JP2004148974A - 水田作業機における操向制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来、田植機等で目標位置に設置した発信器からの発信波を受信器で受信し、その受信状態に応じて操向制御手段が操向手段を制御して前記目標位置に向けて直進するものが知られている。しかし、従来の装置では、直進状態で、操向輪が圃場面の凹凸の影響を大きく受けて直進が旨く行なえないことがあった。そこで、この発明は、直進状態で操向輪が圃場面の凹凸の影響をあまり受けることなく、機体が直進制御できるようにすることを目的とする。
【解決手段】操向制御手段が操向手段を制御して、自動走行する自動走行手段を備える水田作業機において、自動走行中に直進状態になると、自動直進制御手段が操向手段を制御して操向輪を微小範囲で速く反復操向する水田作業機における操向制御装置。
【選択図】 図4
【解決手段】操向制御手段が操向手段を制御して、自動走行する自動走行手段を備える水田作業機において、自動走行中に直進状態になると、自動直進制御手段が操向手段を制御して操向輪を微小範囲で速く反復操向する水田作業機における操向制御装置。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、水田作業機の操向制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、操向制御装置の一例として、田植機で目標位置に設置した発信器からの発信波を受信器で受信し、その受信状態に応じて操向制御手段が操向手段を制御して前記目標位置に向けて直進するものが知られている。
【0003】
【特許文献1】
特開平6−327303号公報(第1頁、図5)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記従来の装置では、直進状態で、操向輪が圃場面の凹凸の影響を大きく受けて直進が旨く行なえないことがあった。
そこで、この発明は、直進状態で操向輪が圃場面の凹凸の影響をあまり受けることなく、機体が直進制御できるようにすることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するためにこの発明は、以下のように構成した。すなわち、請求項1記載の発明は、操向制御手段が操向手段を制御して、自動走行する自動走行手段を備える水田作業機において、自動走行中に直進状態になると、自動直進制御手段が操向手段を制御して操向輪を微小範囲で速く反復操向する水田作業機における操向制御装置とした。従って、自動走行中に直進状態になると、操向輪を直進の状態から、微小範囲で速く反復操向することにより、圃場面の凹凸の影響を操向輪があまり受けないので、水田作業機は直進し易くなり、自動直進が適切に行なえる。
【0006】
請求項2記載の発明は、自動走行中に直進状態になると、自動直進制御手段が操向手段を制御して操向輪を微小範囲で速く反復操向すると共に、左右駆動操向輪のデフ装置をデフロックする請求項1記載の水田作業機における操向制御装置とした。従って、請求項1記載の発明の作用に加えて、自動走行中に直進状態になると、左右駆動操向輪のデフ装置がデフロック状態となるので、更に、圃場面の凹凸の影響を操向輪が受けなくなり、水田作業機は直進し易くなって、自動直進が適切に行なえる。
【0007】
請求項3記載の発明は、自動走行中に直進状態になると、自動直進制御手段が操向手段を制御して操向輪を微小範囲で速く反復操向すると共に、左右走行車輪のローリングを固定する請求項1または請求項2記載の水田作業機における操向制御装置とした。従って、請求項1または請求項2記載の発明の作用に加えて、自動走行中に直進状態になると、左右走行車輪のローリングが固定されるので、更に、圃場面の凹凸の影響を操向輪が受けなくなり、水田作業機は直進し易くなって、自動直進が適切に行なえる。
【0008】
【発明の効果】
この発明は、自動走行中に直進状態になると、操向輪を直進の状態から、微小範囲で速く反復操向することにより、圃場面の凹凸の影響を操向輪があまり受けないので、水田作業機は直進し易くなり、自動直進が適切に行なえる。
【0009】
従って、従来例の課題を適切に解消することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の一実施例について、図面を参照して説明する。
図1において、1は前輪2、2および後輪3、3により支持される機体であり、この機体1の中央部に操縦ハンドル4や座席5を設ける。機体1の前部左右には、補助苗を載せる補助苗台6、6を設けるとともに、機体1の後部には植付け部7を連結する。機体1の前部には、機体1と畦との間で乗降が容易にできるようにステップ14を設ける。なお、乗降の際には一方の補助苗台6を軸8を中心に外側に移動すると、通路を広く確保できるように構成する。また、機体1の前部の所定位置には、畦との距離を測定する距離センサ13を設ける。
【0011】
機体1の前面であって機体1の中心には、後述する受信器9を取り付ける。この位置に受信器9を配置すると、機体1が走行中に傾いたようなときであっても受信器9の揺れを極力防止できる。
機体1の前部左右には、苗の植え付け時に次行程の作業における中心線を土表面に引く線引きマーカ10、10をそれぞれ取り付ける。この線引きマーカ10は、図2に示すように、L型の支持棒11の一端に線引き部12を取り付けるとともに、その支持棒11の他端を機体1に取り付ける。そして、線引き部12は、使用時には図2で示すように土表面に接して線引きし、不使用時には土表面から離れて上方に位置するように構成する。また、線引きマーカ10は、線引き中に畦などに当たって必要以上の負荷がかかったときには、自動的に上方に上げたりまたは機体1側に引き寄せるように構成すると、その損傷を防止できる。
【0012】
尚、図1において、18は作業者が線引きマーカ10が引いた中心線を見ながら手動で運転する際に、機体1の中心をその中心線に合わせるためのセンタマスコットである。
次に、以上のように構成する実施例の動力の伝達系などについて、図4を参照して説明する。
【0013】
図4において、21はエンジンであり、このエンジン21の動力は無段変速装置22を介してミッション23に伝達されるように構成する。ミッション23の出力から取り出された動力は、左右の前輪2、2に伝達されるとともに、後輪駆動軸24、24を介して後輪3、3に伝達されるように構成する。前輪2、2は、操向用油圧シリンダ25により操向できるように構成する。尚、左右前輪2、2は、デフ装置を介して駆動される周知の駆動構成であって、そのデフ装置が制御装置61によりデフロックされる構成となっている。また、左右後輪3、3は、周知のローリング作動する構成で、且つ、そのローリングが制御装置61により固定制御される構成となっている。
【0014】
機体1には、走行中に機体1の左右方向の傾きを検出するローリングセンサ27を設けるとともに、機体1の前後方向の傾きを検出するピッチングセンサ28を設ける。また、ステアリング角を検出するステアリング角検出器26を所定位置に設ける。
【0015】
植付け部7は、植付け部昇降リンク30の植付け部ローリング連結軸31に回転自在に取り付ける。植付け部昇降リンク30は、植付け部昇降シリンダ32により上下昇降自在に構成するとともに、ヨーイング軸33を中心にヨーイングシリンダ34により左右回動自在に構成する。植付け部7には、植付け部7の整地フロート(図示省略)の上下動を検出するフロート上下動検出器35を設ける。
【0016】
上述した受信器9との組み合わせで使用する発信器41は、図3で示すように、ゲージ42の一端に取り付け棒43を介して取り付ける。ゲージ42の長さは、線引きマーカ10で土表面に引かれる中心線間の距離に等しくする。取り付け棒43は、その高さ調節ができるように構成する。なお、ゲージ42の長さは、その長さの調節ができるようにすれば、線引きマーカ10で土表面に引かれる中心線間の距離に応じて長さ調節ができ、便利である。
【0017】
発信器41は、光または電波が発信部から発信波として発信されるように構成する。一方、受信器9は、発信器41からの発信波の種類に応じてその発信波を受信部で受信できるように構成し、例えば受信部で受けた光などはその受けた位置が検出できるものが好ましい。
【0018】
上述した植付け部昇降リンク30をヨーイング軸33を中心にヨーイングシリンダ34により回動する油圧回路について、図5を参照して説明する。
図5に示すように、植付け部昇降リンク30には一体に突起51を設け、その突起51を利用してリンク30の回動を検出する左右一対のリミットスイッチ52、52を突起51の左右に設ける。そして、苗の植え付け中は、電磁バルブ53を「入」にし、ヨーイングシリンダ34がフリーになるようにする。一方、田植機が路上走行や旋回のときには、電磁バルブ53を「切」にし、リミットスイッチ52、52の検出出力に応じて電磁バルブ54を切り換えてヨーイングシリンダ34を駆動し、植付け部昇降リンク30を中央位置に固定するように動作させる。
【0019】
次に、以上述べた本発明実施例の制御系について、図6のブロック図を参照して説明する。
図6において、61は後述のように各部を制御する制御装置であり、マイクロコンピュータなどで構成する。この制御装置61の入力側には、「手動」、「自動直進」、または「半自動」の運転モードのうちのいずれか1つを選択する自動直進スイッチ62、ステアリング角検出器26、受信器9、ローリングセンサ27、ピッチングセンサ28、植付け検出器35、リミットスイッチ52、距離センサ13などを接続する。さらに、制御装置61の出力側には、制御対象として無断変速装置22、操向用油圧シリンダ25、植付部昇降シリンダ32、電磁バルブ53、54などを接続する。
【0020】
次に、以上のような構成からなる実施例の第1の動作例について、図7を参照して説明する。
本実施例では、図7に示すように、運転モード選択スイッチ62により「自動直進」が選択されているときには、田植機は、畦の目標位置に設置されている発信器41からの発信波を受信器9で受信する。そして、その受信器9の受信状態に応じて、制御装置61が操向用シリンダ25を制御するので、田植機は目標位置に向けて自動的に直進する。そして、田植機が直進中(進路が適切で機体が直進している時)には、制御装置61の自動直進制御手段により、操向用シリンダ25を少しだけ小刻みに往復作動させて、左右前輪2が左右方向に小刻みに操向されるように制御している。これは、操向輪である左右前輪2を直進の状態(左右前輪2が機体と平行な状態)から、左右交互に小刻みに操向させてやると、圃場の凹凸の影響を左右前輪2があまり受けないので、田植機は直進し易くなり、自動直進が適切に行なえる。
【0021】
従って、作業者は、田植機が適切に直進するので、安心して苗の植え付け中に補助苗台6の苗を植付け部7に必要に応じて供給できる。尚、このときに、線引きマーカ10により次の作業における中心線70を土表面に引いていく。
また、上記の田植機が直進中(進路が適切で機体が直進している時)に左右前輪2を左右方向に小刻みに操向する制御に加えて、左右前輪2のデフ装置を自動的にデフロックさせるように制御装置61にて制御すれば、更に圃場の凹凸の影響を左右前輪2が受けなくなり、田植機は直進し易くなって、自動直進が更に適切に行なえる。そして、左右前輪2のデフ装置を自動的にデフロックさせるのに同期して左右後輪3のデフ装置を自動的にデフロックさせれば、更に、自動直進が適切に行なえる。尚、左右前輪2若しくは左右後輪3がローリングする形態のものにあっては、上記の田植機が直進中にそのローリングを固定するように制御装置61にて制御すると、自動直進が更に適切に行なえる。
【0022】
この自動直進中は、ヨーイングシリンダ34が不作動の状態にあるので、植付け部7はヨーイング軸33を中心に土壌表面上で左右に揺動自在である。そのため、機体1の操行制御が行われる場合でも、植付け部7はその影響を受けずに植付けできる。
【0023】
その後、距離サンサ13の検出距離により畦に接近したことを検出すると、田植機は自動停止する。そこで、作業者は補助苗台6を軸8を中心に外向きに移動して通路を形成するとともに、ステップ14を利用して機体1の前部から畦に降り、発信器41を次の復路作業の目標位置に設置し直す。その際、ゲージ42を畦に沿って平行移動するとともに、ゲージ42の後端を線引きマーカ10で引いた中心線の延長上に一致させる。すると、ゲージ42は、図7の一点鎖線で示すような状態になり、ゲージ42に一体の発信器41は次の目標位置に設置される。従って、次の復路作業の際には、目標位置に設置される発信器41を利用して操向制御できる。
【0024】
なお、発信器41の目標位置への設定終了後、補助苗台6に苗を供給する必要があるときには、補助苗台6が機体1の前部に配置されていて畦との距離が接近しているので、作業者は1人でも容易かつ迅速にできる。
一方、田植機を手動運転で旋回したのち往路作業を行う場合には、反対側の畦の目標位置に設置してある発信器41を利用して上記と同様に操向制御をすれば、田植機は目標位置に向けて自動直進する。このときには、線引きマーカ10により土表面に中心線70を引いていく。そして、その直進作業が終了した時点で、作業者は田植機から畦に降りて発信器41を上記のようにして次の目標位置に設置できる。
【0025】
以上のように、本発明実施例では、線引きマーカ10を備えるとともに、発信器41をゲージ42に取り付けるようにしたので、線引きマーカ10で引いた中心線70とゲージ42との組み合わせにより、発信器41を容易かつ迅速に次の目標位置に設置できる。また、線引きマーカ10によって引いた中心線70を基準にゲージ42を利用して発信器41の目標位置を決めるようにしたので、ゲージ42は短いもので足りる。
【0026】
次に、本発明実施例の第2の動作例について説明する。
この動作例では、運転モード選択スイッチ62を「自動直進」にして上記の第1の動作例と同様の自動直進に移行する際に、距離センサ13の検出距離に基づく移動距離の算出、または時間の測定を開始する。そして、その算出距離また測定時間が一定値に達したときに、自動的に走行を停止するように各部を制御する。このような制御により、長距離または長時間に亘る自動直進が大きく外れるのを未然に防止できる利点がある。
【0027】
次に、本発明実施例の第3の動作例について説明する。
この動作例では、運転モード選択スイッチ62が「自動直進」のときには、上記の第1の動作例と同様に自動直進する。さらに、これに併せてローリングセンサ27、またはピッチングセンサ28がその検出を行う。そして、その検出値が所定値を上回って機体1が大きく揺れるときには、走行速度を下げたりまたは停止するように各部を制御する。このような制御により、受信器9の受信不能による走行の異常を未然に防止できる。
【0028】
次に、本発明実施例の第4の動作例について説明する。
この動作例では、運転モード選択スイッチ62を「半自動」に設定し、通常は作業者が手動運転を行う。そして、その運転中に、植付け部7の苗が減少して苗補給信号が発せられ、座席5に設けた周知の運転者が席を離れたことを検出するセンサが運転者が席を離れたことを検出すると、次に、運転者が座席5に座るまで上記の第1の動作例と同様に自動直進する。これにより、植付け部7の苗が減少して供給するときには自動直進するので、作業者は苗の補給作業を安心して行える。
【0029】
次に、他の8条植え乗用型田植機の構成及び作用を図8〜図19に基づき詳細に説明する。走行車両101に昇降用リンク装置102で田植装置103を装着すると共に施肥装置104を設け、全体で乗用施肥田植機として構成されている。走行車両101は、駆動輪である左右各一対の前輪106,106および後輪107,107を有する四輪駆動車両である。
【0030】
メインフレーム110の上にミッションケース111とエンジン112が前後に配設されており、該ミッションケース111の後部上面に油圧ポンプ113が一体に組み付けられ、またミッションケース111前部の上方には前部カバー114が設けられられている。
【0031】
そして、前部カバー114の上端部に前後方向及び左右方向の何れにも操作できるステッキ状のステアリングレバー116と操作パネル117が設けられている。機体の上部には操縦用のフロアとなるステップ119が取り付けられ、エンジン112の上方部に操縦席120が設置されている。前輪106,106は、ミッションケース111の側方に変向可能に設けた前輪支持ケース122,122に軸支されている。また、後輪107,107は、ローリング杆123の左右両端部に一体に取り付けた後輪支持ケース124,124に軸支されている。ローリング杆123はメインフレーム110の後端部に突設したローリング軸125で進行方向と垂直な面内で回動自在に支持されている。
【0032】
操作パネル117には、図19に示すように、各部の状態や警報を表示するモニタ部が設けられている。ここで、このモニタ部の説明をする。
上部中央位置には、乗用型田植機の図が液晶表示されており、その前輪の絵106a,106aは、後述のポテンショメータP2の検出によって制御装置270にて左右前輪106,106が操向されている角度を表示できるようになっている。従って、操縦者は、モニタ部の前輪の絵106a,106aを見てステアリングレバー116による左右前輪106,106の操向操作がどの様に行われているか認識できて、適正な機体の操向操作が行えて作業性が良い。尚、ポテンショメータP2の検出によって制御装置270にて左右前輪106,106が操向されている角度を表示する場合、左右前輪106,106が直進操作以上の操向角度に操作されたことをポテンショメータP2が検出した時に、表示するようにしても良い。
【0033】
上部左側には、制御関係に異常が発生した時に点灯するマイコンチェックランプ・施肥装置104のブロアが作動していない時に点灯するブロア切ランプ・施肥装置104の肥料タンク内の肥料が残り少なくなった時に点灯する肥料切れランプ・畦クラッチを切っている時に点灯する畦クラッチ切ランプ・植付クラッチを切っている時に点灯する植付クラッチ切ランプ・エンジンオイルが減少した時に点灯するエンジンオイル切ランプが設けられている。
【0034】
上部右側には、田植装置103が上昇している時に点灯する上昇ランプ・田植装置103が下降している時に点灯する下降ランプ・田植装置103の上下位置を表示する位置表示ランプが設けられており、操縦者は田植装置103が上昇中なのか下降中なのか認識できると共に、田植装置103の上下位置も分るので、田植作業時に田植装置103の上下動操作の誤操作が防止できて作業性が良い。また、上部の最も右側には、燃料計とアワメータが設けられている。
【0035】
上下中央部には、その左右両側に左右マーカランプが設けられており、左右マーカの線引き状態にある側のランプが点灯するようになっている。また、左右マーカランプの間には、施肥装置104の各条単位の肥料詰まりを警報表示する肥料詰まりランプと苗載台263の各条単位の苗減少を警報表示する苗切れランプとが設けられている。
【0036】
下部には、左からメインクラッチ143が切り操作されている時に点灯するメインクラッチランプ・チェンジレバー190にて主変速装置Bが低速の作業速と高速の路上走行速とニュートラルとの何れの位置に操作されているかを点灯して表示する各ランプ・ステアリングレバー116を前進F方向と後進R方向との何れの方向に操作されているかを点灯して表示する各ランプ・ステアリングレバー116を左右方向に最大限まで操作して旋回内側のブレーキが作動しクラッチが切れたことを表示する左右の各ブレーキランプとクラッチランプが設けられている。
【0037】
エンジン112の回転動力は、ベルト131を介して油圧ポンプ113の駆動軸であるカウンタ軸132に伝えられ、さらに該カウンタ軸からベルト133を介して油圧式変速装置HSTの入力軸135に伝えられ、油圧式変速装置HSTの出力軸136からベルトを介してミッション入力軸134に伝えられる。尚、ミッション入力軸134上には、メインクラッチ143が設けられており、油圧式変速装置HSTの駆動力はメインクラッチ143を介してミッション入力軸134に伝動される。メインクラッチ143は周知の多板クラッチであり、図中の144はメインクラッチ軸側の摩擦板、145はミッション入力軸側の摩擦板、146は両摩擦板を押し付けるスプリング、147,148は切替操作用の固定部材と摺動部材である。
【0038】
ミッションケース111のケーシング140の前部には、ミッション入力軸134、カウンタ軸150、走行一次軸151、走行二次軸152、植付一次軸153、植付二次軸154がそれぞれ平行に支承されている。ミッション入力軸134のギヤG1とカウンタ軸150のギヤG2、およびギヤG2と走行一次軸151のギヤG3がそれぞれ互いに噛合しており、ミッション入力軸134の回転が走行一次軸151に順方向に伝えられる。
【0039】
主変速装置Bとして、走行一次軸151に前記ギヤG3とギヤG4がそれぞれ定位置に嵌着され、走行二次軸152に互いに一体に成形されたギヤG5,G6が軸方向に摺動自在に嵌合している。シフタ156でギヤG5,G6を移動させ、ギヤG4,G5が噛合すると低速の作業速、ギヤG3とギヤG4が噛合すると高速の路上走行速になる。また、植付一次軸153にはギヤG4に常時噛合するギヤG7とバックギヤG8が嵌着されており、ギヤG6をバックギヤG8に噛合させると後進速になる。ギヤG5,G6がいずれのギヤとも噛合しない位置がニュートラルになる。この主変速装置Bの操作するチェンジレバー190は操作パネル117に設けられている。
【0040】
このチェンジレバー190は、前記ステアリングレバー116の左側に配置されており、且つ、ステアリングレバー116よりも低く構成されているレバーである。従って、右手で頻繁に操作するステアリングレバー116を持って操作し、左手で比較的使用頻度の少ないチェンジレバー190を操作することとなるから、非常に操作性が良く、然も、チェンジレバー190は低いので誤ってチェンジレバー190を触ってしまうようなミスを防止できる。
【0041】
そして、これらステアリングレバー116及びチェンジレバー190は操作パネル117の枠内で操作される構成となっており、ステップ119上を作業者が行き来しても、作業者の身体がこれらステアリングレバー116及びチェンジレバー190に触れてレバーが誤って操作されてしまうことが防止された構成となっており、作業上、安全である。
【0042】
一方、株間変速装置Cとして、植付一次軸153に互いに一体に成形されたギヤG9,G10が軸方向に摺動自在に嵌合しているとともに、植付二次軸154にギヤG11,G12がそれぞれ取り付けられている。シフタ157でギヤG9,G11を適宜に移動させることにより、ギヤG9とギヤG10、ギヤG10とギヤG11、およびギヤG10とギヤG12の3通りの組み合わせが得られ、3段階の株間切替を行える。植付二次軸154からベベルギヤG13,G14を介して植付部伝動軸158に伝動される。
【0043】
ケーシング140の後部には、リヤアクスル160,160とフロントアクスル161,161が支承され、前記走行二次軸152からリヤデフ装置Dを介してリヤアクスル160,160に伝動されるとともに、リヤデフ装置Dからフロントデフ装置Eを介して左右フロントアクスル161,161に伝動される。そして、左右フロントアクスル161,161により各々左右前輪106,106が駆動回転される構成となっている。
【0044】
リヤデフ装置Dは、走行二次軸152のギヤG15に噛合するギヤG16が外周部に形成された容器163を備え、該容器内の縦軸164に取り付けた一次ベベルギヤG17と左右のリヤアクスル160,160に各別に取り付けた二次ベベルギヤG18,G18とが互いに噛合する状態で収納されており、各アクスルに伝動される駆動力が適宜変動するようになっている。
【0045】
フロントデフ装置Eもリヤデフ装置Dと同様の構成で、図中の165は容器、166は縦軸、G19はリヤデフ装置側のギヤ、G20はフロントデフ装置側のギヤ、G21は縦軸166に取り付けたベベルギヤ、G22はフロントアクスル161に取り付けたベベルギヤである。上記リヤデフ装置Dおよびフロントデフ装置Eにはデフ機能を停止し、左右両アクスルに駆動力が均等に伝動されるようにするデフロック装置F,Hが設けられている。このデフロック装置F(H)は、容器163(164)に形成された爪169(170)とアクスルの角棒部に嵌合するデフロック部材171(172)の爪173(174)とアクスル150(151)を互いに固定するようになっている。この後輪のデフロック装置Fを操作するデフロックレバー191は操作パネル117に設けられている。尚、前輪のデフロック装置Hは、ステップ119に設けたデフロックペダル191’を踏み込むとデフ機能が停止される構成となっている。このデフロックレバー191及びデフロックペダル191’は、共に機体の前部に配置されており、例えば圃場の畦を乗り越えて機体を圃場から出す時等に、操縦者は機体から降りて機体の前方に立って(自分の身体をウエイト代わりにする為に機体の前端部に乗って)機体を前進若しくは後進させてこの畦越えを安全に行うが、この時、左右前輪106,106の何れか又は左右後輪107,107の何れかが空回りした場合に即座に操縦者は機体前部にあるデフロックレバー191及びデフロックペダル191’を容易な姿勢で操作できてデフロック状態にして安全に畦越えを行うことができる。
【0046】
リヤアクスル160,160はベベルギヤG23,G24,…によってサイドクラッチ軸176,176に伝動連結され、さらに該サイドクラッチ軸からリヤ出力軸177,177にサイドクラッチI,Iを介して伝動される。サイドクラッチIは多板クラッチであり、180はサイドクラッチ軸側の摩擦板、181はリヤ出力軸側の摩擦板である。182はリヤ出力軸177に摺動自在に嵌合する作動筒で、板ばね183によって両摩擦板を押し付ける方向に付勢されており、常時はサイドクラッチIが入った状態となっている。シフタ185で作動筒182を付勢方向と逆向きに移動させると、サイドクラッチIが切れる。
【0047】
更に、リヤ出力軸177,177には後輪ブレーキ装置J,Jが設けられている。後輪ブレーキ装置Jは、リヤ出力軸177に取り付けたディスク187,…にプレッシャプレート188,…を押し付けて制動するものであり、このプレッシャプレート188,…の駆動も前記作動筒182で行う。すなわち、常時はサイドクラッチIが入で、後輪ブレーキ装置Jが掛かっていない状態であり、シフタ185を操作して作動筒182を付勢方向と逆向きに移動させると、サイドクラッチIが切れるとともに、後輪ブレーキ装置Jが掛かるのである。これらサイドクラッチIおよび後輪ブレーキ装置Jの操作(左右シフタ185・185の操作)は、後述のステップ119上に設けたペダル240又はステアリングレバー116の操作に連繋して行われる。
【0048】
リヤ出力軸177,177の後端部はケーシング140外に突出し、この突出端部に前記後輪支持ケース124,124に伝動する左右後輪伝動軸189,189が接続されている。そして、この左右後輪伝動軸189,189により各々左右後輪107,107が駆動回転される構成となっている。
【0049】
チェンジレバー190の操作位置は、後から前方に操作する順に後進速、ニュートラル、作業速、路上走行速となっている。また、デフロックレバー191を前方に操作するとデフロック、後方に操作するとデフオンとなる。
従って、圃場内で田植作業を行なう場合には、デフロックレバー191をデフロックにし、チェンジレバーを作業速にシフトし、田植装置103の苗載台に苗を載置し施肥装置104の肥料タンクに粒状肥料入れて、各部を駆動させて前進すると、左右後輪107,107のデフロック装置Fはデフロックされてデフ機能が停止した状態であるので、機体の直進性が良くて良好な田植作業と施肥作業が同時に行える。また、路上走行の場合には、リヤデフ装置D及びフロントデフ装置E共にデフ機能が働く状態に操作すれば、安全に走行できる。
【0050】
油圧式変速装置HSTは、操縦席120の前方右側に設けられた前記ステアリングレバー116の前後方向の操作にて前進・後進・増減速・中立の各操作が行なわれる。機体斜め前方から見た作動説明用斜視図である図12に示すように、ステアリングレバー116は、機体に前後方向に軸211にて回動自在に支持された操作レバー基部212に軸213にて左右方向に回動自在に支持されており、前後方向及び左右方向何れの方向にも自由に操作される構成になっている。尚、212aは、機体側に設けられた操作レバー基部212を前後方向操作位置で止める為の一般的な皿バネよりなる付勢機構である。
【0051】
また、軸213に基部が溶接固定された延長軸213aと軸211との間には引張スプリング213bが設けられており(ステアリングレバー116を左右方向中央位置で且つ前後方向のニュートラルN位置にした時に、最も、引張スプリング213bが短くなるように、引張スプリング213bは配置されている)、ステアリングレバー116を左右方向中央位置で且つ前後方向のニュートラルN位置に自動復帰させる中立自動復帰機構を構成している。
【0052】
従って、操縦者がステアリングレバー116を前進F方向に操作するほど(高速側に変速するほど)引張スプリング213bの付勢力にて操作荷重が重くなり、操縦者に高速側に操作していることを認知させることができて安全である。また、操縦者がステアリングレバー116を左右側に操作するほど(機体操向角が大きくなるほど)引張スプリング213bの付勢力にて操作荷重が重くなり、操縦者に大きく操向操作していることを認知させることができて安全であり、田植作業時に直進操作するために微妙な左右操作を行う時には操作荷重が軽いので直進操作性が良くて作業性が良い。
【0053】
そして、操作レバー基部212は、ロッド214にて機体に回動自在に支持された位置決め軸215のアーム216に連結されている。位置決め軸215には、扇型のカム板217が固定されており、このカム板217には、ステアリングレバー116がニュートラル位置Nの時にバネ218にて付勢されているポジションローラ219が嵌入する円弧溝217Nと、ステアリングレバー116が前進最大速位置Fの時にバネ218にて付勢されているポジションローラ219が嵌入する円弧溝217Fと、ステアリングレバー116が後進最大速位置Rの時にバネ218にて付勢されているポジションローラ219が嵌入する円弧溝217Rとが形成されている。
【0054】
また、位置決め軸215には、HST操作アーム220が設けられており、このHST操作アーム220が油圧式変速装置HSTのトラニオン軸221に固定されたトラニオン操作アーム222にロッド223にて連結されている。
従って、ステアリングレバー116をニュートラル位置Nにしている時には、カム板217の円弧溝217Nにポジションローラ219が嵌入して、油圧式変速装置HSTはニュートラルに保持されて機体は停止状態である。そして、ステアリングレバー116をニュートラル位置Nから前進最大速位置Fに向けて操作するほど、ロッド214・アーム216・位置決め軸215・HST操作アーム220・ロッド223・トラニオン操作アーム222・トラニオン軸221と連携して作動し、トラニオン軸221が前進方向に徐々に操作されて、機体は徐々に前進速度が速くなる。逆に、ステアリングレバー116をニュートラル位置Nから後進最大速位置Rに向けて操作するほど、ロッド214・アーム216・位置決め軸215・HST操作アーム220・ロッド223・トラニオン操作アーム222・トラニオン軸221と連携して作動し、トラニオン軸221が後進方向に徐々に操作されて、機体は徐々に後進速度が速くなる。
【0055】
一方、機体に前後方向に回動自在に支持されたスロットルレバー230に連結された操作ワイヤー231がエンジン112のアクセル作動機構に連携しており、スロットルレバー230を増速方向に操作すると操作ワイヤー231はイ方向に作動してアクセル作動機構を全開方向に向けて作動させてエンジン112の回転を上げる。そして、この操作ワイヤー231の中途部に係合部材232が固定されており、前記位置決め軸215に上下方向に設けられた2つの上アーム233Rと下アーム233Fに各々連結された操作ワイヤ234R・234Fが共にアクセル連動アーム235の下端に連結され、このアクセル連動アーム235は機体に回動自在に支持され、その上部はフック状部235aになっており係合部材232のエンジン側の操作ワイヤー231を抱き込むように構成されている(フック状部235aは、操作ワイヤー231の外側を自由に移動できるようになっている。換言すると、操作ワイヤー231は、フック状部235aの内側を自由にイ方向及び反イ方向に移動できる構成となっている)。
【0056】
従って、スロットルレバー230を増速及び減速方向に操作すると、操作ワイヤー231を介してエンジン112の回転数を調節できる。一方、ステアリングレバー116をニュートラル位置Nから前進最大速位置F又は後進最大速位置Rに向けて操作するほど、下アーム233F又は上アーム233Rの回動により操作ワイヤ234F・234Rを引いてアクセル連動アーム235のフック状部235aをロ方向に移動させるので、フック状部235aが係合部材232に接当して操作ワイヤー231をイ方向に作動してアクセル作動機構を全開方向に向けて作動させてエンジン112の回転を上げる。即ち、ステアリングレバー116にて車速を速くするほど連動して、エンジン112の回転数も上がるように構成されている。従って、ステアリングレバー116にて変速操作とエンジン112の回転数の操作が同時に行えるので、操作性が良くて作業効率が良い(スロットルレバー230を操作する必要がない)。また、ステアリングレバー116がニュートラル位置Nでスロットルレバー230を最低速に減速した時に、フック状部235aが係合部材232に接当し始める構成となっているので、ステアリングレバー116がニュートラル位置Nではスロットルレバー230にて自由にエンジン112の回転数を上下調節でき、ステアリングレバー116をニュートラル位置Nから前進最大速位置F又は後進最大速位置Rに向けて途中まで操作しているときには、自動的に連動して上げられたスロットル位置からスロットルレバー230にて自由にエンジン112の回転数を上げることができる。
【0057】
ここで、ステアリングレバー116の左右方向の操作について、説明しておく。
ステアリングレバー116を左右方向に回動自在に支持する為の軸213の一端部には、作動アーム213bがステアリングレバー116の左右方向への回動と一体に回動するように溶接されている。そして、操作レバー基部212より延出した支持アーム213cに設けたポテンショメータP1にロッド213dを介して連繋している。従って、ステアリングレバー116を左右方向に回動操作すると、ポテンショメータP1がその位置を検出できる構成となっている。
【0058】
一方、ミッションケース111底面に支持された回動軸274にピットマンアーム275が固定されており、ピットマンアーム275の前部左右側と左右前輪支持ケース122,122とは左右ロッド276,276にて連結されている。また、回動軸274には、パワステアリング油圧シリンダー274aにて回動操作される作動アーム274bの基部が固定されている。尚、作動アーム274bのパワステアリング油圧シリンダー274aと連繋した反対側は、ピットマンアーム275の回動角度を検出するポテンショメータP2にロッド274cにて連繋されており、油圧シリンダー274aにて回動操作されるピットマンアーム275の回動角度をポテンショメータP2が常に検出する構成となっている。
【0059】
そして、ステアリングレバー116を左右方向中央位置から左右方向何れかに回動操作すると、ポテンショメータP1がその位置を検出し、パワステアリング電磁バルブ274dが制御装置270の左右前輪操向手段の指令により切替えられて(パワステアリング電磁バルブ274dは、パルス変調制御されており、流量はステアリングレバー116の左右方向への回動操作量に応じて変更されるように、制御装置270の左右前輪操向手段にて制御されている)、ステアリングレバー116を左右方向中央位置から回動操作した位置に相当する位置までパワステアリング油圧シリンダー274aにてピットマンアーム275が回動され、その位置をポテンショメータP2が検出するとパワステアリング電磁バルブ274dが左右前輪操向手段の指令によりニュウトラル位置に切替えられて、油圧シリンダー274aの作動は停止する。尚、ステアリングレバー116の左右方向への回動操作角度と左右前輪106,106の操向角度とは、同じになるように制御されている。即ち、ポテンショメータP1によるステアリングレバー116の操作角度の検出とポテンショメータP2による左右前輪106,106の操向角度が同じになるように、パワステアリング電磁バルブ274dは制御装置270の左右前輪操向手段にて制御されている。従って、作業者は、ステアリングレバー116の左右方向への回動操作角度により、左右前輪106,106の操向角度が認識できるので操作性及び安全性が向上し、作業能率が良い。また、この実施例では、ステアリングレバー116の左右方向への回動操作は無段式にしたが、ステアリングレバー116が所定角度づつの左右方向への回動操作位置で停止する周知のスチールボール係合式の有段式にしてもよい。
【0060】
このように、ステアリングレバー116を左右方向中央位置から左右方向何れかに回動操作することにより、その回動操作量に応じて左右前輪106,106の左右操向変化速度が対応して徐々に早くなって操向操作される。即ち、ステアリングレバー116の左右回動操作量が小さい時は、パワステアリング電磁バルブ274dのパルス変調制御のパルス間が長くなってパワステアリング油圧シリンダー274aへの流量が少ないので左右前輪106,106が操向される速度が遅く、また、ステアリングレバー116の左右回動操作量が大きい時は、パワステアリング電磁バルブ274dのパルス変調制御のパルス間が短くなってパワステアリング油圧シリンダー274aへの流量が多いので左右前輪106,106が操向される速度が早くなる。
【0061】
従って、畦際での機体旋回時には、ステアリングレバー116を左右に大きく操作して機体を旋回させるが、この時、左右前輪106,106が操向される速度は早いので快適なすばやい旋回が行なえて作業性が良い。
また、例えば、ステアリングレバー116を左に最大位置まで回動させるとポテンショメータP1がそれを検出して、制御装置270の左右ブレーキ作動手段により左比例電磁バルブ255Lが切替えられて、後述の左油圧シリンダー244Lに油圧が供給され左油圧ロッド244Laが進出して左カウンターアーム245Lを回動させ、左後輪107のサイドクラッチIおよび後輪ブレーキ装置Jを操作する左シフタ185を操作する左操作アーム247Lを作動させて、左後輪107のサイドクラッチが切れてブレーキが作動する。逆に、ステアリングレバー116を右に最大位置まで回動させるとポテンショメータP1がそれを検出して、制御装置270の左右ブレーキ作動手段により右比例電磁バルブ255Rが切替えられて、右油圧シリンダー244Rに油圧が供給され右後輪107のサイドクラッチが切れてブレーキが作動する。従って、畦際で機体を旋回させる為に、ステアリングレバー116を左右何れかに最大位置まで回動すると、自動的に旋回する方向の後輪107のサイドクラッチが切れてブレーキが作動し、急旋回(小回り)できて、作業性が良い(従来のように、別途、サイドブレーキを踏まなくてもよい)。尚、直進植付け作業時に、進路補正でステアリングレバー116を操作することがあるが、この直進進路補正ではステアリングレバー116を最大位置まで回動することはないので、直進植付け作業時に後輪片ブレーキが利いてしまうようなことはなく、良好な直進植付け作業が行える。
【0062】
更に、ステアリングレバー116のグリップ部116aには、田植装置103の昇降及び植付伝動の入り切りを行う上昇スイッチ116Uと下降スイッチ116Dとを設けており、機体操向操作・車速変速から田植装置103の昇降乃至作業伝動にわたる一連の操作を、グリップ部116aを把持したままで、昇降操作や植付伝動操作を行って、速かな操作を行い操作性を高めることができる構成となっている。
【0063】
更に詳述すると、操縦者は、このステアリングレバー116のグリップ部116aを把持した状態で、上昇スイッチ116Uまたは下降スイッチ116Dを操作することにより、制御装置270の田植装置昇降手段にてソレノイド油圧バルブ261を切り換えて油圧シリンダー260を伸縮し、田植装置103を走行車両101に対して昇降させることができる。更に、下降スイッチ116Dが一度押し操作される毎に、制御装置270のPTOクラッチ作動手段によりPTOクラッチ作動SOL273を操作して、施肥駆動ケース268内に設けられた動力を断接するPTOクラッチを操作して施肥装置104及び田植装置103への動力を入り切り交互に作動して、この施肥装置104及び田植装置103の伝動を入り切り操作することができる。
【0064】
一方、上昇スイッチ116Uは、押し操作毎にソレノイド油圧バルブ261を切り換えて上昇と上昇停止とに切り換えられ、下降スイッチ116Dは、一度押し操作するとソレノイド油圧バルブ261を下降に切り換えられるので、上昇スイッチ116Uと下降スイッチ116Dの押し操作毎に各々上昇とこの上昇停止、下降に切り換えでき、これらの操作を的確にして容易化できる。
【0065】
また、上昇スイッチ116Uは、押し操作すると田植装置103を上昇させることができるが、同時に、田植装置103への作業伝動を切りに切り換えて作業を停止させることができる。
下降スイッチ116Dは、作業伝動の入り切りを切り換えることもでき、前記のように下降スイッチ116Dは、一度押し操作すると田植装置103を下降させることができるが、再度押し操作すると田植装置103への作業伝動が入りに切り換えられる。そして、その後下降スイッチ116Dの押し操作毎に田植装置103への作業伝動が入りと切りとに切り換えられて、作業を行わせたり停止させることができる。田植装置103を下降させる同一下降スイッチ116Dで作業伝動とこの伝動停止とに切り換えできて、操作性を高めることができる。
【0066】
前記上昇スイッチ116Uと下降スイッチ116Dとの突出量を異ならせると、上昇スイッチ116Uと下降スイッチ116Dとのグリップ部116aにおける突出量が異なるのでスイッチ相互間の操作感覚が違い、上昇スイッチ116Uと下降スイッチ116Dとの区別性が良くなり誤操作を少くすることができる。
【0067】
また、前記上昇スイッチ116Uはグリップ部116aの先端側に位置させ、下降スイッチ116Dはこの上昇スイッチ116Uよりも下位に配置しているので、ステアリングレバー116のグリップ部116aの先端側に上昇スイッチ116Uが設けられ、この下側に下降スイッチ116Dが配置されるため、田植装置103の昇降方向と同側に対応させて、操作の選択が正確に行われて、誤操作を少くすることができる。
【0068】
また、グリップ部116aには、押し操作によって田植装置103が下降し、押し操作解除で下降を停止する下げ専用スイッチ116bを設けたので、ステアリングレバー116のグリップ部116aには、前記下降スイッチ116Dとは別に下降専用の下げ専用スイッチ116bを有することとなり、畦際での作業開始の位置合せ等では、この下げ専用スイッチ116bの押し操作とその押し操作解除とによって田植装置103の下降、停止の切り換えを行わせることができ、微妙な位置合せが容易に行なえ、操作性を高めることができる。この下げ専用スイッチ116bは、上昇スイッチ116U及び下降スイッチ116Dよりも後位に配置したので、使用頻度の少い下げ専用スイッチ116bの誤操作を少くすることができる。
【0069】
そして、更に、グリップ部116aの上面には左右揺動式の微小操向操作用のステアリングスイッチ116eが設けられており、このステアリングスイッチ116eを左右何れかに傾倒操作すると、操作した側にポテンショメータP2が左右前輪が直進状態から2度だけ左右前輪106,106が操向されることを検出するまで、パワステアリング電磁バルブ274dが作動して(この時のパルス変調制御のパルス間は長くてパワステアリング油圧シリンダー274aへの流量が少なく、左右前輪106,106が操向される速度は遅い)、左右前輪は操作した側に2度だけ操向される。尚、このステアリングスイッチ116eによる微小操向角度は、別途の設けた設定ダイヤルにて、上記2度以外に「0.5度」「3度」「4度」と設定変更できるようになっている(泥土の硬軟や耕盤の状態等の圃場条件により、操縦者が設定変更する)。また、ステアリングスイッチ116eを左右何れかに一度操作すると、操作した方向に左右前輪106,106が0.5度操向され、更に、もう一度ステアリングスイッチ116eを左右同方向に操作すると左右前輪106,106が更に0.5度操向されるようにして、ステアリングスイッチ116eを左右何れかに操作する度に所定微小角度づつ左右前輪106,106が操向されるように構成しても良い。
【0070】
従って、田植作業時の直進時には、ステアリングレバー116の微小操向操作用のステアリングスイッチ116eを左右に傾倒操作して機体を直進操向するが、この時、左右前輪106,106が操向される速度は遅く然も微小であるので直進操向操作が容易に行えて操向操作性及び作業性が良い。
【0071】
また、ステアリングレバー116をニュートラル位置Nから後進方向へ操作することを阻止する後進阻止電磁ソレノイド300を通電していない時に突出しているそのソレノイドピン301の先端に設けた阻止体302が、ステアリングレバー116をニュートラル位置Nにした時に位置決め軸215のアーム216の後側に接当するように設けて、通常では後進操作できないようにして安全性を上げている。そして、グリップ部116aには、押し操作すると、制御装置270の後進阻止作動手段の指令によりこの後進阻止電磁ソレノイド300に通電しソレノイドピン301を退入させて、阻止体302がアーム216の作動位置から外れてステアリングレバー116をニュートラル位置Nから後進方向へ操作できるようにする後進阻止解除スイッチ116cが設けられている。尚、操縦者は、後進阻止解除スイッチ116cを押したままで(後進阻止電磁ソレノイド300に通電しソレノイドピン301を退入させた状態)、ステアリングレバー116をニュートラル位置Nから後進方向へ操作する。ステアリングレバー116が後進域に入ると、後進阻止解除スイッチ116cの押し操作を止めて後進阻止電磁ソレノイド300に通電されても、阻止体302のガイド面302aがアーム216に接当した状態となり、アーム216はガイド面302aに沿って自由に移動できる。そして、ステアリングレバー116をニュートラル位置N若しくは前進方向に操作すると、阻止体302は完全に突出して、ステアリングレバー116をニュートラル位置Nから後進方向へ操作することを阻止する状態となる。
【0072】
303は、操作パネル117の後端部でステアリングレバー116の後方に配置して設けられたパイプ材よりなる支持体であって、操縦者が片方の手でステアリングレバー116のグリップ部116aを握った時に、操縦者のその手を支えるものであると共に、他方の手で支持体303を握って、身体を安定させる為のものである。また、支持体303の上下中央部位置には、ステアリングレバー116のグリップ部116a下側の作動範囲を規制するように、ステアリングレバー116を囲むように鉄板製のガイド304が設けられている。このガイド304のステアリングレバー116を規制する孔304aの形状は、ニュートラル位置Nから後進R方向へのガイド孔幅とニュートラル位置Nから前進F方向への少しの間(微速前進)は同幅で広く形成されており、ニュートラル位置Nから前進F方向への少しの間を過ぎた位置からガイド孔幅は徐々に狭くなる形状になっている。
【0073】
従って、前述のようにステアリングレバー116を左右方向中央位置から左右方向何れかに回動操作すると、ポテンショメータP1がその位置を検出して、パワステアリング油圧シリンダー274aにてピットマンアーム275が回動され、左右前輪106,106が操縦者の意思により自由に左右操向操作されるのであるが、機体が停止している状態若しくは低速で前後進している状態では、ステアリングレバー116を左右方向中央位置から左右方向何れかに最大限まで回動操作できて、旋回内側の後輪107のサイドクラッチを切ってブレーキ作動する急旋回(小回り)が行える。また、ニュートラル位置Nから前進F方向への少しの間を過ぎた位置からガイド孔304aの幅は徐々に狭くなる形状となっているので、速度が速くなるほど、左右前輪106,106の操作角度は小さくなるように規制され、機体が高速で進行している時に左右前輪106,106が大きく操向されて機体が不安定になる(転倒する)ような事態を未然に防止できる。当然、機体が高速で進行している時に、旋回内側の後輪107のサイドクラッチを切ってブレーキ作動する急旋回をしてしまうような事態は防止できる。よって、操縦者は、ステアリングレバー116にて安全に変速及び操向操作が行えて、然も、作業性が良い。
【0074】
この支持体303は、その左右幅が前部カバー114の左右幅と略同じか、若しくは、若干狭くなるように構成されており、前部カバー114の左右両側のステップ119が広く構成できるようになっており、作業者がステップ119上を動き易くて作業性が良い(畦に機体前部を着けて、畦から苗や肥料を機体に積込む苗供給作業や肥料供給作業の時に、作業性が特に良い)。
【0075】
さて、上述のように機体を操向操作するステアリングレバー116をステッキ状の構成としたので、従来の回転式の円いハンドルに比して、ステアリングレバー116と操縦席120との間隔を狭くでき、従って、操縦席120から機体前端までの距離を短くした機体構成にすることができるので、ひいては、機体の全長を短く構成できて小型の乗用型田植機を得ることができる。また、後部に田植装置103を装着した形態の乗用型田植機にあっては、どうしても機体重心が後方よりになり前後バランスが悪くなる傾向があるが、この実施例によると、操縦席120が機体前端に近づくので、操縦者の体重が機体前側に移動し、前後バランスが良くなり、走行性能及び苗植付性能が向上して良好なる田植え作業が行える。
【0076】
240はクラッチとブレーキを共に操作するペダルであって、詳細の構成は後述するが、ステアリングレバー116の右下側に配置されており、このペダル240を踏み込むとメインクラッチが切れ、続いて左右後輪ブレーキがかかり、機体は停止する。このペダル240と上記位置決め軸215の下アーム233Fとを操作ワイヤ241にて連携している。即ち、ステアリングレバー116をニュートラル位置Nから前進最大速位置Fに向けて操作しているときに上記のように自動的に連動してエンジン回転数は上げられているが、この時、ペダル240を踏み込むと(メインクラッチが切れるまで踏み込んだ時点で)、操作ワイヤ241が引かれて下アーム233Fをステアリングレバー116がニュートラル位置Nになるまで回動させる。従って、ステアリングレバー116を前進最大速位置Fに向けて操作して機体を前進させているときに、ペダル240を踏み込むと(メインクラッチが切れるまで踏み込んだ時点で)、ステアリングレバー116は自動的にニュートラル位置Nになり(エンジン回転数も自動的に下がる)、安全に機体を停止させることができる。
【0077】
次に、図13・図14に基づいて、ペダル240の連携構成と左右後輪107・107のサイドクラッチIおよび後輪ブレーキ装置Jの作動構成を説明する。ペダル240の基部は、機体に回動自在に支持された回動支軸242に固定されている。そして、回動支軸242の左端部には、クラッチ作動アーム249が固定されており、クラッチ作動アーム249の先端には下方に向けて作動ロッド250が設けられ、作動ロッド250の下端は、機体に回動自在に支持されたクラッチシフタ251に設けられたアーム252の先端部に連結されている。そして、クラッチシフタ251は、前記摺動部材148を作動させてメインクラッチ143を入・切操作できる構成になっている。尚、前記ステアリングレバー116のグリップ部116aにメインクラッチ操作スイッチを設けて、そのメインクラッチ操作スイッチの押し操作にて別途設けた電動モータにて上記ペダル240をメインクラッチ143を切方向に操作する構成としても良い。
【0078】
一方、機体に上端部が回動自在に支持された左右油圧シリンダー244L・244Rの進出及び退入する左右油圧ロッド244La・244Raの下端部が、機体に回動自在に支持された左右カウンターアーム245L・245Rの上部に連結されている。そして、各左右カウンターアーム245L・245Rの下部から後方に向けて左右連結ロッド246L・246Rが設けられ、各左右連結ロッド246L・246Rの後端はサイドクラッチIおよび後輪ブレーキ装置Jを操作する左右シフタ185・185を操作する左右操作アーム247L・247Rに連結されている。
【0079】
また、図14に示す油圧回路図において、油圧式変速装置HSTは、可変容量形のHSTポンプPと固定容量形のHSTモータMとをHST回路に有し、このHSTポンプPの入力軸135をエンジン側から駆動することによって、HST回路の油圧により出力軸136側のHSTモータMを連動することができる一般的なものである。このHSTポンプPは、ステアリングレバー116の操作によってニュートラル位置Nから前進最大速位置F方向(正方向)へ回動することにより斜板角によってHSTモータMの回転が正方向へ順次増速され、又中立域へ戻すことにより順次減速される。又、ニュートラル位置Nから後進最大速位置R方向(逆方向)へ回動することにより、同様に逆方向への回転が順次増速される。
【0080】
このHST回路の油圧をHSTモータM側から取出して、シャトル弁253及び減圧弁254を通して、左右比例電磁バルブ255L・255Rにより切替えられた油圧が、前記左右油圧シリンダー244L・244Rに供給されるように構成している。
【0081】
そして、ペダル240を踏込み操作してメインクラッチ143を切操作し、更に、踏込み操作すると、ペダル240はブレーキ作動スイッチSW1を押してON操作し、上記左右比例電磁バルブ255L・255Rを同時に切替えて左右油圧シリンダー244L・244R両方に油圧を供給して、左右油圧ロッド244La・244Raが進出して左右カウンターアーム245L・245Rを回動させ、左右後輪107・107のサイドクラッチIおよび後輪ブレーキ装置Jを操作する左右シフタ185・185を操作する左右操作アーム247L・247Rを同時に作動させて、左右後輪107・107共にサイドクラッチが切れてブレーキが作動する。
【0082】
このように、ブレーキ用油圧源をHST回路の油圧を利用することにより、特別にブレーキ用油圧源を別途設けなくても良くて、構成が簡潔となり安価な機械を得ることができる。また、左右油圧シリンダー244L・244Rをペダル240近傍の前部カバー114内に縦方向に配置すれば、コンパクトで見栄えが良く、更に、機械の小型化が可能となる。
【0083】
次に、田植装置103は、走行車両101に昇降用リンク装置102で昇降自在に装着されているのであるが、その昇降させる構成と田植装置103の構成について説明する。先ず、走行車両101に基部が回動自在に設けた一般的な油圧シリンダー260のピストン上端部を昇降用リンク装置102に連結し、走行車両101に設けた油圧ポンプ113にてソレノイド油圧バルブ261を介して油圧シリンダー260に圧油を供給・排出して、油圧シリンダー260のピストンを伸進・縮退させて昇降用リンク装置102に連結した田植装置103が上下動されるように構成されている。
【0084】
田植装置103は、昇降用リンク装置102の後部にローリング軸を介してローリング自在に装着されたフレームを兼ねる植付伝動ケース262と、該植付伝動ケース262に設けられた支持部材に支持されて機体左右方向に往復動する苗載台263と、植付伝動ケース262の後端部に装着され前記苗載台263の下端より1株分づつの苗を分割して圃場に植え付ける苗植付け具264…と、植付伝動ケース262の下部にその後部が枢支されてその前部が上下揺動自在に装着された整地体であるセンターフロート265・サイドフロート266…等にて構成されている。センターフロート265・サイドフロート266…は、圃場を整地すると共に苗植付け具264…にて苗が植付けられる圃場の前方を整地すべく設けられている。
【0085】
267は両端にユニバーサルジョイントを有するPTO伝動軸であって、施肥駆動ケース268の動力を田植装置103の植付伝動ケース262に伝達すべく設けている。269はセンターフロート265前部の上下位置を検出するポテンショメータにより構成されるセンターフロートセンサーであって、センターフロート265の前部上面とリンクにより連携されている。そして、センターフロートセンサー269のセンターフロート265前部の上下位置検出に基づいて、制御装置270の田植装置昇降手段によりソレノイド油圧バルブ261を制御して油圧シリンダー260にて田植装置103の上下位置を制御するように構成されている。
【0086】
即ち、センターフロート265の前部が外力にて適正範囲以上に持ち上げられた時には油圧ポンプ113にてミッションケース111内から汲み出された圧油を油圧シリンダー260に送り込んでピストンを突出させ昇降用リンク装置102を上動させて田植装置103を所定位置まで上昇せしめ、また、センターフロート265の前部が適正範囲以上に下がった時には油圧シリンダー260内の圧油をミッションケース111内に戻して昇降用リンク装置102を下動させて田植装置103を所定位置まで下降せしめ、そして、センターフロート265の前部が適正範囲にあるとき(田植装置103が適正な所定位置にある時)には油圧シリンダー260内の圧油の出入りを止めて田植装置103を一定位置に保持せしめるべく設けられている。このように、センターフロート265を田植装置103の自動高さ制御のための接地センサーとして用いている。
【0087】
一方、図16はデフロックペダル191’の作用を説明する斜視図であり、デフロックペダル191’の下端に連携したデフ作動アーム316と前記前輪のデフロック装置Hとが作動ロッド317にて連繋されており、また、デフ作動アーム316の下方には前輪デフロックスイッチSW2が配置されている。従って、デフロックペダル191’を踏み込み操作すると、機体に回動自在に設けられたデフ作動アーム316が回動して作動ロッド317を引き前輪のデフロック装置Hのデフ機能が停止操作され、前輪デフロックスイッチSW2が押されてONになる。そして、前輪デフロックスイッチSW2が押されてONになると、制御装置270の左右ブレーキ作動手段により左右比例電磁バルブ255L・255Rが切替えられて、左右油圧シリンダー244L・244Rの油圧が排出され左右油圧ロッド244La・244Raが退入して、左右後輪107・107のサイドクラッチが入りブレーキが作動しなくなる(左右後輪107・107共に駆動状態となる)。
【0088】
従って、畦際で機体を旋回させる為に、ステアリングレバー116を左右何れかに200度以上回すと、自動的に旋回する方向の後輪107のサイドクラッチが切れてブレーキが作動し急旋回(小回り)できて作業性が良いのであるが、この畦際旋回時に、左右前輪106・106の何れかが湿田で耕盤の深い部分に入ってしまって左右前輪106・106が空転をして機体が前進できなくなってしまうような事態になることがある。このような事態の時には、操縦者はデフロックペダル191’を踏み込んで前輪のデフロック装置Hのデフ機能が停止するように操作して、左右前輪106・106が同駆動回転する状態にして機体を前進させようとするが、上記のとおり、デフロックペダル191’を踏み込むと、前輪デフロックスイッチSW2が押されてONになり制御装置270の左右ブレーキ作動手段により左右油圧シリンダー244L・244Rの油圧が排出されように左右比例電磁バルブ255L・255Rが切替えられるので、サイドクラッチが切れてブレーキが作動していた後輪107が駆動状態となり、機体の前進駆動力が増すので左右前輪106・106が湿田で耕盤の深い部分に入った事態から良好に脱出することができる。また、この脱出時に左右後輪107・107が共に駆動状態となるので、左右後輪107・107が湿田で泥土を持ち上げて圃場を乱すようなことも防止できる。
【0089】
次に、田植装置103を自動的に上昇させる制御構成について説明する。
先ず、チェンジレバー190を後進速に操作すると、チェンジレバー190の基部に設けた接当片290が接当してONになるバックリフトスイッチ291が設けられており、制御装置270の田植装置上昇手段によりソレノイド油圧バルブ261を制御して油圧シリンダー260にて田植装置103を最大位置まで上昇させるように構成されている。
【0090】
このように、チェンジレバー190を後進速に操作すると、自動的に田植装置103を最大位置まで上昇させるように構成しておくと、圃場の畦際で機体を旋回させる為等に機体を畦に向かって後進させる時に、自動的に田植装置103は最大位置まで上昇しているので、田植装置103が畦に衝突して破損することが未然に防止でき作業性が良い。
【0091】
一方、操作パネル117には、田植装置103の自動上昇を行わせる状態と行わせない状態とに切替える自動リフト切替えスイッチ292が設けられており、即ち、自動リフト切替えスイッチ292を自動にしていると、上記のようにバックリフトスイッチ291がONになると自動的に田植装置103は制御装置270の田植装置上昇手段により自動上昇される。そして、自動リフト切替えスイッチ292をOFFにしていると、バックリフトスイッチ291がONになっても田植装置103は自動上昇されない。尚、自動リフト切替えスイッチ292をOFFにして、バックリフトスイッチ291がONになっても田植装置103が自動上昇しない状態にしておくと、機体を後進で納屋等にしまう時にチェンジレバー190を後進速に操作しても田植装置103が自動上昇しないので、田植装置103を下げたまま後進することができ、納屋の入口上部や納屋内の他の部材に田植装置103をぶつけてしまうような事態が回避できる。
【0092】
尚、上記の実施例では、ステアリングレバー116を左又は右に最大位置まで回動させた時に、制御装置270の左右ブレーキ作動手段により左又は右比例電磁バルブ255L・255Rが切替えられ、左又は右油圧シリンダー244L・244Rに油圧が供給されて左又は右後輪107・107のサイドクラッチが切れてブレーキが作動する構成としたが、左右油圧シリンダー244L・244Rから左右操作アーム247L・247Rへの連繋機構中の左右連結ロッド246L・246Rの長さを短くして、左右油圧シリンダー244L・244Rに油圧が供給されて左右油圧ロッド244La・244Raが進出しても左右後輪107・107のサイドクラッチIのみが切れて後輪ブレーキ装置Jは作動しないように構成すれば、畦際でステアリングレバー116を左又は右に最大位置まで回動させて旋回する際に、旋回する側の左又は右後輪107のサイドクラッチIのみが切れて後輪ブレーキ装置Jは作動しないので、旋回する側の左又は右後輪107は遊転状態となり圃場を乱すことが少なくなり耕盤を傷めることも少なくて良好な苗植付け作業が行える(但し、若干旋回半径が大きくなる)。尚、ステアリングレバー116を左又は右に最大位置まで回動させた場合に旋回側の後輪クラッチが切れてブレーキは作動しない構成としたが、旋回側の後輪クラッチが切れてブレーキが半ブレーキ状態に作動するように構成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明一実施例の平面図である。
【図2】線引きマーカの一例を示す正面図である。
【図3】発信器のゲージへの取付け例を示す斜視図である。
【図4】動力伝達系を示す図である。
【図5】植付け部昇降リンク30を駆動するための油圧回路の一例である。
【図6】制御系を示すブロック図である。
【図7】作業の一例を示す作用説明図である。
【図8】本発明の一実施例である8条植え乗用型田植機を示す全体側面図である。
【図9】図8に示す乗用型田植機の全体平面図である。
【図10】走行車両の伝動構成を示す概略平面図である。
【図11】ミッションケースの展開断面図である。
【図12】油圧式変速装置HSTの操作構成を示す前方から見た斜視図である。
【図13】主クラッチ及び後輪サイドクラッチ・ブレーキの操作構成を示す斜視図である。
【図14】油圧回路図である。
【図15】ステアリングレバー116のグリップ部116aの正面及び左側を示す図である。
【図16】前輪用のデフロックペダルの作用説明用斜視図である。
【図17】チェンジレバー部の斜視図である。
【図18】制御系のブロック回路図である。
【図19】操作パネル117のモニタ部の平面図である。
【符号の説明】
1:機体
2:操向輪(左右前輪)
7:植付け部
9:受信器
14:ステップ
25:操行用油圧シリンダ
41:発信器
61:制御装置
【発明の属する技術分野】
この発明は、水田作業機の操向制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、操向制御装置の一例として、田植機で目標位置に設置した発信器からの発信波を受信器で受信し、その受信状態に応じて操向制御手段が操向手段を制御して前記目標位置に向けて直進するものが知られている。
【0003】
【特許文献1】
特開平6−327303号公報(第1頁、図5)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記従来の装置では、直進状態で、操向輪が圃場面の凹凸の影響を大きく受けて直進が旨く行なえないことがあった。
そこで、この発明は、直進状態で操向輪が圃場面の凹凸の影響をあまり受けることなく、機体が直進制御できるようにすることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するためにこの発明は、以下のように構成した。すなわち、請求項1記載の発明は、操向制御手段が操向手段を制御して、自動走行する自動走行手段を備える水田作業機において、自動走行中に直進状態になると、自動直進制御手段が操向手段を制御して操向輪を微小範囲で速く反復操向する水田作業機における操向制御装置とした。従って、自動走行中に直進状態になると、操向輪を直進の状態から、微小範囲で速く反復操向することにより、圃場面の凹凸の影響を操向輪があまり受けないので、水田作業機は直進し易くなり、自動直進が適切に行なえる。
【0006】
請求項2記載の発明は、自動走行中に直進状態になると、自動直進制御手段が操向手段を制御して操向輪を微小範囲で速く反復操向すると共に、左右駆動操向輪のデフ装置をデフロックする請求項1記載の水田作業機における操向制御装置とした。従って、請求項1記載の発明の作用に加えて、自動走行中に直進状態になると、左右駆動操向輪のデフ装置がデフロック状態となるので、更に、圃場面の凹凸の影響を操向輪が受けなくなり、水田作業機は直進し易くなって、自動直進が適切に行なえる。
【0007】
請求項3記載の発明は、自動走行中に直進状態になると、自動直進制御手段が操向手段を制御して操向輪を微小範囲で速く反復操向すると共に、左右走行車輪のローリングを固定する請求項1または請求項2記載の水田作業機における操向制御装置とした。従って、請求項1または請求項2記載の発明の作用に加えて、自動走行中に直進状態になると、左右走行車輪のローリングが固定されるので、更に、圃場面の凹凸の影響を操向輪が受けなくなり、水田作業機は直進し易くなって、自動直進が適切に行なえる。
【0008】
【発明の効果】
この発明は、自動走行中に直進状態になると、操向輪を直進の状態から、微小範囲で速く反復操向することにより、圃場面の凹凸の影響を操向輪があまり受けないので、水田作業機は直進し易くなり、自動直進が適切に行なえる。
【0009】
従って、従来例の課題を適切に解消することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の一実施例について、図面を参照して説明する。
図1において、1は前輪2、2および後輪3、3により支持される機体であり、この機体1の中央部に操縦ハンドル4や座席5を設ける。機体1の前部左右には、補助苗を載せる補助苗台6、6を設けるとともに、機体1の後部には植付け部7を連結する。機体1の前部には、機体1と畦との間で乗降が容易にできるようにステップ14を設ける。なお、乗降の際には一方の補助苗台6を軸8を中心に外側に移動すると、通路を広く確保できるように構成する。また、機体1の前部の所定位置には、畦との距離を測定する距離センサ13を設ける。
【0011】
機体1の前面であって機体1の中心には、後述する受信器9を取り付ける。この位置に受信器9を配置すると、機体1が走行中に傾いたようなときであっても受信器9の揺れを極力防止できる。
機体1の前部左右には、苗の植え付け時に次行程の作業における中心線を土表面に引く線引きマーカ10、10をそれぞれ取り付ける。この線引きマーカ10は、図2に示すように、L型の支持棒11の一端に線引き部12を取り付けるとともに、その支持棒11の他端を機体1に取り付ける。そして、線引き部12は、使用時には図2で示すように土表面に接して線引きし、不使用時には土表面から離れて上方に位置するように構成する。また、線引きマーカ10は、線引き中に畦などに当たって必要以上の負荷がかかったときには、自動的に上方に上げたりまたは機体1側に引き寄せるように構成すると、その損傷を防止できる。
【0012】
尚、図1において、18は作業者が線引きマーカ10が引いた中心線を見ながら手動で運転する際に、機体1の中心をその中心線に合わせるためのセンタマスコットである。
次に、以上のように構成する実施例の動力の伝達系などについて、図4を参照して説明する。
【0013】
図4において、21はエンジンであり、このエンジン21の動力は無段変速装置22を介してミッション23に伝達されるように構成する。ミッション23の出力から取り出された動力は、左右の前輪2、2に伝達されるとともに、後輪駆動軸24、24を介して後輪3、3に伝達されるように構成する。前輪2、2は、操向用油圧シリンダ25により操向できるように構成する。尚、左右前輪2、2は、デフ装置を介して駆動される周知の駆動構成であって、そのデフ装置が制御装置61によりデフロックされる構成となっている。また、左右後輪3、3は、周知のローリング作動する構成で、且つ、そのローリングが制御装置61により固定制御される構成となっている。
【0014】
機体1には、走行中に機体1の左右方向の傾きを検出するローリングセンサ27を設けるとともに、機体1の前後方向の傾きを検出するピッチングセンサ28を設ける。また、ステアリング角を検出するステアリング角検出器26を所定位置に設ける。
【0015】
植付け部7は、植付け部昇降リンク30の植付け部ローリング連結軸31に回転自在に取り付ける。植付け部昇降リンク30は、植付け部昇降シリンダ32により上下昇降自在に構成するとともに、ヨーイング軸33を中心にヨーイングシリンダ34により左右回動自在に構成する。植付け部7には、植付け部7の整地フロート(図示省略)の上下動を検出するフロート上下動検出器35を設ける。
【0016】
上述した受信器9との組み合わせで使用する発信器41は、図3で示すように、ゲージ42の一端に取り付け棒43を介して取り付ける。ゲージ42の長さは、線引きマーカ10で土表面に引かれる中心線間の距離に等しくする。取り付け棒43は、その高さ調節ができるように構成する。なお、ゲージ42の長さは、その長さの調節ができるようにすれば、線引きマーカ10で土表面に引かれる中心線間の距離に応じて長さ調節ができ、便利である。
【0017】
発信器41は、光または電波が発信部から発信波として発信されるように構成する。一方、受信器9は、発信器41からの発信波の種類に応じてその発信波を受信部で受信できるように構成し、例えば受信部で受けた光などはその受けた位置が検出できるものが好ましい。
【0018】
上述した植付け部昇降リンク30をヨーイング軸33を中心にヨーイングシリンダ34により回動する油圧回路について、図5を参照して説明する。
図5に示すように、植付け部昇降リンク30には一体に突起51を設け、その突起51を利用してリンク30の回動を検出する左右一対のリミットスイッチ52、52を突起51の左右に設ける。そして、苗の植え付け中は、電磁バルブ53を「入」にし、ヨーイングシリンダ34がフリーになるようにする。一方、田植機が路上走行や旋回のときには、電磁バルブ53を「切」にし、リミットスイッチ52、52の検出出力に応じて電磁バルブ54を切り換えてヨーイングシリンダ34を駆動し、植付け部昇降リンク30を中央位置に固定するように動作させる。
【0019】
次に、以上述べた本発明実施例の制御系について、図6のブロック図を参照して説明する。
図6において、61は後述のように各部を制御する制御装置であり、マイクロコンピュータなどで構成する。この制御装置61の入力側には、「手動」、「自動直進」、または「半自動」の運転モードのうちのいずれか1つを選択する自動直進スイッチ62、ステアリング角検出器26、受信器9、ローリングセンサ27、ピッチングセンサ28、植付け検出器35、リミットスイッチ52、距離センサ13などを接続する。さらに、制御装置61の出力側には、制御対象として無断変速装置22、操向用油圧シリンダ25、植付部昇降シリンダ32、電磁バルブ53、54などを接続する。
【0020】
次に、以上のような構成からなる実施例の第1の動作例について、図7を参照して説明する。
本実施例では、図7に示すように、運転モード選択スイッチ62により「自動直進」が選択されているときには、田植機は、畦の目標位置に設置されている発信器41からの発信波を受信器9で受信する。そして、その受信器9の受信状態に応じて、制御装置61が操向用シリンダ25を制御するので、田植機は目標位置に向けて自動的に直進する。そして、田植機が直進中(進路が適切で機体が直進している時)には、制御装置61の自動直進制御手段により、操向用シリンダ25を少しだけ小刻みに往復作動させて、左右前輪2が左右方向に小刻みに操向されるように制御している。これは、操向輪である左右前輪2を直進の状態(左右前輪2が機体と平行な状態)から、左右交互に小刻みに操向させてやると、圃場の凹凸の影響を左右前輪2があまり受けないので、田植機は直進し易くなり、自動直進が適切に行なえる。
【0021】
従って、作業者は、田植機が適切に直進するので、安心して苗の植え付け中に補助苗台6の苗を植付け部7に必要に応じて供給できる。尚、このときに、線引きマーカ10により次の作業における中心線70を土表面に引いていく。
また、上記の田植機が直進中(進路が適切で機体が直進している時)に左右前輪2を左右方向に小刻みに操向する制御に加えて、左右前輪2のデフ装置を自動的にデフロックさせるように制御装置61にて制御すれば、更に圃場の凹凸の影響を左右前輪2が受けなくなり、田植機は直進し易くなって、自動直進が更に適切に行なえる。そして、左右前輪2のデフ装置を自動的にデフロックさせるのに同期して左右後輪3のデフ装置を自動的にデフロックさせれば、更に、自動直進が適切に行なえる。尚、左右前輪2若しくは左右後輪3がローリングする形態のものにあっては、上記の田植機が直進中にそのローリングを固定するように制御装置61にて制御すると、自動直進が更に適切に行なえる。
【0022】
この自動直進中は、ヨーイングシリンダ34が不作動の状態にあるので、植付け部7はヨーイング軸33を中心に土壌表面上で左右に揺動自在である。そのため、機体1の操行制御が行われる場合でも、植付け部7はその影響を受けずに植付けできる。
【0023】
その後、距離サンサ13の検出距離により畦に接近したことを検出すると、田植機は自動停止する。そこで、作業者は補助苗台6を軸8を中心に外向きに移動して通路を形成するとともに、ステップ14を利用して機体1の前部から畦に降り、発信器41を次の復路作業の目標位置に設置し直す。その際、ゲージ42を畦に沿って平行移動するとともに、ゲージ42の後端を線引きマーカ10で引いた中心線の延長上に一致させる。すると、ゲージ42は、図7の一点鎖線で示すような状態になり、ゲージ42に一体の発信器41は次の目標位置に設置される。従って、次の復路作業の際には、目標位置に設置される発信器41を利用して操向制御できる。
【0024】
なお、発信器41の目標位置への設定終了後、補助苗台6に苗を供給する必要があるときには、補助苗台6が機体1の前部に配置されていて畦との距離が接近しているので、作業者は1人でも容易かつ迅速にできる。
一方、田植機を手動運転で旋回したのち往路作業を行う場合には、反対側の畦の目標位置に設置してある発信器41を利用して上記と同様に操向制御をすれば、田植機は目標位置に向けて自動直進する。このときには、線引きマーカ10により土表面に中心線70を引いていく。そして、その直進作業が終了した時点で、作業者は田植機から畦に降りて発信器41を上記のようにして次の目標位置に設置できる。
【0025】
以上のように、本発明実施例では、線引きマーカ10を備えるとともに、発信器41をゲージ42に取り付けるようにしたので、線引きマーカ10で引いた中心線70とゲージ42との組み合わせにより、発信器41を容易かつ迅速に次の目標位置に設置できる。また、線引きマーカ10によって引いた中心線70を基準にゲージ42を利用して発信器41の目標位置を決めるようにしたので、ゲージ42は短いもので足りる。
【0026】
次に、本発明実施例の第2の動作例について説明する。
この動作例では、運転モード選択スイッチ62を「自動直進」にして上記の第1の動作例と同様の自動直進に移行する際に、距離センサ13の検出距離に基づく移動距離の算出、または時間の測定を開始する。そして、その算出距離また測定時間が一定値に達したときに、自動的に走行を停止するように各部を制御する。このような制御により、長距離または長時間に亘る自動直進が大きく外れるのを未然に防止できる利点がある。
【0027】
次に、本発明実施例の第3の動作例について説明する。
この動作例では、運転モード選択スイッチ62が「自動直進」のときには、上記の第1の動作例と同様に自動直進する。さらに、これに併せてローリングセンサ27、またはピッチングセンサ28がその検出を行う。そして、その検出値が所定値を上回って機体1が大きく揺れるときには、走行速度を下げたりまたは停止するように各部を制御する。このような制御により、受信器9の受信不能による走行の異常を未然に防止できる。
【0028】
次に、本発明実施例の第4の動作例について説明する。
この動作例では、運転モード選択スイッチ62を「半自動」に設定し、通常は作業者が手動運転を行う。そして、その運転中に、植付け部7の苗が減少して苗補給信号が発せられ、座席5に設けた周知の運転者が席を離れたことを検出するセンサが運転者が席を離れたことを検出すると、次に、運転者が座席5に座るまで上記の第1の動作例と同様に自動直進する。これにより、植付け部7の苗が減少して供給するときには自動直進するので、作業者は苗の補給作業を安心して行える。
【0029】
次に、他の8条植え乗用型田植機の構成及び作用を図8〜図19に基づき詳細に説明する。走行車両101に昇降用リンク装置102で田植装置103を装着すると共に施肥装置104を設け、全体で乗用施肥田植機として構成されている。走行車両101は、駆動輪である左右各一対の前輪106,106および後輪107,107を有する四輪駆動車両である。
【0030】
メインフレーム110の上にミッションケース111とエンジン112が前後に配設されており、該ミッションケース111の後部上面に油圧ポンプ113が一体に組み付けられ、またミッションケース111前部の上方には前部カバー114が設けられられている。
【0031】
そして、前部カバー114の上端部に前後方向及び左右方向の何れにも操作できるステッキ状のステアリングレバー116と操作パネル117が設けられている。機体の上部には操縦用のフロアとなるステップ119が取り付けられ、エンジン112の上方部に操縦席120が設置されている。前輪106,106は、ミッションケース111の側方に変向可能に設けた前輪支持ケース122,122に軸支されている。また、後輪107,107は、ローリング杆123の左右両端部に一体に取り付けた後輪支持ケース124,124に軸支されている。ローリング杆123はメインフレーム110の後端部に突設したローリング軸125で進行方向と垂直な面内で回動自在に支持されている。
【0032】
操作パネル117には、図19に示すように、各部の状態や警報を表示するモニタ部が設けられている。ここで、このモニタ部の説明をする。
上部中央位置には、乗用型田植機の図が液晶表示されており、その前輪の絵106a,106aは、後述のポテンショメータP2の検出によって制御装置270にて左右前輪106,106が操向されている角度を表示できるようになっている。従って、操縦者は、モニタ部の前輪の絵106a,106aを見てステアリングレバー116による左右前輪106,106の操向操作がどの様に行われているか認識できて、適正な機体の操向操作が行えて作業性が良い。尚、ポテンショメータP2の検出によって制御装置270にて左右前輪106,106が操向されている角度を表示する場合、左右前輪106,106が直進操作以上の操向角度に操作されたことをポテンショメータP2が検出した時に、表示するようにしても良い。
【0033】
上部左側には、制御関係に異常が発生した時に点灯するマイコンチェックランプ・施肥装置104のブロアが作動していない時に点灯するブロア切ランプ・施肥装置104の肥料タンク内の肥料が残り少なくなった時に点灯する肥料切れランプ・畦クラッチを切っている時に点灯する畦クラッチ切ランプ・植付クラッチを切っている時に点灯する植付クラッチ切ランプ・エンジンオイルが減少した時に点灯するエンジンオイル切ランプが設けられている。
【0034】
上部右側には、田植装置103が上昇している時に点灯する上昇ランプ・田植装置103が下降している時に点灯する下降ランプ・田植装置103の上下位置を表示する位置表示ランプが設けられており、操縦者は田植装置103が上昇中なのか下降中なのか認識できると共に、田植装置103の上下位置も分るので、田植作業時に田植装置103の上下動操作の誤操作が防止できて作業性が良い。また、上部の最も右側には、燃料計とアワメータが設けられている。
【0035】
上下中央部には、その左右両側に左右マーカランプが設けられており、左右マーカの線引き状態にある側のランプが点灯するようになっている。また、左右マーカランプの間には、施肥装置104の各条単位の肥料詰まりを警報表示する肥料詰まりランプと苗載台263の各条単位の苗減少を警報表示する苗切れランプとが設けられている。
【0036】
下部には、左からメインクラッチ143が切り操作されている時に点灯するメインクラッチランプ・チェンジレバー190にて主変速装置Bが低速の作業速と高速の路上走行速とニュートラルとの何れの位置に操作されているかを点灯して表示する各ランプ・ステアリングレバー116を前進F方向と後進R方向との何れの方向に操作されているかを点灯して表示する各ランプ・ステアリングレバー116を左右方向に最大限まで操作して旋回内側のブレーキが作動しクラッチが切れたことを表示する左右の各ブレーキランプとクラッチランプが設けられている。
【0037】
エンジン112の回転動力は、ベルト131を介して油圧ポンプ113の駆動軸であるカウンタ軸132に伝えられ、さらに該カウンタ軸からベルト133を介して油圧式変速装置HSTの入力軸135に伝えられ、油圧式変速装置HSTの出力軸136からベルトを介してミッション入力軸134に伝えられる。尚、ミッション入力軸134上には、メインクラッチ143が設けられており、油圧式変速装置HSTの駆動力はメインクラッチ143を介してミッション入力軸134に伝動される。メインクラッチ143は周知の多板クラッチであり、図中の144はメインクラッチ軸側の摩擦板、145はミッション入力軸側の摩擦板、146は両摩擦板を押し付けるスプリング、147,148は切替操作用の固定部材と摺動部材である。
【0038】
ミッションケース111のケーシング140の前部には、ミッション入力軸134、カウンタ軸150、走行一次軸151、走行二次軸152、植付一次軸153、植付二次軸154がそれぞれ平行に支承されている。ミッション入力軸134のギヤG1とカウンタ軸150のギヤG2、およびギヤG2と走行一次軸151のギヤG3がそれぞれ互いに噛合しており、ミッション入力軸134の回転が走行一次軸151に順方向に伝えられる。
【0039】
主変速装置Bとして、走行一次軸151に前記ギヤG3とギヤG4がそれぞれ定位置に嵌着され、走行二次軸152に互いに一体に成形されたギヤG5,G6が軸方向に摺動自在に嵌合している。シフタ156でギヤG5,G6を移動させ、ギヤG4,G5が噛合すると低速の作業速、ギヤG3とギヤG4が噛合すると高速の路上走行速になる。また、植付一次軸153にはギヤG4に常時噛合するギヤG7とバックギヤG8が嵌着されており、ギヤG6をバックギヤG8に噛合させると後進速になる。ギヤG5,G6がいずれのギヤとも噛合しない位置がニュートラルになる。この主変速装置Bの操作するチェンジレバー190は操作パネル117に設けられている。
【0040】
このチェンジレバー190は、前記ステアリングレバー116の左側に配置されており、且つ、ステアリングレバー116よりも低く構成されているレバーである。従って、右手で頻繁に操作するステアリングレバー116を持って操作し、左手で比較的使用頻度の少ないチェンジレバー190を操作することとなるから、非常に操作性が良く、然も、チェンジレバー190は低いので誤ってチェンジレバー190を触ってしまうようなミスを防止できる。
【0041】
そして、これらステアリングレバー116及びチェンジレバー190は操作パネル117の枠内で操作される構成となっており、ステップ119上を作業者が行き来しても、作業者の身体がこれらステアリングレバー116及びチェンジレバー190に触れてレバーが誤って操作されてしまうことが防止された構成となっており、作業上、安全である。
【0042】
一方、株間変速装置Cとして、植付一次軸153に互いに一体に成形されたギヤG9,G10が軸方向に摺動自在に嵌合しているとともに、植付二次軸154にギヤG11,G12がそれぞれ取り付けられている。シフタ157でギヤG9,G11を適宜に移動させることにより、ギヤG9とギヤG10、ギヤG10とギヤG11、およびギヤG10とギヤG12の3通りの組み合わせが得られ、3段階の株間切替を行える。植付二次軸154からベベルギヤG13,G14を介して植付部伝動軸158に伝動される。
【0043】
ケーシング140の後部には、リヤアクスル160,160とフロントアクスル161,161が支承され、前記走行二次軸152からリヤデフ装置Dを介してリヤアクスル160,160に伝動されるとともに、リヤデフ装置Dからフロントデフ装置Eを介して左右フロントアクスル161,161に伝動される。そして、左右フロントアクスル161,161により各々左右前輪106,106が駆動回転される構成となっている。
【0044】
リヤデフ装置Dは、走行二次軸152のギヤG15に噛合するギヤG16が外周部に形成された容器163を備え、該容器内の縦軸164に取り付けた一次ベベルギヤG17と左右のリヤアクスル160,160に各別に取り付けた二次ベベルギヤG18,G18とが互いに噛合する状態で収納されており、各アクスルに伝動される駆動力が適宜変動するようになっている。
【0045】
フロントデフ装置Eもリヤデフ装置Dと同様の構成で、図中の165は容器、166は縦軸、G19はリヤデフ装置側のギヤ、G20はフロントデフ装置側のギヤ、G21は縦軸166に取り付けたベベルギヤ、G22はフロントアクスル161に取り付けたベベルギヤである。上記リヤデフ装置Dおよびフロントデフ装置Eにはデフ機能を停止し、左右両アクスルに駆動力が均等に伝動されるようにするデフロック装置F,Hが設けられている。このデフロック装置F(H)は、容器163(164)に形成された爪169(170)とアクスルの角棒部に嵌合するデフロック部材171(172)の爪173(174)とアクスル150(151)を互いに固定するようになっている。この後輪のデフロック装置Fを操作するデフロックレバー191は操作パネル117に設けられている。尚、前輪のデフロック装置Hは、ステップ119に設けたデフロックペダル191’を踏み込むとデフ機能が停止される構成となっている。このデフロックレバー191及びデフロックペダル191’は、共に機体の前部に配置されており、例えば圃場の畦を乗り越えて機体を圃場から出す時等に、操縦者は機体から降りて機体の前方に立って(自分の身体をウエイト代わりにする為に機体の前端部に乗って)機体を前進若しくは後進させてこの畦越えを安全に行うが、この時、左右前輪106,106の何れか又は左右後輪107,107の何れかが空回りした場合に即座に操縦者は機体前部にあるデフロックレバー191及びデフロックペダル191’を容易な姿勢で操作できてデフロック状態にして安全に畦越えを行うことができる。
【0046】
リヤアクスル160,160はベベルギヤG23,G24,…によってサイドクラッチ軸176,176に伝動連結され、さらに該サイドクラッチ軸からリヤ出力軸177,177にサイドクラッチI,Iを介して伝動される。サイドクラッチIは多板クラッチであり、180はサイドクラッチ軸側の摩擦板、181はリヤ出力軸側の摩擦板である。182はリヤ出力軸177に摺動自在に嵌合する作動筒で、板ばね183によって両摩擦板を押し付ける方向に付勢されており、常時はサイドクラッチIが入った状態となっている。シフタ185で作動筒182を付勢方向と逆向きに移動させると、サイドクラッチIが切れる。
【0047】
更に、リヤ出力軸177,177には後輪ブレーキ装置J,Jが設けられている。後輪ブレーキ装置Jは、リヤ出力軸177に取り付けたディスク187,…にプレッシャプレート188,…を押し付けて制動するものであり、このプレッシャプレート188,…の駆動も前記作動筒182で行う。すなわち、常時はサイドクラッチIが入で、後輪ブレーキ装置Jが掛かっていない状態であり、シフタ185を操作して作動筒182を付勢方向と逆向きに移動させると、サイドクラッチIが切れるとともに、後輪ブレーキ装置Jが掛かるのである。これらサイドクラッチIおよび後輪ブレーキ装置Jの操作(左右シフタ185・185の操作)は、後述のステップ119上に設けたペダル240又はステアリングレバー116の操作に連繋して行われる。
【0048】
リヤ出力軸177,177の後端部はケーシング140外に突出し、この突出端部に前記後輪支持ケース124,124に伝動する左右後輪伝動軸189,189が接続されている。そして、この左右後輪伝動軸189,189により各々左右後輪107,107が駆動回転される構成となっている。
【0049】
チェンジレバー190の操作位置は、後から前方に操作する順に後進速、ニュートラル、作業速、路上走行速となっている。また、デフロックレバー191を前方に操作するとデフロック、後方に操作するとデフオンとなる。
従って、圃場内で田植作業を行なう場合には、デフロックレバー191をデフロックにし、チェンジレバーを作業速にシフトし、田植装置103の苗載台に苗を載置し施肥装置104の肥料タンクに粒状肥料入れて、各部を駆動させて前進すると、左右後輪107,107のデフロック装置Fはデフロックされてデフ機能が停止した状態であるので、機体の直進性が良くて良好な田植作業と施肥作業が同時に行える。また、路上走行の場合には、リヤデフ装置D及びフロントデフ装置E共にデフ機能が働く状態に操作すれば、安全に走行できる。
【0050】
油圧式変速装置HSTは、操縦席120の前方右側に設けられた前記ステアリングレバー116の前後方向の操作にて前進・後進・増減速・中立の各操作が行なわれる。機体斜め前方から見た作動説明用斜視図である図12に示すように、ステアリングレバー116は、機体に前後方向に軸211にて回動自在に支持された操作レバー基部212に軸213にて左右方向に回動自在に支持されており、前後方向及び左右方向何れの方向にも自由に操作される構成になっている。尚、212aは、機体側に設けられた操作レバー基部212を前後方向操作位置で止める為の一般的な皿バネよりなる付勢機構である。
【0051】
また、軸213に基部が溶接固定された延長軸213aと軸211との間には引張スプリング213bが設けられており(ステアリングレバー116を左右方向中央位置で且つ前後方向のニュートラルN位置にした時に、最も、引張スプリング213bが短くなるように、引張スプリング213bは配置されている)、ステアリングレバー116を左右方向中央位置で且つ前後方向のニュートラルN位置に自動復帰させる中立自動復帰機構を構成している。
【0052】
従って、操縦者がステアリングレバー116を前進F方向に操作するほど(高速側に変速するほど)引張スプリング213bの付勢力にて操作荷重が重くなり、操縦者に高速側に操作していることを認知させることができて安全である。また、操縦者がステアリングレバー116を左右側に操作するほど(機体操向角が大きくなるほど)引張スプリング213bの付勢力にて操作荷重が重くなり、操縦者に大きく操向操作していることを認知させることができて安全であり、田植作業時に直進操作するために微妙な左右操作を行う時には操作荷重が軽いので直進操作性が良くて作業性が良い。
【0053】
そして、操作レバー基部212は、ロッド214にて機体に回動自在に支持された位置決め軸215のアーム216に連結されている。位置決め軸215には、扇型のカム板217が固定されており、このカム板217には、ステアリングレバー116がニュートラル位置Nの時にバネ218にて付勢されているポジションローラ219が嵌入する円弧溝217Nと、ステアリングレバー116が前進最大速位置Fの時にバネ218にて付勢されているポジションローラ219が嵌入する円弧溝217Fと、ステアリングレバー116が後進最大速位置Rの時にバネ218にて付勢されているポジションローラ219が嵌入する円弧溝217Rとが形成されている。
【0054】
また、位置決め軸215には、HST操作アーム220が設けられており、このHST操作アーム220が油圧式変速装置HSTのトラニオン軸221に固定されたトラニオン操作アーム222にロッド223にて連結されている。
従って、ステアリングレバー116をニュートラル位置Nにしている時には、カム板217の円弧溝217Nにポジションローラ219が嵌入して、油圧式変速装置HSTはニュートラルに保持されて機体は停止状態である。そして、ステアリングレバー116をニュートラル位置Nから前進最大速位置Fに向けて操作するほど、ロッド214・アーム216・位置決め軸215・HST操作アーム220・ロッド223・トラニオン操作アーム222・トラニオン軸221と連携して作動し、トラニオン軸221が前進方向に徐々に操作されて、機体は徐々に前進速度が速くなる。逆に、ステアリングレバー116をニュートラル位置Nから後進最大速位置Rに向けて操作するほど、ロッド214・アーム216・位置決め軸215・HST操作アーム220・ロッド223・トラニオン操作アーム222・トラニオン軸221と連携して作動し、トラニオン軸221が後進方向に徐々に操作されて、機体は徐々に後進速度が速くなる。
【0055】
一方、機体に前後方向に回動自在に支持されたスロットルレバー230に連結された操作ワイヤー231がエンジン112のアクセル作動機構に連携しており、スロットルレバー230を増速方向に操作すると操作ワイヤー231はイ方向に作動してアクセル作動機構を全開方向に向けて作動させてエンジン112の回転を上げる。そして、この操作ワイヤー231の中途部に係合部材232が固定されており、前記位置決め軸215に上下方向に設けられた2つの上アーム233Rと下アーム233Fに各々連結された操作ワイヤ234R・234Fが共にアクセル連動アーム235の下端に連結され、このアクセル連動アーム235は機体に回動自在に支持され、その上部はフック状部235aになっており係合部材232のエンジン側の操作ワイヤー231を抱き込むように構成されている(フック状部235aは、操作ワイヤー231の外側を自由に移動できるようになっている。換言すると、操作ワイヤー231は、フック状部235aの内側を自由にイ方向及び反イ方向に移動できる構成となっている)。
【0056】
従って、スロットルレバー230を増速及び減速方向に操作すると、操作ワイヤー231を介してエンジン112の回転数を調節できる。一方、ステアリングレバー116をニュートラル位置Nから前進最大速位置F又は後進最大速位置Rに向けて操作するほど、下アーム233F又は上アーム233Rの回動により操作ワイヤ234F・234Rを引いてアクセル連動アーム235のフック状部235aをロ方向に移動させるので、フック状部235aが係合部材232に接当して操作ワイヤー231をイ方向に作動してアクセル作動機構を全開方向に向けて作動させてエンジン112の回転を上げる。即ち、ステアリングレバー116にて車速を速くするほど連動して、エンジン112の回転数も上がるように構成されている。従って、ステアリングレバー116にて変速操作とエンジン112の回転数の操作が同時に行えるので、操作性が良くて作業効率が良い(スロットルレバー230を操作する必要がない)。また、ステアリングレバー116がニュートラル位置Nでスロットルレバー230を最低速に減速した時に、フック状部235aが係合部材232に接当し始める構成となっているので、ステアリングレバー116がニュートラル位置Nではスロットルレバー230にて自由にエンジン112の回転数を上下調節でき、ステアリングレバー116をニュートラル位置Nから前進最大速位置F又は後進最大速位置Rに向けて途中まで操作しているときには、自動的に連動して上げられたスロットル位置からスロットルレバー230にて自由にエンジン112の回転数を上げることができる。
【0057】
ここで、ステアリングレバー116の左右方向の操作について、説明しておく。
ステアリングレバー116を左右方向に回動自在に支持する為の軸213の一端部には、作動アーム213bがステアリングレバー116の左右方向への回動と一体に回動するように溶接されている。そして、操作レバー基部212より延出した支持アーム213cに設けたポテンショメータP1にロッド213dを介して連繋している。従って、ステアリングレバー116を左右方向に回動操作すると、ポテンショメータP1がその位置を検出できる構成となっている。
【0058】
一方、ミッションケース111底面に支持された回動軸274にピットマンアーム275が固定されており、ピットマンアーム275の前部左右側と左右前輪支持ケース122,122とは左右ロッド276,276にて連結されている。また、回動軸274には、パワステアリング油圧シリンダー274aにて回動操作される作動アーム274bの基部が固定されている。尚、作動アーム274bのパワステアリング油圧シリンダー274aと連繋した反対側は、ピットマンアーム275の回動角度を検出するポテンショメータP2にロッド274cにて連繋されており、油圧シリンダー274aにて回動操作されるピットマンアーム275の回動角度をポテンショメータP2が常に検出する構成となっている。
【0059】
そして、ステアリングレバー116を左右方向中央位置から左右方向何れかに回動操作すると、ポテンショメータP1がその位置を検出し、パワステアリング電磁バルブ274dが制御装置270の左右前輪操向手段の指令により切替えられて(パワステアリング電磁バルブ274dは、パルス変調制御されており、流量はステアリングレバー116の左右方向への回動操作量に応じて変更されるように、制御装置270の左右前輪操向手段にて制御されている)、ステアリングレバー116を左右方向中央位置から回動操作した位置に相当する位置までパワステアリング油圧シリンダー274aにてピットマンアーム275が回動され、その位置をポテンショメータP2が検出するとパワステアリング電磁バルブ274dが左右前輪操向手段の指令によりニュウトラル位置に切替えられて、油圧シリンダー274aの作動は停止する。尚、ステアリングレバー116の左右方向への回動操作角度と左右前輪106,106の操向角度とは、同じになるように制御されている。即ち、ポテンショメータP1によるステアリングレバー116の操作角度の検出とポテンショメータP2による左右前輪106,106の操向角度が同じになるように、パワステアリング電磁バルブ274dは制御装置270の左右前輪操向手段にて制御されている。従って、作業者は、ステアリングレバー116の左右方向への回動操作角度により、左右前輪106,106の操向角度が認識できるので操作性及び安全性が向上し、作業能率が良い。また、この実施例では、ステアリングレバー116の左右方向への回動操作は無段式にしたが、ステアリングレバー116が所定角度づつの左右方向への回動操作位置で停止する周知のスチールボール係合式の有段式にしてもよい。
【0060】
このように、ステアリングレバー116を左右方向中央位置から左右方向何れかに回動操作することにより、その回動操作量に応じて左右前輪106,106の左右操向変化速度が対応して徐々に早くなって操向操作される。即ち、ステアリングレバー116の左右回動操作量が小さい時は、パワステアリング電磁バルブ274dのパルス変調制御のパルス間が長くなってパワステアリング油圧シリンダー274aへの流量が少ないので左右前輪106,106が操向される速度が遅く、また、ステアリングレバー116の左右回動操作量が大きい時は、パワステアリング電磁バルブ274dのパルス変調制御のパルス間が短くなってパワステアリング油圧シリンダー274aへの流量が多いので左右前輪106,106が操向される速度が早くなる。
【0061】
従って、畦際での機体旋回時には、ステアリングレバー116を左右に大きく操作して機体を旋回させるが、この時、左右前輪106,106が操向される速度は早いので快適なすばやい旋回が行なえて作業性が良い。
また、例えば、ステアリングレバー116を左に最大位置まで回動させるとポテンショメータP1がそれを検出して、制御装置270の左右ブレーキ作動手段により左比例電磁バルブ255Lが切替えられて、後述の左油圧シリンダー244Lに油圧が供給され左油圧ロッド244Laが進出して左カウンターアーム245Lを回動させ、左後輪107のサイドクラッチIおよび後輪ブレーキ装置Jを操作する左シフタ185を操作する左操作アーム247Lを作動させて、左後輪107のサイドクラッチが切れてブレーキが作動する。逆に、ステアリングレバー116を右に最大位置まで回動させるとポテンショメータP1がそれを検出して、制御装置270の左右ブレーキ作動手段により右比例電磁バルブ255Rが切替えられて、右油圧シリンダー244Rに油圧が供給され右後輪107のサイドクラッチが切れてブレーキが作動する。従って、畦際で機体を旋回させる為に、ステアリングレバー116を左右何れかに最大位置まで回動すると、自動的に旋回する方向の後輪107のサイドクラッチが切れてブレーキが作動し、急旋回(小回り)できて、作業性が良い(従来のように、別途、サイドブレーキを踏まなくてもよい)。尚、直進植付け作業時に、進路補正でステアリングレバー116を操作することがあるが、この直進進路補正ではステアリングレバー116を最大位置まで回動することはないので、直進植付け作業時に後輪片ブレーキが利いてしまうようなことはなく、良好な直進植付け作業が行える。
【0062】
更に、ステアリングレバー116のグリップ部116aには、田植装置103の昇降及び植付伝動の入り切りを行う上昇スイッチ116Uと下降スイッチ116Dとを設けており、機体操向操作・車速変速から田植装置103の昇降乃至作業伝動にわたる一連の操作を、グリップ部116aを把持したままで、昇降操作や植付伝動操作を行って、速かな操作を行い操作性を高めることができる構成となっている。
【0063】
更に詳述すると、操縦者は、このステアリングレバー116のグリップ部116aを把持した状態で、上昇スイッチ116Uまたは下降スイッチ116Dを操作することにより、制御装置270の田植装置昇降手段にてソレノイド油圧バルブ261を切り換えて油圧シリンダー260を伸縮し、田植装置103を走行車両101に対して昇降させることができる。更に、下降スイッチ116Dが一度押し操作される毎に、制御装置270のPTOクラッチ作動手段によりPTOクラッチ作動SOL273を操作して、施肥駆動ケース268内に設けられた動力を断接するPTOクラッチを操作して施肥装置104及び田植装置103への動力を入り切り交互に作動して、この施肥装置104及び田植装置103の伝動を入り切り操作することができる。
【0064】
一方、上昇スイッチ116Uは、押し操作毎にソレノイド油圧バルブ261を切り換えて上昇と上昇停止とに切り換えられ、下降スイッチ116Dは、一度押し操作するとソレノイド油圧バルブ261を下降に切り換えられるので、上昇スイッチ116Uと下降スイッチ116Dの押し操作毎に各々上昇とこの上昇停止、下降に切り換えでき、これらの操作を的確にして容易化できる。
【0065】
また、上昇スイッチ116Uは、押し操作すると田植装置103を上昇させることができるが、同時に、田植装置103への作業伝動を切りに切り換えて作業を停止させることができる。
下降スイッチ116Dは、作業伝動の入り切りを切り換えることもでき、前記のように下降スイッチ116Dは、一度押し操作すると田植装置103を下降させることができるが、再度押し操作すると田植装置103への作業伝動が入りに切り換えられる。そして、その後下降スイッチ116Dの押し操作毎に田植装置103への作業伝動が入りと切りとに切り換えられて、作業を行わせたり停止させることができる。田植装置103を下降させる同一下降スイッチ116Dで作業伝動とこの伝動停止とに切り換えできて、操作性を高めることができる。
【0066】
前記上昇スイッチ116Uと下降スイッチ116Dとの突出量を異ならせると、上昇スイッチ116Uと下降スイッチ116Dとのグリップ部116aにおける突出量が異なるのでスイッチ相互間の操作感覚が違い、上昇スイッチ116Uと下降スイッチ116Dとの区別性が良くなり誤操作を少くすることができる。
【0067】
また、前記上昇スイッチ116Uはグリップ部116aの先端側に位置させ、下降スイッチ116Dはこの上昇スイッチ116Uよりも下位に配置しているので、ステアリングレバー116のグリップ部116aの先端側に上昇スイッチ116Uが設けられ、この下側に下降スイッチ116Dが配置されるため、田植装置103の昇降方向と同側に対応させて、操作の選択が正確に行われて、誤操作を少くすることができる。
【0068】
また、グリップ部116aには、押し操作によって田植装置103が下降し、押し操作解除で下降を停止する下げ専用スイッチ116bを設けたので、ステアリングレバー116のグリップ部116aには、前記下降スイッチ116Dとは別に下降専用の下げ専用スイッチ116bを有することとなり、畦際での作業開始の位置合せ等では、この下げ専用スイッチ116bの押し操作とその押し操作解除とによって田植装置103の下降、停止の切り換えを行わせることができ、微妙な位置合せが容易に行なえ、操作性を高めることができる。この下げ専用スイッチ116bは、上昇スイッチ116U及び下降スイッチ116Dよりも後位に配置したので、使用頻度の少い下げ専用スイッチ116bの誤操作を少くすることができる。
【0069】
そして、更に、グリップ部116aの上面には左右揺動式の微小操向操作用のステアリングスイッチ116eが設けられており、このステアリングスイッチ116eを左右何れかに傾倒操作すると、操作した側にポテンショメータP2が左右前輪が直進状態から2度だけ左右前輪106,106が操向されることを検出するまで、パワステアリング電磁バルブ274dが作動して(この時のパルス変調制御のパルス間は長くてパワステアリング油圧シリンダー274aへの流量が少なく、左右前輪106,106が操向される速度は遅い)、左右前輪は操作した側に2度だけ操向される。尚、このステアリングスイッチ116eによる微小操向角度は、別途の設けた設定ダイヤルにて、上記2度以外に「0.5度」「3度」「4度」と設定変更できるようになっている(泥土の硬軟や耕盤の状態等の圃場条件により、操縦者が設定変更する)。また、ステアリングスイッチ116eを左右何れかに一度操作すると、操作した方向に左右前輪106,106が0.5度操向され、更に、もう一度ステアリングスイッチ116eを左右同方向に操作すると左右前輪106,106が更に0.5度操向されるようにして、ステアリングスイッチ116eを左右何れかに操作する度に所定微小角度づつ左右前輪106,106が操向されるように構成しても良い。
【0070】
従って、田植作業時の直進時には、ステアリングレバー116の微小操向操作用のステアリングスイッチ116eを左右に傾倒操作して機体を直進操向するが、この時、左右前輪106,106が操向される速度は遅く然も微小であるので直進操向操作が容易に行えて操向操作性及び作業性が良い。
【0071】
また、ステアリングレバー116をニュートラル位置Nから後進方向へ操作することを阻止する後進阻止電磁ソレノイド300を通電していない時に突出しているそのソレノイドピン301の先端に設けた阻止体302が、ステアリングレバー116をニュートラル位置Nにした時に位置決め軸215のアーム216の後側に接当するように設けて、通常では後進操作できないようにして安全性を上げている。そして、グリップ部116aには、押し操作すると、制御装置270の後進阻止作動手段の指令によりこの後進阻止電磁ソレノイド300に通電しソレノイドピン301を退入させて、阻止体302がアーム216の作動位置から外れてステアリングレバー116をニュートラル位置Nから後進方向へ操作できるようにする後進阻止解除スイッチ116cが設けられている。尚、操縦者は、後進阻止解除スイッチ116cを押したままで(後進阻止電磁ソレノイド300に通電しソレノイドピン301を退入させた状態)、ステアリングレバー116をニュートラル位置Nから後進方向へ操作する。ステアリングレバー116が後進域に入ると、後進阻止解除スイッチ116cの押し操作を止めて後進阻止電磁ソレノイド300に通電されても、阻止体302のガイド面302aがアーム216に接当した状態となり、アーム216はガイド面302aに沿って自由に移動できる。そして、ステアリングレバー116をニュートラル位置N若しくは前進方向に操作すると、阻止体302は完全に突出して、ステアリングレバー116をニュートラル位置Nから後進方向へ操作することを阻止する状態となる。
【0072】
303は、操作パネル117の後端部でステアリングレバー116の後方に配置して設けられたパイプ材よりなる支持体であって、操縦者が片方の手でステアリングレバー116のグリップ部116aを握った時に、操縦者のその手を支えるものであると共に、他方の手で支持体303を握って、身体を安定させる為のものである。また、支持体303の上下中央部位置には、ステアリングレバー116のグリップ部116a下側の作動範囲を規制するように、ステアリングレバー116を囲むように鉄板製のガイド304が設けられている。このガイド304のステアリングレバー116を規制する孔304aの形状は、ニュートラル位置Nから後進R方向へのガイド孔幅とニュートラル位置Nから前進F方向への少しの間(微速前進)は同幅で広く形成されており、ニュートラル位置Nから前進F方向への少しの間を過ぎた位置からガイド孔幅は徐々に狭くなる形状になっている。
【0073】
従って、前述のようにステアリングレバー116を左右方向中央位置から左右方向何れかに回動操作すると、ポテンショメータP1がその位置を検出して、パワステアリング油圧シリンダー274aにてピットマンアーム275が回動され、左右前輪106,106が操縦者の意思により自由に左右操向操作されるのであるが、機体が停止している状態若しくは低速で前後進している状態では、ステアリングレバー116を左右方向中央位置から左右方向何れかに最大限まで回動操作できて、旋回内側の後輪107のサイドクラッチを切ってブレーキ作動する急旋回(小回り)が行える。また、ニュートラル位置Nから前進F方向への少しの間を過ぎた位置からガイド孔304aの幅は徐々に狭くなる形状となっているので、速度が速くなるほど、左右前輪106,106の操作角度は小さくなるように規制され、機体が高速で進行している時に左右前輪106,106が大きく操向されて機体が不安定になる(転倒する)ような事態を未然に防止できる。当然、機体が高速で進行している時に、旋回内側の後輪107のサイドクラッチを切ってブレーキ作動する急旋回をしてしまうような事態は防止できる。よって、操縦者は、ステアリングレバー116にて安全に変速及び操向操作が行えて、然も、作業性が良い。
【0074】
この支持体303は、その左右幅が前部カバー114の左右幅と略同じか、若しくは、若干狭くなるように構成されており、前部カバー114の左右両側のステップ119が広く構成できるようになっており、作業者がステップ119上を動き易くて作業性が良い(畦に機体前部を着けて、畦から苗や肥料を機体に積込む苗供給作業や肥料供給作業の時に、作業性が特に良い)。
【0075】
さて、上述のように機体を操向操作するステアリングレバー116をステッキ状の構成としたので、従来の回転式の円いハンドルに比して、ステアリングレバー116と操縦席120との間隔を狭くでき、従って、操縦席120から機体前端までの距離を短くした機体構成にすることができるので、ひいては、機体の全長を短く構成できて小型の乗用型田植機を得ることができる。また、後部に田植装置103を装着した形態の乗用型田植機にあっては、どうしても機体重心が後方よりになり前後バランスが悪くなる傾向があるが、この実施例によると、操縦席120が機体前端に近づくので、操縦者の体重が機体前側に移動し、前後バランスが良くなり、走行性能及び苗植付性能が向上して良好なる田植え作業が行える。
【0076】
240はクラッチとブレーキを共に操作するペダルであって、詳細の構成は後述するが、ステアリングレバー116の右下側に配置されており、このペダル240を踏み込むとメインクラッチが切れ、続いて左右後輪ブレーキがかかり、機体は停止する。このペダル240と上記位置決め軸215の下アーム233Fとを操作ワイヤ241にて連携している。即ち、ステアリングレバー116をニュートラル位置Nから前進最大速位置Fに向けて操作しているときに上記のように自動的に連動してエンジン回転数は上げられているが、この時、ペダル240を踏み込むと(メインクラッチが切れるまで踏み込んだ時点で)、操作ワイヤ241が引かれて下アーム233Fをステアリングレバー116がニュートラル位置Nになるまで回動させる。従って、ステアリングレバー116を前進最大速位置Fに向けて操作して機体を前進させているときに、ペダル240を踏み込むと(メインクラッチが切れるまで踏み込んだ時点で)、ステアリングレバー116は自動的にニュートラル位置Nになり(エンジン回転数も自動的に下がる)、安全に機体を停止させることができる。
【0077】
次に、図13・図14に基づいて、ペダル240の連携構成と左右後輪107・107のサイドクラッチIおよび後輪ブレーキ装置Jの作動構成を説明する。ペダル240の基部は、機体に回動自在に支持された回動支軸242に固定されている。そして、回動支軸242の左端部には、クラッチ作動アーム249が固定されており、クラッチ作動アーム249の先端には下方に向けて作動ロッド250が設けられ、作動ロッド250の下端は、機体に回動自在に支持されたクラッチシフタ251に設けられたアーム252の先端部に連結されている。そして、クラッチシフタ251は、前記摺動部材148を作動させてメインクラッチ143を入・切操作できる構成になっている。尚、前記ステアリングレバー116のグリップ部116aにメインクラッチ操作スイッチを設けて、そのメインクラッチ操作スイッチの押し操作にて別途設けた電動モータにて上記ペダル240をメインクラッチ143を切方向に操作する構成としても良い。
【0078】
一方、機体に上端部が回動自在に支持された左右油圧シリンダー244L・244Rの進出及び退入する左右油圧ロッド244La・244Raの下端部が、機体に回動自在に支持された左右カウンターアーム245L・245Rの上部に連結されている。そして、各左右カウンターアーム245L・245Rの下部から後方に向けて左右連結ロッド246L・246Rが設けられ、各左右連結ロッド246L・246Rの後端はサイドクラッチIおよび後輪ブレーキ装置Jを操作する左右シフタ185・185を操作する左右操作アーム247L・247Rに連結されている。
【0079】
また、図14に示す油圧回路図において、油圧式変速装置HSTは、可変容量形のHSTポンプPと固定容量形のHSTモータMとをHST回路に有し、このHSTポンプPの入力軸135をエンジン側から駆動することによって、HST回路の油圧により出力軸136側のHSTモータMを連動することができる一般的なものである。このHSTポンプPは、ステアリングレバー116の操作によってニュートラル位置Nから前進最大速位置F方向(正方向)へ回動することにより斜板角によってHSTモータMの回転が正方向へ順次増速され、又中立域へ戻すことにより順次減速される。又、ニュートラル位置Nから後進最大速位置R方向(逆方向)へ回動することにより、同様に逆方向への回転が順次増速される。
【0080】
このHST回路の油圧をHSTモータM側から取出して、シャトル弁253及び減圧弁254を通して、左右比例電磁バルブ255L・255Rにより切替えられた油圧が、前記左右油圧シリンダー244L・244Rに供給されるように構成している。
【0081】
そして、ペダル240を踏込み操作してメインクラッチ143を切操作し、更に、踏込み操作すると、ペダル240はブレーキ作動スイッチSW1を押してON操作し、上記左右比例電磁バルブ255L・255Rを同時に切替えて左右油圧シリンダー244L・244R両方に油圧を供給して、左右油圧ロッド244La・244Raが進出して左右カウンターアーム245L・245Rを回動させ、左右後輪107・107のサイドクラッチIおよび後輪ブレーキ装置Jを操作する左右シフタ185・185を操作する左右操作アーム247L・247Rを同時に作動させて、左右後輪107・107共にサイドクラッチが切れてブレーキが作動する。
【0082】
このように、ブレーキ用油圧源をHST回路の油圧を利用することにより、特別にブレーキ用油圧源を別途設けなくても良くて、構成が簡潔となり安価な機械を得ることができる。また、左右油圧シリンダー244L・244Rをペダル240近傍の前部カバー114内に縦方向に配置すれば、コンパクトで見栄えが良く、更に、機械の小型化が可能となる。
【0083】
次に、田植装置103は、走行車両101に昇降用リンク装置102で昇降自在に装着されているのであるが、その昇降させる構成と田植装置103の構成について説明する。先ず、走行車両101に基部が回動自在に設けた一般的な油圧シリンダー260のピストン上端部を昇降用リンク装置102に連結し、走行車両101に設けた油圧ポンプ113にてソレノイド油圧バルブ261を介して油圧シリンダー260に圧油を供給・排出して、油圧シリンダー260のピストンを伸進・縮退させて昇降用リンク装置102に連結した田植装置103が上下動されるように構成されている。
【0084】
田植装置103は、昇降用リンク装置102の後部にローリング軸を介してローリング自在に装着されたフレームを兼ねる植付伝動ケース262と、該植付伝動ケース262に設けられた支持部材に支持されて機体左右方向に往復動する苗載台263と、植付伝動ケース262の後端部に装着され前記苗載台263の下端より1株分づつの苗を分割して圃場に植え付ける苗植付け具264…と、植付伝動ケース262の下部にその後部が枢支されてその前部が上下揺動自在に装着された整地体であるセンターフロート265・サイドフロート266…等にて構成されている。センターフロート265・サイドフロート266…は、圃場を整地すると共に苗植付け具264…にて苗が植付けられる圃場の前方を整地すべく設けられている。
【0085】
267は両端にユニバーサルジョイントを有するPTO伝動軸であって、施肥駆動ケース268の動力を田植装置103の植付伝動ケース262に伝達すべく設けている。269はセンターフロート265前部の上下位置を検出するポテンショメータにより構成されるセンターフロートセンサーであって、センターフロート265の前部上面とリンクにより連携されている。そして、センターフロートセンサー269のセンターフロート265前部の上下位置検出に基づいて、制御装置270の田植装置昇降手段によりソレノイド油圧バルブ261を制御して油圧シリンダー260にて田植装置103の上下位置を制御するように構成されている。
【0086】
即ち、センターフロート265の前部が外力にて適正範囲以上に持ち上げられた時には油圧ポンプ113にてミッションケース111内から汲み出された圧油を油圧シリンダー260に送り込んでピストンを突出させ昇降用リンク装置102を上動させて田植装置103を所定位置まで上昇せしめ、また、センターフロート265の前部が適正範囲以上に下がった時には油圧シリンダー260内の圧油をミッションケース111内に戻して昇降用リンク装置102を下動させて田植装置103を所定位置まで下降せしめ、そして、センターフロート265の前部が適正範囲にあるとき(田植装置103が適正な所定位置にある時)には油圧シリンダー260内の圧油の出入りを止めて田植装置103を一定位置に保持せしめるべく設けられている。このように、センターフロート265を田植装置103の自動高さ制御のための接地センサーとして用いている。
【0087】
一方、図16はデフロックペダル191’の作用を説明する斜視図であり、デフロックペダル191’の下端に連携したデフ作動アーム316と前記前輪のデフロック装置Hとが作動ロッド317にて連繋されており、また、デフ作動アーム316の下方には前輪デフロックスイッチSW2が配置されている。従って、デフロックペダル191’を踏み込み操作すると、機体に回動自在に設けられたデフ作動アーム316が回動して作動ロッド317を引き前輪のデフロック装置Hのデフ機能が停止操作され、前輪デフロックスイッチSW2が押されてONになる。そして、前輪デフロックスイッチSW2が押されてONになると、制御装置270の左右ブレーキ作動手段により左右比例電磁バルブ255L・255Rが切替えられて、左右油圧シリンダー244L・244Rの油圧が排出され左右油圧ロッド244La・244Raが退入して、左右後輪107・107のサイドクラッチが入りブレーキが作動しなくなる(左右後輪107・107共に駆動状態となる)。
【0088】
従って、畦際で機体を旋回させる為に、ステアリングレバー116を左右何れかに200度以上回すと、自動的に旋回する方向の後輪107のサイドクラッチが切れてブレーキが作動し急旋回(小回り)できて作業性が良いのであるが、この畦際旋回時に、左右前輪106・106の何れかが湿田で耕盤の深い部分に入ってしまって左右前輪106・106が空転をして機体が前進できなくなってしまうような事態になることがある。このような事態の時には、操縦者はデフロックペダル191’を踏み込んで前輪のデフロック装置Hのデフ機能が停止するように操作して、左右前輪106・106が同駆動回転する状態にして機体を前進させようとするが、上記のとおり、デフロックペダル191’を踏み込むと、前輪デフロックスイッチSW2が押されてONになり制御装置270の左右ブレーキ作動手段により左右油圧シリンダー244L・244Rの油圧が排出されように左右比例電磁バルブ255L・255Rが切替えられるので、サイドクラッチが切れてブレーキが作動していた後輪107が駆動状態となり、機体の前進駆動力が増すので左右前輪106・106が湿田で耕盤の深い部分に入った事態から良好に脱出することができる。また、この脱出時に左右後輪107・107が共に駆動状態となるので、左右後輪107・107が湿田で泥土を持ち上げて圃場を乱すようなことも防止できる。
【0089】
次に、田植装置103を自動的に上昇させる制御構成について説明する。
先ず、チェンジレバー190を後進速に操作すると、チェンジレバー190の基部に設けた接当片290が接当してONになるバックリフトスイッチ291が設けられており、制御装置270の田植装置上昇手段によりソレノイド油圧バルブ261を制御して油圧シリンダー260にて田植装置103を最大位置まで上昇させるように構成されている。
【0090】
このように、チェンジレバー190を後進速に操作すると、自動的に田植装置103を最大位置まで上昇させるように構成しておくと、圃場の畦際で機体を旋回させる為等に機体を畦に向かって後進させる時に、自動的に田植装置103は最大位置まで上昇しているので、田植装置103が畦に衝突して破損することが未然に防止でき作業性が良い。
【0091】
一方、操作パネル117には、田植装置103の自動上昇を行わせる状態と行わせない状態とに切替える自動リフト切替えスイッチ292が設けられており、即ち、自動リフト切替えスイッチ292を自動にしていると、上記のようにバックリフトスイッチ291がONになると自動的に田植装置103は制御装置270の田植装置上昇手段により自動上昇される。そして、自動リフト切替えスイッチ292をOFFにしていると、バックリフトスイッチ291がONになっても田植装置103は自動上昇されない。尚、自動リフト切替えスイッチ292をOFFにして、バックリフトスイッチ291がONになっても田植装置103が自動上昇しない状態にしておくと、機体を後進で納屋等にしまう時にチェンジレバー190を後進速に操作しても田植装置103が自動上昇しないので、田植装置103を下げたまま後進することができ、納屋の入口上部や納屋内の他の部材に田植装置103をぶつけてしまうような事態が回避できる。
【0092】
尚、上記の実施例では、ステアリングレバー116を左又は右に最大位置まで回動させた時に、制御装置270の左右ブレーキ作動手段により左又は右比例電磁バルブ255L・255Rが切替えられ、左又は右油圧シリンダー244L・244Rに油圧が供給されて左又は右後輪107・107のサイドクラッチが切れてブレーキが作動する構成としたが、左右油圧シリンダー244L・244Rから左右操作アーム247L・247Rへの連繋機構中の左右連結ロッド246L・246Rの長さを短くして、左右油圧シリンダー244L・244Rに油圧が供給されて左右油圧ロッド244La・244Raが進出しても左右後輪107・107のサイドクラッチIのみが切れて後輪ブレーキ装置Jは作動しないように構成すれば、畦際でステアリングレバー116を左又は右に最大位置まで回動させて旋回する際に、旋回する側の左又は右後輪107のサイドクラッチIのみが切れて後輪ブレーキ装置Jは作動しないので、旋回する側の左又は右後輪107は遊転状態となり圃場を乱すことが少なくなり耕盤を傷めることも少なくて良好な苗植付け作業が行える(但し、若干旋回半径が大きくなる)。尚、ステアリングレバー116を左又は右に最大位置まで回動させた場合に旋回側の後輪クラッチが切れてブレーキは作動しない構成としたが、旋回側の後輪クラッチが切れてブレーキが半ブレーキ状態に作動するように構成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明一実施例の平面図である。
【図2】線引きマーカの一例を示す正面図である。
【図3】発信器のゲージへの取付け例を示す斜視図である。
【図4】動力伝達系を示す図である。
【図5】植付け部昇降リンク30を駆動するための油圧回路の一例である。
【図6】制御系を示すブロック図である。
【図7】作業の一例を示す作用説明図である。
【図8】本発明の一実施例である8条植え乗用型田植機を示す全体側面図である。
【図9】図8に示す乗用型田植機の全体平面図である。
【図10】走行車両の伝動構成を示す概略平面図である。
【図11】ミッションケースの展開断面図である。
【図12】油圧式変速装置HSTの操作構成を示す前方から見た斜視図である。
【図13】主クラッチ及び後輪サイドクラッチ・ブレーキの操作構成を示す斜視図である。
【図14】油圧回路図である。
【図15】ステアリングレバー116のグリップ部116aの正面及び左側を示す図である。
【図16】前輪用のデフロックペダルの作用説明用斜視図である。
【図17】チェンジレバー部の斜視図である。
【図18】制御系のブロック回路図である。
【図19】操作パネル117のモニタ部の平面図である。
【符号の説明】
1:機体
2:操向輪(左右前輪)
7:植付け部
9:受信器
14:ステップ
25:操行用油圧シリンダ
41:発信器
61:制御装置
Claims (3)
- 操向制御手段が操向手段を制御して、自動走行する自動走行手段を備える水田作業機において、自動走行中に直進状態になると、自動直進制御手段が操向手段を制御して操向輪を微小範囲で速く反復操向することを特徴とする水田作業機における操向制御装置。
- 自動走行中に直進状態になると、自動直進制御手段が操向手段を制御して操向輪を微小範囲で速く反復操向すると共に、左右駆動操向輪のデフ装置をデフロックすることを特徴とする請求項1記載の水田作業機における操向制御装置。
- 自動走行中に直進状態になると、自動直進制御手段が操向手段を制御して操向輪を微小範囲で速く反復操向すると共に、左右走行車輪のローリングを固定することを特徴とする請求項1または請求項2記載の水田作業機における操向制御装置。
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Legal Events
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20051027 |
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A761 | Written withdrawal of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20061128 |