JP2004137163A - リン酸二水素メチルトリオクチルアンモニウムおよびそのアルカリ金属塩 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】新規な化合物であるリン酸二水素メチルトリオクチルアンモニウムおよびそのアルカリ金属塩は、オレフィン類と過酸化水素とからエポキシド類を製造する方法において、良好な相間移動触媒能を有しており、リン酸二水素メチルトリオクチルアンモニウムやそのアルカリ金属塩を相間移動触媒して用いることにより、高価で、取扱いに注意を要する試剤を併用することなく、エポキシド類が収率よく得られる。リン酸二水素メチルトリオクチルアンモニウムは、例えばトリ(n−オクチル)アミンとリン酸トリメチルを反応させた後、リン酸で加水分解処理することにより得られる。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な化合物であるリン酸二水素メチルトリオクチルアンモニウムおよびそのアルカリ金属塩に関する。
【0002】
【従来の技術】
エポキシド類は、樹脂をはじめとする各種化学製品およびその合成中間体等として重要な化合物であり、種々の製造方法が知られているが、なかでも触媒の存在下、クリーンな酸化剤である過酸化水素で、オレフィン類を酸化する方法が、近年注目を集めている。過酸化水素でオレフィン類を酸化する方法に用いられる触媒としては、例えばタングステン酸ナトリウムが知られている(例えば特許文献1参照。)が、相間移動触媒と比較的高価で、吸湿性を有し、取扱いに注意を要するα−アミノメチルホスホン酸を併用する必要があり、工業的には、さらなる改善が望まれていた。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−27136号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような状況のもと、本発明者らは、オレフィン類と過酸化水素を反応させて、より工業的に有利にエポキシド類を製造する方法を検討したところ、新規な化合物であるリン酸二水素メチルトリオクチルアンモニウムおよびそのアルカリ金属塩が、タングステン触媒を用いるオレフィン類と過酸化水素との反応において、良好な相間移動触媒能を有し、リン酸二水素メチルトリオクチルアンモニウムやそのアルカリ金属塩を相間移動触媒として用いることにより、α−アミノメチルホスホン酸を用いることなく、エポキシド類を良好な収率で得ることができることを見出し、本発明に至った。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、リン酸二水素メチルトリオクチルアンモニウムおよびそのアルカリ金属塩を提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
リン酸二水素メチルトリオクチルアンモニウムは、下記式(1)
で示される化合物であり、そのアルカリ金属塩は、上記式(1)の二つの水酸基のうち、一方または両方の水酸基を構成する水素原子が、アルカリ金属で置換された化合物である。アルカリ金属としては、例えばナトリウム、カリウム等が挙げられる。かかるアルカリ金属塩としては、例えばリン酸一水素メチルトリオクチルアンモニウム一ナトリウム、リン酸メチルトリオクチルアンモニウム二ナトリウム、リン酸一水素メチルトリオクチルアンモニウム一カリウム、リン酸メチルトリオクチルアンモニウム二カリウム等が挙げられる。
【0007】
リン酸二水素メチルトリオクチルアンモニウムは、例えば塩化メチルトリオクチルアンモニウムを塩基処理した後、リン酸で中和処理する方法、イオン交換樹脂で処理する方法、トリ(n−オクチル)アミンとリン酸トリメチルを反応させた後、リン酸で加水分解処理する方法等により製造することができる。
【0008】
塩化メチルトリオクチルアンモニウムを塩基処理する際に用いる塩基としては、例えば水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物等が挙げられ、その使用量は、塩化メチルトリオクチルアンモニウムに対して、通常1モル倍以上である。その上限は特にないが、あまり多いと、引き続き実施するリン酸による中和処理に必要なリン酸量が増加するため、実用的には、1.5モル倍以下である。塩基処理の処理温度は、通常0〜100℃である。中和処理に用いるリン酸は、通常市販されているものを用いればよく、その使用量は、塩基処理で用いた塩基の量により異なるが、塩基処理に用いた塩基に対して、通常1モル倍以上のリン酸を用いればよい。中和処理の温度は、通常0〜100℃である。中和処理終了後、例えば濾過処理、分液処理等することにより、リン酸二水素メチルトリオクチルアンモニウムを取り出すことができる。
【0009】
塩化トリメチルオクチルアンモニウムをイオン交換樹脂で処理する方法としては、例えば陰イオン交換樹脂を予めリン酸で処理しておき、当該リン酸処理した陰イオン交換樹脂と塩化トリメチルオクチルアンモニウムを接触、混合する方法、陰イオン交換樹脂を予めアルカリ金属水酸化物で処理しておき、当該アルカリ金属水酸化物処理した陰イオン交換樹脂と塩化トリメチルオクチルアンモニウムを接触、混合し、さらにリン酸で処理する方法等が挙げられる。
【0010】
トリ(n−オクチル)アミンとリン酸トリメチルとを反応させて、リン酸二水素メチルトリオクチルアンモニウムを製造する方法では、通常トリ(n−オクチル)アンモニウムとリン酸トリメチルの両者を接触、混合することにより反応が実施される。もちろん、例えばトルエン、アセトニトリル等の反応に不活性な溶媒中で実施してもよい。反応温度は、通常20〜200℃、好ましくは80℃〜160℃である。
【0011】
トリ(n−オクチル)アミンとリン酸トリメチルとの反応においては、トリ(n−オクチル)アミンを、リン酸トリメチルに対して、1モル倍以上用いてもよいし、リン酸トリメチルを、トリ(n−オクチル)アミンに対して、1モル倍以上用いてもよいが、後処理の容易さの点から、リン酸トリメチルを、トリ(n−オクチル)アミンに対して、1モル倍以上用いることが好ましい。リン酸トリメチルを、トリ(n−オクチル)アミンに対して、1モル倍以上用いる場合の使用量の上限は特に制限はないが、経済的な観点から、実用的には2.5モル倍以下である。
【0012】
トリ(n−オクチル)アミンとリン酸トリメチルを反応させた後、リン酸で加水分解処理することにより、リン酸二水素メチルトリオクチルアンモニウムが得られる。加水分解処理は、通常トリ(n−オクチル)アミンとリン酸トリメチルとの反応で得られる反応液とリン酸水溶液を接触、混合することにより実施される。加水分解処理温度は、通常20〜120℃、好ましくは80℃〜120℃である。リン酸の使用量は、特に制限されず、水の使用量は、上記で用いたリン酸トリメチルに対して、2モル倍以上であればよく、その上限は特に制限されないが、あまり多いと容積効率等の面で不利になりやすいので、好ましくは50モル倍以下である。
【0013】
加水分解処理後、必要に応じて、水に不溶の有機溶媒を加え、分液処理することにより、リン酸二水素メチルトリオクチルアンモニウムを含む有機層を得ることができ、該有機層を濃縮処理することにより、リン酸二水素メチルトリオクチルアンモニウムを取り出すことができる。水に不溶の有機溶媒としては、例えばトルエン、ヘキサン等が挙げられる。
【0014】
リン酸二水素メチルトリオクチルアンモニウムのアルカリ金属塩は、リン酸二水素メチルトリオクチルアンモニウムに、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物を作用させることにより製造することができる。アルカリ金属水酸化物は、通常水溶液として用いられる。その使用量は、目的とするアルカリ金属塩に応じて適宜決定すればよい。
【0015】
リン酸二水素メチルトリオクチルアンモニウムにアルカリ金属水酸化物を作用させる温度は、通常0〜100℃である。
【0016】
リン酸二水素メチルトリオクチルアンモニウムにアルカリ金属水酸化物を作用させた後、そのままもしくは必要に応じて水に不溶の有機溶媒や水を加え、分液処理することにより、リン酸二水素メチルトリオクチルアンモニウムのアルカリ金属塩を取り出すことができる。
【0017】
次に、リン酸二水素メチルトリオクチルアンモニウムまたはそのアルカリ金属塩を相間移動触媒として用い、タングステン触媒の存在下に、過酸化水素とオレフィン類とを反応させて、エポキシド類を製造する方法について説明する。
【0018】
オレフィン類としては、その分子内に一つ以上のオレフィン性炭素−炭素二重結合を有する化合物であればよく、該二重結合を形成する二つの炭素原子は、水素原子のほか、例えばアルキル基、アリール基、アラルキル基、シリル基、ハロゲン原子等の置換基で置換されていてもよい。また、かかる置換基が結合して、環構造の一部を形成していてもよい。
【0019】
かかるオレフィン類としては、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、3,3−ジメチル−1−ブテン、ビニルシクロペンタン、ビニルシクロヘキサン、アリルシクロヘキサン、スチレン、4−(tert−ブチル)スチレン、アリルベンゼン、4−メトキシスチレン、サフロール、オイゲノール、3,4−ジメトキシ−1−アリルベンゼン等の一置換オレフィン、
【0020】
例えば2−ブテン、イソブチレン、2−メチル−1−ブテン、2−ペンテン、2−ヘキセン、2−メチル−1−ヘキセン、3−ヘキセン、2−ヘプテン、2−メチル−1−ヘプテン、3−ヘプテン、2−オクテン、3−オクテン、4−オクテン、2−ノネン、2−メチル−2−ノネン、3−ノネン、4−ノネン、5−デセン、2−メチル−1−ウンデセン、シクロペンテン、シクロヘキセン、4−メチルシクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロデセン、シクロドデセン、メチレンシクロヘキサン、β−メチルスチレン、スチルベン、イソサフロール、イソオイゲノール、β−ピネン、ノルボルネン等の二置換オレフィン、
【0021】
例えば2−メチル−2−ブテン、2−メチル−2−ペンテン、2−メチル−2−ヘキセン、2,5−ジメチル−2,4−ヘキサジエン、2−メチル−2−ヘプテン、1−メチルシクロペンテン、1−メチルシクロヘキセン、1−(tert−ブチル)シクロヘキセン、1−イソプロピルシクロヘキセン、2−カレン、3−カレン、α−ピネン等の三置換オレフィン、例えば2,3−ジメチル−2−ブテン、2,3,4−トリメチル−2−ペンテン等の四置換オレフィン等が挙げられる。
【0022】
かかるオレフィン類の中には、幾何異性体や光学異性体が存在するものがあるが、本発明には、単独の幾何異性体や光学異性体を用いてもよいし、幾何異性体の混合物や光学異性体の混合物を用いてもよい。
【0023】
タングステン触媒としては、例えばタングステン金属、ホウ化タングステン、炭化タングステン、リン化タングステン、窒化タングステン、酸化タングステン、硫化タングステン、タングステン酸、タングステン酸ナトリウム等のタングステン化合物、前記タングステン化合物と過酸化水素を反応せしめてなるタングステン酸化物等が挙げられる。かかるタングステン触媒の中でも、タングステン金属、炭化タングステン、ホウ化タングステン、硫化タングステン、タングステン酸、タングステン酸ナトリウム、およびこれらと過酸化水素とを反応せしめてなるタングステン酸化物が好ましい。
【0024】
前記タングステン化合物と過酸化水素とを反応せしめてなるタングステン酸化物を調製する際に用いられる過酸化水素としては、通常水溶液が用いられる。もちろん有機溶媒溶液を用いてもよいが、取扱いがより容易であるという点で、過酸化水素水溶液を用いることが好ましい。過酸化水素水溶液もしくは有機溶媒溶液中の過酸化水素濃度は特に制限されないが、容積効率、安全面等を考慮すると、実用的には1〜60重量%である。過酸化水素水溶液は、通常市販のものをそのままもしくは必要に応じて、希釈、濃縮等により濃度調整を行なった後用いればよく、また過酸化水素の有機溶媒溶液は、例えば過酸化水素水溶液を有機溶媒で抽出処理する、もしくは有機溶媒の存在下に蒸留処理する等の手段により、調製することができる。
【0025】
タングステン酸化物を調製する際の過酸化水素の使用量は、タングステン化合物に対して、通常3モル倍以上、好ましくは5モル倍以上であり、その上限は特にない。
【0026】
タングステン化合物と過酸化水素との反応は、通常水溶液中で実施される。もちろん例えばジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、例えば酢酸エチル等のエステル系溶媒、例えばtert−ブタノール等の第三級アルコール系溶媒、例えばアセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒等の有機溶媒中または該有機溶媒と水との混合溶媒中で実施してもよい。
【0027】
タングステン酸化物の調製時の調製温度は、通常−10〜100℃である。
【0028】
タングステン化合物と過酸化水素とを、水中もしくは有機溶媒中で反応させることにより、タングステン化合物の全部もしくは一部が溶解し、タングステン酸化物を含む均一溶液もしくは懸濁液を調製することができるが、該タングステン酸化物を、例えば濃縮処理等により調製液から取り出して、触媒として用いてもよいし、該調製液をそのまま触媒として用いてもよい。
【0029】
オレフィン類と反応させる過酸化水素としては、通常過酸化水素水が用いられる。もちろん過酸化水素/有機溶媒溶液を用いてもよい。過酸化水素水もしくは過酸化水素/有機溶媒溶液中の過酸化水素濃度は特に制限されないが、容積効率、安全面等を考慮すると、実用的には1〜60重量%である。
【0030】
過酸化水素の使用量は、オレフィン類に対して、通常0.8モル倍以上、好ましくは1モル倍以上であり、その上限は特にないが、あまり多すぎても経済的に不利になりやすいため、実用的には、オレフィン類に対して、5モル倍以下、好ましくは3モル倍以下である。
【0031】
タングステン触媒の使用量は、金属として、オレフィン類に対して、通常0.001〜0.95モル倍、好ましくは0.005〜0.1モル倍である。
【0032】
リン酸二水素メチルトリオクチルアンモニウムまたはそのアルカリ金属塩の使用量は、タングステン触媒中のタングステンに対して、通常0.2モル倍以上であり、その上限は特にないが、経済的な点も考慮すると、実用的には5モル倍以下である。なお、タングステン触媒として、前記したタングステン酸化物を用いる場合は、リン酸二水素メチルトリオクチルアンモニウムまたはそのアルカリ金属塩を、予め上記したタングステン酸化物の調製の際に用いておいてもよい。
【0033】
オレフィン類と過酸化水素との反応は、無溶媒で行ってもよいし、水溶媒中もしくは有機溶媒中で行ってもよい。有機溶媒としては、例えばトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、例えばヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶媒、例えばジエチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジグライム等のエーテル系溶媒、例えば酢酸エチル等のエステル系溶媒、例えばtert−ブタノール等の第三級アルコール系溶媒、例えばアセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒等が挙げられる。水溶媒または有機溶媒の使用量は特に制限されない。
【0034】
本反応は、通常タングステン触媒、リン酸二水素メチルトリオクチルアンモニウムまたはそのアルカリ金属塩、オレフィン類および過酸化水素を接触、混合させることにより行われ、その混合順序は制限されない。また、例えばタングステン金属もしくはタングステン化合物、過酸化水素、リン酸二水素メチルトリオクチルアンモニウムもしくはそのアルカリ金属塩、およびオレフィン類を接触、混合させて、タングステン酸化物の調製操作と、オレフィン類と過酸化水素との反応を、同時並行的に行ってもよい。
【0035】
本反応は、反応速度等の面で、反応液のpH範囲が1〜4の範囲で実施することが好ましく、反応液のpHが1〜4の範囲でない場合には、例えば硫酸等で反応液のpHを調整し、反応を実施することが好ましい。
【0036】
反応温度は、通常0〜130℃であり、通常常圧条件下で実施されるが、減圧あるいは加圧条件下で実施してもよい。
【0037】
反応終了後、反応液をそのままもしくは必要に応じて残存する過酸化水素を、例えば亜硫酸ナトリウム等の還元剤で分解した後、濃縮処理、晶析処理等することにより、目的とするエポキシド類を取り出すことができる。また、反応液に、必要に応じて水および/または水に不溶の有機溶媒を加え、抽出処理し、得られる有機層を濃縮処理することにより、エポキシド類を取り出すこともできる。取り出したエポキシド類は、例えば蒸留、カラムクロマトグラフィ、再結晶等通常の精製方法によりさらに精製してもよい。
【0038】
かくして得られるエポキシド類としては、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−エポキシブタン、1,2−エポキシペンタン、4,4−ジメチル−1,2−エポキシペンタン、1,2−エポキシヘキサン、1,2−エポキシヘプタン、1,2−エポキシオクタン、1,2−エポキシノナン、1,2−エポキシデカン、1,2−エポキシウンデカン、1,2−エポキシドデカン、1,2−エポキシトリデカン、1,2−エポキシテトラデカン、1,2−エポキシペンタデカン、1,2−エポキシヘキサデカン、1,2−エポキシオクタデカン、3,3−ジメチル−1,2−エポキシブタン、シクロペンチルエチレンオキシド、シクロヘキシルエチレンオキシド、3−シクロヘキシル−1,2−エポキシプロパン、スチレンオキシド、4−(tert−ブチル)スチレンオキシド、3−フェニル−1,2−エポキシプロパン、4−メトキシスチレンオキシド、サフロールオキシド、3−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−1,2−エポキシプロパン、3−(3,4−ジメトキシフェニル)−1,2−エポキシプロパン、2,3−エポキシブタン、2−メチル−1,2−エポキシプロパン、2−メチル−1,2−エポキシブタン、2,3−エポキシペンタン、2,3−エポキシヘキサン、2−メチル−1,2−エポキシヘキサン、3,4−エポキシヘキサン、2,3−エポキシヘプタン、3,4−エポキシヘプタン、2,3−エポキシオクタン、3,4−エポキシオクタン、4,5−エポキシオクタン、2,3−エポキシノナン、
【0039】
2−メチル−1,2−エポキシノナン、3,4−エポキシノナン、4,5−エポキシノナン、5,6−エポキシデカン、2−メチル−1,2−エポキシウンデカン、シクロペンテンオキシド、シクロヘキセンオキシド、4−メチルシクロヘキセンオキシド、シクロヘプテンオキシド、シクロオクテンオキシド、シクロデセンオキシド、シクロドデセンオキシド、β−メチルスチレンオキシド、スチルベンオキシド、イソサフロールオキシド、1−(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)−1,2−エポキシプロパン、β−ピネンオキシド、ノルボルネンオキシド、2−メチル−2,3−エポキシブタン、2−メチル−2、3−エポキシペンタン、2−メチル−2,3−エポキシヘキサン、2,5−ジメチル−2,3−エポキシヘキサ−4−エン、2−メチル−2,3−エポキシヘプタン、1−メチル−1,2−エポキシシクロペンタン、1−メチル−1,2−エポキシシクロヘキサン、1−(tert−ブチル)−1,2−エポキシシクロヘキサン、1−イソプロピル−1,2−エポキシシクロヘキサン、2−カレンオキシド、3−カレンオキシド、α−ピネンオキシド、2,3−ジメチル−2,3−エポキシブタン、2,3,4−トリメチル−2,3−エポキシペンタン等が挙げられる。
【0040】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものでない。
【0041】
実施例1
還流冷却管を付した200mLナスフラスコに、リン酸トリメチル7.2g、トリ(n−オクチル)アミン17.7gおよびトルエン20mLを仕込み、浴温140℃で14時間加熱、還流させた。その後、リン酸20mLおよび水20mLを加え、浴温110℃で24時間加熱、還流させた。室温まで冷却した後、トルエン20mLを加え、分液処理した。得られた有機層を水で洗浄処理した後、減圧条件下で濃縮処理し、リン酸二水素メチルトリオクチルアンモニウム22gを得た。
【0042】
1H−NMR(溶媒:CDCl3,TMS基準,単位:ppm)
δ0.88(t,9H,J=7.0Hz),1.27−1.32(m,30H),1.66(br,6H),3.25(t,6H,J=8.0Hz),10.97(br,2H)
【0043】
実施例2
100mLナス型フラスコに、塩化メチルトリオクチルアンモニウム6.1gおよびエタノール20mLを加え、室温で攪拌し、均一なエタノール溶液を調製した。これに、水酸化カリウム0.93gを仕込み、室温で12時間攪拌、反応させた後、反応液を濾過処理した。得られた濾液に、リン酸1.9gを加え、室温で2時間反応させた。その後、反応液を濾過処理し、得られた濾液を減圧条件下、濃縮処理し、リン酸二水素メチルトリオクチルアンモニウム6.8gを得た。
【0044】
実施例3
還流冷却管を付した100mLシュレンク管に、タングステン酸二ナトリウム12水和物0.26gおよび30重量%過酸化水素水7.2gを仕込み、内温25℃で1分攪拌し、タングステン酸化物調製液を得た。これに、1−オクテン4.4g、リン酸二水素トリオクチルメチルアンモニウム0.19gおよびトルエン8mLからなる溶液を仕込み、反応液のpHが2.5になるように硫酸水を添加した。その後内温90℃で4時間攪拌、反応させた。得られた反応液を冷却した後、分液処理し、1,2−エポキシオクテンを含む有機層を得た。該有機層をガスクロマトグラフィ(内部標準法)により分析したところ、1,2−エポキシオクテンの収率は90%であった(1−オクテン基準)。
【0045】
実施例4
還流冷却管を付した100mLシュレンク管に、タングステン酸二ナトリウム12水和物0.26gおよび30重量%過酸化水素水7.2gを仕込み、内温25℃で1分攪拌し、タングステン酸化物調製液を得た。これに、シクロオクテン4.4g、リン酸二水素トリオクチルメチルアンモニウム0.19gおよびトルエン8mLからなる溶液を仕込み、反応液のpHが2.5になるように硫酸水を添加した。その後内温90℃で4時間攪拌、反応させた。得られた反応液を冷却した後、分液処理し、1,2−エポキシシクロオクテンを含む有機層を得た。該有機層をガスクロマトグラフィ(内部標準法)により分析したところ、1,2−エポキシシクロオクテンの収率は95%であった(シクロオクテン基準)。
【0046】
比較例1
還流冷却管を付した100mLシュレンク管に、タングステン酸二ナトリウム12水和物0.26gおよび30重量%過酸化水素水7.2gを仕込み、内温25℃で1分攪拌し、タングステン酸化物調製液を得た。これに、1−オクテン4.4g、リン酸二水素ヘキサデシルトリメチルアンモニウム0.15gおよびトルエン8mLからなる溶液を仕込み、反応液のpHが2.5になるように硫酸水を添加した。その後内温90℃で4時間攪拌、反応させた。得られた反応液を冷却した後、分液処理し、1,2−エポキシオクテンを含む有機層を得た。該有機層をガスクロマトグラフィ(内部標準法)により分析したところ、1,2−エポキシオクテンの収率は14%であった(1−オクテン基準)。
【0047】
比較例2
還流冷却管を付した100mLシュレンク管に、タングステン酸二ナトリウム12水和物0.26gおよび30重量%過酸化水素水7.2gを仕込み、内温25℃で1分攪拌し、タングステン酸化物調製液を得た。これに、1−オクテン4.4g、リン酸二水素トリヘキシルメチルアンモニウム0.15gおよびトルエン8mLからなる溶液を仕込み、反応液のpHが2.5になるように硫酸水を添加した。その後内温90℃で4時間攪拌、反応させた。得られた反応液を冷却した後、分液処理し、1,2−エポキシオクテンを含む有機層を得た。該有機層をガスクロマトグラフィ(内部標準法)により分析したところ、1,2−エポキシオクテンの収率は43%であった(1−オクテン基準)。
【0048】
比較例3
還流冷却管を付した100mLシュレンク管に、タングステン酸二ナトリウム12水和物0.26gおよび30重量%過酸化水素水7.2gを仕込み、室温で1分攪拌し、タングステン酸化物調製液を得た。これに、1−オクテン4.4g、リン酸二水素ジメチルジオクタデシルアンモニウム0.126gおよびトルエン8mLからなる溶液を仕込み、反応液のpHが2.5になるように硫酸水を添加した。その後内温90℃で4時間攪拌、反応させた。得られた反応液を冷却した後、分液処理し、1,2−エポキシオクテンを含む有機層を得た。該有機層をガスクロマトグラフィ(内部標準法)により分析したところ、1,2−エポキシオクテンの収率は82%であった(1−オクテン基準)。
【0049】
比較例4
還流冷却管を付した100mLシュレンク管に、タングステン金属0.15gおよび30重量%過酸化水素水1.1gを仕込み、内温50℃で15分攪拌し、タングステン酸化物調製液を得た。これに、1−オクテン4.4g、30重量%過酸化水素水6.1gおよびトルエン8mLからなる溶液を仕込み、内温90℃で4時間攪拌、反応させた。得られた反応液を冷却した後、分液処理し、1,2−エポキシオクテンを含む有機層を得た。該有機層をガスクロマトグラフィ(内部標準法)により分析したところ、1,2−エポキシオクテンの収率は、1%であった(1−オクテン基準)。
【0050】
【発明の効果】
本発明の新規な化合物であるリン酸二水素メチルトリオクチルアンモニウムおよびそのアルカリ金属塩は、タングステン触媒の存在下、オレフィン類と過酸化水素を反応させてエポキシド類を製造する方法において、相間移動触媒能を示し、しかもその相間移動触媒能は、従来知られている相間移動触媒よりも高く、したがって、比較的高価で、取扱いに注意を要するα−アミノメチルホスホン酸を併用することなく、収率よくエポキシド類を製造することができるため、工業的により有利である。
Claims (5)
- リン酸二水素メチルトリオクチルアンモニウム。
- リン酸一水素メチルトリオクチルアンモニウム一アルカリ金属塩。
- リン酸メチルトリオクチルアンモニウム二アルカリ金属塩。
- トリ(n−オクチル)アミンとリン酸トリメチルを反応させた後、リン酸で加水分解処理することを特徴とするリン酸二水素メチルトリオクチルアンモニウムの製造方法。
- 塩化メチルトリオクチルアンモニウムを塩基処理した後、リン酸で中和処理することを特徴とするリン酸二水素メチルトリオクチルアンモニウムの製造方法。
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2002
- 2002-10-16 JP JP2002301519A patent/JP2004137163A/ja active Pending
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