JP2004143195A - 放熱性樹脂シート - Google Patents

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Abstract

【課題】室温では固体であって、仮固定に十分なる粘着性を示すとともに、長期の熱圧環境下に曝露された後もブリードによる汚染が無く、容易に再剥離可能であり、かつ電子部品の作動温度にて軟化し、界面の接触熱抵抗を低下させることの出来る放熱性樹脂シートを提供すること。
【解決手段】炭素原子数2〜12のα−オレフィンから選ばれる少なくとも2種のα−オレフィンを主成分とし、結晶化度が10%以下であるα−オレフィン共重合体を主材とする樹脂成分に、下記一般式(1)〜(4)であらわされる表面改質剤により被覆された熱伝導性充填材を配合することを特徴とする放熱性樹脂シート。
【化1】
Figure 2004143195

Figure 2004143195

Figure 2004143195

Figure 2004143195

【選択図】        なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子部品の放熱に使用される充分な熱伝導率と粘着性を有する放熱性樹脂シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器の軽薄短小化に伴うMPU、メモリー、ASIC、チップセット等のLSIの高密度実装化が進み、更に情報量の増大に伴う信号処理の高速化により消費電力が増大している。これらLSIからの発熱量は、LSIの正常な動作にとって無視できない状況となってきており、放熱の問題がクローズアップされている。
【0003】
従来、LSI、トランジスター、ダイオード、変圧器等の電子部品から発生する熱は、金属のヒートシンクと呼ばれる放熱フィン、筐体、ヒートパイプ等により空気中に放熱されている。この際、電子部品と放熱フィン等の界面の熱抵抗を低減させる為、熱伝導性の部材が使用されている。この部材として、アルミナ、シリカ、窒化ホウ素等の熱伝導性充填材を分散させたシリコーンゴムシートあるいはシリコーングリース等が使用されている。
【0004】
しかしながらシリコーンゴムシートは、その硬さにより界面の密着性に不足し、界面の熱抵抗を十分に下げる事が出来ない。又、シリコーングリースは、はみ出しやすく外観、特性の低下を生じ、更には長期の加熱加圧により固化し、電子部品或いは放熱フィン等の取替え作業時に不具合を生じる問題を有していた。
【0005】
最近、熱伝導率を向上させるべく、常温では固体であり、電子部品作動温度において軟化或いは液状化し、界面の良好な接触を得、かつ熱伝導層を薄膜化する事により熱抵抗を低減させる放熱部材による解決が試みられている。例えば、熱可塑性シリコーン樹脂とワックス状のシリコーン樹脂を用いる方法(特許文献1参照)、熱可塑性樹脂またはゴムにワックスまたは軟化剤および粘着付与剤を加えて用いる方法(特許文献2参照)、およびワックスを加える事により実現しようとしているもの(特許文献3、特許文献4参照)等あるが、マトリックス樹脂成分の熱伝導性充填材への濡れ性が悪く、微視的に空気層が生じていると考えられ、十分な熱伝導率を有するに至らない。
【0006】
また、低分子量のワックス、軟化剤および粘着付与剤は高温化でブリードしやすく電子部品の汚染、熱抵抗の上昇を生じるとともに経時にて粘着力が増加し、再度剥がす再剥離の工程において剥がしにくく部品の破損をひきおこす問題を有している。
【0007】
ポリオレフィンにより解決が試みられている例もある(特許文献5参照)。しかしながら、使用されるポリオレフィン中の熱軟化成分であるα−オレフィンは、総炭素原子数が19〜53に規定されており、19未満では、液体状である為ブリードを発生するとの記載があり、実際に19未満での例は例示されていない。また、炭素原子数19以上では初期粘着性を与える為には液状のポリオレフィンを添加する必要があり、前述のようにブリードの問題を生じていることがわかり、これらを解決することが望まれていた。
【0008】
【特許文献1】
特開2000−327917号公報
【特許文献2】
特開2000−336279号公報
【特許文献3】
特開2001−291807号公報
【特許文献4】
特開2002−20625号公報
【特許文献5】
特開2002−121332号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、上述のように室温では固体であり仮固定に十分なる粘着性を示すとともに、長期の熱圧環境下に曝露された後もブリードによる汚染が無く、容易に再剥離可能であり、かつ電子部品の作動温度にて軟化し、界面の接触熱抵抗を低下させる、更に熱伝導性充填材と樹脂の濡れ性を改善する事により分散性ひいては熱伝導性を向上させた放熱シートを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定構造を有する表面改質剤により被覆された熱伝導性充填材を配合することで、上記条件を満たす放熱性樹脂シートを得ることができることを見出し、本発明を完成した。
【0011】
即ち、本発明は、炭素原子数2〜12のα−オレフィンから選ばれる少なくとも2種のα−オレフィンを主成分とし、結晶化度が10%以下であるα−オレフィン共重合体を主材とする樹脂成分に、下記一般式(1)〜(4)であらわされる表面改質剤により被覆された熱伝導性充填材を配合することを特徴とする放熱性樹脂シートに関するものである。
【0012】
【化5】
Figure 2004143195
(式(1)中、Rは、メチル基、エチル基を示す。)
【0013】
【化6】
Figure 2004143195
(式(2)中、Rは、メチル基、エチル基を示し、Rは、水素原子、メチル基を示す)。
【0014】
【化7】
Figure 2004143195
(式(3)中、Rは、メチル基、エチル基を示し、Rは、水素原子、メチル基を示す)。
【0015】
【化8】
Figure 2004143195
(式(4)中、Rはメチル基、エチル基を示し、RはC8〜C20のアルキル基を示す。)
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に使用される炭素原子数2〜12のα−オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチルー1−ペンテン、3−メチルー1−ペンテン、1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン等が挙げられる。これらのα―オレフィン共重合体の樹脂成分における含有割合は、通常、30重量%以上、好ましくは50重量%以上である。
【0017】
上記炭素原子数2〜12のα−オレフィンは、少なくとも2種のα−オレフィンを主成分として、α−オレフィン共重合体を形成する。その組合せとしてエチレン、1−ブテン、および炭素原子数5〜12のα−オレフィンの3成分からなる共重合体、エチレン、プロピレンおよび炭素原子数5〜12のα−オレフィンの3成分からなる共重合体、プロピレン、1−ブテンおよび炭素原子数5〜12のα−オレフィンの3成分からなる共重合体等が挙げられるが、その中でもプロピレン、1−ブテンおよび炭素原子数5〜12のα−オレフィンの3成分からなる共重合体を主材とする樹脂成分が好ましい。
【0018】
炭素原子数5〜12のα−オレフィンとしては、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチルー1−ペンテン、3−メチルー1−ペンテン、1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン等が挙げられるが、その中でも、4−メチル−1−ペンテンが好ましい。
【0019】
α−オレフィン共重合体が、プロピレン、1−ブテンおよび炭素原子数5〜12のα−オレフィンの3成分からなる共重合体を用いる場合、プロピレン10〜85モル%、1−ブテン3〜60モル%および炭素原子数5〜12のα−オレフィン10〜85モル%(但、すべての合計は100%である)の組成を有する共重合体が、室温付近での粘着特性に優れる点で好ましく、さらに好ましくは、プロピレン15〜70モル%、1−ブテン5〜50モル%および炭素原子数5〜12のα−オレフィン15〜70モル%(但、すべての合計は100%である)の組成を有する共重合体が好ましい。
【0020】
プロピレン、1−ブテンおよび炭素原子数5〜12のα−オレフィンの3成分からなる共重合体を主材とする場合、樹脂成分に占めるこの共重合体の含有割合は、樹脂成分中通常、30重量%以上、好ましくは50重量%以上である。
【0021】
前記のほかに、その他のα−オレフィン共重合体を組み合わせて使用することも可能である。使用可能な好ましいα−オレフィン共重合体として、a)エチレン、プロピレンおよび1−ブテンから選ばれる少なくとも2種からなる共重合体、b)エチレンとα−オレフィンのコオリゴマーおよびc)スチレン・ジエン系共重合体またはその水素添加物から選ばれる少なくとも1種以上の共重合体等が挙げられる。これらを組み合わせることにより、電子部品の作動温度に対する軟化温度の調整、および低温における初期粘着強度を向上させることが可能となる。
【0022】
これらのα−オレフィン共重合体の中でも特に好ましいのは、c)スチレン・ジエン系共重合体またはその水素添加物であり、その具体例としてはシェル化学株式会社製、商品名クレイトンGに代表されるスチレン・エチレン・ブチレン・スチレンブロック共重合体(以下、SEBSと略)、シェル化学株式会社製、製品名クレイトンDに代表されるスチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(以下、SISと略)等が挙げられる。
【0023】
SEBSは、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体を水素添加してなるものであり、スチレン系重合体ブロックを平均分子量に換算して12000〜100000程度、エチレン・ブチレン重合体ブロックを平均分子量に換算して10000〜300000程度含むものである。この(D)SEBSにおけるスチレン重合体ブロック/エチレン・ブチレン重合体ブロックの含有割合は、通常、重量比で5〜50/50〜95であり、好ましくは10〜30/70〜90である。
【0024】
SISは、スチレン重合体ブロックとイソプレン重合体ブロックとを有するブロック共重合体であり、スチレン重合体ブロックを平均分子量に換算して12000〜100000程度、イソプレン重合体ブロックを平均分子量に換算して10000〜300000程度含むものである。このSISにおけるスチレン重合体ブロック/イソプレン重合体ブロックの含有割合は、通常、重量比で5〜50/50〜95であり、好ましくは10〜30/70〜90である。
尚、これらは単独ないし2種以上組合せて使用しても構わない。
【0025】
上記SEBSを用いる場合、SEBSの樹脂成分に占める含有量は、好ましくは0〜50重量%、更に好ましくは0〜45重量%である。また、SISを用いる場合、SIS樹脂成分に占める含有量は、好ましくは0〜50重量%、更に好ましくは、0〜30重量%程度である。但し、前記SEBSとSISを同時に用いる場合には、両者の合計量が樹脂成分に占める割合は、45重量%以下となることが好ましい。
【0026】
前記の(a)エチレン、プロピレンおよび1−ブテンから選ばれる少なくとも2種からなる共重合体の具体例として、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体等が挙げられる。この(a)共重合体の具体例として、三井化学(株)から商品名:タフマーP(登録商標)、タフマーS(登録商標)、タフマーA(登録商標)、タフマーXR(登録商標)等で市販されているものなどが挙げられる。
【0027】
また、前記の(b)エチレンとα−オレフィンのコオリゴマーは、エチレンとα−オレフィンとの低分子量共重合体であって、常温で液体状のものである。α−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、4−メチル−1−ペンテン等の炭素数3〜20のα−オレフィンが挙げられる。これらの中でも、炭素数3〜14のα−オレフィンが好ましい。
【0028】
この(b)コオリゴマーは、下記式(1):
【0029】
【化9】
Figure 2004143195
【0030】
で表される構造単位を有するものである。前記式(1)中、RはCn H2n+1(nは正の整数である)で表される基であり、x、yおよびpは正の整数である。
【0031】
この(b)コオリゴマーは、通常、数平均分子量が100〜10000の範囲のものであり、好ましくは数平均分子量が200〜5000の範囲のものである。また、この(b)コオリゴマー中のエチレン含有量は、通常、30〜70モル%、好ましくは40〜60モル%である。
【0032】
本発明のフィルムの粘着層の構成成分として、他のα−オレフィン共重合体として、前記(b)コオリゴマーを用いる場合、この(b)コオリゴマーの粘着層に占める含有割合は、通常、0〜20重量%、好ましくは0〜10重量%である。
【0033】
本発明において、炭素原子数2〜12のα−オレフィンから選ばれる少なくとも2種のα−オレフィンを主成分としてできるα−オレフィン共重合体は、そのX線回折による結晶化度の値が10%以下であるものであり、十分な初期粘着強度を得る為には、結晶化度が5%以下であるものが好ましい。
【0034】
X線回折による結晶化度の測定は、S,L.AGGARWAL:J.Polymer Sci.18,17,1955に記載の方法によって測定することができる。
【0035】
本発明の放熱性樹脂シートを構成する熱伝導性充填材としては、無機窒化物、無機酸化物、金属から選ばれる一種又は二種以上のものであることあることが好ましく、具体例としては、窒化アルミ、窒化ホウ素等の無機窒化物、アルミナ、酸化ケイ素、酸化マグネシウム等の無機酸化物、金、銀、ニッケル、アルミニウム等の金属が挙げられる。なかでも絶縁性と高熱伝導を示す窒化アルミが好ましい。さらに好ましくは耐水性向上の為、表面処理された窒化アルミが挙げられる。これらは、1種或いは2種以上混合して使用しても構わない。
【0036】
本発明においては、これらの熱伝導性充填材の表面を下記一般式(1)〜(4)で表される表面改質剤により被覆されることが重要である。
【0037】
【化10】
Figure 2004143195
(式(1)中、Rは、メチル基、エチル基を示す。)
【0038】
【化11】
Figure 2004143195
(式(2)中、Rは、メチル基、エチル基を示し、Rは、水素原子、メチル基を示す)。
【0039】
【化12】
Figure 2004143195
(式(3)中、Rは、メチル基、エチル基を示し、Rは、水素原子、メチル基を示す)。
【0040】
【化13】
Figure 2004143195
(式(4)中、Rはメチル基、エチル基を示し、RはC8〜C20のアルキル基を示す。)
【0041】
式(4)中、Rは、炭素数8から20のアルキル基であり、好ましくは、炭素数12〜18のアルキル基であり、より好ましい具体例例としてはC18のステアリル基が挙げられる。
【0042】
一般式(1)〜(4)で表される化合物の具体的としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、n−ラウリルトリメトキシシラン、n−ミリスチルトリメトキシシラン、n−セチルトリメトキシシラン、n−ステアリルトリメトキシシラン、n−ラウリルトリエトキシシラン、n−ミリスチルトリエトキシシラン、n−セチルトリエトキシシラン、n−ステアリルトリエトキシシラン等が挙げられる。
好ましくは、n−ステアリルトリメトキシシラン、n−ステアリルトリエトキシシランである。尚、これらは一種又は二種以上混合して使用しても構わない。
【0043】
これらの表面改質剤は熱伝導性充填材に直接処理されても、樹脂成分と熱伝導性充填材の配合時添加されても良い。直接処理する場合には、ミキサー中で熱伝導性充填材を攪拌しながら、表面改質剤の原液、アルコール溶液または水溶液を滴下または噴霧し、処理する方法、或いは表面改質剤の原液、アルコール溶液または水溶液中に熱伝導性充填材を浸漬し、その後ろ過、乾燥を行う事により処理を終了する方法が例として挙げられる。
【0044】
表面改質剤の配合量は、直接処理の場合には、好ましくは熱伝導性充填材100重量部に対し0.5〜2.0重量部であり、より好ましくは、0.7〜1.5重量部である。配合時添加の場合には、好ましくは、熱伝導性充填材100重量部に対し1.0〜8.0重量部、より好ましくは、3.0〜6.0重量部である。このようにして表面改質された熱伝導性充填材は、シートの熱伝導率が1W/mK以上となるように配合される。好ましくは、樹脂成分と熱伝導性充填材の重量比率が5:95〜50:50、より好ましい範囲は8:92〜30:70である。
【0045】
樹脂シートの熱伝導率は、1.0W/mK以上である方が好ましく、より好ましくは、1.5W/mK以上、50W/mK以下である。1.0W/mK未満の場合は、熱伝導率が低く放熱の性能を十分に発揮する事が出来ない可能性がある。
【0046】
本発明の放熱性樹脂シートの製造方法は、特に限定されるものではないが、通常、樹脂成分へ熱伝導性充填材が配合される。分散は、例えばリボンブレンダー、ヘンシェルミキサー、タンブラーミキサー、バンバリーミキサー、プラネタリミキサー、ニーダー、2本ロール等の方法を用いて行われ、T−ダイ成型、プレス成型、カレンダー成型等の方法にてシート化され、両面に保護の意味で離型フィルムが貼られる事により放熱性樹脂シートを得る。また、本発明の樹脂成分をトルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、n−ヘプタン、n−オクタン等の炭化水素系溶剤の1種以上の溶剤に溶解し、熱伝導性充填材を配合、3本ロール、ボールミル、プラネタリミキサー、ヘンシェルミキサー等の混合装置を用いて分散し、離型フィルム上に塗布、乾燥して放熱性樹脂シートを得る事も出来る。ここで使用される離型フィルムとしては、特に限定はしないが通常、厚さ10〜100μm程度のポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム等が使用される。
【0047】
このようにして得られた本発明の放熱性樹脂シートの厚さは、好ましくは10μmから1000μm、より好ましくは50μmから500μmであり、両面に離型フィルムが貼られた形態で市場に供される.。
【0048】
本発明の放熱性樹脂シートは、23℃におけるアルミ板への初期粘着力は、5g/25mm以上であることが好ましく、5g以下では、部品への仮固定が困難となり実装性に乏しくなる可能性がある。上限は特に限定されないが、通常、1000g/25mm以下程度が再剥離を行う際の容易さと電子部品への損傷防止の面より好ましい。
【0049】
また、更に本発明の放熱性樹脂シートは、2kg/cmの加圧と60℃の加温を10日間与えた後の粘着力の上昇率が0〜30%であることが好ましい。加圧、加熱後の粘着力上昇率が30%より大きくとなるとリペアー時の剥離性が低下し、作業性の低下、部品の破損等の問題を生ずる場合がある。粘度が低下する場合は、電子部品との界面に微小な空気層が形成され熱抵抗が上がる問題を生ずる可能性が生じる。
【0050】
【実施例】
次に、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれにより何ら制限されるものではない。
(実施例1〜4)
各例においてプロピレン、1−ブテンおよび4−メチル−1−ペンテンを表1に示すモル%で含むα−オレフィン共重合体を樹脂成分とし、熱伝導性充填材を表1に示される重量比にて配合した。熱伝導性充填材は、窒化アルミ(三井化学株式会社製、MAN2Aと東洋アルミ株式会社製、UMSを重量比で30:70にて配合)を、表1に示される表面改質剤を直接処理する事により得た。配合後、リボンブレンダーにより混合分散し、T−ダイフィルム成型法により180℃の押出し温度にて厚さ100μmの放熱性樹脂シートを成型した。
【0051】
樹脂成分のX線回折法(S,L.AGGARWAL:J.Polymer Sci.18,17,1955に準ずる)によって測定した結晶化度の結果を表1に示す。さらに得られた放熱性樹脂シートの初期粘着強度、加圧加熱粘着強度上昇率、熱伝導率および熱軟化温度について、下記の方法にて測定した結果についても表1に示す。
【0052】
初期粘着強度の測定 : 2mm厚のアルミ板と0.1mm厚のアルミ板を本発明の放熱性樹脂シートを介して貼り合わせ、180度引き剥がし法によって測定した。
加圧加温経時変化評価 : 前記、初期粘着強度測定用サンプルを用いた。0.1mm厚のアルミ板上に厚さ3mmのシリコンゴム板を重ね均一に2kg/cmの圧力を60℃に加温した加熱プレスで加えた状態で、240時間保持した後に取出し、2〜5時間内に180度引き剥がし法により粘着強度を測定した。粘着強度の上昇率は[(加圧加熱後の粘着強度−初期粘着強度)/初期粘着強度]×100(%)にて算出した。
熱伝導率 : 京都電子工業株式会社社製レーザーフラッシュ法熱伝導率測定装置により測定した。
熱軟化温度 : レオメトリック・サイエンティフィック・エフ・イー社製粘弾性測定装置RMS−800を用いて、直径8mmのパラレルプレートを使用し、プレート間のギャップを1.5mmとし、試験片には8mmφ×1.5mm(厚さ)の円板を用い、周波数ω=100rad/secで、測定温度20℃から150℃における貯蔵弾性率G’(Pa)の変曲点により求めた。
【0053】
実施例5
プロピレン50モル%、1−ブテン20モル%および4−メチル−1−ペンテン30モル%からなるα−オレフィン共重合体をn−ヘプタンに溶解し、固形分50wt%の溶液を作成した。本溶液20重量部に対し、表面改質をされていない耐水性窒化アルミ粉(三井化学社製、MAN−2A 400重量部、東洋アルミ社製、UMS 800重量部)を混合し、さらに3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン42重量部添加して、3本ロールにより分散した。分散物を50μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布乾燥し放熱性樹脂シートを得た。シートの厚さは200μmであった。本シートを測定した結果を表1に示す。
【0054】
実施例6
プロピレン50モル%、1−ブテン20モル%および4−メチル−1−ペンテン30モル%からなるα−オレフィン共重合体50重量部、エチレン80モル%、プロピレン20モル%からなる共重合体20重量部、SEBS(シェル化学株式会社製、G−1657)20重量部およびSIS(日本合成ゴム株式会社製、SIS5000)10重量部の混合物からなる樹脂成分100重量部に、ビニルトリメトキシシランの1%水溶液中で処理し、ろ過、乾燥を行ったアルミナを1100重量部を加え、実施例−1と同様にして放熱性樹脂シートを得た。本シートを測定した結果を表1に示す。
【0055】
比較例1
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体EPT−4010(三井化学株式会社製)20重量部、エチレン・α−オレフィン共重合体としてルーカントHC3000X(三井化学株式会社製)30重量部、α−オレフィンとして炭素原子数17〜25であるダイヤレン208(三菱化学株式会社製)30モル%および炭素原子数30〜40であるダイヤレン30(三菱化学株式会社製)20重量部からなる樹脂成分100重量部に無処理の窒化アルミ1100重量部を実施例−1と同様に混合、シート化し放熱性樹脂シートを得た。本シートの測定した結果を表1に示す。
【0056】
【表1】
Figure 2004143195
【0057】
【発明の効果】
本発明により、室温では固体であり仮固定に十分なる粘着性を示すとともに、長期の熱圧環境下に曝露された後もブリードによる汚染が無く、容易に再剥離可能であり、かつ電子部品の作動温度にて軟化し、界面の接触熱抵抗を低下させる、更に熱伝導性充填材と樹脂の濡れ性が改善される為と考えられ、分散性ひいては熱伝導性を向上させた放熱シートを提供することができた。

Claims (4)

  1. 炭素原子数2〜12のα−オレフィンから選ばれる少なくとも2種のα−オレフィンを主成分とし、結晶化度が10%以下であるα−オレフィン共重合体を主材とする樹脂成分に、下記一般式(1)〜(4)であらわされる表面改質剤により被覆された熱伝導性充填材を配合することを特徴とする放熱性樹脂シート。
    Figure 2004143195
    (式(1)中、Rは、メチル基、エチル基を示す。)
    Figure 2004143195
    (式(2)中、Rは、メチル基、エチル基を示し、Rは、水素原子、メチル基を示す)。
    Figure 2004143195
    (式(3)中、Rは、メチル基、エチル基を示し、Rは、水素原子、メチル基を示す)。
    Figure 2004143195
    (式(4)中、Rはメチル基、エチル基を示し、RはC8〜C20のアルキル基を示す。)
  2. 前記α−オレフィン共重合体が、プロピレン、1−ブテン、および炭素原子数5〜12のα−オレフィンからなるものである請求項1記載の放熱性樹脂シート。
  3. 樹脂成分がプロピレン、1−ブテン、炭素原子数5〜12のα−オレフィンからなるα−オレフィン共重合体と、
    (a)エチレン、プロピレン、1−ブテンから選ばれる少なくとも2種からなる共重合体、
    (b)エチレンとα−オレフィンのコオリゴマー、
    (c)スチレン・ジエン系共重合体、またはその水素添加物
    から選ばれる少なくとも1種の共重合体とを含むことを特徴とする請求項1〜3項のいずれかに記載の放熱性樹脂シート。
  4. 熱伝導性充填材が無機窒化物、無機酸化物、金属のいずれかである請求項1〜3のいずれかに記載の放熱性樹脂シート。
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