JP2004137758A - シールド掘進機 - Google Patents
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Abstract
【課題】掘削土砂が土砂搬出路を閉塞したときにこれを確実に検知し迅速な対応が行える密閉形の土砂搬出方法によるシールド掘進機を提供する。
【解決手段】チャンバ3内の掘削土砂をスクリュコンベア6でシールド本体1内に移送した後、この移送した掘削土砂を、空気吸込み口7aからシールド本体1内の空気を吸込みながら、土砂タンク7、スクリューフィーダ8、排土管9等からなる土砂搬出路を通じて遮蔽状態で発進立坑側に真空吸引して搬出するシールド掘進機において、空気吸込み口7aに流入する空気の流入速度を計測する風速計16と、この風速計16で計測された空気の流入速度が設定値を下回るとともにこの状態が予め設定された設定時間を越えて持続したときに、シールド掘進機の掘進を停止させるとともに、スクリュコンベア6を停止させ、かつ、排土ゲート6cを閉じるように制御する制御装置とを設けた。
【選択図】 図1
【解決手段】チャンバ3内の掘削土砂をスクリュコンベア6でシールド本体1内に移送した後、この移送した掘削土砂を、空気吸込み口7aからシールド本体1内の空気を吸込みながら、土砂タンク7、スクリューフィーダ8、排土管9等からなる土砂搬出路を通じて遮蔽状態で発進立坑側に真空吸引して搬出するシールド掘進機において、空気吸込み口7aに流入する空気の流入速度を計測する風速計16と、この風速計16で計測された空気の流入速度が設定値を下回るとともにこの状態が予め設定された設定時間を越えて持続したときに、シールド掘進機の掘進を停止させるとともに、スクリュコンベア6を停止させ、かつ、排土ゲート6cを閉じるように制御する制御装置とを設けた。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、チャンバ内の掘削土砂をシールド本体内に移送するスクリュコンベアと、このスクリュコンベアで移送された掘削土砂を遮蔽した状態でシールド本体後方に真空吸引して搬出するための土砂搬出路とを備えたシールド掘進機に関する。
【0002】
【従来の技術】
シールド掘進機は、シールドジャッキでシールド本体を推進しながらカッタヘッドで切羽を掘削して地下坑を形成するとともに、切羽の掘削により生じた掘削土砂を坑外に排出する。そのため、シールド掘進機では、カッタヘッドとシールド本体前端部との間のチャンバ内の掘削土砂をシールド本体内に移送し、このシールド本体内に移送された掘削土砂をシールド本体後方の地下坑に搬出した後、地下坑を経由して適宜の手段で発進立坑側に排出する。こうしたシールド掘進機には、泥水圧をたてることにより切羽の崩落を防止する泥水式のシールド掘進機と、掘削土砂を塑性流動化するための添加剤をチャンバ内の掘削土砂に混合して土圧をたてることにより切羽の崩落を防止する土圧式のシールド掘進機とがよく知られている。
【0003】
後者の土圧式のシールド掘進機では、チャンバ内の掘削土砂をシールド本体内に移送するのにスクリューコンベアを使用する。このスクリューコンベアは、掘削土砂の排出路を排土ゲートで開閉できるように構成されている。スクリューコンベアで移送された掘削土砂をシールド本体後方の地下坑に搬出する土砂搬出方法としては、スクリューコンベアから排出された掘削土砂をベルトコンベア上に開放状態で載せて搬出する方法がよく知られている。このベルトコンベアで地下坑に搬出された掘削土砂は、通常、地下坑内に設置した土砂搬出用トロッコに積み込まれて発進立坑まで運ばれ、適宜の方法で坑外に排出される。
【0004】
一方、こうした土砂搬出用トロッコを簡単には設置することができない小径の地下坑を掘削する土圧式のシールド掘進機では、土砂搬出方法として、スクリュコンベアでシールド本体内に移送された掘削土砂をシールド本体後方に真空吸引して搬出するための土砂搬出路を設ける方法が知られている。この方法は、前記のベルトコンベアによる土砂搬出方法とは異なり、チャンバ内の掘削土砂をシールド本体後方の発進立坑側にほとんど密閉した状態で搬出する密閉形の土砂搬出方法である。
【0005】
具体的には、スクリュコンベアの掘削土砂を適宜の接続手段を経て遮蔽状態で排土管に導き、排土管の後端部に設けた真空吸引装置によりシールド本体後方に真空吸引して搬出する方法である。この密閉形の土砂搬出方法では、掘削土砂の真空吸引時に排土管等の土砂搬出路内に空気の流れを形成するため、掘削土砂の真空吸引時にシールド本体内の空気を吸込むための空気吸込み口を排土ゲートの後方に設けている。また、排土管は、通常発進立坑まで延長されており、排土管で地下坑側に搬出された掘削土砂を、そのまま、この排土管を通じて真空吸引により発進立坑に送り、坑外に排出する。こうした密閉形の土砂搬出方法を採用する代表的なシールド掘進機として、小口径の地下坑の施工に適したミニシールド掘進機を挙げることができる(例えば特許文献1参照)。
【0006】
土圧式のシールド掘進機には、メタンガスが発生する腐食土の地山等、可燃ガスが発生する地層やこうした地層に近接した地山を掘削しなければならないものもある。こうした可燃ガスが発生する可能性のある可燃ガス発生地帯を掘削する土圧式のシールド掘進機において、土砂搬出方法に前述のベルトコンベアによる方法を使用すると、掘削土砂に含まれている可燃ガスがシールド本体内に浸入する。一方、シールド本体内には、各種計器類等の電気機器を主体とする種々の発火源となる機器が設置されているため、これらの機器が火花を発すると、その火花がシールド本体内の可燃ガスに引火してガス爆発を起す危険性がある。
【0007】
こうした事態の発生を防ぐには、発火源となる機器を防爆型の機器にしたりシールド本体内に浸入する可燃ガスを拡散、希釈するための換気装置を設置したりする等、掘削予定の可燃ガス発生地帯の危険度に応じて相応の防爆手段を施すことが当然必要である。しかしながら、可燃ガスに対するシールド本体内の安全性を高めるためには、こうしたことに加え、スクリュコンベアでシールド本体内に移送された掘削土砂を遮蔽状態でシールド本体後方に搬出するようにして、シールド本体内への可燃ガスの浸入それ自体を防ぐようにすることが肝要である。こうしたことから、前記の密閉形の土砂搬出方法は、可燃ガス発生地帯を掘削するシールド掘進機においても採用される。
【0008】
【特許文献1】
特開平6ー58091号公報(第2頁、図7−9)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
このように、密閉形の土砂搬出方法は、小径の地下坑を掘削するシールド掘進機や可燃ガス発生地帯を掘削するシールド掘進機等に採用されているが、土砂搬出路での掘削土砂の搬出時に掘削土砂が土砂搬出路を閉塞することがある。そして、こうした土砂搬出方法を採用したシールド掘進機では、掘削土砂が土砂搬出路を閉塞したときにこのことにいち早く気付かないと、掘進管理に重大な影響が生じる。すなわち、スクリューコンベアは、回転数を調節することによりチャンバ内の掘削土砂の排出量を調節して、切羽を支持するための土圧を調整するが、掘削土砂が土砂搬出路を閉塞すると、スクリューコンベアで送られる掘削土砂と土砂搬出路内の掘削土砂とが競り合って土圧を調整できなくなるため、切羽を適切な土圧で支持することができなくなるという危険な事態が発生する。
【0010】
また、密閉形の土砂搬出方法を採用したシールド掘進機では、掘削土砂が土砂搬出路を閉塞したことに気付かずにスクリューコンベアを駆動し続けると、こうした問題が生じることに加えて、排土ゲートの後方に設けた前述の空気吸込み口から掘削土砂や地下水がシールド本体内に流出するという新たな問題も生じる。そして、特に可燃ガス発生地帯を掘削する場合にあっては、掘削土砂がシールド本体内に流出すると、掘削土砂に含まれている可燃ガスがシールド本体内に浸入する事態が発生する。こうした事態が発生すると、このシールド本体内に浸入した可燃ガスによりガス爆発を起す危険性が高まる。
【0011】
以上のように、密閉形の土砂搬出方法を採用したシールド掘進機では、掘削土砂が土砂搬出路を閉塞したときにこのことに気付かないでいると、シールド掘進機に種々の危険な事態が発生するため、その土砂搬出路の閉塞状態を確実に検知することが必要である。ところが、密閉形の土砂搬出方法は、掘削土砂をほとんど密閉した状態で搬出するので、掘削土砂が土砂搬出路を閉塞したときに、目視によりこのことを確実に発見することが困難であり、そのため、従来のこの種のシールド掘進機では、掘削土砂が土砂搬出路を閉塞したときに迅速に対応することができない。
【0012】
本発明は、こうした問題を解決するために創作されたものであって、その技術課題は、スクリュコンベアで移送された掘削土砂を土砂搬出路により真空吸引して搬出する密閉形の土砂搬出方法を採用したシールド掘進機において、掘削土砂が土砂搬出路を閉塞したときにこのことを確実に検知することができて迅速な対応を行うことができるシールド掘進機を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明のこうした技術課題は、
掘削土砂の排出路を開閉する排土ゲートを有しチャンバ内の掘削土砂をシールド本体内に移送するスクリュコンベアと、このスクリュコンベアで移送された掘削土砂を遮蔽した状態でシールド本体後方に真空吸引して搬出するための土砂搬出路とを備え、掘削土砂の真空吸引時にシールド本体内の空気を吸込むための空気吸込み口を排土ゲートの後方に設けたシールド掘進機において、
空気吸込み口に流入する空気の流入速度を計測する空気計測器と、この空気計測器で計測された空気の流入速度が予め設定された設定値を下回るとともにこの状態が予め設定された設定時間を越えて持続したときに、シールド掘進機の掘進を停止させるとともに、スクリュコンベアを停止させ、かつ、排土ゲートを閉じるように制御する制御装置とを設けたことにより達成される。
【0014】
スクリュコンベアで移送された掘削土砂を土砂搬出路により真空吸引して搬出する密閉形の土砂搬出方法を採用した本発明のようなシールド掘進機では、シールド掘進機の掘進時に掘削土砂が土砂搬出路を閉塞すると、チャンバ内の掘削土砂の排出量をスクリューコンベアで調節できなくなって、切羽を適切な土圧で支持できなくなるという危険な事態が発生する。
【0015】
本発明のシールド掘進機では、こうした事態に対応して、空気吸込み口に流入する空気の流入速度を空気計測器で計測して、掘削土砂による土砂搬出路の閉塞をその計測結果に基づいて判別するが、その場合、空気の流入速度が設定値を下回ることに加えてこの状態が設定時間を越えて持続することを条件に、土砂搬出路の閉塞を判別するようにしている。そのため、土砂搬出路の閉塞を空気の流入速度の低下に基づいて判別するに際し、土砂搬出路内での掘削土砂の瞬時の停滞等の一時的な現象による空気の流入速度の低下を除外して土砂搬出路の実際の閉塞を判別することができるので、掘削土砂による土砂搬出路の実際の閉塞を確実に検知することができる。
【0016】
また、こうして土砂搬出路の閉塞を空気計測器での計測結果に基づいて検知したとき、すなわち、空気計測器で計測された空気の流入速度が予め設定された設定値を下回るとともにこの状態が設定時間を越えて持続したときには、制御装置がシールド掘進機の掘進を停止させるとともに、スクリュコンベアを停止させ、かつ、排土ゲートを閉じるように制御して迅速な対応を行うことができる。その結果、本発明のシールド掘進機によれば、掘削土砂が土砂搬出路を閉塞したときに、シールド掘進機の掘進による新たな掘削土砂の生成が停止されるとともに、スクリュコンベアから土砂搬出路内への掘削土砂や地下水の流入が排土ゲートにより直ちに阻止されるので、掘削土砂が土砂搬出路を閉塞したときでも、切羽を適切な土圧で支持できなくなるという危険な事態の発生を回避することができるとともに、掘削土砂や地下水が空気吸込み口からシールド本体内に浸入するのを防ぐことができる。以上のように、本発明のシールド掘進機によれば、掘削土砂が土砂搬出路を閉塞したときにこのことを確実に検知することができて迅速な対応を行うことができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明が実際上どのように具体化されるのかの具体化例を図1乃至図3に基づいて説明することにより、発明の実施の形態を明らかにする。図1は、本発明の具体化例のシールド掘進機の垂直縦断面図、図2は、図1のシールド掘進機の制御動作を示す流れ図、図3は、図1のシールド掘進機の掘進時に風速計で計測された空気の流入速度の推移を例示した図である。なお、図1に図示するシールド掘進機は、ミニシールド掘進機であり、通常のシールド掘進機に付設する後続台車を設けないで、この後続台車に搭載される動力盤14,15、パワーユニット等の種々の機器をシールド本体1内に設置するようにしている。
【0018】
これらの図において、1は前胴1aと前部中胴1bと後部中胴1cと後胴1dとを設けて中折れ可能に構成したシールド掘進機の胴体をなすシールド本体、1eはこのシールド本体1の内部空間を機外から遮断するシールド本体1の隔壁、1fはシールド本体1の後部である後胴1dの内周側に環状に設けられシールド本体1の後部と既設のセグメント11との間をシールする裏込めシール、2はシールド本体1の前方に隔壁1eを介して回転可能に設置され切羽を掘削するカッタヘッド、2aはこのカッタヘッド2を回転駆動するカッタ駆動装置、2bはカッタヘッド2を回転自在に支持するベアリング、3はカッタヘッド2と隔壁1eとの間に形成され掘削土砂を取り込んで充満させることにより切羽を土圧で支持するチャンバ、4はシールド本体1の周方向に複数個設置され既設のセグメント11で反力を取りながらシールド本体1を推進するシールドジャッキ、5はシールド本体1を中折れさせるときの中折れ中心となる中折れピンである。
【0019】
裏込めシール1fは、シールド本体1の後部内周とセグメント11の前部外周の隙間をシールしてその隙間から土砂や地下水が浸入しないようにシールする働きをする。シールド掘進機は、シールドジャッキ4でシールド本体1を推進しながらカッタヘッド2で切羽を掘削して地下坑を形成する。その際、チャンバ3内の掘削土砂により土圧をたて切羽の崩落を防止する。チャンバ3内には、内部に取り込んだ掘削土砂を塑性流動化するための添加剤が注入され、チャンバ3内の掘削土砂と撹拌混合される。切羽は、こうして生成された塑性流動状の掘削土砂の土圧により支持され、崩落が防止される。このチャンバ3内の掘削土砂は、後述するスクリューコンベア6や排土管9等からなる土砂搬出装置により、シールド本体1の後方に搬出され、坑外に排出される。
【0020】
前胴1aと前部中胴1b、前部中胴1bと後部中胴1c、後部中胴1cと後胴1dは、それぞれ、シールド本体1の径方向垂直線を中心にして水平方向に揺動できるようにブラケットを介して中折れピン5で軸着している。図示はしていないが、このミニシールド掘進機は、中折れ式であるため、胴1a、1b,1c,1dの隣接するもの同士を互いに傾動させてシールド本体1を中折れさせるための中折れジャッキを設置している。この中折れジャッキは、それぞれ、前胴1aと前部中胴1bとの間、前部中胴1bと後部中胴1cとの間、後部中胴1cと後胴1dとの間を軸着して連結するように3個所に設けられ、各個所ともシールド本体1の周方向に間隔を置いて複数個設けられている。したがって、各個所の複数の中折れジャッキのうちの任意の個所のものをストローク差をつけて駆動することにより、中折れ部P1,P2,P3の任意の部位でシールド本体1を所望の方向に中折れピン5を中心に中折れさせることができる。
【0021】
前述したように、このシールド掘進機は、ミニシールド掘進機であって、後続台車に搭載されるパワーユニット、動力盤等の全ての機器をシールド本体1内に設置しており、機長が長くなるため、シールド本体1に通常より多くの中折れ部P1,P2,P3を設けて曲線施工を行いやすくしている。ここでは、このように中折れ式のミニシールド掘進機を例にして説明しているが、シールド掘進機が中折れ式であるか否かは、本発明の本質とは直接関係しない。
【0022】
6はシールド本体1の中折れ時にシールド本体1との干渉を防げるように隔壁1eに水平方向に揺動可能に取り付けられチャンバ3内の掘削土砂をシールド本体1内に移送するスクリューコンベア、6aはこのスクリューコンベア6の螺旋状のスクリュー羽根、6bはスクリューコンベア6をギヤを介して回転駆動するためのスクリューモータ、6cはスクリューコンベア6の排出側を開閉する排土ゲート、7はスクリューコンベア6の後方に設けられスクリーコンベア6で移送された掘削土砂を一時的に貯溜するボックス状構造物の土砂タンク、7aはシールド本体1内の空気を吸込むための空気吸込み口、7bはスクリューコンベア6と土砂タンク7の間を接続してスクリューコンベア6の排出土砂を搬出する土砂搬出用接続管、8は土砂タンク7から送られた掘削土砂を解す(ほぐす)スクリューフィーダ、9はこのスクリューフィーダ8で解された掘削土砂を発進立坑側に排出する可撓性の排土管である。
【0023】
土砂タンク7は、土砂搬出用接続管7bで搬出される掘削土砂を集めて土砂搬出用接続管7b内に充満させないように一時的に貯溜する働きをする。スクリューコンベア6は、回転数を調節することで切羽の掘削土砂の排出量を調節して、切羽を支持するための土圧を調整するが、掘削土砂が土砂搬出用接続管7b内に充満していると、スクリューコンベア6で送られる掘削土砂と土砂搬出用接続管7b内の掘削土砂とが競り合って土圧を適切に調整することができなくなる。こうしたことから、このミニシールド掘進機では、前記のように掘削土砂を土砂搬出用接続管7b内に充満させないようにするための土砂タンク7を付設することにより、土圧を、土砂搬出用接続管7b内の掘削土砂に影響されずにスクリューコンベア6で適切に調整できるようにしている。
【0024】
スクリューフィーダ8は、スクリューコンベア6から送られた掘削土砂を破砕しながら解して、排土管9で吸引排出しやすい性状に整える働きをする。土砂タンク7の上部には、空気吸込み口7aが設けられ、排土管9には、図示しない真空吸引装置(バキュームポンプ)に連結されているので、この真空吸引装置を駆動すると、空気吸込み口7aから空気を吸込んで、排土管等からなる土砂搬出路内に空気の流れが形成される。そのため、スクリュコンベア6でシールド本体1内に移送されたチャンバ3内の掘削土砂を、真空吸引装置で効果的に真空吸引して、土砂搬出用接続管7b、土砂タンク7、スクリューフィーダ8、排土管9等からなる土砂搬出路を経由して発進立坑側に排出することができる。その場合、掘削土砂を予めスクリューフィーダ8で破砕しながら解しているので、掘削土砂を排土管9で円滑に排出することができるとともに、掘削土砂による排土管9の閉塞を生じにくくすることもできる。
【0025】
10は複数本のシールドジャッキ4の後端部(シールドジャッキロッドの後端部)に取り付けられた環状のプレスリング、11は掘削した地下坑の周壁に沿って環状に組み立てられ地下坑を覆工する既設のセグメント、13はカッタ駆動装置2a、シールドジャッキ4等ミニシールド掘進機のアクチュエータの作動油を貯溜するオイルタンク、14はカッタ駆動装置2aやスクリューモータ6b等のモータ類に関する動力盤、15はシールドジャッキ4や中折れジャッキ等のジャッキ類に関する動力盤、16は空気吸込み口に流入する空気の流入速度を計測する空気計測器としての風速計、20は裏込めシール1fの前方のシールド本体1内にエアーカーテンを形成するためのエアーカーテン装置、21はこのエアーカーテン装置20の空気噴出口である。なお、図示はしていないが、セグメント11を組み立てるためのエレクタは、台車に載せられてシールド本体1の後方に配置され、シールド本体1に随伴して移動できるように設置されている。
【0026】
プレスリング10は、シールドジャッキ4によるシールド本体1の推進時に既設のセグメント11に押し付けて推進反力を取るものであり、スプレッダと同等の働きをする。スプレッダが個々のシールドジャッキごとに設けられているのに対し、このプレスリング10は、シールド本体1の周方向に設置された全部のシールドジャッキ4の押し付け力を同時に既設のセグメント11に伝達できるようにするため、既設のセグメント11と略同径の環状の構造物で形成されている。このプレスリング10は、中空に形成して環状の空気室を設け、エアーカーテン装置に兼用できるようにしている。
【0027】
ミニシールド掘進機は、シールド掘進機にしては掘削外径が小径のため、既設のセグメント11は、内径が1mから2m程度の三分割セグメントを使用して組み立てられる。この三分割セグメントは、周方向に3分割したセグメントピースによりセグメントを組み立てるものであり、セグメントの周方向の分割数が通常のセグメントよりも少ない点に特徴がある。ミニシールド工法では、既設のセグメント11を、こうした継ぎ目の少ない三分割セグメントで組み立てることにより、セグメント11の内周面を覆工する二次覆工は省略して、地下坑周壁とセグメント11の間に充填された一次覆工の裏込め材により、止水とセグメント11の補強を行う。三分割セグメントは、通常のセグメントよりも薄く強度が弱いため、既設のセグメント11の端面全周に当接可能な環状のプレスリング10を使用することにより、シールドジャッキ4の押圧時におけるセグメント11の受圧面積を広くしてセグメント11の破損を防ぐようにしている。
【0028】
オイルタンク13は、アクチュエータの種類に応じて複数設けてもよい。動力盤14,15は、モータ類やジャッキ類を起動させたり停止させたりするための電源スイッチや漏電遮断器等の電源系統の機器を備えており、これらの動力盤14,15は、一つにまとめることもできる。これらのオイルタンク13及び動力盤14,15は、通常のシールド掘進機では後続台車に搭載されているが、このシールド掘進機は、ミニシールド掘進機であって地下坑内径が小径であるため、これらの機器13,14,15を含む、通常のシールド工法で後続台車に搭載される全ての機器を胴体の長いシールド本体1の内部に納めている。
【0029】
この後続台車には、前記動力盤14,15や更には次に述べるパワーユニットが通常搭載されるほか、種々のアクチュエータを操作するための操作手段を集めた制御盤等が必要に応じて搭載され、これらの装置は、複数の後続台車に適宜分割して搭載される。パワーユニットは、シールド掘進機のアクチュエータを駆動する動力を発生させるための種々の機器であり、例えば、電気を動力源とする油圧駆動のシールド掘進機の場合には、アクチュエータに圧油を供給するための油圧ポンプ、油圧ポンプを回転させるための電動機、油圧ポンプに作動油を供給するためのオイルタンク13等の機器である。シールド掘進機のアクチュエータとしては、主要なものとしてカッタ駆動装置2aとシールドジャッキ4を挙げることができ、ここに示す例では、中折れジャッキ及びスクリューモータ6bもこれに該当する。
【0030】
図1には、こうした後続台車に搭載される機器のうちオイルタンク13や動力盤14,15しか図示していないが、実際には、通常のシールド工法で後続台車に搭載される前記のような種々の機器がシールド本体1の内部に数多く納められている。そのため、小径の地下坑を掘削するミニシールド掘進機では、シールド本体1の内部が著しく手狭となる。こうしたことから、大きな設置空間を要するベルトコンベアによる土砂搬出方法は、ミニシールド掘進機には採用しにくい。また、後続台車に搭載される動力盤14,15やパワーユニット等に関する機器には、電動機、スイッチ類、電磁弁等のガス爆発の発火源となる機器が数多くある。そのため、掘削土砂を開放状態で搬出するベルトコンベアによる土砂搬出方法は、可燃ガスが掘削土砂に含まれていると、シールド本体1内に浸入することから、可燃ガス発生地帯の掘削に使用するミニシールド掘進機には適さない。
【0031】
このシールド掘進機では、チャンバ3内の掘削土砂をシールド本体1の後方に搬出するための土砂搬出装置を、特に、スクリューコンベア6と、土砂搬出用接続管7b、土砂タンク7、スクリューフィーダ8、排土管9等からなる土砂搬出路とで構成していて、掘削土砂をシールド本体1の内部空間から隔離した状態でシールド本体1の後方の発進立坑側に搬出できる密閉形の土砂搬出方法を採用している。この密閉形の土砂搬出方法は、ベルトコンベアによる開放形の土砂搬出方法と比べてシールド本体1の有効空間を狭めず、しかも、地下坑内に土砂搬出用トロッコを設置することも要しないため、このミニシールド掘進機のような小径の地下坑を掘削する土圧式のシールド掘進機にとっては好適である。
【0032】
また、この密閉形の土砂搬出方法は、掘削土砂をシールド本体1の内部空間から隔離した状態で真空吸引して搬出することができて、掘削土砂に万一可燃ガスが含まれている場合でも、この可燃ガスがシールド本体1内に浸入する危険性が低いことから、可燃ガス発生地帯の掘削に使用するミニシールド掘進機等の土圧式のシールド掘進機にとっても好適である。
【0033】
この密閉形の土砂搬出方法では、空気吸込み口7aを土砂タンク7等排土ゲート6cの後方の前記土砂搬出路に設ける必要があるため、シールド本体1内の空気は、図示しない真空吸引装置により空気吸込み口7aから吸込まれて掘削土砂と共に真空吸引され、土砂搬出路を通じて発進立坑側に排出される。その結果、シールド本体1内は、この空気吸込み口7aを通じて一種の換気が行われることから、仮に若干の可燃ガスがシールド本体1とセグメント11の間の隙間からシールド本体1内に浸入したとしても、その可燃ガスは、シールド本体1内の空気と共に空気吸込み口7aから土砂搬出路を通じて発進立坑側に積極的に排出される。したがって、密閉形の土砂搬出方法を、可燃ガス発生地帯を掘削するシールド掘進機に採用した場合には、こうした換気の作用により、可燃ガスに対するシールド本体1内の安全性を強化することもできる。
【0034】
図1に示す例では、可燃ガスに対するシールド本体1内の安全性を一層強化するため、エアーカーテン装置20を特別に設置している。このエアーカーテン装置20は、新鮮な加圧空気を発進立坑側からプレスリング10内の中空部に導入してプレスリング10の内周部の多数の空気噴出口22から噴出させることにより、エアーカーテンを形成するようにしたものである。こうしたエアーカーテン装置20を設置することにより、可燃ガス発生地帯の掘削時に、万一、可燃ガスが裏込めシール1fの個所から浸入したとしても、シールド本体1内への可燃ガスの浸入を抑制することができる。
【0035】
エアーカーテンを形成した加圧空気は、シールド本体1内に導入された後、前記の仕組みにより空気吸込み口7aから真空吸引されて発進立坑側に排出されるため、シールド本体1内を活発に換気する。そのため、仮に若干の可燃ガスがエアーカーテンからシールド本体1内に浸入したとしても、可燃ガスは、こうした換気の作用により発進立坑側に排出されて、シールド本体1内の空気は、絶えず新鮮な空気に入れ換えられる。シールド本体1内の空気が吸込み口7aから吸引されると、シールド本体1内の気圧が低下する恐れがあるが、発進立坑側の新鮮な加圧空気を、図示していない送気管でシールド本体1の隔壁1eとエアーカーテンとの間の空間に送ってその空間内の気圧の低下を防ぐことにより、シールド本体1内の換気を強力に行うようにしている。以上述べたエアーカーテン装置20や送気管は、このシールド掘進機を可燃ガス発生地帯の掘削に使用する場合に有用であるが、本発明にとって不可欠のものではない。
【0036】
ところで、この密閉形の土砂搬出方法では、前記のような利点がある反面、シールド掘進機の掘進時に掘削土砂が排土管9等の土砂搬出路を閉塞する恐れがある。そして、シールド掘進機の掘進時に掘削土砂が土砂搬出路を閉塞すると、スクリューコンベア6で送られる掘削土砂と土砂搬出路内の掘削土砂とが競り合ってチャンバ3内の掘削土砂の排出量をスクリューコンベア6で調節できなくなって、切羽を適切な土圧で支持できなくなるという危険な事態が発生する。また、特に可燃ガス発生地帯を掘削する場合にあっては、掘削土砂が土砂搬出路を閉塞したときに、このことに気付かずにスクリューコンベア6を駆動し続けると、こうした問題が生じることに加え、土砂タンク7の空気吸込み口7aから掘削土砂がシールド本体1内に流出することとなって、掘削土砂中に含まれている可燃ガスがシールド本体1内に浸入するという危険な事態も発生する。その場合、シールド本体1内の可燃ガスを空気吸込み口7aから発進立坑側に排出する前記の換気機能も発揮されなくなる。
【0037】
このシールド掘進機の最大の特徴は、こうした危険な事態の発生を防ぐため、掘削土砂が土砂搬出路を閉塞したときに、このことを確実に検知して迅速な対応を行うことができるようにした点にある。こうした目的を達成するため、空気吸込み口7aに流入する空気の流入速度を計測する風速計16と、この風速計16で計測された空気の流入速度Vが予め設定された設定値Vcを下回るとともにこの状態が予め設定された設定時間Tcを越えて持続したときに、シールド掘進機の掘進を停止させるとともに排土ゲート6cを閉じるように制御する制御装置を設けるようにした。以下、この制御装置について説明する。
【0038】
まず、図2に基づき、この制御装置によるシールド掘進機の制御の手順について説明する。シールド掘進機の運転をスタートさせるときには、排土管9に連結された図示しない真空吸引装置を駆動して空気吸込み口7aから空気を吸込み、排土管等の土砂搬出路内に空気の流れを形成する。また、これと前後して、カッタ駆動装置2aによりカッタヘッド2を回転駆動する。次いで、シールドジャッキ4を伸長させてシールド本体1を推進するとともに、排土ゲート6cを開いてスクリューコンベア6をスクリューモータ6bにより正転させる。これらの操作を終了すると、シールド掘進機は、カッタヘッド2で切羽を掘削して地下坑を形成しながら通常の掘進を行う。その際、チャンバ3内の掘削土砂で土圧をたてて切羽を支持しながら掘削土砂をスクリューコンベア6でシールド本体1内に移送した後、土砂搬出用接続管7b、土砂タンク7、スクリューフィーダ8、排土管9等からなる土砂搬出路により真空吸引して遮蔽した状態で坑外に排出する。
【0039】
こうしてシールド掘進機を掘進する過程で、風速計16で計測された空気の流入速度Vが予め設定された設定値Vcを下回ったか否か(図2中の「風速が設定値Vcを下回ったか?」)を判定する。その結果、空気の流入速度Vが設定値Vcを下回っていない場合、すなわち判定結果がNOのとき場合には、シールド掘進機の掘進を続行する。また、空気の流入速度Vが設定値Vcを下回った場合、すなわち判定結果がYESのとき場合には、この状態が予め設定された設定時間Tcを越えて持続したか否か(図2中の「連続して風速がVcを下回った時間が設定値Tcを越えたか?」)を判定する。
【0040】
その結果、空気の流入速度Vが設定値Vcを下回った状態が設定時間Tcを越えて持続していない場合、すなわち判定結果がNOの場合には、この空気の流入速度Vの低下は、排土管9等の土砂搬出路内での掘削土砂の瞬時の停滞等によるものとみることができるので、シールド掘進機の掘進を続行する。また、こうした状態が設定時間Tcを越えて持続した場合、すなわち判定結果がYESのとき場合には、この空気の流入速度Vの低下は、掘削土砂による土砂搬出路の閉塞に起因するものとみることができるので、シールドジャッキ4の伸長を停止させてシールド掘進機の掘進を停止させるとともに、スクリューモータ6bの駆動を停止してスクリュコンベア6を停止させ、排土ゲート6cを閉じる。その場合、必要に応じてカッタヘッド2や真空吸引装置も停止させて、掘削土砂で閉塞した土砂搬出路を修復する。
【0041】
図3は、縦軸に、風速計16で計測された空気の流入速度Vをとり、横軸に時間をとった座標により、シールド掘進機の掘進時における空気の流入速度Vの推移を例示的に表したものである。この図3の例において、風速計16で計測された空気の流入速度Vが設定値Vcを最初に下回るのは、横軸の時間T1 の区間であるが、この場合には、この状態が設定時間Tcを越えて持続していないので、シールド掘進機の掘進が続行され、引き続き、チャンバ3内の掘削土砂がスクリューコンベア6でシールド本体1内に移送されて真空吸引される。次いで、時間T2 の区間で空気の流入速度Vが設定値Vcを下回るが、この場合には、この状態が設定時間Tcを越えて持続するので、シールドジャッキ4の伸長及びスクリューコンベア6の駆動が停止されるとともに排土ゲート6cが閉じられる。
【0042】
このように、このシールド掘進機では、掘進時に掘削土砂が土砂搬出路を閉塞したときに、空気吸込み口7aに流入する空気の流入速度Vを風速計16で計測して、掘削土砂による土砂搬出路の閉塞をその計測結果に基づいて判別するが、その場合、空気の流入速度Vが設定値Vcを下回ることに加えてこの状態が設定時間Tcを越えて持続することを条件に、土砂搬出路の閉塞を判別するようにしている。そのため、土砂搬出路の閉塞を空気の流入速度Vの低下に基づいて判別するに際し、土砂搬出路内での掘削土砂の瞬時の停滞等の一時的な現象による空気の流入速度Vの低下を除外して土砂搬出路の実際の閉塞を判別することができるので、掘削土砂による土砂搬出路の閉塞を確実に検知することができる。
【0043】
また、こうして土砂搬出路の閉塞を風速計16での計測結果に基づいて検知したとき、すなわち、風速計16で計測された空気の流入速度Vが予め設定された設定値Vcを下回るとともにこの状態が設定時間Tcを越えて持続したときに、制御装置がシールド掘進機の掘進を停止させるとともに、スクリュコンベア6を停止させ、かつ、排土ゲート6cを閉じるように制御して迅速な対応を行うことができる。その結果、このシールド掘進機によれば、掘削土砂が土砂搬出路を閉塞したときに、シールド掘進機の掘進による新たな掘削土砂の生成が停止されるとともに、スクリュコンベア6から土砂搬出路内への掘削土砂や地下水の流入が排土ゲート6cにより直ちに阻止されるため、掘削土砂が土砂搬出路を閉塞したときでも、切羽を適切な土圧で支持できなくなるという危険な事態の発生を回避することができるとともに、掘削土砂や地下水が空気吸込み口7aからシールド本体1内に浸入するのを防ぐことができる。
【0044】
特に、このシールド掘進機を可燃ガス発生地帯の掘削に使用した場合には、掘削土砂が土砂搬出路を閉塞したときでも、掘削土砂中に含まれている可燃ガスが空気吸込み口7aからシールド本体1内に浸入する恐れがなく、シールド本体1内の安全性が損なわれることはない。その場合、前記のように、土砂搬出路内での掘削土砂の瞬時の停滞等の一時的な現象を除外して掘削土砂による土砂搬出路の閉塞だけを確実に検知することができるので、シールド掘進機の掘進やスクリュコンベア6を意味なく頻繁に停止させることを防ぐことができる。また、通常時には、シールド本体1内の空気を、空気吸込み口7aから土砂搬出路を通じて真空吸引して排出することにより、シールド本体1内の換気を積極的に行って、可燃ガスに対するシールド本体1内の安全性を強化することができる。
【0045】
このように、このシールド掘進機を特に可燃ガス発生地帯の掘削に使用した場合には、掘削土砂を真空吸引するための真空吸引装置や土砂搬出路をシールド本体1内の安全性を強化するための換気の設備に兼用することができて、一個の設備を二重に活用することができる。そのため、換気の設備を設置するための特別のスペースを別途設ける必要がなくなって、手狭なミニシールド掘進機のシールド本体1内の有効スペースを狭めることがないとともに、換気の設備を製作する経費の節減にも資する。
【0046】
図1に示す例では、空気吸込み口7aを土砂タンク7に設けているが、空気吸込み口7aは、土砂搬出用接続管7bに設けてもよく、排土ゲート6cの後方の土砂搬出路の適宜の個所に設けることができる。また、空気吸込み口7aに流入する空気の流入速度を計測する空気計測器として風速計16を用いているが、空気の流量を計測できる流量計を用いることもできる。風速計16として、ここでは熱線式風速計を用いているが、ピトー管を用いることもできる。
【0047】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明は、「課題を解決するための手段」の項に示した手段を採用しているので、本発明のシールド掘進機では、スクリュコンベアで移送された掘削土砂を土砂搬出路により真空吸引して搬出する密閉形の土砂搬出方法を採用したシールド掘進機において、土砂搬出路内での掘削土砂の瞬時の停滞等の一時的な現象を除外して掘削土砂による土砂搬出路の閉塞を確実に検知することができる。また、掘削土砂による土砂搬出路の閉塞を検知した場合には、シールド掘進機の掘進やスクリュコンベアの駆動を停止させ、排土ゲートを閉じるように制御して、迅速な対応を行うことができる。
【0048】
そのため、このシールド掘進機によれば、掘削土砂が土砂搬出路を閉塞したときでも、切羽を適切な土圧で支持できなくなるという危険な事態の発生を回避することができるとともに、掘削土砂や地下水が空気吸込み口からシールド本体内に浸入するのを防ぐことができる。
【0049】
特に、このシールド掘進機を可燃ガス発生地帯の掘削に使用した場合には、掘削土砂が土砂搬出路を閉塞したときでも、掘削土砂中に含まれている可燃ガスが空気吸込み口からシールド本体内に浸入する恐れがなく、シールド本体1内の安全性が損なわれることはない。さらに、土砂搬出路内での掘削土砂の瞬時の停滞等の一時的な現象を除外して掘削土砂による土砂搬出路の閉塞だけを確実に検知することができるので、シールド掘進機の掘進やスクリュコンベアを意味なく頻繁に停止させることを防ぐことができる。また、通常時には、シールド本体内の空気を、排土ゲートの後方に設けた空気吸込み口から土砂搬出路を通じて真空吸引して排出することにより、シールド本体1内の換気を積極的に行って、可燃ガスに対するシールド本体内の安全性を強化することができる。
【0050】
このように、このシールド掘進機を特に可燃ガス発生地帯の掘削に使用した場合には、掘削土砂を真空吸引するための真空吸引装置や土砂搬出路をシールド本体内の安全性を強化するための換気の設備に兼用することができて、一個の設備を二重に活用することができる。そのため、換気の設備を設置するための特別のスペースを別途設ける必要がなくなって、手狭なミニシールド掘進機のシールド本体内の有効スペースを狭めることがないとともに、換気の設備を製作する経費の節減にも資する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の具体化例のシールド掘進機の垂直縦断面図である。
【図2】図1のシールド掘進機の制御動作を示す流れ図である。
【図3】図1のシールド掘進機の掘進時に風速計で計測された空気の流入速度の推移を例示した図である。
【符号の説明】
1 シールド本体
1a 前胴
1b 前部中胴
1c 後部中胴
1d 後胴
1e 隔壁
1f 裏込めシール
2 カッタヘッド
2a カッタ駆動装置
3 チャンバ
4 シールドジャッキ
6 スクリューコンベア
6b スクリューモータ
6c 排土ゲート
7 土砂タンク
7a 空気吸込み口
8 スクリューフィーダ
9 排土管
10 プレスリング
11 (既設の)セグメント
13 オイルタンク
14,15 動力盤
16 風速計
20 エアーカーテン装置
21 空気噴出口
【発明の属する技術分野】
本発明は、チャンバ内の掘削土砂をシールド本体内に移送するスクリュコンベアと、このスクリュコンベアで移送された掘削土砂を遮蔽した状態でシールド本体後方に真空吸引して搬出するための土砂搬出路とを備えたシールド掘進機に関する。
【0002】
【従来の技術】
シールド掘進機は、シールドジャッキでシールド本体を推進しながらカッタヘッドで切羽を掘削して地下坑を形成するとともに、切羽の掘削により生じた掘削土砂を坑外に排出する。そのため、シールド掘進機では、カッタヘッドとシールド本体前端部との間のチャンバ内の掘削土砂をシールド本体内に移送し、このシールド本体内に移送された掘削土砂をシールド本体後方の地下坑に搬出した後、地下坑を経由して適宜の手段で発進立坑側に排出する。こうしたシールド掘進機には、泥水圧をたてることにより切羽の崩落を防止する泥水式のシールド掘進機と、掘削土砂を塑性流動化するための添加剤をチャンバ内の掘削土砂に混合して土圧をたてることにより切羽の崩落を防止する土圧式のシールド掘進機とがよく知られている。
【0003】
後者の土圧式のシールド掘進機では、チャンバ内の掘削土砂をシールド本体内に移送するのにスクリューコンベアを使用する。このスクリューコンベアは、掘削土砂の排出路を排土ゲートで開閉できるように構成されている。スクリューコンベアで移送された掘削土砂をシールド本体後方の地下坑に搬出する土砂搬出方法としては、スクリューコンベアから排出された掘削土砂をベルトコンベア上に開放状態で載せて搬出する方法がよく知られている。このベルトコンベアで地下坑に搬出された掘削土砂は、通常、地下坑内に設置した土砂搬出用トロッコに積み込まれて発進立坑まで運ばれ、適宜の方法で坑外に排出される。
【0004】
一方、こうした土砂搬出用トロッコを簡単には設置することができない小径の地下坑を掘削する土圧式のシールド掘進機では、土砂搬出方法として、スクリュコンベアでシールド本体内に移送された掘削土砂をシールド本体後方に真空吸引して搬出するための土砂搬出路を設ける方法が知られている。この方法は、前記のベルトコンベアによる土砂搬出方法とは異なり、チャンバ内の掘削土砂をシールド本体後方の発進立坑側にほとんど密閉した状態で搬出する密閉形の土砂搬出方法である。
【0005】
具体的には、スクリュコンベアの掘削土砂を適宜の接続手段を経て遮蔽状態で排土管に導き、排土管の後端部に設けた真空吸引装置によりシールド本体後方に真空吸引して搬出する方法である。この密閉形の土砂搬出方法では、掘削土砂の真空吸引時に排土管等の土砂搬出路内に空気の流れを形成するため、掘削土砂の真空吸引時にシールド本体内の空気を吸込むための空気吸込み口を排土ゲートの後方に設けている。また、排土管は、通常発進立坑まで延長されており、排土管で地下坑側に搬出された掘削土砂を、そのまま、この排土管を通じて真空吸引により発進立坑に送り、坑外に排出する。こうした密閉形の土砂搬出方法を採用する代表的なシールド掘進機として、小口径の地下坑の施工に適したミニシールド掘進機を挙げることができる(例えば特許文献1参照)。
【0006】
土圧式のシールド掘進機には、メタンガスが発生する腐食土の地山等、可燃ガスが発生する地層やこうした地層に近接した地山を掘削しなければならないものもある。こうした可燃ガスが発生する可能性のある可燃ガス発生地帯を掘削する土圧式のシールド掘進機において、土砂搬出方法に前述のベルトコンベアによる方法を使用すると、掘削土砂に含まれている可燃ガスがシールド本体内に浸入する。一方、シールド本体内には、各種計器類等の電気機器を主体とする種々の発火源となる機器が設置されているため、これらの機器が火花を発すると、その火花がシールド本体内の可燃ガスに引火してガス爆発を起す危険性がある。
【0007】
こうした事態の発生を防ぐには、発火源となる機器を防爆型の機器にしたりシールド本体内に浸入する可燃ガスを拡散、希釈するための換気装置を設置したりする等、掘削予定の可燃ガス発生地帯の危険度に応じて相応の防爆手段を施すことが当然必要である。しかしながら、可燃ガスに対するシールド本体内の安全性を高めるためには、こうしたことに加え、スクリュコンベアでシールド本体内に移送された掘削土砂を遮蔽状態でシールド本体後方に搬出するようにして、シールド本体内への可燃ガスの浸入それ自体を防ぐようにすることが肝要である。こうしたことから、前記の密閉形の土砂搬出方法は、可燃ガス発生地帯を掘削するシールド掘進機においても採用される。
【0008】
【特許文献1】
特開平6ー58091号公報(第2頁、図7−9)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
このように、密閉形の土砂搬出方法は、小径の地下坑を掘削するシールド掘進機や可燃ガス発生地帯を掘削するシールド掘進機等に採用されているが、土砂搬出路での掘削土砂の搬出時に掘削土砂が土砂搬出路を閉塞することがある。そして、こうした土砂搬出方法を採用したシールド掘進機では、掘削土砂が土砂搬出路を閉塞したときにこのことにいち早く気付かないと、掘進管理に重大な影響が生じる。すなわち、スクリューコンベアは、回転数を調節することによりチャンバ内の掘削土砂の排出量を調節して、切羽を支持するための土圧を調整するが、掘削土砂が土砂搬出路を閉塞すると、スクリューコンベアで送られる掘削土砂と土砂搬出路内の掘削土砂とが競り合って土圧を調整できなくなるため、切羽を適切な土圧で支持することができなくなるという危険な事態が発生する。
【0010】
また、密閉形の土砂搬出方法を採用したシールド掘進機では、掘削土砂が土砂搬出路を閉塞したことに気付かずにスクリューコンベアを駆動し続けると、こうした問題が生じることに加えて、排土ゲートの後方に設けた前述の空気吸込み口から掘削土砂や地下水がシールド本体内に流出するという新たな問題も生じる。そして、特に可燃ガス発生地帯を掘削する場合にあっては、掘削土砂がシールド本体内に流出すると、掘削土砂に含まれている可燃ガスがシールド本体内に浸入する事態が発生する。こうした事態が発生すると、このシールド本体内に浸入した可燃ガスによりガス爆発を起す危険性が高まる。
【0011】
以上のように、密閉形の土砂搬出方法を採用したシールド掘進機では、掘削土砂が土砂搬出路を閉塞したときにこのことに気付かないでいると、シールド掘進機に種々の危険な事態が発生するため、その土砂搬出路の閉塞状態を確実に検知することが必要である。ところが、密閉形の土砂搬出方法は、掘削土砂をほとんど密閉した状態で搬出するので、掘削土砂が土砂搬出路を閉塞したときに、目視によりこのことを確実に発見することが困難であり、そのため、従来のこの種のシールド掘進機では、掘削土砂が土砂搬出路を閉塞したときに迅速に対応することができない。
【0012】
本発明は、こうした問題を解決するために創作されたものであって、その技術課題は、スクリュコンベアで移送された掘削土砂を土砂搬出路により真空吸引して搬出する密閉形の土砂搬出方法を採用したシールド掘進機において、掘削土砂が土砂搬出路を閉塞したときにこのことを確実に検知することができて迅速な対応を行うことができるシールド掘進機を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明のこうした技術課題は、
掘削土砂の排出路を開閉する排土ゲートを有しチャンバ内の掘削土砂をシールド本体内に移送するスクリュコンベアと、このスクリュコンベアで移送された掘削土砂を遮蔽した状態でシールド本体後方に真空吸引して搬出するための土砂搬出路とを備え、掘削土砂の真空吸引時にシールド本体内の空気を吸込むための空気吸込み口を排土ゲートの後方に設けたシールド掘進機において、
空気吸込み口に流入する空気の流入速度を計測する空気計測器と、この空気計測器で計測された空気の流入速度が予め設定された設定値を下回るとともにこの状態が予め設定された設定時間を越えて持続したときに、シールド掘進機の掘進を停止させるとともに、スクリュコンベアを停止させ、かつ、排土ゲートを閉じるように制御する制御装置とを設けたことにより達成される。
【0014】
スクリュコンベアで移送された掘削土砂を土砂搬出路により真空吸引して搬出する密閉形の土砂搬出方法を採用した本発明のようなシールド掘進機では、シールド掘進機の掘進時に掘削土砂が土砂搬出路を閉塞すると、チャンバ内の掘削土砂の排出量をスクリューコンベアで調節できなくなって、切羽を適切な土圧で支持できなくなるという危険な事態が発生する。
【0015】
本発明のシールド掘進機では、こうした事態に対応して、空気吸込み口に流入する空気の流入速度を空気計測器で計測して、掘削土砂による土砂搬出路の閉塞をその計測結果に基づいて判別するが、その場合、空気の流入速度が設定値を下回ることに加えてこの状態が設定時間を越えて持続することを条件に、土砂搬出路の閉塞を判別するようにしている。そのため、土砂搬出路の閉塞を空気の流入速度の低下に基づいて判別するに際し、土砂搬出路内での掘削土砂の瞬時の停滞等の一時的な現象による空気の流入速度の低下を除外して土砂搬出路の実際の閉塞を判別することができるので、掘削土砂による土砂搬出路の実際の閉塞を確実に検知することができる。
【0016】
また、こうして土砂搬出路の閉塞を空気計測器での計測結果に基づいて検知したとき、すなわち、空気計測器で計測された空気の流入速度が予め設定された設定値を下回るとともにこの状態が設定時間を越えて持続したときには、制御装置がシールド掘進機の掘進を停止させるとともに、スクリュコンベアを停止させ、かつ、排土ゲートを閉じるように制御して迅速な対応を行うことができる。その結果、本発明のシールド掘進機によれば、掘削土砂が土砂搬出路を閉塞したときに、シールド掘進機の掘進による新たな掘削土砂の生成が停止されるとともに、スクリュコンベアから土砂搬出路内への掘削土砂や地下水の流入が排土ゲートにより直ちに阻止されるので、掘削土砂が土砂搬出路を閉塞したときでも、切羽を適切な土圧で支持できなくなるという危険な事態の発生を回避することができるとともに、掘削土砂や地下水が空気吸込み口からシールド本体内に浸入するのを防ぐことができる。以上のように、本発明のシールド掘進機によれば、掘削土砂が土砂搬出路を閉塞したときにこのことを確実に検知することができて迅速な対応を行うことができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明が実際上どのように具体化されるのかの具体化例を図1乃至図3に基づいて説明することにより、発明の実施の形態を明らかにする。図1は、本発明の具体化例のシールド掘進機の垂直縦断面図、図2は、図1のシールド掘進機の制御動作を示す流れ図、図3は、図1のシールド掘進機の掘進時に風速計で計測された空気の流入速度の推移を例示した図である。なお、図1に図示するシールド掘進機は、ミニシールド掘進機であり、通常のシールド掘進機に付設する後続台車を設けないで、この後続台車に搭載される動力盤14,15、パワーユニット等の種々の機器をシールド本体1内に設置するようにしている。
【0018】
これらの図において、1は前胴1aと前部中胴1bと後部中胴1cと後胴1dとを設けて中折れ可能に構成したシールド掘進機の胴体をなすシールド本体、1eはこのシールド本体1の内部空間を機外から遮断するシールド本体1の隔壁、1fはシールド本体1の後部である後胴1dの内周側に環状に設けられシールド本体1の後部と既設のセグメント11との間をシールする裏込めシール、2はシールド本体1の前方に隔壁1eを介して回転可能に設置され切羽を掘削するカッタヘッド、2aはこのカッタヘッド2を回転駆動するカッタ駆動装置、2bはカッタヘッド2を回転自在に支持するベアリング、3はカッタヘッド2と隔壁1eとの間に形成され掘削土砂を取り込んで充満させることにより切羽を土圧で支持するチャンバ、4はシールド本体1の周方向に複数個設置され既設のセグメント11で反力を取りながらシールド本体1を推進するシールドジャッキ、5はシールド本体1を中折れさせるときの中折れ中心となる中折れピンである。
【0019】
裏込めシール1fは、シールド本体1の後部内周とセグメント11の前部外周の隙間をシールしてその隙間から土砂や地下水が浸入しないようにシールする働きをする。シールド掘進機は、シールドジャッキ4でシールド本体1を推進しながらカッタヘッド2で切羽を掘削して地下坑を形成する。その際、チャンバ3内の掘削土砂により土圧をたて切羽の崩落を防止する。チャンバ3内には、内部に取り込んだ掘削土砂を塑性流動化するための添加剤が注入され、チャンバ3内の掘削土砂と撹拌混合される。切羽は、こうして生成された塑性流動状の掘削土砂の土圧により支持され、崩落が防止される。このチャンバ3内の掘削土砂は、後述するスクリューコンベア6や排土管9等からなる土砂搬出装置により、シールド本体1の後方に搬出され、坑外に排出される。
【0020】
前胴1aと前部中胴1b、前部中胴1bと後部中胴1c、後部中胴1cと後胴1dは、それぞれ、シールド本体1の径方向垂直線を中心にして水平方向に揺動できるようにブラケットを介して中折れピン5で軸着している。図示はしていないが、このミニシールド掘進機は、中折れ式であるため、胴1a、1b,1c,1dの隣接するもの同士を互いに傾動させてシールド本体1を中折れさせるための中折れジャッキを設置している。この中折れジャッキは、それぞれ、前胴1aと前部中胴1bとの間、前部中胴1bと後部中胴1cとの間、後部中胴1cと後胴1dとの間を軸着して連結するように3個所に設けられ、各個所ともシールド本体1の周方向に間隔を置いて複数個設けられている。したがって、各個所の複数の中折れジャッキのうちの任意の個所のものをストローク差をつけて駆動することにより、中折れ部P1,P2,P3の任意の部位でシールド本体1を所望の方向に中折れピン5を中心に中折れさせることができる。
【0021】
前述したように、このシールド掘進機は、ミニシールド掘進機であって、後続台車に搭載されるパワーユニット、動力盤等の全ての機器をシールド本体1内に設置しており、機長が長くなるため、シールド本体1に通常より多くの中折れ部P1,P2,P3を設けて曲線施工を行いやすくしている。ここでは、このように中折れ式のミニシールド掘進機を例にして説明しているが、シールド掘進機が中折れ式であるか否かは、本発明の本質とは直接関係しない。
【0022】
6はシールド本体1の中折れ時にシールド本体1との干渉を防げるように隔壁1eに水平方向に揺動可能に取り付けられチャンバ3内の掘削土砂をシールド本体1内に移送するスクリューコンベア、6aはこのスクリューコンベア6の螺旋状のスクリュー羽根、6bはスクリューコンベア6をギヤを介して回転駆動するためのスクリューモータ、6cはスクリューコンベア6の排出側を開閉する排土ゲート、7はスクリューコンベア6の後方に設けられスクリーコンベア6で移送された掘削土砂を一時的に貯溜するボックス状構造物の土砂タンク、7aはシールド本体1内の空気を吸込むための空気吸込み口、7bはスクリューコンベア6と土砂タンク7の間を接続してスクリューコンベア6の排出土砂を搬出する土砂搬出用接続管、8は土砂タンク7から送られた掘削土砂を解す(ほぐす)スクリューフィーダ、9はこのスクリューフィーダ8で解された掘削土砂を発進立坑側に排出する可撓性の排土管である。
【0023】
土砂タンク7は、土砂搬出用接続管7bで搬出される掘削土砂を集めて土砂搬出用接続管7b内に充満させないように一時的に貯溜する働きをする。スクリューコンベア6は、回転数を調節することで切羽の掘削土砂の排出量を調節して、切羽を支持するための土圧を調整するが、掘削土砂が土砂搬出用接続管7b内に充満していると、スクリューコンベア6で送られる掘削土砂と土砂搬出用接続管7b内の掘削土砂とが競り合って土圧を適切に調整することができなくなる。こうしたことから、このミニシールド掘進機では、前記のように掘削土砂を土砂搬出用接続管7b内に充満させないようにするための土砂タンク7を付設することにより、土圧を、土砂搬出用接続管7b内の掘削土砂に影響されずにスクリューコンベア6で適切に調整できるようにしている。
【0024】
スクリューフィーダ8は、スクリューコンベア6から送られた掘削土砂を破砕しながら解して、排土管9で吸引排出しやすい性状に整える働きをする。土砂タンク7の上部には、空気吸込み口7aが設けられ、排土管9には、図示しない真空吸引装置(バキュームポンプ)に連結されているので、この真空吸引装置を駆動すると、空気吸込み口7aから空気を吸込んで、排土管等からなる土砂搬出路内に空気の流れが形成される。そのため、スクリュコンベア6でシールド本体1内に移送されたチャンバ3内の掘削土砂を、真空吸引装置で効果的に真空吸引して、土砂搬出用接続管7b、土砂タンク7、スクリューフィーダ8、排土管9等からなる土砂搬出路を経由して発進立坑側に排出することができる。その場合、掘削土砂を予めスクリューフィーダ8で破砕しながら解しているので、掘削土砂を排土管9で円滑に排出することができるとともに、掘削土砂による排土管9の閉塞を生じにくくすることもできる。
【0025】
10は複数本のシールドジャッキ4の後端部(シールドジャッキロッドの後端部)に取り付けられた環状のプレスリング、11は掘削した地下坑の周壁に沿って環状に組み立てられ地下坑を覆工する既設のセグメント、13はカッタ駆動装置2a、シールドジャッキ4等ミニシールド掘進機のアクチュエータの作動油を貯溜するオイルタンク、14はカッタ駆動装置2aやスクリューモータ6b等のモータ類に関する動力盤、15はシールドジャッキ4や中折れジャッキ等のジャッキ類に関する動力盤、16は空気吸込み口に流入する空気の流入速度を計測する空気計測器としての風速計、20は裏込めシール1fの前方のシールド本体1内にエアーカーテンを形成するためのエアーカーテン装置、21はこのエアーカーテン装置20の空気噴出口である。なお、図示はしていないが、セグメント11を組み立てるためのエレクタは、台車に載せられてシールド本体1の後方に配置され、シールド本体1に随伴して移動できるように設置されている。
【0026】
プレスリング10は、シールドジャッキ4によるシールド本体1の推進時に既設のセグメント11に押し付けて推進反力を取るものであり、スプレッダと同等の働きをする。スプレッダが個々のシールドジャッキごとに設けられているのに対し、このプレスリング10は、シールド本体1の周方向に設置された全部のシールドジャッキ4の押し付け力を同時に既設のセグメント11に伝達できるようにするため、既設のセグメント11と略同径の環状の構造物で形成されている。このプレスリング10は、中空に形成して環状の空気室を設け、エアーカーテン装置に兼用できるようにしている。
【0027】
ミニシールド掘進機は、シールド掘進機にしては掘削外径が小径のため、既設のセグメント11は、内径が1mから2m程度の三分割セグメントを使用して組み立てられる。この三分割セグメントは、周方向に3分割したセグメントピースによりセグメントを組み立てるものであり、セグメントの周方向の分割数が通常のセグメントよりも少ない点に特徴がある。ミニシールド工法では、既設のセグメント11を、こうした継ぎ目の少ない三分割セグメントで組み立てることにより、セグメント11の内周面を覆工する二次覆工は省略して、地下坑周壁とセグメント11の間に充填された一次覆工の裏込め材により、止水とセグメント11の補強を行う。三分割セグメントは、通常のセグメントよりも薄く強度が弱いため、既設のセグメント11の端面全周に当接可能な環状のプレスリング10を使用することにより、シールドジャッキ4の押圧時におけるセグメント11の受圧面積を広くしてセグメント11の破損を防ぐようにしている。
【0028】
オイルタンク13は、アクチュエータの種類に応じて複数設けてもよい。動力盤14,15は、モータ類やジャッキ類を起動させたり停止させたりするための電源スイッチや漏電遮断器等の電源系統の機器を備えており、これらの動力盤14,15は、一つにまとめることもできる。これらのオイルタンク13及び動力盤14,15は、通常のシールド掘進機では後続台車に搭載されているが、このシールド掘進機は、ミニシールド掘進機であって地下坑内径が小径であるため、これらの機器13,14,15を含む、通常のシールド工法で後続台車に搭載される全ての機器を胴体の長いシールド本体1の内部に納めている。
【0029】
この後続台車には、前記動力盤14,15や更には次に述べるパワーユニットが通常搭載されるほか、種々のアクチュエータを操作するための操作手段を集めた制御盤等が必要に応じて搭載され、これらの装置は、複数の後続台車に適宜分割して搭載される。パワーユニットは、シールド掘進機のアクチュエータを駆動する動力を発生させるための種々の機器であり、例えば、電気を動力源とする油圧駆動のシールド掘進機の場合には、アクチュエータに圧油を供給するための油圧ポンプ、油圧ポンプを回転させるための電動機、油圧ポンプに作動油を供給するためのオイルタンク13等の機器である。シールド掘進機のアクチュエータとしては、主要なものとしてカッタ駆動装置2aとシールドジャッキ4を挙げることができ、ここに示す例では、中折れジャッキ及びスクリューモータ6bもこれに該当する。
【0030】
図1には、こうした後続台車に搭載される機器のうちオイルタンク13や動力盤14,15しか図示していないが、実際には、通常のシールド工法で後続台車に搭載される前記のような種々の機器がシールド本体1の内部に数多く納められている。そのため、小径の地下坑を掘削するミニシールド掘進機では、シールド本体1の内部が著しく手狭となる。こうしたことから、大きな設置空間を要するベルトコンベアによる土砂搬出方法は、ミニシールド掘進機には採用しにくい。また、後続台車に搭載される動力盤14,15やパワーユニット等に関する機器には、電動機、スイッチ類、電磁弁等のガス爆発の発火源となる機器が数多くある。そのため、掘削土砂を開放状態で搬出するベルトコンベアによる土砂搬出方法は、可燃ガスが掘削土砂に含まれていると、シールド本体1内に浸入することから、可燃ガス発生地帯の掘削に使用するミニシールド掘進機には適さない。
【0031】
このシールド掘進機では、チャンバ3内の掘削土砂をシールド本体1の後方に搬出するための土砂搬出装置を、特に、スクリューコンベア6と、土砂搬出用接続管7b、土砂タンク7、スクリューフィーダ8、排土管9等からなる土砂搬出路とで構成していて、掘削土砂をシールド本体1の内部空間から隔離した状態でシールド本体1の後方の発進立坑側に搬出できる密閉形の土砂搬出方法を採用している。この密閉形の土砂搬出方法は、ベルトコンベアによる開放形の土砂搬出方法と比べてシールド本体1の有効空間を狭めず、しかも、地下坑内に土砂搬出用トロッコを設置することも要しないため、このミニシールド掘進機のような小径の地下坑を掘削する土圧式のシールド掘進機にとっては好適である。
【0032】
また、この密閉形の土砂搬出方法は、掘削土砂をシールド本体1の内部空間から隔離した状態で真空吸引して搬出することができて、掘削土砂に万一可燃ガスが含まれている場合でも、この可燃ガスがシールド本体1内に浸入する危険性が低いことから、可燃ガス発生地帯の掘削に使用するミニシールド掘進機等の土圧式のシールド掘進機にとっても好適である。
【0033】
この密閉形の土砂搬出方法では、空気吸込み口7aを土砂タンク7等排土ゲート6cの後方の前記土砂搬出路に設ける必要があるため、シールド本体1内の空気は、図示しない真空吸引装置により空気吸込み口7aから吸込まれて掘削土砂と共に真空吸引され、土砂搬出路を通じて発進立坑側に排出される。その結果、シールド本体1内は、この空気吸込み口7aを通じて一種の換気が行われることから、仮に若干の可燃ガスがシールド本体1とセグメント11の間の隙間からシールド本体1内に浸入したとしても、その可燃ガスは、シールド本体1内の空気と共に空気吸込み口7aから土砂搬出路を通じて発進立坑側に積極的に排出される。したがって、密閉形の土砂搬出方法を、可燃ガス発生地帯を掘削するシールド掘進機に採用した場合には、こうした換気の作用により、可燃ガスに対するシールド本体1内の安全性を強化することもできる。
【0034】
図1に示す例では、可燃ガスに対するシールド本体1内の安全性を一層強化するため、エアーカーテン装置20を特別に設置している。このエアーカーテン装置20は、新鮮な加圧空気を発進立坑側からプレスリング10内の中空部に導入してプレスリング10の内周部の多数の空気噴出口22から噴出させることにより、エアーカーテンを形成するようにしたものである。こうしたエアーカーテン装置20を設置することにより、可燃ガス発生地帯の掘削時に、万一、可燃ガスが裏込めシール1fの個所から浸入したとしても、シールド本体1内への可燃ガスの浸入を抑制することができる。
【0035】
エアーカーテンを形成した加圧空気は、シールド本体1内に導入された後、前記の仕組みにより空気吸込み口7aから真空吸引されて発進立坑側に排出されるため、シールド本体1内を活発に換気する。そのため、仮に若干の可燃ガスがエアーカーテンからシールド本体1内に浸入したとしても、可燃ガスは、こうした換気の作用により発進立坑側に排出されて、シールド本体1内の空気は、絶えず新鮮な空気に入れ換えられる。シールド本体1内の空気が吸込み口7aから吸引されると、シールド本体1内の気圧が低下する恐れがあるが、発進立坑側の新鮮な加圧空気を、図示していない送気管でシールド本体1の隔壁1eとエアーカーテンとの間の空間に送ってその空間内の気圧の低下を防ぐことにより、シールド本体1内の換気を強力に行うようにしている。以上述べたエアーカーテン装置20や送気管は、このシールド掘進機を可燃ガス発生地帯の掘削に使用する場合に有用であるが、本発明にとって不可欠のものではない。
【0036】
ところで、この密閉形の土砂搬出方法では、前記のような利点がある反面、シールド掘進機の掘進時に掘削土砂が排土管9等の土砂搬出路を閉塞する恐れがある。そして、シールド掘進機の掘進時に掘削土砂が土砂搬出路を閉塞すると、スクリューコンベア6で送られる掘削土砂と土砂搬出路内の掘削土砂とが競り合ってチャンバ3内の掘削土砂の排出量をスクリューコンベア6で調節できなくなって、切羽を適切な土圧で支持できなくなるという危険な事態が発生する。また、特に可燃ガス発生地帯を掘削する場合にあっては、掘削土砂が土砂搬出路を閉塞したときに、このことに気付かずにスクリューコンベア6を駆動し続けると、こうした問題が生じることに加え、土砂タンク7の空気吸込み口7aから掘削土砂がシールド本体1内に流出することとなって、掘削土砂中に含まれている可燃ガスがシールド本体1内に浸入するという危険な事態も発生する。その場合、シールド本体1内の可燃ガスを空気吸込み口7aから発進立坑側に排出する前記の換気機能も発揮されなくなる。
【0037】
このシールド掘進機の最大の特徴は、こうした危険な事態の発生を防ぐため、掘削土砂が土砂搬出路を閉塞したときに、このことを確実に検知して迅速な対応を行うことができるようにした点にある。こうした目的を達成するため、空気吸込み口7aに流入する空気の流入速度を計測する風速計16と、この風速計16で計測された空気の流入速度Vが予め設定された設定値Vcを下回るとともにこの状態が予め設定された設定時間Tcを越えて持続したときに、シールド掘進機の掘進を停止させるとともに排土ゲート6cを閉じるように制御する制御装置を設けるようにした。以下、この制御装置について説明する。
【0038】
まず、図2に基づき、この制御装置によるシールド掘進機の制御の手順について説明する。シールド掘進機の運転をスタートさせるときには、排土管9に連結された図示しない真空吸引装置を駆動して空気吸込み口7aから空気を吸込み、排土管等の土砂搬出路内に空気の流れを形成する。また、これと前後して、カッタ駆動装置2aによりカッタヘッド2を回転駆動する。次いで、シールドジャッキ4を伸長させてシールド本体1を推進するとともに、排土ゲート6cを開いてスクリューコンベア6をスクリューモータ6bにより正転させる。これらの操作を終了すると、シールド掘進機は、カッタヘッド2で切羽を掘削して地下坑を形成しながら通常の掘進を行う。その際、チャンバ3内の掘削土砂で土圧をたてて切羽を支持しながら掘削土砂をスクリューコンベア6でシールド本体1内に移送した後、土砂搬出用接続管7b、土砂タンク7、スクリューフィーダ8、排土管9等からなる土砂搬出路により真空吸引して遮蔽した状態で坑外に排出する。
【0039】
こうしてシールド掘進機を掘進する過程で、風速計16で計測された空気の流入速度Vが予め設定された設定値Vcを下回ったか否か(図2中の「風速が設定値Vcを下回ったか?」)を判定する。その結果、空気の流入速度Vが設定値Vcを下回っていない場合、すなわち判定結果がNOのとき場合には、シールド掘進機の掘進を続行する。また、空気の流入速度Vが設定値Vcを下回った場合、すなわち判定結果がYESのとき場合には、この状態が予め設定された設定時間Tcを越えて持続したか否か(図2中の「連続して風速がVcを下回った時間が設定値Tcを越えたか?」)を判定する。
【0040】
その結果、空気の流入速度Vが設定値Vcを下回った状態が設定時間Tcを越えて持続していない場合、すなわち判定結果がNOの場合には、この空気の流入速度Vの低下は、排土管9等の土砂搬出路内での掘削土砂の瞬時の停滞等によるものとみることができるので、シールド掘進機の掘進を続行する。また、こうした状態が設定時間Tcを越えて持続した場合、すなわち判定結果がYESのとき場合には、この空気の流入速度Vの低下は、掘削土砂による土砂搬出路の閉塞に起因するものとみることができるので、シールドジャッキ4の伸長を停止させてシールド掘進機の掘進を停止させるとともに、スクリューモータ6bの駆動を停止してスクリュコンベア6を停止させ、排土ゲート6cを閉じる。その場合、必要に応じてカッタヘッド2や真空吸引装置も停止させて、掘削土砂で閉塞した土砂搬出路を修復する。
【0041】
図3は、縦軸に、風速計16で計測された空気の流入速度Vをとり、横軸に時間をとった座標により、シールド掘進機の掘進時における空気の流入速度Vの推移を例示的に表したものである。この図3の例において、風速計16で計測された空気の流入速度Vが設定値Vcを最初に下回るのは、横軸の時間T1 の区間であるが、この場合には、この状態が設定時間Tcを越えて持続していないので、シールド掘進機の掘進が続行され、引き続き、チャンバ3内の掘削土砂がスクリューコンベア6でシールド本体1内に移送されて真空吸引される。次いで、時間T2 の区間で空気の流入速度Vが設定値Vcを下回るが、この場合には、この状態が設定時間Tcを越えて持続するので、シールドジャッキ4の伸長及びスクリューコンベア6の駆動が停止されるとともに排土ゲート6cが閉じられる。
【0042】
このように、このシールド掘進機では、掘進時に掘削土砂が土砂搬出路を閉塞したときに、空気吸込み口7aに流入する空気の流入速度Vを風速計16で計測して、掘削土砂による土砂搬出路の閉塞をその計測結果に基づいて判別するが、その場合、空気の流入速度Vが設定値Vcを下回ることに加えてこの状態が設定時間Tcを越えて持続することを条件に、土砂搬出路の閉塞を判別するようにしている。そのため、土砂搬出路の閉塞を空気の流入速度Vの低下に基づいて判別するに際し、土砂搬出路内での掘削土砂の瞬時の停滞等の一時的な現象による空気の流入速度Vの低下を除外して土砂搬出路の実際の閉塞を判別することができるので、掘削土砂による土砂搬出路の閉塞を確実に検知することができる。
【0043】
また、こうして土砂搬出路の閉塞を風速計16での計測結果に基づいて検知したとき、すなわち、風速計16で計測された空気の流入速度Vが予め設定された設定値Vcを下回るとともにこの状態が設定時間Tcを越えて持続したときに、制御装置がシールド掘進機の掘進を停止させるとともに、スクリュコンベア6を停止させ、かつ、排土ゲート6cを閉じるように制御して迅速な対応を行うことができる。その結果、このシールド掘進機によれば、掘削土砂が土砂搬出路を閉塞したときに、シールド掘進機の掘進による新たな掘削土砂の生成が停止されるとともに、スクリュコンベア6から土砂搬出路内への掘削土砂や地下水の流入が排土ゲート6cにより直ちに阻止されるため、掘削土砂が土砂搬出路を閉塞したときでも、切羽を適切な土圧で支持できなくなるという危険な事態の発生を回避することができるとともに、掘削土砂や地下水が空気吸込み口7aからシールド本体1内に浸入するのを防ぐことができる。
【0044】
特に、このシールド掘進機を可燃ガス発生地帯の掘削に使用した場合には、掘削土砂が土砂搬出路を閉塞したときでも、掘削土砂中に含まれている可燃ガスが空気吸込み口7aからシールド本体1内に浸入する恐れがなく、シールド本体1内の安全性が損なわれることはない。その場合、前記のように、土砂搬出路内での掘削土砂の瞬時の停滞等の一時的な現象を除外して掘削土砂による土砂搬出路の閉塞だけを確実に検知することができるので、シールド掘進機の掘進やスクリュコンベア6を意味なく頻繁に停止させることを防ぐことができる。また、通常時には、シールド本体1内の空気を、空気吸込み口7aから土砂搬出路を通じて真空吸引して排出することにより、シールド本体1内の換気を積極的に行って、可燃ガスに対するシールド本体1内の安全性を強化することができる。
【0045】
このように、このシールド掘進機を特に可燃ガス発生地帯の掘削に使用した場合には、掘削土砂を真空吸引するための真空吸引装置や土砂搬出路をシールド本体1内の安全性を強化するための換気の設備に兼用することができて、一個の設備を二重に活用することができる。そのため、換気の設備を設置するための特別のスペースを別途設ける必要がなくなって、手狭なミニシールド掘進機のシールド本体1内の有効スペースを狭めることがないとともに、換気の設備を製作する経費の節減にも資する。
【0046】
図1に示す例では、空気吸込み口7aを土砂タンク7に設けているが、空気吸込み口7aは、土砂搬出用接続管7bに設けてもよく、排土ゲート6cの後方の土砂搬出路の適宜の個所に設けることができる。また、空気吸込み口7aに流入する空気の流入速度を計測する空気計測器として風速計16を用いているが、空気の流量を計測できる流量計を用いることもできる。風速計16として、ここでは熱線式風速計を用いているが、ピトー管を用いることもできる。
【0047】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明は、「課題を解決するための手段」の項に示した手段を採用しているので、本発明のシールド掘進機では、スクリュコンベアで移送された掘削土砂を土砂搬出路により真空吸引して搬出する密閉形の土砂搬出方法を採用したシールド掘進機において、土砂搬出路内での掘削土砂の瞬時の停滞等の一時的な現象を除外して掘削土砂による土砂搬出路の閉塞を確実に検知することができる。また、掘削土砂による土砂搬出路の閉塞を検知した場合には、シールド掘進機の掘進やスクリュコンベアの駆動を停止させ、排土ゲートを閉じるように制御して、迅速な対応を行うことができる。
【0048】
そのため、このシールド掘進機によれば、掘削土砂が土砂搬出路を閉塞したときでも、切羽を適切な土圧で支持できなくなるという危険な事態の発生を回避することができるとともに、掘削土砂や地下水が空気吸込み口からシールド本体内に浸入するのを防ぐことができる。
【0049】
特に、このシールド掘進機を可燃ガス発生地帯の掘削に使用した場合には、掘削土砂が土砂搬出路を閉塞したときでも、掘削土砂中に含まれている可燃ガスが空気吸込み口からシールド本体内に浸入する恐れがなく、シールド本体1内の安全性が損なわれることはない。さらに、土砂搬出路内での掘削土砂の瞬時の停滞等の一時的な現象を除外して掘削土砂による土砂搬出路の閉塞だけを確実に検知することができるので、シールド掘進機の掘進やスクリュコンベアを意味なく頻繁に停止させることを防ぐことができる。また、通常時には、シールド本体内の空気を、排土ゲートの後方に設けた空気吸込み口から土砂搬出路を通じて真空吸引して排出することにより、シールド本体1内の換気を積極的に行って、可燃ガスに対するシールド本体内の安全性を強化することができる。
【0050】
このように、このシールド掘進機を特に可燃ガス発生地帯の掘削に使用した場合には、掘削土砂を真空吸引するための真空吸引装置や土砂搬出路をシールド本体内の安全性を強化するための換気の設備に兼用することができて、一個の設備を二重に活用することができる。そのため、換気の設備を設置するための特別のスペースを別途設ける必要がなくなって、手狭なミニシールド掘進機のシールド本体内の有効スペースを狭めることがないとともに、換気の設備を製作する経費の節減にも資する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の具体化例のシールド掘進機の垂直縦断面図である。
【図2】図1のシールド掘進機の制御動作を示す流れ図である。
【図3】図1のシールド掘進機の掘進時に風速計で計測された空気の流入速度の推移を例示した図である。
【符号の説明】
1 シールド本体
1a 前胴
1b 前部中胴
1c 後部中胴
1d 後胴
1e 隔壁
1f 裏込めシール
2 カッタヘッド
2a カッタ駆動装置
3 チャンバ
4 シールドジャッキ
6 スクリューコンベア
6b スクリューモータ
6c 排土ゲート
7 土砂タンク
7a 空気吸込み口
8 スクリューフィーダ
9 排土管
10 プレスリング
11 (既設の)セグメント
13 オイルタンク
14,15 動力盤
16 風速計
20 エアーカーテン装置
21 空気噴出口
Claims (1)
- 掘削土砂の排出路を開閉する排土ゲートを有しチャンバ内の掘削土砂をシールド本体内に移送するスクリュコンベアと、このスクリュコンベアで移送された掘削土砂を遮蔽した状態でシールド本体後方に真空吸引して搬出するための土砂搬出路とを備え、掘削土砂の真空吸引時にシールド本体内の空気を吸込むための空気吸込み口を排土ゲートの後方に設けたシールド掘進機において、空気吸込み口に流入する空気の流入速度を計測する空気計測器と、この空気計測器で計測された空気の流入速度が予め設定された設定値を下回るとともにこの状態が予め設定された設定時間を越えて持続したときに、シールド掘進機の掘進を停止させるとともに、スクリュコンベアを停止させ、かつ、排土ゲートを閉じるように制御する制御装置とを設けたことを特徴とするシールド掘進機。
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