JP2004148747A - 樹脂成形品のゲート切断装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】切断刃開閉機構13に対向して進退移動可能に当接させる切断速度調整機構14を備えることにより、切断刃5A、5Aを開閉させることで、ゲート部3を過不足なく適正に加熱軟化させた状態で切断する。これによって、樹脂成形品1に残留応力が生じたり、白化と称される不良状態が生じるのを抑えて、高品質で歩留まりの良い樹脂成形品の製造が可能になり、生産性が向上する。また、「糸引き現象」の発生が避けられるので、切断形状の適正な切断面を確保できる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂成形品とスプール・ランナおよび樹脂成形品とスプール・ランナとを連続させるゲート部を備えて、樹脂成形機から取出された樹脂成形材のゲート部を適正に切断して、高品質の樹脂成形品を得るのに好適な樹脂成形品のゲート切断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
高品質の樹脂成形品は、樹脂成形品とスプール・ランナとを連続させるゲート部を備えて、樹脂成形機から取出された樹脂成形材よりゲート部を適正に切断することによって得られる。従来のゲート切断方法として、ニッパなどの手動工具を使用した人手による切断と、ゲート処理用エアニッパによる自動切断が知られている(特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−334558号公報図2、図4
【0004】
前者の人手による切断では、作業者の熟練度により樹脂成形品の品質および切断処理量にばらつきが生じ、特に、樹脂成形品の大量生産が妨げられる。
【0005】
一方、後者のゲート処理用エアニッパによる自動切断は、切断処理量を増大させて、樹脂成形品の大量生産を実現できる。ゲート処理用エアニッパによる自動切断では、図3に示すように、樹脂成形機から取出された樹脂成形品1とスプール・ランナ2の間に介在して両者1、2を連続させるゲート部3を備えた樹脂成形材4に対して、ゲート処理用エアニッパの上下方向で互いに対向する1対の切断刃5A、5Aを開刃状態でゲート部3に進入させたのち、これら切断刃5A、5Aを閉じて、ゲート部3を切断することにより樹脂成形品1が得られる。
【0006】
ゲート処理用エアニッパによる自動切断では、エアシリンダ(図示省略)を駆動源として直接または間接的に切断刃5A、5Aを開閉運動させる。一方、ゲート部3を非加熱硬化状態で切断すると、ゲート部3の切断箇所に内部応力が発生し、この内部応力が樹脂成形品1に伝播残留したり、白化と称される不良状態が多発する。このように、ゲート部3の内部応力が樹脂成形品1に伝播残留することや、白化と称される不良状態を生じることが樹脂成形品1の品質を低下させ、かつ歩留まりを悪くする大きな原因になっている。このため、特に高い品質が要求されるレンズなどの光学部品を樹脂成形品1として製造する場合には、たとえば電気加熱式の加熱手段6により切断刃5A、5Aを加熱した状態でゲート部3の切断を行うヒートカット方式が採用される。ヒートカット方式を採用することによって、ゲート部3を加熱軟化状態で切断することができるので、ゲート部3の切断箇所に発生する内部応力を大幅に低減して、樹脂成形品1に残留応力が生じるのを抑えることができるとともに、白化と称される不良状態が多発するのを避けることができる。
【0007】
しかし、加熱手段6により切断刃5Aを加熱した状態でゲート部3の切断を行うヒートカット方式を採用しても、エアシリンダを駆動源として直接または間接的に切断刃5A、5Aを開閉運動させるゲート処理用エアニッパによる自動切断では、切断刃5A、5Aの開閉が比較的高速の等速度運動によって行われるので、切断刃5A、5Aがゲート部3に当接した時から、ゲート部3の切断完了までに要する切断時間が加熱されている切断刃5A、5Aによってゲート部3を加熱軟化させるのに必要な時間よりも短くなる。したがって、ゲート部3は、ほぼ非加熱硬化状態で切断されることになり、ゲート部3の切断箇所に内部応力が発生し、この内部応力が樹脂成形品1に伝播残留したり、白化と称される不良状態が多発して、高品質で歩留まりの良い樹脂成形品1の製造を妨げている。
【0008】
一方、切断刃5A、5Aの開閉等速度運動を遅くし過ぎると、ゲート部3の切断箇所が過剰に加熱される。その結果、樹脂が液状になるまで溶融して、繊維状にのびて切り口に残留する「糸引き現象」が生じて、高品質で歩留まりの良い樹脂成形品1の製造を妨げることになる。
【0009】
このように、ほぼ非加熱硬化状態でゲート部3が切断されることによって生じる樹脂成形品1への前述の弊害は、たとえば、エアシリンダへの高圧空気供給系に適当な絞り弁などを介設する制御手段を採用して、切断刃5A、5Aの開閉を比較的低速の等速度運動によって行うことで解消することができる。しかし、切断刃5A、5Aの開閉を比較的低速の等速度運動によって行うことにより、生産性が低下するとともに、「糸引き現象」が生じて、切断形状の適正な切断面を確保し得なくなるなどの欠点が生じる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
従来のゲート処理用エアニッパによる自動切断では、切断処理量を増大させて樹脂成形品の大量生産を実現できるものの、ゲートは、ほぼ非加熱硬化状態で切断されることになり、ゲートの切断箇所に内部応力が発生し、この内部応力が樹脂成形品に伝播残留したり、白化と称される不良状態が多発して、高品質で歩留まりの良い樹脂成形品1の製造を妨げる。
一方、このような弊害を解消するために、切断刃の開閉を比較的低速の等速度運動によって行うと、生産性が低下するとともに、 「糸引き現象」が生じて、切断形状の適正な切断面を確保し得なくなるなどの欠点が生じる。
【0011】
そこで、本発明は、ゲート部を加熱軟化状態で切断することにより、切断箇所に発生する内部応力を大幅に低減し、樹脂成形品に残留応力が生じたり、白化と称される不良状態が生じるのを抑えて、高品質で歩留まりの良い樹脂成形品の製造を可能にするとともに、生産性を向上させ、かつ「糸引き現象」の発生を避けることで切断形状の適正な切断面を確保することができる樹脂成形品のゲート切断装置を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明に係る樹脂成形品のゲート切断装置は、開閉自在に配置される少なくとも1つの切断刃と、該少なくとも1つの切断刃を加熱する加熱手段と、前記少なくとも1つの切断刃を開閉する切断刃開閉機構とを備え、樹脂成形品とスプール・ランナおよび前記樹脂成形品と前記スプール・ランナとを連続させるゲート部を有して、樹脂成形機から取出された樹脂成形材の前記ゲート部を切断して、樹脂成形品からゲート部を分離する樹脂成形品のゲート切断装置において、前記切断刃開閉機構に対向して配置されているとともに、該切断刃開閉機構の開閉速度を調整する切断速度調整機構と、を具備していることを特徴としている。
【0013】
本発明によれば、切断刃開閉機構の開閉作動によって開閉される少なくとも1つの切断刃の開閉速度は、切断速度調整機構により調整することができるので、調整された開閉速度でゲート部を切断することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の一実施の形態を示す全体構成図であり、この図において、樹脂成形品のゲート切断装置は、エア駆動機器制御手段10から出力される制御信号に基づいて駆動されて第1駆動源として機能するエア駆動機器11と、このエア駆動機器11の出力軸12の往復運動を直交方向の往復運動に変換して作動する切断刃開閉機構13と、この切断刃開閉機構13に装着されて開閉自在に互いに対向して配置される1対の切断刃5A、5Aと、これら1対の切断刃5A、5Aを加熱する加熱手段6と、切断刃開閉機構13に対向して配置された切断速度調整機構14とを備えている。
【0015】
切断刃開閉機構13は、エア駆動機器11の出力軸12にネジ止めされたロッド13Aと、このロッド13Aに固着されたプレート13D1と、ロッド13Aの軸方向と平行に設けられたガイド13B、13Bと、これらガイド13B、13Bが摺動可能に挿通されたブッシュ13C、13Cを備え、これらブッシュ13C、13Cにはプレート13D1が固着されている。また、プレート13D1にはアーム13D2の一端部が回動可能に連結され、アーム13D2の他端部にはスライダー13D3が回動可能に連結されており、このスライダー13D3は、エア駆動機器11の出力軸12およびガイド13B、13Bの軸線に直交して配置されたガイド13E、13Eを案内にベアリングブロック13F、13Fを介して往復移動可能に取り付けられているとともに、一方の切断刃(可動刃)5Aを取付けてある。なお、他方の切断刃(固定刃)5Aは、ベース21に固着したアーム22に取付けてある。
【0016】
一方、切断速度調整機構14は、モータ制御手段20から出力される制御信号に基づいて駆動されて第2駆動源として機能するモータ14Aと、このモータ14Aの出力回転軸15にカップリング16を介して、同時回転可能に接続された台形ネジ棒17を備え、この台形ネジ棒17に螺合する雌ネジこま17Bがプレート18に固着されているとともに、プレート18は、ブッシュ18B、18Bを介して摺動可能にガイド13B、13Bに組み付けられている。
【0017】
前記構成において、樹脂成形機から図3に示す樹脂成形材4が取出される。樹脂成形材4は、樹脂成形品1と、スプール・ランナ2および樹脂成形品1とスプール・ランナ2とを連続させるゲート部3を備えており、図示していない取出機に把持されて樹脂成形品のゲート切断装置まで移送され、ここでゲート部3を所定の位置に保持させる。このとき、プレート13D1、アーム13D2、スライダー13D3は図1の二点鎖線で示す位置にあり、切断刃(可動刃)5Aは開放位置(図2の実線で示す開放位置P1に相当する)で待機している。当然、切断速度調整機構14の前端部、つまり、図1の右端部(詳しくは、ブッシュ18B、18Bの右端部)は、切断刃開閉機構13の前端部、つまり、図1の左端部(詳しくは、ブッシュ13C、13Cの左端部)と大きい間隔を有して対向して待機している。
【0018】
ゲート部3が所定位置に保持されたならば、エア駆動機器制御手段10から出力される制御信号に基づいてエア駆動機器11が駆動される。エア駆動機器11の出力軸12が、押出方向に前進することにより、プレート13D1は前進し、プレート13D1に結合されたアーム13D2を介してスライダー13D3を前進させることで、一方の切断刃(可動刃)5Aを他方の切断刃(固定刃)5Aに向けて前進させる。この前進によって一方の切断刃(可動刃)5Aがゲート部3に当接するのと同時に、切断刃開閉機構13の前端部、つまり、ブッシュ13C、13Cの左端部が切断速度調整機構14の前端部、つまり、ブッシュ18B、18Bの右端部に当接する。このように、待機位置にある切断刃(可動刃)5Aがゲート部3に当接するまでの間は、切断刃開閉機構13が切断速度調整機構14に干渉しないフリーな状態であるので、切断刃(可動刃)5Aは高速で移動する。
【0019】
切断刃(可動刃)5Aがゲート部3に当接し、かつ切断刃開閉機構13の前端部が切断速度調整機構14の前端部に当接した時点で、切断速度調整機構14は、モータ制御手段20から出力される制御信号に基づいてモータ14Aを駆動して、プレート18を後退させる。この後退速度を調整することによって、エア駆動機器11の出力軸12の前進速度、つまり、切断刃(可動刃)5Aの前進速度(切断速度)を減速することができる。すなわち、待機位置にある切断刃(可動刃)5Aがゲート部3に当接するまでの移動速度よりも、切断刃(可動刃)5Aがゲート部3に当接した時点からゲート部3を切断するまでの移動速度を遅くして、ゲート部3を切断することができる。これにより、加熱されている切断刃5A、5Aによってゲート部3を加熱軟化させる時間をかせいで、ゲート部3を適正な切断が可能な過不足のない加熱軟化状態で切断することができる。したがって、ゲート部3の切断箇所に発生する内部応力を大幅に低減し、樹脂成形品1に残留応力が伝播するのを抑えたり、白化と称される不良状態が生じるのを抑えるとともに、「糸引き現象」の発生を避けることができる。その結果、高品質で歩留まりの良い樹脂成形品の製造が可能になる。また、生産性を向上させ、かつ切断形状の適正な切断面を確保することが可能になる。また、切断完了位置P3から開放位置P1への切断刃5A、5Aの復帰動作を、高速で行うことによっても、生産性の向上に寄与することができる。
【0020】
なお、前記実施の形態では、1つのゲート部3と1つの樹脂成形品1をもつ1つの樹脂成形材4におけるゲート切断について説明しているが、本発明は、前記実施の形態のみに限定されるものではなく、複数のゲート部3,3…との樹脂成形品1,1…をもつ2つ以上の樹脂成形材4におけるゲート切断についても適用可能である。さらに、一方の切断刃5Aを作動させ、他方の切断刃5Aを停止させた状態でゲート部3を切断する構成で説明しているが、一対の切断刃5A、5Aを作動させて、ゲート部3を切断するように構成してもよい。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、切断刃開閉機構の開閉作動によって開閉される少なくとも1つの切断刃の開閉速度を切断速度調整機構により調整し、この調整された開閉速度でゲート部を切断することができるので、開放位置からゲート部に当接するまでの切断刃の閉じ速度と、切断完了位置から開放位置までの切断刃の復帰速度をそれぞれ高速にして、生産性を向上させることができるとともに、切断刃がゲート部に当接した時からゲート部の切断完了までの切断刃の切断速度を前記閉じ速度よりも低速にして、ゲート部の加熱軟化時間をかせぐことで、ゲート部の適正な切断が可能な過不足のない加熱軟化状態で切断し、ゲート部の切断個所に発生する内部応力を大幅に低減して、樹脂成形品に残留応力が伝播するのを抑えたり、白化と称される不良状態が生じるのを抑えるとともに、「糸引き現象」の発生を避けることができる。このため、高品質で歩留まりの良い樹脂成形品を製造するとともに、切断形状の適正な切断面を確保することが可能になる。また、ゲート部に当接した時からゲート部の切断完了までの切断刃の切断速度を、様々な樹脂の種類に応じた適正な値に設定することが可能である。
さらに、樹脂の種類によって異なる固有の切断速度を選択し、この切断速度で切断刃を作動させることにより、無理な切断を避けた適正切断が可能になるので切断刃の耐久性を向上させて、切断刃の延命を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す構成図である。
【図2】切断作動の一実施の形態を示す拡大説明図である。
【図3】従来例の説明図である。
【符号の説明】
1 樹脂成形品
2 スプール・ランナ
3 ゲート部
4 樹脂成形材
5A 切断刃
6 加熱手段
13 切断刃開閉機構
14 切断速度調整機構
Claims (1)
- 開閉自在に配置される少なくとも1つの切断刃と、
該少なくとも1つの切断刃を加熱する加熱手段と、
前記少なくとも1つの切断刃を開閉する切断刃開閉機構とを備え、
樹脂成形品とスプール・ランナおよび前記樹脂成形品と前記スプール・ランナとを連続させるゲート部を有して、樹脂成形機から取出された樹脂成形材の前記ゲート部を切断して、樹脂成形品からゲート部を分離する樹脂成形品のゲート切断装置において、
前記切断刃開閉機構に対向して配置されているとともに、該切断刃開閉機構の開閉速度を調整する切断速度調整機構と、を具備していることを特徴とする樹脂成形品のゲート切断装置。
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