JP2004150409A - ガスタービン増出力用高圧1流体霧化ノズル - Google Patents
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Abstract
【解決手段】高圧液体1を導入する液体導入管部2と、この液体導入管部2からの高圧液体1を軸方向にジェット流9として噴射する複数のオリフィス8、及び各オリフィス8から噴射されたジェット流9に干渉し衝突によりジェット流9を霧化する複数のターゲット12を有するノズル部3と、霧化された微細液滴14と干渉しないよう、ターゲット12との間に微細液滴14が通過する間隙を有するようにノズル部3の周方向を覆う筒状のカバー部4とを一体化してガスタービン増出力用高圧1流体霧化ノズル100を構成する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガスタービン発電システムの圧縮機への吸気中に微細水滴を噴霧し、温度を低下させて吸気密度を増加させ、発電出力を上昇させるガスタービン増出力用高圧1流体霧化ノズルに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、総合的な熱効率の点から、ガスタービンを用いたコンバインドサイクル発電システムが広く採用されるようになっている。しかし、このようなガスタービンを用いた発電システムは、夏季等の気温の高い時期において吸気温度が上昇することにより出力が低下する傾向がある。このような吸気温度の上昇による影響に対処するため、圧縮機上流側の吸気に微細水滴を噴霧して増潤させ、その蒸発熱により吸気温度の上昇を抑え、更に質量流量を増加させることで増出力を得る方法が採用されている。
【0003】
夏季の出力回復及び出力向上を図る文献上の提案としては、次のようなものがある。
まず、1流体(水単体)霧化ノズルを用いるものとしては、特開平9−303160号公報や特開平8−284685号公報に、圧縮機上流の吸気室内に水ポンプの吐出圧力で水を散布する1流体水単体霧化ノズルを設置した構成が記載されている。また、特開平11−93692号公報には、熱交換器を利用した空気冷却器と1流体霧化ノズルを併用したシステムが記載されている。水単体を噴霧する1流体ノズルとしては、特開平10−238365号公報に、気体流の増湿を目的として、気体の流れを利用する霧吹き構造の1流体霧化ノズルを管内に配置した構成が記載されている。
【0004】
その一方で、現状では、水単体を用いる1流体霧化ノズルで大量の水を霧化する(水滴径をザウター平均で約20μm以下にする)ことが困難であることから、圧縮機から抽気する空気を用いた2流体霧化ノズルが採用されている場合が多い。その2流体(水−空気)霧化ノズルを用いるものとしては、特開平9−236024号公報、特開平11−13486号公報、特開平11−72029号公報等に、圧縮機上流の吸気室内に水ポンプの吐出圧力と圧縮機出口の空気で水を微細化し噴霧する2流体スプレーノズルを設置する構成が記載されている。更に特開平9−94487号公報には、ガスタービン発電システムの吸気増湿ではないが、屋内外の空間演出用、あるいは室内外の冷却加湿用として、1穴から少量の高圧水を噴出させて扁平な傾斜面に衝突させて霧化させる構造が記載されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−303160号公報
【特許文献2】
特開平8−284685号公報
【特許文献3】
特開平11−93692号公報
【特許文献4】
特開平10−238365号公報
【特許文献5】
特開平9−236024号公報
【特許文献6】
特開平11−13486号公報
【特許文献7】
特開平11−72029号公報
【特許文献8】
特開平9−94487号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
夏季の吸気温度の上昇に伴うガスタービン出力低下を抑制するために、霧化ノズルを使用して圧縮機上流側の吸気に微細水滴を噴霧する場合の課題としては、以下のようなことが挙げられる。
【0007】
第一に、そもそも霧化ノズルを使用する目的は、夏季等におけるタービン出力の低下を防止することであり、霧化ノズルの使用によりシステム損失が生じることは極力避けなければならない。よって、第一の課題としては、霧化ノズルを設けることによるシステム損失をできるだけ少なくすることが挙げられる。
【0008】
第二に、圧縮機入口に配置された空気室内の限られた空間にノズルを設置するため、ノズルの噴霧量が少ない場合、トータルで所望の噴霧量を確保するためには、霧化ノズルの設置数がそれだけ増加する。その結果、コスト高になるばかりでなく空気流れの抵抗になり圧縮機への空気流入量の低下につながる可能性がある。従って、第二の課題としては、小型で、しかもできるだけ大量の水を微小水滴に霧化できるようにすることが挙げられる。
【0009】
第三に、水滴径が大きいと圧縮機に流入する気流にうまく乗らず、また、大きな水滴のまま圧縮機内に流入すると圧縮機の翼でのエロージョンの原因となる。更に、この場合、圧縮機内での蒸発が遅れて気化潜熱による効果が減少し、熱効率向上への貢献度が小さくなる。即ち、第三の課題としては、噴霧される水滴の大きさがザウター平均径で20μm以下となるようにすることが挙げられる。なお、ザウター平均粒径とは、レーザ測定法で計測した散布水粒径を表す一般的な指標であり、通常水滴径として用いられる。
【0010】
以上の課題に対し、まず、2流体霧化ノズルでは、例えば1個当たりで毎時42リットルの水量を散布する場合、使用する空気量は350NL/minとなる。また、圧縮機上流の空気室に噴霧する水量は噴霧水と吸気空気の重量比で約1%である。従って、ノズルにより噴霧する水量は、ガスタービンの容量にもよるが、かなり大量の水が必要となり、多数のノズルを用いて一斉に噴霧するようにしている。例えば、100メガワットのガスタービン発電システムでは、散布水量が毎時42リットルの2流体霧化ノズルを使用した場合、約200個のノズルが必要となり、使用空気量も70Nm3/minとなる。この時に使用される空気を圧縮機から抽気されることにより生じる損失は出力の約2%に相当し、電気出力換算で約2メガワットもの大きな出力損失となる。従って、現状採用されているガスタービン増出力用の2流体霧化ノズル及び特開平9−236024号公報、特開平11−13486号公報、特開平11−72029号公報に記載の2流体霧化ノズルでは、上記第一の課題を解決することができない。
【0011】
一方、特開平9−303160号公報や、特開平8−284685号公報、特開平11−93692号公報には1流体霧化ノズルが開示されているが、具体的なノズル構造の開示がなく、上記第二及び第三の課題を達成するものであるとは言えない。
【0012】
また、特開平10−238365号公報に記載の1流体霧化ノズルも、上記第二及び第三の課題を達成することができない。つまり、特開平10−238365号公報に記載の霧吹き構造の1流体霧化ノズルでは大量の微細水滴噴霧を実現するのは困難であり、また水滴の大きさをザウター平均径で20μm以下に微細化することも難しい。
【0013】
更に、上記特開平9−94487号公報に記載の1流体霧化ノズルはガスタービン増出力用ではなく、仮にこのノズルをガスタービン発電システムの増出力用に適用したとしても、1個当たりの噴霧量が少ないことからノズルの必要設置数が多くなり、それによる設備コストの増加及び圧縮機への空気流入量の低下といった問題が生じ、上記第二の課題を解決することはできない。また、そのノズルを、空気室内において風速5m/s程度の圧縮機の吸気流れ中で使用した場合には、その空気流れにより衝突面の下流側にある支持部材(J字状の曲がりピン)に飛散水滴が当たり、水滴同士が付着し合い、ザウター平均径で20μmより大きい水滴が多くなってしまう。つまり、結果的に上記第三の課題を解決することはできない。
【0014】
本発明の目的は、小型でシステム損失が極力少なく、大量の水を微細水滴に霧化することができるガスタービン増出力用高圧1流体霧化ノズルを提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
(1)上記第1の目的を達成するために、本発明は、圧縮機からの吸気を燃料と共に燃焼させることで生じる燃焼ガスによりタービンを回転させ、そのタービンの回転エネルギーを電気エネルギーに変換するガスタービン発電システムに設置され、前記圧縮機への吸気中に液体を噴霧し、圧縮機の吸気温度を低下させ吸気密度を増加させるガスタービン増出力用高圧1流体霧化ノズルにおいて、高圧液体を導入する液体導入管部と、この液体導入管部からの高圧液体を軸方向にジェット流として噴射する複数のオリフィス、及び各オリフィスから噴射されたジェット流にそれぞれ干渉し、衝突したジェット流を霧化し微細液滴とする複数のターゲットを有するノズル部と、霧化された微細液滴と干渉しないよう、前記ターゲットとの間に微細液滴が通過する間隙を介するように前記ノズル部の周方向を覆う筒状のカバー部とを一体構成して成る。
【0016】
本発明においては、複数のターゲットはそれぞれターゲット先端に向け傾斜した傾斜面を有し、このターゲット傾斜面にオリフィスから噴射される高圧液体のジェット流が衝突することにより、瞬時にジェット流がザウター平均20μm以下の微細液滴に霧化され、傾斜面で跳ね返った微細液滴が、各ターゲットとカバー部との間から連続的にノズル外側に向け噴霧される。そして、本発明においては、上記の液体導入管部、ノズル部、カバー部を、例えば溶接等により接続し、一体化することにより小型化が図られている。
【0017】
また、例えば吸気配管等、狭隘な設置空間に霧化ノズルを設置する場合であっても、上記霧化ノズルは上記カバー部を備えているので、吸気配管に穿設した取付け穴に霧化ノズル先端を差し込み、ノズル先端が僅かに吸気配管内に臨む状態でカバー部を吸気配管に溶接することにより、ノズル先端の吸気配管内における流路抵抗はほとんどなく、吸気の圧力損失を生じさせることを極力抑えることができる。また、一体構造とすることでノズル自体の小型化が図られているので、設置スペースを取らず、設置しても流路抵抗が小さいため圧力損失は非常に小さくなる。更に、ガスタービン発電システムのシステム損失を考えた場合、本発明は1流体霧化ノズルであるため、圧縮機からの抽気を必要とする2流体霧化ノズルと比較して、システム損失も極めて少なくすることができる。
【0018】
そして、なおかつ、オリフィス及びこれに対応したターゲットを複数有しているので、オリフィス及びターゲットが共に1つしかない場合と比べ、ノズル1個当りで大量の噴霧水量を確保することができ、少ない設置数でも大量の水を微細水滴を噴霧することができる。
【0019】
(2)上記(1)において、好ましくは、前記高圧液体が衝突する前記複数のターゲットの先端部は、その先端に向かって前記ジェット流の噴射方向に傾斜した傾斜面を形成している。
【0020】
(3)上記(2)において、また好ましくは、前記傾斜面の先端部は略半円形状に形成され、前記ジェット流は、その略半円形状の先端部のほぼ中心位置に衝突する。
【0021】
本発明によれば、傾斜面におけるジェット流の衝突位置が、半円形状のターゲット先端のほぼ中心位置であるため、衝突してから液膜がちぎれるまでの距離がほぼ一様となり、高圧液体をほぼ一様に霧化させることができる。このとき、本発明においては、カバー部が設けられているため、例えばジェット流の噴射方向が吸気の流れとほぼ直角となるように設置せざるを得ない場合でも、オリフィスからのジェット流はカバー部により保護されているため、吸気の流れに影響されず、ジェット流をターゲット先端のほぼ中心位置に正確に衝突させることができ、常に安定した噴霧状態を確保することができる。
【0022】
(4)上記(1)〜(3)のいずれか1つにおいて、好ましくは、要求される噴霧流量に応じた数だけ、前記オリフィス及びこれに対応する前記ターゲットを備え、5MPa以上の範囲内で前記ジェット流の噴射圧力が調整される。
【0023】
本願発明者等は、本発明の霧化ノズルにおいて、噴射圧力が5MPa以上のとき、ザウター平均水滴径が概ね20μm以下となることを知見した。従って、本発明によって、微細水滴を保ったまま噴霧流量を容易に調整することができる。
【0024】
(5)上記(2)〜(4)のいずれか1つにおいて、また好ましくは、前記ターゲットの傾斜面は、平坦に鏡面仕上げされている。
【0025】
これにより、液膜の厚さを薄くでき、微細水滴への霧化が促進される。
【0026】
(6)上記(2)〜(5)のいずれか1つにおいて、更に好ましくは、前記ターゲットの傾斜面は、要求される微細液滴の噴霧角度に応じた傾斜角度を有している。
【0027】
これにより、噴霧範囲を任意に調整することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
図1(a)は本発明の第1実施の形態によるガスタービン増出力用高圧1流体霧化ノズルの軸方向断面図、図1(b)はそれを図1(a)の右側から見た図である。これら図1(a)及び図1(b)において、本実施の形態に係る高圧1流体霧化ノズル100は、高圧水1を導く液体導入管部2と、この液体導入管部2の先端内側に嵌合したノズル部3と、このノズル部3を周方向から囲うよう液体導入管部2の先端外側に嵌合した筒状のカバー部4とで概略構成されており、これら液体導入管部2、ノズル部3、カバー部4は、ノズル部3及びカバー部4が共に液体導入管部2に溶接されることにより、一体化されている。
【0029】
上記液体導入管部2は、図示しない配管に接続され、この配管からの高圧水1は、ノズル部3に導かれるようになっている。このとき、配管と液体導入管部2との接続構造は、特に限定されるものではないが、例えば互いにネジ部を設けてニップル等を介して接続する構造でも良いし、公知のワンタッチ着脱式のカップリング部品を介した接続構造としても良い。また、高圧水1中の塵埃を除去するフィルタを液体導入管部2中に設けること等も考えられる。
【0030】
図2は、ノズル部3の概略構成を表す斜視図である。
この図2と先の図1(a)及び図1(b)に示すように、ノズル部3は、液体導入管部2に嵌合したオリフィス部5と、高圧1流体霧化ノズル100先端に位置するターゲット部6と、これらオリフィス部5及びターゲット部6を接続する軸部7とで構成されている。
【0031】
オリフィス部5には、小径のオリフィス8が、周方向にほぼ等ピッチで複数(この例では4つ)軸方向に穿設されている。但し、各オリフィス8は、噴射するジェット流9を細糸状にするために極力高い加工精度で仕上げる必要があり、例えば放電加工等で仕上ることが好ましい。また、各オリフィス8には、それぞれ液体導入管部2内に臨む上流側において、拡径された導入水整流部10が設けられている。この導入水整流部10の設定長さは長い方が好ましい。
【0032】
ターゲット部6は、図2に示すように、軸部7を介してオリフィス部5に接続した基部11と、この基部11に径方向に放射状に突設された複数(これの例では4つ)のターゲット12とで構成されている。これらターゲット12は、それぞれ先端部が各オリフィス8から噴射されたジェット流9に干渉するように設けられている。
【0033】
図3(a)及び図3(b)は、それぞれ図2のA部で示すターゲット12の先端を拡大した正面図及び側面図である。
これら図3(a)及び図3(b)に示すように、ターゲット12の先端には、軸方向に対して角度Bだけ傾斜した傾斜面13が設けられている。この傾斜面13は、平坦に鏡面仕上げされており、その先端部は半径Rの半円形状に形成されている。各オリフィス8から噴射されたジェット流9は、各ターゲット12の傾斜面13の半円状先端部のほぼ中心位置(詳細には先端からの距離が2/Rの位置)に衝突し霧化されると共に、各ターゲット12の先端とカバー部4との間から傾斜面13の傾斜角Bに応じて外側に向かって噴霧される。この噴霧される微細水滴14の噴霧角度は、傾斜面13の傾斜角Bを調整することで調整可能となっている。
【0034】
また、噴霧される微細水滴14は、角度Wの広がりを持って噴霧されるため、カバー部4の先端部内壁には、先端に向かって内径が広がるようにテーパ部15が設けられ、噴霧される微細水滴14に干渉しないよう配慮されている。
【0035】
なお、各オリフィス8とターゲット12の傾斜面13(衝突面)との距離は、あまり短いと跳ね返った微細水滴14の一部がカバー部4の内壁やオリフィス部5に飛散し、粒の大きな水滴となり液垂れ現象が発生してしまう可能性がある。従って、小穴オリフィス8とターゲット12の傾斜面13との距離、即ち軸部7の長さは、こうした液垂れ現象が発生しない程度の距離とすることが望ましい。
【0036】
次に、上記構成の本実施の形態によるガスタービン増出力用高圧1流体霧化ノズル100の動作を説明する。
図1において、図示しない配管から液体導入管部2内に導かれた高圧水1は、導入水整流部10から流入し、オリフィス8を介して軸線方向に噴射される。各オリフィス8から噴射されたジェット流9は、その進路上にあるターゲット12の傾斜面13に衝突することで微細水滴化され、噴霧水滴9としてターゲット12の先端とカバー部4との間の隙間から噴射(噴霧)される。
ガスタービンを用いた発電システムは、夏季等の気温の高い時期において吸気温度上昇により出力が低下する傾向があるが、このような微細化された噴霧水滴9が、圧縮機上流側の吸気に噴霧されることで吸気が増潤され、その蒸発熱により吸気温度が低下し、吸気の質量流量が増加し、システムの増出力化を図ることができる。
【0037】
以下、本実施の形態により得られる作用効果を順次説明する。
▲1▼液体導入管部、ノズル部、カバー部を一体構成したことの作用
図4は、高圧1流体ノズル100を、例えば吸気配管等といった狭隘な気体流路に設置した状態を断面で表す図である。この図4において、高圧1流体ノズル100は、先端部が吸気配管20の内部に僅かに臨む状態でそのカバー部4と吸気配管20の外周部とを全周溶接することにより、吸気配管20に対して固定されている。そして、吸気は、高圧1流体ノズル100から噴霧された微細水滴14と共に吸気配管20内を矢印21方向に流れる。
【0038】
このような狭隘な空間にノズルを設置する場合、吸気配管20の流路内にノズル先端を臨ませなければならないため、ノズル自体が大きければ、それだけ流路内の流路抵抗が大きくなり、吸気の圧力損失が大きくなる。また、仮にカバー部4がない場合、高圧1流体ノズル100は、液体導入管部2がノズル部3を吸気配管20に対して溶接することになり、その先端が吸気配管20内に大きく突出することになる。
【0039】
それに対し、本実施の形態の高圧1流体ノズル100は、液体導入管部2、ノズル部3、カバー部4を互いに溶接して一体的に構成することにより小型化(例えばカバー部4の径で約7mm程度)することができる。
【0040】
また、上記高圧1流体ノズル100は、先端にカバー部4を有しているので、カバー部4を吸気配管20に対して溶接することで、その先端部が僅かに吸気配管20内に臨む状態で固定することができ、設置しても吸気配管20内で流路抵抗となることもほとんどなく、カバー部のないノズルを設置した場合と比べ、吸気の圧力損失を著しく低減することができる。
【0041】
更に、ノズル部3がカバー部4で囲われているので、オリフィス8から噴射されるジェット流9がカバー部4により保護され、吸気の流れによってジェット流9に横方向への力が作用することがなく、各ジェット流9が、正確に対応するターゲット12の既定位置に衝突し、吸気の低流速エリア、高流速エリアに関わらず、安定した噴霧水滴9の噴射状態を保つことができる。
【0042】
また、ターゲット部6よりも下流側に何等構成部材がないため、ターゲット12に衝突して噴霧された微細水滴14が、噴霧後に何かの構成部材に衝突して水滴同士が付着し合って大粒化することがない。従って、微細水滴14を、非常に小さな粒径を保ったまま圧縮機への吸気中に噴霧し、そこで効率的に気化させることができる。
【0043】
▲2▼導入水整流部10による作用
本実施の形態の高圧1流体霧化ノズル100では、オリフィス8からのジェット流9は高速となるため上流側の流れが乱れると、これに影響を受け、噴出されるジェット流9は、細糸状の水単体の流れとはならず、空気の混入した太いものとなる。その結果、ジェット流9のターゲット12への衝突範囲が広範囲となり、衝突エネルギーが分散するために、微細水滴14として要求される水滴径が得られなくなる。
【0044】
そこで、本実施の形態においては、オリフィス8の上流側に拡径された導入水整流部10が設けられているため、直接オリフィス8に高圧水が導かれるよりも流路抵抗が小さくなり、オリフィス8へ導入される高圧水1がここで整流されるため、オリフィス8から空気混入量の少ない細糸状のジェット流9を噴出することができ、所望の水滴径の微細水滴14を得ることができる。
【0045】
▲3▼オリフィス8の放電加工による作用
仮に、オリフィス8をドリル加工で仕上た場合、オリフィス8の内壁面が粗面となり、ジェット流9に乱れが生じるため、空気が混入した太いジェット流9が噴射されてしまい、ターゲット12に対する衝突部位が広範囲になり、衝突エネルギーが分散してしまう。
それに対し、先の図3(a)に模式的に示したように、本実施の形態では、オリフィス8は放電加工等で高精度に仕上加工されるため、オリフィス8の内壁面を、面粗度の非常に低い滑らかな面に仕上げることができる。従って、オリフィス8から噴射されるジェット流9を、ターゲット12へのジェット流9の規定の衝突位置(即ちターゲット12先端から距離R/2の位置)に正確に衝突させることができる。
【0046】
なお、仮にオリフィス8をドリル加工する場合、ジェット流9が太くなるため、各オリフィス8のオリフィス部5における穿設位置をやや径方向内側にずらし、図3(a)に示したよりもターゲット12先端位置より内側にジェット流9が衝突するようにすることが好ましい。
【0047】
▲4▼カバー部4のテーパ部15による作用
仮に、ターゲット12に衝突した微細水滴14がカバー部4に衝突すると、カバー部4に水滴が付着し噴霧水滴が大粒になると共に、液垂れが生じてしまう。また、カバー部4は、ジェット流9の側方を覆い、吸気流れの影響からジェット流9のターゲット12への衝突位置が規定位置からずれることを防止するものであるため、その先端部の位置は最低限ノズル先端部5の先端位置に対応する位置となる。また、図1に示すように、カバー部4の先端位置は、ジェット流9がターゲット12に衝突した後に発生する微細水滴14に干渉しないように設ける必要がある。加えてカバー部4の外径は、そのまま高圧1流体霧化ノズル100の最大径となるため、できるだけ小さい方が好ましい。
【0048】
以上の条件を踏まえた上で、仮にカバー部4にテーパ部15がない場合、微細水滴14の噴霧幅Wに干渉しないように、ターゲット12との間の間隙を大きく取らねばならず、それだけカバー部4の径を大きくしなければならなくなる。それに対し、本実施の形態においては、カバー部4先端部の内周側にテーパ部15を設けてあるので、テーパ部15がない場合と比べて小径のカバー部4を用いても、カバー部4が微細水滴14に干渉しないようにすることができる。
【0049】
▲5▼ターゲットの傾斜面13による作用
本実施の形態においては、ターゲット12の傾斜面13の傾斜角度を変えることで微細水滴14の噴霧角度を調整することができる。従って、予め要求される微細水滴14の噴霧角度に応じ、各ターゲット12の傾斜面13の傾斜角度Bを調整することにより、要求の噴霧角度で微細水滴14を噴霧することができる。また、各ターゲット12の傾斜面13の表面は、鏡面に近い程、形成される水膜が薄くなり微細水滴14がより微細化される。従って、本実施の形態においては、傾斜面13を鏡面仕上げすることにより、非常に粒径の小さな微細水滴14を噴霧することができる。
【0050】
▲6▼システム損失の抑制
ここで、図5は、噴霧水滴径分布を示すグラフで、横軸は噴霧分布中心からの半径方向距離、縦軸はザウター平均水滴径をそれぞれ表している。この図5において、曲線a,bはそれぞれ噴霧圧力が5MPa〜9MPa,4MPaでの水滴分布、点線矢印は微細水滴の到達範囲の端部をそれぞれ示している。但し、測定位置はノズル先端から50mmの位置とした。
この図5に示すように、本実施の形態では、噴霧圧力5MPa〜9MPaで噴霧することで、ザウター平均水滴径20μm以下の微細水滴が噴霧できることが分かる。
【0051】
また、図6は、4つのターゲットを備えた本実施の形態の高圧1流体霧化ノズル100の流量特性を示すグラフで、横軸は噴霧圧力(ノズル内圧)、縦軸は噴霧水量をそれぞれ示している。但し、この図6は、噴霧圧力7MPaが、ノズルの定格流量である場合を示している。
この図6に示すように、噴霧圧力5MPa〜9MPaで噴霧水量が1.00L/min〜1.36L/minとなり、噴霧圧力を5MPa〜9MPaの間で調整することにより、定格流量(7MPa)を中心に±15%の噴霧水量の調整が可能であることが分かる。
【0052】
以上のように、本実施の形態は、1流体霧化ノズルを採用し十分に微細化された微細水滴14を噴霧することができる。従来の圧縮機からの抽気を必要とする2流体霧化ノズルを用いた場合、圧縮機からの抽気により全体の約2%相当の発電出力損失が生じるが、本実施の形態においては、圧縮機からの抽気を必要としないので、その分、ガスタービン発電システムのシステム損失が少なく、より高効率の運用が可能となる。例えば、本実施の形態の高圧1流体霧化ノズル100を100メガワットのガスタービン発電システムに使用した場合の出力損失は、高圧水1を圧送するための高圧ポンプの使用電力(例えば約25キロワット程度)だけである。これは、圧縮機からの抽気を必要とする2流体霧化ノズルを使用する場合の使用電力(例えば約2メガワット程度)の約1.25%であり、発電出力損失としては、全体の0.025%であって、従来の2流体霧化ノズルを使用した場合の発電出力損失(約2%)に比較して極めて少ない。
【0053】
また、本実施の形態においては、ターゲット12を複数(本実施の形態では4つ)設けたので、4本のジェット流9を同時に霧化することができ、1つのノズルで大量の微細水滴14が得られる。その結果、ノズル設置個数を削減でき、システムコストを削減できると共に、先に図4で説明したように、ノズルを小型にすることで吸入空気の流れ中に配置してもその空気流れに対する吸気圧力損失を減少させることができる。また、十分に微細化された微細水滴14を噴霧することができるので、圧縮機の翼に対するエロージョンも回避できると共に、圧縮機内での蒸発が迅速に行われ気化潜熱による効果が効率的に得られ、熱効率が向上する。
【0054】
以上のように、本実施の形態の高圧1流体霧化ノズル100をガスタービン発電システムに設置した場合、発電効率を向上させることができる。
【0055】
なお、図7(a)及び図7(b)にそれぞれ軸方向断面図及びこの軸方向断面図の右側から見た図を示したように、ターゲット12を8つ設けた高圧1流体霧化ノズル200の場合には、オリフィス8の口径が同じであれば、ターゲット12が4つの高圧1流体霧化ノズル100に比べて2倍の噴霧流量を得ることができる。先の図6において、高圧1流体霧化ノズル100では、噴霧圧力を7MPaとした場合、約1.18L/minの水の噴霧ができることになるが、高圧1流体霧化ノズル200では噴霧圧力が同じであれば、その倍の約2.36L/minの流量を噴霧することができることになる。従って、図7の高圧1流体霧化ノズル200のように、ターゲット数を増加させた場合、ノズル1個当りの噴霧流量が増加する分、ノズル設置数を低減させられるため、4ターゲットノズルである高圧1流体霧化ノズル100と比しても、システムコストをより削減できると共に、吸入空気の流れ中に配置しても、配置数が少なくて済むため、空気流れに対する吸気圧力損失を更に減少させることができる。
【0056】
▲7▼コーンコラップスの防止
噴霧水滴9は、各ターゲット12の傾斜面13に衝突し、軸方向に対して前方にほぼ角度B〜角度B+W程度傾斜しつつも、それぞれ径方向外側に噴出されるため、全体的に見ると、円錐状でなく4角錐状(図7の高圧1流体霧化ノズル200では8角錐状)に噴霧される。そのため、4方向(図7の場合8方向)に飛散する各噴霧水滴9間には間隙22が形成され、この間隙22を介することにより、各噴霧水滴9で形作られる角錐(噴霧領域)の中央部(内側)にある、各ターゲット部6前方空間に外気が流入する。噴霧雰囲気が高温、高圧の場合、噴霧水滴中に外気が流入しないと、しばしば噴霧領域の中央部が減圧され噴霧領域そのものが縮小してしまい、水滴同士が付着し合って噴霧水滴径が大きくなってしまう現象(コーンコラップス現象)が生じる場合がある。それに対し、本実施の形態においては、間隙22を介して外気が噴霧領域内に流通するので、噴霧領域中の減圧領域の発生を抑制しコーンコラップス現象の発生を防止することができる。従って、本実施の形態は高温、高圧の雰囲気に噴霧する場合にも、十分に適用性を有する。
【0057】
以上においては、本発明のガスタービン増出力用高圧1流体霧化ノズルの実施の形態について示したが、以下、以上の高圧1流体霧化ノズル100(又は200)を設置したガスタービン発電システムについて説明する。
【0058】
図8は、本発明のガスタービン増出力用高圧1流体霧化ノズルを備えたガスタービン発電システムの概略構成図である。
この図8において、ガスタービン発電システムは、吸気30を圧縮する圧縮機31と、圧縮した空気に燃料を注入して燃焼させる燃焼器32と、その燃焼ガスのエネルギーにより回転するタービン33と、このタービン33の回転により駆動されて電気を発生させる発電機34と、圧縮機31の入口に設置された空気室35と、この空気室35内に微細水滴14を噴霧する噴霧システム36を備えている。
【0059】
ここで、燃焼器32には、燃焼用のバーナ37が設けられ、燃焼ガスは消音器38を経由して外部に排気ガス39として放出される。燃焼器32には、燃料タンク40に貯留された燃料が、燃料ポンプ41によって吐出され供給される。この燃料供給系統の途中には、フィルタ42が設けられており、供給燃料中の異物はこのフィルタ42によって除去される。また、供給燃料の流量は、流量計43によって検出され、この流量計43の検出値を基に、図示しない制御装置等によって流量コントロール弁44の開度調整を行うことにより、燃料流量が所望の値となるよう制御される。また、発電機34には、変電設備を経由して電気を送電する送電端45が接続されている。
【0060】
噴霧システム36においては、噴霧する水は、貯水タンク47に貯水されており、この貯水タンク47に接続された高圧ポンプ48により吐出され、主供給管49及びこれに接続した複数の分岐管50、ヘッダー51を介し、各ヘッダー51に多数設けられた高圧1流体霧化ノズル100(又は200)から噴霧される。高圧ポンプ48からの吐出圧力は、圧力センサ52により検出され、この圧力センサ52の検出値を基に圧力コントロール弁53が制御されることにより、所望値に調整されるようになっている。また、主供給管49中を流れる水の流量は、流量計54によって検出され、この流量計54の検出値を基に流量コントロール弁55が作動することにより、所望値に制御されるようになっている。また、流量コントロール弁55の下流側には、フィルタ56が設けられており、このフィルタ56によって主供給管49中を流れる水に混入する異物を除去するようになっている。また、主供給管49、分岐管50には、それぞれ供給水圧力を検出する圧力センサ57、ON/OFFモータ弁58が設けられている。なお、空気室35には噴霧した微細水滴14の凝結水滴を排出するためのドレン弁59が設置されている。
【0061】
以上のように構成した本実施形態のガスタービン発電システムの運転に際しては、まず、初期状態で別設備であるモータ(図示せず)により回転させ、燃料供給系から燃料を燃焼器32に供給し、燃焼用バーナ37により着火して燃焼させる。定常状態になったら、別設備であるモータを切り離し、燃焼を継続させることで定常運転状態を維持する。タービン33からの排気ガス39は、蒸気タービンのボイラ(図示せず)に流入させて再利用されるか、又は排ガス処理装置(図示せず)でNOx、SOx等の除去を行い、大気に放出される。
【0062】
また、空気室35を通過して圧縮機31に吸入される吸気30は、噴霧システム36の高圧1流体霧化ノズル100(又は200)から噴霧される微細水滴14を含んで密度が増加した噴霧済み吸気60となり、圧縮機31に流入する。この時、吸気30の温度が下げられると同時に圧縮機31に流入する流体の重量流量が増加する。
【0063】
次に、吸気30に含まれて圧縮機31に流入する水滴の作用を示す。
圧縮機31に流入する水滴は、作動流体の重量流量を増加させ、圧縮機31内で気化する。この作動流体は、気化が完了するとさらに断熱圧縮を受ける。その際、水蒸気の定圧比熱は圧縮機31内の代表的な温度(約300℃)近傍では、空気の約2倍となり、熱容量的には空気換算で気化する水滴重量の約2倍の空気が作動流体として増したのと等価となる。圧縮機31の動力は、圧縮機31出入口の作動流体のエンタルピ差に等しく、作動流体のエンタルピは温度に比例するので、圧縮機31出口の作動流体温度が下がると、圧縮機31の所要動力もそれにつれて低減することができる。従って、圧縮機31内に流入する水滴の粒径はできるだけ小さくし、早めに気化させることで圧縮機31出口の温度を低く抑えることが効率向上に重要となる。上述した本発明による高圧1流体霧化ノズル100(又は200)は、噴霧水滴径を約20μm以下に達成できることから有効である。
【0064】
圧縮機31で加圧された作動流体は、燃焼器32で燃料の燃焼により昇温された後タービン33に流入して膨張し仕事を行う。この仕事はタービン33の軸出力と呼ばれ、タービン33の出入口作動流体のエンタルピ差に等しい。
【0065】
燃料の投入量は、タービン33入口のガス温度が所定の温度を超えないように制御される。たとえば、タービン33出入口の作動流体温度が、本発明の高圧1流体霧化ノズル100(又は200)設置前の値と等しくなるように燃焼器32への燃料量を制御する。このような燃焼温度一定制御が行われると、先に述べたように噴霧水滴により圧縮機31出口の温度が低下している分だけ燃料投入量が増すことになる。
【0066】
また、燃焼温度が不変かつ流入水滴の重量割合が噴霧済み吸気30の数パーセント程度であれば、タービン33入口部の圧力と圧縮機31の出口圧力は水滴注入の有無で近似的に変わらないので、タービン33出口温度T4も変化しない。よって、タービン33の軸出力は水滴注入の有無で変化しないことになる。
【0067】
一方、タービン33の正味出力は、タービン33の出力から圧縮機31の動力を差し引いたものであるから、結局、本発明の高圧1流体霧化ノズル100(又は200)により噴霧することで圧縮機31の動力が低減した分だけタービン33の正味出力を増すことができる。
【0068】
ここで、噴霧済み吸気30の温度をT1、圧縮機31の出口の温度をT2、燃焼器32の温度をT3、タービン33出口温度をT4とすると、タービン33の電気出力Eは、タービン33の軸出力Cp(T3−T4)から圧縮機31の仕事Cp(T2−T1)を差し引いて得られ、近似的に次式で表される。
E=(T3−T4)−(T2−T1) ・・・・・(1)
通常、燃焼温度T3は一定となるように運転されるので、圧縮機31の出口温度T2が水滴の注入によりT2’に低下すると、圧縮機31の仕事の低下分に等価な増出力Cp(T2−T2’)が得られることになる。
【0069】
一方、ガスタービン発電システムの効率ηは近似的に次式で与えられる。
η=1−(T4−T1)/(T3−T2) ・・・・・(2)
これから、T2’<T2であるから、右辺第2項は小さくなるので水滴注入で効率も向上する。
【0070】
従って、本実施の形態のガスタービン発電システムによれば、高圧1流体霧化ノズル100(又は200)を複数備える噴霧システム36により、圧縮機31の吸気30に対して大量かつ微細な水滴を噴霧することができるため、夏季の吸気温度の上昇に伴うガスタービン出力低下を抑制することができる。その結果、ガスタービン発電システムの夏季の吸気温度上昇に伴う出力低下を回避できることから、季節に係わりなく高効率運転が可能となる。
【0071】
【発明の効果】
本発明によれば、液体導入管部、ノズル部、カバー部を、例えば溶接等により接続し一体化することにより、小型化を図ることができる。これにより、設置スペースを省スペース化することができ、ノズル取付部での圧力損失を低減することができる。特に、カバー部を備えているので、吸気配管等に設置する場合、配管側部に対し、配管内に僅かに先端が臨む状態でカバー部を配管に溶接することにより、配管内へのノズル先端の突出部が著しく小さくでき、流路抵抗を極力抑えることもできる。また、圧縮機からの抽気を使用して液体の微細化を図る2流体ノズルと比較して、抽気を使用せずに微細液滴を噴霧することができる。従って、システム損失を極力抑えることができる。また、オリフィス及びこれに対応したターゲットを複数設けることにより、ノズル1つ当りの噴霧水量を増加させることができ、少数のノズルで大量の水を微細水滴に霧化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガスタービン増出力用高圧1流体霧化ノズルの実施の形態の軸方向断面図、及びこの図の右側から見た図である。
【図2】ノズル部の概略構成を表す斜視図である。
【図3】図2のA部で示すターゲットの先端を拡大した正面図及び側面図である。
【図4】本発明のガスタービン増出力用高圧1流体霧化ノズルを、例えば吸気配管等といった狭隘な気体流路に設置した状態を断面で表す図である。
【図5】噴霧水滴径分布を示すグラフで、横軸は噴霧分布中心からの半径方向距離、縦軸はザウター平均水滴径をそれぞれ表している。
【図6】4つのターゲットを備えた本発明のガスタービン増出力用高圧1流体霧化ノズルの流量特性を示すグラフで、横軸は噴霧圧力(ノズル内圧)、縦軸は噴霧水量をそれぞれ示している。
【図7】8つのターゲットを備えた本発明のガスタービン増出力用高圧1流体霧化ノズルの実施の形態の軸方向断面図、及びこの図中右側から見た図である。
【図8】本発明のガスタービン増出力用高圧1流体霧化ノズルを備えたガスタービン発電システムの概略構成図である。
【符号の説明】
1 高圧水(高圧液体)
2 液体導入管部
3 ノズル部
4 カバー部
8 オリフィス
9 ジェット流
12 ターゲット
13 傾斜面
14 微細液滴
31 圧縮機
33 タービン
100 ガスタービン増出力用高圧1流体霧化ノズル
200 ガスタービン増出力用高圧1流体霧化ノズル
Claims (6)
- 圧縮機からの吸気を燃料と共に燃焼させることで生じる燃焼ガスによりタービンを回転させ、そのタービンの回転エネルギーを電気エネルギーに変換するガスタービン発電システムに設置され、前記圧縮機への吸気中に液体を噴霧し、圧縮機の吸気温度を低下させ吸気密度を増加させるガスタービン増出力用高圧1流体霧化ノズルにおいて、
高圧液体を導入する液体導入管部と、
この液体導入管部からの高圧液体を軸方向にジェット流として噴射する複数のオリフィス、及び各オリフィスから噴射されたジェット流にそれぞれ干渉し、衝突したジェット流を霧化し微細液滴とする複数のターゲットを有するノズル部と、
霧化された微細液滴と干渉しないよう、前記ターゲットとの間に微細液滴が通過する間隙を介するように前記ノズル部の周方向を覆う筒状のカバー部と
を一体構成して成ることを特徴とするガスタービン増出力用高圧1流体霧化ノズル。 - 請求項1記載のガスタービン増出力用高圧1流体霧化ノズルにおいて、前記ジェット流が衝突する前記複数のターゲットの先端部は、その先端に向かって前記ジェット流の噴射方向に傾斜した傾斜面となっていることを特徴とするガスタービン増出力用高圧1流体霧化ノズル。
- 請求項2記載のガスタービン増出力用高圧1流体霧化ノズルにおいて、前記傾斜面の先端部は略半円形状に形成され、前記ジェット流は、その略半円形状の先端部のほぼ中心位置に衝突することを特徴とするガスタービン増出力用高圧1流体霧化ノズル。
- 請求項1〜3のいずれか1項記載のガスタービン増出力用高圧1流体霧化ノズルにおいて、要求される噴霧流量に応じた数だけ、前記オリフィス及びこれに対応する前記ターゲットを備え、5MPa以上の範囲内で前記ジェット流の噴射圧力が調整されることを特徴とするガスタービン増出力用高圧1流体霧化ノズル。
- 請求項2〜4のいずれか1項記載のガスタービン増出力用高圧1流体霧化ノズルにおいて、前記ターゲットの傾斜面は、平坦に鏡面仕上げされていることを特徴とするガスタービン増出力用高圧1流体霧化ノズル。
- 請求項2〜5のいずれか1項記載のガスタービン増出力用高圧1流体霧化ノズルにおいて、前記ターゲットの傾斜面は、要求される微細液滴の噴霧角度に応じた傾斜角度を有していることを特徴とするガスタービン増出力用高圧1流体霧化ノズル。
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