JP2004148166A - 排ガス浄化用触媒 - Google Patents
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Abstract
【課題】熱処理後の貴金属及び基材のシンタリングを抑制し、HC、CO及びNOxの浄化効率に優れる排ガス浄化用触媒を提供すること。
【解決手段】多孔質物質中に、貴金属吸着サイトとなり得る物質Aが分散されて成る排ガス浄化用触媒である。物質Aが熱劣化抑制物質Bを担持して成る。多孔質物質がアルミナ、セリア、ジルコニア、チタニア、シリカ、ゼオライト及びメソポーラスシリカなどから成る。貴金属がパラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム及びインジウムなどから成る。物質Aが貴金属担持基材の飽和担持量に対して70%以下の割合で含まれる。CO吸着法による貴金属の分散度が大気雰囲気下、700℃及び1時間保持の耐久条件で10%以上である。
【選択図】 なし
【解決手段】多孔質物質中に、貴金属吸着サイトとなり得る物質Aが分散されて成る排ガス浄化用触媒である。物質Aが熱劣化抑制物質Bを担持して成る。多孔質物質がアルミナ、セリア、ジルコニア、チタニア、シリカ、ゼオライト及びメソポーラスシリカなどから成る。貴金属がパラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム及びインジウムなどから成る。物質Aが貴金属担持基材の飽和担持量に対して70%以下の割合で含まれる。CO吸着法による貴金属の分散度が大気雰囲気下、700℃及び1時間保持の耐久条件で10%以上である。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、排ガス浄化用触媒に係り、更に詳細には、自動車(ガソリン、ディーゼル)及びボイラーなどの内燃機関から排出される排ガス中の炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)及び窒素酸化物(NOx)を浄化する排ガス浄化用触媒に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来、自動車排ガスの処理には、窒素酸化物(NOx)の還元反応と一酸化炭素(CO)及び炭化水素(HC)の酸化反応を同時に行う、いわゆる三元触媒が広く用いられている。このような三元触媒としてコーディエライトなどからなる耐熱性基材にγ−アルミナからなる多孔質担体層を形成し、その多孔質担体層にパラジウム(Pd)、白金(Pt)及びロジウム(Rh)などの貴金属を担持させたものが広く知られている。
【0003】
しかし、多孔質物質に直接貴金属を担持した排ガス浄化用触媒は熱処理による貴金属のシンタリングが進みやすく、著しく貴金属分散性が低下しやすいという問題点があった。
【0004】
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、熱処理後の貴金属及び基材のシンタリングを抑制し、HC、CO及びNOxの浄化効率に優れる排ガス浄化用触媒を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、多孔質無機酸化物基材中に貴金属の吸着サイトを分散させ、そこへ貴金属を担持させることにより上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の排ガス浄化用触媒について詳細に説明する。なお、本明細書において「%」は、特記しない限り質量百分率を示す。
【0007】
本発明の排ガス浄化用触媒は、貴金属担持基材に触媒活性を有する貴金属を担持させて成る。また、この貴金属担持基材としては多孔質物質を用い、この中に貴金属吸着サイトとなり得る物質Aを分散させる。ここで、「貴金属吸着サイト」とは、貴金属担持基材中に分散し、所定量の貴金属を担持し得る状態を示す。
このような構成を採用することにより、本発明では、貴金属のシンタリングが貴金属担持サイト内では進行するものの、他の貴金属サイト内の貴金属とのシンタリングに至らない。言い換えれば、従来の貴金属担持触媒に比べて、熱処理による貴金属のシンタリングが進行した場合でも、貴金属の分散性の低下を抑制できる。
【0008】
現時点では、かかる原因は明らかではないが、以下のように推察できる。例えば、多孔質物質としてのシリカマトリックス上に、貴金属吸着サイトとしてAl(Al2O3)を分散させることにより、貴金属含浸時には、疎水性の強いシリカを避け、Al上に貴金属を選択的に担持できる。更に、熱処理により貴金属が移動し、シンタリングする場合でも、担持物質であるAlとの相互作用の方が強いので、シリカマトリックス上への移動が起こりにくく、個々のAl上のみでの貴金属シンタリングにより、従来の構成に比べ、分散性が維持される。
一方、従来のように、多孔質物質に貴金属を直接担持する場合は、貴金属がシンタリングして貴金属の分散性が低下する。例えば、アルミナ基材に直接貴金属を分散した場合は、熱処理により貴金属がシンタリングし、貴金属の分散性、即ち、貴金属の比表面積が大きく低下してしまう。
【0009】
上記多孔質物質としては、貴金属の種類や担持方法などによって異なるが、基本的に、多孔質物質には、貴金属や後述する物質Bが担持されにくい物質を適宜選択できる。代表的には、アルミナ(Al2O3)、セリア(CeO2)、ジルコニア(ZrO2)、チタニア(TiO2)、シリカ(SiO2)、ゼオライト又はメソポーラスシリカ、及びこれらの任意の組合せに係るものを好適に使用できる。
また、上記物質Aとしては、貴金属の種類や担持方法などによって異なるが、上記多孔質物質と同様のものを好適に使用できる。但し、物質Aは、上記多孔質物質より貴金属や後述する物質Bが担持され易いことがよく、上記多孔質物質と異なるものを適宜選択して用いることが好ましい。また、物質Aは所望量の貴金属を担持できるよう上記多孔質物質に一定量ずつ分散するものを適宜選択して使用するのがよい。
【0010】
また、上記物質Aに熱劣化抑制物質Bを担持させ、貴金属等の熱劣化を抑制させることが好適である。
これより、貴金属の熱劣化が抑制でき、熱劣化抑制物質Bの分散性低下が抑制できる。従って、熱処理後の貴金属分散性の低下を抑制できる。
かかる熱劣化抑制物質Bとしては、貴金属の種類や担持方法などによって異なるが、上記多孔質物質と同様のものを好適に使用できる。但し、物質Bは、多孔質物質より物質Aに担持され易いことがよく、上記多孔質物質及び物質Aとは異なるものを適宜選択して用いることが好ましい。
なお、これら各材料から選択する場合、貴金属担持条件(例えば、Pt担持溶液が酸性系であるか塩基性系であるか)によって、マトリックス(多孔質物質)や貴金属吸着サイト(物質A)などを選択したり、また、貴金属の種類によっては、同様に組み合わせを選択する必要がある。
【0011】
更に、上記貴金属としては、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)又はインジウム(In)、及びこれらの任意の組合せに係るものを適宜使用できる。このときは排ガス浄化用触媒として優れた触媒活性を発揮できる。
また、かかる貴金属の担持は、多孔質物質に担持されにくく、物質Aに担持され易い状態で行うことが望ましい。従って、例えば、貴金属としてPtを選択するときは、貴金属担持溶液として酸性水溶液のジニトロジアミンPt素溶液や塩基性溶液であるテトラアンミンPtなどを用いることが有効である。
【0012】
また、上記物質Aは、その添加量を制限することが好ましい。
具体的には、上記物質Aが、貴金属担持基材の飽和担持量の70%以下の割合で含まれるようにすることが好適である。より好ましくは30〜1%、更に好ましくは10〜1%であることがよい。
これは、例えば、貴金属担持基材がAlであるときは、製造条件上、Al量が増加するとNa等の不純物の混入が増加し、貴金属担持基材自体の熱耐久性が悪化することがあるためである。
【0013】
本発明の排ガス浄化用触媒は、CO吸着法による上記貴金属の分散度が、大気雰囲気下、700℃及び1時間保持の耐久条件で、10%以上であることが好適である。
【0014】
上述の排ガス浄化用触媒は、一体構造型で構成することができる。例えば、多孔質物質自体をハニカム担体とすることもできるし、セラミックスなどのコージェライト質の材料を用いたハニカム担体や、フェライト系ステンレス等の金属材料を用いたハニカム担体に本排ガス浄化触媒を被覆することもできる。
【0015】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明は、こら実施例に限定されるものではない。
【0016】
(実施例1)
活性シリカとアルミニウム塩及びカチオン系界面活性剤より合成された複合体を焼成することにより得た、多孔質物質部分にシリカを選択し、また、貴金属吸着サイトである物質A部分にはアルミナを選択、平均細孔径が約5nm、BET比表面積が約900m2/gのメソポーラスアルミノシリケート(SILFAM−A−Al、日本化学工業(株)製)を用いた。メソポーラスアルミノシリケート(以降「粉末A」と呼ぶ)に含まれるアルミナの含有量は、酸化物換算で約3%であった。
ジニトロジアミン白金水溶液を攪拌ロータにて30rpmの速さで攪拌し、そこへ粉末Aを投し、攪拌ロータで1時間継続攪拌し、Pt含浸スラリーAを得た。スラリーAの貴金属溶液:粉末Aの比率は5:1とした。
次に、含浸攪拌後、150℃で12時間乾燥した後、400℃で1時間焼成してPt担持粉末Bを得た。この粉末のPt濃度は約5%であった。
【0017】
(実施例2)
酢酸セリウム水溶液を攪拌ロータにて30rpmの速さで攪拌し、そこへ粉末Aを投入し、攪拌ロータで1時間継続攪拌し、Ce含浸粉末のスラリーBを得た。スラリーBの酢酸セリウム水溶液:粉末Aの比率は5:1とした。
次に、含浸攪拌後、150℃で12時間乾燥した後、400℃で1時間焼成してセリウム担持粉末Cを得た。この粉末Cのセリウム濃度は約1%であった。更に、ジニトロジアミン白金水溶液を攪拌ロータにて30rpmの速さで攪拌し、そこへ粉末Cを投入し、攪拌ロータで1時間継続攪拌し、Pt含浸スラリーCを得た。スラリーCの貴金属溶液:粉末Cの比率は5:1とした。
次に、含浸攪拌後、150℃で12時間乾燥した後、400℃で1時間焼成してPt担持粉末Dを得た。この粉末のPt濃度は約5%であった。
【0018】
(実施例3)
粉末Aにおいて、アルミナの含有量を酸化物換算で約7%とした以外は、実施例1と同じ操作を繰り返して、本例の評価用粉末Eを得た。
【0019】
(実施例4)
粉末Aにおいて、アルミナの含有量を酸化物換算で約12%とした以外は、実施例1と同じ操作を繰り返して、本例の評価用粉末Fを得た。
【0020】
(実施例5)
粉末Aにおいて、金属吸着サイトである物質A部分にZrO2を用い、ZrO2の含有量を酸化物換算で約5%とした以外は、実施例1と同じ操作を繰り返して、本例の評価用粉末Hを得た。
【0021】
(実施例6)
粉末Aにおいて、金属吸着サイトである物質A部分にCeO2を用い、CeO2の含有量を酸化物換算で約5%とした以外は、実施例1と同じ操作を繰り返して、本例の評価用粉末Iを得た。
【0022】
(比較例1)
粉末Aの代わりに、活性アルミナを用いた以外は、実施例1と同じ操作を繰り返して、本例の評価用粉末Jを得た。
【0023】
(比較例2)
粉末Aの代わりに、メソポーラスシリカを用いた以外は、実施例1と同じ操作を繰り返して、本例の評価用粉末Kを得た。
【0024】
<CO吸着法による貴金属分散度測定>
上記実施例1〜6及び比較例1、2で得られた貴金属分散度測定用粉末の特徴を表1に示した。熱耐久処理については、Air雰囲気において電気式焼成炉にて粉末50gを磁器性るつぼに入れ、700℃で1時間保持し行った。
また、貴金属分散度をCO吸着法により測定し、その結果を、それぞれ図1に示す。
【0025】
【表1】
【0026】
表1及び図1より、本発明の好適形態である実施例1〜6で得られた触媒粉末は比較例に比べて貴金属分散度が高いことがわかる。
【0027】
(実施例7)
上記実施例1で得られた粉末B及び活性アルミナとアルミナゾルを重量比率が5:1となるように配合し、磁性ボールミルに投入し、混合、粉砕してコーティング用スラリーを得た。このコーティングスラリーをコージエライト質モノリス担体に(0.119L、400セル/平方インチ)に付着させ、空気流にてセル内の余剰のスラリーを除去し、400℃で1時間焼成し、コート層として150g/Lをコートし、貴金属含有量Ptが30g/Lの触媒活性 評価用触媒を得た。
【0028】
(実施例8)
上記実施例2で得られた粉末Dを用いて作製した以外は、実施例7と同じ操作を繰り返して、本例の評価用触媒を得た。
【0029】
(比較例3)
上記比較例1で得られた粉末Jを用いて作製した以外は、実施例7と同じ操作を繰り返して、本例の評価用触媒を得た。
【0030】
<活性試験>
上記実施例1,7,8及び比較例3で得られた排ガス浄化用触媒の特徴を表2に示し、触媒活性評価試験については、排気量3000ccのエンジンに装着し、排ガス触媒入り口温度700℃でエージングを施した後、ラボ用評価装置にて、モデルガスにおけるHC,CO,及びNOxのエミッションを測定し、更に昇温評価試験(昇温速度=10℃/min)における転化率50%達成温度(T50)も併せて測定した結果を、それぞれ表2及び図2〜4に示す。
【0031】
【表2】
【0032】
表2及び図2〜4より、本発明の好適形態である実施例7、8で得られた触媒粉末は、比較例に対して低い温度でHC、CO及びNOxの全てが転化率50%に達成することがわかる。
【0033】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、多孔質無機酸化物基材中に貴金属の吸着サイトを分散させ、そこへ貴金属を担持させることとしたため、熱処理後の貴金属及び基材のシンタリングを抑制し、HC、CO及びNOxの浄化効率に優れる排ガス浄化用触媒を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】各貴金属担持粉末の貴金属分散度(700℃、1時間)を示すグラフである。
【図2】昇温評価試験の結果を示すグラフである。
【図3】昇温評価試験の結果を示すグラフである。
【図4】昇温評価試験の結果を示すグラフである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、排ガス浄化用触媒に係り、更に詳細には、自動車(ガソリン、ディーゼル)及びボイラーなどの内燃機関から排出される排ガス中の炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)及び窒素酸化物(NOx)を浄化する排ガス浄化用触媒に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来、自動車排ガスの処理には、窒素酸化物(NOx)の還元反応と一酸化炭素(CO)及び炭化水素(HC)の酸化反応を同時に行う、いわゆる三元触媒が広く用いられている。このような三元触媒としてコーディエライトなどからなる耐熱性基材にγ−アルミナからなる多孔質担体層を形成し、その多孔質担体層にパラジウム(Pd)、白金(Pt)及びロジウム(Rh)などの貴金属を担持させたものが広く知られている。
【0003】
しかし、多孔質物質に直接貴金属を担持した排ガス浄化用触媒は熱処理による貴金属のシンタリングが進みやすく、著しく貴金属分散性が低下しやすいという問題点があった。
【0004】
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、熱処理後の貴金属及び基材のシンタリングを抑制し、HC、CO及びNOxの浄化効率に優れる排ガス浄化用触媒を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、多孔質無機酸化物基材中に貴金属の吸着サイトを分散させ、そこへ貴金属を担持させることにより上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の排ガス浄化用触媒について詳細に説明する。なお、本明細書において「%」は、特記しない限り質量百分率を示す。
【0007】
本発明の排ガス浄化用触媒は、貴金属担持基材に触媒活性を有する貴金属を担持させて成る。また、この貴金属担持基材としては多孔質物質を用い、この中に貴金属吸着サイトとなり得る物質Aを分散させる。ここで、「貴金属吸着サイト」とは、貴金属担持基材中に分散し、所定量の貴金属を担持し得る状態を示す。
このような構成を採用することにより、本発明では、貴金属のシンタリングが貴金属担持サイト内では進行するものの、他の貴金属サイト内の貴金属とのシンタリングに至らない。言い換えれば、従来の貴金属担持触媒に比べて、熱処理による貴金属のシンタリングが進行した場合でも、貴金属の分散性の低下を抑制できる。
【0008】
現時点では、かかる原因は明らかではないが、以下のように推察できる。例えば、多孔質物質としてのシリカマトリックス上に、貴金属吸着サイトとしてAl(Al2O3)を分散させることにより、貴金属含浸時には、疎水性の強いシリカを避け、Al上に貴金属を選択的に担持できる。更に、熱処理により貴金属が移動し、シンタリングする場合でも、担持物質であるAlとの相互作用の方が強いので、シリカマトリックス上への移動が起こりにくく、個々のAl上のみでの貴金属シンタリングにより、従来の構成に比べ、分散性が維持される。
一方、従来のように、多孔質物質に貴金属を直接担持する場合は、貴金属がシンタリングして貴金属の分散性が低下する。例えば、アルミナ基材に直接貴金属を分散した場合は、熱処理により貴金属がシンタリングし、貴金属の分散性、即ち、貴金属の比表面積が大きく低下してしまう。
【0009】
上記多孔質物質としては、貴金属の種類や担持方法などによって異なるが、基本的に、多孔質物質には、貴金属や後述する物質Bが担持されにくい物質を適宜選択できる。代表的には、アルミナ(Al2O3)、セリア(CeO2)、ジルコニア(ZrO2)、チタニア(TiO2)、シリカ(SiO2)、ゼオライト又はメソポーラスシリカ、及びこれらの任意の組合せに係るものを好適に使用できる。
また、上記物質Aとしては、貴金属の種類や担持方法などによって異なるが、上記多孔質物質と同様のものを好適に使用できる。但し、物質Aは、上記多孔質物質より貴金属や後述する物質Bが担持され易いことがよく、上記多孔質物質と異なるものを適宜選択して用いることが好ましい。また、物質Aは所望量の貴金属を担持できるよう上記多孔質物質に一定量ずつ分散するものを適宜選択して使用するのがよい。
【0010】
また、上記物質Aに熱劣化抑制物質Bを担持させ、貴金属等の熱劣化を抑制させることが好適である。
これより、貴金属の熱劣化が抑制でき、熱劣化抑制物質Bの分散性低下が抑制できる。従って、熱処理後の貴金属分散性の低下を抑制できる。
かかる熱劣化抑制物質Bとしては、貴金属の種類や担持方法などによって異なるが、上記多孔質物質と同様のものを好適に使用できる。但し、物質Bは、多孔質物質より物質Aに担持され易いことがよく、上記多孔質物質及び物質Aとは異なるものを適宜選択して用いることが好ましい。
なお、これら各材料から選択する場合、貴金属担持条件(例えば、Pt担持溶液が酸性系であるか塩基性系であるか)によって、マトリックス(多孔質物質)や貴金属吸着サイト(物質A)などを選択したり、また、貴金属の種類によっては、同様に組み合わせを選択する必要がある。
【0011】
更に、上記貴金属としては、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)又はインジウム(In)、及びこれらの任意の組合せに係るものを適宜使用できる。このときは排ガス浄化用触媒として優れた触媒活性を発揮できる。
また、かかる貴金属の担持は、多孔質物質に担持されにくく、物質Aに担持され易い状態で行うことが望ましい。従って、例えば、貴金属としてPtを選択するときは、貴金属担持溶液として酸性水溶液のジニトロジアミンPt素溶液や塩基性溶液であるテトラアンミンPtなどを用いることが有効である。
【0012】
また、上記物質Aは、その添加量を制限することが好ましい。
具体的には、上記物質Aが、貴金属担持基材の飽和担持量の70%以下の割合で含まれるようにすることが好適である。より好ましくは30〜1%、更に好ましくは10〜1%であることがよい。
これは、例えば、貴金属担持基材がAlであるときは、製造条件上、Al量が増加するとNa等の不純物の混入が増加し、貴金属担持基材自体の熱耐久性が悪化することがあるためである。
【0013】
本発明の排ガス浄化用触媒は、CO吸着法による上記貴金属の分散度が、大気雰囲気下、700℃及び1時間保持の耐久条件で、10%以上であることが好適である。
【0014】
上述の排ガス浄化用触媒は、一体構造型で構成することができる。例えば、多孔質物質自体をハニカム担体とすることもできるし、セラミックスなどのコージェライト質の材料を用いたハニカム担体や、フェライト系ステンレス等の金属材料を用いたハニカム担体に本排ガス浄化触媒を被覆することもできる。
【0015】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明は、こら実施例に限定されるものではない。
【0016】
(実施例1)
活性シリカとアルミニウム塩及びカチオン系界面活性剤より合成された複合体を焼成することにより得た、多孔質物質部分にシリカを選択し、また、貴金属吸着サイトである物質A部分にはアルミナを選択、平均細孔径が約5nm、BET比表面積が約900m2/gのメソポーラスアルミノシリケート(SILFAM−A−Al、日本化学工業(株)製)を用いた。メソポーラスアルミノシリケート(以降「粉末A」と呼ぶ)に含まれるアルミナの含有量は、酸化物換算で約3%であった。
ジニトロジアミン白金水溶液を攪拌ロータにて30rpmの速さで攪拌し、そこへ粉末Aを投し、攪拌ロータで1時間継続攪拌し、Pt含浸スラリーAを得た。スラリーAの貴金属溶液:粉末Aの比率は5:1とした。
次に、含浸攪拌後、150℃で12時間乾燥した後、400℃で1時間焼成してPt担持粉末Bを得た。この粉末のPt濃度は約5%であった。
【0017】
(実施例2)
酢酸セリウム水溶液を攪拌ロータにて30rpmの速さで攪拌し、そこへ粉末Aを投入し、攪拌ロータで1時間継続攪拌し、Ce含浸粉末のスラリーBを得た。スラリーBの酢酸セリウム水溶液:粉末Aの比率は5:1とした。
次に、含浸攪拌後、150℃で12時間乾燥した後、400℃で1時間焼成してセリウム担持粉末Cを得た。この粉末Cのセリウム濃度は約1%であった。更に、ジニトロジアミン白金水溶液を攪拌ロータにて30rpmの速さで攪拌し、そこへ粉末Cを投入し、攪拌ロータで1時間継続攪拌し、Pt含浸スラリーCを得た。スラリーCの貴金属溶液:粉末Cの比率は5:1とした。
次に、含浸攪拌後、150℃で12時間乾燥した後、400℃で1時間焼成してPt担持粉末Dを得た。この粉末のPt濃度は約5%であった。
【0018】
(実施例3)
粉末Aにおいて、アルミナの含有量を酸化物換算で約7%とした以外は、実施例1と同じ操作を繰り返して、本例の評価用粉末Eを得た。
【0019】
(実施例4)
粉末Aにおいて、アルミナの含有量を酸化物換算で約12%とした以外は、実施例1と同じ操作を繰り返して、本例の評価用粉末Fを得た。
【0020】
(実施例5)
粉末Aにおいて、金属吸着サイトである物質A部分にZrO2を用い、ZrO2の含有量を酸化物換算で約5%とした以外は、実施例1と同じ操作を繰り返して、本例の評価用粉末Hを得た。
【0021】
(実施例6)
粉末Aにおいて、金属吸着サイトである物質A部分にCeO2を用い、CeO2の含有量を酸化物換算で約5%とした以外は、実施例1と同じ操作を繰り返して、本例の評価用粉末Iを得た。
【0022】
(比較例1)
粉末Aの代わりに、活性アルミナを用いた以外は、実施例1と同じ操作を繰り返して、本例の評価用粉末Jを得た。
【0023】
(比較例2)
粉末Aの代わりに、メソポーラスシリカを用いた以外は、実施例1と同じ操作を繰り返して、本例の評価用粉末Kを得た。
【0024】
<CO吸着法による貴金属分散度測定>
上記実施例1〜6及び比較例1、2で得られた貴金属分散度測定用粉末の特徴を表1に示した。熱耐久処理については、Air雰囲気において電気式焼成炉にて粉末50gを磁器性るつぼに入れ、700℃で1時間保持し行った。
また、貴金属分散度をCO吸着法により測定し、その結果を、それぞれ図1に示す。
【0025】
【表1】
【0026】
表1及び図1より、本発明の好適形態である実施例1〜6で得られた触媒粉末は比較例に比べて貴金属分散度が高いことがわかる。
【0027】
(実施例7)
上記実施例1で得られた粉末B及び活性アルミナとアルミナゾルを重量比率が5:1となるように配合し、磁性ボールミルに投入し、混合、粉砕してコーティング用スラリーを得た。このコーティングスラリーをコージエライト質モノリス担体に(0.119L、400セル/平方インチ)に付着させ、空気流にてセル内の余剰のスラリーを除去し、400℃で1時間焼成し、コート層として150g/Lをコートし、貴金属含有量Ptが30g/Lの触媒活性 評価用触媒を得た。
【0028】
(実施例8)
上記実施例2で得られた粉末Dを用いて作製した以外は、実施例7と同じ操作を繰り返して、本例の評価用触媒を得た。
【0029】
(比較例3)
上記比較例1で得られた粉末Jを用いて作製した以外は、実施例7と同じ操作を繰り返して、本例の評価用触媒を得た。
【0030】
<活性試験>
上記実施例1,7,8及び比較例3で得られた排ガス浄化用触媒の特徴を表2に示し、触媒活性評価試験については、排気量3000ccのエンジンに装着し、排ガス触媒入り口温度700℃でエージングを施した後、ラボ用評価装置にて、モデルガスにおけるHC,CO,及びNOxのエミッションを測定し、更に昇温評価試験(昇温速度=10℃/min)における転化率50%達成温度(T50)も併せて測定した結果を、それぞれ表2及び図2〜4に示す。
【0031】
【表2】
【0032】
表2及び図2〜4より、本発明の好適形態である実施例7、8で得られた触媒粉末は、比較例に対して低い温度でHC、CO及びNOxの全てが転化率50%に達成することがわかる。
【0033】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、多孔質無機酸化物基材中に貴金属の吸着サイトを分散させ、そこへ貴金属を担持させることとしたため、熱処理後の貴金属及び基材のシンタリングを抑制し、HC、CO及びNOxの浄化効率に優れる排ガス浄化用触媒を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】各貴金属担持粉末の貴金属分散度(700℃、1時間)を示すグラフである。
【図2】昇温評価試験の結果を示すグラフである。
【図3】昇温評価試験の結果を示すグラフである。
【図4】昇温評価試験の結果を示すグラフである。
Claims (8)
- 貴金属担持基材が貴金属を担持して成る排ガス浄化用触媒であって、
多孔質物質中に、貴金属吸着サイトとなり得る物質Aが分散されて成ることを特徴とする排ガス浄化用触媒。 - 上記物質Aが、熱劣化を抑制し得る物質Bを担持して成ることを特徴とする請求項1に記載の排ガス浄化用触媒。
- 上記多孔質物質が、アルミナ、セリア、ジルコニア、チタニア、シリカ、ゼオライト及びメソポーラスシリカから成る群より選ばれた少なくとも1種のものであることを特徴とする排ガス浄化用触媒。
- 上記物質Aが、アルミナ、セリア、ジルコニア、チタニア、シリカ、ゼオライト及びメソポーラスシリカから成る群より選ばれた少なくとも1種のものであり、且つ上記多孔質物質とは異なるものであることを特徴とする排ガス浄化用触媒。
- 上記物質Bが、アルミナ、セリア、ジルコニア、チタニア、シリカ、ゼオライト及びメソポーラスシリカから成る群より選ばれた少なくとも1種のものであり、且つ上記多孔質物質及び物質Aとは異なるものであることを特徴とする排ガス浄化用触媒。
- 上記貴金属が、パラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム及びインジウムから成る群より選ばれた少なくとも1種のものであることを特徴とする排ガス浄化用触媒。
- 上記物質Aが、貴金属担持基材の飽和担持量に対して70%以下の割合で含まれて成ることを特徴とする排ガス浄化用触媒。
- CO吸着法による上記貴金属の分散度が、大気雰囲気下、700℃及び1時間保持の耐久条件で、10%以上であることを特徴とする排ガス浄化用触媒。
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