JP2004143218A - 着色球形状体 - Google Patents
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Abstract
【課題】特定のポリマーを構成成分とする着色球状体を提供することにある。
【解決手段】本発明の着色球形状体は、(A)炭素数4〜20の脂肪族炭化水素基を有する(メタ)アクリレートに由来する構造単位20〜99.99重量%、(B)不飽和カルボン酸に由来する構造単位0.01〜30重量%、並びに(C)前記(メタ)アクリレートおよび不飽和カルボン酸と共重合可能なビニルモノマーに由来する構造単位0〜79.99重量%からなるポリマーを構成成分とする高分子球形状体の少なくとも表面の一部が染色または着色されなることを特徴とする。
【選択図】 なし
【解決手段】本発明の着色球形状体は、(A)炭素数4〜20の脂肪族炭化水素基を有する(メタ)アクリレートに由来する構造単位20〜99.99重量%、(B)不飽和カルボン酸に由来する構造単位0.01〜30重量%、並びに(C)前記(メタ)アクリレートおよび不飽和カルボン酸と共重合可能なビニルモノマーに由来する構造単位0〜79.99重量%からなるポリマーを構成成分とする高分子球形状体の少なくとも表面の一部が染色または着色されなることを特徴とする。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は着色球形状体に関し、さらに詳しくは、標準粒子、免疫診断薬用担体などの分野に使用される着色球形状体に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に標準粒子、免疫診断薬用担体などの分野においては着色した球形状体が用いられる。
【0003】
臨床検査の手段として抗体、抗原などの免疫反応物質または核酸を球形状体に担持させ、特異的反応によって、対応する抗原、抗体、酵素、核酸などの被検査物質を検出する方法は、重要な手段として利用されている。
【0004】
例えば、物理吸着または化学結合により抗体を表面に担持させた球形状体粒子の分散液を調製し、前記抗体に対する抗原を含む検査液を添加すると、高分子球形状体の表面において、抗原−抗体の特異結合による球形状体の表面状態の変化または球形状体間の橋かけが生じて、当該球形状体が凝集する。
【0005】
この球形状体の凝集は、適当なプレートの上で目視で観察できる濁度の変化を目視され、これにより、検査液中の被検査物質(抗原)を半定量することができる。検査結果の視認性および検出感度の向上を図るために、また、球形状体に由来する色または蛍光を標識として利用して生化学物質の測定・検査を行うために、染料や蛍光物質で染色・染着された球形状体が望まれている。しかしながら、診断薬用粒子を構成する球形状体において、染色性・染着性の良好なものは知られておらず経時的に色落ち等の問題があり好ましくなかった。
【0006】
これらの染色・着色された粒子では、カチオン性の染料を使用したり、染料モノマーを重合させることにより直接的に着色した球形状体を得る方法、油溶性の染料を水系分散させてポリマー粒子に吸収させて着色した球形状体を得る方法等を行い色落ちを防ぐようにしてきたが十分でなかった。
【0007】
以上のように着色性が良好であり着色後の色落ちが少ない球形状体を得ることは困難であった。特許文献1に開示された技術では、粒子の組成を変更して染色性を改良している。
【0008】
【特許文献1】
特開2000−088853号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の第1の目的は、特定のポリマーを構成成分とする着色球形状体を提供することにある。
【0010】
本発明の第2の目的は、染料や蛍光物質による染色性・染着性が良好で染色後の色落ちが少なく、視認性に優れた着色球形状体を提供する事にある。
【0011】
【課題を解決する為の手段】
本発明の着色球形状体は、
(A)炭素数4〜20の脂肪族炭化水素基を有する(メタ)アクリレートに由来する構造単位20〜99.99重量%、(B)不飽和カルボン酸に由来する構造単位0.01〜30重量%、並びに(C)前記(メタ)アクリレートおよび不飽和カルボン酸と共重合可能なビニルモノマーに由来する構造単位0〜79.99重量%からなるポリマーを構成成分とする高分子球形状体の少なくとも表面の一部が染色または着色されてなることを特徴とする。
【0012】
本発明の着色球形状体は、下記の態様をとることができる。
【0013】
[1]本発明の着色球形状体において、前記(メタ)アクリレートを構成する脂肪族炭化水素基は、環状構造を有することができる。
【0014】
[2]本発明の着色球形状体は、生化学物質を坦持することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0016】
本発明の着色球形状体に用いられる高分子球状体は、特定(共)重合体(特定共重合体または特定重合体)を構成成分とする。
【0017】
特定(共)重合体を構成する構造単位(A)を得るために使用される(メタ)アクリレート(以下、「単量体(A)」という。)の具体例としては、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、t−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、ペンチルアクリレート、ペンチルメタクリレート、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレートなどの鎖状アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート;シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルエチレングリコールメタクリレート、シクロヘキシルジプロピレングリコールメタクリレートなどの環状脂肪族基を有する(メタ)アクリレート;メチル置換シクロヘキシルアクリレートなどのシクロヘキシル基の水素原子の一部が炭素数1〜4のアルキル基で置換された置換シクロヘキシル(メタ)アクリレートおよびシクロヘキセンジ(メタ)アクリレートなどを挙げることができ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0018】
これらのうち、2−エチルヘキシルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、置換シクロヘキシルアクリレートおよび置換シクロヘキシルメタクリレートなどが好ましく、特に、シクロヘキシルメタクリレートおよびシクロヘキシルアクリレートなどの環状構造を有する脂肪族炭化水素基を含む(メタ)アクリレートは、非特異吸着が少なく、しかも、保存時の安定性に優れていることから好ましい。
【0019】
特定(共)重合体中における構造単位(A)の含有割合は、通常20〜99.99重量%とされ、好ましくは65〜99.98重量%とされる。構造単位(A)の含有割合が20重量%以上であることにより、本発明の着色球形状体を診断薬用着色球形状体として用いる場合、免疫反応物質(例えば抗体)との吸着性および結合反応性を優れたものとすることができる。
【0020】
特定共重合体を構成する構造単位(B)を得るために使用される不飽和カルボン酸(以下、「単量体(B)」という。)は、ラジカル重合性の不飽和結合およびカルボキシル基を分子中に有する重合性単量体である。
【0021】
かかる単量体(B)の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸などを挙げることができ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0022】
特定共重合体中における構造単位(B)の含有割合は、通常0.01〜30重量%とされ、好ましくは0.02〜15重量%とされる。構造単位(B)が0.01重量%未満であると、着色後の色落ちがあり好ましくない。また30重量%を超えると球形状体が凝集しやすくなり好ましくない。また、本発明の高分子球形状体は、構造単位(B)がカルボキシル基を有しているため、主として化学結合による感作処理に共され、また、化学結合に加えて、物理吸着による感作処理を行なうことも可能である。
【0023】
特定共重合体を構成する構造単位(C)を得るために使用されるビニルモノマー(以下、「単量体(C)」という。)の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、スチレンスルホン酸などの芳香族ビニル化合物;メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレートなどの炭素数1〜3のアルキル基を有する(メタ)アクリレート;酢酸ビニルなどのビニルエステル化合物などを挙げることができ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。特定共重合体中における構造単位(C)の含有割合は、通常0〜79.99重量%とされ、好ましくは0〜34.98重量%とされる。
【0024】
本発明の着色球形状体を構成する高分子球形状体は、特定(共)重合体のみから構成される高分子球形状体であっても、特定(共)重合体以外の材料からなる核粒子の表面に、特定(共)重合体の層が連続的または断続的に形成されてなる複合粒子であってもよいが、製造が容易であることから、特定(共)重合体のみから構成される高分子球形状体であることが好ましい。なお、前記核粒子の構成材料としては、ポリスチレン、カルボキシル基変性ポリスチレン、シリカなどを例示することができる。本発明の着色球形状体は、非磁性粒子あるいは、超常磁性体などを含有する磁性粒子であることができる。
【0025】
本発明の着色球形状体の粒子径は特に制限はないが、平均粒子径d(数平均粒子径)が0.03〜10μmの範囲にあることが好ましく、更に好ましくは0.05〜2μmとされる。
【0026】
本発明の着色球形状体を診断薬用着色球形状体に用いる場合には、以下の傾向がある。平均粒子径dが過小である場合には、被検査物質の低濃度域での検出感度が不足する傾向がある。一方、この平均粒子径dが過大である場合には、被検査物質の高濃度域での検出感度が不足する傾向がある。
【0027】
本発明の着色球形状体は、上述の高分子球形状体の少なくとも表面の一部が染料、顔料などによって染色または着色されている。好適に使用することのできる染料としては、スダンオレンジR、スダンブルーなどの油性染料;オレンジII、コンゴーレッド、アントラゾールO、アリザリンレッドS、スピリットブルーなどの水溶性あるいはアルコール可溶性の染料が好ましい。
【0028】
また、上述の他に、フルオレセイン、エオシン、ルモゲンイエローなどの有機蛍光染料または顔料、硫化亜鉛、硫化ガリウム、ユーロピウム化合物などの無機蛍光染料あるいは顔料などを用いることにより着色球形状体に蛍光性を付与することができる。これらのうち、油溶性の蛍光染料が染着性の点で特に好ましい。
【0029】
上記のように着色または染色された本発明の着色球形状体は、抗原、抗体、酵素、核酸等の生化学物質を担持して、または生化学物質を担持することなく使用することができる。
【0030】
次に、本発明の着色球形状体が担持することができる生化学物質について説明する。
【0031】
かかる生化学物質としては、抗原、抗体、酵素、核酸等を挙げることができる。診断薬用球状体に生化学物質を感作させる方法は、特に制限されるものではない。
【0032】
本発明の着色球形状体に担持される抗原または抗体としては、検体中に一般に含まれている成分(検査液中における被検査物質)と反応するものであれば特に制限されるものではなく、例えばアンチプラスミン検査用抗アンチプラスミン抗体、Dダイマー検査用抗Dダイマー抗体、FDP検査用抗FDP抗体、tPA検査用抗tPA抗体、TAT検査用抗トロンビン=アンチトロンビン複合体抗体、FPA検査用抗FPA抗体等の凝固線溶関連検査用抗原または抗体;BFP検査用抗BFP抗体、CEA検査用抗CEA抗体、AFP検査用抗AFP抗体、フェリチン検査用抗フェリチン抗体、CA19−9検査用抗CA19−9抗体等の腫瘍関連検査用抗原または抗体;アポリポタンパク検査用抗アポリポタンパク抗体、β2―ミクロブロブリン検査用抗β2―ミクロブロブリン抗体、α1―ミクログロブリン検査用抗α1―ミクログロブリン抗体、免疫グロブリン検査用抗免疫グロブリン抗体、CRP検査用抗CRP抗体等の血清蛋白関連検査用抗原または抗体;HCG検査用抗HCG抗体等の内分泌機能検査用抗原または抗体;HBs抗原検査用抗HBs抗体、HBs抗体検査用HBs抗原、HCV抗体検査用HCV抗原、HIV―1抗体用HIV−1抗原、HIV―2抗体検査用HIV−2抗原、HTLV―1検査用HTLV−1抗原、マイコプラズマ症検査用マイコプラズマ抗原、トキソプラズマ検査用トキソプラズマ抗原、ASO検査用ストレプトリジンO抗原等の感染症関連検査用抗原または抗体;抗DNA抗体検査用DNA抗原、RF検査用熱変成ヒトIgG等自己免疫関連検査用抗原または抗体;ジゴキシン検査用抗ジゴキシン抗体、リドカイン検査用抗リドカイン抗体等の薬物分析用抗原または抗体などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。抗体としては、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体のどちらを用いてもよい。
【0033】
本発明の着色球形状体を診断薬用粒子として使用する検査においては、目視性の点で、スライド凝集テスト、イムノクロマト等の検査が好適であるが、濁度を計測するための従来公知の検査機も用いることができる。かかる検査機による濁度の計測法には、検査液(被検査物質)を添加した後の濁度の変化速度を計測するレートアッセイ法、検査液(被検査物質)を添加してから一定時間経過後の準平衡濁度を計測するエンドポイント法があり、これらのうち、レートアッセイ法による計測が好ましい。
【0034】
また、本発明の着色球形状体は、診断薬用粒子として用いる他に、標準粒子として使用することができる。
【0035】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、以下において「部」は「重量部」を意味するものとする。
<実施例1〜6および比較例1、2>
〔高分子球形状体の製造〕
下記表1に示すモノマー100部と、水700部と、過硫酸カリウム1部と、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2部とを容量5リットルの攪拌機付ガラスフラスコに仕込み、窒素雰囲気下、温度80℃で6時間で重合反応を行うことにより、実施例につき6種、比較例につき2種の着色球形状体の分散液を調製した。なお、いずれの重合反応系においても重合転化率は99%以上であった。また、得られた球状体の平均粒子径dを表1に併せて示す。
〔着色球形状体の調製〕
上記の実施例1〜6および比較例1、2により得られた高分子球状体の各々の1重量%の水分散液100mlに、オイルブルーの2重量%トルエン溶液10mlと、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1gとを添加して超音波分散でよく分散した後、80℃で12時間攪拌することにより高分子球状体の染色処理を行い着色球形状体を得た。冷却後、スチームストリップでトルエンを除き、次いで、ポリマー粒子を濾別し、遠心沈降/再分散処理を5回繰り返して未吸着の染料を除いて精製した。
〔染色性の評価〕
精製後の着色球形状体の染色性を下記に示す5段階評価で判定した。また、色落ちの評価は、精製後の着色球形状体を、3ヶ月間にわたり4℃で保存後、遠心沈降させ上澄み液の波長600nmにおける吸光度で比較した。結果を併せて表1に示す。
(評価:染色性)
1:わずかに染まる。
2:少し染まる。
3:中濃度に染まる。
4:よく染まる。
5:きわめてよく染まる。
【0036】
【表1】
【0037】
表1中、モノマー種類における略号は、それぞれ、以下のモノマーを示す。
CHMA:シクロヘキシルメタクリレート
2EHA:2−エチルヘキシルアクリレート
AA :アクリル酸
TA :イタコン酸
ST :スチレン
表1からわかるように、実施例1〜6により得られた着色球形状体は色落ち性に関しては、比較例1、2にかかる着色球形状体と比してきわめて良好な結果を示している。
〔診断薬のスライド凝集テストでの適用例〕
上記の実施例1、実施例2、実施例4および比較例1により得られた着色球形状体の各々に、抗CRP抗体を感作して抗CRP感作ラテックス診断薬を得た。このようにして得られた抗CRP抗体感作ラテックス診断薬の各々について、CRP抗原標準液にて、スライド凝集テストを行い、ラテックス試薬の性能を評価した。その結果を表2に示す。
【0038】
【表2】
【0039】
表2に示すように、着色球形状体を調整直後に抗CRP抗体感作ラテックス診断薬を得た場合には、各抗CRP抗体感作ラテックス診断薬をスライド凝集テストに好適に用いることが可能である。また、4℃で3ヶ月間にわたり保存した着色球形状体を用いると、実施例1、2、4は、比較例1に比べ、良好な結果を示していることがわかる。すなわち、本実施例による着色球形状体は、長期間にわたり色落ちを防ぐことができることがわかった。
〔感作蛍光粒子によるAFP抗体の検知〕
実施例4で得られた高分子球状体に、蛍光染料であるエオシンで染着を行って蛍光粒子を得た。この蛍光粒子を濃度が1重量%になるようにPBSに分散し、これに抗AFP抗体(マウス)の1mg/ml液を等量添加し、56℃で30分間保持する感作処理を行った。感作処理後、透析およびゲルろ過により未感作の抗体を除去し、粒子濃度が0.1重量%になるように希釈液(牛血清アルブミン0.1%を含むPBS)を添加して、抗AFP抗体感作蛍光粒子を得た。
【0040】
一方、別のエピトープを認識する抗AFP抗体(マウス)を固定化した非蛍光磁性粒子0.1mgとAFPの500ng/ml液をあらかじめ混合してAFPを非蛍光磁性粒子に結合させておき、前記抗AFP抗体感作蛍光粒子を1mg加えて37℃で10分間加温した。これにより、AFP抗体が結合した磁性粒子にAFPを介してさらに蛍光粒子が結合した。
【0041】
次いで、磁気分離を行って磁性粒子を分離し、希釈液で3回洗浄後、蛍光分光光度計により磁性粒子分散液の蛍光強度を測定した。その結果、AFPを用いなかった場合の蛍光強度と比較して、500ng/mlのAFPを用いた場合の蛍光強度は115倍であった。これにより、本発明の蛍光粒子を指標として磁性粒子に結合したAFP抗体を検知することができた。
〔診断薬のイムノクロマトグラフでの適用例〕
上記の実施例1、実施例2、実施例4および比較例1により得られた着色球形状体(診断薬用粒子)の各々に、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(以下HCGという)に対するモノクローナル抗体を感作して抗HCG抗体感作ラテックス診断薬を得た。
【0042】
このようにして得られた抗HCG抗体感作ラテックス診断薬の各々について、イムノクロマトグラフ処理を行い、ラテックス試薬の性能を評価した。その結果を表3に示す。
【0043】
【表3】
【0044】
表3に示すように、着色球形状体を調整直後に抗HCG抗体感作ラテックス診断薬を得た場合には、実施例1、2、4および比較例1の抗HCG抗体感作ラテックス診断薬をイムノクロマトグラフとしても好適に用いることができる。また、4℃で3ヶ月間にわたり保存した着色球形状体を用いると、実施例1、2、4は、比較例1に比べ、良好な結果を示していることがわかる。すなわち、本実施例による着色球形状体は、長期間にわたり色落ちを防ぐことができることがわかった。
【0045】
【発明の効果】
(1)本発明によれば、特定のポリマーを構成成分とする新規な着色球形状体を提供することができる。
【0046】
(2)本発明の着色球形状体は、染料や蛍光物質による染色性・染着性に優れ、経時的な色落ちがしない点で優れている。また、染色または着色された球形状体は、診断薬として用いる場合、検査において凝集の視認性が良好であり、また蛍光染料を用いた場合は蛍光測定を行うことで定量感度を大幅に向上させることができる。本発明の着色球形状体による診断薬は、これを構成する粒子(感作処理後の粒子)の保存安定性がよく、従来公知のポリスチレン系ラテックスなどを感作して得られる粒子と比較して長期間保存したときの凝集が少なく、また色落ちも極めて少ない。これは診断薬の品質保持の上で重要な特徴であり、診断薬製品の品質維持の観点から大きな利点である。
【発明の属する技術分野】
本発明は着色球形状体に関し、さらに詳しくは、標準粒子、免疫診断薬用担体などの分野に使用される着色球形状体に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に標準粒子、免疫診断薬用担体などの分野においては着色した球形状体が用いられる。
【0003】
臨床検査の手段として抗体、抗原などの免疫反応物質または核酸を球形状体に担持させ、特異的反応によって、対応する抗原、抗体、酵素、核酸などの被検査物質を検出する方法は、重要な手段として利用されている。
【0004】
例えば、物理吸着または化学結合により抗体を表面に担持させた球形状体粒子の分散液を調製し、前記抗体に対する抗原を含む検査液を添加すると、高分子球形状体の表面において、抗原−抗体の特異結合による球形状体の表面状態の変化または球形状体間の橋かけが生じて、当該球形状体が凝集する。
【0005】
この球形状体の凝集は、適当なプレートの上で目視で観察できる濁度の変化を目視され、これにより、検査液中の被検査物質(抗原)を半定量することができる。検査結果の視認性および検出感度の向上を図るために、また、球形状体に由来する色または蛍光を標識として利用して生化学物質の測定・検査を行うために、染料や蛍光物質で染色・染着された球形状体が望まれている。しかしながら、診断薬用粒子を構成する球形状体において、染色性・染着性の良好なものは知られておらず経時的に色落ち等の問題があり好ましくなかった。
【0006】
これらの染色・着色された粒子では、カチオン性の染料を使用したり、染料モノマーを重合させることにより直接的に着色した球形状体を得る方法、油溶性の染料を水系分散させてポリマー粒子に吸収させて着色した球形状体を得る方法等を行い色落ちを防ぐようにしてきたが十分でなかった。
【0007】
以上のように着色性が良好であり着色後の色落ちが少ない球形状体を得ることは困難であった。特許文献1に開示された技術では、粒子の組成を変更して染色性を改良している。
【0008】
【特許文献1】
特開2000−088853号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の第1の目的は、特定のポリマーを構成成分とする着色球形状体を提供することにある。
【0010】
本発明の第2の目的は、染料や蛍光物質による染色性・染着性が良好で染色後の色落ちが少なく、視認性に優れた着色球形状体を提供する事にある。
【0011】
【課題を解決する為の手段】
本発明の着色球形状体は、
(A)炭素数4〜20の脂肪族炭化水素基を有する(メタ)アクリレートに由来する構造単位20〜99.99重量%、(B)不飽和カルボン酸に由来する構造単位0.01〜30重量%、並びに(C)前記(メタ)アクリレートおよび不飽和カルボン酸と共重合可能なビニルモノマーに由来する構造単位0〜79.99重量%からなるポリマーを構成成分とする高分子球形状体の少なくとも表面の一部が染色または着色されてなることを特徴とする。
【0012】
本発明の着色球形状体は、下記の態様をとることができる。
【0013】
[1]本発明の着色球形状体において、前記(メタ)アクリレートを構成する脂肪族炭化水素基は、環状構造を有することができる。
【0014】
[2]本発明の着色球形状体は、生化学物質を坦持することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0016】
本発明の着色球形状体に用いられる高分子球状体は、特定(共)重合体(特定共重合体または特定重合体)を構成成分とする。
【0017】
特定(共)重合体を構成する構造単位(A)を得るために使用される(メタ)アクリレート(以下、「単量体(A)」という。)の具体例としては、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、t−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、ペンチルアクリレート、ペンチルメタクリレート、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレートなどの鎖状アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート;シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルエチレングリコールメタクリレート、シクロヘキシルジプロピレングリコールメタクリレートなどの環状脂肪族基を有する(メタ)アクリレート;メチル置換シクロヘキシルアクリレートなどのシクロヘキシル基の水素原子の一部が炭素数1〜4のアルキル基で置換された置換シクロヘキシル(メタ)アクリレートおよびシクロヘキセンジ(メタ)アクリレートなどを挙げることができ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0018】
これらのうち、2−エチルヘキシルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、置換シクロヘキシルアクリレートおよび置換シクロヘキシルメタクリレートなどが好ましく、特に、シクロヘキシルメタクリレートおよびシクロヘキシルアクリレートなどの環状構造を有する脂肪族炭化水素基を含む(メタ)アクリレートは、非特異吸着が少なく、しかも、保存時の安定性に優れていることから好ましい。
【0019】
特定(共)重合体中における構造単位(A)の含有割合は、通常20〜99.99重量%とされ、好ましくは65〜99.98重量%とされる。構造単位(A)の含有割合が20重量%以上であることにより、本発明の着色球形状体を診断薬用着色球形状体として用いる場合、免疫反応物質(例えば抗体)との吸着性および結合反応性を優れたものとすることができる。
【0020】
特定共重合体を構成する構造単位(B)を得るために使用される不飽和カルボン酸(以下、「単量体(B)」という。)は、ラジカル重合性の不飽和結合およびカルボキシル基を分子中に有する重合性単量体である。
【0021】
かかる単量体(B)の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸などを挙げることができ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0022】
特定共重合体中における構造単位(B)の含有割合は、通常0.01〜30重量%とされ、好ましくは0.02〜15重量%とされる。構造単位(B)が0.01重量%未満であると、着色後の色落ちがあり好ましくない。また30重量%を超えると球形状体が凝集しやすくなり好ましくない。また、本発明の高分子球形状体は、構造単位(B)がカルボキシル基を有しているため、主として化学結合による感作処理に共され、また、化学結合に加えて、物理吸着による感作処理を行なうことも可能である。
【0023】
特定共重合体を構成する構造単位(C)を得るために使用されるビニルモノマー(以下、「単量体(C)」という。)の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、スチレンスルホン酸などの芳香族ビニル化合物;メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレートなどの炭素数1〜3のアルキル基を有する(メタ)アクリレート;酢酸ビニルなどのビニルエステル化合物などを挙げることができ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。特定共重合体中における構造単位(C)の含有割合は、通常0〜79.99重量%とされ、好ましくは0〜34.98重量%とされる。
【0024】
本発明の着色球形状体を構成する高分子球形状体は、特定(共)重合体のみから構成される高分子球形状体であっても、特定(共)重合体以外の材料からなる核粒子の表面に、特定(共)重合体の層が連続的または断続的に形成されてなる複合粒子であってもよいが、製造が容易であることから、特定(共)重合体のみから構成される高分子球形状体であることが好ましい。なお、前記核粒子の構成材料としては、ポリスチレン、カルボキシル基変性ポリスチレン、シリカなどを例示することができる。本発明の着色球形状体は、非磁性粒子あるいは、超常磁性体などを含有する磁性粒子であることができる。
【0025】
本発明の着色球形状体の粒子径は特に制限はないが、平均粒子径d(数平均粒子径)が0.03〜10μmの範囲にあることが好ましく、更に好ましくは0.05〜2μmとされる。
【0026】
本発明の着色球形状体を診断薬用着色球形状体に用いる場合には、以下の傾向がある。平均粒子径dが過小である場合には、被検査物質の低濃度域での検出感度が不足する傾向がある。一方、この平均粒子径dが過大である場合には、被検査物質の高濃度域での検出感度が不足する傾向がある。
【0027】
本発明の着色球形状体は、上述の高分子球形状体の少なくとも表面の一部が染料、顔料などによって染色または着色されている。好適に使用することのできる染料としては、スダンオレンジR、スダンブルーなどの油性染料;オレンジII、コンゴーレッド、アントラゾールO、アリザリンレッドS、スピリットブルーなどの水溶性あるいはアルコール可溶性の染料が好ましい。
【0028】
また、上述の他に、フルオレセイン、エオシン、ルモゲンイエローなどの有機蛍光染料または顔料、硫化亜鉛、硫化ガリウム、ユーロピウム化合物などの無機蛍光染料あるいは顔料などを用いることにより着色球形状体に蛍光性を付与することができる。これらのうち、油溶性の蛍光染料が染着性の点で特に好ましい。
【0029】
上記のように着色または染色された本発明の着色球形状体は、抗原、抗体、酵素、核酸等の生化学物質を担持して、または生化学物質を担持することなく使用することができる。
【0030】
次に、本発明の着色球形状体が担持することができる生化学物質について説明する。
【0031】
かかる生化学物質としては、抗原、抗体、酵素、核酸等を挙げることができる。診断薬用球状体に生化学物質を感作させる方法は、特に制限されるものではない。
【0032】
本発明の着色球形状体に担持される抗原または抗体としては、検体中に一般に含まれている成分(検査液中における被検査物質)と反応するものであれば特に制限されるものではなく、例えばアンチプラスミン検査用抗アンチプラスミン抗体、Dダイマー検査用抗Dダイマー抗体、FDP検査用抗FDP抗体、tPA検査用抗tPA抗体、TAT検査用抗トロンビン=アンチトロンビン複合体抗体、FPA検査用抗FPA抗体等の凝固線溶関連検査用抗原または抗体;BFP検査用抗BFP抗体、CEA検査用抗CEA抗体、AFP検査用抗AFP抗体、フェリチン検査用抗フェリチン抗体、CA19−9検査用抗CA19−9抗体等の腫瘍関連検査用抗原または抗体;アポリポタンパク検査用抗アポリポタンパク抗体、β2―ミクロブロブリン検査用抗β2―ミクロブロブリン抗体、α1―ミクログロブリン検査用抗α1―ミクログロブリン抗体、免疫グロブリン検査用抗免疫グロブリン抗体、CRP検査用抗CRP抗体等の血清蛋白関連検査用抗原または抗体;HCG検査用抗HCG抗体等の内分泌機能検査用抗原または抗体;HBs抗原検査用抗HBs抗体、HBs抗体検査用HBs抗原、HCV抗体検査用HCV抗原、HIV―1抗体用HIV−1抗原、HIV―2抗体検査用HIV−2抗原、HTLV―1検査用HTLV−1抗原、マイコプラズマ症検査用マイコプラズマ抗原、トキソプラズマ検査用トキソプラズマ抗原、ASO検査用ストレプトリジンO抗原等の感染症関連検査用抗原または抗体;抗DNA抗体検査用DNA抗原、RF検査用熱変成ヒトIgG等自己免疫関連検査用抗原または抗体;ジゴキシン検査用抗ジゴキシン抗体、リドカイン検査用抗リドカイン抗体等の薬物分析用抗原または抗体などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。抗体としては、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体のどちらを用いてもよい。
【0033】
本発明の着色球形状体を診断薬用粒子として使用する検査においては、目視性の点で、スライド凝集テスト、イムノクロマト等の検査が好適であるが、濁度を計測するための従来公知の検査機も用いることができる。かかる検査機による濁度の計測法には、検査液(被検査物質)を添加した後の濁度の変化速度を計測するレートアッセイ法、検査液(被検査物質)を添加してから一定時間経過後の準平衡濁度を計測するエンドポイント法があり、これらのうち、レートアッセイ法による計測が好ましい。
【0034】
また、本発明の着色球形状体は、診断薬用粒子として用いる他に、標準粒子として使用することができる。
【0035】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、以下において「部」は「重量部」を意味するものとする。
<実施例1〜6および比較例1、2>
〔高分子球形状体の製造〕
下記表1に示すモノマー100部と、水700部と、過硫酸カリウム1部と、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2部とを容量5リットルの攪拌機付ガラスフラスコに仕込み、窒素雰囲気下、温度80℃で6時間で重合反応を行うことにより、実施例につき6種、比較例につき2種の着色球形状体の分散液を調製した。なお、いずれの重合反応系においても重合転化率は99%以上であった。また、得られた球状体の平均粒子径dを表1に併せて示す。
〔着色球形状体の調製〕
上記の実施例1〜6および比較例1、2により得られた高分子球状体の各々の1重量%の水分散液100mlに、オイルブルーの2重量%トルエン溶液10mlと、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1gとを添加して超音波分散でよく分散した後、80℃で12時間攪拌することにより高分子球状体の染色処理を行い着色球形状体を得た。冷却後、スチームストリップでトルエンを除き、次いで、ポリマー粒子を濾別し、遠心沈降/再分散処理を5回繰り返して未吸着の染料を除いて精製した。
〔染色性の評価〕
精製後の着色球形状体の染色性を下記に示す5段階評価で判定した。また、色落ちの評価は、精製後の着色球形状体を、3ヶ月間にわたり4℃で保存後、遠心沈降させ上澄み液の波長600nmにおける吸光度で比較した。結果を併せて表1に示す。
(評価:染色性)
1:わずかに染まる。
2:少し染まる。
3:中濃度に染まる。
4:よく染まる。
5:きわめてよく染まる。
【0036】
【表1】
【0037】
表1中、モノマー種類における略号は、それぞれ、以下のモノマーを示す。
CHMA:シクロヘキシルメタクリレート
2EHA:2−エチルヘキシルアクリレート
AA :アクリル酸
TA :イタコン酸
ST :スチレン
表1からわかるように、実施例1〜6により得られた着色球形状体は色落ち性に関しては、比較例1、2にかかる着色球形状体と比してきわめて良好な結果を示している。
〔診断薬のスライド凝集テストでの適用例〕
上記の実施例1、実施例2、実施例4および比較例1により得られた着色球形状体の各々に、抗CRP抗体を感作して抗CRP感作ラテックス診断薬を得た。このようにして得られた抗CRP抗体感作ラテックス診断薬の各々について、CRP抗原標準液にて、スライド凝集テストを行い、ラテックス試薬の性能を評価した。その結果を表2に示す。
【0038】
【表2】
【0039】
表2に示すように、着色球形状体を調整直後に抗CRP抗体感作ラテックス診断薬を得た場合には、各抗CRP抗体感作ラテックス診断薬をスライド凝集テストに好適に用いることが可能である。また、4℃で3ヶ月間にわたり保存した着色球形状体を用いると、実施例1、2、4は、比較例1に比べ、良好な結果を示していることがわかる。すなわち、本実施例による着色球形状体は、長期間にわたり色落ちを防ぐことができることがわかった。
〔感作蛍光粒子によるAFP抗体の検知〕
実施例4で得られた高分子球状体に、蛍光染料であるエオシンで染着を行って蛍光粒子を得た。この蛍光粒子を濃度が1重量%になるようにPBSに分散し、これに抗AFP抗体(マウス)の1mg/ml液を等量添加し、56℃で30分間保持する感作処理を行った。感作処理後、透析およびゲルろ過により未感作の抗体を除去し、粒子濃度が0.1重量%になるように希釈液(牛血清アルブミン0.1%を含むPBS)を添加して、抗AFP抗体感作蛍光粒子を得た。
【0040】
一方、別のエピトープを認識する抗AFP抗体(マウス)を固定化した非蛍光磁性粒子0.1mgとAFPの500ng/ml液をあらかじめ混合してAFPを非蛍光磁性粒子に結合させておき、前記抗AFP抗体感作蛍光粒子を1mg加えて37℃で10分間加温した。これにより、AFP抗体が結合した磁性粒子にAFPを介してさらに蛍光粒子が結合した。
【0041】
次いで、磁気分離を行って磁性粒子を分離し、希釈液で3回洗浄後、蛍光分光光度計により磁性粒子分散液の蛍光強度を測定した。その結果、AFPを用いなかった場合の蛍光強度と比較して、500ng/mlのAFPを用いた場合の蛍光強度は115倍であった。これにより、本発明の蛍光粒子を指標として磁性粒子に結合したAFP抗体を検知することができた。
〔診断薬のイムノクロマトグラフでの適用例〕
上記の実施例1、実施例2、実施例4および比較例1により得られた着色球形状体(診断薬用粒子)の各々に、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(以下HCGという)に対するモノクローナル抗体を感作して抗HCG抗体感作ラテックス診断薬を得た。
【0042】
このようにして得られた抗HCG抗体感作ラテックス診断薬の各々について、イムノクロマトグラフ処理を行い、ラテックス試薬の性能を評価した。その結果を表3に示す。
【0043】
【表3】
【0044】
表3に示すように、着色球形状体を調整直後に抗HCG抗体感作ラテックス診断薬を得た場合には、実施例1、2、4および比較例1の抗HCG抗体感作ラテックス診断薬をイムノクロマトグラフとしても好適に用いることができる。また、4℃で3ヶ月間にわたり保存した着色球形状体を用いると、実施例1、2、4は、比較例1に比べ、良好な結果を示していることがわかる。すなわち、本実施例による着色球形状体は、長期間にわたり色落ちを防ぐことができることがわかった。
【0045】
【発明の効果】
(1)本発明によれば、特定のポリマーを構成成分とする新規な着色球形状体を提供することができる。
【0046】
(2)本発明の着色球形状体は、染料や蛍光物質による染色性・染着性に優れ、経時的な色落ちがしない点で優れている。また、染色または着色された球形状体は、診断薬として用いる場合、検査において凝集の視認性が良好であり、また蛍光染料を用いた場合は蛍光測定を行うことで定量感度を大幅に向上させることができる。本発明の着色球形状体による診断薬は、これを構成する粒子(感作処理後の粒子)の保存安定性がよく、従来公知のポリスチレン系ラテックスなどを感作して得られる粒子と比較して長期間保存したときの凝集が少なく、また色落ちも極めて少ない。これは診断薬の品質保持の上で重要な特徴であり、診断薬製品の品質維持の観点から大きな利点である。
Claims (2)
- (A)炭素数4〜20の脂肪族炭化水素基を有する(メタ)アクリレートに由来する構造単位20〜99.99重量%、(B)不飽和カルボン酸に由来する構造単位0.01〜30重量%、並びに(C)前記(メタ)アクリレートおよび不飽和カルボン酸と共重合可能なビニルモノマーに由来する構造単位0〜79.99重量%からなるポリマーを構成成分とする高分子球形状体の少なくとも表面の一部が染色または着色されてなることを特徴とする着色球形状体。
- 請求項1において、
前記(メタ)アクリレートを構成する脂肪族炭化水素基が環状構造を有することを特徴とする、着色球形状体。
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JP2009168495A (ja) * | 2008-01-11 | 2009-07-30 | Sekisui Chem Co Ltd | 着色ラテックス |
JP2015079013A (ja) * | 2010-02-17 | 2015-04-23 | 住友ベークライト株式会社 | 糖鎖アレイ用高分子化合物および糖鎖アレイ基板 |
JP2016176074A (ja) * | 2015-03-20 | 2016-10-06 | Jsr株式会社 | 着色粒子の製造方法 |
-
2002
- 2002-10-22 JP JP2002307313A patent/JP2004143218A/ja active Pending
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