JP2004146291A - 有機発光素子の製造方法 - Google Patents

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Masahiro Fushimi
伏見 正弘
Hidemasa Mizutani
水谷 英正
Shigeki Kondo
近藤 茂樹
Kiyoshi Miura
三浦 聖志
Takashi Moriyama
森山 孝志
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Abstract

【課題】下部電極とホール輸送層との密着性を向上させ、素子特性を改善することができる有機発光素子の製造方法を提供する。
【解決手段】基板1上に下部電極2を形成し、下部電極2上にホール輸送層を積層し、その上に少なくとも発光層、電子輸送層、上部電極を積層してなる有機発光素子の製造方法であって、ホール輸送層を積層する前に、下部電極2の表面にホール輸送材料を溶解しうる溶媒15を接触させる。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板上に下部電極を形成し、該下部電極上にホール輸送層を積層し、その上に少なくとも発光層、電子輸送層、上部電極を積層してなる有機発光素子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機発光材料は、自発光型のフラットディスプレイや各種光源として応用が可能であり、近年注目されている。有機材料の電界発光現象は1963年にポープ(Pope)等によってアントラセン単結晶で観測され(J.Chem.Phys.38号、1963年、p.2042(非特許文献1))、それに続き1965年にヘルフリッヒ(Helfinch)とシュナイダー(Schneider)は注入効率の良い溶液電極系を用いる事により比較的強い注入型発光素子の観測に成功している(Phys.Rev.Lett.14号、1965年、p.229(非特許文献2))。
【0003】
近年、タン(Tang)等はAppl.Phys.Lett.51号、1987年、p.913(非特許文献3)あるいは米国特許4,356,429号明細書(特許文献1)において、陽極と陰極との間に2つの極めて薄い層(電荷輸送層と発光層)を真空蒸着で積層した発光素子を考案し、低い駆動電圧で高輝度を実現した。この種の積層型有機発光素子デバイスはその後も活発に研究され、例えば特開昭59−194393号公報(特許文献2)、米国特許4,539,507号明細書(特許文献3)、米国特許4,720,432号明細書(特許文献4)、特開昭63−264692号公報(特許文献5)、Appl.Phys.Lett.55、1989年、p.1467(非特許文献4)、特開平3−163188号公報(特許文献6)等に記載されている。
【0004】
また更に、Jpn.J.Appl.Phys.27号、1988年、p.269、p.713(非特許文献5、6)には、キャリア輸送と発光の機能を分離した3層構造の有機発光素子が報告されており、発光色を決める発光層の色素の選定に際してもキャリヤ輸送性能の制約が緩和され選択の自由度がかなり増し、更には中央の発光層にホールと電子(あるいは励起子)を有効に閉じ込めて発光の向上を図る可能性も示唆される。
【0005】
積層型有機発光素子の作成には、真空蒸着等の薄膜形成方法が用いられている。一方、有機発光素子に使用される陽極としては、金属電極やITO膜(透明導電性膜)等の酸化物導電体を用いることができる。下部電極は必要に応じて、フォトリソグラフィ法とエッチング法を用いて、任意の形状バターンに加工することができる。また、蒸着法やスパッタ法などにより形成する際に、マスクを用いてパターン化することも可能である。
【0006】
一般に、有機発光素子は電荷注入型発光素子であり、電極からのキャリア(ホール又はエレクトロン)の注入量に強く依存する。そして、電極(陽極や陰極)からのキャリア注入は、長時間に亘る使用においても常に一定であることが望ましい。しかし電極は、その成膜方法に起因する物理的な表面形状や仕事関数等、電極としての電気的物理的マッチングの不完全さも相まって、素子を流れる電流(電極からのキャリア注入による)が減少し、著しい出力の低下をもたらしていた。
【0007】
図8は、従来の有機発光素子の縦断面を示す模式図である。図8において、81は基板、82は下部電極、83はホール輸送層、84は発光層、85は電子輸送層、86は上部電極である。下部電極82に正電位を印加し、上部電極86に負電荷を印加することにより、ホール輸送層83側からホールが、電子輸送層85側から電子が発光層84に注入されて、結合することにより発光層84が発光する。
【0008】
一般に、下部電極材料としては、ITOなどの透明電極やAl等の金属電極が用いられる。また、下部電極をパターニングして表示部を分割して形成することができる。下部電極の形成には、真空蒸着あるいはスパッタリング等のドライプロセスによる成膜方法が一般的に行われている。また、下部電極のパターニングには、下部電極の形成時にマスクを用いて、電極形成部と非形成部とを分ける方法や、フォトリソグラフィ法を用いて電極の一部をエッチング除去してパターニングする方法が行われている。
【0009】
【特許文献1】
米国特許4,356,429号明細書
【特許文献2】
特開昭59−194393号公報
【特許文献3】
米国特許4,539,507号明細書
【特許文献4】
米国特許4,720,432号明細書
【特許文献5】
特開昭63−264692号公報
【特許文献6】
特開平3−163188号公報
【非特許文献1】
J.Chem.Phys.、38号、1963年、p.2042
【非特許文献2】
Phys.Rev.Lett.、14号、1965年、p.229
【非特許文献3】
Appl.Phys.Lett.、51号、1987年、p.913
【非特許文献4】
Appl.Phys.Lett.、55号、1989年、p.1467
【非特許文献5】
Jpn.J.Appl.Phys.、27号、1988年、p.269
【非特許文献6】
Jpn.J.Appl.Phys.、27号、1988年、p.713
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、下部電極を陽極として用い、その上にホール輸送層を形成する有機発光素子の構成において、下部電極とホール輸送層間でのホール注入量が十分に得られない場合、有機発光素子の発光効率の低下が引き起こされる。ホール注入量は、下部電極とホール輸送層との界面の密着性が阻害されることにより、著しく低下する。
【0011】
本発明は、上記の課題に鑑みて創案されたものであり、その目的は、下部電極とホール輸送層との密着性を向上させ、素子特性を改善することができる有機発光素子の製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための解決手段は以下の通りである。
【0013】
〔解決手段1〕 基板上に下部電極を形成し、該下部電極上にホール輸送層を積層し、その上に少なくとも発光層、電子輸送層、上部電極を積層してなる有機発光素子の製造方法において、
ホール輸送層を積層する前に、下部電極の表面にホール輸送材料を溶解しうる溶媒を接触させることを特徴とする有機発光素子の製造方法。
【0014】
〔解決手段2〕 溶媒を接触させる手段が、スピンナー法、インクジェット法、スプレー法、溶媒の蒸気雰囲気に基板を配置する方法のいずれかであることを特徴とする解決手段1に記載の有機発光素子の製造方法。
【0015】
〔解決手段3〕 下部電極の表面に溶媒を接触させて乾燥後、連続してホール輸送層を積層することを特徴とする解決手段1または2に記載の有機発光素子の製造方法。
【0016】
〔解決手段4〕 ホール輸送材料を溶解しうる溶媒が、芳香族炭化水素類、ケトン類、またはハロゲン化炭化水素類であることを特徴とする解決手段1から3のいずれかに記載の有機発光素子の製造方法。
【0017】
〔解決手段5〕 ホール輸送材料が、ポリビニルカルバゾール、カルバゾール、または下記の〔化1〕で示されるトリアリールアミン化合物であることを特徴とする解決手段1から4のいずれかに記載の有機発光素子の製造方法。
【0018】
【化1】
Figure 2004146291
【0019】
〔解決手段6〕 下部電極が、金属または酸化物導電体により形成されていることを特徴とする解決手段1から5のいずれかに記載の有機発光素子の製造方法。
【0020】
〔解決手段7〕 基板上に複数の下部電極を形成し、各下部電極上にホール輸送層を積層し、その上に少なくとも発光層、電子輸送層、上部電極を積層して、基板上に複数の有機発光素子が配列されてなる素子基板の製造方法において、
基板上の有機発光素子間の少なくとも一部に素子分離膜を有し、ホール輸送層の形成前に、下部電極の表面に、ホール輸送材料を溶解し、かつ素子分離膜を溶解しえない溶媒を接触させることを特徴とする素子基板の製造方法。
【0021】
〔解決手段8〕 前記素子分離膜がポリイミドにより形成されることを特徴とする解決手段7に記載の素子基板の製造方法。
【0022】
〔解決手段9〕 溶媒を接触させる手段が、スピンナー法、インクジェット法、スプレー法、溶媒の蒸気雰囲気に基板を配置する方法のいずれかであることを特徴とする解決手段7または8に記載の素子基板の製造方法。
【0023】
〔解決手段10〕 下部電極の表面に溶媒を接触させて乾燥後、連続してホール輸送層を積層することを特徴とする解決手段7から9のいずれかに記載の素子基板の製造方法。
【0024】
〔解決手段11〕 ホール輸送材料を溶解し、かつ素子分離膜を溶解しえない溶媒が、芳香族炭化水素類、ケトン類、またはハロゲン化炭化水素類であることを特徴とする解決手段7から10のいずれかに記載の素子基板の製造方法。
【0025】
〔解決手段12〕 ホール輸送材料が、ポリビニルカルバゾール、カルバゾール、または下記の〔化1〕で示されるトリアリールアミン化合物であることを特徴とする解決手段7から11のいずれかに記載の素子基板の製造方法。
【0026】
【化2】
Figure 2004146291
【0027】
〔解決手段13〕 下部電極が、金属または酸化物導電体により形成されていることを特徴とする解決手段7から12のいずれかに記載の素子基板の製造方法。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明するが、本発明は本実施形態に限るものではない。
【0029】
本発明に係る有機発光素子の製造方法は、基板上に下部電極を形成し、該下部電極上にホール輸送層を積層し、その上に少なくとも発光層、電子輸送層、上部電極を積層してなる有機発光素子の製造方法において、ホール輸送層の形成前に、下部電極の表面にホール輸送材料を溶解しうる溶媒を接触させることを特徴とする。
【0030】
本発明者が鋭意検討の結果、ホール輸送層の形成前に、下部電極の表面にホール輸送材料を溶解しうる溶媒を接触させることにより、素子効率を向上させ、ダークスポットの発生を抑制し得ることを見出した。また、基板洗浄等の処理や、表面処理でUV露光やOプラズマ処理を行った電極を有する基板に対しても、有効であることを見出した。このため、ホール輸送層の形成直前に、下部電極の表面にホール輸送材料を溶解しうる溶媒を接触させることにより、基板表面とホール輸送層との密着性が改善されているものと考えられる。
【0031】
ホール輸送材料を溶解しうる溶媒は、室温で直ぐに乾燥する液剤であることが望ましい。乾燥し難い溶媒は、ブロー等で除去できない付着ごみを発生させる可能性が高くなり、しばしば短絡や劣化等の素子不良を引き起こしてしまう。
【0032】
また、接触処理を行ってから、ホール輸送層を形成するまでの時間は、長くなると効果が低減する。これは、付着した溶媒の一部の乾燥が促進することや、保持雰囲気のガスによる吸着反応やごみの付着が起こるためと考えられる。本発明において、下部電極の表面に溶媒を接触させてからホール輸送層の積層を開始するまでの時間は、概ね12時間以内ならば効果が得られるが、好適には5時間以内、最適には2時間以内であることが望ましい。
【0033】
溶媒に接触させる手段としては、スピンナーによる塗布、インクジェットによる塗布、スプレー法、溶媒を超音波振動子で振動させて発生する蒸気に接触させる等の方法が適用できる。これらの方法を用いることにより、瞬時に溶媒を気化させて除去することが可能であり、ごみの付着が抑えられる。
【0034】
溶媒の乾燥温度は、溶媒の種類にもよるが、概ね50℃以下で効果が得られるが、好適には室温での乾燥が望ましい。これは、温度を上げることにより溶媒の表面からの脱離が加速されるとともに、雰囲気中のガスとの反応が促進されることが考えられる。
【0035】
また、溶媒としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、アセトンやメチルエチルケトン等のケトン類、1,2−ジクロルエタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類が好適であるが、ホール輸送材料を溶解しうる溶媒であれば適用可能である。
【0036】
ホール輸送層としては、各種のホール輸送性の材料であれば各種の材料を選択することが可能であり、ポリビニルカルバゾール(polyvinylcarbazole(PVCz))、カルバゾール(Carbazole(Cz))、下記の〔化1〕に示すトリアリールアミン化合物等を挙げることができる。
【0037】
【化3】
Figure 2004146291
【0038】
本発明では、基板上に形成した下部電極の表面に上記溶媒を接触させて、該溶媒の乾燥後直ぐにホール輸送層を形成した。ホール輸送層の形成方法としては、蒸着による方法の他、ホール輸送材料を溶媒に溶かした溶液を用いたスピンナー法やインクジェット法も用いることができる。これらの方法においては、予め下部電極の表面に上記溶媒のみを塗布した後に、ホール輸送層を引き続き形成することが可能である。
【0039】
発光層、電子輸送層、上部電極は、真空成膜法を用いて作製することが可能である。発光層、電子輸送層には蒸着法を好適に用いることができ、上部電極には蒸着法またはスパッタ法を好適に用いることができる。
【0040】
発光層としては、例えば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq)をホスト材料として、クマリンをゲスト材料として添加した層を用いることが可能である。電子輸送層としては、AlqやBathocyurophin(BCP)等を用いることができる。
【0041】
また、上部電極材料としては、酸化すず、酸化インジウム、酸化亜鉛およびその化合物や、アルミニウム、金、白金、クロム等の各種の電極材料を用いることができる。また、光の取り出し方向により、光透過性材料または光反射性材料のいずれを適用するかを選択できる。
【0042】
本発明の製造方法で作製した有機発光素子に、下部電極に正電位、上部電極に負電位を印加して駆動させたところ、良好な効率を示し、且つ劣化の少ない有機発光素子が確認できた。
【0043】
また、本発明は、基板上に複数の有機発光素子を配列させて、その間の少なくとも一部に素子分離膜を有する素子基板に対しても適用することができる。素子分離膜は、各発光素子を分離し表示領域を規定することができ、絶縁性酸化物や感光性ポリイミド等の材料を用いて形成することが可能である。素子分離膜が形成された基板を用いる場合には、下部電極の表面に、ホール輸送材料を溶解し、かつ素子分離膜を溶解しえない溶媒を接触させることにより、良好な効率を示し、かつ劣化の少ない素子基板を提供することが可能である。
【0044】
【実施例】
以下、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限るものではない。
【0045】
〔実施例1〕
まず、本発明の実施例1として、ホール輸送材料に上記〔化1〕のトリアリールアミン化合物を用いた有機発光素子を複数有する素子基板について説明する。
【0046】
図1は、実施例1において、下部電極を有する基板上にホール輸送材料を溶解しうる溶媒をスピンナー法により接触させる製造方法を示す説明図である。また、図2は実施例1の製造方法を使用して形成した素子基板の上面図であり、図3は図2のA−A‘線断面を示す模式図である。図1から図3において、1は基板、2は下部電極、3はホール輸送層、4は発光層、5は電子輸送層、6は上部電極、8は下部電極引き出し部およびパッド部、11はスピンナー装置、12は回転ヘッド、13はカバー、14は塗布用ヘッド、15は液滴、26は上部電極形成領域、27は分離膜形成領域である。
【0047】
本実施例においては、基板1の表面の下部電極2にはCr電極を用いた。下部電極は、Crを100nmの厚さにスパッタ法で基板1上に堆積させた後、フォトリソグラフィを用いて所望のパターンに形成したレジストをマスクとして、一部を酸性溶液によりエッチング除去することにより、図2に示した引き出し部およびパッド部8と下部電極2を同時に形成した。下部電極2を形成した基板は、リムーバーでレジストを除去した後、流水洗浄を行い、その後150℃で30分間加熱処理をして十分に乾燥させた。次に、スパッタ装置を用い、マスク法により、分離膜を酸化ケイ素で200nmの厚さに形成した。
【0048】
次に、図1に示したスピンナー法を用いて、下部電極の表面に溶媒を接触させた。本実施例においては、溶媒としてクロロホルムを用い、基板サイズ10mm角当たり1ccの量の液滴を基板上に滴下し、1000rpmで20秒間基板を回転させて、下部電極2の全面に溶媒を接触させた。本実施例では、この処理を室温で行ったが、溶媒は瞬時に乾燥した。
【0049】
引き続き、基板を真空蒸着装置に設置し、1.5時間の真空排気後に、上述のホール輸送材料を用い、マスク法にて分離膜形成領域27のパターン状にホール輸送層3を40nmの厚さに蒸着した。引き続き、共蒸着によりAlqにクマリンを5wt%添加した発光層4を50nmの厚さで形成すると共に、Bphen(バソフェナントロリン)で電子輸送層5を40nmの厚さに形成した。最後に、スパッタ装置を用いて、マスク法にて上部電極形成領域26のパターンに100nmの厚さに上部電極6としてITO電極を形成した。
【0050】
本実施例の素子基板に、下部電極2を陽極として6Vを負荷し、上部電極6を接地して定電圧で駆動させたところ、初期状態で1000cd/mの輝度を示す均一な表示パターンが得られた。また、輝度が半減する寿命は500hrとなり、下部電極の表面に上記溶媒の接触を行わない同構成の素子基板に比べて、効率、寿命とも約25%の改善が得られた。
【0051】
〔実施例2〕
図4は、実施例2のインクジェット法を用いて下部電極の表面に溶媒を接触させる方法を示す説明図である。図4において、1は基板、2は下部電極、7は素子分離膜、41はインクジェットヘッド、42は液滴を示す。
【0052】
本実施例においては、基板1上に駆動用のTFT回路(図示せず)を形成し、下部電極2とTFT回路とを接続させている。また、画素は120×160に分割して形成した。なお、製法は実施例1と同じ方法で下部電極2を形成した。また、素子分離膜7は、感光性ポリイミドを用いてパターン形成しており、その厚みは1.0μmとした。
【0053】
なお、インクジェットヘッド41はXYステージに接続されて、基板1上の下部電極2の上を走査し、順次、液滴41を吐出させることにより、下部電極41の表面にホール輸送材料を溶解し、かつ素子分離膜を溶解しえない溶媒を接触させた。
【0054】
インクジェットでは、ホール輸送材料を溶解し、かつ素子分離膜を溶解しえない溶媒としてトルエンを200平方ミクロンあたり、1nlの塗布量になるように塗布した。引き続き、〔化1〕のトリアリールアミン化合物を3wt%含むトルエン溶液を200平方ミクロンあたり、1nlの塗布量で塗布し、ホール輸送層を形成した。
【0055】
以下、実施例1と同様の工程により各層を形成して素子基板を作製し、上述TFT回路を用いて素子基板を駆動させたところ、実施例1と同等の効果が得られた。
【0056】
〔実施例3〕
図5は、実施例3のスプレー法を用いて下部電極の表面に溶媒を接触させる方法を示す説明図である。図5において、1は基板、2は下部電極、51はスプレーヘッド、52は液滴を示す。溶媒には、1,2−ジクロルエタンを用いた。また、スプレーガスには窒素ガスを用い、ガス圧は0.5kgf/cm、基板1とスプレーヘッド52との先端間距離は20mmに設定して行った。
【0057】
基板1を乗せたステージ(図示せず)を10mm/secの速度で動かすことにより、下部電極2の全面に溶媒を接触させた。また、下部電極2としては、ITO(酸化すず含有酸化インジウム)を用い、ホール輸送層としては、1、2−ジクロロエタンを0.1wt%の分量で溶解したPVCzを、同様にスプレーすることにより下部電極2の全面にホール輸送層を形成した。他の工程は実施例1と同様に作製した。
【0058】
本実施例の素子基板について、下部電極2を陽極として8Vを負荷し、上部電極を接地して定電圧で駆動させたところ、初期状態で800cd/mの輝度を示す均一な表示パターンが得られた。また、輝度が半減する寿命は400hrとなり、下部電極の表面に上記溶媒の接触を行わない同構成の素子基板に比べて、効率、寿命とも約20%の改善が得られた。
【0059】
〔実施例4〕
図6および図7は、実施例4の溶媒蒸気を用いて下部電極の表面に溶媒を接触させる方法を示している。図6において、61は基板、62は溶媒、63は溶媒容器、64は超音波振動子、65は基板容器を示す。また、図7において、71は基板、72は導入管、73は溶媒容器、74は溶媒、75は輸送管、76は排気管、77は基板容器である。
【0060】
本実施例において、ホール層材料を溶解しうる溶媒にはトルエンを用いた。図6は、超音波振動子を用いて、トルエン蒸気を積極的に発生させる方法の説明図であり、トルエンを入れた溶媒容器73を超音波振動子64で振動させることにより、蒸気を基板容器63の中に発生させて基板61の下部電極(図示せず)の表面に溶媒蒸気を接触させた。本実施例において、接触時間は90secとした。
【0061】
なお、本実施例においては、蒸気の発生速度を早めるために超音波振動子を使用したが、蒸気圧の高い溶媒では、超音波振動子を用いなくても同様の効果を得ることが可能である。また、溶媒を加熱することにより積極的に蒸気を発生させることも可能である。
【0062】
図7は、実施例4において、蒸気をキャリアガスによって運ぶことにより下部電極の表面に溶媒を接触させる方法を示す説明図である。図7において、導入管72から窒素ガスを1SCCMの流量で溶媒容器73のトルエン溶媒74にバブリングして、トルエンを含む蒸気を導入管72から基板71を配置した溶媒容器73内へ導入する。基板71は、トルエンを含有する窒素ガスに晒されることにより、下部電極(図示せず)の表面がトルエンに接触する。溶媒ガスは排気管76より、外部に排気されるが、ポンプを設けて循環させることも可能である。
【0063】
本実施例において下部電極の表面に上記溶媒を接触させた基板を用いて実施例1と同様の方法で素子基板を作製し、駆動させたところ、実施例1と同様の効果が得られた。
【0064】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、下部電極とホール輸送層との密着性を向上させ、高効率を有し、劣化の少ない有機発光素子の作製が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1において、下部電極を有する基板上にホール輸送材料を溶解しうる溶媒をスピンナー法により接触させる製造方法を示す説明図である。
【図2】実施例1の製造方法を使用して形成した素子基板の上面図である。
【図3】図2のA−A‘線断面を示す模式図である。
【図4】実施例2のインクジェット法を用いて下部電極の表面に溶媒を接触させる方法を示す説明図である。
【図5】実施例3のスプレー法を用いて下部電極の表面に溶媒を接触させる方法を示す説明図である。
【図6】実施例4において、超音波振動子を用いて、トルエン蒸気を積極的に発生させる方法の説明図である。
【図7】実施例4において、蒸気をキャリアガスによって運ぶことにより下部電極の表面に溶媒を接触させる方法を示す説明図である。
【図8】従来の有機発光素子の縦断面を示す模式図である。
【符号の説明】
1 基板
2 下部電極
3 ホール輸送層
4 発光層
5 電子輸送層
6 上部電極
7 素子分離膜
8 下部電極引き出し部およびパッド部
11 スピンナー装置
12 回転ヘッド
13 カバー
14 塗布用ヘッド
15 液滴
26 上部電極形成領域
27 分離膜形成領域
41 インクジェットヘッド
42 液滴
51 スプレーヘッド
52 液滴
61 基板、
62 溶媒
63 溶媒容器
64 超音波振動子
65 基板容器
71 基板
72 導入管
73 溶媒容器
74 溶媒
75 輸送管
76 排気管
77 基板容器
81 基板
82 下部電極、
83 ホール輸送層
84 発光層
85 電子輸送層
86 上部電極

Claims (1)

  1. 基板上に下部電極を形成し、該下部電極上にホール輸送層を積層し、その上に少なくとも発光層、電子輸送層、上部電極を積層してなる有機発光素子の製造方法において、
    ホール輸送層を積層する前に、下部電極の表面にホール輸送材料を溶解しうる溶媒を接触させることを特徴とする有機発光素子の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2005353502A (ja) * 2004-06-11 2005-12-22 Japan Science & Technology Agency 有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法
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