JP2004150995A - 角速度検出センサ素子の電極構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】課題を解決するために本発明は、音叉型の角速度センサ素子の2つの脚部の互いに向き合う面に配置された電極をそれぞれ同電位とすることで、電極間の容量結合を防ぎクロストークを削減することで課題を解決する。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、励振電極に交流電圧(励振振動信号)を印加することによって振動子がX軸方向に励振しているとき、この振動子のY軸方向の回りに作用する回転角速度をコリオリの力により角速度検出用電極に生ずる電荷量に基づいて、角速度の大きさを検出する圧電振動式角速度センサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、角速度を検出するセンサとして様々なジャイロスコープ(以下、ジャイロという)が開発されている。その種類は大まかに機械式のコマジャイロ、流体式のガスレートジャイロ、音片・音叉の振動を用いる振動ジャイロ、光学式の光ファイバジャイロとリングレーザージャイロに分類される。光学式のジャイロはサニャック効果、それ以外のものは回転運動をするときの慣性力(見かけの力)のひとつ、コリオリ力を用いて角速度の検出を行っており、使用用途により精度と価格、寸法等が勘案され使用するセンサが選択されている。
【0003】
圧電振動式角速度センサを車両や航空機等に搭載し、その走行あるいは飛行軌跡を記録したり、旋回時に発生する角速度(鉛直線を中心とする大地に水平な面内での回転の角速度)を検出することが行われている。自動車用途ではシャシー系の制御やナビゲーションシステムの方位算出等に用いられる。例えば急旋回時の車両姿勢制御の場合には、車両の姿勢情報として角速度やロールレイト(車両進行方向を軸とする回転の角速度)を制御システム側にフィードバックし、姿勢制御性能を向上させるために用いられる。またナビゲーションシステムの場合には、角速度を時間積分することによって車両の旋回角度を算出するために用いられる。また、この角速度センサをロボットに搭載して、その姿勢制御等にも応用されている。他にビデオカメラやスチルカメラの手ぶれ補正システム等にも用いられている。
【0004】
図1は水晶を用いた音叉型角速度センサ素子の要部の一例を示す斜視図である。同図において1はセンサ素子(水晶板)、3−1、3−2は励振電極、4−1、4−2は角速度検出電極であり、励振電極4−1、4−2はセンサ素子1の対向する2本の脚部2−1および2−2のどちらか一方の前後および左右の面に、角速度検出用電極4−1、4−2はもう一方の脚部の左右の面に設けられている。図1では励振電極を脚部2−2に、検出電極を脚部2−1に配置されている。
【0005】
この角速度センサ素子において、図2に示すように励振電極3−1が端子P2に接続され、励振電極3−2が端子P1に接続される。また検出電極4−1が端子P3に接続され、検出電極4−2がP4に接続される。
【0006】
ここでセンサ素子1の短辺に平行で水晶結晶の電気軸の方向をX軸方向、長辺方向をY軸方向、X−Y平面と直交する方向(センサ素子の板面に垂直な方向)をZ軸方向とする。ここで、端子P1とP2との間に交流電圧(励振振動信号)e1を印加すると、水晶内に図2中脚部2−2に示すような電界が発生する。このとき励振脚部内には、電界のX軸方向成分の大きさに比例した歪みがY軸方向に発生する。次には逆方向の電界が発生することにより、センサ素子1の2本の脚部2−1および2−2はX軸方向に逆相で振動することとなる。
【0007】
このとき、Y軸方向の回りに回転角速度が作用すると、すなわちセンサ素子1がY軸中心に回転すると、コリオリの力によりZ軸方向の振動成分が生じる。この振動成分の振幅の大きさはコリオリの力に比例しているので、センサ素子1の2本の脚部2−1および2−2には圧電効果により、回転角速度に比例した量の電荷が発生する。
【0008】
これにより、図2中脚部2−1に示すように端子P3と端子P4との間に、あるときには矢印の方向、次には逆方向の電荷が発生し、コリオリの力に応じた電気信号es1が得られる。この電気信号es1の大きさによって、Y軸方向の回りに作用する回転角速度の大きさを知ることができる。また、この電気信号es1は基本的にサインカーブとして得られ、この電気信号es1の波形と交流電圧e1の波形(励振波形)とを位相比較することにより、その位相の進み遅れで回転角速度の方向を知ることができる。
【0009】
また、端子P1とP2との間に印加される交流電圧e1に対して、端子P3とP4との間に得られる電気信号es1は桁違いに小さい。
【0010】
端子P1、P2、P3、P4をそれぞれワイヤボンディングで外部に接続をおこなう。
【0011】
【特許文献1】
特開2002−039760号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
角速度検出センサ素子の小型化に伴い、各電極間の距離間隔が狭くなると、角速度検出センサ素子において電極間の信号電位が異なるため容量結合による信号の伝達が発生し、これが検出信号に不要信号として検出される。これを電気的クロストークという。この電気的クロストークの影響を削減する構造をもつ角速度検出センサ素子を提供する。
【0013】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明は、Y軸に平行に基部から突出した少なくとも2つの脚部を持つ音叉型振動子を用いた角速度検出センサ素子において、2つの脚部の互いに向き合う面に配置される電極を同電位とした角速度検出センサ素子の電極構造としたものである。
【0014】
要するに、Y軸に平行に基部から突出した少なくとも2つの脚部を持つ音叉型振動子を用いた角速度検出センサ素子の電極構造において、該脚部の一方に該角速度検出センサ素子の励振電極を配置する脚部内側面の電極と、該脚部の他方に角速度検出電極を配置する脚部との向き合う脚部内側面に配置する電極を接続して、前記電極の電位を仮想零電位(接地)としたことを特徴とする角速度検出センサ素子の電極構造とするものである。
【0015】
その結果、従来に示す図1の脚部2−1、2−2の互いに向き合う面に配置された電極(図2脚部2−1に配置された電極4−1、4−2と脚部2−2に配置された電極3−2)はそれぞれ電位が異なるために図2の電極4−1と3−2の間、4−2と3−2の間で容量結合が起こり、電気的クロストークが生じ課題に対し、脚部2−1、2−2の互いに向き合う面に配置される電極をそれぞれ同電位としてこの電極間での容量結合をなくし、電気的クロストークを削減した。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照しながら、本発明の実施の一形態について説明する。なお、各図において同一の符号は同じ対象を示すものとする。
【0017】
図3は本発明の音叉型角速度検出センサ素子7の一例を示す斜視図である。図4に図3の上部からみた図を示す。脚部2−3の脚部2−4と向き合う面の電極6−1と脚部2−4の左右の面の電極5−3、5−4を端子P6に一つに接続し、P6をアナロググラウンドとして、電極6−1、5−3、5−4の電位をそれぞれ仮想零電位(接地)とする。脚部2−3の電極6−2を端子P7に接続し、電極6−3を端子P8に接続する。P7とP8は異なる極性とする。脚部2−4の電極5−1、5−2をそれぞれ端子P5に接続する。
【0018】
脚部2−3に配置された電極6−1、6−2、6−3を励振電極とし、脚部2−4に配置された電極5−1、5−2、5−3、5−4を角速度検出電極とする。
【0019】
ここで、端子P7とP8との間に交流電圧(励振振動信号)e2を印加すると、水晶内に図4中脚部2−3に示すような電界が発生する。このとき励振脚部内には、電界のX軸方向成分の大きさで決定される歪がY軸方向に発生する。次には逆方向の電界が発生することにより、センサ素子7の2本の脚部2−3および2−4はZ軸方向に逆相で振動する。
【0020】
このとき、Y軸方向の回りに回転角速度が作用すると、すなわちセンサ素子7がY軸中心に回転すると、コリオリの力によりX軸方向の振動成分が生じる。この振動成分の大きさはコリオリの力に比例しているので、センサ素子7の2本の脚部2−3および2−4には回転角速度に比例した大きさで振動の方向に応じた極の電荷が発生する。
【0021】
これにより、図4中脚部2−4に示すように端子P5には、あるときには矢印の方向(このとき電極5−1、5−2の極性は陽極)、次には逆方向(このとき電極5−1、5−2、の極性は陰極)の電荷が発生し、コリオリの力に応じて端子6にはアナロググラウンドに対する電気信号es2が得られる。この電気信号es2の大きさによって、Y軸方向の回りに作用する回転角速度の大きさを知ることができる。
【0022】
なお、本実施例に示す角速度検出センサ素子7は、音叉型形状を一例として説明しているが、センサ素子7の形状については音叉型形状に限定するもので無く、脚部が両方向に延びるH型構造であっても同様の効果を奏することは言うまでも無い。
【0023】
【発明の効果】
本発明により、脚部2−3、2−4の互いに向き合う面に配置する電極の電位を等しくすることで、電極間の容量結合を削減させ電気的クロストークを軽減することができるため、検出信号中の不要信号を小さくすることができる。従って、より高感度、高精度な角速度センサ素子が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の角速度検出センサ素子の概略図の一例を示した斜視図である。
【図2】図1の上部からY軸方向に垂直な向きから見た電極の配置と電気軸方向(X軸)の向きにできる電界を示した図である。
【図3】本発明の角速度検出センサ素子の概略図の一例を示した斜視図である。
【図4】図3の上部からY軸方向に垂直な向きからみた電極の配置と電気軸方向(X軸)の向きにできる電界を示した図である。
【符号の説明】
1、7 角速度検出センサ素子
2−1、2−2、2−3、2−4 脚部
3−1、3−2 励振電極
4−1、4−2 角速度検出電極
5−1、5−2、5−3、5−4 角速度検出電極
6−1、6−2、6−3 励振電極
Claims (2)
- Y軸に平行に基部から突出した少なくとも2つの脚部を持つ音叉型振動子を用いた角速度検出センサ素子の電極構造において、
2つの脚部の互いに向き合う面に配置される電極を同電位としたことを特徴とする角速度検出センサ素子の電極構造。 - Y軸に平行に基部から突出した少なくとも2つの脚部を持つ音叉型振動子を用いた角速度検出センサ素子の電極構造において、
該脚部の一方に該角速度検出センサ素子の励振電極を配置する脚部内側面の電極と、該脚部の他方に角速度検出電極を配置する脚部内側面に配置する電極を接地したことを特徴とする角速度検出センサ素子の電極構造。
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JP2012002766A (ja) * | 2010-06-21 | 2012-01-05 | Seiko Epson Corp | 振動型ジャイロ素子、振動型ジャイロセンサーおよび振動型ジャイロセンサーによる角速度の検出方法 |
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