JP2004143614A - 靴下移し装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】編針シリンダ16の各編針18を受ける編針ガイドリング24の外径を編針シリンダ16の針溝底部17aにより形成される円より小径とし、移しビット4の先端面4aを編針シリンダ16の針溝底部17aにより形成される円より半径方向内側に位置させ、移しビット4の上面と編針ガイドリング24の下面で編成された靴下のつま先部を挟持する。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、靴下編機で編成されたつま先開口の靴下を靴下編機から取り出してミシン機に送る靴下移し装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、靴下は、靴下編機により、口ゴム部、脚部、踵部、足部、つま先部の順に編成され、靴下編機から取り出される。
【0003】
靴下編機から取り出された靴下は、作業員が手作業により裏返し、裏返したつま先開口部をミシン機を用いて手動で縫い合わされることで完成品とされるが、裏返した靴下のつま先開口部をミシン機を用いて縫い合わせる作業を手動で行うことは作業員にとって多大の労力と時間を必要とする。
【0004】
靴下編機で編成されたつま先開口の靴下を裏返して靴下編機から取り出し隣接したミシン機に自動的に移送し、靴下ののつま先開口部をミシン機により縫い合わせることで、作業員の労力と時間を軽減し生産能率を高めるようにした靴下のつま先縫製装置が開発されている(特許文献1参照)。
【0005】
上記靴下のつま先縫製装置100は、図13に示すように、靴下編機101の上方に配置され、靴下編機101で編成されたつま先開口の靴下102を反転して受け取る靴下移し装置103と図示しないミシン機とを有する。
【0006】
上記靴下移し装置103は、円形配置される複数の移し針移動台104を有する移し針移動台ユニット105と、各移し針移動台104に列設された複数の移し針106と、外周面に移し針の先端部を受ける複数の溝107を有する移し針ガイドリング108と、移し針ガイドリング108の内側に配置されたつま先開口の靴下102を裏返すための吸引手段109と、靴下編機101の編針シリンダ110の内側に放射状に配置された複数の移しビット111と、編針シリンダ110の内側に配置されたつま先開口の靴下102を引き下げるための生地下げパイプ112とを有する。
【0007】
上記各移し針106は、図14および図15に示すように、下向きL字状に屈曲した片により形成され、先端に開閉自在の環状の針先113と長手方向中間にパット114を有する。
【0008】
靴下編機101の編針シリンダ110の内側に配置された移しビット111は、上昇した位置で靴下102のつま先部の開口端のループを編針シリンダ110の上側に位置するシンカー115の爪から外すとともに編針シリンダ110の編針116から移し針106に移す。
【0009】
靴下編機101の編針シリンダ110の内側に放射状に配置された移しビット111は、図16に示すように、シンカー115を保持するシンカーベース117の下側の下がった位置では、その先端面111aが編針116のフック部116aより半径方向外方に突出している。
【0010】
【技術文献1】
特開2002−288386号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上記靴下移し装置は、移しビットがシンカーベースの下側の下がった位置で編針のフックより半径方向外方に突出しているので、上昇した位置で靴下のつま先部の開口端のループを編針シリンダの上側に位置するシンカーの爪から外し編針シリンダの編針から移し針に移す際に移しビットと移し針が干渉し、移し針を変形させ、編針から移し針に移行したループを大きくしたり、ループを形成する糸を切断することがあり、次に続くミシン機で靴下のつま先開口部を縫い合わせる時に、つま先開口部を確実に縫い合わせことができず、靴下の不良品を作ってしまう。
また、上記靴下移し装置は、特に、靴下のつま先部の膨らみが編地にあり部分的に編地がゆるんでいる場合、編針のループを移し針に安定した状態で移行させることができず、次に続くミシン機で靴下のつま先開口部を縫い合わせる時に、編地の縫い合わせ部のループの大きさの変動等によりつま先開口部を確実に縫い合わせことができず、靴下の不良品を作ってしまう。
【0012】
本発明は、上記した点を考慮してなされたもので、移しビットと移し針の干渉をなくし、編針のループを安定して移し針に移動させることができる靴下移し装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明による靴下移し装置は、複数の移し針移動台を有し靴下編機の上方に配置された移し針移動台ユニットと、各移し針移動台に列設された複数の移し針と、移し針移動台ユニットの内側に配置されたガイドリングホルダと、ガイドリングホルダの外側に配置され各移し針の先端部を受ける移し針ガイドリングと、ガイドリングホルダの下端に取り付けられ編針シリンダの各編針を受ける編針ガイドリングと、編針シリンダの内側に配置された移しビットとを有し、編針ガイドリングは、外径が編針シリンダの針溝底部により形成される円より小径であり、移しビットは、先端面が編針シリンダの針溝底部により形成される円より半径方向内側に位置し、移しビットの上面と編針ガイドリングの下面で編成された靴下のつま先部を挟持したことで、移しビットと移し針の干渉をなくし、編成された靴下のループを編針から移し針に安定して移動させることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
図1は本発明による靴下移し装置1を靴下編機2に組み込んだ状態を示す図である。靴下移し装置1は、靴下編機2で編成されたつま先開口の靴下3を靴下編機2に配置された移しビット4を介して靴下編機2から取り出し、図示しないミシン機に移送する。
【0015】
靴下移し装置1は、図1および図2に示すように、円筒部5を有するベースプレート6と、ベースプレート6の下面に配置された移し針移動台ユニット7とを有する。
【0016】
ベースプレート6は、靴下編機2の枠体8に立設された支柱9に水平面内で回動自在に支持され、エアシリンダ10により支柱9に沿って上下動するとともに、図示しないエアシリンダまたはモータにより支柱9を中心に水平面内で回動する。
【0017】
移し針移動台ユニット7は、互いに連結された複数の移し針移動台11を有する。複数の移し針移動台11は、靴下編機2の直上に位置する円形配置と靴下編機2から離れて向かい合う2組の直線配列に移動する。
【0018】
各移し針移動台11は、図2に示すように、上部ブロック12と下部ホルダー13とを有する。下部ホルダー13に前後方向に延びる複数の溝14が列設されている。下部ホルダー13に設けた各溝14に移し針15が移動可能に配置されている。各移し針15は、カム部材16を介してエアシリンダ17により溝14に沿って下部ホルダー13の端面より突出するように動かされる。この移し針15の形状は、図14および図15に示す移し針106と同一構造である。
【0019】
ベースプレート6の円筒部5の内部には、図2に示すように、同心に内側から順に吸引パイプ19,ガイドリングホルダ20および移し針ガイドリング21が上下動自在に配置されている。移し針ガイドリング21には、図3に示すように、外周面全域に移し針15の先端部15aを受ける複数の溝21aが上下方向に形成されている。図1に示すように、ガイドリングホルダ20は、エアシリンダ22により上下動され、移し針ガイドリング21は、エアシリンダ23により上下動される。
【0020】
ガイドリングホルダ19の下端には、図2および図3に示すように、外径を編針シリンダ16の編針18の針溝17の底部17aにより形成される円より小径とした編針ガイドリング24が取り付けられている。編針ガイドリング24の外周面に編針シリンダ16の針溝17に列設された編針18を受ける複数の溝25が上下方向に延びるように形成されている。編針ガイドリング24の下面に編針ガイドリング24と同心に環状弾性体24aが取り付けられている。環状弾性体24aの下面には凹凸面が形成されている。環状弾性体24aは、移しビット4と編針ガイドリング24との間の挟持を安定し移しビットの破損を防ぐように作用する。
【0021】
吸引パイプ18は、図1に示すように、可撓パイプ26を介して図示しない空気吸引装置に連結され、空気吸引装置の作動により発生する吸引力により靴下編機2で編成されたつま先開口の靴下3を上方に吸引する。また、靴下編機2の編針シリンダ16の内側に配置された生地下げパイプ29にはエアシリンダ30が連結されている。生地下げパイプ29は、エアシリンダ30の作動により編針シリンダ16の内部を上昇して靴下編機2で編成されたつま先開口の靴下3を反転する。
【0022】
靴下編機2に放射状に配置された移しビット4は、図3に示すように、先端部が厚くなるように長手方向と直交する方向に曲げられ広幅のループ支持部4aを形成している。また、移しビット4の先端面4aは、編針シリンダ16の針溝底部17aにより形成される円より半径方向内側に位置している。そのため、移しビット4が編針シリンダ16の上方に移動しても、移しビット4が移し針移動台11に設けた移し針15と干渉することはない。
【0023】
編針シリンダ16の内側に放射状に配置された移しビット4は、図4に示すように、その先端面4aが編針18の針背部18aより半径方向内側に位置しているので、移しビット4は、移し針15の干渉なしに、移しビット4の上面と編針ガイドリング24の下面で編成された靴下3のつま先部を挟持する。そのため、靴下編機で編成された靴下3のつま先部のループは、上昇する移しビット4が移し針15に当たることなく編針18から移し針15に安定して移動し、移しビットの接触部でループが大きくなったりループの糸切れが発生しない。
【0024】
つぎに、本発明の靴下移し装置の作用を説明する。
靴下編機2によるつま先開口の靴下3の編成が行われている段階では、靴下移し装置1は、靴下編機2の直上位置から離れた位置にある。靴下編機2による靴下3の編み上げが終了すると、靴下移し装置1は、図1に示すように、支柱9を中心に回動して靴下編機2の直上位置に停止する。
【0025】
靴下移し装置1は、靴下編機2の直上位置に停止した段階では、ガイドリングホルダ20および移し針ガイドリング21は、それぞれ下端がベースプレート6の下面よりも下方に位置している。
【0026】
また、靴下移し装置1の複数の移し針移動台11は、靴下編機2に対して円形に配置されている。各移し針移動台11に配置された移し針14は、移し針移動台11の先端面から突出しない位置にあり、移し針14の針先と靴下編機2の編針18の上端の間に所定の間隔が保たれている。
【0027】
靴下編機2による靴下3の編み上げが終了すると、編針シリンダ16が定位置に止められ、編針シリンダ16の編針18は、上昇したクリヤー位置に揃えられる。この状態では、図5に示すように、靴下3は、生地下げパイプ29に連結された吸引装置による吸引で編針シリンダ16内に引き下げられており、靴下3のつま先部分のループは、編針18のラッチから外れ、シンカー31の位置にまで下がっている。
【0028】
この状態において、移しビット4を一段階上昇させ、靴下編機2の編針シリンダ16を一回転させ、吸引装置による吸引を止め、編針シリンダ16を続いて一回転させると、靴下3のつま先部分のループは、図6に示すように、移しビット4の上昇に伴って、シンカー31の基部からシンカー31の爪31aの上に移動する。上昇した移しビット4は、つま先部分のループをシンカー31の爪31aの上に移した後、その位置を維持する。
【0029】
つぎに、靴下編機2の直上に位置する靴下移し装置1を図7に示す移し位置まで下げ、移し針移動台11に配置された移し針15の針先を靴下編機2の編針18のフックと同じ水平高さに位置させる。.
【0030】
ついで、吸引パイプ19,ガイドリングホルダ20、移し針ガイドリング21および編針ガイドリング24を下降させる。編針ガイドリング24は、下降位置において溝25に編針シリンダ16から上方に突き出ている編針18の背部18aを受ける。これにより、編針シリンダ16から上方に突出する編針18は、周方向に移動することなく安定した位置を維持する。また、移し針ガイドリング21の下部に設けた溝21aは移し針15の高さ位置にあり、移し針15をエアシリンダー17により前進させることで移し針15の先端は移し針ガイドリング21の溝21aに入れられる。
【0031】
つぎに、移しビット4を、図8に示すように、移し針15に靴下3のループが入る高さにまで上昇させる。移し針ビット4の上昇により、靴下3のつま先部分は、移しビット4の上面と編針ガイドリング24の下面との間で挟持される。
【0032】
さらに、移しビット4を、図9に示すように、移し針24に靴下3のループが完全に入る高さにまで上昇させ、ガイドリングホルダ20および移し針ガイドリング21を移しビット4の上昇に対応して上昇させる。これにより、靴下3のループの編針18から移し針15への移行が完了する。
【0033】
つぎに、吸引パイプ19の吸引装置を作動させるとともに、生地下げパイプ29を、図10に示すように、エアシリンダ30の作動により編針シリンダ16の内部を上昇させる。これにより、生地下げパイプ29は、吸引パイプ19に作用する吸引力と協同して靴下編機2で編成されたつま先開口の靴下3を反転させる。靴下編機2で編成された靴下3は、裏返し状態で靴下編機2から靴下移し装置1に移る。
【0034】
靴下編機2で編成された靴下3が靴下編機2から靴下移し装置1に移行したら、図11に示すように、靴下移し装置1を下降位置から上昇位置に移動させるとともに、靴下編機2に設けられた移し針ビット4および生地下げパイプ29を初期の位置に戻す。
【0035】
つま先開口の靴下3を受け取った靴下移し装置1は、靴下編機2から離なれる方向に回動し、靴下移し装置1に保持されたつま先開口の靴下3をミシン機に送り、ミシン機で靴下のつま先開口部を縫い合わせることで靴下の完成品となる。なお、上記発明の実施の形態では、つま先開口の靴下3の反転を靴下編機2から靴下移し装置1に移行した後に行ったが、つま先開口の靴下3の反転を、靴下3のつま先部のループを靴下編機2から靴下移し装置1に移行する前に行ってもよい。
【0036】
また、編針ガイドリング24の下面に設けた環状弾性体24aは、全体として環状を形成するものであれば断続した形状であってもよい。
【0037】
図12は本発明の他の実施の形態を示す。図12に示す実施の形態においては、移しビット40は、外径を編針シリンダ16の針溝底部17aまたは編針18の背部18aにより形成される円より小径のパイプ41の端面42にシンカー31が通る溝43を設けることで形成される。
【0038】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、編針シリンダより上方に突出する編針を保持する編針ガイドリングを設け、編針ガイドリングの外径を編針シリンダの針溝底部により形成される円より小径とし、移しビットの先端面を編針シリンダの針溝底部により形成される円より半径方向内側に位置させたことで、編成された靴下のつま先部は、移しビットの上面と編針ガイドリングの下面で挟持され、移しビットが移し針と干渉することなく、編針のループを安定して移し針に移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による靴下移し装置を靴下編機に組み込んだ状態を示す図。
【図2】本発明による靴下移し装置の主要部分の拡大図。
【図3】本発明による靴下移し装置の主要部分の分解斜視図。
【図4】本発明による移しビットと編針との関係位置を示す図。
【図5】本発明による移しビットを組み込んだ靴下編機で靴下を編成した段階を示す図。
【図6】図5に示す靴下編機で移しビットを上昇した段階を示す図。
【図7】本発明による靴下移し装置を図6に示す靴下編機に対して下降した位置を示す図。
【図8】図7に示す靴下移し装置に対して図7に示す移しビットをさらに上昇した段階を示す図。
【図9】図8に示す靴下移し装置および移しビットをそれぞれ上昇した段階を示す図。
【図10】図9に示す靴下移し装置に対して靴下編機で編成された靴下を反転する段階を示す図。
【図11】図10に示す靴下移し装置を上昇させるとともに、移しビットを下降させた段階を示す図。
【図12】本発明による移しビットの他の実施の形態を示す図。
【図13】従来の靴下移し装置を靴下編機に組み込んだ状態を示す図。
【図14】移し針の側面図。
【図15】移し針の正面図。
【図16】従来の靴下移し装置の移しビットと編針との関係位置を示す図。
【符号の説明】
1 靴下移し装置
2 靴下編機
4 移しビット
15 移し針
16 編針シリンダ
17 針溝
17a 針溝底部
24 編針ガイドリング
24a 弾性体
25 溝
Claims (4)
- 靴下編機で編成されたつま先開口の靴下を靴下編機から取り出しミシン機に送る靴下移し装置において、前記靴下移し装置は、複数の移し針移動台を有し靴下編機の上方に配置された移し針移動台ユニットと、各移し針移動台に列設された複数の移し針と、移し針移動台ユニットの内側に配置されたガイドリングホルダと、ガイドリングホルダの外側に配置され各移し針の先端部を受ける移し針ガイドリングと、ガイドリングホルダの下端に取り付けられ編針シリンダの各編針を受ける編針ガイドリングと、編針シリンダの内側に配置された移しビットとを有し、編針ガイドリングは、外径が編針シリンダの針溝底部により形成される円より小径であり、移しビットは、先端面が編針シリンダの針溝底部により形成される円より半径方向内側に位置し、移しビットの上面と編針ガイドリングの下面で編成された靴下のつま先部を挟持したことを特徴とする靴下移し装置。
- 移しビットは、先端部が横方向に曲げられていることを特徴とする請求項1に記載の靴下移し装置。
- 移しビットは、外径を編針シリンダの針溝底部により形成される円より小径のパイプの端面にシンカーが通る溝を設けることで形成されることを特徴とする請求項1に記載の靴下移し装置。
- 編針ガイドリングの下面に弾性体を配置したことを特徴とする請求項1に記載の靴下移し装置。
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