JP2004146792A - 光学部材の保持装置、照明光学装置、露光装置および露光方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】光軸に沿って互いに近接して位置決めすべき一対の光学部材を安定的に且つ精度良く保持することのできる保持装置。
【解決手段】光軸に沿って互いに近接して位置決めされる第1光学部材(8a)と第2光学部材(8b)とを保持する保持装置。第1光学部材を保持するための第1ホルダー(31)と、第2光学部材を保持するための第2ホルダー(32)とを備えている。第1ホルダーは、光軸方向に関して第2光学部材と重なり合わない部分を介して第1光学部材を保持し、第2ホルダーは、光軸方向に関して第1光学部材と重なり合わない部分を介して第2光学部材を保持している。
【選択図】 図1
【解決手段】光軸に沿って互いに近接して位置決めされる第1光学部材(8a)と第2光学部材(8b)とを保持する保持装置。第1光学部材を保持するための第1ホルダー(31)と、第2光学部材を保持するための第2ホルダー(32)とを備えている。第1ホルダーは、光軸方向に関して第2光学部材と重なり合わない部分を介して第1光学部材を保持し、第2ホルダーは、光軸方向に関して第1光学部材と重なり合わない部分を介して第2光学部材を保持している。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学部材の保持装置、照明光学装置、露光装置および露光方法に関し、特に半導体素子、撮像素子、液晶表示素子、薄膜磁気ヘッド等のマイクロデバイスをリソグラフィー工程で製造するための露光装置に搭載される照明光学装置における一対の光学部材の保持に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の典型的な露光装置においては、光源から射出された光束がフライアイレンズに入射し、その後側焦点面に多数の光源からなる二次光源を形成する。二次光源からの光束は、フライアイレンズの後側焦点面の近傍に配置された開口絞りを介して制限された後、コンデンサーレンズに入射する。開口絞りは、所望の照明条件(露光条件)に応じて、二次光源の形状または大きさを所望の形状または大きさに制限する。
【0003】
コンデンサーレンズにより集光された光束は、所定のパターンが形成されたマスクを重畳的に照明する。マスクのパターンを透過した光は、投影光学系を介してウェハ上に結像する。こうして、ウェハ上には、マスクパターンが投影露光(転写)される。なお、マスクに形成されたパターンは高集積化されており、この微細パターンをウェハ上に正確に転写するにはウェハ上において均一な照度分布を得ることが不可欠である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述の構成を有する露光装置では、開口絞りにおける光量損失を避けるために、所望の形状に近い形状を有する二次光源を形成することが必要である。このため、たとえばフライアイレンズを構成する微小レンズ要素のサイズを非常に小さく設定すること、すなわちマイクロフライアイレンズを用いることが考えられる。ただし、通常のマイクロフライアイレンズでは、各屈折面を二次元的な曲面状(球面状)に形成する必要があるため加工が困難であり、製造コストも高くなり易い。
【0005】
そこで、通常のマイクロフライアイレンズに代えて、シリンドリカルレンズ群が形成された一対のフライアイ部材からなるマイクロフライアイレンズ、すなわちシリンドリカルマイクロフライアイレンズを用いることが提案されている。シリンドリカルマイクロフライアイレンズでは、各屈折面が二次元的な曲面状(球面状)に形成される通常のフライアイレンズとは異なり、各屈折面が一次元的な曲面状(円筒面状)に形成されるので加工が容易であり、ひいては製造コストを低減することができる。
【0006】
しかしながら、シリンドリカルマイクロフライアイレンズでは、非常に薄い平行平面板状の形態を有する一対の光学部材(フライアイ部材)を光軸に沿って互いに非常に近接した状態で位置決めする必要がある。また、シリンドリカルマイクロフライアイレンズでは、一対の光学部材の位置決め(位置合わせ)および安定性について非常に高い精度が要求される。その結果、比較的大きなスペースを利用して金物で光学部材を挟むように保持する従来の保持機構では、シリンドリカルマイクロフライアイレンズを構成する一対の光学部材を安定的に且つ精度良く保持することが極めて困難である。
【0007】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたものであり、光軸に沿って互いに近接して位置決めすべき一対の光学部材を安定的に且つ精度良く保持することのできる保持装置を提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明は、照明瞳面において所定形状の二次光源を形成するためのオプティカルインテグレータを構成する一対の光学部材を安定的に且つ精度良く保持する保持装置を用いて、所望の照明条件の下で被照射面を良好に照明することのできる照明光学装置を提供することを目的とする。
【0009】
さらに、所望の照明条件の下でマスクを良好に照明する照明光学装置を用いて、感光性基板に対するマスクパターンの良好な投影露光を行うことのできる露光装置および露光方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明の第1発明では、光軸に沿って互いに近接して位置決めされる第1光学部材と第2光学部材とを保持する保持装置において、
前記第1光学部材を保持するための第1ホルダーと、前記第2光学部材を保持するための第2ホルダーとを備え、
前記第1ホルダーは、光軸方向に関して前記第2光学部材と重なり合わない部分を介して前記第1光学部材を保持し、
前記第2ホルダーは、光軸方向に関して前記第1光学部材と重なり合わない部分を介して前記第2光学部材を保持していることを特徴とする保持装置を提供する。
【0011】
第1発明の好ましい態様によれば、前記第1光学部材および前記第2光学部材は長方形状の外形を有し、前記第1ホルダーおよび前記第2ホルダーは、前記長方形状の第1光学部材の長辺と前記長方形状の第2光学部材の長辺とが互いにほぼ直交するように前記第1光学部材および前記第2光学部材を保持している。また、前記第1ホルダーおよび前記第2ホルダーは、前記第1光学部材および前記第2光学部材の厚さを規定する一方の面を当接支持するための支持面と、他方の面を前記支持面に向かって付勢するための付勢部材とをそれぞれ有することが好ましい。この場合、前記支持面は、当該光学部材を当接支持するための互いに間隔を隔てて設けられた3つの島状支持面を有し、前記付勢部材は、前記3つの島状支持面に対応するように配置された3つの板バネを有することが好ましい。
【0012】
また、第1発明の好ましい態様によれば、光軸方向における前記第1光学部材と前記第2光学部材との位置関係、光軸と直交する面内における前記第1光学部材と前記第2光学部材との位置関係、および光軸を中心とする前記第1光学部材と前記第2光学部材との回転位置関係の少なくとも1つを調整可能に、前記第1ホルダーと前記第2ホルダーとを連結するための連結部材をさらに備えている。この場合、前記第2ホルダーは前記第1ホルダーの少なくとも一部を収容する収容部を有し、前記連結部材は、光軸と直交する面内における前記第1光学部材と前記第2光学部材との位置関係を調整するために、前記第2ホルダーの収容部に前記第1ホルダーの少なくとも一部を収容した状態で光軸と直交する面内における所定方向に沿って前記第2ホルダーの収容部に螺合し且つ先端が前記第1ホルダーの外側面に当接するように構成されたネジ部材を有することが好ましい。また、前記連結部材は、光軸方向に沿った前記第1光学部材と前記第2光学部材との位置関係を調整するために、厚さが互いに異なる複数のワッシャ部材を有し、前記複数のワッシャ部材から選択された1つまたは複数のワッシャ部材を介して前記第1ホルダーと前記第2ホルダーとを連結することが好ましい。
あるいは、前記連結部材は、光軸と直交する面内における前記第1光学部材と前記第2光学部材との位置関係および光軸を中心とする前記第1光学部材と前記第2光学部材との回転位置関係を調整するために、光軸と直交する面内において作動する3つの駆動素子を介して前記第1ホルダーと前記第2ホルダーとを連結することが好ましい。また、前記連結部材は、光軸方向における前記第1光学部材と前記第2光学部材との位置関係、光軸と直交する第1軸線を中心とする前記第1光学部材と前記第2光学部材との回転位置関係、並びに光軸および前記第1軸線と直交する第2軸線を中心とする前記第1光学部材と前記第2光学部材との回転位置関係を調整するために、光軸方向に沿って作動する3つの駆動素子を介して前記第1ホルダーと前記第2ホルダーとを連結することが好ましい。
【0013】
さらに、第1発明の好ましい態様によれば、前記第1光学部材および前記第2光学部材は石英ガラスで形成され、前記第1ホルダーおよび前記第2ホルダーは、インバー、セラミックまたはステンレス鋼で形成されている。あるいは、前記第1光学部材および前記第2光学部材は蛍石で形成され、前記第1ホルダーおよび前記第2ホルダーはアルミニウムで形成されていることが好ましい。
【0014】
本発明の第2発明では、被照射面を照明する照明光学装置において、第1発明の保持装置によって保持された前記第1光学部材および前記第2光学部材が照明光路中に配置されていることを特徴とする照明光学装置を提供する。この場合、前記第1光学部材および前記第2光学部材は、照明瞳面において所定形状の二次光源を形成するためのオプティカルインテグレータを構成していることが好ましい。
【0015】
本発明の第3発明では、第3発明の照明光学装置と、前記被照射面に配置されたマスクのパターンを感光性基板に投影露光するための投影光学系とを備えていることを特徴とする露光装置を提供する。
【0016】
本発明の第4発明では、第3発明の照明光学装置を介してマスクを照明し、照明された前記マスクに形成されたパターンの像を感光性基板上に投影露光することを特徴とする露光方法を提供する。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態を、添付図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態にかかる照明光学装置を備えた露光装置の構成を概略的に示す図である。図1において、感光性基板であるウェハWの法線方向に沿ってZ軸を、ウェハ面内において図1の紙面に平行な方向にY軸を、ウェハ面内において図1の紙面に垂直な方向にX軸をそれぞれ設定している。なお、図1では、照明光学装置が輪帯照明を行うように設定されている。
【0018】
図1の露光装置は、露光光(照明光)を供給するための光源1として、たとえば248nmの波長の光を供給するKrFエキシマレーザー光源または193nmの波長の光を供給するArFエキシマレーザー光源を備えている。光源1からZ方向に沿って射出されたほぼ平行光束は、X方向に沿って細長く延びた矩形状の断面を有し、一対のレンズ2aおよび2bからなるビームエキスパンダー2に入射する。ビームエキスパンダー2に入射した光束は、図1の紙面内において拡大され、所定の矩形状の断面を有する光束に整形される。
【0019】
整形光学系としてのビームエキスパンダー2を介したほぼ平行な光束は、折り曲げミラー3でY方向に偏向された後、回折光学素子4を介して、アフォーカルズームレンズ5に入射する。回折光学素子4は、矩形状の断面を有する平行光束が入射した場合に、そのファーフィールドに円形状の光強度分布を形成する機能を有する。したがって、回折光学素子4を介した光束は、アフォーカルズームレンズ5の瞳位置に円形状の光強度分布、すなわち円形状の断面を有する光束を形成する。
【0020】
なお、回折光学素子4は、照明光路から退避可能に構成されている。回折光学素子4の照明光路からの退避および照明光路への設定は、制御系21からの指令に基づいて動作する駆動系22により行われる。アフォーカルズームレンズ5の倍率変化は、制御系21からの指令に基づいて動作する駆動系23により行われる。アフォーカルズームレンズ5を介した光束は、輪帯照明用の回折光学素子6に入射する。アフォーカルズームレンズ5は、回折光学素子4の発散原点と回折光学素子6の回折面とを光学的にほぼ共役に結んでいる。
【0021】
輪帯照明用の回折光学素子6は、平行光束が入射した場合に、そのファーフィールドにリング状の光強度分布を形成する機能を有する。なお、回折光学素子6は、照明光路に対して挿脱自在に構成され、且つ4極照明用の回折光学素子60や円形照明用の回折光学素子61と切り換え可能に構成されている。4極照明用の回折光学素子60および円形照明用の回折光学素子61の構成および作用については後述する。ここで、輪帯照明用の回折光学素子6と4極照明用の回折光学素子60と円形照明用の回折光学素子61との間の切り換えは、制御系21からの指令に基づいて動作する駆動系24により行われる。
【0022】
回折光学素子6を介した光束は、ズームレンズ7に入射する。ズームレンズ7の後側焦点面の近傍には、光源側から順に第1フライアイ部材8aと第2フライアイ部材8bとからなるシリンドリカルマイクロフライアイレンズ8の入射面(すなわち第1フライアイ部材8aの入射面)が位置決めされている。なお、シリンドリカルマイクロフライアイレンズ8は入射光束に基づいて多数光源を形成するオプティカルインテグレータとして機能するが、その詳細な構成、作用および保持機構については後述する。
【0023】
上述したように、回折光学素子4を介してアフォーカルズームレンズ5の瞳位置に形成される円形状の光強度分布からの光束は、アフォーカルズームレンズ5から射出された後、様々な角度成分を有する光束となって回折光学素子6に入射する。一方、回折光学素子6は、平行光束が入射した場合に、そのファーフィールドにリング状の光強度分布を形成する機能を有する。したがって、回折光学素子6を介した光束は、ズームレンズ7の後側焦点面に(ひいてはシリンドリカルマイクロフライアイレンズ8の入射面に)、たとえば光軸AXを中心とした輪帯状の照野を形成する。
【0024】
シリンドリカルマイクロフライアイレンズ8の入射面に形成される輪帯状の照野の外径は、ズームレンズ7の焦点距離に依存して変化する。このように、ズームレンズ7は、回折光学素子6とシリンドリカルマイクロフライアイレンズ8の入射面とを実質的にフーリエ変換の関係に結んでいる。なお、ズームレンズ7の焦点距離の変化は、制御系21からの指令に基づいて動作する駆動系25により行われる。シリンドリカルマイクロフライアイレンズ8に入射した光束は二次元的に分割され、その後側焦点面には入射光束によって形成される照野と同じ輪帯状の多数光源(以下、「二次光源」という)が形成される。
【0025】
シリンドリカルマイクロフライアイレンズ8の後側焦点面に形成された輪帯状の二次光源からの光束は、コンデンサー光学系9の集光作用を受けた後、所定のパターンが形成されたマスクMを重畳的に照明する。マスクMのパターンを透過した光束は、投影光学系PLを介して、感光性基板であるウェハW上にマスクパターンの像を形成する。こうして、投影光学系PLの光軸AXと直交する平面(XY平面)内においてウェハWを二次元的に駆動制御しながら一括露光またはスキャン露光を行うことにより、ウェハWの各露光領域にはマスクMのパターンが逐次露光される。
【0026】
本実施形態では、アフォーカルズームレンズ5の倍率が変化すると、輪帯状の二次光源の中心高さ(円形状の中心線の光軸AXからの距離)が変化することなく、その幅(外径(直径)と内径(直径)との差の1/2)だけが変化する。すなわち、アフォーカルズームレンズ5の倍率を変化させることにより、輪帯状の二次光源の大きさ(外径)およびその形状(輪帯比:内径/外径)をともに変更することができる。
【0027】
また、ズームレンズ7の焦点距離が変化すると、輪帯状の二次光源の輪帯比が変化することなく、中心高さおよびその幅がともに変化する。すなわち、ズームレンズ7の焦点距離を変化させることにより、輪帯状の二次光源の輪帯比を変更することなくその外径を変更することができる。以上より、本実施形態では、アフォーカルズームレンズ5の倍率とズームレンズ7の焦点距離とを適宜変化させることにより、輪帯状の二次光源の外径を変化させることなくその輪帯比だけを変更することができる。
【0028】
前述したように、回折光学素子6は、照明光路に対して挿脱自在に構成され、且つ4極照明用の回折光学素子60や円形照明用の回折光学素子61と切り換え可能に構成されている。以下、回折光学素子6に代えて回折光学素子60を照明光路中に設定することによって得られる4極照明について説明する。4極照明用の回折光学素子60は、平行光束が入射した場合に、そのファーフィールドに4点状の光強度分布を形成する機能を有する。したがって、回折光学素子60を介した光束は、シリンドリカルマイクロフライアイレンズ8の入射面に、たとえば光軸AXを中心とした4つの円形状の照野からなる4極状の照野を形成する。その結果、シリンドリカルマイクロフライアイレンズ8の後側焦点面にも、その入射面に形成された照野と同じ4極状の二次光源が形成される。
【0029】
4極照明においても輪帯照明の場合と同様に、アフォーカルズームレンズ5の倍率を変化させることにより、4極状の二次光源の外径(4つの円形状の面光源に外接する円の直径)および輪帯比(4つの円形状の面光源に内接する円の直径/4つの円形状の面光源に外接する円の直径)をともに変更することができる。また、ズームレンズ7の焦点距離を変化させることにより、4極状の二次光源の輪帯比を変更することなくその外径を変更することができる。その結果、アフォーカルズームレンズ5の倍率とズームレンズ7の焦点距離とを適宜変化させることにより、4極状の二次光源の外径を変化させることなくその輪帯比だけを変更することができる。
【0030】
次いで、回折光学素子4を照明光路から退避させるとともに、回折光学素子6または60に代えて円形照明用の回折光学素子61を照明光路中に設定することによって得られる円形照明について説明する。この場合、アフォーカルズームレンズ5には光軸AXに沿って矩形状の断面を有する光束が入射する。アフォーカルズームレンズ5に入射した光束は、その倍率に応じて拡大または縮小され、矩形状の断面を有する光束のまま光軸AXに沿ってアフォーカルズームレンズ5から射出され、回折光学素子61に入射する。
【0031】
ここで、円形照明用の回折光学素子61は、回折光学素子4と同様に、矩形状の断面を有する平行光束が入射した場合に、ファーフィールドに円形状の光強度分布を形成する機能を有する。したがって、回折光学素子61により形成された円形光束は、ズームレンズ7を介して、シリンドリカルマイクロフライアイレンズ8の入射面において光軸AXを中心とした円形状の照野を形成する。その結果、シリンドリカルマイクロフライアイレンズ8の後側焦点面にも、光軸AXを中心とした円形状の二次光源が形成される。この場合、アフォーカルズームレンズ5の倍率またはズームレンズ7の焦点距離を変化させることにより、円形状の二次光源の外径を適宜変更することができる。
【0032】
本実施形態では、ステップ・アンド・リピート方式またはステップ・アンド・スキャン方式にしたがって順次露光すべき各種のマスクに関する情報などが、キーボードなどの入力手段20を介して制御系21に入力される。制御系21は、各種のマスクに関する最適な線幅(解像度)、焦点深度等の情報を内部のメモリー部に記憶しており、入力手段20からの入力に応答して駆動系22〜25に適当な制御信号を供給する。こうして、本実施形態では、多様な変形照明(輪帯照明、4極照明)および通常照明(円形照明)を行うことができる。
【0033】
図2は、図1のシリンドリカルマイクロフライアイレンズの構成を概略的に示す斜視図である。また、図3は、図1のシリンドリカルマイクロフライアイレンズの作用を説明する図である。図2を参照すると、シリンドリカルマイクロフライアイレンズ8は、光源側に配置された第1フライアイ部材8aとマスク側に配置された第2フライアイ部材8bとから構成されている。第1フライアイ部材8aと第2フライアイ部材8bとは全体的に同様の構成を有するが、その屈折面の曲率半径、その材質などは必ずしも一致していない。
【0034】
さらに詳細には、第1フライアイ部材8aの光源側の面および第2フライアイ部材8bの光源側の面には、X方向に沿って配列されたシリンドリカルレンズ群11aおよび11bがそれぞれ形成されている。すなわち、第1フライアイ部材8aの光源側の面および第2フライアイ部材8bの光源側の面に形成されたシリンドリカルレンズ群11aおよび11bはX方向に沿ってピッチp1を有する。
【0035】
一方、第1フライアイ部材8aのマスク側の面および第2フライアイ部材8bのマスク側の面には、Z方向に沿って配列されたシリンドリカルレンズ群12aおよび12bがそれぞれ形成されている。すなわち、第1フライアイ部材8aのマスク側の面および第2フライアイ部材8bのマスク側の面に形成されたシリンドリカルレンズ群12aおよび12bはZ方向に沿ってピッチp2を有する。本実施形態では、光源側の面に形成されたシリンドリカルレンズ群11aおよび11bのピッチp1が、マスク側の面に形成されたシリンドリカルレンズ群12aおよび12bのピッチp2よりも小さく設定されている。
【0036】
また、第1フライアイ部材8aの光源側の面および第2フライアイ部材8bの光源側の面には、Z方向に沿った直線状のマーク13aおよび13bがX方向に沿った両側において光学的に対応する位置にそれぞれ形成されている。同様に、第1フライアイ部材8aのマスク側の面および第2フライアイ部材8bのマスク側の面には、X方向に沿った直線状のマーク14aおよび14bがZ方向に沿った両側において光学的に対応する位置にそれぞれ形成されている。マーク13a,13b,14a,14bは、たとえば第1フライアイ部材8aおよび第2フライアイ部材8bを構成する基板に刻設された直線状の溝である。
【0037】
図3(a)を参照して、シリンドリカルマイクロフライアイレンズ8のX方向に関する屈折作用(すなわちXY平面に関する屈折作用)に着目すると、光軸AXに沿ってシリンドリカルマイクロフライアイレンズ8に入射した平行光束は、第1フライアイ部材8aの光源側(図中左側)に形成されたシリンドリカルレンズ群11aによってX方向に沿ってピッチp1で波面分割される。そして、シリンドリカルレンズ群11aの各シリンドリカルレンズに入射した光束は、その屈折面で集光作用を受けた後、第2フライアイ部材8bの光源側に形成されたシリンドリカルレンズ群11bのうちの対応するシリンドリカルレンズの屈折面で集光作用を受け、シリンドリカルマイクロフライアイレンズ8の後側焦点面8c上に集光する。
【0038】
一方、図3(b)を参照して、シリンドリカルマイクロフライアイレンズ8のZ方向に関する屈折作用(すなわちZY平面に関する屈折作用)に着目すると、光軸AXに沿ってシリンドリカルマイクロフライアイレンズ8に入射した平行光束は、第1フライアイ部材8aのマスク側(図中右側)に形成されたシリンドリカルレンズ群12aによってZ方向に沿ってピッチp2で波面分割される。そして、シリンドリカルレンズ群12aの各シリンドリカルレンズに入射した光束は、その屈折面で集光作用を受けた後、第2フライアイ部材8bのマスク側に形成されたシリンドリカルレンズ群12bのうちの対応するシリンドリカルレンズの屈折面で集光作用を受け、シリンドリカルマイクロフライアイレンズ8の後側焦点面8c上に集光する。
【0039】
このように、本実施形態のシリンドリカルマイクロフライアイレンズ8は、光軸AXに沿って間隔を隔てて配置された第1フライアイ部材8aと第2フライアイ部材8bとにより構成されているが、X方向にp1のサイズを有しZ方向にp2のサイズを有する多数のレンズエレメントを縦横に且つ稠密に配列して構成される通常のフライアイレンズ(またはマイクロフライアイレンズ)と同様の光学的機能を発揮する。ちなみに、本実施形態のシリンドリカルマイクロフライアイレンズ8は、たとえば研削加工、エッチング加工、型プレス加工などにより製造可能である。
【0040】
本実施形態では、第1フライアイ部材8aと第2フライアイ部材8bとを位置合わせすること、すなわち第1フライアイ部材8aの光源側の面に形成されたシリンドリカルレンズ群11aと第2フライアイ部材8bの光源側の面に形成されたシリンドリカルレンズ群11bとを光学的に位置合わせするとともに、第1フライアイ部材8aのマスク側の面に形成されたシリンドリカルレンズ群12aと第2フライアイ部材8bのマスク側の面に形成されたシリンドリカルレンズ群12bとを光学的に位置合わせすることが重要である。すなわち、第1フライアイ部材8aを保持する後述の第1ホルダーと、第2フライアイ部材8bを保持する後述の第2ホルダーとを機械的に位置合わせすることが重要である。
【0041】
具体的には、本実施形態のシリンドリカルマイクロフライアイレンズ8では、第1フライアイ部材8aおよび第2フライアイ部材8bの位置決め精度(X軸に沿った位置決め精度、Z軸に沿った位置決め精度、Y軸廻りの回転位置決め精度)が、たとえば数μm〜数十μmであり、従来の光学部材に求められる位置決め精度(たとえば数百μm)に比して非常に厳格である。また、第1フライアイ部材8aと第2フライアイ部材8bとの光軸AXに沿った間隔の精度も同様に、たとえば数μm〜数十μmであり非常に厳格である。
【0042】
さらに、第1フライアイ部材8aおよび第2フライアイ部材8bの安定性(X軸に沿った位置変動、Z軸に沿った位置変動、Y軸廻りの回転位置変動、第1フライアイ部材8aと第2フライアイ部材8bとの間隔変動)についても、たとえば数μm〜数十μmの精度が必要であり、従来の光学部材に求められる安定性精度(たとえば数百μm)に比して非常に厳格である。
【0043】
また、第1フライアイ部材8aおよび第2フライアイ部材8bの厚さがそれぞれ0.5mm〜4mm程度であり非常に薄く、第1フライアイ部材8aと第2フライアイ部材8bとの間隔も1mm以下であり非常に狭い。その結果、比較的大きなスペースを利用して金物で光学部材を挟むような従来の保持機構では、本実施形態のシリンドリカルマイクロフライアイレンズ8を構成する第1フライアイ部材8aおよび第2フライアイ部材8bを安定的に且つ精度良く保持することが極めて困難である。そこで、本実施形態では、従来の保持機構とは異なる新規な構成を有する保持装置を導入している。
【0044】
図4は、本実施形態にかかる保持装置の構成を概略的に示す図であって、(a)は上面図を、(b)は(a)の線A−Aに沿った断面図を、(c)は(a)の線B−Bに沿った断面図をそれぞれ示している。また、図5は、第1フライアイ部材を保持する第1ホルダーの構成を概略的に示す上面図である。さらに、図6は、図4に示す保持装置の底面図である。また、図7は、図4の保持装置によって保持された第1フライアイ部材と第2フライアイ部材との位置関係を光軸に沿った方向から見た図である。
【0045】
図4〜図7を参照すると、本実施形態の保持装置は、第1フライアイ部材(第1光学部材)8aを保持するための第1ホルダー31と、第2フライアイ部材(第2光学部材)8bを保持するための第2ホルダー32とを備えている。図5に示すように、第1ホルダー31には、第1フライアイ部材8aの外形とほぼ一致する形状および大きさを有する長方形状の開口部31aと、開口部31aに位置決めされた長方形状の第1フライアイ部材8aの短辺部分において第1フライアイ部材8aの厚さを規定する一方の面を当接支持するための一対の支持面31bおよび31cとが形成されている。
【0046】
また、第1ホルダー31のフランジ部分には、3つのボルト孔(直孔)31dが形成されている。さらに、第1ホルダー31には、長方形状の第1フライアイ部材8aの短辺部分における他方の面を支持面31bおよび31cに向かって付勢するための付勢部材として、3つの板バネ(押えばね)33が設けられている。板ばね33は、たとえばボルト34を介して第1ホルダー31に取り付けられている。なお、図示を省略したが、支持面31bおよび31cには、3つの板バネ33の位置に対応するように、第1フライアイ部材8aを局所的に当接支持するための3つの島状支持面が設けられている。
【0047】
一方、図4に示すように、第2ホルダー32には、第2フライアイ部材8bの外形とほぼ一致する形状および大きさを有する長方形状の開口部32aと、開口部32aに位置決めされた長方形状の第2フライアイ部材8bの短辺部分における一方の面を当接支持するための一対の支持面32bおよび32cとが形成されている。ここで、図7に明瞭に示すように、長方形状の外形を有する第1フライアイ部材8aの長辺と第2フライアイ部材8bの長辺とが互いに直交するように設定されている。
【0048】
また、第2ホルダー32には、長方形状の第2フライアイ部材8bの短辺部分における他方の面を支持面32bおよび32cに向かって付勢するための付勢部材として、3つの板バネ35(押えばね)が設けられている。板ばね35は、たとえばボルト36を介して第2ホルダー32に取り付けられている。なお、図示を省略したが、支持面32bおよび32cには、3つの板バネ35の位置に対応するように、第2フライアイ部材8bを局所的に当接支持するための3つの島状支持面が設けられている。さらに、第2ホルダー32には、第1ホルダー31を収容するための収容空間を形成する側壁部(収容部)を備える。第1ホルダー31は、第2ホルダー32の側壁部が形成する収容空間内に収容される。すなわち、第1ホルダー31と第2ホルダー32とは親子構造の関係にある。
【0049】
第1フライアイ部材8aを保持する第1ホルダー31は、そのフランジ部分に形成された各ボルト孔31dを貫通する固定ボルト37を介して、第2フライアイ部材8bを保持する第2ホルダー32に連結されている。この場合、第2フライアイ部材8bにおいて各ボルト孔31dに対応する位置には、固定ボルト37が係合するように螺刻されたボルト孔(不図示)が形成されていることはいうまでもない。第1ホルダー31と第2ホルダー32とは、厚さが互いに異なる複数のワッシャ部材から選択されたワッシャ部材38を介して連結されている。
【0050】
また、第2ホルダー32の側壁部には、長方形状の開口部32aの短辺方向に沿ってネジ孔39が形成され、このネジ孔39が形成された第2ホルダー32の側壁部に対し収容空間を挟んだ第2ホルダー32の側壁部には、ネジ孔39に対向するように孔40が形成されている。同様に、第2ホルダー32の側壁部には、長方形状の開口部32aの長辺方向に沿って一対のネジ孔41が形成され、この一対のネジ孔41が形成された第2ホルダー32の側壁部に対し収容空間を挟んだ第2ホルダー32の側壁部には、一対のネジ孔41に対向するように一対の孔42が形成されている。ネジ孔39および41には、たとえば調整ビスのようなネジ部材43および44がそれぞれ螺合しており、その先端が第1ホルダー31のフランジ部分の外側面に当接するように構成されている。
【0051】
一方、孔40および42には、たとえばスプリングのような付勢素子45および46がそれぞれ内蔵され、その先端が第1ホルダー31のフランジ部分の外側面に当接するように構成されている。なお、付勢素子45および46として、スプリングが内蔵され且つ先端にボールが装着されたビス部材(いわゆるボールプランジャ)を用いることもできる。いずれの場合も、付勢素子45および46がネジ部材43および44による押圧力に抗して第1ホルダー31を付勢するように構成されているので、ネジ部材43および44のねじ送り動作およびねじ戻し動作により、その先端の当接部分において第2ホルダー32内で第1ホルダー31の押し引き操作を行うことができる。また、ビス部材やネジ部材の代りに、ネジ部材43及び44と同じように調整ビスを使うことも可能である。この場合には、第1ホルダー31及び第2ホルダー32を図4に示す状態から上下逆さまの状態にし、調整ビスを緩めた状態で、第2ホルダー32に対する第1ホルダー31の位置調整を、第1ホルダー31の押し引きをすればよい。
【0052】
本実施形態では、第1ホルダー31の開口部31aにおいて、支持面31bおよび31c上に第1フライアイ部材8aを載置する。そして、第1フライアイ部材8aの隣り合う長辺部分および短辺部分と開口部31aの対応する長辺部分および短辺部分とがそれぞれ当接するように面タッチ状態で位置決めし、この位置決め状態において3つの板バネ33の作用により第1フライアイ部材8aを支持面31bおよび31cに向かって付勢した状態で保持する。その結果、第1ホルダー31に対して所望の位置関係が得られるように、第1フライアイ部材8aが第1ホルダー31によって保持される。
【0053】
同様に、第2ホルダー32の開口部32aにおいて、支持面32bおよび32c上に第2フライアイ部材8bを載置する。そして、第2フライアイ部材8bの隣り合う長辺部分および短辺部分と開口部32aの対応する長辺部分および短辺部分とがそれぞれ当接するように面タッチ状態で位置決めし、この位置決め状態において3つの板バネ35の作用により第2フライアイ部材8bを支持面32bおよび32cに向かって付勢した状態で保持する。その結果、第2ホルダー32に対して所望の位置関係が得られるように、第2フライアイ部材8bが第2ホルダー32によって保持される。なお、本実施形態における面タッチ状態とは、第1フライアイ部材8aが第1ホルダー31の開口部31aに嵌合するが、第1フライアイ部材8aに荷重が加わらないような状態(撓まない状態)を示す。
【0054】
こうして、第1フライアイ部材8aと第2フライアイ部材8bとを位置合わせすることは、第1ホルダー31と第2ホルダー32とを所望の位置関係が得られるように連結することに帰着する。そこで、本実施形態では、固定ボルト37により、第1ホルダー31と第2ホルダー32とをワッシャ部材38を介して仮留めする。ここで、使用される3つのワッシャ部材38の厚さは、第1ホルダー31、第2ホルダー32、第1フライアイ部材8a、第2フライアイ部材8bなどの製造誤差を吸収して第1フライアイ部材8aと第2フライアイ部材8bとの間隔を所望の値に精度良く設定することができるようにそれぞれ選定されている。
【0055】
次いで、たとえば顕微鏡のような適当な観察装置を用いて光軸AXに沿って第1フライアイ部材8aおよび第2フライアイ部材8bを観察しながら、第1フライアイ部材8aの光源側の面に形成されたマーク13aと第2フライアイ部材8bの光源側の面に形成されたマーク13bとがX方向に一致するとともに、第1フライアイ部材8aのマスク側の面に形成されたマーク14aと第2フライアイ部材8bのマスク側の面に形成されたマーク14bとがZ方向に一致するように、第1フライアイ部材8aと第2フライアイ部材8bとを位置合わせ(アライメント)する。
【0056】
具体的には、ネジ孔39に螺合するネジ部材43のねじ送り動作およびねじ戻し動作により、第2ホルダー32の開口部32aの短辺方向(たとえば図1のX方向に対応)に沿って、第2ホルダー32に対して第1ホルダー31を相対位置決めし、ひいては第2フライアイ部材8bに対して第1フライアイ部材8aを相対位置決めする。
【0057】
一方、一対のネジ孔41に螺合する一対のネジ部材44の並列的なねじ送り動作およびねじ戻し動作により、第2ホルダー32の開口部32aの長辺方向(たとえば図1のZ方向に対応)に沿って、第2ホルダー32に対して第1ホルダー31を相対位置決めし、ひいては第2フライアイ部材8bに対して第1フライアイ部材8aを相対位置決めする。また、一対のネジ孔41に螺合する一対のネジ部材44の独立的なねじ送り動作およびねじ戻し動作により、光軸廻りに(図1のY方向に沿った光軸AX廻りに)、第2ホルダー32に対して第1ホルダー31を相対回転位置決めし、ひいては第2フライアイ部材8bに対して第1フライアイ部材8aを相対回転位置決めする。
【0058】
こうして、第1フライアイ部材8aと第2フライアイ部材8bとを位置合わせ調整した後に、3つの固定ボルト37を最終的に締め込むことにより、保持装置に対するシリンドリカルマイクロレンズアレイ8の装着工程が終了する。シリンドリカルマイクロレンズアレイ8が装着された保持装置は、たとえば第2ホルダー32のフランジ部分に形成された3つのボルト孔(不図示)などを利用した周知の構成により、照明光学装置の照明光路中の所定位置において所定の支持部材に取り付けられる。
【0059】
以上のように、本実施形態の保持装置では、第1フライアイ部材8aと第2フライアイ部材8bとの間隔が非常に狭くてその間に保持機構の一部を介在させることが不可能であるため、光軸方向に関して第1フライアイ部材8aと第2フライアイ部材8bとが重なり合わない部分を設定している。そして、第1ホルダー31は第2フライアイ部材8bと重なり合わない部分を介して第1フライアイ部材8aを保持し、第2ホルダー32は第1フライアイ部材と重なり合わない部分を介して8a第2フライアイ部材8bを保持している。
【0060】
また、第1フライアイ部材8aおよび第2フライアイ部材8bが非常に薄くて面剛性の弱い光学部材であるため、フレキシブルな3つの押え板ばね33および35と対応する3つの島状支持面とで第1フライアイ部材8aおよび第2フライアイ部材8bを挟み込むようにして支持している。第1フライアイ部材8aおよび第2フライアイ部材8bを3点支持する形態では、たとえば4点以上の多数点で支持する場合の多重拘束に起因する平面度の低下を引き起こすことがない。こうして、本実施形態の保持装置では、光軸に沿って互いに近接して位置決めすべき一対の光学部材、すなわちシリンドリカルマイクロレンズアレイ8を構成する第1フライアイ部材8aと第2フライアイ部材8bとを保持することが可能になっている。
【0061】
また、本実施形態の保持装置では、第1フライアイ部材8aを所望の位置関係が得られるように保持する第1ホルダー31と第2フライアイ部材8bを所望の位置関係が得られるように保持する第2ホルダー32とからなる親子構造を採用している。そして、第1ホルダー31と第2ホルダー32との位置関係を調整し、ひいては第1フライアイ部材8aと第2フライアイ部材8bとを位置合わせ調整した後に、第1ホルダー31と第2ホルダー32とを連結固定している。
【0062】
また、第1ホルダー31、第2ホルダー32、第1フライアイ部材8a、第2フライアイ部材8bなどの製造誤差を吸収して第1フライアイ部材8aと第2フライアイ部材8bとの間隔を所望の値に精度良く設定することができるようにそれぞれ選定された3つのワッシャ部材38を介在させて、第1ホルダー31と第2ホルダー32とを連結している。こうして、本実施形態の保持装置では、光軸に沿って互いに近接して位置決めすべき第1フライアイ部材8aと第2フライアイ部材8bとを精度良く保持することができる。
【0063】
さらに、支持面31b,31c,32b,32cなどの製造誤差に起因する第1フライアイ部材8aおよび第2フライアイ部材8bの不要な変形を抑えるために、第1フライアイ部材8aおよび第2フライアイ部材8bを3つの島状支持面により3点座でそれぞれ支持している。また、第1ホルダー31および第2ホルダー32への取り付けに際して第1フライアイ部材8aおよび第2フライアイ部材8bの面精度を実質的に悪化させることがないように、フレキシブルな押え板ばね33および35の作用により第1フライアイ部材8aおよび第2フライアイ部材8bを対応する3つの島状支持面に対して押し付けた状態(付勢した状態)で保持している。
【0064】
こうして、本実施形態の保持装置では、光軸に沿って互いに近接して位置決めすべき第1フライアイ部材8aと第2フライアイ部材8bとを安定的に保持することができる。なお、第1ホルダー31および第2ホルダー32への取り付けに際して、3つの島状支持面に裏側から貫通孔を介して接着剤を導入し、3つの点状の接着剤の作用により第1フライアイ部材8aおよび第2フライアイ部材8bを第1ホルダー31および第2ホルダー32に補助的に固定することもできる。
【0065】
一般に、光学部材の取り付けに際して接着剤を使用することは、接着剤の硬化に伴って発生するガスが光学部材を汚染する(曇らせる)恐れがあるので、ケミカルクリーンの観点から好ましくない。しかしながら、上述のように、3つの島状支持面において点状の接着剤の作用により補助的に固定しても、第1フライアイ部材8aおよび第2フライアイ部材8bが汚染される可能性が少ない。また、接着剤の使用に代えて、あるいは接着剤の使用に加えて、第1フライアイ部材8aおよび第2フライアイ部材8bの側端面の開口部31aおよび32aの側端面への面タッチ状態を付勢する補助ばねを設けることもできる。
【0066】
ところで、環境の変化、特に温度変化に起因する第1フライアイ部材8aおよび第2フライアイ部材8bの不要な変形を抑えるために、第1フライアイ部材8aおよび第2フライアイ部材8bを形成する光学材料の線膨張係数と、保持装置を構成する要素、特に第1ホルダー31および第2ホルダー32を形成する材料の線膨張係数との差を小さく抑えることが好ましい。
【0067】
具体的には、第1フライアイ部材8aおよび第2フライアイ部材8bが石英ガラス(0.5ppm/度)で形成されている場合、第1ホルダー31および第2ホルダー32は、たとえばインバー(1ppm/度)、セラミックまたはステンレス鋼(10ppm/度:SUS410)などで形成されていることが好ましい。ただし、インバーは加工が難しく且つ高価であり、さらにケミカルクリーン性能の観点から表面処理が必要である。また、第1フライアイ部材8aおよび第2フライアイ部材8bが蛍石(24ppm/度)で形成されている場合、第1ホルダー31および第2ホルダー32は、たとえばアルミニウム(23.8ppm/度)などで形成されていることが好ましい。
【0068】
なお、上述の実施形態にかかる保持装置では、露光装置に組み込んだ後に第1フライアイ部材8aと第2フライアイ部材8bとの位置関係を調整することができない。しかしながら、たとえばマイクロメータ(マイクロヘッド)のような駆動素子(駆動機構)を用いることにより、露光装置に組み込んだ後においても第1フライアイ部材8aと第2フライアイ部材8bとの位置関係を随時調整することも可能である。図8は、第1変形例にかかる保持装置の構成を概略的に示す断面図である。また、図9は、第1変形例にかかる保持装置の動作原理を概略的に説明する図である。
【0069】
図8を参照すると、第1変形例の保持装置は、第1光学部材としての第1フライアイ部材8aを保持するための第1ホルダー51と、第2光学部材としての第2フライアイ部材8bを保持するための第2ホルダー52とを備えている。なお、図示を省略したが、第1ホルダー51および第2ホルダー52には、上述の実施形態における第1ホルダー31および第2ホルダー32と同様の形態にしたがって、すなわち3つの島状支持面と3つの板バネ(押えばね)のような付勢部材との協働作用により、第1フライアイ部材8aおよび第2フライアイ部材8bがそれぞれ安定的に保持されている。
【0070】
第1変形例では、第2ホルダー52の側壁部(Y方向に沿った面を有する部位)に、Z方向に沿って作動する一対のマイクロメータ61および62と、X方向に沿って作動するマイクロメータ63(図8では不図示)とが取り付けられている。ここで、マイクロメータ61〜63は、その先端部が第1ホルダー51の側壁部(Y方向に沿った面を有する部位)に当接するように設定されている。また、図9に示すように、マイクロメータ61と62とは光軸AXを通るZ軸に関して対称な位置に配置され、マイクロメータ63は光軸AXを通るX軸に沿って作動するように位置決めされている。
【0071】
また、第1ホルダー51の側壁部と第2ホルダー52の側壁部との間においてマイクロメータ61および62に近接した位置には、Z方向に沿って延びる引張りスプリング61aおよび62aが取り付けられている。同様に、第1ホルダー51の側壁部と第2ホルダー52の側壁部との間においてマイクロメータ63に近接した位置には、X方向に沿って延びる引張りスプリング63a(不図示)が取り付けられている。引張りスプリング61a〜63aは、マイクロメータ61〜63による押圧力に抗して、第1ホルダー51の側壁部を第2ホルダー52の側壁部に向かって付勢する機能を有する。
【0072】
さらに、第2ホルダー52の端部(第2フライアイ部材8bを保持する端部とは反対側)には、光軸AXを中心とする円環状のマイクロメータ固定台53が取り付けられている。マイクロメータ固定台53には、Y方向に沿って作動する3つのマイクロメータ64〜66(図8ではマイクロメータ64が不図示)が取り付けられている。ここで、マイクロメータ64〜66は、その先端部が第1ホルダー51の縁端部(XZ平面に平行な面を有する部位)に当接するように設定されている。また、図9に示すように、マイクロメータ64は光軸AXを通るX軸上に位置決めされ、マイクロメータ65と66とは光軸AXを通るX軸に関して対称な位置に配置されている。
【0073】
また、第1ホルダー51の縁端部とマイクロメータ固定台53との間においてマイクロメータ64〜66に近接した位置には、Y方向に沿って延びる引張りスプリング64a〜66a(図8では引張りスプリング64aが不図示)が取り付けられている。引張りスプリング64a〜66aは、マイクロメータ64〜66による押圧力に抗して、第1ホルダー51の縁端部をマイクロメータ固定台53に向かって付勢する機能を有する。
【0074】
こうして、第1変形例では、マイクロメータ63の作用によりその先端部において第1ホルダー51をX方向にΔXだけ移動させることにより、第1ホルダー51をX方向に移動させること、ひいては第1フライアイ部材8aをX方向に移動させることができる。また、マイクロメータ61および62の作用によりその先端部において第1ホルダー51をZ方向にΔZ1およびΔZ2だけそれぞれ移動させることにより、第1ホルダー51をZ方向に移動させたり光軸AX廻り(Y軸廻り)に回転させたりすること、ひいては第1フライアイ部材8aをZ方向に移動させたり光軸AX廻りに回転させたりすることができる。
【0075】
また、マイクロメータ64〜66の作用によりその先端部において第1ホルダー51をY方向にΔY1、ΔY2およびΔY3だけそれぞれ移動させることにより、第1ホルダー51をY方向に移動させたり光軸AXを通るX軸廻りに回転させたり光軸AXを通るZ軸廻りに回転させたりすること、ひいては第1フライアイ部材8aをY方向に移動させたり光軸AXを通るX軸廻りに回転させたり光軸AXを通るZ軸廻りに回転させたりすることができる。
【0076】
このように、第1変形例では、光軸AXと直交する面内において作動する3つのマイクロメータ61〜63を用いて、光軸AXと直交する面内における第1フライアイ部材8aと第2フライアイ部材8bとの位置関係および光軸AXを中心とする第1フライアイ部材8aと第2フライアイ部材8bとの回転位置関係を随時調整することができる。また、光軸AX方向に沿って作動する3つのマイクロメータ64〜66を用いて、光軸AX方向における第1フライアイ部材8aと第2フライアイ部材8bとの位置関係、並びに光軸AXを通るX軸および光軸AXを通るZ軸を中心とする第1フライアイ部材8aと第2フライアイ部材8bとの回転位置関係を随時調整することができる。
【0077】
以上のように、第1変形例の保持装置では、マイクロメータ61〜66を用いることにより、露光装置に組み込んだ後においても第1フライアイ部材8aと第2フライアイ部材8bとの位置関係を随時調整することができる。しかしながら、第1変形例では、光軸AXと直交する面内において作動する3つのマイクロメータ61〜63と光軸AX方向に沿って作動する3つのマイクロメータ64〜66とを1つのホルダー51に対して作用させているので、いわゆる動作の干渉が起こり易い。ここで、動作の干渉とは、1つの自由度の変化に伴い他の自由度の変化を生じることをいう。
【0078】
具体的には、たとえばマイクロメータ61〜63の作用により第1ホルダー51を光軸AXと直交する面に沿って移動や回転をさせると、マイクロメータ64〜66と第1ホルダー51との接点位置が変化し、この接点位置の変化に起因して第1ホルダー51がY方向に微動したり光軸AXを通るX軸廻りに微小回転したり光軸AXを通るZ軸廻りに微小回転したりする。本発明では、第1変形例における動作の干渉を実質的に回避することのできる変形例も可能である。
【0079】
図10は、第2変形例にかかる保持装置の構成を概略的に示す断面図である。また、図11は、第2変形例にかかる保持装置の動作原理を概略的に説明する図である。第2変形例は、第1変形例と類似の構成を有する。しかしながら、第2変形例では、第1フライアイ部材8aを保持してXZ平面に沿って移動する第1テーブル54Aと第1テーブル54Aに当接してY方向に沿って移動する第2テーブル54Bとにより第1ホルダーが構成されている点が第1変形例と基本的に相違している。以下、第1変形例との相違点に着目して、第2変形例を説明する。
【0080】
図10を参照すると、第2変形例の保持装置では、上述の実施形態における第1ホルダー31および第2ホルダー32と同様の形態にしたがって、第1フライアイ部材8aが第1テーブル54Aによって保持され、第2フライアイ部材8bが第2ホルダー52によって保持されている。第1テーブル54Aは、Y方向に沿って延びる複数(たとえば3つ)の引張りスプリング55の作用により、第2テーブル54Bに当接するようにY方向に沿って付勢されている。そして、第2テーブル54Bの側壁部(Y方向に沿った面を有する部位)には、Z方向に沿って作動する一対のマイクロメータ71および72と、X方向に沿って作動するマイクロメータ73(図10では不図示)とが取り付けられている。
【0081】
ここで、マイクロメータ71〜73は、その先端部が第1テーブル54Aの側壁部(Y方向に沿った面を有する部位)に当接するように設定されている。また、マイクロメータ71〜73は第2ホルダー52の側壁部を貫通し、その操作部(つまみ部)が第2ホルダー52の側壁部から外側に突出している。図11に示すように、マイクロメータ71と72とは光軸AXを通るZ軸に関して対称な位置に配置され、マイクロメータ73は光軸AXを通るX軸に沿って作動するように位置決めされている。
【0082】
また、第1テーブル54Aの側壁部と第2テーブル54Bの側壁部との間においてマイクロメータ71および72に近接した位置には、Z方向に沿って延びる引張りスプリング71aおよび72aが取り付けられている。同様に、第1テーブル54Aの側壁部と第2テーブル54Bの側壁部との間においてマイクロメータ73に近接した位置には、X方向に沿って延びる引張りスプリング73a(不図示)が取り付けられている。引張りスプリング71a〜73aは、マイクロメータ71〜73による押圧力に抗して、第1テーブル54Aの側壁部を第2テーブル54Bの側壁部に向かって付勢する機能を有する。
【0083】
第2ホルダー52の一端に取り付けられたマイクロメータ固定台53には、Y方向に沿って作動する3つのマイクロメータ74〜76(図10ではマイクロメータ74が不図示)が取り付けられている。ここで、マイクロメータ74〜76は、その先端部が第2テーブル54Bの縁端部(XZ平面に平行な面を有する部位)に当接するように設定されている。また、図11に示すように、マイクロメータ74は光軸AXを通るX軸上に位置決めされ、マイクロメータ75と76とは光軸AXを通るX軸に関して対称な位置に配置されている。
【0084】
なお、第2テーブル54Bの縁端部とマイクロメータ固定台53との間においてマイクロメータ74〜76に近接した位置には、Y方向に沿って延びる引張りスプリング74a〜76a(図10では引張りスプリング74aが不図示)が取り付けられている。引張りスプリング74a〜76aは、マイクロメータ74〜76による押圧力に抗して、第2テーブル54Bの縁端部をマイクロメータ固定台53に向かって付勢する機能を有する。
【0085】
また、第2テーブル54Bとマイクロメータ固定台53とは、XZ平面とほぼ平行に延びる板バネ56を介して連結されている。具体的には、板バネ56は、Z方向に沿った一端において例えばビスのような締結手段を介して第2テーブル54Bに取り付けられ、Z方向に沿った他端において例えばビスのような締結手段を介してマイクロメータ固定台53に取り付けられている。上述したマイクロメータ74〜76および引張りスプリング74a〜76aは、板バネ56を貫通するように取り付けられている。
【0086】
こうして、第2変形例では、マイクロメータ73の作用によりその先端部において第1テーブル54AをX方向にΔXだけ移動させることにより、第1フライアイ部材8aをX方向に移動させることができる。また、マイクロメータ71および72の作用によりその先端部において第1テーブル54AをZ方向にΔZ1およびΔZ2だけそれぞれ移動させることにより、第1フライアイ部材8aをZ方向に移動させたり光軸AX廻りに回転させたりすることができる。
【0087】
また、マイクロメータ74〜76の作用によりその先端部において第2テーブル54BをY方向にΔY1、ΔY2およびΔY3だけそれぞれ移動させることにより、第1テーブル54AをY方向に移動させたり光軸AXを通るX軸廻りに回転させたり光軸AXを通るZ軸廻りに回転させたりすること、ひいては第1フライアイ部材8aをY方向に移動させたり光軸AXを通るX軸廻りに回転させたり光軸AXを通るZ軸廻りに回転させたりすることができる。
【0088】
このように、第2変形例においても第1変形例と同様に、光軸AXと直交する面内において作動する3つのマイクロメータ71〜73を用いて、光軸AXと直交する面内における第1フライアイ部材8aと第2フライアイ部材8bとの位置関係および光軸AXを中心とする第1フライアイ部材8aと第2フライアイ部材8bとの回転位置関係を随時調整することができる。また、光軸AX方向に沿って作動する3つのマイクロメータ74〜76を用いて、光軸AX方向における第1フライアイ部材8aと第2フライアイ部材8bとの位置関係、並びに光軸AXを通るX軸および光軸AXを通るZ軸を中心とする第1フライアイ部材8aと第2フライアイ部材8bとの回転位置関係を随時調整することができる。
【0089】
しかも、第2変形例においては、第2テーブル54Bとマイクロメータ固定台53とがXZ平面とほぼ平行に延びる板バネ56を介して連結されているので、第2テーブル54BはY方向に移動したりX軸やZ軸廻りに回転したりするが、第2テーブル54BのX方向およびZ方向の移動および光軸AX廻り(Y軸廻り)の回転は拘束される。また、第1テーブル54Aと第2テーブル54BとがY方向に沿って延びる複数の引張りスプリング55を介して連結されているので、第1テーブル54Aと第2テーブル54BとがY方向に関して当接した状態が常に維持される。
【0090】
したがって、第2変形例では第1変形例とは異なり、たとえばマイクロメータ71〜73の作用により第1テーブル54Aを光軸AXと直交する面に沿って移動させたり回転させたりしても、第1テーブル54Aと第2テーブル54Bとは光軸AXと直交する面に沿って摺動可能であるため、マイクロメータ74〜76と第2テーブル54Bとの接点位置が変化することがなく、動作の干渉は実質的に起こらない。同様に、たとえばマイクロメータ74〜76の作用により第2テーブル54BをY方向に移動させたりX軸やZ軸廻りに回転させたりしても、第1テーブル54Aと第2テーブル54BとはY方向に関して当接した状態を常に維持するので、第2テーブル54Bに取り付けられたマイクロメータ71〜73と第1テーブル54Aとの接点位置が変化することがなく、動作の干渉は実質的に起こらない。
【0091】
以上のように、第2変形例の保持装置では第1変形例の装置と同様に、マイクロメータ71〜76を用いることにより、露光装置に組み込んだ後においても第1フライアイ部材8aと第2フライアイ部材8bとの位置関係を随時調整することができる。しかも、第2変形例の保持装置では第1変形例の装置とは異なり、第1ホルダーを第1テーブル54Aと第2テーブル54Bとに分割し、光軸AXと直交する面内において作動する3つのマイクロメータ71〜73を第1テーブル54Aに対して作用させ、光軸AX方向に沿って作動する3つのマイクロメータ74〜76を第2テーブル54Bに対して作用させているので、動作の干渉を実質的に回避することができる。
【0092】
なお、第1変形例においてマイクロメータ61〜63および引張りスプリング61a〜63aの設置を省略し、第1ホルダー51とマイクロメータ固定台53とを第2変形例に示すような板バネ56を介して連結することにより、光軸AX方向における第1フライアイ部材8aと第2フライアイ部材8bとの位置関係と、X軸およびZ軸を中心とする第1フライアイ部材8aと第2フライアイ部材8bとの回転位置関係とだけが随時調整可能な保持装置を実現することもできる。
【0093】
また、上述の第1変形例および第2変形例では、駆動素子(駆動機構)としてマイクロメータを用いているが、これに限定されることなく、たとえば圧電素子のような駆動素子をマイクロメータに代えて用いることもできる。さらに、上述の実施形態および各変形例に開示された構成に限定されることなく、たとえば株式会社ナノコントロールにより市販されている「ナノサーボステージ(製品名)」を本発明の保持装置に応用して適用することができる。
【0094】
上述の実施形態にかかる露光装置では、照明光学装置によってマスク(レチクル)を照明し(照明工程)、投影光学系を用いてマスクに形成された転写用のパターンを感光性基板に露光する(露光工程)ことにより、マイクロデバイス(半導体素子、撮像素子、液晶表示素子、薄膜磁気ヘッド等)を製造することができる。以下、上述の実施形態の露光装置を用いて感光性基板としてのウェハ等に所定の回路パターンを形成することによって、マイクロデバイスとしての半導体デバイスを得る際の手法の一例につき図12のフローチャートを参照して説明する。
【0095】
先ず、図12のステップ301において、1ロットのウェハ上に金属膜が蒸着される。次のステップ302において、そのlロットのウェハ上の金属膜上にフォトレジストが塗布される。その後、ステップ303において、上述の実施形態の露光装置を用いて、マスク上のパターンの像がその投影光学系を介して、その1ロットのウェハ上の各ショット領域に順次露光転写される。その後、ステップ304において、その1ロットのウェハ上のフォトレジストの現像が行われた後、ステップ305において、その1ロットのウェハ上でレジストパターンをマスクとしてエッチングを行うことによって、マスク上のパターンに対応する回路パターンが、各ウェハ上の各ショット領域に形成される。その後、更に上のレイヤの回路パターンの形成等を行うことによって、半導体素子等のデバイスが製造される。上述の半導体デバイス製造方法によれば、極めて微細な回路パターンを有する半導体デバイスをスループット良く得ることができる。
【0096】
また、上述の実施形態の露光装置では、プレート(ガラス基板)上に所定のパターン(回路パターン、電極パターン等)を形成することによって、マイクロデバイスとしての液晶表示素子を得ることもできる。以下、図13のフローチャートを参照して、このときの手法の一例につき説明する。図13において、パターン形成工程401では、上述の実施形態の露光装置を用いてマスクのパターンを感光性基板(レジストが塗布されたガラス基板等)に転写露光する、所謂光リソグラフィー工程が実行される。この光リソグラフィー工程によって、感光性基板上には多数の電極等を含む所定パターンが形成される。その後、露光された基板は、現像工程、エッチング工程、レジスト剥離工程等の各工程を経ることによって、基板上に所定のパターンが形成され、次のカラーフィルター形成工程402へ移行する。
【0097】
次に、カラーフィルター形成工程402では、R(Red)、G(Green)、B(Blue)に対応した3つのドットの組がマトリックス状に多数配列されたり、またはR、G、Bの3本のストライプのフィルターの組を複数水平走査線方向に配列したカラーフィルターを形成する。そして、カラーフィルター形成工程402の後に、セル組み立て工程403が実行される。セル組み立て工程403では、パターン形成工程401にて得られた所定パターンを有する基板、およびカラーフィルター形成工程402にて得られたカラーフィルター等を用いて液晶パネル(液晶セル)を組み立てる。セル組み立て工程403では、例えば、パターン形成工程401にて得られた所定パターンを有する基板とカラーフィルター形成工程402にて得られたカラーフィルターとの間に液晶を注入して、液晶パネル(液晶セル)を製造する。
【0098】
その後、モジュール組み立て工程404にて、組み立てられた液晶パネル(液晶セル)の表示動作を行わせる電気回路、バックライト等の各部品を取り付けて液晶表示素子として完成させる。上述の液晶表示素子の製造方法によれば、極めて微細な回路パターンを有する液晶表示素子をスループット良く得ることができる。
【0099】
なお、上述の実施形態では、シリンドリカルマイクロレンズアレイ8を構成する第1フライアイ部材8aおよび第2フライアイ部材8bの保持装置に対して本発明を適用している。しかしながら、これに限定されることなく、通常のマイクロレンズアレイを構成する一対のフライアイ部材の保持装置や、さらに一般的に光軸に沿って互いに近接して位置決めすべき一対の光学部材の保持装置に対して本発明を適用することもできる。
【0100】
また、上述の実施形態では、コンデンサー光学系9によって二次光源からの光を集光して重畳的にマスクMを照明している。しかしながら、これに限定されることなく、コンデンサー光学系9とマスクMとの間の光路中に、照明視野絞り(マスクブラインド)と、この照明視野絞りの像をマスクM上に形成するリレー光学系とを配置しても良い。この場合、コンデンサー光学系9は、二次光源からの光を集光して重畳的に照明視野絞りを照明することになり、リレー光学系は照明視野絞りの開口部(光透過部)の像をマスクM上に形成することになる。
【0101】
また、上述の実施形態では、露光光としてKrFエキシマレーザー光(波長:248nm)やArFエキシマレーザー光(波長:193nm)を用いているが、これに限定されることなく、他の適当な波長を有する露光光に対して本発明を適用することもできる。例えば、F2レーザー光(波長:157nm)を用いることもできる。さらに、上述の実施形態では、照明光学装置を備えた投影露光装置を例にとって本発明を説明したが、マスク以外の被照射面を照明するための一般的な照明光学装置に本発明を適用することができることは明らかである。
【0102】
なお、第1フライアイ部材8a及び第2フライアイ部材8bの側面は、第1ホルダー31の開口部31a及び第2ホルダー32の開口部32aに対して面タッチ状態で保持されているが、第1フライアイ部材8a及び第2フライアイ部材8bの側面を局所的に当接させる少なくとも一つの島状支持面を設けても良い。
【0103】
また、第1ホルダー31と第2ホルダー32とは、その間に配置されたワッシャ部材38を介して連結されているが、このワッシャ部材38の代りに、第1ホルダー31と第2ホルダー32との相対的な位置を調整するマイクロヘッドを用いることもできる。また、ピエゾ素子を配置して、第1ホルダー31と第2ホルダー32との相対的な位置を自動調整してもよい。
【0104】
また、第1ホルダー31と第1フライアイ部材8aとの間、又は第2ホルダー32と第2フライアイ部材8bとの間には若干の隙間があるので、その隙間を脱ガスが少ない物質(例えば、フッ素系のOリング、フッ素系の充填剤)で塞いでもよい。
【0105】
また、本実施形態における保持装置を光軸方向に移動させることによって、不図示のレチクルブラインド(レチクル上に所定の照明領域を規定する絞り)に対する照明領域をズーミングすることができる。また、保持装置を光軸に対して傾斜させることにより、レチクルブラインドの開口部分に対する照明光の光軸を調整することができる。
【0106】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、光軸に沿って互いに近接して位置決めすべき一対の光学部材を安定的に且つ精度良く保持する保持装置を実現することができる。したがって、本発明の照明光学装置では、たとえば照明瞳面において所定形状の二次光源を形成するためのオプティカルインテグレータを構成する一対の光学部材を安定的に且つ精度良く保持する保持装置を用いて、所望の照明条件の下で被照射面を良好に照明することができる。
【0107】
また、本発明の露光装置および露光方法では、所望の照明条件の下でマスクを良好に照明する照明光学装置を用いて、感光性基板に対するマスクパターンの良好な投影露光を行うことにより、良好なデバイスを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態にかかる照明光学装置を備えた露光装置の構成を概略的に示す図である。
【図2】図1のシリンドリカルマイクロフライアイレンズの構成を概略的に示す斜視図である。
【図3】図1のシリンドリカルマイクロフライアイレンズの作用を説明する図である。
【図4】本実施形態にかかる保持装置の構成を概略的に示す図であって、(a)は上面図を、(b)は(a)の線A−Aに沿った断面図を、(c)は(a)の線B−Bに沿った断面図をそれぞれ示している。
【図5】第1フライアイ部材を保持する第1ホルダーの構成を概略的に示す上面図である。
【図6】図4に示す保持装置の底面図である。
【図7】図4の保持装置によって保持された第1フライアイ部材と第2フライアイ部材との位置関係を光軸方向から見た図である。
【図8】第1変形例にかかる保持装置の構成を概略的に示す断面図である。
【図9】第1変形例にかかる保持装置の動作原理を概略的に説明する図である。
【図10】第2変形例にかかる保持装置の構成を概略的に示す断面図である。
【図11】第2変形例にかかる保持装置の動作原理を概略的に説明する図である。
【図12】マイクロデバイスとしての半導体デバイスを得る際の手法のフローチャートである。
【図13】マイクロデバイスとしての液晶表示素子を得る際の手法のフローチャートである。
【符号の説明】
1 光源
4 回折光学素子
5 アフォーカルズームレンズ
6,60,61 回折光学素子
7 ズームレンズ
8 シリンドリカルマイクロフライアイレンズ
8a 第1フライアイ部材
8b 第2フライアイ部材
9 コンデンサー光学系
11,12 シリンドリカルレンズ群
13,14 マーク
M マスク
PL 投影光学系
W ウェハ
20 入力手段
21 制御系
22〜25 駆動系
31 第1ホルダー
32 第2ホルダー
33,35 板バネ
37 固定ボルト
38 ワッシャ部材
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学部材の保持装置、照明光学装置、露光装置および露光方法に関し、特に半導体素子、撮像素子、液晶表示素子、薄膜磁気ヘッド等のマイクロデバイスをリソグラフィー工程で製造するための露光装置に搭載される照明光学装置における一対の光学部材の保持に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の典型的な露光装置においては、光源から射出された光束がフライアイレンズに入射し、その後側焦点面に多数の光源からなる二次光源を形成する。二次光源からの光束は、フライアイレンズの後側焦点面の近傍に配置された開口絞りを介して制限された後、コンデンサーレンズに入射する。開口絞りは、所望の照明条件(露光条件)に応じて、二次光源の形状または大きさを所望の形状または大きさに制限する。
【0003】
コンデンサーレンズにより集光された光束は、所定のパターンが形成されたマスクを重畳的に照明する。マスクのパターンを透過した光は、投影光学系を介してウェハ上に結像する。こうして、ウェハ上には、マスクパターンが投影露光(転写)される。なお、マスクに形成されたパターンは高集積化されており、この微細パターンをウェハ上に正確に転写するにはウェハ上において均一な照度分布を得ることが不可欠である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述の構成を有する露光装置では、開口絞りにおける光量損失を避けるために、所望の形状に近い形状を有する二次光源を形成することが必要である。このため、たとえばフライアイレンズを構成する微小レンズ要素のサイズを非常に小さく設定すること、すなわちマイクロフライアイレンズを用いることが考えられる。ただし、通常のマイクロフライアイレンズでは、各屈折面を二次元的な曲面状(球面状)に形成する必要があるため加工が困難であり、製造コストも高くなり易い。
【0005】
そこで、通常のマイクロフライアイレンズに代えて、シリンドリカルレンズ群が形成された一対のフライアイ部材からなるマイクロフライアイレンズ、すなわちシリンドリカルマイクロフライアイレンズを用いることが提案されている。シリンドリカルマイクロフライアイレンズでは、各屈折面が二次元的な曲面状(球面状)に形成される通常のフライアイレンズとは異なり、各屈折面が一次元的な曲面状(円筒面状)に形成されるので加工が容易であり、ひいては製造コストを低減することができる。
【0006】
しかしながら、シリンドリカルマイクロフライアイレンズでは、非常に薄い平行平面板状の形態を有する一対の光学部材(フライアイ部材)を光軸に沿って互いに非常に近接した状態で位置決めする必要がある。また、シリンドリカルマイクロフライアイレンズでは、一対の光学部材の位置決め(位置合わせ)および安定性について非常に高い精度が要求される。その結果、比較的大きなスペースを利用して金物で光学部材を挟むように保持する従来の保持機構では、シリンドリカルマイクロフライアイレンズを構成する一対の光学部材を安定的に且つ精度良く保持することが極めて困難である。
【0007】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたものであり、光軸に沿って互いに近接して位置決めすべき一対の光学部材を安定的に且つ精度良く保持することのできる保持装置を提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明は、照明瞳面において所定形状の二次光源を形成するためのオプティカルインテグレータを構成する一対の光学部材を安定的に且つ精度良く保持する保持装置を用いて、所望の照明条件の下で被照射面を良好に照明することのできる照明光学装置を提供することを目的とする。
【0009】
さらに、所望の照明条件の下でマスクを良好に照明する照明光学装置を用いて、感光性基板に対するマスクパターンの良好な投影露光を行うことのできる露光装置および露光方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明の第1発明では、光軸に沿って互いに近接して位置決めされる第1光学部材と第2光学部材とを保持する保持装置において、
前記第1光学部材を保持するための第1ホルダーと、前記第2光学部材を保持するための第2ホルダーとを備え、
前記第1ホルダーは、光軸方向に関して前記第2光学部材と重なり合わない部分を介して前記第1光学部材を保持し、
前記第2ホルダーは、光軸方向に関して前記第1光学部材と重なり合わない部分を介して前記第2光学部材を保持していることを特徴とする保持装置を提供する。
【0011】
第1発明の好ましい態様によれば、前記第1光学部材および前記第2光学部材は長方形状の外形を有し、前記第1ホルダーおよび前記第2ホルダーは、前記長方形状の第1光学部材の長辺と前記長方形状の第2光学部材の長辺とが互いにほぼ直交するように前記第1光学部材および前記第2光学部材を保持している。また、前記第1ホルダーおよび前記第2ホルダーは、前記第1光学部材および前記第2光学部材の厚さを規定する一方の面を当接支持するための支持面と、他方の面を前記支持面に向かって付勢するための付勢部材とをそれぞれ有することが好ましい。この場合、前記支持面は、当該光学部材を当接支持するための互いに間隔を隔てて設けられた3つの島状支持面を有し、前記付勢部材は、前記3つの島状支持面に対応するように配置された3つの板バネを有することが好ましい。
【0012】
また、第1発明の好ましい態様によれば、光軸方向における前記第1光学部材と前記第2光学部材との位置関係、光軸と直交する面内における前記第1光学部材と前記第2光学部材との位置関係、および光軸を中心とする前記第1光学部材と前記第2光学部材との回転位置関係の少なくとも1つを調整可能に、前記第1ホルダーと前記第2ホルダーとを連結するための連結部材をさらに備えている。この場合、前記第2ホルダーは前記第1ホルダーの少なくとも一部を収容する収容部を有し、前記連結部材は、光軸と直交する面内における前記第1光学部材と前記第2光学部材との位置関係を調整するために、前記第2ホルダーの収容部に前記第1ホルダーの少なくとも一部を収容した状態で光軸と直交する面内における所定方向に沿って前記第2ホルダーの収容部に螺合し且つ先端が前記第1ホルダーの外側面に当接するように構成されたネジ部材を有することが好ましい。また、前記連結部材は、光軸方向に沿った前記第1光学部材と前記第2光学部材との位置関係を調整するために、厚さが互いに異なる複数のワッシャ部材を有し、前記複数のワッシャ部材から選択された1つまたは複数のワッシャ部材を介して前記第1ホルダーと前記第2ホルダーとを連結することが好ましい。
あるいは、前記連結部材は、光軸と直交する面内における前記第1光学部材と前記第2光学部材との位置関係および光軸を中心とする前記第1光学部材と前記第2光学部材との回転位置関係を調整するために、光軸と直交する面内において作動する3つの駆動素子を介して前記第1ホルダーと前記第2ホルダーとを連結することが好ましい。また、前記連結部材は、光軸方向における前記第1光学部材と前記第2光学部材との位置関係、光軸と直交する第1軸線を中心とする前記第1光学部材と前記第2光学部材との回転位置関係、並びに光軸および前記第1軸線と直交する第2軸線を中心とする前記第1光学部材と前記第2光学部材との回転位置関係を調整するために、光軸方向に沿って作動する3つの駆動素子を介して前記第1ホルダーと前記第2ホルダーとを連結することが好ましい。
【0013】
さらに、第1発明の好ましい態様によれば、前記第1光学部材および前記第2光学部材は石英ガラスで形成され、前記第1ホルダーおよび前記第2ホルダーは、インバー、セラミックまたはステンレス鋼で形成されている。あるいは、前記第1光学部材および前記第2光学部材は蛍石で形成され、前記第1ホルダーおよび前記第2ホルダーはアルミニウムで形成されていることが好ましい。
【0014】
本発明の第2発明では、被照射面を照明する照明光学装置において、第1発明の保持装置によって保持された前記第1光学部材および前記第2光学部材が照明光路中に配置されていることを特徴とする照明光学装置を提供する。この場合、前記第1光学部材および前記第2光学部材は、照明瞳面において所定形状の二次光源を形成するためのオプティカルインテグレータを構成していることが好ましい。
【0015】
本発明の第3発明では、第3発明の照明光学装置と、前記被照射面に配置されたマスクのパターンを感光性基板に投影露光するための投影光学系とを備えていることを特徴とする露光装置を提供する。
【0016】
本発明の第4発明では、第3発明の照明光学装置を介してマスクを照明し、照明された前記マスクに形成されたパターンの像を感光性基板上に投影露光することを特徴とする露光方法を提供する。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態を、添付図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態にかかる照明光学装置を備えた露光装置の構成を概略的に示す図である。図1において、感光性基板であるウェハWの法線方向に沿ってZ軸を、ウェハ面内において図1の紙面に平行な方向にY軸を、ウェハ面内において図1の紙面に垂直な方向にX軸をそれぞれ設定している。なお、図1では、照明光学装置が輪帯照明を行うように設定されている。
【0018】
図1の露光装置は、露光光(照明光)を供給するための光源1として、たとえば248nmの波長の光を供給するKrFエキシマレーザー光源または193nmの波長の光を供給するArFエキシマレーザー光源を備えている。光源1からZ方向に沿って射出されたほぼ平行光束は、X方向に沿って細長く延びた矩形状の断面を有し、一対のレンズ2aおよび2bからなるビームエキスパンダー2に入射する。ビームエキスパンダー2に入射した光束は、図1の紙面内において拡大され、所定の矩形状の断面を有する光束に整形される。
【0019】
整形光学系としてのビームエキスパンダー2を介したほぼ平行な光束は、折り曲げミラー3でY方向に偏向された後、回折光学素子4を介して、アフォーカルズームレンズ5に入射する。回折光学素子4は、矩形状の断面を有する平行光束が入射した場合に、そのファーフィールドに円形状の光強度分布を形成する機能を有する。したがって、回折光学素子4を介した光束は、アフォーカルズームレンズ5の瞳位置に円形状の光強度分布、すなわち円形状の断面を有する光束を形成する。
【0020】
なお、回折光学素子4は、照明光路から退避可能に構成されている。回折光学素子4の照明光路からの退避および照明光路への設定は、制御系21からの指令に基づいて動作する駆動系22により行われる。アフォーカルズームレンズ5の倍率変化は、制御系21からの指令に基づいて動作する駆動系23により行われる。アフォーカルズームレンズ5を介した光束は、輪帯照明用の回折光学素子6に入射する。アフォーカルズームレンズ5は、回折光学素子4の発散原点と回折光学素子6の回折面とを光学的にほぼ共役に結んでいる。
【0021】
輪帯照明用の回折光学素子6は、平行光束が入射した場合に、そのファーフィールドにリング状の光強度分布を形成する機能を有する。なお、回折光学素子6は、照明光路に対して挿脱自在に構成され、且つ4極照明用の回折光学素子60や円形照明用の回折光学素子61と切り換え可能に構成されている。4極照明用の回折光学素子60および円形照明用の回折光学素子61の構成および作用については後述する。ここで、輪帯照明用の回折光学素子6と4極照明用の回折光学素子60と円形照明用の回折光学素子61との間の切り換えは、制御系21からの指令に基づいて動作する駆動系24により行われる。
【0022】
回折光学素子6を介した光束は、ズームレンズ7に入射する。ズームレンズ7の後側焦点面の近傍には、光源側から順に第1フライアイ部材8aと第2フライアイ部材8bとからなるシリンドリカルマイクロフライアイレンズ8の入射面(すなわち第1フライアイ部材8aの入射面)が位置決めされている。なお、シリンドリカルマイクロフライアイレンズ8は入射光束に基づいて多数光源を形成するオプティカルインテグレータとして機能するが、その詳細な構成、作用および保持機構については後述する。
【0023】
上述したように、回折光学素子4を介してアフォーカルズームレンズ5の瞳位置に形成される円形状の光強度分布からの光束は、アフォーカルズームレンズ5から射出された後、様々な角度成分を有する光束となって回折光学素子6に入射する。一方、回折光学素子6は、平行光束が入射した場合に、そのファーフィールドにリング状の光強度分布を形成する機能を有する。したがって、回折光学素子6を介した光束は、ズームレンズ7の後側焦点面に(ひいてはシリンドリカルマイクロフライアイレンズ8の入射面に)、たとえば光軸AXを中心とした輪帯状の照野を形成する。
【0024】
シリンドリカルマイクロフライアイレンズ8の入射面に形成される輪帯状の照野の外径は、ズームレンズ7の焦点距離に依存して変化する。このように、ズームレンズ7は、回折光学素子6とシリンドリカルマイクロフライアイレンズ8の入射面とを実質的にフーリエ変換の関係に結んでいる。なお、ズームレンズ7の焦点距離の変化は、制御系21からの指令に基づいて動作する駆動系25により行われる。シリンドリカルマイクロフライアイレンズ8に入射した光束は二次元的に分割され、その後側焦点面には入射光束によって形成される照野と同じ輪帯状の多数光源(以下、「二次光源」という)が形成される。
【0025】
シリンドリカルマイクロフライアイレンズ8の後側焦点面に形成された輪帯状の二次光源からの光束は、コンデンサー光学系9の集光作用を受けた後、所定のパターンが形成されたマスクMを重畳的に照明する。マスクMのパターンを透過した光束は、投影光学系PLを介して、感光性基板であるウェハW上にマスクパターンの像を形成する。こうして、投影光学系PLの光軸AXと直交する平面(XY平面)内においてウェハWを二次元的に駆動制御しながら一括露光またはスキャン露光を行うことにより、ウェハWの各露光領域にはマスクMのパターンが逐次露光される。
【0026】
本実施形態では、アフォーカルズームレンズ5の倍率が変化すると、輪帯状の二次光源の中心高さ(円形状の中心線の光軸AXからの距離)が変化することなく、その幅(外径(直径)と内径(直径)との差の1/2)だけが変化する。すなわち、アフォーカルズームレンズ5の倍率を変化させることにより、輪帯状の二次光源の大きさ(外径)およびその形状(輪帯比:内径/外径)をともに変更することができる。
【0027】
また、ズームレンズ7の焦点距離が変化すると、輪帯状の二次光源の輪帯比が変化することなく、中心高さおよびその幅がともに変化する。すなわち、ズームレンズ7の焦点距離を変化させることにより、輪帯状の二次光源の輪帯比を変更することなくその外径を変更することができる。以上より、本実施形態では、アフォーカルズームレンズ5の倍率とズームレンズ7の焦点距離とを適宜変化させることにより、輪帯状の二次光源の外径を変化させることなくその輪帯比だけを変更することができる。
【0028】
前述したように、回折光学素子6は、照明光路に対して挿脱自在に構成され、且つ4極照明用の回折光学素子60や円形照明用の回折光学素子61と切り換え可能に構成されている。以下、回折光学素子6に代えて回折光学素子60を照明光路中に設定することによって得られる4極照明について説明する。4極照明用の回折光学素子60は、平行光束が入射した場合に、そのファーフィールドに4点状の光強度分布を形成する機能を有する。したがって、回折光学素子60を介した光束は、シリンドリカルマイクロフライアイレンズ8の入射面に、たとえば光軸AXを中心とした4つの円形状の照野からなる4極状の照野を形成する。その結果、シリンドリカルマイクロフライアイレンズ8の後側焦点面にも、その入射面に形成された照野と同じ4極状の二次光源が形成される。
【0029】
4極照明においても輪帯照明の場合と同様に、アフォーカルズームレンズ5の倍率を変化させることにより、4極状の二次光源の外径(4つの円形状の面光源に外接する円の直径)および輪帯比(4つの円形状の面光源に内接する円の直径/4つの円形状の面光源に外接する円の直径)をともに変更することができる。また、ズームレンズ7の焦点距離を変化させることにより、4極状の二次光源の輪帯比を変更することなくその外径を変更することができる。その結果、アフォーカルズームレンズ5の倍率とズームレンズ7の焦点距離とを適宜変化させることにより、4極状の二次光源の外径を変化させることなくその輪帯比だけを変更することができる。
【0030】
次いで、回折光学素子4を照明光路から退避させるとともに、回折光学素子6または60に代えて円形照明用の回折光学素子61を照明光路中に設定することによって得られる円形照明について説明する。この場合、アフォーカルズームレンズ5には光軸AXに沿って矩形状の断面を有する光束が入射する。アフォーカルズームレンズ5に入射した光束は、その倍率に応じて拡大または縮小され、矩形状の断面を有する光束のまま光軸AXに沿ってアフォーカルズームレンズ5から射出され、回折光学素子61に入射する。
【0031】
ここで、円形照明用の回折光学素子61は、回折光学素子4と同様に、矩形状の断面を有する平行光束が入射した場合に、ファーフィールドに円形状の光強度分布を形成する機能を有する。したがって、回折光学素子61により形成された円形光束は、ズームレンズ7を介して、シリンドリカルマイクロフライアイレンズ8の入射面において光軸AXを中心とした円形状の照野を形成する。その結果、シリンドリカルマイクロフライアイレンズ8の後側焦点面にも、光軸AXを中心とした円形状の二次光源が形成される。この場合、アフォーカルズームレンズ5の倍率またはズームレンズ7の焦点距離を変化させることにより、円形状の二次光源の外径を適宜変更することができる。
【0032】
本実施形態では、ステップ・アンド・リピート方式またはステップ・アンド・スキャン方式にしたがって順次露光すべき各種のマスクに関する情報などが、キーボードなどの入力手段20を介して制御系21に入力される。制御系21は、各種のマスクに関する最適な線幅(解像度)、焦点深度等の情報を内部のメモリー部に記憶しており、入力手段20からの入力に応答して駆動系22〜25に適当な制御信号を供給する。こうして、本実施形態では、多様な変形照明(輪帯照明、4極照明)および通常照明(円形照明)を行うことができる。
【0033】
図2は、図1のシリンドリカルマイクロフライアイレンズの構成を概略的に示す斜視図である。また、図3は、図1のシリンドリカルマイクロフライアイレンズの作用を説明する図である。図2を参照すると、シリンドリカルマイクロフライアイレンズ8は、光源側に配置された第1フライアイ部材8aとマスク側に配置された第2フライアイ部材8bとから構成されている。第1フライアイ部材8aと第2フライアイ部材8bとは全体的に同様の構成を有するが、その屈折面の曲率半径、その材質などは必ずしも一致していない。
【0034】
さらに詳細には、第1フライアイ部材8aの光源側の面および第2フライアイ部材8bの光源側の面には、X方向に沿って配列されたシリンドリカルレンズ群11aおよび11bがそれぞれ形成されている。すなわち、第1フライアイ部材8aの光源側の面および第2フライアイ部材8bの光源側の面に形成されたシリンドリカルレンズ群11aおよび11bはX方向に沿ってピッチp1を有する。
【0035】
一方、第1フライアイ部材8aのマスク側の面および第2フライアイ部材8bのマスク側の面には、Z方向に沿って配列されたシリンドリカルレンズ群12aおよび12bがそれぞれ形成されている。すなわち、第1フライアイ部材8aのマスク側の面および第2フライアイ部材8bのマスク側の面に形成されたシリンドリカルレンズ群12aおよび12bはZ方向に沿ってピッチp2を有する。本実施形態では、光源側の面に形成されたシリンドリカルレンズ群11aおよび11bのピッチp1が、マスク側の面に形成されたシリンドリカルレンズ群12aおよび12bのピッチp2よりも小さく設定されている。
【0036】
また、第1フライアイ部材8aの光源側の面および第2フライアイ部材8bの光源側の面には、Z方向に沿った直線状のマーク13aおよび13bがX方向に沿った両側において光学的に対応する位置にそれぞれ形成されている。同様に、第1フライアイ部材8aのマスク側の面および第2フライアイ部材8bのマスク側の面には、X方向に沿った直線状のマーク14aおよび14bがZ方向に沿った両側において光学的に対応する位置にそれぞれ形成されている。マーク13a,13b,14a,14bは、たとえば第1フライアイ部材8aおよび第2フライアイ部材8bを構成する基板に刻設された直線状の溝である。
【0037】
図3(a)を参照して、シリンドリカルマイクロフライアイレンズ8のX方向に関する屈折作用(すなわちXY平面に関する屈折作用)に着目すると、光軸AXに沿ってシリンドリカルマイクロフライアイレンズ8に入射した平行光束は、第1フライアイ部材8aの光源側(図中左側)に形成されたシリンドリカルレンズ群11aによってX方向に沿ってピッチp1で波面分割される。そして、シリンドリカルレンズ群11aの各シリンドリカルレンズに入射した光束は、その屈折面で集光作用を受けた後、第2フライアイ部材8bの光源側に形成されたシリンドリカルレンズ群11bのうちの対応するシリンドリカルレンズの屈折面で集光作用を受け、シリンドリカルマイクロフライアイレンズ8の後側焦点面8c上に集光する。
【0038】
一方、図3(b)を参照して、シリンドリカルマイクロフライアイレンズ8のZ方向に関する屈折作用(すなわちZY平面に関する屈折作用)に着目すると、光軸AXに沿ってシリンドリカルマイクロフライアイレンズ8に入射した平行光束は、第1フライアイ部材8aのマスク側(図中右側)に形成されたシリンドリカルレンズ群12aによってZ方向に沿ってピッチp2で波面分割される。そして、シリンドリカルレンズ群12aの各シリンドリカルレンズに入射した光束は、その屈折面で集光作用を受けた後、第2フライアイ部材8bのマスク側に形成されたシリンドリカルレンズ群12bのうちの対応するシリンドリカルレンズの屈折面で集光作用を受け、シリンドリカルマイクロフライアイレンズ8の後側焦点面8c上に集光する。
【0039】
このように、本実施形態のシリンドリカルマイクロフライアイレンズ8は、光軸AXに沿って間隔を隔てて配置された第1フライアイ部材8aと第2フライアイ部材8bとにより構成されているが、X方向にp1のサイズを有しZ方向にp2のサイズを有する多数のレンズエレメントを縦横に且つ稠密に配列して構成される通常のフライアイレンズ(またはマイクロフライアイレンズ)と同様の光学的機能を発揮する。ちなみに、本実施形態のシリンドリカルマイクロフライアイレンズ8は、たとえば研削加工、エッチング加工、型プレス加工などにより製造可能である。
【0040】
本実施形態では、第1フライアイ部材8aと第2フライアイ部材8bとを位置合わせすること、すなわち第1フライアイ部材8aの光源側の面に形成されたシリンドリカルレンズ群11aと第2フライアイ部材8bの光源側の面に形成されたシリンドリカルレンズ群11bとを光学的に位置合わせするとともに、第1フライアイ部材8aのマスク側の面に形成されたシリンドリカルレンズ群12aと第2フライアイ部材8bのマスク側の面に形成されたシリンドリカルレンズ群12bとを光学的に位置合わせすることが重要である。すなわち、第1フライアイ部材8aを保持する後述の第1ホルダーと、第2フライアイ部材8bを保持する後述の第2ホルダーとを機械的に位置合わせすることが重要である。
【0041】
具体的には、本実施形態のシリンドリカルマイクロフライアイレンズ8では、第1フライアイ部材8aおよび第2フライアイ部材8bの位置決め精度(X軸に沿った位置決め精度、Z軸に沿った位置決め精度、Y軸廻りの回転位置決め精度)が、たとえば数μm〜数十μmであり、従来の光学部材に求められる位置決め精度(たとえば数百μm)に比して非常に厳格である。また、第1フライアイ部材8aと第2フライアイ部材8bとの光軸AXに沿った間隔の精度も同様に、たとえば数μm〜数十μmであり非常に厳格である。
【0042】
さらに、第1フライアイ部材8aおよび第2フライアイ部材8bの安定性(X軸に沿った位置変動、Z軸に沿った位置変動、Y軸廻りの回転位置変動、第1フライアイ部材8aと第2フライアイ部材8bとの間隔変動)についても、たとえば数μm〜数十μmの精度が必要であり、従来の光学部材に求められる安定性精度(たとえば数百μm)に比して非常に厳格である。
【0043】
また、第1フライアイ部材8aおよび第2フライアイ部材8bの厚さがそれぞれ0.5mm〜4mm程度であり非常に薄く、第1フライアイ部材8aと第2フライアイ部材8bとの間隔も1mm以下であり非常に狭い。その結果、比較的大きなスペースを利用して金物で光学部材を挟むような従来の保持機構では、本実施形態のシリンドリカルマイクロフライアイレンズ8を構成する第1フライアイ部材8aおよび第2フライアイ部材8bを安定的に且つ精度良く保持することが極めて困難である。そこで、本実施形態では、従来の保持機構とは異なる新規な構成を有する保持装置を導入している。
【0044】
図4は、本実施形態にかかる保持装置の構成を概略的に示す図であって、(a)は上面図を、(b)は(a)の線A−Aに沿った断面図を、(c)は(a)の線B−Bに沿った断面図をそれぞれ示している。また、図5は、第1フライアイ部材を保持する第1ホルダーの構成を概略的に示す上面図である。さらに、図6は、図4に示す保持装置の底面図である。また、図7は、図4の保持装置によって保持された第1フライアイ部材と第2フライアイ部材との位置関係を光軸に沿った方向から見た図である。
【0045】
図4〜図7を参照すると、本実施形態の保持装置は、第1フライアイ部材(第1光学部材)8aを保持するための第1ホルダー31と、第2フライアイ部材(第2光学部材)8bを保持するための第2ホルダー32とを備えている。図5に示すように、第1ホルダー31には、第1フライアイ部材8aの外形とほぼ一致する形状および大きさを有する長方形状の開口部31aと、開口部31aに位置決めされた長方形状の第1フライアイ部材8aの短辺部分において第1フライアイ部材8aの厚さを規定する一方の面を当接支持するための一対の支持面31bおよび31cとが形成されている。
【0046】
また、第1ホルダー31のフランジ部分には、3つのボルト孔(直孔)31dが形成されている。さらに、第1ホルダー31には、長方形状の第1フライアイ部材8aの短辺部分における他方の面を支持面31bおよび31cに向かって付勢するための付勢部材として、3つの板バネ(押えばね)33が設けられている。板ばね33は、たとえばボルト34を介して第1ホルダー31に取り付けられている。なお、図示を省略したが、支持面31bおよび31cには、3つの板バネ33の位置に対応するように、第1フライアイ部材8aを局所的に当接支持するための3つの島状支持面が設けられている。
【0047】
一方、図4に示すように、第2ホルダー32には、第2フライアイ部材8bの外形とほぼ一致する形状および大きさを有する長方形状の開口部32aと、開口部32aに位置決めされた長方形状の第2フライアイ部材8bの短辺部分における一方の面を当接支持するための一対の支持面32bおよび32cとが形成されている。ここで、図7に明瞭に示すように、長方形状の外形を有する第1フライアイ部材8aの長辺と第2フライアイ部材8bの長辺とが互いに直交するように設定されている。
【0048】
また、第2ホルダー32には、長方形状の第2フライアイ部材8bの短辺部分における他方の面を支持面32bおよび32cに向かって付勢するための付勢部材として、3つの板バネ35(押えばね)が設けられている。板ばね35は、たとえばボルト36を介して第2ホルダー32に取り付けられている。なお、図示を省略したが、支持面32bおよび32cには、3つの板バネ35の位置に対応するように、第2フライアイ部材8bを局所的に当接支持するための3つの島状支持面が設けられている。さらに、第2ホルダー32には、第1ホルダー31を収容するための収容空間を形成する側壁部(収容部)を備える。第1ホルダー31は、第2ホルダー32の側壁部が形成する収容空間内に収容される。すなわち、第1ホルダー31と第2ホルダー32とは親子構造の関係にある。
【0049】
第1フライアイ部材8aを保持する第1ホルダー31は、そのフランジ部分に形成された各ボルト孔31dを貫通する固定ボルト37を介して、第2フライアイ部材8bを保持する第2ホルダー32に連結されている。この場合、第2フライアイ部材8bにおいて各ボルト孔31dに対応する位置には、固定ボルト37が係合するように螺刻されたボルト孔(不図示)が形成されていることはいうまでもない。第1ホルダー31と第2ホルダー32とは、厚さが互いに異なる複数のワッシャ部材から選択されたワッシャ部材38を介して連結されている。
【0050】
また、第2ホルダー32の側壁部には、長方形状の開口部32aの短辺方向に沿ってネジ孔39が形成され、このネジ孔39が形成された第2ホルダー32の側壁部に対し収容空間を挟んだ第2ホルダー32の側壁部には、ネジ孔39に対向するように孔40が形成されている。同様に、第2ホルダー32の側壁部には、長方形状の開口部32aの長辺方向に沿って一対のネジ孔41が形成され、この一対のネジ孔41が形成された第2ホルダー32の側壁部に対し収容空間を挟んだ第2ホルダー32の側壁部には、一対のネジ孔41に対向するように一対の孔42が形成されている。ネジ孔39および41には、たとえば調整ビスのようなネジ部材43および44がそれぞれ螺合しており、その先端が第1ホルダー31のフランジ部分の外側面に当接するように構成されている。
【0051】
一方、孔40および42には、たとえばスプリングのような付勢素子45および46がそれぞれ内蔵され、その先端が第1ホルダー31のフランジ部分の外側面に当接するように構成されている。なお、付勢素子45および46として、スプリングが内蔵され且つ先端にボールが装着されたビス部材(いわゆるボールプランジャ)を用いることもできる。いずれの場合も、付勢素子45および46がネジ部材43および44による押圧力に抗して第1ホルダー31を付勢するように構成されているので、ネジ部材43および44のねじ送り動作およびねじ戻し動作により、その先端の当接部分において第2ホルダー32内で第1ホルダー31の押し引き操作を行うことができる。また、ビス部材やネジ部材の代りに、ネジ部材43及び44と同じように調整ビスを使うことも可能である。この場合には、第1ホルダー31及び第2ホルダー32を図4に示す状態から上下逆さまの状態にし、調整ビスを緩めた状態で、第2ホルダー32に対する第1ホルダー31の位置調整を、第1ホルダー31の押し引きをすればよい。
【0052】
本実施形態では、第1ホルダー31の開口部31aにおいて、支持面31bおよび31c上に第1フライアイ部材8aを載置する。そして、第1フライアイ部材8aの隣り合う長辺部分および短辺部分と開口部31aの対応する長辺部分および短辺部分とがそれぞれ当接するように面タッチ状態で位置決めし、この位置決め状態において3つの板バネ33の作用により第1フライアイ部材8aを支持面31bおよび31cに向かって付勢した状態で保持する。その結果、第1ホルダー31に対して所望の位置関係が得られるように、第1フライアイ部材8aが第1ホルダー31によって保持される。
【0053】
同様に、第2ホルダー32の開口部32aにおいて、支持面32bおよび32c上に第2フライアイ部材8bを載置する。そして、第2フライアイ部材8bの隣り合う長辺部分および短辺部分と開口部32aの対応する長辺部分および短辺部分とがそれぞれ当接するように面タッチ状態で位置決めし、この位置決め状態において3つの板バネ35の作用により第2フライアイ部材8bを支持面32bおよび32cに向かって付勢した状態で保持する。その結果、第2ホルダー32に対して所望の位置関係が得られるように、第2フライアイ部材8bが第2ホルダー32によって保持される。なお、本実施形態における面タッチ状態とは、第1フライアイ部材8aが第1ホルダー31の開口部31aに嵌合するが、第1フライアイ部材8aに荷重が加わらないような状態(撓まない状態)を示す。
【0054】
こうして、第1フライアイ部材8aと第2フライアイ部材8bとを位置合わせすることは、第1ホルダー31と第2ホルダー32とを所望の位置関係が得られるように連結することに帰着する。そこで、本実施形態では、固定ボルト37により、第1ホルダー31と第2ホルダー32とをワッシャ部材38を介して仮留めする。ここで、使用される3つのワッシャ部材38の厚さは、第1ホルダー31、第2ホルダー32、第1フライアイ部材8a、第2フライアイ部材8bなどの製造誤差を吸収して第1フライアイ部材8aと第2フライアイ部材8bとの間隔を所望の値に精度良く設定することができるようにそれぞれ選定されている。
【0055】
次いで、たとえば顕微鏡のような適当な観察装置を用いて光軸AXに沿って第1フライアイ部材8aおよび第2フライアイ部材8bを観察しながら、第1フライアイ部材8aの光源側の面に形成されたマーク13aと第2フライアイ部材8bの光源側の面に形成されたマーク13bとがX方向に一致するとともに、第1フライアイ部材8aのマスク側の面に形成されたマーク14aと第2フライアイ部材8bのマスク側の面に形成されたマーク14bとがZ方向に一致するように、第1フライアイ部材8aと第2フライアイ部材8bとを位置合わせ(アライメント)する。
【0056】
具体的には、ネジ孔39に螺合するネジ部材43のねじ送り動作およびねじ戻し動作により、第2ホルダー32の開口部32aの短辺方向(たとえば図1のX方向に対応)に沿って、第2ホルダー32に対して第1ホルダー31を相対位置決めし、ひいては第2フライアイ部材8bに対して第1フライアイ部材8aを相対位置決めする。
【0057】
一方、一対のネジ孔41に螺合する一対のネジ部材44の並列的なねじ送り動作およびねじ戻し動作により、第2ホルダー32の開口部32aの長辺方向(たとえば図1のZ方向に対応)に沿って、第2ホルダー32に対して第1ホルダー31を相対位置決めし、ひいては第2フライアイ部材8bに対して第1フライアイ部材8aを相対位置決めする。また、一対のネジ孔41に螺合する一対のネジ部材44の独立的なねじ送り動作およびねじ戻し動作により、光軸廻りに(図1のY方向に沿った光軸AX廻りに)、第2ホルダー32に対して第1ホルダー31を相対回転位置決めし、ひいては第2フライアイ部材8bに対して第1フライアイ部材8aを相対回転位置決めする。
【0058】
こうして、第1フライアイ部材8aと第2フライアイ部材8bとを位置合わせ調整した後に、3つの固定ボルト37を最終的に締め込むことにより、保持装置に対するシリンドリカルマイクロレンズアレイ8の装着工程が終了する。シリンドリカルマイクロレンズアレイ8が装着された保持装置は、たとえば第2ホルダー32のフランジ部分に形成された3つのボルト孔(不図示)などを利用した周知の構成により、照明光学装置の照明光路中の所定位置において所定の支持部材に取り付けられる。
【0059】
以上のように、本実施形態の保持装置では、第1フライアイ部材8aと第2フライアイ部材8bとの間隔が非常に狭くてその間に保持機構の一部を介在させることが不可能であるため、光軸方向に関して第1フライアイ部材8aと第2フライアイ部材8bとが重なり合わない部分を設定している。そして、第1ホルダー31は第2フライアイ部材8bと重なり合わない部分を介して第1フライアイ部材8aを保持し、第2ホルダー32は第1フライアイ部材と重なり合わない部分を介して8a第2フライアイ部材8bを保持している。
【0060】
また、第1フライアイ部材8aおよび第2フライアイ部材8bが非常に薄くて面剛性の弱い光学部材であるため、フレキシブルな3つの押え板ばね33および35と対応する3つの島状支持面とで第1フライアイ部材8aおよび第2フライアイ部材8bを挟み込むようにして支持している。第1フライアイ部材8aおよび第2フライアイ部材8bを3点支持する形態では、たとえば4点以上の多数点で支持する場合の多重拘束に起因する平面度の低下を引き起こすことがない。こうして、本実施形態の保持装置では、光軸に沿って互いに近接して位置決めすべき一対の光学部材、すなわちシリンドリカルマイクロレンズアレイ8を構成する第1フライアイ部材8aと第2フライアイ部材8bとを保持することが可能になっている。
【0061】
また、本実施形態の保持装置では、第1フライアイ部材8aを所望の位置関係が得られるように保持する第1ホルダー31と第2フライアイ部材8bを所望の位置関係が得られるように保持する第2ホルダー32とからなる親子構造を採用している。そして、第1ホルダー31と第2ホルダー32との位置関係を調整し、ひいては第1フライアイ部材8aと第2フライアイ部材8bとを位置合わせ調整した後に、第1ホルダー31と第2ホルダー32とを連結固定している。
【0062】
また、第1ホルダー31、第2ホルダー32、第1フライアイ部材8a、第2フライアイ部材8bなどの製造誤差を吸収して第1フライアイ部材8aと第2フライアイ部材8bとの間隔を所望の値に精度良く設定することができるようにそれぞれ選定された3つのワッシャ部材38を介在させて、第1ホルダー31と第2ホルダー32とを連結している。こうして、本実施形態の保持装置では、光軸に沿って互いに近接して位置決めすべき第1フライアイ部材8aと第2フライアイ部材8bとを精度良く保持することができる。
【0063】
さらに、支持面31b,31c,32b,32cなどの製造誤差に起因する第1フライアイ部材8aおよび第2フライアイ部材8bの不要な変形を抑えるために、第1フライアイ部材8aおよび第2フライアイ部材8bを3つの島状支持面により3点座でそれぞれ支持している。また、第1ホルダー31および第2ホルダー32への取り付けに際して第1フライアイ部材8aおよび第2フライアイ部材8bの面精度を実質的に悪化させることがないように、フレキシブルな押え板ばね33および35の作用により第1フライアイ部材8aおよび第2フライアイ部材8bを対応する3つの島状支持面に対して押し付けた状態(付勢した状態)で保持している。
【0064】
こうして、本実施形態の保持装置では、光軸に沿って互いに近接して位置決めすべき第1フライアイ部材8aと第2フライアイ部材8bとを安定的に保持することができる。なお、第1ホルダー31および第2ホルダー32への取り付けに際して、3つの島状支持面に裏側から貫通孔を介して接着剤を導入し、3つの点状の接着剤の作用により第1フライアイ部材8aおよび第2フライアイ部材8bを第1ホルダー31および第2ホルダー32に補助的に固定することもできる。
【0065】
一般に、光学部材の取り付けに際して接着剤を使用することは、接着剤の硬化に伴って発生するガスが光学部材を汚染する(曇らせる)恐れがあるので、ケミカルクリーンの観点から好ましくない。しかしながら、上述のように、3つの島状支持面において点状の接着剤の作用により補助的に固定しても、第1フライアイ部材8aおよび第2フライアイ部材8bが汚染される可能性が少ない。また、接着剤の使用に代えて、あるいは接着剤の使用に加えて、第1フライアイ部材8aおよび第2フライアイ部材8bの側端面の開口部31aおよび32aの側端面への面タッチ状態を付勢する補助ばねを設けることもできる。
【0066】
ところで、環境の変化、特に温度変化に起因する第1フライアイ部材8aおよび第2フライアイ部材8bの不要な変形を抑えるために、第1フライアイ部材8aおよび第2フライアイ部材8bを形成する光学材料の線膨張係数と、保持装置を構成する要素、特に第1ホルダー31および第2ホルダー32を形成する材料の線膨張係数との差を小さく抑えることが好ましい。
【0067】
具体的には、第1フライアイ部材8aおよび第2フライアイ部材8bが石英ガラス(0.5ppm/度)で形成されている場合、第1ホルダー31および第2ホルダー32は、たとえばインバー(1ppm/度)、セラミックまたはステンレス鋼(10ppm/度:SUS410)などで形成されていることが好ましい。ただし、インバーは加工が難しく且つ高価であり、さらにケミカルクリーン性能の観点から表面処理が必要である。また、第1フライアイ部材8aおよび第2フライアイ部材8bが蛍石(24ppm/度)で形成されている場合、第1ホルダー31および第2ホルダー32は、たとえばアルミニウム(23.8ppm/度)などで形成されていることが好ましい。
【0068】
なお、上述の実施形態にかかる保持装置では、露光装置に組み込んだ後に第1フライアイ部材8aと第2フライアイ部材8bとの位置関係を調整することができない。しかしながら、たとえばマイクロメータ(マイクロヘッド)のような駆動素子(駆動機構)を用いることにより、露光装置に組み込んだ後においても第1フライアイ部材8aと第2フライアイ部材8bとの位置関係を随時調整することも可能である。図8は、第1変形例にかかる保持装置の構成を概略的に示す断面図である。また、図9は、第1変形例にかかる保持装置の動作原理を概略的に説明する図である。
【0069】
図8を参照すると、第1変形例の保持装置は、第1光学部材としての第1フライアイ部材8aを保持するための第1ホルダー51と、第2光学部材としての第2フライアイ部材8bを保持するための第2ホルダー52とを備えている。なお、図示を省略したが、第1ホルダー51および第2ホルダー52には、上述の実施形態における第1ホルダー31および第2ホルダー32と同様の形態にしたがって、すなわち3つの島状支持面と3つの板バネ(押えばね)のような付勢部材との協働作用により、第1フライアイ部材8aおよび第2フライアイ部材8bがそれぞれ安定的に保持されている。
【0070】
第1変形例では、第2ホルダー52の側壁部(Y方向に沿った面を有する部位)に、Z方向に沿って作動する一対のマイクロメータ61および62と、X方向に沿って作動するマイクロメータ63(図8では不図示)とが取り付けられている。ここで、マイクロメータ61〜63は、その先端部が第1ホルダー51の側壁部(Y方向に沿った面を有する部位)に当接するように設定されている。また、図9に示すように、マイクロメータ61と62とは光軸AXを通るZ軸に関して対称な位置に配置され、マイクロメータ63は光軸AXを通るX軸に沿って作動するように位置決めされている。
【0071】
また、第1ホルダー51の側壁部と第2ホルダー52の側壁部との間においてマイクロメータ61および62に近接した位置には、Z方向に沿って延びる引張りスプリング61aおよび62aが取り付けられている。同様に、第1ホルダー51の側壁部と第2ホルダー52の側壁部との間においてマイクロメータ63に近接した位置には、X方向に沿って延びる引張りスプリング63a(不図示)が取り付けられている。引張りスプリング61a〜63aは、マイクロメータ61〜63による押圧力に抗して、第1ホルダー51の側壁部を第2ホルダー52の側壁部に向かって付勢する機能を有する。
【0072】
さらに、第2ホルダー52の端部(第2フライアイ部材8bを保持する端部とは反対側)には、光軸AXを中心とする円環状のマイクロメータ固定台53が取り付けられている。マイクロメータ固定台53には、Y方向に沿って作動する3つのマイクロメータ64〜66(図8ではマイクロメータ64が不図示)が取り付けられている。ここで、マイクロメータ64〜66は、その先端部が第1ホルダー51の縁端部(XZ平面に平行な面を有する部位)に当接するように設定されている。また、図9に示すように、マイクロメータ64は光軸AXを通るX軸上に位置決めされ、マイクロメータ65と66とは光軸AXを通るX軸に関して対称な位置に配置されている。
【0073】
また、第1ホルダー51の縁端部とマイクロメータ固定台53との間においてマイクロメータ64〜66に近接した位置には、Y方向に沿って延びる引張りスプリング64a〜66a(図8では引張りスプリング64aが不図示)が取り付けられている。引張りスプリング64a〜66aは、マイクロメータ64〜66による押圧力に抗して、第1ホルダー51の縁端部をマイクロメータ固定台53に向かって付勢する機能を有する。
【0074】
こうして、第1変形例では、マイクロメータ63の作用によりその先端部において第1ホルダー51をX方向にΔXだけ移動させることにより、第1ホルダー51をX方向に移動させること、ひいては第1フライアイ部材8aをX方向に移動させることができる。また、マイクロメータ61および62の作用によりその先端部において第1ホルダー51をZ方向にΔZ1およびΔZ2だけそれぞれ移動させることにより、第1ホルダー51をZ方向に移動させたり光軸AX廻り(Y軸廻り)に回転させたりすること、ひいては第1フライアイ部材8aをZ方向に移動させたり光軸AX廻りに回転させたりすることができる。
【0075】
また、マイクロメータ64〜66の作用によりその先端部において第1ホルダー51をY方向にΔY1、ΔY2およびΔY3だけそれぞれ移動させることにより、第1ホルダー51をY方向に移動させたり光軸AXを通るX軸廻りに回転させたり光軸AXを通るZ軸廻りに回転させたりすること、ひいては第1フライアイ部材8aをY方向に移動させたり光軸AXを通るX軸廻りに回転させたり光軸AXを通るZ軸廻りに回転させたりすることができる。
【0076】
このように、第1変形例では、光軸AXと直交する面内において作動する3つのマイクロメータ61〜63を用いて、光軸AXと直交する面内における第1フライアイ部材8aと第2フライアイ部材8bとの位置関係および光軸AXを中心とする第1フライアイ部材8aと第2フライアイ部材8bとの回転位置関係を随時調整することができる。また、光軸AX方向に沿って作動する3つのマイクロメータ64〜66を用いて、光軸AX方向における第1フライアイ部材8aと第2フライアイ部材8bとの位置関係、並びに光軸AXを通るX軸および光軸AXを通るZ軸を中心とする第1フライアイ部材8aと第2フライアイ部材8bとの回転位置関係を随時調整することができる。
【0077】
以上のように、第1変形例の保持装置では、マイクロメータ61〜66を用いることにより、露光装置に組み込んだ後においても第1フライアイ部材8aと第2フライアイ部材8bとの位置関係を随時調整することができる。しかしながら、第1変形例では、光軸AXと直交する面内において作動する3つのマイクロメータ61〜63と光軸AX方向に沿って作動する3つのマイクロメータ64〜66とを1つのホルダー51に対して作用させているので、いわゆる動作の干渉が起こり易い。ここで、動作の干渉とは、1つの自由度の変化に伴い他の自由度の変化を生じることをいう。
【0078】
具体的には、たとえばマイクロメータ61〜63の作用により第1ホルダー51を光軸AXと直交する面に沿って移動や回転をさせると、マイクロメータ64〜66と第1ホルダー51との接点位置が変化し、この接点位置の変化に起因して第1ホルダー51がY方向に微動したり光軸AXを通るX軸廻りに微小回転したり光軸AXを通るZ軸廻りに微小回転したりする。本発明では、第1変形例における動作の干渉を実質的に回避することのできる変形例も可能である。
【0079】
図10は、第2変形例にかかる保持装置の構成を概略的に示す断面図である。また、図11は、第2変形例にかかる保持装置の動作原理を概略的に説明する図である。第2変形例は、第1変形例と類似の構成を有する。しかしながら、第2変形例では、第1フライアイ部材8aを保持してXZ平面に沿って移動する第1テーブル54Aと第1テーブル54Aに当接してY方向に沿って移動する第2テーブル54Bとにより第1ホルダーが構成されている点が第1変形例と基本的に相違している。以下、第1変形例との相違点に着目して、第2変形例を説明する。
【0080】
図10を参照すると、第2変形例の保持装置では、上述の実施形態における第1ホルダー31および第2ホルダー32と同様の形態にしたがって、第1フライアイ部材8aが第1テーブル54Aによって保持され、第2フライアイ部材8bが第2ホルダー52によって保持されている。第1テーブル54Aは、Y方向に沿って延びる複数(たとえば3つ)の引張りスプリング55の作用により、第2テーブル54Bに当接するようにY方向に沿って付勢されている。そして、第2テーブル54Bの側壁部(Y方向に沿った面を有する部位)には、Z方向に沿って作動する一対のマイクロメータ71および72と、X方向に沿って作動するマイクロメータ73(図10では不図示)とが取り付けられている。
【0081】
ここで、マイクロメータ71〜73は、その先端部が第1テーブル54Aの側壁部(Y方向に沿った面を有する部位)に当接するように設定されている。また、マイクロメータ71〜73は第2ホルダー52の側壁部を貫通し、その操作部(つまみ部)が第2ホルダー52の側壁部から外側に突出している。図11に示すように、マイクロメータ71と72とは光軸AXを通るZ軸に関して対称な位置に配置され、マイクロメータ73は光軸AXを通るX軸に沿って作動するように位置決めされている。
【0082】
また、第1テーブル54Aの側壁部と第2テーブル54Bの側壁部との間においてマイクロメータ71および72に近接した位置には、Z方向に沿って延びる引張りスプリング71aおよび72aが取り付けられている。同様に、第1テーブル54Aの側壁部と第2テーブル54Bの側壁部との間においてマイクロメータ73に近接した位置には、X方向に沿って延びる引張りスプリング73a(不図示)が取り付けられている。引張りスプリング71a〜73aは、マイクロメータ71〜73による押圧力に抗して、第1テーブル54Aの側壁部を第2テーブル54Bの側壁部に向かって付勢する機能を有する。
【0083】
第2ホルダー52の一端に取り付けられたマイクロメータ固定台53には、Y方向に沿って作動する3つのマイクロメータ74〜76(図10ではマイクロメータ74が不図示)が取り付けられている。ここで、マイクロメータ74〜76は、その先端部が第2テーブル54Bの縁端部(XZ平面に平行な面を有する部位)に当接するように設定されている。また、図11に示すように、マイクロメータ74は光軸AXを通るX軸上に位置決めされ、マイクロメータ75と76とは光軸AXを通るX軸に関して対称な位置に配置されている。
【0084】
なお、第2テーブル54Bの縁端部とマイクロメータ固定台53との間においてマイクロメータ74〜76に近接した位置には、Y方向に沿って延びる引張りスプリング74a〜76a(図10では引張りスプリング74aが不図示)が取り付けられている。引張りスプリング74a〜76aは、マイクロメータ74〜76による押圧力に抗して、第2テーブル54Bの縁端部をマイクロメータ固定台53に向かって付勢する機能を有する。
【0085】
また、第2テーブル54Bとマイクロメータ固定台53とは、XZ平面とほぼ平行に延びる板バネ56を介して連結されている。具体的には、板バネ56は、Z方向に沿った一端において例えばビスのような締結手段を介して第2テーブル54Bに取り付けられ、Z方向に沿った他端において例えばビスのような締結手段を介してマイクロメータ固定台53に取り付けられている。上述したマイクロメータ74〜76および引張りスプリング74a〜76aは、板バネ56を貫通するように取り付けられている。
【0086】
こうして、第2変形例では、マイクロメータ73の作用によりその先端部において第1テーブル54AをX方向にΔXだけ移動させることにより、第1フライアイ部材8aをX方向に移動させることができる。また、マイクロメータ71および72の作用によりその先端部において第1テーブル54AをZ方向にΔZ1およびΔZ2だけそれぞれ移動させることにより、第1フライアイ部材8aをZ方向に移動させたり光軸AX廻りに回転させたりすることができる。
【0087】
また、マイクロメータ74〜76の作用によりその先端部において第2テーブル54BをY方向にΔY1、ΔY2およびΔY3だけそれぞれ移動させることにより、第1テーブル54AをY方向に移動させたり光軸AXを通るX軸廻りに回転させたり光軸AXを通るZ軸廻りに回転させたりすること、ひいては第1フライアイ部材8aをY方向に移動させたり光軸AXを通るX軸廻りに回転させたり光軸AXを通るZ軸廻りに回転させたりすることができる。
【0088】
このように、第2変形例においても第1変形例と同様に、光軸AXと直交する面内において作動する3つのマイクロメータ71〜73を用いて、光軸AXと直交する面内における第1フライアイ部材8aと第2フライアイ部材8bとの位置関係および光軸AXを中心とする第1フライアイ部材8aと第2フライアイ部材8bとの回転位置関係を随時調整することができる。また、光軸AX方向に沿って作動する3つのマイクロメータ74〜76を用いて、光軸AX方向における第1フライアイ部材8aと第2フライアイ部材8bとの位置関係、並びに光軸AXを通るX軸および光軸AXを通るZ軸を中心とする第1フライアイ部材8aと第2フライアイ部材8bとの回転位置関係を随時調整することができる。
【0089】
しかも、第2変形例においては、第2テーブル54Bとマイクロメータ固定台53とがXZ平面とほぼ平行に延びる板バネ56を介して連結されているので、第2テーブル54BはY方向に移動したりX軸やZ軸廻りに回転したりするが、第2テーブル54BのX方向およびZ方向の移動および光軸AX廻り(Y軸廻り)の回転は拘束される。また、第1テーブル54Aと第2テーブル54BとがY方向に沿って延びる複数の引張りスプリング55を介して連結されているので、第1テーブル54Aと第2テーブル54BとがY方向に関して当接した状態が常に維持される。
【0090】
したがって、第2変形例では第1変形例とは異なり、たとえばマイクロメータ71〜73の作用により第1テーブル54Aを光軸AXと直交する面に沿って移動させたり回転させたりしても、第1テーブル54Aと第2テーブル54Bとは光軸AXと直交する面に沿って摺動可能であるため、マイクロメータ74〜76と第2テーブル54Bとの接点位置が変化することがなく、動作の干渉は実質的に起こらない。同様に、たとえばマイクロメータ74〜76の作用により第2テーブル54BをY方向に移動させたりX軸やZ軸廻りに回転させたりしても、第1テーブル54Aと第2テーブル54BとはY方向に関して当接した状態を常に維持するので、第2テーブル54Bに取り付けられたマイクロメータ71〜73と第1テーブル54Aとの接点位置が変化することがなく、動作の干渉は実質的に起こらない。
【0091】
以上のように、第2変形例の保持装置では第1変形例の装置と同様に、マイクロメータ71〜76を用いることにより、露光装置に組み込んだ後においても第1フライアイ部材8aと第2フライアイ部材8bとの位置関係を随時調整することができる。しかも、第2変形例の保持装置では第1変形例の装置とは異なり、第1ホルダーを第1テーブル54Aと第2テーブル54Bとに分割し、光軸AXと直交する面内において作動する3つのマイクロメータ71〜73を第1テーブル54Aに対して作用させ、光軸AX方向に沿って作動する3つのマイクロメータ74〜76を第2テーブル54Bに対して作用させているので、動作の干渉を実質的に回避することができる。
【0092】
なお、第1変形例においてマイクロメータ61〜63および引張りスプリング61a〜63aの設置を省略し、第1ホルダー51とマイクロメータ固定台53とを第2変形例に示すような板バネ56を介して連結することにより、光軸AX方向における第1フライアイ部材8aと第2フライアイ部材8bとの位置関係と、X軸およびZ軸を中心とする第1フライアイ部材8aと第2フライアイ部材8bとの回転位置関係とだけが随時調整可能な保持装置を実現することもできる。
【0093】
また、上述の第1変形例および第2変形例では、駆動素子(駆動機構)としてマイクロメータを用いているが、これに限定されることなく、たとえば圧電素子のような駆動素子をマイクロメータに代えて用いることもできる。さらに、上述の実施形態および各変形例に開示された構成に限定されることなく、たとえば株式会社ナノコントロールにより市販されている「ナノサーボステージ(製品名)」を本発明の保持装置に応用して適用することができる。
【0094】
上述の実施形態にかかる露光装置では、照明光学装置によってマスク(レチクル)を照明し(照明工程)、投影光学系を用いてマスクに形成された転写用のパターンを感光性基板に露光する(露光工程)ことにより、マイクロデバイス(半導体素子、撮像素子、液晶表示素子、薄膜磁気ヘッド等)を製造することができる。以下、上述の実施形態の露光装置を用いて感光性基板としてのウェハ等に所定の回路パターンを形成することによって、マイクロデバイスとしての半導体デバイスを得る際の手法の一例につき図12のフローチャートを参照して説明する。
【0095】
先ず、図12のステップ301において、1ロットのウェハ上に金属膜が蒸着される。次のステップ302において、そのlロットのウェハ上の金属膜上にフォトレジストが塗布される。その後、ステップ303において、上述の実施形態の露光装置を用いて、マスク上のパターンの像がその投影光学系を介して、その1ロットのウェハ上の各ショット領域に順次露光転写される。その後、ステップ304において、その1ロットのウェハ上のフォトレジストの現像が行われた後、ステップ305において、その1ロットのウェハ上でレジストパターンをマスクとしてエッチングを行うことによって、マスク上のパターンに対応する回路パターンが、各ウェハ上の各ショット領域に形成される。その後、更に上のレイヤの回路パターンの形成等を行うことによって、半導体素子等のデバイスが製造される。上述の半導体デバイス製造方法によれば、極めて微細な回路パターンを有する半導体デバイスをスループット良く得ることができる。
【0096】
また、上述の実施形態の露光装置では、プレート(ガラス基板)上に所定のパターン(回路パターン、電極パターン等)を形成することによって、マイクロデバイスとしての液晶表示素子を得ることもできる。以下、図13のフローチャートを参照して、このときの手法の一例につき説明する。図13において、パターン形成工程401では、上述の実施形態の露光装置を用いてマスクのパターンを感光性基板(レジストが塗布されたガラス基板等)に転写露光する、所謂光リソグラフィー工程が実行される。この光リソグラフィー工程によって、感光性基板上には多数の電極等を含む所定パターンが形成される。その後、露光された基板は、現像工程、エッチング工程、レジスト剥離工程等の各工程を経ることによって、基板上に所定のパターンが形成され、次のカラーフィルター形成工程402へ移行する。
【0097】
次に、カラーフィルター形成工程402では、R(Red)、G(Green)、B(Blue)に対応した3つのドットの組がマトリックス状に多数配列されたり、またはR、G、Bの3本のストライプのフィルターの組を複数水平走査線方向に配列したカラーフィルターを形成する。そして、カラーフィルター形成工程402の後に、セル組み立て工程403が実行される。セル組み立て工程403では、パターン形成工程401にて得られた所定パターンを有する基板、およびカラーフィルター形成工程402にて得られたカラーフィルター等を用いて液晶パネル(液晶セル)を組み立てる。セル組み立て工程403では、例えば、パターン形成工程401にて得られた所定パターンを有する基板とカラーフィルター形成工程402にて得られたカラーフィルターとの間に液晶を注入して、液晶パネル(液晶セル)を製造する。
【0098】
その後、モジュール組み立て工程404にて、組み立てられた液晶パネル(液晶セル)の表示動作を行わせる電気回路、バックライト等の各部品を取り付けて液晶表示素子として完成させる。上述の液晶表示素子の製造方法によれば、極めて微細な回路パターンを有する液晶表示素子をスループット良く得ることができる。
【0099】
なお、上述の実施形態では、シリンドリカルマイクロレンズアレイ8を構成する第1フライアイ部材8aおよび第2フライアイ部材8bの保持装置に対して本発明を適用している。しかしながら、これに限定されることなく、通常のマイクロレンズアレイを構成する一対のフライアイ部材の保持装置や、さらに一般的に光軸に沿って互いに近接して位置決めすべき一対の光学部材の保持装置に対して本発明を適用することもできる。
【0100】
また、上述の実施形態では、コンデンサー光学系9によって二次光源からの光を集光して重畳的にマスクMを照明している。しかしながら、これに限定されることなく、コンデンサー光学系9とマスクMとの間の光路中に、照明視野絞り(マスクブラインド)と、この照明視野絞りの像をマスクM上に形成するリレー光学系とを配置しても良い。この場合、コンデンサー光学系9は、二次光源からの光を集光して重畳的に照明視野絞りを照明することになり、リレー光学系は照明視野絞りの開口部(光透過部)の像をマスクM上に形成することになる。
【0101】
また、上述の実施形態では、露光光としてKrFエキシマレーザー光(波長:248nm)やArFエキシマレーザー光(波長:193nm)を用いているが、これに限定されることなく、他の適当な波長を有する露光光に対して本発明を適用することもできる。例えば、F2レーザー光(波長:157nm)を用いることもできる。さらに、上述の実施形態では、照明光学装置を備えた投影露光装置を例にとって本発明を説明したが、マスク以外の被照射面を照明するための一般的な照明光学装置に本発明を適用することができることは明らかである。
【0102】
なお、第1フライアイ部材8a及び第2フライアイ部材8bの側面は、第1ホルダー31の開口部31a及び第2ホルダー32の開口部32aに対して面タッチ状態で保持されているが、第1フライアイ部材8a及び第2フライアイ部材8bの側面を局所的に当接させる少なくとも一つの島状支持面を設けても良い。
【0103】
また、第1ホルダー31と第2ホルダー32とは、その間に配置されたワッシャ部材38を介して連結されているが、このワッシャ部材38の代りに、第1ホルダー31と第2ホルダー32との相対的な位置を調整するマイクロヘッドを用いることもできる。また、ピエゾ素子を配置して、第1ホルダー31と第2ホルダー32との相対的な位置を自動調整してもよい。
【0104】
また、第1ホルダー31と第1フライアイ部材8aとの間、又は第2ホルダー32と第2フライアイ部材8bとの間には若干の隙間があるので、その隙間を脱ガスが少ない物質(例えば、フッ素系のOリング、フッ素系の充填剤)で塞いでもよい。
【0105】
また、本実施形態における保持装置を光軸方向に移動させることによって、不図示のレチクルブラインド(レチクル上に所定の照明領域を規定する絞り)に対する照明領域をズーミングすることができる。また、保持装置を光軸に対して傾斜させることにより、レチクルブラインドの開口部分に対する照明光の光軸を調整することができる。
【0106】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、光軸に沿って互いに近接して位置決めすべき一対の光学部材を安定的に且つ精度良く保持する保持装置を実現することができる。したがって、本発明の照明光学装置では、たとえば照明瞳面において所定形状の二次光源を形成するためのオプティカルインテグレータを構成する一対の光学部材を安定的に且つ精度良く保持する保持装置を用いて、所望の照明条件の下で被照射面を良好に照明することができる。
【0107】
また、本発明の露光装置および露光方法では、所望の照明条件の下でマスクを良好に照明する照明光学装置を用いて、感光性基板に対するマスクパターンの良好な投影露光を行うことにより、良好なデバイスを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態にかかる照明光学装置を備えた露光装置の構成を概略的に示す図である。
【図2】図1のシリンドリカルマイクロフライアイレンズの構成を概略的に示す斜視図である。
【図3】図1のシリンドリカルマイクロフライアイレンズの作用を説明する図である。
【図4】本実施形態にかかる保持装置の構成を概略的に示す図であって、(a)は上面図を、(b)は(a)の線A−Aに沿った断面図を、(c)は(a)の線B−Bに沿った断面図をそれぞれ示している。
【図5】第1フライアイ部材を保持する第1ホルダーの構成を概略的に示す上面図である。
【図6】図4に示す保持装置の底面図である。
【図7】図4の保持装置によって保持された第1フライアイ部材と第2フライアイ部材との位置関係を光軸方向から見た図である。
【図8】第1変形例にかかる保持装置の構成を概略的に示す断面図である。
【図9】第1変形例にかかる保持装置の動作原理を概略的に説明する図である。
【図10】第2変形例にかかる保持装置の構成を概略的に示す断面図である。
【図11】第2変形例にかかる保持装置の動作原理を概略的に説明する図である。
【図12】マイクロデバイスとしての半導体デバイスを得る際の手法のフローチャートである。
【図13】マイクロデバイスとしての液晶表示素子を得る際の手法のフローチャートである。
【符号の説明】
1 光源
4 回折光学素子
5 アフォーカルズームレンズ
6,60,61 回折光学素子
7 ズームレンズ
8 シリンドリカルマイクロフライアイレンズ
8a 第1フライアイ部材
8b 第2フライアイ部材
9 コンデンサー光学系
11,12 シリンドリカルレンズ群
13,14 マーク
M マスク
PL 投影光学系
W ウェハ
20 入力手段
21 制御系
22〜25 駆動系
31 第1ホルダー
32 第2ホルダー
33,35 板バネ
37 固定ボルト
38 ワッシャ部材
Claims (15)
- 光軸に沿って互いに近接して位置決めされる第1光学部材と第2光学部材とを保持する保持装置において、
前記第1光学部材を保持するための第1ホルダーと、前記第2光学部材を保持するための第2ホルダーとを備え、
前記第1ホルダーは、光軸方向に関して前記第2光学部材と重なり合わない部分を介して前記第1光学部材を保持し、
前記第2ホルダーは、光軸方向に関して前記第1光学部材と重なり合わない部分を介して前記第2光学部材を保持していることを特徴とする保持装置。 - 前記第1光学部材および前記第2光学部材は長方形状の外形を有し、
前記第1ホルダーおよび前記第2ホルダーは、前記長方形状の第1光学部材の長辺と前記長方形状の第2光学部材の長辺とが互いにほぼ直交するように前記第1光学部材および前記第2光学部材を保持することを特徴とする請求項1に記載の保持装置。 - 前記第1ホルダーおよび前記第2ホルダーは、前記第1光学部材および前記第2光学部材の厚さを規定する一方の面を当接支持するための支持面と、他方の面を前記支持面に向かって付勢するための付勢部材とをそれぞれ有することを特徴とする請求項1または2に記載の保持装置。
- 前記支持面は、当該光学部材を当接支持するための互いに間隔を隔てて設けられた3つの島状支持面を有し、
前記付勢部材は、前記3つの島状支持面に対応するように配置された3つの板バネを有することを特徴とする請求項3に記載の保持装置。 - 光軸方向における前記第1光学部材と前記第2光学部材との位置関係、光軸と直交する面内における前記第1光学部材と前記第2光学部材との位置関係、および光軸を中心とする前記第1光学部材と前記第2光学部材との回転位置関係の少なくとも1つを調整可能に、前記第1ホルダーと前記第2ホルダーとを連結するための連結部材をさらに備えていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の保持装置。
- 前記第2ホルダーは前記第1ホルダーの少なくとも一部を収容する収容部を有し、前記連結部材は、光軸と直交する面内における前記第1光学部材と前記第2光学部材との位置関係を調整するために、前記第2ホルダーの収容部に前記第1ホルダーの少なくとも一部を収容した状態で光軸と直交する面内における所定方向に沿って前記第2ホルダーの収容部に螺合し且つ先端が前記第1ホルダーの外側面に当接するように構成されたネジ部材を有することを特徴とする請求項5に記載の保持装置。
- 前記連結部材は、光軸方向に沿った前記第1光学部材と前記第2光学部材との位置関係を調整するために、厚さが互いに異なる複数のワッシャ部材を有し、前記複数のワッシャ部材から選択された1つまたは複数のワッシャ部材を介して前記第1ホルダーと前記第2ホルダーとを連結することを特徴とする請求項5または6に記載の保持装置。
- 前記連結部材は、光軸と直交する面内における前記第1光学部材と前記第2光学部材との位置関係および光軸を中心とする前記第1光学部材と前記第2光学部材との回転位置関係を調整するために、光軸と直交する面内において作動する3つの駆動素子を介して前記第1ホルダーと前記第2ホルダーとを連結することを特徴とする請求項5に記載の保持装置。
- 前記連結部材は、光軸方向における前記第1光学部材と前記第2光学部材との位置関係、光軸と直交する第1軸線を中心とする前記第1光学部材と前記第2光学部材との回転位置関係、並びに光軸および前記第1軸線と直交する第2軸線を中心とする前記第1光学部材と前記第2光学部材との回転位置関係を調整するために、光軸方向に沿って作動する3つの駆動素子を介して前記第1ホルダーと前記第2ホルダーとを連結することを特徴とする請求項5または8に記載の保持装置。
- 前記第1光学部材および前記第2光学部材は石英ガラスで形成され、
前記第1ホルダーおよび前記第2ホルダーは、インバー、セラミックまたはステンレス鋼で形成されていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の保持装置。 - 前記第1光学部材および前記第2光学部材は蛍石で形成され、
前記第1ホルダーおよび前記第2ホルダーはアルミニウムで形成されていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の保持装置。 - 被照射面を照明する照明光学装置において、
請求項1乃至11のいずれか1項に記載の保持装置によって保持された前記第1光学部材および前記第2光学部材が照明光路中に配置されていることを特徴とする照明光学装置。 - 前記第1光学部材および前記第2光学部材は、照明瞳面において所定形状の二次光源を形成するためのオプティカルインテグレータを構成していることを特徴とする請求項12に記載の照明光学装置。
- 請求項12または13に記載の照明光学装置と、前記被照射面に配置されたマスクのパターンを感光性基板に投影露光するための投影光学系とを備えていることを特徴とする露光装置。
- 請求項12または13に記載の照明光学装置を介してマスクを照明し、照明された前記マスクに形成されたパターンの像を感光性基板上に投影露光することを特徴とする露光方法。
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