JP2004137572A - クロム含有溶湯の精錬方法 - Google Patents

クロム含有溶湯の精錬方法 Download PDF

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Abstract

【課題】クロム含有溶湯を電気炉で溶製するため、溶銑・DRI・HBI等の炭素含有鉄源を主原料に配合する場合、溶湯中クロムおよび鉄の酸化ロスを抑制しつつ、溶解・脱炭・昇熱方法を提供する。
【解決手段】電気炉にスクラップ、クロムを含有しない合金鉄及び炭素含有鉄源等の原料を装入後、電気エネルギーで加熱・溶解・昇熱を行うと同時に、酸素により溶湯中炭素を酸化除去し、溶湯が所定の温度・炭素濃度となった後、クロム含有合金鉄を連続して投入しつつ、電気エネルギーにて溶解するクロム含有溶湯の電気炉での溶製方法。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、クロム含有溶湯を電気炉等で製造する精錬法に関する。
【0002】
【従来の技術】
クロム含有鋼、特にステンレス鋼はクロムを大量に含有する。この溶湯中のクロムは高価な金属であるにも係わらず、精錬温度が低いと鉄よりも酸化され易く、精錬工程において歩留ロスとなり、多大な経済的損失を被る。
【0003】
ステンレス鋼を製造するプロセスは、一般的に電気炉法が採用されている。これはスクラップ・合金鉄を電気エネルギーにて加熱・溶解・昇温するプロセスであり、特にクロム・ニッケルを含有するオーステナイト系ステンレスは、殆どがこの方法によりその粗溶湯が溶製されている。電気炉でステンレスを製造する場合、原料のスクラップ・合金鉄は嵩比重が小さいため2回或いは3回に分けて電気炉内に装入され、電気エネルギーを使用して順次溶解してゆく。完全溶解後も通電を継続し溶湯の昇熱を行い、所定の温度となって出湯する。出湯された溶湯は排滓後、AOD(Argon Oxygen Decarburization)或いはVOD(Vacuum Oxygen Decarburization)といった精錬炉にて脱炭精錬が行われ、成分調整後連続鋳造機でスラブ・ブルーム等の半製品に鋳造される。
【0004】
一方、普通鋼の電気炉操業では、スクラップの溶解を促進するため、炉壁或いは出滓口のドアからノズルを通して酸素ガスを吹込み、スクラップのカッティング・燃焼による発熱を利用した溶解が実施される。ことが非特許文献1に記載されている。スクラップが溶解した後は、通電による昇熱を継続しながら、前述のランスから酸素を吹込み、溶湯中の炭素を燃焼させ、酸素ジェットおよび発生するCOガスにより溶湯を攪拌させながら、所謂脱炭・昇熱操業を行う。溶湯が所定の炭素濃度・温度となったら出湯を行い、LF(Ladle Furnace)等の2次精錬装置にて成分調整等を行う。
【0005】
電気炉は一般に溶湯の攪拌力が小さく、溶湯が均一に混合するための時間が長いと言われる。理由は、攪拌を付与する手段が電極による通電のみであること。仮に底吹或いは上吹のガスを導入しても、その形状から溶湯の深さが浅く溶湯の表面積が広いため、溶湯を攪拌するには極めて効率が悪い。
【0006】
ステンレスの溶製の場合は前述したようにスクラップ・合金中にクロムを含有しており、このクロムの酸化防止のため普通鋼の電気炉操業の様に、酸素を溶湯に吹き込んで溶湯の脱炭を行うことは通常避けられている。仮に何らかの目的で、ステンレス溶湯に酸素を吹き込むとクロム酸化量が増大し、出湯時にこのクロムをシリコン合金等で還元し、高価なクロムを回収する必要がある。このため、通常はステンレスの電気炉操業では、酸素ガスを電気炉内の溶湯に吹込み積極的に溶湯の脱炭を行うことはしない。溶湯の脱炭はAOD・VODといった2次精錬装置で、真空・不活性ガス希釈・強攪拌等を利用して、極力溶湯中のクロムを酸化させないで実施される。
【0007】
【非特許文献1】
「最近のアーク炉製鋼法の進歩」、日本鉄鋼協会、1993年10月発行、P、51〜67
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ステンレスを電気炉で溶製する場合、購入ステンレススクラップ及び工場内リターンステンレススクラップ等のステンレススクラップが中心に原料配合される。理想的には、全ての原料がステンレススクラップで配合されることが好ましいが、市中から充分にステンレススクラップを入手することはできない。入手可能なステンレススクラップ量は、その工場のあるロケーションにより異なるが、配合比で20〜60質量%程度といわれている。よって、残りの配合原料として、ステンレススクラップの代替として、普通鋼スクラップとクロム及びニッケルの合金鉄が各々配合される。このクロム及びニッケルの合金鉄には多くの炭素分が含有されている。例えば高炭素フェロクロムには6〜8質量%、高炭素フェロニッケルには2〜3質量%の炭素が各々含有されている。これらを配合した結果として、全体の原料中の平均炭素量は一般に1〜2質量%程度、多い場合は2.5質量%程度にもなる。
【0009】
これらは溶湯中の不純物として除去されねばならないが、前述の様に攪拌力の弱い電気炉では、酸素を吹込んでもクロムを酸化ロスさせないで効率良く脱炭することは難しい。よってAOD・VODのような2次精錬炉にて、酸素ガスを不活性ガスで希釈させたり、真空を利用したり、溶湯を強攪拌させたりして効率良く脱炭することが可能となる。しかし炭素含有溶湯を2次精錬炉で脱炭する場合、その酸素供給速度により精錬時間が律速される。例えばAODの場合、大気下での精錬のため底吹酸素流量を大きくしたり、上吹ランスを設置して高い酸素流量を溶湯に吹きつける工夫を行うことで、上記の溶湯中炭素濃度が2〜2.5質量%でも何とか精錬可能としている。一方VODの場合、真空化での吹酸となるため、大きな送酸速度は真空排気能力の増強が必要となり、またスプラッシュ増加、地金の吹上げ等操業が困難になり易い。よって、VODの実稼動設備で操業可能な酸素流量はAODと比較して大幅に制限され、従って、処理開始時の溶湯中炭素濃度は0.2〜0.3質量%、例外的に0.7質量%程度が限度と言われている。このように電気炉から出湯された溶湯中炭素濃度が高すぎると、著しく処理時間が延長し生産性が低下したり、2次精錬コストが高くなったり、最悪の場合はプロセスとして成り立たなくなる。よって電気炉での最終炭素濃度は、2次精錬での脱炭能力を考慮して制限されなければならない。
【0010】
こうした電気炉での出湯炭素濃度の制限が有る中で、電気炉に配合される原料に溶銑・冷銑・DRI(Direct Reduction Iron)・HBI(Hot Briquette Iron)等の炭素含有鉄源を使用するニーズがある。例えば、高炉をもつ一貫製鉄所において溶銑・冷銑は比較的安価に入手可能である。また天然ガス・石油・石炭等のエネルギー資源立地のロケーションでは、鉄鉱石の直接還元法により、DRI・HBI等が比較的安価に製造されている。一方、国内産業が活性化されていない地域では、鉄鋼の大量消費の歴史が浅くスクラップの発生が少なく、国外のスクラプが余剰となっている国外の地域から輸入する必要がある。その場合、スクラップ価格はスクラップ多量発生地と比べてかなり割高とならざるを得ない。よって、電気炉の鉄源としてスクラップより溶銑・冷銑・DRI・HBI等が経済的に有利となる地域が存在する。
【0011】
普通鋼の電気炉では、前述したように酸素ガスが技術的に使用可能であり、こうした炭素含有鉄源は積極的に導入され、経済的メリットが享受されている(例えば、第114、115回西山記念講座「最近の電気炉操業技術の進歩」、日本鉄鋼協会、1986年9月発行、P、55〜60、及びP、246〜273参照)。一方、溶銑・冷銑・DRI・HBI等の炭素含有鉄源を電気炉のステンレス製造にも積極的に使用することが望まれている。しかしながら前述の様に、炭素含有鉄源を使用することは配合原料中の炭素濃度が高くなり、ステンレス溶製の電気炉で技術的に酸素ガスを使用できない現状では、電気炉出湯炭素濃度が高くなり、2次精錬炉での吹酸脱炭の許容炭素濃度限界を超えることとなる。
【0012】
現状のステンレス鋼溶製用電気炉では、こうした炭素含有鉄源を有効に利用できる技術が無く、この解決は強く望まれるところであった。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ステンレス鋼をはじめとするクロム含有溶湯の電気炉での溶製において、溶銑・冷銑・DRI・HBI等の炭素含有鉄源を積極的に利用するため、酸素ガスを技術的に使用可能とし、且つ合理的なクロム含有合金鉄を溶解させ、溶湯中クロムの酸化ロスを最小とする操業方法を提供する。
【0014】
その要旨は以下の通りである。
【0015】
(1) 精錬容器にスクラップ、クロム含有合金鉄を除く合金鉄・地金類の一方または双方と、炭素含有鉄源を装入し、電気エネルギーにより加熱・溶解しながら、酸素ガス或いは酸素含有ガスを吹き込んで溶湯中の炭素を酸化除去し、所定の温度・炭素濃度に達した後、酸素ガス或いは酸素含有ガスの吹き込みを停止してから、クロム含有合金鉄、クロム含有ダストの一方または双方を連続的に、或いは断続的に投入しつつ、電気エネルギーにて溶解することを特徴とするクロム含有溶湯の溶製方法。
【0016】
(2) 精錬容器にスクラップ、クロム含有合金鉄を除く合金鉄・地金類の一方または双方と、炭素含有鉄源を装入し、まず電気エネルギーのみにて加熱・溶解後、次に酸素ガス或いは酸素含有ガスを吹き込んで溶湯中の炭素を酸化除去することを特徴とする(1)に記載のクロム含有溶湯の溶製方法。
【0017】
(3) クロム含有合金鉄、クロム含有ダストの一方または双方を連続的に、或いは断続的に投入しつつ、電気エネルギーにて溶解する際に、酸素ガス或いは酸素含有ガスを吹き込んで溶湯中の炭素または炭素と珪素を除去することを特徴とする(1)または(2)に記載のクロム含有溶湯の溶製方法。
【0018】
(4) クロム含有合金鉄、クロム含有ダストの一方または双方を連続的に、或いは断続的に投入完了後、酸素ガス或いは酸素含有ガスを吹き込んで溶湯中の炭素または炭素と珪素を除去することを特徴とする(3)に記載のクロム含有溶湯の溶製方法。
【0019】
(5) 精錬容器に底吹ガス・上吹インジェクションガス・電磁誘導攪拌装置の少なくとも1種類を用いて溶湯を攪拌することを特徴とする(1)〜(4)いずれかに記載のクロム含有溶湯の溶製方法。
【0020】
(6) 精錬容器にスクラップ、クロム含有合金鉄を除く合金鉄・地金類の一方または双方と、炭素含有鉄源を装入する際に、スクラップ、クロム含有合金鉄を除く合金鉄・地金類の一方または双方と、炭素含有鉄源の冷鉄源を装入しつつ、或いは装入後、溶銑を装入するための空間を設け、溶銑等の炭素含有鉄源を装入することを特徴とする(1)〜(5)いずれかに記載のクロム含有溶湯の溶製方法。
【0021】
(7) 精錬容器にスクラップ、クロム含有合金鉄を除く合金鉄・地金類の一方または双方と、炭素含有鉄源を装入する際に、スクラップ、クロム含有合金鉄を除く合金鉄・地金類の一方または双方と、炭素含有鉄源の冷鉄源を装入後、溶銑等の炭素含有鉄源を装入する前に、該冷鉄源を予熱することを特徴とする(1)〜(6)いずれかに記載のクロム含有溶湯の溶製方法。
【0022】
(8) 精錬容器に電気エネルギーを供与する際に、電極を含む1式の電源に対して、2つの精錬容器を1ヒート毎に交互に通電することを特徴とする(1)〜(7)いずれかに記載のクロム含有溶湯の溶製方法。
【0023】
(9) (1)〜(8)いずれかに記載の溶製方法により得られた溶湯およびスラグを、取鍋等の容器へ排出することを特徴とするクロム含有溶湯の溶製方法。
【0024】
【発明の実施の形態】
本技術を図面により説明する。
【0025】
本願発明の電気炉における含クロム溶湯溶製方法の概念図を図1に示す。溶解に先立ちまず予め配合された主原料3(冷鉄源)を精錬容器である電気炉1に装入する。主原料は、スクラップとして購入及び所内リターンステンレススクラップ、普通鋼スクラップ、またクロム含有合金鉄を除く合金鉄・地金類としてNi地金及びNi合金鉄等のクロムを含有しない合金鉄類等が挙げられる。この他に、炭素含有鉄源の冷鉄源として、DRIやHBI等を用いても良い。さらに、生石灰、ドロマイト、蛍石等の副原料も、通常は炉内に装入される。
【0026】
装入が完了した後、電気エネルギーを供給するが、通常は電極4を下降させ、通電する方法が用いられる。通電開始後、炭素含有鉄源として溶銑等を電気炉内へ装入する。溶銑の装入中も通電を継続し、炉内スクラップ等の溶解を促進する。
【0027】
溶銑等の装入方法としては、出湯孔とは反対側の排滓用孔に設置された溶銑装入ドア14を開き溶銑装入樋7をセットして、溶銑装入台車6に載せられた溶銑鍋5を溶銑装入樋に搬送して、溶銑鍋を傾転させながら鍋内の溶銑を溶銑装入樋に流しながら電気炉内へ装入することで達成される。また、この方法以外では、通電を停止し炉蓋を開け電気炉の上方から溶銑鍋をクレーンで傾動しつつ溶銑を装入する方法、出湯孔側の樋から装入する方法等が有る。これらは電気炉のタイプ・形状、他設備との取り合い等の各々設備・操業条件に対して最も適合した方法が採用され、本発明はこれらのいずれの方法を用いても良い。
【0028】
次に、溶銑装入が完了したら、引き続き通電溶解を継続しつつ、炉内のスクラップ・地金・合金鉄の溶解の促進、及び溶銑中の炭素を酸化除去するため、酸素ガスまたは酸素含有ガスにより吹酸を行う。ここで酸素ガスとは純酸素のことであり、また酸素含有ガスとはAr、N等の不活性ガス或いはCO等のガスを単独或いは組み合わせたガスと酸素ガスを混合したものである。不活性ガス等と酸素の混合ガスを用いた場合は、脱炭に要する時間は長くなるものの、酸素分圧が低下するため脱炭の酸素効率を向上させる効果があるため、どちらの方法を用いるかは適宜選択すれば良い。
【0029】
通電及び吹酸脱炭は炉内の冷鉄源が溶解をほぼ完了(以後メルトダウンと記載する)した後も継続され、溶湯の温度および炭素濃度が所定の値なるまで実施される。ここで所定の値とは、後述の図4に基づき、溶湯の温度については耐火物等の溶損が起こらない程度に設定し、また、溶湯の炭素濃度についてはクロムの酸化が起こりにくい範囲に適宜設定すればよく、特に規定するものではないが、通常は溶湯炭素濃度が約0.4〜1.6質量%、溶湯温度が約1500〜1600℃で実施される。
【0030】
炉内の溶湯11が上記の所定の炭素濃度・温度となったら、吹酸を停止して、炉上ホッパーからクロム含有合金鉄(以後高炭素フェロクロムと呼ぶ)、クロム含有ダストをそれぞれ単独または両方(混合しても良い)を連続して投入開始する。通電は継続され、更に電力の供給速度を上昇させて、溶湯の温度がほぼ上記の所定温度を保持できるように高炭素フェロクロムの投入速度を調整する。高炭素フェロクロムの投入時間を短くするため、できるだけ投入速度を速くすることが好ましいが、投入速度が速すぎると、投入される高炭素フェロクロムが一部溶解しないで炉内に蓄積し投入完了後も溶解を継続したり、炉内の溶解効率の悪い場所に偏在して、結果として溶解時間が長くなることがあるため、この点を考慮して投入速度を適宜設定することが好ましい。
【0031】
また、投入装置によっては連続的に投入できない場合があり、この場合は断続的に投入することとなる。クロム含有合金鉄の1回の投入量はできるだけ少なくし、投入回数を増やす等の方法により、クロム含有合金鉄の投入速度と電力供給による溶解速度とのバランスを保つようにする。クロム含有合金鉄のサイズは小さい方が溶解時間が短くなり好ましいが、小さすぎるとクロム含有合金鉄をクラッシングにより小割りにする時に粉化率が大きくなり、それを更にブリケット化する費用が発生して余分なコストがかかる。そこで、トータルコストを考慮した最適なクロム含有合金鉄のサイズとすることが好ましい。さらに、電気炉内形状や電力を供給する電源容量(即ちトランス容量)及び炉内耐火物・水冷壁等へのダメージの度合い、炉上のクロム含有合金投入装置の装備レベル等を考慮して、各々の電気炉に最適なクロム含有合金の投入方法・速度を設定することが好ましい。
【0032】
以上記載した本願発明の方法によれば、まずクロム含有合金鉄等を除いた冷鉄源を溶解して、クロム濃度の低い状態で吹酸脱炭を行い、その後クロム含有合金鉄を電気エネルギーのみで溶解・昇熱することで、原料に炭素含有鉄源を用いてクロム含有溶湯を溶製する場合、クロムの酸化を著しく抑制できるという効果を奏するものである。
【0033】
上記作用を理論的に考察する。図4は溶湯中クロム濃度、炭素濃度及び溶湯温度の平衡関係図を示す。ステンレス溶鋼中のクロムは温度が高い程、炭素濃度が高い程酸化されにくく、またクロム濃度が高い程酸化され易い。即ち、グラフの曲線の右上の領域はクロムが酸化されにくく、左下の領域はクロムが酸化され易いことを意味している。よって、クロムを溶解する場合は、極力、曲線の右上の領域で実施することがクロム酸化抑制のポイントとなる。特に溶湯中の炭素を酸化除去する場合は、極力クロム濃度の低い状態で行うことが好ましい。
【0034】
更に、本図は平衡状態を表現しており、速度論的な考慮を行う必要がある。電気炉は精錬炉の中でも転炉・AOD等と比較して炉内溶湯の攪拌力が著しく劣る。転炉・AOD等は炉形状及び上吹酸素と底吹ガスによる溶湯の強攪拌により、精錬中の溶湯成分及び温度は均一な状態に近い。しかし、電気炉は溶湯深さが浅い、いわゆるタライ型の形状であり、また底吹攪拌ガスも無い、または極めて小流量のため、溶湯の攪拌が弱く、精錬中の溶湯成分及び温度は均一とは言いがたい。よって、成分・温度が溶湯全体としては図4の平衡図上クロムが酸化されにくい領域にあっても、局部的な溶湯成分としてクロム濃度が高かったり、炭素濃度が低いために、実際の成分・温度が、平衡上クロムの酸化されやすい領域に存在することになる。
【0035】
以上の理論的な考察から、電気炉で炭素含有鉄源を使ってクロム含有溶湯の溶製をクロム酸化を抑制しながら実施するためには、従来法で行われていた様に、全ての原料を溶解して、溶湯中クロム濃度の高い状態で吹酸脱炭するのではなく、本発明の様に、クロム含有合金鉄以外の冷鉄源を溶解して、クロム濃度の低い状態で吹酸脱炭を行い、その後クロム含有合金鉄を高温・高炭素濃度溶湯中に電気エネルギーのみで溶解・昇熱することが極めて理にかなっているものであり、本願発明を完成させた。
【0036】
次に、初期に装入したクロム含有合金鉄を除く合金鉄等の冷鉄源と溶銑を通電溶解及び吹酸脱炭する場合の、別の実施形態について説明する。
【0037】
初期に装入したクロム含有合金鉄を除く合金鉄等の冷鉄源と溶銑を通電溶解及び吹酸脱炭する場合、固相である冷鉄源と液相である溶銑が共存する状態で吹酸すると、温度が低い状態での酸化となる場合があり、鉄の酸化及びクロムの酸化が起き易い。よって、両者の混合状態で温度が相対的に低い場合は、電気エネルギーのみで溶解を行い、ある程度液相の比率が高くなった状態で吹酸脱炭することが好ましい。ここで、両者の混合状態で温度や、上記液相の比率については、特に規定するものではなく、適宜設定すれば良い。
【0038】
次に、クロム含有合金鉄やクロム含有ダストのいずれか一方または両方を投入しながら、電気エネルギーで溶解する際の、酸素ガスまたは酸素含有ガスの吹き込みについて説明する。
【0039】
クロム含有合金鉄やクロム含有ダストを炉上連続投入しながら電気エネルギーで溶湯温度を保持する場合、酸素ガスまたは酸素含有ガスの吹き込みを行うことで、温度保持及び高炭素フェロクロムの均一溶解の促進に大きな効果が見られる。ここで、酸素ガスとは純酸素のことであり、また酸素含有ガスとはAr、N等の不活性ガス或いはCO等のガスを単独或いは組み合わせたガスと酸素ガスを混合したものである。
【0040】
但し、酸素が多い場合はクロムの酸化が促進されるため、酸素流量を低下して、或いは不活性ガス等で希釈させて吹酸することで、クロムの酸化を最小限としつつ、温度保持及び高炭素フェロクロムの均一溶解の促進を行うことができる。さらに、溶湯中の炭素や珪素の酸化除去も行うことができる。不活性ガス等と酸素の混合ガスを用いた場合は、脱炭や脱珪に要する時間は長くなるものの、酸素分圧が低下するため脱炭の酸素効率を向上させる効果があるため、どちらの方法を用いるかは適宜選択すれば良い。この方法における最適な酸素流量及び不活性ガスの希釈比率等は各々の電気炉によって異なり、操業上の経験から決定される。
【0041】
次に、クロム含有合金鉄やクロム含有ダストのいずれか一方または両方を投入しながら、電気エネルギーで溶解する際の、酸素ガスまたは酸素含有ガスの吹き込みの別の形態について説明する。
【0042】
すなわち、電気エネルギーを供給している状況で、クロム含有合金鉄やクロム含有ダストのいずれか一方または両方の投入を完了させ、その後に、酸素ガスまたは酸素含有ガスの吹き込みを行うものである。
【0043】
高炭素フェロクロム等の投入・溶解が完了すると、溶湯中の炭素・珪素が上昇する。これらは高炭素フェロクロムに含有されていた成分で、溶解中は酸素を使用しないためそのまま溶湯中に移行するためである。その後、酸素ガスまたは酸素含有ガスの吹き込みにより、炭素や珪素の酸化除去を行う。酸素ガスまたは酸素含有ガスは吹酸ランスから溶湯に吹込むことで実施される。このうち珪素は溶湯中のクロムよりも酸化され易いため、脱珪中はクロムの酸化ロスは極めて小さい。
【0044】
溶湯中の珪素はすべて脱珪するのではなく、溶湯中に約0.4質量%程度の珪素を残して吹酸を終了することで、例えば後工程で溶湯とスラグを混合させた場合に、珪素がクロム酸を還元できるため好ましい。
【0045】
また酸素ガスまたは酸素含有ガスの吹き込みの際に通電は止めても良いが、継続して行うと溶湯温度を約1500〜1600℃程度まで迅速に昇熱できる。
【0046】
前述したように電気炉はその形状及び攪拌源の不足により、溶湯の攪拌力が著しく弱い。そのため、冷鉄源及び溶銑を装入した後の通電・吹酸時において、酸化クロム・酸化鉄の生成が懸念される。さらにクロム合金鉄等の連続或いは断続投入の溶解時において均一な迅速溶解ができないことも懸念される。
【0047】
そこで溶湯の攪拌力を付与すべく、アルゴン・窒素等の不活性ガスを底吹羽口や天井部或いは側壁から溶湯への浸漬ランス等を通して溶湯内に吹き込んだり、炉底近辺に電磁誘導攪拌装置を設置して、溶湯を電磁力により攪拌するといった方法を採用する。
【0048】
このことにより、冷鉄源及び溶銑を装入した後の通電・吹酸時においては、冷鉄源の溶解、溶湯の昇温・脱炭を促進することができる。また、クロム含有合金鉄等の溶解時においては、クロム含有合金鉄等の溶解、溶湯の昇温・脱炭・脱珪を促進することができる。
【0049】
冷鉄源・溶銑を装入する際、炉内に溶銑が入り易くすることが、操業上好ましい。例えば、側壁に設けられた溶銑装入ドア近辺の炉内空間にスクラップが充填されていると、装入される溶銑は溶銑樋から炉内に円滑に流れず、炉外に漏出する懸念があるため、装入速度を極端に落として長時間の溶銑装入を行うことになる。また溶銑装入が完了して酸素を炉内に吹き込む場合、酸素ランス前面にスクラップが有ると、直接スクラップに酸素が当り、スクラップ中の鉄分を酸化させたり、ステンレス屑中のクロムを過剰に酸化させたりすることが起こり易い。
【0050】
従って、冷鉄源が投入された炉に溶銑を装入する際に、空間が設けられていることが好ましい。具体的な実施方法としては、例えばスクラップ装入後、溶銑が装入される場所をプッシャーで押して空間を設けたり、スクラップを装入する場合に予め邪魔板等で空間を設けることができる。また、溶銑を電気炉上方から装入する場合は、電極で通電してスクラップに孔を開け、そこに溶銑を注入することでも実施できる。
【0051】
次に、冷鉄源を溶解する前に、予熱する方法について説明する。冷鉄源を予熱してから溶銑等を投入し、溶解・吹酸することで、冷鉄源の溶解が起こりやすくなり、電気エネルギーの節約にも貢献できるため好ましい。
【0052】
電気炉において前装入されたスクラップを予熱することは一般的に行われているが、ステンレス鋼の電気炉製造に於いてはあまり一般的ではない。なぜならば前装入するスクラップ・合金鉄の平均クロム濃度が高いため、クロム酸化ロスが大きく電力削減メリットが消えてしまうためである。
【0053】
しかし本発明の場合、前装入される冷鉄源はステンレススクラップ及び普通スクラップ、クロム含有合金鉄を除く合金鉄・地金類及び溶銑を除く炭素含有鉄源等の冷鉄源であるため、これらの平均クロム濃度は低い。よって酸化されるクロムロスは小さく電力削減メリットが享受できる。
【0054】
スクラップ等の冷鉄源の予熱方法は、通常のスクラップ予熱と同様に、他の電気炉からの排ガス顕熱を利用したり、液体・固体・気体の燃料のいずれか1つ以上を組み合わせた燃料を燃焼して得られる熱源を利用することで実施できる。
【0055】
また、予熱以外の利用方法として、冷鉄源及び溶銑を装入した後、電気エネルギーによる加熱・溶解、及び酸素含有ガスによる脱炭・昇熱を行うと同時に、LNG,LPG,重油,軽油等の燃料を炉内で燃焼させて加熱・溶解・昇熱を促進することが挙げられ、生産性向上に大きな効果がもたらされる。
【0056】
また、電極を含む1式の電源に対して、2つの電気炉を1ヒート毎に交互に通電し、加熱・溶解・昇熱等を行うことで、効率良く電気炉での生産を行うことができる。
【0057】
具体的な例として、まず一方の炉においては、溶銑装入を完了した後の通電・吹酸脱炭から脱炭終了後のクロム含有合金鉄の連続或いは断続投入中の通電溶解までを行い、他方の電気炉はクロム含有合金鉄の投入・溶解を完了した後の調整脱珪から出湯・排滓、炉補修、冷鉄源装入、及び溶銑装入までを行う。これを交互に繰り返すことで、効率良く電気エネルギーを供給でき生産性向上が図れる。
【0058】
溶銑装入及び調整脱珪は必ずしも通電中に行う必要がなく、各々の電気炉の設備・操業条件に適合した方法を選択可能である。
【0059】
また、前述の通り、本願発明の方法により溶製された溶湯中の珪素分はすべてを酸化除去するのではなく、溶湯中に約0.4質量%程度の珪素を残して吹酸を終了することで、例えば後工程の電気炉から取鍋への出湯時に溶湯とスラグを積極的に混合させた場合に、溶湯中の珪素がスラグ中のクロム酸を還元できるため好ましい。そこで、溶湯とスラグを混合させる方法として、以下の方法がある。
【0060】
すなわち、脱珪・昇熱が完了し目標の温度・成分に達したら吹酸・通電を停止し、電気炉を傾動して、炉内の溶湯をスラグとともに取鍋に出湯する。出湯中は炉内のスラグが同時に鍋内に排出される様にすれば、鍋内で溶湯とスラグが強攪拌され、溶湯中の珪素がスラグ中のクロム酸を還元する。こうして、溶解中に生じたクロム酸のスラグ中濃度が減少すると同時に、溶湯中クロム濃度が上昇する。取鍋内のスラグ中クロム酸濃度が低下すると、スラグの融点が下がり流動性が向上し、次に行われるスラグ排滓作業が容易となり、鍋内残留スラグが大幅に低減される。スラグ排滓後、次工程のAODにこの粗溶湯は装入される。
【0061】
【実施例】
本願発明の実施例を、図1および図2を用いて説明する。図1は電気炉における含クロム溶湯溶製方法の概念図を、また図2は一般的なステンレス鋼である18%Cr−8%Ni鋼を本発明法による電気炉法で溶製した操業パターンを示す。
【0062】
図1(a)に示す様に、溶解に先立ちまず予め配合計算された量の主原料3(冷鉄源)をスクラップバケット2により電気炉1に装入した。主原料の内訳は、購入及び所内リターンステンレススクラップ、普通鋼スクラップ、Ni地金及びNi合金鉄等のクロムを含有しない合金鉄類である。ここで装入される主原料3(冷鉄源)は図2に示すように全主原料の約3割弱であり、嵩比重を考慮しても1バケットで充分炉内に収まった。この他生石灰、ドロマイト、蛍石等の副原料も炉上バンカー10から炉内に装入した。
【0063】
装入が完了したらここで、図1(b)に示すように、炉蓋13を閉め電極4を下降させ通電を開始した。通電開始後、出湯孔とは反対側の排滓用孔に設置された溶銑装入ドア14を開き溶銑装入樋7をセットして、溶銑装入台車6に載せられた溶銑鍋5を溶銑装入樋に搬送して、溶銑鍋を傾転させながら鍋内の溶銑を溶銑装入樋に流しながら電気炉内へ装入した。溶銑の装入中も通電を継続し、炉内スクラップ等を溶解促進させた。
【0064】
原料の具体的な配合例、平均成分・平均温度、電力、吹酸パターン等を図2に示す。原料配合は、ステンレススクラップ10質量%、普通スクラップ2.7質量%、溶銑45質量%、Ni地金5.2質量%、Ni合金鉄8.3質量%、クロム含有合金鉄28.7質量%である。初期のクロム含有合金鉄を除く冷鉄源と溶銑を溶解・吹酸脱炭する場合の溶湯中の平均クロム濃度は約2.7質量%である。次に、図1(c)に示すように、このクロム含有合金鉄を除く鉄源を通電溶解しながら吹酸脱炭を行い、溶湯温度約1550℃、炭素濃度約1質量%とした。低クロム濃度の溶湯を吹酸脱炭したため、溶湯中クロムの酸化ロスは著しく小さかった。その後、図1(d)に示すように、炉上ホッパー10より高炭素フェロクロム12を連続投入しながら、高電力で通電して溶湯温度を1550℃に保持した。次いで、図1(e)に示すように、約20分で投入・溶解を完了し、電力を低減すると同時に溶湯中の珪素濃度を低減するため、溶銑装入ドアからランス9を装入して吹酸を実施した。溶湯珪素濃度が約0.4質量%で吹酸を停止し、溶湯温度が1600℃で通電を停止した。溶湯炭素濃度は約2.7質量%であった。直ちに電気炉を傾動して取鍋に出湯し、出湯完了後排滓を行い次工程のAODに溶湯を装入した。この方法により、18%Cr−8%Niの溶湯が溶製できた。
【0065】
一方、比較例として図3に従来の電気炉プロセスでの溶銑の使用方法を示す。従来プロセスでは、図3(a),(b),(c)に示すように、クロム含有合金鉄を含めて全てのスクラップ・合金鉄を初期装入した。次に図1と同様に溶銑を炉内に装入する。次に図3(d)に示すように、電気エネルギーのみで溶解を行い、ほぼメルトダウンした時点で、吹酸ランスにより溶湯中の炭素・珪素を酸化除去した。一般的なステンレス鋼の配合クロム濃度は約18質量%であるから、この従来法で吹酸脱炭する時の溶湯中クロムの平均濃度は、原料を全て溶解しているため約18質量%である。脱炭・昇熱後、所定の温度1600℃・炭素濃度2.7質量%となった際に、酸化されたクロムはスラグ中にクロム酸として存在しているため、これを還元するために図3(e)に示すように、スラグ中のクロム酸還元用のフェロシリコン17を投入して、クロム還元を実施し出湯した。
【0066】
その結果、溶製した溶鋼のクロム濃度は約18質量%のものが得られた。但し、本願発明法と比較すると、余分なクロム酸還元用のフェロシリコン及び生石灰が増加し、またフェロシリコンの投入及び還元操作が必要となった。即ちフェロシリコン及び生石灰の使用量増加によるコスト増加、及び工程が多くなることによる電気炉溶製時間の延長等で、本願発明法と比較してコスト的・生産性共に極めて不利である。
【0067】
【発明の効果】
以上述べたように、クロム含有溶湯の電気炉での溶製において、炭素含有鉄源を主原料に使用し、溶湯中のクロムの酸化ロスを最小限としつつ、AOD等の次工程での精錬時間を著しく延長しないレベルまで脱炭可能な溶製方法を確立した。これによって得られる設備・操業上の効果は以下の通りである。
【0068】
第1に、脱炭によるクロム酸化ロスが著しく減少できるため、クロム酸還元用フェロシリコンの使用量の削減と、それに伴う塩基度調整用生石灰、滓化用蛍石、及び耐火物保護用ドロマイトの削減することができる。更に炉内生成スラグ量を減少できるため、耐火物寿命が延長し、耐火物コストの削減も可能である。
【0069】
第2に、クロム合金鉄等の投入により、これに珪素が含まれているため、出湯時の溶湯中珪素濃度が高く、還元用のフェロシリコンを使用しなくても、出湯中に取鍋内でスラグと溶鋼が攪拌されて、溶湯中珪素によりスラグ中クロム酸が還元される。よって、クロム酸還元用フェロシリコンの使用量を「0」とすることが可能になり、それに伴う塩基度調整用生石灰、滓化用蛍石、及び耐火物保護用ドロマイトが大幅に削減できた。更に炉内生成スラグ量の減少により、耐火物寿命が延長し、耐火物コストの削減も可能である。
【0070】
第3に、出湯前のフェロシリコンによるクロム酸還元が省略可能となり、電気炉精錬時間が短縮され、生産性向上、消費電力削減、底吹ガス量の低減を図ることがことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(e)は、本発明による電気炉プロセスでの溶銑使用方法を模式的に示す図である。
【図2】本発明の電気炉操業パターンを示す図である。
【図3】(a)〜(e)は、従来方法による電気炉プロセスでの溶銑使用方法を模式的に示す図である。
【図4】クロム含有溶湯中のクロム濃度、炭素濃度、溶湯温度に関する平衡関係を表すすである。
【符号の説明】
1…電気炉
2…スクラップバケット
3…スクラップ及ぶ合金鉄(除クロム合金鉄)
4…電極
5…溶銑鍋
6…溶銑装入台車
7…溶銑装入樋
8…溶銑
9…吹酸ランス
10…炉上ホッパー
11…低クロム溶湯
12…高炭素フェロクロム
13…炉蓋
14…溶銑装入ドア
15…スクラップ及ぶ合金鉄(含クロム合金鉄)
16…高クロム溶湯
17…クロム還元用フェロシリコン

Claims (9)

  1. 精錬容器にスクラップ、クロム含有合金鉄を除く合金鉄・地金類の一方または双方と、炭素含有鉄源を装入し、電気エネルギーにより加熱・溶解しながら、酸素ガス或いは酸素含有ガスを吹き込んで溶湯中の炭素を酸化除去し、所定の温度・炭素濃度に達した後、酸素ガス或いは酸素含有ガスの吹き込みを停止してから、クロム含有合金鉄、クロム含有ダストの一方または双方を連続的に、或いは断続的に投入しつつ、電気エネルギーにて溶解することを特徴とするクロム含有溶湯の溶製方法。
  2. 精錬容器にスクラップ、クロム含有合金鉄を除く合金鉄・地金類の一方または双方と、炭素含有鉄源を装入し、まず電気エネルギーのみにて加熱・溶解後、次に酸素ガス或いは酸素含有ガスを吹き込んで溶湯中の炭素を酸化除去することを特徴とする請求項1に記載のクロム含有溶湯の溶製方法。
  3. クロム含有合金鉄、クロム含有ダストの一方または双方を連続的に、或いは断続的に投入しつつ、電気エネルギーにて溶解する際に、酸素ガス或いは酸素含有ガスを吹き込んで溶湯中の炭素、または炭素と珪素を除去することを特徴とする請求項1または2に記載のクロム含有溶湯の溶製方法。
  4. クロム含有合金鉄、クロム含有ダストの一方または双方を連続的に、或いは断続的に投入完了後、酸素ガス或いは酸素含有ガスを吹き込んで溶湯中の炭素または炭素と珪素を除去することを特徴とする請求項3に記載のクロム含有溶湯の溶製方法。
  5. 精錬容器に底吹ガス・上吹インジェクションガス・電磁誘導攪拌装置の少なくとも1種類を用いて溶湯を攪拌することを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載のクロム含有溶湯の溶製方法。
  6. 精錬容器にスクラップ、クロム含有合金鉄を除く合金鉄・地金類の一方または双方と、炭素含有鉄源を装入する際に、クロム含有合金鉄を除く合金鉄・地金類およびスクラップの1種または2種と、炭素含有鉄源の冷鉄源を装入しつつ、或いは装入後、溶銑を装入するための空間を設け、溶銑等の炭素含有鉄源を装入することを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載のクロム含有溶湯の溶製方法。
  7. 精錬容器にスクラップ、クロム含有合金鉄を除く合金鉄・地金類の一方または双方と、炭素含有鉄源を装入する際に、スクラップ、クロム含有合金鉄を除く合金鉄・地金類の一方または双方と、炭素含有鉄源の冷鉄源を装入後、溶銑等の炭素含有鉄源を装入する前に、該冷鉄源を予熱することを特徴とする請求項1〜6いずれかに記載のクロム含有溶湯の溶製方法。
  8. 精錬容器に電気エネルギーを供与する際に、電極を含む1式の電源に対して、2つの精錬容器を1ヒート毎に交互に通電することを特徴とする請求項1〜7いずれかに記載のクロム含有溶湯の溶製方法。
  9. 請求項1〜8いずれかに記載の溶製方法により得られた溶湯およびスラグを、取鍋等の容器へ排出することを特徴とするクロム含有溶湯の溶製方法。
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