JP2004142596A - 車両用空調装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】蓄冷媒体と空調風との熱交換を行う放冷器を新たに追加することなく、とくに車両の制動力を有効利用して効率よく蓄冷できるようにし、それによってアイドリングストップ時の冷房能力の確保やアイドル時の空調消費動力の低減等を行うことが可能な車両用空調装置を提供する。
【解決手段】冷却器と、圧縮機を備えた冷媒循環経路と、加熱器と、車両の減速判断手段と、加熱器に出入りするエンジン冷却水の循環経路の加熱器の入口側と出口側の双方または片方について冷却水の流れを遮断可能な遮断機構とを有する車両用空調装置において、減速判断手段により車両が減速状態であると判定または検知されたとき、遮断機構を遮断し、かつ、加熱器へ冷却器通過後の空気を通過させることにより蓄冷を行うことを特徴とする車両用空調装置。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用空調装置に関し、とくに、車両が適当な状態にあるときに空調装置内における冷熱エネルギーを蓄えておき、それを要求に応じて回生することが可能で、それによって省動力化を達成できるようにした車両用空調装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、車両の低燃費化が進むにつれ、車両用空調装置における省動力化の要求が高まっている。また、ハイブリッド車両や電動車両では、アイドル時にエンジンストップを行うため、これに対応できる車両用空調装置が求められている。これらの要求に対して、別途蓄冷媒体の循環系を設け、走行時に蓄冷媒体へ冷熱を蓄冷しておき、アイドルストップ時は冷房用の冷熱を蓄冷エネルギーで補う技術が知られている。また、蒸発器からの冷風により、下流側に設けられたヒータコアを冷却して蓄冷し、蓄冷エネルギーを適宜放冷するようにした技術も知られている(たとえば、特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−1750号公報(特許請求の範囲)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記の別途蓄冷媒体の循環系を設ける方法では、蓄冷媒体と空調風との熱交換を行う放冷器が必要となり、現行のエアコンユニットよりも、体積と重量が増大してしまうという問題がある。また、上記特許文献1に記載の方法では、通常走行時に蒸発器からの冷風を利用して蓄冷する方式であり、省動力の面からは必ずしも最適な制御とはいえないという問題がある。
【0005】
そこで本発明の課題は、上記のような問題点に着目し、蓄冷媒体と空調風との熱交換を行う放冷器を新たに追加することなく、とくに車両の制動力を有効利用して効率よく蓄冷、蓄熱できるようにし、それによってアイドリングストップ時の冷房能力の確保やアイドル時の空調消費動力の低減等を行うことが可能な車両用空調装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明に係る車両用空調装置は、車室内吹き出し空気を冷却する冷却器と、該冷却器を冷却する冷媒を圧縮する圧縮機を備えた冷媒循環経路と、車室内吹き出し空気を加熱する加熱器と、車両が減速状態であるか否かを判定または検知する減速判断手段と、前記加熱器に出入りするエンジン冷却水の循環経路の加熱器の入口側と出口側の双方または片方について冷却水の流れを遮断可能な遮断機構とを有する車両用空調装置において、前記減速判断手段により車両が減速状態であると判定または検知されたとき、前記遮断機構を遮断し、かつ、前記加熱器へ冷却器通過後の空気を通過させることにより蓄冷または蓄熱を行うことを特徴とするものからなる。
【0007】
この車両用空調装置においては、前記加熱器を通過する車室内吹き出し空気の量を調節する手段としてのエアミックスダンパを備え、前記減速判断手段により車両が減速状態であると判定または検知されたとき、前記加熱器を通過する車室内吹き出し空気量が増大するようにエアミックスダンパを制御するように構成することができる。
【0008】
また、前記減速判断手段により車両が減速状態であると判定または検知されたとき、前記圧縮機の稼働率または吐出容量を増加させる、または、前記冷却器の出口空気温度の目標値を低く設定するように構成することができる。
【0009】
上記蓄冷は、冷却器通過後の空気を加熱する必要のない最大冷房運転時において行うことが好ましい。
【0010】
また、本発明に係る車両用空調装置は、車両がアイドル状態またはアイドリングストップ状態であることを検知するアイドル検知手段を有し、該アイドル検知手段によりアイドル状態またはアイドリングストップ状態であると検知されたとき、前記加熱器へ空気を導入し、蓄冷した冷熱を放冷するように構成することができる。
【0011】
また、本発明に係る車両用空調装置は、車両がアイドル状態またはアイドリングストップ状態であることを検知するアイドル検知手段を有し、該アイドル検知手段によりアイドル状態またはアイドリングストップ状態に入ったと検知されたとき、前記加熱器を通過する風量を0にするようにまたは減少させるようにエアミックスダンパを制御するように構成することができる。
【0012】
また、本発明に係る車両用空調装置は、車両がアイドル状態またはアイドリングストップ状態であることを検知するアイドル検知手段を有し、停車時において、アイドリングストップ状態であると検知されたときには、前記加熱器を通過する風量を徐々に増加させるようにエアミックスダンパを制御し、アイドル状態であると検知されたときには、前記圧縮機の稼動率または吐出容量を減少させ、または、前記冷却器の出口空気温度目標値を高く設定し、かつ、前記加熱器を通過する風量を徐々に増加させるようにエアミックスダンパを制御するように構成することができる。
【0013】
また、本発明に係る車両用空調装置においては、エアミックスダンパ開度が増加するに従い送風機風量を増加させることが好ましい。
【0014】
また、本発明に係る車両用空調装置は、前記加熱器内または前記冷却水循環経路の前記遮断機構よりも加熱器に近い部位における冷却水温度または配管表面温度または加熱器表面温度または加熱器通過後の空気温度を検知する手段としての加熱器温度検知手段を備え、前記最大冷房運転時において、加熱器温度検知手段の検知量がある所定値A以上の場合は、エアミックスダンパ開度がある設定値B以上にならないようにエアミックスダンパを制御するように構成することができる。
【0015】
また、本発明に係る車両用空調装置は、前記加熱器を通過直後の空気温度を検知する手段として加熱器出口空気温度検知手段を備え、前記冷却器の出口空気温度検知手段の検知量と、前記加熱器出口空気温度検知手段の検知量を参照して、車室内への吹き出し空気温度が目標吹き出し空気温度となるようにエアミックスダンパ開度を決定するように構成することができる。
【0016】
また、本発明はリヒート方式の車両用空調装置にも適用できる。つまり、本発明に係る車両用空調装置を、前記冷却器通過後の車室内吹き出し空気の全量が常に前記加熱器へ流入し、加熱器内を循環する冷却水量を、流量調節機構または循環ポンプの回転数により制御して車室内吹き出し空気の温調を行うリヒート方式の車両用空調装置に構成することができる。
【0017】
また、本発明に係る車両用空調装置は、前記加熱器の入口部と出口部を導通し、冷却水を加熱器内において蓄冷または蓄熱媒体として循環可能とする媒体循環経路を有し、該媒体循環経路上に媒体を循環させるポンプと媒体を貯留する媒体貯槽とが設けられている構成とすることもできる。この媒体貯槽は、が前記加熱器と別体に構成することもでき、一体に構成することもできる。
【0018】
また、本発明に係る車両用空調装置は、前記圧縮機により圧縮された高温高圧の冷媒を前記冷却器へ流入させることを可能とし、前記冷却器を加熱手段として用いることが可能なヒートポンプシステムを備えている車両用空調装置において、前記加熱器への蓄熱を行うようにした車両用空調装置としても構成可能である。
【0019】
上記のような本発明に係る車両用空調装置においては、車両の制動時に放出されるエネルギーに着目し、この制動エネルギーを加熱器に蓄冷エネルギーとして蓄え、これを、アイドルストップ時や冷房能力不足時に放冷することにより、望ましい冷房能力を確保することが可能になる。また、従来無駄に捨てられていた制動エネルギーを冷房能力の補充に利用できるので、省動力化も達成できる。また、本発明に係る車両用空調装置は現行のエアコンユニットで実現可能である。さらに、本発明に係る車両用空調装置は、エアミックスダンパを備えない、いわゆるリヒート方式のユニットにも適用可能である。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の望ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施態様に係る車両用空調装置を示している。この車両用空調装置には、車室内吹き出し空気を冷却する冷却器6(冷媒の蒸発器)が設けられており、冷却器6には冷却回路としての冷媒循環経路1の冷媒が循環されて冷却器6が冷却される。冷媒循環経路1には、冷媒を圧縮する圧縮機2と、凝縮器3、受液器4、および膨張弁等からなる絞り機構5が設けられている。通風ダクト10(空調ユニット)の入口側には送風機9(ブロワ)が設けられており、吸入された空気が、冷却器6、その下流側に配置された加熱器8を通過された後、温調された空気として、開閉あるいは開度調節されたDEF、VENT、FOOT等の吹き出し口から車室内に吹き出される。加熱器8の直前にはエアミックスダンパ7が設けられており、加熱器8の通過風とバイパス風の割合がエアミックスダンパ7の開度によって制御できるようになっている。冷却器6の出口側には、冷却器出口空気温度センサ11が設けられている。加熱器8の出口側には、加熱器8を通過直後の空気温度を検知する手段として加熱器出口空気温度センサ12が設けられている。この加熱器出口空気温度センサ12に代えて、加熱器8内または後述の冷却水循環経路の遮断機構よりも加熱器8に近い部位における冷却水温度または配管表面温度または加熱器表面温度を検知する手段としての加熱器温度検知手段を設けることも可能である。
【0021】
加熱器8には、図2、図3にも示すように、冷却水循環経路13を介してエンジン冷却水を循環できるようになっている。冷却水循環経路13の加熱器8への入口側には、開閉弁からなる第1遮断機構14が、出口側には第2遮断機構15が設けられており、エンジン側から加熱器8への冷却水の循環を遮断できるようになっている。また、入口側に設けられたウォータバルブ16により加熱器8への冷却水供給量を制御できるようになっている。
【0022】
加熱器8に対しては、図2に示すように、その入口部と出口部を導通し、冷却水を加熱器8内において蓄冷または蓄熱媒体として循環可能とする媒体循環経路17を設けることができ、この媒体循環経路17上には、媒体を循環させるポンプ18と媒体を貯留する媒体貯槽19とを設けることができる。媒体循環経路17、とくに媒体貯槽19には、加熱器8内を循環される媒体の温度を検知する温度センサ20を設けておくことが好ましい。なお、図2には、媒体貯槽19を加熱器8とは別体に媒体循環経路17上に設けた態様を示したが、図3に示すように、媒体貯槽19を加熱器8と一体に構成した構造とすることもできる。媒体貯槽19に蓄えられた所定温度の蓄冷媒体または蓄熱媒体を、冷却水循環経路13から遮断された加熱器8内に循環させることにより、加熱器8から必要に応じて放冷または放熱させることが可能になり、冷房不足、暖房不足を補うことが可能となる。
【0023】
次に、本発明に係る車両用空調装置の制御について説明する。本発明に係る制御は、とくに最大冷房運転時(エアミックスダンパ開度がMAXCOOLになる条件)において実施することができる。
【0024】
ここで、最大冷房運転時とは、▲1▼マニュアルエアコン、オートエアコンにおいて、吹き出し空気温度の設定レバーを最も冷房側へ動かしたとき、または設定温度を最も低い値に設定したとき、または▲2▼オートエアコンにおいて、車室内への必要吹き出し温度Ta0 の計算値が、冷却器出口空気温度の検知量以下となったときである。Ta0は、目標の車室内温度を実現するために必要な吹き出し温度であり、以下の式で計算される。
Ta0 = f(Tset,Tout,Tin,Rsun,BLV)
ここで、Tset: 室温設定値、Tout:外気温度、Tin:内気温度、Rsun:日射量、BLV:ブロワ電圧である。
【0025】
<遮断機構制御>
最大冷房運転時には、加熱器8へエンジンを冷却した温水が流入しないように、加熱器8の上流、下流に設けられた遮断機構14、15を遮断する。
以下は、最大冷房運転時における制御として記述する。
【0026】
<走行状態による制御>
▲1▼減速時
減速時には圧縮機2の稼働率、または吐出容量を大とする。これによって、車両の制動力をより多く冷熱に変換することができる。さらに、エアミックスダンパ7をMAXHOT側へ動かし、加熱器8へ冷風を導入し、加熱器8内の冷却水に冷熱を蓄える。
【0027】
▲2▼停車時
アイドリングストップ車両においては、エンジンが停止するため冷却器6の温度が上昇する。アイドリングストップをしない車両においては、圧縮機の稼動率、または容量を減少させることにより車両燃費の向上をはかることができる。冷却器の熱源不足に対して、停車時には一旦エアミックスダンパ7をMAXCOOL状態とすることにより加熱器8の温度上昇を防ぐ。そして、
目標冷却器出口空気温度<冷却器出口空気温度検知量
となったら、エアミックスダンパ7をMAXHOT側へ動かし加熱器8に蓄えられた冷熱を放冷する。これによって、冷房能力不足を補うことができる。ここで、エアミックスダンパ7の開度は次式により制御する。
SW=1−(Ta0−Th)/(Te−Th)
SW:エアミックスダンパ開度(1がMAXHOT、0がMAXCOOL)
Ta0:必要吹き出し温度
Th:加熱器通過後空気温度
Te:冷却器通過後空気温度
【0028】
また、
加熱器出口空気温度>目標冷却器出口空気温度
となったらエンジン作動、または圧縮機の稼動率あるいは吐出容量を増大する。
【0029】
▲3▼加速時
加速時には、エンジン負荷を低減するため、圧縮機容量を小とする。停車→加速への移行時は、エアミックスダンパ7はMAXHOTのままで加熱器8の冷熱を放冷すればよい。
【0030】
▲4▼一定速での走行時
常にエアミックスダンパ7をMAXHOT状態にすると、通風抵抗が増大し問題であるため、中間付近へ動かし、車室内吹き出し空気の一部を加熱器8へ流入させる。つまり、走行中に加熱器8を常に冷やすようにする。減速時には加熱器8をさらに低温とする。これにより、より長いアイドリングストップに対応することが可能となる。
【0031】
<温風吹き出し防止制御>
通常の冷房時から最大冷房運転時に移行した場合には、加熱器8内が温水で満たされている。したがって、減速時にMAXHOTへエアミックスダンパ7を動かすと車室内に温風が吹き出してしまうこととなる。よって、加熱器8の表面温度、または加熱器出入口の配管表面温度等を検知して、検知量が所定値A以上の場合は、エアミックスダンパ7をある設定値B以上の開度にすることを禁止する(ここでMAXHOT時の開度を1、MAXCOOL時の開度を0とする)。これによりエアミックスダンパ開度は設定値B以上にはならないので、車室内吹き出し空気の上昇を最小限に抑えつつ、加熱器8を冷却することができるようになる。なおここで、設定値Bは加熱器の温度検知量が所定値Aに近づくほど、1に近い値となるような可変値として設定してもよい。
【0032】
<車室内吹き出し風量制御>
MAXHOT側へエアミックスダンパ7を動かして、加熱器8への車室内吹き出し空気流入量を増加させるに従い、通風抵抗が増大して車室内吹き出し風量が低下する。よって、エアミックスダンパ開度が増大するにしたがって、ブロワ風量を増大するよう制御すれば、車室内への吹き出し風量を低下させないようにすることができる。
【0033】
また、減速時にはMAXHOT側へエアミックスダンパ7を動かし、かつ風量を増大させれば、車両の制動力をより多く冷熱へ変換することができる。
【0034】
また、停車時の加熱器8による放冷時にもエアミックスダンパ7をMAXHOT側へ動かすが、ここで風量を増大してしまうと、アイドルストップ可能時間が短くなってしまう。よって、多少の吹き出し風量の低下が生じてしまうが、エアミックスダンパ7の開度に応じてブロワ風量を増大する制御を停車時には行わないようにしてもよい。
【0035】
本発明では上記のような制御を行うことが可能であり、各種状態における制御パターンの例を、タイムチャートとして図4に例示した。
【0036】
なお、本発明は、前述したように、リヒート方式の車両用空調装置にも適用できる。つまり、エアミックスダンパを備えず、冷却器通過後の車室内吹き出し空気の全量が常に前記加熱器へ流入するタイプの車両用空調装置に適用することも可能である。
【0037】
さらに、本発明は、前述したように、圧縮機により圧縮された高温高圧の冷媒を冷却器へ流入させることを可能とし、冷却器を加熱手段として用いることが可能なヒートポンプシステムを備えている車両用空調装置に対しても、加熱器への蓄熱を行うようにした構成として適用することが可能である。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る車両用空調装置によれば、車両の制動エネルギーを効率よく蓄冷でき、アイドルストップ時や冷房能力不足時に放冷して、所望の冷房能力を確保するとが可能となる。また、暖房の熱源が不足した際においても、蓄熱した熱エネルギーを放熱し、空調用熱源の不足を補うことが可能となる。したがって、空調制御全体として省動力化をはかることができる。さらに、この本発明に係る車両用空調装置は、現行のエアコンユニットで実現可能であり、容易に実施できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施態様に係る車両用空調装置の機器系統図である。
【図2】図1の加熱器周りの概略配管系統図である。
【図3】加熱器周りの別の概略配管系統図である。
【図4】本発明に係る車両用空調装置の制御例を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
1 冷媒循環経路
2 圧縮機
3 凝縮器
4 受液器
5 絞り機構
6 冷却器
7 エアミックスダンパ
8 加熱器
9 送風機
9 ポンプ
10 通風ダクト(空調ユニット)
11 冷却器出口空気温度センサ
12 加熱器出口空気温度センサ
13 冷却水循環経路
14 第1遮断機構
15 第2遮断機構
16 ウォータバルブ
17 媒体循環経路
18 ポンプ
19 媒体貯槽
20 温度センサ

Claims (14)

  1. 車室内吹き出し空気を冷却する冷却器と、該冷却器を冷却する冷媒を圧縮する圧縮機を備えた冷媒循環経路と、車室内吹き出し空気を加熱する加熱器と、車両が減速状態であるか否かを判定または検知する減速判断手段と、前記加熱器に出入りするエンジン冷却水の循環経路の加熱器の入口側と出口側の双方または片方について冷却水の流れを遮断可能な遮断機構とを有する車両用空調装置において、前記減速判断手段により車両が減速状態であると判定または検知されたとき、前記遮断機構を遮断し、かつ、前記加熱器へ冷却器通過後の空気を通過させることにより蓄冷または蓄熱を行うことを特徴とする車両用空調装置。
  2. 前記加熱器を通過する車室内吹き出し空気の量を調節する手段としてのエアミックスダンパを備え、前記減速判断手段により車両が減速状態であると判定または検知されたとき、前記加熱器を通過する車室内吹き出し空気量が増大するようにエアミックスダンパを制御する、請求項1の車両用空調装置。
  3. 前記減速判断手段により車両が減速状態であると判定または検知されたとき、前記圧縮機の稼働率または吐出容量を増加させる、または、前記冷却器の出口空気温度の目標値を低く設定する、請求項1または2の車両用空調装置。
  4. 冷却器通過後の空気を加熱する必要のない最大冷房運転時において、前記蓄冷を行う、請求項1〜3のいずれかに記載の車両用空調装置。
  5. 車両がアイドル状態またはアイドリングストップ状態であることを検知するアイドル検知手段を有し、該アイドル検知手段によりアイドル状態またはアイドリングストップ状態であると検知されたとき、前記加熱器へ空気を導入し、蓄冷した冷熱を放冷する、請求項1〜4のいずれかに記載の車両用空調装置。
  6. 車両がアイドル状態またはアイドリングストップ状態であることを検知するアイドル検知手段を有し、該アイドル検知手段によりアイドル状態またはアイドリングストップ状態に入ったと検知されたとき、前記加熱器を通過する風量を0にするようにまたは減少させるようにエアミックスダンパを制御する、請求項2〜5のいずれかに記載の車両用空調装置。
  7. 車両がアイドル状態またはアイドリングストップ状態であることを検知するアイドル検知手段を有し、停車時において、アイドリングストップ状態であると検知されたときには、前記加熱器を通過する風量を徐々に増加させるようにエアミックスダンパを制御し、アイドル状態であると検知されたときには、前記圧縮機の稼動率または吐出容量を減少させ、または、前記冷却器の出口空気温度目標値を高く設定し、かつ、前記加熱器を通過する風量を徐々に増加させるようにエアミックスダンパを制御する、請求項2〜6のいずれかに記載の車両用空調装置。
  8. エアミックスダンパ開度が増加するに従い送風機風量を増加させる、請求項2〜7のいずれかに記載の車両用空調装置。
  9. 前記加熱器内または前記冷却水循環経路の前記遮断機構よりも加熱器に近い部位における冷却水温度または配管表面温度または加熱器表面温度または加熱器通過後の空気温度を検知する手段としての加熱器温度検知手段を備え、前記最大冷房運転時において、加熱器温度検知手段の検知量がある所定値A以上の場合は、エアミックスダンパ開度がある設定値B以上にならないようにエアミックスダンパを制御する、請求項4〜8のいずれかに記載の車両用空調装置。
  10. 前記加熱器を通過直後の空気温度を検知する手段として加熱器出口空気温度検知手段を備え、前記冷却器の出口空気温度検知手段の検知量と、前記加熱器出口空気温度検知手段の検知量を参照して、車室内への吹き出し空気温度が目標吹き出し空気温度となるようにエアミックスダンパ開度を決定する、請求項2〜9のいずれかに記載の車両用空調装置。
  11. 前記冷却器通過後の車室内吹き出し空気の全量が常に前記加熱器へ流入し、加熱器内を循環する冷却水量を、流量調節機構または循環ポンプの回転数により制御して車室内吹き出し空気の温調を行うリヒート方式の車両用空調装置であることを特徴とする、請求項1の車両用空調装置。
  12. 前記加熱器の入口部と出口部を導通し、冷却水を加熱器内において蓄冷または蓄熱媒体として循環可能とする媒体循環経路を有し、該媒体循環経路上に媒体を循環させるポンプと媒体を貯留する媒体貯槽とが設けられている、請求項1〜11のいずれかに記載の車両用空調装置。
  13. 前記媒体貯槽が前記加熱器と一体に構成されている、請求項12の車両用空調装置。
  14. 前記圧縮機により圧縮された高温高圧の冷媒を前記冷却器へ流入させることを可能とし、前記冷却器を加熱手段として用いることが可能なヒートポンプシステムを備えている車両用空調装置において、前記加熱器への蓄熱を行うことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の車両用空調装置。
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