JP2004138133A - 発電機能付き軸受 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】この発電機能付き軸受1は、内輪回転形であり、転動体4を介して相対回転自在な内輪2,外輪3と、内外輪2,3の相対回転によって発電する発電機6とを備える。発電機6は、磁石7と、この磁石7に対向配置されて内部にコイル16を有するヨーク10とを備える。磁石7は内輪2に取付けられ、ヨーク10の外周側に配置されている。ヨーク10は外輪3に取付けられる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、種々の機器、例えば汎用エンジンのクランク軸,その他の駆動伝達系等に用いられて軸受回転による発電が可能な発電機能付き軸受に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の発電機能付き軸受として、図8に示す内輪回転形のものがある。この軸受は、回転軸25に嵌合されて回転する内輪22に、ロータである多極磁石27が芯金28を介して固定され、ステータであるヨーク30が、多極磁石27の外周側に位置するように外輪23に固定されている。ヨーク30内にコイル31が設けられる。上記多極磁石27とヨーク30とで発電機26が構成される。ヨーク30の内径側には櫛歯状の爪(図示せず)が周方向に並べて形成されており、これらの爪がヨーク30の内周側に位置する多極磁石27と対向している。
この他の発電機能付き軸受の例として、図示は省略するが、内部にコイルを有するヨークを内輪に取付け、外輪に磁石を取付けたものも提案されている(例えば特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−130262号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
図8の例のように、ロータである多極磁石27の外周にヨーク30を配置した発電機26の場合、その発電電力を大きくするためには、多極磁石27の直径を大きくする必要がある。これに伴い、多極磁石27の外径側に配置されるヨーク30の直径も大きくなるため、発電機26の全体が大きくなる。
上記特許文献1の例のように、内輪にコイルを取付け、外輪にヨークを取付けたものでは、磁石の直径を大きくしても、発電機全体が大きくなることは回避できる。しかし、コイルが回転側となるため、軸受ハウジング等の固定側の部材に発電電力を供給する場合に、ロータリ式コネクタ等が必要となり、配線系が煩雑となる。
【0005】
この発明の目的は、コンパクトな構成で大きな発電電力を得ることができ、かつ発電電力の供給系も簡素な構成にできる発電機能付き軸受を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、この発明の発電機能付き軸受は、互いに転動体を介して相対回転自在な内輪および外輪と、磁石、およびこの磁石に対向配置されて内部にコイルを有するヨークにより構成され内外輪の相対回転によって発電する発電機とを備えた内輪回転形の発電機能付軸受において、上記ヨークを外輪に取付け、上記磁石を、上記ヨークの外周側に位置させて内輪に取付けたことを特徴とする。
この構成によると、磁石をヨークの外周側に配置したため、発電電力を高めるために磁石の外径を大きくしても、磁石よりも発電機外径が大きくなることがない。そのため、コンパクトな構成で大きな発電電力を得ることができる。また、コイルを有するヨークは、固定側輪である外輪に取付けるため、軸受ハウジング等の固定側部材への発電電力の供給に、ロータリ式コネクタ等が不要で、簡素な構成で済む。なお、上記磁石は、例えばヨークよりも軸受軸方向の外側へ突出した取付部材を介して内輪に取付ける。
【0007】
この発明において、上記磁石の芯金に、放熱用のフィンを設けても良い。内輪に取付けられる磁石を、外輪に取付けられるヨークの外周側に位置させると、コイル内蔵のヨークが磁石の芯金等の取付部材によって覆われることになり、放熱が悪くなる。放熱が悪くなると、磁石が熱減磁することがある。しかし、このように放熱用のフィンを設けると、放熱を良くすることができ、発電機内部の温度上昇が防止される。
【0008】
上記放熱用のフィンを設ける代わりに、または放熱用のフィンを設けると共に、上記磁石の芯金に、内輪の回転によって発電機内外への空気流を生じさせる強制空冷用の羽根を設けても良い。
このように羽根を設けた場合、羽根の傾き方向と磁石回転方向の関係により、羽根が外部の空気を発電機の内部に送り込むか、または発電機の内部から空気を吸い出すことになり、強制空冷できる。そのため、より一層確実に、発電機内部の温度上昇が防止される。
【0009】
この発明において、上記発電機が電力供給と回転検出とを兼ねるものであっても良い。発電機は交流電力を発生するため、その電圧の変化を検出することなどで、回転検出を行うことができる。この兼用により、発電機とは別に回転検出装置を設置する場合に比べて全体の構成をよりコンパクトにできる。
【0010】
この発明において、上記ヨークは磁性体のリング部材であって、磁石と対面する部分に、互いに対向方向に延びる2組の櫛歯状の爪が形成され、両組の各爪が円周方向に隙間を介して交互に並ぶものとされていても良い。いわゆるクローポール形の発電機としても良い。
このように櫛歯状の爪を形成した場合は、発電電力を確保しながら、発電機全体をコンパクトに構成することができる。また、発電機が回転検出手段を兼ねるものとする場合に、上記爪により多極化が容易で、高分解能の回転検出を行うことができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1はこの発明の第1の実施形態にかかる発電機能付き軸受を示す。この発電機能付き軸受1は内輪回転型の転がり軸受であり、内輪2と、外輪3と、内輪2および外輪3に対向して形成された転走面2a,3a間に回転自在に収容された複数の転動体4とを備える。内輪2は、例えば回転軸5に嵌合状態に取付けられて回転する。内輪2には、多極の磁石7が取付部材を介して取付けられ、外輪3にはコイル16を内蔵した磁性体のヨーク10が取付けられている。磁石7はヨーク10の外周側に位置する。上記取付部材は芯金8およびリング部材9により構成される。これら磁石7,芯金8,リング部材9,およびヨーク10により発電機6が構成される。
【0012】
上記芯金8およびリング部材9はプレス成形品からなる。リング部材9は、断面概形がZ字状の環状部材であって、小径筒部9aとその一端から軸方向に続く大径筒部9bとを有し、大径筒部9bを内輪2の一端部の外径面に嵌合させることで内輪22に固定されている。芯金8は断面概形がコ字状の環状部材であって、互いに同心状の内径筒部8aおよび外径筒部8bと、内径筒部8aの一端から外径筒部8bの一端に向けて径方向に延びて両筒部8a,8bを繋ぐ側面部8cとを有し、その内径筒部8aをリング部材9の小径筒部9bの外径面に嵌合させることでリング部材9に固定されている。芯金8の大径筒部8bの内径面に多極磁石7が接着剤等により固定されている。
【0013】
磁石7は発電機6のロータとなる部材であって、図2(A),(B)に断面図および正面図で示すように環状に形成され、その内周面に周方向に並べて複数の磁極N,Sが交互に並ぶように着磁されている。この磁石7は、焼結磁石、プラスチック磁石、ゴム磁石のいずれからなるものであっても良い。磁石7がゴム磁石からなる場合には、芯金8に対して加硫接着しても良い。このほか、磁石7は加締めなどの機械的方法で芯金8に固定しても良い。芯金8の大径筒部8bは磁性体であることが好ましい。
【0014】
ヨーク10は、図3(A),(B)に側面図および正面図で示すように、互いに軸方向に対面する2つの磁性体リング12,13を組み合わせたリング部材であって、外輪3の一端部の内径面に嵌合させることで、上記磁石7の内周側に位置して磁石7と径方向に対向するように外輪3に固定される。ヨーク10に内蔵したコイル16(図1)の引き出し線11はヨーク10から引き出されている。各磁性体リング12,13はプレス成形品からなり、それぞれ外周側には軸方向に延びる複数の櫛歯状爪14,15が所定の隙間を隔て周方向に並べて形成されている。これら両方の爪14,15が軸方向に対向するように両磁性体リング12,13を互いに嵌合させてヨーク10が構成される。一方の磁性体リング12の爪14と他方の磁性体リング13の爪15とは、周方向に交互に並ぶようにされている。これらの爪14,15は、外周側に配置される磁石7と径方向に対向する。
【0015】
発電機6の発電電力は、軸受1の内部または外部に設置された例えば回転検出装置やコントロールユニット(いずれも図示せず)等の負荷に電源として供給される。発電機6は電力供給だけに使用しても良いが、発電機6が発生する交流信号を回転軸5の回転検出のための信号として利用するようにしても良い。このように発電機6が発生する交流信号を回転検出信号として利用することにより、発電機6とは別に回転検出装置を設置する場合に比べて全体の構成をよりコンパクトにできる。
【0016】
この構成の発電機能付き軸受1によると、外輪3に固定されるヨーク10の外周側に、回転部材である内輪1に固定される磁石7を配置して発電機6を構成しているので、発電電力を高めるために磁石7の外径を大きくしても、磁石7が発電機6の外径となり、それよりも発電機外径が大きくなることがない。そのためコンパクトな構成で大きな発電電力を得ることができる。また、コイル16を内蔵するヨーク10は、固定側輪である外輪3に取付けるため、軸受ハウジング等の固定側部材への発電電力の供給に、ロータリ式コネクタ等が不要で、簡素な構成で済む。
【0017】
また、ヨーク10がリング部材であって、磁石7と対面する外周側の部分に、互いに軸方向に対向して延びる2組の櫛歯状の爪14,15が形成され、両組の各爪14,15が周方向に隙間を介して交互に並ぶものとされているので、ヨーク10の外周側に磁石7を配置したこととあいまって、必要な発電電力を得るのに必要な磁極ピッチを確保しながら、発電機6の外径を小さくしてコンパクトに構成できる。
この発電機能付き軸受1の潤滑はグリス潤滑でもオイル潤滑でも良いが、オイル潤滑の場合は、このオイルをヨーク10に循環させることでヨーク10の冷却を行うことができる。
【0018】
図4は、この発明の他の実施形態にかかる発電機能付き軸受を示す。この発電機能付き軸受1は、図1〜図3に示す第1の実施形態において、発電機6のロータ構成部材としてリング部材9を省略し、断面コ字状の芯金8の内径筒部8aを内輪2の一端部の内径面に直接に嵌合させることにより、芯金8を介して磁石7を内輪2に固定している。その他の構成は第1の実施形態同様である。
【0019】
このように芯金8を直接に内輪2に嵌合させることで、リング部材9を省略でき、発電機6の構成をよりコンパクトにできる。
【0020】
図5(A),(B)は、この発明のさらに他の実施形態にかかる発電機能付き軸受の断面図および側面図を示す。この発電機能付き軸受1は、図1〜図3に示す第1の実施形態において、発電機6のロータ構成部材の1つである芯金8の側面部8cに、例えばプレス成形により周方向に並ぶ複数の放熱用フィン17を設けたものである。放熱用フィン17は、例えば芯金8の側面部8cを、カウンタシンクの突部とした形状とされる。この突部からなる放熱用フィン17は、内外面に通じる開口を有するものであっても良い。この実施形態のその他の構成は第1の実施形態と同様である。
【0021】
発電機6は、ステータであるヨーク10がその外周側に配置されるロータ部材(磁石7,芯金8)で覆われた構成であるため、ヨーク10の損失による熱やコイル巻線の通電による熱が発電機6の内部にこもり易いが、この実施形態では上記したように芯金8の側面部8cに複数の放熱用フィン17が設けられているので、芯金8の表面積が増え、放熱を高めることができる。その結果、発電機6の内部にこもる熱で磁石7が熱減磁を起こすのを防止でき、またコイルの耐久性の向上も得られる。
【0022】
図6および図7は、この発明のさらに他の実施形態にかかる発電機能付き軸受を示す。この発電機能付き軸受1は、図1〜図3に示す第1の実施形態において、発電機6のロータ構成部材の1つである芯金8の側面部8cに、強制空冷用の送風を行う羽根18を設けたものである。この羽根18は、周方向に並んで複数設けられており、例えばプレス成形により形成される。この羽根18は、図7(A),(B)に側面図および正面図で示すように、芯金側面部8cの外側に突出させたルーバ状の凸部18aとされ、この凸部18aの周方向に向く一側面に通気孔18bが開口している。その他の構成は第1の実施形態と同様である。
【0023】
この実施形態では、例えば内輪2を、羽根18の通気孔18bが開口していない側面18c(図7(C))から通気孔18bが設けられている向きに回転させると、この羽根18が外部の空気を通気孔18bから発電機6の内部に送り込むことになり、発電機6を強制空冷できる。その結果、発電機6の内部にこもる熱で磁石7が熱減磁を起こしたり、コイル16の巻線に悪影響を与えることを防止できる。
【0024】
内輪2を上記の場合と逆方向に回転させると、羽根18における通気孔18bの近傍が負圧となり、発電機6の内部の空気が通気孔18bから外部に吸い出される。そのため、発電機6を強制空冷できる。軸受1をオイル潤滑する場合は、ロータの回転方向として発電機6の内部の空気を外に吸い出す方向を選ぶ方が、オイルの循環を妨げないので望ましい。
なお、上記羽根18は、その凸部18aを芯金側面部8cの内側に突出させた形状としてもよく、上記と同様の空冷機能を得ることができる。
【0025】
【発明の効果】
この発明の発電機能付き軸受は、内外輪の相対回転によって発電する発電機を備えた内輪回転型の発電機能付軸受において、ロータとなる磁石をヨークの外周側に配置したため、コンパクトな構成で大きな発電電力を得ることができ、かつ発電電力の供給系も簡素な構成にできる。
上記磁石の芯金に、放熱用のフィンを設けた場合や、強制冷却用の羽根を設けた場合は、発電機の内部にこもる熱の放熱が行え、磁石の熱減磁やコイル巻線の劣化が防止される。
発電機が回転検出を兼ねるものとした場合は、回転検出手段を別置きする場合に比べてコンパクトになる。
上記ヨークが2組の櫛歯状の爪が形成されたものである場合は、発電の効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態にかかる発電機能付き軸受を示す断面図である。
【図2】(A)は同軸受における発電機の磁石の断面図、(B)は同磁石の正面図である。
【図3】(A)は同軸受における発電機のヨークの側面図、(B)は同ヨークの正面図である。
【図4】この発明の他の実施形態にかかる発電機能付き軸受を示す断面図である。
【図5】(A)はこの発明のさらに他の実施形態にかかる発電機能付き軸受の断面図、(B)は同軸受の側面図である。
【図6】(A)はこの発明のさらに他の実施形態にかかる発電機能付き軸受の断面図、(B)は同軸受の側面図である。
【図7】(A)は同軸受における発電機の羽根の側面図、(B)は同羽根の平面図、(C)は(B)におけるVII −VII 矢視断面図である。
【図8】従来例の断面図である。
【符号の説明】
1…発電機能付き軸受
2…内輪
3…外輪
4…転動体
6…発電機
7…磁石
8…芯金
10…ヨーク
12,13…磁性体リング
14,15…櫛歯状の爪
17…放熱用フィン
18…羽根
Claims (5)
- 互いに転動体を介して相対回転自在な内輪および外輪と、磁石、およびこの磁石に対向配置されて内部にコイルを有するヨークにより構成され内外輪の相対回転によって発電する発電機とを備えた内輪回転形の発電機能付軸受において、上記ヨークを外輪に取付け、上記磁石を、上記ヨークの外周側に位置させて内輪に取付けたことを特徴とする発電機能付き軸受。
- 請求項1において、上記磁石の芯金に放熱用のフィンを設けた発電機能付き軸受。
- 請求項1または請求項2において、上記磁石の芯金に、内輪の回転によって発電機内外への空気流を生じさせる強制空冷用の羽根を設けた発電機能付き軸受。
- 請求項1ないし請求項3のいずれかにおいて、上記発電機が電力供給と回転検出とを兼ねるものである発電機能付き軸受。
- 請求項1ないし請求項4のいずれかにおいて、上記ヨークが磁性体のリング部材であって、磁石と対面する部分に、互いに対向方向に延びる2組の櫛歯状の爪が形成され、両組の各爪が円周方向に隙間を介して交互に並ぶものである発電機能付き軸受。
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2002
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