JP2004150721A - 旋回燃焼装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】筒状本体2の下部外周囲を囲むように配設した供給通路31から希薄混合気を、多数の斜向羽根間のスリットを通して、内周壁4の外周面により区画された環状隙間5に対し旋回方向に噴出させ、旋回流の状態で淡炎口33から燃焼空間7に吹き出させる。内周壁の内周側に配置した濃炎口62に濃混合気を供給して濃火炎を形成する。これにより、希薄混合気を燃焼空間に直接に噴出させるのではなくて、環状隙間において予め旋回流を形成した上で淡炎口から燃焼空間に吹き出させて旋回火炎Fを形成し、希薄混合気の空気量が不足しても旋回火炎の基部が斜向羽根を炙ることのないようにする。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料(気体燃料又は液体燃料)と空気とを予め混合した混合気を噴出させて燃焼空間において旋回燃焼させる旋回燃焼装置に関し、特に上記混合気の噴出口を構成する部材の焼け発生を回避するための技術に係る。
【0002】
【従来の技術】
従来、旋回燃焼装置として、円筒状の内周面を有する燃焼空間に対しその内周面側から空気と燃料とを予め混合した混合気を接線方向に噴出させて上記燃焼空間で旋回流を生じさせつつ燃焼させ旋回火炎(リング状の火炎)を形成するものが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−228106号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記の旋回燃焼装置においては、特に混合気の空気が不足した場合には旋回火炎の火炎が混合気の噴出口である炎口に着地してその炎口を炙る結果、炎口を形成する部材が赤熱して炎口焼けを起こしてしまうという不都合の発生が予想される。
【0005】
すなわち、例えば本発明者がこれまでに上記旋回燃焼装置を具体化させた構造(図4及び図5に例示)に基づいて説明すると、このものは先端を開口した円筒状の燃焼空間7aの基端側に燃料濃度の高い濃混合気(図4の実線の矢印参照)の炎口62を配設する一方、側部の内周面に開口して空気濃度の高い希薄混合気(図4の点線の矢印参照)を噴出する噴出口322aを燃焼空間7aに臨んで配設している。この噴出口322aは、最外周側に配置された供給通路31aからの希薄混合気を旋回用の斜向羽根321a,321a間に通過させることにより、上記希薄混合気を燃焼空間7aに対し旋回方向に噴出させるようになっている。上記斜向羽根321a,321a,…は上記燃焼空間7aの基端から先端までのほぼ全範囲にわたり配設されて、その全範囲の燃焼空間7aに対し希薄混合気を噴出させるようになっている。そして、噴出口322aから噴出された希薄混合気は、燃焼空間7aにおいて旋回流を形成しつつ燃焼され旋回火炎Fを形成する。この際、上記濃混合気による濃火炎から発生した未燃成分を多く含んだ燃焼ガスと混合されて、その未燃成分を完全燃焼させる。上記噴出口322aは炎口を構成し、この炎口から噴出方向前方に少し離れた位置から火炎となった上記旋回火炎Fは燃焼空間7a内でリング状の火炎となり、先端開口21aから拡散する。
【0006】
しかし、上記供給通路31aの上流側で空気が供給されて希薄混合気とされる際に空気の供給量が不足して所定の希薄混合気よりも空気不足の混合気が噴出口から噴出される事態が生じると、上記の火炎が噴出口322aに近付いて着地してしまい、この火炎に炙られて噴出口322aを構成する上記斜向羽根321a等が赤熱してしまうことになる。この結果、上記噴出口322aにより構成される炎口の炎口焼けを引き起こすことになってしまう。これにより、耐久性の低下等の不都合を招くおそれがある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、空気不足等が生じたとしても焼けの発生を確実に回避し得る旋回燃焼装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、以下の本発明は、従来の如く燃焼空間に対し混合気を直接に噴出させることにより旋回流の形成を行うのではなく、上記燃焼空間とは別の空間で予め旋回流を形成しておき、その旋回流の状態で混合気を燃焼空間に対し吹き出させるようにしたものである。
【0009】
具体的には、本発明では、予め空気と燃料とを混合した混合気を、先端が開口した筒状本体の内部に区画された燃焼空間において旋回流状態で燃焼させて旋回火炎を形成させる旋回燃焼装置を対象として、上記筒状本体に、その基端側位置において外周側から内方に向けて混合気を噴出させるよう開口する1又は2以上の噴出口と、この噴出口よりも内側位置において上記噴出口に対し所定間隔の環状隙間を隔てて相対向する外周面を有する内周壁とを備えることとする。そして、上記内周壁の先端を少なくとも上記噴出口の全てを覆うように筒状本体の先端側に向けて延ばし、上記噴出口の向きをその噴出口から噴出される混合気により上記環状隙間の周方向に向かう旋回流を生じさせるように配向し、上記環状隙間の間隔を上記内周壁の先端と筒状本体の内周面との間に形成される環状開口が炎口を構成するように設定することとした(請求項1)。
【0010】
この発明の場合、内周壁の先端に形成される炎口よりも筒状本体の先端側の空間により燃焼空間が構成されることになる。そして、上記噴出口は燃焼空間に臨むのではなくて、内周壁との間の環状隙間に臨んで配設され、上記噴出口から噴出された混合気は環状隙間に沿って周方向に旋回流を形成し、この旋回流のまま上記炎口から燃焼空間に対し噴出されることになる。つまり、燃焼空間に直接に噴出させて旋回させるのではなくて、環状隙間に対して噴出させて環状空間内で予め旋回流を形成した上で、この旋回流を炎口から燃焼空間に対し間接的に吹き出されるようになる。このため、噴出口からの混合気がたとえ空気不足状態に陥って火炎の基部が炎口に近付いたとしても、炎口とは切り離された噴出口がその火炎により炙られることはなく、この噴出口の構成部材の赤熱化による焼けの発生が回避される。その上に、火炎の基部が上記炎口に着地したとしても噴出口までは及ばないため、火炎の振れに伴う燃焼振動騒音の発生も抑制される。
【0011】
本発明においては、次の如く種々の特定事項を任意にかついずれか1を選択的にあるいは2以上を組み合わせて追加することができる。すなわち、第1には、上記炎口の開口幅を燃焼空間側からの逆火が生じない程度に設定する(請求項2)。請求項1に係る発明においても環状隙間の幅をその環状開口が炎口を構成するように設定すれば、上述の空気不足状態に陥った場合であっても万一の逆火発生を回避し得るが、上記の如く炎口(環状開口)の開口幅を逆火を生じない程度に設定するという特定事項をさらに付加することにより、上記の逆火発生をより確実に回避することが可能になる。
【0012】
第2には、上記内周壁の先端部を上記炎口の開口幅が徐々に拡大するように径方向内方に向けて屈曲又は湾曲させる(請求項3)。この場合には、上記の万一の逆火発生をより一層確実に回避し得ることになる。
【0013】
第3には、上記内周壁の先端を上記噴出口よりも筒状本体の先端側位置まで延ばす(請求項4)。この場合には、環状隙間内で旋回流をより確実に形成した上で、その旋回流を炎口を通して燃焼空間に吹き出させることが可能になる。加えて、炎口位置と噴出口位置とが互いに離されるため、噴出口の構成部材の保護や、燃焼振動騒音の発生抑制をもより確実に図られることになる。
【0014】
第4には、上記筒状本体の基端側位置に、筒状本体の中心軸を中心とする放射方向に対し交差する向きに配向した複数の斜向羽根をその全周にわたり所定間隔で配設し、上記噴出口を隣接する両斜向羽根の内周側端縁間に形成される開口によって構成する(請求項5)。この場合には、環状隙間に旋回流が効果的にかつ確実に形成される上に、その旋回流をより均一なものとし得る。この結果、炎口から燃焼空間に吹き出される旋回流をより均一にして燃焼空間により均一な旋回火炎の形成が図られる。
【0015】
第5には、液体燃料を気化させる気化器をさらに備え、この気化器を上記内周壁の内側空間に配設し、この気化器により気化された気化燃料に空気を混合した混合気を上記噴出口から噴出させる構成とする(請求項6)。この場合には、液体燃料を用いた旋回燃焼装置が特定される。加えて、燃焼空間に吹き出させる前の段階で混合気の旋回流を形成するための内周壁の内部空間が有効利用され、気化器を付設した場合にもコンパクトな構成とし得る。
【0016】
第6には、上記内周壁の先端側を燃焼空間に臨んで開口し、この内周壁の内側であって上記内周壁の先端位置よりも筒状本体の基端側位置に第2の炎口を配設し、上記噴出口から燃料濃度の低い希薄混合気を噴出させる一方、上記第2の炎口に燃料濃度の高い濃混合気を供給して濃火炎を形成させる構成とする(請求項7)。この場合には、濃淡燃焼の火炎を旋回火炎とし得る。しかも、第2の炎口が内周壁の先端開口よりも筒状本体の基端側に位置しているため、環状隙間内の旋回流の影響を受けることなく第2の炎口において安定した濃火炎の形成が図られる。そして、上記濃火炎から発生した未燃成分を多く含む燃焼ガスが上記内周壁の先端開口から燃焼空間に供給され、この燃焼空間において希薄混合気の旋回流と混合されて完全燃焼状態の旋回火炎が形成されることになる。
【0017】
【発明の効果】
以上、説明したように、請求項1〜請求項7のいずれかの旋回燃焼装置によれば、従来の如く燃焼空間に直接に混合気を噴出させて旋回させるというように混合気の噴出と旋回流の形成とが直接かつ一体的である構造ではなくて、環状隙間に対して噴出させて環状空間内で予め旋回流を形成した上で、この旋回流を炎口から燃焼空間に対し吹き出すことにより燃焼空間での旋回火炎を形成させるというように、噴出口からの混合気の噴出により燃焼空間に対し間接的に旋回流、ひいては旋回火炎を形成させるようにしているため、上記噴出口からの混合気がたとえ空気不足状態に陥って火炎の基部が炎口に近付いたとしても、その火炎により噴出口が炙られることはなく、この噴出口の構成部材の赤熱化による焼けの発生を確実に回避することができる。その上に、火炎の基部が上記炎口に着地したとしても噴出口までは及ばないため、火炎の振れに伴う燃焼振動騒音の発生も抑制することができる。
【0018】
特に請求項2によれば、上述の空気不足状態に陥った場合であっても万一の逆火発生をより確実に回避することができる。
【0019】
請求項3によれば、上記の万一の逆火発生をより一層確実に回避することができるようになる。
【0020】
請求項4によれば、環状隙間内で旋回流をより確実に形成した上で、その旋回流を炎口を通して燃焼空間に吹き出させることができる。加えて、炎口位置と噴出口位置とが互いに離されるため、噴出口の構成部材の保護や、燃焼振動騒音の発生抑制をもより確実に図ることができるようになる。
【0021】
請求項5によれば、斜向羽根により混合気を確実に所定の方向に向けて噴出させることができる上に、環状隙間に対し周方向各位置から均等に噴出させることができる。これにより、環状隙間において旋回流を効果的にかつ確実に形成することができる上に、より均一な旋回流を形成することができる。この結果、炎口から燃焼空間に吹き出される旋回流をより均一にして燃焼空間により均一な旋回火炎を形成することができる。
【0022】
請求項6によれば、液体燃料を用いた混合気による旋回火炎を得る旋回燃焼装置において本発明の上記効果を得ることができる。加えて、燃焼空間に吹き出させる前の段階で混合気の旋回流を形成するための内周壁の内部空間を気化器の配設空間として有効利用することができ、気化器を付設した場合にもコンパクトな構成とすることができる。
【0023】
請求項7によれば、濃淡燃焼を上記本発明の旋回燃焼装置で実現させることができる。しかも、第2の炎口において、環状隙間内の旋回流の影響を受けることなく安定した濃火炎を形成することができ、濃火炎から発生した未燃成分を希薄混合気の旋回流に対し供給して旋回火炎を安定的に燃焼させることができる。従って、希薄混合気の燃焼によるNOx排出量の低減化や高いTDR(Turn Down Ratio:ターンダウン比又は絞り比)の実現を図りつつ、旋回燃焼による高い空間発熱率により実現される装置全体のコンパクト化を得ることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
図1は本発明の実施形態に係る旋回燃焼装置の外観を、図2はその縦断面説明図をそれぞれ示す。2は先端(各図の上端)が開口され基端(各図の下端)側が閉塞された円筒内面を有する筒状本体、3はこの筒状本体2の基端部側の外周側位置に配設された希薄混合気の混合気噴出部、4は上記筒状本体2の同じく基端部側の内周側位置に配設され先端が開口した円筒状の内周壁、5はこの内周壁の外周面と上記混合気噴出部3の内周側との間に形成された所定間隔の環状隙間、6は上記内周壁4の内部に配設され濃混合気の供給を受けて濃火炎を形成する濃火炎形成部、7は上記内周壁4の先端位置(各図の上端位置)から上記筒状本体2の先端開口21にかけて区画形成された燃焼空間である。
【0026】
上記混合気噴出部3は、外周側にドーナッツ環状に区画形成された希薄混合気(図2の点線の矢印参照)の供給通路31と、この供給通路31の内周側に供給通路31と連通状態で配設されて上記希薄混合気の噴出方向を所定方向に方向付けるドーナッツ環状の配向体32とを備えて構成されている。上記供給通路31には導入口311,311を通して希薄混合気が上記供給通路31の接線方向に導入されるようになっている。そして、上記希薄混合気は供給通路31内を周方向に旋回しつつ上記配向体32の後述の斜向羽根321,321間のスリット内に流れ込むようになっている。上記配向体32は多数の斜向羽根321,321,…が所定の向きに全周に亘り所定間隔毎に固定されて形成されており(図5も併せて参照)、周方向に隣接する両斜向羽根321の内周側両端縁間の開口により噴出口322,322,…が構成されている。各斜向羽根321は、希薄混合気を上記各噴出口322から噴出された希薄混合気が上記環状隙間5内を周方向に旋回させるように、その向きが設定されている。この向きとしては、上記希薄混合気が筒状本体2の中心軸Xを中心とする放射方向に対し少なくとも交差する方向に噴出されれば旋回流となるが、好ましくはほぼ接線方向であって接線方向よりも僅かに内向きとすればよい。
【0027】
上記内周壁4は、その先端開口縁41が上記各噴出口322の上記中心軸X方向の全長とほぼ同等か所定量長く先端開口21側まで延ばされ、上記先端開口縁41と筒状本体2の内周面22との間の環状開口により淡炎口33が形成されている。この淡炎口33の開口面積は希薄混合気の淡炎口33からの噴出速度として逆火を生じない程度のものが確保され、たとえ空気量が不足したとしても逆火を生じないように設定されている。この開口面積は、広すぎると逆火が生じ易くなる一方、狭すぎると速度が高くなりすぎて騒音発生を招くことになる関係にあり、希薄混合気の淡炎口33からの供給流量や噴出速度等の各種パラメータにより理論的に決定してもよいが、現実には実験により空気量を変化させて逆火を生じない範囲で最適な開口面積を決定するようにすればよい。
【0028】
上記環状隙間5は、上記内周壁4の外周面と、各噴出口322との間に区画形成された無端ドーナッツ環状の連続空間であり、上記淡炎口33により燃焼空間7と連通されている。
【0029】
上記濃火炎形成部6は、上記内周壁4の先端開口縁41よりも筒状本体2の基端側に頂面611が位置するように中心位置に配設された円筒部材61と、この円筒部材61の外周囲であって上記頂面611よりも筒状本体2の基端側位置に位置付けられた環状配置の濃炎口62と、この濃炎口62に対し濃混合気(図2に実線の矢印参照)を供給する供給通路63とを備えて構成されている。
【0030】
ここで、上記の濃混合気と希薄混合気とについて説明すると、濃混合気とは空気濃度が理論燃焼空気量よりも低く燃料濃度の高い混合気であり、希薄混合気とは空気濃度が理論燃焼空気量よりも高く燃料濃度の低い混合気のことである。上記の空気濃度が理論燃焼空気量よりも低いとは、空気過剰率が1.0未満であることであり、上記濃混合気としては完全燃焼に必要な理論燃焼空気量よりも不足した空気量を含む過濃混合気に加え、空気を全く含まない燃料ガス(気体燃料又は液体燃料を気化させた気化燃料)そのものを使用するようにしてもよい。
【0031】
一例を示すと、希薄混合気としては燃料量が全体の5〜9割、好ましくは7〜9割であって、空気過剰率(m値)が1.0〜2.0、好ましくは1.2〜1.6の範囲のものを用いればよい。また、濃混合気としては燃料量が全体の1〜5割、好ましくは1〜3割であって、空気過剰率が0.3〜1.0未満、好ましくは0.3〜0.7の範囲のものを用いればよい。
【0032】
以上の構造の旋回燃焼装置の場合、図外において上記の希薄混合気と濃混合気との混合が行われて、希薄混合気が混合気噴出部3の供給通路31に、濃混合気が濃火炎形成部6の供給通路63にそれぞれ供給されて燃焼される。これにより、濃炎口62に濃火炎が形成されて未燃成分を多く含む燃焼ガスが内周壁4の先端開口縁41の開口から燃焼空間7に流れる。一方、上記希薄混合気は供給通路31内を周回しつつ斜向羽根321,321間のスリットに流れ込んで各噴出口322から環状隙間5に噴出し、この環状隙間5内を螺旋状に旋回しながら希薄混合気が淡炎口33から燃焼空間7に旋回流となって吹き出される。そして、この希薄混合気は燃焼空間7において上記未燃成分と混合されつつ旋回火炎Fとなって燃焼されて先端開口21から拡散し、加熱対象に対し高熱の燃焼ガスが放出される。
【0033】
この旋回燃焼装置においては、希薄混合気が燃焼空間7に対し直接に噴出して旋回流を形成するのではなくて、燃焼空間7の前段階である環状隙間5において希薄混合気の旋回流を予め形成し、この旋回流状態の希薄混合気を燃焼空間7に吹き出させるようにしているため、たとえ希薄混合気の空気量が不足して希薄混合気による旋回火炎Fの基部が淡炎口33に近付いても各噴出口322を構成する斜向羽根321の内端縁がその火炎により炙られることはなく、焼けの発生を確実に回避することができる。併せて、各噴出口322に上記火炎の基部が着地することを確実に回避し得るため、火炎の振れ等に伴う燃焼振動音による燃焼騒音の発生をも回避することができる。しかも、濃淡燃焼及び旋回燃焼が共に実現されて低NOx化を実現することができる上に、濃淡燃焼による旋回火炎の安定化及び旋回燃焼によるコンパクト化をも実現させることができる。
【0034】
<他の実施形態>
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の実施形態を包含するものである。すなわち、上記実施形態では、希薄混合気と濃混合気との2種類の混合気により濃淡燃焼させるようにしているが、これに限らず、一種類の混合気により旋回火炎Fを形成するようにしてもよい。この場合には、燃焼空間に供給する混合気を混合気噴出部3からの混合気のみとし、内周壁の先端開口縁41を閉塞させればよい。この場合、閉塞させた先端面の中心側部分を燃焼空間7側に突出(例えば円錐状に突出)させるようにすることにより、燃焼空間7内での旋回流の形成により中心部分に生じる負圧領域を占拠させて負圧発生による旋回火炎への悪影響を排除することができ、これにより、旋回火炎のより一層の安定化を図ることができる。また、気体燃料ではなくて液体燃料を用いる場合には、その液体燃料を気化させる気化器を付設するようにすればよい。気化器を設ける場合には、その気化器を上記の先端開口縁41を閉塞させた内周壁4の内部空間を利用してこの内部空間内に設置し、この内部空間内の気化器により気化した気化燃料を混合気噴出部3の供給通路31に導く際に空気を混合して所定の混合気にすればよい。
【0035】
上記実施形態では淡炎口33を構成する内周壁4の先端開口縁41を内周壁4の外周面から一直線状に延ばした形状、すなわち、淡炎口33の開口幅を環状隙間5の隙間幅と同じにした形状を示したが、これに限らず、例えば図2に符号41aと共に一点鎖線で示す形状の先端開口縁にし、この先端開口縁41aにより淡炎口を形成するようにしてもよい。すなわち、内周壁の先端開口縁をその開口幅が燃焼空間7の側(下流側)に向けて徐々に拡がるように屈曲又は湾曲させるようにしてもよい。これにより、淡炎口33への逆火発生をより一層確実に回避することができる。
【0036】
斜向羽根321として図例では僅かに湾曲させた板形状のものを示したが、これに限らず、例えば平面板又は折り曲げた板のいずれによって形成してもよい。また、上記実施形態では噴出口322を形成するために多数の斜向羽根321,321,…を有する配向体32を用いたが、これに限らず、環状隙間5内に向けて所定方向(例えば略接線方)に開口する少なくとも1つのスリットを形成し、このスリットにより噴出口を構成するようにしてもよい。
【0037】
上記燃焼空間7内の旋回火炎はその先端開口21から出ると拡散して拡がるが、本旋回燃焼装置による加熱対象との兼ね合いによっては、上記拡散による拡がりを抑制した方がよい場合もある。この場合には、例えば筒状本体2の先端開口21を構成する開口縁の端面から下流方向に空気を吹き出して円筒状のエアーカーテンを形成するようにすればよい。このエアーカーテンによって上記先端開口21から出た旋回火炎が燃焼空間7の内断面よりも外方に拡がるのを抑制することができる。
【0038】
さらに、上記実施形態では噴出口(上記実施形態の噴出口322又は上記の少なくとも1つのスリットにより構成される噴出口)を環状隙間5に対し外周側に配置したものを示したが、これに限らず、環状隙間5の内周側に配置し環状隙間5を挟んで外周側位置に外周壁(例えば筒状本体2の内周面22により構成した外周壁)を配置するようにしてもよい。この場合にも、内周側の噴出口から噴出した混合気を上記外周壁の内周面に沿って旋回させることができ、上記実施形態と同様の作用効果を得ることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示す外観図である。
【図2】図1の実施形態の縦断面説明図である。
【図3】図1及び図2の実施形態の一部切欠平面図である。
【図4】課題を説明するための旋回燃焼装置の例を示す図2対応図である。
【図5】図4の旋回燃焼装置の横断面説明図である。
【符号の説明】
2 筒状本体
4 内周壁
5 環状隙間
7 燃焼空間
21 先端開口(筒状本体の先端開口)
22 内周面(筒状本体の内周面)
33 淡炎口(炎口)
41 先端開口縁(内周壁の先端)
62 濃炎口(第2の炎口)
321 斜向羽根
322 噴出口
F 旋回火炎
X 中心軸
Claims (7)
- 予め空気と燃料とを混合した混合気を、先端が開口した筒状本体の内部に区画された燃焼空間において旋回流状態で燃焼させて旋回火炎を形成させる旋回燃焼装置であって、
上記筒状本体には、その基端側位置において外周側から内方に向けて混合気を噴出させるよう開口する1又は2以上の噴出口と、この噴出口よりも内側位置において上記噴出口に対し所定間隔の環状隙間を隔てて相対向する外周面を有する内周壁とを備え、
上記内周壁の先端は少なくとも上記噴出口の全てを覆うように筒状本体の先端開口側に向けて延ばされ、上記噴出口はその向きがその噴出口から噴出される混合気により上記環状隙間の周方向に向かう旋回流を生じさせるように配向され、上記環状隙間の間隔は上記内周壁の先端と筒状本体の内周面との間に形成される環状開口が炎口を構成するように設定されている
ことを特徴とする旋回燃焼装置。 - 請求項1に記載の旋回燃焼装置であって、
上記炎口の開口幅は燃焼空間側からの逆火が生じない程度に設定されている、旋回燃焼装置。 - 請求項1又は請求項2に記載の旋回燃焼装置であって、
上記内周壁の先端部は上記炎口の開口幅が徐々に拡大するように径方向内方に向けて屈曲又は湾曲されている、旋回燃焼装置。 - 請求項1記載の旋回燃焼装置であって、
上記内周壁の先端は上記噴出口よりも筒状本体の先端側位置まで延ばされている、旋回燃焼装置。 - 請求項1記載の旋回燃焼装置であって、
上記筒状本体の基端側位置には、筒状本体の中心軸を中心とする放射方向に対し交差する向きに配向された複数の斜向羽根がその全周にわたり所定間隔で配設され、
上記噴出口は、隣接する両斜向羽根の内周側端縁間に形成される開口によって構成されている、旋回燃焼装置。 - 請求項1に記載の旋回燃焼装置であって、
液体燃料を気化させる気化器をさらに備え、この気化器は上記内周壁の内側空間に配設され、この気化器により気化された気化燃料に空気を混合した混合気が上記噴出口から噴出されるように構成されている、旋回燃焼装置。 - 請求項1に記載の旋回燃焼装置であって、
上記内周壁の先端側が燃焼空間に臨んで開口され、この内周壁の内側であって上記内周壁の先端位置よりも筒状本体の基端側位置には第2の炎口が配設され、上記噴出口から燃料濃度の低い希薄混合気が噴出される一方、上記第2の炎口には燃料濃度の高い濃混合気が供給されて濃火炎が形成されるように構成されている、旋回燃焼装置。
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CN111288442A (zh) * | 2020-03-09 | 2020-06-16 | 赵玮 | 一种竖窑组合烧嘴 |
CN109990283B (zh) * | 2017-12-29 | 2024-01-16 | 宁波方太厨具有限公司 | 一种火盖盖板及具有该火盖盖板的燃烧器 |
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2002
- 2002-10-31 JP JP2002317515A patent/JP4228656B2/ja not_active Expired - Fee Related
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