JP2004136149A - 可搬型小規模浄水供給システム - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、緩速砂濾過の機能を阻害する不純物である濁分や汚染物質を薬品を使用せず、メンテナンスの簡単な自然流下方式で達成することができる浄水供給システムであって、浄水供給システムの構成要素の運搬と設置に便利な可搬型小規模浄水供給システムを提供するものである。
【解決手段】緩速濾過装置を構成する原水タンク、沈殿槽、前処理装置、緩速砂濾過槽、浄水タンク、ポンプ及び関連装置を、これらが収納されて運搬される可搬式立体フレームに組み付けて緩速濾過装置を構成したこと。
【選択図】 図1
【解決手段】緩速濾過装置を構成する原水タンク、沈殿槽、前処理装置、緩速砂濾過槽、浄水タンク、ポンプ及び関連装置を、これらが収納されて運搬される可搬式立体フレームに組み付けて緩速濾過装置を構成したこと。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、原水を緩速砂濾過槽を含む浄水装置を通して飲料水を供給する浄水供給システムに関し、特に、浄水供給システムの構成要素の運搬と設置に便利な可搬型小規模浄水供給システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
原水としての河川の水や灌漑用水や地下水等を浄化する浄水システムに関し、電力事情、維持管理費、管理技術、補修部品の調達等の点で制約を受ける地域では、緩速砂濾過方式が適する。緩速砂濾過方式は、原水を砂の濾過層を通過させると共に微生物の働きにより原水中の汚染物質を固定、分解することにより、清水を得るものである(例えば、特許文献1)。
【0003】
また、砂濾過槽を用いた水処理では、長時間の運転によって砂濾過槽の濾砂の表面に汚濁物質や微生物が付着して目詰まりが生じて濾過能力が低下する。この場合、濾砂に逆方向の水を通して濾砂を洗浄する、所謂、逆洗をする方法がある(例えば、特許文献2)。
【0004】
また、大掛かりな緩速砂濾過方式では、表面の砂を機械的な掻き取り装置によって掻き取るものもある(例えば、特許文献3)。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−000677号公報(第2〜3頁、図1)
【特許文献2】
特開平2001−269669号公報(第2頁、図1)
【特許文献3】
特開平10−195918号公報(第3〜4頁、図1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
一般的な緩速濾過システムは、特許文献3のように、地面にコンクリート製の砂濾過槽を作るタイプがあるが、この方式では広い設置面積が必要であるため、設置場所の制限を受ける問題がある。そして、砂表面の掻き取りを行うための掻き取り装置も大掛かりになり、小規模の緩速濾過システムには適さない。一方、コンクリート製の構造物を造って、そこに緩速濾過システムの構成要素を設置する場合には、コンクリートが完全に固まるまでに約3週間の期間が必要であり、工期が長く費用も多く掛かる問題がある。
【0007】
このため、建設費用の少ない小規模の浄水供給システムを作る場合は、薬品投入タイプの急速濾過システムが考慮されるが、薬品を取り扱うため安全性に対する専門知識と管理体制の確立が必要であり、それが整わない環境ではこの方法の採用は困難である。そして、薬品の投入に伴うランニングコストが掛かる点や、薬品の混じった砂を廃棄した場合の2次汚染が生じる点でも問題である。
【0008】
特許文献1のように、緩速砂濾過方式は微生物による浄化であるため、原水の水質により浄化機能に影響がでる問題がある。特に、熱帯地方や乾期と雨期がある地域では、乾期には地質から溶け出す鉄(Fe)やマンガン(Mn)などの濃度が高くなり、また雨期では泥による濁度が極端に高くなる。これらの原水を緩速砂濾過に直接使用すると浄化機能の低下が生じる。
【0009】
原水を緩速砂濾過槽に入れる前の前処理として、多数の礫(小さい石)で濾過層を形成した前処理装置を利用する方法があるが、この礫(小さい石)の前処理装置は、礫(小さい石)の表面に付着する微生物による浄化作用と物理的な粗濾しの両方の作用による濾過効果が得られるが、微生物による浄化作用の部分に着目すると、礫(小さい石)のために表面積が小さく濾過効率が悪い。
【0010】
また、物理的な粗濾しの部分に着目すると、除去された濁分を一定期間毎に取り除く必要があり、これを自動的に行うには、特許文献2のように、礫(小さい石)層の下方から噴水して礫(小さい石)を洗う、所謂、逆洗を行う必要があるが、この方法では大量の水、大容量のポンプ、大きな電力を必要とし、これに見合う環境や設備が必要となり、コストアップとなる問題がある。この自動洗浄に対して、人手による洗浄作業があるが、多数の礫(小さい石)を槽から取り出して洗浄するのは大変な労力であり、洗浄に要する時間が長く洗浄効率が悪い問題がある。
【0011】
これらの点を考慮すれば、緩速濾過方式の特徴を活かしつつ、工期が短く費用の少ない小規模浄水供給システムを構築することが要求されるが、特許文献1〜3の何れにも、浄水供給システムの構成要素の運搬と設置に関する技術の詳細な開示はない。
【0012】
本発明は、緩速砂濾過の機能を阻害する不純物である濁分や汚染物質を薬品を使用せず、メンテナンスの簡単な方式で低減することができる浄水供給システムであって、浄水供給システムの構成要素の運搬と設置に便利な可搬型小規模浄水供給システムを提供するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の可搬型小規模浄水供給システムは、緩速濾過装置を構成する原水タンク、沈殿槽、前処理装置、緩速砂濾過槽、定流量装置、浄水タンク、ポンプを、これらが収納されて運搬される可搬式立体フレームに組み付けて緩速濾過装置を構成したことを特徴とする。
【0014】
また本発明の可搬型小規模浄水供給システムは、上下方向に積み重ね可能な複数の可搬式立体フレームを備え、梱包運搬時には緩速濾過装置を構成する主要構成要素が前記フレームに収納され、設置時には前記フレームに前記主要構成要素及び関連要素が組み立てられ配管されて緩速濾過装置を構成したことを特徴とする。
【0015】
また本発明の可搬型小規模浄水供給システムは、梱包運搬時に二つの可搬式立体フレームに緩速濾過装置を構成する主要構成要素及び関連要素の一式が収納され、設置場所にて上下二段に積み重ねた前記フレームに前記主要構成要素及び関連要素が組み立てられ配管可能なキット構成としたことを特徴とする。
【0016】
また本発明の可搬型小規模浄水供給システムは、上下二段に積み重ねて設置される二つの可搬式立体フレームを備え、梱包運搬時には、前記フレームのうちの下段に設置されるフレームに緩速砂濾過槽、沈殿槽、原水タンク、原水ポンプ、浄水ポンプ、ハンドポンプ、前処理水タンク、定流量装置及びコントロールボックスが収納され、上段に設置されるフレームには前処理装置、原水タンク架台、定流量装置架台、前処理水タンク架台、浄水高架タンク、浄水地下タンクが収納され、設置時には、前記下段に設置されるフレームに緩速砂濾過槽、定流量装置架台とその上に定流量装置、前処理水タンク架台とその上に前処理水タンク、浄水ポンプ、ハンドポンプ、及びコントロールボックスが配置され、前記上段に設置されるフレームには前処理装置、浄水高架タンク、原水タンク架台とその上に原水タンク、及び沈殿槽が組み立てられ配管されて緩速濾過装置を構成したことを特徴とする。
【0017】
また本発明の可搬型小規模浄水供給システムは、前記梱包運搬時において、前記上段に設置されるフレームに収納される前記浄水地下タンクは前記浄水高架タンク内に収納されたことを特徴とする。
【0018】
また本発明の可搬型小規模浄水供給システムは、前記前処理装置は複数段の前処理槽からなり、前記設置時において、前記原水タンク架台とその上の原水タンク、前記沈殿槽、及び前記前処理槽の第1段槽が前記上段に設置されるフレームの上側に設置され、前記原水ポンプと前記浄水地下タンクが前記上下両フレーム外に設置された構成であることを特徴とする。
【0019】
また本発明の可搬型小規模浄水供給システムは、前記前処理装置は、水が上段槽から下段槽へ向けて自然流下するように配置した複数段の前処理槽が前半の組と後半の組の二組を構成し、前記水の流れが、前記前半の組と後半の組の各槽に順次流下式に流れる流路と、前記前半の組と後半の組の何れかの組へ流れる流路とに切り換え可能なバルブを設けたことを特徴とする。
【0020】
また本発明の可搬型小規模浄水供給システムは、前記前処理装置は、紐状芯線の周囲に取付けた多数の糸状細線部及び又は綿状繊維部によって微生物による浄化領域を形成した紐状接触材の複数条が水中に配置されて緩速紐状接触材槽を構成し、前記緩速紐状接触材槽の複数段からなることを特徴とする。
【0021】
また本発明の可搬型小規模浄水供給システムは、原水を貯溜する前記原水タンクと、前記原水タンクから流出した水に含まれる不純物を沈殿させる前記沈殿槽と、前記沈殿槽から流出した水を紐状接触材に付着した微生物による浄化作用で浄化する複数の緩速紐状接触材槽が上段の緩速紐状接触材槽からその下流の複数段の緩速紐状接触材槽へと段々に水が流下するように配置された前記前処理装置と、前記前処理装置から流出した水を濾過する前記緩速砂濾過槽とを設け、前記原水タンクから前記緩速砂濾過槽に至る水の流れが自然流下方式であり、前記緩速砂濾過槽から流出した水を前記浄水地下タンク及び浄水高架タンクへ貯溜する構成であることを特徴とする。
【0022】
本発明によれば、可搬式立体フレームに緩速濾過装置を構成する構成要素を積み込んで運搬し、このフレームに前記構成要素及び関連要素を組み立て配管して緩速濾過装置を構成するため、建設価格の低減と工期の短縮化を図ることができ、広範な地域への導入が可能となる。
【0023】
また、紐状接触材を備えた緩速濾過槽を緩速砂濾過の前処理として構成することによって、水中の金属や有機物等を浄化し、緩速砂濾過の前処理として優れた効果を得ることができ、それによって、緩速砂濾過の機能を十分に発揮できる浄水システムとなる。
【0024】
また、自然流下方式によって、維持費の低減化ができ、簡素化された緩速濾過方式の浄水システムとなる。また、紐状接触材を備えた緩速濾過槽を二つの組に分けることによって、一方の組のメンテナンス中でも他方の組が有効に機能するため、浄水の供給が停止せず、利用者が水無し状態に陥ることはない。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明の可搬型小規模浄水供給システムの実施形態について説明する。図1乃至図11は本発明の可搬型小規模浄水供給システムに係る実施形態を示す。図1は本発明の可搬型小規模浄水供給システムの設置状態における構成要素の配置と配管図である。但し、定流量装置7の位置は左方へ移動させて表示すると共に浄水ポンプ16Aはフレームの外に表示している。図2は可搬型小規模浄水供給システムの組み立て完成斜視図、図3は本発明可搬型小規模浄水供給システムの運搬時の構成要素の梱包配置図であって(イ)は上段可搬式立体フレームの配置平面図、(ロ)は上段可搬式立体フレームの配置側面図、ハ)は下段可搬式立体フレームの配置平面図、(ニ)は下段可搬式立体フレームの配置側面図、図4の(イ)は設置時の可搬式立体フレームの骨格配置を示す平面図、図4の(ロ)は設置時の本発明可搬型浄水供給システムを上方から見た構成要素の配置図、図5は上下に積み重ねて設置した状態の本発明可搬式立体フレームの関係とその内部配置を示す側面図、図6は可搬型小規模浄水供給システムの水経路図、図7の(イ)は綿状繊維部を備えた密な緩速紐状接触材の構成図、図7の(ロ)は綿状繊維部を備えない疎の緩速紐状接触材の構成図、図8は緩速紐状接触材槽の構成を示す平面図、図9は緩速紐状接触材槽の構成を示す断面図、図10は緩速砂濾過槽の構成を示す断面図、図11は定流量装置の構成を示す断面図である。
【0026】
本発明の浄水供給システムを図に基づき説明する。1は原水タンクであり、河川の水や灌漑用水等の原水2を原水ポンプ3によって送り込み、所定時間分(例えば4時間分)を貯蔵する。原水タンク1の底部に沈殿した不純物は、ドレンバルブ23を開いて排出する。原水の流入量は、バルブaを調整し流量計bで適性であるを監視できる。4は原水タンク1から流出した水が流入してこの水に含まれる不純物を沈殿させる沈殿槽であり、下部が窄まる形状の傾斜管沈殿槽を構成している。この傾斜管沈殿槽4は、原水タンク1の下部から流出した原水は仕切り20で形成した導入域21へ上方から流入して下降し多数の並列配置の傾斜管22を上方へ通過する。この傾斜管沈殿槽4は、多数の並列配置の傾斜管22によって、水流を一様にして水の乱れを減らし、沈殿に関与する垂直距離を減少させるので、不純物の除去効率がよい。傾斜管沈殿槽4の底部に沈殿した不純物は、ドレンバルブ24を開いて水と一緒にドレンパイプ41へ排出する。不純物を沈殿させた後の傾斜管沈殿槽4の上部から流出した水は、前処理装置6へ流入する。
【0027】
前処理装置6から流出した水は、前処理水タンク10へ流入した後、緩速砂濾過槽5へ流入する。前処理水タンク10でも不純物の沈殿による浄化作用が得られる。緩速砂濾過槽5の底部から流出した水は、水位計cの透明パイプ内に入り損失水頭を表示すると共に定量供給装置7へその底部から流入し、緩速砂濾過槽5の通水抵抗が大きくなっても定量供給装置7によって緩速砂濾過槽5の濾過速度を一定に保ち、流量計dによって適性流量が流れているかの表示を行った上で所定量の水が地下に設置した浄水地下タンク8へ供給され、そこに貯蔵される。浄水地下タンク8の水は、浄水ポンプ16Aによって浄水高架タンク9Aへ貯蔵される。浄水高架タンク9Aの水は、所望の場所に設けた蛇口等の給水部へ自然落下方式にて供給し、給水部11から取水可能となる。図6では、付帯設備70として鉄骨台脚75上に設置した浄水高架タンク9B、ポンプ16C、及び給水部12乃至14を備え、地下浄水タンク8の浄水を浄水高架タンク9Bへポンプ16Cによって送水し、この浄水高架タンク9Bの水が給水部12乃至14から取水可能である。16Bは、停電時或いはポンプ16Aの故障時に浄水地下タンク8の水を浄水高架タンク9Aへ手動にて送水するためのハンドポンプである。
【0028】
本発明では、原水タンク1から緩速砂濾過槽5に至る水路の水の流れを自然流下方式とし、この水路にポンプを使用しない方式としたものである。これは、停電によるシステムの停止をできるだけ減らし、ポンプを設けた場合に生じるポンプの故障による問題を無くして、故障が少なく維持費の低減化ができ、簡素化された緩速濾過方式の浄水システムとするためである。図6の浄水供給システムでは、原水タンク1から浄水地下タンク8に至る水の流れを自然流下方式としており、より簡素化されたシステムとなっている。
【0029】
前処理装置6は、上面が開口した横長矩形状の槽26内に複数条の紐状接触材25が水中に並列に配置された構成であり、槽内をゆっくり通水する、所謂、緩速濾過槽を構成する。これによって、紐状接触材25に付着する微生物による生物化学的浄化作用によって、水中の金属や有機物等を浄化し、緩速砂濾過の前処理として優れた効果を得ることができる緩速紐状接触材槽26を構成する。そして、前処理装置6は、沈殿槽4から流出した水を上記浄化作用で浄化する複数の緩速紐状接触材槽26が、上段の緩速紐状接触材槽26からその下流の複数段の緩速紐状接触材槽26へと段々に水が自然流下方式によって流れるように多段状に配置された構成である。図示の実施形態では、上段の槽26Aから順次下段の槽26B、26C、26Dへ自然落下によって流れる構成である。また緩速紐状接触材槽26は、紐状接触材25を通過する水に含まれた浮遊物質や汚泥をフィルタ作用によって物理的に濾過する物理的浄化作用も行うことができる。
【0030】
紐状接触材25は、紐状芯線27の周囲に合成樹脂性糸又は天然性糸で多数のループを形成した糸状細線部28、及び又は綿状繊維部29によって、直径Dで長さLの略円柱状の浄化領域30を形成するものであり、モール状を成して自由自在に屈曲できるものである。紐状接触材25は、紐状芯線27の周りに綿状繊維部29と、合成樹脂性糸又は天然性糸で多数のループを形成した糸状細線部28との何れか一方、又はこれらの組み合わせたものでもよい。
【0031】
本発明の実施形態では図7の(イ)(ロ)に示す2種類の紐状接触材25を採用している。図7の(イ)のものは、紐状芯線27の周囲に綿状繊維部29(図では色濃く描かれた部分)を配置し、紐状芯線27に取付けた多数のループを形成した糸状細線部28が綿状繊維部29の外側周囲に露呈するように両者の組み合わせによって綿状繊維部29の直径が約100mmに構成され、糸状細線部28と綿状繊維部29とによって内側が密で外側が疎となる浄化領域30を形成する。この浄化領域30において、綿状繊維部29によって通過する水に含まれたごみ等の浮遊物質や汚泥をフィルタ作用によって物理的に濾過し、糸状細線部28と綿状繊維部29とに付着する微生物によって、水中のアンモニア、臭い、鉄(Fe)やマンガン(Mn)等を酸化分解し、金属や有機物等を減少させることによって水の浄化が行われるものである。
【0032】
図7の(ロ)に示すもう一つの紐状接触材25は、紐状芯線27Aの周囲に多数のループを形成した糸状細線部28Aを螺旋状に疎に巻いたものであり、図7(イ)のものよりも疎の濾過構成であり、直径は約50mmである。これによって、糸状細線部28Aに微生物が付着して水中のアンモニア、臭い、鉄(Fe)やマンガン(Mn)等を酸化分解し、金属や有機物等を減少させることによって水の浄化が行われるものである。
【0033】
緩速紐状接触材槽26は、緩速紐状接触材槽26内で藻の発生による水中の溶存酸素向上を図り、微生物の存在と活性化を促進するために、太陽光が入り易いように半透明タイプのFRP(ガラス繊維強化プラスチックス)で構成した上面が開放した横長矩形状の槽26を形成している。この緩速紐状接触材槽26は、図8に示すように、槽26の長手方向に沿って複数の仕切板33が間隔を存して並列に設けられ、この仕切板33によって槽26は複数のレーンに仕切られ、各レーンには紐状接触材25がこのレーンに沿って配置されている。図8にはイ〜チまでの8レーンに仕切った構成を示す。図9に示すように、各レーンには紐状接触材25が水中に没するように上下二段に間隔を存して設置されており、紐状接触材25は紐状芯線27でもって直線状に張った状態を保つ。
【0034】
緩速紐状接触材槽26への採光性の向上のために、槽26の中間にはニのレーンとホのレーンの間に採光窓(採光通路)34を形成しており、この採光窓(採光通路)34から槽26の中間部分に入る太陽光によって緩速紐状接触材槽26内で藻の発生による水中の溶存酸素向上を図り、微生物の存在と活性化を促進できる。緩速紐状接触材槽26は、その中に外部から雨水や不純物が侵入しないように透明又は半透明のカバーを設ける構成でもよい。
【0035】
緩速紐状接触材槽26の水の流れは、傾斜管沈殿槽4を出た水は、水の入り口管路36からバルブ(三方弁)37を通って槽26の最初のレーンであるイのレーンの一端側に配置した水の導入口31Aから槽26へ導入され、図8に矢印で示すように、順次ロ〜チまでのレーンを流れる。このため、隣り合わせのレーンを仕切る仕切板33の端部上端には水がオーバーフローするための切り欠き35が形成され、水がイからチまでのレーンを直列に流れる。
【0036】
前処理装置6としては、浄化処理能力に応じて緩速紐状接触材槽26の設置数を決定する。実施形態では緩速紐状接触材槽26の4個を上下方向に間隔を保って配置し、緩速紐状接触材槽26Aと26Bを第1組とし、緩速紐状接触材槽26Cと26Dを第2組として構成している。通常は、両方の組で水の浄化作用を行うように、それぞれ水が上段の緩速紐状接触材槽26Aから順次下段の緩速紐状接触材槽26B、26C、26Dへと自然流下方式によって順次流れる。そして、一方の組の修理、点検、清掃等の所謂、メンテナンスを行う場合にはバルブ37、38A、38Bで水の流れを切り換えて他方の組で継続浄化ができる仕組みである。
【0037】
傾斜管沈殿槽4から出た水は、水の入り口管路36へ流入し、そこから矢印で示すように、バルブ(三方弁)37を通って第1組の緩速紐状接触材槽26Aと26Bを順次自然流下方式によって通過した後、バルブ38Aを通って第2組の緩速紐状接触材槽26Cと26Dを順次自然流下方式によって通過して、水の出口管路39から前処理水タンク10を介して緩速砂濾過槽5へ流入する。この場合、バルブ38Bは閉じている。
【0038】
このような構成において、第1組の緩速紐状接触材槽26Aと26Bのメンテナンスや修理、点検を行う場合には、三方弁37を切り換えて第1組の緩速紐状接触材槽26Aと26Bへの水の流れを遮断する。このため、入り口管路36へ流入した水は三方弁37を通って第2組の緩速紐状接触材槽26Cへ流入し緩速紐状接触材槽26Dを順次通過した後、水の出口管路39から前処理水タンク10を通って緩速砂濾過槽5へ流入る。
【0039】
また、第2組の緩速紐状接触材槽26Cと26Dのメンテナンスを行う場合には、三方弁37を切り換えバルブ38Aを閉じバルブ38Bを開いて、第2組の緩速紐状接触材槽26Cと26Dへの水の流れを遮断する。このため、入り口管路36へ流入した水は、三方弁37を通って第1組の緩速紐状接触材槽26Aと26Bを順次通過した後、バルブ38Bを通って水の出口管路39から前処理水タンク10へ流入した後、緩速砂濾過槽5へ流入する。
【0040】
このようなメンテナンスを考慮して、傾斜管沈殿槽4から出た水が最初に流入する緩速紐状接触材槽において、その水に含まれたごみ等の浮遊物質や汚泥をフィルタ作用によって物理的に濾過するために、緩速紐状接触材槽26Aと26Cには図7(イ)に示す綿状繊維部29を備えた密な構成の紐状接触材25を採用し、緩速紐状接触材槽26Bと26Dには図7(ロ)に示す綿状繊維部29を備えない疎の構成の紐状接触材25を採用することで良好な浄水効果が得られる。なお、図7(イ)に示す綿状繊維部29を備えた密な構成の紐状接触材25を緩速紐状接触材槽26A、26B、26C、26Dの全てに採用してもよい。
【0041】
40は、各緩速紐状接触材槽26A、26B、26C、26Dの各レーンに対応して設けられた開閉バルブであり、通常の状態では閉じているが、各緩速紐状接触材槽の堆積物を取り除く場合等において、対応する緩速紐状接触材槽の水をドレンパイプ41へ排水するためのドレンバルブである。
【0042】
各緩速紐状接触材槽26A、26B、26C、26Dを流れる水は、ポンプを使用せずに自然落下方式によって順次下流の緩速紐状接触材槽へ流れる。この場合、各緩速紐状接触材槽を流れる水の流速は、なるだけ遅い方がよく、1分間に約30cm以下、即ち、約30cm/分以下で水が停滞しない範囲の緩速濾過である。図示のシステムでは7cm/分乃至20cm/分の範囲で1分間に最大約15リットル(15l/分)の浄化水を流すことができる結果を得ている。流速が大であると、水中に含まれる不純物のある種の成分の除去が困難となるが、本発明の流速によって、それがなく、紐状接触材25への微生物の定着性が良好となり、ここでの浄化作用が効果的に行える。
【0043】
緩速砂濾過槽5は、上方になるに従って大きさが小さくなる砂利をろ床とし、その上に砂の濾過層を複数形成した構成である。このろ床は、図10では、底部に大きさ7mmの砂利(通常、篩いに掛けられて選別された大きさをいう)150mmの層44を形成する。この層44の上に大きさ3mmの砂利150mm層45を形成し、この層45の上に大きさ1mmの砂利150mm層46を形成する。そしてこの層46の上に大きさ0.4mmの砂の300mm層47を形成し、この層47の上に大きさ0.4mmの砂の300mm層48を形成する。一番上の砂層48の上には、前処理装置6を出た水を導入するように、高さ750mmの貯水部49に水深650mmの水が溜まる構成である。
【0044】
各層は、緩速砂濾過槽5の水平断面積が下方の層になるに従って小さくなるように形成した段差によって区画されて強度面での向上も考慮されている。緩速砂濾過槽5は、槽内をゆっくり通水する、所謂、緩速濾過槽を構成する。緩速砂濾過槽5の通常の濾過速度は、1日に4m乃至6m、即ち、砂の濾過層を通過する水の速度が4m/日乃至6m/日になるように設計された緩速砂濾過である。実施例では緩速砂濾過槽5から1分間に約10リットル(10l/分)の浄化された水を取り出すことができる結果を得ている。これによって、1日約15トンの浄水供給能力の装置を提供できる。
【0045】
実施形態では、前処理装置6から流出した水は、前処理水タンク10へ流入した後、緩速砂濾過槽5に流入するように構成され、緩速砂濾過槽5の底部から流出した水は、定量供給装置7へその底部から流入する構成である。
【0046】
実施形態において、前処理装置6から前処理水タンク10を介して緩速砂濾過槽5に供給された水は、緩速砂濾過槽5で濾過された後、定量供給装置7によって所定量の水が地下に設置した浄水地下タンク8へ供給される。定量供給装置7は、緩速砂濾過槽5とは別個に作製してあるが、定量供給装置7と緩速砂濾過槽5とがそれぞれ一体型に形成された形態でもよい。
【0047】
定量供給装置7は、特開2000−246015号と同様の構成である。即ち、緩速砂濾過槽5の水位の変動に伴って定量供給装置7の水位も変動する。定量供給装置7には、下端部の水流出口53が固定された可撓性の螺旋状導出管54が上下方向に設けられ、この螺旋状導出管54の上部に形成した水導入口52が水位に伴って上下動するフロート51と共に上下動するように設けられている。そして水導入口52はフロート51の下方位置にフロート51と一定間隔をもって取付けられている。
【0048】
このため、緩速砂濾過槽5への供給水が多い場合や、泥や微生物の糞や死骸などの堆積物等によって目詰まりして緩速砂濾過槽5の濾過速度が遅くなった場合等の如き通水抵抗の変動等によって生じる緩速砂濾過槽5の水位変動に伴って、定量供給装置7の水位55が変動し、このフロート51が上下動しても、水導入口52は常に一定の水面下を保つため、水流出口53からは一定量の水が供給できることになる。
【0049】
上記の前処理装置6を構成する緩速紐状接触材槽において、紐状接触材25は、その浄化領域30が、内側が密で外側が疎を呈する水が通過する細かい隙間が形成されており、紐状接触材25の酸素の供給が多い表面付近では好気性微生物が繁殖し、酸素の供給が少ない中心付近では嫌気性微生物が生息し、この微生物の作用によって水中の汚濁物質である有機物等が酸化分解されて水の浄化が行われる。即ち、微生物の作用による生物化学的浄化作用が行われる。また紐状接触材25は、この浄化領域30を通過する水中に浮遊する不純物が紐状接触材25に引掛かることによって濾過されるフィルタ作用をする。即ち、物理的浄化作用も行われる。
【0050】
緩速砂濾過槽5は、水が砂の各層を下方に通過する間に水に含まれた浮遊物が物理的に取り除かれるフィルタ作用もするが、一番上の砂の層48の表面部に、即ち、砂層48の上面やこの上面に近い砂層48内に、貯水部49に導入された水に含まれる成分によって微生物が繁殖し、この微生物による生物化学的浄化作用も行われる。この微生物の作用によって、水中の汚濁物質である有機物等が酸化分解されて水の浄化が行われる。緩速砂濾過槽5を通過した水は浄化された水であり、飲料として十分使用に適した状態である。この微生物による生物化学的浄化作用を効果ならしめるために、一番上の砂槽48の表面に藻を繁殖させて光合成による水中への酸素放出によって溶存酸素の向上を図り、微生物の生存と活性化を促進させるために、緩速砂濾過槽5は採光性と強度を考慮して、貯水部分は半透過光タイプのFRP(ガラス繊維強化プラスチックス)で形成している。
【0051】
緩速砂濾過槽5は、その使用期間の経過によって一番上の砂層48の表面部に、即ち、砂層48の上面やこの上面に近い砂層48内に、泥や微生物の糞や死骸などの堆積物層が生じ、その堆積物層が厚くなり過ぎると砂の層が目詰まりして緩速砂濾過槽5の濾過速度が遅くなる。このため、この堆積物層を適当な器具によって取り除く。この場合、微生物層が完全に取り除かれると、微生物が再び繁殖して浄化作用するまでに長時間かかるので、微生物による浄化作用が継続して行われるように微生物層が残る状態で堆積物層の除去作業をすることが必要である。通常、1ヶ月に1回の割合で器具によって砂層48の表面の堆積物層を約10mmの厚さで均等に掻き取り、残った砂層48の表面を器具によって平坦にする。この砂層48表面の掻き取り作業は、必要なバルブを閉めて緩速砂濾過槽5への水の供給を止めて行われる。後述のように、この作業中にも給水部11からの浄化水の取り出しができるように、約6m3の浄化水を供給できるように浄水高架タンク9A及び浄水地下タンク8の容量を設定した構成である。
【0052】
紐状接触材25は、従来の多数の礫(小さい石)で濾過する方式に比して表面積が大きいので、次段の緩速砂濾過槽5の機能を阻害する成分が高濃度に含まれる原水を使用する場合にも、良好な浄化作用が得られるので、緩速紐状接触材槽は緩速砂濾過槽の前処理装置として好適である。この場合、緩速紐状接触材槽で全ての栄養分を消費すると緩速砂濾過槽5で微生物の増殖ができなくなるので、緩速紐状接触材槽の大きさや数は原水に含まれる成分の種類によって決定する。
【0053】
従来の多数の礫(小さい石)で濾過層を形成した前処理装置では、この礫を取り出して洗浄することにかなりの労力が必要であったが、本発明では、紐状接触材25は柔軟性に富むため、紐状接触材25に付着した泥の除去や付着した微生物の層を一定の状態に減少させる場合には、紐状接触材25を緩速紐状接触材槽26から取り出して洗浄することに適する。
【0054】
緩速紐状接触材槽が大きな1つの槽であると、槽内の底部を流れる水は紐状接触材25との接触時間が少なくなり、水の濾過作用上からは好ましくないが、本発明では、上記のように緩速紐状接触材槽を多段に配置して、各緩速紐状接触材槽を次々と水が流れるように構成しているため、水は各緩速紐状接触材槽を次々と流れる間にその流れに乱れが生じ、最初の緩速紐状接触材槽で紐状接触材25との接触効果が少なかった水は、次段或いはその後段の緩速紐状接触材槽で紐状接触材25との接触効果が得られることとなり、緩速紐状接触材槽での水の浄化作用が効果的となる。
【0055】
また、様々な微生物にとって栄養分となる成分が高濃度で含まれた水の場合には、増殖する微生物に優先順位が生じることがある。長い紐状接触材25を採用して水と紐状接触材25との接触距離を長くして接触時間を稼ぐことにより、水に含まれた多くの含有成分を低減して浄化効果を挙げる方法も考えられるが、そうすると緩速紐状接触材槽が大型化して製造上及び設置上でも問題がある。しかし、本発明では、上記のように多数の緩速紐状接触材槽を直列的に水が流れるように構成しているため、前処理装置6全体としては、水と紐状接触材25との接触距離が長くなって接触時間も長くなり、それによって、多くの含有成分を低減することができる。大きな緩速紐状接触材槽を用意せずとも効果的な浄水システムが提供できる。
【0056】
本発明の浄水供給システムにおいて、前処理水タンク10を設けたのは、前処理装置6から供給される前処理水を緩速砂濾過槽5に供給するためのバッファーとしての機能を持たせるためである。
【0057】
また、本発明の浄水供給システムでは、前処理装置6から得られる水の量を緩速砂濾過槽5から得られる浄水の量よりも多くすることによって、緩速砂濾過槽5に滞留している間の水中の溶存酸素の低下を防ぎ、且つ、砂槽48の表面に繁殖した藻が順次寿命によって変色して緩速砂濾過槽5の水面に浮遊したものは、この供給過剰分の水と共に緩速砂濾過槽5の貯水部49からオーバーフロー孔5Aを通ってオーバーフローされる。このため、寿命によって変色して緩速砂濾過槽5の水面に浮遊する藻の除去が行われると共に、貯水部49の水深が浅くならず、常に緩速砂濾過槽5の水頭が一定となり、緩速砂濾過槽5の濾過速度が一定化し、正規の濾過機能を発揮できる。更に、このオーバーフローによって、貯水部49に浮かぶ木の葉、虫、藻等を一緒に緩速砂濾過槽5外へ排出することができ、これらによる、濾過層の砂の目詰まりを未然に防ぐことができる。
【0058】
本発明において、緩速砂濾過槽5から1分間に約10リットル(10l/分)の浄化された水、即ち、浄水を得る浄化システムの一実施例として、緩速紐状接触材槽は、その内法寸法が幅約2140mm、長さ約3200mmで水深300mmであり、図8に示すように、中間部に採光窓34を設けた8レーン構成とした半透明のFRP(ガラス繊維強化プラスチックス)で形成している。そして、各レーンに外径50mm〜100mmの紐状接触材25の上下4本を一組として水平方向に配置した構成であり、この緩速紐状接触材槽を上下4段に配置して前処理装置6を構成する。そして、緩速紐状接触材槽26の流水速度は、前処理装置6から約11リットル/分の水が得られる流速とした。
【0059】
また、緩速砂濾過槽5は、平面形状が楕円形状をなし、底部の平面寸法は1.89平方メートルの楕円形である。また、砂層44、45及び46の厚さがそれぞれ150mm、砂層47と48の厚さが夫々300mmであり、貯水部49の水深が650mmであって、濾過速度が5m/日の設定である。緩速砂濾過槽5は、貯水部49に対応する壁を透光性として、一番上の砂槽48の表面に藻を繁殖させて光合成による水中への酸素放出によって溶存酸素の向上を図り、微生物の生存と活性化を促進させるために、半透明のFRP(ガラス繊維強化プラスチックス)で形成している。しかし、砂層48の表面よりも下方の砂層濾過層に藻が発生すると水の通水抵抗が大きくなって水の流れが悪くなるため、この砂層48の表面よりも下方の砂層濾過層に対応する緩速砂濾過槽5の外周には色彩塗料を塗ることによって、光が当たらないようにして藻の発生を抑制している。
【0060】
上記実施例の浄水供給システムは、周囲温度が30℃乃至35℃程度で採光性が確保されれば、原水を導入してから約3日で略正規の浄化水が得られることが判明している。本発明において、紐状接触材は、酸素の供給される表面付近では好気性微生物が、中心付近では嫌気性微生物が生息して水中の有機物を浄化し、物理的浄化作用と相俟って、緩速砂濾過の前処理装置として優れた効果を得ることができ、極端な水質の悪化を除けば緩速砂濾過の機能を十分に発揮して、色度、濁度、有機物、鉄分、マンガン等を低下させWHO目標値以下にすることができる浄水システムとなる。
【0061】
本発明において、原水タンクから緩速砂濾過槽に至る水の流れを自然落下方式とすると共に、沈殿槽から流出した水を紐状接触材に付着した微生物による浄化作用で浄化する複数の緩速紐状接触材槽が、上段の緩速紐状接触材槽からその下流の複数段の緩速紐状接触材槽へと段々に水が自然流下方式によって流下するように多段状に配置された構成である。そして、この緩速紐状接触材槽を緩速砂濾過槽の前処理装置として機能せしめるものであるため、水と紐状接触材との接触効果が向上し、紐状接触材による効果的な前処理装置が達成でき、自然落下方式によって維持費の低減化ができ、簡素化された緩速濾過方式の浄水供給システムとなる。
【0062】
本発明の緩速濾過方式の浄水供給システムでは、停電時にも継続して浄化水が得られる停電保障方式を採っている。緩速砂濾過方式は、微生物によって原水を浄化しているので、水の流れが無くなると、酸素不足に陥り、また微生物の栄養分も不足して、一定時間でその機能を失ってしまう。最悪の場合には、一旦酸化して砂の表層に留めた物質が酸素不足から還元されて再び水に溶け出し、水の流れが再開したとき、浄水と一緒に出てしまい、結果として原水よりも悪い水が供給されることもある。このような事態にならないように、緩速砂濾過槽5では、24時間水の流れを止めないことが重要である。しかし、時として停電やポンプの故障によって一時的に水の供給が停止することがあり、この停止時間を最低限に抑える必要がある。この対策として、停電時に稼動する内燃機関(エンジン)式発電機等を装備しておくことも考えられるが、燃料代の捻出等も問題である。ちなみに、本発明の装置には、緊急対応用としてコントロールボックス80内に発電機用の接続端子が設けられている。
【0063】
これに鑑みて、本発明では、停電時にもそれまでと同様に自然流下式による水の流れを確保して、継続して浄化水が得られる停電保障方式を採っている。即ち前処理水タンク10には、上記のバッファー機能に加えて、この前処理水タンク10での貯水容量によって、停電時にも浄化された水の供給が継続されるようにしている。緩速砂濾過槽5から継続して所定の浄化水が得られるように、前処理水タンク10には所定の貯水容量を持たせることによって、停電があっても前処理水タンク10から緩速砂濾過槽5への前処理水の供給が確保されるようになっている。
【0064】
具体的には、前処理水タンク10の下部から緩速砂濾過槽5の貯水部49の下部へ水が供給されるようにパイプ接続されており、緩速砂濾過槽5の水位は前処理水タンク10の水位と同レベルに制御される。このため、停電時にも緩速砂濾過槽5の貯水部49に十分な量の水が貯留できるように、前処理水タンク10での貯水量を定めている。
【0065】
この停電保障をより効果的にするために、停電時でも原水タンク1が満タン状態であれば、約5時間の無停電給水が可能である。
【0066】
また、浄水高架タンク9A及び浄水地下タンク8は約6m3の水を貯留する大きさとすることによって、停電時にも原水タンク1が空になった後も、ハンドポンプ16Bを稼動することにより、一定時間貯留水を給水部11から自然落下方式にて取水可能である。
【0067】
このように本願発明では、停電時にも停電前と同様に自然流下式による水の流れを確保して、継続して浄化水が得られる停電保障方式の浄水システムである。停電が長時間に亘る場合には内燃機関(エンジン)式発電機を使用する場合にも、この発電機の運転時間が短くなり、発電機の燃料代も少なくて済み、停電時の費用も少ない緩速濾過方式の浄水供給システムとなる。
【0068】
本発明は、上記のような緩速濾過方式の浄水供給システム、即ち緩速濾過装置の構成要素の運搬と設置に便利な可搬型小規模浄水供給システムを提供するものである。このため、上下方向に積み重ね可能な複数の可搬式立体フレーム100、101を備え、梱包運搬時には緩速濾過装置を構成する構成要素が前記フレーム100、101に収納され、設置時には前記フレーム100、101に前記構成要素及び外部配管が組み立てられて緩速濾過装置を構成したことを特徴とする可搬型小規模浄水供給システムである。
【0069】
そして、梱包運搬時に二つの可搬式立体フレーム100、101に緩速濾過方式の浄水供給システム、即ち緩速濾過装置を構成する構成要素(構成装置ともいう)の一式が収納され、設置場所にて上下二段に積み重ねた前記フレーム100、101に前記構成要素(構成装置ともいう)が組み立てられるキット構成の可搬型小規模浄水供給システムである。この場合、前記構成要素(構成装置ともいう)及びこれらの構成要素を接続する配管用パイプやバルブ等の関連要素(関連装置ともいう)の一式をフレーム100、101に積み込み、これを設置場所へ運搬した後、フレーム100、101内及びその外側に組み立てて浄水供給システム(装置)を完成させるものである。このように、緩速濾過装置の構成要素全てが一式としてフレーム100、101にて運搬できるため、これらの構成要素が運搬中に分散せず設置時の点検も容易となり、キット構成の可搬型小規模浄水供給システムとすることができる。また、フレーム100、10を利用して組立てを行うめ緩速濾過装置の設置用構築物を別途に建設する必要がない。
【0070】
緩速濾過装置を設置する場所によっては、河川などの原水2からポンプ3までの給水配管の距離が長い場合があるため、この給水配管については、現場合わせが必要となるため、フレーム100、101へ積み込むことができない場合は別個に運搬することとなる。この別個に運搬する場合でも、本発明のキット構成の可搬型小規模浄水供給システムの技術思想を逸脱するものではない。河川などの原水2からポンプ3までの給水配管の標準給水配管として、所定長さのパイプをフレーム100、101へ積み込むように構成することもできる。この場合は、より完備されたキット構成の可搬型小規模浄水供給システムとすることができる。付帯設備70の鉄骨台脚75、浄水高架タンク9B、ポンプ16C及び給水部12乃至14、並びに給水部11は、通常、本発明の可搬型小規模浄水供給システムを設置する現地において調達され組み立てられる。
【0071】
本発明において、立体フレーム100、101は、鉄骨材若しくは壁材によって、又は鉄骨材と壁材の組み合わせによって、内部に物品を収納し運搬できるフレーム構造又は壁構造をなす構造体の総称であり、横長の直方形状、平面形状が楕円形をなすもの、又はその他の形状をなす可搬式立体フレーム(立体骨組み又は箱型コンテナともいう)構成であり、実施形態では、高さが約2200mm、幅が約2200mm、長さが約6000mmの横長の直方形状をなす。この可搬式立体フレーム100、101は、トレーラ車に積んで運搬可能な大きさと強度を保っている。
【0072】
本発明の緩速濾過方式の浄水供給システムは、可搬式立体フレーム100、101に組み立てられる緩速濾過装置の構成要素である原水タンク、沈殿槽、緩速砂濾過槽、前処理装置、定流量装置、前処理水タンク、コントロールボックス、浄水タンク、ポンプ、及びこれらの要素間を接続する配管用パイプやバルブ等の関連要素(関連装置ともいう)の一式を可搬式立体フレーム100、101に収納して運搬する。そして、設置時には可搬式立体フレーム100、101に前記構成要素及び関連要素が組み立てられ配管されて緩速濾過装置を構成する。
【0073】
具体的には、可搬式立体フレーム100、101に組み立てられる緩速濾過装置を構成する原水タンク1、沈殿槽4、緩速砂濾過槽5、前処理装置6、定流量装置7、前処理水タンク10、コントロールボックス80、浄水タンク9A、原水ポンプ3、浄水ポンプ16A、ハンドポンプ16B及びこれらの要素間を接続する配管用パイプやバルブ等の関連装置と浄水地下タンク8の一式を可搬式立体フレーム100、101に収納して運搬する。
【0074】
更に具体的には、上下二段に積み重ねて設置される二つの可搬式立体フレーム100、101を備え、運搬時には、フレーム100、101のうちの下段に設置されるフレーム100に主要構成要素である緩速砂濾過槽5、沈殿槽4、原水タンク1、原水ポンプ3、浄水ポンプ16A、ハンドポンプ16B、前処理水タンク10、定流量装置7、コントロールボックス80、及び標準長さの配管用パイプ(例えば、約4mの長さのパイプの適数本)やバルブが必要な梱包をされて収納され、上段に設置されるフレーム101には前処理装置6、原水タンク架台120、定流量装置架台121、前処理水タンク架台122、浄水高架タンク9A、浄水地下タンク8が必要な梱包をされて収納される。そして、設置時には、下段に設置されるフレーム100に緩速砂濾過槽5、定流量装置架台121とその上に定流量装置7、前処理水タンク架台122とその上に前処理水タンク10、更に浄水ポンプ16A、ハンドポンプ16B及びコントロールボックス80が配置され、上段に設置されるフレーム101には前処理装置6、浄水高架タンク9A、原水タンク架台120とその上に原水タンク1、及び沈殿槽4が組み立てられ配管されて緩速濾過装置を構成する。なお、図6の点線ラインP−Pの右側の付帯設備70と原水ポンプ3と給水部11は、フレーム100、101の外に設置される部分である。
【0075】
フレーム100、101を設置する際は、基礎工事を施してその上にフレーム100、101を設置する。このため、従来のようにコンクリートで建築物を作り、その中に緩速濾過装置を設置する方式に比して、建物の基礎工事と建築期間が不要となり、建物の基礎工事に比して比較的簡単な基礎工事によって達成できるため、工期が短く費用が安くできる。
【0076】
運搬時において、上段に設置されるフレーム101に収納される浄水地下タンク8は、浄水高架タンク9A内に収納された状態である。また、沈殿槽4は緩速砂濾過槽5内に収納された状態である。緩速砂濾過槽5内の砂はそれぞれの層毎に梱包用袋に分けてフレーム100の収納して運搬される。また、紐状接触材25は緩速紐状接触材槽26の各レーンに左右の取り付けが外され収納した状態で運搬される。
【0077】
設置状態では、原水タンク架台120とその上の原水タンク1、沈殿槽4、及び前処理装置6の第1段槽26Aが上段に設置されるフレーム101の上側に設置され、ポンプ3及び16Aと浄水地下タンク8が上下両フレーム100、101外に設置されて所定の配管が行われる。
【0078】
このように、運搬時に用いられる立体フレーム100、101に本発明の緩速濾過方式の浄水供給システムの主要構成要素又は全ての装置(全ての構成要素)を積み込んで設置する所定の場所へ運搬し、設置時にはこの立体フレーム100、101に前記主要構成要素及び関連要素が組み立てられ配管されて緩速濾過装置を構成するものであるため、小規模緩速濾過装置の構築に適し、広範な地域への運搬と狭い場所での設置に適する。
【0079】
そして、長さが約6000mmの立体フレーム(箱型コンテナ)100、101内という限られたスペースでありながら、1日約15トンの浄水供給能力の装置を提供できる。また、自然落下方式であるため、停電時でも原水タンクが満タン状態であれば、約5時間の無停電給水が可能である。また、自然発生バクテリア活用による緩速濾過システムであるため、薬品投入が不要であり、薬品による2次汚染もなく、メンテナンスも沈殿物の排出や砂掻き等によって行えるため、ランニングコストも安く、管理コストが安く取り扱いも安全である。
【0080】
立体フレーム100は、緩速砂濾過槽5等への採光性向上を目的として、フレーム壁3面(図2において手前側の面、左側の面及び奥側の面の3面)の上部に採光窓125を形成している。また、立体フレーム101も前処理装置6の緩速紐状接触材槽26内ヘの採光性向上を目的として、フレーム壁3面(図2において手前側の面、左側の面及び奥側の面の3面)の上部に採光窓126を形成している。
【0081】
また、本発明の緩速濾過方式の浄水供給システムでは、ポンプ3、16A、16Cのモータへの電力は、僻地でも導入が容易な単相電力を採用できるシステムとしている。また、フレーム100、101を設置する際には、基礎工事を施してその上にフレーム100、101を設置すればよいので、従来のようにコンクリートで建築物を作り、その中に緩速濾過装置を設置する方式に比して、基礎工事も比較的簡単になり、工期が短く費用が安くできる。
【0082】
本発明の可搬型小規模浄水供給システムにおける組立てとメンテナンスの利便性のために、フレーム100の上端部外周3面(図2において手前側の面、左側の面及び奥側の面の3面)、又はフレーム101の下端部外周3面(図2において手前側の面、左側の面及び奥側の面の3面)に、採光窓125に沿ってステップ127を設けている。このステップ127は、採光窓125への採光を考慮して床面は網目床128とし、フェンス部129は格子構成である。
【0083】
図1、図3、図4、図5には、フレーム100、101と前記各構成要素との関係を含んで、関連寸法を括弧内に数字で示している。単位はミリメートル(mm)である。
【0084】
本発明は、上記実施形態に限定されず、フレーム100、101の形態、運搬時のフレーム100、101内への本発明可搬型小規模浄水供給システムの構成要素の積み込み形態、運搬後にフレーム100、101へ本発明可搬型小規模浄水供給システムの各構成要素の配置と組立て形態は、種々変更できる。このため、本発明の技術的範囲を逸脱しない限り、それに係る種種の実施形態を包含するものである。
【0085】
【発明の効果】
本発明によれば、可搬式立体フレームに緩速濾過装置を構成する構成要素を積み込んで運搬し、このフレームに前記構成要素及び関連要素を組み立て配管して緩速濾過装置を構成するため、運搬の容易さと建設価格の低減と工期の短縮化を図ることができ、広範な地域への導入が可能となる。
【0086】
このため、緩速濾過装置を組み立てる建屋は、運搬に用いたフレームによって達成でき、緩速濾過装置を組み立てる建屋となるフレームは、工場での生産によって作ることができるため、品質や精度のよいものとなる。
【0087】
また、運搬の手間と運送費の削減ができ、遠隔地や海外への運搬も短期間で確実に行えるものとなる。そして、装置一式がパッケージ化されるため、設置する現地での調達が困難な部品の入手の心配も解消でき、また現地調達品の品質不安の問題も解消する。
【0088】
また、本発明可搬型小規模浄水供給システムは自然流下方式でるため、維持費の低減化ができ、簡素化された緩速濾過方式の浄水システムとなる。また、紐状接触材を備えた緩速濾過槽を二つの組に分けることによって、一方の組のメンテナンス中でも他方の組が有効に機能するため、浄水の供給が停止せず、紐状接触材層のメンテナンス時でも利用者が水無し状態に陥ることはない。
【0089】
更に、本発明可搬型小規模浄水供給システムは、定期的な薬品の購入を必要としないため、ランニングコストが廉価であり、資金力の乏しい村落等への導入に際しても自主的な長期運営が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の可搬型小規模浄水供給システムの設置状態における構成要素の配置と配管図である。但し、定流量装置7の位置は左方へ移動させて表示すると共に浄水ポンプ16Aはフレームの外に表示している。
【図2】本発明可搬型小規模浄水供給システムの組み立て完成斜視図である。
【図3】本発明可搬型小規模浄水供給システムの運搬時の構成要素の梱包配置図であって(イ)は上段可搬式立体フレームの配置平面図、(ロ)は上段可搬式立体フレームの配置側面図、ハ)は下段可搬式立体フレームの配置平面図、(ニ)は下段可搬式立体フレームの配置側面図ある。
【図4】(イ)は設置時の可搬式立体フレームの骨格配置を示す平面図、(ロ)は設置時の本発明可搬型浄水供給システムを上方から見た構成要素の配置図である。
【図5】上下に積み重ねて設置した状態の本発明可搬式立体フレームの関係とその内部配置を示す側面図である。
【図6】本発明可搬型小規模浄水供給システムの水経路図である。
【図7】本発明浄水システムの緩速紐状接触材の構成図であり、(イ)は綿状繊維部を備えた密な緩速紐状接触材の構成図、(ロ)は綿状繊維部を備えない疎の緩速紐状接触材の構成図である。
【図8】本発明浄水システムの緩速紐状接触材槽の構成を示す平面図である。
【図9】本発明浄水システムの緩速紐状接触材槽の構成を示す断面図である。
【図10】本発明浄水システムの緩速砂濾過槽の構成を示す断面図である。
【図11】本発明浄水システムの定流量装置の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1・・・・原水タンク
2・・・・原水
3、16A、16B、16C・・・・ポンプ
4・・・・傾斜管沈殿槽
5・・・・緩速砂濾過槽
6・・・・前処理装置
7・・・・定量供給装置
8・・・・浄水地下タンク
9A、9B・・・・浄水高架タンク
10・・・・前処理貯水タンク
25・・・・紐状接触材
26、26A〜26D・・・・紐状接触材槽
37、38A、38B・・・・バルブ
80・・・・コントロールボックス
100、101・・・・立体フレーム
120・・・・原水タンク架台
121・・・・定流量装置架台
122・・・・前処理水タンク架台
125、126・・・・採光窓
127・・・・ステップ
【発明の属する技術分野】
本発明は、原水を緩速砂濾過槽を含む浄水装置を通して飲料水を供給する浄水供給システムに関し、特に、浄水供給システムの構成要素の運搬と設置に便利な可搬型小規模浄水供給システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
原水としての河川の水や灌漑用水や地下水等を浄化する浄水システムに関し、電力事情、維持管理費、管理技術、補修部品の調達等の点で制約を受ける地域では、緩速砂濾過方式が適する。緩速砂濾過方式は、原水を砂の濾過層を通過させると共に微生物の働きにより原水中の汚染物質を固定、分解することにより、清水を得るものである(例えば、特許文献1)。
【0003】
また、砂濾過槽を用いた水処理では、長時間の運転によって砂濾過槽の濾砂の表面に汚濁物質や微生物が付着して目詰まりが生じて濾過能力が低下する。この場合、濾砂に逆方向の水を通して濾砂を洗浄する、所謂、逆洗をする方法がある(例えば、特許文献2)。
【0004】
また、大掛かりな緩速砂濾過方式では、表面の砂を機械的な掻き取り装置によって掻き取るものもある(例えば、特許文献3)。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−000677号公報(第2〜3頁、図1)
【特許文献2】
特開平2001−269669号公報(第2頁、図1)
【特許文献3】
特開平10−195918号公報(第3〜4頁、図1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
一般的な緩速濾過システムは、特許文献3のように、地面にコンクリート製の砂濾過槽を作るタイプがあるが、この方式では広い設置面積が必要であるため、設置場所の制限を受ける問題がある。そして、砂表面の掻き取りを行うための掻き取り装置も大掛かりになり、小規模の緩速濾過システムには適さない。一方、コンクリート製の構造物を造って、そこに緩速濾過システムの構成要素を設置する場合には、コンクリートが完全に固まるまでに約3週間の期間が必要であり、工期が長く費用も多く掛かる問題がある。
【0007】
このため、建設費用の少ない小規模の浄水供給システムを作る場合は、薬品投入タイプの急速濾過システムが考慮されるが、薬品を取り扱うため安全性に対する専門知識と管理体制の確立が必要であり、それが整わない環境ではこの方法の採用は困難である。そして、薬品の投入に伴うランニングコストが掛かる点や、薬品の混じった砂を廃棄した場合の2次汚染が生じる点でも問題である。
【0008】
特許文献1のように、緩速砂濾過方式は微生物による浄化であるため、原水の水質により浄化機能に影響がでる問題がある。特に、熱帯地方や乾期と雨期がある地域では、乾期には地質から溶け出す鉄(Fe)やマンガン(Mn)などの濃度が高くなり、また雨期では泥による濁度が極端に高くなる。これらの原水を緩速砂濾過に直接使用すると浄化機能の低下が生じる。
【0009】
原水を緩速砂濾過槽に入れる前の前処理として、多数の礫(小さい石)で濾過層を形成した前処理装置を利用する方法があるが、この礫(小さい石)の前処理装置は、礫(小さい石)の表面に付着する微生物による浄化作用と物理的な粗濾しの両方の作用による濾過効果が得られるが、微生物による浄化作用の部分に着目すると、礫(小さい石)のために表面積が小さく濾過効率が悪い。
【0010】
また、物理的な粗濾しの部分に着目すると、除去された濁分を一定期間毎に取り除く必要があり、これを自動的に行うには、特許文献2のように、礫(小さい石)層の下方から噴水して礫(小さい石)を洗う、所謂、逆洗を行う必要があるが、この方法では大量の水、大容量のポンプ、大きな電力を必要とし、これに見合う環境や設備が必要となり、コストアップとなる問題がある。この自動洗浄に対して、人手による洗浄作業があるが、多数の礫(小さい石)を槽から取り出して洗浄するのは大変な労力であり、洗浄に要する時間が長く洗浄効率が悪い問題がある。
【0011】
これらの点を考慮すれば、緩速濾過方式の特徴を活かしつつ、工期が短く費用の少ない小規模浄水供給システムを構築することが要求されるが、特許文献1〜3の何れにも、浄水供給システムの構成要素の運搬と設置に関する技術の詳細な開示はない。
【0012】
本発明は、緩速砂濾過の機能を阻害する不純物である濁分や汚染物質を薬品を使用せず、メンテナンスの簡単な方式で低減することができる浄水供給システムであって、浄水供給システムの構成要素の運搬と設置に便利な可搬型小規模浄水供給システムを提供するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の可搬型小規模浄水供給システムは、緩速濾過装置を構成する原水タンク、沈殿槽、前処理装置、緩速砂濾過槽、定流量装置、浄水タンク、ポンプを、これらが収納されて運搬される可搬式立体フレームに組み付けて緩速濾過装置を構成したことを特徴とする。
【0014】
また本発明の可搬型小規模浄水供給システムは、上下方向に積み重ね可能な複数の可搬式立体フレームを備え、梱包運搬時には緩速濾過装置を構成する主要構成要素が前記フレームに収納され、設置時には前記フレームに前記主要構成要素及び関連要素が組み立てられ配管されて緩速濾過装置を構成したことを特徴とする。
【0015】
また本発明の可搬型小規模浄水供給システムは、梱包運搬時に二つの可搬式立体フレームに緩速濾過装置を構成する主要構成要素及び関連要素の一式が収納され、設置場所にて上下二段に積み重ねた前記フレームに前記主要構成要素及び関連要素が組み立てられ配管可能なキット構成としたことを特徴とする。
【0016】
また本発明の可搬型小規模浄水供給システムは、上下二段に積み重ねて設置される二つの可搬式立体フレームを備え、梱包運搬時には、前記フレームのうちの下段に設置されるフレームに緩速砂濾過槽、沈殿槽、原水タンク、原水ポンプ、浄水ポンプ、ハンドポンプ、前処理水タンク、定流量装置及びコントロールボックスが収納され、上段に設置されるフレームには前処理装置、原水タンク架台、定流量装置架台、前処理水タンク架台、浄水高架タンク、浄水地下タンクが収納され、設置時には、前記下段に設置されるフレームに緩速砂濾過槽、定流量装置架台とその上に定流量装置、前処理水タンク架台とその上に前処理水タンク、浄水ポンプ、ハンドポンプ、及びコントロールボックスが配置され、前記上段に設置されるフレームには前処理装置、浄水高架タンク、原水タンク架台とその上に原水タンク、及び沈殿槽が組み立てられ配管されて緩速濾過装置を構成したことを特徴とする。
【0017】
また本発明の可搬型小規模浄水供給システムは、前記梱包運搬時において、前記上段に設置されるフレームに収納される前記浄水地下タンクは前記浄水高架タンク内に収納されたことを特徴とする。
【0018】
また本発明の可搬型小規模浄水供給システムは、前記前処理装置は複数段の前処理槽からなり、前記設置時において、前記原水タンク架台とその上の原水タンク、前記沈殿槽、及び前記前処理槽の第1段槽が前記上段に設置されるフレームの上側に設置され、前記原水ポンプと前記浄水地下タンクが前記上下両フレーム外に設置された構成であることを特徴とする。
【0019】
また本発明の可搬型小規模浄水供給システムは、前記前処理装置は、水が上段槽から下段槽へ向けて自然流下するように配置した複数段の前処理槽が前半の組と後半の組の二組を構成し、前記水の流れが、前記前半の組と後半の組の各槽に順次流下式に流れる流路と、前記前半の組と後半の組の何れかの組へ流れる流路とに切り換え可能なバルブを設けたことを特徴とする。
【0020】
また本発明の可搬型小規模浄水供給システムは、前記前処理装置は、紐状芯線の周囲に取付けた多数の糸状細線部及び又は綿状繊維部によって微生物による浄化領域を形成した紐状接触材の複数条が水中に配置されて緩速紐状接触材槽を構成し、前記緩速紐状接触材槽の複数段からなることを特徴とする。
【0021】
また本発明の可搬型小規模浄水供給システムは、原水を貯溜する前記原水タンクと、前記原水タンクから流出した水に含まれる不純物を沈殿させる前記沈殿槽と、前記沈殿槽から流出した水を紐状接触材に付着した微生物による浄化作用で浄化する複数の緩速紐状接触材槽が上段の緩速紐状接触材槽からその下流の複数段の緩速紐状接触材槽へと段々に水が流下するように配置された前記前処理装置と、前記前処理装置から流出した水を濾過する前記緩速砂濾過槽とを設け、前記原水タンクから前記緩速砂濾過槽に至る水の流れが自然流下方式であり、前記緩速砂濾過槽から流出した水を前記浄水地下タンク及び浄水高架タンクへ貯溜する構成であることを特徴とする。
【0022】
本発明によれば、可搬式立体フレームに緩速濾過装置を構成する構成要素を積み込んで運搬し、このフレームに前記構成要素及び関連要素を組み立て配管して緩速濾過装置を構成するため、建設価格の低減と工期の短縮化を図ることができ、広範な地域への導入が可能となる。
【0023】
また、紐状接触材を備えた緩速濾過槽を緩速砂濾過の前処理として構成することによって、水中の金属や有機物等を浄化し、緩速砂濾過の前処理として優れた効果を得ることができ、それによって、緩速砂濾過の機能を十分に発揮できる浄水システムとなる。
【0024】
また、自然流下方式によって、維持費の低減化ができ、簡素化された緩速濾過方式の浄水システムとなる。また、紐状接触材を備えた緩速濾過槽を二つの組に分けることによって、一方の組のメンテナンス中でも他方の組が有効に機能するため、浄水の供給が停止せず、利用者が水無し状態に陥ることはない。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明の可搬型小規模浄水供給システムの実施形態について説明する。図1乃至図11は本発明の可搬型小規模浄水供給システムに係る実施形態を示す。図1は本発明の可搬型小規模浄水供給システムの設置状態における構成要素の配置と配管図である。但し、定流量装置7の位置は左方へ移動させて表示すると共に浄水ポンプ16Aはフレームの外に表示している。図2は可搬型小規模浄水供給システムの組み立て完成斜視図、図3は本発明可搬型小規模浄水供給システムの運搬時の構成要素の梱包配置図であって(イ)は上段可搬式立体フレームの配置平面図、(ロ)は上段可搬式立体フレームの配置側面図、ハ)は下段可搬式立体フレームの配置平面図、(ニ)は下段可搬式立体フレームの配置側面図、図4の(イ)は設置時の可搬式立体フレームの骨格配置を示す平面図、図4の(ロ)は設置時の本発明可搬型浄水供給システムを上方から見た構成要素の配置図、図5は上下に積み重ねて設置した状態の本発明可搬式立体フレームの関係とその内部配置を示す側面図、図6は可搬型小規模浄水供給システムの水経路図、図7の(イ)は綿状繊維部を備えた密な緩速紐状接触材の構成図、図7の(ロ)は綿状繊維部を備えない疎の緩速紐状接触材の構成図、図8は緩速紐状接触材槽の構成を示す平面図、図9は緩速紐状接触材槽の構成を示す断面図、図10は緩速砂濾過槽の構成を示す断面図、図11は定流量装置の構成を示す断面図である。
【0026】
本発明の浄水供給システムを図に基づき説明する。1は原水タンクであり、河川の水や灌漑用水等の原水2を原水ポンプ3によって送り込み、所定時間分(例えば4時間分)を貯蔵する。原水タンク1の底部に沈殿した不純物は、ドレンバルブ23を開いて排出する。原水の流入量は、バルブaを調整し流量計bで適性であるを監視できる。4は原水タンク1から流出した水が流入してこの水に含まれる不純物を沈殿させる沈殿槽であり、下部が窄まる形状の傾斜管沈殿槽を構成している。この傾斜管沈殿槽4は、原水タンク1の下部から流出した原水は仕切り20で形成した導入域21へ上方から流入して下降し多数の並列配置の傾斜管22を上方へ通過する。この傾斜管沈殿槽4は、多数の並列配置の傾斜管22によって、水流を一様にして水の乱れを減らし、沈殿に関与する垂直距離を減少させるので、不純物の除去効率がよい。傾斜管沈殿槽4の底部に沈殿した不純物は、ドレンバルブ24を開いて水と一緒にドレンパイプ41へ排出する。不純物を沈殿させた後の傾斜管沈殿槽4の上部から流出した水は、前処理装置6へ流入する。
【0027】
前処理装置6から流出した水は、前処理水タンク10へ流入した後、緩速砂濾過槽5へ流入する。前処理水タンク10でも不純物の沈殿による浄化作用が得られる。緩速砂濾過槽5の底部から流出した水は、水位計cの透明パイプ内に入り損失水頭を表示すると共に定量供給装置7へその底部から流入し、緩速砂濾過槽5の通水抵抗が大きくなっても定量供給装置7によって緩速砂濾過槽5の濾過速度を一定に保ち、流量計dによって適性流量が流れているかの表示を行った上で所定量の水が地下に設置した浄水地下タンク8へ供給され、そこに貯蔵される。浄水地下タンク8の水は、浄水ポンプ16Aによって浄水高架タンク9Aへ貯蔵される。浄水高架タンク9Aの水は、所望の場所に設けた蛇口等の給水部へ自然落下方式にて供給し、給水部11から取水可能となる。図6では、付帯設備70として鉄骨台脚75上に設置した浄水高架タンク9B、ポンプ16C、及び給水部12乃至14を備え、地下浄水タンク8の浄水を浄水高架タンク9Bへポンプ16Cによって送水し、この浄水高架タンク9Bの水が給水部12乃至14から取水可能である。16Bは、停電時或いはポンプ16Aの故障時に浄水地下タンク8の水を浄水高架タンク9Aへ手動にて送水するためのハンドポンプである。
【0028】
本発明では、原水タンク1から緩速砂濾過槽5に至る水路の水の流れを自然流下方式とし、この水路にポンプを使用しない方式としたものである。これは、停電によるシステムの停止をできるだけ減らし、ポンプを設けた場合に生じるポンプの故障による問題を無くして、故障が少なく維持費の低減化ができ、簡素化された緩速濾過方式の浄水システムとするためである。図6の浄水供給システムでは、原水タンク1から浄水地下タンク8に至る水の流れを自然流下方式としており、より簡素化されたシステムとなっている。
【0029】
前処理装置6は、上面が開口した横長矩形状の槽26内に複数条の紐状接触材25が水中に並列に配置された構成であり、槽内をゆっくり通水する、所謂、緩速濾過槽を構成する。これによって、紐状接触材25に付着する微生物による生物化学的浄化作用によって、水中の金属や有機物等を浄化し、緩速砂濾過の前処理として優れた効果を得ることができる緩速紐状接触材槽26を構成する。そして、前処理装置6は、沈殿槽4から流出した水を上記浄化作用で浄化する複数の緩速紐状接触材槽26が、上段の緩速紐状接触材槽26からその下流の複数段の緩速紐状接触材槽26へと段々に水が自然流下方式によって流れるように多段状に配置された構成である。図示の実施形態では、上段の槽26Aから順次下段の槽26B、26C、26Dへ自然落下によって流れる構成である。また緩速紐状接触材槽26は、紐状接触材25を通過する水に含まれた浮遊物質や汚泥をフィルタ作用によって物理的に濾過する物理的浄化作用も行うことができる。
【0030】
紐状接触材25は、紐状芯線27の周囲に合成樹脂性糸又は天然性糸で多数のループを形成した糸状細線部28、及び又は綿状繊維部29によって、直径Dで長さLの略円柱状の浄化領域30を形成するものであり、モール状を成して自由自在に屈曲できるものである。紐状接触材25は、紐状芯線27の周りに綿状繊維部29と、合成樹脂性糸又は天然性糸で多数のループを形成した糸状細線部28との何れか一方、又はこれらの組み合わせたものでもよい。
【0031】
本発明の実施形態では図7の(イ)(ロ)に示す2種類の紐状接触材25を採用している。図7の(イ)のものは、紐状芯線27の周囲に綿状繊維部29(図では色濃く描かれた部分)を配置し、紐状芯線27に取付けた多数のループを形成した糸状細線部28が綿状繊維部29の外側周囲に露呈するように両者の組み合わせによって綿状繊維部29の直径が約100mmに構成され、糸状細線部28と綿状繊維部29とによって内側が密で外側が疎となる浄化領域30を形成する。この浄化領域30において、綿状繊維部29によって通過する水に含まれたごみ等の浮遊物質や汚泥をフィルタ作用によって物理的に濾過し、糸状細線部28と綿状繊維部29とに付着する微生物によって、水中のアンモニア、臭い、鉄(Fe)やマンガン(Mn)等を酸化分解し、金属や有機物等を減少させることによって水の浄化が行われるものである。
【0032】
図7の(ロ)に示すもう一つの紐状接触材25は、紐状芯線27Aの周囲に多数のループを形成した糸状細線部28Aを螺旋状に疎に巻いたものであり、図7(イ)のものよりも疎の濾過構成であり、直径は約50mmである。これによって、糸状細線部28Aに微生物が付着して水中のアンモニア、臭い、鉄(Fe)やマンガン(Mn)等を酸化分解し、金属や有機物等を減少させることによって水の浄化が行われるものである。
【0033】
緩速紐状接触材槽26は、緩速紐状接触材槽26内で藻の発生による水中の溶存酸素向上を図り、微生物の存在と活性化を促進するために、太陽光が入り易いように半透明タイプのFRP(ガラス繊維強化プラスチックス)で構成した上面が開放した横長矩形状の槽26を形成している。この緩速紐状接触材槽26は、図8に示すように、槽26の長手方向に沿って複数の仕切板33が間隔を存して並列に設けられ、この仕切板33によって槽26は複数のレーンに仕切られ、各レーンには紐状接触材25がこのレーンに沿って配置されている。図8にはイ〜チまでの8レーンに仕切った構成を示す。図9に示すように、各レーンには紐状接触材25が水中に没するように上下二段に間隔を存して設置されており、紐状接触材25は紐状芯線27でもって直線状に張った状態を保つ。
【0034】
緩速紐状接触材槽26への採光性の向上のために、槽26の中間にはニのレーンとホのレーンの間に採光窓(採光通路)34を形成しており、この採光窓(採光通路)34から槽26の中間部分に入る太陽光によって緩速紐状接触材槽26内で藻の発生による水中の溶存酸素向上を図り、微生物の存在と活性化を促進できる。緩速紐状接触材槽26は、その中に外部から雨水や不純物が侵入しないように透明又は半透明のカバーを設ける構成でもよい。
【0035】
緩速紐状接触材槽26の水の流れは、傾斜管沈殿槽4を出た水は、水の入り口管路36からバルブ(三方弁)37を通って槽26の最初のレーンであるイのレーンの一端側に配置した水の導入口31Aから槽26へ導入され、図8に矢印で示すように、順次ロ〜チまでのレーンを流れる。このため、隣り合わせのレーンを仕切る仕切板33の端部上端には水がオーバーフローするための切り欠き35が形成され、水がイからチまでのレーンを直列に流れる。
【0036】
前処理装置6としては、浄化処理能力に応じて緩速紐状接触材槽26の設置数を決定する。実施形態では緩速紐状接触材槽26の4個を上下方向に間隔を保って配置し、緩速紐状接触材槽26Aと26Bを第1組とし、緩速紐状接触材槽26Cと26Dを第2組として構成している。通常は、両方の組で水の浄化作用を行うように、それぞれ水が上段の緩速紐状接触材槽26Aから順次下段の緩速紐状接触材槽26B、26C、26Dへと自然流下方式によって順次流れる。そして、一方の組の修理、点検、清掃等の所謂、メンテナンスを行う場合にはバルブ37、38A、38Bで水の流れを切り換えて他方の組で継続浄化ができる仕組みである。
【0037】
傾斜管沈殿槽4から出た水は、水の入り口管路36へ流入し、そこから矢印で示すように、バルブ(三方弁)37を通って第1組の緩速紐状接触材槽26Aと26Bを順次自然流下方式によって通過した後、バルブ38Aを通って第2組の緩速紐状接触材槽26Cと26Dを順次自然流下方式によって通過して、水の出口管路39から前処理水タンク10を介して緩速砂濾過槽5へ流入する。この場合、バルブ38Bは閉じている。
【0038】
このような構成において、第1組の緩速紐状接触材槽26Aと26Bのメンテナンスや修理、点検を行う場合には、三方弁37を切り換えて第1組の緩速紐状接触材槽26Aと26Bへの水の流れを遮断する。このため、入り口管路36へ流入した水は三方弁37を通って第2組の緩速紐状接触材槽26Cへ流入し緩速紐状接触材槽26Dを順次通過した後、水の出口管路39から前処理水タンク10を通って緩速砂濾過槽5へ流入る。
【0039】
また、第2組の緩速紐状接触材槽26Cと26Dのメンテナンスを行う場合には、三方弁37を切り換えバルブ38Aを閉じバルブ38Bを開いて、第2組の緩速紐状接触材槽26Cと26Dへの水の流れを遮断する。このため、入り口管路36へ流入した水は、三方弁37を通って第1組の緩速紐状接触材槽26Aと26Bを順次通過した後、バルブ38Bを通って水の出口管路39から前処理水タンク10へ流入した後、緩速砂濾過槽5へ流入する。
【0040】
このようなメンテナンスを考慮して、傾斜管沈殿槽4から出た水が最初に流入する緩速紐状接触材槽において、その水に含まれたごみ等の浮遊物質や汚泥をフィルタ作用によって物理的に濾過するために、緩速紐状接触材槽26Aと26Cには図7(イ)に示す綿状繊維部29を備えた密な構成の紐状接触材25を採用し、緩速紐状接触材槽26Bと26Dには図7(ロ)に示す綿状繊維部29を備えない疎の構成の紐状接触材25を採用することで良好な浄水効果が得られる。なお、図7(イ)に示す綿状繊維部29を備えた密な構成の紐状接触材25を緩速紐状接触材槽26A、26B、26C、26Dの全てに採用してもよい。
【0041】
40は、各緩速紐状接触材槽26A、26B、26C、26Dの各レーンに対応して設けられた開閉バルブであり、通常の状態では閉じているが、各緩速紐状接触材槽の堆積物を取り除く場合等において、対応する緩速紐状接触材槽の水をドレンパイプ41へ排水するためのドレンバルブである。
【0042】
各緩速紐状接触材槽26A、26B、26C、26Dを流れる水は、ポンプを使用せずに自然落下方式によって順次下流の緩速紐状接触材槽へ流れる。この場合、各緩速紐状接触材槽を流れる水の流速は、なるだけ遅い方がよく、1分間に約30cm以下、即ち、約30cm/分以下で水が停滞しない範囲の緩速濾過である。図示のシステムでは7cm/分乃至20cm/分の範囲で1分間に最大約15リットル(15l/分)の浄化水を流すことができる結果を得ている。流速が大であると、水中に含まれる不純物のある種の成分の除去が困難となるが、本発明の流速によって、それがなく、紐状接触材25への微生物の定着性が良好となり、ここでの浄化作用が効果的に行える。
【0043】
緩速砂濾過槽5は、上方になるに従って大きさが小さくなる砂利をろ床とし、その上に砂の濾過層を複数形成した構成である。このろ床は、図10では、底部に大きさ7mmの砂利(通常、篩いに掛けられて選別された大きさをいう)150mmの層44を形成する。この層44の上に大きさ3mmの砂利150mm層45を形成し、この層45の上に大きさ1mmの砂利150mm層46を形成する。そしてこの層46の上に大きさ0.4mmの砂の300mm層47を形成し、この層47の上に大きさ0.4mmの砂の300mm層48を形成する。一番上の砂層48の上には、前処理装置6を出た水を導入するように、高さ750mmの貯水部49に水深650mmの水が溜まる構成である。
【0044】
各層は、緩速砂濾過槽5の水平断面積が下方の層になるに従って小さくなるように形成した段差によって区画されて強度面での向上も考慮されている。緩速砂濾過槽5は、槽内をゆっくり通水する、所謂、緩速濾過槽を構成する。緩速砂濾過槽5の通常の濾過速度は、1日に4m乃至6m、即ち、砂の濾過層を通過する水の速度が4m/日乃至6m/日になるように設計された緩速砂濾過である。実施例では緩速砂濾過槽5から1分間に約10リットル(10l/分)の浄化された水を取り出すことができる結果を得ている。これによって、1日約15トンの浄水供給能力の装置を提供できる。
【0045】
実施形態では、前処理装置6から流出した水は、前処理水タンク10へ流入した後、緩速砂濾過槽5に流入するように構成され、緩速砂濾過槽5の底部から流出した水は、定量供給装置7へその底部から流入する構成である。
【0046】
実施形態において、前処理装置6から前処理水タンク10を介して緩速砂濾過槽5に供給された水は、緩速砂濾過槽5で濾過された後、定量供給装置7によって所定量の水が地下に設置した浄水地下タンク8へ供給される。定量供給装置7は、緩速砂濾過槽5とは別個に作製してあるが、定量供給装置7と緩速砂濾過槽5とがそれぞれ一体型に形成された形態でもよい。
【0047】
定量供給装置7は、特開2000−246015号と同様の構成である。即ち、緩速砂濾過槽5の水位の変動に伴って定量供給装置7の水位も変動する。定量供給装置7には、下端部の水流出口53が固定された可撓性の螺旋状導出管54が上下方向に設けられ、この螺旋状導出管54の上部に形成した水導入口52が水位に伴って上下動するフロート51と共に上下動するように設けられている。そして水導入口52はフロート51の下方位置にフロート51と一定間隔をもって取付けられている。
【0048】
このため、緩速砂濾過槽5への供給水が多い場合や、泥や微生物の糞や死骸などの堆積物等によって目詰まりして緩速砂濾過槽5の濾過速度が遅くなった場合等の如き通水抵抗の変動等によって生じる緩速砂濾過槽5の水位変動に伴って、定量供給装置7の水位55が変動し、このフロート51が上下動しても、水導入口52は常に一定の水面下を保つため、水流出口53からは一定量の水が供給できることになる。
【0049】
上記の前処理装置6を構成する緩速紐状接触材槽において、紐状接触材25は、その浄化領域30が、内側が密で外側が疎を呈する水が通過する細かい隙間が形成されており、紐状接触材25の酸素の供給が多い表面付近では好気性微生物が繁殖し、酸素の供給が少ない中心付近では嫌気性微生物が生息し、この微生物の作用によって水中の汚濁物質である有機物等が酸化分解されて水の浄化が行われる。即ち、微生物の作用による生物化学的浄化作用が行われる。また紐状接触材25は、この浄化領域30を通過する水中に浮遊する不純物が紐状接触材25に引掛かることによって濾過されるフィルタ作用をする。即ち、物理的浄化作用も行われる。
【0050】
緩速砂濾過槽5は、水が砂の各層を下方に通過する間に水に含まれた浮遊物が物理的に取り除かれるフィルタ作用もするが、一番上の砂の層48の表面部に、即ち、砂層48の上面やこの上面に近い砂層48内に、貯水部49に導入された水に含まれる成分によって微生物が繁殖し、この微生物による生物化学的浄化作用も行われる。この微生物の作用によって、水中の汚濁物質である有機物等が酸化分解されて水の浄化が行われる。緩速砂濾過槽5を通過した水は浄化された水であり、飲料として十分使用に適した状態である。この微生物による生物化学的浄化作用を効果ならしめるために、一番上の砂槽48の表面に藻を繁殖させて光合成による水中への酸素放出によって溶存酸素の向上を図り、微生物の生存と活性化を促進させるために、緩速砂濾過槽5は採光性と強度を考慮して、貯水部分は半透過光タイプのFRP(ガラス繊維強化プラスチックス)で形成している。
【0051】
緩速砂濾過槽5は、その使用期間の経過によって一番上の砂層48の表面部に、即ち、砂層48の上面やこの上面に近い砂層48内に、泥や微生物の糞や死骸などの堆積物層が生じ、その堆積物層が厚くなり過ぎると砂の層が目詰まりして緩速砂濾過槽5の濾過速度が遅くなる。このため、この堆積物層を適当な器具によって取り除く。この場合、微生物層が完全に取り除かれると、微生物が再び繁殖して浄化作用するまでに長時間かかるので、微生物による浄化作用が継続して行われるように微生物層が残る状態で堆積物層の除去作業をすることが必要である。通常、1ヶ月に1回の割合で器具によって砂層48の表面の堆積物層を約10mmの厚さで均等に掻き取り、残った砂層48の表面を器具によって平坦にする。この砂層48表面の掻き取り作業は、必要なバルブを閉めて緩速砂濾過槽5への水の供給を止めて行われる。後述のように、この作業中にも給水部11からの浄化水の取り出しができるように、約6m3の浄化水を供給できるように浄水高架タンク9A及び浄水地下タンク8の容量を設定した構成である。
【0052】
紐状接触材25は、従来の多数の礫(小さい石)で濾過する方式に比して表面積が大きいので、次段の緩速砂濾過槽5の機能を阻害する成分が高濃度に含まれる原水を使用する場合にも、良好な浄化作用が得られるので、緩速紐状接触材槽は緩速砂濾過槽の前処理装置として好適である。この場合、緩速紐状接触材槽で全ての栄養分を消費すると緩速砂濾過槽5で微生物の増殖ができなくなるので、緩速紐状接触材槽の大きさや数は原水に含まれる成分の種類によって決定する。
【0053】
従来の多数の礫(小さい石)で濾過層を形成した前処理装置では、この礫を取り出して洗浄することにかなりの労力が必要であったが、本発明では、紐状接触材25は柔軟性に富むため、紐状接触材25に付着した泥の除去や付着した微生物の層を一定の状態に減少させる場合には、紐状接触材25を緩速紐状接触材槽26から取り出して洗浄することに適する。
【0054】
緩速紐状接触材槽が大きな1つの槽であると、槽内の底部を流れる水は紐状接触材25との接触時間が少なくなり、水の濾過作用上からは好ましくないが、本発明では、上記のように緩速紐状接触材槽を多段に配置して、各緩速紐状接触材槽を次々と水が流れるように構成しているため、水は各緩速紐状接触材槽を次々と流れる間にその流れに乱れが生じ、最初の緩速紐状接触材槽で紐状接触材25との接触効果が少なかった水は、次段或いはその後段の緩速紐状接触材槽で紐状接触材25との接触効果が得られることとなり、緩速紐状接触材槽での水の浄化作用が効果的となる。
【0055】
また、様々な微生物にとって栄養分となる成分が高濃度で含まれた水の場合には、増殖する微生物に優先順位が生じることがある。長い紐状接触材25を採用して水と紐状接触材25との接触距離を長くして接触時間を稼ぐことにより、水に含まれた多くの含有成分を低減して浄化効果を挙げる方法も考えられるが、そうすると緩速紐状接触材槽が大型化して製造上及び設置上でも問題がある。しかし、本発明では、上記のように多数の緩速紐状接触材槽を直列的に水が流れるように構成しているため、前処理装置6全体としては、水と紐状接触材25との接触距離が長くなって接触時間も長くなり、それによって、多くの含有成分を低減することができる。大きな緩速紐状接触材槽を用意せずとも効果的な浄水システムが提供できる。
【0056】
本発明の浄水供給システムにおいて、前処理水タンク10を設けたのは、前処理装置6から供給される前処理水を緩速砂濾過槽5に供給するためのバッファーとしての機能を持たせるためである。
【0057】
また、本発明の浄水供給システムでは、前処理装置6から得られる水の量を緩速砂濾過槽5から得られる浄水の量よりも多くすることによって、緩速砂濾過槽5に滞留している間の水中の溶存酸素の低下を防ぎ、且つ、砂槽48の表面に繁殖した藻が順次寿命によって変色して緩速砂濾過槽5の水面に浮遊したものは、この供給過剰分の水と共に緩速砂濾過槽5の貯水部49からオーバーフロー孔5Aを通ってオーバーフローされる。このため、寿命によって変色して緩速砂濾過槽5の水面に浮遊する藻の除去が行われると共に、貯水部49の水深が浅くならず、常に緩速砂濾過槽5の水頭が一定となり、緩速砂濾過槽5の濾過速度が一定化し、正規の濾過機能を発揮できる。更に、このオーバーフローによって、貯水部49に浮かぶ木の葉、虫、藻等を一緒に緩速砂濾過槽5外へ排出することができ、これらによる、濾過層の砂の目詰まりを未然に防ぐことができる。
【0058】
本発明において、緩速砂濾過槽5から1分間に約10リットル(10l/分)の浄化された水、即ち、浄水を得る浄化システムの一実施例として、緩速紐状接触材槽は、その内法寸法が幅約2140mm、長さ約3200mmで水深300mmであり、図8に示すように、中間部に採光窓34を設けた8レーン構成とした半透明のFRP(ガラス繊維強化プラスチックス)で形成している。そして、各レーンに外径50mm〜100mmの紐状接触材25の上下4本を一組として水平方向に配置した構成であり、この緩速紐状接触材槽を上下4段に配置して前処理装置6を構成する。そして、緩速紐状接触材槽26の流水速度は、前処理装置6から約11リットル/分の水が得られる流速とした。
【0059】
また、緩速砂濾過槽5は、平面形状が楕円形状をなし、底部の平面寸法は1.89平方メートルの楕円形である。また、砂層44、45及び46の厚さがそれぞれ150mm、砂層47と48の厚さが夫々300mmであり、貯水部49の水深が650mmであって、濾過速度が5m/日の設定である。緩速砂濾過槽5は、貯水部49に対応する壁を透光性として、一番上の砂槽48の表面に藻を繁殖させて光合成による水中への酸素放出によって溶存酸素の向上を図り、微生物の生存と活性化を促進させるために、半透明のFRP(ガラス繊維強化プラスチックス)で形成している。しかし、砂層48の表面よりも下方の砂層濾過層に藻が発生すると水の通水抵抗が大きくなって水の流れが悪くなるため、この砂層48の表面よりも下方の砂層濾過層に対応する緩速砂濾過槽5の外周には色彩塗料を塗ることによって、光が当たらないようにして藻の発生を抑制している。
【0060】
上記実施例の浄水供給システムは、周囲温度が30℃乃至35℃程度で採光性が確保されれば、原水を導入してから約3日で略正規の浄化水が得られることが判明している。本発明において、紐状接触材は、酸素の供給される表面付近では好気性微生物が、中心付近では嫌気性微生物が生息して水中の有機物を浄化し、物理的浄化作用と相俟って、緩速砂濾過の前処理装置として優れた効果を得ることができ、極端な水質の悪化を除けば緩速砂濾過の機能を十分に発揮して、色度、濁度、有機物、鉄分、マンガン等を低下させWHO目標値以下にすることができる浄水システムとなる。
【0061】
本発明において、原水タンクから緩速砂濾過槽に至る水の流れを自然落下方式とすると共に、沈殿槽から流出した水を紐状接触材に付着した微生物による浄化作用で浄化する複数の緩速紐状接触材槽が、上段の緩速紐状接触材槽からその下流の複数段の緩速紐状接触材槽へと段々に水が自然流下方式によって流下するように多段状に配置された構成である。そして、この緩速紐状接触材槽を緩速砂濾過槽の前処理装置として機能せしめるものであるため、水と紐状接触材との接触効果が向上し、紐状接触材による効果的な前処理装置が達成でき、自然落下方式によって維持費の低減化ができ、簡素化された緩速濾過方式の浄水供給システムとなる。
【0062】
本発明の緩速濾過方式の浄水供給システムでは、停電時にも継続して浄化水が得られる停電保障方式を採っている。緩速砂濾過方式は、微生物によって原水を浄化しているので、水の流れが無くなると、酸素不足に陥り、また微生物の栄養分も不足して、一定時間でその機能を失ってしまう。最悪の場合には、一旦酸化して砂の表層に留めた物質が酸素不足から還元されて再び水に溶け出し、水の流れが再開したとき、浄水と一緒に出てしまい、結果として原水よりも悪い水が供給されることもある。このような事態にならないように、緩速砂濾過槽5では、24時間水の流れを止めないことが重要である。しかし、時として停電やポンプの故障によって一時的に水の供給が停止することがあり、この停止時間を最低限に抑える必要がある。この対策として、停電時に稼動する内燃機関(エンジン)式発電機等を装備しておくことも考えられるが、燃料代の捻出等も問題である。ちなみに、本発明の装置には、緊急対応用としてコントロールボックス80内に発電機用の接続端子が設けられている。
【0063】
これに鑑みて、本発明では、停電時にもそれまでと同様に自然流下式による水の流れを確保して、継続して浄化水が得られる停電保障方式を採っている。即ち前処理水タンク10には、上記のバッファー機能に加えて、この前処理水タンク10での貯水容量によって、停電時にも浄化された水の供給が継続されるようにしている。緩速砂濾過槽5から継続して所定の浄化水が得られるように、前処理水タンク10には所定の貯水容量を持たせることによって、停電があっても前処理水タンク10から緩速砂濾過槽5への前処理水の供給が確保されるようになっている。
【0064】
具体的には、前処理水タンク10の下部から緩速砂濾過槽5の貯水部49の下部へ水が供給されるようにパイプ接続されており、緩速砂濾過槽5の水位は前処理水タンク10の水位と同レベルに制御される。このため、停電時にも緩速砂濾過槽5の貯水部49に十分な量の水が貯留できるように、前処理水タンク10での貯水量を定めている。
【0065】
この停電保障をより効果的にするために、停電時でも原水タンク1が満タン状態であれば、約5時間の無停電給水が可能である。
【0066】
また、浄水高架タンク9A及び浄水地下タンク8は約6m3の水を貯留する大きさとすることによって、停電時にも原水タンク1が空になった後も、ハンドポンプ16Bを稼動することにより、一定時間貯留水を給水部11から自然落下方式にて取水可能である。
【0067】
このように本願発明では、停電時にも停電前と同様に自然流下式による水の流れを確保して、継続して浄化水が得られる停電保障方式の浄水システムである。停電が長時間に亘る場合には内燃機関(エンジン)式発電機を使用する場合にも、この発電機の運転時間が短くなり、発電機の燃料代も少なくて済み、停電時の費用も少ない緩速濾過方式の浄水供給システムとなる。
【0068】
本発明は、上記のような緩速濾過方式の浄水供給システム、即ち緩速濾過装置の構成要素の運搬と設置に便利な可搬型小規模浄水供給システムを提供するものである。このため、上下方向に積み重ね可能な複数の可搬式立体フレーム100、101を備え、梱包運搬時には緩速濾過装置を構成する構成要素が前記フレーム100、101に収納され、設置時には前記フレーム100、101に前記構成要素及び外部配管が組み立てられて緩速濾過装置を構成したことを特徴とする可搬型小規模浄水供給システムである。
【0069】
そして、梱包運搬時に二つの可搬式立体フレーム100、101に緩速濾過方式の浄水供給システム、即ち緩速濾過装置を構成する構成要素(構成装置ともいう)の一式が収納され、設置場所にて上下二段に積み重ねた前記フレーム100、101に前記構成要素(構成装置ともいう)が組み立てられるキット構成の可搬型小規模浄水供給システムである。この場合、前記構成要素(構成装置ともいう)及びこれらの構成要素を接続する配管用パイプやバルブ等の関連要素(関連装置ともいう)の一式をフレーム100、101に積み込み、これを設置場所へ運搬した後、フレーム100、101内及びその外側に組み立てて浄水供給システム(装置)を完成させるものである。このように、緩速濾過装置の構成要素全てが一式としてフレーム100、101にて運搬できるため、これらの構成要素が運搬中に分散せず設置時の点検も容易となり、キット構成の可搬型小規模浄水供給システムとすることができる。また、フレーム100、10を利用して組立てを行うめ緩速濾過装置の設置用構築物を別途に建設する必要がない。
【0070】
緩速濾過装置を設置する場所によっては、河川などの原水2からポンプ3までの給水配管の距離が長い場合があるため、この給水配管については、現場合わせが必要となるため、フレーム100、101へ積み込むことができない場合は別個に運搬することとなる。この別個に運搬する場合でも、本発明のキット構成の可搬型小規模浄水供給システムの技術思想を逸脱するものではない。河川などの原水2からポンプ3までの給水配管の標準給水配管として、所定長さのパイプをフレーム100、101へ積み込むように構成することもできる。この場合は、より完備されたキット構成の可搬型小規模浄水供給システムとすることができる。付帯設備70の鉄骨台脚75、浄水高架タンク9B、ポンプ16C及び給水部12乃至14、並びに給水部11は、通常、本発明の可搬型小規模浄水供給システムを設置する現地において調達され組み立てられる。
【0071】
本発明において、立体フレーム100、101は、鉄骨材若しくは壁材によって、又は鉄骨材と壁材の組み合わせによって、内部に物品を収納し運搬できるフレーム構造又は壁構造をなす構造体の総称であり、横長の直方形状、平面形状が楕円形をなすもの、又はその他の形状をなす可搬式立体フレーム(立体骨組み又は箱型コンテナともいう)構成であり、実施形態では、高さが約2200mm、幅が約2200mm、長さが約6000mmの横長の直方形状をなす。この可搬式立体フレーム100、101は、トレーラ車に積んで運搬可能な大きさと強度を保っている。
【0072】
本発明の緩速濾過方式の浄水供給システムは、可搬式立体フレーム100、101に組み立てられる緩速濾過装置の構成要素である原水タンク、沈殿槽、緩速砂濾過槽、前処理装置、定流量装置、前処理水タンク、コントロールボックス、浄水タンク、ポンプ、及びこれらの要素間を接続する配管用パイプやバルブ等の関連要素(関連装置ともいう)の一式を可搬式立体フレーム100、101に収納して運搬する。そして、設置時には可搬式立体フレーム100、101に前記構成要素及び関連要素が組み立てられ配管されて緩速濾過装置を構成する。
【0073】
具体的には、可搬式立体フレーム100、101に組み立てられる緩速濾過装置を構成する原水タンク1、沈殿槽4、緩速砂濾過槽5、前処理装置6、定流量装置7、前処理水タンク10、コントロールボックス80、浄水タンク9A、原水ポンプ3、浄水ポンプ16A、ハンドポンプ16B及びこれらの要素間を接続する配管用パイプやバルブ等の関連装置と浄水地下タンク8の一式を可搬式立体フレーム100、101に収納して運搬する。
【0074】
更に具体的には、上下二段に積み重ねて設置される二つの可搬式立体フレーム100、101を備え、運搬時には、フレーム100、101のうちの下段に設置されるフレーム100に主要構成要素である緩速砂濾過槽5、沈殿槽4、原水タンク1、原水ポンプ3、浄水ポンプ16A、ハンドポンプ16B、前処理水タンク10、定流量装置7、コントロールボックス80、及び標準長さの配管用パイプ(例えば、約4mの長さのパイプの適数本)やバルブが必要な梱包をされて収納され、上段に設置されるフレーム101には前処理装置6、原水タンク架台120、定流量装置架台121、前処理水タンク架台122、浄水高架タンク9A、浄水地下タンク8が必要な梱包をされて収納される。そして、設置時には、下段に設置されるフレーム100に緩速砂濾過槽5、定流量装置架台121とその上に定流量装置7、前処理水タンク架台122とその上に前処理水タンク10、更に浄水ポンプ16A、ハンドポンプ16B及びコントロールボックス80が配置され、上段に設置されるフレーム101には前処理装置6、浄水高架タンク9A、原水タンク架台120とその上に原水タンク1、及び沈殿槽4が組み立てられ配管されて緩速濾過装置を構成する。なお、図6の点線ラインP−Pの右側の付帯設備70と原水ポンプ3と給水部11は、フレーム100、101の外に設置される部分である。
【0075】
フレーム100、101を設置する際は、基礎工事を施してその上にフレーム100、101を設置する。このため、従来のようにコンクリートで建築物を作り、その中に緩速濾過装置を設置する方式に比して、建物の基礎工事と建築期間が不要となり、建物の基礎工事に比して比較的簡単な基礎工事によって達成できるため、工期が短く費用が安くできる。
【0076】
運搬時において、上段に設置されるフレーム101に収納される浄水地下タンク8は、浄水高架タンク9A内に収納された状態である。また、沈殿槽4は緩速砂濾過槽5内に収納された状態である。緩速砂濾過槽5内の砂はそれぞれの層毎に梱包用袋に分けてフレーム100の収納して運搬される。また、紐状接触材25は緩速紐状接触材槽26の各レーンに左右の取り付けが外され収納した状態で運搬される。
【0077】
設置状態では、原水タンク架台120とその上の原水タンク1、沈殿槽4、及び前処理装置6の第1段槽26Aが上段に設置されるフレーム101の上側に設置され、ポンプ3及び16Aと浄水地下タンク8が上下両フレーム100、101外に設置されて所定の配管が行われる。
【0078】
このように、運搬時に用いられる立体フレーム100、101に本発明の緩速濾過方式の浄水供給システムの主要構成要素又は全ての装置(全ての構成要素)を積み込んで設置する所定の場所へ運搬し、設置時にはこの立体フレーム100、101に前記主要構成要素及び関連要素が組み立てられ配管されて緩速濾過装置を構成するものであるため、小規模緩速濾過装置の構築に適し、広範な地域への運搬と狭い場所での設置に適する。
【0079】
そして、長さが約6000mmの立体フレーム(箱型コンテナ)100、101内という限られたスペースでありながら、1日約15トンの浄水供給能力の装置を提供できる。また、自然落下方式であるため、停電時でも原水タンクが満タン状態であれば、約5時間の無停電給水が可能である。また、自然発生バクテリア活用による緩速濾過システムであるため、薬品投入が不要であり、薬品による2次汚染もなく、メンテナンスも沈殿物の排出や砂掻き等によって行えるため、ランニングコストも安く、管理コストが安く取り扱いも安全である。
【0080】
立体フレーム100は、緩速砂濾過槽5等への採光性向上を目的として、フレーム壁3面(図2において手前側の面、左側の面及び奥側の面の3面)の上部に採光窓125を形成している。また、立体フレーム101も前処理装置6の緩速紐状接触材槽26内ヘの採光性向上を目的として、フレーム壁3面(図2において手前側の面、左側の面及び奥側の面の3面)の上部に採光窓126を形成している。
【0081】
また、本発明の緩速濾過方式の浄水供給システムでは、ポンプ3、16A、16Cのモータへの電力は、僻地でも導入が容易な単相電力を採用できるシステムとしている。また、フレーム100、101を設置する際には、基礎工事を施してその上にフレーム100、101を設置すればよいので、従来のようにコンクリートで建築物を作り、その中に緩速濾過装置を設置する方式に比して、基礎工事も比較的簡単になり、工期が短く費用が安くできる。
【0082】
本発明の可搬型小規模浄水供給システムにおける組立てとメンテナンスの利便性のために、フレーム100の上端部外周3面(図2において手前側の面、左側の面及び奥側の面の3面)、又はフレーム101の下端部外周3面(図2において手前側の面、左側の面及び奥側の面の3面)に、採光窓125に沿ってステップ127を設けている。このステップ127は、採光窓125への採光を考慮して床面は網目床128とし、フェンス部129は格子構成である。
【0083】
図1、図3、図4、図5には、フレーム100、101と前記各構成要素との関係を含んで、関連寸法を括弧内に数字で示している。単位はミリメートル(mm)である。
【0084】
本発明は、上記実施形態に限定されず、フレーム100、101の形態、運搬時のフレーム100、101内への本発明可搬型小規模浄水供給システムの構成要素の積み込み形態、運搬後にフレーム100、101へ本発明可搬型小規模浄水供給システムの各構成要素の配置と組立て形態は、種々変更できる。このため、本発明の技術的範囲を逸脱しない限り、それに係る種種の実施形態を包含するものである。
【0085】
【発明の効果】
本発明によれば、可搬式立体フレームに緩速濾過装置を構成する構成要素を積み込んで運搬し、このフレームに前記構成要素及び関連要素を組み立て配管して緩速濾過装置を構成するため、運搬の容易さと建設価格の低減と工期の短縮化を図ることができ、広範な地域への導入が可能となる。
【0086】
このため、緩速濾過装置を組み立てる建屋は、運搬に用いたフレームによって達成でき、緩速濾過装置を組み立てる建屋となるフレームは、工場での生産によって作ることができるため、品質や精度のよいものとなる。
【0087】
また、運搬の手間と運送費の削減ができ、遠隔地や海外への運搬も短期間で確実に行えるものとなる。そして、装置一式がパッケージ化されるため、設置する現地での調達が困難な部品の入手の心配も解消でき、また現地調達品の品質不安の問題も解消する。
【0088】
また、本発明可搬型小規模浄水供給システムは自然流下方式でるため、維持費の低減化ができ、簡素化された緩速濾過方式の浄水システムとなる。また、紐状接触材を備えた緩速濾過槽を二つの組に分けることによって、一方の組のメンテナンス中でも他方の組が有効に機能するため、浄水の供給が停止せず、紐状接触材層のメンテナンス時でも利用者が水無し状態に陥ることはない。
【0089】
更に、本発明可搬型小規模浄水供給システムは、定期的な薬品の購入を必要としないため、ランニングコストが廉価であり、資金力の乏しい村落等への導入に際しても自主的な長期運営が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の可搬型小規模浄水供給システムの設置状態における構成要素の配置と配管図である。但し、定流量装置7の位置は左方へ移動させて表示すると共に浄水ポンプ16Aはフレームの外に表示している。
【図2】本発明可搬型小規模浄水供給システムの組み立て完成斜視図である。
【図3】本発明可搬型小規模浄水供給システムの運搬時の構成要素の梱包配置図であって(イ)は上段可搬式立体フレームの配置平面図、(ロ)は上段可搬式立体フレームの配置側面図、ハ)は下段可搬式立体フレームの配置平面図、(ニ)は下段可搬式立体フレームの配置側面図ある。
【図4】(イ)は設置時の可搬式立体フレームの骨格配置を示す平面図、(ロ)は設置時の本発明可搬型浄水供給システムを上方から見た構成要素の配置図である。
【図5】上下に積み重ねて設置した状態の本発明可搬式立体フレームの関係とその内部配置を示す側面図である。
【図6】本発明可搬型小規模浄水供給システムの水経路図である。
【図7】本発明浄水システムの緩速紐状接触材の構成図であり、(イ)は綿状繊維部を備えた密な緩速紐状接触材の構成図、(ロ)は綿状繊維部を備えない疎の緩速紐状接触材の構成図である。
【図8】本発明浄水システムの緩速紐状接触材槽の構成を示す平面図である。
【図9】本発明浄水システムの緩速紐状接触材槽の構成を示す断面図である。
【図10】本発明浄水システムの緩速砂濾過槽の構成を示す断面図である。
【図11】本発明浄水システムの定流量装置の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1・・・・原水タンク
2・・・・原水
3、16A、16B、16C・・・・ポンプ
4・・・・傾斜管沈殿槽
5・・・・緩速砂濾過槽
6・・・・前処理装置
7・・・・定量供給装置
8・・・・浄水地下タンク
9A、9B・・・・浄水高架タンク
10・・・・前処理貯水タンク
25・・・・紐状接触材
26、26A〜26D・・・・紐状接触材槽
37、38A、38B・・・・バルブ
80・・・・コントロールボックス
100、101・・・・立体フレーム
120・・・・原水タンク架台
121・・・・定流量装置架台
122・・・・前処理水タンク架台
125、126・・・・採光窓
127・・・・ステップ
Claims (9)
- 緩速濾過装置を構成する原水タンク、沈殿槽、前処理装置、緩速砂濾過槽、定流量装置、浄水タンク、ポンプを、これらが収納されて運搬される可搬式立体フレームに組み付けて緩速濾過装置を構成したことを特徴とする可搬型小規模浄水供給システム。
- 上下方向に積み重ね可能な複数の可搬式立体フレームを備え、運搬時には緩速濾過装置を構成する構成要素が前記フレームに収納され、設置時には前記フレームに前記構成要素及び関連要素が組み立てられ配管されて緩速濾過装置を構成したことを特徴とする可搬型小規模浄水供給システム。
- 運搬時に二つの可搬式立体フレームに緩速濾過装置を構成する構成要素及び関連要素の一式が収納され、設置場所にて上下二段に積み重ねた前記フレームに前記構成要素及び関連要素が組み立てられ配管可能なキット構成としたことを特徴とする可搬型小規模浄水供給システム。
- 上下二段に積み重ねて設置される二つの可搬式立体フレームを備え、運搬時には、前記フレームのうちの下段に設置されるフレームに緩速砂濾過槽、沈殿槽、原水タンク、原水ポンプ、浄水ポンプ、ハンドポンプ、前処理水タンク、定流量装置及びコントロールボックスが収納され、上段に設置されるフレームには前処理装置、原水タンク架台、定流量装置架台、前処理水タンク架台、浄水高架タンク、浄水地下タンクが収納され、設置時には、前記下段に設置されるフレームに緩速砂濾過槽、定流量装置架台とその上に定流量装置、前処理水タンク架台とその上に前処理水タンク、浄水ポンプ、ハンドポンプ及びコントロールボックスが配置され、前記上段に設置されるフレームには前処理装置、浄水高架タンク、原水タンク架台とその上に原水タンク、及び沈殿槽が組み立てられ配管されて緩速濾過装置を構成したことを特徴とする可搬型小規模浄水供給システム。
- 前記運搬時において、前記上段に設置されるフレームに収納される前記浄水地下タンクは前記浄水高架タンク内に収納されたことを特徴とする請求項4に記載の可搬型小規模浄水供給システム。
- 前記前処理装置は複数段の前処理槽からなり、前記設置時において、前記原水タンク架台とその上の原水タンク、前記沈殿槽、及び前記前処理槽の第1段槽が前記上段に設置されるフレームの上側に設置され、前記原水ポンプと前記浄水地下タンクが前記上下両フレーム外に設置された構成であることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の可搬型小規模浄水供給システム。
- 前記前処理装置は、水が上段槽から下段槽へ向けて自然流下するように配置した複数段の前処理槽が前半の組と後半の組の二組を構成し、前記水の流れが、前記前半の組と後半の組の各槽に順次流下式に流れる流路と、前記前半の組と後半の組の何れかの組へ流れる流路とに切り換え可能なバルブを設けたことを特徴とする請求項4乃至6のいずれかに記載の可搬型小規模浄水供給システム。
- 前記前処理装置は、紐状芯線の周囲に取付けた多数の糸状細線部及び又は綿状繊維部によって微生物による浄化領域を形成した紐状接触材の複数条が水中に配置されて緩速紐状接触材槽を構成し、前記緩速紐状接触材槽の複数段からなることを特徴とする請求項4乃至7のいずれかに記載の可搬型小規模浄水供給システム。
- 原水を貯溜する前記原水タンクと、前記原水タンクから流出した水に含まれる不純物を沈殿させる前記沈殿槽と、前記沈殿槽から流出した水を紐状接触材に付着した微生物による浄化作用で浄化する複数の緩速紐状接触材槽が上段の緩速紐状接触材槽からその下流の複数段の緩速紐状接触材槽へと段々に水が流下するように配置された前記前処理装置と、前記前処理装置から流出した水を濾過する前記緩速砂濾過槽とを設け、前記原水タンクから前記緩速砂濾過槽に至る水の流れが自然流下方式であり、前記緩速砂濾過槽から流出した水を前記浄水地下タンク及び浄水高架タンクへ貯溜する構成であることを特徴とする請求項4乃至8のいずれかに記載の可搬型小規模浄水供給システム。
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