JP2004148198A - 超微細インクジェット印刷用ノズルおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ノズル内部の穴径は、基部の管内径より、ノズル先端の開口径まで、徐々に細くなる内壁面構造を有し、かつ、内壁面と同一の中心軸を有する、尖頭状の外形形状を示す外面構造を有しており、ノズル先端の開口径は、ナノ粒子ペースト中に含有されるナノ粒子平均粒子径に応じて、10nm〜10,000nmの範囲に選択した上で、集束イオンビーム法を用いて、前記形状に堆積加工された気相堆積材料で一体構成されている超微細インクジェット印刷用ノズルを作製する。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、超微細インクジェット印刷用ノズルおよびその作製方法に関し、より具体的には、平均粒子径がナノメートル・スケールである、金属ナノ粒子あるいは金属酸化物ナノ粒子を含むペースト状材料を利用して、超微細な塗布膜パターンをインクジェット印刷法によって描画する際に利用される、超微細な開口径を有するインクジェット印刷用ノズル、ならびに、その作製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
平均粒子径がナノメートル・スケールである、金属ナノ粒子あるいは金属酸化物ナノ粒子を高い再現性で作製する技術が開発され、かかるナノ粒子は種々の分野における利用が検討されている。例えば、金属ナノ粒子に関しては、配線材料、磁気材料、センサ材料、触媒などにおいて、従来のサブミクロン径の金属微粒子では達成されない機能の開発が進められ、また、金属酸化物ナノ粒子に関しても、研磨剤、セラミックス原料、磁気材料、センサ材料、燃料電池材料、触媒、化粧品材料などの分野において、ナノ粒子に特徴のある用途開発の研究が展開されている。
【0003】
例えば、金属ナノ粒子あるいは金属酸化物ナノ粒子を分散媒体中に均一に分散したペースト状材料を利用して、塗布膜パターンを形成すると、従来のサブミクロン径の微粒子を利用する塗布膜パターンと比較して、その最小パターン精度、例えば、最小線幅のバラツキなどの精度は格段に高くできる。この超微細な塗布膜パターン形成能を利用して、導電性ナノ粒子ペーストを利用する超微細な回路パターン形成への利用が検討されている。具体的には、近年、電子機器、電気機器、および情報端末機器などが小型軽量化に向かうにつれ、これらに使用される電子部品の小型化に併せて、それを実装する回路基板のダウン・サイジングが求められている。つまり、回路基板上に形成される配線幅および配線間スペースは、従来以上に狭く、かつ、その描画精度を高くすることが要望されている。
【0004】
この技術的動向に沿って、微細な回路配線パターンの形成を目標とする数々の配線形成方法が提案されている。その中でも、導電性のナノ粒子、例えば、金属ナノ粒子を分散媒体中に均一に分散したペースト状材料を、スクリーン印刷法ではなく、直接スポット状に噴出・塗布して、目的とする塗布膜パターンを基板上に形成するインクジェット方式による描画方法が注目されている。スクリーン印刷法には勿論、このインクジェット方式による描画にも適し、また、所望の電気伝導性を示す回路配線形成を可能とする導電性ナノ粒子ペーストは、既に開発されており、一部、市販もされている(例えば、ハリマ化成(株)製ナノペースト)。
【0005】
インクジェット方式による描画によって、高い描画精度の超微細な回路配線形成を達成する上では、用いる導電性ナノ粒子ペーストの品質、例えば、ナノ粒子の粒子径均一性、塗布性能を十分に発揮できる、高い噴出・塗布量の制御性、再現性を具えたインクジェット描画装置が不可欠である。具体的には、インクジェット方式により、導電性ナノ粒子ペーストを微細なスポットとして塗布する上では、その噴出・塗布に利用するノズル先端部の開口径、ノズル形状が重要である。
【0006】
現段階でも、分散媒質として、導電性ナノ粒子を含むペーストの塗布が可能な、微細な開口径を有するインクジェット印刷用ノズルとして、例えば、ガラスを微細加工して、先端口径を細くしたノズルなどはあるものの、その先端開口径の加工精度、再現性は必ずしも高くなく、高い噴出・塗布量の制御性、再現性を有する超微細インクジェット印刷用ノズルを量産する上での技術的な制約となっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
インクジェット方式により、各種のナノ粒子ペーストを微細なスポットとして塗布する際、噴出・塗布量の制御性、再現性を達成する上では、噴出圧、ならびにナノ粒子ペーストの有する性状、例えば、液粘度、分散媒質であるナノ粒子の平均粒子径、分散密度に応じて、ノズル先端部の開口径、ノズル形状を調整する必要がある。従って、超微細インクジェット印刷用ノズル先端部の開口径、ノズル形状を任意に設計した上、その作製を可能とすることが必要となる。すなわち、各種のナノ粒子ペーストは、上述するように、様々な分野における応用が検討されており、その際、利用される塗布膜性状も種々であり、それぞれの用途に応じて、超微細インクジェット印刷用ノズル先端部の開口径、ノズル形状も多様なものとなる。特に、前記の多様な用途分野での、ナノ粒子ペーストの利用拡大を図る上では、目的に適合する先端部の開口径、ノズル形状を有する超微細インクジェット印刷用ノズルを高い精度で、かつ、再現性よく作製することが必要となる。加えて、高い再現性で作製が可能となると、同一規格の超微細インクジェット印刷用ノズルを高歩留まりで、量産化を図ることも可能となり、多様な用途分野での、ナノ粒子ペーストの利用拡大を更に促進することに貢献する。
【0008】
本発明は前記の課題を解決するもので、本発明の目的は、ノズル先端部の開口径、ノズル形状が、各種のナノ粒子ペーストを微細なスポットとして塗布するに適合する設計が可能であり、かつ、高い形状精度で、かつ、再現性よく作製することが可能な超微細インクジェット印刷用ノズルとその作製方法を提供することにある。より具体的には、ノズル先端に向かって、内部の穴径が徐々に細くなる、尖頭状の外形形状を示す、ノズル先端部の開口径とノズル形状を、高い形状精度で、かつ、再現性よく作製することが可能な超微細インクジェット印刷用ノズルとその作製方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討、研究を進めたところ、ナノ粒子ペーストを利用するインクジェット法による微細なパターン描画用のインクジェット装置の量産化を図る際には、例えば、ナノ粒子ペーストの供給部は共通構造とした上で、印刷用ノズル部と付随する液導入管部を、個々のナノ粒子ペーストに適合する形状に設計し、共通構造の供給部本体と組み合わせる装置構成が有効という着想が得られた。その際、印刷用ノズル部は、付随する液導入管部の先端に付設する形態で作製したものとされる。なお、ノズル先端の開口径は、ナノ粒子ペーストの性状、目標の噴出液滴量に応じて、10nm〜10,000nmの範囲に選択され、併せて、ノズル先端に向かって、内部の穴径が徐々に細くなる内壁面と、適正な機械的強度を与える肉厚を持つ、尖頭状外形形状の微細な三次元構造に加工する必要がある。
【0010】
本発明者らは、前記の内部に空孔部を有する、尖頭状外形形状の微細な三次元加工を可能とする、三次元の超微細加工技術を探索したところ、半導体製造プロセスにおける、三次元の超微細加工を目的として開発された技術を転用できる可能性があることを見出した。特に、目標とする加工精度は、ノズル先端の開口径は、10nm〜10,000nmの範囲に選択され、対応するノズル部の肉厚も同程度のナノスケールの制御性が要求される点を考慮すると、解像度、制御性に優れている、集束イオンビーム法と電子ビーム法がその有力な候補となることを見出した。さらに、両者の比較を行ったところ、電子ビーム法では、利用する電子ビームは、集束イオンビームと比較して、物質透過性が格段に高いという特徴があるが、例えば、対応するノズル部の肉厚がナノスケールの範囲であるため、その高い物質透過性が災いして、内壁面側の加工を行う際、微細な壁内を貫通して、外壁面まで達する懸念があり、本発明の目的には、合致しない場合があると判断した。加えて、集束イオンビーム法と電子ビーム法では、それぞれ、極めて微細なビーム径で、加速荷電粒子を照射し、その加速エネルギーを利用して、局所的に加熱するとともに、該照射部位表面より放出される二次電子によって、気相から供給するガス状原料を表面で分解することで、微細な堆積相を形成する原理は同じであるものの、その加速エネルギーの相違、放出される二次電子の生成効率など、その利用効率の違いに起因して、堆積層の形成速度に大きな違いを有している。超微細インクジェット印刷用ノズルは、ノズル先端の開口径は、上記のように極めて微細であるが、それと連結される液導入管部の口径は格段に大きく、全体の堆積加工量は相当に多くなり、堆積層の形成速度に優る集束イオンビーム法を採用することが、より好ましいと判断した。
【0011】
以上の検討結果に基づき、本発明者らは、超微細インクジェット印刷用ノズルと連結される液導入管部の部材として、例えば、微細な管径を有する微細ガラス管など、非導電性材料の微細管端面上に、集束イオンビーム法を利用して、目的とする三次元形状を有し、かつ、適正な機械的強度を具える、ノズル先端を堆積形成することが可能であり、また、得られたノズル先端は、ナノ粒子ペーストを利用するインクジェット法による微細なパターン描画用の超微細インクジェット印刷用ノズルに要求される、形状精度、加工再現性、機械的耐久強度などの要請を十分に満足することを確認し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明にかかる超微細インクジェット印刷用ノズルは、
ナノ粒子ペーストを利用するインクジェット法による微細なパターン描画用の超微細インクジェット印刷用ノズルであって、
該ノズル基部は、ナノ粒子ペースト液導入管部の末端端面に連結され、
該ノズル内部の穴径は、前記基部の管内径より、ノズル先端の開口径まで、徐々に細くなる内壁面構造を有し、かつ、内壁面と同一の中心軸を有する、尖頭状の外形形状を示す外面構造を有しており、
前記ノズル先端の開口径は、前記ナノ粒子ペースト中に含有されるナノ粒子平均粒子径に応じて、10nm〜10,000nmの範囲に選択され、
集束イオンビーム法を用いて、前記形状に堆積加工された気相堆積材料で一体構成されていることを特徴とする超微細インクジェット印刷用ノズルである。なお、該ノズルを構成する気相堆積材料としては、アモルファス構造のカーボン、あるいは、アモルファス構造のシリコンは、好適に採用することができる。また、該気相堆積材料の堆積加工を行う前記集束イオンビーム法は、集束イオンとして、ガリウムの陽イオンを用いることが好ましい。
【0013】
また、本発明は、上述する本発明にかかる超微細インクジェット印刷用ノズルを作製する方法の発明をも、併せて提供しており、すなわち、本発明にかかる超微細インクジェット印刷用ノズルの製造方法は、
ナノ粒子ペーストを利用するインクジェット法による微細なパターン描画用の超微細インクジェット印刷用ノズルを製造する方法であって、
前記ノズルは、
該ノズル基部は、ナノ粒子ペースト液導入管部の末端端面に連結され、
該ノズル内部の穴径は、前記基部の管内径より、ノズル先端の開口径まで、徐々に細くなる内壁面構造を有し、かつ、内壁面と同一の中心軸を有する、尖頭状の外形形状を示す外面構造を有しており、
前記ノズル先端の開口径は、前記ナノ粒子ペースト中に含有されるナノ粒子平均粒子径に応じて、10nm〜10,000nmの範囲に選択され、
集束イオンビーム法を用いて、前記形状に堆積加工された気相堆積材料で一体構成されているものであり、
前記集束イオンビーム法を用いる前記形状に堆積加工する工程では、
前記液導入管部の末端端面上を起点面として、堆積を開始し、
前記ノズル形状に従って、集束イオンビームの照射スポット位置を目標とする内壁面と外面位置間の同心環状部位表面を所定の周期で走査しつつ、ノズル基部よりノズル先端へと層状に壁面を構成する堆積材料の堆積加工を行い、
前記液導入管部の末端端面上に、層状に堆積加工された気相堆積材料で一体構成されるノズルを作製することを特徴とする超微細インクジェット印刷用ノズルの製造方法である。その際、該ノズルを構成する気相堆積材料として、アモルファス構造のカーボン、あるいは、アモルファス構造のシリコンは、好適に採用することができる。また、該気相堆積材料の堆積加工を行う前記集束イオンビーム法は、集束イオンとして、ガリウムの陽イオンを用いることが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明は、集束イオンビーム法を用いた化学的気相成長法の有する、三次元ナノ構造体の作製における高い形状制御性、また、高い再現性を利用することで、ノズル先端の開口径が10nm〜10,000nmの範囲、なかでも、10nm〜1000nmの範囲の極めて小さな開口径に選択される超微細インクジェット印刷用ノズルを、その設計された形状通りに、また、高い再現性で作製することを可能としたものである。
【0015】
本発明の超微細インクジェット印刷用ノズルは、ナノ粒子ペーストを利用するインクジェット法による微細なパターン描画用のインクジェット描画装置に専ら使用されるものであり、対象とするナノ粒子ペーストペースト中に含有されるナノ粒子平均粒子径に応じて、また、描画される微細なパターンの最小パターン・サイズを考慮した上で、そのノズル先端の開口径を、10nm〜10,000nmの範囲で適宜選択される。また、かかる微細な開口径を有するノズル・チップは、ナノ粒子ペースト液導入管部の末端端面に連結される形状とされる。具体的には、該ペースト液導入管部の内径は、ノズル先端の開口径と比較して、大きくされており、液導入管部の末端端面と連結されるノズル基部の管内径は、通常、該ペースト液導入管部の内径と一致させることが望ましい。従って、ノズル内部の穴径は、前記基部の管内径より、ノズル先端の開口径まで、徐々に細くなるテーパー状の内壁面構造を有するものとする。また、ノズルの壁面層の厚さ(肉厚)は、一般に、径方向では均一にするため、その断面形状は、内壁面と外面とは同心円の形態とされる。加えて、ノズル先端の開口から基部の穴まで、同一の中心軸を有する回転対称性を有する内壁面構造と外面構造を持つ、尖頭状の外形形状を示すノズル・チップに設計する。場合によっては、ノズル内部の穴径は、前記基部の管内径より、ノズル先端の開口径まで、複数段でステップ状に細くなる形態とし、ノズル先端の最終段では、開口径と同じ穴径の直管形状とすることもできる。
【0016】
そのノズルの壁面層の厚さ(肉厚)は、通常、ノズル基部では、連結される液導入管部の末端における導入管の管肉厚を超えない範囲に選択することが望ましい。そして、ノズルの先端に進むにつれて、壁面層の厚さ(肉厚)を徐々に薄くする形態としてもよく、また、ノズル全体で、壁面層の厚さ(肉厚)は一定とする形態を選択することも可能である。なお、ノズルの先端に進むにつれて、壁面層の厚さ(肉厚)を徐々に薄くする形態を選択する場合には、その最も壁面層の厚さ(肉厚)が薄くなる先端部においても、ノズルに要求される機械的強度を満足するように、ノズルを構成する材料に応じて、その厚さ(肉厚)を適宜選択する。
【0017】
後に説明する集束イオンビーム法を用いた化学的気相成長法を利用することで、壁面層の厚さ(肉厚)は、連結される液導入管部の末端における導入管の管肉厚を超えない範囲で、高い自由度と、制御性で、設計値に従って作製されたものとできる。すなわち、例えば、ガラス管を加熱溶融し、キャピラリー加工する際のように、徐々に細くなるテーパー加工に付随して、壁面層の厚さ(肉厚)を薄くする形態ではなく、逆に、内部の穴径は徐々に細くなるテーパー加工されるものの、壁面層の厚さ(肉厚)は逆に、徐々に太くなって、外形形状は、極僅かに細くなるに留まる結果、ノズルの先端部の機械的強度を高めた構造に設計することもできる。
【0018】
本発明の超微細インクジェット印刷用ノズルでは、塗布する対象のナノ粒子ペースト液として、平均粒子径1〜1000nm、望ましくは平均粒子径1〜100nmの金属ナノ粒子、例えば、該金属元素として、金、銀、銅、白金、パラジウム、ニッケル、アルミニウムなどの金属単体、あるいは、それらの合金からなる金属ナノ粒子、ならびに、平均粒子径1〜1000nm、望ましくは平均粒子径1〜100nmの金属酸化物ナノ粒子、例えば、該金属酸化物を構成する金属元素として、銅、錫、タングステン、チタンなどの単一種の金属を含む酸化物、あるいは、二種以上の金属元素を含む複合酸化物からなる金属酸化物ナノ粒子を含む分散液が利用される。かかる微細なナノ粒子を固体分散媒質として含有する分散液を、その液粘度を1〜300Pa・s(25℃)の範囲に調製されたペースト状として、先端開口径と液粘度に応じて、噴出圧1〜100Paにて噴射する。ノズル内壁面は、噴射を行う際、該固体分散媒質と接触するので、一定以上の磨耗耐性を有する材料で作製することが望ましい。また、噴射に伴う、噴出圧を印加された状態に長期に曝される際、弾性変形が生じることのない、一定以上の高いヤング率を有する材料で作製することが望ましい。すなわち、ノズルの構成材料としては、かかる硬度、磨耗特性、弾性変形に対する機械的強度などの要件を考慮すると、各種金属のうち、硬度、磨耗特性、機械的強度の要件を十分に満足する、タングステンなどの金属材料が好適に利用でき、あるいは、高い硬度、磨耗特性、機械的強度を示す、シリコンやカーボンといった素材、例えば、アモルファス構造のカーボン、アモルファス構造のシリコンなどを用いることもできる。
【0019】
本発明の超微細インクジェット印刷用ノズルは、その作製に集束イオンビーム法を用いた化学的気相成長法を利用することに伴い、前記の利用可能な金属材料、シリコンやカーボンといった非金属素材のうち、該気相成長法による堆積が簡単である、金属カルボニル化合物、W(CO)6などの原料ガスによる、タングステンなどの金属材料、あるいは、炭素源の原料ガスとして、多環芳香族化合物、フェナントレンなどを利用するアモルファス構造のカーボン、ならびに、シリコン源の原料ガスとして、シランなどの水素化ケイ素類、二塩化シランなどのハロゲン化シラン類、シロキサン類を利用するアモルファス構造のシリコンを利用して作製するとより好ましい。その際、例えば、最も壁面層の厚さ(肉厚)が薄くなる先端部においても、ノズルに要求される機械的強度を満足するように、その最小厚さ(肉厚)を、100nm以上に選択することが望ましい。
【0020】
次に、本発明において、超微細インクジェット印刷用ノズルの作製に利用される、集束イオンビーム法を用いた化学的気相成長について概説する。
【0021】
半導体製造技術プロセスの研究開発が進展していく中で、二次元の超微細加工技術は、目覚しい発展を見せており、例えば、電子ビーム、集束イオンビームなどを露光手段に用いることで、10nmスケールのリソグラフィーが可能となっている。かかる10nmスケールのリソグラフィー技術は、超微細ゲートMOSデバイス、単電子トランジスタなど、10nmレベルの量子効果デバイス作製へと応用展開されている。さらに、微細な領域、すなわち、10nm以下、例えば、原子、分子、DNAレベルでの操作も、原子サイズの検出が可能な走査型トンネル顕微鏡を利用し、その探知プローブを利用し、個々の原子を移動する手法が開発され、達成されつつある。このように、二次元での超微細加工技術は、10nm以下の範囲においても、ほぼ確立されている。
【0022】
これら二次元での超微細加工に加えて、三次元においても、同様な超微細加工が可能となると、さらに、多機能化、高性能化が期待されている。三次元の微細加工手段として、これまで、集束イオンビーム法、電子ビーム法、レーザー光造形法、半導体微細加工技術の四種類の手法が提案されている。そのうち、半導体微細加工技術は、上記の二次元の超微細加工技術を応用し、複数種のプロセス工程を組み合わせて、一定の範囲では、三次元構造体作成を可能とするものの、任意な立体構造形成に適用することが困難である。また、レーザー光造形法は、例えば、光で誘起される、有機高分子の液相重合反応を利用して、目的とする三次元形状の有機高分子重合物を形成する方法であるが、利用できる材料は、かかる光誘起反応が可能なものに限定される。加えて、レーザー光を利用していることに起因して、その干渉現象に付随し、位置的解像度は、用いるレーザー光波長に依存して低いものとなる。一方、集束イオンビーム法と電子ビーム法は、その位置的解像度、制御性は、利用する荷電粒子線のビーム径、走査特性に依存しており、レーザー光造形法より格段に優れている。
【0023】
より具体的には、集束イオンビーム法、電子ビーム法による化学的気相成長法では、基板などの構造体表面に、加速した荷電粒子線ビームを照射し、気相から供給され、表面に吸着した原料ガス分子を、前記荷電粒子による衝撃に伴い放出される二次電子を利用して分解し、堆積を行うことを原理としている。従って、前記二次電子の放出部分に選択的に堆積が進行し、荷電粒子線ビームの照射スポットを移動するにつれ、全体として、三次元構造の堆積体形成を達成することが可能である。但し、利用する荷電粒子は、集束イオンビーム法では、原子イオンであるが、電子ビーム法では、電子であるため、電子自体の物質透過力は、原子イオンより格段に強く、例えば、二次電子の放出は、その電子ビームの飛行軌跡上の広い範囲に及ぶ。すなわち、薄い壁面であれば、電子ビームが直接照射される表面に加えて、裏面まで透過した電子に起因して、不要な部位でも、二次電子の放出と、堆積の進行が起こることもある。加えて、一般的に、ビーム電流当たりの二次電子の放出効率は、集束イオンビーム法と比較して、電子ビーム法は相当に劣り、その結果、堆積物形成速度も低くなる。以上の点を考慮すると、ノズル形状のように、長さに比較して、肉厚の薄い部分を有する三次元構造体の形成方法としては、集束イオンビーム法が最も好ましい。
【0024】
この集束イオンビーム法に使用する原子イオンとしては、その特徴である、低い物質透過力、高い集束特性、大きな加速エネルギーの特色を発揮可能なものが好適であり、通常、ガリウム、ゲルマニウム、ケイ素、アルミニウム、インジウム、セリウム、金、銀などのイオンが用いられる。これらの元素が、原子量が比較的に大きく、一方、加熱により原子の蒸散が可能であり、かつ、イオン化で得られる陽イオン種として、一価の陽イオン種が安定して得られるため、集束イオンビーム法に汎用されるものである。その中でも、本発明が目的とする精度の高い加工には、ガリウム、ゲルマニウム、ケイ素のイオンを利用することが好ましい。また、集束イオンビームに用いる各イオン種の加速エネルギーは、その集束特性と、二次電子の放出効率に影響を持つ、5〜100keVの範囲に設定することが好ましい。
【0025】
この集束イオンビーム法による化学的気相成長法を、三次元ナノ構造体の作製手段に利用して、本発明者の一人と、その共同研究者らは、ナノサイズのコイル、ドリル、ベローズ、ワイングラスなどの、種々の外形形状を有する三次元ナノ構造体を作製することが可能であるを検証し、既に報告している(松井真二ら、J. Vac. Technol. B, 18(6), 3181−3184 (2000))。また、この集束イオンビーム法による化学的気相成長法では、二次電子を利用して分解を図る原料ガス分子を種々変えることにより、金属、半導体、絶縁体など多様な堆積材料からなる三次元微細構造体を形成することもできる。具体的には、金属としては、原料ガスとして、W(CO)6を利用し、タングステンを、半導体としては、原料ガスとして、シラン類、ハロゲン化シラン類、シロキサン類を利用し、シリコンを、また、絶縁体としては、原料ガスとして、多環芳香族化合物などを利用し、非導電性の炭素を、該集束イオンビーム法による化学的気相成長法により堆積することが可能である。
【0026】
本発明が目的とする、ナノ粒子ペーストを利用するインクジェット法による微細なパターン描画用の超微細インクジェット印刷用ノズルにおいては、その構成材料は、硬度、磨耗特性、弾性変形に対する機械的強度などの要件を考慮すると、各種金属のうち、硬度、磨耗特性、機械的強度の要件を満足するもの、あるいは、高い硬度、磨耗特性、機械的強度を示す、シリコンやカーボンといった素材、例えば、アモルファス構造のカーボン、アモルファス構造のシリコンなどを用いて作製することが好ましい。かかるシリコン素材用の原料ガスとしては、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンなどの含珪素化合物、また、カーボン素材用の原料ガスとしては、例えば、フェナントレン(C14H10)などを用いることができる。これらの原料ガスは、気化や昇華によって、適正な蒸気圧のガスとして供給可能であり、また、対象とする表面上に、吸着された状態を保持でき、集束イオンビーム法による化学的気相成長法の原理に好適な性状を有する。
【0027】
本発明で利用する、集束イオンビームによる三次元微細構造体の作製原理は、上述する論文に既に開示されているが、下記にその原理を簡単に説明する。集束イオンビームを利用して、微細なビーム径のイオン照射による化学的気相成長は、基板などの構造体表面に吸着した原料ガス分子が、イオン照射により発生する二次電子によって分解を受け、分解生成物、例えば、フェナントレン(C14H10)から生じるカーボン素材が、その照射面上に堆積することによって進行する。具体的には、基板上に原料ガスを供給しながら、基板面に対して垂直にイオンビームを照射すると、その照射領域に、同じ微細な径を有する柱状構造(ピラー)を形成することができる。形成したピラー上面において、その後、このピラーの半径よりも小さい距離だけビーム径中心を移動させる。その位置において、ビームを照射し続けることにより、側面方向に張り出しを有するテラス形状が形成させる。この作業を繰り返すことにより、徐々に側面方向に傾きを有する堆積層の延長が達成される。従って、この原理を利用すると、多様な外形形状を示す三次元微細構造体を作製することが可能となり、例えば、傾斜角60°以内であれば、均一な断面形状を有する斜傾柱状構造を形成することの可能である。また、このビーム照射位置の移動を、プログラム制御することにより、同じ形の三次元微細構造体を、高い再現性と形状精度で作製することができる。
【0028】
また、上述する三次元微細構造体の作製する際、その基材とする、基板などの構造体の材質は、金属、半導体など導電性を示す材料、さらには、導電性を有さない絶縁体材料を利用することも可能である。イオンビーム照射に伴い、二次電子放出が生じるため、例えば、絶縁体基材のチャージ・アップを生じる懸念がある際には、導電性の下地層を介在させるなどの変更を施すことで、該チャージ・アップの回避と、二次電子放出の維持を図ることもできる。なお、作製される三次元微細構造体中には、集束イオンビームに利用する金属イオンに由来する、金属元素が混入、残留することも懸念されるが、その際には、例えば、酸による溶解洗浄・除去などの処理を施すことで、該金属の除去を行うことができる。
【0029】
本発明における超微細インクジェット印刷用ノズルの作製工程では、上述する原理をさらに発展させ、ノズル基部は、ナノ粒子ペースト液導入管部の末端端面を基材と利用して、所望の円筒形状に三次元微細構造体を、集束イオンビーム法による化学的気相成長法を利用して作製することで、ノズル基部を液導入管部の末端端面に連結された形態とする。引き続き、上述するテラス形状の形成手法を応用して、ノズル内部の穴径は、前記基部の管内径より、ノズル先端の開口径まで、徐々に細くなる内壁面構造を有し、かつ、内壁面と同一の中心軸を有する、尖頭状の外形形状を示す外面構造を有する壁面部を層状に積層することで、一体的に構成する。その際、イオンビームの走査は、その中心軸が一致する円周状になされる結果、ノズル全体として、その中心軸は一致する回転体様の壁面構造体となる。
【0030】
その際、ノズル先端の開口径は、ナノ粒子ペースト中に含有されるナノ粒子平均粒子径に応じて、10nm〜10,000nmの範囲に、例えば、10nm〜1000nmの範囲の極く微小な径に選択され、かかるノズルの形状精度は、かかる先端の開口径と、その部分の壁面肉厚に依存している。従って、集束イオンビーム法に利用されるイオンビームの照射スポット径は、前記開口径または最小壁面肉厚のいずれか小さい方を基準として、その1/10以下の範囲に選択することが望ましく、また、ビーム照射位置の移動における制御可能最小距離は、照射スポット径の1/5以下の範囲であることが望ましい。なお、ここでは、照射スポット径は、イオンビーム強度分布をガウス分布と仮定する際、最大強度の1/2強度となる範囲の直径を意味する。
【0031】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。なお、これら実施例は、本発明における最良の実施形態の一例ではあるものの、本発明は、かかる具体例により限定されるものではない。
【0032】
(実施例1)
塗布目的のナノ粒子ペースト液として、平均粒子径8nmの銀ナノ粒子を含み、液粘度80Pa・s(25℃)に調製されたペーストを利用して、噴出圧6Paにて、インクジェット描画する用途の超微細インクジェット印刷用ノズルを下記する条件で作製する。
【0033】
なお、該ノズルの形状は、ノズル先端の開口径(直径) 250nm、先端部外径(直径) 400nm、また、ノズル基部の内径(直径) 800nm、基部の外径(直径) 2200nmに選択し、基部から先端までの高さ 4000nmの尖頭状外形に選択されている。加えて、ノズル先端の開口部と、基部の内壁面は、ともに真円形状を目標とし、両者の中心軸間の偏移(軸ズレ)は、10nm以内を目標水準に選択している。一方、該ノズルを作製する際、その基部の起点面として、微細な管径を有するガラス管の端面を利用し、かかる微細ガラス管は、外径(直径) 3000nm、内径(直径) 800nmの、材質 硬質ガラス製のものを利用している。
【0034】
本実施例においては、ノズルを構成する気相堆積材料として、集束イオンビーム法による化学的気相成長法で形成されるアモルファス構造のシリコンを選択した。集束イオンビーム法による化学的気相成長は、市販の集束イオンビーム照射装置(型式 SIM9200:セイコーインスツルメンツ(株))を利用し、イオン源は、加速エネルギー30keVのガリウム・イオンを選択した。集束イオンビーム照射は、照射イオン電流を0.4pA、ビーム照射のスポット・サイズは7nm径にフォーカスして用いる。原料ガスとして、別の装置内で加熱してガス化させたシリコン用原料ガス、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンを、前記照射装置内に設けるノズルにより、基材(成長起点面)とする、上記垂直に固定されている微細ガラス管端面の上方500μmより、前記端面に対して、45度の角度で噴射して供給する。予めプログラムされた、ビーム走査シークエンスに従って、イオンビーム照射位置の移動を行いつつ、集束イオンの照射を続け、微細ガラス管の端面上にアモルファス構造のシリコンを層状に堆積させる。引き続き、次の層ではテラス形成により、内壁面の内径、外面の外径を所定の変移量で変化させることにより、各薄層毎に微細な段階的な変化がなされ、全体形状は、上述する目標値と実質的に一致するノズルの形成がなされる。
【0035】
本実施例に用いる上記集束イオンビーム照射装置における、イオンビーム照射位置の移動の制御可能な最小距離は、10nmであり、内壁面の内径変移のための各テラス形成ステップにおいて、1ステップ当たりの内径変移量は、10nm〜100nmに設定する。また、層状に堆積させて、該壁面を形成する際、各層毎の堆積量は、5nm〜10nmに設定する。一方、シリコン用原料ガスの成長部位近傍における分圧は、5×10−5Paに選択し、照射装置内自体は、イオンビーム照射のため、その背圧は、2×10−5Pa以下の真空度に保持する。
【0036】
本実施例で作製されたノズルに関して、作製終了後、その形状をSEM観測したところ、先端部の外形は、直径が400nmの円形、開口部は、前記外形と同心円状の直径が250nmの円形孔であった。また、SEM観測において、ノズル下部の外形は、直径が2200nmと見積もられた。
【0037】
なお、上記アモルファス構造のシリコンの堆積過程では、基材に利用する微細ガラス管自体の温度は、 300℃とし、前記ノズル全体の形成に要した、延べイオン照射時間は、 5分間であった。加えて、上記の条件で形成される堆積層は、結晶性のシリコン、あるいは、微細な結晶粒界を有する多結晶型シリコンではなく、全体がほぼ均質なアモルファス構造のシリコンであることは、別途、同一の作製条件で、同じガラス材質の基板上に作製した柱状構造体サンプルを解析することで確認されている。
【0038】
また、作製されたノズルを用いて、噴出圧 6Paにて、上述するナノ粒子ペースト液をインクジェット描画したところ、最小線幅10μm、最小スペース間隔10μmのライン&スペース・パターンに対して、塗布膜厚さ 5μmにおいても、良好なインクジェット印刷がなされることが確認された。
【0039】
(実施例2)
アモルファス構造のシリコンに代えて、アモルファス構造のカーボンからなる、上記実施例1と同じ用途の超微細インクジェット印刷用ノズルを下記する条件で作製する。
【0040】
なお、該ノズルの形状は、ノズル先端の開口径(直径) 270nm、先端部外径(直径) 450nm、また、ノズル基部の内径(直径) 800nm、基部の外径(直径) 2400nmに選択し、基部から先端までの高さ 4000nmの尖頭状外形に選択されている。加えて、ノズル先端の開口部と、基部の内壁面は、ともに真円形状を目標とし、両者の中心軸間の偏移(軸ズレ)は、10nm以内を目標水準に選択している。一方、該ノズルを作製する際、その基部の起点面として、微細な管径を有するガラス管の端面を利用し、かかる微細ガラス管は、外径(直径) 3000nm、内径(直径) 800nmの、材質 硬質ガラス製のものを利用している。
【0041】
本実施例においては、ノズルを構成する気相堆積材料として、集束イオンビーム法による化学的気相成長法で形成されるアモルファス構造のカーボンを選択した。集束イオンビーム法による化学的気相成長は、市販の集束イオンビーム照射装置(型式 SIM9200:セイコーインスツルメンツ(株))を利用し、イオン源は、加速エネルギー30keVのガリウム・イオンを選択した。集束イオンビーム照射は、照射イオン電流を0.4pA、ビーム照射のスポット・サイズは7nm径にフォーカスして用いる。原料ガスとして、別の装置内で加熱してガス化させたカーボン用原料ガス、フェナントレンを、前記照射装置内に設けるノズルにより、基材(成長起点面)とする、上記垂直に固定されている微細ガラス管端面の上方500μmより、前記端面に対して、45度の角度で噴射して供給する。予めプログラムされた、ビーム走査シークエンスに従って、イオンビーム照射位置の移動を行いつつ、集束イオンの照射を続け、微細ガラス管の端面上にアモルファス構造のカーボンを層状に堆積させる。引き続き、次の層ではテラス形成により、内壁面の内径、外面の外径を所定の変移量で変化させることにより、各薄層毎に微細な段階的な変化がなされ、全体形状は、上述する目標値と実質的に一致するノズルの形成がなされる。
【0042】
本実施例に用いる上記集束イオンビーム照射装置における、イオンビーム照射位置の移動の制御可能な最小距離は、10nmであり、内壁面の内径変移のための各テラス形成ステップにおいて、1ステップ当たりの内径変移量は、10nm〜100nmに設定する。また、層状に堆積させて、該壁面を形成する際、各層毎の堆積量は、5nm〜10nmに設定する。一方、カーボン用原料ガスの成長部位近傍における分圧は、5×10−5Paに選択し、照射装置内自体は、イオンビーム照射のため、その背圧は、2×10−5Pa以下の真空度に保持する。
【0043】
本実施例で作製されたノズルに関して、作製終了後、その形状をSEM観測したところ、先端部の外形は、直径が450nmの円形、開口部は、前記外形と同心円状の直径が270nmの円形孔であった。また、SEM観測において、ノズル下部の外形は、直径が2400nmと見積もられた。
【0044】
なお、上記アモルファス構造のカーボンの堆積過程では、基材に利用する微細ガラス管自体の温度は、 300℃とし、前記ノズル全体の形成に要した、延べイオン照射時間は、 5分間であった。加えて、上記の条件で形成される堆積層は、全体がほぼ均質なアモルファス構造のカーボンであることは、別途、同一の作製条件で、作製したサンプルについて、その吸収スペクトルを解析することで確認されている。
【0045】
また、作製されたノズルを用いて、噴出圧 6Paにて、上述するナノ粒子ペースト液をインクジェット描画したところ、最小線幅10μm、最小スペース間隔10μmのライン&スペース・パターンに対して、塗布膜厚さ 5μmにおいても、良好なインクジェット印刷がなされることが確認された。
【0046】
なお、作製されたノズルの外形形状をSEM観察した結果を示す、画像イメージのプリント・アウトを図1に示す。
【0047】
【発明の効果】
本発明にかかる超微細インクジェット印刷用ノズルの製造方法では、集束イオンビーム法を用いる化学的気相成長法によって、ノズル内部の穴径は、その基部の管内径より、ノズル先端の開口径まで、徐々に細くなる内壁面構造を有し、かつ、内壁面と同一の中心軸を有する、尖頭状の外形形状を示す外面構造を有しており、ノズル先端の開口径は、対象とするナノ粒子ペースト中に含有されるナノ粒子平均粒子径に応じて、10nm〜10,000nmの範囲に選択されるノズルを、その設計形状通りに、高い形状精度、また、高い再現性で作製することが可能である。この高い作製精度、再現性の利点によって、塗布の対象とするナノ粒子ペーストのナノ粒子材料種類、その平均粒子径、分散濃度、ペースト液の液粘度、さらには、インクジェット描画時の噴出圧に応じて、選択されるノズル先端の開口径において最適な噴出性能を発揮するように、その内壁面のテーパー構造を設計したノズルを容易に、量産化を図ることが可能となる。この様な最適構造に設計される超微細インクジェット印刷用ノズルを採用するインクジェット描画装置の実用化が達成されることで、種々のナノ粒子材料種類、その平均粒子径に対して、その用途に適する微細な描画パターンの塗布膜の形成が可能となる。例えば、かかる塗布膜の形成が可能となると、所望の金属ナノ粒子塗布膜を利用する、配線材料、磁気材料、センサ材料、触媒などの分野におけるさらなる用途開発を展開することができ、また、所望の金属酸化物ナノ粒子塗布膜を利用する、研磨剤、セラミックス原料、磁気材料、センサ材料、燃料電池材料、触媒、化粧品材料などの分野におけるさらなる用途開発を展開することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる超微細インクジェット印刷用ノズルの形状の一例を示すSEM画像のプリント・アウトである。
Claims (6)
- ナノ粒子ペーストを利用するインクジェット法による微細なパターン描画用の超微細インクジェット印刷用ノズルであって、
該ノズル基部は、ナノ粒子ペースト液導入管部の末端端面に連結され、
該ノズル内部の穴径は、前記基部の管内径より、ノズル先端の開口径まで、徐々に細くなる内壁面構造を有し、かつ、内壁面と同一の中心軸を有する、尖頭状の外形形状を示す外面構造を有しており、
前記ノズル先端の開口径は、前記ナノ粒子ペースト中に含有されるナノ粒子平均粒子径に応じて、10nm〜10,000nmの範囲に選択され、
集束イオンビーム法を用いて、前記形状に堆積加工された気相堆積材料で一体構成されていることを特徴とする超微細インクジェット印刷用ノズル。 - 前記ノズルを構成する気相堆積材料として、
アモルファス構造のカーボン、あるいは、アモルファス構造のシリコンを選択することを特徴とする請求項1に記載のノズル。 - 前記ノズルを構成する該気相堆積材料の堆積加工を行う前記集束イオンビーム法として、集束イオンとして、ガリウムの陽イオンを用いる集束イオンビーム法を選択することを特徴とする請求項1または2に記載のノズル。
- ナノ粒子ペーストを利用するインクジェット法による微細なパターン描画用の超微細インクジェット印刷用ノズルを製造する方法であって、
前記ノズルは、
該ノズル基部は、ナノ粒子ペースト液導入管部の末端端面に連結され、
該ノズル内部の穴径は、前記基部の管内径より、ノズル先端の開口径まで、徐々に細くなる内壁面構造を有し、かつ、内壁面と同一の中心軸を有する、尖頭状の外形形状を示す外面構造を有しており、
前記ノズル先端の開口径は、前記ナノ粒子ペースト中に含有されるナノ粒子平均粒子径に応じて、10nm〜10,000nmの範囲に選択され、
集束イオンビーム法を用いて、前記形状に堆積加工された気相堆積材料で一体構成されているものであり、
前記集束イオンビーム法を用いる前記形状に堆積加工する工程では、
前記液導入管部の末端端面上を起点面として、堆積を開始し、
前記ノズル形状に従って、集束イオンビームの照射スポット位置を目標とする内壁面と外面位置間の同心環状部位表面を所定の周期で走査しつつ、ノズル基部よりノズル先端へと層状に壁面を構成する堆積材料の堆積加工を行い、
前記液導入管部の末端端面上に、層状に堆積加工された気相堆積材料で一体構成されるノズルを作製することを特徴とする超微細インクジェット印刷用ノズルの製造方法。 - 前記ノズルを構成する気相堆積材料として、
アモルファス構造のカーボン、あるいは、アモルファス構造のシリコンを選択することを特徴とする請求項4に記載の製造方法。 - 前記ノズルを構成する該気相堆積材料の堆積加工を行う前記集束イオンビーム法として、集束イオンとして、ガリウムの陽イオンを用いる集束イオンビーム法を選択することを特徴とする請求項4または5に記載の製造方法。
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