JP2004147534A - 免疫調節作用関連の新規遺伝子及びTh1ヘルパーT細胞とTh2ヘルパーT細胞のバランスを調べる検査方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】Th1細胞あるいはTh2細胞に選択的に機能分子、すなわち、Th1及びTh2のいずれか一方において、他方よりも有意に多く発現又は生産されている、Th1又はTh2のマーカーとして利用可能な分子が発現していることを見出し、この機能分子をTh1/Th2バランスの診断法、治療法ならびに細胞医薬の開発に用いる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、Th1/Th2リンパ球による免疫バランスの検査方法及び疾患の診断・治療、さらにはこれに基づく医薬品開発に関するものである。本発明は、特に癌や白血病などの悪性新生物による疾患、糖尿病、肝障害、宿主対移植片反応、多発性硬化症、気道炎症、皮膚炎、動脈硬化等のリンパ球機能分子遺伝子の発現あるいは遺伝子産物であるタンパク質の発現や機能を検査することにより、Th1/Th2リンパ球による免疫バランスの診断と治療、さらにはこれらリンパ球の発現分子を修飾したり、標的とした化合物により、免疫を制御する医薬品の開発に有用である。
【0002】
【従来の技術】
T細胞に関する最近の免疫学研究の進展から、ヘルパーT細胞がTh1とTh2という2つのサブタイプに分かれ、これらによって多くの免疫反応がコントロールされていることがマウスで明らかにされた(Mosmann, T.R.: Ann. NY Acd. Sci. 664: 89, 1992)。その後、同様のヘルパーT細胞サブセットはヒトでも存在することが明らかとなり、Th1とTh2のバランスが、癌、感染症、自己免疫疾患、糖尿病を含む数々の病気の発症や進展に重要な働きを持つと推測されている(SpringerSeminars in Immunopathology vol.21(3), 1999および最新医学「自己免疫疾患の臨床1998」,32, 1998)。それらによれば、Th1とTh2は相互に機能的なバランスをとっており、このバランスが保たれている場合には健康な状態であるが、バランスが崩れ、Th1に偏向すると、糖尿病、肝障害、気道炎症、宿主対移植片反応、慢性関節リウマチ、多発性硬化症、動脈硬化、乾癬、腎炎等が、Th2に偏向すると癌、免疫不全、喘息、皮膚炎、アレルギー疾患、腎炎、感染症等が発症すると考えられている。
【0003】
この理論によれば、Th1/Th2バランスを矯正することが治療につながるため、これらの疾患において、Th1とTh2のどちらにどの程度傾いているか(偏向しているか)ということを知ることは、診断や治療に極めて重要である。
【0004】
このTh1/Th2バランスの偏向を診断する方法は、現在、特異的なサイトカインの産生を調べることで行われている。すなわち、ヘルパーT細胞を集めてIL−2やIFN−γ等の産生が優位の場合にはTh1側へ、IL−4、IL−5などの産生が優位の場合にはTh2側への偏向しているとされる。しかし、この方法が診断法として確立されているいう検証は行われていない(Wong, C.K. et al. Clin. Exp. Immunol. 125:177, 2001、Lassmann H. et al. Trends Mol. Med. 7:115, 2001)。
【0005】
実際、十分に説明できない事例が報告されている。例えば、Th1細胞誘発マウス肝傷害モデルにおいて、抗IFN−γ抗体の投与では肝傷害が抑制されないことから、Th1偏向とIFN−γが関与するという関係が明らかでないこと(Ohta, A. et al. J. Immunol. 165:956, 2000)、またTh2細胞誘発マウス喘息モデルにおいて、IL−4欠損マウスから誘導したTh2細胞を用いても気道過敏症が認められることから、Th2偏向とIL−4が関与するという関係が明確でないこと(Cohn, L. et al.J. Immunol. 161:3813, 1998)などである。このことは、Th1/Th2バランスをサイトカインでのみでは規定できないことを示唆している。
【0006】
このTh1/Th2バランスに基づく免疫制御法は、副作用が少なく、自然で新たな治療に結びつくと期待されており、最近、遺伝子治療、細胞療法などの形で臨床応用が始まってきているほか、細胞医薬としての応用も試みられだした。これらが実現するためには、簡便で有用なTh1/Th2バランスの測定法が必要であるが、現在行われているサイトカイン産生を調べる方法は、一定期間の細胞培養とその後のサイトカインの定量という煩雑で専門的な作業と設備を必要とするため、簡便さと精密さでは問題がある。
【0007】
これに代わる、よりTh1/Th2バランスの指標となる適切な分子の発見とその分析方法が求められているが、未だ確立はしていない。その課題として、Th1/Th2バランスの偏向の指標となる標的分子が同定されること、さらに標的分子は1つと限られるわけではないため、どの標的分子に着目した治療法がその患者にとって最も有効かという検証が必要とされる。また、患者の病態に合わせた標的分子の特定とそれを修飾して免疫状態を修正する治療法の開発も求められる。これらの背景には次のような現行医療の問題点が挙げられる。
【0008】
すなわち、従来の疾患治療の多くは、薬効が期待される薬剤で比較的画一的な治療が行われてきた。しかし、同じ疾患でも患者によりその発症機序や程度が異なったり、また同一の患者にあっても、病気の時期により病態像や機序が異なっているため、画一的な薬剤投与で十分な有効性が認められなかったり、逆に薬剤の副作用が問題となるなど、個人差や病態の違いを十分に考慮されていないために確実な治療方法としては不十分なところがある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
今後求められる治療としては、個々の患者の病態の詳細な診断が実施され、その診断結果に基づいて適切な治療法を施すというテーラーメード・セラピー(パーソナライズド・セラピー)が最も有用な治療法と考えられている。このような治療形態を考えると、多くの疾患がTh1/Th2バランスの偏向によって発症すると考えられることから、Th1/Th2偏向に関する精密で簡便な診断法とそれに基づく治療法の開発が極めて重要である。
【0010】
したがって、本発明の目的は、Th1/Th2バランスを正確かつ簡便に調べることができる検査方法並びに該検査方法に用いることができる新規な遺伝子及びその産物を提供することである。また、本発明の目的は、上記本発明の検査方法に有用な、測定用核酸並びに抗体及び該抗体の生産に有用な、組換えDNA体、形質転換細胞、生産方法を提供することである。さらに、本発明の目的は、Th1/Th2バランスを変化させることが可能な、ヘルパーT細胞を活性化又は抑制するヘルパーT細胞の加工方法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究の結果、極めて純粋なマウスTh1細胞及びTh2細胞を主に用いて、Th1細胞あるいはTh2細胞に選択的に機能分子が発現していることを見出し、この機能分子をTh1/Th2バランスの診断法、治療法ならびに細胞医薬の開発に応用可能であることに想到し、本発明を完成した。
【0012】
すなわち、本発明は、下記の(a)または(b)の核酸を提供する。
(a) 配列番号1若しくは3で表される塩基配列からなる核酸
(b) 配列番号1若しくは3で表される塩基配列からなる核酸と相補的な配列からなる核酸あるいはストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸であり、かつ免疫調節作用を有するタンパク質をコードする塩基配列からなる核酸。
【0013】
また、本発明は、下記の(c)または(d)のタンパク質を提供する。
(c) 配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質
(d) 配列番号2で表されるアミノ酸配列において1もしくは複数のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ免疫調節作用を有するタンパク質。
【0014】
さらに、本発明は、下記の(e)または(f)の核酸を提供する。
(e) 配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする核酸またはその相補鎖。
(f) 配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする核酸またはその相補鎖に対して少なくとも70%の相補性を有し、かつ免疫調節作用を有するタンパク質をコードする塩基配列からなる核酸。
【0015】
さらに、本発明は、Th1ヘルパーT細胞及び/又はTh2ヘルパーT細胞に発現した機能分子を利用したTh1ヘルパーT細胞とTh2ヘルパーT細胞のバランスを調べる検査方法を提供する。さらに本発明は、上記本発明の核酸の連続する15塩基以上の領域と同一若しくは相補的な配列を有する核酸又はこの核酸の10%以下の塩基が置換した核酸からなる、上記本発明の核酸の測定用核酸を提供する。さらに、本発明は、上記本発明の核酸又はその一部と、宿主細胞の中で発現可能なベクターDNAとが機能的に連結してなる組換えDNA体であって、宿主細胞中で上記本発明のタンパク質を発現する組換えDNA体を提供する。さらに、本発明は、該組換えDNA体により形質転換され、上記本発明のタンパク質を生産する細胞を提供する。さらに本発明は、この細胞を培養し、該細胞により生産された上記本発明のタンパク質を回収することを含む、上記本発明のタンパク質の製造法を提供する。さらに本発明は、上記本発明のタンパク質又は細胞を特異的に認識する抗体を提供する。さらに、本発明は、上記本発明のタンパク質、C/EBPα、GATA−4、Notch4、IRS−4、Placental Ca2+−Binding protein、CD6、Galactin−3、CD97、DEC1、Onzin、GBP3、CD49b、CD29、BMP−10、 Integrinβ7、PCSK3、GP49A、CTLA−2α、TDAG51、CD53、Lamininα5、PPARγ、ECM1、CRABP2、CYP11A (P450scc)、20α−Hydroxysteroid dehydrogenase (20α−HSD)、CCR2のうち、少なくとも1つのT細胞の機能分子を標的として、ヘルパーT細胞を活性化又は抑制する、ヘルパーT細胞の加工方法を提供する。
【0016】
【発明の実施の形態】
上記の通り、本発明の検査方法は、Th1ヘルパーT細胞(本明細書において、単に「Th1」又は「Th1細胞」ということがある)及び/又はTh2ヘルパーT細胞(本明細書において、単に「Th2」又は「Th2細胞」ということがある)に発現した機能分子を利用したTh1とTh2のバランスを調べることを含む。ここで、「機能分子」とは、Th1及びTh2のいずれか一方において、他方よりも有意に多く発現又は生産されている、Th1又はTh2のマーカーとして利用可能な分子を意味する。このような分子は、臨床検査分野において通常「マーカー」と呼ばれているものの範疇に入るものであるが、本発明で利用する分子の多くは、それ自体が免疫調節作用を有しているので、本明細書では、「機能分子」と命名した。本発明でいう「機能分子」には、マーカーとして利用可能なポリペプチドのみならず、該ポリペプチドをコードする核酸(例えば、mRNAやそれを鋳型として得られるcDNA)、及びポリペプチドをコードしていない又はコードしているか否かが不明であるが、マーカーとして利用可能な核酸も包含される。
【0017】
本発明で用いられる、Th1の機能分子としては、本発明によって全塩基配列とアミノ酸配列が見出された配列番号1又は3で示される塩基配列から成る核酸、配列番号2に示されるアミノ酸配列から成るポリペプチド、さらには、C/EBPα、GATA−4、Notch4、IRS−4、Placental Ca2+−Binding protein、CD6、Galactin−3、CD97、DEC1、Onzin、GBP3、CD49b、CD29及びBMP−10並びにこれらをコードする核酸である。またTh2細胞の機能分子は、Integrinβ7、PCSK3、GP49A、CTLA−2α、TDAG51、CD53、Lamininα5、PPARγ、ECM1、CRABP2、CYP11A (P450scc)、20α−Hydroxysteroid dehydrogenase (20α−HSD)及びCCR2並びにこれらをコードする核酸である。これらの機能分子は、単独でも組み合わせても本発明の検査方法に利用することができる。
【0018】
これらの機能分子のいくつかについて、具体的に説明する。ここではマウスを例にとるが、実質的にヒトで対応する機能分子も本発明に含まれ、臨床上の検査・診断や治療法の開発、医薬組成物にあってはヒトの機能分子が対象となる。
【0019】
配列番号1ならびに配列番号2は、Mm.28913と関連する遺伝子として本発明により同定された。Mm28913は、米国National Center for Biotechnology Information (NCBI)のUniGeneデータベースにおいてアクセスNo.AA389143として登録されているEST(新規遺伝子)であり、塩基配列は配列番号1ならびにアミノ酸配列は配列番号2のとおりである。AA389143はcDNA 断片で、その機能は不明であったが、以下に示すように、本発明によって配列番号1の核酸は、Mm28913の関連遺伝子として新たに本発明によって、Th1細胞で刺激後に発現の増加する新規遺伝子としてクローニングされ、同定された。
【0020】
すなわち、AA389143は、UniGeneデータベースにおいてMm.28913として登録されており、AA389143は、マウスリンパ節から分離された493bpのEST(cDNA断片)クローンである。このDNA断片を結合させたDNAチップを用いて、抗CD3抗体刺激前後のTh1細胞ならびにTh2細胞のmRNA中の遺伝子発現量を調べた。この結果、この遺伝子は抗CD3抗体刺激後のTh1細胞で発現が多く、Th2細胞で発現が少ないことがわかった。
【0021】
本発明でプラスミドにクローン化されたcDNA断片をプローブにして、マウスの脾臓由来のcDNAライブラリーをスクリーニングし、1582bpのcDNAをクローン化し、塩基配列を決定した。
【0022】
ここで新たにクローン化されたcDNA配列は少なくとも297アミノ酸残基をコードし、NCBIのUniGeneデータベースにおいてMm.28913と相同配列として登録されているヒトのNM_007045のFGFR1 oncogene partner (FOP)とはホモロジーがなかった。一方、98.6%のホモロジーがある認められたAK012033は、cDNAの塩基配列のみが決定されており、この遺伝子の生理機能について不明である。また、AK012033では192アミノ酸残基しかコードされていないことから、AA389143とは機能的に異なる遺伝子と考えられる。
【0023】
以上のことから、配列番号1の核酸は、Th1細胞で刺激後に発現の増加する新規遺伝子であるとして同定され、免疫調節作用を有する分子と考えられた。
【0024】
配列番号3は、Mm.20021と関連する遺伝子として本発明により同定された。Mm.90021は、米国NCBIのUniGeneデータベースにおいてアクセスNo.AA266782として登録されているEST(新規遺伝子)であり、塩基配列は配列番号3のとおりである。この遺伝子は本発明において、ヘルパーT細胞に発現されることが初めて見出された。
【0025】
AA266782は、NCBIのUniGeneデータベースにおいてMm.90021として登録されており、マウスリンパ節から分離された540bpのEST(cDNA断片)クローンである。このDNA断片を結合させたDNAチップを用いて、抗CD3抗体刺激前後のTh1細胞ならびにTh2細胞のmRNA中の遺伝子発現量を調べた。この結果、配列番号3の核酸は、Mm.90021の関連遺伝子として新たに本発明によってTh1細胞で強く発現し、Th2細胞で発現が少ないことがわかった。
【0026】
AA266782はcDNA断片であり、NCBIの遺伝子データベースをホモロジー検索(BLASTサーチ)ではタンパク質をコードする配列領域は検出されず、マウスのAquaporin2遺伝子ともホモロジーを持たず、また、UniGeneのMm.90021には、AA266782のほかに10種類のESTが登録されているものの、いずれも既知の遺伝子とはホモロジーを有せず、遺伝子産物の機能も全く不明であった。
【0027】
以上のことから、配列番号3の核酸は、Th1細胞で刺激後に発現の増加する新規遺伝子であるとして同定され、免疫調節作用を有する分子と考えられた。
【0028】
本発明によってその機能が明らかにされた配列番号1と配列番号3は、好ましくはTh1細胞に発現されるが、他の細胞にも発現され、その遺伝子、遺伝子産物、またそれらに対する抗体の利用に関してはTh1細胞にのみ限定されるものではない。これらの分子は、その利用の用途として、その遺伝子あるいはアンチセンスを細胞内に組み込むことによる遺伝子治療、その発現タンパク質自体あるいは発現タンパク質の修飾体を有効成分あるいは標的分子とする医薬や検査・診断薬の開発に利用することができる。
【0029】
配列番号1あるいは3のいずれかで表される塩基配列からなる核酸と相補性をもつ核酸は、配列番号1あるいは3と類似の有用性をもつと考えられ、すなわち、配列番号1あるいは3のいずれかで表される塩基配列からなる核酸と相補的な配列からなる核酸あるいはストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸であり、かつ免疫調節作用を有するタンパク質をコードする塩基配列からなる核酸も本発明に含まれる。なお、ここで、「ストリンジェント」な条件とは、5 x Denhardt’s reagent, 6 x SSC,0.5% SDS又は0.1% SDSといった一般的なハイブリダイゼーション溶液を用いて50〜65℃で反応を行なう条件を意味する。
【0030】
また、配列番号1の3−893の塩基配列に対応する配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする核酸と70%以上の相補性を有する核酸であって、かつ免疫調節作用を有するタンパク質をコードする塩基配列からなる核酸も本発明に含まれる。相補性は、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上である。なお、核酸の塩基配列やポリペプチドのアミノ酸配列の相同性は、FASTAのような周知のコンピューターソフトを用いて容易に算出することができ、このようなソフトはインターネットによっても利用に供されている。さらに配列番号2で表されるアミノ酸配列において1もしくは複数のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からるタンパク質は、配列番号2と類似の有用性をもつ免疫調節作用を有するタンパク質と考えられ、本発明に含まれる。なお、ここで、「複数」は、数個以下であることが好ましい。また、アミノ酸配列の相同性が、80%以上のものが好ましく、さらに好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上である。
【0031】
C/EBPαは、C/EBP (CCAAT/enhancer−binding proteins)ファミリーの1つで、遺伝子の発現を制御する転写因子である。標的遺伝子配列は、T(T/C)NNGNAA(T/G)で、C端にB−Zip構造を持つことが知られている(Christy,R.J. et al. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 88: 2593, 1991)。マウスC/EBPαの塩基配列はGenBank Accession No. M62362のとおりであり、またアミノ酸配列はこの塩基配列の516−1700に対応する配列番号4のとおりである。この分子の機能は肝細胞の増殖、脂質代謝、好中球の分化などに重要であることが報告されている(Mischoulon, D. et al. Mol. Cell. Biol. 12:2553, 1992, Metzger, S. et al. J. Biol. Chem. 265:9978, 1990, Smith, L.T. et al. Blood. 88:1234, 1996)。しかしながら、この分子の医療応用上の有用性はまだ明確には見出されてはいない。
【0032】
GATA−4は、GATAファミリーの1つで、遺伝子の発現を制御する転写因子である。標的遺伝子配列は、(A/T)GATA(A/G)で、Znフィンガー構造を持つことが知られている。マウスGATA−4の塩基配列はGenBank Accession No. AF179424のとおりであり、またアミノ酸配列はこの塩基配列の29−1351に対応する配列番号5のとおりである。この分子は、体内臓器特に心臓に多く発現しており、細胞の遊走に関与することが示唆されている(Kuo,C.T. et al. Genes Dev. 11:1048, 1997、Molkentin,J.D. et al. Genes Dev. 11:1061, 1997)。しかしながら、この分子の免疫学上の意義および医療応用上の意義はまだ見出されてはいない。
【0033】
Notchファミリーは、発生過程における細胞間相互作用にかかわる細胞膜レセプター型タンパク質であり、その機能は多岐にわたることが知られている(Artavanis−Tsakonas,S. et al. Science 284:770, 1999)。その中でNotch4は、血管内皮細胞に発現するプロトオンコジーンとして見出されたが、その後いくつかの癌にもその発現が見出されている(Uyttendaele,H. et al. Development 122:2251, 1996、Imatani,A. et al. Oncogene 19:223, 2000)。マウスNotch4の塩基配列はGenBank Accession No. U43691のとおりであり、またアミノ酸配列はこの塩基配列の347−6238に対応する配列番号6のとおりである。しかしながら、Notch4の免疫学上の意義および医療応用上の意義は見出されてはいない。
【0034】
IRS−4は、インシュリンレセプター基質(Insuline−Receptor−Substrate:IRS)ファミリーの1つであり、インシュリンの糖代謝作用や細胞増殖作用等の多機能な作用を伝えうるタンパク質である。その中でも、IRS−4は、最近見出されたものであり、IRSファミリーの他のものと同様に糖代謝作用や細胞増殖にも関与していることが知られている(Fantin,V.R. et al. Endocrinology 140:1329, 1999、Fantin, V.R. et al. Am. J. Physuol. Endocrinol. Metab. 278:E127, 2000、Qu,B.H. et al. J. Biol. Chem. 274:31179, 1999)。マウスIRS−4の塩基配列はGenBank Accession No. AF087797のとおりであり、またアミノ酸配列はこの塩基配列の217−3864に対応する配列番号7のとおりである。また、IL−4による造血細胞の増殖に関与しているという報告もあるが(Fantin, V.R. et al. Biochem. Biophys. Res. Commun. 260:718, 1999)、臨床応用上の意義は見出されていない。本発明においては、IL−4が増殖分化に必要なTh2細胞には発現しておらずに、IL−4を必要としていないTh1細胞に発現していることを明らかにした。
【0035】
Placental Ca2+ binding proteinは、胎盤にて見出されたカルシウム結合タンパク質である。マウスPlacental Ca2+ binding proteinの塩基配列はGenBank Accession No. X05835のとおりであり、またアミノ酸配列はこの塩基配列の10−312に対応する配列番号8のとおりである。カルシウムイオンは重要な細胞内情報伝達分子であり、細胞の分化や活性化など様々な細胞機能に関与している。Placental Ca2+ binding proteinは、S100タンパク質ファミリーの1つであるが胎盤での機能に関しては十分な報告がない(Jackson−Grusby,L.L. et al. Nucleic Acids Res. 15:6677, 1987)。また免疫系での関与も解明されておらず、その臨床応用上の意義も見出されていない。
【0036】
CD6は、T細胞やB細胞の一部、神経細胞の一部などに発現している糖タンパク質である(Pal,A. et al. Immunol. Lett. 49:133, 1996)。マウスCD6の塩基配列はGenBank Accession No. U35370のとおりであり、またアミノ酸配列はこの塩基配列の119−1996に対応する配列番号9のとおりである。CD6は、T細胞における副刺激分子として知られ、T細胞の分化や活性化、細胞増殖に関与していることが知られている(Aruffo,A. et al. Immunol. Today 18:498, 1997)。しかしながら、免疫疾患との関係や、臨床応用上の意義は定かではない。
【0037】
Galectin−3は、Galectinファミリーの1つであり、β−ガラクトース特異的レクチンであり、相補的糖タンパク質と結合することにより、細胞間相互作用など様々な生理作用に関与することが知られている(Kasai,K. et al. J. Biochem. 119:1, 1996)。マウスGalectin−3の塩基配列はGenBank Accession No. X16834のとおりであり、またアミノ酸配列はこの塩基配列の44−835に対応する配列番号10のとおりである。機能としては、嗅細胞の形態形成やマクロファージなどの接着、糖化タンパク質のレセプターなどが知られてはいるが、必ずしも明確ではない(Puche,A.C. et al. Dev. Biol. 179:274, 1996、Hughes,R.C. Glycobiology 4:5, 1994、Pricci,F. Kidney Int. Suppl. 77:S31, 2000)。また、臨床応用上の意義も見出されていない。
【0038】
CD97は、EGF様構造を持つ7回膜貫通型レセプターファミリーの1つであり、クラスII型Gタンパク質と共益していることが知られている。マウスCD97の塩基配列はGenBank Accession No. AF146344のとおりであり、またアミノ酸配列はこの塩基配列の46−2217に対応する配列番号11のとおりである。またCD97のリガンドは、CD55(Decay−accelerating factor)ということが知られている。CD97は、活性化リンパ球などに発現していることが知られているが、その詳細な機能や役割及び臨床応用上の意義は、明確ではない(Hamann,J. et al. In: Leukocyte Typing VI. Editors: Kishimoto,T. et al. Garland Publishing,Inc. p527, 1997、Qian,Y.M. et al. Immunology 98:303, 1999)。
【0039】
DEC1は、塩基性helix−loop−helixタンパク質の1つで、発見された経緯からStra13, Sharp2, BHLHB2 とも呼ばれている転写因子として知られている。マウスDEC1の塩基配列はGenBank Accession No. AF01305のとおりであり、またアミノ酸配列はこの塩基配列の217−1449に対応する配列番号12のとおりである。DEC1は、神経細胞や線維芽細胞、軟骨細胞などいろいろな細胞に発現しており、細胞の増殖、分化、活性化に関与していることが報告されている(Boudjelal,M. et al. Genes Dev. 11:2052, 1997、Shen,M. et al. Eur. J. Cell Biol. 80:329, 2001)。しかしながら、免疫疾患との関係や、臨床応用上の意義は見出されていない。
【0040】
Onzinは、2000年にアメリカのNCBI(National Center for Biotechnology Infomation)のGenBankに、LIF(Leukemia Inhibitory Factor)により制御を受ける遺伝子として登録されている(アクセスNo.:AF263458)。マウスOnzinの塩基配列はGenBank Accession No. AF263458のとおりであり、またアミノ酸配列はこの塩基配列の79−414に対応する配列番号13のとおりである。現在のところ、Onzinに関する報告は、これ以外にはなく、免疫学的な知見や免疫疾患との関連、臨床応用上の意義は見出されていない。
【0041】
GBP3は、グアニル酸結合タンパク(guanylate−binding protein)の1つであり、細胞の分化、増殖、活性化に関与しているシグナル伝達物質である。マウスGBP3の塩基配列はGenBank Accession No. U44731のとおりであり、またアミノ酸配列はこの塩基配列の109−1968に対応する配列番号14のとおりである。赤芽球やマクロファージなど種々の細胞に発現されていることが知られ、インターフェロン−γで発現が誘導されることが報告されている(Strehlow,I. Gene 144:295,1994、Han,B.H. Biochim. Biophys. Acta 1384:378, 1998、Han,B.H. Arch. Pharm. Res. 22:130, 1999)。しかしながら、免疫疾患との関係や、臨床応用上の意義は定かではない。
【0042】
CD49bは、別名インテグリンα2と呼ばれ、インテグリンβ1(CD29)とヘテロ2量体を形成し、VLA−2という接着分子を形成している。マウスCD49bの塩基配列はGenBank Accession No. NM_008396のとおりであり、またアミノ酸配列はこの塩基配列の113−3646に対応する配列番号15のとおりである。VLA−2は細胞外基質のコラーゲンやラミニンと結合し、細胞の分化、活性化、進展などに重要とされている(Wu,J.E. et al. Dev. Dyn. 199:292, 1994、Edelman,J.M. et al. CellAdhes.Commun. 2:131, 1994、Miyake,S. et al. Eur. J. Immunol. 24:2000, 1994)。T細胞でも発現しており、活性化や細胞浸潤への関与が報告されているが、Th1細胞やTh2細胞に関しては報告されていない。また、Th1/Th2免疫バランスに関する臨床応用上の意義も報告されていない。
【0043】
CD29は、別名インテグリンβ1と呼ばれ、インテグリンα鎖とヘテロ2量体を形成し、VLAファミリーという接着分子を形成している。マウスCD29の塩基配列はGenBank Accession No. Y00769のとおりであり、またアミノ酸配列はこの塩基配列の95−2488に対応する配列番号16のとおりである。VLAファミリーは細胞外基質のコラーゲン、ラミニン、ファイブロネクチンやVCAM−1、MadCAM−1といった分子と結合し、細胞の分化、活性化、進展などに重要とされている(Hemler,M.E. et al. Curr. Opin. Hematol. 2:61, 1995、Wadsworth,S.A. et al. J. Immunol. 154:2125, 1995)。T細胞でも発現されており、活性化や細胞浸潤への関与が報告されているが、Th1細胞やTh2細胞に関しては報告されていない。また、Th1/Th2免疫バランスに関する臨床応用上の意義も報告されていない。
【0044】
BMP(Bone Morphogenetic Protein)は、骨形成タンパク質であり、異所性に骨組織の形成を誘導するタンパク質として発見された。その後,BMP遺伝子がクローニングされ,そのアミノ酸配列からTransforming Growth Factor β(TGF−β)に構造が類似していることが明らかになっている。現在、BMPはBMP −1からBMP−15までの存在が知られており,BMP−1を除く他のBMPはすべてTGF−βスーパーファミリーに属している。BMPは、本来異所性の骨形成を誘導する因子として発見されたが、その後、骨形成ばかりでなく初期発生やさまざまな臓器の形成に重要な役割を果たしていることがわかってきている。BMP−10に関しては、心臓に発現しており、心臓の形態・機能形成に重要な役割をしているという報告のみで(Neuhaus,H. et al. Mech. Dev. 80:181, 1999)、免疫疾患との関係や、臨床応用上の意義は見出されていない。マウスBMP−10の塩基配列はGenBank Accession No. NM_009756のとおりであり、またアミノ酸配列はこの塩基配列の1−1260に対応する配列番号17のとおりである。
【0045】
Integrinβ7は、Integrinα4もしくはIntegrinαIELとヘテロ2量体を形成する細胞接着分子である(Hu,M.C. et al. Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A. 89:8254, 1992、Strauch,U.G. et al. Int.Immunol. 6:263, 1994)。マウスIntegrinβ7の塩基配列はGenBank Accession No. M95633のとおりであり、アミノ酸配列はこの塩基配列の33−2450に対応する配列番号18のとおりである。細胞接着分子は、細胞同士のあるいは細胞外基質との接着に重要であり、組織構築や細胞の組織へのホーミングに重要である。Integrinβ7は、T細胞サブセット、B細胞、好酸球、NK細胞などに発現していることが知られており、特にT細胞ではパイエル板の血管内皮細胞上のMAdCAM−1との接着を介してT細胞の消化管への再循環に関与するホーミング分子として知られている(Shaw,S.K. et al. Semin.Immunol. 7:335, 1995)。大腸炎などの消化管炎症に免疫系の関与が報告されており、Integrinβ7もその関与が示唆されているが(Ni,J. et al. Gut 39:234, 1996)、必ずしも明確ではなく、またその臨床応用上の意義も定かではない。
【0046】
PCSK3(proprotein convertase subtilisin/kexin type 3)は、セリンプロテアーゼの一種である(Creemers,J.J.W. et al. Mol.Biol. 11:127, 1992、van Duijnhoven,H.H.L. et al. Hybridoma 11:71, 1992)。マウスPCSK3の塩基配列はGenBank Accession No. NM_011046のとおりであり、アミノ酸配列はこの塩基配列の392−2770に対応する配列番号19のとおりである。その機能として、種々の前駆タンパク質からタンパク質を生成することが知られているが、まだその詳細は解明されておらず、またその臨床応用上の意義も見出されていない。
【0047】
GP49Aは、免疫グロブリンスーパーファミリーの一種で肥満細胞やNK細胞に発現していることが知られているがT細胞に発現していることは知られていない。マウスGP49Aの塩基配列はGenBank Accession No. NM_008147のとおりであり、アミノ酸配列はこの塩基配列の42−950に対応する配列番号20のとおりである。その機能は、自然免疫に関与し細胞の活性化もしくは抑制性のシグナルを伝えているのではないかと予想されているが、まだ十分に明らかにされていない(Arm,JP. et al. J. Biol. Chem. 266:15966, 1991、Lee,KH. et al. J. Immunol. 165:4970, 2000)。免疫細胞の活性化もしくは抑制に関与しているらしいことより、臨床応用上の意義が存在するが、まだその応用は行われていない。
【0048】
CTLA−2αは、細胞傷害性T細胞に発現している抗原として見出された。その後肥満細胞などにも発現していることが報告されているが、その機能についてはまだ解明されていない(Denizzot,F. et al. Eur. J. Immunol. 19:631, 1989、Delaria,K. et al. J. Biol. Chem. 269:25172, 1994)。マウスCTLA−2αの塩基配列はGenBank Accession No. NM_007796のとおりであり、アミノ酸配列はこの塩基配列の7−414に対応する配列番号21のとおりである。免疫細胞に発現していることより免疫疾患への応用が期待されているが、まだその意義は見出されていない。
【0049】
TDAG51は、T cell death associated gene 51の略であり、T細胞は活性化を受けた後アポトーシスを起こすが、その際に誘導されるタンパク質である。マウスTDAG51の塩基配列はGenBank Accession No. NM_009344のとおりであり、アミノ酸配列はこの塩基配列の552−1334に対応する配列番号22のとおりである。最近の報告では必ずしも細胞の死と関係あるわけではないとの報告もあり、まだ機能は十分に解明されているわけではない(Park,C.G. et al. Immunity 4:583, 1996、Rho, J. et al. Mol. Cell. Biol. 21:8365, 2001)。また免疫疾患への応用が期待されているが、まだその意義は見出されていない。
【0050】
CD53は、白血球に発現している抗原として知られている。マウスCD53の塩基配列はGenBank Accession No. NM_007651のとおりであり、アミノ酸配列はこの塩基配列の1−657に対応する配列番号23のとおりである。細胞の活性化あるいは細胞の死との関係を示唆する報告もあるが、その機能はまだ定かではない(Wright,M.D. et al. Int. Immunol. 5:209, 1993、Voehringer,D.W. et al. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 97:2680, 2000、Hernandez−Torres,J. et al. J. Biol. Chem. 276:35405, 2001)。また臨床応用上の意義も見出されてはいない。
【0051】
Lamininα5は、ラミニンという基底膜を構成する高分子糖タンパク質を構成する分子の1つである。マウスlamininα5の塩基配列はGenBank Accession No. U37501のとおりであり、アミノ酸配列はこの塩基配列の1−10905に対応する配列番号24のとおりである。ラミニンの生理活性は、細胞の接着、進展、増殖、分化、細胞間シグナル伝達など多岐に関与していることが知られている(Miner,J.H. et al. J. Biol. Chem. 270:28523, 1995、Sasaki,T. et al. FEBS Letter 509:181, 2001)。T細胞が発現するラミニンの意義や生物学的役割などは報告がなく、また臨床応用上の意義も見出されてはいない。
【0052】
PPARγは、脂質代謝系酵素発現の制御に関与しているタンパク質の1つとして見出された。マウスPPARγの塩基配列はGenBank Accession No. U01841のとおりであり、アミノ酸配列はこの塩基配列の419−1915に対応する配列番号25のとおりである。機能としては、脂肪細胞の増殖や分化やプロスタグランディンJ2のレセプターであることが知られている。プロスタグランディンJ2のレセプターはT細胞にも発現していることが報告され、サイトカイン等の産生に関与していることも報告されている(Zhu,Y. et al. J. Biol. Chem. 268:26817, 1993、Tontonoz,P. et al. Genes & Dev. 8:1224, 1994、Harris,S.G. et al. J. Immunol. 168:1372, 2002)。臨床応用上の意義は、糖尿病、肥満、高脂血症などへの関与や抗炎症作用におけるマーカーとして期待されているが、Th1/Th2免疫バランスに関する報告はなく、その応用が期待される。
【0053】
ECM1は、基底膜を構成する高分子糖タンパク質の1つである。マウスECM1の塩基配列はGenBank Accession No. NM_007899のとおりであり、アミノ酸配列はこの塩基配列の121−1797に対応する配列番号26のとおりである。ECM1の生理活性は、細胞の接着、進展、増殖、分化、や血管新生に関与していることが示唆されている(Bhalerao,J. et al. J. Biol. Chem. 270:16385, 1995、Han,Z. et al.FASEB J. 15:988,2001)。T細胞が発現するECM1の意義や生物学的役割などは報告がなく、また臨床応用上の意義も見出されてはいない。
【0054】
CRABP2は、ビタミンAの活性本体であるレチノイン酸の細胞内結合タンパク質の1つであり、細胞内のレチノイン酸濃度を規定している。マウスCRABP2の塩基配列はGenBank Accession No. M35523のとおりであり、アミノ酸配列はこの塩基配列の116−529に対応する配列番号27のとおりである。CRABP2は、細胞の分化や活性化に関与する分子であることが報告されているが、その意義や役割については十分に解明されていない(Giguere,V. et al. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 87:6233, 1990、Lampron,C. et al. Development 121:539, 1995、Fawcett,D.et al. Development 121:539, 1995)。また臨床応用への試みも行われていない。
【0055】
CYP11Aは、別名 P450 cholesterol side−chain cleavage (P450scc) とも呼ばれ、コレステロールに側鎖開裂を引き起こし、プレグネノロンを生合成する酵素である。マウスCYP11Aの塩基配列はGenBank Accession No. NM_019779のとおりであり、アミノ酸配列はこの塩基配列の23−1600に対応する配列番号28のとおりである。このプレグネノロンは、3β−ヒドロキシ−Δ5−ステロイドデヒドロゲナーゼあるいはステロイドΔ−イソメラーゼの作用によりプロゲステロンと代謝される。プロゲステロンは、さらに代謝され、種々のステロイドホルモンが生成されることが知られている。(「細胞機能と代謝マップ I.細胞の代謝・物質の動態」(株)東京化学同人,1997)。プロゲステロンは、妊娠中に増加するホルモンであり、妊娠の維持に深く関わっていることが知られている。また、ステロイドホルモンはその抗炎症作用や免疫抑制作用も知られ医薬品としても用いられている。プロゲステロンも、抗炎症作用や免疫抑制作用を有することが報告されているが(Kovalovsky D. et al. J. Neuroimmunol. 109:23, 2000、Moro M.H. et al. J. Immunol. 166:7404, 2001)、プロゲステロン生成におけるT細胞の関与については報告されていない。
【0056】
20α−ヒドロキシステロイドデキドロゲナーゼ(20α−HSD)は、プロゲステロンを代謝し20α−ヒドロキシプロゲステロンを生成する酵素である。マウス20α−HSDの塩基配列はGenBank Accession No. AB059565のとおりであり、アミノ酸配列はこの塩基配列の34−1002に対応する配列番号29のとおりである。20α−HSDにより、プロゲステロンが代謝されることにより、プロゲステロンの作用が失われることも知られている。またプロゲステロンは、他の酵素により代謝され、種々のステロイドホルモンが生成されることが知られている(「細胞機能と代謝マップ I.細胞の代謝・物質の動態」(株)東京化学同人、1997)。プロゲステロンは、妊娠中に増加するホルモンであり、妊娠の維持に深く関わっているホルモンである。また、ステロイドホルモンにはその抗炎症作用や免疫抑制作用も知られ、医薬品としても用いられている。プロゲステロンも、抗炎症作用や免疫抑制作用があることも報告されているが(Kovalovsky D. et al. J. Neuroimmunol. 109:23, 2000、Moro M.H. et al. J. Immunol. 166:7404, 2001)、プロゲステロンの代謝におけるT細胞の関与については報告されていない。
【0057】
CCR2は、Gタンパク質共役型7回膜貫通型のケモカインレセプターである。発現はマクロファージや平滑筋細胞、繊維芽細胞、一部のT細胞などに認められることが報告されている。マウスCCR2の塩基配列はGenBank Accession No. NM_009915のとおりであり、アミノ酸配列はこの塩基配列の134−1252に対応する配列番号30のとおりである。そのリガンドであるケモカインは、MCP−1,MCP−2,MCP−3,MCP−4,MCP−5が知られている(Boring,L. et al. J. Biol. Chem. 271:7551, 1996)。医学的には動脈硬化に関与しているという報告があるが(Boring, L. et al. Nature 394:894, 1998)、T細胞における役割は解明されておらず、臨床応用上の意義も見出されていない。
【0058】
本発明の検査方法は、ヘルパーT細胞における、上記した機能分子の発現量を測定することにより、Th1/Th2バランスがTh1偏向かTh2偏向かを検査する方法である。好ましい例として、患者もしくは疾患モデルのリンパ球から、公知の方法にてRNAを抽出し、メッセンジャーRNA(mRNA)を精製後、例えばRT−PCR法などにより機能分子のmRNA発現量を調べることにより、患者もしくは疾患モデル動物のTh1/Th2バランスがTh1偏向かTh2偏向かを検査する方法を挙げることができる。たとえば、10個以上のリンパ球、好ましくは106個以上のリンパ球から、たとえばISOGEN(ニッポンジーン社製)などを用いて、トータルRNAを抽出し、オリゴdTプライマーを用いて、0.1μg以上の、好ましくは1.0μg以上のトータルRNAから逆転写して得られたcDNAを用いて、サーマルサイクラー(たとえばアプライドバイオシステムズジャパン(株)製 GeneAmp9700)にてPCRを行う。増幅したDNA断片は電気泳動(たとえばコスモバイオ社製 i−Mupid J)を行い、特異的に増幅されたバンドをデンシトグラフ(たとえばアトー社製AE−6920)にて測定する。あるいは、NASBA法等により、mRNAを直接増幅して、その増幅産物を測定することもできる。Th1とTh2の比は、好ましくは1.5倍以上、さらに好ましくは5倍以上のものとする。検査する方法はこれに限らず、あるいは、好ましくは、患者もしくは疾患モデルのリンパ球のタンパク質を、機能分子に対する抗体を用いて、酵素免疫学的測定法やウェスターンブロット法、フローサイトメトリー法などにて機能分子のタンパク質発現量や細胞数を調べることにより、患者もしくは疾患モデルのTh1/Th2バランスがTh1偏向かTh2偏向かを検査する方法である。さらには、好ましくは、患者もしくは疾患モデルのリンパ球から、タンパク質を抽出し、その機能を各機能分子に適切な方法たとえばゲルシフトアッセイやタンパク質のリン酸化などで調べることにより、患者もしくは疾患モデルのTh1/Th2バランスがTh1偏向かTh2偏向かを検査する方法である。また、好ましくは、患者もしくは疾患モデル動物のリンパ球からTh1やTh2の細胞を誘導するときに、あるいは誘導したTh1やTh2の細胞を例えば抗CD3抗体などで刺激したときに、発現誘導される機能分子のRNA量やタンパク質量を指標にしてTh1/Th2バランスを診断する方法である。
【0059】
また、ヘルパーT細胞の機能分子の遺伝子産物が、細胞の活性に影響をもつ場合、これを利用した細胞医薬品の加工に応用する方法である。具体例としては、ヘルパーT細胞群をプロゲステロン処理することにより、Th1ヘルパー細胞を抑制し、Th2ヘルパーT細胞群を選択的に回収することができる方法が挙げられる。さらに、機能分子に作用するような医薬品であるプロゲステロンを、たとえばTh1細胞側に偏向した生体に投与することにより、生体のTh1/Th2バランスを整えたり偏向させる治療に応用することができる。このような、細胞処理と加工や生体のTh1/Th2バランス調整を行うためには、機能分子の遺伝子産物と作用し得る適切なステロイド類、抗炎症剤、酵素阻害剤、代謝阻害剤等が用いられる。
【0060】
本発明で用いる患者もしくは疾患モデルの材料は、好ましくはリンパ球であるが、リンパ球を含む組織あるいはリンパ系組織など、本発明で規定される機能分子が含まれる材料であればいずれであってもかまわない。また採取した材料はそのまま検査しても良いが、試験管や培養プレートなどを用いてインビトロで培養を行った後でもよい。また、培養の際に、プロテインキナーゼ活性化剤、カルシウムイオノフォア、ヌクレオチド、サイトカイン誘導物質、マイトージェン、抗体、抗原、癌特異的ペプチドや腫瘍細胞などの適当な刺激物質で刺激してもかまわない。
【0061】
ここで用いる機能分子の発現量の測定方法は、上記に限らず他の方法でもかまわない。また、測定するものも上記に限らず、DNAであっても良い。また測定対象が発現量ではなく、DNAやRNAの遺伝子配列、タンパク質のアミノ酸配列であっても良い。さらには測定が発現量や構成(核酸やアミノ酸の量や配列)ではなく、機能分子を発現した細胞自体や機能分子を発現した組織さらには生物活性や生理機能などの機能分子の表現機能であってもかまわない。
【0062】
上記の通り、本発明は、Th1の機能分子として用いられる、配列番号1〜3で表される配列又はこれらに類似する配列を有する核酸及びポリペプチドを新たに提供したが、本発明は、さらに、これらの本発明の核酸の測定に有用な測定用核酸をも提供する。すなわち、本発明は、上記本発明の核酸の連続する15塩基以上の領域と同一若しくは相補的な配列を有する核酸又はこの核酸の10%以下の塩基が置換した核酸からなる、上記本発明の核酸の測定用核酸をも提供する。このような測定用核酸は、通常、核酸増幅法のプライマー又は核酸プローブとして用いられるものである。PCR法やNASBA法のような核酸増幅法自体はこの分野において周知であり、プライマーの塩基配列さえ設定すれば、市販のキット及び装置を用いて容易に実施することができる。核酸増幅法により検査を行う場合、鋳型となるのは、通常、mRNA又は該mRNAを鋳型として生成されるcDNAである。また、核酸プローブを用いた検査方法としては、ノーザンブロット法やサザンブロット法を挙げることができる。核酸プローブとしては、蛍光標識、ビオチン標識、放射標識、酵素標識などで標識した標識プローブを用いることもできるし、固相に不動化して、標的核酸をハイブリダイゼーションにより固相にトラップするための固相プローブとして用いることもできる。核酸の標識化や、固相への不動化は周知の方法により行うことができる。プライマーとして用いる場合、核酸のサイズは、15塩基以上50塩基以下が好ましく、20塩基以上40塩基以下程度が好ましい。また、プローブとして用いる場合には、サイズは15塩基以上、鋳型核酸の全長以下である。
【0063】
本発明によって提供される機能分子と病態との関連を調べることにより、診断への応用のみならず、該機能分子を標的としたり、あるいは該機能分子の機能を修飾する物質を医薬として開発することができる。その場合、機能分子自体を発現する細胞や組織、動物、さらには機能分子の遺伝子を導入した細胞あるいは遺伝子を導入した動物を研究材料として用いてもよい。また、機能分子の遺伝子やタンパク質を欠失させたり、遺伝子の突然変異体を導入したり、人工的に合成した遺伝子を付加したり、遺伝子配列の一部を改変したものを導入した形質転換した細胞もしくは動物を用いてもかまわない。このようにして得られるTh1/Th2バランスを制御しうる医薬用途の物質は、患者の病態に合わせたテーラーメード・セラピー(パーソナライズド・セラピー)として利用することができる。
【0064】
具体的には、ヘルパーT細胞の機能分子の遺伝子、遺伝子発現、遺伝子産物、遺伝子産物の生理活性、遺伝子を導入した細胞の少なくとも1つを指標として、検出手段が、電気泳動、抗体、可視光、蛍光、光の偏向や屈折や散乱、電気伝導度の変化等を検出手段とし、核酸やタンパク質を結合したフィルターやメンブラン、粒子、アレイや固体素子等の不溶化物のうち、少なくとも1つを用いることができる。これにより、免疫バランスの偏向した疾患の診断が可能となり、それに基づいて、治療のための医薬や治療法の開発が可能となる。医薬や治療法の開発には、少なくとも1種類の遺伝子の発現あるいは遺伝子産物を標的とし、その機能を修飾する方法が用いられる。
【0065】
機能を修飾する有効成分としては、遺伝子自体、アンチセンス、アプタマー、デコイ型核酸、遺伝子発現調節物質、遺伝子産物、遺伝子産物抗体あるいは遺伝子産物合成阻害物等が挙げられる。
【0066】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づきより具体的に説明する。
【0067】
実施例1 Mm.28913(アクセスNo.AA389143)の新規遺伝子として配列番号1の同定
AA389143は、マウスリンパ節から分離された493bpのEST(cDNA断片)クローンであり、このDNA断片を結合させたマイクロアレイ(Incyte Genomics社のGEMマイクロアレイ)を用いて、抗CD3抗体刺激前後のTh1細胞ならびにTh2細胞のmRNA中の遺伝子発現量を調べた結果、この遺伝子は抗CD3抗体刺激後のTh1細胞で発現が多く、Th2細胞で発現が少ないことがわかった。
【0068】
AA389143をもとにNCBIのデータベースを用いてマウスEST配列のホモロジー検索を行うと、同じ遺伝子のcDNA断片と考えられるAA989754の配列を見出すことができた。次にAA989754内の塩基配列tgtctgcgtacatcccttcaと、AA389143内のtgtctaaaggaggagggcagtの2つのオリゴヌクレオチドを合成し(Invitrogen社)、これらの2つのEST配列にまたがるcDNA断片を増幅するためのプライマーとした。プライマーは、この配列に限定されるわけではなく、二つのEST配列にまたがる適切な配列を用いてかまわない。次に、抗CD3抗体刺激前後のTh1細胞ならびにTh2細胞のRNAを、オリゴdTをプライマーとしてSuperscript II RNaseH− Reverse Transcriptaseにより逆転写し、上記のプライマーを用いて、サーマルサイクラー(アプライドバイオシステムズジャパン(株)製 GeneAmp9700)にてRT−PCRを行った。このPCR産物を用いてアガロースゲル電気泳動を行い、PCR産物のバンドの強度をLane & spot analyzer(アトー株式会社デンシトグラフシステム)を用いて定量した結果、刺激後のTh1細胞では、刺激前のTh1細胞やTh2細胞に比べて発現量が約2倍に増えていることが判明した。Th1細胞からのRT−PCRで増幅された489bpのDNA断片を、pGEM−T Easy vector(Promega社)にクローン化し、BigDye TerminatorおよびABI PRISM 310 genetic analyzer(Applied Biosystems社)により塩基配列を決定して、正しくクローン化されていることを確認し、このプラスミドクローンからcDNA部分を増幅して、新たにDNAアレイフィルターを作製し、Th1およびTh2細胞のRNAを用いて発現量を検討した。すなわち、増幅したcDNA断片10ngをナイロンメンブレンにスポットしてアレイを作製し、プローブはtotal RNAからMagExtractor(TOYOBO社)を用いて精製したpoly(A)+mRNA 5μgを元にcDNA Amplification System(TOYOBO社)を用いて作製し、検出はImaging High Chemifluorescence Detection kit(TOYOBO社)を用い、Fluo−S MultiImager System(Bio−Rad Laboratories社)により画像化した。画像化した遺伝子発現はβ−actin、GAPDHを基準としてImagene software(BioDiscovery Inc.)を用いて定量数値化した。この結果AA389143は、抗CD3抗体刺激後のTh1細胞で強く発現していることが再確認できた。プラスミドにクローン化されたcDNA断片をプローブにして、マウスの脾臓由来のcDNAライブラリー(Stratagene社)をスクリーニングすると、1582bpのcDNAをクローン化し、塩基配列を決定した。
【0069】
AA389143およびAA989754は、National Center for Biotechnology Information(NCBI)のUnigeneデータベースにおいてMm.28913として登録されている。このデータベースでは、ヒトの相同配列としてNM_007045のFGFR1 oncogene partner(FOP)が登録されているが、ここでクローン化したcDNAはFOPとはホモロジーがない。ここで新たにクローン化されたcDNA配列は少なくとも297アミノ酸残基をコードし、この配列をもとにホモロジー検索すると、AK012033配列が検出され、98.6%のホモロジーが認められた。ただし、AK012033は、cDNAの塩基配列のみが決定されており、この遺伝子の生理的機能については不明である。また、AK012033では、192アミノ酸残基しかコードされていないことから、AA389143とは機能的に異なる遺伝子と考えられる。
【0070】
以上のことから、AA389143は新たに配列番号1としてTh1細胞で刺激後に発現の増加する新規遺伝子であると考えられた。また、その遺伝子産物は配列番号1の3−893の塩基配列に対応する配列番号2のアミノ酸配列で示されるタンパク質であり、免疫調節作用を有すると考えられる。
【0071】
実施例2 Mm.90021(アクセスNo.AA266782)の新規遺伝子として配列番号3の同定
AA266782内の塩基配列ggtactcagcccaaatgcagおよびccatcatgcaacagcagaacのオリゴヌクレオチドを合成し(Invitrogen社)、RT−PCRのプライマーとして用いた。次に、抗CD3抗体刺激前後のTh1細胞ならびにTh2細胞のRNAを、オリゴdTをプライマーとしてSuperscript II RNaseH− Reverse Transcriptaseにより逆転写し、上記のプライマーを用いてサーマルサイクラー(アプライドバイオシステムズジャパン(株)製 GeneAmp9700)にてRT−PCRを行った。このPCR産物を用いてアガロースゲル電気泳動を行い、PCR産物のバンドの強度をLane & spot analyzer(アトー株式会社デンシトグラフシステム)を用いて定量した結果、この遺伝子が刺激前後ともにTh1細胞に特異的に発現しており、刺激後の発現量の増加は、刺激前に比べ2倍以上であった。さらに、Th1細胞からのRT−PCRで増幅された471bpのDNA断片をpGEM−T Easy vector(Promega社)にクローン化し、BigDye TerminatorおよびABI PRISM 310 genetic analyzer(Applied Biosystems)により塩基配列を決定して、正しくクローン化されていることを確認し、このプラスミドクローンからcDNA部分を増幅して、新たにDNAアレイフィルターを作製し、Th1およびTh2細胞のRNAを用いて発現量を検討した。すなわち、増幅したcDNA断片10ngをナイロンメンブレンにスポットしてアレイを作製し、プローブはtotal RNAからMagExtractor(TOYOBO社)を用いて精製したpoly(A)+mRNA 5μgを元にcDNA Amplification System(TOYOBO社)を用いて作製した。検出はImaging High Chemifluorescence Detection kit(TOYOBO社)を用い、Fluo−S MultiImager System(Bio−Rad Laboratories社)により画像化する。画像化した遺伝子発現はβ−actin、GAPDHを基準としてImagene software(BioDiscovery Inc.社)を用いて定量数値化した。この結果、AA266782はTh1細胞で高く発現していることを再確認できた。
【0072】
Mm.90021は、米国NCBIのUniGeneデータベースにおいてアクセスNo.AA266782として登録されているEST(新規遺伝子)である。AA266782をもとにして、NCBIの遺伝子データベースをホモロジー検索(BLASTサーチ)すると、S68586のcollecting dust water channel 5’ region、ならびにNM_012909のAquaporin2遺伝子との部分的ホモロジーが検出される。しかし、これらのホモロジーは一部分だけのもので、しかもタンパク質をコードしない領域のみに限定されていた。また、AA266782は、マウスのAquaporin2遺伝子ともホモロジーを持たなかった。また、UnigeneのMm.90021には、AA266782のほかに10種類のESTが登録されているが、これらのいずれも既知の遺伝子とはホモロジーを有しなかった。
【0073】
以上のことから、AA266782は、Th1細胞で強く発現する配列番号3で示された新規の遺伝子と考えられた。
【0074】
実施例3 Th1細胞およびTh2細胞の誘導
既報(Nishimura, T. et al. J. Exp. Med. 190:617, 1999)のとおりにTh1細胞およびTh2細胞を誘導した。すなわち、OVA323−339−specific I−Ad−restrictedTCR−transgenic マウス(DO11.10)の脾細胞より、CD4陽性CD45RB陽性ナイーブT細胞をFACS VantageTM (BD社)を用いて単離した。このCD4陽性CD45RB陽性ナイーブT細胞(5x104 cells/mL)と、マイトマイシンC(協和発酵)で処理したBALB/cマウスの脾細胞(2.5x105 cells/mL)を10%ウシ胎児血清(GIBCO−BRL社)を含んだRPMI1640培地(SIGMA社)に顕濁し、12穴プレートに播種し、OVA(10μg/mL)を添加して培養を行った。Th1細胞の誘導の際にはこの培養系に、IL−12(20U/mL), IFN−γ(1ng/mL), IL−2(20U/mL), 抗IL−4抗体(50μg/mL) を加えた。一方Th2細胞の誘導には、IL−4(1ng/mL), IL−2(20U/mL), 抗IFN−γ抗体(50μg/mL), 抗IL−12抗体(50μg/mL) を加えた。48時間ごとに、上記と同様の抗原およびサイトカイン、抗体を加えて10日間培養した。細胞が増加するに従い、培養器具はスケールアップし、25cm2のフラスコ、75cm2のフラスコに変えて培養を行った。得られたTh1細胞およびTh2細胞を、ガラスピペットを用い、撹拌しながら遠心管に集め、遠心することにより回収した。
【0075】
実施例4 固相化抗CD3抗体によるTh1細胞およびTh2細胞の刺激
回収したTh1細胞およびTh2細胞を、予め10cmシャーレに固相化した抗CD3抗体(2μg/mL)にて2時間刺激し、上記と同様に回収した。
【0076】
実施例5 RT−PCR法によるC/EBPα、GATA−4、Notch4、IRS−4、Mm.28913、Placental Ca2+−Binding protein、CD6、Galactin−3、CD97、DEC1、Onzin、GBP3、Mm.90021、CD49b、CD29、BMP−10のmRNAの測定
未刺激のTh1細胞、Th2細胞および抗CD3抗体で刺激したTh1細胞、Th2細胞より、公知の手法により、RT−PCR法にて各遺伝子の mRNA発現量を比較した(”PCR Protocols, A Guide to Methods and Applications” Innis, M. A. et al. ed.,Academic Press, San Diego, 1990)。すなわち、ISOGEN(ニッポンジーン社)を用いて、各細胞よりtotal RNAを抽出し、oligo dT プライマーを用いて1μgのtotal RNAから逆転写して得られたcDNAでPCRを行った。PCRの条件は、94℃で2分30秒加熱後、94℃30秒・60℃30秒・72℃1分のサイクルを25回から28回行い、さらに伸長反応を72℃7分間行った。用いたプライマーの配列を表1に示す。増幅したDNA断片は1.2%アガロースゲルで電気泳動を行い、特異的に増幅されたバンドを検出した。検出されたバンドのデンシトメトリーによる解析の結果を表2に示す。
【0077】
【表1】
表1 用いたプライマーの配列表
【0078】
【表2】
表2 Th1細胞有意に発現している遺伝子のデンシトグラフによる解析値
【0079】
その結果、活性化したTh1細胞のみにC/EBPα、GATA−4、Notch4、IRS−4、Mm.28913、Placental Ca2+−Binding protein、CD6、Galactin−3、CD97、DEC1、Onzin、GBP3、Mm.90021、CD49b、CD29、BMP−10の発現が、他の細胞よりも明らかに強く認められた。
【0080】
このように、上記の機能分子が活性化したTh1細胞に発現していることが判明し、Th1/Th2バランスのTh1への偏向を検出できることが明らかとなった。
【0081】
実施例6 RT−PCR法による Integrinβ7、PCSK3、GP49A、CTLA−2α、TDAG51、CD53、Lamininα5、PPARγ、ECM1、CRABP2、CYP11A (P450scc)、20α−Hydroxysteroid dehydrogenase (20α−HSD)、CCR2 のmRNAの測定
未刺激のTh1細胞、Th2細胞および抗CD3抗体で刺激したTh1細胞、Th2細胞より、公知の手法により、RT−PCR法にて 各遺伝子の mRNA発現量を比較した(”PCR Protocols, A Guide to Methods and Applications” Innis, M. A. et al. ed.,Academic Press, San Diego, 1990)。すなわち、ISOGEN(ニッポンジーン社)を用いて、各細胞よりtotal RNAを抽出し、oligo dT プライマーを用いて1μgのtotal RNAから逆転写して得られたcDNAでPCRを行った。PCRの条件は、94℃で2分30秒加熱後、94℃30秒・60℃30秒・72℃1分のサイクルを25回から28回行い、さらに伸長反応を72℃7分間行った。用いたプライマーの配列を表3に示す。増幅したDNA断片は1.2%アガロースゲルで電気泳動を行い、特異的に増幅されたバンドを検出した。検出されたバンドのデンシトメトリーによる解析の結果を表4に示す。
【0082】
【表3】
表3 用いたプライマーの配列
【0083】
【表4】
表4 Th2細胞有意に発現している遺伝子のデンシトグラフによる解析値
【0084】
その結果、活性化Th2細胞のみに Integrinβ7、PCSK3、GP49A、CTLA−2α、TDAG51、CD53、Lamininα5、PPARγ、ECM1、CRABP2、CYP11A (P450scc)、20α−Hydroxysteroid dehydrogenase (20α−HSD)、CCR2の発現が他の細胞よりも明らかに強く認められた。
【0085】
このように、上記の機能分子が活性化したTh2細胞に発現していることが判明し、Th1/Th2バランスのTh2への偏向が検出できることが明らかとなった。
【0086】
実施例7 プロゲステロンのTh1細胞に対する毒性とTh2細胞の耐性
実施例1のように誘導したTh1細胞およびTh2細胞(5x106 cells/mL)をIL−2(200U/mL)とプロゲステロン(10μmol/L)(SIGMA社)を添加し、5% CO2下37℃で13時間培養した。プロゲステロンの細胞毒性を確認するため、アネキシンV染色によるアポトーシス検出キット(MBL社)で、培養後の細胞を染色し、FACSCalibur(BD社)にてアポトーシスを起こした死細胞を測定した。
【0087】
その結果、Th1細胞では19%の細胞がアポトーシスを起こしたのに対し、Th2細胞では1%の細胞しかアポトーシスは起こっていなかった。一方、プロゲステロンを代謝する20α−HSDは表4のとおりTh2細胞にしか誘導されていない。このことは、プロゲステロンがTh2細胞に対しては発現された20α−HSDによって代謝されて毒性を示さないのに対し、20α−HSDを誘導できないTh1細胞には毒性を有することを示している。すなわち、プロゲステロンでのアポトーシス誘導の程度によって、Th1/Th2バランスの偏向の程度を評価できることや、プロゲステロンによりTh1/Th2バランスをTh2へ偏向させることができることを示している。このように、Th細胞に誘導される遺伝子産物の機能を指標にして、Th1/Th2バランスの偏向の程度を調べることや、Th細胞に誘導される遺伝子産物の機能を利用して人為的にTh1/Th2バランスを偏向ができる。
【0088】
実施例8 Th2細胞によるプロゲステロンの無毒効果
胸腺細胞(5x106 cells/mL)に、コンカナバリンA(2.5μg/mL)を添加後、5% CO2下37℃で48時間培養し、細胞増殖を調べる試験系において、1)プロゲステロン(1000nmol/L)、2)実施例1と同様に誘導したTh1細胞とプロゲステロン(1000nmol/L)を4時間培養した上清、3)実施例1と同様に誘導したTh2細胞とプロゲステロン(1000nmol/L)を4時間培養した上清、を50%添加し、その影響を検討した。細胞増殖は、3H−チミジンの取り込みにて測定した。
【0089】
結果を表5に示す。表5に示されるように、胸腺細胞の増殖はプロゲステロンの添加により抑制されたが、プロゲステロンの存在下でTh2細胞を培養した上清を添加しても細胞増殖の抑制は認められなかった。プロゲステロンの存在下でTh1細胞を培養した上清の添加では、プロゲステロンの添加と同様に細胞増殖抑制が認められた。この結果は、Th2細胞によりプロゲステロンが代謝され無毒化した結果と考えられる。
【0090】
【表5】
表5 Th2細胞によるプロゲステロンの無毒効果
【0091】
このように、プロゲステロンの代謝を指標としてTh1/Th2バランスのTh2への偏向の程度を検出できることが明らかとなった。また、プロゲステロンがTh1細胞に対し毒性を示し、Th2細胞では代謝され無毒化されるという機序を見出したことにより、Th1/Th2バランスをステロイド剤の処理により、Th2へ偏向できることが明らかとなった。この結果はヘルパーT細胞群から選択的にTh2細胞を取り出すヘルパーT細胞の加工方法を提供し、さらにTh細胞を細胞医薬品とした新たな医薬品を提供することや薬剤や化合物などによるTh1/Th2バランスの人為的な制御方法を提供できる。
【0092】
実施例9 Th2細胞による22R−ヒドロキシコレステロールからプログネノロンの生合成
実施例1のように誘導したTh1細胞およびTh2細胞(2x106 cells/mL)に22R−ヒドロキシコレステロール(SIGMA社)を20μmol/Lの濃度で添加し、5% CO2下37℃で24時間培養し、培養液中のプレグネノロン濃度をラジオイムノアッセイ(ICN社)で測定した。
【0093】
結果を表6に示す。表6に示されるように、プログネノロンはプグノネロン合成酵素であるCYP11Aを発現し得るTh2細胞に22R−ヒドロキシコレステロールを添加した時のみに生成し、CYP11Aを有しないTh1細胞では生成が認められないことが明らかとなった。このように、Th細胞に誘導される遺伝子産物の機能を指標にして、Th1/Th2バランスの偏向の程度を調べることができる。
【0094】
【表6】
表6 Th2細胞によるプレグネノロンの生成
【0095】
実施例10 胸腺ナース細胞によるプログネノロンからプロゲステロンの生合成
胸腺ナース細胞(2x106 cells/mL)に、プレグネノロン(1μg/mL)(SIGMA社)を添加し、5% CO2下37℃で4時間培養後、培養液中のプロゲステロン濃度をラジオイムノアッセイ(ICN社)で測定した。
【0096】
その結果、培養液中に1.6ng/mLのプロゲステロンが認められた。プレグネノロンは実施例9のとおり、Th2細胞などにより生成されることがわかっており、これがさらに胸腺ナース細胞によりプロゲステロンに変換されることが明らかとなった。生成されたプロゲステロンは、実施例7のとおり、Th1細胞に毒性を発揮することがわかっており、結果としてTh2細胞は自身の発現する遺伝子産物の作用により、さらにTh1/Th2バランスをTh2へ偏向させることが示唆された。
【0097】
このように、生体において、Th1/Th2バランスを偏向させる機構が働いていることが示唆され、本発明におけるThヘルパーT細胞の機能分子の有用性が示された。
【0098】
参考例1
ヒトB型肝炎ウィルス抗原(HBsAg)特異的マウスTh1細胞を、上記のTh1細胞誘導の方法と同様に誘導した。すなわちHBsAgで免疫したマウスの脾細胞を、抗原提示細胞(マウス脾細胞)とともに、 HBsAg(20μg/mL)、IL−12 (20U/mL)、IFN−γ(1ng/mL)、IL−2 (20U/mL)、抗IL−4抗体(50μg/mL)、ウシ胎児血清(10%)を添加したRPMI−1640培地で培養し、HBsAg特異的Th1細胞を誘導した。HBsAgを静脈内投与したマウスに、誘導したHBsAg特異的Th1細胞(2 x 107 cells)を移入した。その結果、マウスに肝細胞傷害の指標である血清トランスアミナーゼの上昇(Aspartate aminotransferase;AST=約2500IU/L、Alanine aminotransferase;ALT=約3000IU/L)が認められた。この結果は、Th1/Th2バランスがTh1に偏向すると、Th1細胞誘発の細胞傷害性免疫反応(この場合は、肝細胞傷害)が発症することを示している。
【0099】
参考例2
実施例1で回収されたTh2細胞(2x107)を静脈内投与により無処置BALB/cマウスに細胞移入を行った。細胞移入の4日後より3日間、100mg/ml OVAを30分間吸入させて抗原曝露を行った。抗原吸入終了後、24時間目にメサコリン(Mch)吸入に対する気道過敏性(Penh)をBaxco社製無拘束呼吸機能測定装置で測定し、気道過敏性を評価した。その結果、抗原の吸入によりPenhの上昇が認められた(図1)。このことは、Th1/Th2バランスがTh2に偏向すると、Th2細胞誘発の炎症性免疫反応(この場合は、アレルギー症状)が発症することを示している。
【0100】
【発明の効果】
本発明によるTh1/Th2バランスを規定する方法は、Th1細胞ならびにTh2細胞に特徴的な機能分子を調べることにより、Th1/Th2の偏向を検査・診断できるほか、さらに機能分子を標的としたり修飾して免疫を制御する新たな治療法および医薬の開発に応用できる。上述してきたとおり、Th1/Th2バランスの偏向は種々の疾患の発病や病態に関与していることから、本発明によって疾患の要因、症状の推移を的確に把握することが可能となり、治療方法の選択や医薬品の開発に有用な情報を提供することができる。
【0101】
【配列表】
【0102】
【0103】
【0104】
【0105】
【0106】
【0107】
【0108】
【0109】
【0110】
【0111】
【0112】
【0113】
【0114】
【0115】
【0116】
【0117】
【0118】
【0119】
【0120】
【0121】
【0122】
【0123】
【0124】
【0125】
【0126】
【0127】
【0128】
【0129】
【0130】
【0131】
【0132】
【0133】
【0134】
【0135】
【0136】
【0137】
【0138】
【0139】
【0140】
【0141】
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【0143】
【0144】
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【0146】
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【0148】
【0149】
【0150】
【0151】
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【0153】
【0154】
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【0158】
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【0160】
【0161】
【0162】
【0163】
【0164】
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【0168】
【0169】
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【0171】
【0172】
【0173】
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【0175】
【0176】
【0177】
【0178】
【0179】
【0180】
【0181】
【0182】
【0183】
【0184】
【0185】
【0186】
【0187】
【0188】
【0189】
【図面の簡単な説明】
【図1】BALB/cマウスにTh2細胞を移入し、OVA抗原に暴露した後の気道過敏性を示す図である。
Claims (17)
- 下記の(a)または(b)の核酸。
(a) 配列番号1若しくは3で表される塩基配列からなる核酸
(b) 配列番号1若しくは3で表される塩基配列からなる核酸と相補的な配列からなる核酸あるいはストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸であり、かつ免疫調節作用を有するタンパク質をコードする塩基配列からなる核酸。 - 下記の(c)または(d)のタンパク質。
(c) 配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質
(d) 配列番号2で表されるアミノ酸配列において1もしくは複数のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ免疫調節作用を有するタンパク質。 - 前記「複数のアミノ酸」が数個のアミノ酸である請求項2記載のタンパク質。
- 下記の(e)または(f)の核酸。
(e) 配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする核酸またはその相補鎖。
(f) 配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする核酸またはその相補鎖に対して少なくとも70%の相補性を有し、かつ免疫調節作用を有するタンパク質をコードする塩基配列からなる核酸。 - Th1ヘルパーT細胞又はTh2ヘルパーT細胞に発現した機能分子を利用したTh1ヘルパーT細胞とTh2ヘルパーT細胞のバランスを調べる検査方法。
- Th1ヘルパーT細胞及びTh2ヘルパーT細胞に発現した機能分子を利用したTh1ヘルパーT細胞とTh2ヘルパーT細胞のバランスを調べる検査方法。
- Th1ヘルパーT細胞の機能分子が、C/EBPα、GATA−4、Notch4、IRS−4、Placental Ca2+−Binding protein、CD6、Galactin−3、CD97、DEC1、Onzin、GBP3、CD49b、CD29、BMP−10のうち、少なくとも1つであることを特徴とする請求項5又は6記載の検査方法。
- Th1ヘルパーT細胞の機能分子が、請求項1ないし4記載の核酸又はタンパク質である請求項5又は6記載の検査方法。
- Th2ヘルパーT細胞の機能分子が、Integrinβ7、PCSK3、GP49A、CTLA−2α、TDAG51、CD53、Lamininα5、PPARγ、ECM1、CRABP2、CYP11A (P450scc)、20α−Hydroxysteroid dehydrogenase (20α−HSD)、CCR2のうち、少なくとも1つであることを特徴とする請求項5又は6記載の検査方法。
- ヘルパーT細胞の機能分子の遺伝子、遺伝子産物、遺伝子ならびに遺伝子産物の抗体、遺伝子産物の生理活性、遺伝子を導入した細胞の少なくとも1つを指標として用いる請求項5ないし9記載の検査方法。
- 請求項1又は4記載の核酸の連続する15塩基以上の領域と同一若しくは相補的な配列を有する核酸又はこの核酸の10%以下の塩基が置換した核酸からなる、請求項1又は4記載の核酸の測定用核酸。
- プライマー又はプローブである請求項11記載の測定用核酸。
- 請求項1又は4記載の核酸若しくはその一部と、宿主細胞の中で発現可能なベクターDNAとが機能的に連結してなる組換えDNA体であって、宿主細胞中で請求項2又は3記載のタンパク質を発現する組換えDNA体。
- 請求項10記載の組換えDNA体により形質転換され、請求項2又は3記載のタンパク質を生産する細胞。
- 請求項14に記載の細胞を培養し、該細胞により生産された請求項2又は3記載のタンパク質を回収することを含む、請求項2又は3記載のタンパク質の製造法。
- 請求項2若しくは3記載のタンパク質又は請求項14記載の細胞を特異的に認識する抗体。
- 請求項2又は3記載のタンパク質、C/EBPα、GATA−4、Notch4、IRS−4、Placental Ca2+−Binding protein、CD6、Galactin−3、CD97、DEC1、Onzin、GBP3、CD49b、CD29、BMP−10、 Integrinβ7、PCSK3、GP49A、CTLA−2α、TDAG51、CD53、Lamininα5、PPARγ、ECM1、CRABP2、CYP11A (P450scc)、20α−Hydroxysteroid dehydrogenase (20α−HSD)、CCR2のうち、少なくとも1つのT細胞の機能分子を標的として、ヘルパーT細胞を活性化又は抑制する、ヘルパーT細胞の加工方法。
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