JP2004136609A - 分割式ベルトスラブ成形型および伝動ベルト - Google Patents

分割式ベルトスラブ成形型および伝動ベルト Download PDF

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Abstract

【課題】外金型5を周方向において等分に分割してなる複数個の分割金型5a,5a,…を周方向に相隣る分割金型5a,5a同士が接続するように半径方向内方に移動することにより内金型4上のベルトスラブ3を所定形状に成形するようにした分割式ベルトスラブ成形型において、成形されたベルトスラブ3から得られる伝動ベルトの走行時に、周方向に相隣る分割金型5a,5a間の各接続部によってベルトスラブ3上に生じる不均一部位により発生する異音と、プーリの回転に伴う振動騒音との共振を未然に防止し、もって、ベルト走行騒音の低減に寄与する。
【解決手段】外金型5の分割金型5a,5a,…の個数Zを、伝動ベルトのベルトピッチ周長Lbをプーリのプーリピッチ周長Lpで除算して得られた値に最も近い整数M(≒Lb/Lp)を除く任意の整数(Z≠M)にする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、外型が複数個の分割型に分割されてなる分割式ベルトスラブ成形型に関し、特に分割型同士の接続部によりベルトスラブ上に生じる不均一部位に起因するベルト走行騒音を低減する対策に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年では、ベルト式無段変速装置に用いられるブロックベルトの張力帯や、両面歯付ベルト、Vリブドベルトなど、種々の伝動ベルトの製造過程において、伝動ベルトを得るための筒状のベルトスラブを所定形状に成形する際に、例えば、特許文献1などに記載されているように、外周に成形面を有する内型と、内周に成形面を有していて、周方向において複数個の分割型に分割されてなる外型とを備えた分割式ベルトスラブ成形型が用いられることは知られている。
【0003】
上記特許文献1のものでは、全ての分割型を半径方向内方に向かって等速で前進移動させることにより、ベルトスラブを均一に加圧することができるとされている。また、周方向において相隣る分割型間には、前進移動時の分割型を案内するとともに、分割型間の隙間にベルトスラブの一部が入り込んでばりになるのを防止するための案内部材が配置されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−96535号公報(第5頁,図3)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような分割式のベルトスラブ成形型の場合には、相隣る分割型同士の接続部に半径方向においてそれぞれ対応するベルトスラブ上の各部位では、ばりなどの発生を防ぐことはできるとしても、厳密には、他の部位と全く同じ条件の下に全く同じ力で加圧されるということはなく、その結果、最終的に得られた伝動ベルトでは、それが、必要とされる伝動能力や耐久性を満たしていたとしても、上記の各部位が、ベルトスラブ上の他の部位に比べて、ごく僅かであっても、不均一になることは避けられない。
【0006】
このようなベルトスラブ上の不均一部位は、上記ベルトスラブから得られる伝動ベルトを備えたベルト伝動装置において、伝動ベルトがプーリを通過する際に発生する異音の原因にもなるものではあるが、その異音自体の騒音レベルは、比較的小さい。
【0007】
ところで、ベルト伝動装置では、伝動ベルトの巻き掛けられるプーリが、その回転に伴い、振動騒音を発生することは知られている。この振動騒音は、プーリの1回転を1周期とするものであるが、このプーリ回転に伴う振動騒音自体の騒音レベルも、比較的小さい。
【0008】
しかしながら、従来の分割式ベルトスラブ成形型によりベルトスラブを成形する場合には、そのベルトスラブから得られた伝動ベルト上の不均一部位により発生する異音と、プーリの回転に伴う振動騒音とが一致して共振することがあり、その場合には、ベルト走行騒音が無視できなくなり、さらには、ベルトの寿命を低下させる虞れもあるという問題がある。
【0009】
本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、内型と、複数個の分割型からなる外型とを備えた分割式ベルトスラブ成形型において、周方向に相隣る分割型同士の各接続部によりベルトスラブ上に生じる不均一部位のベルト周長方向の位置をずらすことで、そのような不均一部位により発生するベルト走行時の異音と、プーリ回転に伴う振動騒音との共振を未然に防止できるようにし、もって、ベルト走行騒音の低減およびベルト寿命低下の抑制に寄与できるようにすることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成すべく、本発明では、ベルトスラブ上の不均一部位間の隣接間隔寸法を、プーリピッチ周長と異ならせるようにし、このことで、ベルト上の不均一部位による異音の発生周期と、プーリ回転に伴う振動騒音の発生周期とが一致して共振するのを回避するようにした。
【0011】
具体的には、請求項1の発明では、外周に成形面を有する内型と、内周に成形面を有していて、周方向において複数個の分割型に分割されてなる外型とを備えており、上記外型の分割型を周方向に相隣る分割型同士が接続するように半径方向内方に移動することにより上記内型上のベルトスラブを半径方向に挟圧して該ベルトスラブを所定形状に成形するようにした分割式ベルトスラブ成形型を前提としている。
【0012】
そして、上記外型の分割型は、周方向に相隣る分割型同士の接続部に半径方向においてそれぞれ対応するベルトスラブ上の複数の不均一部位間のベルト周長方向における全ての隣接間隔寸法が、ベルトスラブから得られる伝動ベルトに組み合わせて使用される複数のプーリのうち、対象とされる少なくとも1つのプーリのプーリピッチ周長と異なるように設けられているものとする。尚、ここで、「プーリピッチ周長」とは、図2に例示するように、プーリ1に巻き付けられた伝動ベルト2のピッチラインPb(伝動ベルト2をベルト走行面内で曲げたときに、ベルト周長方向の伸縮が生じないベルト周長方向のライン)に合致するプーリピッチラインPp上の周長である。また、「対象プーリ」とは、ベルト伝動装置の複数のプーリのうち、伝動ベルトとの共振騒音を低減しようとされたプーリのことである。
【0013】
上記の構成において、内型上に外嵌合された状態のベルトスラブに対し、外型の分割型が周方向に相隣る分割型同士を接続させるように半径方向内方に移動することにより、上記ベルトスラブは半径方向に挟圧されて所定の形状に成形される。その際に、周方向に相隣る分割型が互いに接続したときの各接続部に半径方向においてそれぞれ対応するベルトスラブ上の複数の部位では、他の部位に比べて、加圧条件や加圧力などの点で異なることから、不均一になる。
【0014】
このとき、上記ベルトスラブ上における複数のそれら不均一部位間のベルト周長方向における全ての隣接間隔寸法Lが、該ベルトスラブから得られる伝動ベルトに組み合わせて使用される複数のプーリのうち、対象とされるプーリのプーリピッチ周長Lpと異なる(L≠Lp)ので、伝動ベルトが対象プーリを通過するときに不均一部位により発生する異音の周期は、対象プーリの回転に伴う振動騒音の周期と異なることになる。よって、伝動ベルトの不均一部位による異音と、対象プーリの振動騒音とが共振するという事態は回避されるようになる。
【0015】
請求項2の発明では、請求項1の発明において、外型が、周方向において等分に分割されている場合に、その外型の分割型の個数は、伝動ベルトのベルトピッチ周長を、対象プーリのプーリピッチ周長で除算して得られる値に最も近い整数を除く任意の整数とされているものとする。
【0016】
上記の構成において、外型が周方向において等分に分割されている場合には、ベルトスラブ上の各不均一部位間のベルト周長方向における隣接間隔寸法Lは、互いに同じであって、該ベルトスラブのベルトピッチ周長Lbを分割型の個数Zにて除算(L=Lb/Z)することで得られる。ここで、隣接間隔寸法Lが、対象プーリのプーリピッチ周長Lpに等しい(L=Lp)と仮定すると、分割型の個数Zは、Z=Lb/Lp、となり、このときに、伝動ベルトの不均一部位による異音と、対象プーリの振動騒音との共振が発生することになる。但し、Lb/Lpは、一般に、整数以外の値であるので、その値に最も近い整数M(M≒Lb/Lp)が分割型の個数Zであるとき(Z=M)に、上記の共振は最も生じやすいことになる。
【0017】
このとき、分割型の個数Zが、上記最も近い整数Mを除く任意の整数(Z≠M)であるので、そのような外型を備えた分割式ベルトスラブ成形型により成形されたベルトスラブから得られる伝動ベルトでは、上記のような共振の発生は回避されることになる。尚、外型の分割型の個数Zが少ないと、外型を分割した効果が得られにくく、しかも、ベルトスラブ外周面の成形形状によっては、型抜きが困難であることから、一般には、分割型の個数Zは、3以上(Z≧3)であることが望ましい。また、Lb/Lpの値が整数であるときには、その整数を「最も近い整数M」とする。
【0018】
請求項3の発明では、請求項1の発明において、外型が、周方向において等分に分割されており、かつ、対象プーリが、プーリピッチ周長の可変である変速プーリである場合に、外型の分割型の個数は、伝動ベルトのベルトピッチ周長を、対象変速プーリの最大プーリピッチ周長で除算して得られる値と、最小プーリピッチ周長で除算して得られる値との間の範囲以外の任意の整数とされているものとする。
【0019】
上記の構成において、外型が周方向において等分に分割されており、かつ、対象プーリが、プーリピッチ周長の可変な変速プーリである場合には、不均一部位間の隣接間隔寸法Lが、対象変速プーリのプーリピッチ周長の最小値Lpmin と最大値Lpmax との間に含まれている(Lpmin ≦L≦Lpmax )と、つまり、分割型の個数Zが、Lb/Lpmax ≦Z≦Lb/Lpmin であると、プーリピッチ周長Lpが隣接間隔寸法Lに等しく(Lp=L)なる変速比のときに、伝動ベルトの不均一部位による異音と、対象変速プーリの振動騒音との共振が発生することになる。
【0020】
このとき、ベルトピッチ周長Lbを最大プーリピッチ周長Lpmax で除算して得られる値(Lb/Lpmax )と、ベルトピッチ周長Lbを最小プーリピッチ周長Lpmin で除算して得られる値(Lb/Lpmin )との間の範囲(Lb/Lpmax 〜Lb/Lpmin )以外の任意の整数N(N<Lb/Lpmax 、又は、Lb/Lpmin <N)が、外型の分割型の個数(Z=N)であるので、そのような外型を備えた分割式ベルトスラブ成形型により成形されたベルトスラブから得られる伝動ベルトでは、全ての変速比において、上記の共振の発生は回避されることになる。
【0021】
請求項4の発明では、請求項1の発明において、外型は、周方向において不等分に分割されているものとする。
【0022】
上記の構成において、ベルトスラブ上の各不均一部位間のベルト周長方向における隣接間隔寸法は、外型が周方向において不等分に分割されていることから、互いに異なる。よって、得られた伝動ベルトが対象プーリを通過するときに上記不均一部位により発生する異音の周期が一定でなくなるので、その周期が一定である場合に比べて、不均一部位による異音の発生自体が抑えられることとなる。
【0023】
請求項5の発明では、伝動ベルトとして、請求項1〜4の発明に係るベルトスラブ成形型を用いて成形されてなるベルトスラブから得られたものとするようにしたので、請求項1〜4の各発明でのベルト走行時における対象プーリの回転振動との共振騒音に起因する低減作用が具体的に営まれることとなる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0025】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る分割式ベストスラブ成形型の全体構成を模式的に示しており、この成形型は、図2に示すように、プーリピッチ周長(プーリピッチラインPp上での周長)が互いに同じである2つのプーリ1,1間に掛け渡されてベルト伝動装置を構成するための伝動ベルト2を製造する過程において、筒状のベルトスラブ3を所定の形状に加硫成形する際に用いられる。
【0026】
ベルトスラブ成形型は、断面円形状をなす内金型4と、この内金型4を取り囲むように外周側に配置された外金型5とを備えている。
【0027】
上記内金型4の外周には、ベルトスラブ3の内周面を所定の形状に形成するための成形面が設けられている。この内金型4は中空状とされていて、内部に加熱蒸気が供給されることで、該内金型4上に外嵌合された状態のベルトスラブ3を加熱加硫するようになっている。
【0028】
上記外金型5の内周には、ベルトスラブ3の外周面を所定の形状に形成するための成形面が設けられている。この外金型5は、周方向において複数個の分割金型5a,5a,…に分割されていて、これら分割金型5a,5a,…を、周方向に相隣る分割金型5a,5a同士が接続するように半径方向内方に移動させるとにより上記内金型4上のベルトスラブ3を半径方向に挟圧して該ベルトスラブ3を所定形状に成形するようになされている。
【0029】
そして、本実施形態では、上記の外金型5の分割金型5a,5a,…は、周方向に相隣る分割金型5a,5aが互いに接続したときの各接続部に半径方向においてそれぞれ対応するベルトスラブ3上の複数の不均一部位間のベルト周長方向における全ての隣接間隔寸法Lと、上記のベルトスラブ3から得られる伝動ベルト2に組み合わせて使用されるプーリ1のプーリピッチ周長Lpとが互いに異なる(L≠Lp)ように設けられている。
【0030】
具体的には、外金型5は、周方向において等分に分割されており、この外金型5の分割金型5a,5a,…の個数Zは、伝動ベルト2のベルトピッチ周長(ベルトピッチラインPb上での周長)Lbをプーリ1のプーリピッチ周長Lpで除算して得られた値(Lb/Lp)に最も近い整数M(M≒Lb/Lp)を除く整数(Z≠M)に定められている。
【0031】
具体例を挙げて説明すると、伝動ベルト2のベルトピッチ周長Lbが、Lb=747〔mm〕であり、プーリ1のピッチ径φが、φ=80〔mm〕であって、そのプーリピッチ周長Lpが、Lp=80π〔mm〕であるとすると、このときの除算値(Lb/Lp)は、
Lb/Lp=747/80π=2.97....
であるので、この除算値に最も近い整数Mは、M=3である。
【0032】
一方、分割金型5a,5a,…の個数Zについては、外金型5の分割数が少ないと、ベルトスラブを均一に加圧することが難しく、また、ベルトスラブ外周面の成形形状によっては型抜きが困難であることから、3以上(Z≧3)であることが望ましい。
【0033】
よって、分割金型5a,5a,…の個数Zは、4以上の整数(Z=4,5,6,…)となり、それにより、伝動ベルト2上の不均一部位による異音と、プーリ1の回転に伴う振動騒音との共振は回避されることになる。
【0034】
したがって、本実施形態によれば、外金型5が周方向において複数個の分割金型5a,5a,…に分割されてなる分割式ベルトスラブ成形型において、この分割式ベルトスラブ成形型により成形されたベルトスラブ3から得られる伝動ベルト2の不均一部位間の隣接間隔寸法Lと、伝動ベルト2に組み合わせて使用されるプーリ1のプーリピッチ周長Lpとが互いに異なる(L≠Lp)ように外金型5の分割数Zを定めることができるので、伝動ベルト2がプーリ1上を走行する際に、伝動ベルト2の不均一部位がプーリ1を通過することによる周期的な異音の発生周期と、プーリ1の回転に伴う振動騒音の周期とが共振するのを回避することができ、よって、そのような共振によるベルト走行時の騒音を低減することができるとともに、そのような共振によるベルト寿命の低下を抑制することができる。
【0035】
尚、上記の実施形態1では、伝動ベルト2に組み合わせて使用するプーリ1の数が2つであって、その2つのプーリ1,1の各プーリピッチ周長Lpが互いに同じである場合について説明しているが、伝動ベルト2に組み合わせて使用するプーリの数は任意であり、また、プーリピッチ周長の互いに異なる複数のプーリを対象プーリとする場合には、各プーリ毎に分割金型5a,5a,…の個数Zについての条件を算出し、しかる後、それら全ての条件を満たす整数値を求めるようにすればよい。
【0036】
(実施形態2)
図3は、本発明の実施形態に係るベルトスラブ成形型を用いて成形されたベルトスラブから得られた伝動ベルト2と、各々、プーリピッチ周長Lpが可変である2つの変速プーリ10,10とを備えたベルト式無段変速装置の全体構成を模式的に示している。尚、実施形態1の場合と同じ部分には同じ符号を付して示しており、上記のベルトスラブ成形型の外金型5は、実施形態1の場合と同じく、周方向において等分に分割されている。また、2つの変速プーリ10,10の各プーリピッチ周長Lpの可変範囲は、互いに同じである。
【0037】
そして、本実施形態では、外金型5の分割金型5a,5a,…の個数Zは、次の2つの条件式に示されるように、伝動ベルト2のベルトピッチ周長Lbを、変速プーリ10の最大プーリピッチ周長Lpmax で除算して得られる値(Lb/Lpmax )と、最小プーリピッチ周長Lpmin で除算して得られる値(Lb/Lpmin )との間の範囲(Lb/Lpmax 〜Lb/Lpmin )以外の整数に定められている。
【0038】
Z<Lb/Lpmax 
Z>Lb/Lpmin 
ここで、2つの具体例を挙げて説明すると、先ず、具体例1として、伝動ベルト2のベルトピッチ周長Lbが、Lb=655〔mm〕であり、各変速プーリ10のピッチ径φの可変範囲が、55〔mm〕≦φ≦80〔mm〕であって、最大プーリピッチ周長Lpmax が、Lpmax =80πであり、最小プーリピッチ周長Lpmin が、Lpmin =55πであるときには、上記のLb/Lpmax およびLb/Lpmin は、それぞれ、
Lb/Lpmax =655/80π≒2.61
Lb/Lpmin =655/55π≒3.79
となるので、これらの条件式を満たす解は、3以外の整数である。一方、外金型5の分割数Zとしては、一般に、3以上(Z≧3)が好ましい。よって、この場合の分割金型5a,5a,…の個数Zは、Z≧4である。
【0039】
次に、具体例2として、伝動ベルト2のベルトピッチ周長Lbが、Lb=760〔mm〕であり、各変速プーリ10の最大プーリピッチ周長Lpmax および最小プーリピッチ周長Lpmin が、上記具体例1の場合と同じく、それぞれ、Lpmax =80πおよびLpmin =55πであるときには、Lb/Lpmax およびLb/Lpmin は、それぞれ、
Lb/Lpmax =760/80π≒3.02
Lb/Lpmin =760/55π≒4.40
となるので、この場合の分割金型5a,5a,…の個数Zは、Z=3,Z≧5である。ここで、上記のベルト式無段変速装置において、一方の変速プーリ10が最大プーリピッチ周長Lpmax になる変速比の頻度が低い場合や、その変速比のときの共振騒音が要求値を満たす場合には、Z=3,Z≧5の条件にそのまま従って分割金型5a,5a,…の個数Zを定めてもよいが、全ての変速域における共振騒音を極力回避しようとする場合には、Z=3を避けて、Z≧5を採用することになる。
【0040】
したがって、本実施形態によれば、各々、プーリピッチ周長Lpが可変である2つの変速プーリ10,10に巻き掛けられてベルト式無段変速装置を構成する伝動ベルト2の製造過程において、その伝動ベルト2を得るためのベルトスラブ3を所定形状に成形するための分割式ベルトスラブ成形型の外金型5の分割金型5a,5a,…の個数Zを、伝動ベルト2のベルトピッチ周長Lbを、変速プーリ10の最大プーリピッチ周長Lpmax で除算して得られる値(Lb/Lpmax )と、最小プーリピッチ周長Lpmin で除算して得られる値(Lb/Lpmin )との間の範囲以外の整数に定めることで、外金型5の周方向に相隣る分割金型5a,5a同士の接続部に半径方向においてそれぞれ対応するベルトスラブ3上の複数の不均一部位間のベルト周長方向における全ての隣接間隔寸法Lと、各変速プーリ10のベルトピッチ周長(Lpmin 〜Lpmax )とを異ならせることができるので、伝動ベルト2の走行時に、各不均一部位が変速プーリ10,10をそれぞれ通過する際に生じるベルト走行音と、各変速プーリ10の回転騒音との共振を、全ての変速比において回避することができる。
【0041】
尚、上記の実施形態2では、伝動ベルト2に組み合わせて使用する変速プーリ10の数が2つであって、その2つの変速プーリ10,10の各プーリピッチ周長Lpの最大値Lpmax 同士および最小値Lpmin 同士がそれぞれ互いに同じである場合について説明しているが、伝動ベルト2に組み合わせて使用する変速プーリの数は任意であり、また、プーリピッチ周長の可変範囲の異なる複数の変速プーリを対象プーリとする場合には、各変速プーリ毎に分割金型5a,5a,…の個数Zについての条件を算出し、しかる後、それら全ての条件を満たす整数値を求めるようにすればよい。
【0042】
また、上記の実施形態1および実施形態2では、外金型5が周方向において等分に分割されている場合について説明しているが、図4に示す本発明の実施形態3のように、外金型5を周方向において不等分に分割するようにしてもよい。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、内型と、複数の分割型に分割されてなる外型とを備えた分割式ベルトスラブ成形型を用いてベルトスラブを所定形状に成形する際に、外型の分割型間の各接続部により生じるベルトスラブ上の不均一部位間のベルト周長方向における全ての隣接間隔寸法を、上記ベルトスラブから得られる伝動ベルトに組み合わせて使用されるプーリのプーリピッチ周長と異ならせることができるので、上記伝動ベルトの走行時に、伝動ベルト上の不均一部位により発生する異音と、プーリの回転に伴う振動騒音との共振を回避することができ、よって、そのような共振によるベルト走行騒音を低減することができるとともに、そのような共振によるベルト寿命の低下を抑制することができる。
【0044】
請求項2の発明によれば、外型が等分に分割されるものである場合に、上記請求項1の発明による効果が得られるように分割型の個数を定めることができるので、請求項1の発明による効果を容易に得ることができる。
【0045】
請求項3の発明によれば、外型が等分に分割されるとともに、ベルトスラブから得られる伝動ベルトが、変速プーリと組み合わせて使用されるものである場合に、上記請求項1の発明による効果が得られるように分割型の個数を定めることができるので、この場合にも、請求項1の発明による効果を容易に得ることができる。
【0046】
請求項4の発明によれば、上記の外型を周方向において不等分に分割することでベルトスラブ上の不均一部位間の隣接間隔寸法を互いに異ならせることができるので、請求項1の発明による共振回避に加え、不均一部位の隣接間隔寸法が一定であることに起因するベルト走行時の周期的な異音の発生を回避することができ、よって、ベルト走行騒音の低減およびベルト寿命低下の抑制に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1に係る分割式ベルトスラブ成形型の全体構成を模式的に示す横断平面図である。
【図2】ベルト伝動装置の全体構成を模式的に示す側面図である。
【図3】本発明の実施形態2に係るベルト式無段変速装置の全体構成を模式的に示す側面図である。
【図4】本発明の実施形態3に係る分割式ベルトスラブ成形型の全体構成を模式的に示す図1相当図である。
【符号の説明】
1 プーリ
2 伝動ベルト
3 ベルトスラブ
4 内金型(内型)
5 外金型(外型)
5a 分割金型(分割型)
10 変速プーリ

Claims (5)

  1. 外周に成形面を有する内型と、内周に成形面を有し、周方向において複数個の分割型に分割されてなる外型とを備え、上記外型の分割型を周方向に相隣る分割型同士が接続するように半径方向内方に移動することにより上記内型上のベルトスラブを半径方向に挟圧して該ベルトスラブを所定形状に成形するようにした分割式ベルトスラブ成形型であって、
    上記外型の分割型は、周方向に相隣る分割型同士の接続部に半径方向においてそれぞれ対応する上記ベルトスラブ上の複数の不均一部位間のベルト周長方向における全ての隣接間隔寸法が、上記ベルトスラブから得られる伝動ベルトに組み合わせて使用される複数のプーリのうち、対象とされる少なくとも1つのプーリのプーリピッチ周長と異なるように設けられている
    ことを特徴とする分割式ベルトスラブ成形型。
  2. 請求項1記載の分割式ベルトスラブ成形型において、
    外型は、周方向において等分に分割され、
    上記外型の分割型の個数は、伝動ベルトのベルトピッチ周長を対象プーリのプーリピッチ周長で除算して得られる値に最も近い整数を除く任意の整数とされている
    ことを特徴とする分割式ベルトスラブ成形型。
  3. 請求項1記載の分割式ベルトスラブ成形型において、
    外型は、周方向において等分に分割され、
    対象プーリは、プーリピッチ周長が可変である変速プーリであり、
    上記外型の分割型の個数は、伝動ベルトのベルトピッチ周長を上記対象変速プーリのプーリピッチ周長の最大値で除算して得られる値と、最小値で除算して得られる値との間の範囲以外の任意の整数とされている
    ことを特徴とする分割式ベルトスラブ成形型。
  4. 請求項1記載の分割式ベルトスラブ成形型において、
    外型は、周方向において不等分に分割されている
    ことを特徴とする分割式ベルトスラブ成形型。
  5. 請求項1,2,3又は4記載のベルトスラブ成形型を用いて成形されたベルトスラブから得られた伝動ベルト。
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