JP2004141279A - 脂取り紙 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来の脂取り紙に比べて吸脂速度、吸脂量が大きく実用性が高い脂取り紙の提供。
【解決手段】二枚の薄葉紙の間の中間層が接着部と空間部からなり、上記二枚の薄葉紙は接着部によって、ほぼ全域にわたって平面視で点状及び/又は線状に不連続に接合され、かつ接着部は支柱状構造を形成するとともに、上記二枚の薄葉紙は空間部において互いに連通されてなる脂取り紙。
【選択図】 図1
【解決手段】二枚の薄葉紙の間の中間層が接着部と空間部からなり、上記二枚の薄葉紙は接着部によって、ほぼ全域にわたって平面視で点状及び/又は線状に不連続に接合され、かつ接着部は支柱状構造を形成するとともに、上記二枚の薄葉紙は空間部において互いに連通されてなる脂取り紙。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、顔の脂を吸収するための積層構造を有する化粧用脂取り紙に関する。
また、本発明は、二枚の薄葉紙の間に中間層を有する、吸脂速度、吸脂量の多い、三層構造の脂取り紙に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、脂取り紙としては、払拭性を向上するために二層構造からなる紙が提案されている。しかし、吸湿性などの性質の異なる層を二層重ねた構造であるために、空気中の水分の影響や温度の影響によって、使用前にカールしやすい欠点があった。
かかる二層構造の脂取り紙を改善するものとして、三層構造からなる脂取り紙が提案された。例えば、延伸化あるいは多孔化のPEやPPなどのポリオレフィンフイルムを適宜重ね合わせた三層構造の脂取り紙(特開2000−63550号公報)、天然繊維原料を積層状態に抄合わせ、抄入れした三層構造に高密度部、低密度部を形成した脂取り紙(特開2001−269284号公報)、両面使用を目的として紙の間に合成樹脂フィルムや、熱可塑性樹脂を脂遮断層としてサンドイッチした積層物を、高温、高圧でプレスすることにより脂取り紙(特開2000‐287749号公報)がある。しかし、これらの脂取り紙は、表面の平滑性はよいが、硬くて風合いが悪い問題があった。また、中央部に遮断層が存在するため、空気の逃げ道が遮蔽されて紙層内の毛細管部での脂の浸透性が悪くなり、吸脂量が低下する問題があった。
【0003】
【特許文献】
特開平10−298030号公報
特開2000−63550号公報
特開2001−269284号公報
特開2000‐287749号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題点に鑑み鋭意検討した結果、柔軟で、肌触りがよく、両面裏表の差なく、使用ができ、かつ吸脂速度、吸脂量のような吸脂性に優れる脂取り紙を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下の構成を基本とする。
(1)二枚の薄葉紙の間に中間層を有する三層構造の脂取り紙であって、中間層は接着部と空間部からなり、上記二枚の薄葉紙は接着部によって、ほぼ全域にわたって平面視で点状及び/又は線状に不連続に接合され、接着部は支柱状構造を形成するとともに、上記二枚の薄葉紙は、空間部において互いに連通されてなることを特徴とする脂取り紙。
(2)上記接着部が、低融点繊維からなることを特徴とする上記(1)に記載の脂取り紙。
(3)上記接着部が、接着性物質の印捺層であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の脂取り紙。
(4)吸脂率が、0.20〜0.60であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の脂取り紙。
【0006】
なお、上記吸脂率は、以下の測定法によって得られる。
〔吸脂率測定法〕
5cm×7cmの寸法に裁断した脂取り紙(含浸前の重量をW0とする)を、ヒマシ油80wt%/ベンジルアルコール20wt%の混合オイル(皮脂モデル物質)に5分間含浸後、濾紙No.5Aにて拭取り、次いで濾紙No.5Aの間に挟んで1kgの荷重下で10分間放置した後、取り出す (この重量をWとする)。
なお、一連の測定は約25℃の室温で実施する。
吸脂率(A)は、次の式で定義する。
A=(W−W0)/W0
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の脂取り紙に関する実施の形態について詳細に説明する。
本発明の脂取り紙は、二枚の薄葉紙の間に吸脂性を増すための中間層を設けたものである。
本発明の脂取り紙において、中間層の両外側に設けられる二枚の薄葉紙は、顔面に分泌される皮脂を一次的に吸い取る機能と適当な柔軟性を有するものであれば、特に構成素材、特性などは特に限定されるものではない。
構成素材として、木材系パルプ、麻パルプの他、再生繊維又は合成繊維系パルプも使用することができる。
【0008】
薄葉紙1枚の厚みが10μm〜40μm程度で、坪量が10〜30g/m2のものが柔軟性保持の点で好ましい。薄葉紙の密度は、0.6〜1.2g/cm3程度が好ましい。密度が0.6g/ cm3を下回ると、平滑性が悪くなるので、ざらついたりして肌触りが良くない。一方、1.2g/ cm3を越えると、高密度であるために吸脂性が低下する。
【0009】
薄葉紙は、脂を吸ったときに色調が変化したり、透明性が変化するものが好ましい。このためにカオリン、酸化チタン、シリカ、タルク、炭酸マグネシウム又は炭酸カルシウムなどのような低屈折率性の填料を加えておくのが好ましい。
本発明の脂取り紙に使用する二枚の薄葉紙は、同質の紙を使用することが好ましいが、裏表を識別するため、又は消費者の要望に応じて色彩の異なる紙や組成の異なる紙又は厚みの異なる紙を使用することもできる。
【0010】
本発明の脂取り紙では、上記二枚の薄葉紙の間に接着部と空間部からなる中間層が設けられている。接着部は、二枚の薄葉紙を接着性物質、例えば接着剤、粘着剤やホットメルト又は低融点繊維などを使用して、薄葉紙のほぼ全域にわたって平面的に点状及び/又は線状に不連続になるように接合して形成される。接合点での接着を強固にするために圧力を適宜印加するとよい。薄葉紙の全域にわたって中間層に空間部がなく、完全に接着層で充填された構造であっては、脂取り性が著しく低下するからである。
【0011】
本発明の脂取り紙における接着部は、塗工又はスプレーによる方法や印刷機を使用した印捺による方法によって形成することができる。また、二枚の薄葉紙の中間に、低融点繊維からなる不織布、織物や編物を介在させて、ホットプレスする方法であってもよい。用いる低融点繊維は、表面に低融点成分を含む芯鞘型繊維又は低融点繊維が主成分となるように数種類の繊維が混合されたものでもよい。これら低融点繊維は、顔料又は染料などで着色されていてもよい。
【0012】
かくして、両外側の薄葉紙は接着層によって接合一体化されるとともに、不連続に形成される接着部は支柱又は梁の働きをなして中間層の厚みを保持するスペーサー的機能を有する。かかる支柱又は梁状の接着部は、厚み方向に実質的に連続した構造を有するが、厚み方向にわたって支柱又は梁の太さが一定であっても、
支柱又は梁の太さが接着部の厚み方向の途中で変化してもよい。
【0013】
上記2枚の薄葉紙の接着の態様は、特に規定されるものではないが、例えば平面的に線状、点状、格子状、網状又はメッシュ状などがある。また、これらを適宜組合せしてもよい。点の大きさや線の太さなどに特に限定されるものではない。これらは、製造性や意匠性の観点で適宜選択するとよい。
好ましい接着の態様の例として、平面的に直線的なストライブ状に形成された態様が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0014】
上記接着の態様を、図面によって説明すると、図1〜図5は、平面的な接着の平面模式図で、図6〜図8は、接着の横断面を示す。
図1に示すように、平面的に接着面が直線状に畝状であっても、図2に示すように格子状又は網状に接着されたものであっても、図3に示すようにスポット状に接着されていてもよい。図4は、図1の拡大図であり、図5は図3のスポット状接着の拡大状態を示し、海島型(空間部が海部に該当)に接着されている。さらに、平面的な接着は、上記直線的又はスポット的な接着以外に波線状、屈曲線状、その他任意の曲線状の形態(図示せず)であってもよい。網状形状には、網目の形、大きさが一定である規則的な構造以外に、形、大きさが不定である構造も含まれる。
【0015】
上記接着の立体的な形態としては、図6にあるように厚み方向に円柱状又は梁状の接合部を有する態様などがある。また、図7は、図6の拡大図であるが、上記円柱又は梁は、図8に示すように、円錐台形となっていてもよい。
いずれにしろ、接着部の厚み(円柱又は梁の高さ)は、5μm〜25μmが好ましい。接着部の厚みが、5μm未満であると、薄葉紙との接合が不完全となって、層間剥離の問題が発生しやすくなる。一方、接着部の厚みが20μmを越えると、脂取り紙全体が嵩高くなり、収納時のコンパクト性に欠ける。接着部の厚みは、特に好ましくは、10μm〜20μmが適当な範囲である。
【0016】
接着部を構成する物質は、薄葉紙との接着性及び耐久性を有するものであれば何でもよく、例えば接着剤、粘着剤、ホットメルト類などの接着性物質やポリオレフィン系、ポリアミド系又はポリエステル系などの低融点ポリマからなる繊維類などを使用することができる。接着剤、粘着剤の好ましい物質の例として、ウレタン系、アクリル系、ポリオレフィン系、ゴム系又はEVA系などの接着剤や粘着剤などがある。
【0017】
接着剤や粘着剤からなる接着部を形成するには、溶融状態で所望の形状に成形する方法、溶剤に溶かして成形後、溶媒を揮発させる方法を採用することが可能である。
接着部に着色成分を含有させておくと、脂取り紙が脂を吸って紙が透明ないし半透明になったときに接合部の模様や色が浮かび上がるので吸脂分の状態が容易に判別できるので好ましい。
【0018】
本発明の脂取り紙で、中間層の接着部以外の部分は、空間部となり、両側の薄葉紙面と連通する。空間部は、紙が吸い取った剰余の脂を内部に取り込み全体の吸脂性を著しく向上せしめるものである。かかる空間部が両側の薄葉紙と連通していると、いずれの側の薄葉紙面を使用しても脂を内部に取り込ませることができるので、両面使用が可能である。
また、空間部が表面と裏面を連通する構造であるために、脂が浸透するときの空気の移動が容易に起こるために吸脂速度を高めることができる。
さらに、脂取り紙全面にわたって接合されている場合に比べて、薄葉中間層に空間部があると脂取り紙が柔軟に保たれ風合いが良好になる。
【0019】
本発明の脂取り紙において、二枚の紙の間に形成される空間部への吸脂量を適正化するために、空間部の割合が中間層全体の10体積%から50体積%であることが好ましい。空間部の割合が10体積%未満であると、吸脂量が少なく脂取り効果が乏しくなる。また、脂取り紙の風合いも硬くなり好ましくない。
空間部の割合が、50体積%を越えると、吸脂量は多いが、一面で吸収した脂が他面にも浸透して両面使用が難しくなる。一方、風合いは軟らかくなるが、接合部の保形性が低下して圧縮変形されやすく、また接合強度が不足するので層間剥離を起こしやすくなる。中間層全体に占める空間部の割合のさらに好ましい範囲は、20〜40体積%である。
【0020】
また、本発明の脂取り紙の吸脂特性は、先の評価法で求められる吸脂率として0.2〜0.6の範囲にあるのが適当である。吸脂率が0.2未満では、実用性に乏しく、吸脂率が0.6を越えると、紙がバルキーとなって携行性が悪くなる。さらに好ましくは、0.25〜0.5の範囲である。
【0021】
次に本発明の脂取り紙を製造するための好ましい方法を以下(1)〜(4)に例示するが、本発明の脂取り紙の製造はこれらの方式に限定されるものではなく、他の公知の技術も適用可能である。
(1)サンドイッチ方式
二枚の薄葉紙の間に、ホットメルト不織布の如き低融点性の繊維材料を挟み、プレスして接合する。
(2)抄造方式
薄葉紙用原料スラリーを抄上げ、次いで低融点性繊維を主原料とするスラリーを抄上げて積層し、次いで薄葉紙用原料スラリーを抄上げて積層し、3層構造の積層紙を製造する方法である。これらの工程は、3つの原料漕を備えた丸網型抄造機によって1パスで行うことが好ましい。次いで、積層紙を熱プレスして接合する。
(3)直接印捺方式
各種のグラビアコーター、スクリーンコーター、印刷機などの印捺装置を使用して1枚の薄葉紙表面に接着剤、粘着剤、ホットメルト類などの接着性物質を所望の形状に印捺したのち、もう1枚の紙を接着性物質に接するように合わせて適宜、熱、圧力を加えて接合する。
(4)転写方式
各種のグラビアコーター、スクリーンコーター、印刷機などの印捺装置を使用して離型性フィルム表面に接着剤、粘着剤、ホットメルト類などの接着性物質を所望の形状に印捺した後、該フィルムと薄葉紙を当てて薄葉紙に接着性物質を転写し、もう1枚の薄葉紙と合わせて適宜、熱、圧力を加えて接合する。
【0022】
上記方式の印捺工程では、温度や接着性物質の粘度のような条件は使用する物質によって適宜選択するのがよい。また、圧接工程では、温度、印加圧力、ラインスピードなども接着性物質、使用する薄葉紙の厚み、坪量などの性状に応じて適宜選択するのがよい。
【0023】
【実施例】
次に本発明の脂取り紙について実施例によってさらに詳しく説明する。
【実施例1】
充填料として炭酸カルシウムを含有する薄葉紙(厚み20μm、坪量15g/m2)2枚の間に、グリーン顔料で着色した「蜘蛛の巣」状形態を有するホットメルト不織布を挿入して加熱ロールプレスで接合して三層構造の脂取り紙を製造した。
次いで、この脂取り紙を5cm×7cmの寸法に裁断した。
接着層の厚みは、18μm、吸脂率(A)は、0.31であった。
また、この三層構造の脂取り紙一枚を手で持って片面で額部に浮き出た皮脂を拭取ったところ、脂は脂取り紙に直ちに吸収され、脂が吸収された部分は半透明となってグリーンの「蜘蛛の巣」状模様がくっきりと浮き出た。一方、他方の面には脂は移動せず、空間部に留まっていた。
次いで、この三層構造の脂取り紙のもう片面側にて、小鼻のまわりの脂を拭取ったところ、柔軟なために細かな部分でも容易に払拭作業ができて扱い易かった。
また、吸脂性は良好であり、脂が吸収された部分は半透明となって使用部位の判別が容易にできた。
さらに、脂取り紙の表面はざらつきもなく滑らかで、肌触りがソフトであった。
【0024】
【実施例2】
充填料として炭酸カルシウムを含有する薄葉紙用原料からなるスラリー(S1)を調製した。次いで、低融点繊維としてフィブリル化構造を有するポリエチレンパルプ(80重量%)/故紙パルプ(20重量%)とバインダを含む中間層用原料スラリー(S2)を調製した。次いで充填料として炭酸カルシウムを含有する薄葉紙用原料からなるスラリー(S3)を調製した。これらのスラリーを3つの抄造漕を備えた丸網型抄造機の各漕に投入して3層構造の積層紙を製造した。
次いで、この積層紙を約130℃でホットプレスして薄葉紙と中間層が接合された脂取り紙を製造した。
得られた脂取り紙の両側の薄葉紙部の厚み20μm、坪量15g/m2、低融点繊維層(接着層)の厚み15μm、坪量8g/m2であった。
次いで、この脂取り紙を5cm×7cmの寸法に裁断して、製品とした。
この脂取り紙の吸脂率(A)は、0.33であった。
また、この三層構造の脂取り紙一枚を手で持って片面で額部に浮き出た皮脂を拭取ったところ、脂は脂取り紙に直ちに吸収され、脂が吸収された部分は半透明となってポリエチレンの繊維模様がくっきりと浮き出た。一方、他方の面には脂は移動せず、空間部に留まっていた。
さらに、この三層構造の脂取り紙のもう片面側にて、小鼻のまわりの脂を拭取ったところ、柔軟なために細かな部分でも容易に払拭作業ができて扱い易かった。また、吸脂性は良好であり、脂が吸収された部分は半透明となって使用部位の判別が容易にできた。
また、脂取り紙の表面はざらつきもなく滑らかで、肌触りがソフトであった。
【0025】
【実施例3】
充填料として炭酸カルシウムを含有する薄葉紙(厚み20μm、坪量15g/m2)表面に、ロールスクリーンコーターを使用して、青色顔料を含むウレタン系ホットメルト接着剤をストライブ状に印捺した。
得られたものの平面の模式的形状を図1、その拡大を図4に、断面の模式的形状を図6〜図8に示す。
次いで、もう1枚の薄葉紙(厚み20μm、坪量15g/m2)を上記印捺面に合わせて圧着して接合し、三層構造の脂取り紙を製造して、5cm×7cmの寸法に裁断した。
接着層の厚みは15μm、吸脂率(A)は、0.28であった。
また、この三層構造の脂取り紙一枚を手で持って片面で額部に浮き出た皮脂を拭取ったところ、脂は脂取り紙に直ちに吸収され、脂が吸収された部分は半透明となって青色ストライブの模様がくっきりと浮き出た。一方、他方の面には脂は移動せず、空間部に留まっていた。
次いでこの三層構造の脂取り紙のもう片面側にて、小鼻のまわりの脂を拭取ったところ、柔軟なために細かな部分でも容易に払拭作業ができて扱い易かった。また、吸脂性は良好であり、脂が吸収された部分は半透明となって使用部位の判別が容易にできた。
また、脂取り紙の表面は、ざらつきもなく滑らかで、肌触りがソフトであった。
【0026】
【実施例4】
充填料として炭酸カルシウムを含有する薄葉紙(厚み15μm、坪量10g/m2)表面に、ロータリースクリーンコーターを使用して、ピンク色顔料を含むEVA系ホットメルト接着剤を格子状に印捺した。(平面視の模式図を図2に示す)
次いで、もう一枚の薄葉紙(厚み15μm、坪量10g/m2)を上記印捺面に合わせて圧着して接合し、三層構造の脂取り紙を製造して、5cm×7cmの寸法に裁断した。
接着層の厚みは、15μm、吸脂率(A)は、0.25であった。
また、この三層構造の脂取り紙一枚を手で持って片面で額部に浮き出た皮脂を拭取ったところ、脂は脂取り紙に直ちに吸収され、脂が吸収された部分は半透明となってピンク色格子模様がくっきりと浮き出た。一方、他方の面には脂は移動せず、空間部に留まっていた。
次いでこの三層構造の脂取り紙のもう片面側にて、小鼻のまわりの脂を拭取ったところ、柔軟なために細かな部分でも容易に払拭作業ができて扱い易かった。また、吸脂性は良好であり、脂が吸収された部分は半透明となって使用部位の判別が容易にできた。
また、脂取り紙の表面はざらつきもなく滑らかで、肌触りがソフトであった。
【0027】
【実施例5】
充填料として炭酸カルシウムを含有する薄葉紙(厚み20μm、坪量15g/m2)表面に、グラビアコーターを使用して、グリーン顔料を含むEVA系ホットメルト接着剤をスポット状に印捺した。
このものの平面模式図を図3に、その拡大状態を図5に、接着部の断面構造を図7又は図8に示す。
次いで、もう一枚の薄葉紙(厚み15μm、坪量10g/m2)を上記印捺面に合わせて圧着して接合し、三層構造の脂取り紙を製造して、5cm×7cmの寸法に裁断した。接着層の厚みは14μm、吸脂率(A)は、0.26であった。
また、この三層構造の脂取り紙一枚を手で持って片面で額部に浮き出た皮脂を拭取ったところ、脂は脂取り紙に直ちに吸収され、脂が吸収された部分は半透明となってグリーンのスポット模様がくっきりと浮き出た。一方、他方の面には脂は移動せず、空間部に留まっていた。
次いでこの三層構造の脂取り紙のもう片面側にて、小鼻のまわりの脂を拭取ったところ、柔軟なために細かな部分でも容易に払拭作業ができて扱い易かった。また、吸脂性は良好であり脂が吸収された部分は半透明となって使用部位の判別が容易にできた。
また、脂取り紙の表面はざらつきもなく滑らかで、肌触りがソフトであった。
【0028】
【実施例6】
離型フィルムにグリーン顔料を含むアクリル系粘着剤をグラビアコーターを使用して、ストライブ状に印捺し(塗工量50g/m2)、乾燥した後、充填料として炭酸カルシウムを含有する薄葉紙(厚み20μm、坪量20g/ m2)を圧着した。次いで離型フィルムを剥離しながら粘着剤が転写された薄葉紙にもう一枚の薄葉紙(厚み20μm、坪量20g/m2)を圧着によって接合して三層構造の脂取り紙を製造した。次いでこの脂取り紙を5cm×7cmの寸法に裁断した。
接着層の厚みは、19μm、吸脂率(A)は、0.34であった。
この三層構造の脂取り紙一枚を手で持って片面で額部に浮き出た皮脂を拭取ったところ、脂は脂取り紙に直ちに吸収され、脂が吸収された部分は半透明となってグリーンのストライブ模様がくっきりと浮き出た。一方、他方の面には脂は移動せず、空間部に留まっていた。
次いでこの三層構造の脂取り紙のもう片面側にて、小鼻のまわりの脂を拭取ったところ、柔軟なために細かな部分でも容易に払拭作業ができて扱い易かった。また、吸脂性は良好であり、脂が吸収された部分は半透明となって使用部位の判別が容易にできた。
また、脂取り紙の表面はざらつきもなく滑らかで、肌触りがソフトであった。
【0029】
【比較例】
充填料として炭酸カルシウムを含有する薄葉紙(厚み20μm、坪量20g/m2)表面に、ロールコーターを使用して、グリーン顔料を含むEVA系ホットメルト接着剤をベタ塗り状に塗工した。
次いで、もう一枚の薄葉紙(厚み15μm、坪量10g/m2)を上記塗工面に合わせて圧着して接合し、三層構造の脂取り紙を製造して、5cm×7cmの寸法に裁断した。接着層の厚みは14μm、吸脂率(A)は、0.13であった。
この三層構造の脂取り紙一枚を手で持って片面で額部に浮き出た皮脂を拭取ったところ、脂の吸収性は悪かった。
次いで、この三層構造の脂取り紙のもう片面側にて、小鼻のまわりの脂を拭取っても脂の吸収性は悪かった。
さらに、この脂取り紙は硬く、ごわごわして肌触りが悪かった。
【0030】
【発明の効果】
上述するように、本発明の脂取り紙は三層構造の対称構造であるために、空気中の水分や温度の影響を受けてもカールすることなく、品位を良好に保つことができる。
本発明の脂取り紙は、三層構造であるゆえに両面使用ができる。二枚の薄葉紙間において空間部によって互いに連通されるために従来の脂取り紙に比べて吸脂速度、吸脂量が大きく実用性が高い。
しかも、吸脂すると、薄葉紙との接合部が浮き上がって見えるので、吸脂状態が容易に判る脂取り紙を提供することができる。
さらに、空間部の存在によって、風合いが軟らかく、表面の肌触りが良好な脂取り紙を提供することができる。
本発明の脂取り紙は、薄く保てるために重積して包装しても携行に適するコンパクト性が保たれる。接合部や紙部分に着色、プリント、文字・柄印刷などの任意の装飾を施せば、顧客のニーズに応え得る意匠性を付与した脂取り紙を提供することができる。
このように本発明の脂取り紙は、従来品を凌駕する優れた性能を具備するために旅行用、レジャー用などの個人用途にとどまらず、宿泊施設、美容室、エステサロンなどの各種業務用途へも幅広く応用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の脂取り紙のストライブ形状の接着部を示す平面模式図である。
【図2】本発明の脂取り紙の格子状の接着部を示す平面模式図である。
【図3】本発明の脂取り紙のスポット状の接着部を示す平面模式図である。
【図4】本発明の脂取り紙の接着部のストライブ形状を示す拡大模式図である。
【図5】同拡大模式図である。
【図6】本発明の脂取り紙の接着部の支柱断面積構造を示す模式図である。
【図7】同拡大模式図である(厚み方向にわたって支柱の太さがほぼ一定の例)。
【図8】同拡大模式図である(厚み方向にわたって支柱の太さが変化する例)。
【符号の説明】
1 中間層
2 薄葉紙
3 接着部
4 空間部
【発明の属する技術分野】
本発明は、顔の脂を吸収するための積層構造を有する化粧用脂取り紙に関する。
また、本発明は、二枚の薄葉紙の間に中間層を有する、吸脂速度、吸脂量の多い、三層構造の脂取り紙に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、脂取り紙としては、払拭性を向上するために二層構造からなる紙が提案されている。しかし、吸湿性などの性質の異なる層を二層重ねた構造であるために、空気中の水分の影響や温度の影響によって、使用前にカールしやすい欠点があった。
かかる二層構造の脂取り紙を改善するものとして、三層構造からなる脂取り紙が提案された。例えば、延伸化あるいは多孔化のPEやPPなどのポリオレフィンフイルムを適宜重ね合わせた三層構造の脂取り紙(特開2000−63550号公報)、天然繊維原料を積層状態に抄合わせ、抄入れした三層構造に高密度部、低密度部を形成した脂取り紙(特開2001−269284号公報)、両面使用を目的として紙の間に合成樹脂フィルムや、熱可塑性樹脂を脂遮断層としてサンドイッチした積層物を、高温、高圧でプレスすることにより脂取り紙(特開2000‐287749号公報)がある。しかし、これらの脂取り紙は、表面の平滑性はよいが、硬くて風合いが悪い問題があった。また、中央部に遮断層が存在するため、空気の逃げ道が遮蔽されて紙層内の毛細管部での脂の浸透性が悪くなり、吸脂量が低下する問題があった。
【0003】
【特許文献】
特開平10−298030号公報
特開2000−63550号公報
特開2001−269284号公報
特開2000‐287749号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題点に鑑み鋭意検討した結果、柔軟で、肌触りがよく、両面裏表の差なく、使用ができ、かつ吸脂速度、吸脂量のような吸脂性に優れる脂取り紙を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下の構成を基本とする。
(1)二枚の薄葉紙の間に中間層を有する三層構造の脂取り紙であって、中間層は接着部と空間部からなり、上記二枚の薄葉紙は接着部によって、ほぼ全域にわたって平面視で点状及び/又は線状に不連続に接合され、接着部は支柱状構造を形成するとともに、上記二枚の薄葉紙は、空間部において互いに連通されてなることを特徴とする脂取り紙。
(2)上記接着部が、低融点繊維からなることを特徴とする上記(1)に記載の脂取り紙。
(3)上記接着部が、接着性物質の印捺層であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の脂取り紙。
(4)吸脂率が、0.20〜0.60であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の脂取り紙。
【0006】
なお、上記吸脂率は、以下の測定法によって得られる。
〔吸脂率測定法〕
5cm×7cmの寸法に裁断した脂取り紙(含浸前の重量をW0とする)を、ヒマシ油80wt%/ベンジルアルコール20wt%の混合オイル(皮脂モデル物質)に5分間含浸後、濾紙No.5Aにて拭取り、次いで濾紙No.5Aの間に挟んで1kgの荷重下で10分間放置した後、取り出す (この重量をWとする)。
なお、一連の測定は約25℃の室温で実施する。
吸脂率(A)は、次の式で定義する。
A=(W−W0)/W0
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の脂取り紙に関する実施の形態について詳細に説明する。
本発明の脂取り紙は、二枚の薄葉紙の間に吸脂性を増すための中間層を設けたものである。
本発明の脂取り紙において、中間層の両外側に設けられる二枚の薄葉紙は、顔面に分泌される皮脂を一次的に吸い取る機能と適当な柔軟性を有するものであれば、特に構成素材、特性などは特に限定されるものではない。
構成素材として、木材系パルプ、麻パルプの他、再生繊維又は合成繊維系パルプも使用することができる。
【0008】
薄葉紙1枚の厚みが10μm〜40μm程度で、坪量が10〜30g/m2のものが柔軟性保持の点で好ましい。薄葉紙の密度は、0.6〜1.2g/cm3程度が好ましい。密度が0.6g/ cm3を下回ると、平滑性が悪くなるので、ざらついたりして肌触りが良くない。一方、1.2g/ cm3を越えると、高密度であるために吸脂性が低下する。
【0009】
薄葉紙は、脂を吸ったときに色調が変化したり、透明性が変化するものが好ましい。このためにカオリン、酸化チタン、シリカ、タルク、炭酸マグネシウム又は炭酸カルシウムなどのような低屈折率性の填料を加えておくのが好ましい。
本発明の脂取り紙に使用する二枚の薄葉紙は、同質の紙を使用することが好ましいが、裏表を識別するため、又は消費者の要望に応じて色彩の異なる紙や組成の異なる紙又は厚みの異なる紙を使用することもできる。
【0010】
本発明の脂取り紙では、上記二枚の薄葉紙の間に接着部と空間部からなる中間層が設けられている。接着部は、二枚の薄葉紙を接着性物質、例えば接着剤、粘着剤やホットメルト又は低融点繊維などを使用して、薄葉紙のほぼ全域にわたって平面的に点状及び/又は線状に不連続になるように接合して形成される。接合点での接着を強固にするために圧力を適宜印加するとよい。薄葉紙の全域にわたって中間層に空間部がなく、完全に接着層で充填された構造であっては、脂取り性が著しく低下するからである。
【0011】
本発明の脂取り紙における接着部は、塗工又はスプレーによる方法や印刷機を使用した印捺による方法によって形成することができる。また、二枚の薄葉紙の中間に、低融点繊維からなる不織布、織物や編物を介在させて、ホットプレスする方法であってもよい。用いる低融点繊維は、表面に低融点成分を含む芯鞘型繊維又は低融点繊維が主成分となるように数種類の繊維が混合されたものでもよい。これら低融点繊維は、顔料又は染料などで着色されていてもよい。
【0012】
かくして、両外側の薄葉紙は接着層によって接合一体化されるとともに、不連続に形成される接着部は支柱又は梁の働きをなして中間層の厚みを保持するスペーサー的機能を有する。かかる支柱又は梁状の接着部は、厚み方向に実質的に連続した構造を有するが、厚み方向にわたって支柱又は梁の太さが一定であっても、
支柱又は梁の太さが接着部の厚み方向の途中で変化してもよい。
【0013】
上記2枚の薄葉紙の接着の態様は、特に規定されるものではないが、例えば平面的に線状、点状、格子状、網状又はメッシュ状などがある。また、これらを適宜組合せしてもよい。点の大きさや線の太さなどに特に限定されるものではない。これらは、製造性や意匠性の観点で適宜選択するとよい。
好ましい接着の態様の例として、平面的に直線的なストライブ状に形成された態様が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0014】
上記接着の態様を、図面によって説明すると、図1〜図5は、平面的な接着の平面模式図で、図6〜図8は、接着の横断面を示す。
図1に示すように、平面的に接着面が直線状に畝状であっても、図2に示すように格子状又は網状に接着されたものであっても、図3に示すようにスポット状に接着されていてもよい。図4は、図1の拡大図であり、図5は図3のスポット状接着の拡大状態を示し、海島型(空間部が海部に該当)に接着されている。さらに、平面的な接着は、上記直線的又はスポット的な接着以外に波線状、屈曲線状、その他任意の曲線状の形態(図示せず)であってもよい。網状形状には、網目の形、大きさが一定である規則的な構造以外に、形、大きさが不定である構造も含まれる。
【0015】
上記接着の立体的な形態としては、図6にあるように厚み方向に円柱状又は梁状の接合部を有する態様などがある。また、図7は、図6の拡大図であるが、上記円柱又は梁は、図8に示すように、円錐台形となっていてもよい。
いずれにしろ、接着部の厚み(円柱又は梁の高さ)は、5μm〜25μmが好ましい。接着部の厚みが、5μm未満であると、薄葉紙との接合が不完全となって、層間剥離の問題が発生しやすくなる。一方、接着部の厚みが20μmを越えると、脂取り紙全体が嵩高くなり、収納時のコンパクト性に欠ける。接着部の厚みは、特に好ましくは、10μm〜20μmが適当な範囲である。
【0016】
接着部を構成する物質は、薄葉紙との接着性及び耐久性を有するものであれば何でもよく、例えば接着剤、粘着剤、ホットメルト類などの接着性物質やポリオレフィン系、ポリアミド系又はポリエステル系などの低融点ポリマからなる繊維類などを使用することができる。接着剤、粘着剤の好ましい物質の例として、ウレタン系、アクリル系、ポリオレフィン系、ゴム系又はEVA系などの接着剤や粘着剤などがある。
【0017】
接着剤や粘着剤からなる接着部を形成するには、溶融状態で所望の形状に成形する方法、溶剤に溶かして成形後、溶媒を揮発させる方法を採用することが可能である。
接着部に着色成分を含有させておくと、脂取り紙が脂を吸って紙が透明ないし半透明になったときに接合部の模様や色が浮かび上がるので吸脂分の状態が容易に判別できるので好ましい。
【0018】
本発明の脂取り紙で、中間層の接着部以外の部分は、空間部となり、両側の薄葉紙面と連通する。空間部は、紙が吸い取った剰余の脂を内部に取り込み全体の吸脂性を著しく向上せしめるものである。かかる空間部が両側の薄葉紙と連通していると、いずれの側の薄葉紙面を使用しても脂を内部に取り込ませることができるので、両面使用が可能である。
また、空間部が表面と裏面を連通する構造であるために、脂が浸透するときの空気の移動が容易に起こるために吸脂速度を高めることができる。
さらに、脂取り紙全面にわたって接合されている場合に比べて、薄葉中間層に空間部があると脂取り紙が柔軟に保たれ風合いが良好になる。
【0019】
本発明の脂取り紙において、二枚の紙の間に形成される空間部への吸脂量を適正化するために、空間部の割合が中間層全体の10体積%から50体積%であることが好ましい。空間部の割合が10体積%未満であると、吸脂量が少なく脂取り効果が乏しくなる。また、脂取り紙の風合いも硬くなり好ましくない。
空間部の割合が、50体積%を越えると、吸脂量は多いが、一面で吸収した脂が他面にも浸透して両面使用が難しくなる。一方、風合いは軟らかくなるが、接合部の保形性が低下して圧縮変形されやすく、また接合強度が不足するので層間剥離を起こしやすくなる。中間層全体に占める空間部の割合のさらに好ましい範囲は、20〜40体積%である。
【0020】
また、本発明の脂取り紙の吸脂特性は、先の評価法で求められる吸脂率として0.2〜0.6の範囲にあるのが適当である。吸脂率が0.2未満では、実用性に乏しく、吸脂率が0.6を越えると、紙がバルキーとなって携行性が悪くなる。さらに好ましくは、0.25〜0.5の範囲である。
【0021】
次に本発明の脂取り紙を製造するための好ましい方法を以下(1)〜(4)に例示するが、本発明の脂取り紙の製造はこれらの方式に限定されるものではなく、他の公知の技術も適用可能である。
(1)サンドイッチ方式
二枚の薄葉紙の間に、ホットメルト不織布の如き低融点性の繊維材料を挟み、プレスして接合する。
(2)抄造方式
薄葉紙用原料スラリーを抄上げ、次いで低融点性繊維を主原料とするスラリーを抄上げて積層し、次いで薄葉紙用原料スラリーを抄上げて積層し、3層構造の積層紙を製造する方法である。これらの工程は、3つの原料漕を備えた丸網型抄造機によって1パスで行うことが好ましい。次いで、積層紙を熱プレスして接合する。
(3)直接印捺方式
各種のグラビアコーター、スクリーンコーター、印刷機などの印捺装置を使用して1枚の薄葉紙表面に接着剤、粘着剤、ホットメルト類などの接着性物質を所望の形状に印捺したのち、もう1枚の紙を接着性物質に接するように合わせて適宜、熱、圧力を加えて接合する。
(4)転写方式
各種のグラビアコーター、スクリーンコーター、印刷機などの印捺装置を使用して離型性フィルム表面に接着剤、粘着剤、ホットメルト類などの接着性物質を所望の形状に印捺した後、該フィルムと薄葉紙を当てて薄葉紙に接着性物質を転写し、もう1枚の薄葉紙と合わせて適宜、熱、圧力を加えて接合する。
【0022】
上記方式の印捺工程では、温度や接着性物質の粘度のような条件は使用する物質によって適宜選択するのがよい。また、圧接工程では、温度、印加圧力、ラインスピードなども接着性物質、使用する薄葉紙の厚み、坪量などの性状に応じて適宜選択するのがよい。
【0023】
【実施例】
次に本発明の脂取り紙について実施例によってさらに詳しく説明する。
【実施例1】
充填料として炭酸カルシウムを含有する薄葉紙(厚み20μm、坪量15g/m2)2枚の間に、グリーン顔料で着色した「蜘蛛の巣」状形態を有するホットメルト不織布を挿入して加熱ロールプレスで接合して三層構造の脂取り紙を製造した。
次いで、この脂取り紙を5cm×7cmの寸法に裁断した。
接着層の厚みは、18μm、吸脂率(A)は、0.31であった。
また、この三層構造の脂取り紙一枚を手で持って片面で額部に浮き出た皮脂を拭取ったところ、脂は脂取り紙に直ちに吸収され、脂が吸収された部分は半透明となってグリーンの「蜘蛛の巣」状模様がくっきりと浮き出た。一方、他方の面には脂は移動せず、空間部に留まっていた。
次いで、この三層構造の脂取り紙のもう片面側にて、小鼻のまわりの脂を拭取ったところ、柔軟なために細かな部分でも容易に払拭作業ができて扱い易かった。
また、吸脂性は良好であり、脂が吸収された部分は半透明となって使用部位の判別が容易にできた。
さらに、脂取り紙の表面はざらつきもなく滑らかで、肌触りがソフトであった。
【0024】
【実施例2】
充填料として炭酸カルシウムを含有する薄葉紙用原料からなるスラリー(S1)を調製した。次いで、低融点繊維としてフィブリル化構造を有するポリエチレンパルプ(80重量%)/故紙パルプ(20重量%)とバインダを含む中間層用原料スラリー(S2)を調製した。次いで充填料として炭酸カルシウムを含有する薄葉紙用原料からなるスラリー(S3)を調製した。これらのスラリーを3つの抄造漕を備えた丸網型抄造機の各漕に投入して3層構造の積層紙を製造した。
次いで、この積層紙を約130℃でホットプレスして薄葉紙と中間層が接合された脂取り紙を製造した。
得られた脂取り紙の両側の薄葉紙部の厚み20μm、坪量15g/m2、低融点繊維層(接着層)の厚み15μm、坪量8g/m2であった。
次いで、この脂取り紙を5cm×7cmの寸法に裁断して、製品とした。
この脂取り紙の吸脂率(A)は、0.33であった。
また、この三層構造の脂取り紙一枚を手で持って片面で額部に浮き出た皮脂を拭取ったところ、脂は脂取り紙に直ちに吸収され、脂が吸収された部分は半透明となってポリエチレンの繊維模様がくっきりと浮き出た。一方、他方の面には脂は移動せず、空間部に留まっていた。
さらに、この三層構造の脂取り紙のもう片面側にて、小鼻のまわりの脂を拭取ったところ、柔軟なために細かな部分でも容易に払拭作業ができて扱い易かった。また、吸脂性は良好であり、脂が吸収された部分は半透明となって使用部位の判別が容易にできた。
また、脂取り紙の表面はざらつきもなく滑らかで、肌触りがソフトであった。
【0025】
【実施例3】
充填料として炭酸カルシウムを含有する薄葉紙(厚み20μm、坪量15g/m2)表面に、ロールスクリーンコーターを使用して、青色顔料を含むウレタン系ホットメルト接着剤をストライブ状に印捺した。
得られたものの平面の模式的形状を図1、その拡大を図4に、断面の模式的形状を図6〜図8に示す。
次いで、もう1枚の薄葉紙(厚み20μm、坪量15g/m2)を上記印捺面に合わせて圧着して接合し、三層構造の脂取り紙を製造して、5cm×7cmの寸法に裁断した。
接着層の厚みは15μm、吸脂率(A)は、0.28であった。
また、この三層構造の脂取り紙一枚を手で持って片面で額部に浮き出た皮脂を拭取ったところ、脂は脂取り紙に直ちに吸収され、脂が吸収された部分は半透明となって青色ストライブの模様がくっきりと浮き出た。一方、他方の面には脂は移動せず、空間部に留まっていた。
次いでこの三層構造の脂取り紙のもう片面側にて、小鼻のまわりの脂を拭取ったところ、柔軟なために細かな部分でも容易に払拭作業ができて扱い易かった。また、吸脂性は良好であり、脂が吸収された部分は半透明となって使用部位の判別が容易にできた。
また、脂取り紙の表面は、ざらつきもなく滑らかで、肌触りがソフトであった。
【0026】
【実施例4】
充填料として炭酸カルシウムを含有する薄葉紙(厚み15μm、坪量10g/m2)表面に、ロータリースクリーンコーターを使用して、ピンク色顔料を含むEVA系ホットメルト接着剤を格子状に印捺した。(平面視の模式図を図2に示す)
次いで、もう一枚の薄葉紙(厚み15μm、坪量10g/m2)を上記印捺面に合わせて圧着して接合し、三層構造の脂取り紙を製造して、5cm×7cmの寸法に裁断した。
接着層の厚みは、15μm、吸脂率(A)は、0.25であった。
また、この三層構造の脂取り紙一枚を手で持って片面で額部に浮き出た皮脂を拭取ったところ、脂は脂取り紙に直ちに吸収され、脂が吸収された部分は半透明となってピンク色格子模様がくっきりと浮き出た。一方、他方の面には脂は移動せず、空間部に留まっていた。
次いでこの三層構造の脂取り紙のもう片面側にて、小鼻のまわりの脂を拭取ったところ、柔軟なために細かな部分でも容易に払拭作業ができて扱い易かった。また、吸脂性は良好であり、脂が吸収された部分は半透明となって使用部位の判別が容易にできた。
また、脂取り紙の表面はざらつきもなく滑らかで、肌触りがソフトであった。
【0027】
【実施例5】
充填料として炭酸カルシウムを含有する薄葉紙(厚み20μm、坪量15g/m2)表面に、グラビアコーターを使用して、グリーン顔料を含むEVA系ホットメルト接着剤をスポット状に印捺した。
このものの平面模式図を図3に、その拡大状態を図5に、接着部の断面構造を図7又は図8に示す。
次いで、もう一枚の薄葉紙(厚み15μm、坪量10g/m2)を上記印捺面に合わせて圧着して接合し、三層構造の脂取り紙を製造して、5cm×7cmの寸法に裁断した。接着層の厚みは14μm、吸脂率(A)は、0.26であった。
また、この三層構造の脂取り紙一枚を手で持って片面で額部に浮き出た皮脂を拭取ったところ、脂は脂取り紙に直ちに吸収され、脂が吸収された部分は半透明となってグリーンのスポット模様がくっきりと浮き出た。一方、他方の面には脂は移動せず、空間部に留まっていた。
次いでこの三層構造の脂取り紙のもう片面側にて、小鼻のまわりの脂を拭取ったところ、柔軟なために細かな部分でも容易に払拭作業ができて扱い易かった。また、吸脂性は良好であり脂が吸収された部分は半透明となって使用部位の判別が容易にできた。
また、脂取り紙の表面はざらつきもなく滑らかで、肌触りがソフトであった。
【0028】
【実施例6】
離型フィルムにグリーン顔料を含むアクリル系粘着剤をグラビアコーターを使用して、ストライブ状に印捺し(塗工量50g/m2)、乾燥した後、充填料として炭酸カルシウムを含有する薄葉紙(厚み20μm、坪量20g/ m2)を圧着した。次いで離型フィルムを剥離しながら粘着剤が転写された薄葉紙にもう一枚の薄葉紙(厚み20μm、坪量20g/m2)を圧着によって接合して三層構造の脂取り紙を製造した。次いでこの脂取り紙を5cm×7cmの寸法に裁断した。
接着層の厚みは、19μm、吸脂率(A)は、0.34であった。
この三層構造の脂取り紙一枚を手で持って片面で額部に浮き出た皮脂を拭取ったところ、脂は脂取り紙に直ちに吸収され、脂が吸収された部分は半透明となってグリーンのストライブ模様がくっきりと浮き出た。一方、他方の面には脂は移動せず、空間部に留まっていた。
次いでこの三層構造の脂取り紙のもう片面側にて、小鼻のまわりの脂を拭取ったところ、柔軟なために細かな部分でも容易に払拭作業ができて扱い易かった。また、吸脂性は良好であり、脂が吸収された部分は半透明となって使用部位の判別が容易にできた。
また、脂取り紙の表面はざらつきもなく滑らかで、肌触りがソフトであった。
【0029】
【比較例】
充填料として炭酸カルシウムを含有する薄葉紙(厚み20μm、坪量20g/m2)表面に、ロールコーターを使用して、グリーン顔料を含むEVA系ホットメルト接着剤をベタ塗り状に塗工した。
次いで、もう一枚の薄葉紙(厚み15μm、坪量10g/m2)を上記塗工面に合わせて圧着して接合し、三層構造の脂取り紙を製造して、5cm×7cmの寸法に裁断した。接着層の厚みは14μm、吸脂率(A)は、0.13であった。
この三層構造の脂取り紙一枚を手で持って片面で額部に浮き出た皮脂を拭取ったところ、脂の吸収性は悪かった。
次いで、この三層構造の脂取り紙のもう片面側にて、小鼻のまわりの脂を拭取っても脂の吸収性は悪かった。
さらに、この脂取り紙は硬く、ごわごわして肌触りが悪かった。
【0030】
【発明の効果】
上述するように、本発明の脂取り紙は三層構造の対称構造であるために、空気中の水分や温度の影響を受けてもカールすることなく、品位を良好に保つことができる。
本発明の脂取り紙は、三層構造であるゆえに両面使用ができる。二枚の薄葉紙間において空間部によって互いに連通されるために従来の脂取り紙に比べて吸脂速度、吸脂量が大きく実用性が高い。
しかも、吸脂すると、薄葉紙との接合部が浮き上がって見えるので、吸脂状態が容易に判る脂取り紙を提供することができる。
さらに、空間部の存在によって、風合いが軟らかく、表面の肌触りが良好な脂取り紙を提供することができる。
本発明の脂取り紙は、薄く保てるために重積して包装しても携行に適するコンパクト性が保たれる。接合部や紙部分に着色、プリント、文字・柄印刷などの任意の装飾を施せば、顧客のニーズに応え得る意匠性を付与した脂取り紙を提供することができる。
このように本発明の脂取り紙は、従来品を凌駕する優れた性能を具備するために旅行用、レジャー用などの個人用途にとどまらず、宿泊施設、美容室、エステサロンなどの各種業務用途へも幅広く応用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の脂取り紙のストライブ形状の接着部を示す平面模式図である。
【図2】本発明の脂取り紙の格子状の接着部を示す平面模式図である。
【図3】本発明の脂取り紙のスポット状の接着部を示す平面模式図である。
【図4】本発明の脂取り紙の接着部のストライブ形状を示す拡大模式図である。
【図5】同拡大模式図である。
【図6】本発明の脂取り紙の接着部の支柱断面積構造を示す模式図である。
【図7】同拡大模式図である(厚み方向にわたって支柱の太さがほぼ一定の例)。
【図8】同拡大模式図である(厚み方向にわたって支柱の太さが変化する例)。
【符号の説明】
1 中間層
2 薄葉紙
3 接着部
4 空間部
Claims (4)
- 二枚の薄葉紙の間に中間層を有する三層構造の脂取り紙であって、中間層は接着部と空間部からなり、上記二枚の薄葉紙は接着部によって、ほぼ全域にわたって平面的に点状及び/又は線状に不連続に接合され、かつ接着部は支柱状構造を形成するとともに、上記二枚の薄葉紙は空間部において互いに連通されてなることを特徴とする脂取り紙。
- 上記接着部が、低融点繊維からなることを特徴とする請求項1に記載の脂取り紙。
- 上記接着部が、接着性物質の印捺層であることを特徴とする請求項1又は2に記載の脂取り紙。
- 吸脂率が、0.20〜0.60であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の脂取り紙。
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Cited By (3)
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JP2006025849A (ja) * | 2004-07-12 | 2006-02-02 | Nichiei:Kk | あぶらとり紙 |
JP2007190146A (ja) * | 2006-01-18 | 2007-08-02 | Mishima Paper Co Ltd | 脂取り紙 |
JP2008079904A (ja) * | 2006-09-28 | 2008-04-10 | Mishima Paper Co Ltd | 脂取り紙 |
-
2002
- 2002-10-23 JP JP2002307731A patent/JP2004141279A/ja not_active Withdrawn
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