JP2003215423A - 光学系の製造方法,投影光学装置および露光装置 - Google Patents

光学系の製造方法,投影光学装置および露光装置

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JP2003215423A JP2002018434A JP2002018434A JP2003215423A JP 2003215423 A JP2003215423 A JP 2003215423A JP 2002018434 A JP2002018434 A JP 2002018434A JP 2002018434 A JP2002018434 A JP 2002018434A JP 2003215423 A JP2003215423 A JP 2003215423A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 個々の部品の精度や組立の精度を非常に厳し
く抑えることなく,高い光学性能を確保可能な光学系の
製造方法,および残存する収差の調整が容易に可能であ
り,高い光学性能を達成可能な投影光学装置,ならびに
マスクのパターンの像を基板に良好に投影露光し得る露
光装置を提供すること。 【解決手段】 光学系を構成すべき複数の光学部材を用
いて光学系を組み立て,光学系に残存する像面湾曲を含
む収差を計測する。計測された収差を補正するために,
交換する光学部材のパワーを求め,光学系内部の少なく
とも1つの光学部材をパワーの異なる光学部材と交換し
て,像面湾曲を補正する。上記の収差の計測とパワーの
異なる光学部材の交換を繰り返し複数回行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,光学系の製造方
法,投影光学装置,および該投影光学装置を備えた露光
装置に関し,特にマイクロデバイス(液晶表示素子,半
導体素子,撮像素子,薄膜磁気ヘッド,CCD素子等)
をフォトリソグラフィ工程で製造する際に使用される露
光装置に好適な投影光学装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年,ワープロやパソコンやテレビ等の
表示素子として,液晶表示パネルが多用されるようにな
っている。液晶表示パネルは,ガラス基板(プレート)
上に透明薄膜電極をフォトリソグラフィの手法で所望の
形状にパターンニングすることによって製造される。こ
のフォトリソグラフィ工程のための装置として,マスク
上に形成された原画パターンを屈折型の投影光学系を介
してプレート上のフォトレジスト層に投影露光する投影
露光装置が用いられている。特に最近では,パターンの
微細化が進み,また,低温ポリ(多結晶)シリコンを用
いた液晶表示パネルにより高精細化が要望されている。
【0003】このような状況の中で投影露光装置に用い
られる光学系に対して要求される性能はますます厳しく
なってきており,高い解像力と共に,像面の平坦性,良
好なコントラスト等,無収差に近い非常に高い光学性能
が要求されている。高い解像力を得るために露光光源の
短波長化や,投影光学系の高NA(開口数)化が進めら
れており,結像性能に関しても,投影光学系で発生する
像面湾曲を極力小さくし,倍率色収差をpm(ピコメー
トル)オーダーで補正する等,最大限の努力が払われて
いる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら,設計時
に高い光学性能を有する光学系が得られたとしても,そ
のような光学系を製造することは容易ではない。個々の
レンズ等の光学部材自身には微小な収差成分が残存し,
各光学部材を用いて投影光学系を組み立てる際にも製造
誤差が発生する。露光装置に搭載された投影光学系は,
このように製造時に発生あるいは残存する諸収差を有す
る。これらの諸収差は回転非対称な像位置のずれや偏心
非点収差,高次の収差などを含み,単純な調整だけでは
容易に補正できない。
【0005】すなわち,高い光学性能を有する投影光学
系が設計できたとしても,実際に高い光学性能を有する
投影光学系を製造し,露光装置に搭載した状態におい
て,諸収差を設計値通りに抑えて所望の高性能を確保す
ることは極めて困難である。前述のように光学系に対す
る要求性能が厳しくなるにつれて,投影光学系を構成す
るレンズ枚数は増え,構成はますます複雑化し,その困
難さは一層増している。要求される高性能を満たすよう
な投影光学系を実現するには,光学部材自身の製造精
度,および投影光学系の組み立て精度等を非常に高くす
る必要がある。しかしそのために,歩留まりが悪い,製
造日程が長期に渡る,あるいは,十分な性能を確保でき
ない等の問題が生じることになる。
【0006】本発明は,前述の課題に鑑みてなされたも
のであり,個々の部品の精度や組立の精度を非常に厳し
く抑えることなく,高い光学性能を確保可能な光学系の
製造方法を提供することを目的としている。また,残存
する収差の調整が容易に可能であり,高い光学性能を達
成可能な投影光学装置を提供することを目的としてい
る。また,本発明の別の観点によれば,マスクのパター
ンの像を基板に良好に投影露光し得る露光装置を提供す
ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に,本発明の第1発明は,複数の光学部材を有する光学
系の製造方法であって,前記光学系を構成すべき複数の
光学部材を用いて前記光学系を組み立てる第1工程と,
前記第1工程後に前記光学系に残存する像面湾曲を含む
収差を計測する第2工程と,前記光学系内部の少なくと
も1つの光学部材をパワーの異なる光学部材と交換する
ことにより,前記光学系の像面湾曲を補正する第3工程
と,を含むことを特徴とする光学系の製造方法を提供す
る。かかる構成によれば,光学系のパワーを変化させる
ことができ,組み立て後に残存する光学系の像面湾曲を
補正することができる。
【0008】第1発明の好ましい態様によれば,前記第
2工程で計測された前記収差を補正するために,前記第
3工程で交換する光学部材のパワーを求める第4工程を
さらに含む。交換すべき光学部材のパワーは,設計デー
タに基づいてコンピュータによる光線追跡シミュレーシ
ョン等を行うことにより求めることができる。また,前
記第2工程および前記第3工程を複数回行うことが好ま
しく,これより像面湾曲の補正を最適に近づけることが
できる。
【0009】第1発明の好ましい態様によれば,第3工
程で行うパワー変更は,前記光学系内部の少なくとも1
つのレンズをレンズ面の曲率が異なるレンズと交換す
る。また,前記第3工程で,前記光学系内部の少なくと
も1つのレンズを該レンズと同一硝材であるレンズと交
換することが好ましく,かかる構成によれば,レンズ交
換によって色収差特性が大きく変動することはなく,パ
ワーのみ効率的に変更できる。
【0010】本発明の第2の発明は,複数の光学部材を
有する光学系の製造方法であって,前記光学系を構成す
べき複数の光学部材を用いて前記光学系を組み立てる第
1工程と,前記第1工程後に前記光学系に残存する収差を
計測する第2工程と,前記光学系の倍率色収差を補正す
る第3工程と,を含むことを特徴とする光学系の製造方
法を提供する。かかる構成によれば,光学系を組み立て
後に残存する倍率色収差を補正することができる。
【0011】第2発明の好ましい態様によれば,前記第
3工程では,前記光学系を構成する光学部材間の間隔を
変更して,倍率色収差を補正する。間隔の変更は,例え
ばマイクロメータ,コマワッシャ,リングワッシャ等を
用いて行うことができる。その際に,前記第2工程で計
測された前記収差を補正するために,前記第3工程で変
更する前記間隔を求める第4工程をさらに含むことが好
ましい。変更すべき間隔は,例えば設計データに基づい
てコンピュータによる光線追跡シミュレーション等を行
うことにより求めることができる。また,前記第2工程
および前記第3工程を複数回行うことが好ましく,これ
により,倍率色収差の補正を最適に近づけることができ
る。
【0012】また,本発明の第3の発明は,第1物体の
像を第2物体上に投影する投影光学装置であって,上記
に記載の光学系の製造方法によって製造された光学系を
含むことを特徴とする投影光学装置を提供する。前述の
ように収差が補正された高性能の光学系を用いることに
より,高精度に像を投影可能な投影光学装置を提供でき
る。
【0013】さらに,本発明の第4の発明は,第1物体
の像を第2物体上に投影する投影光学装置であって,回
転非対称なパワーを有し,かつ互いに近接して配置され
た少なくとも2つの非対称レンズと;前記投影光学装置
中のレンズ間隔を変更可能な第1調整手段と;前記投影
光学装置中の複数のレンズのうちの少なくとも1つのレ
ンズを光軸に対して傾斜可能とする第2調整手段と;前
記投影光学装置中の複数のレンズのうちの少なくとも1
つのレンズを光軸を横切る方向に沿って移動可能とする
第3調整手段と;前記少なくとも2つの非対称レンズの
間の相対的な回転角を変更可能とする第4調整手段と;
を備え,前記投影光学装置中の複数のレンズのうちの少
なくとも1つのレンズは,該レンズと異なるレンズと交
換可能に構成され,前記第1手段乃至第4調整手段およ
び前記交換により前記投影光学装置に残存する収差を調
整可能であることを特徴とする投影光学装置を提供す
る。ここで,回転非対称なパワーを有するレンズとして
は,例えば,直交した方向でのパワーが異なるトーリッ
クレンズ,あるいはアナモルフィックレンズを用いても
よい。前記第1調整手段としては,例えば,マイクロメ
ータ,あるいはコマワッシャ等が考えられる。また,前
記第2調整手段としてマイクロメータを用いてもよい。
かかる構成によれば,また,残存する収差の調整が容易
に可能であり,高い光学性能を達成可能な投影光学装置
を提供できる。
【0014】第4発明の好ましい態様によれば,前記非
対称レンズのうち少なくとも2つは前記第1物体または
前記第2物体近傍に配置される。かかる構成によれば,
第1物体,第2物体近傍では軸上光線と軸外光線とでレ
ンズの異なる部分を透過する割合が多いため,軸上収差
への影響を小さく抑えつつ,容易に軸外収差,例えば歪
曲収差等を補正することができる。また,前記非対称レ
ンズのうち少なくとも2つは前記投影光学系の開口絞り
近傍に配置されているよう構成することが好ましい。か
かる構成によれば,開口絞り近傍では,レンズを透過す
る光束が大きいため,軸上非点収差を容易に補正するこ
とができる。
【0015】さらにまた,本発明の第5の発明は,上記
に記載の投影光学装置と,前記第1物体としての所定の
パターンの像が形成されたマスク,および前記第2物体
としての基板を位置決めするステージ系と,前記マスク
を照明する照明光学系と,を具備し,前記照明光学系か
らの露光光のもとで,前記マスクのパターンの像を前記
投影光学装置を介して前記基板上に投影することを特徴
とする露光装置を提供する。かかる構成によれば,パタ
ーンの像を基板上に高精度に投影することが可能な露光
装置を提供することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下,図面に基づいて本発明の実
施の形態を詳細に説明する。図1は,本発明の実施の形
態にかかる露光装置の構成を概略的に示す図である。本
露光装置は,投影光学装置PLを有し,投影光学装置P
Lは複数のレンズからなる投影光学系を有する。図1に
おいて,投影光学装置PLの物体面には所定の回路パタ
ーンの像が形成された投影原版としてのマスクM(第1
物体)が配置されており,投影光学装置PLの像面には
ガラス基板であり感光性基板としてのプレートP(第2
物体)が配置されている。ここで,マスクMはマスクス
テージMS上に保持されており,プレートPはプレート
テーブルPTを介して,投影光学装置PLの光軸Axに
垂直な面内において2次元的に移動可能に構成されかつ
光軸Ax方向に移動可能に構成されたプレートステージ
PS上に保持されている。
【0017】また,マスクMの上方には,マスクMを均
一照明するための照明光学装置ISが配置されている。
照明光学装置ISは,超高圧水銀ランプのi線(波長3
65nm)を供給する光源部,この光源部からの照明光
を特定の波長領域のみ選択的に透過させる波長選択フィ
ルターや,選択された照明光に基づいて複数の光源像ま
たは複数の光源の虚像を形成するためのオプティカルイ
ンテグレータ,リレーレンズ系などを含む。照明光学装
置ISから供給される光は,マスクMを照明し,投影光
学装置PLの瞳位置(開口絞りASの位置)には照明光
学装置IS中の光源の像が形成される。すなわち,照明
光学装置ISは,マスクMをケーラー照明のもとで均一
照明する。そして,投影光学装置PLにより,ケーラー
照明されたマスクMのパターン像がプレートP上に投影
露光(転写)される。投影光学装置PLの光軸Axに垂
直な面内においてプレートPを2次元的に駆動制御しな
がら一括露光またはスキャン露光を行うことにより,プ
レートPの各露光領域にはマスクMのパターンが逐次露
光される。
【0018】なお,一括露光では,いわゆるステップ・
アンド・リピート方式にしたがって,プレートPの各露
光領域に対してマスクMのパターンを一括的に露光す
る。一方,スキャン露光では,いわゆるステップ・アン
ド・スキャン方式にしたがって,マスクおよびプレート
を投影光学系に対して相対移動させながらプレートの各
露光領域に対してマスクパターンをスキャン露光(走査
露光)する。
【0019】以上の図1に示した構成を持つ露光装置を
用いたフォトリソグラフィ工程によって液晶表示パネル
等を製造することができるが,投影光学装置PLが高い
光学性能を持つことがフォトリソグラフィ工程にて重要
となる。そこで,投影光学装置PLを構成する光学系を
対象として,本発明の実施の形態にかかる光学系の製造
方法について説明する。
【0020】図2は,特に像面湾曲補正を考慮した光学
系の製造方法の手順を示すフローチャートである。ま
ず,光学系を構成すべきレンズ等の複数の光学部材を用
いて光学系を組み立てる(ステップS10)。次に,光
学系に残存する像面湾曲を含む収差を計測する(ステッ
プS11)。収差の計測方法については後述する。ステ
ップS11で計測された収差を補正するために,光学部
材をパワー(屈折力)の異なる光学部材と交換すること
にする。パワーの異なる光学部材とは,例えばレンズ面
の曲率が異なるレンズであってもよい。また,交換する
レンズ同士の硝材は同一とすれば,交換するレンズ同士
で屈折率の波長依存性は変化しないため,色収差特性を
大きく変動させることなくパワーのみ効率的に変更でき
る。
【0021】パワーの異なる光学部材と交換することに
より,光学系のペッツバール和が変化し,像面湾曲を補
正することができる。効率よく補正を行うために,交換
する光学部材のパワーを例えば,設計データに基づいて
コンピュータによる光線追跡シミュレーション等を行う
ことにより求める(ステップS12)。ステップS12
で求めたパワーに基づき,光学系内部の光学部材をパワ
ーの異なる光学部材と交換して,像面湾曲を補正する
(ステップS13)。ステップS11〜ステップS13
の作業を繰り返して複数回行うようにしてもよく,その
場合は収差補正を最適に近づけることができる。以上の
手順では,残存する収差に応じて光学部材を交換してい
るため,個々の部品の精度や組立の精度を非常に厳しく
抑えることなく,像面湾曲を効率的に容易に補正するこ
とができる。
【0022】上記製造方法において,パワーの異なる光
学部材と交換する代わりに,レンズ面を再研磨して非球
面(微小非球面)化することにより,像面湾曲を補正す
ることもできる。光学系を組み立てる前にレンズのレン
ズ面の形状を計測しておき,組み立て後に残存収差を計
測する。これらの計測結果に基づき,コンピュータによ
る光線追跡シミュレーション等を行って形成すべき非球
面の形状を決定する。非球面化するレンズを取り出し,
レンズ研磨加工機により決定された非球面を該当レンズ
に形成する。なお,このような計測結果に基づき光学部
材の光学面を再加工する技術は,特開平10−1546
57号公報,特開平2000−249917号公報など
に開示されている。
【0023】図3は,倍率色収差補正を考慮した光学系
の製造方法の手順を示すフローチャートである。まず,
光学系を構成すべきレンズ等の複数の光学部材を用いて
光学系を組み立てる(ステップS20)。次に,光学系
に残存する収差を計測する(ステップS21)。ステッ
プS21で計測された収差を補正するために,光学部材
間の間隔を変更することにする。効率よく補正を行うた
めに,変更する光学部材間の間隔を例えば,設計データ
に基づいてコンピュータによる光線追跡シミュレーショ
ン等を行うことにより求める(ステップS22)。ステ
ップS22で求めた間隔に基づき,光学部材間の間隔を
変更して,倍率色収差を補正する(ステップS23)。
ステップS21〜ステップS23の作業を繰り返して複
数回行うようにしてもよく,その場合は収差補正を最適
に近づけることができる。以上の手順では,残存する収
差に応じて間隔を変更しているため,個々の部品の精度
や組立の精度を非常に厳しく抑えることなく,倍率色収
差を効率的に容易に補正することができる。
【0024】また,残存している収差の種類によって
は,上記のような方法だけではなく,レンズを光軸に対
して傾斜させたり,レンズを光軸を横切る方向に沿って
移動させたり,2つの非対称レンズの間の相対的な回転
角を変更したりして,残存している収差を調整してもよ
い。
【0025】以下にステップS11,S21で行われる
各収差の計測について述べる。非点収差の計測では,例
えば所定のマークを有するテストマスクを準備し,感光
剤が塗布されたテスト用基板上の所定のショット領域に
このマークの像を露光する。マークは例えば,光軸に垂
直な2方向をX方向,Y方向とし,X方向に所定のピッ
チを有するX方向マークと,Y方向に所定のピッチを有
するY方向マークと,XY面内でXY方向に対して斜め
45度の方向に沿って所定のピッチを有する斜め方向マ
ークとから構成する。このとき,オートフォーカス機構
を利用して基板が載置されているステージを光軸方向に
所定量移動させて像を露光し,ステージの移動,露光を
繰り返し行う。電子顕微鏡等を用いて,各像高における
基板上に焼き付けられたX方向マークの最良像の光軸方
向の位置,各像高における基板上に焼き付けられたY方
向マークの最良像の光軸方向の位置を求め,X方向,Y
方向ごとに像高対光軸方向の位置としてプロットする。
このプロットよりX方向像面,Y方向像面が得られ,す
なわち,メリジオナル像面,サジタル像面が得られ,非
点収差を計測できる。
【0026】像面湾曲の計測は,基板上に焼き付けられ
た各マークの最良像の位置を求めることにより行われ
る。例えば,上記の非点収差の計測で説明した,各像高
におけるX,Y方向マークの最良像の光軸方向の位置を
求める手順まで同様に行い,X方向像面,Y方向像面の
平均を各像高ごとに求めることにより像面湾曲を求める
ことができる。
【0027】歪曲収差の計測では,例えば十字型のマー
クが2次元面内に等間隔に形成されたパターンを有する
テストマスクを準備し,感光剤が塗布されたテスト用基
板上の所定のショット領域にこのパターンの像を焼き付
ける。このとき,オートフォーカス機構を利用して,基
板表面は最良像面に位置するよう基板が載置されている
ステージの位置を設定する。そして,実際に焼き付けら
れたパターンの各マーク位置と,焼き付けられるべき各
マークの理想的な位置(設計値による各マークの位置)
とのずれ量を電子顕微鏡等を用いて求めることにより,
歪曲収差を計測する。なお,上記の像面湾曲,歪曲収差
の計測方法は,特開平10−154657号公報に開示
されている。
【0028】コマ収差の計測について述べる。投影露光
装置の投影光学系の非対称収差量(投影光学系のコマ収
差と投影光学系の機械的な中心と光軸との偏心によるコ
マ収差量とを含む量)を計測する方法としては,レジス
トを塗布した基板に所定の形状のパターン(たとえばラ
インアンドスペースパターン)を転写し,転写されたパ
ターンの像のピッチ方向の両端のパターンの線幅を夫々
計測してこの線幅の差を求める方法や,転写されたパタ
ーンの断面の形状を走査型電子顕微鏡(SEM)を用い
て観察し,この断面の対称性を求める方法などがある。
【0029】球面収差の計測は,異なる複数の線幅のパ
ターンのベストフォーカス位置を求めることにより行わ
れる。具体的には,ステージを光軸方向に順次位置決め
して,感光剤が塗布されたテスト用基板を光軸方向に順
次移動しつつ複数の線幅のパターンを露光し,現像す
る。そして,この結果,基板上には投影光学系からの光
軸方向の距離に応じた各線幅のパターンが形成される。
基板上に形成された各線幅のパターンの各々について,
電子顕微鏡等で線幅を測定し,測定したパターンの線幅
の実寸法と投影光学系の光軸からの距離をプロットす
る。所定線幅が維持されている基板の位置の中点(所定
線幅が維持されている基板位置の最大位置と最小位置と
の中間点)をベストフォーカスと決定すれば,そのプロ
ットされたデータのカーブより,各線幅のベストフォー
カス位置が求まる。ここで,球面収差が発生している場
合,各線幅のベストフォーカス位置にずれが生じる。
【0030】倍率色収差について述べる。光源から発生
される露光光は所定の波長幅を有するため,露光の際に
倍率色収差が発生することがある。この倍率色収差が発
生すると,均一な線幅を有するパターンを転写する際,
形成されたパターンの像の線幅がメリジオナル方向とサ
ジタル方向とで異なることになる。これは一見,非点収
差と見分けがつかないが,結像面を光軸方向にずらして
いくと,非点収差によるものであれば線幅が変化する
が,倍率色収差によるものの場合は線幅の変化はみられ
ないことから区別することができる。また,倍率色収差
によるものは露光光が有する波長幅をフィルター等で狭
めることにより,線幅の変化が見られる。
【0031】なお,以上では,投影光学系の収差を計測
するために,実際に露光を行った例を述べたが,投影面
またはその共役面上に撮像素子を配置し,その撮像信号
より投影光学系の収差を計測しても良い。また,投影光
学系の透過波面収差を計測し,その透過波面を例えばZ
ernike(ツェルニケ)等の多項式で展開し,展開
された各項の値を用いても良い。
【0032】以下に投影光学装置PLの構成の具体例に
ついて述べる。投影光学装置PLは,光軸Axと光軸を
共有する複数のレンズからなる光学系と,これらのレン
ズを内部に収納する鏡筒と,レンズの位置や角度等を調
整する調整手段とを有する。図4に本発明の実施の形態
にかかる光学系のレンズ構成を示す。下記の[表1]に
本光学系の諸元値を掲げる。[表1]の主要諸元におい
て,NAはマスクM側での開口数(プレートP側での開
口数も同じ)を,Y0は最大像高をそれぞれ示してい
る。[表1]の光学部材諸元において,第1カラムの面
番号はマスクM側からの光線進行方向に沿った面の順序
を,第2カラムのrは各面の曲率半径(mm)を,第3
カラムのdは各面の軸上間隔すなわち面間隔(mm)
を,第4カラムのnは露光光(波長365nm)に対す
る屈折率を,第5カラムのレンズ番号は各レンズの識別
用レンズ番号および開口絞りASをそれぞれ示してい
る。
【0033】
【表1】
【0034】図4および表1に示す光学系において,マ
スクM近傍に位置し隣接する2つのレンズL1P1,L
1P2と,開口絞りAS近傍に位置し隣接する2つのレ
ンズL2P7,L3P7はそれぞれ1組のレンズ対とし
て考えられている。各レンズ対におけるレンズ2枚の近
接した面は,所定の子午方向とこの子午方向と直交する
方向とで異なるパワーを有する形状を有し,いわゆるア
ス面形状を有し,これにより各レンズ対におけるレンズ
は回転非対称なパワーを有する。
【0035】また,レンズL1P1,L1P2と,レン
ズL2P7,L3P7の各レンズ対は,調整手段により
各レンズ対の中で互いの相対的な回転角が変更可能にな
るよう構成されている。この調整手段には,例えば特開
平8−327895号公報に開示されている公知技術を
利用することができる。この公知技術では,鏡筒内部に
収納された親レンズ枠と,親レンズ枠の内部にセットさ
れレンズを保持した子レンズ枠を構成し,鏡筒および親
レンズ枠の円周方向に設けられた長孔状の開口部から,
子レンズ枠の円周方向に設けられた丸穴にレバーを差し
込み,光軸の周りにレバーを回転させることにより,光
軸の周りにレンズを回転させている。
【0036】上記構成より,レンズL1P1,L1P2
と,レンズL2P7,L3P7の各レンズ対におけるレ
ンズの相対回転角を変更して,光軸に関する非対称成分
収差を任意に作り出すことができる。特開平7−183
190号公報および特開2000−164489号公報
に詳しく記載されているように,上記相対回転角の変更
により,所定の範囲内で所望量の軸上非点収差および非
等方的歪曲収差等の光軸非対称成分収差を発生させるこ
とができる。よって,本光学系の製造時に残存する光軸
非対称成分収差を打ち消すように,各レンズ対でレンズ
の相対回転角を変更して光軸非対称成分収差を調整する
ことが可能となる。光学系を製造する際,光学系を組み
立てる前に各レンズが有する非対称成分収差を計測して
おき,この非対称成分収差を打ち消すようにレンズ毎に
最適な組み込み回転角度で組み立てを行うことがある。
しかし,この場合も組み立て後に許容できない微小量の
非対称成分収差が残存することがあり,このようなとき
に上記相対回転角の変更による非対称成分収差の調整が
非常に有効となる。
【0037】特に,マスクM近傍では軸上光線と軸外光
線とでレンズの異なる部分を透過する割合が多いため,
マスクM近傍の2枚のレンズL1P1とL1P2の相対
回転角を調整することにより,軸上収差への影響を小さ
く抑えつつ,軸外収差,例えば菱形歪曲収差を容易に調
整することができる。開口絞りAS近傍では,レンズを
透過する光束が大きいため,開口絞りAS近傍に配置さ
れた2枚のレンズL2P7とL3P7の相対回転角を調
整することにより,軸上非点収差を容易に調整すること
ができる。
【0038】図4および表1に示す光学系において,レ
ンズL1P2とレンズL1P3の間隔,レンズL1P4
とレンズL1P5の間隔,レンズL1N1とレンズL1
N2の間隔は,調整手段により互いに独立に変更可能な
ように構成されている。さらに,レンズL1P1,L1
P2からなるレンズ群,レンズL1P1〜L1P4から
なるレンズ群,レンズL1P1〜L1N1からなるレン
ズ群のそれぞれは,調整手段により一体的に光軸Axに
対して傾斜可能に構成されている。調整手段はレンズL
1P2とレンズL1P3の間,レンズL1P4とレンズ
L1P5の間,レンズL1N1とレンズL1N2の間の
3箇所に作用するように設けられている。
【0039】調整手段には,例えば特開平10−549
32号公報,特開2000−99882号公報に開示さ
れている公知技術を利用することができる。これらの公
報には,コマワッシャーやマイクロメータ,アクチュエ
ータ,ピエゾ素子等を調整手段として用いる技術が記載
されている。例えばマイクロメータを調整手段として用
いた場合,レンズ群を120度ごとの3点で支持し,こ
の3点でのレンズ間隔をマイクロメータで調整してそれ
ぞれ異なる値となるようにすれば,レンズ群全体を任意
の方向に所望量傾斜させることができる。3点でのレン
ズ間隔をマイクロメータで調整して任意の同じ値となる
ようにすれば,レンズ間の間隔を任意の所望量変更する
ことができる。この際に,特開平10−54932号公
報に開示されているように,マイクロメータの先端とレ
ンズ群の支持部に当接するように長尺部材を配置して,
梃子の原理を応用することにより,微小な変更量の調整
も可能となる。
【0040】本光学系では,上記3箇所での間隔変更お
よび傾斜に関する調整を独立に,あるいは組み合わせて
行い,これにより歪曲収差,像面湾曲,非点収差を独立
に調整することができるよう,調整手段を設ける位置を
選定し,設定している。
【0041】図4および表1に示す光学系において,レ
ンズL1N3とレンズL1N4の間隔,レンズL2P6
とレンズL2P7の間隔は調整手段により変更可能に構
成されている。調整手段としては,例えば特開平10−
54932号公報に開示されているようにコマワッシャ
ーを用いてレンズ間の間隔を変更することができる。調
整手段としてリングワッシャーを用いた場合は,レンズ
間の間隔の変更の度に鏡筒の分解が必要なのに対し,調
整手段として馬蹄型のコマワッシャーを用いた場合は,
鏡筒を分離することなくコマワッシャーの挿入または脱
着ができ,レンズ間の間隔を変更することができる。
【0042】また,前述の3箇所の間隔調整および傾き
調整と,レンズL1N3,L1N4の間隔調整と,レン
ズL2P6,L2P7の間隔調整とを組み合わせること
で,特開平10−54932号公報に記載されているよ
うに,コマ収差,球面収差を独立に調整することができ
る。
【0043】図4および表1に示す光学系において,レ
ンズL1N2は異なるレンズと交換可能なように構成さ
れている。交換用のレンズは,例えばレンズL1N2と
曲率半径が微少量異なるレンズとすれば,レンズL1N
2とパワーが微少量異なるものとなり,光学系のペッツ
バール和を変更することができ,光学系の像面湾曲を調
整することができる。この際に,交換用のレンズとレン
ズL1N2とは同一硝材からなるようにすれば,色収差
特性をほぼ同じに保ったまま,パワーのみ変更でき,像
面湾曲を調整することができる。
【0044】図4および表1に示す光学系において,レ
ンズL1N3,レンズL2P3とL2P4からなるレン
ズ群,レンズL2P5のそれぞれは,調整手段により光
軸を横切る方向に沿って移動可能に構成されている。
【0045】この調整手段の具体例としてビス押し機構
を有するレンズセルを図5〜図8を参照しながら説明す
る。図5はレンズセル100を概略的に示す斜視図であ
る。レンズセル100は,外形が円形のレンズ素子10
3(図5では不図示)の外周を保持する略円環状のイン
ナーセル102,インナーセル102を内部に保持した
略円環状のアウターセル101を有する。ここでは,図
5に示すようにレンズ素子103のレンズ面に垂直な方
向,すなわちレンズ素子103の光軸方向をZ方向と
し,Z方向に垂直な2方向をX,Y方向とする。レンズ
セル100は,レンズ素子103のXY平面内の位置が
調整可能となるように,レンズ素子103を保持する機
能を有する。図6にレンズセル100のXY上面図を,
図7にレンズセル100のYZ断面図を,図8にレンズ
セル100のXZ断面図を示す。図6に示すように,後
に詳述する,雌ねじ部104および雄ねじ部105の2
つはY軸上に,締結用ボルト106の2つはX軸上に位
置している。
【0046】図7および図8に示すように,インナーセ
ル102の内壁は階段状の形状を有し,この階段部分に
レンズ素子103の周部分が載置されて,レンズ素子1
03はインナーセル102内に固定的に保持されてい
る。アウターセル101の内壁は鍔部101aを有し,
インナーセル102はこの鍔部101a上に載置されて
いる。インナーセル102の外径はアウターセル101
の内径よりも若干小さくなっており,レンズ素子103
と一体化したインナーセル102は,アウターセル10
1の鍔部101a上を擦動することにより,XY平面内
の位置が調整可能である。
【0047】図5のアウターセル101の外周に示すよ
うに,アウターセル101の側壁には60°毎の6箇所
にビス押し機構が設けられている。ビス押し機構は図7
に示すように,アウターセル101の径方向に貫通する
孔の内壁に設けられ,ねじ山が形成された雌ねじ部10
4と,雌ねじ部104に螺合された雄ねじ部105とか
ら構成される。雄ねじ部105の先端はインナーセル1
02の外壁に当接可能であり,対角線上にある2つの雄
ねじ部105を同量だけ押し引きすることにより,XY
平面内の所定の一方向におけるインナーセル102の位
置を調整可能である。これにより,レンズ素子103を
光軸を横切る方向に沿って移動可能である。
【0048】また,図6のインナーセル102の上面に
示すように,レンズセル100は,60°毎の6箇所に
設けられた締結用ボルト106を有する。図8に示すよ
うに,締結用ボルト106の位置に合わせて,アウター
セル101の鍔部101aおよびインナーセル102に
は貫通孔が設けられており,締結用ボルト106はこれ
らの貫通孔を貫通している。締結用ボルト106は,皿
ばね107を介して,アウターセル101とインナーセ
ル102とを固定可能である。
【0049】レンズ素子103の位置調整を行うとき
は,まず,対角線上にある2つの雄ねじ部105を同量
だけ押し引きしてインナーセル102を移動させ,イン
ナーセル102に固定保持されたレンズ素子103の位
置調整を行う。この作業を必要に応じて雄ねじ部105
が設けられている1乃至3方向で行う。レンズ素子10
3の位置が決定したら,締結用ボルト106を締めて,
アウターセル101に対してインナーセル102および
インナーセル102に固定保持されたレンズ素子103
の位置を固定する。
【0050】なお,レンズを光軸を横切る方向に沿って
移動可能にする調整手段は,上記手段に限定されず,例
えば特開平7−35963号公報,特開2000−24
8430号公報に開示されている公知技術を利用するこ
とができる。このようにレンズを光軸を横切る方向に沿
って移動させることにより,光学系の歪曲収差,像面湾
曲,非点収差,コマ収差を調整することができる。
【0051】以上述べたように,本投影光学装置PL
は,光学系を組み立てた後に各収差を調整可能な調整手
段および構成を有し,これにより光学系に残存する収差
の調整が容易に可能であり,高い光学性能を達成可能で
ある。なお,図4および表1に示すように,本光学系の
レンズデータは開口絞りASの位置を鏡面位置に見立て
た鏡面対称な構成を有する。上記ではマスクMから開口
絞りAS近傍までの間に配置されたレンズについて説明
したが,これらのレンズの対称位置にあるプレートPか
ら開口絞りAS近傍までの間に配置されたレンズについ
ても,同様の構成,調整手段を有するようにしてもよ
い。
【0052】図9〜図16を参照しながら,図4および
表1に示す光学系の光学部材間の間隔を変更することに
より球面収差,非点収差,コマ収差,歪曲収差の補正を
行った例について説明する。図9に補正を行った手順を
示す。図10に各収差補正時における間隔変更量を示
す。なお,図10には理解を助けるために表1と同内容
の本光学系の諸元値も示す。まず,光学系の設計値での
収差を求める(ステップS30)。これはコンピュータ
を用いた光線追跡シミュレーション等により得られる。
この時の球面収差,非点収差,コマ収差,歪曲収差の収
差図を図11に示す。図11よりわかるように,各収差
は極めて微小であり,本光学系は諸収差が良好に補正さ
れた光学系であることがわかる。なお,図11および以
降の収差図において,非点収差の実線はサジタル像面を
示し,破線はメリジオナル像面を示し,コマ収差は上側
のコマ収差と下側のコマ収差の和を示し,歪曲収差は理
想値からのずれ量を示す。
【0053】次に,光学系を組み立て後の収差を求める
(ステップS31)。このときの設計値からの間隔変更
量を図10の組立後収差発生のカラムに示し,各収差を
図12に示す。図12に示す各収差は,図11に示すも
のとは異なり,著しく大きな収差となっている。
【0054】そこで,レンズ間の間隔を変更することに
より,まず球面収差を補正する(ステップS32)。間
隔変更量は例えば,球面収差が小さくなるように条件を
設定してコンピュータを用いて光線追跡シミュレーショ
ン等を行うことにより決めることができる。このときの
間隔変更量を図10の球面収差補正のカラムに示し,各
収差を図13に示す。図13に示すように,球面収差は
図11に示すものと同等レベルに小さくなり,他の収差
に大きな変化はない。
【0055】次に,レンズ間の間隔を変更することによ
り,非点収差を補正する(ステップS33)。間隔変更
量は例えば,非点収差が小さくなるように条件を設定し
てコンピュータを用いて光線追跡シミュレーション等を
行うことにより決めることができる。このときの間隔変
更量を図10の非点収差補正のカラムに示し,各収差を
図14に示す。図14に示すように,非点収差は図11
に示すものと同等レベルに小さくなり,他の収差に大き
な変化はなく,前段階で補正した球面収差は悪化するこ
となく,良好な状態を保っている。
【0056】次に,レンズ間の間隔を変更することによ
り,コマ収差を補正する(ステップS34)。間隔変更
量は例えば,コマ収差が小さくなるように条件を設定し
てコンピュータを用いて光線追跡シミュレーション等を
行うことにより決めることができる。このときの間隔変
更量を図10のコマ収差補正のカラムに示し,各収差を
図15に示す。図15に示すように,コマ収差は図11
に示すものと同等レベルに小さくなり,他の収差に大き
な変化はなく,前段階で補正した球面収差,非点収差は
悪化することなく,良好な状態を保っている。
【0057】次に,レンズ間の間隔を変更することによ
り,歪曲収差を補正する(ステップS35)。間隔変更
量は例えば,歪曲収差が小さくなるように条件を設定し
てコンピュータを用いて光線追跡シミュレーション等を
行うことにより決めることができる。このときの間隔変
更量を図10の歪曲収差補正のカラムに示し,各収差を
図16に示す。図16に示すように,歪曲収差は図11
に示すものと同等レベルに小さくなり,他の収差に大き
な変化はなく,前段階で補正した球面収差,非点収差,
コマ収差は悪化することなく,良好な状態を保ってい
る。結果として,図16に示す全収差が図11に示す設
計時の収差と同等レベルに補正され,良好な状態になっ
ている。
【0058】以上,添付図面を参照しながら本発明にか
かる好適な実施形態について説明したが,本発明はかか
る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であ
れば,特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内
において,各種の変更例または修正例に想到し得ること
は明らかであり,それらについても当然に本発明の技術
的範囲に属するものと了解される。
【0059】上述の実施形態では,i線(波長365n
m)の露光光を供給する超高圧水銀ランプを光源として
用いた例を示したが,露光光の波長はi線には限られな
い。例えば,光源として超高圧水銀ランプを用い,g線
(波長436nm)のみ,h線(波長405nm)の
み,g線とh線,h線とi線,またはg線とh線とi線
とを露光光としても良い。また,光源として波長248
nmの光を供給するKrFエキシマレーザ,波長193
nmの光を供給するArFエキシマレーザ,波長157
nmの光を供給するF2レーザなどを光源として用いて
も良い。
【0060】また,上述の実施形態では,液晶表示素子
やプラズマディスプレイパネル(PDP)等の表示デバ
イスの製造のリソグラフィ工程で用いる投影露光装置に
ついて説明したが,本発明は表示デバイス製造用の投影
露光装置に限定されず,例えば半導体デバイス製造用,
フォトマスク製造用,磁気へッド製造用,プリント配線
基板の製造用にも適用することが可能である。なお,露
光用の基板として,半導体デバイス製造用の投影露光装
置ではウエハを用い,表示デバイス製造用の投影露光装
置ではガラス基板を用い,フォトマスク製造用の投影露
光装置ではガラス基板或いはシリコン基板を用い,磁気
へッド製造用の投影露光装置ではローバーと呼ばれるバ
ー形状の基板を用い,プリント配線基板製造用の投影露
光装置ではエポキシ樹脂等の樹脂基板を用いる。また,
本発明は,基板として帯状のフィルムを用いる投影露光
装置にも適用できる。このような投影露光装置は,例え
ばTAB(Tape Automated Bondi
ng)方式の電子部品の実装に使用されるフィルム回路
基板の製造に用いられるフィルム露光装置が知られてい
る。
【0061】また,上記の実施形態では,ステップ・ア
ンド・リピート方式やステップ・アンド・スキャン方式
の露光装置としたが,スティッチングおよびスリットス
キャン型の露光装置としても良い。スティッチングおよ
びスリットスキャン型の露光装置では,レチクル(マス
ク)上の所定形状の照明領域に対して相対的に所定の第
1の方向にレチクルおよび基板を同期して走査すること
により,基板上の第1列目の領域への露光が行われる。
その後,そのレチクルを交換するか,又はそのレチクル
を上記照明領域の第1の方向と直交する第2の方向に沿
って所定量だけ移動させて,基板を照明領域の第2の方
向と共役な方向に横ずれさせる。そして,再びレチクル
上の所定形状の照明領域に対して相対的に第1の方向に
レチクルおよび基板を同期して走査することにより,基
板上の第2列目の領域への露光を行う。このようなステ
ィッチングおよびスリットスキャン型の露光装置では,
投影光学系の露光フィールドよりも広い基板上の領域に
レチクルのパターンを露光することができる。なお,こ
のようなスティッチングおよびスリットスキャン型の露
光装置は,米国特許第5,477,304号公報,特開
平8−330220号公報,特開平10−284408
号公報などに開示されている。
【0062】
【発明の効果】以上,詳細に説明したように本発明によ
れば,個々の部品の精度や組立の精度を非常に厳しく抑
えることなく,高い光学性能を確保可能な光学系の製造
方法を提供することができ,残存する収差の調整が容易
に可能であり,高い光学性能を達成可能な投影光学装置
を提供することができる。また,本発明の別の観点によ
れば,マスクのパターンの像を基板に良好に投影露光し
得る露光装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係る投影露光装置の概
略構成図である。
【図2】 本発明の実施の形態に係る光学系の製造方法
の手順を示すフローチャートである。
【図3】 本発明の実施の形態に係る光学系の別の製造
方法の手順を示すフローチャートである。
【図4】 本発明の実施の形態に係る光学系のレンズ構
成を示す図である。
【図5】 レンズセルの構成を示す斜視図である。
【図6】 レンズセルのXY上面図である。
【図7】 レンズセルのYZ断面図である。
【図8】 レンズセルのXZ断面図である。
【図9】 光学部材間の間隔変更により諸収差の補正を
行った手順を示す図である。
【図10】 レンズデータと各収差補正時における間隔
変更量を示す図である。
【図11】 設計値での各収差を示す図である。
【図12】 組み立て後の各収差を示す図である。
【図13】 球面収差補正後の各収差を示す図である。
【図14】 非点収差補正後の各収差を示す図である。
【図15】 コマ収差補正後の各収差を示す図である。
【図16】 歪曲収差補正後の各収差を示す図である。
【符号の説明】
100 レンズセル 101 アウターセル 102 インナーセル 103 レンズ素子 104 雌ねじ部 105 雄ねじ部 106 締結用ボルト AS 開口絞り Ax 光軸 IS 照明光学装置 M マスク P プレート PL 投影光学装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 21/027 H01L 21/30 515D Fターム(参考) 2H043 AD01 AD10 AD23 2H044 AC01 AC02 AC03 AC04 2H087 KA21 LA01 NA01 NA04 NA09 PA15 PA17 PB20 QA03 QA06 QA19 QA21 QA25 QA39 QA41 QA45 RA32 2H097 BA10 EA01 GB00 LA10 LA12 5F046 BA04 CB12 CB25 DA13

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の光学部材を有する光学系の製造方
    法であって,前記光学系を構成すべき複数の光学部材を
    用いて前記光学系を組み立てる第1工程と,前記第1工程
    後に前記光学系に残存する像面湾曲を含む収差を計測す
    る第2工程と,前記光学系内部の少なくとも1つの光学
    部材をパワーの異なる光学部材と交換することにより,
    前記光学系の像面湾曲を補正する第3工程と,を含むこ
    とを特徴とする光学系の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記第2工程で計測された前記収差を補
    正するために,前記第3工程で交換する光学部材のパワ
    ーを求める第4工程をさらに含むことを特徴とする請求
    項1に記載の光学系の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記第2工程および前記第3工程を複数
    回行うことを特徴とする請求項1または2に記載の光学
    系の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記第3工程では,前記光学系内部の少
    なくとも1つのレンズをレンズ面の曲率が異なるレンズ
    と交換することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一
    項に記載の光学系の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記第3工程では,前記光学系内部の少
    なくとも1つのレンズを該レンズと同一硝材であるレン
    ズと交換することを特徴とする請求項1乃至4の何れか
    一項に記載の光学系の製造方法。
  6. 【請求項6】 複数の光学部材を有する光学系の製造方
    法であって,前記光学系を構成すべき複数の光学部材を
    用いて前記光学系を組み立てる第1工程と,前記第1工程
    後に前記光学系に残存する収差を計測する第2工程と,
    前記光学系の倍率色収差を補正する第3工程と,を含む
    ことを特徴とする光学系の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記第3工程では,前記光学系を構成す
    る光学部材間の間隔を変更することを特徴とする請求項
    6に記載の光学系の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記第2工程で計測された前記収差を補
    正するために,前記第3工程で変更する前記間隔を求め
    る第4工程をさらに含むことを特徴とする請求項7に記
    載の光学系の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記第2工程および前記第3工程を複数
    回行うことを特徴とする請求項6乃至8の何れか一項に
    記載の光学系の製造方法。
  10. 【請求項10】 第1物体の像を第2物体上に投影する
    投影光学装置であって,請求項1乃至9の何れか一項に
    記載の光学系の製造方法によって製造された光学系を含
    むことを特徴とする投影光学装置。
  11. 【請求項11】 第1物体の像を第2物体上に投影する
    投影光学装置であって,回転非対称なパワーを有し,か
    つ互いに近接して配置された少なくとも2つの非対称レ
    ンズと;前記投影光学装置中のレンズ間隔を変更可能な
    第1調整手段と;前記投影光学装置中の複数のレンズの
    うちの少なくとも1つのレンズを光軸に対して傾斜可能
    とする第2調整手段と;前記投影光学装置中の複数のレ
    ンズのうちの少なくとも1つのレンズを光軸を横切る方
    向に沿って移動可能とする第3調整手段と;前記少なく
    とも2つの非対称レンズの間の相対的な回転角を変更可
    能とする第4調整手段と;を備え,前記投影光学装置中
    の複数のレンズのうちの少なくとも1つのレンズは,該
    レンズと異なるレンズと交換可能に構成され,前記第1
    手段乃至第4調整手段および前記交換により前記投影光
    学装置に残存する収差を調整可能であることを特徴とす
    る投影光学装置。
  12. 【請求項12】 前記非対称レンズのうち少なくとも2
    つは前記第1物体または前記第2物体近傍に配置されて
    いることを特徴とする請求項11に記載の投影光学装
    置。
  13. 【請求項13】 前記非対称レンズのうち少なくとも2
    つは前記投影光学系の開口絞り近傍に配置されているこ
    とを特徴とする請求項11または12に記載の投影光学
    装置。
  14. 【請求項14】 請求項10乃至13の何れか一項に記
    載の投影光学装置と,前記第1物体としての所定のパタ
    ーンの像が形成されたマスク,および前記第2物体とし
    ての基板を位置決めするステージ系と,前記マスクを照
    明する照明光学系と,を具備し,前記照明光学系からの
    露光光のもとで,前記マスクのパターンの像を前記投影
    光学装置を介して前記基板上に投影することを特徴とす
    る露光装置。
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