JP2004146309A - 燃料電池用セパレータ及びこれを用いた燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】フラッディングを起こすことなく電解質膜を加湿可能とし、燃料電池へ供給するガスの加湿に関わる水を削減できるようにする。
【解決手段】発電セルにガスを供給するガス流路を有し、積層される発電セル間の隔壁となるセパレータ1のガス流路として、ガス供給側流路5とガス排出側流路6とを分離形成し、これらガス供給側流路5とガス排出側流路6との間で水を移動するための細溝7(水移動手段、連通路)を設ける。発電による反応生成水は、ガスと共に燃料極や空気極からガス排出側流路6へ押し出される。この水は細溝7を通じてガス供給側流路5へと移動し、未反応ガスと共に固体高分子電解質膜へと到達することになる。したがって、反応生成水による自己加湿が実現される。
【選択図】 図3
【解決手段】発電セルにガスを供給するガス流路を有し、積層される発電セル間の隔壁となるセパレータ1のガス流路として、ガス供給側流路5とガス排出側流路6とを分離形成し、これらガス供給側流路5とガス排出側流路6との間で水を移動するための細溝7(水移動手段、連通路)を設ける。発電による反応生成水は、ガスと共に燃料極や空気極からガス排出側流路6へ押し出される。この水は細溝7を通じてガス供給側流路5へと移動し、未反応ガスと共に固体高分子電解質膜へと到達することになる。したがって、反応生成水による自己加湿が実現される。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体高分子膜を電解質とする燃料電池の発電セル間に配される燃料電池用セパレータ及びこれを用いた燃料電池に関するものであり、特に、電池内部での自己加湿を可能とする新規なセパレータ構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池は、反応ガスである水素等の燃料ガスと空気等の酸化剤ガスを電気化学的に反応させることにより、燃料の持つ化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換するものである。燃料電池は、排気がクリーンであること、高エネルギー効率であること等から、大気汚染や二酸化炭素による地球温暖化の問題等に対処し得る技術として注目されている。
【0003】
燃料電池の燃料極,酸化剤極の両電極において進行する電極反応は、以下の通りである。
【0004】
燃料極 : 2H2 →4H+ +4e− ・・・(1)
酸化剤極 : 4H+ +4e− +O2 →2H2O ・・・(2)
燃料電池では、燃料極に水素ガスが供給されると、燃料極で(1)式に示す反応が進行して水素イオンが生成する。この生成した水素イオンは、水和状態で電解質を透過(拡散)して酸化剤極に至る。このとき酸化剤極に酸素含有ガス、例えば空気が供給されていると、カソードでは(2)式の反応が進行する。この(1)式、(2)式に示す電極反応が各極で進行することで、燃料電池は起電力を生じることになる。
【0005】
燃料電池は、電解質の違い等により様々なタイプのものに分類されるが、その一つとして、電解質に固体高分子電解質を用いる固体高分子電解質型燃料電池が知られている。固体高分子電解質型燃料電池は、低コストで小型化、軽量化が容易であり、しかも高い出力密度を有することから、例えば車両用電源としての用途が期待されている。
【0006】
ただし、この固体高分子電解質形燃料電池においては、水素イオンが電解質膜を移動するために、固体高分子電解質膜が含水した状態であることが必要であり、加湿制御が必須の技術となる。固体高分子電解質膜の含水量が低下すると、電解質膜の電気抵抗が大きくなって、出力電圧の低下、出力電力の低下を招く。さらに含水量が低下して乾燥状態になると、固体高分子電解質膜が電解質膜として機能しなくなる。
【0007】
そこで、燃料ガスや酸化剤ガスを加湿して燃料電池に供給する等、固体高分子電解質膜を積極的に加湿することが広く行われているが、加湿水や反応生成水の量が電解質膜の保水量を上回ると、これらが凝縮してガス流路へ水が溢れ出すフラッディングという現象を生ずる。フラッディングが発生すると、電極の発電面を水が覆って反応を抑制し、供給ガス流路を閉塞してガス通流を阻害するといった現象を招き、発電を安定して継続することが困難になる。
【0008】
前記のフラッディングを解消するための技術としては、セパレータに形成されるガス流路において、供給側ガス流路と排出側ガス流路が直接連通しないように流路の分離を行い、供給ガスを強制的にガス拡散層に通流させることによって、凝縮した水を排出し易くした櫛型流路の燃料電池が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0009】
【特許文献1】
特開平11−16591号公報
【0010】
【特許文献2】
米国特許第5641586号明細書
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような櫛型流路の燃料電池では、水分の排出が過度に促進され、電解質膜の乾燥を招く結果となり易い。例えば、車両等の移動体に搭載し駆動源として稼動させる燃料電池においては、その重量軽減の要求から燃料電池へ供給するガスの加湿に関わる水を削減することが望まれている。そのため、移動体へ搭載する燃料電池では、外部からの加湿を抑制した状態、あるいは全く外部からの加湿を行わないでガスを供給することが要求される場合もある。このように加湿が抑制された供給ガスを使用する状況下で燃料電池を稼動させると、電解質膜は乾燥しやすく、特にガス供給側における電解質膜の乾燥は著しい。
【0012】
したがって、前述の従来技術では、固体高分子電解質膜の適正な加湿とフラッディングの防止を両立することは難しく、その改善が望まれる。
【0013】
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、フラッディングを起こすことなく電解質膜を加湿することが可能で、燃料電池へ供給するガスの加湿に関わる水を削減することが可能な燃料電池用セパレータ及びこれを用いた燃料電池を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の燃料電池用セパレータは、高分子電解質膜を有する発電セルにガスを供給するガス流路を有し、積層される発電セル間の隔壁となるものである。そして、前記ガス流路としてガス供給側流路とガス排出側流路を有し、これらガス供給側流路とガス排出側流路との間で水を移動させる水移動手段が設けられていることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の燃料電池は、高分子電解質膜を有する発電セルと、この発電セルにガスを供給するガス流路を有し、積層される発電セル間の隔壁となるセパレータとを備えるものである。そして、前記セパレータは、ガス流路としてガス供給側流路とガス排出側流路を有し、これらガス供給側流路とガス排出側流路の間で水を移動させる水移動手段が設けられていることを特徴とする。
【0016】
以上の構成を有する燃料電池用セパレータ及び燃料電池において、発電による反応生成水は、ガスと共に燃料極や空気極からガス排出側流路へ押し出される。
ここで、燃料電池用セパレータにはガス排出側流路とガス供給側流路との間で水を移動させる水移動手段が設けられていることから、排出された水は前記水移動手段によりガス供給側流路へと移動し、燃料電池に新たに導入された未反応ガスと共に固体高分子電解質膜へと到達する。すなわち、本発明では、反応生成水による自己加湿が実現されることになる。
【0017】
【発明の効果】
本発明の燃料電池用セパレータ及び燃料電池によれば、反応生成水による自己加湿を実現することができ、加湿に必要な水の量を大幅に削減することが可能である。また、固体高分子電解質から流失した前記反応生成水は、再び固体高分子電解質へと供給されるので、水分の排出が過度に進行することはなく、固体高分子電解質膜の乾燥を防止することができる。さらに、凝縮した水が速やかに加湿水として再利用されるので、水詰まりの原因となることはなく、フラッディングも解消することができる。したがって、外部からの加湿を抑制しながら燃料電池の安定した運転を実現することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した燃料電池用セパレータ及び燃料電池について、図面を参照して説明する。
【0019】
(第1の実施形態)
図1は、本発明が適用される固体高分子電解質型の燃料電池の構造を示す斜視図である。この燃料電池は、発電単位である発電セルがセパレータ1を介して多数積層された構造となっている。各発電セルは、電解質膜2を二つの電極(燃料極と酸化剤極)3,4で挟み込んだ構成となっている。ここで、電解質膜2には、高エネルギー密度化、低コスト化、軽量化等を考慮して、例えば固体高分子電解質膜が用いられる。固体高分子電解質膜は、例えばフッ素樹脂系イオン交換膜等、イオン(プロトン)伝導性の高分子膜からなるものであり、飽和含水することによりイオン伝導性電解質として機能する
電解質膜2の両面に配設される二つの電極3,4は、白金または、白金とその他の金属からなる触媒を含有するカーボンクロス、またはカーボンペーパー等からなり、触媒の存在する面が電解質膜2と接触するように配設されている。これら電極3,4のうち、燃料極では、水素が供給されることで水素イオンと電子に解離し、水素イオンは電解質を通り、電子は外部回路を通って電力を発生させ、空気極にそれぞれ移動する。また、空気極では、供給された空気中の酸素と上記水素イオン及び電子が反応して水が生成する。
【0020】
セパレータ1は、隣接する発電セル間の隔壁として機能すると共に、集電体としての機能やガスの流路としての機能も有し、例えばガス不透過である緻密性カーボン材で構成されている。そして、その片面または両面には、燃料ガスや酸化剤ガス、あるいは冷却媒体の流路を確保するため、多数のリブが形成されている。燃料ガスや酸化剤ガスは、セパレータ1にそれぞれ設けられたガス入口から供給され、前記リブによって形成されるガス流路を通ってガス出口から排出される。
【0021】
以上のように、セパレータ1にはガス流路が形成されているが、ガス供給側流路とガス排出側流路とが連続的に連通した通常の流路構造では、酸化剤ガス、燃料ガスは、拡散効果によりガス拡散層へ流入し、さらに電解質膜2へ到達して発電反応に寄与する。このとき、ガス拡散層の空孔内に水滴が滞留しガスの拡散が阻害されるとフラッディングが発生し、発電性能は著しく低下する。
【0022】
そこで、本実施形態では、ガス供給側流路5とガス排出側流路6とをいわゆる櫛型の流路形状にして分離形成し、各櫛歯状流路が互いに噛み合うように、これらガス供給側流路5とガス排出側流路6とをセパレータ1上に配置するようにしている。
【0023】
図2は、このようなセパレータ1を用いた積層構造体の断面図であり、ガス供給側流路5とガス排出側流路6とを分離した場合に、セパレータ1から供給されるガスが電極3,4の内部を通過する様子を示すものである。
【0024】
ガス供給側流路5とガス排出側流路6とが櫛型の流路形状をもつ構造では、酸化剤ガス、燃料ガスは、移流効果によりガス供給側流路5からガス拡散層である電極3,4へ流入し、これら電極3,4内の微細な孔を通ってガス排出側流路6へと排出される。ガス拡散層である各電極3,4から電解質膜2である固体高分子膜へは、拡散効果により酸化剤ガスや燃料ガスが到達する。本構造では、ガス供給側流路5からガス拡散層を通過しガス排出側流路6へと流れる一連のガス流は、いわゆる移流効果により推進され、また、この流れは、ガス拡散層である電極3,4内に滞留した水滴をガス流と共にガス排出側へ排出する効果を有する。
【0025】
図3は、ガス供給側流路5及びガス排出側流路6が形成されたセパレータ1の平面図である。ガス供給側流路5とガス排出側流路6とは、それぞれ櫛型の流路形状を有し、各櫛歯状流路が重力方向に沿うようにして互いに噛み合うように配置されている。また、ガス供給側流路5は鉛直方向の下方側に、ガス排出側流路6は鉛直方向の上方側に配置されている。
【0026】
ガス供給側流路5は、ガス供給口5aと、複数の櫛歯状流路5bと、これら複数の櫛歯状流路5bが繋がる分配マニフォールド5cとからなる。同様に、ガス排出側流路6は、ガス排出口6aと、複数の櫛歯状流路6bと、これら複数の櫛歯状流路6bが繋がる集合マニフォールド6cとからなる。
【0027】
ここで、本実施形態のセパレータ1において特徴的なのは、ガス排出側流路5とガス供給側流路5とを連通する細溝7(連通路)が設けられていることである。本例では、細溝7は、ガス排出側流路6の各櫛歯状流路6bの最下部と、ガス供給側流路5の各櫛歯状流路5bの分配マニフォールド5cとの連結部に近い位置とを繋ぐかたちで形成されている。
【0028】
先にも述べたように、ガス拡散層である電極3,4内に滞留した水滴はガス流と共にガス排出側流路6の各櫛歯状流路6bへと排出されるが、このガス排出側流路6の各櫛歯状流路6bに押し出された水は、自重によって櫛歯状流路6bの下方へと移動する。そして、各櫛歯状流路6b下方に移動した水は、重力及び細溝7の毛細管現象によって、この細溝7を通ってガス供給側流路6へと移動し、未反応ガスに混入されて、電解質膜2へと輸送される。このとき、細溝7の表面を親水処理しておくと、細溝7内での水移動が促進され、前記水の移動が円滑に行われる。
【0029】
以上のように、本実施形態では、セパレータ1に水滴排出能力の高い櫛型のガス供給側流路5及びガス排出側流路6を分離形成しているため、液体の水が未反応ガスに供給されてもフラッディングを起こすことなく電解質膜2を加湿することが可能となっている。また、これらガス供給側流路5及びガス排出側流路6は細溝7によって連通されているが、この細溝7には水が液体状態で存在しているため、これが細溝7内のガスの通流を妨げ、ガスに対しては櫛型形状の流路が実現される。なお、細溝7が乾燥した状態にあったとしても、この細溝7は毛細管現象を生じさせる程度に細い溝となっているので、圧損が大きく反応ガスが流入することはなく、櫛型の流路構成の妨げになることはない。
【0030】
なお、本実施形態においては、ガス供給側流路5とガス排出側流路6とを連通する連通路として細溝7を採用しているが、連通路として細溝7に限らず、例えば細孔や多孔質体等、毛細管現象によって水の移動を実現できるものであればどのような構造のものを採用してもよい。
【0031】
また、本実施形態においては、連通路として機能する細溝7がガス排出側流路6の各櫛歯状流路6bの最下部とガス供給側流路5の各櫛歯状流路5bの分配マニフォールド5cとの連結部に近い位置とを繋ぐかたちで形成されているが、例えば図4に示すように、ガス排出側流路6の各櫛歯状流路6bの最下部と、ガス供給側流路5の分配マニフォールド5cとを繋ぐかたちで形成されていてもよい。この場合にも、鉛直方向におけるガス排出側流路6の最下部と、これよりも下方に位置するガス供給側流路5の一部とが細溝7によって連通されるので、細溝7の毛細管現象に加えて重力の作用も働いて細溝7内での水移動が促進され、水の移動が円滑に行われることになる。
【0032】
移動体へ搭載して稼動させる燃料電池においては、その重量軽減の要求から燃料電池へ供給するガスの加湿に関わる水を削減することが望まれている。そのため、移動体へ搭載する燃料電池としては、外部からの加湿を抑制した状態で、あるいは全く外部からの加湿を行わないでガスを供給しても、安定に運転し得る構造であることが望まれる。本実施形態では、ガス供給側流路5とガス排出側流路6とが櫛型の流路形状をなす燃料電池用セパレータ1において、ガス排出側流路6からガス供給側流路5へと水が移動できる手段を設けることにより、これを実現している。
【0033】
発電による反応生成水は、ガスと共にガス排出側流路6へ押し出されるが、排出された水は水移動手段によりガス供給側流路5へと移動し、燃料電池に新たに導入された未反応ガスと共に、固体高分子膜よりなる電解質膜2へと到達することとなる。従来の流路形状と異なり、櫛型の流路形状においては液体の水をガス中に混入しても、フラッディングを起こすことなく電解質膜2を加湿する効果が得られる。
【0034】
(第2の実施形態)
本実施形態は、細溝7の太さを、当該細溝7が接続されるガス排出側流路6の櫛歯状流路6bの位置に応じて異ならせるようにした例である。その他の構成は、第1の実施形態と同様であるので、ここではその説明は省略し、本実施形態に特徴的な部分についてのみ説明する。
【0035】
図5は、ガス供給側流路5及びガス排出側流路6とこれらを連通する細溝7とが形成された本実施形態のセパレータ1を示す平面図である。ここでは、水移動用の細溝7のうち、ガス排出口6aから最も離れた位置の櫛歯状流路6bには他より流路面積の大きな、すなわち太い細溝7aが配置されており、ガス排出口6aに最も近い位置の櫛歯状流路6bには他より流路面積の小さな、すなわち細い細溝7bが配置されている。
【0036】
ガス排出側流路6に押し出された水の一部は、櫛歯状流路6bを落下せずに集合マニフォールド6cへと流れ込むので、集合マニフォールド6c内の水分量はガス排出口6aに近付くにしたがい段階的に増加することになり、同様に、電極3,4の湿潤度合もガス排出口6aに近い位置ほど上昇することになる。そこで、本実施形態では、ガス排出口6aから遠方では湿潤度合の低い領域をより多く加湿するために、他より太い細溝7aを設置し、ガス排出口6a近傍では湿潤度合が高いため、他より細い細溝7bを設置して加湿量を減らすようにしている。
これにより、セパレータ1が接する面内の加湿量を均一化することができる。
【0037】
(第3の実施形態)
本実施形態は、細溝7の数を、当該細溝7が接続されるガス排出側流路6の櫛歯状流路6bの位置に応じて異ならせるようにした例である。その他の構成は、第1の実施形態と同様であるので、ここではその説明は省略し、本実施形態に特徴的な部分についてのみ説明する。
【0038】
図6は、ガス供給側流路5及びガス排出側流路6とこれらを連通する細溝7とが形成された本実施形態のセパレータ1を示す平面図である。ここでは、ガス排出側流路6において、ガス排出口6aから離れた位置の櫛歯状流路6bには2本の細溝7が配置されており、ガス排出口6aに近い位置の櫛歯状流路6bには1本の細溝7が配置されている。
【0039】
先にも述べたように、ガス排出側流路6に押し出された水の一部は、櫛歯状流路部6bを落下せずに集合マニフォールド6cへと流れ込むので、集合マニフォールド6c内の水分量はガス排出口6aに近付くにしたがい段階的に増加することになり、同様に、電極3,4の湿潤度合もガス排出口6aに近い位置ほど上昇することになる。そこで、本実施形態では、ガス排出口6aから遠方では湿潤度合の低い領域をより多く加湿するために多数の細溝7を設置し、またガス排出口6a近傍では湿潤度合が高いため、少ない数の細溝7を設置して加湿量を減らすようにしている。これにより、セパレータ1が接する面内の加湿量を均一化することができる。
【0040】
(第4の実施形態)
本実施形態は、ガス供給側流路5の櫛歯状流路5bに繋がる細溝7の数を、櫛歯状流路5bの位置に応じて異ならせるようにした例である。その他の構成は、第1の実施形態と同様であるので、ここではその説明は省略し、本実施形態に特徴的な部分についてのみ説明する。
【0041】
図7は、ガス供給側流路5及びガス排出側流路6とこれらを連通する細溝7とが形成された本実施形態のセパレータ1を示す平面図である。ここでは、ガス供給側流路5において、ガス排出口6aから最も離れた位置の櫛歯状流路5bには2本の細溝7が繋がれており、ガス排出口6aに最も近い位置の櫛歯状流路5bには細溝7が繋がれていない。そして、これらの間に位置する櫛歯状流路5bには1本の細溝7が繋がれている。
【0042】
先にも述べたように、ガス排出側流路6に押し出された水の一部は、櫛歯状流路部6bを落下せずに集合マニフォールド6cへと流れ込むので、集合マニフォールド6c内の水分量はガス排出口6aに近付くにしたがい段階的に増加することになり、同様に、電極3,4の湿潤度合もガス排出口6aに近い位置ほど上昇することになる。そこで、本実施形態では、ガス排出口6aから遠方に位置する櫛歯状流路5bには多くの細溝7を繋ぎ、ガス排出口6a近傍の櫛歯状流路5bには少ない数の細溝7を繋ぐようにしている。このように構成することにより、ガス排出口6aから遠方では、ガス排出側流路6からより多くの水を細溝7を通じて加湿用として導入することができ、電極3,4の湿潤度合の低い領域をより多く加湿して、セパレータ1が接する面内の加湿量を均一化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】固体高分子電解質型の燃料電池の構造を概略的に示す分解斜視図である。
【図2】前記燃料電池の発電セルとセパレータとの積層状態を示す断面図である。
【図3】第1の実施形態におけるセパレータの一例を示す平面図である。
【図4】第1の実施形態におけるセパレータの他の例を示す平面図である。
【図5】第2の実施形態におけるセパレータを示す平面図である。
【図6】第3の実施形態におけるセパレータを示す平面図である。
【図7】第4の実施形態におけるセパレータを示す平面図である。
【符号の説明】
1 セパレータ
2 電解質膜
3,4 電極
5 ガス供給側流路
5a ガス供給口
5b 櫛歯状流路
5c 分配マニフォールド
6 ガス排出側流
6a ガス排出口
6b 櫛歯状流路
6c 集合マニフォールド
7 細溝
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体高分子膜を電解質とする燃料電池の発電セル間に配される燃料電池用セパレータ及びこれを用いた燃料電池に関するものであり、特に、電池内部での自己加湿を可能とする新規なセパレータ構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池は、反応ガスである水素等の燃料ガスと空気等の酸化剤ガスを電気化学的に反応させることにより、燃料の持つ化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換するものである。燃料電池は、排気がクリーンであること、高エネルギー効率であること等から、大気汚染や二酸化炭素による地球温暖化の問題等に対処し得る技術として注目されている。
【0003】
燃料電池の燃料極,酸化剤極の両電極において進行する電極反応は、以下の通りである。
【0004】
燃料極 : 2H2 →4H+ +4e− ・・・(1)
酸化剤極 : 4H+ +4e− +O2 →2H2O ・・・(2)
燃料電池では、燃料極に水素ガスが供給されると、燃料極で(1)式に示す反応が進行して水素イオンが生成する。この生成した水素イオンは、水和状態で電解質を透過(拡散)して酸化剤極に至る。このとき酸化剤極に酸素含有ガス、例えば空気が供給されていると、カソードでは(2)式の反応が進行する。この(1)式、(2)式に示す電極反応が各極で進行することで、燃料電池は起電力を生じることになる。
【0005】
燃料電池は、電解質の違い等により様々なタイプのものに分類されるが、その一つとして、電解質に固体高分子電解質を用いる固体高分子電解質型燃料電池が知られている。固体高分子電解質型燃料電池は、低コストで小型化、軽量化が容易であり、しかも高い出力密度を有することから、例えば車両用電源としての用途が期待されている。
【0006】
ただし、この固体高分子電解質形燃料電池においては、水素イオンが電解質膜を移動するために、固体高分子電解質膜が含水した状態であることが必要であり、加湿制御が必須の技術となる。固体高分子電解質膜の含水量が低下すると、電解質膜の電気抵抗が大きくなって、出力電圧の低下、出力電力の低下を招く。さらに含水量が低下して乾燥状態になると、固体高分子電解質膜が電解質膜として機能しなくなる。
【0007】
そこで、燃料ガスや酸化剤ガスを加湿して燃料電池に供給する等、固体高分子電解質膜を積極的に加湿することが広く行われているが、加湿水や反応生成水の量が電解質膜の保水量を上回ると、これらが凝縮してガス流路へ水が溢れ出すフラッディングという現象を生ずる。フラッディングが発生すると、電極の発電面を水が覆って反応を抑制し、供給ガス流路を閉塞してガス通流を阻害するといった現象を招き、発電を安定して継続することが困難になる。
【0008】
前記のフラッディングを解消するための技術としては、セパレータに形成されるガス流路において、供給側ガス流路と排出側ガス流路が直接連通しないように流路の分離を行い、供給ガスを強制的にガス拡散層に通流させることによって、凝縮した水を排出し易くした櫛型流路の燃料電池が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0009】
【特許文献1】
特開平11−16591号公報
【0010】
【特許文献2】
米国特許第5641586号明細書
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような櫛型流路の燃料電池では、水分の排出が過度に促進され、電解質膜の乾燥を招く結果となり易い。例えば、車両等の移動体に搭載し駆動源として稼動させる燃料電池においては、その重量軽減の要求から燃料電池へ供給するガスの加湿に関わる水を削減することが望まれている。そのため、移動体へ搭載する燃料電池では、外部からの加湿を抑制した状態、あるいは全く外部からの加湿を行わないでガスを供給することが要求される場合もある。このように加湿が抑制された供給ガスを使用する状況下で燃料電池を稼動させると、電解質膜は乾燥しやすく、特にガス供給側における電解質膜の乾燥は著しい。
【0012】
したがって、前述の従来技術では、固体高分子電解質膜の適正な加湿とフラッディングの防止を両立することは難しく、その改善が望まれる。
【0013】
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、フラッディングを起こすことなく電解質膜を加湿することが可能で、燃料電池へ供給するガスの加湿に関わる水を削減することが可能な燃料電池用セパレータ及びこれを用いた燃料電池を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の燃料電池用セパレータは、高分子電解質膜を有する発電セルにガスを供給するガス流路を有し、積層される発電セル間の隔壁となるものである。そして、前記ガス流路としてガス供給側流路とガス排出側流路を有し、これらガス供給側流路とガス排出側流路との間で水を移動させる水移動手段が設けられていることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の燃料電池は、高分子電解質膜を有する発電セルと、この発電セルにガスを供給するガス流路を有し、積層される発電セル間の隔壁となるセパレータとを備えるものである。そして、前記セパレータは、ガス流路としてガス供給側流路とガス排出側流路を有し、これらガス供給側流路とガス排出側流路の間で水を移動させる水移動手段が設けられていることを特徴とする。
【0016】
以上の構成を有する燃料電池用セパレータ及び燃料電池において、発電による反応生成水は、ガスと共に燃料極や空気極からガス排出側流路へ押し出される。
ここで、燃料電池用セパレータにはガス排出側流路とガス供給側流路との間で水を移動させる水移動手段が設けられていることから、排出された水は前記水移動手段によりガス供給側流路へと移動し、燃料電池に新たに導入された未反応ガスと共に固体高分子電解質膜へと到達する。すなわち、本発明では、反応生成水による自己加湿が実現されることになる。
【0017】
【発明の効果】
本発明の燃料電池用セパレータ及び燃料電池によれば、反応生成水による自己加湿を実現することができ、加湿に必要な水の量を大幅に削減することが可能である。また、固体高分子電解質から流失した前記反応生成水は、再び固体高分子電解質へと供給されるので、水分の排出が過度に進行することはなく、固体高分子電解質膜の乾燥を防止することができる。さらに、凝縮した水が速やかに加湿水として再利用されるので、水詰まりの原因となることはなく、フラッディングも解消することができる。したがって、外部からの加湿を抑制しながら燃料電池の安定した運転を実現することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した燃料電池用セパレータ及び燃料電池について、図面を参照して説明する。
【0019】
(第1の実施形態)
図1は、本発明が適用される固体高分子電解質型の燃料電池の構造を示す斜視図である。この燃料電池は、発電単位である発電セルがセパレータ1を介して多数積層された構造となっている。各発電セルは、電解質膜2を二つの電極(燃料極と酸化剤極)3,4で挟み込んだ構成となっている。ここで、電解質膜2には、高エネルギー密度化、低コスト化、軽量化等を考慮して、例えば固体高分子電解質膜が用いられる。固体高分子電解質膜は、例えばフッ素樹脂系イオン交換膜等、イオン(プロトン)伝導性の高分子膜からなるものであり、飽和含水することによりイオン伝導性電解質として機能する
電解質膜2の両面に配設される二つの電極3,4は、白金または、白金とその他の金属からなる触媒を含有するカーボンクロス、またはカーボンペーパー等からなり、触媒の存在する面が電解質膜2と接触するように配設されている。これら電極3,4のうち、燃料極では、水素が供給されることで水素イオンと電子に解離し、水素イオンは電解質を通り、電子は外部回路を通って電力を発生させ、空気極にそれぞれ移動する。また、空気極では、供給された空気中の酸素と上記水素イオン及び電子が反応して水が生成する。
【0020】
セパレータ1は、隣接する発電セル間の隔壁として機能すると共に、集電体としての機能やガスの流路としての機能も有し、例えばガス不透過である緻密性カーボン材で構成されている。そして、その片面または両面には、燃料ガスや酸化剤ガス、あるいは冷却媒体の流路を確保するため、多数のリブが形成されている。燃料ガスや酸化剤ガスは、セパレータ1にそれぞれ設けられたガス入口から供給され、前記リブによって形成されるガス流路を通ってガス出口から排出される。
【0021】
以上のように、セパレータ1にはガス流路が形成されているが、ガス供給側流路とガス排出側流路とが連続的に連通した通常の流路構造では、酸化剤ガス、燃料ガスは、拡散効果によりガス拡散層へ流入し、さらに電解質膜2へ到達して発電反応に寄与する。このとき、ガス拡散層の空孔内に水滴が滞留しガスの拡散が阻害されるとフラッディングが発生し、発電性能は著しく低下する。
【0022】
そこで、本実施形態では、ガス供給側流路5とガス排出側流路6とをいわゆる櫛型の流路形状にして分離形成し、各櫛歯状流路が互いに噛み合うように、これらガス供給側流路5とガス排出側流路6とをセパレータ1上に配置するようにしている。
【0023】
図2は、このようなセパレータ1を用いた積層構造体の断面図であり、ガス供給側流路5とガス排出側流路6とを分離した場合に、セパレータ1から供給されるガスが電極3,4の内部を通過する様子を示すものである。
【0024】
ガス供給側流路5とガス排出側流路6とが櫛型の流路形状をもつ構造では、酸化剤ガス、燃料ガスは、移流効果によりガス供給側流路5からガス拡散層である電極3,4へ流入し、これら電極3,4内の微細な孔を通ってガス排出側流路6へと排出される。ガス拡散層である各電極3,4から電解質膜2である固体高分子膜へは、拡散効果により酸化剤ガスや燃料ガスが到達する。本構造では、ガス供給側流路5からガス拡散層を通過しガス排出側流路6へと流れる一連のガス流は、いわゆる移流効果により推進され、また、この流れは、ガス拡散層である電極3,4内に滞留した水滴をガス流と共にガス排出側へ排出する効果を有する。
【0025】
図3は、ガス供給側流路5及びガス排出側流路6が形成されたセパレータ1の平面図である。ガス供給側流路5とガス排出側流路6とは、それぞれ櫛型の流路形状を有し、各櫛歯状流路が重力方向に沿うようにして互いに噛み合うように配置されている。また、ガス供給側流路5は鉛直方向の下方側に、ガス排出側流路6は鉛直方向の上方側に配置されている。
【0026】
ガス供給側流路5は、ガス供給口5aと、複数の櫛歯状流路5bと、これら複数の櫛歯状流路5bが繋がる分配マニフォールド5cとからなる。同様に、ガス排出側流路6は、ガス排出口6aと、複数の櫛歯状流路6bと、これら複数の櫛歯状流路6bが繋がる集合マニフォールド6cとからなる。
【0027】
ここで、本実施形態のセパレータ1において特徴的なのは、ガス排出側流路5とガス供給側流路5とを連通する細溝7(連通路)が設けられていることである。本例では、細溝7は、ガス排出側流路6の各櫛歯状流路6bの最下部と、ガス供給側流路5の各櫛歯状流路5bの分配マニフォールド5cとの連結部に近い位置とを繋ぐかたちで形成されている。
【0028】
先にも述べたように、ガス拡散層である電極3,4内に滞留した水滴はガス流と共にガス排出側流路6の各櫛歯状流路6bへと排出されるが、このガス排出側流路6の各櫛歯状流路6bに押し出された水は、自重によって櫛歯状流路6bの下方へと移動する。そして、各櫛歯状流路6b下方に移動した水は、重力及び細溝7の毛細管現象によって、この細溝7を通ってガス供給側流路6へと移動し、未反応ガスに混入されて、電解質膜2へと輸送される。このとき、細溝7の表面を親水処理しておくと、細溝7内での水移動が促進され、前記水の移動が円滑に行われる。
【0029】
以上のように、本実施形態では、セパレータ1に水滴排出能力の高い櫛型のガス供給側流路5及びガス排出側流路6を分離形成しているため、液体の水が未反応ガスに供給されてもフラッディングを起こすことなく電解質膜2を加湿することが可能となっている。また、これらガス供給側流路5及びガス排出側流路6は細溝7によって連通されているが、この細溝7には水が液体状態で存在しているため、これが細溝7内のガスの通流を妨げ、ガスに対しては櫛型形状の流路が実現される。なお、細溝7が乾燥した状態にあったとしても、この細溝7は毛細管現象を生じさせる程度に細い溝となっているので、圧損が大きく反応ガスが流入することはなく、櫛型の流路構成の妨げになることはない。
【0030】
なお、本実施形態においては、ガス供給側流路5とガス排出側流路6とを連通する連通路として細溝7を採用しているが、連通路として細溝7に限らず、例えば細孔や多孔質体等、毛細管現象によって水の移動を実現できるものであればどのような構造のものを採用してもよい。
【0031】
また、本実施形態においては、連通路として機能する細溝7がガス排出側流路6の各櫛歯状流路6bの最下部とガス供給側流路5の各櫛歯状流路5bの分配マニフォールド5cとの連結部に近い位置とを繋ぐかたちで形成されているが、例えば図4に示すように、ガス排出側流路6の各櫛歯状流路6bの最下部と、ガス供給側流路5の分配マニフォールド5cとを繋ぐかたちで形成されていてもよい。この場合にも、鉛直方向におけるガス排出側流路6の最下部と、これよりも下方に位置するガス供給側流路5の一部とが細溝7によって連通されるので、細溝7の毛細管現象に加えて重力の作用も働いて細溝7内での水移動が促進され、水の移動が円滑に行われることになる。
【0032】
移動体へ搭載して稼動させる燃料電池においては、その重量軽減の要求から燃料電池へ供給するガスの加湿に関わる水を削減することが望まれている。そのため、移動体へ搭載する燃料電池としては、外部からの加湿を抑制した状態で、あるいは全く外部からの加湿を行わないでガスを供給しても、安定に運転し得る構造であることが望まれる。本実施形態では、ガス供給側流路5とガス排出側流路6とが櫛型の流路形状をなす燃料電池用セパレータ1において、ガス排出側流路6からガス供給側流路5へと水が移動できる手段を設けることにより、これを実現している。
【0033】
発電による反応生成水は、ガスと共にガス排出側流路6へ押し出されるが、排出された水は水移動手段によりガス供給側流路5へと移動し、燃料電池に新たに導入された未反応ガスと共に、固体高分子膜よりなる電解質膜2へと到達することとなる。従来の流路形状と異なり、櫛型の流路形状においては液体の水をガス中に混入しても、フラッディングを起こすことなく電解質膜2を加湿する効果が得られる。
【0034】
(第2の実施形態)
本実施形態は、細溝7の太さを、当該細溝7が接続されるガス排出側流路6の櫛歯状流路6bの位置に応じて異ならせるようにした例である。その他の構成は、第1の実施形態と同様であるので、ここではその説明は省略し、本実施形態に特徴的な部分についてのみ説明する。
【0035】
図5は、ガス供給側流路5及びガス排出側流路6とこれらを連通する細溝7とが形成された本実施形態のセパレータ1を示す平面図である。ここでは、水移動用の細溝7のうち、ガス排出口6aから最も離れた位置の櫛歯状流路6bには他より流路面積の大きな、すなわち太い細溝7aが配置されており、ガス排出口6aに最も近い位置の櫛歯状流路6bには他より流路面積の小さな、すなわち細い細溝7bが配置されている。
【0036】
ガス排出側流路6に押し出された水の一部は、櫛歯状流路6bを落下せずに集合マニフォールド6cへと流れ込むので、集合マニフォールド6c内の水分量はガス排出口6aに近付くにしたがい段階的に増加することになり、同様に、電極3,4の湿潤度合もガス排出口6aに近い位置ほど上昇することになる。そこで、本実施形態では、ガス排出口6aから遠方では湿潤度合の低い領域をより多く加湿するために、他より太い細溝7aを設置し、ガス排出口6a近傍では湿潤度合が高いため、他より細い細溝7bを設置して加湿量を減らすようにしている。
これにより、セパレータ1が接する面内の加湿量を均一化することができる。
【0037】
(第3の実施形態)
本実施形態は、細溝7の数を、当該細溝7が接続されるガス排出側流路6の櫛歯状流路6bの位置に応じて異ならせるようにした例である。その他の構成は、第1の実施形態と同様であるので、ここではその説明は省略し、本実施形態に特徴的な部分についてのみ説明する。
【0038】
図6は、ガス供給側流路5及びガス排出側流路6とこれらを連通する細溝7とが形成された本実施形態のセパレータ1を示す平面図である。ここでは、ガス排出側流路6において、ガス排出口6aから離れた位置の櫛歯状流路6bには2本の細溝7が配置されており、ガス排出口6aに近い位置の櫛歯状流路6bには1本の細溝7が配置されている。
【0039】
先にも述べたように、ガス排出側流路6に押し出された水の一部は、櫛歯状流路部6bを落下せずに集合マニフォールド6cへと流れ込むので、集合マニフォールド6c内の水分量はガス排出口6aに近付くにしたがい段階的に増加することになり、同様に、電極3,4の湿潤度合もガス排出口6aに近い位置ほど上昇することになる。そこで、本実施形態では、ガス排出口6aから遠方では湿潤度合の低い領域をより多く加湿するために多数の細溝7を設置し、またガス排出口6a近傍では湿潤度合が高いため、少ない数の細溝7を設置して加湿量を減らすようにしている。これにより、セパレータ1が接する面内の加湿量を均一化することができる。
【0040】
(第4の実施形態)
本実施形態は、ガス供給側流路5の櫛歯状流路5bに繋がる細溝7の数を、櫛歯状流路5bの位置に応じて異ならせるようにした例である。その他の構成は、第1の実施形態と同様であるので、ここではその説明は省略し、本実施形態に特徴的な部分についてのみ説明する。
【0041】
図7は、ガス供給側流路5及びガス排出側流路6とこれらを連通する細溝7とが形成された本実施形態のセパレータ1を示す平面図である。ここでは、ガス供給側流路5において、ガス排出口6aから最も離れた位置の櫛歯状流路5bには2本の細溝7が繋がれており、ガス排出口6aに最も近い位置の櫛歯状流路5bには細溝7が繋がれていない。そして、これらの間に位置する櫛歯状流路5bには1本の細溝7が繋がれている。
【0042】
先にも述べたように、ガス排出側流路6に押し出された水の一部は、櫛歯状流路部6bを落下せずに集合マニフォールド6cへと流れ込むので、集合マニフォールド6c内の水分量はガス排出口6aに近付くにしたがい段階的に増加することになり、同様に、電極3,4の湿潤度合もガス排出口6aに近い位置ほど上昇することになる。そこで、本実施形態では、ガス排出口6aから遠方に位置する櫛歯状流路5bには多くの細溝7を繋ぎ、ガス排出口6a近傍の櫛歯状流路5bには少ない数の細溝7を繋ぐようにしている。このように構成することにより、ガス排出口6aから遠方では、ガス排出側流路6からより多くの水を細溝7を通じて加湿用として導入することができ、電極3,4の湿潤度合の低い領域をより多く加湿して、セパレータ1が接する面内の加湿量を均一化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】固体高分子電解質型の燃料電池の構造を概略的に示す分解斜視図である。
【図2】前記燃料電池の発電セルとセパレータとの積層状態を示す断面図である。
【図3】第1の実施形態におけるセパレータの一例を示す平面図である。
【図4】第1の実施形態におけるセパレータの他の例を示す平面図である。
【図5】第2の実施形態におけるセパレータを示す平面図である。
【図6】第3の実施形態におけるセパレータを示す平面図である。
【図7】第4の実施形態におけるセパレータを示す平面図である。
【符号の説明】
1 セパレータ
2 電解質膜
3,4 電極
5 ガス供給側流路
5a ガス供給口
5b 櫛歯状流路
5c 分配マニフォールド
6 ガス排出側流
6a ガス排出口
6b 櫛歯状流路
6c 集合マニフォールド
7 細溝
Claims (11)
- 高分子電解質膜を有する発電セルにガスを供給するガス流路を有し、積層される発電セル間の隔壁となる燃料電池用セパレータであって、
前記ガス流路としてガス供給側流路とガス排出側流路とを有し、これらガス供給側流路とガス排出側流路との間で水を移動させる水移動手段が設けられていることを特徴とする燃料電池用セパレータ。 - 前記ガス供給側流路とガス排出側流路とを連通する連通路が設けられ、この連通路が前記水移動手段とされていることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用セパレータ。
- 前記連通路は、孔、溝、多孔質体の何れかにより構成されていることを特徴とする請求項2に記載の燃料電池用セパレータ。
- 前記連通路表面が親水処理されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の燃料電池用セパレータ。
- 前記連通路は、鉛直方向における前記ガス排出側流路の最下部と、これよりも下方に位置するガス供給側流路とを連通するように形成されていることを特徴とする請求項2乃至4の何れかに記載の燃料電池用セパレータ。
- 前記ガス供給側流路及びガス排出側流路は、何れも櫛型の流路形状とされ、各櫛歯状流路が互いに噛み合うように配置されていることを特徴とする請求項2乃至5の何れかに記載の燃料電池用セパレータ。
- 前記ガス排出側流路のガス排出口から遠い位置の櫛歯状流路に設けられる連通路の流路面積が、前記ガス排出側流路のガス排出口に近い位置の櫛歯状流路に設けられる連通路の流路面積よりも大であることを特徴とする請求項6に記載の燃料電池用セパレータ。
- 前記ガス排出側流路のガス排出口から遠い位置の櫛歯状流路に設けられる連通路の数が、前記ガス排出側流路のガス排出口に近い位置の櫛歯状流路に設けられる連通路の数よりも大であることを特徴とする請求項6に記載の燃料電池用セパレータ。
- 前記ガス供給側流路のガス供給口に近い位置の櫛歯状流路に設けられる連通路の数が、前記ガス供給側流路のガス供給口から遠い位置の櫛歯状流路に設けられる連通路の数よりも大であることを特徴とする請求項6に記載の燃料電池用セパレータ。
- 高分子電解質膜を有する発電セルと、
前記発電セルにガスを供給するガス流路を有し、積層される発電セル間の隔壁となるセパレータとを備え、
前記セパレータは、前記ガス流路としてガス供給側流路とガス排出側流路とを有し、これらガス供給側流路とガス排出側流路との間で水を移動させる水移動手段が設けられていることを特徴とする燃料電池。 - 前記ガス排出側流路がガス供給側流路の鉛直方向上方に位置するように前記セパレータが配置されており、前記水移動手段は重力により水を移動させることを特徴とする請求項10に記載の燃料電池。
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- 2002-10-28 JP JP2002312790A patent/JP2004146309A/ja active Pending
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