JP2004149643A - 着色料とその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】カルミンを用いて赤味の強い鮮やかな赤色で食品等を着色する。
【解決手段】カルミンを固体状態のまま微細化し、乳化剤などを添加することで安定に分散させた着色料を提供する。また、係る着色料の製造方法として、固体状態のカルミンを乳化剤などを添加した水性原料に添加し微細化する方法、固体状態のカルミンを微細化した後に乳化剤などを添加した水性原料に添加する方法、固体状態のカルミンをアルカリ溶液に溶解し、乳化剤などを添加した後に酸性溶液を添加することでカルミンを析出させる方法を提供する。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は赤色着色料に関し、更に詳しくは固体状態のカルミンを分散させた赤色着色料及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、食品、医薬部外品、化粧品等を赤色に着色する方法は従来からよく知られている。例えば、天然色素であるコチニール色素、ラック色素等のキノン系色素、赤キャベツ色素、グレープ色素、ベリー色素等のアントシアニン系色素、クチナシ赤色素、紅麹色素、ビート色素等である。しかし、従来から用いられてきた色素類は食品等の着色に用いる場合に大きな欠点があった。即ち、コチニール色素、ラック色素などのキノン系色素はpHが5以下の場合黄色から橙色となり、赤キャベツ色素、グレープ色素を代表とするアントシアニン系色素はpHが中性の場合紫色から緑色となり、紅麹色素は耐光性が、ビート色素は耐熱性が劣り色素の退色が著しく、クチナシ赤色素は紫がかった色相であり鮮明な色調に着色する事は困難であるなどである。特に、コチニール色素は、pH3.0の低pH域では橙色であるが、中性域では赤色となり、さらに蛋白質の存在下では紫変するなど、色調の安定を図ることは困難であった。
【0003】
従来技術として、コチニール色素の主成分であるカルミン酸を抽出する技術(特許文献1参照)、アルミニウム塩色素とする技術(特許文献2参照)、アントラキノン系色素(カルミン酸)に酒石酸ナトリウム、ミョウバン及び炭酸ナトリウムからなる組成物を用いて色素の安定化を図る方法(特許文献3参照)、コチニール色素と粉末状の難溶性カルシウム含有物質とからなる食用着色剤により、水産練製品における色素の移行(色流れ)なく着色する方法(特許文献4参照)、特定の単体物質を固着促進剤の存在下に、コチニール色素のレーキ物を微分散させた水性溶媒と接触させることを特徴とする赤色顔料(特許文献5参照)等が開示されている。
【特許文献1】
特開昭53−60934号公報 (第2頁左上欄第8〜18行)
【特許文献2】
特開昭53−71128号公報 (第2頁左上欄第13行〜右上欄第4行)
【特許文献3】
特開昭56−139561号公報 (第1頁左欄第6〜13行)
【特許文献4】
特開平1−225460号公報 (第2頁左上欄第15行〜右上欄第4行)
【特許文献5】
特開平10−158537号公報 (第2頁右欄第27〜33行)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来技術に開示されている色素を用いて食品を均一で安定した色調で着色することは従来技術をもってしても不十分であった(特許文献1,3,4)。また、カルミン酸のアルミニウム塩やレーキを溶かして溶液の状態で用いた場合(特許文献2,5)でも、明るい色調に食品を着色することができなかった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、固体状態のカルミンを粒子径10μm以下になるように微細化した赤色着色料、該着色料を含む赤色着色料製剤及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
本発明に使用できるカルミンは、カイガラムシ科エンジムシ(Coccus cacti LINNE(Dactylopius coccus COSTA))の乾燥体を基原とし、温時〜熱時水で、または温時含水エタノールで抽出して得られるカルミン酸のアルミニウムレーキ、またはカルシウム アルミニウムレーキである。係るカルミンは市販されているものを使用することができ、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製の「カルミン“サンエイ”」等を例示することができ、好ましくは本願出願人がWO 02/22743 A1として開示している方法により得られるカルミンである(「サンエイ」は三栄源エフ・エフ・アイ株式会社の登録商標)。
【0007】
本発明でいう水性原料とは、水、糖類、エタノール、多価アルコールなどの水または水と均一に混合可能な溶剤をいう。或いは係る水性原料に本願発明に係る微細化した赤色着色料が均一に分散できるよう、次に上げるような乳化剤、増粘安定剤および乳化安定効果のある素材から成る群の1種又は2種以上を水性原料に添加することにより、適度な粘度、例えば1〜3000mPa・s、好ましくは1000〜2000mPa・sとすることが望ましい。係る粘度は、微細化の際に用いる機械により、適宜変更することができる。
【0008】
本発明において使用する乳化剤、増粘安定剤および乳化安定効果のある素材は、乳化性あるいは分散性を有するものであれば特に制限無く使用できる。例えばショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、レシチン、キラヤ抽出物、大豆サポニンなどの乳化剤または界面活性剤;アラビアガム、グアーガム、ペクチン、キサンタンガムなどの増粘安定剤;デキストリン、加工澱粉、ワキシスターチなどの澱粉類;カゼイン、ゼラチンなどのタンパク質類;その他水飴、果糖ぶどう糖液糖などの乳化安定効果を有する素材が挙げられ、これらの1種または2種以上を併用することができる。好ましくは水飴、果糖ぶどう糖液糖である。
【0009】
本発明における微細化されたカルミンの粒子径は10μm以下がよく、好ましくは3μm以下、さらに好ましくは1μm以下である。粒子径が10μmを超えると食品等に添加した場合に色調が暗く色の伸びが劣り、製造工程中や液状の着色料製剤に加工し保管する際に沈降を生じる場合がある。一般に、分散している色素の粒子径が不均一であると、粒子径の大きいものの方が沈降しやすいことから、色素の保管中に沈降が生じ、着色料としての商品価値が著しく損なわれるという問題があった。このため、乳化剤などを着色料に添加して冷蔵庫に保管することにより水性原料の粘度を上げ、色素の沈降を防ぐ等の対応がとられていた。これに対し本願発明に係る着色料は、色素の平均粒径が10μm以下と均一に微細化されているため、液状赤色着色料として常温で保存しても色素の沈降を防ぐことが可能となっている。本願発明に係る赤色着色料製剤中のカルミン含量は0.1〜50%(重量、以下同じ)がよく、より好ましくは0.5〜20%がよい。
【0010】
そして、本発明における赤色着色料の製造方法は、カルミンを乳化剤などを用いて水性原料に分散させた後、粉砕機等により粉砕・微細化する方法、或いはカルミンを先に粉砕機等で粉砕・微細化した後に水性原料に添加し分散する方法、或いはカルミンをアルカリ性溶液に溶解し、乳化剤などを添加した後に酸性溶液を添加し、カルミンを析出させて微細な固体状態のカルミンを得る方法が例示できる。カルミンを粉砕機にて粉砕する時における操作条件や、着色料中のカルミンの添加量、乳化剤などの添加量・組み合わせについては任意とすることができる。以下、更に詳しく製造方法を説明する。
【0011】
まず、本発明におけるカルミンを微細化する方法は、カルミンの粒子径が上述の範囲になるものであれば特に制限無く、例えば従来より使用されている粉砕機等を乾式・湿式を問わず使用することができる。乾式による粉砕機等の例示としては、高速回転ミルのハンマーミル(アトマイザーなど)、ディスクピンミル(コロプレックスなど);分級機内蔵型高速回転ミルのターボ型ミル(スーパーミクロンミル、ターボミルなど);媒体攪拌ミルの攪拌槽式ミル(アトライターなど);気流式粉砕機の衝突型(マジャックミルなど)が例示できる。また、湿式の粉砕機の例示としては、ローラミルのローラ転動ミル(ロッシェミルなど)、遠心ローラミル(レイモンドミルなど);高速回転ミルのターボミル型(ターボミルなど)、固定衝撃板型(ウェトコミルなど);媒体攪拌ミルの流通管式ミル(サンドグラインダー)、攪拌槽式ミル(アトライタなど);ジェットミルのジェット気流衝突型(マジャックパルペライザーなど)、衝突板型複合型(スーパーシングルトラックジェットミルなど);その他コロイドミルなどが挙げられる。これらの1種又は2種以上を組み合わせるか、同じ機器で微細化処理を繰り返し行っても良い。
【0012】
具体的には、固体状態のカルミンを粉砕機に投入し、使用する粉砕機に応じた条件で粉砕処理を行い、カルミンの粒子径を10μm以下になるように調製する。そして、得られた微細化されたカルミンと色素・色素製剤に添加される成分を混合し、粉末状の赤色着色料製剤とすることができる。
また、係る微細化カルミンを水性原料に添加し、乳化剤などを加え、混合することによって本願発明に係る微細化されたカルミンの液体製剤を得ることができる。或いは、微細化前のカルミンを水性原料に投入し、乳化剤などを添加し、粉砕処理を行うことにより同様の微細化されたカルミンを含む液体製剤を得ることができる。
【0013】
さらに、カルミンを一旦アルカリ溶液中で溶解させ、乳化剤などを添加した後、酸性溶液にて結晶を析出させて微細化された固体状態のカルミンを得る方法が挙げられる。係る製造方法において着色料中のカルミンの添加量や、乳化剤などの添加量・組み合わせについては任意とすることができるが、粘度の高い溶液中でカルミンを析出させることが好ましい。具体的に溶液の粘性率は27.5mPa・s以上がよく、好ましくは112.5mPa・s以上である。粘性率が25.0mPa・s以下の溶液で結晶を析出した場合は、粒径が大きくなり、色調が暗く色伸びが劣り、製造工程中に沈殿する場合がある。本発明にかかる色素製剤中のカルミン含量は使用するアルカリ溶液の溶解度に依存し、アルカリ溶液に溶解する量でなければならない。
【0014】
ここで、カルミンを溶解するアルカリ溶液は、上述の水性原料にアルカリ性物質を適宜添加したものでよく、具体的には水性原料に溶解すればアルカリ性を示す食品製造に使用できる物質、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アンモニア、リン酸三ナトリウム等のリン酸塩等の1種又は2種以上を組み合わせて添加することができる。その添加量は、カルミンが溶解するpHとなる範囲、例えばpH10〜14、好ましくはpH12となる添加量であればよく、添加するアルカリ性物質に応じて適宜調整すればよい。
【0015】
また、カルミンを析出させるために添加する酸性溶液は、アルカリ溶液に溶解したカルミンが析出するpHとなるような量を添加すればよく、食品の製造に使用できる酸性物質、例えば塩酸、硫酸、クエン酸、リン酸、酢酸、硫酸アルミニウムカリウム等の1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0016】
従来のカルミンを用いた赤色着色料は、くすんだ赤色であるのに対し、上記方法によって得られる本願発明の微細化された固体状態のカルミンを用いた赤色着色料は、赤味が強く鮮やかな色調を有している。また、食品等に添加した場合は色の伸びがよく、即ち従来よりも少ない添加量で食品を着色することが可能となり、価格メリットが得られる着色料を提供することができる。
【0017】
このようにして、本発明にかかる赤色着色料を得ることができる。またこの着色料は微細化したままの粉末状の赤色着色料、液状の赤色着色料のほか、液状の赤色着色料を本願発明の効果を損なわない範囲において、公知の方法、例えば通常色素・色素製剤に用いられる保存剤(酢酸ナトリウム、プロタミンなど)、安定剤(リン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウムなど)、酸化防止剤(ルチン、クエルシトリン、酵素処理ルチン、アスコルビン酸など)や香料、調味料、酸味料、栄養強化剤などを適宜添加して赤色着色料製剤としたり、適当な基材を添加して噴霧乾燥、凍結乾燥などにより粉末状の製剤とすることもできる。以上のように本発明により、カルミンを微細化された固体状態のままで分散させることにより、安定性に優れ、色伸びのよい鮮明な赤色着色料を得ることができる。以下の実施例にて本発明をさらに詳細に説明する。
【0018】
【実施例1】微細化カルミンの製造方法
カルミン(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製 カルミン“サンエイ”)をコスモマイザ(奈良機械製作所社製)を用いて以下の条件で微細化処理を行った。<粉砕条件>
分級羽根回転数 :7300rpm
分級羽根ブレード :長ブレード
分級羽根クリアランス :1.5mm
粉砕羽根回転数 :4400rpm
<結果>
微細化処理前の粒子径:15−25μm(50μm、100μmの粒子も存在)
微細化処理後の粒子径:5μm以下の均一な粒子径であった。
【0019】
【実験例1】カルミンの粒子径の差による色調、色の伸びの比較
実施例1における微細化処理前のカルミンと微細化処理を行ったカルミンとの比較を行った。
<方法>
表1に示すように、小麦粉100部に対し、微細化カルミン1部を加え、万能攪拌機にて5分間攪拌した。また処理前のカルミンに関しては、小麦粉100部に対し、1、2および3部をそれぞれ加え、万能攪拌機にて5分間攪拌した。色調、濃度感について表2に示す。
【0020】
【表1】
Figure 2004149643
【0021】
【表2】
Figure 2004149643
【0022】
<結果>
サンプル1から4を比較したところ、サンプル1の色調は赤色を呈し、サンプル2から4はそれぞれ淡赤色、淡赤色〜赤色、濃赤色であった。また、サンプル1の濃度(濃さ)は、サンプル3とサンプル4の間の濃度感を示した。このことより、微細化したカルミンは処理前のカルミンに比べ、2倍以上の色の伸びがあると確認された。
【0023】
【実施例2】
果糖ぶどう糖液糖(ニッシ社製 キングマートF−55)50部に、カルミン(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製 カルミン“サンエイ”)を5部添加攪拌混合し分散させた。この液をファインミル(三菱重工業社製)で微細化処理を7回繰り返し、カルミンの結晶を粉砕分散したカルミン液体製剤を得た。
<ミルの条件>
ミル:ファインミル
回転数:2400rpm
流速 :100g/min
ジルコニアビーズ粒径:φ0.5mm
<処理前の溶液の状態>
粘性率 :1600mPa・s
カルミン粒子径:15−25μm(50μm、100μmの粒子も存在)
<結果>
カルミン粒子径が1μm以下のカルミン液体製剤が得られた。得られたカルミン液体製剤は赤味が強く鮮やかな色調であった。
【0024】
【実施例3】
微細化カルミンを含む着色料の製造方法
果糖ぶどう糖液糖(ニッシ社製 キングマートF−55)50部に、カルミン(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製 カルミン“サンエイ”)を5部添加攪拌混合し分散させた。この液をスーパーアペックスミル(コトブキ技研工業社製)で微細化処理を1回行い、カルミンの結晶を粉砕分散したカルミン液体製剤を得た。
<ミルの条件>
ミル:スーパーアペックスミル
回転数:2000rpm
流速 :200g/min
アルミナビーズ粒径:φ1.0mm
<処理前の溶液の状態>
粘性率 :1600mPa・s
カルミン粒子径:15−25μm(50μm、100μmの粒子も存在)
<結果>
カルミン粒子径が10μm以下のカルミン液体製剤が得られた。得られたカルミン液体製剤は、赤味が強く鮮やかな色調であった。
【0025】
【比較例1】カルミンを含む着色料の製造方法
果糖ぶどう糖液糖(ニッシ社製 キングマートF−55)50部に、カルミン(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製 カルミン“サンエイ”)を5部添加攪拌混合し分散させた。この液を60℃、10分加熱殺菌後、60℃で高圧ホモジナイザー(イズミフードマシナリ社製)にて乳化した。
<乳化機の条件>
乳化機:高圧ホモジナイザー
1段目:5MPa
2段目:20MPa
<処理前の溶液の状態>
粘性率 :1600mPa・s
カルミン粒子径:15−25μm(50μm、100μmの粒子も存在)
<結果>
カルミン粒子径が15−25μmのカルミン液体製剤が得られた。
【0026】
【実験例2】
実施例2、3および比較例1で得られたカルミン液体製剤の色調を比較した。
【0027】
色調の評価は目視並びにHunter Lab表色系を用いて行った。Hunter Lab表色系による色調の評価は、実施例1、2及び比較例1で得られたカルミン液体製剤のそれぞれ0.1gを量り取り、イオン交換水を加えて100mlとしたものを、積分球を取り付けた紫外可視分光光度計V−560(日本分光社製)を利用して分光透過率を測定することによって行った。
【0028】
尚、ここでHunter Lab表色系とは、色度を表すa、b軸よりなる直交座標と、これに垂直なL軸とから構成される色立体を成す表色系であり、aが正側で増加すると赤味、負側で増大すると青味が増していることを意味する。L値は明度に対応し、L=100のときは白、L=0のときは黒となり、L値が大きくなるほど明るくなる傾向にある。また、CHROMAは彩度に対応し、値が大きくなるほど鮮やかであることを意味する。
【0029】
実施例2、3および比較例1のカルミンの液体製剤について色調(Hunter Lab表色系)を調べた結果を表3に示す。
【0030】
なお、表中、HUE とは色相(HUE: tan−1(b/a))、CHROMAは彩度([a +b1/2)を表す単位である(Applications of Appearance Measurements in the Coatings Industry.HUNTER R.S.: J.Coatings Technol.,(1977))。
【0031】
【表3】カルミン液体製剤の色調の比較
Figure 2004149643
【0032】
色調の目視評価から、カルミンの粒子径が小さくなるに従って、カルミンの液体製剤は赤味が強く鮮やかな色調に変化した。また、Hunter Lab表色系による色調評価結果を示す表3からわかるように、カルミンの粒子径が小さくなるに従って、a値が37.87よりも正側の59.18へと大幅にシフトし、またL値も54.64から48.60へと粒径が小さくなることにより負側へシフト、またCHROMAは40.42から60.15へと正側へ大きくシフトする傾向が認められた。このことからも、カルミンの液体製剤の色調が、赤味が強く、濃く、鮮やかな赤色の色調に変化したことがわかった。
【0033】
【実験例3】
実施例2、3および比較例1で得られたカルミン液体製剤をそれぞれ0.1gずつ量り取り、牛乳にて100gとした。その液を実験例2と同様に紫外可視分光光度計V−560(日本分光社製)にて色測した。その結果を表4に示す。
【0034】
【表4】カルミン液体製剤を添加した牛乳の色調の比較
Figure 2004149643
【0035】
色調の目視評価から、実施例2、3及び比較例1で得られたカルミンの液体製剤を牛乳に添加した場合でも、カルミンの粒子径が小さいくなるほどカルミンの液体製剤を添加した牛乳の色調は、赤味が強く鮮やかな赤色の色調となった。また、Hunter Lab表色系による色調評価結果においても、粒子径が小さくなるにつれてa値は17.12から21.84と正側へシフトし、L値は69.56から66.51へと負側へシフト、またCHROMAは17.24から21.92へと正側へシフトする傾向が認められた。このことからも、カルミンの液体製剤の色調が、赤味が強く、濃く、鮮やかな赤色へ変化したことがわかった。
【0036】
実験例2及び3より、微細化カルミンの粒子径が小さいほど、鮮明な色調の赤色着色料を得ることができた。比較例1で得られた着色料は、微細化が不十分であったため、色素の粒子径が大きく、得られた赤色着色料の色調も暗いものであった。
【0037】
【実施例4】微細化カルミン液体製剤の製造方法
イオン交換水4部に、カルミン(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製 カルミン“サンエイ”)を1部添加攪拌混合し分散させた。この液をファインミル(三菱重工業社製)で微細化処理を7回繰り返し、固体状態のカルミンを粉砕分散した。得られた液1部を果糖ぶどう糖液糖(ニッシ社製 キングマートF−55)4部に添加攪拌混合しカルミン液体製剤を得た。
<ミルの条件>
ミル:ファインミル
回転数:2400rpm
流速 :100g/min
ジルコニアビーズ粒径:φ0.5mm
<処理前の溶液の状態>
粘性率 :50 mPa・s
カルミン粒径:15−25μm(50μm、100μmの粒子も存在)
<結果>
カルミン粒径が1μm以下のカルミンの液体製剤が得られた。
【0038】
【実施例5】微細化カルミン液体製剤の製造方法
0.5N水酸化ナトリウムに9部に、カルミン(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製 カルミン“サンエイ”)を1部添加攪拌混合し溶解させた。この液100gに水飴(参松工業社製 38水飴)を200g加え混合した。得られた液(粘性率112.5mPa・s)に5N塩酸を1.0ml/minの速度で攪拌しながら7分間滴下し、カルミン液体製剤を得た。
<結果>
カルミン粒子径が1μm以下のカルミン液体製剤が得られた。
【0039】
【比較例2】カルミン液体製剤の製造方法
0.5N水酸化ナトリウムに9部に、カルミン(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製 カルミン“サンエイ”)を1部添加攪拌混合し溶解させた。この液(粘性率22.5mPa・s)100gに5N塩酸を1.0ml/minの速度で攪拌しながら7分間滴下し、カルミン液体製剤を得た。
<結果>
カルミン粒径が200μm以上のものも存在するカルミンの液体製剤が得られた。
【0040】
実施例5と比較例2で得られたカルミンの液体製剤を比較すると、粘性率が低いと、得られるカルミンの粒子径が大きくなった。実施例5で得られた液体製剤は色調も明るく、鮮やかな赤色を呈していたが、比較例2の液体製剤は、短時間静置するとカルミンの粒子の沈降が認められた。
【0041】
【実験例4】
実施例4で得られたカルミン液体製剤とその処理前溶液の色調を紫外可視分光光度計V−560(日本分光社製)で調べ、その結果を表5に示す。
*色調比較の為に用いた処理前溶液はカルミン液体製剤と対比させる為、処理前溶液1部を果糖ぶどう糖液糖(ニッシ社製 キングマートF−55)4部に添加攪拌混合し分散させた溶液を使用した。
【0042】
【表5】微細化処理前と処理後のカルミン液体製剤の色調比較
(0.1g/100mlイオン交換)
Figure 2004149643
【0043】
色調の目視評価から、微細化処理前と処理後ではカルミンの粒径が小さいほどカルミンの液体製剤の色調は、赤味が強く鮮やかな赤色の色調となった。また、Hunter Lab表色系による色調評価結果においても、粒径が小さくなるにつれてa値は19.69から50.86と正側へシフトし、L値は76.12から66.02へと負側へシフト、またCHROMAは21.07から52.07へと正側へシフトする傾向が認められた。このことからも、微細化処理をすることでカルミン液体製剤の色調が赤味が強く、濃く、鮮やかな赤色へ変化したことがわかった。
【0044】
【実験例5】
実験例4と同様の方法により実施例5で得られた微細化処理前と処理後のカルミン液体製剤それぞれ0.1gずつ量り取り、牛乳にて100gとした。その液を紫外可視分光光度計V−560(日本分光社製)で調べ、その結果を表6に示す。
【0045】
【表6】微細化処理前と処理後のカルミン液体製剤添加牛乳の色調比較
(0.1g/100g牛乳)
Figure 2004149643
【0046】
色調の目視評価から、微細化処理前と処理後ではカルミンの粒径が小さいほどカルミンの液体製剤を添加した牛乳の色調は、赤味が強く鮮やかな赤色の色調となった。また、Hunter Lab表色系による色調評価結果においても、粒径が小さくなることによりa値は11.16から17.25と正側へシフトし、L値は73.70から70.71へと負側へシフト、またCHROMAは11.16から17.36へと正側へシフトする傾向が認められた。このことからも、微細化処理をすることでカルミンの液体製剤の色調は赤味が強く、濃く、鮮やかな赤色へ変化したことがわかった。

Claims (6)

  1. 微細化した固体状態のカルミンを含有することを特徴とする赤色着色料。
  2. 微細化した固体状態のカルミンの粒子径が10μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の赤色着色料。
  3. 固体状態のカルミンを乳化剤、増粘安定剤および乳化安定効果のある素材から成る群の1種又は2種以上を添加した水性原料に分散させた後に微細化することを特徴とする請求項1に記載の赤色着色料の製造方法。
  4. 固体状態のカルミンを微細化した後に乳化剤、増粘安定剤および乳化安定効果のある素材から成る群の1種又は2種以上を添加した水性原料に添加することを特徴とする請求項1に記載の赤色着色料の製造方法。
  5. 固体状態のカルミンをアルカリ溶液に溶解し、乳化剤、増粘安定剤および乳化安定効果のある素材から成る群の1種又は2種以上を添加した後、酸性溶液を添加してカルミンを析出させることを特徴とする請求項1に記載の赤色着色料の製造方法。
  6. 微細化した固体状態のカルミンの粒子径が10μm以下であることを特徴とする請求項3乃至5に記載の赤色着色料の製造方法。
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