JP2004148585A - エレメントおよびその利用 - Google Patents
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Abstract
【課題】高精度で均一な形状の隔壁を形成することができるエレメントを提供する。
【解決手段】支持体フィルム上に第1樹脂組成物からなる第1層を有し、第1層上に第2樹脂組成物からなる第2層を有する構成とし、第1樹脂組成物として、第1無機粉末と第1バインダ樹脂成分とを含み第1無機粉末の割合が体積比で50%を超えるものを用い、第2樹脂組成物として、第2無機粉末と第2バインダ樹脂成分とを含み第2無機粉末の割合が体積比で50%以下のものを用いる。
【選択図】 図1
【解決手段】支持体フィルム上に第1樹脂組成物からなる第1層を有し、第1層上に第2樹脂組成物からなる第2層を有する構成とし、第1樹脂組成物として、第1無機粉末と第1バインダ樹脂成分とを含み第1無機粉末の割合が体積比で50%を超えるものを用い、第2樹脂組成物として、第2無機粉末と第2バインダ樹脂成分とを含み第2無機粉末の割合が体積比で50%以下のものを用いる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エレメント、このエレメントを用いるプラズマディスプレイパネル隔壁の製造法、プラズマディスプレイパネル隔壁、プラズマディスプレイパネル用背面板、および、プラズマディスプレイパネルに関する。
【0002】
【従来の技術】
平板ディスプレイの1つとして、プラズマ放電により発光する蛍光体を設けることによって多色表示を可能にしたプラズマディスプレイパネル(以下「PDP」と記す)が知られている。PDPでは、ガラスからなる平板状の前面板と背面板とが互いに平行に対向して配設され、両者は、その間に設けられた、セル構造を形成する隔壁(バリアリブ)により一定の間隔に保持されており、前面板、背面板および隔壁に囲まれた空間で放電するようになっている。このような空間には、表示のための電極、誘電体層、蛍光体等が付設され、放電によって封入ガスから発生する紫外線によって蛍光体が発光させられ、この光を観察者が視認できるようになっている。
この隔壁を設ける方法としては、隔壁形成前のガラス基板上に、ガラスフリット、金属酸化物を分散させたスラリーもしくはペーストをスクリーン印刷等の印刷方法によって基板上に塗布した後、サンドブラスト法により不要な部分を切削する方法(特許文献1参照);基板上に塗布した後、くし型のブレードにより不要な部分を除去する方法;感光性レジストをパターニングし、パターン間にスラリーもしくはペーストを埋め込み・硬化させた後、感光性レジストを剥離させる方法(特許文献2参照)が提案されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−69851号公報
【0004】
【特許文献2】
特開平9−110462号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
これらの方法において、スラリーやペーストを用いる場合には無機粉末の沈降が起こるため、適宜攪拌する等の管理が必要となる。また、スクリーン印刷法では、スクリーンの清掃が必要である。このように、スラリーやペーストを用いる方法では、均一な塗布を実現するために必要な材料、機器類の管理が煩雑となる。また、近年PDPセルの構造が多様になり、隔壁形状も複雑なものが必要とされるようになり、複雑な形状の隔壁を得ることのできる手法の開発が求められていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るエレメントは、支持体フィルム上に第1樹脂組成物からなる第1層を有し、前記第1層上に第2樹脂組成物からなる第2層を有するエレメントであって、上記第1樹脂組成物が、第1無機粉末と第1バインダ樹脂成分とを含み第1無機粉末の割合が体積比で50%を超えるものであり、上記第2樹脂組成物が、第2無機粉末と第2バインダ樹脂成分とを含み第2無機粉末の割合が体積比で50%以下のものである。
【0007】
本発明に係るPDP隔壁の製造法は、以下の工程を含むものである。(1)上記本発明に係るエレメントを、基板上に、エレメントの第2層が基板に密着するように貼り付ける工程;(2)エレメントの第1層と第2層を硬化させる工程;(3)硬化した第1層と第2層の所定部分をサンドブラストにより切削してパターンを形成する工程;および(4)得られたパターンを焼成する工程。
【0008】
本発明に係るPDP隔壁は、上記本発明に係るPDP隔壁の製造法により得られるものである。
本発明に係るPDP用背面板は、背面板用基板と、背面板用基板上に形成されたPDP隔壁とを有し、前記PDP隔壁が上記本発明に係るエレメントを用いて形成されたものである。
本発明に係るPDPは、上記本発明に係るPDP用背面板を有するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明のエレメントは、支持体フィルムと第1層と第2層とを含むものであり、支持体フィルム上に第1層が形成され、第1層上に第2層が形成されている。第1層は、第1無機粉末と第1バインダ樹脂成分とを含み第1無機粉末の割合が体積比で50%を超える第1樹脂組成物からなり、第2層は、第2無機粉末と第2バインダ樹脂成分とを含み第2無機粉末の割合が体積比で50%以下である第2樹脂組成物からなる。
【0010】
支持体フィルムとしては、たとえば、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン等からなる、厚さ5〜300μm程度のフィルムを用いることができる。
【0011】
上記第1樹脂組成物は、樹脂組成物中に、第1無機粉末を、体積比で50%(50体積%)を超える量含んでいる。第1無機粉末を体積比で50%を超える量含有するとは、第1無機粉末を含有する第1樹脂組成物の単位体積あたり、50%より多くを第1無機粉末が占める状態をいう。一方、上記第2樹脂組成物は、樹脂組成物中に、第2無機粉末を、体積比で50%以下(50体積%以下)含んでいる。第2無機粉末を体積比で50%以下含有するとは、第2無機粉末を含有する第2樹脂組成物の単位体積あたり、50%以下を第2無機粉末が占める状態をいう。本発明において、樹脂組成物中の無機粉末の体積比は、無機粉末の体積とバインダ樹脂成分の体積から計算される。無機粉末の体積は、その配合重量と密度から求めることができ、同様に、バインダ樹脂成分の体積も、乾燥状態に換算した配合重量とその密度から求めることができる。無機粉末は有機バインダであるバインダ樹脂成分に溶解しないことから、樹脂組成物の乾燥時の体積は、無機粉末の体積とバインダ樹脂成分の乾燥時の体積の和とみなせることから、得られた無機粉末の体積とバインダ樹脂成分の体積から、無機粉末の体積%を計算することができるのである。
【0012】
一般に、樹脂組成物中の無機粉末の量が多くなるにつれ、基板へのラミネート性が低下し、圧着が困難になる傾向がある。これは、無機粉末の量が増加するにつれ、樹脂組成物の単位体積あたりの無機粉末が占める割合が増加し、無機粉末表面の総面積が増加することで、無機粉末表面に接触する樹脂組成物の量が多くなるため、基板への圧着において基板表面とエレメントとの密着のために消費され得る樹脂組成物の量が低下し、エレメントの基板への密着性が低下するためである。本発明者らの知見によると、一般に、PDP用ガラスフリットの場合は、エレメントを構成する樹脂組成物の単位体積あたり、概ね30%程度までをフリットが占める場合には樹脂組成物の密着性には大きな変化は見られない。しかし、単位体積あたりにフリットが占める割合が30%を超え40〜50%程度まで増加するにつれて、密着性が徐々に低下し、フリットの占める割合が概ね50%を超える場合、樹脂組成物と基板との密着性は大きく低下し、ラミネートが困難となることが多い。一方、樹脂組成物中の無機粉末の占める割合が50体積%以下であると、一般に、基板にラミネートした際に充分な密着性を得ることができる。しかし、本発明者らの知見によれば、無機粉末は、焼成後に溶融固化して残り隔壁となる成分であるため、無機粉末の含有量が少なすぎる場合は、加熱によりバインダ樹脂成分が除去された後の空孔が大きくなる。空孔が比較的小さい場合は、無機粉末の一部が溶融して流れ込むことでその空孔が埋められるが、空孔が大きい場合は、無機粉末の過度の流入が必要である。その結果、焼成後に得られるパターンの高さが著しく低くなる、過度の流動が生じるためにパターンの歪みが大きくなる等の現象が見られ、精度の高い均一な形状の隔壁を形成することが困難となる恐れがある。
【0013】
そこで、本発明のエレメント(1)は、その断面図を模式的に図1に示すように、支持体フィルム(11)上に、無機粉末含有量の多い第1樹脂組成物からなる第1層(12)と無機粉末含有量の少ない第2樹脂組成物からなる第2層(13)とがこの順に形成され、基板への積層の際は第2層(13)が基板に密着するように構成されている。したがって、これを用いて、基板上に密着性よく隔壁材料を積層し、高精度で均一な形状の隔壁を形成することができる。
【0014】
第1層において、第1無機粉末の占める割合は、好ましくは、55〜65体積%であり、さらに好ましくは、58〜65体積%である。第2層において、第2無機粉末の占める割合は、好ましくは、30〜50体積%であり、さらに好ましくは、35〜43体積%である。
【0015】
上記第1無機粉末および第2無機粉末としては、低融点ガラスフリットとアルミナ、チタニアなどの骨材の混合物などを用いることができる。ガラス成分としては、酸化鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素系(PbO−B2O3−SiO2系);酸化鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化アルミニウム系(PbO−B2O3−SiO2−Al2O3系);酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素系(ZnO−B2O3−SiO2系);酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化アルミニウム系(ZnO−B2O3−SiO2−Al2O3系);酸化鉛、酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素系(PbO−ZnO−B2O3−SiO2系);酸化鉛、酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化アルミニウム系(PbO−ZnO−B2O3−SiO2−Al2O3系);酸化ビスマス、酸化ホウ素、酸化ケイ素系(Bi2O3−B2O3−SiO2系);酸化ビスマス、酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化アルミニウム系(Bi2O3−B2O3−SiO2−Al2O3系);酸化ビスマス、酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素系(Bi2O3−ZnO−B2O3−SiO2系);酸化ビスマス、酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化アルミニウム系(Bi2O3−ZnO−B2O3−SiO2−Al2O3系)などのガラスフリットを挙げることができる。このような低融点ガラスフリットの形状は、特に限定されず、平均粒径は、好ましくは0.1〜10μm、より好ましくは0.5〜5μmである。これらの低融点ガラスフリットは単独で、あるいは異なるガラスフリット組成、異なる軟化点、異なる形状、異なる平均粒径を有する低融点ガラスフリットを2種類以上組み合わせて使用することができる。また骨材としては、アルミナ、チタニア、ジルコニア等の金属酸化物が挙げられるが、形状、性質が適する材料であれば、特にこれらに限定されることはない。無機粉末中のガラスフリットと骨材の割合は、ガラスフリット量が50〜90重量%であることが好ましく、より好ましくは60〜85重量%、さらに好ましくは70〜80重量%である。エレメント中の第1無機粉末と第2無機粉末は、同一のものであってもよいし、異なるものであってもよい。
【0016】
上記第1バインダ樹脂成分と第2バインダ樹脂成分は、光重合あるいは熱硬化による樹脂組成物層(フィルム)の硬化を可能とするものであれば、特に制限はない。そのようなバインダ樹脂成分は、たとえば、フィルム性付与ポリマ、重合性不飽和単量体、および、光重合開始剤または熱硬化剤を含有するものであることが好ましい。第1バインダ樹脂成分と第2バインダ樹脂成分は、同一組成のものであってもよいし、異なる組成のものであってもよい。
【0017】
フィルム性付与ポリマとしては、たとえば、ポリカーボネート、ポリウレタン、ゴム類(ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、シリコンゴム等)、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリビニルトルエン、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、エチレンと20重量%以上の酢酸ビニルの共重合体、エチレンと20重量%以上の(メタ)アクリル酸エステルの共重合体、塩化ビニルと20重量%以上の酢酸ビニルの共重合体、スチレンと20重量%以上の(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体、ビニルトルエンと20重量%以上の(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体、ポリビニルアルコール系樹脂(ポリ酢酸ビニルの加水分解物、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体の加水分解物、塩化ビニルと酢酸ビニルとの共重合体の加水分解物等)などが挙げられる。これらは単独で、または2種類以上組み合わせて使用される。上記記載および以下の記載において、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸およびメタクリル酸を示し、(メタ)アクリレート等の誘導体の記載は、アクリル酸の誘導体とメタクリル酸の誘導体を示す。
【0018】
さらに、フィルム性付与ポリマとして、(メタ)アクリル系樹脂、ヒドロキシスチレン樹脂、ノボラック樹脂、ポリエステル樹脂なども例示できる。このようなフィルム性付与ポリマの内、特に好ましいものとしては、下記の第1単量体と第2単量体との共重合体を挙げることができる。
第1単量体:カルボキシル基含有モノマー類;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、ケイ皮酸、コハク酸モノ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートなど。
【0019】
第2単量体:その他の共重合可能なモノマー類;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ラウリル、(メタ)アクリル酸ベンジル、グリシジル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピルなどの(メタ)アクリル酸エステル類;スチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル系モノマー類;ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエン類;ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸ベンジル等のポリマー鎖の一方の末端に、(メタ)アクリロイル基などの重合性不飽和基を有するマクロモノマー類;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピルなどの水酸基含有モノマー類;o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレンなどのフェノール性水酸基含有モノマー類など。
【0020】
第1単量体に由来する共重合成分の含有率は、好ましくは1〜50質量%、さらに好ましくは5〜30質量%である。第2単量体に由来する共重合成分の含有率は、好ましくは50〜99質量%、さらに好ましくは70〜95質量%である。
【0021】
フィルム性付与ポリマの分子量は、重量平均分子量(GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量をいう。以下同じ。)として、5,000〜5,000,000であることが好ましく、さらに好ましくは10,000〜300,000の範囲が選ばれる。フィルム性付与ポリマの酸価は、塗膜性、分散性等の観点から、0〜250(KOH mg/g)であることが好ましい。
【0022】
重合性不飽和単量体としては、たとえば、多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物、2,2−ビス(4−(ジ(メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパン、グリシジル基含有化合物にα、β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物、ウレタンモノマー、ノニルフェニルジオキシレン(メタ)アクリレート、γ−クロロ−β−ヒドロキシプロピル−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、β−ヒドロキシエチル−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、β−ヒドロキシプロピル−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステル等が挙げられる。これらは単独で、または2種類以上組み合わせて使用される。
【0023】
上記多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物としては、たとえば、エチレン基の数が2〜14であるポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレン基の数が2〜14であるポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンテトラエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンペンタエトキシトリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、プロピレン基の数が2〜14であるポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0024】
上記α、β−不飽和カルボン酸としては、たとえば(メタ)アクリル酸等が挙げられる。
上記2,2−ビス(4−(ジ(メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパンとしては、たとえば、2,2−ビス(4−(ジ(メタ)アクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(ジ(メタ)アクリロキシトリエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(ジ(メタ)アクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(ジ(メタ)アクリロキシデカエトキシ)フェニル)プロパン等が挙げられる。2,2−ビス(4−(メタクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパンは、BPE−500(新中村化学工業(株)製、製品名)として商業的に入手可能である。
上記グリシジル基含有化合物としては、たとえば、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルトリ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)フェニル)プロパン等が拳げられる。
【0025】
上記ウレタンモノマーとしては、たとえば、β位にOH基を有する(メタ)アクリルモノマーとイソホロンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等との付加反応物、トリス((メタ)アクリロキシテトラエチレングリコールイソシアネート)ヘキサメチレンイソシアヌレート、EO変性ウレタンジ(メタ)アクリレート、EO,PO変性ウレタンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。ここで、EOはエチレンオキサイドを示し、EO変性された化合物はエチレンオキサイド基のブロック構造を有する化合物である。また、POはプロピレンオキサイドを示し、PO変性された化合物はプロピレンオキサイド基のブロック構造を有する化合物である。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、たとえば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等が挙げられる。
【0026】
バインダ樹脂成分に含まれる光重合開始剤としては、たとえば、ベンゾフェノン、N,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、N,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパノン−1等の芳香族ケトン;2−エチルアントラキノン、フェナントレンキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ベンズアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルアントラキノン等のキノン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル化合物;ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン化合物;ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体;2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体;9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体;N−フェニルグリシン、N−フェニルグリシン誘導体、クマリン系化合物などが挙げられる。2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体において、2つの2,4,5−トリアリールイミダゾールに置換した置換基は、同一でも相違していてもよい。ジエチルチオキサントンとジメチルアミノ安息香酸の組み合わせのように、チオキサントン系化合物と3級アミン化合物とを組み合わせてもよい。密着性および感度の見地からは、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体を用いることがより好ましい。これらは単独で、または2種類以上を組み合わせて使用される。
【0027】
バインダ樹脂成分に含まれる熱硬化剤としては、たとえば、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類;1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン等のパーオキシケタール類;p−メンタンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、t−ブチルヒドロパーオキシド等のハイドロパーオキサイド類;α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキシド、2,5−ジメチル――2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等のジアルキルパーオキサイド類;イソブチリルパーオキシド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキシド、オクタノイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ステアロイルパーオキシド、コハク酸パーオキシド、m−トルオイルベンゾイルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド等のジアシルパーオキサイド類;ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−3−メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート等のパーオキシカーボネート類;α,α’−ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシド、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、マレイン酸−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(m−トルオイルパーオキシド)、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート等のパーオキシエステル類等が挙げられ、その他、t−ブチルパーオキシアリルモノカーボネート、t−ブチルトリメチルシリルパーオキシド、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン等の化合物も挙げられる。これらは単独で、または2種類以上を組み合わせて使用される。
【0028】
第1バインダ樹脂成分と第2バインダ樹脂成分は、共に感光性樹脂組成物であるか、または、共に熱硬化性樹脂組成物であることが、それぞれ好ましい。
第1バインダ樹脂成分と第2バインダ樹脂成分中の各成分の配合割合は、光重合開始剤を配合する場合、フィルム性付与ポリマと重合性不飽和単量体の総量100重量部に対して、光重合開始剤を0.1〜10重量部とすることが好ましい。光重合開始剤の配合量が0.1重量部未満では、光感度が低い傾向があり、10重量部を超えると光感度が過度になり、フィルムの安定性が低下する傾向がある。熱硬化剤を配合する場合は、フィルム性付与ポリマと重合性不飽和単量体の総量100重量部に対して、熱硬化剤を0.1〜5重量部とすることが好ましく、さらに好ましくは0.5〜3重量部である。熱硬化剤の配合量が5重量部を超えると、耐熱性が低下する傾向がある。
【0029】
第1樹脂組成物において、第1バインダ樹脂成分の総量100重量部、その密度を約0.9と仮定して換算された体積約110部に対して、第1無機粉末は、体積約110部より多く、その密度を4.2と仮定して換算し約460重量部より多く、500〜900重量部であることが好ましく、650〜850重量部であることがさらに好ましい。第2樹脂組成物においては、第2バインダ樹脂成分の総量100重量部、その密度を約0.9と仮定して換算された体積約110部に対して、第2無機粉末は、体積約110部以下、その密度を4.2と仮定して換算し約460重量部以下であり、200〜450重量部であることが好ましく、250〜350重量部であることがさらに好ましい。
【0030】
本発明のエレメント(1)は、たとえば、支持体フィルム(11)上に、第1樹脂組成物を塗布して乾燥し、得られた第1層(12)上にさらに、第2樹脂組成物を塗布・乾燥して第2層(13)を形成することにより、好ましく製造することができる。
塗布・乾燥に供する場合、第1および第2樹脂組成物は、溶解可能な溶剤に溶解させて、均一に溶解または分散した溶液とすることが好ましい。この溶媒としては、たとえば、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、γ−ブチロラクトン、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、テトラメチルスルホン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、クロロホルム、塩化メチレン、メチルアルコール、エチルアルコール等が挙げられる。これらは単独で、または2種類以上を組み合わせて使用される。溶液の塗布方法としては、公知の方法を用いることができ、たとえば、ナイフコート法、ロールコート法、スプレーコート法、グラビアコート法、バーコート法、カーテンコート法等が挙げられる。乾燥温度は、60〜130℃とすることが好ましく、乾燥時間は、1分〜1時間とすることが好ましい。
【0031】
第2層(13)の上には、さらにカバーフィルム(図示せず)が積層されていてもよい。そのようなカバーフィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート等からなる厚さ5〜100μm程度のフィルムを用いることができる。カバーフィルムで表面を保護することにより、本発明のエレメントは、ロール状に巻いて保管することができる。
【0032】
また、本発明のエレメントは、一の支持体フィルム上に第1層を形成し、それとは別の支持体フィルム上に第2層を形成した後、両者を第1層と第2層が密着するように貼り合せることによっても製造することができる。この場合、上記の塗布・乾燥方法により各支持体フィルム表面に各々の層を形成することができ、両者の貼り合せは、ラミネータ等により圧着して行うことができる。
【0033】
焼成後に高精度で充分な高さの隔壁を得るためには、無機粉末が多く含まれている第1層が厚く形成されることが好ましい。そこで、第1層の乾燥後の膜厚は、1〜500μmであることが好ましく、100〜300μmであることがより好ましい。一方、無機粉末の配合量が少ない第2層の乾燥後の膜厚は、隔壁形成精度の観点から1〜50μmであることが好ましく、1〜20μmであることがより好ましい。
【0034】
本発明に係るPDP隔壁の製造法は、(1)上記本発明に係るエレメントを、基板上に、エレメントの第2層が基板に密着するように貼り付ける工程;(2)エレメントの第1層と第2層を硬化させる工程;(3)硬化した第1層と第2層の所定部分をサンドブラストにより切削してパターンを形成する工程;および(4)得られたパターンを焼成する工程、を含んでいる。この方法によれば、高精度で均一な形状の隔壁を製造することができる。
【0035】
製造工程の一例としてその一部を図2に模式的に示すが、まず、図2(a)にみるように、工程(1)として、電極(図示せず)を有する基板(2)上に、エレメント(1)を、第2層(13)が密着するようにして積層し、圧着する。電極を有する基板としては、電極が形成されたPDP用の前面基板(前面板用基板)、電極が形成されたPDP用の背面基板(背面板用基板)等が挙げられる。エレメント(1)がカバーフィルムを備えているときは、カバーフィルムを剥離除去しながら、ラミネータ等によりエレメントを圧着するようにする。この場合の積層ロールの圧着圧力は、線圧で、50〜1×105N/m程度とすることが好ましく、2.5×102〜5×104N/mとすることがより好ましく、5×102〜4×104N/mとすることが特に好ましい。この圧着圧力が、50N/m未満では、充分に密着できない傾向があり、1×105N/mを超えると、エレメントがエッジフュージョンを起こす傾向がある。
【0036】
次に、工程(2)として、エレメントの第1層(12)および第2層(13)を硬化させる。その硬化方法は、特に限定されないが、第1層と第2層が共に感光性樹脂組成物を含む場合は、たとえば、活性光線を照射して両層を光硬化させることができる。第1層(12)上の支持体フィルム(11)は、露光工程の前に剥離除去してもよく、また、露光工程の後に剥離除去してもよいが、硬化後の樹脂組成物は支持体フィルムとの親和性が上昇することが多く、長時間にわたり両者を接触状態のまま放置すると支持体フィルムの剥離が困難となる恐れがあるため、露光工程の後、比較的早い段階で支持体フィルムを剥離除去することが好ましい。露光工程において照射される活性光線としては、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線あるいはX線等が挙げられ、好ましくは可視光線、紫外線および遠紫外線が用いられ、さらに好ましくは紫外線が用いられる。活性光線照射装置としては、フォトリソグラフィー法で使用されている紫外線照射装置、半導体および液晶表示装置を製造する際に使用されている露光装置などの任意の装置を用いることができ、特に限定されるものではない。一方、第1層と第2層が共に熱硬化性樹脂組成物を含む場合は、加熱により硬化させることができる。具体的には、エレメントが貼り付けられた基板を、エレメントの樹脂組成物に含まれる熱硬化剤の活性化温度以上に加熱する方法が挙げられる。熱硬化の場合も、エレメント上の支持体フィルム(11)は加熱工程の前に剥離除去してもよく、また、加熱工程の後に剥離除去してもよいが、一般的には、支持体フィルムの耐熱性の観点から、加熱工程の前に剥離除去することが好ましい。
【0037】
続いて、工程(3)として、硬化した第1層と第2層の所定部分をサンドブラストにより切削して、基板(2)上に、硬化した第1層と第2層からなる積層体のパターンを形成する。第1,第2層の所定部分を切削して目的とするパターンを作成するために、たとえば、図2(b)および(c)に示すように、硬化した第1層(12)上にフォトレジスト膜(3)を積層し、これをフォトマスク(4)を用いてパターニングした後に、サンドブラスト処理を行うようにする。サンドブラスト処理は、たとえば、平均粒径が5〜100μmの研磨剤を用いて、噴射量が100〜2000g/min、加工圧力が1〜10kg/cm2の範囲で行うことができる。ブラスト粒子は、硬化した第1,第2層よりも硬度が高いものであることが好ましく、たとえば、天然珪砂(サンド)、ザクロ石(ガーネット)等の天然研磨材、炭化珪素、酸化珪素、酸化アルミニウム等の人造研磨材、銑鉄(スチール)、鋼(トールスチール)等の金属研磨材、ガラスビーズ、ソフトグリット(くるみ殻粉)、プラスチックビーズ等を用いることができる。その粒径は、形成するパターンサイズに応じて適正なものを選択することができるよう、たとえば加工幅の1/3以下の粒径のものを選択することが好ましい。サンドブラスト処理により硬化した第1,第2層の不要部分を除去した後、フォトレジスト(3)を剥離する(図2(d)参照)。
【0038】
最後に、工程(4)として、得られた積層体のパターンを焼成して、無機成分からなる隔壁を形成する。焼成は、通常、電気炉中で加熱して行われ、焼成温度は、最高温度で、通常400〜800℃、好ましくは500〜700℃である。この工程は、通常、大気中で行われる。焼成時間は、通常5分〜3時間程度が好ましい。焼成により積層体中の有機成分は揮発し、無機成分が溶融固化して、無機成分のみの層(無機物パターン)が形成される。
【0039】
本発明に係るPDP用背面板は、本発明に係るエレメントを用いて形成されたPDP隔壁を有する背面板である。このPDP用背面板は、上記のPDP隔壁の製造法において基板として背面板用基板を用いることにより、同様にして製造することができ、高精度で均一な形状の隔壁を有する背面板が得られる。背面板用基板としては、特に限定されることはなく、PDP用の背面基板として使用されるものを用いることができる。
【0040】
本発明に係るPDPは、上記本発明に係るPDP用背面板を有するものである。この背面板以外の構成は、特に限定はされず、PDP用に通常用いられる前面板および放電用電極を用い、たとえば、一定の間隔を設けて配された前面板および背面板と、両基板の内側に設けられた電極から構成することができる。この基板間の空間に、任意の放電ガスが封入されて、発光が行われる。
【0041】
【実施例】
以下に、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明の技術思想を逸脱しない限り、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(1)フィルム性付与ポリマの製造
撹拌機、還流冷却機、不活性ガス導入口および温度計を備えたフラスコに、表1に示す反応容器内用の溶剤を仕込み、窒素ガス雰囲気下で80℃に昇温し、反応温度を80℃±2℃に保ちながら、表1に示す成分のモノマ滴下用溶媒の混合溶液を3時間かけて均一に滴下した。混合溶液の滴下後、80℃±2℃で3時間撹拌を続け、重量平均分子量が80,000のフィルム性付与ポリマの溶液(固形分40.0重量%)を得た。
【0042】
(2)第1樹脂組成物溶液の調製
表2に示す材料を、コンディショニングミキサーを用いて5分間混合し、第1樹脂組成物溶液を調製した。第1樹脂組成物中の無機粉末(ガラスフリット)の割合は、ガラスフリットの密度4.6g/cm3、バインダ樹脂成分の乾燥時の密度1.1g/cm3から算出され、59体積%であった。
【0043】
(3)第2樹脂組成物溶液の調製
表3に示す材料を、コンディショニングミキサーを用いて5分間混合し、第2樹脂組成物溶液を調製した。第2樹脂組成物中の無機粉末(ガラスフリット)の割合は、上記第1樹脂組成物中のガラスフリットの割合と同様に計算され、32体積%であった。
【0044】
【表1】
【表2】
【表3】
【0045】
[実施例1]
支持体フィルムとして厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、その上に、上記第1樹脂組成物溶液を均一に塗布し、80℃の熱風対流式乾燥機で5分間乾燥して溶剤を除去し、厚さ120μmの第1層を形成した。次いで、得られた第1層上に、上記第2樹脂組成物溶液を均一に塗布し、80℃の熱風対流式乾燥機で5分間乾燥して溶剤を除去し、厚さ20μmの第2層を形成した。さらに、形成された第2層上に、カバーフィルムとして厚さ23μmのポリエチレンフィルムを積層して、エレメントを作製した。
厚さ3mmのガラス基板に、得られたエレメントを、表面のポリエチレンフィルムを剥離しながら、第2層がガラス基板に接するようにして、支持体フィルム上からラミネータにより積層した。ラミネート温度は130℃、ラミネート速度は0.5m/min、圧着圧力は線圧で9.8×103N/mであった。得られた積層体を、超高圧水銀灯露光機(オーク製作所製、EXM−1201)を用いて300mJ/cm2で露光し、樹脂組成物層を硬化させた。
【0046】
支持体フィルムを除去した後、硬化させた積層体上(第1層上)に、サンドブラスト用フォトレジスト膜を形成し、幅100μmの開口部と幅470μmの遮光部よりなるフォトマスクを密着させ、超高圧水銀灯露光機(オーク製作所製、EXM−1201)を用いて100mJ/cm2で露光した後、未露光部分を現像により除去し、ネガマスクに相当するフォトレジストパターンを得た。
その後、サンドブラストマシーン(不二製作所製、SC−3、微粉タイプ)により、酸化珪素研磨剤(平均粒径8μm、最大粒径20μm)を用いて、噴射量650g/min、加工圧力4kg/cm2の処理条件で、上記積層体上に形成されたフォトレジストパターンをマスクとして硬化した樹脂組成物層の不要部分を研磨除去した後、得られた積層体パターン上のフォトレジストを剥離した。 得られた積層体パターンを、600℃で15分間焼成した。その結果、隔壁幅100μm、隔壁間470μmの高精度な隔壁が得られた。
【0047】
[比較例1]
上記実施例1と同様にして、実施例1と同じ支持体フィルム上に、第1樹脂組成物溶液を用いて厚さ(乾燥後)120μmの第1層を形成した。得られた第1層上に実施例1と同じカバーフィルム(ポリエチレンフィルム)を積層して、エレメントを作製した。このとき、第1層はカバーフィルムと密着しなかった。 厚さ3mmのガラス基板に、得られたエレメントを、表面のポリエチレンフィルムを剥離しながら、第1層がガラス基板に接するようにして、支持体フィルム上からラミネータにより積層した。ラミネート温度は130℃、ラミネート速度は0.5m/min、圧着圧力は線圧で9.8〜49×103N/mであった。ラミネート圧着圧力を高めても、第1層はガラス基板に密着しなかった。
【0048】
[比較例2]
上記実施例1と同じ支持体フィルム上に、第2樹脂組成物溶液を用いて、上記実施例1と同様にして厚さ(乾燥後)40μmの第2層を形成した。得られた第2層上に実施例1と同じカバーフィルム(ポリエチレンフィルム)を積層して、エレメントを作製した。
上記実施例1と同様にして、厚さ3mmのガラス基板上にエレメントを積層させ、第2層を硬化させた。露光後、硬化した第2層と支持体フィルムの親和性が上昇し、支持体フィルムの除去ができなかった。
【0049】
【発明の効果】
本発明のエレメントは、高精度で均一な形状の隔壁を形成することができるものであり、これを用いて、高精度で均一な形状のPDP隔壁の製造法とPDP隔壁、ならびに、高精度で均一な隔壁を備えたPDP背面板およびPDPを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のエレメントの一例を模式的に示した断面図である。
【図2】本発明のPDP隔壁の製造法の一例を模式的に示した断面図である。
【符号の説明】
1 エレメント
11 支持体フィルム
12 第1層
13 第2層
2 基板
【発明の属する技術分野】
本発明は、エレメント、このエレメントを用いるプラズマディスプレイパネル隔壁の製造法、プラズマディスプレイパネル隔壁、プラズマディスプレイパネル用背面板、および、プラズマディスプレイパネルに関する。
【0002】
【従来の技術】
平板ディスプレイの1つとして、プラズマ放電により発光する蛍光体を設けることによって多色表示を可能にしたプラズマディスプレイパネル(以下「PDP」と記す)が知られている。PDPでは、ガラスからなる平板状の前面板と背面板とが互いに平行に対向して配設され、両者は、その間に設けられた、セル構造を形成する隔壁(バリアリブ)により一定の間隔に保持されており、前面板、背面板および隔壁に囲まれた空間で放電するようになっている。このような空間には、表示のための電極、誘電体層、蛍光体等が付設され、放電によって封入ガスから発生する紫外線によって蛍光体が発光させられ、この光を観察者が視認できるようになっている。
この隔壁を設ける方法としては、隔壁形成前のガラス基板上に、ガラスフリット、金属酸化物を分散させたスラリーもしくはペーストをスクリーン印刷等の印刷方法によって基板上に塗布した後、サンドブラスト法により不要な部分を切削する方法(特許文献1参照);基板上に塗布した後、くし型のブレードにより不要な部分を除去する方法;感光性レジストをパターニングし、パターン間にスラリーもしくはペーストを埋め込み・硬化させた後、感光性レジストを剥離させる方法(特許文献2参照)が提案されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−69851号公報
【0004】
【特許文献2】
特開平9−110462号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
これらの方法において、スラリーやペーストを用いる場合には無機粉末の沈降が起こるため、適宜攪拌する等の管理が必要となる。また、スクリーン印刷法では、スクリーンの清掃が必要である。このように、スラリーやペーストを用いる方法では、均一な塗布を実現するために必要な材料、機器類の管理が煩雑となる。また、近年PDPセルの構造が多様になり、隔壁形状も複雑なものが必要とされるようになり、複雑な形状の隔壁を得ることのできる手法の開発が求められていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るエレメントは、支持体フィルム上に第1樹脂組成物からなる第1層を有し、前記第1層上に第2樹脂組成物からなる第2層を有するエレメントであって、上記第1樹脂組成物が、第1無機粉末と第1バインダ樹脂成分とを含み第1無機粉末の割合が体積比で50%を超えるものであり、上記第2樹脂組成物が、第2無機粉末と第2バインダ樹脂成分とを含み第2無機粉末の割合が体積比で50%以下のものである。
【0007】
本発明に係るPDP隔壁の製造法は、以下の工程を含むものである。(1)上記本発明に係るエレメントを、基板上に、エレメントの第2層が基板に密着するように貼り付ける工程;(2)エレメントの第1層と第2層を硬化させる工程;(3)硬化した第1層と第2層の所定部分をサンドブラストにより切削してパターンを形成する工程;および(4)得られたパターンを焼成する工程。
【0008】
本発明に係るPDP隔壁は、上記本発明に係るPDP隔壁の製造法により得られるものである。
本発明に係るPDP用背面板は、背面板用基板と、背面板用基板上に形成されたPDP隔壁とを有し、前記PDP隔壁が上記本発明に係るエレメントを用いて形成されたものである。
本発明に係るPDPは、上記本発明に係るPDP用背面板を有するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明のエレメントは、支持体フィルムと第1層と第2層とを含むものであり、支持体フィルム上に第1層が形成され、第1層上に第2層が形成されている。第1層は、第1無機粉末と第1バインダ樹脂成分とを含み第1無機粉末の割合が体積比で50%を超える第1樹脂組成物からなり、第2層は、第2無機粉末と第2バインダ樹脂成分とを含み第2無機粉末の割合が体積比で50%以下である第2樹脂組成物からなる。
【0010】
支持体フィルムとしては、たとえば、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン等からなる、厚さ5〜300μm程度のフィルムを用いることができる。
【0011】
上記第1樹脂組成物は、樹脂組成物中に、第1無機粉末を、体積比で50%(50体積%)を超える量含んでいる。第1無機粉末を体積比で50%を超える量含有するとは、第1無機粉末を含有する第1樹脂組成物の単位体積あたり、50%より多くを第1無機粉末が占める状態をいう。一方、上記第2樹脂組成物は、樹脂組成物中に、第2無機粉末を、体積比で50%以下(50体積%以下)含んでいる。第2無機粉末を体積比で50%以下含有するとは、第2無機粉末を含有する第2樹脂組成物の単位体積あたり、50%以下を第2無機粉末が占める状態をいう。本発明において、樹脂組成物中の無機粉末の体積比は、無機粉末の体積とバインダ樹脂成分の体積から計算される。無機粉末の体積は、その配合重量と密度から求めることができ、同様に、バインダ樹脂成分の体積も、乾燥状態に換算した配合重量とその密度から求めることができる。無機粉末は有機バインダであるバインダ樹脂成分に溶解しないことから、樹脂組成物の乾燥時の体積は、無機粉末の体積とバインダ樹脂成分の乾燥時の体積の和とみなせることから、得られた無機粉末の体積とバインダ樹脂成分の体積から、無機粉末の体積%を計算することができるのである。
【0012】
一般に、樹脂組成物中の無機粉末の量が多くなるにつれ、基板へのラミネート性が低下し、圧着が困難になる傾向がある。これは、無機粉末の量が増加するにつれ、樹脂組成物の単位体積あたりの無機粉末が占める割合が増加し、無機粉末表面の総面積が増加することで、無機粉末表面に接触する樹脂組成物の量が多くなるため、基板への圧着において基板表面とエレメントとの密着のために消費され得る樹脂組成物の量が低下し、エレメントの基板への密着性が低下するためである。本発明者らの知見によると、一般に、PDP用ガラスフリットの場合は、エレメントを構成する樹脂組成物の単位体積あたり、概ね30%程度までをフリットが占める場合には樹脂組成物の密着性には大きな変化は見られない。しかし、単位体積あたりにフリットが占める割合が30%を超え40〜50%程度まで増加するにつれて、密着性が徐々に低下し、フリットの占める割合が概ね50%を超える場合、樹脂組成物と基板との密着性は大きく低下し、ラミネートが困難となることが多い。一方、樹脂組成物中の無機粉末の占める割合が50体積%以下であると、一般に、基板にラミネートした際に充分な密着性を得ることができる。しかし、本発明者らの知見によれば、無機粉末は、焼成後に溶融固化して残り隔壁となる成分であるため、無機粉末の含有量が少なすぎる場合は、加熱によりバインダ樹脂成分が除去された後の空孔が大きくなる。空孔が比較的小さい場合は、無機粉末の一部が溶融して流れ込むことでその空孔が埋められるが、空孔が大きい場合は、無機粉末の過度の流入が必要である。その結果、焼成後に得られるパターンの高さが著しく低くなる、過度の流動が生じるためにパターンの歪みが大きくなる等の現象が見られ、精度の高い均一な形状の隔壁を形成することが困難となる恐れがある。
【0013】
そこで、本発明のエレメント(1)は、その断面図を模式的に図1に示すように、支持体フィルム(11)上に、無機粉末含有量の多い第1樹脂組成物からなる第1層(12)と無機粉末含有量の少ない第2樹脂組成物からなる第2層(13)とがこの順に形成され、基板への積層の際は第2層(13)が基板に密着するように構成されている。したがって、これを用いて、基板上に密着性よく隔壁材料を積層し、高精度で均一な形状の隔壁を形成することができる。
【0014】
第1層において、第1無機粉末の占める割合は、好ましくは、55〜65体積%であり、さらに好ましくは、58〜65体積%である。第2層において、第2無機粉末の占める割合は、好ましくは、30〜50体積%であり、さらに好ましくは、35〜43体積%である。
【0015】
上記第1無機粉末および第2無機粉末としては、低融点ガラスフリットとアルミナ、チタニアなどの骨材の混合物などを用いることができる。ガラス成分としては、酸化鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素系(PbO−B2O3−SiO2系);酸化鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化アルミニウム系(PbO−B2O3−SiO2−Al2O3系);酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素系(ZnO−B2O3−SiO2系);酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化アルミニウム系(ZnO−B2O3−SiO2−Al2O3系);酸化鉛、酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素系(PbO−ZnO−B2O3−SiO2系);酸化鉛、酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化アルミニウム系(PbO−ZnO−B2O3−SiO2−Al2O3系);酸化ビスマス、酸化ホウ素、酸化ケイ素系(Bi2O3−B2O3−SiO2系);酸化ビスマス、酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化アルミニウム系(Bi2O3−B2O3−SiO2−Al2O3系);酸化ビスマス、酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素系(Bi2O3−ZnO−B2O3−SiO2系);酸化ビスマス、酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化アルミニウム系(Bi2O3−ZnO−B2O3−SiO2−Al2O3系)などのガラスフリットを挙げることができる。このような低融点ガラスフリットの形状は、特に限定されず、平均粒径は、好ましくは0.1〜10μm、より好ましくは0.5〜5μmである。これらの低融点ガラスフリットは単独で、あるいは異なるガラスフリット組成、異なる軟化点、異なる形状、異なる平均粒径を有する低融点ガラスフリットを2種類以上組み合わせて使用することができる。また骨材としては、アルミナ、チタニア、ジルコニア等の金属酸化物が挙げられるが、形状、性質が適する材料であれば、特にこれらに限定されることはない。無機粉末中のガラスフリットと骨材の割合は、ガラスフリット量が50〜90重量%であることが好ましく、より好ましくは60〜85重量%、さらに好ましくは70〜80重量%である。エレメント中の第1無機粉末と第2無機粉末は、同一のものであってもよいし、異なるものであってもよい。
【0016】
上記第1バインダ樹脂成分と第2バインダ樹脂成分は、光重合あるいは熱硬化による樹脂組成物層(フィルム)の硬化を可能とするものであれば、特に制限はない。そのようなバインダ樹脂成分は、たとえば、フィルム性付与ポリマ、重合性不飽和単量体、および、光重合開始剤または熱硬化剤を含有するものであることが好ましい。第1バインダ樹脂成分と第2バインダ樹脂成分は、同一組成のものであってもよいし、異なる組成のものであってもよい。
【0017】
フィルム性付与ポリマとしては、たとえば、ポリカーボネート、ポリウレタン、ゴム類(ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、シリコンゴム等)、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリビニルトルエン、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、エチレンと20重量%以上の酢酸ビニルの共重合体、エチレンと20重量%以上の(メタ)アクリル酸エステルの共重合体、塩化ビニルと20重量%以上の酢酸ビニルの共重合体、スチレンと20重量%以上の(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体、ビニルトルエンと20重量%以上の(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体、ポリビニルアルコール系樹脂(ポリ酢酸ビニルの加水分解物、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体の加水分解物、塩化ビニルと酢酸ビニルとの共重合体の加水分解物等)などが挙げられる。これらは単独で、または2種類以上組み合わせて使用される。上記記載および以下の記載において、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸およびメタクリル酸を示し、(メタ)アクリレート等の誘導体の記載は、アクリル酸の誘導体とメタクリル酸の誘導体を示す。
【0018】
さらに、フィルム性付与ポリマとして、(メタ)アクリル系樹脂、ヒドロキシスチレン樹脂、ノボラック樹脂、ポリエステル樹脂なども例示できる。このようなフィルム性付与ポリマの内、特に好ましいものとしては、下記の第1単量体と第2単量体との共重合体を挙げることができる。
第1単量体:カルボキシル基含有モノマー類;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、ケイ皮酸、コハク酸モノ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートなど。
【0019】
第2単量体:その他の共重合可能なモノマー類;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ラウリル、(メタ)アクリル酸ベンジル、グリシジル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピルなどの(メタ)アクリル酸エステル類;スチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル系モノマー類;ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエン類;ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸ベンジル等のポリマー鎖の一方の末端に、(メタ)アクリロイル基などの重合性不飽和基を有するマクロモノマー類;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピルなどの水酸基含有モノマー類;o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレンなどのフェノール性水酸基含有モノマー類など。
【0020】
第1単量体に由来する共重合成分の含有率は、好ましくは1〜50質量%、さらに好ましくは5〜30質量%である。第2単量体に由来する共重合成分の含有率は、好ましくは50〜99質量%、さらに好ましくは70〜95質量%である。
【0021】
フィルム性付与ポリマの分子量は、重量平均分子量(GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量をいう。以下同じ。)として、5,000〜5,000,000であることが好ましく、さらに好ましくは10,000〜300,000の範囲が選ばれる。フィルム性付与ポリマの酸価は、塗膜性、分散性等の観点から、0〜250(KOH mg/g)であることが好ましい。
【0022】
重合性不飽和単量体としては、たとえば、多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物、2,2−ビス(4−(ジ(メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパン、グリシジル基含有化合物にα、β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物、ウレタンモノマー、ノニルフェニルジオキシレン(メタ)アクリレート、γ−クロロ−β−ヒドロキシプロピル−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、β−ヒドロキシエチル−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、β−ヒドロキシプロピル−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステル等が挙げられる。これらは単独で、または2種類以上組み合わせて使用される。
【0023】
上記多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物としては、たとえば、エチレン基の数が2〜14であるポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレン基の数が2〜14であるポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンテトラエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンペンタエトキシトリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、プロピレン基の数が2〜14であるポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0024】
上記α、β−不飽和カルボン酸としては、たとえば(メタ)アクリル酸等が挙げられる。
上記2,2−ビス(4−(ジ(メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパンとしては、たとえば、2,2−ビス(4−(ジ(メタ)アクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(ジ(メタ)アクリロキシトリエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(ジ(メタ)アクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(ジ(メタ)アクリロキシデカエトキシ)フェニル)プロパン等が挙げられる。2,2−ビス(4−(メタクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパンは、BPE−500(新中村化学工業(株)製、製品名)として商業的に入手可能である。
上記グリシジル基含有化合物としては、たとえば、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルトリ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)フェニル)プロパン等が拳げられる。
【0025】
上記ウレタンモノマーとしては、たとえば、β位にOH基を有する(メタ)アクリルモノマーとイソホロンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等との付加反応物、トリス((メタ)アクリロキシテトラエチレングリコールイソシアネート)ヘキサメチレンイソシアヌレート、EO変性ウレタンジ(メタ)アクリレート、EO,PO変性ウレタンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。ここで、EOはエチレンオキサイドを示し、EO変性された化合物はエチレンオキサイド基のブロック構造を有する化合物である。また、POはプロピレンオキサイドを示し、PO変性された化合物はプロピレンオキサイド基のブロック構造を有する化合物である。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、たとえば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等が挙げられる。
【0026】
バインダ樹脂成分に含まれる光重合開始剤としては、たとえば、ベンゾフェノン、N,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、N,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパノン−1等の芳香族ケトン;2−エチルアントラキノン、フェナントレンキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ベンズアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルアントラキノン等のキノン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル化合物;ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン化合物;ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体;2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体;9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体;N−フェニルグリシン、N−フェニルグリシン誘導体、クマリン系化合物などが挙げられる。2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体において、2つの2,4,5−トリアリールイミダゾールに置換した置換基は、同一でも相違していてもよい。ジエチルチオキサントンとジメチルアミノ安息香酸の組み合わせのように、チオキサントン系化合物と3級アミン化合物とを組み合わせてもよい。密着性および感度の見地からは、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体を用いることがより好ましい。これらは単独で、または2種類以上を組み合わせて使用される。
【0027】
バインダ樹脂成分に含まれる熱硬化剤としては、たとえば、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類;1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン等のパーオキシケタール類;p−メンタンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、t−ブチルヒドロパーオキシド等のハイドロパーオキサイド類;α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキシド、2,5−ジメチル――2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等のジアルキルパーオキサイド類;イソブチリルパーオキシド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキシド、オクタノイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ステアロイルパーオキシド、コハク酸パーオキシド、m−トルオイルベンゾイルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド等のジアシルパーオキサイド類;ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−3−メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート等のパーオキシカーボネート類;α,α’−ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシド、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、マレイン酸−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(m−トルオイルパーオキシド)、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート等のパーオキシエステル類等が挙げられ、その他、t−ブチルパーオキシアリルモノカーボネート、t−ブチルトリメチルシリルパーオキシド、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン等の化合物も挙げられる。これらは単独で、または2種類以上を組み合わせて使用される。
【0028】
第1バインダ樹脂成分と第2バインダ樹脂成分は、共に感光性樹脂組成物であるか、または、共に熱硬化性樹脂組成物であることが、それぞれ好ましい。
第1バインダ樹脂成分と第2バインダ樹脂成分中の各成分の配合割合は、光重合開始剤を配合する場合、フィルム性付与ポリマと重合性不飽和単量体の総量100重量部に対して、光重合開始剤を0.1〜10重量部とすることが好ましい。光重合開始剤の配合量が0.1重量部未満では、光感度が低い傾向があり、10重量部を超えると光感度が過度になり、フィルムの安定性が低下する傾向がある。熱硬化剤を配合する場合は、フィルム性付与ポリマと重合性不飽和単量体の総量100重量部に対して、熱硬化剤を0.1〜5重量部とすることが好ましく、さらに好ましくは0.5〜3重量部である。熱硬化剤の配合量が5重量部を超えると、耐熱性が低下する傾向がある。
【0029】
第1樹脂組成物において、第1バインダ樹脂成分の総量100重量部、その密度を約0.9と仮定して換算された体積約110部に対して、第1無機粉末は、体積約110部より多く、その密度を4.2と仮定して換算し約460重量部より多く、500〜900重量部であることが好ましく、650〜850重量部であることがさらに好ましい。第2樹脂組成物においては、第2バインダ樹脂成分の総量100重量部、その密度を約0.9と仮定して換算された体積約110部に対して、第2無機粉末は、体積約110部以下、その密度を4.2と仮定して換算し約460重量部以下であり、200〜450重量部であることが好ましく、250〜350重量部であることがさらに好ましい。
【0030】
本発明のエレメント(1)は、たとえば、支持体フィルム(11)上に、第1樹脂組成物を塗布して乾燥し、得られた第1層(12)上にさらに、第2樹脂組成物を塗布・乾燥して第2層(13)を形成することにより、好ましく製造することができる。
塗布・乾燥に供する場合、第1および第2樹脂組成物は、溶解可能な溶剤に溶解させて、均一に溶解または分散した溶液とすることが好ましい。この溶媒としては、たとえば、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、γ−ブチロラクトン、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、テトラメチルスルホン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、クロロホルム、塩化メチレン、メチルアルコール、エチルアルコール等が挙げられる。これらは単独で、または2種類以上を組み合わせて使用される。溶液の塗布方法としては、公知の方法を用いることができ、たとえば、ナイフコート法、ロールコート法、スプレーコート法、グラビアコート法、バーコート法、カーテンコート法等が挙げられる。乾燥温度は、60〜130℃とすることが好ましく、乾燥時間は、1分〜1時間とすることが好ましい。
【0031】
第2層(13)の上には、さらにカバーフィルム(図示せず)が積層されていてもよい。そのようなカバーフィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート等からなる厚さ5〜100μm程度のフィルムを用いることができる。カバーフィルムで表面を保護することにより、本発明のエレメントは、ロール状に巻いて保管することができる。
【0032】
また、本発明のエレメントは、一の支持体フィルム上に第1層を形成し、それとは別の支持体フィルム上に第2層を形成した後、両者を第1層と第2層が密着するように貼り合せることによっても製造することができる。この場合、上記の塗布・乾燥方法により各支持体フィルム表面に各々の層を形成することができ、両者の貼り合せは、ラミネータ等により圧着して行うことができる。
【0033】
焼成後に高精度で充分な高さの隔壁を得るためには、無機粉末が多く含まれている第1層が厚く形成されることが好ましい。そこで、第1層の乾燥後の膜厚は、1〜500μmであることが好ましく、100〜300μmであることがより好ましい。一方、無機粉末の配合量が少ない第2層の乾燥後の膜厚は、隔壁形成精度の観点から1〜50μmであることが好ましく、1〜20μmであることがより好ましい。
【0034】
本発明に係るPDP隔壁の製造法は、(1)上記本発明に係るエレメントを、基板上に、エレメントの第2層が基板に密着するように貼り付ける工程;(2)エレメントの第1層と第2層を硬化させる工程;(3)硬化した第1層と第2層の所定部分をサンドブラストにより切削してパターンを形成する工程;および(4)得られたパターンを焼成する工程、を含んでいる。この方法によれば、高精度で均一な形状の隔壁を製造することができる。
【0035】
製造工程の一例としてその一部を図2に模式的に示すが、まず、図2(a)にみるように、工程(1)として、電極(図示せず)を有する基板(2)上に、エレメント(1)を、第2層(13)が密着するようにして積層し、圧着する。電極を有する基板としては、電極が形成されたPDP用の前面基板(前面板用基板)、電極が形成されたPDP用の背面基板(背面板用基板)等が挙げられる。エレメント(1)がカバーフィルムを備えているときは、カバーフィルムを剥離除去しながら、ラミネータ等によりエレメントを圧着するようにする。この場合の積層ロールの圧着圧力は、線圧で、50〜1×105N/m程度とすることが好ましく、2.5×102〜5×104N/mとすることがより好ましく、5×102〜4×104N/mとすることが特に好ましい。この圧着圧力が、50N/m未満では、充分に密着できない傾向があり、1×105N/mを超えると、エレメントがエッジフュージョンを起こす傾向がある。
【0036】
次に、工程(2)として、エレメントの第1層(12)および第2層(13)を硬化させる。その硬化方法は、特に限定されないが、第1層と第2層が共に感光性樹脂組成物を含む場合は、たとえば、活性光線を照射して両層を光硬化させることができる。第1層(12)上の支持体フィルム(11)は、露光工程の前に剥離除去してもよく、また、露光工程の後に剥離除去してもよいが、硬化後の樹脂組成物は支持体フィルムとの親和性が上昇することが多く、長時間にわたり両者を接触状態のまま放置すると支持体フィルムの剥離が困難となる恐れがあるため、露光工程の後、比較的早い段階で支持体フィルムを剥離除去することが好ましい。露光工程において照射される活性光線としては、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線あるいはX線等が挙げられ、好ましくは可視光線、紫外線および遠紫外線が用いられ、さらに好ましくは紫外線が用いられる。活性光線照射装置としては、フォトリソグラフィー法で使用されている紫外線照射装置、半導体および液晶表示装置を製造する際に使用されている露光装置などの任意の装置を用いることができ、特に限定されるものではない。一方、第1層と第2層が共に熱硬化性樹脂組成物を含む場合は、加熱により硬化させることができる。具体的には、エレメントが貼り付けられた基板を、エレメントの樹脂組成物に含まれる熱硬化剤の活性化温度以上に加熱する方法が挙げられる。熱硬化の場合も、エレメント上の支持体フィルム(11)は加熱工程の前に剥離除去してもよく、また、加熱工程の後に剥離除去してもよいが、一般的には、支持体フィルムの耐熱性の観点から、加熱工程の前に剥離除去することが好ましい。
【0037】
続いて、工程(3)として、硬化した第1層と第2層の所定部分をサンドブラストにより切削して、基板(2)上に、硬化した第1層と第2層からなる積層体のパターンを形成する。第1,第2層の所定部分を切削して目的とするパターンを作成するために、たとえば、図2(b)および(c)に示すように、硬化した第1層(12)上にフォトレジスト膜(3)を積層し、これをフォトマスク(4)を用いてパターニングした後に、サンドブラスト処理を行うようにする。サンドブラスト処理は、たとえば、平均粒径が5〜100μmの研磨剤を用いて、噴射量が100〜2000g/min、加工圧力が1〜10kg/cm2の範囲で行うことができる。ブラスト粒子は、硬化した第1,第2層よりも硬度が高いものであることが好ましく、たとえば、天然珪砂(サンド)、ザクロ石(ガーネット)等の天然研磨材、炭化珪素、酸化珪素、酸化アルミニウム等の人造研磨材、銑鉄(スチール)、鋼(トールスチール)等の金属研磨材、ガラスビーズ、ソフトグリット(くるみ殻粉)、プラスチックビーズ等を用いることができる。その粒径は、形成するパターンサイズに応じて適正なものを選択することができるよう、たとえば加工幅の1/3以下の粒径のものを選択することが好ましい。サンドブラスト処理により硬化した第1,第2層の不要部分を除去した後、フォトレジスト(3)を剥離する(図2(d)参照)。
【0038】
最後に、工程(4)として、得られた積層体のパターンを焼成して、無機成分からなる隔壁を形成する。焼成は、通常、電気炉中で加熱して行われ、焼成温度は、最高温度で、通常400〜800℃、好ましくは500〜700℃である。この工程は、通常、大気中で行われる。焼成時間は、通常5分〜3時間程度が好ましい。焼成により積層体中の有機成分は揮発し、無機成分が溶融固化して、無機成分のみの層(無機物パターン)が形成される。
【0039】
本発明に係るPDP用背面板は、本発明に係るエレメントを用いて形成されたPDP隔壁を有する背面板である。このPDP用背面板は、上記のPDP隔壁の製造法において基板として背面板用基板を用いることにより、同様にして製造することができ、高精度で均一な形状の隔壁を有する背面板が得られる。背面板用基板としては、特に限定されることはなく、PDP用の背面基板として使用されるものを用いることができる。
【0040】
本発明に係るPDPは、上記本発明に係るPDP用背面板を有するものである。この背面板以外の構成は、特に限定はされず、PDP用に通常用いられる前面板および放電用電極を用い、たとえば、一定の間隔を設けて配された前面板および背面板と、両基板の内側に設けられた電極から構成することができる。この基板間の空間に、任意の放電ガスが封入されて、発光が行われる。
【0041】
【実施例】
以下に、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明の技術思想を逸脱しない限り、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(1)フィルム性付与ポリマの製造
撹拌機、還流冷却機、不活性ガス導入口および温度計を備えたフラスコに、表1に示す反応容器内用の溶剤を仕込み、窒素ガス雰囲気下で80℃に昇温し、反応温度を80℃±2℃に保ちながら、表1に示す成分のモノマ滴下用溶媒の混合溶液を3時間かけて均一に滴下した。混合溶液の滴下後、80℃±2℃で3時間撹拌を続け、重量平均分子量が80,000のフィルム性付与ポリマの溶液(固形分40.0重量%)を得た。
【0042】
(2)第1樹脂組成物溶液の調製
表2に示す材料を、コンディショニングミキサーを用いて5分間混合し、第1樹脂組成物溶液を調製した。第1樹脂組成物中の無機粉末(ガラスフリット)の割合は、ガラスフリットの密度4.6g/cm3、バインダ樹脂成分の乾燥時の密度1.1g/cm3から算出され、59体積%であった。
【0043】
(3)第2樹脂組成物溶液の調製
表3に示す材料を、コンディショニングミキサーを用いて5分間混合し、第2樹脂組成物溶液を調製した。第2樹脂組成物中の無機粉末(ガラスフリット)の割合は、上記第1樹脂組成物中のガラスフリットの割合と同様に計算され、32体積%であった。
【0044】
【表1】
【表2】
【表3】
【0045】
[実施例1]
支持体フィルムとして厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、その上に、上記第1樹脂組成物溶液を均一に塗布し、80℃の熱風対流式乾燥機で5分間乾燥して溶剤を除去し、厚さ120μmの第1層を形成した。次いで、得られた第1層上に、上記第2樹脂組成物溶液を均一に塗布し、80℃の熱風対流式乾燥機で5分間乾燥して溶剤を除去し、厚さ20μmの第2層を形成した。さらに、形成された第2層上に、カバーフィルムとして厚さ23μmのポリエチレンフィルムを積層して、エレメントを作製した。
厚さ3mmのガラス基板に、得られたエレメントを、表面のポリエチレンフィルムを剥離しながら、第2層がガラス基板に接するようにして、支持体フィルム上からラミネータにより積層した。ラミネート温度は130℃、ラミネート速度は0.5m/min、圧着圧力は線圧で9.8×103N/mであった。得られた積層体を、超高圧水銀灯露光機(オーク製作所製、EXM−1201)を用いて300mJ/cm2で露光し、樹脂組成物層を硬化させた。
【0046】
支持体フィルムを除去した後、硬化させた積層体上(第1層上)に、サンドブラスト用フォトレジスト膜を形成し、幅100μmの開口部と幅470μmの遮光部よりなるフォトマスクを密着させ、超高圧水銀灯露光機(オーク製作所製、EXM−1201)を用いて100mJ/cm2で露光した後、未露光部分を現像により除去し、ネガマスクに相当するフォトレジストパターンを得た。
その後、サンドブラストマシーン(不二製作所製、SC−3、微粉タイプ)により、酸化珪素研磨剤(平均粒径8μm、最大粒径20μm)を用いて、噴射量650g/min、加工圧力4kg/cm2の処理条件で、上記積層体上に形成されたフォトレジストパターンをマスクとして硬化した樹脂組成物層の不要部分を研磨除去した後、得られた積層体パターン上のフォトレジストを剥離した。 得られた積層体パターンを、600℃で15分間焼成した。その結果、隔壁幅100μm、隔壁間470μmの高精度な隔壁が得られた。
【0047】
[比較例1]
上記実施例1と同様にして、実施例1と同じ支持体フィルム上に、第1樹脂組成物溶液を用いて厚さ(乾燥後)120μmの第1層を形成した。得られた第1層上に実施例1と同じカバーフィルム(ポリエチレンフィルム)を積層して、エレメントを作製した。このとき、第1層はカバーフィルムと密着しなかった。 厚さ3mmのガラス基板に、得られたエレメントを、表面のポリエチレンフィルムを剥離しながら、第1層がガラス基板に接するようにして、支持体フィルム上からラミネータにより積層した。ラミネート温度は130℃、ラミネート速度は0.5m/min、圧着圧力は線圧で9.8〜49×103N/mであった。ラミネート圧着圧力を高めても、第1層はガラス基板に密着しなかった。
【0048】
[比較例2]
上記実施例1と同じ支持体フィルム上に、第2樹脂組成物溶液を用いて、上記実施例1と同様にして厚さ(乾燥後)40μmの第2層を形成した。得られた第2層上に実施例1と同じカバーフィルム(ポリエチレンフィルム)を積層して、エレメントを作製した。
上記実施例1と同様にして、厚さ3mmのガラス基板上にエレメントを積層させ、第2層を硬化させた。露光後、硬化した第2層と支持体フィルムの親和性が上昇し、支持体フィルムの除去ができなかった。
【0049】
【発明の効果】
本発明のエレメントは、高精度で均一な形状の隔壁を形成することができるものであり、これを用いて、高精度で均一な形状のPDP隔壁の製造法とPDP隔壁、ならびに、高精度で均一な隔壁を備えたPDP背面板およびPDPを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のエレメントの一例を模式的に示した断面図である。
【図2】本発明のPDP隔壁の製造法の一例を模式的に示した断面図である。
【符号の説明】
1 エレメント
11 支持体フィルム
12 第1層
13 第2層
2 基板
Claims (8)
- 支持体フィルム上に第1樹脂組成物からなる第1層を有し、前記第1層上に第2樹脂組成物からなる第2層を有するエレメントであって、前記第1樹脂組成物が、第1無機粉末と第1バインダ樹脂成分とを含み前記第1無機粉末の割合が体積比で50%を超えるものであり、前記第2樹脂組成物が、第2無機粉末と第2バインダ樹脂成分とを含み前記第2無機粉末の割合が体積比で50%以下のものであるエレメント。
- 前記第1層の膜厚が1〜500μmであり、前記第2層の膜厚が1〜50μmである請求項1記載のエレメント。
- 前記第1バインダ樹脂成分および第2バインダ樹脂成分が感光性樹脂組成物である請求項1または2記載のエレメント。
- 前記第1バインダ樹脂成分および第2バインダ樹脂成分が熱硬化性樹脂組成物である請求項1または2記載のエレメント。
- 以下の工程を含むプラズマディスプレイパネル隔壁の製造法:
(1)請求項1〜4のいずれか1項記載のエレメントを、基板上に、前記エレメントの第2層が前記基板に密着するように貼り付ける工程;
(2)前記エレメントの第1層と第2層を硬化させる工程;
(3)硬化した前記第1層と第2層の所定部分をサンドブラストにより切削してパターンを形成する工程;および
(4)得られた前記パターンを焼成する工程。 - 請求項5記載の製造法により製造されたプラズマディスプレイパネル隔壁。
- 背面板用基板と、前記背面板用基板上に形成されたプラズマディスプレイパネル隔壁とを有し、前記プラズマディスプレイパネル隔壁が請求項1〜4のいずれか1項記載のエレメントを用いて形成されたものであるプラズマディスプレイパネル用背面板。
- 請求項7記載のプラズマディスプレイパネル用背面板を有するプラズマディスプレイパネル。
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2002
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