JP2004141305A - 内視鏡の送液装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】逆流防止弁を装着した状態でも、また逆流防止弁を取り外した状態でも、シリンジ等の液体圧送手段を接続して、所望の液体を供給できる送液装置を提供する。
【解決手段】本体操作部1における注液部10に装着された注液用口金12には、ルアーロック部12dが設けられており、逆流防止弁は設けられてはいない。ルアーロック部12dには栓部材20の栓本体22が着脱可能に装着されて、密閉可能となっており、また栓本体22に代えて送液用アダプタ30のルアーロック部材31を装着できるようになっている。ルアーロック部材31には逆止弁を構成するスリット34が設けられており、ナット部材36により注液用口金12に接続状態で固定される。
【選択図】  図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内視鏡において、挿入部の先端から水を噴射するウォータジェットその他の補助送水機構等として用いられる内視鏡の送液装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
内視鏡には流体の給排を行う手段が複数種類設けられる。まず、体液等の吸引手段であり、この吸引手段は、通常は、処置具挿通チャンネルに吸引通路を接続して設け、この吸引通路には負圧ポンプを含む吸引装置に接続される。そして、吸引を行う場合には、内視鏡の本体操作部に設けた吸引バルブを操作する。
【0003】
また、挿入部の先端に設けた観察窓を洗浄するために、洗浄用流体の供給手段が設けられる。ここで、洗浄用流体としては、洗浄液(通常は洗浄水)と加圧エアとからなり、観察窓が汚損されたときには、洗浄液を観察窓に噴射して、汚損物を洗い流し、次いで加圧エアを供給して、観察窓に付着する液滴を除去する。従って、内視鏡には送液路と送気路とが設けられ、これら送液路及び送気路に洗浄液や加圧エアを供給する際には、本体操作部に設けた送気送水バルブを操作する。なお、送液路及び送気路は挿入部の先端近傍で合流して、この合流路は挿入部の先端部において、観察窓に向けたノズルに接続されている。従って、送気送水バルブを送液状態となるように操作して、まず送液路から合流路を介してノズルから洗浄液を供給し、次いで送気路から合流路を介してノズルから加圧エアを噴射する状態に送気送水バルブを切り換えるようにする。これによって、観察窓が汚損されたときに、いちいち挿入部を体腔外に取り出さなくても、この観察窓の洗浄を行える。
【0004】
さらに、内視鏡には、体腔内壁に高圧水を噴射させて、体腔内壁における付着物を除去したり、また色素剤を散布したりする等のために、送液装置が組み込まれたものもある。この送液装置は、挿入部の先端に噴射口を開口させて設けて、この噴射口から必要な液体を噴射させるものである。ここで、前述した洗浄液は観察窓に向けて噴射されるものであり、送液装置から噴射される液体は観察窓の観察視野の方向に向けて液体を噴射させる点で両者は異なっている。
【0005】
送液装置は、前述したように挿入部の先端に噴射口を有するものであるが、この噴射口から液体を噴射させるための注液部は、本体操作部に装着され、シリンジ等の液体圧送手段が着脱可能に接続される。そして、この注液部から噴射口までの間はチューブ等からなる送液通路が設けられる。通常、体腔内の圧力は大気圧より高いために、注液部から送液通路を経て噴射口が連通していると、送液通路内の液体及び体腔内からの液体が逆流し、注液部から溢出する可能性があるので、液体を供給しないときには、この注液部を閉鎖状態に保持しなければならない。このために、注液部に逆流防止弁を設けて、常時においては、送液通路と大気との連通を遮断するようになし、液体圧送手段が接続されて、高圧の液体が圧送される際には逆流防止弁を開いて、送液通路から噴射口に液体を供給できるようにしている。
【0006】
内視鏡は使用の都度洗浄及び消毒しなければならず、噴射口は挿入部の先端に開口していることから、噴射口及びそれと連通する送液通路の内部も洗浄する必要がある。そして、洗浄液の供給は、注液部に洗浄液乃至消毒液を充填したシリンジ等を接続して、送液通路から噴射口に向けて洗浄液や消毒液を供給する。また、ブラシを送液通路から噴射口に向けて挿入して、ブラシ洗浄を行うようにすることもある。
【0007】
洗浄液、消毒液を供給するにしろ、また注液部側からブラシを挿入してブラシ洗浄を行うにしろ、注液部に設けた逆流防止弁は洗浄時には邪魔になる。そこで、注液部に逆流防止弁を着脱可能に装着するようになし、内部洗浄を行う際に、逆流防止弁を取り外すことができるように構成したものは、従来から知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0008】
【特許文献1】
特許第2980232号公報(第5〜7頁、図10〜図13参照)。
【0009】
前述した特許文献1では、注液部から逆流防止弁の弁部材そのものを液体の供給通路に着脱可能に取り付けるか、注液部の口金の内面にめねじを設けて、このめねじに逆流防止弁を装着した通路形成部材を螺挿するかの構成が採用されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前述した特許文献1のように、液体の供給通路に弁部材を着脱可能に取り付けると、その取外し及び取り付けに引っ掛け用の治具が必要となり、また強制的に取り外すことから、逆流防止弁が損傷する可能性もある。一方、通路形成部材に逆流防止弁を装着して、注液部の口金にねじ止めする場合には、通路形成部材を取り外した状態では、口金の内周面にねじが設けられているので、送液通路から噴射口までの経路洗浄を行うために、洗浄液や消毒液を充填したシリンジを接続できなくなる。
【0011】
本発明は以上の点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、逆流防止弁を装着した状態でも、また逆流防止弁を取り外した状態でも、シリンジ等の液体圧送手段を接続して、所望の液体を供給できるようにすることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するために、本発明は、内視鏡の本体操作部に固定的に設けられ、送液用アダプタが着脱可能に接続される注液用口金と、基端部がこの注液用口金に接続され、前記本体操作部から挿入部内に挿通され、先端が挿入部の先端に噴射口として開口する送液通路とを備え、前記送液用アダプタに送液手段を接続することにより前記噴射口から液体を噴射可能とした内視鏡の送液装置であって、前記送液用アダプタは先端に逆流防止弁を装着したルアーロック部材と、このルアーロック部材の外周部に連結して設けたストッパリングと、このストッパリングと前記ルアーロック部材の先端に設けたフランジ部との間に軸線方向に移動可能で回転自在に装着したナット部材とからなり、また前記注液用口金の外周面には、前記ナット部材と螺合するねじ部を設け、かつその内面は先端側に向かうに応じて内径が縮径するルアーロック部が形成されており、この注液用口金のルアーロック部には前記送液用アダプタに代えて前記送液通路内を洗浄するための洗浄液供給用シリンジが着脱可能に接続される構成としたことをその特徴とするものである。
【0013】
一般に、送液装置における注液用口金に接続されて、体腔内に洗浄水を噴射させたり、薬液を散布したりするために用いられるのはシリンジである。シリンジを注液用口金に着脱可能に接続するために、ルアーロック部材が用いられる。ルアーロック部材は、その内面が先端側に向けて僅かな角度傾斜するテーパ面形状となっており、このルアーロック部にシリンジが着脱可能に挿嵌される。そして、注液用口金にもこのルアーロック部を設けたのは、洗浄用のシリンジを接続できるようにするためである。逆流防止弁は送液用アダプタに装着している。この逆流防止弁はゴム等の弾性部材からなり、常時には密着状態となるスリットで構成される。そこで、この逆流防止弁を構成する弾性部材を注液用口金と送液用アダプタとの嵌合部のシール部材として利用することができる。つまり、逆流防止弁に弾性シールを行うための部分を連設して設け、それをルアーロックテーパ面に圧接させることにより、この嵌合部の気密を確保できる。
【0014】
注液用口金に送液用アダプタを固定するためのナット部材は、注液用口金の外周面にねじ部を設けて、このねじ部にナット部材を螺合するが、ナット部材とねじ部との螺合は多条ねじで構成することで、送液用アダプタの螺回回数を少なくしても、強固に連結することができる。このように、注液用口金の外周面にねじ部が設けられているが、このねじ部を外部に露出しないようにするためには、本体操作部のケーシングでこのねじ部を覆うようにすれば良い。
【0015】
ナット部材はルアーロック部材に対して回転自在となっているが、このルアーロック部材からみだりに分離しないように装着される。このために、一方のストッパ部となるのが、ルアーロック部材の基端部に設けたフランジ部である。また先端側への抜け出しを防止するために用いられるのがストッパリングである。このストッパリングは様々な方法でルアーロック部材に固定することができるが、このルアーロック部材の外周部に螺合させた上で、接着剤により固定することができる。また、送液用アダプタを注液用口金に装着した状態では、送液用アダプタ及びストッパリングがみだりに回転しないように保持する必要がある。このために、ストッパリングの先端に突起を設け、また注液用口金の先端にこの突起が係合する凹部を設けるか、またはその逆の構成とする。そして、突起を円弧形状とすれば、この突起と凹部との位置合わせが容易になる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。まず、図1に内視鏡の概略構成を示す。図中において、1は本体操作部、2は体腔内等への挿入部、3はユニバーサルコードである。挿入部2は、本体操作部1への連結側から軟性部2a,アングル部2b及び先端硬質部2cとなっており、先端硬質部2cには照明部と観察部とからなる内視鏡観察手段が設けられている。アングル部2bは先端硬質部2cを所望の方向に向けるために、本体操作部1に装着したアングル操作手段4の操作により任意の方向に湾曲させることができるものである。
【0017】
この内視鏡には、ジェット噴射装置、補助送水装置等とも称される送液装置を備えている。この送液装置は、本体操作部1のケーシングに装着した注液部10と、この注液部10に接続した送液通路11とを有し、送液通路11の先端は噴射口11aとして挿入部2の先端硬質部2cにおいて、内視鏡観察手段の装着部近傍に開口している。ここで、噴射口11aからは液体、例えば水や薬液等を体腔内壁に向けて噴射させることができるようになっている。注液部10は、本体操作部1において、挿入部2の連結部とは反対側の位置に設けられており、これによって送液通路11は本体操作部1内において、ほぼ真直ぐに延在させることができる。その結果、ブラシ洗浄を行う際等に有利になる。ただし、注液部10は本体操作部1のケーシングにおける下面等の位置に設ける構成とすることもできる。
【0018】
注液部10は、図2及び図3に示したように、注液用口金12を備え、この注液用口金12は本体操作部1のケーシング1aに貫通する状態に設けた取付孔13に装着されている。注液用口金12には、取付孔13の段差面13aに当接するフランジ部12aを有し、このフランジ部12aより先端側、つまり本体操作部1の内部側には外周面にねじ部12bが設けられており、このねじ部12bに固定用ナット14が螺合されている。従って、注液用口金12は、フランジ部12aと固定用ナット14とによりケーシング1aを挟持するようにして固定される。さらに、ねじ部12bの先端側の部位は送液通路11を構成するチューブの基端部が嵌合するように連結される連結部12cとなっている。
【0019】
注液用口金12の基端側の部位はルアーロック部12dとなって外部に開口している。ここで、ルアーロック部12dは、その内面が基端側開口部の内径が最も大きく、所定の位置まで連続的に開口径が小さくなるようにルアーロックテーパ面Tを有する形状としたものであり、このテーパ角は6/100という程度にごく緩やかなものとなっている。さらに、ルアーロック部12dの先端部は円弧状に突出しており、また後述するように、円周方向において、1箇所乃至数箇所の凹部15(本実施の形態においては180°の位置に2箇所)が形成されている。さらに、ルアーロック部12dの外周面において、フランジ部12aから所定の間隔だけ離間した位置におねじ部16が設けられている。このおねじ部16は多条ねじ、例えば2条ねじ等から構成される。
【0020】
注液用口金12の基端部は常時開口した状態となっており、このままでは挿入部2を体腔内に挿入したときには、注液用口金12、送液通路11及び噴射口11aを介して、体腔内と大気とが連通することになる。そこで、この注液用口金12におけるルアーロック部12dには、栓部材20または送液用アダプタ30が着脱可能に装着されて、体腔内と大気との連通を遮断するようにしている。ここで、図2に示したように、栓部材20が装着されていると、注液用口金12の開口端が密閉されて、送液できない状態となる。一方、図3に示したように、栓部材20を取り外して、送液用アダプタ30をルアーロック部12dに接続して、この送液用アダプタ30に液体を充填したシリンジを接続すると、体腔の内部にシリンジ内の液体を供給できるようになる。
【0021】
栓部材20は、その全体が例えばフッ素ゴムその他の弾性部材で構成され、図4に仮想線で示し、図5に断面で示した構成となっている。栓部材20は、注液用口金12に嵌合される取付リング部21と、栓本体22及び取付リング部21と栓本体22とを連結する連結帯片23とから構成される。取付リング部21の内径は、注液用口金12におけるルアーロック部12dの外径寸法より小さくすることによって、締め付け状態にして装着されるようになっている。従って、装着状態では、取付リング部21はおねじ部16を乗り越えるようにして、取付孔13の段差面13aとこのおねじ部16とにより挟持された状態に保持される。
【0022】
取付孔13には、段差面13aの周囲に立ち上がり壁13bが設けられており、この立ち上がり壁13bは取付リング21の外径より大きな円環状のものであり、さらにこの立ち上がり壁13bの1箇所には栓部材20の方向性を出すための段差部13cが形成されている。この段差部13cの幅寸法は栓部材20の連結用帯片23の幅寸法より多少大きめの円弧部を有するものであり、この段差部13cにより注液用口金12に栓部材20を装着したときに、その連結用帯片23が段差部13cの左右の壁面にガイドされて、栓本体22の方向性を一定にするようになされている。
【0023】
栓本体22は、円環状に形成した外壁部24と、この外壁部24の内側に形成した円環状溝25と、この円環状溝25の内側に位置する内壁部26とから構成される。内壁部26は概略円柱形状のものからなり、その先端部は凸円弧部26aが形成されている。円環状溝25の溝幅は注液用口金12におけるルアーロック部12dの厚みより狭くなっており、従って栓部材20の栓本体22を注液用口金12に嵌合させると、そのルアーロック部12dは栓本体22の円環状溝25内に挿入されて、外壁部24と内壁部26との間に挟持されるようになる。その結果、注液用口金12の内部が密閉状態となる。ここで、外壁部24は注液用口金12のおねじ部16を覆う位置まで延在される。これによって、外壁部24がおねじ部16のねじ山に食い込むようになり、栓本体22の抜け止めが図られる。また、ルアーロック部12dの基端部には2箇所の凹部15が形成されているが、円環状溝25の溝底部にはこの凹部15に係合する突出部25aが形成されている。
【0024】
前述した構成を有する栓部材20は、その取付リング部21が注液用口金12に常時嵌合された状態に保持されており、栓本体22がこの注液用口金12の基端部に装着されると、注液用口金12が密閉状態になる。また、栓本体22を脱着すると、送液用アダプタ30を注液用口金12に接続できるようになる。ここで、栓本体22を脱着しても、栓部材20そのものは注液用口金12に連結した状態に保持される。また、栓本体22が注液用口金12に装着されると、その連結帯片23が取付孔13の段差部13bにおける左右の壁部にガイドされて、栓部材20がみだりに回転することがなく、栓本体22は注液用口金12の基端部に対して常に同じ位置に装着される。従って、ルアーロック部12dの基端部に設けた凹部15に栓本体22の円環状溝25の突出部25aが係合することになる。その結果、ルアーロック部12dの基端部は栓本体22により密閉される。なお、栓本体26の内壁部26に凸円弧部26aを形成しており、また外壁部24の先端側内周面にテーパ面24aが形成されており、これらによって栓本体26の装着時に、その円環状溝25を確実にルアーロック部12dが挿入される状態に導くための呼び込み部として機能する。
【0025】
体腔内に所要の液体を供給する場合には、栓部材20の栓本体22を注液用口金12のルアーロック部12dから取り外して、送液用アダプタ30をこのルアーロック部12dに接続する。これが図3に示した状態である。この状態で、送液用アダプタ30におけるルアーロック部材31にシリンジ等を接続することによって、送液通路11に向けて液体を供給できるようになる。送液用アダプタ30は、図6に示したように、ルアーロック部材31の内面は、注液用口金12のルアーロック部12の内面と同様のルアーロックテーパ面Tを有するものであり、このルアーロック部材31の外周部は基端側が大径部31aで、この大径部31aの先端側が小径部31bとなっており、この小径部31bの大径部31aへの移行部には取付溝32が設けられている。
【0026】
ルアーロック部材31の先端は開口しており、この先端開口部は注液用口金12を介して送液通路11と連通するようになっている。ただし、常時連通状態としたのでは、シリンジ等の液体圧送手段が接続されていない状態では、送液通路11側からの逆流が生じることになる。そこで、ルアーロック部材31の小径部31bには逆流防止弁部材33が取り付けられている。ここで、逆流防止弁部材33はシリコンゴム等のように耐熱性を有する弾性部材からなり、その基端側の部位がルアーロック部材31の小径部31bに嵌合される取付部33aとなっており、かつこの取付部33aの基端部の内周面には取付溝32内に嵌入する円環状突条33bが設けられている。ここで、逆流防止弁部材33はルアーロック部材31にインサート成形等により装着するのが望ましい。逆流防止弁部材33における取付部33aの先端側は縮径されており、この縮径部33cの端面は閉塞されている。そして、この端面に逆流防止弁を構成するスリット34が設けられている。さらに、小径部31bから縮径部33cにおいて、スリット34の形成位置までは、ルアーロック部材31の内部通路に通じる通路35が形成されている。従って、スリット34は、常時においては、つまりルアーロック部材31の内部が送液用口金12の内部より高圧にならない限り、相互の接合壁面が密着して、ルアーロック部材31と送液用口金12との連通を遮断している。また、ルアーロック部材31にシリンジ等の液体圧送手段が接続されて、この液体圧送手段から高圧の液体が供給されて、この圧力が通路35内に導かれると、スリット34が開いて、注液用口金12から送液通路11に向けて液体を供給することができるようになる。
【0027】
次に、送液用アダプタ30の注液用口金12への着脱機構の構成について説明する。送液用アダプタ30は、ルアーロック部材31の大径部31aにナット部材36が嵌合されている。ここで、ナット部材36は、その内面における先端側の部位に注液用口金12に設けたおねじ部16に螺合されるめねじ部37が形成されており、このめねじ部37はおねじ部16と同様多条ねじで構成される。ナット部材36の基端部には内向きの係合突条36aが設けられており、この係合突条36aの内径はルアーロック部材31の大径部31aの外径より僅かに大きいものとなっている。従って、ナット部材36はルアーロック部材31の大径部31aに回転自在に嵌合される。
【0028】
そして、ルアーロック部材31の大径部31aにおける下部位置にはねじ部38が形成されており、このねじ部38にはストッパリング39が螺合されて、耐熱性を有する接着剤により固着されている。ストッパリング39は、所定の厚み寸法を有し、その外径は係合突条36aの内径より大きくなっている。さらに、ルアーロック部材31の基端部外面にはフランジ部31cが設けられており、このフランジ部31cはシリンジを接続する際に、その係合部と係合する受け部となるものである。しかも、このフランジ部31cの外径はナット部材36の係合突条36aの内径より大きくなっている。従って、ナット部材36は、ルアーロック部材31の大径部31aに嵌合されて回転自在であり、かつその係合突条36aがルアーロック部材31に設けられているストッパリング39とフランジ部31cとの間で軸線方向に向けて移動可能であるが、ナット部材36はルアーロック部材31から分離しないように保持される。さらに、ストッパリング39の先端部には注液用口金12の凹部15に係合して、ルアーロック部材31にシリンジ等を接離する際に、回転する方向に力が加わっても、このルアーロック部材31が回転しないように保持するための突起39aが延在して設けられており、この突起39aは凹部15への呼び込み部となるように、凸円弧形状となっている。
【0029】
送液用アダプタ30は以上のように構成され、栓部材20を構成する栓本体22に代えて、注液用口金12に着脱可能に接続されるようになっている。このためには、まずナット部材36をルアーロック部材31のフランジ部31c側に変位させた状態で、注液用口金12のルアーロック部12dの内部にルアーロック部材31に装着した逆流防止弁部材33を嵌合させる。ここで、ルアーロック部12dの内面はルアーロックテーパ面Tとなっており、先端側に向けて連続的に縮径されている。そこで、逆流防止弁部材33の取付部33aの外径をルアーロック部材12dの基端部内径とほぼ同じか、それより僅かに小さくすることによって、取付部33aがルアーロック部12d内に入り込むと、その内面のルアーロックテーパ面Tに沿って進行する間に取付部33aが圧縮されるように弾性変形することになる。その結果、注液用口金12のルアーロック部12dの内面と送液用アダプタ30を構成するルアーロック部材31の外面との間が気密状態となる。
【0030】
また、ルアーロック部材31の注液用口金12への接続時には、ストッパリング39の先端に形成した突起39aをルアーロック部12dの端部に設けた凹部15に係合させる。これによって、ストッパリング39に固着して設けたルアーロック部材31の回転止めがなされる。なお、突起39aは凸円弧形状となっているので、ルアーロック部材31をルアーロック部12dに押し込みながら回転させることによって、この突起39aは容易に凹部15に係合することになる。また、突起39aが凹部15内に入り込まない限り、つまり突起39aがルアーロック部12dの凹部15が形成されていない部位に乗り上げている限りは、ナット部材36のめねじ部37は注液用口金12に設けたおねじ部16には噛み合わないように設定されている。
【0031】
送液用アダプタ30側が注液用口金12内に所定長さ分だけ入り込んだ状態で、ナット部材36のめねじ部37を注液用口金12に設けたおねじ部16に螺合させることによって、送液用アダプタ30は注液用口金12に接続された状態で固定される。ここで、めねじ部37とおねじ部16とは多条ねじで構成されているので、ナット部材36を1乃至数回程度螺回させるだけで、所定の位置まで螺合される。そして、このときには、ナット部材36の先端部は栓部材20を構成する取付リング部21に圧接されて、この取付リング部21をある程度圧縮変形させるようになる。その結果、この取付リング部21によりナット部材36の回り止め機能を発揮することになる。
【0032】
このようにして送液用アダプタ30が注液用口金12に接続された状態では、逆流防止弁部材33を構成するスリット34が閉じた状態となり、かつその取付部33aが注液用口金12のルアーロック部12dに圧接されて弾性変形した状態に保持されるから、送液通路11側からの逆流が発生することはない。
【0033】
ルアーロック部材31には、例えば体腔内壁の付着物を除去するために注水を行ったり、また薬液を散布したりするために、例えばシリンジが接続される。このシリンジの接続時には、シリンジをねじ回すようにして接続される。これによって、シリンジがルアーロック部材31の内面であるルアーロックテーパ面Tに密着すると共に、フランジ部31cを抱持するようにして固定される。そして、シリンジを操作して、液体を圧送すると、逆流防止弁を構成するスリット34が開いて、液体が注液用口金12から送液通路11内に送り込まれる。その結果、噴射口11aから液体が体腔内に向けて噴射される。液体の噴射が終了すると、シリンジをルアーロック部材31から分離するが、この分離時にも、シリンジをねじ回すようにする。このように、シリンジの着脱時には、ルアーロック部材31には回転する方向の力が作用するが、ストッパリング39の突起39aと注液用口金12の凹部15との係合により、ルアーロック部材31がみだりに回転する等のおそれはない。
【0034】
従って、内視鏡の操作を行う場合において、液体の供給を行う必要がある場合には、注液用口金12に送液用アダプタ30を取り付け、また液体の供給を行わない場合には、送液用アダプタ30を取り外して、注液用口金12に取付リング部21が係合している栓部材20の栓本体22をこの注液用口金12のルアーロック部12dに装着する。
【0035】
内視鏡の使用後には、噴射口11aを含めて、送液通路11内を洗浄する必要がある。この場合には、注液用口金12のルアーロック部12dには栓本体22も、また送液用アダプタ30も取り付けないようにする。そして、ルアーロック部12dに洗浄用薬液や洗浄水、さらには消毒液を充填したシリンジを接続する。ここで、ルアーロック部12dの内面は、ルアーロック部材31と同様、ルアーロックテーパ面Tが設けられているので、シリンジをこのルアーロック部12dに容易に接続できる。そして、ルアーロック部12dから送液通路11の噴射口11aに至るまでの通路には液体の流通を阻害するものが配置されていないので、通路の洗浄を円滑に行える。なお、この操作時において、注液用口金12の外周面に形成したおねじ部16が露出していると、このおねじ部16に手等が触れる可能性がある。しかしながら、本体操作部1のケーシング1aに設けた取付孔13の立ち上がり壁13bはおねじ部16が設けられている部位を囲繞しているので、このおねじ部16に手等が触れるおそれはない。また、送液用アダプタ30も滅菌する必要があるが、この送液用アダプタ30を構成するルアーロック部材31,ナット部材36及びストッパリング39をステンレス等で形成し、また逆流防止弁部材33を耐熱性のある弾性部材で形成し、さらにストッパリング39をルアーロック部材31に固着するための接着剤を耐熱性を有するものとすることによって、オートクレーブによる滅菌が可能となる。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、逆流防止弁を装着した状態でも、また逆流防止弁を取り外した状態でも、シリンジ等の液体圧送手段を接続して、所望の液体を供給できるようになる等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の送液装置を備えた内視鏡の全体構成図である。
【図2】注液用口金に栓部材を装着した状態を示す断面図である。
【図3】注液用口金に送液用アダプタを装着した状態を示す断面図である。
【図4】栓部材の栓本体を注液用口金から取り外した状態を、栓部材を仮想線にして示す平面図である。
【図5】栓部材の断面図である。
【図6】送液用アダプタの断面図である。
【図7】送液用アダプタを注液用口金に装着して、ナット部材を省略して示す正面図である。
【符号の説明】
1 本体操作部   1a ケーシング
2 挿入部   10 注液部
11 送液通路   11a 噴射口
12 注液用口金   12a フランジ部
12d ルアーロック部   13 取付孔
13a 段差面   13b 立ち上がり壁
14 固定用ナット   15 凹部
16 おねじ部   20 栓部材
21 取付リング   22 栓本体
23 連結用帯片   24 外壁部
25 円環状溝   26 内壁部
30 送液用アダプタ   31 ルアーロック部材
31a 大径部   31b 小径部
33 逆流防止弁部材   33a 取付部
34 スリット   35 通路
36 ナット部材   36a 係合突条
37 めねじ部   39 ストッパリング
39a 突起

Claims (3)

  1. 内視鏡の本体操作部に固定的に設けられ、送液用アダプタが着脱可能に接続される注液用口金と、基端部がこの注液用口金に接続され、前記本体操作部から挿入部内に挿通され、先端が挿入部の先端に噴射口として開口する送液通路とを備え、前記送液用アダプタに送液手段を接続することにより前記噴射口から液体を噴射可能とした内視鏡の送液装置において、
    前記送液用アダプタは先端に逆流防止弁を装着したルアーロック部材と、このルアーロック部材の外周部に連結して設けたストッパリングと、このストッパリングと前記ルアーロック部材の先端に設けたフランジ部との間に軸線方向に移動可能で回転自在に装着したナット部材とからなり、
    また前記注液用口金の外周面には、前記ナット部材と螺合するねじ部を設け、かつその内面は先端側に向かうに応じて内径が縮径するルアーロック部が形成されており、
    この注液用口金のルアーロック部には前記送液用アダプタに代えて前記送液通路内を洗浄するための洗浄液供給用シリンジが着脱可能に接続される
    構成としたことを特徴とする内視鏡の送液装置。
  2. 前記ナット部材とねじ部との螺合は多条ねじで構成したことを特徴とする請求項1記載の内視鏡の送液装置。
  3. 前記ストッパリングは、前記ルアーロック部材の外周部に螺合させた上で、接着剤により固定するようになし、かつこのストッパリングは前記注液用口金の先端部との間で回り止め手段を介して連結される構成としたことを特徴とする請求項1記載の内視鏡の送液装置。
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