JP2016083642A - 保持材、および、排水処理装置 - Google Patents

保持材、および、排水処理装置 Download PDF

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Abstract

【課題】保持材を用いる場合の不具合の可能性を低減できる技術を提供する。【解決手段】排水処理装置の水処理槽内に微生物を保持するために保持材が収容される。保持材は、外周部と内周部とを備えている。外周部は、線材が絡まる立体的な網状体であって、軸線に沿って延びる筒状に形成されている。内周部は、線材が絡まる立体的な網状体であって、外周部の内周側に配置されている。外周部の線材と、内周部の線材とを、軸線に垂直な平面上に軸線に平行に投影して得られる投影図を第1投影図とし、投影図上における線材を示す部分の面積の割合を線材割合とする。第1投影図上において、内周部における線材割合の平均値は、外周部における線材割合の平均値よりも小さい。第1投影図上において、内周部の線材は、外周部の内周側の領域の全体に亘って不規則に配置されている。【選択図】 図3

Description

本開示は、排水を処理する技術に関する。
従来から、微生物を利用して排水処理が行われている。排水処理装置としては、微生物を保持するための保持材を収容する水処理槽を有するものが、知られている。そのような水処理槽としては、例えば、保持材としての嫌気濾材を収容する嫌気濾床槽や、保持材としての接触材を収容する好気処理槽が知られている。また、保持材としては、複数の線状体が絡み合って形成された立体網状構造を有するものが、提案されている。
特許第3055086号公報 特許第2733819号公報
ところで、立体網状構造の保持材を用いる場合、不具合が生じる場合があった。例えば、排水処理装置にかかる負荷は、使用状況や環境に応じて変化し得る。ここで、低負荷に対応するために、表面積が大きく密な保持材が用いられる場合がある。しかし、密な保持材を用いる排水処理装置にかかる負荷が高くなった場合には、微生物が過度に保持されることで保持材が閉塞する場合があった。また、高負荷では生物膜が肥厚して閉塞する可能性が高まるので、密な保持材を使用することができなかった。一方、閉塞を回避するために粗な保持材を用いる場合、保持材に保持される微生物の量が少なくなるので、十分な水処理が行えなくなる場合があった。また粗な保持材においては保持材の強度が低下するので、外部からの力による保持材の変形に起因して処理性能が低下する場合があった。さらに、保持材の変形によって保持材が排水処理装置から離脱しやすくなる場合があった。また、これらの理由により、種々の負荷に対応可能な保持材は、製造が困難であった。
本開示は、保持材を用いる場合の不具合の可能性を低減できる技術を提供する。
本開示は、例えば、以下の適用例を開示する。
[適用例1]
排水処理装置の水処理槽内に微生物を保持するために収容される保持材であって、
線材が絡まる立体的な網状体であって、軸線に沿って延びる筒状に形成された外周部と、
線材が絡まる立体的な網状体であって、前記外周部の内周側に配置された内周部と、
を備え、
前記外周部の前記線材と、前記内周部の前記線材とを、前記軸線に垂直な平面上に前記軸線に平行に投影して得られる投影図を第1投影図とし、投影図上における前記線材を示す部分の面積の割合を線材割合とする場合に、
前記第1投影図上において、前記内周部における線材割合の平均値は、前記外周部における線材割合の平均値よりも小さく、
前記第1投影図上において、前記内周部の前記線材は、前記外周部の内周側の領域の全体に亘って不規則に配置されている、
保持材。
この構成によれば、第1投影図上において、内周部における線材割合の平均値は、外周部における線材割合の平均値よりも小さいので、排水処理装置の負荷が高くて外周部に多量の生物膜が付着する場合であっても、内周部の中を通る水の通路を容易に確保できる。従って、負荷が高い場合の処理性能の低下を抑制できる。また、第1投影図上において、外周部における線材割合の平均値は、内周部における線材割合の平均値よりも大きいので、排水処理装置の負荷が低い場合であっても、外周部に保持される生物膜の量が少なくなることを抑制できる。従って、負荷が低い場合の処理性能の低下を抑制できる。さらに、線材割合の平均値は、内周部の外周側に位置する外周部で大きいので、外部からの力によって保持材が変形することを抑制できる。従って、保持材の変形に起因して処理性能が低下したり、保持材が排水処理装置の水処理槽から離脱することを抑制できる。さらに、内周部の線材は、外周部の内周側の領域の全体に亘って不規則に配置されているので、内周部における短絡流を抑制できる。従って、処理性能の低下をさらに抑制できる。また、保持材の製造時に内周部の線材を規則的に配置するための制御が不要であるので、保持材を容易に製造できる。
[適用例2]
適用例1に記載の保持材であって、
前記第1投影図上において、前記外周部の前記線材は、前記外周部の全体に亘って不規則に配置されている、
保持材。
この構成によれば、外周部の線材は、外周部の全体に亘って不規則に配置されているので、外周部における短絡流を抑制できる。従って、処理性能の低下をさらに抑制できる。また、保持材の製造時に外周部の線材を規則的に配置するための制御が不要であるので、保持材を容易に製造できる。
[適用例3]
適用例1または2に記載の保持材であって、
前記第1投影図上において、前記内周部と前記外周部とのそれぞれは、前記線材に重ならない複数の貫通孔を有し、
前記第1投影図上において、最大の貫通孔は、前記外周部ではなく前記内周部に形成されている、
保持材。
この構成によれば、第1投影図上において、最大の貫通孔が外周部ではなく内周部に設けられているので、排水処理装置の負荷が高くて外周部に多量の生物膜が付着する場合であっても、内周部の中を通る水の通路を容易に確保できる。従って、負荷が高い場合の処理性能の低下を抑制できる。また、第1投影図上において、外周部には、最大の貫通孔よりも小さい複数の貫通孔が設けられている。従って、排水処理装置の負荷が低い場合であっても、外周部内で水流が弱まって微生物が付着し易くなるので、外周部に保持される生物膜の量が少なくなることを抑制できる。この結果、負荷が低い場合の処理性能の低下を抑制できる。さらに、最大の貫通孔が外周部ではなく内周部に設けられているので、外部からの力によって保持材が変形することを抑制できる。従って、保持材の変形に起因して処理性能が低下したり保持材が排水処理装置の水処理槽から離脱したりすることを抑制できる。
[適用例4]
適用例1から3のいずれか1項に記載の保持材であって、
前記外周部の前記線材と、前記内周部の前記線材とを、前記軸線に平行な平面上に前記軸線に垂直に投影して得られる投影図を第2投影図とし、
前記第2投影図上の前記保持材内における前記軸線に重なる位置での線材割合を、軸上線材割合とし、
前記第2投影図上の前記軸線のうち前記保持材内の部分である線分のうち、一方の端を含む15%の長さの第1部分と他方の端を含む15%の長さの第2部分とを除いた残りの第3部分において、前記軸線に平行な方向の位置に応じて変化し得る前記軸上線材割合の最大値を、最大軸上割合とする場合に、
前記線分の前記第3部分において、前記軸上線材割合は前記最大軸上割合の0.7倍以上である、
保持材。
仮に、第2投影図上の保持材内における軸線に重なる線分のうち両端部を除いた残りの部分に、軸上線材割合が最大軸上割合の0.7倍未満である部分(すなわち、線材の密度が低い部分)が存在する場合には、その部分が潰れる等の不具合が生じ得る。上記構成によれば、そのような不具合を抑制できる。
[適用例5]
適用例1から4のいずれか1項に記載の保持材であって、
前記外周部の前記線材の表面粗さと、前記内周部の前記線材の表面粗さとは、所定の表面粗さを上回っている、保持材。
この構成によれば、線材の表面が滑らかである場合と比べて、保持材が生物膜を保持し易くなるので、処理性能の低下を抑制できる。
[適用例6]
排水処理装置であって、
排水を処理する水処理槽と、
設置現場とは独立に予め工場で前記水処理槽内に収容された複数個の適用例1から5のいずれか1項に記載の保持材と、
を備える排水処理装置。
この構成によれば、負荷が高い場合の処理性能の低下と、負荷が低い場合の処理性能の低下とが、保持材によって抑制されているので、設置現場において設置現場の負荷状況に合わせて保持材を水処理槽に収容しなくても、排水処理装置は、設置現場の種々の負荷状況に対応可能である。
[適用例7]
適用例6に記載の排水処理装置であって、
1つの好気処理槽を備え、
前記水処理槽は、前記1つの好気処理槽である、
排水処理装置。
この構成によれば、負荷が高い場合の処理性能の低下と、負荷が低い場合の処理性能の低下とが、保持材によって抑制されているので、複数の好気処理槽を用いずに、1つの好気処理槽を用いて、排水処理装置は、低負荷と高負荷とに対応可能である。
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、保持材、保持材を備える排水処理装置、保持材を用いる排水処理方法、等の形態で実現することができる。
排水処理装置800を横から観察した概略構成を示す説明図である。 保持材700の概略図である。 軸線CLに平行な方向を向いて保持材700を観察した概略図である。 軸線CLに垂直な方向を向いて保持材700を観察した概略図である。 保持材700の製造装置100を横から観察した概略図である。 押出機200の複数のノズルNzの配置の例を示す概略図である。
A.第1実施例:
A1.排水処理装置の構成:
図1は、排水処理装置800を横から観察した概略構成を示す説明図である。本実施例の排水処理装置800は、一般家庭等からの排水(原水とも呼ばれる)の浄化処理を行う(このような装置は「浄化槽」とも呼ばれる)。排水処理装置800は、複数のステップを経て浄化処理を行うために、上流側(図1の左側)から順番に、夾雑物除去槽810、嫌気濾床槽820、接触濾床槽830、処理水槽840、消毒槽850を、収容している。流入口802を通じて排水処理装置800に流入した排水は、夾雑物除去槽810、嫌気濾床槽820、接触濾床槽830、処理水槽840、消毒槽850で順次処理された後に、放流口804を通じて排水処理装置800の外部に放流される。以下、各水処理槽を流れる水を「被処理水」あるいは、単に「水」と呼ぶ。
夾雑物除去槽810は、排水中の夾雑物を分離する水処理槽である。流入口802からの排水(汚水とも呼ばれる)は、まず、夾雑物除去槽810に流入する。夾雑物除去槽810は、流入バッフル812等の固液分離手段を有しており、排水中の夾雑物を被処理水から分離する。夾雑物が分離(除去)されたあとの水は、夾雑物除去槽810に設けられた移流開口814を通じて、嫌気濾床槽820に移流する。
嫌気濾床槽820は、嫌気性微生物による嫌気処理を行う水処理槽である。嫌気濾床槽820は、流入バッフル822と、嫌気性微生物が付着するための濾材826と、を有している。夾雑物除去槽810からの水は、流入バッフル822を通じて濾材826の下方に移動し、そして、濾材826を上方に向かって通り抜けることによって、嫌気処理される。嫌気処理によって、被処理水中の有機物が分解される。また、後述するように、嫌気濾床槽820には、接触濾床槽830で好気処理された水(硝酸イオンを含む水(硝化液とも呼ばれる))が、循環エアリフトポンプ860と夾雑物除去槽810とを通じて、流入する。嫌気濾床槽820では、嫌気性微生物に含まれる脱窒菌の働きにより、硝酸イオンから窒素ガスが生成されて、空気中に放出される(いわゆる脱窒)。また、濾材826は、被処理水中の浮遊物を捕捉し得る。濾材826によって処理されたあとの水は、嫌気濾床槽820に設けられた移流開口824を通じて、接触濾床槽830に移流する。
接触濾床槽830は、好気性微生物による好気処理を行う水処理槽である。接触濾床槽830は、複数の貫通孔を有する上部架台836と、複数の貫通孔を有する下部架台838と、複数の保持材700と、散気装置839と、を有している。複数の保持材700は、微生物を保持するための部材である。後述するように、各保持材700は、立体的な網状の部材である。複数の保持材700は、上部架台836と下部架台838との間の空間内に、収容されている。散気装置839は、下部架台838の下に配置されている。接触濾床槽830の下部には、接触濾床槽830の底部と処理水槽840の底部とを連通する移流開口834が設けられている。
散気装置839には、図示しないブロワから、酸素を含むガス(ここでは、空気)が供給される。散気装置839は、例えば、底面に設けられた複数の孔(図示省略)を有するパイプを用いて構成されている。図示を省略するが、散気装置839は、酸素を含む気泡を、複数の保持材700に供給する。散気装置839から吐出された多数の気泡は、複数の保持材700の内部を通過して、水面WLに到達する。本実施例では、複数の保持材700は、流動せずに、静止している。保持材700に担持された好気性微生物は、気泡に含まれる酸素を利用して、被処理水中の有機物を分解する。また、好気性微生物に含まれる硝化菌の働きにより、被処理水に含まれるアンモニウムイオンが酸化されて、亜硝酸イオン、そして、硝酸イオンが生成される(硝化)。硝酸イオンを含む水(硝化液)は、後述する循環エアリフトポンプ860によって、夾雑物除去槽810に移送される。また、接触濾床槽830で処理された水は、移流開口834を通じて、処理水槽840に移流する。
処理水槽840は、接触濾床槽830から移流した水を一時的に滞留して、水中の固形物(例えば、汚泥や浮遊物質等)を沈降・分離する水処理槽である。処理水槽840中の分離された固形物は、処理水槽840の底部に集められる。
処理水槽840には、循環エアリフトポンプ860が設けられている。循環エアリフトポンプ860は、処理水槽840の底部から夾雑物除去槽810へ、固形物と水(硝化液)を移送(返送)する。なお、循環エアリフトポンプ860は、図示しないブロワによって供給されたガスを利用して、動作する。
処理水槽840で固形物が分離された後の水(上澄水とも呼ばれる)は、処理水槽840の上部に設けられた移流開口844を通じて、消毒槽850に移流する。
消毒槽850は、被処理水を消毒する水処理槽である。消毒槽850は、処理水槽840の上部に配置されている。消毒槽850は、消毒剤(例えば、固形塩素剤)が充填された薬剤筒856を有している。消毒槽850では、被処理水は消毒剤と接触し、消毒剤によって被処理水が消毒される。消毒された水は、放流口804を通じて、排水処理装置800の外部へ放流される。
A2.保持材:
A2−1.概略:
まず、保持材700の構成について説明し、次に、保持材700の製造について説明する。図2は、保持材700の概略図である。図2(A)は、保持材700の簡略化された斜視図を示し、図2(B)は、保持材700の斜視図の拡大図を示している。本実施例では、保持材700は、線材790が絡まる立体的な網状体である。この保持材700は、熱可塑性樹脂(例えば、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂)の押し出し成形によって、形成されている。保持材700の全体としての形状は、軸線CLを中心とする略円柱形状である。保持材700は、外周側の部分である外周部710と、内周側の部分である内周部720と、に区分される。外周部710は、軸線CLに沿って延びる略円筒状の部分である。内周部720は、外周部710の内周側に配置された部分であり、軸線CLに沿って延びる略円柱状の部分である。外周部710と内周部720とは、いずれも、線材790が絡まる立体的な網状体である。
A2−2.第1投影図:
図3は、軸線CLに平行な方向を向いて保持材700を観察した概略図である。この図3は、外周部710の線材790と内周部720の線材790とを、軸線CLに垂直な平面上に、軸線CLに平行に投影することによって得られる投影図を示している(以下「第1投影図」と呼ぶ)。この第1投影図では、外周部710は、保持材700の最も外側の輪郭780を全周に亘って含むループ状の部分である。
図3の右部には、第1投影図上の部分領域710p、720pが、切り出して示されている。第1部分領域710pは、第1投影図上の外周部710の一部分を示し、第2部分領域720pは、第1投影図上の内周部720の一部分を示している。これらの部分領域710p、720pのサイズと形状とは、互いに同じである(ここでは、正方形)。図中の第1割合R1は、第1部分領域710p内における線材790を示す部分の面積の割合である。以下、投影図上において線材790を示す部分の面積の割合を「線材割合」とも呼ぶ。第2線材割合R2は、第2部分領域720p内における線材790を示す部分の面積の割合である。内周部720での第2線材割合R2は、外周部710での第1線材割合R1よりも、小さい。このように、内周部720では、外周部710と比べて、線材790の密度が低い。
なお、保持材700の大きさとしては、例えば、以下の大きさが採用される。保持材700の高さH(図2)、すなわち、軸線CLに平行な方向の保持材700の長さとしては、例えば、50[mm]以上、200[mm]以下の値を採用してもよい。保持材700の外径D1、すなわち、軸線CLに垂直な方向の保持材700の長さとしては、例えば、50[mm]以上、200[mm]以下の値を採用してもよい。外周部710の内径D2(すなわち、内周部720の外径)としては、外径D1の1/4以上、外径D1の3/4以下の値を採用してもよい。また、線材790の径としては、0.5[mm]以上、5[mm]以下の値を採用してもよい。例えば、高さHが100[mm]であり、外径D1が100[mm]であり、内径D2が50[mm]であり、線材790の径が1[mm]である保持材700を採用してもよい。なお、保持材700の各要素の寸法としては、上記の範囲の外の値を採用してもよい。
いずれの場合も、線材割合を算出するための部分領域(以下、「算出領域」と呼ぶ。例えば、図3の部分領域710p、720p)は、線材790の径に比べて十分に大きいことが好ましい。例えば、算出領域としては、1辺の長さが線材790の径の10倍である正方形を採用してもよい。そして、算出領域の中心位置での線材割合として、その算出領域を用いて算出された線材割合を採用すればよい。
このように、第1投影図(図3)上において、内周部720における第2線材割合R2は、外周部710における第1線材割合R1よりも小さい。従って、排水処理装置800の負荷が高い場合には、外周部710に多量の生物膜が付着し得る。このような場合であっても、内周部720では、外周部710よりも線材割合(すなわち、線材790の密度)が小さいので、内周部720の中を通る水の通路を容易に確保できる。このように、保持材700の網状の部分の全体が生物膜によって閉塞することを抑制し、そして、水を、保持材700の網状の部分の少なくとも一部(ここでは、内周部720の少なくとも一部)の中に通すことができる。従って、負荷が高い場合の処理性能の低下を抑制できる。
また、第1投影図上において、外周部710における第1線材割合R1は、内周部720における第2線材割合R2よりも大きい。従って、排水処理装置800の負荷が低い場合であっても、外周部710に保持される生物膜の量が少なくなることを抑制できる。この結果、負荷が低い場合の処理性能の低下を抑制できる。
また、第1投影図上における線材割合は、内周部720の外周側に位置する外周部710で大きいので、外周部710の機械的な強度が低下することを抑制できる。従って、外部からの力によって保持材700が変形することを抑制できる。この結果、保持材700の変形(例えば、保持材700が潰れて小さくなる等)に起因して処理性能が低下することや保持材700が排水処理装置800の接触濾床槽830から離脱することを抑制できる。例えば、潰れて小さくなった保持材700が上部架台836または下部架台838の貫通孔を通り抜けて、架台836、838に挟まれた空間の外に移動することを抑制できる。
また、第1投影図上において、内周部720の線材790は、外周部710の内周側の領域の全体に亘って不規則に配置されている(このような内周部720の製造方法については、後述する)。従って、内周部720における短絡流を抑制できる。この結果、処理性能の低下をさらに抑制できる。また、保持材700の製造時に内周部720の線材790を規則的に配置するための制御が不要であるので、保持材700を容易に製造できる。
また、第1投影図上において、外周部710の線材790は、外周部710の全体に亘って不規則に配置されている(このような外周部710の製造方法については、後述する)。従って、外周部710における短絡流を抑制できる。この結果、処理性能の低下をさらに抑制できる。また、保持材700の製造時に外周部710の線材790を規則的に配置するための制御が不要であるので、保持材700を容易に製造できる。ただし、外周部710の少なくとも一部において、線材790が規則的に配置されてもよい。
また、図3の右部には、第1投影図上における最大貫通孔Tmaxを含む部分領域720mが、切り出して示されている。ここで、貫通孔は、軸線CLに平行に保持材700を貫通する孔であり、図3の第1投影図上では、線材790に囲まれた連続な空白領域によって表される。図示するように、外周部710と内周部720とのそれぞれは、複数の貫通孔を有している。また、内周部720は、外周部710と比べて、複数の大きな貫通孔を有している。最大貫通孔Tmaxは、このような複数の貫通孔のうちの最大の孔である。ここで、貫通孔の大きさとしては、第1投影図上において貫通孔に内接する最大円の直径を採用する。部分領域720m内に示す最大円Cmaxは、最大貫通孔Tmaxに内接する最大円である。この最大貫通孔Tmaxは、外周部710ではなく内周部720に形成されている。
このように、第1投影図上において、最大貫通孔Tmaxは、外周部710ではなく内周部720に形成されている。従って、排水処理装置800の負荷が高くて外周部710に多量の生物膜が付着する場合であっても、内周部720の中を通る水の通路を容易に確保できる。このように、保持材700の網状の部分の全体が生物膜によって閉塞することを抑制し、そして、水を、保持材700の網状の部分の少なくとも一部(ここでは、内周部720の少なくとも一部)の中に通すことができる。この結果、負荷が高い場合の処理性能の低下を抑制できる。また、第1投影図上において、外周部710には、最大貫通孔Tmaxよりも小さい複数の貫通孔が設けられているので、排水処理装置800の負荷が低い場合であっても、外周部710に保持される生物膜の量が少なくなることを抑制できる。従って、負荷が低い場合の処理性能の低下を抑制できる。さらに、最大貫通孔Tmaxが外周部710ではなく内周部720に設けられているので、外周部710の機械的な強度が低下することを抑制できる。従って、外部からの力によって保持材700が変形することを抑制できる。この結果、保持材700の変形に起因して処理性能が低下したり、保持材700が排水処理装置800の接触濾床槽830(特に、上部架台836と下部架台838とに挟まれる空間)から離脱したりすることを抑制できる。ただし、最大貫通孔Tmaxが外周部710に形成されていてもよい。
なお、本実施例では、図3の第1投影図上において、内周部720内の複数の貫通孔は、不規則に配置されている。換言すれば、内周部720内の複数の貫通孔の総数と配置とは、複数の保持材700の間で異なっている。このように、水が通りやすい貫通孔の配置が不定であるので、複数の保持材700の貫通孔を通る水の経路の配置は、複数の排水処理装置800の間で異なっている。従って、接触濾床槽830内の同じ経路を通る短絡流が複数の排水処理装置800で生じる可能性を低減できる。従って、短絡流に起因する処理性能の低下を抑制できる。なお、このような保持材700の構成は、内周部720の線材790を不規則に配置することによって、実現されている。複数の保持材700の間で内周部720内の複数の貫通孔の総数と配置とが異なっていれば、内周部720の線材790が不規則に配置されていると言うことができる。以上、内周部720の複数の貫通孔の総数と配置と線材790の配置とについて説明した事項は、外周部710の複数の貫通孔の総数と配置と線材790の配置とについても、同じである。
なお、図2(B)では、説明のために、外周部710を表す領域では、外周部710の線材790のみを示し、内周部720を表す領域では、内周部720の線材790のみを示している。従って、内周部720を表す領域では、外周部710を表す領域と比べて、線材790の密度が低く示されている。実際には、図2(B)の斜視図において、内周部720を表す領域の後ろには外周部710が配置されている。従って、保持材700の実物を図2(B)の斜視図のように斜めに観察する場合には、保持材700の全体に亘って、線材790の密度が高く見える(図示省略)。
A2−3.第2投影図:
図4は、軸線CLに垂直な方向を向いて保持材700を観察した概略図である。この図4は、保持材700の線材790(すなわち、外周部710の線材790と内周部720の線材790)を、軸線CLに平行な平面上に、軸線CLに垂直に投影することによって得られる投影図を示している(以下「第2投影図」と呼ぶ)。
図中の線分7Lは、第2投影図上の軸線CLのうち保持材700内の部分である(「軸線分7L」と呼ぶ)。すなわち、軸線分7Lは、第2投影図上において、軸線CLのうちの保持材700の最も外側の輪郭785に囲まれる領域に含まれる部分である。保持材700の右側には、軸線分7Lの3つの部分7La、7Lb、7Lcの範囲が示されている。第1部分7Laは、軸線分7Lの上側の端を含む15%の長さの部分である。ここで、15%の長さは、第1部分7Laの長さが、軸線分7Lの長さの15%であることを意味している。第2部分7Lbは、軸線分7Lの下側の端を含む15%の長さの部分である。第3部分7Lcは、軸線分7Lのうち、2つの部分7La、7Lbを除いた残りの部分である。
図中には、白色の矩形枠で囲まれた部分領域700pが示されている。この部分領域700pの形状と大きさとは、図3で説明した線材割合の算出領域(例えば、部分領域710p、720p)の形状と大きさと、同じである。この部分領域700pの中心位置は、軸線分7L上に位置している。このような部分領域700pを用いて線材割合を算出することによって、軸線分7L上の位置での線材割合を算出可能である(以下「軸上線材割合Ra」とも呼ぶ)。本実施例では、外周部710の線材790と内周部720の線材790とは、不規則に配置されている。従って、軸上線材割合Raは、軸線CLに平行な方向の位置に応じて変化し得る。
本実施例では、外周部710と内周部720とのそれぞれにおいて、線材790の密度が、軸線CLに平行な方向の位置によらず、おおよそ一定となるように、保持材700が構成されている(このような保持材700の製造方法については、後述する)。従って、第3部分7Lcにおける軸上線材割合Raのバラツキは、小さい。例えば、第3部分7Lcにおける軸上線材割合Raの最大値を「最大軸上割合」と呼ぶ場合に、第3部分7Lcの任意の位置における軸上線材割合Raは、最大軸上割合の0.7倍以上である。仮に、第3部分7Lcに軸上線材割合Raが最大軸上割合の0.7倍未満である部分(すなわち、線材790の密度が低い部分)が存在する場合には、その部分が潰れる等の不具合が生じ得る。本実施例では、そのような不具合を抑制できる。ただし、第3部分7Lcの少なくとも一部において、軸上線材割合Raが、最大軸上割合の0.7倍未満であってもよい。
なお、保持材700は、緻密で硬い部材ではなく、立体的な網状体である。従って、保持材700の端部は、変形し易い。例えば、端部が圧縮されて、端部での線材790の密度が局所的に高くなる場合がある。また、端部が引っ張られて、端部での線材790の密度が局所的に低くなる場合がある。図4の第2投影図においては、軸線CLに平行な方向の両端部(上側の端部と下側の端部)が、変形し易い。このような端部の変形は、例えば、保持材700の製造時、または、排水処理装置800の製造時に、生じ得る。
このような端部の変形は、防ぐことが困難であり、許容される。そこで、本実施例では、軸線分7Lのうちの両端部7La、7Lbでは、最大軸上割合の0.7倍未満の軸上線材割合Raが許容されている。そして、軸線分7Lのうちの両端部7La、7Lbを除いた残りの部分7Lcにおいて、軸上線材割合Raが最大軸上割合の0.7倍以上であるように、保持材700が構成されている。これにより、軸線CLに平行な方向の両端部において許容される変形が生じる場合であっても、保持材700の両端部を除いた残りの部分において、意図しない変形が生じることを抑制できる。
なお、最大軸上割合の0.7倍未満の軸上線材割合Raが許容される(すなわち、変形が許容される)端部の大きさを規定する「15%の長さ」は、端部が変形した場合であっても水処理槽の処理性能に対する影響が十分に小さく維持されると推定される小さい端部の大きさを示している。実際には、15%の長さよりも大きな端部が変形した場合であっても、処理性能に対する影響は十分に小さく維持され得る。
なお、1個の保持材700を観察する場合であっても、第2投影図における線材790のパターンは、軸線CLに対する観察方向に応じて変化し得る。軸線CLを中心とする円の円周方向を「周方向」と呼ぶ場合に、軸線CLに垂直な観察方向は、周方向の360度の範囲から、任意に選択可能である。
ここで、保持材700が「第3部分7Lcにおける軸上線材割合Raが最大軸上割合の0.7倍以上である」という条件を満たしている、と判断するための条件としては、以下の条件を採用可能である。まず、周方向の360度の範囲を20度間隔で区分することによって得られる等方的な18個の観察方向を用いて18枚の第2投影図を取得する。18枚の第2投影図のそれぞれにおいて、軸線分7Lと第3部分7Lcとを特定する。そして、18枚の第2投影図のそれぞれにおいて、第3部分7Lcにおける軸上線材割合Raの最大軸上割合を算出する。そして、18枚の第2投影図のそれぞれにおいて、第3部分7Lcにおける任意の位置の軸上線材割合Raが第2投影図に対応付けられた最大軸上割合の0.7倍以上であるか否かを判断する。18枚の全ての第2投影図において肯定的な判断結果が得られる場合に、保持材700が全体として上記の条件を満たしていると判断される。
A2−4.保持材700の収容:
本実施例では、設置現場とは独立に予め工場で排水処理装置800が製造される。例えば、工場で接触濾床槽830内に予め決められた複数個の保持材700が収容される。仮に、設置現場において保持材を接触濾床槽830に収容する場合には、設置現場の負荷状況に適した線材割合の保持材を選択して接触濾床槽830に収容することによって、設置現場の負荷状況に対応可能である。一方、本実施例では、上述の通り、保持材700によって、負荷が高い場合の処理性能の低下と、負荷が低い場合の処理性能の低下とが、抑制されている。従って、本実施例の排水処理装置800は、設置現場の負荷状況とは独立に製造されるものの、設置現場の種々の負荷状況に対応可能である。これにより、排水処理装置800を、工場で容易に製造できる。また、排水処理装置800は、複数の好気処理槽を用いずに、1つの接触濾床槽830を用いて、低負荷と高負荷とに対応可能である。これにより、排水処理装置800の小型化や簡素化が可能である。
A2−5.保持材の製造:
図5は、保持材700の製造装置100を横から観察した概略図である。製造装置100は、押出機200と、押出機200の下方に配置された冷却水槽300と、冷却水槽300内に配置された複数のローラ400と、を有している。押出機200は、複数のローラ400に囲まれる領域の上方に、配置されている。冷却水槽300は、冷却水Wcを収容している。押出機200は、下方を向いた複数のノズルNzを有しており、加熱によって溶融した樹脂を複数のノズルNzから下向きに押し出す。複数のノズルNzから下方に押し出された樹脂は、複数の線状体790zを形成する。複数の線状体790zは、複数のローラ400に囲まれる位置に落下し、回転するローラ400によって、冷却水Wc中に押し込まれる。これにより、線状体790zは、冷却されて固まり、線材790を形成する。
図6は、押出機200の複数のノズルNzの配置の例を示す概略図である。図中には、下方から上方を向いて観察した押出機200のノズル面が示されている。押出機200は、円に沿っておおよそ等間隔に配置された複数の外ノズルNz1と、複数の外ノズルNz1の内周側におおよそ均等に配置された複数の内ノズルNz2と、を有している。図6の例では、外ノズルNz1の数は、16であり、内ノズルNz2の数は、4である。外ノズルNz1は、外周部710を形成するためのノズルNzであり、内ノズルNz2は、内周部720を形成するためのノズルNzである。
図5のローラ400による押し込み速度は、押出機200による押し出し速度と比べて、著しく遅い。従って、固まる前の複数の線状体790zは、ローラ400よりも上の位置で、不規則に動いて絡まり、そして、互いにくっつく。本実施例では、複数の線状体790zは、水面WLcの近傍の位置で、絡まる。絡まって互いにくっついた状体の複数の線状体790zは、ローラ400によって冷却水Wc中に押し込まれ、冷却される。以上により、複数の線材790が絡まる立体的な網状体が形成される。
ここで、図6に示すように、複数の外ノズルNz1は、複数の内ノズルNz2と比べて、密に配置されている。従って、複数の外ノズルNz1から押し出された複数の線状体790zは、密に絡まって立体的な網状体を形成する。また、複数の外ノズルNz1は、円に沿って配置されている。従って、複数の外ノズルNz1から押し出された複数の線状体790zは、密に絡まる筒状の網状体、すなわち、外周部710を形成する。
一方、複数の内ノズルNz2は、複数の外ノズルNz1と比べて、まばらに配置されている。従って、複数の内ノズルNz2から押し出された複数の線状体790zは、粗く絡まって立体的な網状体を形成する。複数の内ノズルNz2は、円に沿って配置された複数の外ノズルNz1の内周側に配置されている。従って、複数の内ノズルNz2から押し出された複数の線状体790zは、粗く絡まる柱状の網状体、すなわち、内周部720を形成する。
なお、外ノズルNz1から押し出された線状体790zは、他の外ノズルNz1から押し出された線状体790zに加えて、内ノズルNz2から押し出された線状体790zとも絡まる。同様に、内ノズルNz2から押し出された線状体790zは、他の内ノズルNz2から押し出された線状体790zに加えて、外ノズルNz1から押し出された線状体790zとも絡まる。これにより、外周部710と内周部720とは、一体的に形成される。
また、本実施例では、複数の内ノズルNz2から押し出される複数の線状体790zは、冷却水Wc内に押し込まれるタイミングで、不規則に動いて絡まることができる。従って、図3の第1投影図において、内周部720の線材790を、外周部710の内周側の領域の全体に亘って不規則に配置できる。また、複数の線状体790zを規則的に配置するための制御(すなわち、内周部720の線材790を規則的に配置するための制御)が不要であるので、保持材700を容易に製造できる。
また、本実施例では、複数の外ノズルNz1から押し出される複数の線状体790zは、冷却水Wc内に押し込まれるタイミングで、不規則に動いて絡まることができる。従って、図3の第1投影図において、外周部710の線材790を、外周部710の全体に亘って不規則に配置できる。また、複数の線状体790zを規則的に配置するための制御(すなわち、外周部710の線材790を規則的に配置するための制御)が不要であるので、保持材700を容易に製造できる。
また、本実施例では、ローラ400によるによる押し込み速度(すなわち、ローラ400の回転速度)は、一定に維持される。従って、軸線CLに平行な方向の位置に応じて線材790の密度が大きく変化することを抑制できる。例えば、図4で説明したように、「第3部分7Lcにおける軸上線材割合Raが最大軸上割合の0.7倍以上である」という条件を満たす保持材700を、容易に製造できる。
B.第2実施例:
保持材700を収容する水処理槽(例えば、接触濾床槽830)の処理性能を向上するためには、保持材700による生物膜の保持性能を向上することが好ましい。ここで、生物膜の保持性能とは、保持材700に対する生物膜の付着し易さの性能と、保持材700に一旦付着した生物膜の保持材700からの剥離し難さの性能と、を含んでいる。このような生物膜の保持性能を向上する方法としては、保持材700の表面(すなわち、線材790の表面)を、粗くする方法を採用可能である。線材790の表面が粗い場合には、線材790の表面積が増大し、そして、生物膜が線材790の表面の凹凸に引っかかることができるので、線材790に生物膜が付着し易く、そして、線材790から生物膜が剥離し難い。
線材790の表面粗さの指標としては、JISB0601:2001の規格に基づいて触針式表面粗さ測定機を用いて測定される表面粗さ(Ra)を採用可能である。表面粗さを測定する場合には、試料の測定長さ、オフカット波長を8[mm]とし、そして、3サンプルについて測定した結果の平均値を表面粗さとして採用すればよい。
線材790に表面粗さは、例えば、特開2013―202538号公報に開示されているように、20[μm]を上回ることが好ましく、略40[μm]以上であることが更に好ましい。この文献では、好気濾床槽の接触材として立体的な網状体を用いる場合の接触材の表面粗さと処理性能との関係が、嫌気濾床槽と好気濾床槽と処理水槽とからなる実験槽を用いて、試験されている。実験槽としては、文献の比較例の接触材を用いる実験槽と、文献の実施例の接触材を用いる実験槽と、が試験されている。文献の比較例の接触材の表面粗さは、6.4(平均値)±3.3(標準偏差)[μm]であり、文献の実施例の接触材の表面粗さは、56.6(平均値)±14.2(標準偏差)[μm]である。
線材790の表面を粗くする方法としては、任意の方法を採用可能である。例えば、線材790の材料として樹脂と発泡材料との混合物を用い、保持材700の成形時に発泡材料を発泡させることによって線材790の表面に凹凸を形成してもよい。また、成形後の線材790の表面に機械加工によって凹凸を形成してもよい。
以下、上記文献で説明されている試験結果から導出された事項A〜Fについて、簡単に説明する。
A)実験開始から20日までの間の接触材での生物膜付着量は、文献の実施例の方が、文献の比較例と比べて、明らかに多かった。すなわち、文献の実施例では、運転開始時の生物膜付着速度が速かった。
B)運転開始時から20日目の水中のアンモニア態窒素濃度は、文献の実施例ではほぼゼロであり、文献の比較例ではおよそ10[mg/L]であった。すなわち、文献の実施例では、生物膜付着速度が速く、運転開始の立ち上がり性能が優れていた。
C)水温が摂氏20度を超えることとなる水温上昇時期である5月における接触材からの生物膜の剥離量は、文献の実施例の方が、文献の比較例と比べて、少なかった。すなわち、文献の実施例では、生物膜保持性能が優れていた。
D)水温上昇時期における水中のアンモニア態窒素濃度は、文献の実施例では1[mg/L]程度であったが、文献の比較例では5[mg/L]以上であった。すなわち、文献の実施例では、水温上昇時期において、生物膜の剥離量が少なく、硝化性能が優れていた。
E)水温上昇時期である5月28日における接触材のかさ容量1mあたりの硝化速度は、文献の実施例では、0.30[kg-N/日]であり、文献の比較例の0.18[kg-N/日]の約1.7倍であった。また、水温上昇時期後の安定時期である7月26日における硝化速度は、文献の実施例では0.29[kg-N/日]であり、文献の比較例では0.28[kg-N/日]であり、殆ど差がなかった。すなわち、文献の実施例では、水温上昇時期の硝化速度の悪化を抑制できた。
F)約300日の運転を行った場合に最終的に槽内に残存した汚泥総量(乾燥重量)は、文献の実施例では0.35[kg]であり、文献の比較例では0.46[kg]であった。すなわち、文献の実施例では、生物膜付着性の増大によるバイオマス(生物総量)の増加によって汚泥減容の速度が上昇した。
上記の保持材700においても、線材790の表面粗さを上記の好ましい範囲に設定することによって、上記の事項A〜Fで説明した効果を奏すことができると推定される。
なお、外周部710の線材790と、内周部720の線材790と、の間で表面粗さが異なっていても良い。この場合、外周部710の線材790の表面粗さは、20[μm]を上回ることが好ましく、略40[μm]以上であることが更に好ましい。そして、内周部720の線材790の表面粗さは、20[μm]を上回ることが好ましく、略40[μm]以上であることが更に好ましい。いずれの場合も、表面粗さとしては、例えば、200[μm]以下の値を採用してもよい。また、外周部710と内周部720との少なくとも一方の表面粗さが、20[μm]以下であってもよい。
C.変形例:
(1)保持材700の構成としては、上述の構成に代えて、他の種々の構成を採用可能である。例えば、外周部710の全体の形状は、略円筒形状に代えて、他の任意の筒形状を採用可能である。例えば、略楕円筒形状、または、略多角筒形状を採用してもよい。一般的には、軸線CLに垂直な平面による外周部の全体の断面形状としては、保持材の最も外側の輪郭を全周に亘って含む任意のループ形状を採用可能である。そして、外周部の全体の形状としては、保持材の外周面を全周に亘って含む任意の筒形状を採用可能である。また、内周部720の形状は、略円柱形状に代えて、他の任意の柱形状を採用可能である。例えば、略楕円柱形状、または、略多角柱形状を採用してもよい。一般的には、軸線CLに垂直な平面による内周部の全体の断面形状としては、外周部に囲まれる任意の形状を採用可能である。そして内周部の全体の形状としては、任意の柱形状を採用可能である。
また、外周部710の線材と内周部720の線材との間で、線材の外径と、線材の材料と、線材の表面粗さと、の少なくとも1つが異なっていても良い。
いずれの場合も、図3で説明した第1投影図上では、内周部における線材割合は、外周部における線材割合よりも小さくなるように、保持材が構成される。ここで、外周部710内において、線材割合が変化してもよい。同様に、内周部720内において、線材割合が変化してもよい。いずれの場合も、図3で説明した第1投影図上において、内周部における線材割合の平均値が、外周部における線材割合の平均値よりも小さくなるように、保持材の全体を、保持材の最も外側の輪郭を全周に亘って含むループ状の外周部と、そのループ状の外周部に囲まれる内周部と、に区分可能であればよい。第1投影図上において、保持材の全体をこのような外周部と内周部とに区分可能であれば、内周部における線材割合は、外周部における線材割合よりも小さい、ということができる。
ここで、線材割合の平均値は、以下のように算出すればよい。図3で説明した第1投影図を、マトリクス状に配置された複数の正方形領域に区分する。正方形領域の一辺の長さとしては、線材790の径と同じ値を採用する。複数の線材の間で径が異なる場合には、最小の径を採用する。そして、各正方形領域の中心位置における線材割合を算出する。ここで、保持材700の最も外側の輪郭よりも外の領域の面積は、線材割合の計算から除外する。また、保持材700の最も外側の輪郭の内に含まれる複数の正方形領域を、外周部と内周部とに分類する。そして、外周部に含まれる複数の正方形領域の線材割合の平均値を、外周部の線材割合の平均値として採用する。同様に、内周部に含まれる複数の正方形領域の線材割合の平均値を、内周部の線材割合の平均値として採用する。
(2)保持材700の製造方法としては、図5、図6で説明した方法に代えて、他の種々の方法を採用可能である。例えば、外周部710と内周部720とを別々に成形した後に、外周部710の内周側に内周部720を接着してもよい。
(3)排水処理装置800の構成としては、図1に示す構成に限らず、種々の構成を採用可能である。例えば、原水を受け入れる処理槽(例えば、夾雑物除去槽810)に、濾材を収容してもよい。また、保持材700を、原水を受け入れる処理槽に、収容してもよい。また、保持材700を、嫌気濾床槽820の濾材826として、用いてもよい。また、夾雑物除去槽810に、汚泥貯留部が設けられていても良い。また、嫌気濾床槽820から接触濾床槽830への単位時間当たりの移流量を調整する流量調整部(例えば、径の小さな移流開口824や、エアリフトポンプ等)を設けてもよい。また、1台の排水処理装置が、2個以上の好気処理槽を有していてもよい。例えば、第1好気処理槽の下流に第2好気処理槽が配置されていてもよい。また、第1好気処理槽と第2好気処理槽との間で水が循環してもよい。いずれの場合も、1台の排水処理装置が複数の好気処理槽を有する場合、少なくとも1個の好気処理槽が、保持材700を収容することが好ましい。
以上、実施例、変形例に基づき本発明について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれる。
7L...軸線分、7La...第1部分(端部)、7Lb...第2部分、7Lc...第3部分(端部)、100...製造装置、200...押出機、300...冷却水槽、400...ローラ、700...保持材、700p...部分領域、710...外周部、710p...第1部分領域、720...内周部、720m...部分領域、720p...第2部分領域、780、785...輪郭、790...線材、790z...線状体、800...排水処理装置、802...流入口、804...放流口、810...夾雑物除去槽、812...流入バッフル、814...移流開口、820...嫌気濾床槽、822...流入バッフル、824...移流開口、826...濾材、830...接触濾床槽、834...移流開口、836...上部架台、838...下部架台、839...散気装置、840...処理水槽、844...移流開口、850...消毒槽、856...薬剤筒、860...循環エアリフトポンプ、Tmax...最大貫通孔、Cmax...最大円、D1...外径、D2...内径、WL、WLc...水面、CL...軸線、Wc...冷却水、Nz...ノズル、Nz1...外ノズル、Nz2...内ノズル

Claims (7)

  1. 排水処理装置の水処理槽内に微生物を保持するために収容される保持材であって、
    線材が絡まる立体的な網状体であって、軸線に沿って延びる筒状に形成された外周部と、
    線材が絡まる立体的な網状体であって、前記外周部の内周側に配置された内周部と、
    を備え、
    前記外周部の前記線材と、前記内周部の前記線材とを、前記軸線に垂直な平面上に前記軸線に平行に投影して得られる投影図を第1投影図とし、投影図上における前記線材を示す部分の面積の割合を線材割合とする場合に、
    前記第1投影図上において、前記内周部における線材割合の平均値は、前記外周部における線材割合の平均値よりも小さく、
    前記第1投影図上において、前記内周部の前記線材は、前記外周部の内周側の領域の全体に亘って不規則に配置されている、
    保持材。
  2. 請求項1に記載の保持材であって、
    前記第1投影図上において、前記外周部の前記線材は、前記外周部の全体に亘って不規則に配置されている、
    保持材。
  3. 請求項1または2に記載の保持材であって、
    前記第1投影図上において、前記内周部と前記外周部とのそれぞれは、前記線材に重ならない複数の貫通孔を有し、
    前記第1投影図上において、最大の貫通孔は、前記外周部ではなく前記内周部に形成されている、
    保持材。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の保持材であって、
    前記外周部の前記線材と、前記内周部の前記線材とを、前記軸線に平行な平面上に前記軸線に垂直に投影して得られる投影図を第2投影図とし、
    前記第2投影図上の前記保持材内における前記軸線に重なる位置での線材割合を、軸上線材割合とし、
    前記第2投影図上の前記軸線のうち前記保持材内の部分である線分のうち、一方の端を含む15%の長さの第1部分と他方の端を含む15%の長さの第2部分とを除いた残りの第3部分において、前記軸線に平行な方向の位置に応じて変化し得る前記軸上線材割合の最大値を、最大軸上割合とする場合に、
    前記線分の前記第3部分において、前記軸上線材割合は前記最大軸上割合の0.7倍以上である、
    保持材。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の保持材であって、
    前記外周部の前記線材の表面粗さと、前記内周部の前記線材の表面粗さとは、所定の表面粗さを上回っている、保持材。
  6. 排水処理装置であって、
    排水を処理する水処理槽と、
    設置現場とは独立に予め工場で前記水処理槽内に収容された複数個の請求項1から5のいずれか1項に記載の保持材と、
    を備える排水処理装置。
  7. 請求項6に記載の排水処理装置であって、
    1つの好気処理槽を備え、
    前記水処理槽は、前記1つの好気処理槽である、
    排水処理装置。
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