JP2004143443A - 親水性コーティング組成物およびそれを用いた結露水抑制剤と抑制方法 - Google Patents

親水性コーティング組成物およびそれを用いた結露水抑制剤と抑制方法 Download PDF

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Abstract

【課題】既設の基材表面に簡単にかつ手軽に施工でき、特に施工後の塗膜の透明性、塗布基材の外観が格段に優れ、効果発現後の結露水制御による視界確保性、防曇性、耐久性、長期貯蔵安定性も優れている親水性コーティング組成物およびそれを用いた結露水抑制剤を提供する。
【解決手段】
(A)天然水溶性増粘多糖類、(B)親水性金属酸化物粒子、(C)非イオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性イオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤、(D)溶剤、を含有してなる親水性コーティング組成物およびそれを用いた結露水抑制剤。
【選択図】なし

Description

 本発明はコーティング樹脂組成物およびそれを用いた結露水抑制剤に関するものである。更に詳しく言えば、本発明は、施工者が既設の基材表面に簡単にかつ手軽に施工でき、特に施工後の塗膜の透明性、塗布基材の外観が格段に優れ、効果発現後の結露水制御による視界確保性、防曇性、耐久性、長期貯蔵安定性も優れている親水性コーティング組成物およびそれを用いた結露水抑制剤と抑制方法に関するものである。
 結露とは、冷えたものの表面に水分を含む暖かい空気が触れ、水滴となって付着する現象である。例えば、氷水が入ったガラスコップを室内に放置しておくと、しばらくして表面に水滴が付着し始める。これは、コップ表面付近の空気が冷却され飽和蒸気圧が低下し、過飽和分の水蒸気分子が凝縮してコップ表面に付着し水滴へと成長するためである。
 また、結露は室内外温度差の激しい冬期間や、湿度が高い梅雨時などに窓ガラスの室内側に生じる。これらの水滴が成長して、重力により下方に流下してガラス下部の窓枠やレール部に水が溜まると、汚れが溜まったりレール部を腐食したりする。さらにガラスやサッシの汚れの原因にもなる。また水分が原因となり細菌やカビなどが繁殖する場合がある。近年問題視されている家屋内におけるハウスダストや細菌によるアレルギーがあるが、このように繁殖した細菌やカビなどもその原因の一つである。
 結露による曇りおよび水垂れを防ぐ方法はこれまで多数検討されてきた。例えば、水垂れの物理的な対策として、ガラス下部やサッシのレール部、あるいは床面に溜まった水滴を、その都度、雑巾などで拭き取るなどして対応していた。また、そのような手間を省くために、窓ガラスのサッシのレール部に、垂れ落ちた水滴の排出路を設ける方法が提案されていた(例えば、特許文献1参照)。また、サッシ枠の下端部に吸水テープを貼付し、垂れ落ちた水滴を吸収するようにする方法等が提案されていた(例えば、特許文献2参照)。
 しかし、これらの方法では、結露水が多量に発生した場合に対応しきれなかったり、また吸水テープが結果的に菌や黴の繁殖を助長する温床となることもあった。
 曇り、水垂れの化学的な対策として、原因となる水滴の生成は基材と水との界面化学的な要因に基づくとの観点から、基材表面の濡れ性を改良する処理液が提案されている。例えば硬質材料表面にアニオン、カチオン、ノニオン系等の界面活性剤を塗布して表面を親水化させ結露水の発生を抑制する方法などがあった。
 しかしこの方法では、塗布した後の外観は塗布していない場合と変わりは無いが、十分な結露水抑制効果は得られず、また結露水抑制効果も一過性のものであり、発生した水滴によって界面活性剤自体が流れ落ちてしまい結露水抑制効果が数日で消失してしまうという課題があった。
 また、従来、硬質材料表面にコロイダルシリカ、変性ポリビニルアルコール、界面活性剤を配合した処理液を塗布し、窓ガラス等の表面を親水化させ結露水を制御する方法が提案されていた(例えば、特許文献3参照)。また、変性シリコーンオイルと界面活性剤を水性分散媒中に含んでなる処理液を塗布し窓ガラス表面を極度に撥水化させ結露の成長を抑制することが提案されていた(例えば、特許文献4参照)。
 しかし、これらのうち表面を親水化させる方法は、親水性を十分に出そうとするあまり、コロイダルシリカ等の固形分を過剰に入れてしまい、結果として分厚い塗膜になり、塗布乾燥後白い筋や粒子跡が残り、塗布後の表面の外観および結露水が乾燥した後の外観がすこぶる悪いという課題があった。さらに、ポリビニルアルコール等の合成系の有機高分子は、親水性に関しては必ずしも良好でないため、さらに親水性を改善することが必要であった。
 また表面を撥水化させる方法もシリコーンオイルを含んだ処理液を塗布するため、基材表面上で処理液が弾かれ、乾燥後円状の乾燥跡が残り、塗布後の表面の外観および結露水が乾燥した後の外観がすこぶる悪く、さらには結露が発生するとすぐに、塗布した表面などが曇って視界が全く無くなるという課題があった。
 また、硬質材料表面にコロイダルシリカ、水溶性セルロース(メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース)を配合した処理液を塗布し、窓ガラス等の表面を親水化させ防曇する方法が提案されている(例えば、特許文献5参照)。
 この場合、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロースなどの水溶性セルロースを使用するため、溶液のpH変化に対して不安定であり、一般に処理剤をpH7.5〜8.0の狭い範囲に設定しなければならないと言われている。この範囲からpHがずれると、水不溶性の酸を生じたり、酸素による解重合が起こったりして、粘性低下につながり、基材表面へ塗布する際に弾きが発生したり、初期接触角が上昇したり、耐久性が悪くなる。また長期貯蔵安定性を確保することも難しくなるという課題があった。
特開昭58−24083号公報 実開昭56−104935号公報 特開2002−80832号公報 特開平8−188725号公報 特開2000−154374号公報
 本発明では、施工者が既設の基材表面に簡単にかつ手軽に施工でき、特に施工後の塗膜の透明性、塗布基材の外観が格段に優れ、効果発現後の結露水制御による視界確保性、防曇性、耐久性も優れている親水性コーティング組成物およびそれを用いた結露水抑制剤を提供することを目的とする。
 本発明は、上記課題を解決するために天然水溶性増粘多糖類と親水性金属酸化物粒子と界面活性剤と溶媒とを含有してなる親水性コーティング組成物を提供する。
 天然水溶性増粘多糖類は極めて高いシュードプラスティック性を有し、少ない添加量で高い粘度を得ることができる。また、温度、酸・アルカリ、溶液のpH変化に対して安定であり、親水性金属酸化物粒子、界面活性剤、溶剤と混合すると、塗布施工後の塗膜の透明性、塗布基材の外観が格段に優れ、効果発現後の結露水制御による視界確保性、防曇性、耐久性、長期貯蔵安定性も有している。本発明はこの知見に基づき完成されるに至ったものである。
 以下、本発明の親水性コーティング組成物および結露水抑制剤と制御方法について詳細に説明する。すなわち本発明の親水性コーティング組成物の好ましい態様においては、
下記の(A)、(B)、(C)および(D)成分
(A)天然水溶性増粘多糖類
(B)親水性金属酸化物粒子
(C)非イオン系界面活性剤(エーテル型界面活性剤、多価アルコール型界面活性剤、エステル型界面活性剤、多価アルコールエステル型界面活性剤、アルカノールアミド型界面活性剤)、アニオン系界面活性剤(脂肪酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩、リン酸エステル塩)、カチオン系界面活性剤(第4級アンモニウム塩型界面活性剤、アミン塩型界面活性剤)、両性イオン系界面活性剤(アミノ酸型界面活性剤、ベタイン型界面活性剤、アミンオキシド型界面活性剤)、フッ素系界面活性剤(パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキルアミノスルホン酸塩、パーフルオロアルキル基含有オリゴマー、パーフルオロアルケニルオキシベンゼンスルホン酸塩、パーフルオロアルケニルオキシベンゼンスルホニルサルコシンナトリウム、パーフルオロアルケニルポリオキシエチレンエーテル、パーフルオロアルケニルオキシベンゼンスルホンアルキルアンモニウムヨージド、パーフルオロアルケニルオキシベンズアミドアルキルアンモニウムヨージド、パーフルオロアルケニルオキシアラルキルベタイン、パーフルオロアルケニルオキシアラルキルホスホン酸、ジグリセリンテトラキス)から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤
(D)溶剤
を含有することを特徴とする。
 本発明に用いられる(A)天然水溶性増粘多糖類は、基材表面を被覆し、皮膜を形成し、耐久性を付与することを目的に使用される。これらは高いシュードプラスティック性を有し、施工後の塗膜の透明性、塗布基材の外観、効果発現後の結露水制御による視界確保性、防曇性、耐久性、長期貯蔵安定性を保有している。
 本発明に用いられる成分(B)親水性金属酸化物粒子は、基材表面を被覆し、親水化することを目的に使用される。
 本発明に用いられる(C)非イオン系界面活性剤(エーテル型界面活性剤、多価アルコール型界面活性剤、エステル型界面活性剤、多価アルコールエステル型界面活性剤、アルカノールアミド型界面活性剤)、アニオン系界面活性剤(脂肪酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩、リン酸エステル塩)、カチオン系界面活性剤(第4級アンモニウム塩型界面活性剤、アミン塩型界面活性剤)、両性イオン系界面活性剤(アミノ酸型界面活性剤、ベタイン型界面活性剤、アミンオキシド型界面活性剤)、フッ素系界面活性剤(パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキルアミノスルホン酸塩、パーフルオロアルキル基含有オリゴマー、パーフルオロアルケニルオキシベンゼンスルホン酸塩、パーフルオロアルケニルオキシベンゼンスルホニルサルコシンナトリウム、パーフルオロアルケニルポリオキシエチレンエーテル、パーフルオロアルケニルオキシベンゼンスルホンアルキルアンモニウムヨージド、パーフルオロアルケニルオキシベンズアミドアルキルアンモニウムヨージド、パーフルオロアルケニルオキシアラルキルベタイン、パーフルオロアルケニルオキシアラルキルホスホン酸、ジグリセリンテトラキス)から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤は、基材表面を被覆し、塗膜形成を補助する目的で配合され、初期親水性に効果を発現し、また、親水性金属酸化物粒子の分散安定性を良好にすることを目的に使用される。
 これらの界面活性剤を用いることによって初期親水性に効果を発現し、塗膜の水に対する接触角を5°以下に保つことができる。
 本発明に用いられる(D)溶剤は蒸発速度が高い親水性溶剤が好ましく、例えば水溶性アルコールと、水との混合溶媒を用いることが出来る。水溶性アルコールとしては、炭素数1〜3のアルコール、すなわち、メタノール、エタノール、変性アルコール、1−プロパノール、2−プロパノールが挙げられる。該アルコールは、単独か、あるいは2種類以上を混合して使用することができる。
 本発明の好ましい態様においては、前記非イオン系界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、アルキルグリコシド、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルから選ばれる少なくとも1種の界面活性剤であることを特徴とする。
 非イオン系界面活性剤を用いることで含有材料の電荷のバランスを配慮する必要がほとんどなく、沈澱などの不具合も起こりにくい。
 本発明の好ましい態様においては、前記アニオン系界面活性剤が、アルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸メチルエステル塩から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤であることを特徴とする。
 アニオン系界面活性剤を用いることで、凝集の原因となる金属酸化物粒子の安定化を図ることができ、コーティング液自体の透明性および塗布乾燥後の外観透明性が非常に優れる。
 アニオン系界面活性剤の中でも特にアルキルエーテル硫酸エステル塩が好ましい。構造中にポリエチレングリコール鎖がはいると水溶性が向上するため、硬質材料の表面上に曇りおよび結露水が発生しても、すぐに水滴が一様に濡れ広がり優れた親水性能を発揮できる。
 本発明の好ましい態様においては、(A)天然水溶性増粘多糖類が、バイオガム種であることを特徴とする。
 本発明に用いられる天然水溶性増粘多糖類は、基材表面を被覆し、皮膜を形成し、耐久性を付与することを目的に使用される。特にバイオガム種は水系に対して、少量添加するだけで優れた増粘効果を有し、溶液のpH変化にも安定である。
 バイオガムとしては、微生物発酵法により発酵プロセスを経て製造される多糖類のバイオガムが好ましく、その具体例としては、キサンタンガム、ウエランガム、ラムザンガム、ジェランガム、その他の発酵ガムが挙げられる。
 本発明の好ましい態様においては、前記バイオガム種が、キサンタンガムであることを特徴とする。キサンタンガムはバイオガム種の中でも特に、親水性コロイドの、増粘、懸濁安定、乳化安定など水分散系を安定にする働きをもっている。また、極めて高いシュードプラスティック性を有し、少ない添加量で高い粘度を得ることができる。また、温度、酸・アルカリ、溶液のpH変化に対して安定である。構造は、下記の一般式で表わされる(式中、M+ はNa、K、1/2 Caを表わし、nは1以上の整数を示す)。
Figure 2004143443
 キサンタンガムを使用した親水性コーティング組成物は、施工後の塗膜の透明性、塗布基材の外観が格段に優れ、効果発現後の結露水制御による視界確保性、防曇性、耐久性および長期貯蔵安定性も優れている。
 本発明の好ましい態様においては、(A)天然水溶性増粘多糖類が、ガラクトマンナンであることを特徴とする。
 ガラクトマンナンは水系に対して、容易に溶解し、少量添加するだけで優れた増粘効果を有し、溶液のpH変化にも安定である。
 ガラクトマンナンの具体例としては、グアーガム、ローカストビーンガム等が挙げられる。ガラクトマンナンの一般的な構造は下記の一般式で表わされる。
Figure 2004143443
 これらの天然水溶性増粘多糖類は、容易に水に溶解するものが多い。水への溶解性が悪いものは、水にエチルアルコールやイソプロピルアルコール等の水溶性アルコールを加えることで容易に溶解させることができる。
 本発明の好ましい態様においては、親水性コーティング組成物は、(B)親水性金属酸化物粒子がシリカおよび/またはシリカで表面を被覆した親水性金属酸化物の粒子であることを特徴とする。このような構成で得られた塗膜は形成初期から長期にわたって優れた防曇性を示す。金属酸化物の表面をシリカで被覆する方法は、公知の技術を利用すれば良く、特に限定されない。
 本発明の好ましい態様においては、(B)親水性金属酸化物粒子の平均径が3〜100nmであることを特徴とする。
 成分(B)の粒子の平均径は通常3〜100nm、好ましくは4〜70nmであり、更に好ましくは5〜50nmである。平均径が上記範囲にあることで、十分な被膜強度が得られ、また塗膜の白濁などの外観不良を有効に防止できる点で好ましい。3nm未満では、皮膜から金属酸化物粒子が流失しやすく、防曇性が長期間持続しない。100nmを超えると金属酸化物粒子の基材との密着性が悪く、皮膜形成初期に防曇効果が発現しない。また、基材表面に固着した金属酸化物が、白色の筋状に析出し、外観不良となりやすい。ここで粒子の平均径は、レーザー回折/散乱法、動的光散乱法等によって測定される。測定には例えば、MalVern Instruments Ltd製の”ZETASIZER 300OHS”を使用することが出来る。
 本発明の好ましい態様においては、(A)天然水溶性増粘多糖類を0.001〜0.2重量%、(B)親水性金属酸化物粒子を0.04〜5重量%、(C)界面活性剤を0.01〜1.0重量%含有することを特徴とする。
 (A)天然水溶性増粘多糖類は、本発明のコーティング剤中に、不揮発分として、0.005〜0.2重量%(以下、単に「%」とする)、特に0.01〜0.1%含有されるのが好ましい。0.005%より少ない場合は、結露水抑制効果が低下するとともに、塗膜強度が弱く長持ちしない。また、0.2%より多い場合は、粘度が高くなりすぎ、膜が厚くなってしまい、透明性が低下する。
 (B)親水性金属酸化物粒子は、本発明のコーティング剤中に、不揮発分として、0.04〜5%、特に0.1〜1%含有されるのが好ましい。0.04%より少ない場合は塗膜が薄くなりすぎて結露水抑制効果が弱くなる。また5%より多い場合は、膜が厚くなってムラになりやすく、塗布後外観が悪くなる。また、上記範囲とすることで、後述する方法での塗布により、光干渉縞のない均一な塗膜が得られる。
 (C)界面活性剤は、本発明のコーティング剤中に0.01%〜1.0%含有されることが好ましく、より好ましくは0.05%〜0.5%である。0.01%より少ない場合は、均一な塗膜形成が難しくなり、また初期親水性能も低下する。1.0%より多い場合は塗膜強度が低下し、結露水抑制効果の持続時間が短くなり、また外観も白化して悪くなる。
 本発明の好ましい態様においては、抗菌剤および/または防カビ剤を含有する親水性コーティング剤を提供する。増粘多糖類にはカビが生えたり、菌が繁殖したりする可能性がある。この可能性は特に溶剤中のアルコール比率が低いときに高まるが、抗菌剤や防カビ剤を添加することで貯蔵安定性を向上させることが出来る。
 抗菌・防カビ剤としては、スルホン酸ナトリウム、イソチアゾリン系、安息香酸系、トリクロ酸系、ブチルパラベン、ヒノキチオール、ヒバ抽出油、10,10−オキシビスフェノキシアルシン、2−(4−チアゾリル)−ベンズイミダゾール、N−(フルオロジクロロメチルチオ)−フタールイミド、2−メチルカルボニールアミノベンツイミダゾール、銀、銅、ゼオライト、銀リン酸ジルコニウム、銀ハイドロアパタイト、銀リン酸塩ガラス、銀リン酸塩セラミックなどが挙げられる。
 本発明の一態様においては、親水性コーティング組成物を結露水の抑制に使う結露水抑制剤を提供する。コーティング組成物を基材に塗布することで、親水性の皮膜を形成し結露水を抑制することができる。ここで結露水の抑制とは、基材表面上の水滴発生を減少させ、水滴の蒸発を促進させ垂れ落ちを防止し、良好な視界を確保することを言う。
 本発明の一態様においては、親水性コーティング組成物を、スプレー付きボトル、または、フェルト付きボトルに入れたか、もしくは布および/または不織布および/または紙に浸透させた結露水抑制剤を提供する。結露が生ずる硬質材料の表面に塗布し、発生する結露を抑制することができる。硬質材料の表面に塗布する方法は特に限定されず、他にタオル、スポンジ等に液剤を含浸させ表面に塗り伸ばして塗布しても良い。これらの方法で適量を塗布した後、乾燥によって塗膜を形成する。乾燥は自然乾燥でも強制乾燥であっても良い。
 本発明の一態様においては、熱圧縮されたポリウレタンフォームスポンジに、親水性コーティング組成物および結露水抑制剤を含浸させて、該スポンジを用いて硬質材料に塗布することができる。
 ポリウレタンフォームを熱圧縮することによって吸水性が向上し、硬質材料に塗布した際液剤が均一に塗布でき、外観が向上する。
 本発明の結露水抑制剤が結露水の発生を抑制する原理は以下の通りと考えられる。すなわち、(A)天然水溶性増粘多糖類と、(B)親水性金属酸化物粒子、(C)界面活性剤、および(D)溶剤を含む結露抑制剤を、硬質材料の表面に塗布し、乾燥させると、硬質材料の表面上に皮膜を形成する。ガラス上に形成された塗膜のヘイズ値は、未塗布のガラスと同程度に低く透明性が高く外観が優れている。形成された塗膜の水に対する接触角は5°以下であり、高度に親水化されているため、硬質材料の表面上に結露水が発生しても、水滴が一様に濡れ広がることで水滴の蒸発が促進され、結露水の発生が減少されるとともに防曇性も付与される。さらに、結露水が親水性表面に保水されることによって成長した水滴の垂れ落ちをも防止する。さらに、親油性成分を含む塵芥を付着させにくい効果も有するので、防汚性も発現する。また、塗膜は耐水性を有するので、水や蒸気に繰り返し曝しても親水性を長期にわたって持続することができる。
 本発明の結露水抑制剤は、天然水溶性増粘多糖類、親水性金属酸化物粒子、界面活性剤、溶剤を含んでなる。これを硬質材料の表面に塗布し、乾燥させると、硬質材料の表面上に皮膜を形成するため、硬質材料の表面上に一旦結露水が発生しても、これが成長すると水滴が一様に濡れ広がり水滴の蒸発が促進され、防曇性も付与され、目立つ水滴の発生が減少されることになる。さらに、結露水が親水性表面に保水されることによって成長した水滴の垂れ落ちをも防止する。さらに、親油性成分を含む塵芥を付着させにくい効果も有するので、防汚性も発現する。また、塗膜は耐水性を有するので、水や蒸気に繰り返し曝しても親水性を長期にわたって持続することができる。
 したがって、本発明の結露水抑制剤は、窓ガラス、窓サッシ、プラスチック基材、鏡、カーウィンドウ、便器の貯水タンク、金属製の戸、配管等の用途に好適に使用することができるものである。
 本発明において利用可能な親水性金属酸化物粒子としては、例えば、Si,Al,Fe,Ti,Zr,Mg,Nb,Ta,W,Sn,Zn,Ceなど金属の酸化物の粒子が挙げられる。親水性金属酸化物は1種類を単独で用いても、複数の混合粒子で用いても良い。また、複数の金属成分の複合酸化物も利用できる。
 親水性金属酸化物粒子は、水を分散媒とした水分散性ゾルや、またはエチルアルコール、イソプロピルアルコールまたはエチレングリコールなどの水溶性溶剤に金属酸化物をコロイド状に分散させたオルガノゾルの形態で利用できる。
 本発明において利用可能なシリカは、水分散性コロイダルシリカや、エチルアルコール、イソプロピルアルコールまたはエチレングリコールなどの親水性溶剤にシリカを分散させたオルガノシリカゾルなどの形態で利用できる。
 (D)溶剤における水溶性アルコール成分と水との配合比は、重量比で、水溶性アルコール/水=50/50〜5/95の範囲であることが好ましい。水がこの範囲よりも少ないと、(A)天然水溶性増粘多糖類が溶解しなくなるので好ましくない。また、水溶性アルコールがこの範囲よりも少ないと、コーティング組成物の濡れ性が悪くなり、塗布時に基材表面ではじかれやすくなるので好ましくない。
 本発明の親水性コーティング組成物は、さらに必要に応じてアルキル基が炭素数1〜3であるプロピレングリコールモノアルキルエーテルを含むことができる。前記プロピレングリコールモノアルキルエーテルは上記アルコールよりも沸点が高いため、レベリング性の向上や蒸発速度の調整を行なうことが可能となる。また、アルキル基の炭素数1〜3とすることによって濡れ性を低下させることなく、透明な塗膜を得ることが可能となる。
 前記プロピレングリコールモノアルキルエーテルの添加量は、0.5〜5.0重量%とするのが好ましい。この範囲内であると、塗布・乾燥時に均一になりやすく、より均一な薄膜が得られるとともに、塗布後の乾燥の時間が適当であり、また、塗膜の強度や耐水性が損なわれない。
 本発明の親水性コーティング組成物は、他の水溶性溶剤を含むことができる。他の水溶性溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類、アセトン、ジメチルケトンなどのケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテル・アセテートなどのエステル類、アセトニトリル、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。
 本発明の親水性コーティング組成物における固形分濃度は、0.05重量%以上とするのが好ましく、より好ましくは0.3〜10.0重量%である。この範囲にすることで、塗膜が厚くなりすぎず、より均一な塗膜が得られる。
 また、本発明の親水性コーティング組成物には必要に応じて、防カビ剤、防腐剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、色素剤等の任意の成分を配合することができる。
 本発明の親水性コーティング組成物の基材表面への塗布方法としては、均一に塗布できる方法を適宜選択して用いることができる。例えば、ローラータッチ法、バーコーター法、スプレー法、刷毛塗り、スポンジ塗り、布、不織布、紙などに含浸させて塗り広げる方法などが挙げられる。
 これらの方法で適量を塗布した後、乾燥によって塗膜を形成する。乾燥は自然乾燥でも強制乾燥であっても良い。
 なお、硬質表面に油汚れや手垢などの疎水的な汚れが付着していると、硬質材料の表面上に結露水抑制剤が均等に塗布できず、結露水抑制効果が十分に発揮されない場合がある。したがって、硬質材料の表面を住居用洗浄剤等などで洗浄して油汚れなどの疎水的な汚れを除去した後に硬質材料の表面に塗布するのが好ましい。
次に実施例を挙げ、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に何ら制約されるものではない。
(実施例1〜4、比較例1〜6:結露水抑制剤の調製)
 エタノール中に水溶性増粘剤もしくは高分子を分散させ、蒸留水で調製した溶媒中に親水性金属酸化物粒子、界面活性剤、溶剤を添加し、攪拌して表1記載の配合に基づいて、実施例1〜4、比較例1〜6の結露水抑制剤を調製した。
 実施例1〜4、比較例1〜6中の不揮発成分の詳細は次の通りである。
 (水溶性増粘剤、高分子)
 キサンタンガム:ケルザン、CPケルコ社製
 グアーガム:和光純薬工業株式会社製
 ヒドロキシエチルセルロース(HEC):チローゼ、クラリアントポリマー株式会社製
 ポリビニルアルコール:平均重合度約2000、和光純薬工業株式会社製
 アミノ変性シリコーンオイル:GE東芝シリコーン株式会社製
 (親水性金属酸化物粒子を含むゾル)
 コロイダルシリカ:スノーテックスコロイダルシリカ、平均粒径10nm、日産化学工業株式会社製
 (界面活性剤)
 ポリオキシエチレンアルキルエーテル:三洋化成工業株式会社製
 ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム塩:三洋化成工業株式会社製
 モノアルキルトリメチルアンモニウムクロライド:ライオン株式会社製
Figure 2004143443
表1記載の配合に基づいて得られた実施例1〜4、比較例1〜6の結露水抑制剤について、以下の評価試験を行なった。結果を表2に示す。
Figure 2004143443
(塗布後外観)
 実施例1〜4および比較品1〜6の結露水抑制剤を、表面をきれいに洗浄した100mm角のガラス板の表面にスポンジでまんべんなく塗布した。常温で溶媒を約5分乾燥させた後、塗膜の外観を目視で観察した。
評価基準(目視)
○:透明な塗膜が得られた
△:やや白濁した
×:白濁した
さらにヘイズもヘイズメータ(ビッグケミージャパン社製)にて測定した。
(親水性)
 塗膜を室温で1時間乾燥させた後、水との接触角を測定した。接触角は接触角計(CX−150、協和界面科学製)を用い、マイクロシリンジから試料表面に水滴を滴下した後、30秒後に測定した。
(効果の持続性)
 次に、水を満たした水槽を冷却装置により5℃に保った状態で温度20℃、湿度70%RHの恒温室内に設置し、水槽外側壁面に結露水抑制剤を塗布したガラス板を、塗布面を表側にして取り付けた。ブランクとして結露水抑制剤を塗布しないガラス板を用いて、同様に取り付けた。
 一般に結露は冬場の夜に発生しやすく、昼間は基材表面が乾燥していることが多い。長期耐久性を評価するため、ガラス表面を2時間5℃に保ち結露が起こり得る状況を作り出し、その後1時間20℃に保ち表面を乾燥させることを1サイクルとして1日分の加速試験とした。このサイクルを繰り返し、長期耐久性を目視にて評価した。
評価基準
○ : ガラス表面に結露水が生じない
△ : ガラス表面に部分的に結露水が生じた。
× : ガラス表面に多量に結露水が生じた。
(長期貯蔵安定性)
 酸性を示す金属酸化物粒子を含むゾルを使用した場合、増粘剤を加えたときの貯蔵安定性を確認した。表1の各結露水抑制剤を作成後、500ccのサンプル瓶に入れ、50℃の恒温槽に3ヶ月間保管し、粘度測定、沈澱生成により長期貯蔵安定性を評価した。
評価基準
○:粘度低下無し
×:粘度低下もしくは沈澱生成
 この結果から明らかなように、実施例1〜4の結露水抑制剤は、透明性の高い外観が得られ、くり返し1ヶ月使用しても結露水が生じないこと、また、溶液の環境変化による安定性が高いことが確認でき、結露水抑制剤として最適であることがわかった。

Claims (13)

  1. 下記の(A)、(B)、(C)および(D)成分を含有する親水性コーティング組成物。
    (A)天然水溶性増粘多糖類
    (B)親水性金属酸化物粒子
    (C)非イオン系界面活性剤(エーテル型界面活性剤、多価アルコール型界面活性剤、エステル型界面活性剤、多価アルコールエステル型界面活性剤、アルカノールアミド型界面活性剤)、アニオン系界面活性剤(脂肪酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩、リン酸エステル塩)、カチオン系界面活性剤(第4級アンモニウム塩型界面活性剤、アミン塩型界面活性剤)、両性イオン系界面活性剤(アミノ酸型界面活性剤、ベタイン型界面活性剤、アミンオキシド型界面活性剤)、フッ素系界面活性剤(パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキルアミノスルホン酸塩、パーフルオロアルキル基含有オリゴマー、パーフルオロアルケニルオキシベンゼンスルホン酸塩、パーフルオロアルケニルオキシベンゼンスルホニルサルコシンナトリウム、パーフルオロアルケニルポリオキシエチレンエーテル、パーフルオロアルケニルオキシベンゼンスルホンアルキルアンモニウムヨージド、パーフルオロアルケニルオキシベンズアミドアルキルアンモニウムヨージド、パーフルオロアルケニルオキシアラルキルベタイン、パーフルオロアルケニルオキシアラルキルホスホン酸、ジグリセリンテトラキス)から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤
    (D)溶剤
  2. 前記非イオン系界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、アルキルグリコシド、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルから選ばれる少なくとも1種の界面活性剤であることを特徴とする請求項1に記載の親水性コーティング組成物。
  3. 前記アニオン系界面活性剤が、アルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸メチルエステル塩から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤であることを特徴とする請求項1に記載の親水性コーティング組成物。
  4. (A)天然水溶性増粘多糖類が、バイオガム種であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の親水性コーティング組成物。
  5. 前記バイオガム種が、キサンタンガムであることを特徴とする請求項4記載の親水性コーティング組成物。
  6. (A)天然水溶性増粘多糖類がガラクトマンナンであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の親水性コーティング組成物。
  7. (B)親水性金属酸化物粒子がシリカおよび/またはシリカで表面を被覆した親水性金属酸化物の粒子であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の親水性コーティング組成物。
  8. (B)親水性金属酸化物粒子の平均径が3〜100nmであることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の親水性コーティング組成物。
  9. (A)天然水溶性増粘多糖類を0.005〜0.2重量%
    (B)水溶性金属酸化物粒子を0.04〜5.0重量%
    (C)界面活性剤を0.01〜1.0重量%
    含有することを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の親水性コーティング組成物。
  10. 抗菌剤および/または防カビ剤を含有することを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の親水性コーティング組成物。
  11. 請求項1から10のいずれかに記載の親水性コーティング組成物を結露水の抑制に用いることを特徴とする結露水抑制剤。
  12. 請求項1から10のいずれかに記載の親水性コーティング組成物を、スプレー付きボトルまたはフェルト付きボトルに入れたか、もしくは布、不織布、または紙に浸透させたことを特徴とする結露水抑制剤。
  13. 熱圧縮されたポリウレタンフォームスポンジに、請求項1から11のいずれかに記載の親水性コーティング組成物および結露水抑制剤を含浸させて、該スポンジを用いて硬質材料に塗布することを特徴とする結露水抑制方法。

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