JP2004141470A - 遊技機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】パチンコ機1は、外枠2と、その前部に設けられた前面枠3とを備え、その前面側には開閉可能に装着されたガラス扉枠4が設けられている。ガラス扉枠4の下部には遊技球を貯留するための上皿5が設けられている。前面枠3の後側には、遊技盤8が着脱可能に装着されている。パチンコ機1は遊技球が循環されるよう構成され、比較的少量の遊技球が繰り返し発射され、遊技領域を繰り返し流下する。特別遊技状態が発生する蓋然性が高い場合、又は、特別遊技状態が発生した場合に、所定の要因で遊技球の発射が不能となったとき、当該発射不能に基づく遊技者の不利益を抑制するべく、現在の遊技状態が保持される。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、パチンコ機等の遊技機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、遊技機の一種として、例えばパチンコ機等が知られている。パチンコ機は遊技盤において遊技領域を備えているとともに、前記遊技領域に遊技球を発射させるよう構成されている。昨今のパチンコ機にあっては、所定条件が成立した場合、遊技領域に設けられた大入賞口が所定時間所定回数だけ開放される等の所謂特別遊技状態が発生させられるものが一般的となっている。
【0003】
かかる特別遊技状態が発生した場合、遊技者は大入賞口に多くの遊技球を入球させることが可能となり、当該入球に基づく遊技価値を得ることができる(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−317061号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、何らかの要因により、遊技球を適正に発射させることに困難性を伴う場合がある。この場合、折角大入賞口が開放されたとしても、当該大入賞口に遊技球を入球させることができずに、本来であれば得られたであろう筈の遊技価値を得ることができなくなってしまい、結果として遊技者に不測の不利益が及んでしまうおそれがある。尚、かかる不具合は、所謂パチンコ機に限られるものではなく、遊技球を遊技媒体とし、当該遊技球を発射させることにより遊技を行うよう構成された各種遊技機全般にわたって内在するものである。
【0006】
そこで、本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、遊技球を遊技領域へ向けて発射可能な発射手段を備えた遊技機において、遊技球の発射不能に起因して遊技者に不測の不利益が及ぶのを抑制することの可能な遊技機を提供することを1つの目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
上記の目的を達成するために有効な手段を以下に示す。なお、必要に応じてその作用、効果等についても言及する。
【0008】
手段1.遊技球を遊技領域へ向けて発射可能な発射手段を備え、発射された遊技球の挙動に基づく遊技を行うよう構成され、所定条件が成立することに基づき、遊技者に有利な特別遊技状態が発生するよう構成された遊技機であって、
前記特別遊技状態が発生する蓋然性が高い場合、又は、特別遊技状態が発生した場合に、所定の要因で遊技球の発射が不能となったとき、遊技状態を保持可能に構成したことを特徴とする遊技機。
【0009】
手段1によれば、遊技球は、発射手段によって遊技領域へ向けて発射され、発射された遊技球の挙動に基づく遊技が行われる。そして、所定条件が成立することに基づき、遊技者に有利な特別遊技状態が発生させられる。さて、特別遊技状態が発生する蓋然性が高い場合、又は、特別遊技状態が発生した場合に、所定の要因で遊技球の発射が不能となったとき、発射不能となることによって折角特別遊技状態が発生しても遊技者が特別遊技状態に基づく利益を得られないおそれがある。この点、手段1では、上記のように発射不能となったとき、遊技状態が保持され、発射不能に基づく遊技者の不利益が抑制される。そして、所定の要因が解消された後は、前記保持された状態から再度遊技を開始させることにより、遊技者は、通常得られたであろう利益と同等又はほぼ同等の利益を得ることが可能となる。なお、「遊技状態を保持可能に構成した」に代えて、「発射不能に基づく遊技者の不利益を抑制すべく、現在の(或いは、「そのときの」或いは「当該」)遊技状態を保持可能に構成した」としてもよい。
【0010】
手段2.遊技球を遊技領域へ向けて発射可能な発射手段を備え、発射された遊技球の挙動に基づく遊技を行うよう構成され、所定条件が成立することに基づき、遊技者に有利な特別遊技状態が発生するよう構成された遊技機であって、
前記特別遊技状態が発生する蓋然性が高い場合、又は、特別遊技状態が発生した場合に、所定の要因で遊技球の発射が不能となったとき、遊技状態を記憶するとともに、遊技状態を保持可能に構成したことを特徴とする遊技機。
【0011】
手段2によれば、遊技球は、発射手段によって遊技領域へ向けて発射され、発射された遊技球の挙動に基づく遊技が行われる。そして、所定条件が成立することに基づき、遊技者に有利な特別遊技状態が発生させられる。さて、特別遊技状態が発生する蓋然性が高い場合、又は、特別遊技状態が発生した場合に、所定の要因で遊技球の発射が不能となったとき、発射不能となることによって折角特別遊技状態が発生しても遊技者が特別遊技状態に基づく利益を得られないおそれがある。この点、手段2では、上記のように発射不能となったとき、遊技状態が記憶されるとともに保持される。そのため、所定の要因が解消された後は、前記記憶され保持された状態から、再度遊技を開始させることにより、発射不能に基づく遊技者の不利益が抑制され、通常得られたであろう利益と同等又はほぼ同等の利益を得ることが可能となる。
【0012】
手段3.前記所定の要因が解消されたとき、前記保持された遊技状態又はそれに準じた遊技状態から遊技を再開可能に構成したことを特徴とする手段1又は2に記載の遊技機。
【0013】
手段3によれば、所定の要因が解消されたとき、保持された遊技状態又はそれに準じた遊技状態から遊技が再開される。このため、発射不能に基づく遊技者の不利益が抑制され、通常得られたであろう利益と同等又はほぼ同等の利益を得ることが可能となるという作用効果が、より確実に奏されることとなる。
【0014】
手段4.所定の要因は、発射可能な遊技球がゼロになっていることを含んでいることを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載の遊技機。
【0015】
手段4のように、発射可能な遊技球がゼロになっていると、遊技者がいくら発射操作を行っても遊技球を発射させることができない。この場合、上記のように、遊技状態が保持されている間に発射可能な遊技球を確保することで、遊技可能な状態となりうる。結果として、発射不能期間における遊技者の不利益が抑制される。
【0016】
手段5.前記所定の要因は、発射可能な遊技球がゼロになっており、かつ、前記遊技球を貸出し可能とする遊技者側の対価がゼロになっていることを含んでいることを特徴とする手段1乃至4のいずれかに記載の遊技機。
【0017】
手段5のように、発射可能な遊技球がゼロになっており、かつ、遊技球を貸出し可能とする遊技者側の対価がゼロになっていると、貸出しもままならず、遊技者がいくら発射操作を行っても遊技球を発射させることができない。この場合、上記のように、遊技状態が保持されている間に貸出し用の対価を確保し、発射可能な遊技球を貸出しにより確保することで、遊技可能な状態となりうる。結果として、発射不能期間における遊技者の不利益が抑制される。なお、「対価」としては、カード等の球数記憶媒体に記憶される残金等が挙げられる。
【0018】
手段6.前記所定の要因は、遊技球が遊技球経路において詰まりを起こしており、発射手段へ案内されない状態となっていることを含んでいることを特徴とする手段1乃至5のいずれかに記載の遊技機。
【0019】
手段6のように、遊技球が遊技球経路において詰まりを起こしており、発射手段へ案内されない状態となっていると、遊技者がいくら発射操作を行っても遊技球を発射させることができない。この場合、上記のように、遊技状態が保持されている間に球詰まりを解消し、遊技球が発射手段へ案内されるように復帰させることで、遊技可能な状態となりうる。結果として、発射不能期間における遊技者の不利益が抑制される。
【0020】
手段7.前記所定の要因は、前記発射手段に支障が生じることで遊技球を発射できない状態となっていることを含んでいることを特徴とする手段1乃至6のいずれかに記載の遊技機。
【0021】
手段7のように、発射手段に支障が生じると、遊技者がいくら発射操作を行っても遊技球を発射させることができないことがある。この場合、上記のように、遊技状態が保持されている間に発射装置の点検・修復或いは交換等が行われることで、遊技可能な状態となりうる。結果として、発射不能期間における遊技者の不利益が抑制される。
【0022】
手段8.前記所定の要因を教示する教示手段を設けたことを特徴とする手段1乃至7のいずれかに記載の遊技機。
【0023】
手段8によれば、教示手段において所定の要因が教示される。従って、当該教示を認識した遊技者、或いは遊技場関係者は、各要因に応じた適切かつ迅速な措置を講ずることができる。なお、「前記所定の要因を教示する教示手段」に代えて、「前記所定の要因を少なくとも遊技者に対し教示する教示手段」、「前記所定の要因を少なくとも遊技状関係者に対し教示する教示手段」、或いは、「前記所定の要因を少なくとも遊技者及び遊技場関係者に対し教示する教示手段」としてもよい。また、「所定の要因」に代えて、又は、加えて、「遊技状態保持中である旨」、「所定の要因の解消策」としてもよい。
【0024】
手段9.遊技球を遊技領域へ向けて発射可能な発射手段を備え、発射された遊技球の挙動に基づく遊技を行うよう構成され、所定条件が成立することに基づき、遊技者に有利な特別遊技状態が発生するよう構成された遊技機であって、
所定の要因で遊技球の発射が不能となったことを検出可能な発射不能検出手段と、
前記特別遊技状態が発生する蓋然性が高い場合、又は、特別遊技状態が発生した場合に、前記発射不能検出手段にて遊技球の発射が不能となったことが検出されたとき、遊技状態を記憶するとともに、遊技状態を保持する遊技状態記憶保持手段と
を設けたことを特徴とする遊技機。
【0025】
手段9によれば、遊技球は、発射手段によって遊技領域へ向けて発射され、発射された遊技球の挙動に基づく遊技が行われる。そして、所定条件が成立することに基づき、遊技者に有利な特別遊技状態が発生させられる。さて、特別遊技状態が発生する蓋然性が高い場合、又は、特別遊技状態が発生した場合に、所定の要因で遊技球の発射が不能となったとき、発射不能となることによって折角特別遊技状態が発生しても遊技者が特別遊技状態に基づく利益を得られないおそれがある。この点、手段9では、上記場合に、発射不能検出手段にて遊技球の発射が不能となったことが検出されたとき、遊技状態記憶保持手段によって、遊技状態が記憶されるとともに、遊技状態が保持される。そのため、所定の要因が解消された後は、前記記憶され保持された状態から、再度遊技を開始させることにより、発射不能に基づく遊技者の不利益が抑制され、通常得られたであろう利益と同等又はほぼ同等の利益を得ることが可能となる。
【0026】
手段10.遊技球を遊技領域へ向けて発射可能な発射手段を備え、発射された遊技球の挙動に基づく遊技を行うよう構成され、所定条件が成立することに基づき、遊技者に有利な特別遊技状態が発生するよう構成された遊技機であって、
所定の要因で遊技球の発射が不能となったことを検出可能な発射不能検出手段と、
前記特別遊技状態が発生する蓋然性が高い場合、又は、特別遊技状態が発生した場合に、前記発射不能検出手段にて遊技球の発射が不能となったことが検出されたとき、遊技状態を記憶するとともに、遊技状態を保持する遊技状態記憶保持手段と、
前記記憶保持されている期間中に、前記所定の要因が解消されたか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段にて、前記所定の要因が解消されたと判定された場合に、前記保持された遊技状態又はそれに準じた遊技状態から遊技を再開可能とする遊技再開手段と
を設けたことを特徴とする遊技機。
【0027】
手段10によれば、特別遊技状態が発生する蓋然性が高い場合、又は、特別遊技状態が発生した場合に、発射不能検出手段にて遊技球の発射が不能となったことが検出されたとき、遊技状態記憶保持手段によって、遊技状態が記憶されるとともに、遊技状態が保持される。そして、記憶保持されている期間中に、所定の要因を解消することが可能となる。記憶保持されている期間中においては、判定手段によって、所定の要因が解消されたか否かが判定される。そして、判定手段にて、所定の要因が解消されたと判定された場合に、遊技再開手段によって前記保持された遊技状態又はそれに準じた遊技状態から遊技が再開されうる。そのため、発射不能に基づく遊技者の不利益が抑制され、遊技者は、通常得られたであろう利益と同等又はほぼ同等の利益を得ることが可能となる。
【0028】
手段11.前記判定手段は、定期的に判定を行うものであることを特徴とする手段10に記載の遊技機。
【0029】
手段11によれば、定期的に所定の要因が解消されたか否かの判定が行われるため、所定の要因が解消した場合、比較的速やかに遊技を再開することが可能となり、遊技者にとってのいらだち等が最小限に抑えられる。
【0030】
手段12.前記判定手段は、継続的に判定を行うものであることを特徴とする手段10又は11に記載の遊技機。
【0031】
手段12によれば、継続的に所定の要因が解消されたか否かの判定が行われるため、所定の要因が解消した場合、比較的速やかにかつ確実に遊技を再開することが可能となり、遊技者にとってのいらだち等が最小限に抑えられる。
【0032】
手段13.前記発射不能検出手段は、少なくとも、発射可能な遊技球がゼロになっている旨を検出可能であることを特徴とする手段9乃至12のいずれかに記載の遊技機。
【0033】
手段13によれば、発射可能な遊技球がゼロになっている場合には、遊技者がいくら発射操作を行っても遊技球を発射させることができないが、この場合、その旨が検出され、上記のように、遊技状態が記憶保持されている間に発射可能な遊技球を確保することで、遊技可能な状態となりうる。結果として、発射不能期間における遊技者の不利益が抑制される。
【0034】
手段14.前記発射不能検出手段は、少なくとも、発射可能な遊技球がゼロになっており、かつ、前記遊技球を貸出し可能とする遊技者側の対価がゼロになっている旨を検出可能であることを特徴とする手段9乃至13のいずれかに記載の遊技機。
【0035】
手段14によれば、発射可能な遊技球がゼロになっており、かつ、遊技球を貸出し可能とする遊技者側の対価がゼロになっている場合には、遊技者がいくら発射操作を行っても遊技球を発射させることができないが、この場合、その旨が検出され、上記のように、遊技状態が記憶保持されている間に貸出し用の対価を確保し、発射可能な遊技球を貸出しにより確保することで、遊技可能な状態となりうる。結果として、発射不能期間における遊技者の不利益が抑制される。なお、「対価」としては、カード等の球数記憶媒体に記憶される残金等が挙げられる。
【0036】
手段15.前記発射不能検出手段は、少なくとも、遊技球が遊技球経路において詰まりを起こしており、前記発射手段へ案内されない状態となっている旨を検出可能であることを特徴とする手段9乃至14のいずれかに記載の遊技機。
【0037】
手段15によれば、遊技球が遊技球経路において詰まりを起こしており、発射手段へ案内されない状態となっている場合には、遊技者がいくら発射操作を行っても遊技球を発射させることができないが、この場合、その旨が検出され、上記のように、遊技状態が保持記憶されている間に球詰まりを解消し、遊技球が発射手段へ案内されるように復帰させることで、遊技可能な状態となりうる。結果として、発射不能期間における遊技者の不利益が抑制される。
【0038】
手段16.前記発射不能検出手段は、少なくとも、前記発射手段に異常が生じることで遊技球を発射できない状態となっている旨を検出可能であることを特徴とする手段9乃至15のいずれかに記載の遊技機。
【0039】
手段16によれば、発射手段に異常が生じると、遊技者がいくら発射操作を行っても遊技球を発射させることができないことがあるが、この場合、その旨が検出され、上記のように、遊技状態が記憶保持されている間に発射装置の点検・修復或いは交換等が行われることで、遊技可能な状態となりうる。結果として、発射不能期間における遊技者の不利益が抑制される。
【0040】
手段17.前記遊技状態記憶保持手段にて、遊技状態が記憶保持された場合に、前記所定の要因を教示する教示手段を設けたことを特徴とする手段9乃至16のいずれかに記載の遊技機。
【0041】
手段17によれば、遊技状態記憶保持手段にて、遊技状態が記憶保持された場合に、記憶手段によって所定の要因が教示される。従って、当該教示を認識した遊技者、或いは遊技場関係者は、各要因に応じた適切かつ迅速な措置を講ずることができる。なお、「前記所定の要因を教示する教示手段」に代えて、「前記所定の要因を少なくとも遊技者に対し教示する教示手段」、「前記所定の要因を少なくとも遊技状関係者に対し教示する教示手段」、或いは、「前記所定の要因を少なくとも遊技者及び遊技場関係者に対し教示する教示手段」としてもよい。
【0042】
手段18.前記教示手段は、遊技領域に設けられた表示部、遊技領域とは別の領域に設けられた表示部、音声手段、及び、発光手段のうち少なくとも1つによって構成されていることを特徴とする手段8又は17に記載の遊技機。
【0043】
なお、「少なくとも1つ」に代えて、「2つ以上の組み合わせ」としてもよい。
【0044】
手段19.前記遊技球が循環使用可能に構成されてなる手段1乃至18のいずれかに記載の遊技機。
【0045】
手段19によれば、遊技球の循環が繰り返されるため、遊技球は比較的汚れやすく詰まり等を起こすおそれがある。この点、上記各手段による作用効果が奏されることで、遊技者の不測の不利益を防止することができる。
【0046】
手段20.前記遊技球は、内封されていることを特徴とする手段1乃至19のいずれかに記載の遊技機。
【0047】
手段20のように、遊技球が内封されている場合には、遊技球が不足しているような場合でも、遊技球を外部から補填しようとしても補填できない事態が想定される。この点、上記各手段のように、遊技状態が保持されることから、たとえ外部から補填できなくても不測の不利益を受けるのを防止することができる。また、遊技球が外部に晒されにくいことから、ゴミ、ホコリ等の異物を遊技機内へ混入しにくくしたり、不正行為を行いにくくすることができる。
【0048】
尚、「内封されている」に代えて、「内封状態又は略内封状態とされている」こととしてもよいし、「遊技者が遊技球を触れることができないよう内封状態又は略内封状態とされている」こととしてもよい。
【0049】
手段21.少なくとも遊技者が所持可能な球数記憶媒体に記憶された球数に基づいて遊技球が発射可能に構成されており、前記球数がゼロの場合には、発射手段からの発射が禁止されるよう構成されていることを特徴とする手段1乃至20のいずれかに記載の遊技機。
【0050】
手段21によれば、遊技者が所持可能な球数記憶媒体に記憶された球数がゼロになった場合には、発射手段からの発射が禁止されてしまう。このような場合に特別遊技状態が発生すると、遊技者は遊技球の発射不能による不利益を被るおそれがあるが、上記各手段のように、遊技状態が保持されることから、不利益が及ぶのが防止されることとなる。また、遊技者は、多量の遊技球を持ち運んだりする必要がなく、スピーディに立ち回ることができる。なお、「球数」に代えて、或いは、加えて、「対価」、「価値」としてもよい。
【0051】
尚、「球数記憶媒体」としては、例えば「磁気カード」「ICカード」「ICメダル」等が挙げられる。
【0052】
手段22.前記特別遊技状態は、通常時は入賞困難又は入賞不能に構成された入賞口が所定時間の間開放されることで、当該入賞口に遊技球を入賞させることにより遊技者が利益を得ることができる状態であることを特徴とする手段1乃至21のいずれかに記載の遊技機。
【0053】
手段22によれば、特別遊技状態が発生すると、通常時は入賞困難又は入賞不能に構成された入賞口が所定時間の間開放される。換言すれば、所定時間経過した場合には入賞困難又は入賞不能となってしまい、発射不能の場合には入賞に基づく利益が得られないこととなってしまう。この点、上記各手段の作用効果が奏されることから、発射不能状態又はそれに近い状態からの遊技の再開が可能となる。結果として、遊技者にとっての不測の不利益をより確実に防止することができる。
【0054】
手段23.遊技状態保持中は、前記入賞口が入賞困難又は入賞不能に構成されることを特徴とする手段22に記載の遊技機。
【0055】
遊技状態が保持されている間、入賞口が開放されるよう構成した場合には、開放のためのソレノイド等のアクチュエータが通電され続けることとなり、焼損等のおそれがある。これに対し、手段23によれば、遊技状態保持中は、前記入賞口が入賞困難又は入賞不能に構成されるため、そのような不具合が生じにくい。また、入賞口が開放され続けることによって不正行為が行われるといった事態を回避しやすい。
【0056】
手段24.手段1乃至23のいずれかにおいて、遊技機はパチンコ遊技機であること。中でも、パチンコ遊技機の基本構成としては、操作ハンドルを備えていてそのハンドル操作に応じて遊技球を所定の遊技領域に発射させ、遊技球が遊技領域内の所定の位置に配置された作動口に入賞することを必要条件として可変表示装置の表示部において変動表示されている識別情報が所定時間後に確定停止表示されることが挙げられる。また、特別遊技状態発生時には遊技領域内の所定の位置に配置された可変入賞装置が所定の態様で開放されて遊技球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(磁気カード等への書き込み等も含む)が付与されることが挙げられる。
【0057】
【発明の実施の形態】
以下、パチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)の一実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
【0058】
図1に示すように、本実施の形態のパチンコ機1は、外枠2と、その前部に設けられた前面枠3とを備えている。前面枠3は外枠2の一側部にて開閉可能に装着されている。前面枠3の前面側には、一側部にて開閉可能に装着されたガラス扉枠4が設けられている。ガラス扉枠4の下部には遊技球B(図2参照)を貯留するための上皿5が設けられている。なお、本実施の形態では、一般的なパチンコ機とは異なり、本実施の形態では下皿が設けられておらず、その代わりに上皿5の下方には、スピーカ9が設けられている。また、上皿5の上面には透明蓋6が取着され、これにより、遊技球Bが遊技者にとって非露出状態となるよう構成されている。さらに、上皿5の直上方におけるガラス扉枠4には、左右方向に長い透明プレート15が着脱可能に設けられている。該透明プレート15の奥側に所定のメッセージ、情報等を記載した紙、板等をセットした上で、透明プレート15で挟み込むことで、遊技者に対する比較的広大な領域でのメッセージ伝達等が図られるようになっている。
【0059】
また、スピーカ9の側方にはハンドル7が設けられている。ハンドル7は、遊技者によって回動操作される回動操作部62を有している。該ハンドル7は、遊技球の発射装置18(図8等参照)に連結されている。ここで、上皿5は、遊技球Bを発射装置18の方へ向けて案内するべく、導出口から発射装置18側へと幾分下方傾斜するように形成されている。図1では、上皿5の底面(球受面)は右側へと下方傾斜している。
【0060】
前記発射装置18は、遊技者によるハンドル7の操作に基づいて、回転するよう構成されている発射モータ17を備えている。
【0061】
前面枠3の後側(ガラス扉枠4の奥、外枠2の内側)には、遊技盤8(図2参照)が着脱可能に装着されている。なお、前記発射装置18は、遊技者がハンドル7に触れ、回動操作部62を回動させることにより、前記発射モータ17を回転させ、かかる回転に基づいて遊技盤8の上部に向けて遊技球Bを発射可能とするものである。また、ハンドル7には、遊技者による回動操作部62の操作を検出するハンドル操作検出手段63(図8参照)が設けられている。さらに、発射装置18には、前記発射装置18の作動を検出するモータ作動検出スイッチ64が設けられている。加えて、遊技盤8の裏側には、遊技盤8側から導かれた遊技球を集合させる集合盤(図示略)等が設けられている。
【0062】
図2に示すように、遊技盤8には、前記発射装置18によって発射された遊技球Bを遊技盤8の上部に案内する内レール10a及び外レール10bが設けられている。遊技盤8には、ルータ加工が施されることによって複数の開口部が形成されており、各開口部には次に記述するように各種部材が取着されている。
【0063】
すなわち、遊技盤8には、始動入賞ユニット11及び大入賞口12が設けられている。なお、本実施の形態では、遊技盤8のうち内レール10a及び外レール10bによって囲まれ、始動入賞ユニット11等が配設された部分が、遊技球Bが流下可能な遊技領域となっている。
【0064】
大入賞口12の前部には、大入賞口12を開閉するシャッタ13が設けられている。シャッタ13は大入賞口12の側部に設けられた大入賞口ソレノイド14(図8参照)により作動する。詳しくは、後述する特定発生条件の成立に基づいた特定開放条件が成立し大入賞口ソレノイド14が励磁状態となると、シャッタ13が略水平状態となり大入賞口12が開かれる。大入賞口ソレノイド14が非励磁状態となると、シャッタ13が略垂直状態となり大入賞口12が閉鎖される。また、遊技盤8には、他の入賞口(例えば一般入賞口)が設けられている。さらに、大入賞口12の下方には、アウト口16が設けられている。アウト口16には、いずれの入賞口にも入賞しなかった遊技球Bが案内されるようになっている。かかる構成下、一旦遊技領域へ案内された全ての遊技球Bは、遊技盤8の裏側へと案内されるようになっている。
【0065】
遊技盤8の中央部には、可変表示手段としての特別図柄表示装置(以下、「表示装置」と称する)20が組込まれている。表示装置20は、液晶ディスプレイ(LCD)よりなる表示部を備えており、識別情報としての識別図柄や、各種キャラクタ等を表示可能とする。本実施の形態では、例えば表示部の変動領域としての左図柄表示領域、中図柄表示領域及び右図柄表示領域において、複数種の識別図柄が変動表示される。ここでは、各図柄表示領域に確定停止表示される識別図柄の停止態様(組合せ)によって、各種遊技状態が導出される。各種遊技状態としては、識別図柄の変動、特定遊技状態としての大当たり状態、リーチ状態、外れ状態等が例として挙げられる。
【0066】
ここで、大当たり状態とは、遊技者に比較的不利な状態である通常遊技状態(遊技者の所有する遊技価値が徐減する状態)から特定発生条件が成立することに基づいて発生する遊技者に有利な状態をいう。大当たり状態が発生する際には、識別図柄が特定の停止態様で停止表示される。例えば、「7」・「7」・「7」というような特定の組合せで停止表示される。なお、大当たり状態が導出される際に確定停止表示される識別図柄を大当たり図柄という。
【0067】
リーチ状態とは、大当たり状態に至る過程にある一状態をいい、表示部において、複数の識別図柄の停止態様に基づいて特定表示態様としてのリーチ態様が成立した状態を指す。なお、リーチ態様を成立させる識別図柄をリーチ図柄という。また、識別図柄の変動表示とともに、種々のリーチ演出に代表される様々な表示演出も行われるようになっている。
【0068】
外れ状態とは、各図柄表示領域に異なる種類の図柄(これを「外れ図柄」という)が停止して、リーチ状態を経ず、かつ、大当たり状態ともならない状態のことである。
【0069】
なお、識別図柄の変動表示は、遊技球Bが始動入賞ユニット11へ入賞することに基づいて行われるようになっている。但し、変動表示中に遊技球Bが新たに入賞した場合には、その分の変動表示は、その時点で行われている変動表示の終了後に行われるようになっている。つまり、変動表示が待機(保留)されることとなる。
【0070】
また、遊技盤8には、遊技者の操作に応じて変化するパチンコ機1の遊技状態を検出するための各種スイッチが設けられている。例えば、本実施の形態においては、前記始動入賞ユニット11に対応する作動口スイッチ21、大入賞口12をはじめとする各種入賞口に対応する複数の入賞口スイッチ22等が設けられている。ここで、作動口スイッチ21は、遊技球Bが始動入賞ユニット11へ入賞したことを検出するものであり、入賞口スイッチ22は、遊技球Bが大入賞口12や、他の入賞口へ入賞したことを検出するものである。
【0071】
また、パチンコ機1各部には、遊技効果を高めるための各種演出用ランプや電飾部材等が取付けられている。これらの演出用ランプや電飾部材等(以下単にランプ19(図8参照)と称する)は、遊技の進行に応じて点灯状態(消灯、点灯、点滅等)が変えられる。さらに、遊技盤8には、遊技球Bの流下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘や風車等の各種部材(役物)が配設されている(但し、便宜上、符号を省略する)。
【0072】
さて、本実施の形態では、前記遊技領域へ発射される遊技球Bは、パチンコ機1内部に内封されている。内封されている遊技球Bの個数は、本実施の形態では例えば20個に設定されているが、その数は特に限定されるものではない。内封された遊技球Bは、常には前記上皿5上(発射装置18の手前位置)に待機している。その待機位置にある遊技球Bは、前記透明蓋6を介して遊技者やホール従業員等に視認可能な状態とされている。
【0073】
ここで、遊技球Bが内封されているが故の構成について説明する。本実施の形態では、内封された遊技球Bは所定の経路を循環させられるようになっている。また、遊技球Bの入賞に基づく遊技価値の払出は、遊技球Bの直接的な払出ではなく、数値化された遊技価値として遊技者に付与されるようになっている。まずは、遊技球Bの循環経路について説明する。
【0074】
図3はガラス扉枠4を取り外した状態を示す前面枠3等を主として示す正面図である。同図に示すように、前面枠3には、発射装置18に対応して案内レール31が設けられており、発射装置18にて発射された遊技球Bは、前記案内レール31によって、前記内レール10a及び外レール10b間に案内されるようになっている。なお、発射装置18から発射される遊技球Bは、前記案内レール31の基部に設けられた発射カウントスイッチ23(図8参照)によって、発射直後に1球ずつ検出されるようになっている。
【0075】
また、図4は、前面枠3の下部の部分正面図であり、図5はその分解斜視図である。図6は、前面枠3の下部の部分背面図であり、図7はその分解斜視図である。これらの図に示すように、前面枠3のうち、前記上皿5に対応する部位の裏側部分には、前記遊技領域を流下して裏側へ導出されてきた遊技球Bを一旦受け止め、前記上皿5へと導くための裏側案内部32が設けられている。裏側案内部32は、左右方向に延びる球受け樋33を有している。この球受け樋33は、上方が開放しており、集合盤から落下してくる遊技球Bや、アウト口16から落下してくる遊技球B、つまり、一旦遊技領域に案内された遊技球Bを遊技盤8の裏側において全て受け止めることができるよう構成されている。本実施の形態では、全ての遊技球Bが球受け樋33のほぼ端部(遊技盤8の幅方向略中央部)に案内されるように構成されている。
【0076】
また、この球受け樋33は着脱可能に設けられているとともに、その一端は、前記上皿5との連通を許容するべく前面枠3に形成された連通孔34に、連通されている。さらに、球受け樋33は、前記連通孔34に向けて幾分下方傾斜して設けられている。かかる構成下、遊技領域を流下して遊技盤8の裏側へ導出されてきた遊技球Bは、全て球受け樋33内へと落下して受け止められ、球受け樋33を長手方向に沿って流れるとともに、その遊技球Bは前記連通孔34を通って再度上皿5の導出口へと戻されるようになっている。
【0077】
また、球受け樋33内部には、当該球受け樋33の長手方向に沿って延びる清掃手段35が設けられている。清掃手段35は、両端が回転可能に支持されてなる軸部36と、軸部36に対し植設されたブラシ部37とを備えている。ブラシ部37は互いに離間する方向へと延びている。かかる清掃手段35も着脱可能に設けられている。また、清掃手段35の軸部36の一端は、清掃用モータ38に連結されている。つまり、清掃用モータ38が作動することで、清掃手段35が軸部36を中心に回転させられるようになっている。本実施の形態において、清掃用モータ38はパチンコ機1の電源が投入されている限り作動させられるようになっている。かかる構成により、前記球受け樋33を流れる遊技球Bは、ブラシ部37により清掃されながら連通孔34の方へと案内されるようになっている。
【0078】
また、発射された遊技球Bが、遊技領域に案内されずに戻ってくる場合がある(以下、かかる遊技球Bをファウル球と称する)。かかるファウル球は、前記案内レール31先端側の空間39から下方へと落下する。当該落下位置に対応して、前面枠3には、戻し機構41が装着されている。戻し機構41は、その下部において、ファウル球を一方へ案内するための傾斜路42を有している(図7参照)。かかる傾斜路42の途中には、ファウル検出スイッチ24(図8参照)が設けられている。また、該傾斜路42に連続して、戻し機構41の一方には、円弧状の内壁面43が設けられている。該内壁面43の内側には、所定間隔を隔てて、回転体44が球戻し用モータ45によって回転可能に軸支されている。回転体44の外周面の複数箇所には、永久磁石(図示略)が所定間隔毎に配設されている。
【0079】
さらに、回転体44の上方には、該回転体44外周に近接して、仕切板46が設けられている。また、前記戻し機構41は、前記連通孔34に対応して開口部47を有している。そして、回転体47外周面の永久磁石に着いていたファウル球は、前記仕切板46によって回転体47から切り離されて仕切板46に乗り上げ、回転方向前方の開口部47の方へと案内されるようになっている。
【0080】
該開口部47の下部には、ストッパ48が開閉可能に軸支されている。図示しないスプリングの引張力により、ストッパ48は常には前記開口部47を遮断するべく垂直姿勢をとるよう構成されている。但し、前記ガラス扉枠4には、前記導出口から背面側へと延びる図示しない案内樋が突設されている。このため、ガラス扉枠4が閉鎖された通常の遊技状態にあっては、案内樋によって前記ストッパ48がスプリングの引張力に抗して押し倒され、前記連通孔34、開口部47及び導出口の連通が許容されるようになっている。従って、通常遊技中においては、前記空間39から下方へと落下したファウル球は、戻し機構41の傾斜路42を通って、回転体44の方へと案内される。この通過過程において、ファウル検出スイッチ24によりファウル球の発生が検出されると、前記球戻し用モータ45が駆動され、回転体44が回転動作させられる。この回転動作に伴い、ファウル球は、回転体44の外周面の永久磁石にくっつき、上方へと搬送される。そして、そのファウル球は仕切板46によって回転体44から切り離され開口部47の方へと案内され、導出口を経て上皿5へと戻されるようになっているのである。
【0081】
なお、戻し機構41の前記傾斜路42の下方には、収容ポケット49が設けられている。この収容ポケット49は、前記ストッパ48が垂直状態にあるとき(開口部47が遮断された状態になったとき)に、前記開口部47との連通が許容されるよう構成されている。つまり、ガラス扉枠4が開放されることにより、開口部47を通過する遊技球Bが収容ポケット49へ案内されるようになっている。なお、全ての遊技球Bが収容ポケット49へ貯留されることによって、各種部材等を取り外したりしても遊技球Bがこぼれたりすることがなく、行き届いたメンテナンス等(例えば、各部品の保守点検、交換や、遊技球Bの交換等)が可能となる。
【0082】
遊技球Bの循環経路は上記の通りであるが、次には、遊技球Bの入賞に基づく遊技価値の払出等、遊技者にとっての遊技価値の数値化について説明する。
【0083】
本実施の形態におけるパチンコ機1の側部には、カードユニット51(図8参照)が設置されている。カードユニット51には図示しないカード挿入口が設けられている。また、図1に示すように、上皿5には、上皿表示部52が設けられており、該上皿表示部52において各種情報がドットマトリクス表示可能となっている。さらに、上皿5には、各種スイッチからなる操作部53が設けられている。操作部53としては、例えばイエス・ノーボタン、セレクトボタン等が挙げられる。
【0084】
例えば、前記カードユニット51のカード挿入口に球数記憶媒体としてのカードを挿入することで上皿表示部52にカードの残高が表示可能となっている。ここで、セレクトボタンを操作する毎に、カード残高、貯球数、持ち球数、休憩、遊技終了、遊技履歴、来店ポイント、その他メッセージ等の各種情報が切換表示され、イエス・ノーボタンを適宜操作することで、遊技者の所望とする状態を導出表示したりすることができる。本実施の形態では、持ち球数がゼロの場合には、遊技球Bの発射自体が禁止されるように構成されている。また、カードの残高等がある場合には操作部53に関し所定の操作を行うことで(又は自動的に)所定の持ち球数を確保することが可能となる。
【0085】
さらに、前記発射カウントスイッチ23にて発射が検出される毎に持ち球数から「1」ずつ減算される。また、ファウル検出スイッチ24にてファウル球が検出された場合には、持ち球数に「1」だけ加算される。さらに、発射された遊技球Bが入賞口に入賞した場合(作動口スイッチ21、或いは各入賞口スイッチ22にて入賞が検出された場合)には、各入賞口に対応した賞球数分だけ、持ち球に加算される(例えば、始動入賞ユニット11に入賞した場合には1球入賞毎に持ち球に「5」が加算され、大入賞口12に入賞した場合には1球入賞毎に持ち球に「15」が加算される)。また、カードの残高がある状態で遊技終了(返却)操作が行われるとカードがカード挿入口より返却される。遊技終了に際しては、現在の持ち球数が貯球数に加算されてカードに書き込まれる(記憶される)。なお、カードはプリペードカードであってもよいし、ICカード等が利用できるように構成してもよい。
【0086】
次に、本実施の形態における各種制御に関連する電気的構成について図8に基づいて説明する。上述したように、始動入賞ユニット11、大入賞口12或いは一般入賞口等、遊技球B入賞の検出が必要な箇所には、作動口スイッチ21、入賞口スイッチ22等の各検出手段が設けられており、これら検出手段は、主たる制御を司るための制御装置(主基板)90に電気的に接続されている。主基板90はパチンコ機1の裏側に装着されている。また、ファウル検出スイッチ24も主基板90に接続されている。かかる主基板90の制御下で以上説明したような動作が実現される。
【0087】
主基板90は、読み出し専用メモリ(ROM)、中央処理装置(CPU)及びランダムアクセスメモリ(RAM)等を備えている。ROMには所定の制御プログラムや初期データが予め記憶されており、CPUはROMの制御プログラム等に従って各種演算処理を実行する。CPUによる演算結果はRAMに一時的に記憶される。
【0088】
また、主基板90には各種カウンタが設定されている。具体的には、大当たり状態を決定する内部乱数カウンタ、大当たり図柄を決定する大当たり図柄乱数カウンタ、後述する確変モードを付与するか否かを決定する確変乱数カウンタ、及び、各図柄表示領域における停止図柄等を決定するための各図柄乱数カウンタ等の各種乱数カウンタが設定されている。また、後述するような大当たり中のラウンド回数をカウントするラウンドカウンタ、大入賞口12への遊技球Bの入賞個数をカウントする入賞カウンタ、変動表示等の保留回数をカウントする各種保留カウンタ等の各種計数カウンタが設定されている。
【0089】
上記各乱数カウンタの値は、それぞれ所定時間(例えば「2ms」)毎に所定範囲内で更新される。各カウンタの各値は所定の条件に従って乱数として読み出され、各カウンタに対応した乱数バッファに格納されるようになっている。例えば、始動入賞ユニット11に入賞した遊技球Bが作動口スイッチ21によって検出されたとき、読み出された内部乱数カウンタの値が特定値であれば、特定発生条件が成立し、大当たり状態の発生が決定される。また、各カウンタにおいて、カウンタの値がそれぞれ特定の値になった場合には初期値に戻るようになっている。
【0090】
また、パチンコ機1の裏側には、主基板90の外にも、ランプ19を制御したり、スピーカ9を制御したりするランプ音声制御手段91(ランプ制御基板及び音声制御基板と別々に設けてもよい)、表示装置20を制御する表示制御基板92、遊技価値を管理制御する遊技価値管理制御基板93、上記発射装置18を制御する発射制御基板94等の各種制御基板が設けられている。本実施の形態では、主基板90と遊技価値管理制御基板93との間で、双方向の通信が可能となっている。
【0091】
主基板90の出力側には、ランプ音声制御手段91、表示制御基板92、遊技価値管理制御基板93が電気的に接続されており、これら各制御基板91〜93は、主基板90から出力されるコマンドに基づいて各種遊技状態を導出する。また、上述したシャッタ13を開閉するための大入賞口用ソレノイド14等も主基板90に接続されている。
【0092】
さらに、前記遊技価値管理制御基板93の入力側には、上述した操作部53及びカードユニット51が電気的に接続されている。遊技価値管理制御基板93の出力側には、上記発射制御基板94及び上皿表示部52が電気的に接続されている。
【0093】
併せて、主基板90の出力側には、上記清掃手段35を駆動するための清掃用モータ38及び上記回転体44を駆動するための球戻し用モータ45が電気的に接続されている。
【0094】
次に、上記のように構成されてなるパチンコ機1の基本的な動作について説明する。基本的な動作は、遊技球Bが循環される点、遊技価値が数値化される点等を除いては一般的なパチンコ機と同様である。すなわち、主基板90は、作動口スイッチ21からの検出信号に基づき遊技球Bが始動入賞ユニット11へ入賞した旨を検出すると、その検出結果に基づいて対応する保留ランプを点灯させる。例えば、それまで2つの保留ランプが点灯されていた場合には3つ目の保留ランプを点灯させる。但し、全ての保留ランプが点灯している場合は除かれる。そして、主基板90は保留カウンタの値を「1」だけ加算する。
【0095】
そして、主基板90は各乱数バッファに格納された各カウンタの各値に基づいた各種コマンドを表示制御基板92等の各種制御基板へ出力する。コマンドを受け取った表示制御基板92等では、各コマンドに対応した制御が行われる。すなわち、表示装置20の表示部では、各図柄表示領域において識別図柄が変動表示され、その後識別図柄の変動が順次停止させられる。このとき、表示制御基板92は、現在リーチ状態が発生しているか否かを確認する。具体的には、左右両図柄表示領域において停止表示された識別図柄が所定の大当たりライン上において同種であるか否かを確認する。そして、リーチ状態とならない場合には、中図柄表示領域において停止図柄を確定停止表示するべく、識別図柄の変動を停止する。一方、リーチ状態となる場合には、表示制御基板92は各種リーチ動作処理を行う。
【0096】
その後、主基板90は、自身が有するタイマに基づき、所定時間に応じたタイミングで表示制御基板92に対し確定コマンドを出力する。表示制御基板92は、その確定コマンドを受け取ると、変動コマンドの時間情報に基づく変動を完了した時点で図柄情報に応じた図柄を確定表示させる。例えば、大当たり状態が発生する場合には、内部図柄カウンタによって決定された大当たり図柄の図柄情報を含んだコマンドが、リーチ演出の最終段階で送信され、大当たり図柄が表示部に確定表示される。
【0097】
主基板90は、表示制御基板92に確定コマンドを送信した後、表示部に確定表示された識別図柄の停止態様(組合せ)が大当たりのものであるか否かを確認する。そして、識別図柄の停止態様(組合せ)が大当たりのものでない場合には、主基板90は、図柄変動が保留されていること確認すると、上述した図柄変動処理を繰り返し行う。ここで、図柄変動が保留されていないことが確認されると、主基板90は、作動口スイッチ21から新たな検出信号が入力されるまで待機する。
【0098】
また、識別図柄の停止態様(組合せ)が大当たりのものである場合には、主基板90は、ラウンドカウンタを「0」にクリヤするとともに、大当たり状態を報知する旨のコマンドを表示制御基板92等に出力する。これにより、表示部では大当たり報知表示が行われる。次に、主基板90は、入賞カウンタを「0」にクリヤするとともに、入賞判定用の所定フラグを「0」に設定し、ラウンドカウンタを「1」だけ加算する。続いて、主基板90は、大入賞口用ソレノイド14を励磁させることで、シャッタ13を倒して略水平状態とし大入賞口12を開放する。これにより、遊技球Bが大入賞口12へ容易に入賞するようになり、遊技者が多数個の遊技価値を取得できるような大当たり状態となる。
【0099】
この大当たり状態中に、主基板90は、入賞カウンタの値が予め定められた所定値よりも小さいか否かを適宜判定する。この判定条件が満たされている場合には、主基板90は、未だ大入賞口12の閉鎖予定時期が到来していないか否かを判定し、閉鎖予定時期が到来していない場合には、継続してこの判定処理を繰り返す。従って、大入賞口12の開放開始後に所定値よりも多くの遊技球Bが入賞するか、閉鎖予定時期が到来するかしない限りは、大入賞口12が開放され続ける。所定値よりも多くの遊技球Bが入賞するか、閉鎖予定時期が到来すれば、主基板90は、大入賞口用ソレノイド14を消磁する。これにより、シャッタ13が起こされて略垂直状態となり、大入賞口12が閉鎖される。
【0100】
その後、主基板90は、ラウンドカウンタの値が予め定められた所定値よりも小さいか否かを判定する。そして、ラウンドカウンタの値が所定値よりも小さい場合には、主基板90は、入賞があるか否かを判定し、入賞がある場合には、主基板90は、この処理を繰り返し行う。従って、一旦大当たり遊技状態が発生すると、予め設定された継続条件(例えば1ラウンド中に少なくとも1つの遊技球Bが大入賞口12奥に設けられたVゾーンへ案内されること)が、所定回数満たされるまでは、大入賞口12が開閉のサイクルを繰り返すこととなる。例えば、ここで入賞カウンタの所定値を「10」、大入賞口12の開放時間を「約29.5秒」、ラウンドカウンタの所定値を「16」に設定したとする。このような場合には、大入賞口12の開放後、(1)遊技球Bが大入賞口12へ10個入賞すること、(2)約29.5秒が経過すること、のいずれか一方の条件が満たされた時点で大入賞口12が閉鎖される。この大入賞口12の開閉のサイクルが最大で16回繰り返されることとなる。
【0101】
ラウンドカウンタの値が所定値以上となるか、入賞がない場合には、主基板90は、大当たり状態が終了したものとして、その旨を報知するコマンドを表示制御基板92等に出力する。そして、表示部には大当たり状態が終了した旨の表示がなされる。
【0102】
本実施の形態では、上述したような大当たり状態が発生した場合でも、多量の遊技球が払い出される一般のパチンコ機とは異なり、上皿表示部52に表示される持ち球数が加算され、遊技価値が数値化される。その上で、遊技終了に際して現在の遊技価値がカードに書き込まれて遊技者に付与される。
【0103】
さて、本実施の形態では、上記のように遊技球Bが直接払い出される訳ではなく、遊技価値が数値化される都合上、上記遊技価値管理制御基板93は、現時点での遊技者の所持する持ち球数を記憶する残球数記憶メモリ71と、プリペイドカード等に書き込まれている現時点での遊技者の残金数を記憶する残金記憶メモリ72とを備えている(図8参照)。
【0104】
ここで、遊技価値管理制御基板93では、常に残球数記憶メモリ71の値を監視しており、該残球数記憶メモリ71の値が「0」になっている場合には、発射制御基板94に対し、発射装置18の作動を禁止する旨の信号を出力するようになっている。また、遊技価値管理制御基板93では、常に残金記憶メモリ72の値を監視しており、該残金記憶メモリ72の値が「0」になっている場合には、遊技者による遊技球の貸出し操作が無効化されるようになっている。つまり、残球数記憶メモリ71の値が「0」に近づいた場合、或いは「0」になった場合、遊技を継続しようとする遊技者は、持ち球数を増やすべく(補充するべく)上記操作部53を操作しようとするが、残金記憶メモリ72の値が「0」の場合には、いくら貸し出し操作を行っても、基本的には残球数は増えないよう構成されている。
【0105】
従って、かかる構成下にあっては、残球数記憶メモリ71の値が「0」の場合には、遊技球が貸出されない限りは、発射装置18が作動されず、遊技球Bが発射されない。また、残金記憶メモリ72の値が「0」の場合には、貸出し操作すら無効化されてしまい、遊技者は瞬時に発射させる遊技球Bを得ることができない(このような場合には、基本的には新たにカードを購入してカードユニットの挿入口にカードを差し込んだりしなければならない)。
【0106】
また、上記のように、持ち球数が「0」になった場合のみならず、例えば次のような場合にも、遊技球Bを適正に発射させることができない。
【0107】
▲1▼発射装置18(例えば発射モータ17等)の故障により遊技球Bを発射させることができなくなったとき。
【0108】
▲2▼発射装置18は適正に作動させられているが、遊技球Bが例えば前記球受け樋33等の遊技球通路に詰まってしまう等に起因して、上皿5から遊技球Bが発射装置18の方へ案内されなくなってしまったとき。
【0109】
これらのように、何らかの要因により、遊技球Bを適正に発射できなくなってしまう場合が起こりうる。ここで、通常遊技中においては、残球数記憶メモリ71の値が「0」の場合、貸出操作を行うことで、また、残金記憶メモリ72の値が「0」の場合、カードを新たに購入した上で貸出操作を行ったりする時間的余裕がある。また、上記▲1▼、▲2▼のような場合には、遊技場関係者を呼んで点検等を行ってもらう時間的余裕がある。
【0110】
しかしながら、上述したような大当たり状態が発生した場合(大当たり状態中も含む)、大入賞口12が開かれるのであるが、この開放に際して上記所定時間(29.5秒)のカウントが行われてしまう。つまり、遊技球Bが発射されようがされまいが、大入賞口12開放後、所定時間経過すると、大入賞口12は閉鎖してしまう。この場合、上記のように発射が行われないと、折角大入賞口12が開放されたにもかかわらず、当該大入賞口12に遊技球を入賞させることができない。つまり、本来であれば得られたであろう筈の遊技価値を得ることができなくなってしまい、結果として遊技者に不測の不利益が及んでしまうおそれがある。
【0111】
そこで、図8に示すように、本実施の形態では、主基板90と遊技価値管理制御基板93との間で、双方向での通信が可能となっている。さらに、前記発射カウントスイッチ23は、前記遊技価値管理制御基板93に接続されており、かかる遊技価値管理制御基板93では、発射カウントスイッチ23からの検出信号を常に監視するようになっている。また、前記遊技価値管理制御基板93は、ハンドル操作検出手段63、モータ作動検出スイッチ64にも電気的に接続されており、当該遊技価値管理制御基板93では、ハンドル操作検出手段63、モータ作動検出スイッチ64からの検出信号をも常に監視するよう構成されている。
【0112】
そして、上述したような大当たり状態に際して遊技球Bが適切に発射されないようなときには、次のような制御が行われるようになっている。すなわち、大当たり状態の発生が確定した場合、前記主基板90は、各種制御基板91〜93等へ各種大当たり状態の実行コマンドを出力することは既に説明したが、当該実行コマンドを出力する前段階に、前記遊技価値管理制御基板93に対し、大当たり実行前確認コマンドを出力する。該大当たり実行前確認コマンドを入力した遊技価値管理制御基板93は、前記残球数記憶メモリ71及び残金記憶メモリ72の各記憶内容を参照するとともに、その参照結果に基づく信号を主基板90に対し出力する。より詳しくは、前記残球数記憶メモリ71の値が「0」であるか否か、及び、残金記憶メモリ72の値が「0」であるか否かに関する信号である。
【0113】
また、大当たり実行前確認コマンドを入力した遊技価値管理制御基板93は、前記残球数記憶メモリ71と残金記憶メモリ72との監視に基づく上記信号を主基板90に出力すると共に、発射カウントスイッチ23、モータ作動検出スイッチ64、ハンドル操作検出手段63の監視に基づく信号をも主基板90に出力する。より詳しくは、発射カウントスイッチ23により、遊技球Bの発射が検知されているか否か、モータ作動検出スイッチ64により、発射装置18の作動が検知されているか否か、ハンドル操作検出手段63により、遊技者による回動操作部62の回動操作が検知されているか否かの信号である。そして、主基板90が、遊技価値管理制御基板93から残球数記憶メモリ71の値が「0」以外である旨の信号を受け、かつ、遊技球Bが正常に発射されている旨(発射可能状態とされている旨)の信号を受けた場合、当該主基板90は、適正に遊技球Bが発射されており、遊技者にとって不測の不利益が生じるおそれがないものとして、各種制御基板91,92等に対し、上記した大当たり状態の実行コマンドを出力する。これにより、上記大当たり状態が発生させられる。
【0114】
一方、主基板90が、遊技価値管理制御基板93から前記残球数記憶メモリ71の値が「0」であって、かつ、残金記憶メモリ72の値が「0」ではない(残球は0だが残金はある)旨の信号を受けた場合には、当該主基板90は、引き続き所定時間(例えば5秒間)実行前確認コマンドを出力し、前記確認処理を続ける。そして、所定時間が到来しても(5秒後になっても)残球数記憶メモリ71の値が「0」である場合には、主基板90は大当たり状態の開始を中止させるコマンド(状態保持コマンド)を各制御基板91〜93等に出力すると共に、大当たり状態が開始される状態であることを記憶しておく。つまり、大当たりが開始される直前状態の保持が行なわれることとなる。そして、主基板90は各制御基板91〜93等に対して保持状態であることを遊技者等に示唆するための示唆コマンドを出力し、かかる示唆コマンドを入力した各制御基板91〜93等では遊技者等に対して保持状態である旨を示唆する。例えば、遊技価値管理制御基板93では、上皿表示部52において、「状態保持中です。球を借りてください」等の表示を行い、遊技者に球技球Bの貸し出しを促す教示(示唆)を行う。また、かかる教示を、ランプ音声制御基板91や表示制御基板92を介して、音声や、表示装置20にて行うこととしてもよい。
【0115】
また、主基板90が、遊技価値管理制御基板93から前記残球数記憶メモリ71の値が「0」であって、かつ、残金記憶メモリ72の値が「0」である旨の信号を受けた場合には、当該主基板90は、引き続き所定時間(例えば5秒間)実行前確認コマンドを出力し、前記確認処理を続ける。そして、所定時間が到来しても(5秒後になっても)残球数記憶メモリ71及び残金記憶メモリ72の値が共に「0」である場合には、主基板90は大当たり状態の開始を中止させるコマンド(状態保持コマンド)を各制御基板91〜93等に出力すると共に、大当たり状態が開始される状態であることを記憶しておく。この場合にも、大当たりが開始される直前状態の保持が行なわれることとなる。そして、主基板90は各制御基板91〜93等に対して保持状態であることを遊技者等に示唆するための示唆コマンドを出力し、かかる示唆コマンドを入力した各制御基板91〜93等では遊技者等に対して保持状態である旨を示唆する。例えば、遊技価値管理制御基板93では、上皿表示部52において、「状態保持中です。カードを購入して下さい」等の表示を行い、遊技者にカードの購入を促す教示(示唆)を行う。また、かかる教示を、ランプ音声制御基板91や表示制御基板92を介して、音声や、表示装置20にて行うこととしてもよい。
【0116】
さらに、モータ作動検出スイッチ64により発射装置18の作動が検知されているにもかかわらず、発射カウントスイッチ23により遊技球Bの発射が検知されていない場合、遊技価値管理制御基板93からその旨の信号を受けた主基板90は、引き続き所定時間(例えば5秒間)大当たり実行前確認コマンドを出力し確認処理を続ける。そして、所定時間が到来しても(5秒後になっても)遊技球Bの正常な発射が確認されない場合、主基板90は、球詰まりが起こったものと判断して、大当たり状態の開始を中止させるコマンド(状態保持コマンド)を各制御基板91〜93等に出力すると共に、大当たり状態が開始される状態であることを記憶する。つまり、大当たりが開始される直前状態の保持が行なわれることとなる。そして、主基板90は各制御基板91〜93等に対して保持状態であることを遊技者等に示唆するための示唆コマンドを出力し、かかる示唆コマンドを入力した各制御基板91〜93等は遊技者等に対して保持状態である旨を示唆する。例えば、遊技価値管理制御基板93では、上皿表示部52において、「球詰まりです。遊技場関係者を呼んでください」等の表示を行い、遊技者、ひいては遊技場関係者に球詰まりトラブルの解消を促す教示(示唆)を行う。勿論、この場合にも、かかる教示を、ランプ音声制御基板91や表示制御基板92を介して、音声や、表示装置20にて行うこととしてもよい。
【0117】
併せて、ハンドル操作検出手段63により、遊技者による回動操作部62の回動操作が検知されているにもかかわらず、発射カウントスイッチ23により遊技球Bの発射が検知されていない場合、遊技価値管理制御基板93からその旨の信号を受けた主基板90は、引き続き所定時間(例えば5秒間)大当たり実行前確認コマンドを出力し確認処理を続ける。そして、所定時間が到来しても(5秒後になっても)遊技球Bの正常な発射が確認されない場合、主基板90は、モータ17(発射装置18)の故障等が起こったものと判断して、大当たり状態の開始を中止させるコマンド(状態保持コマンド)を各制御基板91〜93等に出力すると共に、大当たり状態が開始される状態であることを記憶する。つまり、大当たりが開始される直前状態の保持が行なわれることとなる。そして、主基板90は各制御基板91〜93等に対して保持状態であることを遊技者等に示唆するための示唆コマンドを出力し、かかる示唆コマンドを入力した各制御基板91〜93等は遊技者等に対して保持状態である旨を示唆する。例えば、遊技価値管理制御基板93では、上皿表示部52において、「発射装置の故障です。遊技場関係者を呼んでください」等の表示を行い、遊技者、ひいては遊技場関係者に故障等によるトラブルの解消を促す教示(示唆)を行う。勿論、この場合にも、かかる教示を、ランプ音声制御基板91や表示制御基板92を介して、音声や、表示装置20にて行うこととしてもよい。
【0118】
上記のように、状態保持コマンドが出力された後、主基板90では、引き続き定期的に上記の大当たり実行前確認コマンドを出力し確認処理を実行する。そして、上記のような状態保持されていた各理由が解消されたと判断した場合、つまり、遊技価値管理制御基板93からの残球数記憶メモリ71の値が「0」以外となり、かつ、遊技球Bが正常に発射されている旨の信号を受けた場合、主基板90は、各種制御基板91〜93等へ大当たり状態の実行コマンドを出力する。これにより、特定のタイムラグを経て、大当たり状態が開始させられることとなる。
【0119】
また、本実施の形態においては、上記したような一連の確認作業が、大当たり状態確定時のみならず、大当たり中、つまり、大当たり状態終了時までの間においても行われる。詳しくは、各ラウンド開始時(大入賞口12開放開始時)、及び該各ラウンド開始から所定時間経過後(例えば15秒後)においても行われるようになっている。
【0120】
そして、大当たり状態中に、主基板90が、上述した各状態保持理由が発生したと判断した場合、当該主基板90は、引き続き所定回数(例えば10回)大当たり実行前確認コマンドを出力し確認処理を続ける。そして、所定回数確認処理を行っても(10回の確認処理を行っても)遊技球Bの正常な発射が確認されない場合、主基板90は大当たり状態を一時的に停止させるコマンド(状態保持コマンド)を各制御基板91〜93等に出力し、大入賞口12を強制的に閉鎖すると共に、該大入賞口12が閉鎖した時点(閉鎖状態にある場合には、状態保持コマンドが出力された時点)の状態(ラウンド数、当該ラウンド中に入賞した遊技球Bの数等)を記憶しておく。そして、主基板90は、各制御基板91〜93等に対して保持状態であることを遊技者等に示唆するための示唆コマンドを出力し、かかる示唆コマンドを入力した各制御基板91〜93等は遊技者等に対して保持状態である旨及びその理由を教示する。その後、状態保持理由が解消され、遊技価値管理制御基板93から残球数記憶メモリ71の値が「0」以外である旨の信号を受け、かつ、遊技球Bが正常に発射されている旨の信号を受けた場合、主基板90は、各種制御基板91〜93等に対し、大当たり状態の再開コマンドを出力し、記憶されている保持された時点の状態から大当たり状態の遊技を再開させる。
【0121】
なお、大当たり状態中、前記所定時間以前(15秒以内)に当該ラウンドが終了したような場合(大入賞口12に遊技球Bが10個入賞した場合)には、ラウンド開始から所定時間後(例えば15秒後)における、一連の確認処理は省略される。
【0122】
さて、以上詳述したように、本実施の形態では、大当たり状態開始直前から大当たり状態終了時までの間において、主基板90が遊技価値管理制御基板93に対して大当たり状態を導出(継続)してよいのか否かの確認コマンドを出力し、かかる確認の結果、遊技球Bが適正に発射できないような事情がある場合には、大当たり状態の開始を中止したり、大当たり状態中の遊技を一時的に停止させたりしてそのときの状態が保持される。それと同時に、主基板90では、大当たり状態が開始される直前の状態、又は、大当たり状態が一時的に停止された時点の状態が記憶される。このため、大当たりに際し、遊技球Bが適正に発射されない事情(理由:所定の要因)が生じた場合でも、前記理由が解消した後において、適正に大当たり状態が開始、又は再開させられることで、遊技者に対して本来与えられるべき大当たり状態の利益を適正に付与することができる。その結果、遊技者に不測の不利益が及んでしまうといった事態を防止することができる。
【0123】
しかも、上記主基板90による確認は、大当たり中のみならず、大当たり状態開始直前から大当たり状態終了時までの間において継続的に行われるため、遊技者に対する不利益の及ぶおそれをさらに低減させることができる。
【0124】
また、本実施の形態では、上皿表示部52等によって状態が保持されている旨及びその理由が教示される。そのため、遊技者及び遊技場関係者等は当該トラブルに対して迅速に対応することができ、大当たり状態開始又は再開までのタイムロスを最小限に抑えることができる。
【0125】
特に、遊技価値管理制御基板93は残球数記憶メモリ71、残金記憶メモリ72、発射カウント検出スイッチ23、ハンドル操作検出手段63、モータ作動検出スイッチ64に対し、それぞれ電気的に接続されており、主基板90では、個々の事情に応じて上皿表示部52等において各種状態保持発生理由に対応した教示が行われる。このため、各種トラブルに対して無駄のない迅速な措置を講ずることができる。具体的には、残金があって残球数が「0」の場合には、遊技球Bを借りることによって遊技球Bが発射可能となる旨が教示され、残金及び残球数が共に「0」の際には、カードを購入し、カードユニットに差し込んだ上で遊技球Bを借りることによって遊技球Bが発射可能となる旨が教示される。また、残球数がある場合であっても、遊技球Bが適正に発射されない場合には、点検、トラブル解消(場合によっては修理)等が必要であることが示唆される。特に、遊技球Bの球詰まりや発射装置18(発射モータ17)のトラブルを明確に教示することができる。そして、かかる教示によって、当該トラブルに対して無駄なく迅速な措置を講ずることができる。
【0126】
尚、上述した実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
【0127】
(a)主基板90による確認作業のタイミングは、特に上記構成に限定されるものではなく、任意のタイミングで行うことができる。例えば、主基板90による確認作業は、大当たり状態確定時から大当たり状態終了時までの間において、常に継続的に行われることとしてもよい。また、大当たり状態確定時のみに行うこととしてもよい。
【0128】
(b)また、通常遊技状態においても、主基板90による確認作業が行われるよう構成されてもよい。なお、残球数記憶メモリ71、残金記憶メモリ72に対する確認作業だけを行ってもよいし、 発射カウントスイッチ23、ハンドル操作検出手段63、モータ作動検出スイッチ64に対する確認作業だけを行ってもよい。要するに、遊技球Bが適正に発射されないような事情を判断でき、そのような場合に大当たり状態等の遊技状態を記憶・保持できるような構成となっていればよい。
【0129】
(c)さらに、上記実施の形態では、主基板90の大当たり実行前確認コマンドを受けることによって、遊技価値管理制御基板93が各種信号を主基板90に出力するよう構成されているが、特にそのような構成に限定されるものではない。例えば、遊技価値管理制御基板93が主基板90に対し信号を所定時間毎に定期的に出力するよう構成されてもよい。また、遊技価値管理制御基板93自身が状態保持コマンドを作製し、他の基板に出力することとしてもよい。もちろん、主基板90のみが上記各制御を行うこととしてもよい。
【0130】
(d)上記大当たり状態時において、ハンドル7の操作が行われていないような場合にも、遊技者にハンドル操作を促すような教示を行うこととしてもよい。例えば、ハンドル操作検出手段63による操作検知が行われないような場合に、上皿表示部52に「ハンドルを操作して遊技を続けてください」等の教示を行うこととしてもよい。
【0131】
(e)上皿表示部52でのドットマトリクス表示に代えて、他の表示態様、例えば、液晶表示等を採用することとしてもよい。また、必ずしも上皿5に表示部を設ける必要はなく、例えば、遊技盤8に表示部を設けてもよいし、表示装置20の表示部で各種情報等を表示することとしてもよい。勿論、当該表示部52を省略し、音声や表示装置20の表示部のみによって教示することとしてもよい。
【0132】
(f)また、上皿表示部52や、スピーカ9や、表示装置20の表示部以外の装置(例えばランプ等)においても、教示が行われることとしてもよい。
【0133】
(g)上記実施の形態では遊技価値管理制御基板93に対し、残球数記憶メモリ71、残金記憶メモリ72、発射カウントスイッチ23、ハンドル操作検出手段63、モータ作動検出スイッチ64からの検知信号が入力されるようになっているが、必ずしもそのような構成に限定されるものではない。例えば、かかる検知信号が主基板90に入力されることとしてもよい。
【0134】
(h)上記実施の形態では、大当たり状態開始時においての状態保持理由が確認された場合は所定時間(上記例では5秒)確認処理を行ってから、一方、大当たり状態中において状態保持理由が確認された場合は所定回数確認処理を行ってから大当たり状態の保持が行われるように構成されていたが、特にそのような構成に限定されるものではない。例えば、大当たり状態開始時においての状態保持理由が確認された場合において、所定回数確認処理を行ってから大当たり状態の保持が行われるよう構成されてもよい。もちろん、1回の状態保持理由確認直後に大当たり状態の保持が行われるよう構成されてもよい。
【0135】
(i)主基板90、遊技価値管理制御基板93等にタイマを設け、保持状態の経過時間をカウントしてもよい。さらに、かかるカウントを表示してもよい。
【0136】
(j)保持された時点の状態(ラウンド数、当該ラウンド中に入賞した遊技球Bの数等)を表示することとしてもよい。例えば、前記状態を表示部に表示して遊技者が視認可能に設けることとしてもよいし、前面枠3やガラス扉枠4を開状態にすることによって視認可能に設けることとしてもよい。また、それらを任意に組合せて設けてもよい。
【0137】
(k)球詰まりや発射モータ17等のトラブルが起きていることの教示を、前面枠3やガラス扉枠4を開状態にすることによって視認可能とすることとしてもよい。
【0138】
(l)保持状態にある大当たり状態の遊技の再開させる際の遊技状態として、上記実施の形態とは異なる状態を採用してもよい。例えば、大当たりラウンド途中に保持状態とされた場合、かかるラウンドの開始時点から再開されることとしてもよいし、かかるラウンド終了時点から再開されることとしてもよい。
【0139】
(m)上記実施の形態では、遊技価値の書き込み等がカードに行われるようになっているが、ホールコンピュータ等にデータが書き込まれる構成となっていてもよい。
【0140】
(n)上記実施の形態とは異なるタイプのパチンコ機等として実施してもよい。例えば、遊技球Bが封入されておらず、遊技球Bを循環使用しないパチンコ機として実施してもよいし、一度大当たりすると、それを含めて複数回(例えば2回、3回)大当たり状態が発生するまで、大当たり期待値が高められるようなパチンコ機(通称、2回権利物、3回権利物と称される)として実施してもよい。また、大当り図柄が表示された後に所定の領域に遊技球を入賞させることを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機として実施してもよい。さらに、羽根モノと称されるパチンコ機に適用することも可能である。また、パチンコ機以外にも、アレンジボール機や、それに類する雀球等の各種遊技機として実施することも可能である。
【0141】
(o)さらに、パチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機として実施してもよい。具体例としては、複数の識別情報からなる識別情報列(具体的にはリールであり、識別情報はリールに付されたシンボルである)を変動表示(具体的にはリールの回動である)した後に識別情報を確定停止表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して或いは所定時間経過することにより識別情報の変動が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備え、遊技媒体として遊技球を使用するとともに、前記識別情報の変動開始に際しては所定数の遊技球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの遊技球が払い出されるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施の形態におけるパチンコ機を示す斜視図である。
【図2】遊技盤を示す正面図である。
【図3】ガラス扉枠を取り外した前面枠等を示す正面図である。
【図4】前面枠の下部を示す部分正面図である。
【図5】前面枠の正面側下部を示す分解斜視図である。
【図6】前面枠の下部を示す部分背面図である。
【図7】前面枠の背面側下部を示す分解斜視図である。
【図8】主基板等の電気的構成を説明するためのブロック図である。
【符号の説明】
1…遊技機としてのパチンコ機、3…前面枠、8…遊技盤、17…発射モータ、18…発射手段としての発射装置、52…教示手段を構成する上皿表示部、53…操作部、62…回動操作部、63…発射不能検出手段を構成するハンドル操作検出手段、64…発射不能検出手段を構成するモータ作動検出スイッチ、71…発射不能検出手段を構成する残球数記憶メモリ、72…発射不能検出手段を構成する残金記憶メモリ、90…遊技状態記憶保持手段、判定手段、遊技再開手段等を構成する主基板、93…発射不能検出手段、判定手段等を構成する遊技価値管理制御基板。
Claims (1)
- 遊技球を遊技領域へ向けて発射可能な発射手段を備え、発射された遊技球の挙動に基づく遊技を行うよう構成され、所定条件が成立することに基づき、遊技者に有利な特別遊技状態が発生するよう構成された遊技機であって、
前記特別遊技状態が発生する蓋然性が高い場合、又は、特別遊技状態が発生した場合に、所定の要因で遊技球の発射が不能となったとき、遊技状態を保持可能に構成したことを特徴とする遊技機。
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JP2006223750A (ja) * | 2005-02-21 | 2006-08-31 | Olympia:Kk | 弾球遊技機 |
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2002
- 2002-10-25 JP JP2002311007A patent/JP2004141470A/ja not_active Withdrawn
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