JP2004136637A - プレートの組立構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】プレート1の表面に微細溝(凹部)3が形成されている。また、プレート1は、微細溝3を取り囲むようにシール面5が形成され、このシール面5の周囲にシール面5よりも凹んだ仕切溝6が形成され、この仕切溝6の外側にシール面5を取り囲むように蓋部材固定面7が形成されている。そして、プレート1の蓋部材固定面7に蓋部材2が接着固定され、プレート1のシール面5と蓋部材2との間の微小隙間に毛細管現象で充填材を浸透させる。これにより、充填材は、プレート1のシール面5と蓋部材2との微小隙間内を確実に埋めることができるが、微細溝3内に流入するようなことがない。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、インテグレーテッド・ケミストリと呼ばれる技術分野で使用されるマイクロチップ(例えば、キャピラリ電気泳動チップ)の作成等に広く適用することができるプレートの組立構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ガラスやプラスチックのマイクロチップの内部に数10μmから200μm程度の微細溝を作り、その微細溝を液体の流路や反応槽,分離精製検出槽として使用して、マイクロチップに複雑な化学システムを集積するインテグレーテッド・ケミストリと呼ばれる技術が知られている。このインテグレーテッド・ケミストリによれば、様々な試験に使用される微細溝が形成されたマイクロチップ(Lab−on−chip)を分析化学に限定して使用する場合にはμ−TAS(Total Analytical System)と呼称し、また、マイクロチップを反応だけに限定して使用する場合にはマイクロリアクターと呼称するようになっている。このインテグレーテッド・ケミストリは、分析等の各種試験を行う場合、空間が小さいので拡散分子の輸送時間が短くてすみ、また、液相の熱容量が極めて小さい等の優れた利点を有しているため、ミクロ空間を分析や化学合成等に利用しようとする技術分野において注目を集めている。なお、ここでいう試験とは、分析,測定,合成,分解,混合,分子輸送,溶媒抽出,固相抽出,相分離,相合流,分子補捉,培養,加熱,冷却等の操作・手段を単一又は複合させて行うものである。
【0003】
このようなインテグレーテッド・ケミストリにおいて、例えば、生化学の分野における試験において使用されるキャピラリ電気泳動チップは、ガラスやプラスチックのチップの内部に10μm〜200μm程度の微細な溝又は円形の凹部等を形成し、この微細溝又は凹部を液体の流路や反応槽等として使用し、核酸やタンパク質等の生体物質やその他の低分子物質といった極微量物質を分離同定するために使用されるものであり、取り扱う物質の体積がナノリットルからピコリットルの微小なものであるから、微細溝を精度良く形成することが求められる。
【0004】
ここで、ガラスやプラスチックの内部に微細溝(中空部)を形成する方法として、ブロー成形やロストコア法があるが、これらの方法では、例えば、数十μm角の断面の微細溝を高精度に形成するのは困難である。従って、ガラス又はプラスチックプレートの表面に微細溝を形成し、この微細溝が形成されたプレートの表面に蓋部材(別のプレート)を接合する方法が採用される。この2枚のプレートを接合する方法としては、超音波溶着,振動溶着,レーザー溶着,インサート成形(特許文献1参照)及び接着(特許文献2及び3参照)が一般的に知られている。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−58467号公報(例えば、段落番号0005〜0006参照)
【特許文献2】
特開2000−246092号公報(例えば、段落番号0004〜0006,0046参照)
【特許文献3】
特開2000−288381号公報(例えば、段落番号0004〜0006,00047参照)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、超音波溶着及び振動溶着は、どちらも接合し合う材料を局所的ではあるが溶融させることになるため、例えば、数十μm角程度の断面の中空部が変形する虞があり、しかも特殊な設備を必要としてコスト高になり、採用することができない。
【0007】
また、レーザー溶着は、微細溝の形状が複雑な場合に溶着時間が長時間になると共に、特殊な設備が必要になり、生産コストの高騰を招くという問題を有している。
【0008】
また、特許文献1に開示されたインサート成形は、射出成形金型のキャビティ内に、微細溝が形成されたプラスチックプレートを予め収容しておき、そのプラスチックプレートの表面に微細溝を覆うフィルムを配置した後、キャビティ内に蓋部材となるプラスチックを射出し、キャピラリ電気泳動チップを形成するものであるが、金型形状が複雑化し、生産コストの高騰を招くという問題を有している。
【0009】
さらに、接着は、微細溝が形成されたプレートの表面に蓋部材を接着剤で固着するものであるが、単にプレートと蓋部材とを貼り合わせると、接着剤が微細溝内に押し出され、微細溝内に流入した接着剤が微細溝の断面積を変化させたり、微細溝を塞ぐという不具合を生じる虞がある。但し、このような不具合の発生を防止できれば、特殊な設備がいらず、低コストで効率的にキャピラリ電気泳動チップを形成することができる。
【0010】
そのため、特許文献2及び3に開示されたように、接着剤としてエネルギー線硬化性組成物を使用し、微細溝に対応する接着剤以外の接着剤にエネルギー線を照射して硬化させた後、微細溝内の接着剤のみを溶剤による洗浄等で取り除くようにした技術が開発された。しかし、このような技術は、生産性を考慮する実際の生産現場において簡単に実施することが困難であり、高価な設備も必要となるという問題を有していた。
【0011】
そこで、本発明は、微細溝内に接着剤が流入することがなく、微細溝が形成されたプレートに蓋部材を簡単に接着固定することができるプレートの組立構造を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、プレートの表面に凹部が形成され、この凹部が形成されたプレートの表面に蓋部材が取り付けられるプレートの組立構造に関するものである。このプレートの組立構造において、前記プレートは、前記凹部を取り囲むようにシール面が形成されると共に、このシール面と仕切溝によって隔てられる蓋部材固定面が形成されている。そして、前記蓋部材固定面に前記蓋部材が固定され、前記シール面と前記蓋部材との間に毛細管現象で充填材が浸透させられるようになっている。なお、本発明における凹部とは、流路となる溝形状、貯蔵・反応等に使用される円形又は矩形の凹部などの他、試験をするのに必要となる所定の形状を有する凹部をいう。
【0013】
請求項2の発明は、プレートの表面に凹部が形成され、この凹部が形成されたプレートの表面に蓋部材が取り付けられるプレートの組立構造に関するものである。このプレートの組立構造において、前記プレートは、前記凹部を取り囲むようにシール面が形成されると共に、このシール面と仕切溝によって隔てられる蓋部材固定面が形成されている。そして、前記蓋部材固定面に前記蓋部材が固定され、前記プレートのシール面と前記蓋部材との間に両部材間の隙間を埋める充填材が配置されたことを特徴としている。
【0014】
請求項3の発明は、プレートの表面に凹部が形成され、この凹部が形成されたプレートの表面に蓋部材が取り付けられるプレートの組立構造に関するものである。このプレートの組立構造において、前記プレートは、前記凹部を取り囲むようにシール面が形成されると共に、このシール面と仕切溝によって隔てられる蓋部材固定面が形成されている。また、前記蓋部材は、前記プレートの仕切溝のうちの前記シール面近傍に対応する位置に開口する充填材注入孔が形成されている。そして、前記蓋部材固定面に前記蓋部材が固定され、前記充填材注入孔から前記仕切溝に注入された充填材が前記シール面と前記蓋部材との間に毛細管現象で浸透させられるようになっている。
【0015】
請求項4の発明は、プレートの表面に凹部が形成され、この凹部が形成されたプレートの表面に蓋部材が取り付けられるプレートの組立構造に関するものである。このプレートの組立構造において、前記プレートは、前記凹部を取り囲むようにシール面が形成されると共に、このシール面と仕切溝によって隔てられる蓋部材固定面が形成されている。また、前記蓋部材は、前記プレートの仕切溝に少なくとも一部が重なる位置に充填材注入孔が形成されている。そして、前記蓋部材固定面に前記蓋部材が固定され、前記充填材注入孔から注入された充填材が前記シール面と前記蓋部材との間に毛細管現象で浸透させられるようになっている。
【0016】
請求項5の発明は、プレートの表面に凹部が形成され、この凹部が形成されたプレートの表面に蓋部材が取り付けられるプレートの組立構造に関するものである。このプレートの組立構造において、前記プレートは、前記凹部を取り囲むようにシール面が形成されると共に、このシール面と仕切溝によって隔てられる蓋部材固定面が形成されている。また、前記蓋部材は、前記プレートの凹部の端部側で且つ前記シール面に対応する位置に開口する充填材注入孔が形成されている。そして、前記蓋部材固定面に前記蓋部材が固定され、前記充填材注入孔から注入された充填材が前記シール面と前記蓋部材との間に毛細管現象で浸透させられるようになっている。
【0017】
請求項6の発明は、上記請求項1〜5のいずれかの発明において、次のような特徴的な構成を備えるものである。すなわち、前記プレートの前記シール面と前記蓋部材の少なくとも一方には、相手部材に突き当てられることにより、前記プレートの前記シール面と前記蓋部材との間に前記充填材を毛細管現象で浸透させることができる程度の隙間を生じさせるスペーサ突起が形成されている。
【0018】
請求項7の発明は、上記請求項1〜5のいずれかの発明において、次のような特徴的な構成を備えるものである。すなわち、前記プレートの前記蓋部材固定面と前記蓋部材の少なくとも一方には、相手部材に突き当てられることにより、前記プレートの前記蓋部材固定面と前記蓋部材との間に前記充填材を毛細管現象で浸透させることができる程度の隙間を生じさせるスペーサ突起が形成されている。
【0019】
請求項8の発明は、上記請求項1〜5のいずれかの発明において、次のような特徴的な構成を備えるものである。すなわち、前記プレートの前記シール面と前記蓋部材には、互いに突き合わされることにより、前記プレートの前記シール面と前記蓋部材との間に前記充填材を毛細管現象で浸透させることができる程度の隙間を生じさせるスペーサ突起が形成されている。
【0020】
請求項9の発明は、上記請求項6〜8のいずれかの発明において、次のような特徴的な構成を備えるものである。すなわち、前記スペーサ突起が、前記凹部に近い部位から遠い部位に向かうにしたがって、密から粗の形成密度で形成されている。
【0021】
請求項10の発明は、上記請求項6〜9のいずれかの発明において、次のような特徴的な構成を備えるものである。すなわち、前記プレートの前記シール面と前記蓋部材の少なくとも一方には、前記隙間の寸法よりも小さな突出高さの凸部が相手部材に当接しないように形成されている。
【0022】
請求項11の発明は、上記請求項1〜5のいずれかの発明において、次のような特徴的な構成を備えるものである。すなわち、前記プレートと前記蓋部材との間には、前記プレートの前記シール面と前記蓋部材との間に前記充填材を毛細管現象で浸透させることができる程度の隙間を生じさせるスペーサが配置されている。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳述する。尚、以下の各実施の形態は、キャピラリ電気泳動チップとして使用されるプレートを例示して説明する。
【0024】
[第1の実施の形態]
図1〜図4は、本発明の第1の実施の形態に係るプレート1の組立構造を示すものである。ここで、図1は、プレート1の平面図であり、このプレート1に組み付けられる蓋部材2側の構成を二点鎖線で示している。また、図2は、蓋部材2の平面図であり、図3は、図1のA1−A1線に沿って切断して示す断面図である。また、図4は、図3の一部拡大断面図である。
【0025】
これらの図に示すプレート1及び蓋部材2は、例えば、ポリプロピレン(PP)で形成されており、同一の材料で形成されるのが好ましい。このように、プレート1と蓋部材2を同一の材料で形成することにより、プレート1と蓋部材2の表面電荷を同一にできるため、電気泳動の際の試料に対する電気浸透流を均一にすることができ、試料の流れを一定にできる。また、プレート1と蓋部材2を同一の材料で形成することにより、後述する充填材のプレート1及び蓋部材2に対するふるまいが同一になり、毛細管現象による充填材の動きが円滑化する。
【0026】
プレート1は、そのほぼ中央部に細長い直線状の微細溝(凹部)3が形成されている。この微細溝3は、断面形状がほぼ正方形(例えば、一辺の長さが5〜1000μmの正方形)であり、全長が数センチメートルの長さである。そして、この微細溝3の両端部には、平面形状が円形の試料受け穴(凹部)4がそれぞれ形成されており、この試料受け穴4と微細溝3とが連通するようになっている(図1参照)。また、この試料受け穴4及び微細溝3の周囲には、試料受け穴4及び微細溝3を取り囲むようにシール面5が形成され、このシール面5の周囲に仕切溝6を境にして蓋部材固定面7が形成されている。尚、本実施の形態において、シール面5と蓋部材固定面7はほぼ同一平面になるように形成されている。また、微細溝3は、図3及び図4(b)に示すように、断面形状が正方形となるように形成されており、本実施の形態では一辺の長さが0.3mmの大きさに形成されている。また、仕切溝6は、図3及び図4(a)に示すように、断面形状が正方形となるように形成されており、一辺の長さが1mmの大きさに形成されている。
【0027】
蓋部材2は、プレート1の平面形状とほぼ同様の大きさに形成されたプレート部材であり、微細溝3の両端部側にそれぞれ充填材注入孔8が一対づつ形成されている。この充填材注入孔8は、プレート1のシール面5の外側に位置し、且つ一部が仕切溝6上に開口するようになっている。そして、微細溝3の一端部側の充填材注入孔8及び他端部側の充填材注入孔8は、微細溝3を中心とした対象位置に、それぞれ一対形成されている。また、この蓋部材2には、プレート1の試料受け穴4,4に対応する位置に貫通孔10,10が形成されている。
【0028】
このような構成の本実施の形態によれば、プレート1は、その蓋部材固定面7に接着剤が塗布される。また、蓋部材2は、蓋部材固定面7に対応する位置に接着剤が塗布される。なお、本実施の形態において、接着剤は、難接着性樹脂材料であるPPの接着性に優れたもの、例えば、シアノアクリレート系接着剤が使用され、表面が有機アミン系のプライマーによってプライマー処理された部分に塗布される。そして、例えば、図1のプレート1の第1側面11aに図2の蓋部材2の第1側面11bを重ね、図1のプレート1の第2側面12aに図2の蓋部材2の第2側面12bを重ねて、このプレート1と蓋部材2の重ね合わせた状態がずれないように図示しない把持手段で保持し、プレート1と蓋部材2とを接着固定する。次いで、充填材が充填材注入孔8から注入される。この充填材は、後述する毛細管(毛管)現象の利用に適するように、粘度が小さいものがよい。また、充填材の硬化に時間を要すると、シール面5に流入された充填材が動いてしまう虞があるので、硬化時間の短い充填材が好ましい。例えば、スリーボンド社のUV硬化形接着剤3042(商品名)などが好適である。尚、プレート1の第1側面11a及び第2側面12aと、蓋部材2の第1側面11b及び第2側面12bは、プレート1と蓋部材2を重ね合わせ、これら両者(1,2)を固定する際の基準面となる。そして、第1側面11a,11bと第2側面12a,12bとが略直交するようになっている。
【0029】
充填材注入孔8から注入された充填材は、図4(a)に拡大して示すように、仕切溝6内に溜まり、プレート1のシール面5と蓋部材2の下面13との微小隙間14にまで達すると、毛細管現象によりプレート1のシール面5と蓋部材2の下面13との間の微小隙間14に急速に浸透する。この際、充填材は、図4(b)に示すように、プレート1のシール面5と蓋部材2の下面13との間の微小隙間14に毛細管現象で浸透するようになっているため、プレート1と蓋部材2との隙間が急激に大きくなる微細溝3内には毛細管現象によって流入するようなことがなく、且つ微細溝3の側壁3aを上方に延長した部分まで充填材が浸透する。その結果、図4(b)に示すように、微細溝3の断面形状が所望の矩形断面形状に精度良く形成される。尚、プレート1及び蓋部材2を射出成形により形成した場合には、プレート1及び蓋部材2の表面に射出成形金型の面性状が転写されることになり、プレート1のシール面5と蓋部材2との間に数ミクロンの微小隙間14ができ、この微小隙間14によって毛細管現象が生じるものと考えられている。
【0030】
このようにして、プレート1に蓋部材2が取り付けられることにより、キャピラリ電気泳動チップ(マイクロチップ)15が形成される。そして、このキャピラリ電気泳動チップ15は、蓋部材2の一方の貫通孔10から微細溝3内に電気泳動用緩衝液や分子ふるい用ポリマ等の分離用媒体を充填し、蓋部材2の他方の貫通孔10から微細溝3の一端に試料を導入した後、微細溝3の両端に高電圧を印加して、試料を微細溝3内で移動させ、その電荷や分子量の差などにより特定物質を分離し、これをUV吸収や蛍光などにより検出するために使用される。
【0031】
以上のように、本実施の形態によれば、プレート1は、微細溝3及び試料受け穴4を取り囲むように形成されたシール面5とこのシール面5を取り囲むように形成された蓋部材固定面7とが仕切溝6によって隔てられているため、蓋部材2が蓋部材固定面7に接着剤で固定され、余分な接着剤が仕切溝6内に流入することがあっても、仕切溝6が接着剤のダム機能を発揮し、余分な接着剤が仕切溝6に捕捉されることにより、接着剤がシール面5を越えて微細溝3や試料受け穴4内に流入するようなことがなく、微細溝3や試料受け穴4が接着剤で塞がれたり、微細溝3や試料受け穴4の断面形状が接着剤によって変化するようなことがない。しかも、本実施の形態によれば、図4(b)に示すように、プレート1のシール面5と蓋部材2との間の微小隙間14には充填材を毛細管現象によって浸透させるようになっているため、プレート1と蓋部材2との間の隙間が急激に大きくなる微細溝3や試料受け穴4内に充填材が流入することがなく、且つ、充填材が微細溝3の側壁3aを上方に延長した部分まで浸透する。したがって、本実施の形態において、蓋部材2が所定位置に接着されたプレート1をキャピラリ電気泳動チップ15として使用する場合、微細溝3内を電気泳動する試料の動きが充填材によって妨げられるというような不具合を発生するようなことがない。
【0032】
また、本実施の形態によれば、プレート1のシール面5と蓋部材2との間に充填材を毛細管現象で確実に浸透させることができるため、微細溝3内に圧力をかけて試験等を行う場合にも、プレート1と蓋部材2の間から試料が漏出するようなことがない。
【0033】
また、本実施の形態によれば、プレート1と蓋部材2との隙間が急激に大きくなる微細溝3内には毛細管現象によって充填材が流入するようなことがなく、且つ微細溝3の側壁3aを上方に延長した部分まで接着剤が浸透するため、試料の流路の断面形状を設定どおりに均一に確保でき(試料の流路断面積のばらつきを防止でき)、試料の流れが安定化し、試験精度が向上する。
【0034】
また、本実施の形態によれば、プレート1と蓋部材2との固定は接着剤による接着とする一方、微細溝3のシールは微小隙間14に浸透させた充填材によって行うように構成されているので、次に述べるような作用効果を有する。
【0035】
すなわち、プレート1と蓋部材2とを接着固定することについては、プレート1及び蓋部材2を形成する樹脂材料に対して良好な接着強さを有する接着剤を適宜選択することができるので、例えばポリプロピレンのような難接着性の樹脂材料によりプレート1及び蓋部材2が形成されている場合であっても、十分な接着強さで両部材を接着することができる。また、このようにして、プレート1と蓋部材2とを、樹脂材料の種類にかかわらず、 十分な接着強さを有して接着固定することができるので、プレート1のシール面5と蓋部材2の下面13により構成される微小隙間14に充填される充填材は、プレート1及び蓋部材2に対する接着性をそれほど気にすることなく、充填しやすいものを選択することが可能となる。
【0036】
尚、本実施の形態において、プレート1及び蓋部材2を耐薬品性に優れたPPで形成する態様を例示したが、これに限られず、プレート1及び蓋部材2をポリカーボネート(PC),ポリメタクリル酸メチル(PMMA),紫外線硬化樹脂,ガラス等によって形成するようにしてもよい。また、本実施の形態において、プレート1と蓋部材2を固定する接着剤は、シアノアクリレートを例示したが、これに限られず、プレート1及び蓋部材2の材料に応じて適宜選択される。また、本実施の形態において、充填材としてUV硬化系接着剤を例示したが、これに限られず、毛細管現象の作用によって微小隙間14に浸透し、微細溝3の側壁3aを上方へ延長した部分まで微小隙間14を埋めることができ、且つ微小隙間14の僅かな寸法変化によって隙間を生じない程度の接着性(プレート1及び蓋部材2との接着強度)を有する材料であればよい。
【0037】
また、本実施の形態においては、プレート1と蓋部材2とを接着固定した後に、シール面5に充填材を注入する態様を例示したが、これに限られず、プレート1と蓋部材2とを把持手段により保持した上で、まず充填材をシール面5に注入・浸透させた後に、蓋部材固定面7に接着剤を注入し、プレート1と蓋部材2とを接着固定してもよい。
【0038】
また、本実施の形態においては、プレート1のシール面5と蓋部材2との間に毛細管現象によって充填材を浸透させる態様を示したが、微細溝3が比較的大きく、プレート1のシール面5と蓋部材2との間に毛細管現象によって充填材を浸透させるほどの精密な作業を必要としない場合には、極めて薄い樹脂フィルムをプレート1のシール面5と蓋部材2との間に挟み込んだり、また、微細溝3側に突出しない程度の量の充填材をプレート1のシール面5と蓋部材2との間に介装させ、両部材1,2間の隙間を塞ぐようにしてもよい。このようにしても、微細溝3内からの試料の漏出を防止でき、難接着性のプレート1と蓋部材2とを重ねて固定することが可能になる。
【0039】
(第1変形例)
図5及び図6は、上述の実施の形態の第1変形例に係るプレート1の組立構造を示す図である。
【0040】
これらの図に示す本変形例は、充填材注入孔8の位置のみが前記第1の実施の形態と相違しており、他の構成は前記第1の実施の形態と同様である。すなわち、本変形例は、充填材注入孔8がプレート1のシール面5,仕切溝6及び蓋部材固定面7に跨って開口するように形成されている。
【0041】
このような構成の本変形例によれば、充填材注入孔8から充填材を滴下した場合、シール面5上に滴下された充填材がプレート1のシール面5と蓋部材2との微小隙間14に毛細管現象で浸透すると共に、その他の余分な充填材が仕切溝6内に流出するか、又は、仕切溝6内に滴下された充填材が仕切溝6内からプレート1のシール面5と蓋部材2との微小隙間14に毛細管現象で浸透する。したがって、本変形例は、上述の第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0042】
(第2変形例)
図7及び図8は、上述の実施の形態の第2変形例に係るプレート1の組立構造を示す図である。
【0043】
これらの図に示す本変形例は、微細溝3の両端部に開口する蓋部材2の貫通孔16が充填材注入孔としても使用されるようになっている。この本変形例の場合は、充填材を貫通孔16から滴下する際に、滴下する位置を微細溝3とは反対側のシール面5上であって、貫通孔16の壁面に沿う位置(図8の斜線部分17)を目標にすることが好ましい。このような位置に接着剤を滴下すれば、滴下した充填材がシール面5と蓋部材2との微小隙間14から毛細管現象で浸透し、充填材が微細溝3内に流入するのを防止することが可能になる。尚、蓋部材2の貫通孔16は、試料受け穴4の周囲に充分なシール面5が確保できるような大きさに形成されており、試料受け穴4よりも大径に形成されている。
【0044】
(第3変形例)
図9及び図10は、上述の実施の形態の第3変形例に係るプレート1の組立構造を示す図である。
【0045】
これらの図に示す本変形例は、充填材注入孔8の位置のみが上述の実施の形態と相違しており、他の構成は上述の実施の形態と同様である。すなわち、本変形例は、充填材注入孔8がプレート1のシール面5に開口するように形成されている。
【0046】
このような構成の本変形例によれば、蓋部材2をプレート1の蓋部材固定面7に接着固定した後、充填材注入孔8から充填材を滴下した場合、シール面5上に滴下された充填材がプレート1のシール面5と蓋部材2との微小隙間14に毛細管現象で浸透する。したがって、本変形例は、上述の実施の形態と同様の効果を得ることができる。尚、充填材注入孔8から充填材を注入する際には、図9に示すように、充填材注入孔8のうちの微細溝3に対して遠い部分(黒塗り部分18)に滴下することが好ましい。このようにすれば、蓋部材2とプレート1との組み付け誤差が生じ、充填材注入孔8が微細溝3側にズレを生じても、充填材が微細溝3内に直接流入するのを防止することができる。
【0047】
(第4変形例)
図11及び図12は、上述の実施の形態の第4変形例に係るプレート1の組立構造を示すものである。
【0048】
これらの図に示す本変形例においてプレート1は、シール面5を取り囲むように所定幅の蓋部材固定面7が形成され、この蓋部材固定面7の外側に固定逃げ部20が形成され、接着剤を塗布する面積が少なくて済むように構成されているが、他の構成は上述の実施の形態と同様である。尚、プレート1の固定逃げ部20は、蓋部材2に接触しないように、蓋部材固定面7よりも僅かに凹んでいればよい。また、蓋部材固定面7の幅寸法Wは、蓋部材2をプレート1に固定できるだけの充分な接着強度が得られればよく、プレート1の設計条件等に応じて適宜決定される。
【0049】
(第5変形例)
図13は、上述の実施の形態の第5変形例に係るプレートの組立構造を示すものである。
【0050】
本変形例は、プレート1に蓋部材2を接着固定するようになっている上述の実施の形態に対し、プレート1の蓋部材固定面7に複数個形成された略円柱状の突起21を蓋部材2の係合穴22に嵌合した後、突起21の先端を溶融等してかしめることにより、プレート1に蓋部材2を組み付け固定するようになっている。
【0051】
このような構成の本変形例によれば、プレート1と蓋部材2とが接着固定するのに難しい材料である場合に、プレート1と蓋部材2を確実に固定することができる。しかも、本変形例によれば、プレート1の突起21を位置決めピンとして機能させ、プレート1に蓋部材2を高精度で位置決め固定することができる。
【0052】
尚、本変形例は、プレート1側に突起21を形成し、蓋部材2側に係合穴22を形成する態様を例示したが、これに限られず、プレート1と蓋部材2のいずれか一方に突起21を形成し、プレート1と蓋部材2のいずれか他方に係合穴22を形成すればよい。また、突起21と係合穴22の形成箇所は、微細溝3の形状やプレート1上のスペース等に応じて適宜決定されるが、微細溝3近傍におけるプレート1と蓋部材2との固定強度を可能な限り高めるため、蓋部材固定面7のうちの仕切溝6の近傍位置に決定するのが好ましい。
【0053】
[第2の実施の形態]
図14〜図17は、本発明の第2の実施の形態に係るプレート1の組立構造を示すものである。これらの図に示すように、本実施の形態は、プレート1のシール面5及びこのシール面5に対向する蓋部材2の面(下面)13の少なくとも一方に、スペーサ突起31が適当な間隔で複数形成されている。
【0054】
例えば、図14は、プレート1のシール面5に適当な間隔で複数のスペーサ突起31が形成された状態を示すものである。そして、図16は、このスペーサ突起31が形成されたプレート1に蓋部材2を重ねて接着した状態を示すものであり、図14のプレート1の第1側面11aに図15の蓋部材2の第1側面11bを重ね、且つ図14のプレート1の第2側面12aに図15の蓋部材2の第2側面12bを重ねるようにして接着した状態を示すものである。この図16に示すように、プレート1のシール面5に形成されたスペーサ突起31を対向する蓋部材2に当接させることにより、プレート1のシール面5と蓋部材2との間に、充填材32が毛細管現象で浸透できる程度の隙間を生じさせることができるようになっている。すなわち、プレート1のシール面5に形成されるスペーサ突起31の突起高さは、プレート1のシール面5と蓋部材2との間に、充填材32が毛細管現象で浸透できる程度の隙間を生じさせることができる程度の寸法になっている。
【0055】
図17は、プレート1のシール面5に形成されたスペーサ突起31の形状を示すものである。この図に示すように、スペーサ突起31は、図17(b)に示す円柱状又は図17(c)に示す略半球状に形成されることが製作上において好ましいが、これに限定されるものではなく、円錐台形状やその他の形状の突起でもよい。
【0056】
図15は、蓋部材2のうちのプレート1に接着される下面13に、図17で示したようなスペーサ突起31が適当な間隔で複数形成される態様を示すものである。また、図14に示すように、プレート1のシール面5にスペーサ突起31を形成し、且つ、蓋部材2のうちの接着される下面13にスペーサ突起31を形成して、それら各スペーサ突起31を対向する相手部材に突き当てて、プレート1のシール面4と蓋部材2との間に、充填材32が毛細管現象で浸透できる程度の隙間を生じさせるようにしてもよい。
【0057】
(第1変形例)
図18及び図19は、本実施の形態の第1変形例を示すものである。先ず本変形例は、図18に示すように、プレート1の蓋部材固定面7にスペーサ突起33が適当な間隔で複数形成される態様を示すものである。このプレート1の蓋部材固定面7は、既に第1の実施の形態において説明したように、シール面5の周囲に微細溝3で隔てられるように形成された部分であり、シール面5とほぼ同一平面上に位置するように形成されている。したがって、このプレート1の蓋部材固定面7に形成されるスペーサ突起33は、シール面5に形成されるスペーサ突起31とほぼ同一の突起高さに形成される(図14及び図16参照)。その結果、プレート1の蓋部材固定面7に形成されたスペーサ突起33を蓋部材2の下面13に突き当てるように、プレート1上に蓋部材2を重ねれば、プレート1のシール面5と蓋部材2との間に、充填材が毛細管現象で浸透できる程度の隙間が生じる。
【0058】
また、図19に示すように、蓋部材2のうちのプレート1の蓋部材固定面7に対応する面(下面)13に、スペーサ突起33が適当な間隔で複数形成される態様にしてもよい。この場合のスペーサ突起33の突起高さは、図18の場合と同様に、蓋部材固定面7に形成されたスペーサ突起33と同一の突起高さに形成される。その結果、蓋部材2の下面13に形成されたスペーサ突起33をプレート1の蓋部材固定面7に突き当てるように、蓋部材2とプレート1とを重ねれば、プレート1のシール面5と蓋部材2との間に、充填材が毛細管現象で浸透できる程度の隙間が生じる。尚、スペーサ突起33は、プレート1の蓋部材固定面7及び蓋部材2の両方に形成するようにしてもよい。
【0059】
(第2変形例)
図20〜図22は、本実施の形態の第2変形例を示すものである。先ず本変形例は、図20に示すように、プレート1の固定逃げ部20にスペーサ突起34が適当な間隔で複数形成される態様を示すものである。このプレート1の固定逃げ部20は、既に第1の実施の形態において説明したように、シール面5の周囲に凹むように形成された部分である。したがって、このプレート1の固定逃げ部20に形成されるスペーサ突起34は、固定逃げ部20がシール面5よりも凹んだ寸法を加えた突起高さに形成される(図21参照)。その結果、プレート1の固定逃げ部20に形成されたスペーサ突起34を蓋部材2の下面13に突き当てるように、プレート1上に蓋部材2を重ねれば、プレート1のシール面5と蓋部材2との間に、充填材が毛細管現象で浸透できる程度の隙間が生じる。
【0060】
また、図22に示すように、蓋部材2のうちのプレート1の固定逃げ部20に対応する面(下面)13に、スペーサ突起34が適当な間隔で複数形成される態様にしてもよい。この場合のスペーサ突起34の突起高さは、図20の場合と同様に、固定逃げ部20がシール面5及び蓋部材固定面7よりも凹んだ寸法を加えた突起高さに形成される。その結果、蓋部材2の下面13に形成されたスペーサ突起34をプレート1の固定逃げ部20に突き当てるように、蓋部材2とプレート1とを重ねれば、プレート1のシール面5と蓋部材2との間に、充填材が毛細管現象で浸透できる程度の隙間が生じる。尚、スペーサ突起34は、プレート1の固定逃げ部20及び蓋部材2の両方に形成するようにしてもよい。
【0061】
(本実施の形態の効果)
このような構成の本実施の形態によれば、プレート1と蓋部材2の少なくとも一方に形成されたスペーサ突起31,33,34により、プレート1のシール面5と蓋部材2との間に、充填材が毛細管現象で浸透できる程度の隙間を形成することができるため、仮にプレート1や蓋部材2に反り等の変形が生じていても、その反り等の変形を矯正するようにプレート1と蓋部材2とを押さえ合わせて、充填材をプレート1のシール面5と蓋部材2との隙間に毛細管現象で浸透させることができ、プレート1の微細溝3の周囲(プレート1と蓋部材2との隙間)を確実にシールすることができる。
【0062】
[第3の実施の形態]
図23は、本発明の第3の実施の形態を示すものであり、第1の実施の形態のプレート1と蓋部材2との間にスペーサ35を介在させる態様を示すものである。
【0063】
この図23において、プレート1の蓋部材固定面7には、シール面5を囲むような仕切溝6が形成され、この仕切溝6には、球状,円柱等の柱状又は円筒等の筒状等のスペーサ35が複数収容されるようになっている。そして、スペーサ35が収容されたプレート1上に蓋部材(図示せず)を重ね合わせることにより、プレート1のシール面4と蓋部材との間に、充填材が毛細管現象で浸透できる程度の隙間が形成される。
【0064】
尚、本実施の形態において、仕切溝6を外側から取り囲むようなスペーサ収容溝を別途形成し、このスペーサ収容溝にスペーサ35を収容してもよい。
【0065】
以上のような本実施の形態は、プレート1と蓋部材(2)との間に収容されたスペーサ35により、プレート1のシール面5と蓋部材(2)との間に、充填材が毛細管現象で浸透できる程度の隙間を形成することができるため、仮にプレート1や蓋部材(2)に反り等の変形が生じていても、その反り等の変形を矯正するようにプレート1と蓋部材(2)とを押さえ合わせて、充填材をプレート1のシール面5と蓋部材(2)との隙間に毛細管現象で浸透させることができ、プレート1の微細溝3の周囲(プレート1と蓋部材(2)の隙間)を確実にシールすることができる。
【0066】
また、本実施の形態によれば、スペーサ35を仕切溝6内に収容するようになっている。これにより、スペーサ35が間違って微細溝3内に侵入するようなことがなく、スペーサ35によって微細溝3が詰まるような不都合を生じることがない。また、スペーサ35がプレート1から脱落する虞もない。
【0067】
[第4の実施の形態]
図24は、本発明の第4の実施の形態を示すものであり、プレート1と蓋部材2の密着力を高めるための態様を例示するものである。
【0068】
先ず、図24(a)は、プレート1のシール面5とこれに対向する蓋部材2の下面13に、それぞれスペーサ突起31の突起高さよりも低い凸部40a,40bを形成し、プレート1のスペーサ突起31と凸部40a又はプレート1の凸部40aと凸部40aの間に、蓋部材2の凸部40bを挿入するように、プレート1と蓋部材2とを重ね合わせる態様を示している。このような態様によれば、スペーサ突起31と凸部40b、又は凸部40aと凸部40bの間に接着性を有する充填材が浸透する隙間が形成され、第1の実施の形態におけるプレート1に比べて、プレート1及び蓋部材2と充填材との接する表面積が大きくなることにより、プレート1と蓋部材2との密着力が大きくなり、微細溝3周囲のシール性能を向上させることができる。
【0069】
次に、図24(b)は、プレート1のスペーサ突起31a,31a間に蓋部材2のスペーサ突起31bを挿入するように、プレート1と蓋部材2とを重ね合わせる態様を示している。この図に示す態様によれば、各スペーサ突起31a,31b間に充填材が毛細管現象で浸透する程度の隙間が形成され、第1の実施の形態におけるプレート1に比べて、プレート1及び蓋部材2と充填材との接する表面積が大きくなることにより、プレート1と蓋部材2との密着力が大きくなり、微細溝3周囲のシール性能を向上させることができる。
【0070】
次に、図24(c)は、プレート1の図示しないスペーサ突起間に形成した凸部41aと蓋部材2に形成した凸部41bとを突き合わせるように、プレート1と蓋部材2とを重ね合わせる態様を示している。この図の態様によれば、隣り合う凸部41a,41b間には、充填材が毛細管現象で浸透できる程度の隙間が形成され、第1の実施の形態におけるプレート1に比べて、プレート1及び蓋部材2と充填材との接する表面積が大きくなることにより、プレート1と蓋部材2との密着力が大きくなり、微細溝3周囲のシール性能を向上させることができる。尚、この図に示す凸部41a,41bをスペーサ突起として利用することが可能である。
【0071】
次に、図24(d)は、プレート1のスペーサ突起31,31間に、スペーサ突起31の高さの半分以下の高さ寸法の凸部42aを形成し、この凸部42a,とほぼ同様の凸部42bを蓋部材2にも形成する態様を示している。この図の態様によれば、スペーサ突起31,31間の隙間に凸部42a,42bが位置しているため、第1の実施の形態におけるプレート1に比べて、プレート1及び蓋部材2と充填材との接する表面積が大きくなることにより、プレート1と蓋部材2との密着力が大きくなり、微細溝3周囲のシール性能を向上させることができる。
【0072】
[第5の実施の形態]
図25は、本発明の第5の実施の形態を示すものであり、スペーサ突起31の形成例を示すものである。
【0073】
先ず、図25(a)は、シール面5に隣接する複数のスペーサ突起31の間隔をほぼ均等に形成する態様を例示している。また、図25(b)は、シール面5に形成するスペーサ突起31の間隔が、微細溝3から離れるに従って密から粗に変化する態様を例示している。この図25(b)の構成によれば、微細溝3から離れた位置では充填材の流動抵抗が小さく、微細溝3の近傍では充填材の流動抵抗が大きくなる。その結果、図25(b)の構成によれば、充填材が微細溝3に流れ込むのをより一層効果的に防止できる。
【0074】
ここで、図25(a),(b)に示すように、微細溝3に最も近いスペーサ突起31は、微細溝3から所定間隔だけ離れた位置に形成されるようになっている。このように構成することにより、プレート1のシール面5と蓋部材(図示せず)との間を毛細管現象で浸透してきた充填材が、微細溝3側に出っ張るような不具合を未然に防止することができる。
【0075】
[その他の実施の形態]
尚、本発明は、上述したプレート1に蓋部材2を固定する態様(プレート1に蓋部材2を接着固定する態様(図1〜図4参照)と、プレート1の突起21に蓋部材2の係合穴22を嵌合してかしめ固定する態様(図13参照))に限られず、蓋部材2を超音波溶着,振動溶着,レーザー溶着等によってプレート1の蓋部材固定面7に固定するようにしてもよい。このように、超音波溶着,振動溶着,レーザー溶着で蓋部材2をプレート1に固定する態様は、蓋部材2及びプレート1の双方を部分的に溶かすことになるが、溶融固着する部分が仕切溝6によってシール面5及び微細溝3から隔てられているため、微細溝3及び試料受け穴4の形状精度に悪影響を与えるようなことがない。
【0076】
また、本発明において、微細溝3の断面形状は、上記実施の形態の形状に限られず、半円形,U字形,略三角形やその他の形状でもよい。
【0077】
また、本発明において、仕切溝6の断面形状は、上記実施の形態の形状に限られず、半円形,U字形,略三角形やその他の形状でも良い。
【0078】
また、本発明における上記実施の形態の微細溝3の平面形状は、直線形状(図1参照)に限定されず、十字形状,Y字形状,湾曲形状やその他の複雑な形状の微細溝3を有するプレート1の組立構造に適用することができる。また、本発明は、溝幅や溝深さが一定の微細溝3を有するプレート1の組立構造に適用されることはもちろんであるが、溝幅や溝深さが可変である微細溝3を有するプレート1の組立構造に適用することができる。
【0079】
また、上述の各実施の形態は、説明の便宜上、生化学の分野の試験に供せられるキャピラリ電気泳動チップ15を例示して説明したが、本発明は、これに限られず、合成化学,物理化学,分析化学等の生化学以外の化学的な試験に供される凹部が形成されたプレートの組立部に広く適用することができる。
【0080】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、プレートは、その凹部を取り囲むようにシール面が形成されると共に、このシール面と仕切溝によって隔てられる蓋部材固定面が形成され、蓋部材固定面に蓋部材が固定され、シール面と蓋部材との微小隙間に充填材を毛細管現象で浸透させるようになっているため、凹部の側壁を上方へ延長した部分まで充填材が浸透して、シール面と蓋部材との微小隙間を確実に埋めることができるものの、充填材が凹部内に流入するような不具合を生じることがない。したがって、本発明によれば、プレートの凹部の形状精度を損なうことなくプレートに蓋部材を接合することができる。
【0081】
また、本発明は、プレートと蓋部材の少なくとも一方に形成されたスペーサ突起により、プレートのシール面と蓋部材との間に、充填材が毛細管現象で浸透できる程度の隙間を形成することができるため、仮にプレートや蓋部材に反り等の変形が生じていても、その反り等の変形を矯正するようにプレートと蓋部材とを押さえ合わせて、充填材をプレートのシール面と蓋部材との隙間に毛細管現象で浸透させることができ、プレートの凹部の周囲(プレートと蓋部材との隙間)を確実に充填材でシールすることができる。
【0082】
また、本発明は、プレートと蓋部材の間にスペーサを介在させることにより、プレートのシール面と蓋部材との間に、充填材が毛細管現象で浸透できる程度の隙間を形成することができるため、仮にプレートや蓋部材に反り等の変形が生じていても、その反り等の変形を矯正するようにプレートと蓋部材とを押さえ合わせて、充填材をプレートのシール面と蓋部材との隙間に毛細管現象で浸透させることができ、プレートの凹部の周囲(プレートと蓋部材との隙間)を確実に充填材でシールすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るプレートの平面図であり、このプレートに接着される蓋部材側の構成を二点鎖線で示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る蓋部材の平面図である。
【図3】図1のA1−A1線に沿って切断して示す断面図である。
【図4】図4(a)は図3の一部を拡大して示す断面図であり、図4(b)は図1のA2−A2線に沿って切断して示す断面図(充填状態を模式的に示す図)である。
【図5】本発明の第1の実施の形態の第1変形例に係るプレートの平面図であり、このプレートに接着される蓋部材側の構成を二点鎖線で示す図である。
【図6】図5のB−B線に沿って切断して示す断面図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態の第2変形例に係るプレートの平面図であり、このプレートに接着される蓋部材側の構成を二点鎖線で示す図である。
【図8】図7のプレートの表面に蓋部材を接着する状態を示す平面図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態の第3変形例に係るプレートの平面図であり、このプレートに接着される蓋部材側の構成を二点鎖線で示す図である。
【図10】図9のC−C線に沿って切断して示す断面図である。
【図11】本発明の第1の実施の形態の第4変形例に係るプレートの平面図であり、このプレートに接着される蓋部材側の構成を二点鎖線で示す図である。
【図12】図11のD−D線に沿って切断して示す断面図である。
【図13】本発明の第1の実施の形態の第5変形例に係るプレートの組立構造を説明するための断面図である。
【図14】本発明の第2の実施の形態に係るプレートの平面図であり、このプレートに接着される蓋部材側の構成を二点鎖線で示す図である。
【図15】本発明の第2の実施の形態に係る蓋部材の平面図である。
【図16】本発明の第2の実施の形態に係るプレートの組立構造を示す断面図であり、微細溝に対して直角に断面した図である。
【図17】本発明の第2の実施の形態に係るスペーサ突起を示す図である。図17(a)はスペーサ突起と微罪溝との関係を示す平面図である。また、図17(b)はスペーサ突起の一例を示す斜視図であり、図17(c)はスペーサ突起の他の一例を示す斜視図である。
【図18】本発明の第2の実施の形態に係るプレートの第1変形例を示す平面図である。
【図19】本発明の第2の実施の形態に係る蓋部材の第1変形例を示す平面図である。
【図20】本発明の第2の実施の形態に係るプレートの第2変形例を示す平面図である。
【図21】本発明の第2の実施の形態に係るプレートの組立構造を示す断面図であり、微細溝に対して直角に断面して示す図である。
【図22】本発明の第2の実施の形態に係る蓋部材の第2変形例を示す平面図である。
【図23】本発明の第3の実施の形態に係るプレートの平面図である。
【図24】本発明の第4の実施の形態に係るプレートの組立構造を示す断面図である。図24(a)は第1例を示す断面図、図24(b)は第2例を示す断面図、図24(c)は第3例を示す断面図、図24(d)は第4例を示す断面図である。
【図25】本発明の第5の実施の形態に係るプレートの一部拡大平面図である。図25(a)がスペーサ突起をほぼ均等の間隔で形成する態様を示す図であり、図25(b)がスペーサ突起の形成密度を変化させる態様を示す図である。
【符号の説明】
1……プレート、2……蓋部材、3……微細溝(凹部)、4……試料受け穴(凹部)、5……シール面、6……仕切溝、7……蓋部材固定面、8……充填材注入孔、31,31a,31b,33,34……スペーサ突起、35……スペーサ、40a,40b……凸部、41a,41b……凸部(スペーサ突起)、42a,42b……凸部
Claims (11)
- プレートの表面に凹部が形成され、この凹部が形成されたプレートの表面に蓋部材が取り付けられるプレートの組立構造であって、
前記プレートは、前記凹部を取り囲むようにシール面が形成されると共に、このシール面と仕切溝によって隔てられる蓋部材固定面が形成され、
前記蓋部材固定面に前記蓋部材が固定され、前記シール面と前記蓋部材との間に毛細管現象で充填材が浸透させられることを特徴とするプレートの組立構造。 - プレートの表面に凹部が形成され、この凹部が形成されたプレートの表面に蓋部材が取り付けられるプレートの組立構造であって、
前記プレートは、前記凹部を取り囲むようにシール面が形成されると共に、このシール面と仕切溝によって隔てられる蓋部材固定面が形成され、
前記蓋部材固定面に前記蓋部材が固定され、前記プレートのシール面と前記蓋部材との間に両部材間の隙間を埋める充填材が配置されたことを特徴とするプレートの組立構造。 - プレートの表面に凹部が形成され、この凹部が形成されたプレートの表面に蓋部材が取り付けられるプレートの組立構造であって、
前記プレートは、前記凹部を取り囲むようにシール面が形成されると共に、このシール面と仕切溝によって隔てられる蓋部材固定面が形成され、
前記蓋部材は、前記プレートの仕切溝のうちの前記シール面近傍に対応する位置に開口する充填材注入孔が形成され、
前記蓋部材固定面に前記蓋部材が固定され、前記充填材注入孔から前記仕切溝に注入された充填材が前記シール面と前記蓋部材との間に毛細管現象で浸透させられることを特徴とするプレートの組立構造。 - プレートの表面に凹部が形成され、この凹部が形成されたプレートの表面に蓋部材が取り付けられるプレートの組立構造であって、
前記プレートは、前記凹部を取り囲むようにシール面が形成されると共に、このシール面と仕切溝によって隔てられる蓋部材固定面が形成され、
前記蓋部材は、前記プレートの仕切溝に少なくとも一部が重なる位置に充填材注入孔が形成され、
前記蓋部材固定面に前記蓋部材が固定され、前記充填材注入孔から注入された充填材が前記シール面と前記蓋部材との間に毛細管現象で浸透させられることを特徴とするプレートの組立構造。 - プレートの表面に凹部が形成され、この凹部が形成されたプレートの表面に蓋部材が取り付けられるプレートの組立構造であって、
前記プレートは、前記凹部を取り囲むようにシール面が形成されると共に、このシール面と仕切溝によって隔てられる蓋部材固定面が形成され、
前記蓋部材は、前記プレートの凹部の端部側で且つ前記シール面に対応する位置に開口する充填材注入孔が形成され、
前記蓋部材固定面に前記蓋部材が固定され、前記充填材注入孔から注入された充填材が前記シール面と前記蓋部材との間に毛細管現象で浸透させられることを特徴とするプレートの組立構造。 - 前記プレートの前記シール面と前記蓋部材の少なくとも一方には、相手部材に突き当てられることにより、前記プレートの前記シール面と前記蓋部材との間に前記充填材を毛細管現象で浸透させることができる程度の隙間を生じさせるスペーサ突起が形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のプレートの組立構造。
- 前記プレートの前記蓋部材固定面と前記蓋部材の少なくとも一方には、相手部材に突き当てられることにより、前記プレートの前記蓋部材固定面と前記蓋部材との間に前記充填材を毛細管現象で浸透させることができる程度の隙間を生じさせるスペーサ突起が形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のプレートの組立構造。
- 前記プレートの前記シール面と前記蓋部材には、互いに突き合わされることにより、前記プレートの前記シール面と前記蓋部材との間に前記充填材を毛細管現象で浸透させることができる程度の隙間を生じさせるスペーサ突起が形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のプレートの組立構造。
- 前記スペーサ突起が、前記凹部に近い部位から遠い部位に向かうにしたがって、密から粗の形成密度で形成されていることを特徴としている請求項6〜8のいずれか1項に記載のプレートの組立構造。
- 前記プレートの前記シール面と前記蓋部材の少なくとも一方には、前記隙間の寸法よりも小さな突出高さの凸部が相手部材に当接しないように形成されたことを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載のプレートの組立構造。
- 前記プレートと前記蓋部材との間には、前記プレートの前記シール面と前記蓋部材との間に前記充填材を毛細管現象で浸透させることができる程度の隙間を生じさせるスペーサが配置されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のプレートの組立構造。
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