JP2004148570A - 加硫スクラップゴムの再生方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】加硫スクラップゴムをロール温度が0〜100℃で、ロール間隙0.3mm以下の金属ロール間を通し、せん断応力を加えて可塑化することを特徴とする加硫スクラップゴムの再生方法。せん断応力を加えて可塑化した後、原料ゴムおよびワックス、加硫剤または加硫促進剤を添加して混練することもできる。
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、加硫スクラップゴムの再生方法に関する。更に詳しくは、未加硫新ゴムと混合してリサイクル可能な加硫スクラップゴムの再生方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
加硫スクラップゴムの再生法としては、オーブンスチーム法(パン法)、ダイジェスター法(蒸解法)、メカニカル法(機械法)、UHF加熱脱硫法等が従来から知られている。これらの方法では、脱硫缶、蒸解缶、リクレーメーター、スーパーミキサー、UHF加熱処理装置等が用いられるため、多大な設備投資が必要である。また、高温もしくは高圧条件下で処理するため、多大のエネルギー消費を必要とするばかりではなく、高温、高圧という作業から刺激臭があり、作業環境の改善を求める声も大きい。さらに、加硫スクラップゴムからの再生ゴムの製造工程の工程数が多く、時間を必要とするため、製造コストが未加硫新ゴムよりも高くなる場合が多い。
【0003】
実際に、廃タイヤや自動車用ウエザーストリップ等で用いられているスチレンブタジエンゴム、天然ゴム、EPDM等の加硫ゴムを再生しても、再生費用がゴム原料よりも高くなる場合が多いが、フッ素ゴムやアクリルゴムの場合には原料費が高く、再生費用が原料費を上回らなく、コスト低減の効果がある。しかし、フッ素ゴムやアクリルゴムは、一般的に機能部品や精密部品に主に使われ、耐熱性、耐油性などを必要とする厳しい環境下となるため、しゃく解剤やオイルを加えないで、もとの材料の組成に近い再生方法が必要となっている。
【0004】
これまでの技術では、加硫ゴムを可塑化、再生するには、しゃく解剤(分子を切断するように作用する化学的軟化剤)、オイル等の再生処理剤を用い、高温、高圧等の処理工程で行われるため刺激臭がある。また、得られた再生ゴムを未加硫新ゴム(原料ゴムに加硫剤、可塑剤等を配合したもの)に混合すると、しゃく解剤、オイル等が含有されているため、もとの材料に比べると物性の低下が見られ、またもとの材料とは違ったものになるため、これら再生ゴムを混合したゴム材料の使用用途が限定されることになる。さらに、加硫ゴムを可塑化、再生する対象は、廃タイヤのような硫黄加硫されたゴムの硫黄架橋結合を切断するものに限定され、その他の架橋(パーオキサイド架橋、ポリオール架橋など)には可塑化効果が少ない。
【0005】
メカニカル法(機械法)の中で、金属ロールに通すことがこれまで一般的に行われてきたが、ロール間隙が1mm程度であるため可塑化が進まなく、時間を要したり、可塑化が不十分の状態で終わる場合がある。また、加硫スクラップゴム単体をロールに通すだけでは、可塑化に時間を要したり、可塑化が進まない状態となる。そのため、オイルを配合して、可塑化を速めることは可能ではあるが、もとのゴム材料とは違う配合になる。特に、フッ素ゴムの場合には、上記しゃく解剤やオイルを配合しても可塑化再生の効果がなく、ゴムの物性低下がみられ、もとの材料とは異なったものとなる。
【0006】
ここでいう可塑化不十分な状態とは、再生ゴムを未加硫新ゴムに混合した場合に、再生ゴムと未加硫新ゴムとの粘度差が大きいために再生ゴムの分散が悪く、加硫成形ゴムの表面に再生ゴムの存在が目視で確認できる程度に外観悪化、物性低下が起きる状態を指している。
【0007】
加硫スクラップゴムを再生するより具体的な方法としては、次のような方法が提案されている。
【0008】
特開平7−258472号公報には、加硫スクラップゴム粉砕物に石油系プロセス油および素練り促進剤からなる再生処理剤を作用させることが記載されているが、プロセスオイルを多く配合しているため元の配合とは大きく異なり、また高温での雰囲気下ではオイルがガス化して、フッ素ゴムやアクリルゴムに求められる耐熱性が低下するようになる。
【0009】
特開平11−236464号公報には、加硫スクラップゴムに加熱とせん断力とを加えることにより再生処理を施す方法が記載されているが、加熱が180〜350℃で行われるためゴムの粘度が下がり、フッ素ゴムではせん断力が得られず、架橋点切断効果が低くなる。また、高温にしてせん断力を加えるために、多大のエネルギーを必要とするばかりではなく、再生処理中に異臭を放ち、作業環境や地域環境を悪化させる。
【0010】
さらに、特開平8−311106号公報には架橋分解剤の添加が、同8−337603号公報には再生剤の添加が、同9−227724号公報にはイオウ架橋切断分解剤の添加が、同11−209511号公報には活性基含有化合物の添加がそれぞれ記載されているが、これらの作用剤の添加では可塑化効果が乏しいばかりではなく、これらの作用剤が再生ゴム中に残留し、再生前のゴム材料とは同じ組成ではなくなり、未加硫新ゴムへの添加リサイクルを不可能なものとしている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、フッ素ゴム、アクリルゴム等の加硫スクラップゴムを未加硫新ゴムとの混合ゴムとして用いた場合にあっても、未加硫新ゴム単独使用の場合に匹敵する常態物性、耐熱性などを示し、また良好な分散性を示す混合ゴムを与え得る加硫スクラップゴムの再生方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
かかる本発明の目的は、加硫スクラップゴムをロール温度が0〜100℃で、ロール間隙0.3mm以下の金属ロール間を通し、せん断力を加えて可塑化する加硫スクラップゴムの再生方法によって達成される。
【0013】
【発明の実施の形態】
加硫スクラップゴムとしては、再生リサイクルがコスト的にも有効なフッ素ゴムやアクリルゴムが好んで用いられる。フッ素ゴムの加硫スクラップゴムとしては、ポリオール加硫、アミン加硫、パーオキサイド架橋したフッ素ゴムの加硫成形時のバリ、屑、成形不良品等が用いられる。また、アクリルゴムの加硫スクラップゴムとしては、一般にエポキシ基、カルボキシル基、活性ハロゲン基、水酸基、アミド基等の架橋性基を導入したアクリルゴムを加硫成形した際のバリ、屑、成形不良品等が用いられる。
【0014】
このような加硫スクラップゴムを再生させるフッ素ゴムとしては、フッ化ビニリデンまたはテトラフルオロエチレンと他の含フッ素オレフィンまたはオレフィンの少くとも一種との共重合ゴム等が用いられ、例えばフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロペン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロペン−テトラフルオロエチレン3元共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−プロピレン3元共重合体、フッ化ビニリデン−パーフルオロ(メチルビニルエーテル)共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−パーフルオロ(メチルビニルエーテル)3元共重合体、テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロ(メチルビニルエーテル)共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロ(メチルビニルエーテル)−エチレン3元共重合体等が挙げられる。これらの各種共重合ゴム中には、臭素および/またはヨウ素含有化合物、ニトリル基、グリシジル基、ヒドロキシアルキル基、パーフルオロフェニル基等の架橋性基を導入したものを用いることができる。
【0015】
また、加硫スクラップゴムを再生させるアクリルゴムとしては、炭素数1〜8のアルキル基を有するアルキルアクリレート、好ましくはメチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート等の少なくとも一種類の重合体またはこれに炭素数2〜8のアルコキシアルキル基を有するアルコキシアルキルアクリレート、好ましくはメトキシエチルアクリレート、エトキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート等を共重合させた共重合ゴムが用いられ、これらの共重合ゴム中には前述の如き架橋性基付与単量体が共重合されている。
【0016】
これらの加硫スクラップゴムは、ロール温度が0〜100℃、好ましくは5〜45℃の金属ロール間を通し、せん断力を加えることによって可塑化させる。ロール温度が低い程可塑化する迄の時間が短かく、粘度が低くなるので、好ましくは45℃以下に設定される。発熱が大きい場合には、ロールを水や液体窒素で強制冷却するか、直接ゴム表面を液体窒素に接触させ、冷却する方法が用いられる。
【0017】
ロール間隙については、小さい程可塑化する時間が短かく、粘度も低くなるので、0.3mm以下、好ましくは0.1mm以下に設定される。ロールに通す回数は、温度が低い程、またロール間隙が小さい程少なくなり、一般に約10〜1000回程度行われる。ロール通し回数が少ない状態では、再生ゴムがシートになり難く、未加硫新ゴムに混合する際、再生ゴムが細かく分散しない。そして、ロール通し回数を増す程可塑化が進み、シート状となって最終的にはロールに巻き付いて、未加硫新ゴムのように混練が可能となる。
【0018】
加硫スクラップゴムの可塑化に用いられる金属ロールとしては、ゴムの混練に一般的に用いられる2本ロールも使用可能であるが、処理できる量が少なかったり、再生に時間がかかり、また回転トルクがなくてロールが停止する場合があり、さらに金属ロール間が接触した場合には破損することもあって、本発明では再生効率をも考えて、例えば高周波焼き入れを施した表面硬度の高い高炭素クロム軸受鋼のドリルドロール構造を有する金属製2本ロールなどが好んで用いられる。
【0019】
再生ゴムは、加硫スクラップゴムをロール温度およびロール間隙を調整したこのような金属製2本ロール等に所定回数通した後、ロールに巻き付け、さらに2〜15分間程度切り返しながら混練することにより得られる。
【0020】
このようにして再生された加硫スクラップゴム(再生ゴム)は、未加硫新ゴム100重量部当り約5〜1000重量部、好ましくは約10〜500重量部の割合で混合して用いることができ、この場合には未加硫新ゴム単独使用の場合に匹敵する常態物性、耐熱性などを示し、また良好な分散性を示す混合ゴムを与える。
【0021】
このような混合ゴムの調整にあたり、加硫スクラップゴムをロールで可塑化させた後、原料ゴムおよびワックス、加硫剤、加硫促進剤等を添加して混練し、混合コンパウンドとすることが好ましい。これによって、再生ゴム単独よりも混合コンパウンドと未加硫新ゴムとの粘度差の方が小さくなるため、再生ゴムの未加硫新ゴムへの分散性向上および混練時間の短縮が図られる。この場合において、加硫スクラップゴムの可塑化を行う前に原料ゴムおよびワックス、加硫剤、加硫促進剤等を添加してロールで混練すると可塑化が不十分となり、未加硫新ゴムに添加した場合の再生ゴムの分散性が不十分となり好ましくない。ここで添加される原料ゴム、ワックス、加硫剤、加硫促進剤等は、好ましくは加硫スクラップゴムに含まれるものと同じものが用いられ、混合ゴムの調製に際しては、再生ゴムに添加されている原料ゴム、ワックス、加硫剤、加硫促進剤等を差し引いた組成が再生ゴムと同じ組成となるようにする。
【0022】
ワックスは、再生ゴムの可塑化効率向上、再生処理中の粘着防止などを目的として、未加硫新ゴム100重量部に対して約0.5〜10重量部程度添加されるものであり、好ましくは再生ゴム中に既に添加されている量だけ差し引いて添加される。具体的には、キャンデリラワックス、カルバナワックス、ライスワックス、モンタンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス、脂肪酸アミド、一般式(RCOO)nMで表わされる金属石けん等が用いられる。
【0023】
また、加硫剤としては、フッ素ゴムに対してビスフェノールAFによって代表されるポリオール、アミンまたは有機過酸化物などが、アクリルゴムに対してはそこに含まれる架橋性基に対応した加硫剤が、好ましくはそれぞれ再生ゴム中に既に添加されている量だけ差し引いて添加される。また、再生ゴムのロール通し回数、混練時間を増やすと、ポリマーの主鎖が切断されることにより、再生ゴムを添加したゴム物性が再生ゴムを含まないゴムと異なる場合がある。その場合には、未加硫新ゴムの加硫剤、促進剤添加量の増減で調整を行う。
【0024】
再生したゴムを未加硫新ゴムに添加する際には、インターミックス、ニーダ、バンバリーミキサ等の混練機またはオープンロールなどを用いて混練することにより行われ、それの加硫成形は射出成形機、圧縮成形機、加硫プレス等を用いて、一般には約150〜200℃で約3〜50分間程度加熱加圧成形することによって行われる。
【0025】
【発明の効果】
本発明方法により、次のような効果が得られる。
(1)加硫スクラップゴムを再生して得られたゴムは、再生ゴムを添加しないゴムに匹敵する常態物性、耐熱性などを示し、また良好な分散性を示す混合ゴムを与える。
(2)本発明方法は、高価なフッ素ゴムやアクリルゴムの加硫スクラップゴムに有効に適用できる。
(3)再生加工の際、未加硫新ゴム以外の成分を添加していないため、再生ゴムを添加しても、組成割合に変化はなく、同じ材料としてリサイクルすることができる。
(4)加硫スクラップゴムを元のゴム材料にリサイクルしているため、元のゴム材料のコストが低減できる。
(5)ロール間隙の小さい金属ロールを用い、低温で再生しているため可塑化効果が大きく、元のゴム材料への添加量を多くすることができる。
(6)再生したゴムを別の用途にリサイクルする場合には、製造工程で発生した加硫スクラップゴム排出量とその用途への再生ゴムの使用量が一致しないと廃却量をゼロにすることはできないが、本発明では元の材料に再生されるため、製造工程で発生した加硫スクラップゴムの廃却量をゼロにすることができる。
(7)未加硫新ゴムに含まれる原料ゴム、ワックス、加硫剤、加硫促進剤等と同じ原料成分を、加硫スクラップゴム再生の際に加える場合には、混合コンパウンドと未加硫新ゴムとの粘度差が小さくなり、分散が容易となるため、加硫成形物の物性低下がなく、加硫成形物のゴム表面も再生ゴムを添加しなかった加硫成形物のそれと大差はみられない。
(8)架橋したゴムを元のゴムにリサイクルするには架橋点を切断し、架橋前の元のゴムに戻すことが理想であるが、すべての架橋点を切断するには多大のエネルギーおよび労力を必要とし、元のゴムよりもコストが高くなってしまうが、本発明に係る再生方法では、再生ゴムを元のゴムに添加、混合後、加工性、成形性、物性などに支障がない程度に架橋点を一部切断することに特徴があり、再生ゴムの粘度を下げる未加硫新ゴム、ワックス、加硫剤、加硫促進剤等の添加により、さらに効率良く架橋点が切断され、元の未加硫新ゴムとの粘度差が縮まることにより、再生ゴムの分散が進み易いところにも特徴がある。
(9)しゃく解剤、オイル等を加えず、低温で再生しているため、再生中および再生ゴムに刺激臭の発生がみられない。
【0026】
【実施例】
次に、実施例について本発明を説明する。ここで、原料ゴムとはゴム単体であり、この原料ゴムに加硫剤や可塑剤等を添加した配合物が未加硫新ゴムであり、これを加硫したものが加硫スクラップゴムであり、これをロールで可塑化したものが再生ゴムであり、再生ゴムに原料ゴムやワックス、加硫剤、加硫促進剤等を添加して混練したものが混合コンパウンドである。
【0027】
実施例1
【0028】
以上の各成分を、3Lニーダーおよび2本ロールを用いて混練し、混練物について170℃、10分間のプレス加硫を行って、厚さ2mmのシートを作成し、このシートを加硫スクラップゴムとした。
【0029】
この加硫スクラップゴムを、ロール間隙0.05mm、フロントロール回転数20rpm、バックロール回転数16rpm、ロール温度40℃に調整した金属ロールに30回通した後、ロールに巻き付け、さらに5分間切り返しながら混練し、再生ゴムとした。ここで使用した金属ロールは直径255mm、長さ500mmで、回転数8〜32rpm、駆動モーターの出力30kw、高周波焼き入れを施した表面硬度90度の高炭素クロム軸受鋼のドリルドロール構造を有する金属製2本ロールである。
【0030】
ロールにより可塑化再生されたゴムの可塑化の程度を評価するために、東洋精機製品レオメーターODR−100型(180℃)の最低トルク値を測定すると、上記ロールを30回通し、5分間混練した再生ゴムの最低トルク値は40kgf・cmであるのに対し、同様に上記加硫スクラップゴムを10回ロールを通した再生ゴムの最低トルク値は100kgf・cm以上と測定不能であり、上記方法の再生ゴムが可塑化されたことが分かる。
【0031】
この再生ゴムが、未加硫新ゴムに次のように添加して用いられた。
【0032】
以上の各成分について、前記と同様にニーダおよび2本ロールを用いて混練した後プレス加硫を行ない、オーブンによる二次加硫を230℃で22時間を行った。
【0033】
実施例2
【0034】
以上の各成分を、3Lニーダーおよび2本ロールを用いて混練し、混練物について170℃、10分間のプレス加硫を行って、厚さ2mmのシートを作成し、このシートを加硫スクラップゴムとした。
【0035】
この加硫スクラップゴム130重量部を、ロール間隙0.05mm、フロントロール回転数20rpm、バックロール回転数16rpm、ロール温度40℃に調整した金属ロールに30回通した後、ロールに巻き付け、さらに5分間切り返しながら混練し、再生ゴムとした。その後、上記原料フッ素ゴム(バイトンA500)20重量部を加えてロールに巻き付け、さらに3分間切り返しながら混練し、混合コンパウンドとした。
【0036】
この混合コンパウンドが、未加硫新ゴムに次のように添加して用いられた。
合計 180 〃
【0037】
以上の各成分について、前記と同様に混練およびプレス加硫を行ない、オーブンによる二次加硫を230℃で22時間を行った。
【0038】
上記再生ゴム57.7重量部の内、原料フッ素ゴムは7.7重量部であり、また上記合計180重量部の内、再生ゴムは50重量部、未加硫新ゴムは、130重量部という内訳となり、組成上は再生ゴムを含まないフッ素ゴムと同じものとなる。
【0039】
実施例3
【0040】
以上の各成分について、実施例1と同様に混練およびプレス加硫を行って、厚さ2mmのシートを作成し、このシートを加硫スクラップゴムとした。
【0041】
この加硫スクラップゴム123.5重量部を、実施例1と同様に金属ロールに30回通した後、ロールに巻き付け、さらに5分間切り返しながら混練し、再生ゴムとした。その後、上記原料フッ素ゴム(バイトンGLT)20重量部を加えてロールに巻き付け、さらに3分間切り返しながら混練し、混合コンパウンドとした。
【0042】
この混合コンパウンドが、未加硫新ゴムに次のように添加して用いられた。
【0043】
以上の各成分について、前記と同様に混練、プレス加硫および二次加硫を行なった。
【0044】
実施例4
【0045】
以上の各成分について、実施例1と同様に混練およびプレス加硫を行って、厚さ2mmのシートを作成し、このシートを加硫スクラップゴムとした。
【0046】
この加硫スクラップゴム130重量部を、ロール間隙0.05mm、フロントロール回転数20rpm、バックロール回転数16rpm、ロール温度40℃に調整した金属ロールに30回通した後、ロールに巻き付け、さらに5分間切り返しながら混練し、再生ゴムとした。その後、上記炭化水素系ワックス5.2重量部を加えてロールに巻き付け、さらに3分間切り返しながら混練し、混合コンパウンドとした。
【0047】
この混合コンパウンドが、未加硫新ゴムに次のように添加して用いられた。
【0048】
以上の各成分について、前記と同様に混練、プレス加硫および二次加硫を行った。
【0049】
実施例5
【0050】
以上の各成分について、実施例1と同様に混練およびプレス加硫を行って、厚さ2mmのシートを作成し、このシートを加硫スクラップゴムとした。
【0051】
この加硫スクラップゴム130重量部を、ロール間隙0.05mm、フロントロール回転数20rpm、バックロール回転数16rpm、ロール温度40℃に調整した金属ロールに30回通した後、ロールに巻き付け、さらに5分間切り返しながら混練し、再生ゴムとした。その後、ステアリン酸ナトリウム2.6重量部を加えてロールに巻き付け、さらに3分間切り返しながら混練し、混合コンパウンドとした。
【0052】
この混合コンパウンドが、未加硫新ゴムに次のように添加して用いられた。
【0053】
以上の各成分について、前記と同様に混練、プレス加硫および二次加硫を行った。
【0054】
実施例6
実施例1と同様にして得られた加硫スクラップゴム130重量部を、ロール間隙0.05mm、フロントロール回転数20rpm、バックロール回転数16rpm、ロール温度40℃に調整した金属ロールに30回通した後、ロールに巻き付け、さらに5分間切り返しながら混練し、再生ゴムとした。その後、上記原料フッ素ゴム(バイトンA500)20重量部を加えてロールに巻き付け、さらに3分間切り返しながら混練し、混合コンパウンドとした。
【0055】
この混合コンパウンドが、未加硫新ゴムに次のように添加して用いられた。
【0056】
以上の各成分について、前記と同様に混練、プレス加硫および二次加硫を行った。
【0057】
実施例7
実施例1と同様にして得られた加硫スクラップゴム100重量部を、ロール間隙0.05mm、フロントロール回転数20rpm、バックロール回転数16rpm、ロール温度40℃に調整した金属ロールに30回通した後ロールに巻き付け、液体窒素50重量部を加え、5分間切り返しながら混練し、再生ゴムとした。
【0058】
この再生ゴムを用い、実施例1と同様に原料ゴムおよびその他の配分成分を添加し、混練、加硫および二次加硫を行った。
【0059】
実施例8
【0060】以上の各成分を、実施例1と同様に混練し、210℃、5分間のプレス加硫を行って、厚さ2mmのシートを作成し、このシートを加硫スクラップゴムとした。
【0061】
この加硫スクラップゴムを、実施例1と同様にロール間隙0.05mm、フロントロール回転数20rpm、バックロール回転数16rpm、ロール温度40℃に調整した金属ロールに30回通した後、ロールに巻き付け、さらに5分間切り返しながら混練し、再生ゴムとした。
【0062】
ロールにより可塑化再生されたゴムの可塑化の程度を評価するために、レオメーターODR(180℃)の最低トルク値を測定すると、上記ロールを30回通し、5分間混練した再生ゴムの最低トルク値は10kgf・cmであるのに対し、同様に上記加硫スクラップゴムを10回ロールを通した再生ゴムの最低トルク値は100kgf・cm以上と測定不能であり、上記方法の再生ゴムが可塑化されたことが分かる。
【0063】
この再生ゴムが、未加硫新ゴムに次のように添加して用いられた。
【0064】
以上の各成分を、前記と同様に混練し、プレス加硫後、オーブンによる二次加硫150℃で15時間行った。
【0065】
参考例1
【0066】
再生ゴムを含まない以上の各成分を、実施例1と同様に混練およびプレス加硫を行って、厚さ2mmのシートを作成し、オーブンによる二次加硫を230℃で22時間行った。
【0067】
参考例2
【0068】
再生ゴムを含まない以上各成分を、実施例1と同様に混練し、210℃、5分間のプレス加硫を行って、厚さ2mmのシートを作成し、オーブンによる二次加硫150℃で15時間行った。
【0069】
比較例1
実施例1の再生ゴム製造時に、ロール温度を120℃とした。このとき、再生ゴムのレオメーターODR最低トルク値は100kgf・cm以上であり、測定不能であった。
【0070】
比較例2
実施例1と同様にして得られた加硫スクラップゴム130重量部を、ロール間隙0.05mm、フロントロール回転数20rpm、バックロール回転数16rpm、ロール温度40℃に調整した金属ロールに30回通した後、ナフテン系プロセスオイル15重量部を加えてロールに巻き付け、さらに5分間切り返しながら混練し、再生ゴムとした。
【0071】
この再生ゴムが、未加硫新ゴムに次のように添加して用いられた。
【0072】
以上の各成分について、前記と同様に混練、プレス加硫および二次加硫を行った。
【0073】
比較例3
実施例1と同様にして得られた加硫スクラップゴムを、スクリュ径30mm、スクリュ長さ1200mmの2軸押出機に投入し、温度300℃、スクリュ回転数400rpm条件で処理して、再生ゴムとした。このとき、再生ゴムのレオメーターODR最低トルク値は100kgf・cm以上であり、測定不能であった。
【0074】
この再生ゴムが、未加硫新ゴムに次のように添加して用いられた。
【0075】
以上の各成分について、前記と同様に混練、プレス加硫および二次加硫を行った。
【0076】
以上の各実施例、参考例および比較例について、次の各項目の測定を行った。最低トルク値:再生ゴムの可塑化の程度を評価するため、再生ゴムのレオメーターODR−100型(180℃)の最低トルク値を測定
常態物性:未加硫新ゴムに再生ゴムまたは混合コンパウンドを添加したゴム加硫シートについて、JIS K−6251、6253に準拠して、硬度、引張強さおよび伸びを測定
耐熱試験:未加硫新ゴムに再生ゴムまたは混合コンパウンドを添加したゴム加硫シートについて加熱を行ない、常態物性値変化および圧縮永久歪を測定(フッ素ゴムの加熱条件:引張試験230℃、22時間、圧縮永久歪175℃、22時間。アクリルゴムの加熱条件:引張試験150℃、70時間、圧縮永久歪150℃、22時間)
分散性:未加硫新ゴムに再生ゴムまたは混合コンパウンドを添加したゴム加硫シートの表面に100μm以上の斑点が存在する程度を観察し、〇:斑点なし、△:少し斑点がある、×:多数斑点がみられるの3段階で評価
【0077】
得られた結果は、次の表1〜2に示される。
Claims (5)
- 加硫スクラップゴムをロール温度が0〜100℃で、ロール間隙0.3mm以下の金属ロール間を通し、せん断応力を加えて可塑化することを特徴とする加硫スクラップゴムの再生方法。
- 加硫スクラップゴムをロール温度が0〜100℃で、ロール間隙0.3mm以下の金属ロール間を通し、せん断応力を加えて可塑化した後、原料ゴムおよびワックス、加硫剤または加硫促進剤を添加して混練することを特徴とする加硫スクラップゴムの再生方法。
- 加硫スクラップゴムがフッ素ゴムまたはアクリルゴムのスクラップゴムである請求項1または2記載の加硫スクラップゴムの再生方法。
- せん断応力を加えて可塑化する際、液体窒素を加硫スクラップゴムの表面に接触させ、低温での可塑化が行われる請求項1または2記載の加硫スクラップゴムの再生方法。
- 請求項1または2記載の方法で再生された加硫スクラップゴムを、未加硫新ゴム100重量部当り5〜1000重量部の割合で混合したゴム組成物。
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