JP2004142603A - 車両用ブレーキ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】増圧弁とブレーキ液圧制御装置とを設けたブレーキ装置の小型化と軽量化を可能とし、車両設置の際のレイアウトの自由度を高め、車両への取り付け作業も容易に行う事を可能とする。
【解決手段】ブレーキペダルの踏込みによりブレーキ液圧を発生させるマスタシリンダと、このマスタシリンダからのブレーキ液圧により作動する車輪ブレーキと、マスタシリンダからのブレーキ液圧を増圧して車輪ブレーキへ出力する増圧弁1と、この増圧弁1と車輪ブレーキとの間に配置されるブレーキ液圧制御装置2とから構成し、ブレーキ液圧制御装置2の入力ポート26に、増圧弁1の出力ポート8を一体に接続する。
【選択図】 図1
【解決手段】ブレーキペダルの踏込みによりブレーキ液圧を発生させるマスタシリンダと、このマスタシリンダからのブレーキ液圧により作動する車輪ブレーキと、マスタシリンダからのブレーキ液圧を増圧して車輪ブレーキへ出力する増圧弁1と、この増圧弁1と車輪ブレーキとの間に配置されるブレーキ液圧制御装置2とから構成し、ブレーキ液圧制御装置2の入力ポート26に、増圧弁1の出力ポート8を一体に接続する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、ブレーキ操作により発生するマスタシリンダのブレーキ液圧により車輪ブレーキを作動し、制動を行うための車両用ブレーキ装置に係るもので、マスタシリンダのブレーキ液圧を増圧する増圧弁と、この増圧弁からのブレーキ液圧を受けてアンチロック制御やトラクション制御等を行うブレーキ液圧制御装置とを一体化する事で、ブレーキ装置の小型化や軽量化を可能とするものである。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特開平11−227595号公報
【特許文献2】特開平8−11697号公報
【特許文献3】特開平6−1226号公報
【0003】
従来、特許文献1に記載の従来発明の如く、ブレーキ操作により、マスタシリンダで発生したブレーキ液圧を増圧弁で増圧し、車輪ブレーキに出力する車両用ブレーキ装置が存在する。該特許文献1では、マスタシリンダのブレーキ液圧の出力ポートと増圧弁の入力ポートとを配管を介して連結し、ブレーキ操作によるマスタシリンダからのブレーキ液圧を、配管を介して増圧弁に伝達している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術では、マスタシリンダのブレーキ液圧の出力ポートと増圧弁の入力ポートとを配管を介して連結しているため、ブレーキ装置が長尺となり、設置場所が限られてレイアウトの自由度が制限されるとともに、コスト高となったり配管の配設の手間が必要であった。また、車両へのブレーキ装置の設置の際に、配管が邪魔となって取り付けに手間が掛かる虞もあった。
【0005】
また、特許文献2に記載の従来発明は、マスタシリンダに、ブレーキ液圧制御装置の一つであるアンチロック制御装置を一体に設けて、ボディの共有化を図る事により、上記装置の小型化と軽量化を可能とし、レイアウトの自由度を高めようとしている。これに対して、特許文献3に記載の従来発明は、アンチロック制御装置にトラクション制御装置を着脱可能に設け、トラクション制御装置の選択的な設置を可能とするとともに、アンチロック制御装置とトラクション制御装置とで一つの駆動モータを共有化する事により、ブレーキ装置の小型化と軽量化を可能としている。しかしながら、何れもブレーキ液圧制御装置と増圧弁との小型化や軽量化を図ったものではなかった。
【0006】
本発明は上述の如き課題を解決しようとするものであって、マスタシリンダからのブレーキ液圧を増圧する増圧弁と、アンチロック制御やトラクション制御等を行うブレーキ液圧制御装置とを一体に形成可能とする事により、ブレーキ装置が過度に長尺となるのを抑え、配管の使用や配設の手間を省き、ブレーキ装置の小型化と軽量化を可能として、車両への設置時のレイアウトの自由度を高めるとともに、車両への容易な取り付けを可能とするものである。
【0007】
尚、本明細書中のブレーキ液圧制御装置とは、増圧弁からのブレーキ液圧を制御して、車輪ブレーキに出力するもので、アンチロック制御装置、トラクション制御装置、車体挙動安定装置、ブレーキ液圧保持装置等を示すものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述の如き課題を解決するため、ブレーキペダルの踏込みによりブレーキ液圧を発生させるマスタシリンダと、このマスタシリンダからのブレーキ液圧により作動する車輪ブレーキと、マスタシリンダからのブレーキ液圧を増圧して車輪ブレーキへ出力する増圧弁と、この増圧弁と車輪ブレーキとの間に配置されるブレーキ液圧制御装置とから成り、ブレーキ液圧制御装置のブレーキ液圧の入力ポートに、増圧弁の出力ポートを一体に接続して成るものである。
【0009】
また、増圧弁は、ブレーキ液圧制御装置と同一ボディに一体に設けても良い。
【0010】
また、増圧弁は、ブレーキ液圧制御装置とは別個に形成し、増圧弁の出力ポートとブレーキ液圧制御装置の入力ポートとを、内部にブレーキ液圧の流通路を設けたオイルボルトを介して接続する事により、ブレーキ液圧制御装置と一体化しても良い。
【0011】
また、増圧弁は、大径部と小径部を有するシリンダ孔内に、ピストンを摺動可能に装着し、このピストンに貫通形成した貫通孔を介してシリンダ孔の大径部と小径部とを連通可能とするとともにピストン発条によりピストンを大径部方向に付勢し、このピストンで区画されるシリンダ孔の大径部側に、マスタシリンダからの出力液圧を導入する入力液圧室を設け、小径部側に車輪ブレーキに接続される出力液圧室を設け、前記ピストンの貫通孔内にバルブステムを摺動可能に挿入配置するとともにこのバルブステムを、ステム発条にて入力液圧室方向に付勢して構成し、常時は、バルブステムとピストンとの間に設けた液路を開口して前記入力液圧室と出力液圧室とを連通可能とし、マスタシリンダからの入力液圧室へのブレーキ液圧の入力により、ピストン発条の付勢力に抗してピストンが出力液圧室の容積を減少させる方向に摺動し液路を閉塞するとともに、この閉塞状態でバルブステムとともにピストンが更に摺動する事で、出力液圧室内が増圧されるものであっても良い。
【0012】
【作用】
本発明は上述の如く構成したもので、アンチロック制御やトラクション制御等を行うブレーキ液圧制御装置の入力ポートに、増圧弁の出力ポートを一体に接続しているので、増圧弁からブレーキ液圧制御装置へのブレーキ液圧の伝達に配管を使用する必要がなく、ブレーキ装置全体が過度に長尺となるのを抑えるとともに、重量を減らしたり、配管の設置の手間を省く事ができる。更に、このブレーキ装置の軽量化及び小型化により、狭い場所でも容易な設置が可能となり、レイアウトの自由度が高まるとともに、車両への取り付けも容易に行う事ができる。
【0013】
また、ブレーキ液圧制御装置と増圧弁は、成形時に同一のボディに一体成形すれば、双方の接続のための部品点数や接続作業を必要とせず、生産性を向上させる事ができる。
【0014】
また、一体化の他の異なる手段として、ブレーキ液圧制御装置と増圧弁とを、各々別個のボディに形成し、ブレーキ液圧制御装置の入力ポートと増圧弁の出力ポートとを、内部にブレーキ液圧の流通路を設けたオイルボルトを介して接続する事で、ブレーキ液圧制御装置と増圧弁とを一体化しても良い。このように、ブレーキ液圧制御装置と増圧弁とを別個に形成する事により、同一ボディに形成した場合に比べて、金型を単純化したり、金型からの取り出し等の作業をより容易なものとする事ができる。また、増圧弁のみを本発明用に製作して、この増圧弁を既存のブレーキ液圧制御装置に接続して使用する事も可能で、汎用性に優れた製品を得る事ができる。またこの方式の場合、ブレーキ液圧制御装置に増圧弁を接続する作業が必要となるが、オイルボルトを螺合するだけなので、従来の如く、配管で連結する場合に比べて容易な作業が可能となる。
【0015】
また、上記増圧弁は、例えば大径部と小径部を有するシリンダ孔内に、ピストンを摺動可能に装着し、このピストンに貫通形成した貫通孔を介してシリンダ孔の大径部と小径部とを連通可能とするとともにピストン発条によりピストンを大径部方向に付勢して形成する。そして、このピストンで区画されるシリンダ孔の大径部側に、マスタシリンダからの出力液圧を導入する入力液圧室を設け、小径部側に車輪ブレーキに接続される出力液圧室を設け、前記ピストンの貫通孔内にバルブステムを摺動可能に挿入配置するとともにこのバルブステムをステム発条にて入力液圧室方向に付勢して構成する。
【0016】
上述の如き増圧弁では、常時はバルブステムとピストンとの間に設けた液路が開口し、前記入力液圧室と出力液圧室とが連通可能となっている。そして、ドライバーがブレーキペダルを踏込んでブレーキ操作を行うと、マスタシリンダから入力液圧室にブレーキ液圧が入力され、このブレーキ液圧の受圧によりピストン発条の付勢力に抗してピストンが出力液圧室の容積を減少させる方向に摺動する事により、液路が閉塞され、前記入力液圧室と出力液圧室とが非連通となる。この液路の閉塞状態で、バルブステムと共にピストンが更に出力液圧室の容積の減少方向に摺動する事で、ピストンの大径側と小径側との受圧面積の面積差に基づいて、出力液圧室のブレーキ液圧が増圧され、出力ポートを介してブレーキ液圧制御装置に出力されるものである。
【0017】
また、ドライバがブレーキペダルの踏込みを開放してブレーキ操作を解除すると、入力液圧室のブレーキ液圧がマスタシリンダ側に解放され、ピストンへの受圧力が解除されるので、ピストンがピストン発条の付勢力により、入力液圧室方向の初期位置に復帰する。このピストンの初期位置への復帰により、液路が開口し、車輪ブレーキのブレーキ液圧が、ブレーキ液圧制御装置を介して増圧弁の出力液圧室に戻され、該出力液圧室から液路、入力液圧室を介してマスタシリンダ側に戻される事で、制動が解除されるものである。
【0018】
【実施例】
以下、本発明の車両用ブレーキ装置の一実施例を図面に於いて詳細に説明する。図1は、本発明のブレーキ装置の第1実施例で、オイルボルトにより一体に連結されたブレーキ液圧制御装置と増圧弁の全体斜視図である。図2は図1のA−A線断面図で、増圧弁の出力ポートとブレーキ液圧の流出路を示したものである。図3は図2のC−C線断面図で、オイルボルトにより接続した増圧弁の出力ポートとブレーキ液圧制御装置の入力ポートを示している。また、図4は図1にB−B線で示す増圧弁の断面図で、ピストンが入力液圧室方向に付勢され、液路が開口して入力液圧室と出力液圧室とが連通している通常状態を示している。図5は入力ポートからのブレーキ液圧の入力により、ピストンが出力液圧室の容積の減少方向に移動し液路が閉塞された状態を示している。図6はピストンとバルブステムとが出力液圧室の容積の減少方向に移動して、出力液圧室内が増圧された状態を示している。
【0019】
上記図1〜図6に於いて、(1)は増圧弁で、マスタシリンダ(図示せず)から入力されるブレーキ液圧を増圧して、ブレーキ液圧制御装置(2)に伝達する。このブレーキ液圧制御装置(2)では、入力されたブレーキ液圧を4つの車輪に各々設けた車輪ブレーキ側に供給して車輪ブレーキによる制動を行うとともに、アンチロック制御やトラクション制御等のブレーキ液圧制御を行い、制動時の車輪のロックやスリップを抑制可能としている。尚、本実施例ではブレーキ液圧制御装置(2)としてアンチロック制御システムを搭載した装置を使用している。
【0020】
また、増圧弁(1)は、アルミ製のボディ本体(23)に、マスタシリンダからのブレーキ液圧の入力ポート(7)及びブレーキ液圧制御装置(2)への出力ポート(8)を各々一対ずつ二系統設けており、この増圧弁(1)からのブレーキ液圧を受圧するブレーキ液圧制御装置(2)も、アルミ製のボディ本体(25)に、ブレーキ液圧の入力ポート(26)を一対ずつ二系統設けている。また、ブレーキ液圧制御装置(2)では、各入力ポート(26)に対して出力ポート(27)を一対ずつ、合計4個の出力ポート(27)を設け、各々を4つの車輪ブレーキに接続している。増圧弁(1)とブレーキ液圧制御装置(2)とを二系統設ける事により、万一ブレーキ液圧の供給源等に失陥が生じて一方又は他方のシステムが作動不良となっても、他方のシステムが正常に作動する事により、何れか2つの車輪ブレーキは確実に作動可能となり、フェールセーフが確保される。
【0021】
また、増圧弁(1)は、図4に示す如く、前記アルミ製のボディ本体(23)内に、大径部(3)と小径部(4)とから成る有底のシリンダ孔(5)を一対設け、大径部(3)側の開口部に装着した閉止栓(6)により、内部を液密的に密閉するとともに、大径部(3)側にマスタシリンダからのブレーキ液圧の入力ポート(7)を設け、小径部(4)側にブレーキ液圧制御装置(2)へのブレーキ液圧の出力ポート(8)を設けている。また、この出力ポート(8)と小径部(4)内部とは、図2、図4〜図6に示す如く、ボディ本体(23)に設けたブレーキ液圧の流出路(24)を介して連通している。
【0022】
そして、前記シリンダ孔(5)内に、大径部(3)と小径部(4)の内径に対応して大径ピストン部(40)と小径ピストン部(41)とを設けた段付きピストン(10)を摺動可能に装着し、このピストン(10)で区画されるシリンダ孔(5)の大径部(3)側に、前記入力ポート(7)を介してマスタシリンダからの出力液圧を受圧する入力液圧室(12)を設け、小径部(4)側に前記出力ポート(8)を介してブレーキ液圧制御装置(2)に接続される出力液圧室(13)を設けている。
【0023】
前記ピストン(10)は、大径ピストン部(40)外周とシリンダ孔(5)の大径部(3)内周との間、及び小径ピストン部(41)外周と小径部(4)内周との間に、ブレーキ液圧を受圧し液密性を保つためのシール部材(9)(19)を、各々装着している。そして、ピストン(10)内部に貫通形成した貫通孔(11)を介して、入力液圧室(12)と出力液圧室(13)とを連通可能としている。また、該ピストン(10)は、出力液圧室(13)に内装したピストン発条(14)(15)にて入力液圧室(12)方向に押圧付勢され、大径ピストン部(40)の端面に突設した突当部(31)を閉止栓(6)に突き当てている。この突当部(31)により、大径ピストン部(40)の端面と閉止栓(6)との間に隙間を生じているので、大径ピストン部(40)にて入力液圧室(12)のブレーキ液圧を受圧可能となっている。
【0024】
また、ピストン(10)は、小径ピストン部(41)側に、前記貫通孔(11)と連通する弁室(42)を設け、貫通孔(11)内にバルブステム(16)を摺動可能に挿入配置している。このバルブステム(16)は、貫通孔(11)への挿入部の外周面を軸方向に凹設してブレーキ液圧の流通可能な流通溝(18)を設けるとともに、弁室(42)側に突出する一端を大径に形成して弁体(20)を設けている。そして、この弁体(20)を、弁室(42)の貫通孔(11)側に設けた弁座(21)に臨ませて配置している。また、小径ピストン部(41)の先端に、ブレーキ液圧の流通穴(43)を開口したリテーナ(44)を固定し、このリテーナ(44)と弁体(20)との間に内装したステム発条(17)にて、該バルブステム(16)を弁座(21)の閉弁方向である入力液圧室(12)方向に押圧付勢している。
【0025】
上述の如き増圧弁(1)では、常時は、図4に示す如く、ピストン(10)が前記ピストン発条(14)(15)によって入力液圧室(12)方向に押圧付勢され、大径ピストン部(40)の突当部(31)を閉止栓(6)に突き当てている。このピストン(10)の初期位置では、ステム発条(17)により押圧付勢されたバルブステム(16)は、入力液圧室(12)の他端が閉止栓(6)に突き当たり、バルブステム(16)の弁体(20)が弁座(21)から離座している。そのため、この弁体(20)と弁座(21)との間の僅かな隙間によって形成される液路(22)が開口し、この液路(22)及びバルブステム(16)の外周の流通溝(18)を介して、入力液圧室(12)と出力液圧室(13)との連通が可能となっている。
【0026】
また、ブレーキ操作によりマスタシリンダから増圧弁(1)に入力ポート(7)を介してブレーキ液圧が入力されると、入力液圧室(12)のブレーキ液圧が高まり、このブレーキ液圧の受圧により、ピストン発条(14)(15)の押圧付勢力に抗して、ピストン(10)が出力液圧室(13)の容積の減少方向に摺動する。この摺動により、図5に示す如く、ピストン(10)の弁座(21)にバルブステム(16)の弁体(20)が着座して、液路(22)が閉塞される事により、入力液圧室(12)と出力液圧室(13)とが非連通となる。
【0027】
この閉塞状態で、バルブステム(16)と共にピストン(10)が更に出力液圧室(13)の容積の減少方向に更に摺動する事により、入力液圧室(12)側のブレーキ液圧を受圧する大径ピストン部(40)のシール部材(9)で受ける受圧面積と、出力液圧室(13)側のブレーキ液圧を受圧する小径ピストン部(41)のシール部材(19)で受ける受圧面積との面積差に基づいて、出力液圧室(13)のブレーキ液圧が増圧されるものである。
【0028】
上述の如く構成した増圧弁(1)とブレーキ液圧制御装置(2)とを一体に設けてブレーキ装置に組み込むが、この一体化は、増圧弁(1)の一対の出力ポート(8)と、ブレーキ液圧制御装置(2)の一対の入力ポート(26)とを、図2、図3に示す如く、内部にブレーキ液圧の流通路(29)を設けたオイルボルト(28)を、螺合して直に接続する事で行っている。そして、オイルボルト(28)、増圧弁(1)、ブレーキ液圧制御装置(2)の各接合部に、各々シール部材(30)を介在させる事で、液密性を高めている。
【0029】
このように、増圧弁(1)とブレーキ液圧制御装置(2)とを、配管を介する事無く、オイルボルト(28)を介して一体に接続しているから、配管を用いた場合に比べてブレーキ装置が過度に長尺とはならず、小型化及び軽量化が可能となる。従って、ブレーキ装置の車両への設置の際のレイアウトの自由度が高まるし、配管が邪魔となったり、配管の配設の手間が無く、車両への取り付け作業も容易に行う事ができる。また、増圧弁(1)とブレーキ液圧制御装置(2)との接続も、オイルボルト(28)を螺合するだけなので、配管による従来の接続に比べ、接続作業を容易に行う事ができる。
【0030】
また、ブレーキ液圧制御装置(2)と増圧弁(1)の双方を本発明用に新たに形成する必要はなく、ブレーキ液圧制御装置(2)は既存のものを使用し、ブレーキ液圧制御装置(2)の入力ポート(26)の座標に合わせて増圧弁(1)のみを本発明用に製作すれば良く、低コストで汎用性に優れた製品を得る事ができる。
【0031】
上述の如きブレーキ装置に於いて、増圧弁(1)は、常時はピストン(10)がピストン発条(14)(15)によって入力液圧室(12)方向に押圧付勢されるとともに、ステム発条(17)によりバルブステム(16)も入力液圧室(12)方向に押圧付勢され、図4に示す如く、他端側を閉止栓(6)に突き当てる事により、バルブステム(16)とピストン(10)との間の液路(22)が開口状態となっている。そして、この液路(22)とバルブステム(16)の外周の流通溝(18)を介して、入力液圧室(12)と出力液圧室(13)とが連通している。
【0032】
そして、ドライバがブレーキペダルを踏込んでブレーキ操作を行うと、マスタシリンダからブレーキ液圧の流れを伴って、増圧弁(1)の一対の入力ポート(7)にブレーキ液圧が伝達される。このブレーキ液圧の入力により、増圧弁(1)では、入力液圧室(12)の内部圧力が高まり、そのブレーキ液圧が所定値を上回ると、このブレーキ液圧を受圧して、ピストン(10)がピストン発条(14)(15)の押圧付勢力に抗して出力液圧室(13)の容積の減少方向に摺動する。このピストン(10)の摺動により、図5に示す如く、ピストン(10)の弁座(21)にバルブステム(16)の弁体(20)が着座して、液路(22)が閉塞され、入力液圧室(12)と出力液圧室(13)とが非連通となる。
【0033】
この非連通状態で、マスタシリンダからのブレーキ液圧の入力により、図6に示す如く、バルブステム(16)と共にピストン(10)が出力液圧室(13)の容積の減少方向に更に摺動する事により、入力液圧室(12)側のブレーキ液圧を受圧する大径ピストン部(40)のシール部材(9)で受ける受圧面積と、小径ピストン部(41)のシール部材(19)で受ける受圧面積との面積差に基づいて、出力液圧室(13)のブレーキ液圧が増圧される。そして、この増圧されたブレーキ液圧が、出力ポート(8)を介してブレーキ液圧制御装置(2)の入力ポート(26)に出力される。この増圧弁(1)から入力されたブレーキ液圧を元にブレーキ液圧制御装置(2)では、路面状況、その他に応じてコンピュータ制御により、ブレーキ液圧を制御して車輪ブレーキに出力し、車輪ブレーキでの制動時のロックやスリップを抑制するものである。
【0034】
次に、ドライバがブレーキペダルの踏込みを開放してブレーキ操作を解除すると、入力液圧室(12)のブレーキ液圧がマスタシリンダ側に解放され、ピストン(10)への受圧力が解除される。従って、ピストン(10)は、ピストン発条(14)(15)により入力液圧室(12)方向に押圧付勢され、図4の初期位置に復帰する。このピストン(10)の初期位置への復帰により、バルブステム(16)も復元移動して、他端を閉止栓(6)に突き当てるから、液路(22)が再び開口する。従って、車輪ブレーキのブレーキ液圧が、ブレーキ液圧制御装置(2)を介して増圧弁(1)の出力液圧室(13)に戻され、該出力液圧室(13)から液路(22)、入力液圧室(12)を介してマスタシリンダに戻されるので、制動が解除されるものとなる。
【0035】
また、上記第1実施例では、増圧弁(1)とブレーキ液圧制御装置(2)とを別個のボディ本体(23)(25)に各々形成し、オイルボルト(28)により双方を一体に接続しているが、他の異なる実施例として、増圧弁(1)とブレーキ液圧制御装置(2)とを、同一のボディに一体に形成しても良く、一度の成形で増圧弁(1)ブレーキ液圧制御装置(2)とを一体に形成する事で、製造工程を減らす事が可能となる。
【0036】
【発明の効果】
本発明は上述の如く構成したものであり、車両用ブレーキ装置の増圧弁とブレーキ液圧制御装置とを、配管を介する事無く一体に接続しているので、ブレーキ装置が過度に長尺とはならず、ブレーキ装置の小型化さらには軽量化が可能となり、車両設置の際のレイアウトの自由度が高まる。また、配管の配設の手間を省くとともに、配管に邪魔される事の無い作業が可能で、ブレーキ装置の車両への取り付け作業も容易に行う事が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例で、増圧弁とブレーキ液圧制御装置の全体斜視図。
【図2】図1のA−A線断面図。
【図3】図2のC−C線断面図。
【図4】図1にB−B線で示す増圧弁の断面図。
【図5】増圧弁でのブレーキ液圧の増圧過程で、ピストンが出力液圧室の容積の減少方向に摺動し液路が閉塞された状態を示す増圧弁の断面図。
【図6】ピストンとバルブステムとが出力液圧室の容積の減少方向に摺動し、出力液圧室の増圧が行われた状態を示す増圧弁の断面図。
【符号の説明】
1 増圧弁
2 ブレーキ液圧制御装置
3 大径部
4 小径部
5 シリンダ孔
7 入力ポート
8 出力ポート
10 ピストン
11 貫通孔
12 入力液圧室
13 出力液圧室
14 ピストン発条
15 ピストン発条
16 バルブステム
17 ステム発条
22 液路
26 入力ポート
28 オイルボルト
29 流通路
【産業上の利用分野】
本発明は、ブレーキ操作により発生するマスタシリンダのブレーキ液圧により車輪ブレーキを作動し、制動を行うための車両用ブレーキ装置に係るもので、マスタシリンダのブレーキ液圧を増圧する増圧弁と、この増圧弁からのブレーキ液圧を受けてアンチロック制御やトラクション制御等を行うブレーキ液圧制御装置とを一体化する事で、ブレーキ装置の小型化や軽量化を可能とするものである。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特開平11−227595号公報
【特許文献2】特開平8−11697号公報
【特許文献3】特開平6−1226号公報
【0003】
従来、特許文献1に記載の従来発明の如く、ブレーキ操作により、マスタシリンダで発生したブレーキ液圧を増圧弁で増圧し、車輪ブレーキに出力する車両用ブレーキ装置が存在する。該特許文献1では、マスタシリンダのブレーキ液圧の出力ポートと増圧弁の入力ポートとを配管を介して連結し、ブレーキ操作によるマスタシリンダからのブレーキ液圧を、配管を介して増圧弁に伝達している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術では、マスタシリンダのブレーキ液圧の出力ポートと増圧弁の入力ポートとを配管を介して連結しているため、ブレーキ装置が長尺となり、設置場所が限られてレイアウトの自由度が制限されるとともに、コスト高となったり配管の配設の手間が必要であった。また、車両へのブレーキ装置の設置の際に、配管が邪魔となって取り付けに手間が掛かる虞もあった。
【0005】
また、特許文献2に記載の従来発明は、マスタシリンダに、ブレーキ液圧制御装置の一つであるアンチロック制御装置を一体に設けて、ボディの共有化を図る事により、上記装置の小型化と軽量化を可能とし、レイアウトの自由度を高めようとしている。これに対して、特許文献3に記載の従来発明は、アンチロック制御装置にトラクション制御装置を着脱可能に設け、トラクション制御装置の選択的な設置を可能とするとともに、アンチロック制御装置とトラクション制御装置とで一つの駆動モータを共有化する事により、ブレーキ装置の小型化と軽量化を可能としている。しかしながら、何れもブレーキ液圧制御装置と増圧弁との小型化や軽量化を図ったものではなかった。
【0006】
本発明は上述の如き課題を解決しようとするものであって、マスタシリンダからのブレーキ液圧を増圧する増圧弁と、アンチロック制御やトラクション制御等を行うブレーキ液圧制御装置とを一体に形成可能とする事により、ブレーキ装置が過度に長尺となるのを抑え、配管の使用や配設の手間を省き、ブレーキ装置の小型化と軽量化を可能として、車両への設置時のレイアウトの自由度を高めるとともに、車両への容易な取り付けを可能とするものである。
【0007】
尚、本明細書中のブレーキ液圧制御装置とは、増圧弁からのブレーキ液圧を制御して、車輪ブレーキに出力するもので、アンチロック制御装置、トラクション制御装置、車体挙動安定装置、ブレーキ液圧保持装置等を示すものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述の如き課題を解決するため、ブレーキペダルの踏込みによりブレーキ液圧を発生させるマスタシリンダと、このマスタシリンダからのブレーキ液圧により作動する車輪ブレーキと、マスタシリンダからのブレーキ液圧を増圧して車輪ブレーキへ出力する増圧弁と、この増圧弁と車輪ブレーキとの間に配置されるブレーキ液圧制御装置とから成り、ブレーキ液圧制御装置のブレーキ液圧の入力ポートに、増圧弁の出力ポートを一体に接続して成るものである。
【0009】
また、増圧弁は、ブレーキ液圧制御装置と同一ボディに一体に設けても良い。
【0010】
また、増圧弁は、ブレーキ液圧制御装置とは別個に形成し、増圧弁の出力ポートとブレーキ液圧制御装置の入力ポートとを、内部にブレーキ液圧の流通路を設けたオイルボルトを介して接続する事により、ブレーキ液圧制御装置と一体化しても良い。
【0011】
また、増圧弁は、大径部と小径部を有するシリンダ孔内に、ピストンを摺動可能に装着し、このピストンに貫通形成した貫通孔を介してシリンダ孔の大径部と小径部とを連通可能とするとともにピストン発条によりピストンを大径部方向に付勢し、このピストンで区画されるシリンダ孔の大径部側に、マスタシリンダからの出力液圧を導入する入力液圧室を設け、小径部側に車輪ブレーキに接続される出力液圧室を設け、前記ピストンの貫通孔内にバルブステムを摺動可能に挿入配置するとともにこのバルブステムを、ステム発条にて入力液圧室方向に付勢して構成し、常時は、バルブステムとピストンとの間に設けた液路を開口して前記入力液圧室と出力液圧室とを連通可能とし、マスタシリンダからの入力液圧室へのブレーキ液圧の入力により、ピストン発条の付勢力に抗してピストンが出力液圧室の容積を減少させる方向に摺動し液路を閉塞するとともに、この閉塞状態でバルブステムとともにピストンが更に摺動する事で、出力液圧室内が増圧されるものであっても良い。
【0012】
【作用】
本発明は上述の如く構成したもので、アンチロック制御やトラクション制御等を行うブレーキ液圧制御装置の入力ポートに、増圧弁の出力ポートを一体に接続しているので、増圧弁からブレーキ液圧制御装置へのブレーキ液圧の伝達に配管を使用する必要がなく、ブレーキ装置全体が過度に長尺となるのを抑えるとともに、重量を減らしたり、配管の設置の手間を省く事ができる。更に、このブレーキ装置の軽量化及び小型化により、狭い場所でも容易な設置が可能となり、レイアウトの自由度が高まるとともに、車両への取り付けも容易に行う事ができる。
【0013】
また、ブレーキ液圧制御装置と増圧弁は、成形時に同一のボディに一体成形すれば、双方の接続のための部品点数や接続作業を必要とせず、生産性を向上させる事ができる。
【0014】
また、一体化の他の異なる手段として、ブレーキ液圧制御装置と増圧弁とを、各々別個のボディに形成し、ブレーキ液圧制御装置の入力ポートと増圧弁の出力ポートとを、内部にブレーキ液圧の流通路を設けたオイルボルトを介して接続する事で、ブレーキ液圧制御装置と増圧弁とを一体化しても良い。このように、ブレーキ液圧制御装置と増圧弁とを別個に形成する事により、同一ボディに形成した場合に比べて、金型を単純化したり、金型からの取り出し等の作業をより容易なものとする事ができる。また、増圧弁のみを本発明用に製作して、この増圧弁を既存のブレーキ液圧制御装置に接続して使用する事も可能で、汎用性に優れた製品を得る事ができる。またこの方式の場合、ブレーキ液圧制御装置に増圧弁を接続する作業が必要となるが、オイルボルトを螺合するだけなので、従来の如く、配管で連結する場合に比べて容易な作業が可能となる。
【0015】
また、上記増圧弁は、例えば大径部と小径部を有するシリンダ孔内に、ピストンを摺動可能に装着し、このピストンに貫通形成した貫通孔を介してシリンダ孔の大径部と小径部とを連通可能とするとともにピストン発条によりピストンを大径部方向に付勢して形成する。そして、このピストンで区画されるシリンダ孔の大径部側に、マスタシリンダからの出力液圧を導入する入力液圧室を設け、小径部側に車輪ブレーキに接続される出力液圧室を設け、前記ピストンの貫通孔内にバルブステムを摺動可能に挿入配置するとともにこのバルブステムをステム発条にて入力液圧室方向に付勢して構成する。
【0016】
上述の如き増圧弁では、常時はバルブステムとピストンとの間に設けた液路が開口し、前記入力液圧室と出力液圧室とが連通可能となっている。そして、ドライバーがブレーキペダルを踏込んでブレーキ操作を行うと、マスタシリンダから入力液圧室にブレーキ液圧が入力され、このブレーキ液圧の受圧によりピストン発条の付勢力に抗してピストンが出力液圧室の容積を減少させる方向に摺動する事により、液路が閉塞され、前記入力液圧室と出力液圧室とが非連通となる。この液路の閉塞状態で、バルブステムと共にピストンが更に出力液圧室の容積の減少方向に摺動する事で、ピストンの大径側と小径側との受圧面積の面積差に基づいて、出力液圧室のブレーキ液圧が増圧され、出力ポートを介してブレーキ液圧制御装置に出力されるものである。
【0017】
また、ドライバがブレーキペダルの踏込みを開放してブレーキ操作を解除すると、入力液圧室のブレーキ液圧がマスタシリンダ側に解放され、ピストンへの受圧力が解除されるので、ピストンがピストン発条の付勢力により、入力液圧室方向の初期位置に復帰する。このピストンの初期位置への復帰により、液路が開口し、車輪ブレーキのブレーキ液圧が、ブレーキ液圧制御装置を介して増圧弁の出力液圧室に戻され、該出力液圧室から液路、入力液圧室を介してマスタシリンダ側に戻される事で、制動が解除されるものである。
【0018】
【実施例】
以下、本発明の車両用ブレーキ装置の一実施例を図面に於いて詳細に説明する。図1は、本発明のブレーキ装置の第1実施例で、オイルボルトにより一体に連結されたブレーキ液圧制御装置と増圧弁の全体斜視図である。図2は図1のA−A線断面図で、増圧弁の出力ポートとブレーキ液圧の流出路を示したものである。図3は図2のC−C線断面図で、オイルボルトにより接続した増圧弁の出力ポートとブレーキ液圧制御装置の入力ポートを示している。また、図4は図1にB−B線で示す増圧弁の断面図で、ピストンが入力液圧室方向に付勢され、液路が開口して入力液圧室と出力液圧室とが連通している通常状態を示している。図5は入力ポートからのブレーキ液圧の入力により、ピストンが出力液圧室の容積の減少方向に移動し液路が閉塞された状態を示している。図6はピストンとバルブステムとが出力液圧室の容積の減少方向に移動して、出力液圧室内が増圧された状態を示している。
【0019】
上記図1〜図6に於いて、(1)は増圧弁で、マスタシリンダ(図示せず)から入力されるブレーキ液圧を増圧して、ブレーキ液圧制御装置(2)に伝達する。このブレーキ液圧制御装置(2)では、入力されたブレーキ液圧を4つの車輪に各々設けた車輪ブレーキ側に供給して車輪ブレーキによる制動を行うとともに、アンチロック制御やトラクション制御等のブレーキ液圧制御を行い、制動時の車輪のロックやスリップを抑制可能としている。尚、本実施例ではブレーキ液圧制御装置(2)としてアンチロック制御システムを搭載した装置を使用している。
【0020】
また、増圧弁(1)は、アルミ製のボディ本体(23)に、マスタシリンダからのブレーキ液圧の入力ポート(7)及びブレーキ液圧制御装置(2)への出力ポート(8)を各々一対ずつ二系統設けており、この増圧弁(1)からのブレーキ液圧を受圧するブレーキ液圧制御装置(2)も、アルミ製のボディ本体(25)に、ブレーキ液圧の入力ポート(26)を一対ずつ二系統設けている。また、ブレーキ液圧制御装置(2)では、各入力ポート(26)に対して出力ポート(27)を一対ずつ、合計4個の出力ポート(27)を設け、各々を4つの車輪ブレーキに接続している。増圧弁(1)とブレーキ液圧制御装置(2)とを二系統設ける事により、万一ブレーキ液圧の供給源等に失陥が生じて一方又は他方のシステムが作動不良となっても、他方のシステムが正常に作動する事により、何れか2つの車輪ブレーキは確実に作動可能となり、フェールセーフが確保される。
【0021】
また、増圧弁(1)は、図4に示す如く、前記アルミ製のボディ本体(23)内に、大径部(3)と小径部(4)とから成る有底のシリンダ孔(5)を一対設け、大径部(3)側の開口部に装着した閉止栓(6)により、内部を液密的に密閉するとともに、大径部(3)側にマスタシリンダからのブレーキ液圧の入力ポート(7)を設け、小径部(4)側にブレーキ液圧制御装置(2)へのブレーキ液圧の出力ポート(8)を設けている。また、この出力ポート(8)と小径部(4)内部とは、図2、図4〜図6に示す如く、ボディ本体(23)に設けたブレーキ液圧の流出路(24)を介して連通している。
【0022】
そして、前記シリンダ孔(5)内に、大径部(3)と小径部(4)の内径に対応して大径ピストン部(40)と小径ピストン部(41)とを設けた段付きピストン(10)を摺動可能に装着し、このピストン(10)で区画されるシリンダ孔(5)の大径部(3)側に、前記入力ポート(7)を介してマスタシリンダからの出力液圧を受圧する入力液圧室(12)を設け、小径部(4)側に前記出力ポート(8)を介してブレーキ液圧制御装置(2)に接続される出力液圧室(13)を設けている。
【0023】
前記ピストン(10)は、大径ピストン部(40)外周とシリンダ孔(5)の大径部(3)内周との間、及び小径ピストン部(41)外周と小径部(4)内周との間に、ブレーキ液圧を受圧し液密性を保つためのシール部材(9)(19)を、各々装着している。そして、ピストン(10)内部に貫通形成した貫通孔(11)を介して、入力液圧室(12)と出力液圧室(13)とを連通可能としている。また、該ピストン(10)は、出力液圧室(13)に内装したピストン発条(14)(15)にて入力液圧室(12)方向に押圧付勢され、大径ピストン部(40)の端面に突設した突当部(31)を閉止栓(6)に突き当てている。この突当部(31)により、大径ピストン部(40)の端面と閉止栓(6)との間に隙間を生じているので、大径ピストン部(40)にて入力液圧室(12)のブレーキ液圧を受圧可能となっている。
【0024】
また、ピストン(10)は、小径ピストン部(41)側に、前記貫通孔(11)と連通する弁室(42)を設け、貫通孔(11)内にバルブステム(16)を摺動可能に挿入配置している。このバルブステム(16)は、貫通孔(11)への挿入部の外周面を軸方向に凹設してブレーキ液圧の流通可能な流通溝(18)を設けるとともに、弁室(42)側に突出する一端を大径に形成して弁体(20)を設けている。そして、この弁体(20)を、弁室(42)の貫通孔(11)側に設けた弁座(21)に臨ませて配置している。また、小径ピストン部(41)の先端に、ブレーキ液圧の流通穴(43)を開口したリテーナ(44)を固定し、このリテーナ(44)と弁体(20)との間に内装したステム発条(17)にて、該バルブステム(16)を弁座(21)の閉弁方向である入力液圧室(12)方向に押圧付勢している。
【0025】
上述の如き増圧弁(1)では、常時は、図4に示す如く、ピストン(10)が前記ピストン発条(14)(15)によって入力液圧室(12)方向に押圧付勢され、大径ピストン部(40)の突当部(31)を閉止栓(6)に突き当てている。このピストン(10)の初期位置では、ステム発条(17)により押圧付勢されたバルブステム(16)は、入力液圧室(12)の他端が閉止栓(6)に突き当たり、バルブステム(16)の弁体(20)が弁座(21)から離座している。そのため、この弁体(20)と弁座(21)との間の僅かな隙間によって形成される液路(22)が開口し、この液路(22)及びバルブステム(16)の外周の流通溝(18)を介して、入力液圧室(12)と出力液圧室(13)との連通が可能となっている。
【0026】
また、ブレーキ操作によりマスタシリンダから増圧弁(1)に入力ポート(7)を介してブレーキ液圧が入力されると、入力液圧室(12)のブレーキ液圧が高まり、このブレーキ液圧の受圧により、ピストン発条(14)(15)の押圧付勢力に抗して、ピストン(10)が出力液圧室(13)の容積の減少方向に摺動する。この摺動により、図5に示す如く、ピストン(10)の弁座(21)にバルブステム(16)の弁体(20)が着座して、液路(22)が閉塞される事により、入力液圧室(12)と出力液圧室(13)とが非連通となる。
【0027】
この閉塞状態で、バルブステム(16)と共にピストン(10)が更に出力液圧室(13)の容積の減少方向に更に摺動する事により、入力液圧室(12)側のブレーキ液圧を受圧する大径ピストン部(40)のシール部材(9)で受ける受圧面積と、出力液圧室(13)側のブレーキ液圧を受圧する小径ピストン部(41)のシール部材(19)で受ける受圧面積との面積差に基づいて、出力液圧室(13)のブレーキ液圧が増圧されるものである。
【0028】
上述の如く構成した増圧弁(1)とブレーキ液圧制御装置(2)とを一体に設けてブレーキ装置に組み込むが、この一体化は、増圧弁(1)の一対の出力ポート(8)と、ブレーキ液圧制御装置(2)の一対の入力ポート(26)とを、図2、図3に示す如く、内部にブレーキ液圧の流通路(29)を設けたオイルボルト(28)を、螺合して直に接続する事で行っている。そして、オイルボルト(28)、増圧弁(1)、ブレーキ液圧制御装置(2)の各接合部に、各々シール部材(30)を介在させる事で、液密性を高めている。
【0029】
このように、増圧弁(1)とブレーキ液圧制御装置(2)とを、配管を介する事無く、オイルボルト(28)を介して一体に接続しているから、配管を用いた場合に比べてブレーキ装置が過度に長尺とはならず、小型化及び軽量化が可能となる。従って、ブレーキ装置の車両への設置の際のレイアウトの自由度が高まるし、配管が邪魔となったり、配管の配設の手間が無く、車両への取り付け作業も容易に行う事ができる。また、増圧弁(1)とブレーキ液圧制御装置(2)との接続も、オイルボルト(28)を螺合するだけなので、配管による従来の接続に比べ、接続作業を容易に行う事ができる。
【0030】
また、ブレーキ液圧制御装置(2)と増圧弁(1)の双方を本発明用に新たに形成する必要はなく、ブレーキ液圧制御装置(2)は既存のものを使用し、ブレーキ液圧制御装置(2)の入力ポート(26)の座標に合わせて増圧弁(1)のみを本発明用に製作すれば良く、低コストで汎用性に優れた製品を得る事ができる。
【0031】
上述の如きブレーキ装置に於いて、増圧弁(1)は、常時はピストン(10)がピストン発条(14)(15)によって入力液圧室(12)方向に押圧付勢されるとともに、ステム発条(17)によりバルブステム(16)も入力液圧室(12)方向に押圧付勢され、図4に示す如く、他端側を閉止栓(6)に突き当てる事により、バルブステム(16)とピストン(10)との間の液路(22)が開口状態となっている。そして、この液路(22)とバルブステム(16)の外周の流通溝(18)を介して、入力液圧室(12)と出力液圧室(13)とが連通している。
【0032】
そして、ドライバがブレーキペダルを踏込んでブレーキ操作を行うと、マスタシリンダからブレーキ液圧の流れを伴って、増圧弁(1)の一対の入力ポート(7)にブレーキ液圧が伝達される。このブレーキ液圧の入力により、増圧弁(1)では、入力液圧室(12)の内部圧力が高まり、そのブレーキ液圧が所定値を上回ると、このブレーキ液圧を受圧して、ピストン(10)がピストン発条(14)(15)の押圧付勢力に抗して出力液圧室(13)の容積の減少方向に摺動する。このピストン(10)の摺動により、図5に示す如く、ピストン(10)の弁座(21)にバルブステム(16)の弁体(20)が着座して、液路(22)が閉塞され、入力液圧室(12)と出力液圧室(13)とが非連通となる。
【0033】
この非連通状態で、マスタシリンダからのブレーキ液圧の入力により、図6に示す如く、バルブステム(16)と共にピストン(10)が出力液圧室(13)の容積の減少方向に更に摺動する事により、入力液圧室(12)側のブレーキ液圧を受圧する大径ピストン部(40)のシール部材(9)で受ける受圧面積と、小径ピストン部(41)のシール部材(19)で受ける受圧面積との面積差に基づいて、出力液圧室(13)のブレーキ液圧が増圧される。そして、この増圧されたブレーキ液圧が、出力ポート(8)を介してブレーキ液圧制御装置(2)の入力ポート(26)に出力される。この増圧弁(1)から入力されたブレーキ液圧を元にブレーキ液圧制御装置(2)では、路面状況、その他に応じてコンピュータ制御により、ブレーキ液圧を制御して車輪ブレーキに出力し、車輪ブレーキでの制動時のロックやスリップを抑制するものである。
【0034】
次に、ドライバがブレーキペダルの踏込みを開放してブレーキ操作を解除すると、入力液圧室(12)のブレーキ液圧がマスタシリンダ側に解放され、ピストン(10)への受圧力が解除される。従って、ピストン(10)は、ピストン発条(14)(15)により入力液圧室(12)方向に押圧付勢され、図4の初期位置に復帰する。このピストン(10)の初期位置への復帰により、バルブステム(16)も復元移動して、他端を閉止栓(6)に突き当てるから、液路(22)が再び開口する。従って、車輪ブレーキのブレーキ液圧が、ブレーキ液圧制御装置(2)を介して増圧弁(1)の出力液圧室(13)に戻され、該出力液圧室(13)から液路(22)、入力液圧室(12)を介してマスタシリンダに戻されるので、制動が解除されるものとなる。
【0035】
また、上記第1実施例では、増圧弁(1)とブレーキ液圧制御装置(2)とを別個のボディ本体(23)(25)に各々形成し、オイルボルト(28)により双方を一体に接続しているが、他の異なる実施例として、増圧弁(1)とブレーキ液圧制御装置(2)とを、同一のボディに一体に形成しても良く、一度の成形で増圧弁(1)ブレーキ液圧制御装置(2)とを一体に形成する事で、製造工程を減らす事が可能となる。
【0036】
【発明の効果】
本発明は上述の如く構成したものであり、車両用ブレーキ装置の増圧弁とブレーキ液圧制御装置とを、配管を介する事無く一体に接続しているので、ブレーキ装置が過度に長尺とはならず、ブレーキ装置の小型化さらには軽量化が可能となり、車両設置の際のレイアウトの自由度が高まる。また、配管の配設の手間を省くとともに、配管に邪魔される事の無い作業が可能で、ブレーキ装置の車両への取り付け作業も容易に行う事が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例で、増圧弁とブレーキ液圧制御装置の全体斜視図。
【図2】図1のA−A線断面図。
【図3】図2のC−C線断面図。
【図4】図1にB−B線で示す増圧弁の断面図。
【図5】増圧弁でのブレーキ液圧の増圧過程で、ピストンが出力液圧室の容積の減少方向に摺動し液路が閉塞された状態を示す増圧弁の断面図。
【図6】ピストンとバルブステムとが出力液圧室の容積の減少方向に摺動し、出力液圧室の増圧が行われた状態を示す増圧弁の断面図。
【符号の説明】
1 増圧弁
2 ブレーキ液圧制御装置
3 大径部
4 小径部
5 シリンダ孔
7 入力ポート
8 出力ポート
10 ピストン
11 貫通孔
12 入力液圧室
13 出力液圧室
14 ピストン発条
15 ピストン発条
16 バルブステム
17 ステム発条
22 液路
26 入力ポート
28 オイルボルト
29 流通路
Claims (4)
- ブレーキペダルの踏込みによりブレーキ液圧を発生させるマスタシリンダと、このマスタシリンダからのブレーキ液圧により作動する車輪ブレーキと、マスタシリンダからのブレーキ液圧を増圧して車輪ブレーキへ出力する増圧弁と、この増圧弁と車輪ブレーキとの間に配置されるブレーキ液圧制御装置とから成り、ブレーキ液圧制御装置のブレーキ液圧の入力ポートに、増圧弁の出力ポートを一体に接続した事を特徴とする車両用ブレーキ装置。
- 増圧弁は、ブレーキ液圧制御装置と同一ボディに一体に設けた事を特徴とする請求項1の車両用ブレーキ装置。
- 増圧弁は、ブレーキ液圧制御装置とは別個に形成し、増圧弁の出力ポートとブレーキ液圧制御装置の入力ポートとを、内部にブレーキ液圧の流通路を設けたオイルボルトを介して接続する事により、ブレーキ液圧制御装置と一体化した事を特徴とする請求項1の車両用ブレーキ装置。
- 増圧弁は、大径部と小径部を有するシリンダ孔内に、ピストンを摺動可能に装着し、このピストンに貫通形成した貫通孔を介してシリンダ孔の大径部と小径部とを連通可能とするとともにピストン発条によりピストンを大径部方向に付勢し、このピストンで区画されるシリンダ孔の大径部側に、マスタシリンダからの出力液圧を導入する入力液圧室を設け、小径部側に車輪ブレーキに接続される出力液圧室を設け、前記ピストンの貫通孔内にバルブステムを摺動可能に挿入配置するとともにこのバルブステムを、ステム発条にて入力液圧室方向に付勢して構成し、常時は、バルブステムとピストンとの間に設けた液路を開口して前記入力液圧室と出力液圧室とを連通可能とし、マスタシリンダからの入力液圧室へのブレーキ液圧の入力により、ピストン発条の付勢力に抗してピストンが出力液圧室の容積を減少させる方向に摺動し液路を閉塞するとともに、この閉塞状態でバルブステムとともにピストンが更に摺動する事で、出力液圧室内が増圧される事を特徴とする請求項1、2又は3の車両用ブレーキ装置。
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