整数を表し、bは0ないし2のいずれかの整数を表し、cは0ないし4のいずれかの整数を表す。a、b、またはcが複数のとき複数個のR71は同一であっても、異なっていてもよい。
【0081】
ここで、前記R70、R71、R72、R73で各々表される基は、上記一般式(2)において、R4、R5で各々表される基と同義である。
【0082】
式中、R70で表される基としては、好ましくは、アルキル基、アリール基であり、R71で表される基としては、好ましくは、ハロゲン原子、アルキル基、アシルアミノ基、カルバモイル基、カルボキシル基等が挙げられ、R72、R73で各々表される基としては、水素原子、メチル基、エチル基等が挙げられる。また、好ましくは、aは1または2を表し、bは1または2を表し、cは0ないし2の整数を表す。
【0083】
《一般式(Cp−13)》
一般式(Cp−13)において、R74はカルバモイル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルファモイル基、アシルアミノ基、ウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基またはアルキルもしくはアリールスルホニルアミノ基を表し、R75はハロゲン原子、アルキル基、アリール基、複素環基、アシルアミノ基、アルキルもしくはアリールスルホニルアミノ基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシル基、アリールオキシ基、カルボキシル基、ウレイド基またはアルコキシカルボニルアミノ基を表し、dは0ないし4のいずれかの整数を表す。dが複数のとき、複数個のR75は同一であっても異なっていてもよい。
【0084】
ここで、前記R74、R75で各々表される基は、上記一般式(2)において、R4、R5で各々表される基と同義である。
【0085】
式中、R74で表される基としては、好ましくは、カルバモイル基、スルファモイル基、アシルアミノ基であり、R75で表される基としては、好ましくは、アシルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、ウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基であり、dは0または1である。
【0086】
《一般式(Cp−14)》
一般式(Cp−14)において、R75およびdは、前記一般式(Cp−13)におけるR75、dと同義である。R78、R79は、各々前記一般式(Cp−13)におけるR75と同義である。R76、R77は、各々シアノ基、スルファモイル基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基またはカルバモイル基を表す。
【0087】
ここで、R76、R77で各々表される基は、上記一般式(2)において、R4、R5で各々表される基と同義である。
【0088】
式中、R75で表される基としては、好ましくは、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基であり、dは、好ましくは、0〜2のいずれかの整数である。R78、R79で、各々表される基としては、好ましくは、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基であり、R76、R77で、各々表される基としては、好ましくはシアノ基である。
【0089】
《一般式(Cp−15)》
一般式(Cp−15)において、R75、dは、各々、前記一般式(Cp−13)におけるR75、dと同義である。R80、R81は、各々シアノ基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基またはカルバモイル基を表す。
【0090】
ここで、R80、R81で各々表される基は、上記一般式(2)において、R4、R5で各々表される基と同義である。
【0091】
式中、R75で表される基としては、好ましくは、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基であり、dは、好ましくは、0〜2のいずれかの整数である。また、R80、R81で表される基としては、好ましくは、シアノ基である。
【0092】
《一般式(Cp−16)》
一般式(Cp−16)において、R82、R83、R84は各々、水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、アシルアミノ基、アルキルもしくはアリールスルホニルアミノ基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシル基、アリールオキシ基、ウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基またはカルバモイル基を表す。
【0093】
ここで、R82、R83、R84で各々表される基は、上記一般式(2)において、R4、R5で各々表される基と同義である。
【0094】
《一般式(Cp−17)》
一般式(Cp−17)において、R85、R86は、各々、水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、アシルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシル基、アリールオキシ基、ウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基またはカルバモイル基を表す。
【0095】
ここで、R85、R86で各々表される基は、上記一般式(2)において、R4、R5で各々表される基と同義である。
【0096】
式中、R85、R86で各々表される基としては、好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、アシルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基等が挙げられる。
【0097】
《一般式(Cp−18)、(Cp−19)、(Cp−20)》
一般式(Cp−18)〜(Cp−20)において、R87、R88は、各々水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基またはニトロ基を表し、R89、R90は各々水素原子、アルキル基、アリール基または複素環基を表す。
【0098】
ここで、R87、R88、R89、R90で、各々表される基は、上記一般式(2)において、R4、R5で各々表される基と同義である。
【0099】
式中、R87で表される基としては、好ましくは、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基等がであり、更に好ましくは、シアノ基である。R88で表される基としては、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基等であり、更に好ましくは、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基等である。R89、R90で、各々表される基としては、好ましくは、アルキル基、アリール基等であり、更に好ましくは、アリール基である。
【0100】
《一般式(Cp−21)〜(Cp−26)》
一般式(Cp−21)〜(Cp−26)において、R91、R92は、各々アルキル基、アリール基、複素環基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、シアノ基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基またはニトロ基を表し、R93、R94、R95は、各々水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、アシルアミノ基、ウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルもしくはアリールスルホニルアミノ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシル基またはアリールオキシ基を表す。
【0101】
ここで、R91、R92、R93、R94、R95で各々表される基は、上記一般式(2)において、R4、R5で各々表される基と同義である。
【0102】
式中、R91で表される基としては、好ましくは、アリール基、複素環基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基等であり、R92で表される基としては、好ましくは、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、スルファモイル基ま、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基等であり、R93、R94、R95で各々表される基としては、好ましくは、水素原子、アルキル基、アシルアミノ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基等が挙げられる。
【0103】
《一般式(Cp−27)》
一般式(Cp−27)において、R97、R98、R99は、各々、水素原子、シアノ基、スルファモイル基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基またはカルバモイル基を表し、R96は、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシル基またはアリールオキシ基を表す。
【0104】
ここで、R96、R97、R98、R99で各々表される基は、上記一般式(2)において、R4、R5で各々表される基と同義である。
【0105】
式中、R97、R98、R99で各々表される基としては、水素原子、シアノ基等であり、R96で表される基としては、N−アリールアミノ基である。
【0106】
《一般式(Cp−28)》
一般式(Cp−28)において、R100、R101は、各々、水素原子、パーフルオロアルキル基、シアノ基、ニトロ基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルチオ基またはアリールチオ基を表し、R102は、アルキル基、アリール基、複素環基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基またはカルバモイル基を表す。
【0107】
ここで、R100、R101、R102で各々表される基は、上記一般式(2)において、R4、R5で各々表される基と同義である。
【0108】
式中、R100、R101で各々表される基としては、好ましくは、水素原子、パーフルオロアルキル基、シアノ基、ニトロ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルチオ基、アリールチオ基等が挙げられ、R102で表される基としては、好ましくは、アリール基、複素環基等である。
【0109】
本発明に係るQとしては、上記一般式(Cp−1)〜(Cp−28)で表される基の中でも、一般式(Cp−1)、(Cp−2)、(Cp−3)、(Cp−4)、(Cp−5)、(Cp−9)、(Cp−11)、(Cp−12)、(Cp−13)、(Cp−18)、(Cp−21)、(Cp−22)、(Cp−23)が好ましい。
【0110】
《一般式(3)で表される化合物》
一般式(3)中、R1、R2、R3、B1、Qで各々表される基は、前記一般式(2)において、R1、R2、R3、B1、Qで各々表される基と同義である。
また、一般式(3)においても、Qで表される基としては、前記一般式(Cp−1)〜(Cp−28)で表される基が好ましい。
【0111】
《一般式(4)で表される化合物》
一般式(4)中、Qは、前記一般式(2)に記載のQと同義であり、更に、前記(Cp−1)〜(Cp−28)で表される基が好ましい。R8、R9は、各々、前記一般式(2)に記載のR4、R5と同義であるが、中でも、炭素原子数が1〜18のアルキル基が最も好ましい。B3は、前記一般式(2)におけるB1と同義である。R7は、前記一般式(2)に記載のR7と同義である。
【0112】
《一般式(5)で表される化合物》
一般式(5)中、Qは、前記一般式(2)に記載のQと同義であり、更に、前記(Cp−1)〜(Cp−28)で表される基が好ましい。R8、R9は、各々、前記一般式(2)に記載のR4、R5と同義であるが、中でも、炭素原子数が1〜18のアルキル基が最も好ましい。B3は、前記一般式(2)におけるB1と同義である。
【0113】
本発明に係る、前記一般式(1)〜(5)で各々表される化合物において、特に好ましく用いられるのは、前記一般式(2)または前記一般式(3)で表される化合物であり、中でも、Qとして、前記一般式(Cp−3)を有するピラゾロンアゾメチン化合物、前記一般式(Cp−4)または(Cp−5)を有するピラゾロアゾールアゾメチン化合物や、前記一般式(Cp−9)または(Cp−13)を有するインドアニリン化合物、前記一般式(Cp−18)を有するピロロトリアゾールアゾメチン化合物が好ましい。
【0114】
以下に、本発明に係る前記一般式(1)、(2)、(3)、(4)または(5)で表される化合物の具体例を示すが、本発明は、これらに限定されない。
【0115】
【化8】
【0116】
【化9】
【0117】
【化10】
【0118】
【化11】
【0119】
【化12】
【0120】
【化13】
【0121】
【化14】
【0122】
【化15】
【0123】
【化16】
【0124】
【化17】
【0125】
【化18】
【0126】
【化19】
【0127】
【化20】
【0128】
【化21】
【0129】
【化22】
【0130】
【化23】
【0131】
【化24】
【0132】
【化25】
【0133】
【化26】
【0134】
【化27】
【0135】
本発明に係る前記一般式(1)、(2)、(3)、(4)または(5)で表される化合物は、例えば、特開平10−193807号公報、同11−78258号公報、特開2001−92091号公報等に記載された従来公知の方法を参考にして合成することができる。
【0136】
以下に具体的に合成法の一例を示すが、その他の化合物も同様にして合成することが可能であり、合成法としては、これらに限定されない。
【0137】
《例示化合物II−32の合成》
以下に記載の合成ルートに従い、例示化合物II−32を合成した。
【0138】
【化28】
【0139】
(a)中間体1の合成
特開2001−92091号公報記載の化合物(m−アセチルアミノアニリン)8.0gに炭酸水素ナトリウム17.9g、水50ml及びエチルブロマイド:13.9gを加え、80℃〜90℃で8時間加熱攪拌する。反応終了後、酢酸エチルで抽出し、分液後、中和、水洗し溶媒を減圧で留去した後カラムクロマトグラフィーにより精製して8.79gのオイルを得た。MASS(質量分析)、1H−NMR(核磁気共鳴スペクトル)、IR(赤外吸収スペクトル)によって同定し、中間体1であることを確認した。
【0140】
(b)中間体2の合成
中間体1:8.65gに氷水40ml及び濃塩酸:17.7mlを加え攪拌し、20℃以下で亜硝酸ナトリウム3.1gを水10mlに溶解した水溶液を加え1時間反応する。更に10%水酸化ナトリウム水溶液を加えpH〜8にして1時間攪拌する。反応終了後酢酸エチルで抽出、水洗し、溶媒を減圧で留去した後カラムクロマトグラフィーにより精製し11.0gのオイルを得た。これにメタノール150mlを加え溶解し、5%パラジウム炭素3.4gを加えて接触水素還元した。規定量の水素を吸収した後、パラジウム炭素を濾別し、濾液の溶媒を減圧で留去した。8.16gの乳白色結晶を得た。MASS(質量分析)、1H−NMR(核磁気共鳴スペクトル)、IR(赤外吸収スペクトル)によって同定し、中間体2であることを確認した。
【0141】
(c)例示化合物II−32の合成
5.12gの中間体3に、120mlのメタノールと21.2mlのトリエチルアミンを加え撹拌溶解させる。次に、13.0gの過硫酸アンモニウムを水20mlに溶解したものを加え、更に、4.64gの中間体2を水20ml、メタノール20mlに溶解したものを20分かけて撹拌しながら滴下する。滴下終了後、1時間室温で撹拌した後、ろ過して析出する無機塩をろ過し、メタノールで洗浄する。ろ液を濃縮後、酢酸エチル:200mlに溶解し1モル/リットルの塩酸を加えpHを1に調整し、分液した後、中和、水洗し濃縮する。濃縮物をカラムクロマトグラフィーにて精製後、アセトニトリルから再結晶し、例示化合物II−32を6.88g得た。
【0142】
得られた化合物をMASS(質量分析)、1H−NMR(核磁気共鳴スペクトル)、IR(赤外吸収スペクトル)によって同定し、目的物であることを確認した。
【0143】
《例示化合物II−66の合成》
以下に記載の合成ルートに従い、例示化合物II−66を合成した。
【0144】
【化29】
【0145】
5.18gの中間体4にメタノール120mlとトリエチルアミン21.2mlを加え撹拌溶解させる。次に過硫酸アンモニウム13.0gを水20mlに溶解したものを加え、更に、3.48gの中間体5を水20ml、メタノール20mlに溶解したものを20分かけて撹拌しながら滴下する。滴下終了後、1時間室温で撹拌した後、ろ過して析出する無機塩と目的物をろ過し、水で洗浄する。
【0146】
ろ過物を、酢酸エチル:200mlに溶解し1モル/リットルを加え、pHを1に調整し、分液した後、中和、水洗し濃縮する。濃縮物をアセトニトリルから再結晶して例示化合物II−66を6.24gを得た。
【0147】
得られた化合物をMASS(質量分析)、1H−NMR(核磁気共鳴スペクトル)、IR(赤外吸収スペクトル)によって同定し、目的物であることを確認した。
【0148】
《例示化合物III−2の合成》
以下に記載の合成ルートに従い、例示化合物III−2を合成した。
【0149】
【化30】
【0150】
5.68gの中間体6にメタノール150mlとトリエチルアミン21.2mlを加え撹拌溶解させる。次に過硫酸アンモニウム15.6gを水25mlに溶解したものを加え、更に、5.87gの中間体7を水25ml、メタノール25mlに溶解したものを20分かけて撹拌しながら滴下する。滴下終了後、1時間室温で撹拌した後、ろ過して析出する無機塩をろ過し、メタノールで洗浄する。
【0151】
ろ液を濃縮後、酢酸エチル250mlに溶解し1モル/リットルを加えpHを1に調整し、分液した後、中和、水洗し濃縮する。
【0152】
濃縮物をカラムクロマトグラフィーにて精製し、アセトニトリルから再結晶し、7.98gの例示化合物III−2を得た。
【0153】
得られた化合物は、MASS(質量分析)、1H−NMR(核磁気共鳴スペクトル)、IR(赤外吸収スペクトル)によって同定し、目的物であることを確認した。
【0154】
《光電変換材料用半導体の増感処理》
本発明の光電変換材料用半導体は、前記一般式(1)〜(5)で表されるいずれか1種の化合物を含むことにより増感し、本発明に記載の効果を奏することが可能となる。ここで、該化合物を含むとは、半導体表面への吸着、半導体が多孔質などのポーラスな構造を有する場合には、半導体の多孔質構造に前記化合物が入りこむ等の種々の態様が挙げられる。また、半導体層(半導体でもよい)1m2あたりの前記一般式(1)〜(5)で表されるいずれか1種の化合物の総含有量は0.01ミリモル〜100ミリモルの範囲が好ましく、更に好ましくは0.1ミリモル〜50ミリモル、特に好ましくは、0.5ミリモル〜20ミリモルである。
【0155】
本発明に係る前記一般式(1)〜(5)で表されるいずれか1種の化合物を用いて増感処理を行う場合、前記化合物を単独で用いてもよいし、複数を併用することも、本発明に係る前記一般式(1)〜(5)で表されるいずれか1種の化合物と他の化合物(例えば米国特許第4,684,537号明細書、同第4,927,721号明細書、同第5,084,365号明細書、同第5,350,644号明細書、同第5,463,057号明細書、同第5,525,440号明細書等の各明細書、特開平7−249790号公報、特開2000−150007号公報等に記載の化合物)とを混合して用いることもできる。
【0156】
特に、本発明の光電変換材料用半導体の用途が、後述する太陽電池である場合には、光電変換の波長域をできるだけ広くして太陽光を有効に利用できるように、吸収波長の異なる二種類以上の色素を混合して用いることが好ましい。
【0157】
半導体に、前記一般式(1)〜(5)で表されるいずれか1種の化合物を含ませるには、前記化合物を適切な溶媒(エタノールなど)に溶解し、その溶液中によく乾燥した半導体を長時間浸漬する方法が一般的である。
【0158】
前記一般式(1)〜(5)で表されるいずれか1種の化合物を複数種類併用したり、その他の増感色素化合物とを併用した光電変換材料用半導体を作製する際には、各々の化合物の混合溶液を調製して用いてもよいし、それぞれの化合物について溶液を用意して、各溶液に順に浸漬して作製することもできる。各化合物について別々の溶液を用意し、各溶液に順に浸漬して作製する場合は、半導体に前記化合物や増感色素等を含ませる順序がどのようであっても本発明に記載の効果を得ることができる。また、前記化合物を単独で吸着させた半導体微粒子を混合する等することにより作製してもよい。
【0159】
吸着処理は半導体が粒子状の時に行ってもよいし、支持体上に膜を形成した後に行ってもよい。吸着処理に用いる化合物を溶解した溶液は、それを常温で用いてもよいし、該化合物が分解せず溶液が沸騰しない温度範囲で加熱して用いてもよい。また、後述する光電変換素子の製造のように、半導体微粒子の塗布後(感光層の形成後)に、前記化合物の吸着を実施してもよい。また、半導体微粒子と本発明の前記化合物とを同時に塗布することにより、前記化合物の吸着を実施してもよい。また、未吸着の化合物は洗浄によって除去することが出来る。
【0160】
また、本発明の光電変換材料用半導体の増感処理については、半導体を、前記一般式(1)〜(5)で表されるいずれか1種の化合物を含むことにより増感処理が行われるが、増感処理の詳細については、後述する光電変換素子のところで具体的に説明する。
【0161】
また、空隙率の高い半導体薄膜を有する光電変換材料用半導体の場合には、空隙に水分、水蒸気などにより水が半導体薄膜上、並びに半導体薄膜内部の空隙に吸着する前に、前記化合物や増感色素化合物等の吸着処理(光電変換材料用半導体の増感処理)を完了することが好ましい。
【0162】
本発明の光電変換材料用半導体は、有機塩基を用いて表面処理してもよい。前記有機塩基としては、ジアリールアミン、トリアリールアミン、ピリジン、4−t−ブチルピリジン、ポリビニルピリジン、キノリン、ピペリジン、アミジン等が挙げられるが、中でも、ピリジン、4−t−ブチルピリジン、ポリビニルピリジンが好ましい。
【0163】
上記の有機塩基が液体の場合はそのまま、固体の場合は有機溶媒に溶解した溶液を準備し、本発明の光電変換材料用半導体を液体アミンまたはアミン溶液に浸漬することで、表面処理を実施できる。
【0164】
また、本発明に係る前記一般式(1)〜(5)で表されるいずれか1種の化合物と併用して用いることの出来る色素としては、本発明に係る半導体を分光増感しうるものならばいずれの色素も用いることができる。光電変換の波長域をできるだけ広くし、かつ変換効率を上げるため、二種類以上の色素を混合することが好ましい。また、目的とする光源の波長域と強度分布に合わせるように、混合する色素とその割合を選ぶことができる。
【0165】
本発明に係る色素の中では、光電子移動反応活性、光耐久性、光化学的安定性等の総合的な観点から、金属錯体色素、フタロシアニン系色素、ポルフィリン系色素、ポリメチン系色素が好ましく用いられる。
【0166】
金属錯体色素の中では、特開2001−223037号、同2001−226607号、米国特許第4,927,721号、同第4,684,537号、同第5,084,365号、同第5,350,644号、同第5,463,057号、同第5,525,440号、特開平7−249750号、特表平10−504512号、世界特許989/50393号等に記載のルテニウム錯体色素が好ましく用いられる。
【0167】
ポルフィリン系色素、フタロシアニン系色素としては、特開2001−223037号に記載の色素が好ましい色素としてあげられる。
【0168】
ポリメチン系色素としては、従来公知のメチン系色素、特開平11−35836号公報、同11−158395号公報、同11−163378号公報、同11−214730号公報、同11−214731号公報、同10−93118号公報、同11−273754号公報、特開2000−106224号公報、同2000−357809号公報、同2001−52766号公報、欧州特許第892,411号、同911,841号等に記載のものが挙げられる。
【0169】
《光電変換材料用半導体の作製方法》
本発明の光電変換材料用半導体の作製方法について説明する。
【0170】
本発明の光電変換材料用半導体の一態様としては、導電性支持体上に上記の光電変換材料用半導体を焼成により形成する等の方法が挙げられる。
【0171】
本発明の光電変換材料用半導体が焼成により作製される場合には、上記の化合物や増感色素を用いての該半導体の増感(吸着、多孔質への入り込み等)処理は、焼成後に実施することが好ましい。焼成後、半導体に水が吸着する前に、素早く化合物の吸着処理を実施することが特に好ましい。
【0172】
本発明の光電変換材料用半導体が粒子状の場合には、光電変換材料用半導体を導電性支持体に塗布あるいは吹き付けて、半導体電極を作製するのがよい。また、本発明の光電変換材料用半導体が膜状であって、導電性支持体上に保持されていない場合には、光電変換材料用半導体を導電性支持体上に貼合して半導体電極を作製することが好ましい。
【0173】
以下、本発明の光電変換材料用半導体の作製工程を具体的に述べる。
《半導体微粉末含有塗布液の調製》
まず、半導体の微粉末を含む塗布液を調製する。この半導体微粉末は、その1次粒子径が微細な程好ましく、その1次粒子径は、1nm〜5000nmが好ましく、更に好ましくは2nm〜50nmである。半導体微粉末を含む塗布液は、半導体微粉末を溶媒中に分散させることによって調製することができる。溶媒中に分散された半導体微粉末は、その1次粒子状で分散する。溶媒としては、半導体微粉末を分散し得るものであればよく、特に制約されない。
【0174】
前記溶媒としては、水、有機溶媒、水と有機溶媒との混合液が包含される。有機溶媒としては、メタノールやエタノール等のアルコール、メチルエチルケトン、アセトン、アセチルアセトン等のケトン、ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素等が用いられる。塗布液中には、必要に応じ、界面活性剤や粘度調節剤(ポリエチレングリコール等の多価アルコール等)を加えることができる。溶媒中の半導体微粉末濃度の範囲は、0.1質量%〜70質量%が好ましく、更に好ましくは0.1質量%〜30質量%である。
【0175】
《半導体微粉末含有塗布液の塗布と形成された半導体層の焼成処理》
上記のようにして得られた半導体微粉末含有塗布液を導電性支持体上に塗布または吹きつけ、乾燥等を行った後、空気中または不活性ガス中で焼成して、導電性支持体上に半導体層(半導体膜)が形成される。
【0176】
導電性支持体上に塗布液を塗布、乾燥して得られる皮膜は、半導体微粒子の集合体からなるもので、その微粒子の粒径は使用した半導体微粉末の1次粒子径に対応するものである。
【0177】
このようにして導電性支持体等の基板上に形成された半導体微粒子集合体膜は、導電性支持体との結合力や、微粒子相互の結合力が弱く、機械的強度の弱いものであることから、前記半導体微粒子集合体膜を焼成処理して機械的強度を高め、基板に強く固着した焼成物膜となるため好ましく行われる。
【0178】
本発明においては、この焼成物膜はどのような構造を有していても良いが、多孔質構造膜(空隙を有する、ポーラスな層ともいう)であることが好ましい。
【0179】
ここで、本発明に係る半導体薄膜の空隙率は、10体積%以下が好ましく、更に好ましくは、8体積%以下であり、特に好ましくは、0.01体積%〜5体積%以下である。尚、半導体薄膜の空隙率は、誘電体の厚み方向に貫通性のある空隙率を意味し、水銀ポロシメーター(島津ポアライザー9220型)等の市販の装置を用いて測定することが出来る。
【0180】
多孔質構造を有する焼成物膜になった、半導体層の膜厚は、少なくとも10nm以上が好ましく、更に好ましくは100nm〜10000nmである。
【0181】
焼成処理時、焼成物膜の実表面積を適切に調整し、上記の空隙率を有する焼成物膜を得る観点から、焼成温度は1000℃より低いことが好ましく、更に好ましくは、200℃〜800℃の範囲であり、特に好ましくは300℃〜800℃の範囲である。
【0182】
また、見かけ表面積に対する実表面積の比は、半導体微粒子の粒径及び比表面積や、焼成温度等によりコントロールすることができる。また、加熱処理後、半導体粒子の表面積を増大させたり、半導体粒子近傍の純度を高め、色素から半導体粒子への電子注入効率を高める目的で、例えば四塩化チタン水溶液を用いた化学メッキや三塩化チタン水溶液を用いた電気化学的メッキ処理を行ってもよい。
【0183】
《半導体の増感処理》
半導体の増感処理は、上記のように、色素を適切な溶媒に溶解し、その溶液に前記半導体を焼成した基板を浸漬することによって行われる。その際には半導体層(半導体膜ともいう)を焼成により形成させた基板を、あらかじめ減圧処理したり加熱処理したりして膜中の気泡を除去し、前記一般式(1)〜(5)のいずれか1種の化合物が半導体層(半導体膜)内部深くに進入できるようにしておくことが好ましく、半導体層(半導体膜)が多孔質構造膜である場合には特に好ましい。
【0184】
《溶媒》
前記一般式(1)〜(5)のいずれか1種の化合物を溶解するのに用いる溶媒は、前記化合物を溶解することができ、且つ、半導体を溶解したり半導体と反応したりすることのないものであれば格別の制限はないが、溶媒に溶解している水分および気体が半導体膜に進入して、前記化合物の吸着等の増感処理を妨げることを防ぐために、あらかじめ脱気および蒸留精製しておくことが好ましい。
【0185】
前記化合物の溶解において、好ましく用いられる溶媒はメタノール、エタノール、n−プロパノールなどのアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル系溶媒、塩化メチレン、1,1,2−トリクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素溶媒であり、特に好ましくはメタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、塩化メチレンである。
【0186】
《増感処理の温度、時間》
半導体を焼成した基板を、前記一般式(1)〜(5)のいずれか1種の化合物を含む溶液に浸漬する時間は、半導体層(半導体膜)に前記化合物が深く進入して吸着等を充分に進行させ、半導体を十分に増感させ、且つ、溶液中のでの前記化合物の分解等により生成して分解物が化合物の吸着を妨害することを抑制する観点から、25℃条件下では、3時間〜48時間が好ましく、更に好ましくは、4時間〜24時間である。この効果は、特に、半導体膜が多孔質構造膜である場合において顕著である。但し、浸漬時間については、25℃条件での値であり、温度条件を変化させて場合には、上記の限りではない。
【0187】
浸漬しておくにあたり前記一般式(1)〜(5)のいずれか1種の化合物を含む溶液は、前記化合物が分解しないかぎりにおいて、沸騰しない温度にまで加熱して用いてもよい。好ましい温度範囲は10℃〜100℃であり、更に好ましくは25℃〜80℃であるが、前記のとおり溶媒が前記温度範囲で沸騰する場合はこの限りでない。
【0188】
《光電変換素子》
本発明の光電変換素子について、図1を用いて説明する。
【0189】
図1は、本発明の光電変換素子の構造の一例を示す部分断面図である。
1は導電性支持体、2は感光層、3は電荷移動層、4は対向電極を表す。尚、導電性支持体1と感光層2をあわせて半導体電極ともいう。
【0190】
ここで、感光層2は本発明の光電変換材料用半導体を有する層であり、電荷移動層3は通常、レドックス電解質が含有し、導電性支持体1、感光層2、対向電極4に接触した形態で用いられる。
【0191】
《光電変換素子の製造方法》
図1を用いながら、光電変換素子の製造方法を説明する。
【0192】
本発明の光電変換素子は、図1に示すような導電性支持体1上に、上記記載のようにプラズマ処理装置を用いて半導体薄膜を形成した後に、本発明に係る前記一般式(1)〜(5)で表されるいずれか1種の化合物を吸着させるという工程を経て製造される。
【0193】
また、半導体薄膜の表面積を増大させたり、半導体薄膜表面の不純物などを除去して、半導体の純度を高め、前記一般式(1)〜(5)で表されるいずれか1種の化合物から半導体への電子注入効率を高める目的で、例えば四塩化チタン水溶液を用いた化学メッキや三塩化チタン水溶液を用いた電気化学的メッキ処理を行ってもよい。
【0194】
導電性支持体1上に形成した半導体膜には上記記載の前記一般式(1)〜(5)で表されるいずれか1種の化合物を吸着させ、半導体膜を増感させて感光層2を形成する。増感処理方法は先に説明したとおり、前記化合物を適切な溶媒に溶解し、導電性支持体1上に形成された半導体膜をその溶液に浸漬することによって行われる。その際には半導体膜は、あらかじめ減圧処理したり加熱処理したりして膜中の気泡を除去し、前記一般式(1)〜(5)で表されるいずれか1種の化合物が半導体膜内部深くに進入できるようにしておくことが好ましい。
【0195】
本発明に係る半導体に、前記一般式(1)〜(5)で表されるいずれか1種の化合物を吸着させる際には、単独で用いてもよいし、複数を併用してもよい。さらに、従来公知の増感色素化合物(例えば、米国特許第4,684,537号、同第4,927,721号、同第5,084,365号、同第5,350,644号、同第5,463,057号、同第5,525,440号、特開平7−249790号、特開2000−150007号等に記載の化合物)とを混合して吸着させてもよい。
【0196】
特に、半導体の用途が太陽電池である場合、光電変換の波長域を広くして太陽光を可能な限り有効に利用できるように、二種類以上の色素を混合して用いることが好ましい。
【0197】
上記記載の前記一般式(1)〜(5)で表されるいずれか1種の化合物を複数種類併用して増感した光電変換材料用半導体は、併用する前記化合物を混合して調製した溶液に浸漬させて作製してもよいし、各々の化合物について溶液を調製し、各溶液に順に浸漬して作製することもできる。
【0198】
各化合物について別々の溶液を用意し、各溶液に順に浸漬して作製する場合は、半導体に前記化合物や従来公知の増感色素を吸着させる順番がどのような順番であっても本発明の効果を得ることができる。
【0199】
吸着処理は、前記化合物が溶解した溶液を常温で用いてもよいし、また、前記化合物に影響を与えない範囲の温度まで溶液を加熱して行っても良い。更に、吸着処理時に未吸着となった色素については溶媒等の洗浄処理により除去することが好ましい。
【0200】
導電性支持体1上に形成した半導体膜に色素を吸着させて感光層2を形成したら、該感光層2と向かい合うようにして対向電極4を配置する。さらに、半導体電極と対向電極4の間に電荷移動層であるレドックス電解質を注入して光電変換素子とする。
【0201】
《太陽電池》
本発明の太陽電池について説明する。
【0202】
本発明の太陽電池は、図1に示すような、本発明の光電変換素子の一態様として、太陽光に最適の設計並びに、回路設計が行われ、太陽光を光源として用いたときに最適な光電変換が行われるような構造を有する。即ち、光電変換材料用半導体に太陽光が照射されうる構造となっている。本発明の太陽電池を構成する際には、前記半導体電極、電荷移動層及び対向電極をケース内に収納して封止するか、あるいはそれら全体を樹脂封止することが好ましい。
【0203】
本発明の太陽電池に太陽光または太陽光と同等の電磁波を照射すると、光電変換材料用半導体に吸着された本発明の化合物は、照射された光もしくは電磁波を吸収して励起する。励起によって発生した電子は半導体に移動し、次いで導電性支持体1を経由して対向電極4に移動して、電荷移動層3のレドックス電解質を還元する。一方、半導体に電子を移動させた本発明の化合物は酸化体となっているが、対向電極4から電荷移動層3のレドックス電解質を経由して電子が供給されることにより、還元されて元の状態に戻り、同時に電荷移動層3のレドックス電解質は酸化されて、再び対向電極4から供給される電子により還元されうる状態に戻る。このようにして電子が流れ、本発明の光電変換素子を用いた太陽電池を構成することができる。
【0204】
《導電性支持体》
本発明の光電変換素子や本発明の太陽電池に用いられる導電性支持体には、金属板のような導電性材料や、ガラス板やプラスチックフイルムのような非導電性材料に導電性物質を設けた構造のものを用いることができる。導電性支持体に用いられる材料の例としては金属(例えば白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム)あるいは導電性金属酸化物(例えばインジウム−スズ複合酸化物、酸化スズにフッ素をドープしたもの)や炭素を挙げることができる。導電性支持体の厚さは特に制約されないが、0.3mm〜5mmが好ましい。
【0205】
また導電性支持体は実質的に透明であることが好ましく、実質的に透明であるとは光の透過率が10%以上であることを意味し、50%以上であることがさらに好ましく、80%以上であることが最も好ましい。透明な導電性支持体を得るためには、ガラス板またはプラスチックフイルムの表面に、導電性金属酸化物からなる導電性層を設けることが好ましい。透明な導電性支持体1を用いる場合、光は支持体側から入射させることが好ましい。
【0206】
導電性支持体は表面抵抗は、50Ω/cm2以下であることが好ましく、10Ω/cm2以下であることがさらに好ましい。
【0207】
《電荷移動層》
本発明に用いられる電荷移動層について説明する。
【0208】
電荷移動層にはレドックス電解質が好ましく用いられる。ここで、レドックス電解質としては、I−/I3−系や、Br−/Br3−系、キノン/ハイドロキノン系等が挙げられる。このようなレドックス電解質は、従来公知の方法によって得ることができ、例えば、I−/I3−系の電解質は、ヨウ素のアンモニウム塩とヨウ素を混合することによって得ることができる。電荷移動層はこれらレドックス電解質の分散物で構成され、それら分散物は溶液である場合に液体電解質、常温において固体である高分子中に分散させた場合に固体高分子電解質、ゲル状物質に分散された場合にゲル電解質と呼ばれる。電荷移動層として液体電解質が用いられる場合、その溶媒としては、電気化学的に不活性なものが用いられ、例えば、アセトニトリル、炭酸プロピレン、エチレンカーボネート等が用いられる。固体高分子電解質の例としては特開2001−160427記載の電解質が、ゲル電解質の例としては『表面科学』21巻、第5号288ページ〜293ページに記載の電解質が挙げられる。
【0209】
《対向電極》
本発明に用いられる対向電極について説明する。
【0210】
対向電極は、導電性を有するものであればよく、任意の導電性材料が用いられるが、I3−イオン等の酸化や他のレドックスイオンの還元反応を充分な速さで行わせる触媒能を持ったものの使用が好ましい。このようなものとしては、白金電極、導電材料表面に白金めっきや白金蒸着を施したもの、ロジウム金属、ルテニウム金属、酸化ルテニウム、カーボン等が挙げられる。
【0211】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0212】
実施例1
《光電変換素子1の作製》
下記に記載のようにして、図1に示すような光電変換素子を作製した。
【0213】
チタンテトライソプロポキシド(和光純薬社製一級)62.5mlを純水375ml中に室温下、激しく攪拌しながら10分間で滴下し(白色の析出物が生成する)、次いで70%硝酸水を2.65ml加えて反応系を80℃に加熱した後、8時間攪拌を続けた。さらに該反応混合物の体積が約200mlになるまで減圧下に濃縮した後、純水を125ml、酸化チタン粉末(昭和タイタニウム社製スーパータイタニアF−6)140gを加えて酸化チタン懸濁液(約800ml)を調製した。フッ素をドープした酸化スズをコートした透明導電性ガラス板上に該酸化チタン懸濁液を塗布し、自然乾燥の後300℃で60分間焼成して、支持体上に膜状の酸化チタンを形成した。
【0214】
ついで、メタノール溶液200ml中に、例示化合物II−1を5g溶解した溶液を調製し、上記膜状酸化チタン(光電変換材料用半導体層)を支持体ごと浸し、さらにトリフルオロ酢酸1gを加えて2時間超音波照射した。反応後膜状酸化チタン(光電変換材料用半導体層)をクロロホルムで洗浄し真空乾燥して、感光層2(光電変換材料用半導体)を作製した。
【0215】
対向電極4として、フッ素をドープした酸化スズをコートし、さらにその上に白金を担持した透明導電性ガラス板を用い、前記導電性支持体1と前記対向電極4との間に体積比が1:4であるアセトニトリル/炭酸エチレンの混合溶媒に、テトラプロピルアンモニウムアイオダイドと沃素とを、それぞれの濃度が0.46モル/リットル、0.06モル/リットルとなるように溶解したレドックス電解質を入れた電荷移動層3を作製して、光電変換素子1を作製した。
【0216】
《光電変換素子2〜24の作製》:本発明
光電変換素子1の作製において、例示化合物II−1を表1に記載の化合物に変更した以外は同様にして、光電変換素子2〜24を得た。
【0217】
《光電変換素子R1、R2の作製》:比較例
光電変換素子1の作製において、表1に記載の比較化合物R1、R2に変更した以外は同様にして、光電変換素子R1、R2を得た。
【0218】
【化31】
【0219】
《太陽電池SC−1〜SC−24の作製》:本発明
光電変換素子1〜24の各々の側面を樹脂で封入した後、リード線を取り付けて、本発明の太陽電池SC−1〜SC−24を各々3ロットずつ作製した。
【0220】
《太陽電池SC−R1、SC−R2の作製》:比較例
上記の太陽電池SC−1の作製において、比較の光電変換素子R1、R2を各々用いた以外は同様にして、太陽電池SC−R1、SC−R2を各々3ロットずつ作製した。
【0221】
《太陽電池の光電変換特性評価》
上記で得られた太陽電池SC−1〜SC−24、及び太陽電池SC−R1、SC−R2の各々にソーラーシミュレーター(JASCO(日本分光)製、低エネルギー分光感度測定装置CEP−25)により100mW/m2の強度の光を照射した時の短絡電流密度Jsc(mA/cm2)および開放電圧値Voc(V)を測定し表1に示した。示した値は、同じ構成および作製方法の太陽電池3つについての測定結果の平均値とした。
【0222】
【表1】
【0223】
表1より、比較に比べて、本発明の太陽電池は高い光電変換特性を示し、前記一般式(1)〜(5)で表されるいずれか1種の化合物を用いることが有効であることがわかる。また、且つ、本発明の太陽電池SC−1〜SC−24は、ソーラーシミュレーターによる100mW/m2の光照射100時間を経ても光電変換効率の低下が認められず、安定性に優れていることが明かになった。
【0224】
実施例2
《光電変換素子101〜116、R4の作製》
実施例1に記載の光電変換素子1の作製において、例示化合物II−1を表2に記載の化合物に変更した以外は同様にして、光電変換素子101〜116、R4を各々作製した。
【0225】
【化32】
【0226】
《太陽電池SC−101〜SC−116、SC−R4の作製》
実施例1に記載の太陽電池SC−1の作製において、光電変換素子1を表2に記載の光電変換素子を用いた以外は同様にして、太陽電池SC−101〜SC−116、SC−R4を各々、3ロットずつ作製した。
【0227】
《太陽電池の光電変換特性評価》
上記で得られた太陽電池SC−101〜SC−116、及び太陽電池SC−R4の各々にソーラーシミュレーター(JASCO(日本分光)製、低エネルギー分光感度測定装置CEP−25)により100mW/m2の強度の光を照射した時の短絡電流密度Jsc(mA/cm2)および開放電圧値Voc(V)を測定し表2に示した。示した値は、同じ構成および作製方法の太陽電池3つについての測定結果の平均値とした。
【0228】
【表2】
【0229】
表2より、比較に比べて、本発明の太陽電池は高い光電変換特性を示し、前記一般式(1)〜(5)で表されるいずれか1種の化合物を用いることが有効であることがわかる。また、且つ、本発明の太陽電池SC−101〜SC−116は、ソーラーシミュレーターによる100mW/m2の光照射100時間を経ても光電変換効率の低下が認められず、安定性に優れていることが明かになった。
【0230】
【発明の効果】
本発明により、高い光電変換効率と優れた安定性とを示す光電変換材料用半導体、光電変換素子及び太陽電池を提供することが出来た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光電変換素子の構造の一例を示す部分断面図である。
【符号の説明】
1 導電性支持体
2 感光層
3 電荷移動層
4 対向電極
Claims (9)
- 下記一般式(2)で表される化合物を含むことを特徴とする光電変換材料用半導体。
- 前記一般式(2)〜(4)において、R2、R7またはR7′が、N原子と5員または6員で水素結合可能な置換基であることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の光電変換材料用半導体。
- 前記光電変換材料用半導体が、金属酸化物半導体または金属硫化物半導体であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の光電変換材料用半導体。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の光電変換材料用半導体が導電性支持体上に設けられていることを特徴とする光電変換素子。
- 請求項8に記載の光電変換素子、電荷移動層および対向電極とを有することを特徴とする太陽電池。
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JP2002314131A JP2004152854A (ja) | 2002-10-29 | 2002-10-29 | 光電変換材料用半導体、光電変換素子及び太陽電池 |
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WO2008004580A1 (fr) | 2006-07-05 | 2008-01-10 | Nippon Kayaku Kabushiki Kaisha | Cellule solaire sensible à la coloration |
-
2002
- 2002-10-29 JP JP2002314131A patent/JP2004152854A/ja active Pending
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