JP2004140660A - 電荷転送素子及び撮像装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】CCD固体撮像素子を用いた撮像装置において、CCD固体撮像素子の出力アンプの消費電力を低減させる。
【解決手段】出力アンプの駆動電圧としてバッテリ50の出力電圧VBをそのまま用いる。CCD固体撮像素子の基板Nsub8には、電圧VBを昇圧回路54で昇圧した昇圧電圧を基に生成された基板クロックφsubを印加する。リセットドレイン18へは、Nsub8に印加する基板クロックφsubを分圧回路110で分圧した電圧をVRDとして印加する。このとき、VRDはVBより大きくなるように、抵抗素子100,102の分圧比を設定する。
【選択図】 図2
【解決手段】出力アンプの駆動電圧としてバッテリ50の出力電圧VBをそのまま用いる。CCD固体撮像素子の基板Nsub8には、電圧VBを昇圧回路54で昇圧した昇圧電圧を基に生成された基板クロックφsubを印加する。リセットドレイン18へは、Nsub8に印加する基板クロックφsubを分圧回路110で分圧した電圧をVRDとして印加する。このとき、VRDはVBより大きくなるように、抵抗素子100,102の分圧比を設定する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、CCD固体撮像素子(電荷転送素子)を用いた撮像装置に関し、特にCCD固体撮像素子の出力アンプの低消費電力化に関する。
【0002】
【従来の技術】
図3は、従来の撮像装置における要部の構成を示す説明図である。図には、CCD固体撮像素子の水平CCDレジスタ(H−REG)の出力端近傍と出力部の一部をなすリセットトランジスタとの断面、及び出力部の回路構成等が示されている。
【0003】
N型のシリコン基板2には、イオン注入及び拡散処理によって、基板表面に位置するN型不純物層であるNウェル4と、その下に位置するP型不純物層であるPウェル6とが形成され、これらと基板本来のN型不純物層(Nsub)8とが基板深さ方向にNPN構造を構成する。
【0004】
このNPN構造により、基板表面に設けられた撮像部等における不要な電荷を基板深部に排出する縦型オーバーフロードレインが構成される。縦型オーバーフロードレイン構造では、Nsub8にNsubパルス信号φsubとして正電圧が印加され、Pウェル6とNウェル4との間が逆バイアス状態とされる。基板2の表面にて電位井戸の蓄積容量を超える情報電荷が発生した場合には、余剰電荷がPウェル6によるポテンシャル障壁を越えて基板深部に排出される。これによりブルーミングが抑制される。基板2にはブルーミングを抑制する電圧として例えば+5Vが印加される。
【0005】
また、NPN構造により電子シャッタ動作が実現される。例えば、電子シャッタ動作時にはNsub8に印加する基板クロックφsubを+8V(Hレベル)に立ち上げて、それに同期して垂直CCDレジスタの転送電極に印加するパルス信号を、例えば−5V(Lレベル)に立ち下げる。これにより、Pウェル6のポテンシャル障壁が消滅されて、それらの領域に蓄積されている情報電荷を瞬時に一括して基板深部に排出することができる。
【0006】
CCD固体撮像素子の出力部には、垂直CCDレジスタ及び水平CCDレジスタを介して転送出力された情報電荷を受けるキャパシタとしてのフローディングディフュージョン14がN+拡散層で形成される。フローディングディフュージョン14が設けられる。このフローディングディフュージョン14に隣接するリセットゲート16をオンすると、フローディングディフュージョン14の電位はリセットドレイン18の電位VRDに設定される。このフローディングディフュージョン14に水平CCDレジスタから出力ゲート12下を経由して情報電荷パケットを転送すると、その電荷量に応じてフローディングディフュージョン14の電位が変動する。この電位変動は、出力アンプ30で検出及び増幅され、出力アンプの出力VOUTがCCD出力となる。
【0007】
第1の出力アンプ30は、ソースフォロワ回路を例えば3段接続して構成される。各ソースフォロワ回路は、入力信号をゲートに受ける駆動トランジスタとしてMOSトランジスタ32を有し、この駆動トランジスタにMOSトランジスタ34が負荷トランジスタとして接続されて構成される。各ソースフォロワ回路の出力信号は駆動トランジスタ32と負荷トランジスタ34との中間点から取り出される。この出力アンプ30も基板2上に形成される。これら各MOSトランジスタ32,34は、デプレッション型で構成されている。第1の出力アンプ30を構成する各MOSトランジスタ32,34は、CCD固体撮像素子と同一の半導体基板上に形成することができる。
【0008】
第1の出力アンプ30からの出力信号Y(t)は、エミッタフォロワ回路で構成される第2の出力アンプ40に入力される。エミッタフォロワ回路は、ベースにY(t)を入力されるバイポーラトランジスタ42と、そのエミッタに接続された抵抗素子44とから構成され、エミッタから出力信号Y’(t)が取り出される。
【0009】
これら第1及び第2の出力アンプ30,40は駆動電圧VJを供給され動作する。すなわち、第1及び第2の出力アンプ30,40を構成するソースフォロワ回路、エミッタフォロワ回路は駆動電圧VJと接地電位との間に接続される。例えば、駆動電圧VJとして+5Vが用いられている。
【0010】
デジタルカメラ等の撮像装置は、上述のCCD固体撮像素子の他、信号処理回路を備え、それら各部がバッテリ50(出力電圧VB)を電源電圧VDとして受けて駆動される。最近は撮像装置の小型化に応じてバッテリ50も小型化し、これに伴ってバッテリの出力電圧VBも低電圧化し、例えば出力電圧VBが+2.9Vといったバッテリが用いられる。例えば、第1及び第2の出力アンプ30,40の駆動電圧VJは上述のようにVBより高い+5Vを要し、Nsub8に印加される電子シャッタ動作のためのパルスφsubの電圧もVBより高い+8Vを要する。そのため、従来の撮像装置はバッテリの出力電圧VBより高い電圧を生成する第1及び第2の昇圧回路52,54を備える。第1の昇圧回路52はバッテリの出力電圧VBを昇圧して、例えば+5Vの電圧を生成し、出力アンプ30,40にVJとして供給する。第2の昇圧回路54は、第1の昇圧回路52と同様にバッテリの出力電圧VBを昇圧して、例えば+8Vの電圧を生成し、Nsub8への印加電圧及びパルスを生成する基板クロック生成回路56に供給する。リセットドレイン18に印加する電圧VRDとしては、電源回路を共通化することによる回路構成の簡素化のため、出力アンプを駆動する駆動電源VJがそのまま用いられる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
近年、例えばデジタルカメラや写真撮影機能付き携帯電話といった、CCD固体撮像素子を用いた小型軽量の機器が開発されている。上述のように小型軽量の機器ではバッテリも小型化される。それに応じて、その容量も小さくなるため、消費電力の低減が望まれる。CCD固体撮像素子では、出力アンプの駆動に比較的大きな電流を必要とし、この部分での消費電力が大きい。ここで、出力アンプの消費電力は、駆動電圧VKを低下させることにより、低減することが可能である。従来は、回路構成の簡素化のため、リセットドレイン18に印加する電圧VRDとしてVKが用いられるため、出力アンプの低消費電力化に伴い、リセットドレイン18の電位、フローディングディフュージョン14におけるリセット電位も低下する。
【0012】
しかし、リセットドレイン電圧VRDが所定の範囲を越えて低下すると、リセットトランジスタの特性ばらつきが顕著になり、撮像装置の画質が装置間でばらつくという問題があった。これは、CCD固体撮像素子の製造の面からは、リセットトランジスタの特性が複数のCCD固体撮像素子間で均質になるように作ることが難しく、歩留まりが低下するという問題となる。また、VRDを低下させると、リセットドレイン18のポテンシャルが浅くなり、これに伴って、フローディングディフュージョン14のポテンシャルが浅くなる。このため、出力ゲート12下のポテンシャルとフローディングディフュージョン14のポテンシャルとの差が縮小され、フローディングディフュージョン14に蓄積できる情報電荷量が低減し、CCD固体撮像素子の出力信号のダイナミックレンジが低下するという問題があった。
【0013】
本発明は上記問題点を解決するためになされたもので、電力消費を低減しつつ、リセットトランジスタの製造ばらつきの影響が小さく、装置間での画質のばらつきが抑制される撮像装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明は、情報電荷をパケット単位でキャパシタへ蓄積すると共に、前記キャパシタに蓄積された情報電荷をリセットドレインに排出し、前記蓄積動作及び前記排出動作を繰り返しながら、前記キャパシタの電位変化を出力アンプで取り出して画像信号を出力する電荷転送素子において、当該電荷転送素子の基板側へ印加される電圧を分圧した分圧電圧を生成する分圧回路を有し、前記分圧電圧を前記リセットドレインへ印加することを特徴とする。
【0015】
さらに、上記電荷転送素子において、前記電荷転送素子の基板側へ印加される電圧として基板クロックを前記分圧回路に供給し、前記分圧回路は、前記基板クロックの交流成分を平滑化するコンデンサを有することがより好適である。
【0016】
また、上記電荷転送素子において、前記コンデンサは、前記電荷転送素子と同一基板上に形成されても良いし、前記電荷転送素子の外部に配置されても良い。
【0017】
上記課題を解決するための本発明の別の形態は、情報電荷をパケット単位でキャパシタに蓄積すると共に、前記キャパシタに蓄積された情報電荷をリセットドレインに排出し、前記蓄積動作及び前記排出動作を繰り返しながら、前記キャパシタの電位変化を出力アンプで取り出して画像信号を出力する電荷転送素子と、前記出力アンプへ供給される電源電位を昇圧して昇圧電圧を生成する昇圧回路と、前記昇圧回路の出力を分圧して分圧電圧を生成し、この分圧電圧を前記電荷転送素子のリセットドレインへ印加する分圧回路とを備えたことを特徴とする。
【0018】
さらに、上記撮像装置において、前記昇圧回路の出力を取り込んで基板クロックを生成し、この基板クロックを前記電荷転送素子の基板側及び前記分圧回路へ供給する基板クロック生成回路を更に有し、前記分圧回路は、前記基板クロックの交流成分を平滑化するコンデンサを含み、前記基板クロックを分圧して前記分圧電圧を生成することが好適である。
【0019】
また、上記撮像装置において、前記コンデンサは、前記電荷転送素子と同一基板上に形成されても良いし、前記電荷転送素子の外部に配置されても良い。
【0020】
本発明によれば、リセットドレインには、出力アンプの駆動電圧より高い分圧電圧が印加される。よって、出力アンプの駆動電圧を低下して、消費電力の低減を図りつつ、リセットドレインには、所定の電圧値を有する電圧を別途供給することができる。このため、素子の特性ばらつきの影響を回避することができる。また、このとき、リセットドレインに印加される分圧電圧は、出力アンプの駆動電圧より高い基板クロックを用いて生成されるので、当該分圧電圧のためだけに昇圧回路を設ける必要がない。
【0021】
また、上記撮像装置において、前記出力アンプは、前記電源電圧と接地電圧との間に駆動トランジスタ及び負荷トランジスタが直列に接続されたソースフォロア回路を多段接続して構成され、初段のソースフォロア回路の駆動トランジスタがエンハンスメント型であり、最終段のソースフォロア回路の駆動トランジスタがデプレッション型であることが好適である。
【0022】
さらに、上記撮像装置において、前記出力アンプは、前記ソースフォロア回路を少なくとも3段接続して構成され、前記初段のソースフォロア回路と前記最終段のソースフォロア回路との間のソースフォロア回路の駆動トランジスタが、前記初段のソースフォロア回路の駆動トランジスタと前記最終段のソースフォロア回路の駆動トランジスタとの間の閾値電圧を有することが好適である。
【0023】
本発明によれば、出力アンプの駆動電圧より、キャパシタのリセット電位が高くなる。すなわち、出力アンプの初段の駆動トランジスタへの入力信号が出力アンプの駆動電圧より高くなる。このように高いゲート電圧では、デプレッション型MOSトランジスタのチャネル抵抗が小さくなる。そのため、初段の駆動トランジスタをデプレッション型で構成する従来の出力アンプでは、初段の駆動トランジスタのドレイン−ソース間での電圧降下が小さく、出力の動作点が駆動電圧近傍となり、出力信号のリニアリティが劣化する。そこで、本発明では、初段の駆動トランジスタをエンハンスメント型MOSトランジスタで構成し、初段の出力の動作点電圧を低下させ、リニアリティを確保する。一方、全ての段の駆動トランジスタをエンハンスメント型とすると、出力アンプの最終段の出力信号電圧が低下し過ぎ、後続の信号処理に不都合を生じる。この出力アンプには通常、さらにエミッタフォロワ回路の出力アンプが接続される。このエミッタフォロワ回路への入力電圧が低くなると、エミッタフォロワ回路の負荷抵抗を小さくして電流を大きくしなければ、入出力特性のリニアリティが低下する。これはリニアリティを確保するためには消費電力を大きくしなければならないという不都合を生じる。そこで本発明では、最終段ソースフォロワ回路の駆動トランジスタはデプレッション型MOSトランジスタで構成し、出力アンプの最終段の出力電圧の低下を抑制する。
【0024】
また、3段構成のソースフォロワ回路の各段にて、出力動作点を駆動電圧より低くしてリニアリティを確保すると同時に、不必要に出力動作点が低くなることが防止される。
【0025】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下、上述の従来の装置と同様の構成要素には同一の符号を付す。図1は、本発明の実施形態に係る、フレーム転送方式のCCD固体撮像素子を用いた撮像装置の構成を示すブロック図である。この撮像装置は、バッテリ50、CCD固体撮像素子60、昇圧回路54,62、レギュレート回路64、垂直ドライバ回路66、水平ドライバ回路68、タイミング制御回路70、及び基板電圧Vsub制御回路から構成される。
【0026】
フレーム転送方式のCCD固体撮像素子60は、撮像部60i、蓄積部60s、水平転送部60h及び出力部60dを有する。撮像部60iは、垂直方向に延在し、互いに平行に配列された複数のCCDシフトレジスタからなり、各CCDシフトレジスタの各ビットがフォトダイオードとして機能し受光画素を構成する。蓄積部60sは、撮像部60iのCCDシフトレジスタに連続する遮光された複数のCCDシフトレジスタからなり、各CCDシフトレジスタの各ビットが蓄積画素を構成する。水平転送部60hは、水平方向に延在する単一のCCDシフトレジスタからなり、各ビットに蓄積部60sのCCDシフトレジスタの出力が接続される。出力部60dは、水平転送部60hから転送出力される電荷を一時的に蓄積するキャパシタ及びそのキャパシタに蓄積された電荷を排出するリセットトランジスタを含む。これにより、撮像部60iの各受光画素に蓄積される情報電荷は、各画素毎に独立して蓄積部60sの蓄積画素へ転送された後、1行ずつ蓄積部60sから水平転送部60hへ転送され、さらに、1画素単位で水平転送部60hから出力部60dへ転送される。そして、出力部60dで1画素毎の電荷量が電圧値に変換され、その電圧値の変化が画像信号Y(t)として外部回路へ供給される。
【0027】
図2は、本発明の実施形態の撮像装置における要部の構成を示す説明図である。図2には、CCD固体撮像素子60の水平CCDレジスタ(H−REG)の出力端近傍と出力部60dの一部をなすリセットトランジスタとの断面、及び出力部の回路構成等が示されている。この図を用いてCCD固体撮像素子60に関して説明する。
【0028】
N型のシリコン基板2には、イオン注入及び拡散処理によって、基板表面に位置するN型不純物層であるNウェル(Nウェル)4と、その下に位置するP型不純物層であるPウェル(Pウェル)6とが形成され、これらと基板本来のN型不純物層(Nsub)8とが基板深さ方向にNPN構造を構成する。
【0029】
このNPN構造により、基板表面に設けられた撮像部等における不要な電荷を基板深部に排出する縦型オーバーフロードレインが構成される。縦型オーバーフロードレイン構造では、基板には正電圧Vsubが印加され、Pウェル6の領域にポテンシャル障壁が形成される。このポテンシャル障壁は、通常動作時において、Nウェル4に形成されるポテンシャル井戸に蓄積される情報電荷が基板深部へ移動することを妨げる。一方、ポテンシャル井戸の蓄積容量を超える情報電荷が発生した場合には、余剰電荷がPウェル6のポテンシャル障壁を越えて基板深部に排出される。これにより余剰電荷が周辺画素に溢れるいわゆるブルーミングが抑制される。Nsub8にはブルーミングを抑制する電圧として例えば+5Vが印加される。
【0030】
また、CCD固体撮像素子60では、通常動作時に、Nsub8にブルーミングを抑制する電圧を印加する一方で、さらに正電圧のパルスを重畳して、電子シャッタ動作を行うことができる。例えば、電子シャッタ動作時には、Nsub8に印加する電圧を例えば+8V(Hレベル)に立ち上げて、それに同期して垂直CCDレジスタの転送電極に印加するパルス信号を例えば−5V(Lレベル)に立ち下げる。これにより、Pウェル6のポテンシャル障壁が引き下げられて、それらの領域に蓄積されている情報電荷を瞬時に一括して基板深部に排出して、撮像部60iに蓄積した情報電荷をリセットすることができる。
【0031】
水平CCDレジスタにおいて、情報電荷は基板表面に配置された転送電極10の下のNウェル4に形成されるポテンシャル井戸を順次、左方向に転送され、出力ゲート(OG)12下を経由してフローディングディフュージョン14に転送される。
【0032】
フローディングディフュージョン14はN+拡散層であり、水平CCDレジスタから転送出力された情報電荷を蓄積するキャパシタを形成し、またフローディングディフュージョン14、リセットドレイン(RD)18及びリセットゲート(RG)16がリセットトランジスタを構成する。リセットドレイン18はN+拡散層で形成され、一定の正電位VRDが印加される。リセットゲート16に印加されるリセットクロックφRによってリセットゲート16がオンされて、リセットゲート16下のチャネルが形成されると、フローディングディフュージョン14に蓄積された情報電荷がリセットドレイン18に転送されて排出される。リセットゲート16がオフされた状態では、フローティングディフュージョン14及びこれに接合されたPウェル6のPN接合は電気的にフローティング(浮遊状態)になる。ここでH−REGから情報電荷をフローディングディフュージョン14に移動させると、その情報電荷はPN接合容量に一時的に蓄積され、その電荷量に応じてフローディングディフュージョン14の電位が変動する。この電位変動は出力アンプ80で検出及び増幅され、出力アンプの出力VOUTが画像信号Y(t)となる。
【0033】
第1の出力アンプ80は、CCD固体撮像素子60の基板2に形成されるMOSトランジスタ82,84を用いて、例えば3段ソースフォロワ回路で構成される。各ソースフォロワ回路には、バッテリ50からの電圧VBが電源電圧VDDとして直接印加され、各ソースフォロア回路は電源電圧VDDと接地電位VGNDとの間に直列接続され、各々がNチャネル型を有するMOSトランジスタ82,84から構成される。MOSトランジスタ82は、フローディングディフュージョン14の電位又は前段のソースフォロワ回路の出力信号をゲートに入力される駆動トランジスタであり、MOSトランジスタ84は定電流源として機能する負荷トランジスタである。MOSトランジスタ82のソース電位が各ソースフォロワ回路の出力信号電圧となる。最終段である3段目のソースフォロワ回路の出力が、第1の出力アンプ80の出力信号Y(t)となり、これはエミッタフォロワ回路で構成される第2の出力アンプ40に入力される。エミッタフォロワ回路は、バッテリ50からの電源電圧VDDと接地電位VGNDとの間に直列接続されたバイポーラトランジスタ42と抵抗素子44とから構成される。バイポーラトランジスタ42のベースに出力アンプ80の出力信号Y(t)が入力される。またバイポーラトランジスタ42のエミッタに抵抗素子44が接続され、このエミッタから出力信号Y’(t)が取り出される。
【0034】
第1の出力アンプ80のMOSトランジスタ82,84のドレイン、ソースは、基板2の表面に形成されたN+拡散層で構成され、それらの間の基板半導体領域に形成されるチャネルは、ゲート酸化膜上にポリシリコン電極層で形成されたゲート電極を用いて制御される。出力アンプ80の初段ソースフォロワ回路のMOSトランジスタ82−1,84−1はそれぞれエンハンスメント型トランジスタで構成され、2段目のソースフォロワ回路のMOSトランジスタ82−2,84−2はそれぞれサーフェス型トランジスタで構成され、3段目のソースフォロワ回路のMOSトランジスタ82−3,84−3はそれぞれデプレッション型トランジスタで構成される。ここで、Nチャネル型MOSトランジスタの場合、Nウェル4に形成されたエンハンスメント型トランジスタは閾値電圧が正であり、デプレッション型トランジスタは閾値電圧が負である。サーフェス型トランジスタは、チャネルに電位コントロールのための不純物注入を行っていないトランジスタである。2段目の駆動トランジスタを構成するサーフェス型トランジスタ82−2は、エンハンスメント型であるトランジスタ82−1とデプレッション型トランジスタであるトランジスタ82−3との中間の閾値電圧を有する。第1の出力アンプ80を構成する各MOSトランジスタ82,84は、CCD固体撮像素子と同一の半導体基板上に形成することができる。
【0035】
次に、本撮像装置のCCD固体撮像素子60以外の主要部について説明する。本撮像装置は、各部の動作に必要な電力を供給するバッテリ50の他、上述のCCD固体撮像素子60を駆動するための回路として、図1に示す昇圧回路54,62、基板クロック生成回路56、レギュレート回路64、垂直ドライバ回路66、水平ドライバ回路68及びタイミング制御回路70を備え、また、出力信号Y’(t)を処理する信号処理回路(図示せず)を備える。
【0036】
昇圧回路54,62は、例えば、チャージポンプ方式を採用するものである。昇圧回路54は、正電圧チャージポンプを含んで構成され、バッテリ50から供給される電源電圧VBを昇圧して、正側の昇圧電圧VOHを生成する。VOHとして例えば+5Vが生成される。昇圧電圧VOHは、基板クロック生成回路56に供給される。
【0037】
昇圧回路62は負電圧チャージポンプを含んで構成され、バッテリ50から供給される電源電圧VBを昇圧して、負側の昇圧電圧VOLを生成する。昇圧電圧VOLは、垂直ドライバ回路66に供給される。
【0038】
基板クロック生成回路56は、昇圧回路54から供給される昇圧電圧VOHに基づいて、Nsub8に印加する基板クロックφsubを生成する。この基板クロックφsubは、基準状態では、例えば+5V(Lレベル)を維持し、電子シャッタ動作に連動して間欠的に、より高い電圧、例えば+8V(Hレベル)に立ち上げられる。基板クロック生成回路56では、電子シャッタタイミングに合わせて、例えば0V(Lレベル)と+3V(Hレベル)との間で変動する排出タイミング信号BTをクランプして基板クロックφsubを生成する。具体的には、排出タイミング信号BTがOV(Lレベル)のとき、排出タイミング信号BTを昇圧回路54から供給される昇圧電圧VOHでクランプすることによって、+5Vと+8Vとの間で変位する基板クロックφsubを生成する。本装置では、この基板クロックφsubは、本来の縦型オーバーフロードレイン構造及び電子シャッタ動作のために用いられるだけでなく、後述するように、リセットドレイン18に印加されるVRDを生成するためにも利用される。
【0039】
垂直ドライバ回路66は、昇圧回路62から出力される昇圧電圧VOLを受けて動作し、フレーム転送クロックφf及び垂直転送クロックφvを生成して、撮像部60i及び蓄積部60sへ出力する。垂直ドライバ回路66は、フレーム転送クロックφf及び垂直転送クロックφvを、タイミング制御回路70で生成される垂直同期信号VT及び水平同期信号HTに同期して生成する。
【0040】
レギュレート回路64は、バッテリ50から供給される電源電圧VBに基づいて、所定の調整電圧を生成し、出力VKとして水平ドライバ回路68へ供給する。このレギュレート回路64では、供給される電源電圧VBを抵抗分割した分圧電圧と所定の基準電圧VRとを比較器にて比較し、比較器の出力に基づいて調整電圧を生成するようにしている。レギュレート回路64では、水平ドライバ回路68の動作電圧に合わせて調整電圧の電圧値が設定されており、電圧VBを水平ドライバ回路68の動作電圧まで降圧するような形で出力VKの調整がなされる。
【0041】
水平ドライバ回路68は、レギュレート回路64から出力される調整電圧VKを受けて動作し、水平転送クロックφh、出力転送クロックφo及びリセットクロックφrを生成して水平転送部60h及び出力部60dへ出力する。水平ドライバ回路66は、水平転送クロックφh、出力クロックφo及びリセットクロックφrを水平同期信号HTに同期して生成する。
【0042】
タイミング制御回路70は、一定周期の基準クロックCKをカウントする複数のカウンタから構成され、基準クロックCKを所定の比率で分周して垂直同期信号VT及び水平同期信号HTを生成する。また、タイミング制御回路70は、電子シャッタタイミングを決定する排出タイミング信号BTを生成する。この排出タイミング信号BTは、例えば、1画面分の画像信号の積分値が、CCD固体撮像素子60の適正露光量に合わせて設定された所定の範囲内に収まるように決定される。例えば、積分値が適正範囲の上限を上回る場合、排出タイミング信号BTの立ち上がりタイミングを遅らせて、CCD固体撮像素子60の情報電荷蓄積時間が短くなるように制御する。逆に、適正範囲の下限を下回る場合には、排出タイミング信号BTの立ち上がりを早めて、CCD固体撮像素子60の情報電荷蓄積時間が長くなるように制御する。このようにして、CCD固体撮像素子60の露光量が適正となるように、情報電荷蓄積時間が伸縮制御される。また、タイミング制御回路70は、CCD固体撮像素子60からの出力信号に対して所定の信号処理を施す信号処理回路(図示せず)や上述の昇圧回路54,62及びレギュレート回路64にもタイミング信号を供給しており、各回路の動作をCCD固体撮像素子60の動作タイミングに同期させるようにしている。
【0043】
さて、図2に戻って、本装置におけるリセットドレイン電圧VRDの生成について説明する。基板クロック生成回路56にて生成された基板クロックφsubは、分圧回路110に入力される。分圧回路110は、基板クロック生成回路56と接地点との間に直列接続された抵抗素子100,102から構成され、抵抗素子100と抵抗素子102によって、基板クロックφsubが抵抗分割されて分圧電圧が取り出される。上述のように基板クロックφsubは間欠的に発生する電子シャッタ動作に応じて電圧値が変動する。このため、抵抗素子と並列にコンデンサを接続し、基板クロックφsubの電圧変動に起因する交流成分を平滑化する。なお、このコンデンサ104は、CCD固体撮像素子60と同一基板に形成されても良いし、CCD固体撮像素子60に対して外付けされても良い。平滑化され得られた直流電圧がVRDとしてリセットドレイン18に印加される。抵抗素子100,102の比は、生成されるVRDがバッテリ50からの電圧VBより高い所定電圧となるように定められる。その所定電圧は、複数のCCD固体撮像素子60間でのリセットトランジスタの特性ばらつきが抑制されることに基づいて決定されるものであり、例えば+3.5Vに設定される。分圧回路110を構成する抵抗素子100,102及びコンデンサ104は、CCD固体撮像素子と同一の半導体基板上に形成することができる。すなわち、抵抗100,102は基板2上に不純物を拡散して形成することができる。また、コンデンサ104は、例えば、CCD固体撮像素子60の端子に外付けするように構成することもできる。
【0044】
このようにVB=+2.9V、VRD=+3.5Vとする場合の第1の出力アンプ80の動作点の一実施例を以下に示す。初段のソースフォロワ回路は、駆動トランジスタ82−1がエンハンスメント型で構成され、ゲートにフローディングディフュージョン14のリセット電位“+3.5V”を印加されたときの出力電位が“+2.0V”となるようにトランジスタサイズや閾値電圧が調整されて形成される。2段目のソースフォロワ回路は、駆動トランジスタ82−2がサーフェス型で構成され、ゲートに初段ソースフォロワ回路の出力電位“+2.0V”を印加されたときの出力電位が“+2.0V”となるように形成される。3段目のソースフォロワ回路は、駆動トランジスタ82−3がデプレッション型で構成され、ゲートに2段目のソースフォロワ回路の出力電位“+2.0V”を印加されたときの出力電位が“+2.9V”となるように形成される。
【0045】
第2の出力アンプ40のトランジスタ42のベース−エミッタ間の接合電位差は例えば0.6Vであり、エミッタフォロワ回路は、ベースに出力アンプ80の出力電位“+2.9V”を印加されたときの出力電位として“+2.3V”を確保することができる。
【0046】
例えば、フローディングディフュージョン14に情報電荷を蓄積したときの信号電位はリセット電位に対して−1.4V程度の電位差を有し、これに対応して第1の出力アンプ80の出力での信号電位は“+1.5V”程度となる。よって、トランジスタ42の出力端では“+0.9V”の電位を確保することができ、このように出力信号Y’(t)の振幅が比較的高い電圧範囲に位置するので、第2の出力アンプ40のエミッタフォロワに流す電流を抑制しつつ出力信号のリニアリティを確保することができる。
【0047】
なお、本実施形態においては、基板クロック生成回路56が出力する基板クロックφsubを分圧回路110で分圧する構成としたが、これに限られるものではない。例えば、基板クロックφsubのために生成される昇圧電圧を、昇圧回路54から分圧回路110に直接供給し、昇圧電圧を分圧した電圧をリセットドレイン18に供給する構成としても良い。
【0048】
【発明の効果】
本発明の撮像装置によれば、出力アンプの駆動電圧を下げて消費電力を低減させると共に、出力部のリセットトランジスタの製造ばらつきの影響が小さく、装置間での画質のばらつきが抑制される。また、フローディングディフュージョンに蓄積できる情報電荷量を確保できるので、画像信号のダイナミックレンジを確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の撮像装置における要部の構成を示す説明図である。
【図2】本発明の実施形態に係る、フレーム転送方式のCCD固体撮像素子を用いた撮像装置の構成を示すブロック図である。
【図3】従来の撮像装置における要部の構成を示す説明図である。
【符号の説明】
1 シリコン基板、4 Nウェル、6 Pウェル、8 Nsub、10 転送電極、12 出力ゲート、14 浮遊拡散層、16 リセットゲート、18 リセットドレイン、40,80 出力アンプ、42 バイポーラトランジスタ、44,100,102 抵抗素子、50 メインバッテリ、54 昇圧回路、56 基板クロック生成回路、60 CCD固体撮像素子、82,84 MOSトランジスタ、104 コンデンサ。
【発明の属する技術分野】
本発明は、CCD固体撮像素子(電荷転送素子)を用いた撮像装置に関し、特にCCD固体撮像素子の出力アンプの低消費電力化に関する。
【0002】
【従来の技術】
図3は、従来の撮像装置における要部の構成を示す説明図である。図には、CCD固体撮像素子の水平CCDレジスタ(H−REG)の出力端近傍と出力部の一部をなすリセットトランジスタとの断面、及び出力部の回路構成等が示されている。
【0003】
N型のシリコン基板2には、イオン注入及び拡散処理によって、基板表面に位置するN型不純物層であるNウェル4と、その下に位置するP型不純物層であるPウェル6とが形成され、これらと基板本来のN型不純物層(Nsub)8とが基板深さ方向にNPN構造を構成する。
【0004】
このNPN構造により、基板表面に設けられた撮像部等における不要な電荷を基板深部に排出する縦型オーバーフロードレインが構成される。縦型オーバーフロードレイン構造では、Nsub8にNsubパルス信号φsubとして正電圧が印加され、Pウェル6とNウェル4との間が逆バイアス状態とされる。基板2の表面にて電位井戸の蓄積容量を超える情報電荷が発生した場合には、余剰電荷がPウェル6によるポテンシャル障壁を越えて基板深部に排出される。これによりブルーミングが抑制される。基板2にはブルーミングを抑制する電圧として例えば+5Vが印加される。
【0005】
また、NPN構造により電子シャッタ動作が実現される。例えば、電子シャッタ動作時にはNsub8に印加する基板クロックφsubを+8V(Hレベル)に立ち上げて、それに同期して垂直CCDレジスタの転送電極に印加するパルス信号を、例えば−5V(Lレベル)に立ち下げる。これにより、Pウェル6のポテンシャル障壁が消滅されて、それらの領域に蓄積されている情報電荷を瞬時に一括して基板深部に排出することができる。
【0006】
CCD固体撮像素子の出力部には、垂直CCDレジスタ及び水平CCDレジスタを介して転送出力された情報電荷を受けるキャパシタとしてのフローディングディフュージョン14がN+拡散層で形成される。フローディングディフュージョン14が設けられる。このフローディングディフュージョン14に隣接するリセットゲート16をオンすると、フローディングディフュージョン14の電位はリセットドレイン18の電位VRDに設定される。このフローディングディフュージョン14に水平CCDレジスタから出力ゲート12下を経由して情報電荷パケットを転送すると、その電荷量に応じてフローディングディフュージョン14の電位が変動する。この電位変動は、出力アンプ30で検出及び増幅され、出力アンプの出力VOUTがCCD出力となる。
【0007】
第1の出力アンプ30は、ソースフォロワ回路を例えば3段接続して構成される。各ソースフォロワ回路は、入力信号をゲートに受ける駆動トランジスタとしてMOSトランジスタ32を有し、この駆動トランジスタにMOSトランジスタ34が負荷トランジスタとして接続されて構成される。各ソースフォロワ回路の出力信号は駆動トランジスタ32と負荷トランジスタ34との中間点から取り出される。この出力アンプ30も基板2上に形成される。これら各MOSトランジスタ32,34は、デプレッション型で構成されている。第1の出力アンプ30を構成する各MOSトランジスタ32,34は、CCD固体撮像素子と同一の半導体基板上に形成することができる。
【0008】
第1の出力アンプ30からの出力信号Y(t)は、エミッタフォロワ回路で構成される第2の出力アンプ40に入力される。エミッタフォロワ回路は、ベースにY(t)を入力されるバイポーラトランジスタ42と、そのエミッタに接続された抵抗素子44とから構成され、エミッタから出力信号Y’(t)が取り出される。
【0009】
これら第1及び第2の出力アンプ30,40は駆動電圧VJを供給され動作する。すなわち、第1及び第2の出力アンプ30,40を構成するソースフォロワ回路、エミッタフォロワ回路は駆動電圧VJと接地電位との間に接続される。例えば、駆動電圧VJとして+5Vが用いられている。
【0010】
デジタルカメラ等の撮像装置は、上述のCCD固体撮像素子の他、信号処理回路を備え、それら各部がバッテリ50(出力電圧VB)を電源電圧VDとして受けて駆動される。最近は撮像装置の小型化に応じてバッテリ50も小型化し、これに伴ってバッテリの出力電圧VBも低電圧化し、例えば出力電圧VBが+2.9Vといったバッテリが用いられる。例えば、第1及び第2の出力アンプ30,40の駆動電圧VJは上述のようにVBより高い+5Vを要し、Nsub8に印加される電子シャッタ動作のためのパルスφsubの電圧もVBより高い+8Vを要する。そのため、従来の撮像装置はバッテリの出力電圧VBより高い電圧を生成する第1及び第2の昇圧回路52,54を備える。第1の昇圧回路52はバッテリの出力電圧VBを昇圧して、例えば+5Vの電圧を生成し、出力アンプ30,40にVJとして供給する。第2の昇圧回路54は、第1の昇圧回路52と同様にバッテリの出力電圧VBを昇圧して、例えば+8Vの電圧を生成し、Nsub8への印加電圧及びパルスを生成する基板クロック生成回路56に供給する。リセットドレイン18に印加する電圧VRDとしては、電源回路を共通化することによる回路構成の簡素化のため、出力アンプを駆動する駆動電源VJがそのまま用いられる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
近年、例えばデジタルカメラや写真撮影機能付き携帯電話といった、CCD固体撮像素子を用いた小型軽量の機器が開発されている。上述のように小型軽量の機器ではバッテリも小型化される。それに応じて、その容量も小さくなるため、消費電力の低減が望まれる。CCD固体撮像素子では、出力アンプの駆動に比較的大きな電流を必要とし、この部分での消費電力が大きい。ここで、出力アンプの消費電力は、駆動電圧VKを低下させることにより、低減することが可能である。従来は、回路構成の簡素化のため、リセットドレイン18に印加する電圧VRDとしてVKが用いられるため、出力アンプの低消費電力化に伴い、リセットドレイン18の電位、フローディングディフュージョン14におけるリセット電位も低下する。
【0012】
しかし、リセットドレイン電圧VRDが所定の範囲を越えて低下すると、リセットトランジスタの特性ばらつきが顕著になり、撮像装置の画質が装置間でばらつくという問題があった。これは、CCD固体撮像素子の製造の面からは、リセットトランジスタの特性が複数のCCD固体撮像素子間で均質になるように作ることが難しく、歩留まりが低下するという問題となる。また、VRDを低下させると、リセットドレイン18のポテンシャルが浅くなり、これに伴って、フローディングディフュージョン14のポテンシャルが浅くなる。このため、出力ゲート12下のポテンシャルとフローディングディフュージョン14のポテンシャルとの差が縮小され、フローディングディフュージョン14に蓄積できる情報電荷量が低減し、CCD固体撮像素子の出力信号のダイナミックレンジが低下するという問題があった。
【0013】
本発明は上記問題点を解決するためになされたもので、電力消費を低減しつつ、リセットトランジスタの製造ばらつきの影響が小さく、装置間での画質のばらつきが抑制される撮像装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明は、情報電荷をパケット単位でキャパシタへ蓄積すると共に、前記キャパシタに蓄積された情報電荷をリセットドレインに排出し、前記蓄積動作及び前記排出動作を繰り返しながら、前記キャパシタの電位変化を出力アンプで取り出して画像信号を出力する電荷転送素子において、当該電荷転送素子の基板側へ印加される電圧を分圧した分圧電圧を生成する分圧回路を有し、前記分圧電圧を前記リセットドレインへ印加することを特徴とする。
【0015】
さらに、上記電荷転送素子において、前記電荷転送素子の基板側へ印加される電圧として基板クロックを前記分圧回路に供給し、前記分圧回路は、前記基板クロックの交流成分を平滑化するコンデンサを有することがより好適である。
【0016】
また、上記電荷転送素子において、前記コンデンサは、前記電荷転送素子と同一基板上に形成されても良いし、前記電荷転送素子の外部に配置されても良い。
【0017】
上記課題を解決するための本発明の別の形態は、情報電荷をパケット単位でキャパシタに蓄積すると共に、前記キャパシタに蓄積された情報電荷をリセットドレインに排出し、前記蓄積動作及び前記排出動作を繰り返しながら、前記キャパシタの電位変化を出力アンプで取り出して画像信号を出力する電荷転送素子と、前記出力アンプへ供給される電源電位を昇圧して昇圧電圧を生成する昇圧回路と、前記昇圧回路の出力を分圧して分圧電圧を生成し、この分圧電圧を前記電荷転送素子のリセットドレインへ印加する分圧回路とを備えたことを特徴とする。
【0018】
さらに、上記撮像装置において、前記昇圧回路の出力を取り込んで基板クロックを生成し、この基板クロックを前記電荷転送素子の基板側及び前記分圧回路へ供給する基板クロック生成回路を更に有し、前記分圧回路は、前記基板クロックの交流成分を平滑化するコンデンサを含み、前記基板クロックを分圧して前記分圧電圧を生成することが好適である。
【0019】
また、上記撮像装置において、前記コンデンサは、前記電荷転送素子と同一基板上に形成されても良いし、前記電荷転送素子の外部に配置されても良い。
【0020】
本発明によれば、リセットドレインには、出力アンプの駆動電圧より高い分圧電圧が印加される。よって、出力アンプの駆動電圧を低下して、消費電力の低減を図りつつ、リセットドレインには、所定の電圧値を有する電圧を別途供給することができる。このため、素子の特性ばらつきの影響を回避することができる。また、このとき、リセットドレインに印加される分圧電圧は、出力アンプの駆動電圧より高い基板クロックを用いて生成されるので、当該分圧電圧のためだけに昇圧回路を設ける必要がない。
【0021】
また、上記撮像装置において、前記出力アンプは、前記電源電圧と接地電圧との間に駆動トランジスタ及び負荷トランジスタが直列に接続されたソースフォロア回路を多段接続して構成され、初段のソースフォロア回路の駆動トランジスタがエンハンスメント型であり、最終段のソースフォロア回路の駆動トランジスタがデプレッション型であることが好適である。
【0022】
さらに、上記撮像装置において、前記出力アンプは、前記ソースフォロア回路を少なくとも3段接続して構成され、前記初段のソースフォロア回路と前記最終段のソースフォロア回路との間のソースフォロア回路の駆動トランジスタが、前記初段のソースフォロア回路の駆動トランジスタと前記最終段のソースフォロア回路の駆動トランジスタとの間の閾値電圧を有することが好適である。
【0023】
本発明によれば、出力アンプの駆動電圧より、キャパシタのリセット電位が高くなる。すなわち、出力アンプの初段の駆動トランジスタへの入力信号が出力アンプの駆動電圧より高くなる。このように高いゲート電圧では、デプレッション型MOSトランジスタのチャネル抵抗が小さくなる。そのため、初段の駆動トランジスタをデプレッション型で構成する従来の出力アンプでは、初段の駆動トランジスタのドレイン−ソース間での電圧降下が小さく、出力の動作点が駆動電圧近傍となり、出力信号のリニアリティが劣化する。そこで、本発明では、初段の駆動トランジスタをエンハンスメント型MOSトランジスタで構成し、初段の出力の動作点電圧を低下させ、リニアリティを確保する。一方、全ての段の駆動トランジスタをエンハンスメント型とすると、出力アンプの最終段の出力信号電圧が低下し過ぎ、後続の信号処理に不都合を生じる。この出力アンプには通常、さらにエミッタフォロワ回路の出力アンプが接続される。このエミッタフォロワ回路への入力電圧が低くなると、エミッタフォロワ回路の負荷抵抗を小さくして電流を大きくしなければ、入出力特性のリニアリティが低下する。これはリニアリティを確保するためには消費電力を大きくしなければならないという不都合を生じる。そこで本発明では、最終段ソースフォロワ回路の駆動トランジスタはデプレッション型MOSトランジスタで構成し、出力アンプの最終段の出力電圧の低下を抑制する。
【0024】
また、3段構成のソースフォロワ回路の各段にて、出力動作点を駆動電圧より低くしてリニアリティを確保すると同時に、不必要に出力動作点が低くなることが防止される。
【0025】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下、上述の従来の装置と同様の構成要素には同一の符号を付す。図1は、本発明の実施形態に係る、フレーム転送方式のCCD固体撮像素子を用いた撮像装置の構成を示すブロック図である。この撮像装置は、バッテリ50、CCD固体撮像素子60、昇圧回路54,62、レギュレート回路64、垂直ドライバ回路66、水平ドライバ回路68、タイミング制御回路70、及び基板電圧Vsub制御回路から構成される。
【0026】
フレーム転送方式のCCD固体撮像素子60は、撮像部60i、蓄積部60s、水平転送部60h及び出力部60dを有する。撮像部60iは、垂直方向に延在し、互いに平行に配列された複数のCCDシフトレジスタからなり、各CCDシフトレジスタの各ビットがフォトダイオードとして機能し受光画素を構成する。蓄積部60sは、撮像部60iのCCDシフトレジスタに連続する遮光された複数のCCDシフトレジスタからなり、各CCDシフトレジスタの各ビットが蓄積画素を構成する。水平転送部60hは、水平方向に延在する単一のCCDシフトレジスタからなり、各ビットに蓄積部60sのCCDシフトレジスタの出力が接続される。出力部60dは、水平転送部60hから転送出力される電荷を一時的に蓄積するキャパシタ及びそのキャパシタに蓄積された電荷を排出するリセットトランジスタを含む。これにより、撮像部60iの各受光画素に蓄積される情報電荷は、各画素毎に独立して蓄積部60sの蓄積画素へ転送された後、1行ずつ蓄積部60sから水平転送部60hへ転送され、さらに、1画素単位で水平転送部60hから出力部60dへ転送される。そして、出力部60dで1画素毎の電荷量が電圧値に変換され、その電圧値の変化が画像信号Y(t)として外部回路へ供給される。
【0027】
図2は、本発明の実施形態の撮像装置における要部の構成を示す説明図である。図2には、CCD固体撮像素子60の水平CCDレジスタ(H−REG)の出力端近傍と出力部60dの一部をなすリセットトランジスタとの断面、及び出力部の回路構成等が示されている。この図を用いてCCD固体撮像素子60に関して説明する。
【0028】
N型のシリコン基板2には、イオン注入及び拡散処理によって、基板表面に位置するN型不純物層であるNウェル(Nウェル)4と、その下に位置するP型不純物層であるPウェル(Pウェル)6とが形成され、これらと基板本来のN型不純物層(Nsub)8とが基板深さ方向にNPN構造を構成する。
【0029】
このNPN構造により、基板表面に設けられた撮像部等における不要な電荷を基板深部に排出する縦型オーバーフロードレインが構成される。縦型オーバーフロードレイン構造では、基板には正電圧Vsubが印加され、Pウェル6の領域にポテンシャル障壁が形成される。このポテンシャル障壁は、通常動作時において、Nウェル4に形成されるポテンシャル井戸に蓄積される情報電荷が基板深部へ移動することを妨げる。一方、ポテンシャル井戸の蓄積容量を超える情報電荷が発生した場合には、余剰電荷がPウェル6のポテンシャル障壁を越えて基板深部に排出される。これにより余剰電荷が周辺画素に溢れるいわゆるブルーミングが抑制される。Nsub8にはブルーミングを抑制する電圧として例えば+5Vが印加される。
【0030】
また、CCD固体撮像素子60では、通常動作時に、Nsub8にブルーミングを抑制する電圧を印加する一方で、さらに正電圧のパルスを重畳して、電子シャッタ動作を行うことができる。例えば、電子シャッタ動作時には、Nsub8に印加する電圧を例えば+8V(Hレベル)に立ち上げて、それに同期して垂直CCDレジスタの転送電極に印加するパルス信号を例えば−5V(Lレベル)に立ち下げる。これにより、Pウェル6のポテンシャル障壁が引き下げられて、それらの領域に蓄積されている情報電荷を瞬時に一括して基板深部に排出して、撮像部60iに蓄積した情報電荷をリセットすることができる。
【0031】
水平CCDレジスタにおいて、情報電荷は基板表面に配置された転送電極10の下のNウェル4に形成されるポテンシャル井戸を順次、左方向に転送され、出力ゲート(OG)12下を経由してフローディングディフュージョン14に転送される。
【0032】
フローディングディフュージョン14はN+拡散層であり、水平CCDレジスタから転送出力された情報電荷を蓄積するキャパシタを形成し、またフローディングディフュージョン14、リセットドレイン(RD)18及びリセットゲート(RG)16がリセットトランジスタを構成する。リセットドレイン18はN+拡散層で形成され、一定の正電位VRDが印加される。リセットゲート16に印加されるリセットクロックφRによってリセットゲート16がオンされて、リセットゲート16下のチャネルが形成されると、フローディングディフュージョン14に蓄積された情報電荷がリセットドレイン18に転送されて排出される。リセットゲート16がオフされた状態では、フローティングディフュージョン14及びこれに接合されたPウェル6のPN接合は電気的にフローティング(浮遊状態)になる。ここでH−REGから情報電荷をフローディングディフュージョン14に移動させると、その情報電荷はPN接合容量に一時的に蓄積され、その電荷量に応じてフローディングディフュージョン14の電位が変動する。この電位変動は出力アンプ80で検出及び増幅され、出力アンプの出力VOUTが画像信号Y(t)となる。
【0033】
第1の出力アンプ80は、CCD固体撮像素子60の基板2に形成されるMOSトランジスタ82,84を用いて、例えば3段ソースフォロワ回路で構成される。各ソースフォロワ回路には、バッテリ50からの電圧VBが電源電圧VDDとして直接印加され、各ソースフォロア回路は電源電圧VDDと接地電位VGNDとの間に直列接続され、各々がNチャネル型を有するMOSトランジスタ82,84から構成される。MOSトランジスタ82は、フローディングディフュージョン14の電位又は前段のソースフォロワ回路の出力信号をゲートに入力される駆動トランジスタであり、MOSトランジスタ84は定電流源として機能する負荷トランジスタである。MOSトランジスタ82のソース電位が各ソースフォロワ回路の出力信号電圧となる。最終段である3段目のソースフォロワ回路の出力が、第1の出力アンプ80の出力信号Y(t)となり、これはエミッタフォロワ回路で構成される第2の出力アンプ40に入力される。エミッタフォロワ回路は、バッテリ50からの電源電圧VDDと接地電位VGNDとの間に直列接続されたバイポーラトランジスタ42と抵抗素子44とから構成される。バイポーラトランジスタ42のベースに出力アンプ80の出力信号Y(t)が入力される。またバイポーラトランジスタ42のエミッタに抵抗素子44が接続され、このエミッタから出力信号Y’(t)が取り出される。
【0034】
第1の出力アンプ80のMOSトランジスタ82,84のドレイン、ソースは、基板2の表面に形成されたN+拡散層で構成され、それらの間の基板半導体領域に形成されるチャネルは、ゲート酸化膜上にポリシリコン電極層で形成されたゲート電極を用いて制御される。出力アンプ80の初段ソースフォロワ回路のMOSトランジスタ82−1,84−1はそれぞれエンハンスメント型トランジスタで構成され、2段目のソースフォロワ回路のMOSトランジスタ82−2,84−2はそれぞれサーフェス型トランジスタで構成され、3段目のソースフォロワ回路のMOSトランジスタ82−3,84−3はそれぞれデプレッション型トランジスタで構成される。ここで、Nチャネル型MOSトランジスタの場合、Nウェル4に形成されたエンハンスメント型トランジスタは閾値電圧が正であり、デプレッション型トランジスタは閾値電圧が負である。サーフェス型トランジスタは、チャネルに電位コントロールのための不純物注入を行っていないトランジスタである。2段目の駆動トランジスタを構成するサーフェス型トランジスタ82−2は、エンハンスメント型であるトランジスタ82−1とデプレッション型トランジスタであるトランジスタ82−3との中間の閾値電圧を有する。第1の出力アンプ80を構成する各MOSトランジスタ82,84は、CCD固体撮像素子と同一の半導体基板上に形成することができる。
【0035】
次に、本撮像装置のCCD固体撮像素子60以外の主要部について説明する。本撮像装置は、各部の動作に必要な電力を供給するバッテリ50の他、上述のCCD固体撮像素子60を駆動するための回路として、図1に示す昇圧回路54,62、基板クロック生成回路56、レギュレート回路64、垂直ドライバ回路66、水平ドライバ回路68及びタイミング制御回路70を備え、また、出力信号Y’(t)を処理する信号処理回路(図示せず)を備える。
【0036】
昇圧回路54,62は、例えば、チャージポンプ方式を採用するものである。昇圧回路54は、正電圧チャージポンプを含んで構成され、バッテリ50から供給される電源電圧VBを昇圧して、正側の昇圧電圧VOHを生成する。VOHとして例えば+5Vが生成される。昇圧電圧VOHは、基板クロック生成回路56に供給される。
【0037】
昇圧回路62は負電圧チャージポンプを含んで構成され、バッテリ50から供給される電源電圧VBを昇圧して、負側の昇圧電圧VOLを生成する。昇圧電圧VOLは、垂直ドライバ回路66に供給される。
【0038】
基板クロック生成回路56は、昇圧回路54から供給される昇圧電圧VOHに基づいて、Nsub8に印加する基板クロックφsubを生成する。この基板クロックφsubは、基準状態では、例えば+5V(Lレベル)を維持し、電子シャッタ動作に連動して間欠的に、より高い電圧、例えば+8V(Hレベル)に立ち上げられる。基板クロック生成回路56では、電子シャッタタイミングに合わせて、例えば0V(Lレベル)と+3V(Hレベル)との間で変動する排出タイミング信号BTをクランプして基板クロックφsubを生成する。具体的には、排出タイミング信号BTがOV(Lレベル)のとき、排出タイミング信号BTを昇圧回路54から供給される昇圧電圧VOHでクランプすることによって、+5Vと+8Vとの間で変位する基板クロックφsubを生成する。本装置では、この基板クロックφsubは、本来の縦型オーバーフロードレイン構造及び電子シャッタ動作のために用いられるだけでなく、後述するように、リセットドレイン18に印加されるVRDを生成するためにも利用される。
【0039】
垂直ドライバ回路66は、昇圧回路62から出力される昇圧電圧VOLを受けて動作し、フレーム転送クロックφf及び垂直転送クロックφvを生成して、撮像部60i及び蓄積部60sへ出力する。垂直ドライバ回路66は、フレーム転送クロックφf及び垂直転送クロックφvを、タイミング制御回路70で生成される垂直同期信号VT及び水平同期信号HTに同期して生成する。
【0040】
レギュレート回路64は、バッテリ50から供給される電源電圧VBに基づいて、所定の調整電圧を生成し、出力VKとして水平ドライバ回路68へ供給する。このレギュレート回路64では、供給される電源電圧VBを抵抗分割した分圧電圧と所定の基準電圧VRとを比較器にて比較し、比較器の出力に基づいて調整電圧を生成するようにしている。レギュレート回路64では、水平ドライバ回路68の動作電圧に合わせて調整電圧の電圧値が設定されており、電圧VBを水平ドライバ回路68の動作電圧まで降圧するような形で出力VKの調整がなされる。
【0041】
水平ドライバ回路68は、レギュレート回路64から出力される調整電圧VKを受けて動作し、水平転送クロックφh、出力転送クロックφo及びリセットクロックφrを生成して水平転送部60h及び出力部60dへ出力する。水平ドライバ回路66は、水平転送クロックφh、出力クロックφo及びリセットクロックφrを水平同期信号HTに同期して生成する。
【0042】
タイミング制御回路70は、一定周期の基準クロックCKをカウントする複数のカウンタから構成され、基準クロックCKを所定の比率で分周して垂直同期信号VT及び水平同期信号HTを生成する。また、タイミング制御回路70は、電子シャッタタイミングを決定する排出タイミング信号BTを生成する。この排出タイミング信号BTは、例えば、1画面分の画像信号の積分値が、CCD固体撮像素子60の適正露光量に合わせて設定された所定の範囲内に収まるように決定される。例えば、積分値が適正範囲の上限を上回る場合、排出タイミング信号BTの立ち上がりタイミングを遅らせて、CCD固体撮像素子60の情報電荷蓄積時間が短くなるように制御する。逆に、適正範囲の下限を下回る場合には、排出タイミング信号BTの立ち上がりを早めて、CCD固体撮像素子60の情報電荷蓄積時間が長くなるように制御する。このようにして、CCD固体撮像素子60の露光量が適正となるように、情報電荷蓄積時間が伸縮制御される。また、タイミング制御回路70は、CCD固体撮像素子60からの出力信号に対して所定の信号処理を施す信号処理回路(図示せず)や上述の昇圧回路54,62及びレギュレート回路64にもタイミング信号を供給しており、各回路の動作をCCD固体撮像素子60の動作タイミングに同期させるようにしている。
【0043】
さて、図2に戻って、本装置におけるリセットドレイン電圧VRDの生成について説明する。基板クロック生成回路56にて生成された基板クロックφsubは、分圧回路110に入力される。分圧回路110は、基板クロック生成回路56と接地点との間に直列接続された抵抗素子100,102から構成され、抵抗素子100と抵抗素子102によって、基板クロックφsubが抵抗分割されて分圧電圧が取り出される。上述のように基板クロックφsubは間欠的に発生する電子シャッタ動作に応じて電圧値が変動する。このため、抵抗素子と並列にコンデンサを接続し、基板クロックφsubの電圧変動に起因する交流成分を平滑化する。なお、このコンデンサ104は、CCD固体撮像素子60と同一基板に形成されても良いし、CCD固体撮像素子60に対して外付けされても良い。平滑化され得られた直流電圧がVRDとしてリセットドレイン18に印加される。抵抗素子100,102の比は、生成されるVRDがバッテリ50からの電圧VBより高い所定電圧となるように定められる。その所定電圧は、複数のCCD固体撮像素子60間でのリセットトランジスタの特性ばらつきが抑制されることに基づいて決定されるものであり、例えば+3.5Vに設定される。分圧回路110を構成する抵抗素子100,102及びコンデンサ104は、CCD固体撮像素子と同一の半導体基板上に形成することができる。すなわち、抵抗100,102は基板2上に不純物を拡散して形成することができる。また、コンデンサ104は、例えば、CCD固体撮像素子60の端子に外付けするように構成することもできる。
【0044】
このようにVB=+2.9V、VRD=+3.5Vとする場合の第1の出力アンプ80の動作点の一実施例を以下に示す。初段のソースフォロワ回路は、駆動トランジスタ82−1がエンハンスメント型で構成され、ゲートにフローディングディフュージョン14のリセット電位“+3.5V”を印加されたときの出力電位が“+2.0V”となるようにトランジスタサイズや閾値電圧が調整されて形成される。2段目のソースフォロワ回路は、駆動トランジスタ82−2がサーフェス型で構成され、ゲートに初段ソースフォロワ回路の出力電位“+2.0V”を印加されたときの出力電位が“+2.0V”となるように形成される。3段目のソースフォロワ回路は、駆動トランジスタ82−3がデプレッション型で構成され、ゲートに2段目のソースフォロワ回路の出力電位“+2.0V”を印加されたときの出力電位が“+2.9V”となるように形成される。
【0045】
第2の出力アンプ40のトランジスタ42のベース−エミッタ間の接合電位差は例えば0.6Vであり、エミッタフォロワ回路は、ベースに出力アンプ80の出力電位“+2.9V”を印加されたときの出力電位として“+2.3V”を確保することができる。
【0046】
例えば、フローディングディフュージョン14に情報電荷を蓄積したときの信号電位はリセット電位に対して−1.4V程度の電位差を有し、これに対応して第1の出力アンプ80の出力での信号電位は“+1.5V”程度となる。よって、トランジスタ42の出力端では“+0.9V”の電位を確保することができ、このように出力信号Y’(t)の振幅が比較的高い電圧範囲に位置するので、第2の出力アンプ40のエミッタフォロワに流す電流を抑制しつつ出力信号のリニアリティを確保することができる。
【0047】
なお、本実施形態においては、基板クロック生成回路56が出力する基板クロックφsubを分圧回路110で分圧する構成としたが、これに限られるものではない。例えば、基板クロックφsubのために生成される昇圧電圧を、昇圧回路54から分圧回路110に直接供給し、昇圧電圧を分圧した電圧をリセットドレイン18に供給する構成としても良い。
【0048】
【発明の効果】
本発明の撮像装置によれば、出力アンプの駆動電圧を下げて消費電力を低減させると共に、出力部のリセットトランジスタの製造ばらつきの影響が小さく、装置間での画質のばらつきが抑制される。また、フローディングディフュージョンに蓄積できる情報電荷量を確保できるので、画像信号のダイナミックレンジを確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の撮像装置における要部の構成を示す説明図である。
【図2】本発明の実施形態に係る、フレーム転送方式のCCD固体撮像素子を用いた撮像装置の構成を示すブロック図である。
【図3】従来の撮像装置における要部の構成を示す説明図である。
【符号の説明】
1 シリコン基板、4 Nウェル、6 Pウェル、8 Nsub、10 転送電極、12 出力ゲート、14 浮遊拡散層、16 リセットゲート、18 リセットドレイン、40,80 出力アンプ、42 バイポーラトランジスタ、44,100,102 抵抗素子、50 メインバッテリ、54 昇圧回路、56 基板クロック生成回路、60 CCD固体撮像素子、82,84 MOSトランジスタ、104 コンデンサ。
Claims (10)
- 情報電荷をパケット単位でキャパシタへ蓄積すると共に、前記キャパシタに蓄積された情報電荷をリセットドレインに排出し、前記蓄積動作及び前記排出動作を繰り返しながら、前記キャパシタの電位変化を出力アンプで取り出して画像信号を出力する電荷転送素子において、
当該電荷転送素子の基板側へ印加される電圧を分圧した分圧電圧を生成する分圧回路を有し、
前記分圧電圧を前記リセットドレインへ印加することを特徴とする電荷転送素子。 - 請求項1に記載の電荷転送素子において、
前記電荷転送素子の基板側へ印加される電圧として基板クロックを前記分圧回路に供給し、
前記分圧回路は、前記基板クロックの交流成分を平滑化するコンデンサを有することを特徴とする電荷転送素子。 - 請求項2に記載の電荷転送素子において、
前記コンデンサは、前記電荷転送素子と同一基板上に形成されることを特徴とする電荷転送素子。 - 請求項2に記載の電荷転送素子において、
前記コンデンサは、前記電荷転送素子の外部に配置されることを特徴とする電荷転送素子。 - 情報電荷をパケット単位でキャパシタに蓄積すると共に、前記キャパシタに蓄積された情報電荷をリセットドレインに排出し、前記蓄積動作及び前記排出動作を繰り返しながら、前記キャパシタの電位変化を出力アンプで取り出して画像信号を出力する電荷転送素子と、
前記出力アンプへ供給される電源電位を昇圧して昇圧電圧を生成する昇圧回路と、
前記昇圧回路の出力を分圧して分圧電圧を生成し、この分圧電圧を前記電荷転送素子のリセットドレインへ印加する分圧回路と、
を備えたことを特徴とする撮像装置。 - 請求項5に記載の撮像装置において、
前記昇圧回路の出力を取り込んで基板クロックを生成し、この基板クロックを前記電荷転送素子の基板側及び前記分圧回路へ供給する基板クロック生成回路を、更に有し、
前記分圧回路は、前記基板クロックの交流成分を平滑化するコンデンサを含み、前記基板クロックを分圧して前記分圧電圧を生成することを特徴とする撮像装置。 - 請求項6に記載の撮像装置において、
前記コンデンサは、前記電荷転送素子と同一基板上に形成されることを特徴とする撮像装置。 - 請求項6に記載の撮像装置において、
前記コンデンサは、前記電荷転送素子の外部に配置されることを特徴とする撮像装置。 - 請求項5に記載の撮像装置において、
前記出力アンプは、前記電源電圧と接地電圧との間に駆動トランジスタ及び負荷トランジスタが直列に接続されたソースフォロア回路を多段接続して構成され、
初段のソースフォロア回路の駆動トランジスタがエンハンスメント型であり、最終段のソースフォロア回路の駆動トランジスタがデプレッション型であることを特徴とする撮像装置。 - 請求項9に記載の撮像装置において、
前記出力アンプは、前記ソースフォロア回路を少なくとも3段接続して構成され、
前記初段のソースフォロア回路と前記最終段のソースフォロア回路との間のソースフォロア回路の駆動トランジスタが、前記初段のソースフォロア回路の駆動トランジスタと前記最終段のソースフォロア回路の駆動トランジスタとの間の閾値電圧を有することを特徴とする撮像装置。
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JP2002304338A JP2004140660A (ja) | 2002-10-18 | 2002-10-18 | 電荷転送素子及び撮像装置 |
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JP2021150846A (ja) * | 2020-03-19 | 2021-09-27 | 株式会社東芝 | 固体撮像装置 |
-
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- 2002-10-18 JP JP2002304338A patent/JP2004140660A/ja active Pending
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