JP2004135604A - 甘納豆の蜜漬け方法とその装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】甘納豆の原料となる豆類を、極めて安楽な作業のもとに、しかも効率良く蜜漬けできるようにする。
【解決手段】煮釜(1)内での煮炊き終了した豆類(B)を、その煮釜(1)へ引き続き投入された糖蜜(M)での蜜漬け状態に保ち、所要時間だけ加熱して水分を強制的に蒸発させることにより、上記豆類(B)のブリックスを蜜漬け当初の淡蜜状態から自働連続的に高めてゆくと共に、その最終目標の濃蜜状態を水分の蒸発に連れて低下した糖蜜(M)の液面(L−L)から知得するように定めた。
【選択図】 図10
【解決手段】煮釜(1)内での煮炊き終了した豆類(B)を、その煮釜(1)へ引き続き投入された糖蜜(M)での蜜漬け状態に保ち、所要時間だけ加熱して水分を強制的に蒸発させることにより、上記豆類(B)のブリックスを蜜漬け当初の淡蜜状態から自働連続的に高めてゆくと共に、その最終目標の濃蜜状態を水分の蒸発に連れて低下した糖蜜(M)の液面(L−L)から知得するように定めた。
【選択図】 図10
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は甘納豆の蜜漬け方法とそのための有用な蜜漬け装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
甘納豆は大納言やうずら豆、空豆、栗、甘藷芋、その他の原料の種別を問わず、一般に水漬けした生豆を煮炊きし、これを糖蜜に漬け込み加熱して、その蜜切りした後、砂糖をまぶし付けることにより製造されている。
【0003】
その際、豆の澱粉は加熱すると、β化からα化の状態になるが、冷えるに連れて、β化の状態に戻る性質を有するため、その蜜漬けを再三に亘って行なうことにより、糖蜜を豆の中芯まで無理なく浸透・吸収させる必要があり、さもなければ乾いた製品となってしまい、シットリとした良好な食感の甘納豆を得ることができない。
【0004】
そこで、従来では煮釜と豆篭のほかに、蜜漬け鍋も用意して、先ずその蜜漬け鍋に豆篭と糖蜜を入れ、強火にかけて、沸騰した頃合いに煮釜から降ろし、そのまま一夜放置している。
【0005】次に、これをブリックス(糖度)が約40度〜約45度の1番蜜として、その蜜漬け状態のままで翌日強火にかけ、沸騰した頃合いに一旦豆篭を出して、2番蜜となる砂糖(グラニュー糖)を追加し、そのブリックスが約60度〜約65度の頃合いに再度豆篭を入れ、やがて煮釜から蜜漬け鍋を降ろし、そのまま一夜放置することにより、その2番蜜を豆に吸収・浸透させる。
【0006】
更に、上記蜜漬け状態のままで翌々日強火にかけ、やはり沸騰した頃合いに一旦豆篭を出して、約110℃〜約113℃まで煮詰め、ブリックスが約72度〜約73度の頃合いに再度豆篭を入れて蜜漬けし、その蜜漬け鍋をやがて煮釜から降ろし、約30分間放置することにより、これを仕上げ蜜として豆の中芯まで吸収・浸透させている通例である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このような従来の蜜漬け方法は淡い1番蜜から中間蜜(2番蜜)を経て濃い仕上げ蜜へと、そのブリックスを砂糖の追加投入によって順次段階的に高めてゆく方法であり、一夜放置するたび毎の一時的にブリックスが淡く低下し、糖蜜が自働連続して滑らかに豆へ吸収・浸透され難い。
【0008】
又、適当な一定時間の経過を見計らって、そのたび毎に砂糖を手作業により追加する必要があり、しかもその過程では蜜漬け鍋に与える加熱作用の断続と、その蜜漬け鍋に対する豆篭の出し入れとを頻繁に繰り返さなければならないので、その作業上いたづらに長い時間と苛酷な重労働を要する。
【0009】
その結果、煮釜と別個な蜜漬け鍋の多数を用意する必要があることとも相俟ち、1人の作業者において多量の甘納豆を蜜漬け処理することは到底不可能であり、そのための豊富な経験を有する作業者やその後継者も減少の一途を辿っている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明はこのような課題の抜本的な解決を企図しており、そのために甘納豆の蜜漬け方法として、原料となる大納言やうずら豆、栗、甘藷芋、その他の豆類を、煮釜内での水漬け状態において煮炊きし、
【0011】
その煮炊き終了できた豆類を煮釜からの排水後、その煮釜内へ引き続き投入した糖蜜での蜜漬け状態に保ち、所要時間だけ加熱して水分を強制的に蒸発させることにより、上記豆類のブリックスを蜜漬け当初の淡蜜状態から自働連続的に高めてゆくと共に、
【0012】
その最終目標の濃蜜状態を、水分の蒸発に連れて低下した糖蜜の液面から知得することを特徴とし、
【0013】
又、上記方法の実施に供する蜜漬け装置として、その構成上甘納豆の原料となる大納言やうずら豆、栗、甘藷芋、その他の豆類が収納された豆篭を出し入れできる断面ほぼU字型の煮釜と、
【0014】
その煮釜の約下半部を包囲する蒸気供給管路並びにその途中に介在された電磁弁と、
【0015】
煮炊き中にある豆類の加熱温度や蜜漬け中にある糖蜜の加熱温度を検知すべく、上記煮釜の内部に臨まされた加熱温度センサーと、
【0016】
その温度センサーからの出力電気信号を受けて、上記蒸気供給管路の電磁弁を自動的に開閉制御する加熱温度調整ユニットと、
【0017】
蜜漬け中に浮上する湯気を吹き飛ばすべく、上記煮釜の開口上面に向かって設置された送風機と、
【0018】
上記煮釜における胴面の上端部から導出された給水管路と、
【0019】
上記煮釜の底面から導出された排水管路の途中と、同じく煮釜における胴面の上端部とを連通接続すべく、その煮釜の外部に配管された循環回路と、
【0020】
煮炊き中にある豆類の煮汁や蜜漬け中にある糖蜜を上記排水管路から、再度煮釜の内部へ強制的に攪拌・対流させるべく、上記循環回路の途中に介挿設置された循環ポンプとを備え、
【0021】
上記豆類が収納された豆篭を煮釜内での水漬け状態に静置して、その蒸気供給管路から蒸気ジャケットへの蒸気により加熱する一方、
【0022】
その煮炊き終了できた豆類を煮釜からの排水後、その煮釜内へ引き続き投入した糖蜜での蜜漬け状態に保ち、やはり蒸気により加熱して水分を強制的に蒸発させ、
【0023】
上記豆類のブリックスを蜜漬け当初の淡蜜状態から最終目標の濃蜜状態へ、自働連続的に高めてゆくように定めたことを特徴とするものである。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基いて本発明の具体的構成を詳述すると、図1〜8は蒸気を加熱源とする甘納豆の蜜漬け装置に係り、(1)はステンレス鋼板から成る円筒型胴面(1a)と円錐受皿型底面(1b)との突き合わせ溶接によって、一定な深さの断面ほぼU字型に造形された煮釜であり、豆類(B)の煮炊きと引き続く蜜漬けに兼用される。
【0025】
(2)は上記煮釜(1)の開口上面に載置された天蓋であり、豆類(B)の煮炊き作用中、その開口上面を施蓋する。(3)は上記天蓋(2)と着脱・交換使用される天板であり、豆類(B)の蜜漬け作用中、その天板(3)から垂下する複数の支持脚(4)が、煮釜(1)の開口縁部へ係止されることによって、その煮釜(1)の開口上面から一定高さ(h)だけ浮上した設置状態に保たれる。
【0026】
(5)は上記煮釜(1)における胴面(1a)の約下半部と底面(1b)とを包囲する気密状態として、その胴面(1a)に溶接一体化された蒸気ジャケットであり、複数の脚柱(6)によって据付け盤(7)の中央部へ固定支持されている。据付け盤(7)は図5のような平面視の長方形に枠組みされており、その四隅部に付属するレベルジャッキ(8)の昇降操作によって、作業床への据え付け高さと水平度を調整することができるようになっている。
【0027】
(9)は煮釜(1)の周辺部に位置しつつ、その据付け盤(7)から一体的に背高く垂立されたチェンブロック用支持ポールであり、そのほぼ倒立L字型に屈曲する約上半部が、残る下半部に対して360度の旋回操作可能に枢支連結されていると共に、その煮釜(1)の開口上面を指向して張り出す先端部には、後述する豆篭(C)の出し入れ用電動チェンブロック(10)が取り付けられている。
【0028】
その伝動チェンブロック(10)のハンガーフック(11)へ係脱自在に係止させた豆篭(C)を、上記支持ポール(9)における約上半部の旋回操作とも相俟って、煮釜(1)の内部へ吊り入れたり、同じく煮釜(1)の外部へ吊り出したりできるようになっているのである。
【0029】
(12)は上記蒸気ジャケット(5)の中央部に内蔵設置されたリング型の蒸気吹出し管であり、その円周面には多数の蒸気吹出し孔(13)が開口分布されている。(14)はその蒸気吹出し管(12)から蒸気ジャケット(5)の底面を貫通して、上記据付け盤(7)の一半部へ横向きに導出された蒸気供給管路であり、その入口部がボイラーなどの蒸気供給源(図示省略)へ接続使用されることになる。
【0030】
(15)はその蒸気供給管路(14)の入口部付近に設置された開閉弁(ゲートバルブ)、(16)は同じく中途部に介在する電磁弁であり、その電磁弁(16)を加熱温度センサー(17)からの出力電気信号に基き、加熱温度調整ユニット(18)を介して開閉制御することにより、蒸気供給量(加熱力)を自動調整できるようになっている。
【0031】
上記加熱温度センサー(17)は抵抗温度計(白金測温抵抗体)などから成り、煮炊き中にある豆類(B)の加熱温度や蜜漬け中にある糖蜜(M)の加熱温度を検知するものとして、図4のような煮釜(1)の胴面(1a)と蒸気ジャケット(5)の胴面とを貫通する差し込み固定状態に取り付けられている。
【0032】
又、(19)は上記蒸気ジャケット(5)の底面から導出された復水用ドレン管であって、蒸気供給管路(14)とほぼ直交する方向に延在しており、その中途部には蒸気トラップ(20)が設置されている。(21)(22)(23)は同じく蒸気ジャケット(5)の上端部から導出されたエヤートラップと安全弁並びに圧力計を示している。
【0033】
(24)は上記煮釜(1)の隣り合う脚柱(6)に固定横架された補強プレートであり、蒸気供給管路(14)を安定良く支持している。(25)はその蒸気供給管路(14)と干渉することなく、上記据付け盤(7)の一半部から一体的に垂立された操作ボックス用支持枠であり、図外の制御基板を備えた操作ボックス(26)が、その支持枠(25)上に搭載されている。
【0034】
(27)は豆類(B)の蜜漬け中において、その水分の蒸発を促進するために使用される送風機であり、操作ボックス(26)又はその支持枠(25)から一体的に垂立する支持ステー(28)の上端部へ、上記煮釜(1)の開口上面とその天板(3)との相互間を指向する状態に取り付け固定されている。
【0035】
但し、煮釜(1)の開口上面に沿って、ほぼ水平の横断状態に送風できる限りでは、その送風機(27)を上記チェンブロック用支持ポール(9)へ図外の支持ステーによって取り付けたり、或いは据付け盤(7)から特別に背高く垂立させた専用の支持材へ、その送風機(27)を取り付けたりしても良い。
【0036】
他方、(29)は上記煮釜(1)における胴面(1a)の上端部付近に設けられた給水口であり、その給水口(29)からエルボ(30)を介して導出された給水管路(31)が、水道の蛇口やその他の給水源(図示省略)へ接続使用されることになる。
【0037】
(32)はその給水管路(31)の開閉弁(ボールバルブ)、(33)は同じく煮釜(1)の胴面(1a)に形成された溢水口であって、上記給水口(29)よりも若干高い上端部に開口しており、その溢水口(33)からやはりエルボ(34)を介して、溢水管(35)が下向き開放状態に導出されている。
【0038】
又、(36)は上記煮釜(1)における底面(1b)の中央部に設けられた排水口であり、その排水口(36)からはエルボ(37)を介して、排水管路(38)が上記蒸気供給管路(14)とほぼ直交する方向へ導出されている。(39)はその排水管路(38)の出口部付近に設置された開閉弁(ボールバルブ)である。
【0039】
しかも、排水管路(38)の中途部と上記煮釜(1)における胴面(1a)の上端部とは、次のような循環回路(R)を介して連通接続されており、その煮釜(1)内での煮炊き中にある豆類(B)の煮汁や、引き続き同じ煮釜(1)内での蜜漬け中にある糖蜜(M)を、強制的に循環・対流させることによって、熱効率の向上を図ると共に、その豆類(B)や糖蜜(M)の加熱ムラを生じないようになっている。
【0040】
即ち、その循環回路(R)の明白な図5〜7において、(40)は上記据付け盤(7)の他半部から比較的背低く一体的に垂立されたポンプ収納枠、(41)はその枠内に据え付け固定された循環ポンプであって、その好ましくはロータリーポンプから成り、そのローター(図示省略)がギヤードモーター(42)によって回転駆動されることとなる。
【0041】
その循環ポンプ(41)となるロータリーポンプについては、特に可変容量型のトロコイドポンプを採用し、これをインバーター制御することが望ましい。小型品であっも吐出量が多く、吸入側の面積も大きいほか、分解掃除を容易に便利良く行なえ、又そのインバーター制御方式によって、循環量を任意に増減調整することもできるからである。
【0042】
上記ポンプ回転駆動用のギヤードモーター(42)はポンプ収納枠(40)上に搭載されており、そのギヤードモーター(42)の出力スプロケット(43)と上記循環ポンプ(41)の入力スプロケット(44)との上下相互間が、無端な伝動チェン(45)を介して伝動連結されている。(46)は上記ギヤードモーター(42)の取付け台、(47)はそのモーター取付け台(46)の四隅部を支持するレベルジャッキであり、その昇降操作によって伝動チェン(45)の掛脱と緊張度の調整を行なえるようになっている。
【0043】
循環ポンプ(41)の吸入口(48)は上記排水管路(38)の中途部へ、単一のフレキシブルな吸入ホース(49)を介して連通接続されており、煮釜(1)内での煮炊き中にある豆類(B)の煮汁や、同じく蜜漬け中にある糖蜜(M)をその底面(1b)の中央部から、排水管路(38)と吸入ホース(49)を経て循環ポンプ(41)へ吸入するようになっている。(50)はその排水管路(38)の中途部に介在するチーズ、(51)は上記吸入ホース(49)の両端部を接続固定するためのユニオン型管継手である。
【0044】
他方、同じく循環ポンプ(41)の吐出口(52)からはエルボ(53)を介して、吐出管(54)が一旦上向く垂立状態に導出されており、しかもその吐出管(54)の上端部は引き続き第1、2チーズ(55)(56)によって、複数の異なる方向(図例では三方向)を指すニップル(57a)(57b)(57c)として分岐された状態にある。
【0045】
そして、その循環ポンプ(41)の吐出管(54)から分岐された複数のニップル(57a)(57b)(57c)が、これらと対応する同数のフレキシブルな吐出ホース(58a)(58b)(58c)を介して、上記煮釜(1)における胴面(1a)の上端部に開口分布する帰還口(59a)(59b)(59c)と連通接続されており、上記循環ポンプ(41)から吐出された豆類(B)の煮汁や糖蜜(M)を、再度煮釜(1)の内部へ還流させるようになっている。
【0046】
更に言えば、図示の実施形態は好ましいそれとして、上記帰還口(59a)(59b)(59c)の複数が煮釜(1)に対し、図5のような平面視の放射対称分布型に点在開口されている。
【0047】
しかも、その各帰還口(59a)(59b)(59c)からエルボ(60a)(60b)(60c)を介して下向きに導出するニップル(61a)(61b)(61c)の下端部と、上記吐出管(54)の上端部に分岐する各ニップル(57a)(57b)(57c)とが、フレキシブルな吐出ホース(58a)(58b)(58c)によって接続配管されている。(62a)(62b)(62c)はその各吐出ホース(58a)(58b)(58c)の両端部を接続固定するためのユニオン型管継手、(63a)(63b)(63c)は上記吐出管(54)から分岐する各ニップル(57a)(57b)(57c)に設置された開閉弁(ボールバルブ)である。
【0048】
図示の好ましい実施形態によれば、複数の帰還口(59a)(59b)(59c)が煮釜(1)における胴面(1a)の上端部へ、その全体的な放射対称配置型に開口分布しており、これと対応する同数の吐出ホース(58a)(58b)(58c)を介して、循環ポンプ(41)の吐出管(54)と連通接続されているため、その循環ポンプ(41)の圧送力とも相俟って、煮釜(1)内での煮炊き中にある豆類(B)の煮汁や、同じく蜜漬け中にある糖蜜(M)を、その全体の平均的に効率良く且つ強制的に攪拌・対流させることができ、加熱ムラを確実に防止し得る利点がある。
【0049】
但し、煮釜(1)の外部に配管された上記循環回路(R)と、その過程に介在する循環ポンプ(41)の圧送力によって、上記豆類(B)の煮汁や糖蜜(M)を攪拌・対流させ得る限りでは、上記吸入ホース(49)と同じく、その吐出ホース(58)も単一として、循環ポンプ(41)の上記吐出管(54)と煮釜(1)の帰還口(59)とを連通接続してもさしつかえない。
【0050】
尚、図示実施形態の蜜漬け装置は蒸気を加熱源としているが、その蒸気に代るガスや電気を加熱源とする甘納豆の蜜漬け装置についても、本発明を適用実施することができる。
【0051】
本発明の甘納豆を製造するに当っては、その原料となる大納言やうずら豆、空豆、栗、甘藷芋、その他の予じめ水漬けされた豆類(B)を、一定単位量づつ豆篭(C)へ収納する。
【0052】
その豆篭(C)としては、湯水や豆類(B)の煮汁、糖蜜(M)が良く流通すると共に、保形強度に富む網篭であれば足りるが、特許第3031622号に記載の多孔芯筒(22)や複数の伝熱用多孔筒(28)を備えた篭本体(A)と、その対応的な芯筒受け入れ口(40)や複数の伝熱用多孔筒(41)を備えた落し蓋(B)とから成る組立品を採用することが望ましい。
【0053】
そして、豆類(B)が収納された豆篭(C)を図9のように、上記煮釜(1)の内部へ順次吊り入れて、その複数の積み重ね状態に静置させる一方、煮釜(1)の内部へ給水口(29)から給水して、豆類(B)を全体的な水漬け状態に保った上、煮釜(1)の開口上面を天蓋(2)により施蓋する。
【0054】
このような準備後、上記煮釜(1)の蒸気ジャケット(5)へ蒸気を供給して、その加熱により豆類(B)を第1次的に煮炊き作用すると共に、その過程では上記循環回路(R)に介在している循環ポンプ(41)を駆動して、その豆類(B)の煮汁を強制的に攪拌・対流させる。
【0055】
又、煮炊き中にある煮釜(1)内の湯温を上記加熱温度センサー(17)により検知して、その加熱温度が予じめ設定された目標数値まで一旦上昇・沸騰したならば、その後はこれを安定良く維持し得るように、温度上昇率を検知し乍ら、その加熱温度センサー(17)からの出力電気信号に基いて、加熱温度調整ユニット(18)により上記蒸気供給管路(14)における電磁弁(16)の開度を自動的に調整制御し、一定時間の経過後に渋切り(アク抜き)する。
【0056】
その渋切りは、上記排水管路(38)の開閉弁(39)を開放操作した状態のもとで、給水口(29)から煮釜(1)の内部へ給水することにより行ない、その給水によって豆類(B)を冷やす。このような渋切り中、上記循環ポンプ(41)の駆動を停止させることは、言うまでもない。
【0057】
上記渋切りを行なった後には、再度給水口(29)から煮釜(1)の内部へ給水して、豆類(B)の全体をやはり水漬け状態に保った上、蒸気ジャケット(5)へ蒸気を供給することにより、引き続き豆類(B)の第2次的を煮炊き作用を行なう。
【0058】
その第2次的な煮炊き中にも、上記循環ポンプ(41)を駆動することにより、豆類(B)の煮汁を強制的に攪拌・対流させると共に、やはり煮釜(1)内の湯温を加熱温度センサー(17)により検知して、その加熱温度が予じめ設定された目標数値まで一旦上昇・沸騰したならば、その後は約90℃〜約95℃の沸騰しない一定温度を保つように、上記加熱温度センサー(17)からの検知出力信号に基いて、その加熱温度調整ユニット(18)により上記電磁弁(16)の開度を調整制御し、一定時間の経過後に蒸気の供給を止めて、そのまま一定時間だけ放置することにより、蒸らし作用を行なう。
【0059】
上記第2次的な煮炊き中の加熱温度は、豆類(B)における原料の種別や品質、新旧の程度、その他の諸条件に応じて調整することができ、特に100℃未満の沸騰しない加熱温度を維持しつつ煮炊きすることによって、その柔軟化した豆類(B)の表皮が破れる現象(所謂腹割れ)を確実に予防でき、原形を保った優美な甘納豆の製造に役立つ。
【0060】
一定時間の蒸らし作用後には、上記給水口(29)から煮釜(1)の内部へ所謂打ち水となる給水を行ない、その豆類(B)を緩やかに冷却し乍ら、煮釜(1)の溢水口(33)からオーバーフローさせるか、又は排水口(36)から下方へ排水する。
【0061】
このようにして煮炊き終了した豆類(B)は、その豆篭(C)を煮釜(1)から吊り出すことなく、依然として煮釜(1)内での静置状態に保ち、その煮釜(1)を豆類(B)の蜜漬けにも兼用して、次に豆類(B)の蜜漬けを行なうのである。
【0062】
そのための糖蜜(M)は、一定量の水とその約3倍の砂糖(グラニュー糖)とから成る混合物として、その砂糖が溶解した透明度の高い液体であり、これを特別に調製するか、又は市販品を買い求めることによって、予じめ準備しておく。
【0063】
そして、このような糖蜜(M)を豆類(B)に応じた比率の一定量だけ、上記煮釜(1)に投入使用するのである。その際、煮釜(1)からは先の天蓋(2)を取りはずし、その天蓋(2)に代る天板(3)の支持脚(4)を図10のように、煮釜(1)の開口縁部へ係止させて、その煮釜(1)の上面を全開状態に保つ。
【0064】
このように準備された蜜漬け当初、未だ豆類(B)に糖蜜(M)が吸収されておらず、その言わば豆類(B)自身のブリックスとして、約52度〜約53度の淡蜜状態にあるため、このような状態から上記煮釜(1)の蒸気ジャケット(5)へ蒸気を供給し、蜜漬け中にある豆類(B)と糖蜜(M)を加熱して、その水分を蒸発させることにより、豆類(B)のブリックスを徐々に高めてゆくのである。
【0065】
その加熱温度が高ければ高い程、単位時間当りの水分蒸発量は多くなるが、約90度以上に高く過熱すると、豆類(B)の黒く焼け焦げるおそれがあるため、蜜漬け中の加熱温度を上記加熱温度センサー(17)により検知して、その加熱温度が約80℃〜約85℃の一定に安定良く維持されるように、加熱温度センサー(17)からの出力電気信号に基いて、上記過熱温度調整ユニット(18)により蒸気供給管路(14)における電磁弁(16)の開度を自動的に調整制御する。
【0066】
又、同じく豆類(B)の蜜漬け作用中には、上記循環回路(R)に介在している循環ポンプ(41)を駆動して、その煮釜(1)内の糖蜜(M)をやはり強制的に攪拌・対流させる一方、上記煮釜(1)の開口上面に臨んでいる送風機(27)も回転させ、その開口上面に向かって緩やかに送風する。
【0067】
つまり、蜜漬け中の加熱によって、その豆類(B)や糖蜜(M)の水分が煮釜(1)の開口上面から自然蒸発するとしても、その自然蒸発を待つだけではいたづらに長時間を要するため、又加熱作用の進行に連れて徐々に煮詰まる如く、ブリックスが高まると、糖蜜(M)の液面(L−L)に皮膜が生成され、その皮膜が引き続く水分の蒸発を遮断してしまうことになるため、上記循環ポンプ(41)により糖蜜(M)を強制的に対流・攪拌し、これを煮釜(1)における胴面(1a)の上端部に開口する帰還口(59)から、その煮釜(1)の内部へ還流させることによって、その液面(L−L)に皮膜が生成されることを予防するのである。
【0068】
その場合、循環回路(R)の帰還口(59a)(59b)(59c)を上記した複数として、煮釜(1)の胴面(1a)へ全体的な放射対称分布型に点在開口させると共に、糖蜜(M)の液面(L−L)をその蜜漬け当初から図10のように、上記帰還口(59a)(59b)(59c)の開口平面よりも一定間隔(d)だけ低く設定しておくならば、その帰還口(59a)(59b)(59c)から流れ落ちる糖蜜(M)が波立つため、その液面(L−L)に皮膜が生成されることを自づと確実に予防できることとなる。
【0069】
しかも、煮釜(1)の開口上面から浮上する湯気を、上記送風機(27)の風力により吹き飛ばして、その糖蜜(M)における液面(L−L)の湿度を低下させ、更には送風機(27)の負圧作用(ピトー管の原理)により気圧も低下させて、水分の蒸発を積極的に促進し、その蒸発量を増加させるのである。その際、上記天板(3)は送風機(27)による水分の吹き飛ばし作用上、その効果的な誘導機能を果すと共に、煮釜(1)に対する塵埃などの侵入防止にも役立つ。
【0070】
このように豆類(B)の蜜漬け中、上記循環回路(R)に介在する循環ポンプ(41)の対流・攪拌作用と、送風機(27)の送風作用によって、水分の蒸発が強制・促進されるようになっているため、その豆類(B)の蜜漬け所要時間を短縮することができる。
【0071】
但し、甘納豆を製造する過程での経験則に従えば、その蜜漬け所要時間が約12時間よりも短いと、糖蜜(M)が豆類(B)の中芯まで完全に吸収・浸透し難く、未だ蒸発せずに残る水分によって、豆類(B)の早期に腐るおそれがある。それだからと言って、約17時間以上に長く蜜漬けする必要はなく、加熱エネルギーの浪費と作業性の低下を招くだけであるため、その蜜漬け作用時間としては約12時間〜約17時間に設定することが好ましい。
【0072】
何れにしても、豆類(B)の蜜漬け作用中にあって、その水分の蒸発が進行することは、煮釜(1)内の糖蜜(M)が徐々に豆類(B)へ吸収されて言わば煮詰まる如く、そのブリックスが当初の淡蜜状態から濃蜜状態へと高まることを意味する。そのブリックスの高まりは従来技術のような砂糖の追加投入に頼らず、水分の蒸発により自働連続して、無段階の滑らかに達成されることとなり、蜜漬け作用過程での一時的にもブリックスが淡く低下するおそれはない。
【0073】
又、上記水分の蒸発が進行するに連れて、その煮釜(1)内における糖蜜(M)の液面(L−L)は徐々に低下することになるため、蜜漬け作用中における糖蜜(M)の液面(L−L)を作業者の目視や図外のレベルセンサーにより知得すれば、その液面(L−L)の低下した度合いから最終目標とするブリックスの数値を判定することができる。
【0074】
これを逆説的に言えば、最終目標のブリックスを従来技術での仕上げ蜜に相当する約70度〜約74度に設定して、糖蜜(M)の液面(L−L)がこれと対応する程度に達したことを、レベルセンサーが検知した時、その出力電気信号に基いて上記加熱温度調整ユニット(18)により、蒸気供給管路(14)の電磁弁(16)を閉鎖させ、蒸気の供給を止めるのである。
【0075】
そして、このような約12時間〜約17時間の蜜漬け作用を終了した後、例えば約30分の一定時間だけ蜜切りを行ない、上記煮釜(1)から豆篭(C)を順次吊り出して、更にその豆篭(C)から取り出した豆類(B)に、少量づつ砂糖をまぶし付ければ、茲にシットリした良好な食感の甘納豆として仕上がることになる。
【0076】
更に、数値の一例を挙げて、上記豆類(B)の蜜漬け方法を具体的に説明すると、次の通りである。
【0077】
今、図11のような直径が69cm、深さが114.5cmの煮釜(1)を使用し、これに蜜漬けした豆類(B)の目標とするブリックスが72度として、その最終的な仕上げ蜜の容量が280リットル、同じく仕上げ蜜の液面(L2−L2)が煮釜(1)の77cmに相当する深さ位置まで低下したものと仮定した場合、ブリックス(糖度)は分母を水量と砂糖量との合計量とし、分子を砂糖量のみとする割り算によって求め得る関係上、その目標数値の上記72度では図12に示す如く、砂糖量が211.4リットル(砂糖のカサ比重を0.84として、1kgは約1.2リットルになるため、176.1kg)、水量が68.6リットル(68.6kg)となり、このような混合比率の仕上げ蜜に豆類(B)が浸漬した状態として、蜜漬け終了する結果となる。
【0078】
そして、蜜漬け当初のブリックスが53度であると仮定すると、その当初の数値からブリックスが徐々に高まり、上記仕上げ蜜として目標数値の72度に煮詰まる作用上、これを逆算することにより、図11、12に示す如く、68.6リットル(68.6kg)の上記水量に対して、更に88リットル(88kg)の水量を追加投入し、その蜜漬け当初の液面(L1−L1)を上記最終的な仕上げ蜜の液面(L2−L2)よりも、予じめ25cmだけ上昇させておく必要がある。その25cmに相当する88リットル(88kg)が、蜜漬け中における水分の蒸発量となる。
【0079】
つまり、蜜漬け当初のブリックスを53度として、その砂糖量が同じ211.4リトル(176.1kg)であるとしても、上記割り算に基き、これと混合する水分量を156.1リットル(156.1kg)に予じめ増量しておかなければならない。
【0080】
このような準備状態から図示実施形態の蒸気を加熱源として、煮釜(1)の蒸気ジャケット(5)へ蒸気を供給することにより、その蜜漬け中にある豆類(B)と糖蜜(M)を加熱した実験結果は、下表1に示す通りである。
【0081】
【表1】
【0082】
即ち、その加熱温度を80℃に設定して1時間だけ加熱した結果、上記循環回路(R)に介在している循環ポンプ(41)と、煮釜(1)の開口上面に臨んでいる送風機(27)とを何れも使用せず、その停止状態に保った比較例イでは、水分の蒸発量が2.59リットルとして、糖蜜(M)の液面(L−L)が7mmだけ低下するにとどまった。この数値によれば、上記した88リットルの水分を蒸発させるために、約34時間を要することとなる。
【0083】
又、上記比較例イと同じ加熱条件のもとで、循環ポンプ(41)を駆動する一方、送風機(27)は依然停止状態に保った比較例ロの場合、水分の蒸発量が3.33リットルとして、その糖蜜(M)の液面(L−L)が9mmだけ低下した。この1時間当りの数値によれば、同じ88リットルの水分を蒸発させるために、未だ約27時間を要する結果となる。
【0084】
更に、上記比較例イ、ロと同じ加熱条件のもとで、循環ポンプ(41)と送風機(27)とを何れも使用し、そのポンプ(41)により糖蜜(M)を強制的に攪拌・対流させると共に、煮釜(1)の開口上面から浮上する湯気を、送風機(27)により吹き飛ばすことも行なった本発明では、水分の蒸発量が6.29リットルとして、糖蜜(M)の液面(L−L)が17mmだけ低下した。この1時間当りの数値によれば、同じ88リットルの水分を蒸発させるための所要時間として、約14時間あれば足り、大幅に短縮することができる。
【0085】
このような実験結果に徴すと、上記豆類(B)と糖蜜(M)の加熱設定温度を、上記80℃から約85℃に上昇させた場合、水分の蒸発を一層促進させることができ、必要最短時間での効率良く蜜漬け作用を行なえることになると言える。
【0086】
【発明の効果】
以上のように本発明に係る甘納豆の蜜漬け方法では、その原料となる大納言やうずら豆、栗、甘藷芋、その他の豆類(B)を、煮釜(1)内での水漬け状態において煮炊きし、
【0087】
その煮炊き終了できた豆類(B)を煮釜(1)からの排水後、その煮釜(1)内へ引き続き投入した糖蜜(M)での蜜漬け状態に保ち、所要時間だけ加熱して水分を強制的に蒸発させることにより、上記豆類(B)のブリックスを蜜漬け当初の淡蜜状態から自働連続的に高めてゆくと共に、
【0088】
その最終目標の濃蜜状態を、水分の蒸発に連れて低下した糖蜜(M)の液面(L−L)から知得するようになっているため、冒頭に述べた従来技術の課題を完全に解決することができ、上記豆類(B)を必要な最短時間での効率良く蜜漬けし得るのであり、その作業性も著しく向上する。
【0089】
即ち、本発明の上記構成によれば、豆類(B)の煮炊き作用と引き続く蜜漬け作用とを、その共通の煮釜(1)により便利良く軽快に行なえるほか、従来技術のような砂糖を追加投入する蜜漬け方法と異なり、その蜜漬け当初だけ糖蜜(M)を煮釜(1)に投入して加熱しさえすれば、水分の蒸発により当初の淡蜜状態から最終目標の濃蜜状態へ、豆類(B)のブリックスが言わば無段階での自づと滑らかに高まることとなるため、その糖蜜(M)が豆類(B)の中芯まで効果的に吸収・浸透した優れた煮詰まり状態を得られるのである。
【0090】
しかも、上記豆類(B)の蜜漬け作用中、水分の蒸発が進行するに連れて、その糖蜜(M)の液面(L−L)は徐々に低下するため、これを作業者の目視やレベルセンサーにより知得すれば、その目標とする濃蜜状態の仕上がり程度を判定することもできることになる。
【0091】
特に、請求項2の構成を採用するならば、循環ポンプ(41)による糖蜜(M)の強制的な攪拌・対流作用と、送風機(27)による湯気の吹き飛ばし作用とが相俟って、水分の蒸発をますます促進させることができ、蜜漬け所要時間の短縮化に役立つばかりでなく、糖蜜(M)の液面(L−L)に皮膜が生成されてしまうおそれを、自づと確実に予防し得る効果もある。
【0092】
又、請求項3の構成を採用するならば、その蜜漬け作用する一定の許容時間と加熱設定温度の維持により、豆類(B)を必要最短時間での熱効率良く、しかもその豆類(B)の中芯まで完全に糖蜜(M)を吸収・浸透させることができ、水分の残存により豆類(B)の早期に腐るおそれがない。
【0093】
他方、上記蜜漬け方法を実施するための装置として、請求項4の構成を採用するならば、その豆類(B)の煮炊き中と蜜漬け中との何れにあっても、加熱温度センサー(17)からの検知出力信号に基いて、その加熱温度調整ユニット(18)により蒸気の供給量(加熱力)を自動的に調整制御することができるほか、煮釜(1)の開口上面を指向する送風機(27)の送風作用と、循環回路(R)の循環ポンプ(41)による糖蜜(M)の強制的な攪拌・対流作用とが相俟って、蜜漬け中の水分蒸発を効率良く促進させることもでき、多量の甘納豆を蜜漬け処理するために著しく有効である。
【0094】
殊更、請求項5の構成を採用するならば、煮釜(1)内での煮炊き中にある豆類(B)の煮汁や、同じく蜜漬け中にある糖蜜(M)の強制的な攪拌・対流作用を、その煮釜(1)内の全体に効率良く且つ均等に波及させることができ、上記糖蜜(M)の液面(L−L)に皮膜が生成するおそれを、ますす確実に予防し得る効果もある。
【0095】
請求項6の構成を採用するならば、豆類(B)の煮炊き中には煮釜(1)を施蓋状態として、その放熱を防げる一方、豆類(B)の蜜漬け中には送風機(27)の送風を、その煮釜(1)の開口上面に沿う横断状態として、自づと正確に指向誘導できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る蜜漬け装置の正面図である。
【図2】図1の背面図である。
【図3】煮釜の天板を抽出して示す斜面図である。
【図4】煮釜を抽出して示す断面図である。
【図5】図1の拡大平面図である。
【図6】図5の一部を拡大して示す側面図である。
【図7】図5の一部を拡大して示す正面図である。
【図8】蜜漬け装置の電気制御回路図である。
【図9】豆類の煮炊き作用状態を示す説明図である。
【図10】豆類の蜜漬け作用状態を示す説明図である。
【図11】豆類の蜜漬け当初から蜜漬け終了に至る水分の蒸発量を例示した比較説明図である。
【図12】図11に対応する糖蜜の濃淡変化を示す比較説明図である。
【符号の説明】
(1)・煮釜
(1a)・胴面
(1b)・底面
(2)・天蓋
(3)・天板
(4)・支持脚
(5)・蒸気ジャケット
(14)・蒸気供給管路
(16)・電磁弁
(17)・加熱温度センサー
(18)・加熱温度調整ユニット
(26)・操作ボックス
(27)・送風機
(28)・支持ステー
(31)・給水管路
(35)・溢水管
(38)・排水管路
(41)・循環ポンプ
(42)・ギャードモーター
(48)・吸入口
(49)・吸入ホース
(52)・吐出口
(54)・吐出管
(57a)(57b)(57c)・ニップル
(58a)(58b)(58c)・吐出ホース
(59a)(59b)(59c)・帰還口
(61a)(61b)(61c)・ニップル
(B)・豆類
(C)・豆篭
(M)・糖蜜
(R)・循環回路
(L−L)(L1−L1)(L2−L2)・糖蜜の液面
(h)・一定高さ
(d)・一定間隔
【発明の属する技術分野】
本発明は甘納豆の蜜漬け方法とそのための有用な蜜漬け装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
甘納豆は大納言やうずら豆、空豆、栗、甘藷芋、その他の原料の種別を問わず、一般に水漬けした生豆を煮炊きし、これを糖蜜に漬け込み加熱して、その蜜切りした後、砂糖をまぶし付けることにより製造されている。
【0003】
その際、豆の澱粉は加熱すると、β化からα化の状態になるが、冷えるに連れて、β化の状態に戻る性質を有するため、その蜜漬けを再三に亘って行なうことにより、糖蜜を豆の中芯まで無理なく浸透・吸収させる必要があり、さもなければ乾いた製品となってしまい、シットリとした良好な食感の甘納豆を得ることができない。
【0004】
そこで、従来では煮釜と豆篭のほかに、蜜漬け鍋も用意して、先ずその蜜漬け鍋に豆篭と糖蜜を入れ、強火にかけて、沸騰した頃合いに煮釜から降ろし、そのまま一夜放置している。
【0005】次に、これをブリックス(糖度)が約40度〜約45度の1番蜜として、その蜜漬け状態のままで翌日強火にかけ、沸騰した頃合いに一旦豆篭を出して、2番蜜となる砂糖(グラニュー糖)を追加し、そのブリックスが約60度〜約65度の頃合いに再度豆篭を入れ、やがて煮釜から蜜漬け鍋を降ろし、そのまま一夜放置することにより、その2番蜜を豆に吸収・浸透させる。
【0006】
更に、上記蜜漬け状態のままで翌々日強火にかけ、やはり沸騰した頃合いに一旦豆篭を出して、約110℃〜約113℃まで煮詰め、ブリックスが約72度〜約73度の頃合いに再度豆篭を入れて蜜漬けし、その蜜漬け鍋をやがて煮釜から降ろし、約30分間放置することにより、これを仕上げ蜜として豆の中芯まで吸収・浸透させている通例である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このような従来の蜜漬け方法は淡い1番蜜から中間蜜(2番蜜)を経て濃い仕上げ蜜へと、そのブリックスを砂糖の追加投入によって順次段階的に高めてゆく方法であり、一夜放置するたび毎の一時的にブリックスが淡く低下し、糖蜜が自働連続して滑らかに豆へ吸収・浸透され難い。
【0008】
又、適当な一定時間の経過を見計らって、そのたび毎に砂糖を手作業により追加する必要があり、しかもその過程では蜜漬け鍋に与える加熱作用の断続と、その蜜漬け鍋に対する豆篭の出し入れとを頻繁に繰り返さなければならないので、その作業上いたづらに長い時間と苛酷な重労働を要する。
【0009】
その結果、煮釜と別個な蜜漬け鍋の多数を用意する必要があることとも相俟ち、1人の作業者において多量の甘納豆を蜜漬け処理することは到底不可能であり、そのための豊富な経験を有する作業者やその後継者も減少の一途を辿っている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明はこのような課題の抜本的な解決を企図しており、そのために甘納豆の蜜漬け方法として、原料となる大納言やうずら豆、栗、甘藷芋、その他の豆類を、煮釜内での水漬け状態において煮炊きし、
【0011】
その煮炊き終了できた豆類を煮釜からの排水後、その煮釜内へ引き続き投入した糖蜜での蜜漬け状態に保ち、所要時間だけ加熱して水分を強制的に蒸発させることにより、上記豆類のブリックスを蜜漬け当初の淡蜜状態から自働連続的に高めてゆくと共に、
【0012】
その最終目標の濃蜜状態を、水分の蒸発に連れて低下した糖蜜の液面から知得することを特徴とし、
【0013】
又、上記方法の実施に供する蜜漬け装置として、その構成上甘納豆の原料となる大納言やうずら豆、栗、甘藷芋、その他の豆類が収納された豆篭を出し入れできる断面ほぼU字型の煮釜と、
【0014】
その煮釜の約下半部を包囲する蒸気供給管路並びにその途中に介在された電磁弁と、
【0015】
煮炊き中にある豆類の加熱温度や蜜漬け中にある糖蜜の加熱温度を検知すべく、上記煮釜の内部に臨まされた加熱温度センサーと、
【0016】
その温度センサーからの出力電気信号を受けて、上記蒸気供給管路の電磁弁を自動的に開閉制御する加熱温度調整ユニットと、
【0017】
蜜漬け中に浮上する湯気を吹き飛ばすべく、上記煮釜の開口上面に向かって設置された送風機と、
【0018】
上記煮釜における胴面の上端部から導出された給水管路と、
【0019】
上記煮釜の底面から導出された排水管路の途中と、同じく煮釜における胴面の上端部とを連通接続すべく、その煮釜の外部に配管された循環回路と、
【0020】
煮炊き中にある豆類の煮汁や蜜漬け中にある糖蜜を上記排水管路から、再度煮釜の内部へ強制的に攪拌・対流させるべく、上記循環回路の途中に介挿設置された循環ポンプとを備え、
【0021】
上記豆類が収納された豆篭を煮釜内での水漬け状態に静置して、その蒸気供給管路から蒸気ジャケットへの蒸気により加熱する一方、
【0022】
その煮炊き終了できた豆類を煮釜からの排水後、その煮釜内へ引き続き投入した糖蜜での蜜漬け状態に保ち、やはり蒸気により加熱して水分を強制的に蒸発させ、
【0023】
上記豆類のブリックスを蜜漬け当初の淡蜜状態から最終目標の濃蜜状態へ、自働連続的に高めてゆくように定めたことを特徴とするものである。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基いて本発明の具体的構成を詳述すると、図1〜8は蒸気を加熱源とする甘納豆の蜜漬け装置に係り、(1)はステンレス鋼板から成る円筒型胴面(1a)と円錐受皿型底面(1b)との突き合わせ溶接によって、一定な深さの断面ほぼU字型に造形された煮釜であり、豆類(B)の煮炊きと引き続く蜜漬けに兼用される。
【0025】
(2)は上記煮釜(1)の開口上面に載置された天蓋であり、豆類(B)の煮炊き作用中、その開口上面を施蓋する。(3)は上記天蓋(2)と着脱・交換使用される天板であり、豆類(B)の蜜漬け作用中、その天板(3)から垂下する複数の支持脚(4)が、煮釜(1)の開口縁部へ係止されることによって、その煮釜(1)の開口上面から一定高さ(h)だけ浮上した設置状態に保たれる。
【0026】
(5)は上記煮釜(1)における胴面(1a)の約下半部と底面(1b)とを包囲する気密状態として、その胴面(1a)に溶接一体化された蒸気ジャケットであり、複数の脚柱(6)によって据付け盤(7)の中央部へ固定支持されている。据付け盤(7)は図5のような平面視の長方形に枠組みされており、その四隅部に付属するレベルジャッキ(8)の昇降操作によって、作業床への据え付け高さと水平度を調整することができるようになっている。
【0027】
(9)は煮釜(1)の周辺部に位置しつつ、その据付け盤(7)から一体的に背高く垂立されたチェンブロック用支持ポールであり、そのほぼ倒立L字型に屈曲する約上半部が、残る下半部に対して360度の旋回操作可能に枢支連結されていると共に、その煮釜(1)の開口上面を指向して張り出す先端部には、後述する豆篭(C)の出し入れ用電動チェンブロック(10)が取り付けられている。
【0028】
その伝動チェンブロック(10)のハンガーフック(11)へ係脱自在に係止させた豆篭(C)を、上記支持ポール(9)における約上半部の旋回操作とも相俟って、煮釜(1)の内部へ吊り入れたり、同じく煮釜(1)の外部へ吊り出したりできるようになっているのである。
【0029】
(12)は上記蒸気ジャケット(5)の中央部に内蔵設置されたリング型の蒸気吹出し管であり、その円周面には多数の蒸気吹出し孔(13)が開口分布されている。(14)はその蒸気吹出し管(12)から蒸気ジャケット(5)の底面を貫通して、上記据付け盤(7)の一半部へ横向きに導出された蒸気供給管路であり、その入口部がボイラーなどの蒸気供給源(図示省略)へ接続使用されることになる。
【0030】
(15)はその蒸気供給管路(14)の入口部付近に設置された開閉弁(ゲートバルブ)、(16)は同じく中途部に介在する電磁弁であり、その電磁弁(16)を加熱温度センサー(17)からの出力電気信号に基き、加熱温度調整ユニット(18)を介して開閉制御することにより、蒸気供給量(加熱力)を自動調整できるようになっている。
【0031】
上記加熱温度センサー(17)は抵抗温度計(白金測温抵抗体)などから成り、煮炊き中にある豆類(B)の加熱温度や蜜漬け中にある糖蜜(M)の加熱温度を検知するものとして、図4のような煮釜(1)の胴面(1a)と蒸気ジャケット(5)の胴面とを貫通する差し込み固定状態に取り付けられている。
【0032】
又、(19)は上記蒸気ジャケット(5)の底面から導出された復水用ドレン管であって、蒸気供給管路(14)とほぼ直交する方向に延在しており、その中途部には蒸気トラップ(20)が設置されている。(21)(22)(23)は同じく蒸気ジャケット(5)の上端部から導出されたエヤートラップと安全弁並びに圧力計を示している。
【0033】
(24)は上記煮釜(1)の隣り合う脚柱(6)に固定横架された補強プレートであり、蒸気供給管路(14)を安定良く支持している。(25)はその蒸気供給管路(14)と干渉することなく、上記据付け盤(7)の一半部から一体的に垂立された操作ボックス用支持枠であり、図外の制御基板を備えた操作ボックス(26)が、その支持枠(25)上に搭載されている。
【0034】
(27)は豆類(B)の蜜漬け中において、その水分の蒸発を促進するために使用される送風機であり、操作ボックス(26)又はその支持枠(25)から一体的に垂立する支持ステー(28)の上端部へ、上記煮釜(1)の開口上面とその天板(3)との相互間を指向する状態に取り付け固定されている。
【0035】
但し、煮釜(1)の開口上面に沿って、ほぼ水平の横断状態に送風できる限りでは、その送風機(27)を上記チェンブロック用支持ポール(9)へ図外の支持ステーによって取り付けたり、或いは据付け盤(7)から特別に背高く垂立させた専用の支持材へ、その送風機(27)を取り付けたりしても良い。
【0036】
他方、(29)は上記煮釜(1)における胴面(1a)の上端部付近に設けられた給水口であり、その給水口(29)からエルボ(30)を介して導出された給水管路(31)が、水道の蛇口やその他の給水源(図示省略)へ接続使用されることになる。
【0037】
(32)はその給水管路(31)の開閉弁(ボールバルブ)、(33)は同じく煮釜(1)の胴面(1a)に形成された溢水口であって、上記給水口(29)よりも若干高い上端部に開口しており、その溢水口(33)からやはりエルボ(34)を介して、溢水管(35)が下向き開放状態に導出されている。
【0038】
又、(36)は上記煮釜(1)における底面(1b)の中央部に設けられた排水口であり、その排水口(36)からはエルボ(37)を介して、排水管路(38)が上記蒸気供給管路(14)とほぼ直交する方向へ導出されている。(39)はその排水管路(38)の出口部付近に設置された開閉弁(ボールバルブ)である。
【0039】
しかも、排水管路(38)の中途部と上記煮釜(1)における胴面(1a)の上端部とは、次のような循環回路(R)を介して連通接続されており、その煮釜(1)内での煮炊き中にある豆類(B)の煮汁や、引き続き同じ煮釜(1)内での蜜漬け中にある糖蜜(M)を、強制的に循環・対流させることによって、熱効率の向上を図ると共に、その豆類(B)や糖蜜(M)の加熱ムラを生じないようになっている。
【0040】
即ち、その循環回路(R)の明白な図5〜7において、(40)は上記据付け盤(7)の他半部から比較的背低く一体的に垂立されたポンプ収納枠、(41)はその枠内に据え付け固定された循環ポンプであって、その好ましくはロータリーポンプから成り、そのローター(図示省略)がギヤードモーター(42)によって回転駆動されることとなる。
【0041】
その循環ポンプ(41)となるロータリーポンプについては、特に可変容量型のトロコイドポンプを採用し、これをインバーター制御することが望ましい。小型品であっも吐出量が多く、吸入側の面積も大きいほか、分解掃除を容易に便利良く行なえ、又そのインバーター制御方式によって、循環量を任意に増減調整することもできるからである。
【0042】
上記ポンプ回転駆動用のギヤードモーター(42)はポンプ収納枠(40)上に搭載されており、そのギヤードモーター(42)の出力スプロケット(43)と上記循環ポンプ(41)の入力スプロケット(44)との上下相互間が、無端な伝動チェン(45)を介して伝動連結されている。(46)は上記ギヤードモーター(42)の取付け台、(47)はそのモーター取付け台(46)の四隅部を支持するレベルジャッキであり、その昇降操作によって伝動チェン(45)の掛脱と緊張度の調整を行なえるようになっている。
【0043】
循環ポンプ(41)の吸入口(48)は上記排水管路(38)の中途部へ、単一のフレキシブルな吸入ホース(49)を介して連通接続されており、煮釜(1)内での煮炊き中にある豆類(B)の煮汁や、同じく蜜漬け中にある糖蜜(M)をその底面(1b)の中央部から、排水管路(38)と吸入ホース(49)を経て循環ポンプ(41)へ吸入するようになっている。(50)はその排水管路(38)の中途部に介在するチーズ、(51)は上記吸入ホース(49)の両端部を接続固定するためのユニオン型管継手である。
【0044】
他方、同じく循環ポンプ(41)の吐出口(52)からはエルボ(53)を介して、吐出管(54)が一旦上向く垂立状態に導出されており、しかもその吐出管(54)の上端部は引き続き第1、2チーズ(55)(56)によって、複数の異なる方向(図例では三方向)を指すニップル(57a)(57b)(57c)として分岐された状態にある。
【0045】
そして、その循環ポンプ(41)の吐出管(54)から分岐された複数のニップル(57a)(57b)(57c)が、これらと対応する同数のフレキシブルな吐出ホース(58a)(58b)(58c)を介して、上記煮釜(1)における胴面(1a)の上端部に開口分布する帰還口(59a)(59b)(59c)と連通接続されており、上記循環ポンプ(41)から吐出された豆類(B)の煮汁や糖蜜(M)を、再度煮釜(1)の内部へ還流させるようになっている。
【0046】
更に言えば、図示の実施形態は好ましいそれとして、上記帰還口(59a)(59b)(59c)の複数が煮釜(1)に対し、図5のような平面視の放射対称分布型に点在開口されている。
【0047】
しかも、その各帰還口(59a)(59b)(59c)からエルボ(60a)(60b)(60c)を介して下向きに導出するニップル(61a)(61b)(61c)の下端部と、上記吐出管(54)の上端部に分岐する各ニップル(57a)(57b)(57c)とが、フレキシブルな吐出ホース(58a)(58b)(58c)によって接続配管されている。(62a)(62b)(62c)はその各吐出ホース(58a)(58b)(58c)の両端部を接続固定するためのユニオン型管継手、(63a)(63b)(63c)は上記吐出管(54)から分岐する各ニップル(57a)(57b)(57c)に設置された開閉弁(ボールバルブ)である。
【0048】
図示の好ましい実施形態によれば、複数の帰還口(59a)(59b)(59c)が煮釜(1)における胴面(1a)の上端部へ、その全体的な放射対称配置型に開口分布しており、これと対応する同数の吐出ホース(58a)(58b)(58c)を介して、循環ポンプ(41)の吐出管(54)と連通接続されているため、その循環ポンプ(41)の圧送力とも相俟って、煮釜(1)内での煮炊き中にある豆類(B)の煮汁や、同じく蜜漬け中にある糖蜜(M)を、その全体の平均的に効率良く且つ強制的に攪拌・対流させることができ、加熱ムラを確実に防止し得る利点がある。
【0049】
但し、煮釜(1)の外部に配管された上記循環回路(R)と、その過程に介在する循環ポンプ(41)の圧送力によって、上記豆類(B)の煮汁や糖蜜(M)を攪拌・対流させ得る限りでは、上記吸入ホース(49)と同じく、その吐出ホース(58)も単一として、循環ポンプ(41)の上記吐出管(54)と煮釜(1)の帰還口(59)とを連通接続してもさしつかえない。
【0050】
尚、図示実施形態の蜜漬け装置は蒸気を加熱源としているが、その蒸気に代るガスや電気を加熱源とする甘納豆の蜜漬け装置についても、本発明を適用実施することができる。
【0051】
本発明の甘納豆を製造するに当っては、その原料となる大納言やうずら豆、空豆、栗、甘藷芋、その他の予じめ水漬けされた豆類(B)を、一定単位量づつ豆篭(C)へ収納する。
【0052】
その豆篭(C)としては、湯水や豆類(B)の煮汁、糖蜜(M)が良く流通すると共に、保形強度に富む網篭であれば足りるが、特許第3031622号に記載の多孔芯筒(22)や複数の伝熱用多孔筒(28)を備えた篭本体(A)と、その対応的な芯筒受け入れ口(40)や複数の伝熱用多孔筒(41)を備えた落し蓋(B)とから成る組立品を採用することが望ましい。
【0053】
そして、豆類(B)が収納された豆篭(C)を図9のように、上記煮釜(1)の内部へ順次吊り入れて、その複数の積み重ね状態に静置させる一方、煮釜(1)の内部へ給水口(29)から給水して、豆類(B)を全体的な水漬け状態に保った上、煮釜(1)の開口上面を天蓋(2)により施蓋する。
【0054】
このような準備後、上記煮釜(1)の蒸気ジャケット(5)へ蒸気を供給して、その加熱により豆類(B)を第1次的に煮炊き作用すると共に、その過程では上記循環回路(R)に介在している循環ポンプ(41)を駆動して、その豆類(B)の煮汁を強制的に攪拌・対流させる。
【0055】
又、煮炊き中にある煮釜(1)内の湯温を上記加熱温度センサー(17)により検知して、その加熱温度が予じめ設定された目標数値まで一旦上昇・沸騰したならば、その後はこれを安定良く維持し得るように、温度上昇率を検知し乍ら、その加熱温度センサー(17)からの出力電気信号に基いて、加熱温度調整ユニット(18)により上記蒸気供給管路(14)における電磁弁(16)の開度を自動的に調整制御し、一定時間の経過後に渋切り(アク抜き)する。
【0056】
その渋切りは、上記排水管路(38)の開閉弁(39)を開放操作した状態のもとで、給水口(29)から煮釜(1)の内部へ給水することにより行ない、その給水によって豆類(B)を冷やす。このような渋切り中、上記循環ポンプ(41)の駆動を停止させることは、言うまでもない。
【0057】
上記渋切りを行なった後には、再度給水口(29)から煮釜(1)の内部へ給水して、豆類(B)の全体をやはり水漬け状態に保った上、蒸気ジャケット(5)へ蒸気を供給することにより、引き続き豆類(B)の第2次的を煮炊き作用を行なう。
【0058】
その第2次的な煮炊き中にも、上記循環ポンプ(41)を駆動することにより、豆類(B)の煮汁を強制的に攪拌・対流させると共に、やはり煮釜(1)内の湯温を加熱温度センサー(17)により検知して、その加熱温度が予じめ設定された目標数値まで一旦上昇・沸騰したならば、その後は約90℃〜約95℃の沸騰しない一定温度を保つように、上記加熱温度センサー(17)からの検知出力信号に基いて、その加熱温度調整ユニット(18)により上記電磁弁(16)の開度を調整制御し、一定時間の経過後に蒸気の供給を止めて、そのまま一定時間だけ放置することにより、蒸らし作用を行なう。
【0059】
上記第2次的な煮炊き中の加熱温度は、豆類(B)における原料の種別や品質、新旧の程度、その他の諸条件に応じて調整することができ、特に100℃未満の沸騰しない加熱温度を維持しつつ煮炊きすることによって、その柔軟化した豆類(B)の表皮が破れる現象(所謂腹割れ)を確実に予防でき、原形を保った優美な甘納豆の製造に役立つ。
【0060】
一定時間の蒸らし作用後には、上記給水口(29)から煮釜(1)の内部へ所謂打ち水となる給水を行ない、その豆類(B)を緩やかに冷却し乍ら、煮釜(1)の溢水口(33)からオーバーフローさせるか、又は排水口(36)から下方へ排水する。
【0061】
このようにして煮炊き終了した豆類(B)は、その豆篭(C)を煮釜(1)から吊り出すことなく、依然として煮釜(1)内での静置状態に保ち、その煮釜(1)を豆類(B)の蜜漬けにも兼用して、次に豆類(B)の蜜漬けを行なうのである。
【0062】
そのための糖蜜(M)は、一定量の水とその約3倍の砂糖(グラニュー糖)とから成る混合物として、その砂糖が溶解した透明度の高い液体であり、これを特別に調製するか、又は市販品を買い求めることによって、予じめ準備しておく。
【0063】
そして、このような糖蜜(M)を豆類(B)に応じた比率の一定量だけ、上記煮釜(1)に投入使用するのである。その際、煮釜(1)からは先の天蓋(2)を取りはずし、その天蓋(2)に代る天板(3)の支持脚(4)を図10のように、煮釜(1)の開口縁部へ係止させて、その煮釜(1)の上面を全開状態に保つ。
【0064】
このように準備された蜜漬け当初、未だ豆類(B)に糖蜜(M)が吸収されておらず、その言わば豆類(B)自身のブリックスとして、約52度〜約53度の淡蜜状態にあるため、このような状態から上記煮釜(1)の蒸気ジャケット(5)へ蒸気を供給し、蜜漬け中にある豆類(B)と糖蜜(M)を加熱して、その水分を蒸発させることにより、豆類(B)のブリックスを徐々に高めてゆくのである。
【0065】
その加熱温度が高ければ高い程、単位時間当りの水分蒸発量は多くなるが、約90度以上に高く過熱すると、豆類(B)の黒く焼け焦げるおそれがあるため、蜜漬け中の加熱温度を上記加熱温度センサー(17)により検知して、その加熱温度が約80℃〜約85℃の一定に安定良く維持されるように、加熱温度センサー(17)からの出力電気信号に基いて、上記過熱温度調整ユニット(18)により蒸気供給管路(14)における電磁弁(16)の開度を自動的に調整制御する。
【0066】
又、同じく豆類(B)の蜜漬け作用中には、上記循環回路(R)に介在している循環ポンプ(41)を駆動して、その煮釜(1)内の糖蜜(M)をやはり強制的に攪拌・対流させる一方、上記煮釜(1)の開口上面に臨んでいる送風機(27)も回転させ、その開口上面に向かって緩やかに送風する。
【0067】
つまり、蜜漬け中の加熱によって、その豆類(B)や糖蜜(M)の水分が煮釜(1)の開口上面から自然蒸発するとしても、その自然蒸発を待つだけではいたづらに長時間を要するため、又加熱作用の進行に連れて徐々に煮詰まる如く、ブリックスが高まると、糖蜜(M)の液面(L−L)に皮膜が生成され、その皮膜が引き続く水分の蒸発を遮断してしまうことになるため、上記循環ポンプ(41)により糖蜜(M)を強制的に対流・攪拌し、これを煮釜(1)における胴面(1a)の上端部に開口する帰還口(59)から、その煮釜(1)の内部へ還流させることによって、その液面(L−L)に皮膜が生成されることを予防するのである。
【0068】
その場合、循環回路(R)の帰還口(59a)(59b)(59c)を上記した複数として、煮釜(1)の胴面(1a)へ全体的な放射対称分布型に点在開口させると共に、糖蜜(M)の液面(L−L)をその蜜漬け当初から図10のように、上記帰還口(59a)(59b)(59c)の開口平面よりも一定間隔(d)だけ低く設定しておくならば、その帰還口(59a)(59b)(59c)から流れ落ちる糖蜜(M)が波立つため、その液面(L−L)に皮膜が生成されることを自づと確実に予防できることとなる。
【0069】
しかも、煮釜(1)の開口上面から浮上する湯気を、上記送風機(27)の風力により吹き飛ばして、その糖蜜(M)における液面(L−L)の湿度を低下させ、更には送風機(27)の負圧作用(ピトー管の原理)により気圧も低下させて、水分の蒸発を積極的に促進し、その蒸発量を増加させるのである。その際、上記天板(3)は送風機(27)による水分の吹き飛ばし作用上、その効果的な誘導機能を果すと共に、煮釜(1)に対する塵埃などの侵入防止にも役立つ。
【0070】
このように豆類(B)の蜜漬け中、上記循環回路(R)に介在する循環ポンプ(41)の対流・攪拌作用と、送風機(27)の送風作用によって、水分の蒸発が強制・促進されるようになっているため、その豆類(B)の蜜漬け所要時間を短縮することができる。
【0071】
但し、甘納豆を製造する過程での経験則に従えば、その蜜漬け所要時間が約12時間よりも短いと、糖蜜(M)が豆類(B)の中芯まで完全に吸収・浸透し難く、未だ蒸発せずに残る水分によって、豆類(B)の早期に腐るおそれがある。それだからと言って、約17時間以上に長く蜜漬けする必要はなく、加熱エネルギーの浪費と作業性の低下を招くだけであるため、その蜜漬け作用時間としては約12時間〜約17時間に設定することが好ましい。
【0072】
何れにしても、豆類(B)の蜜漬け作用中にあって、その水分の蒸発が進行することは、煮釜(1)内の糖蜜(M)が徐々に豆類(B)へ吸収されて言わば煮詰まる如く、そのブリックスが当初の淡蜜状態から濃蜜状態へと高まることを意味する。そのブリックスの高まりは従来技術のような砂糖の追加投入に頼らず、水分の蒸発により自働連続して、無段階の滑らかに達成されることとなり、蜜漬け作用過程での一時的にもブリックスが淡く低下するおそれはない。
【0073】
又、上記水分の蒸発が進行するに連れて、その煮釜(1)内における糖蜜(M)の液面(L−L)は徐々に低下することになるため、蜜漬け作用中における糖蜜(M)の液面(L−L)を作業者の目視や図外のレベルセンサーにより知得すれば、その液面(L−L)の低下した度合いから最終目標とするブリックスの数値を判定することができる。
【0074】
これを逆説的に言えば、最終目標のブリックスを従来技術での仕上げ蜜に相当する約70度〜約74度に設定して、糖蜜(M)の液面(L−L)がこれと対応する程度に達したことを、レベルセンサーが検知した時、その出力電気信号に基いて上記加熱温度調整ユニット(18)により、蒸気供給管路(14)の電磁弁(16)を閉鎖させ、蒸気の供給を止めるのである。
【0075】
そして、このような約12時間〜約17時間の蜜漬け作用を終了した後、例えば約30分の一定時間だけ蜜切りを行ない、上記煮釜(1)から豆篭(C)を順次吊り出して、更にその豆篭(C)から取り出した豆類(B)に、少量づつ砂糖をまぶし付ければ、茲にシットリした良好な食感の甘納豆として仕上がることになる。
【0076】
更に、数値の一例を挙げて、上記豆類(B)の蜜漬け方法を具体的に説明すると、次の通りである。
【0077】
今、図11のような直径が69cm、深さが114.5cmの煮釜(1)を使用し、これに蜜漬けした豆類(B)の目標とするブリックスが72度として、その最終的な仕上げ蜜の容量が280リットル、同じく仕上げ蜜の液面(L2−L2)が煮釜(1)の77cmに相当する深さ位置まで低下したものと仮定した場合、ブリックス(糖度)は分母を水量と砂糖量との合計量とし、分子を砂糖量のみとする割り算によって求め得る関係上、その目標数値の上記72度では図12に示す如く、砂糖量が211.4リットル(砂糖のカサ比重を0.84として、1kgは約1.2リットルになるため、176.1kg)、水量が68.6リットル(68.6kg)となり、このような混合比率の仕上げ蜜に豆類(B)が浸漬した状態として、蜜漬け終了する結果となる。
【0078】
そして、蜜漬け当初のブリックスが53度であると仮定すると、その当初の数値からブリックスが徐々に高まり、上記仕上げ蜜として目標数値の72度に煮詰まる作用上、これを逆算することにより、図11、12に示す如く、68.6リットル(68.6kg)の上記水量に対して、更に88リットル(88kg)の水量を追加投入し、その蜜漬け当初の液面(L1−L1)を上記最終的な仕上げ蜜の液面(L2−L2)よりも、予じめ25cmだけ上昇させておく必要がある。その25cmに相当する88リットル(88kg)が、蜜漬け中における水分の蒸発量となる。
【0079】
つまり、蜜漬け当初のブリックスを53度として、その砂糖量が同じ211.4リトル(176.1kg)であるとしても、上記割り算に基き、これと混合する水分量を156.1リットル(156.1kg)に予じめ増量しておかなければならない。
【0080】
このような準備状態から図示実施形態の蒸気を加熱源として、煮釜(1)の蒸気ジャケット(5)へ蒸気を供給することにより、その蜜漬け中にある豆類(B)と糖蜜(M)を加熱した実験結果は、下表1に示す通りである。
【0081】
【表1】
【0082】
即ち、その加熱温度を80℃に設定して1時間だけ加熱した結果、上記循環回路(R)に介在している循環ポンプ(41)と、煮釜(1)の開口上面に臨んでいる送風機(27)とを何れも使用せず、その停止状態に保った比較例イでは、水分の蒸発量が2.59リットルとして、糖蜜(M)の液面(L−L)が7mmだけ低下するにとどまった。この数値によれば、上記した88リットルの水分を蒸発させるために、約34時間を要することとなる。
【0083】
又、上記比較例イと同じ加熱条件のもとで、循環ポンプ(41)を駆動する一方、送風機(27)は依然停止状態に保った比較例ロの場合、水分の蒸発量が3.33リットルとして、その糖蜜(M)の液面(L−L)が9mmだけ低下した。この1時間当りの数値によれば、同じ88リットルの水分を蒸発させるために、未だ約27時間を要する結果となる。
【0084】
更に、上記比較例イ、ロと同じ加熱条件のもとで、循環ポンプ(41)と送風機(27)とを何れも使用し、そのポンプ(41)により糖蜜(M)を強制的に攪拌・対流させると共に、煮釜(1)の開口上面から浮上する湯気を、送風機(27)により吹き飛ばすことも行なった本発明では、水分の蒸発量が6.29リットルとして、糖蜜(M)の液面(L−L)が17mmだけ低下した。この1時間当りの数値によれば、同じ88リットルの水分を蒸発させるための所要時間として、約14時間あれば足り、大幅に短縮することができる。
【0085】
このような実験結果に徴すと、上記豆類(B)と糖蜜(M)の加熱設定温度を、上記80℃から約85℃に上昇させた場合、水分の蒸発を一層促進させることができ、必要最短時間での効率良く蜜漬け作用を行なえることになると言える。
【0086】
【発明の効果】
以上のように本発明に係る甘納豆の蜜漬け方法では、その原料となる大納言やうずら豆、栗、甘藷芋、その他の豆類(B)を、煮釜(1)内での水漬け状態において煮炊きし、
【0087】
その煮炊き終了できた豆類(B)を煮釜(1)からの排水後、その煮釜(1)内へ引き続き投入した糖蜜(M)での蜜漬け状態に保ち、所要時間だけ加熱して水分を強制的に蒸発させることにより、上記豆類(B)のブリックスを蜜漬け当初の淡蜜状態から自働連続的に高めてゆくと共に、
【0088】
その最終目標の濃蜜状態を、水分の蒸発に連れて低下した糖蜜(M)の液面(L−L)から知得するようになっているため、冒頭に述べた従来技術の課題を完全に解決することができ、上記豆類(B)を必要な最短時間での効率良く蜜漬けし得るのであり、その作業性も著しく向上する。
【0089】
即ち、本発明の上記構成によれば、豆類(B)の煮炊き作用と引き続く蜜漬け作用とを、その共通の煮釜(1)により便利良く軽快に行なえるほか、従来技術のような砂糖を追加投入する蜜漬け方法と異なり、その蜜漬け当初だけ糖蜜(M)を煮釜(1)に投入して加熱しさえすれば、水分の蒸発により当初の淡蜜状態から最終目標の濃蜜状態へ、豆類(B)のブリックスが言わば無段階での自づと滑らかに高まることとなるため、その糖蜜(M)が豆類(B)の中芯まで効果的に吸収・浸透した優れた煮詰まり状態を得られるのである。
【0090】
しかも、上記豆類(B)の蜜漬け作用中、水分の蒸発が進行するに連れて、その糖蜜(M)の液面(L−L)は徐々に低下するため、これを作業者の目視やレベルセンサーにより知得すれば、その目標とする濃蜜状態の仕上がり程度を判定することもできることになる。
【0091】
特に、請求項2の構成を採用するならば、循環ポンプ(41)による糖蜜(M)の強制的な攪拌・対流作用と、送風機(27)による湯気の吹き飛ばし作用とが相俟って、水分の蒸発をますます促進させることができ、蜜漬け所要時間の短縮化に役立つばかりでなく、糖蜜(M)の液面(L−L)に皮膜が生成されてしまうおそれを、自づと確実に予防し得る効果もある。
【0092】
又、請求項3の構成を採用するならば、その蜜漬け作用する一定の許容時間と加熱設定温度の維持により、豆類(B)を必要最短時間での熱効率良く、しかもその豆類(B)の中芯まで完全に糖蜜(M)を吸収・浸透させることができ、水分の残存により豆類(B)の早期に腐るおそれがない。
【0093】
他方、上記蜜漬け方法を実施するための装置として、請求項4の構成を採用するならば、その豆類(B)の煮炊き中と蜜漬け中との何れにあっても、加熱温度センサー(17)からの検知出力信号に基いて、その加熱温度調整ユニット(18)により蒸気の供給量(加熱力)を自動的に調整制御することができるほか、煮釜(1)の開口上面を指向する送風機(27)の送風作用と、循環回路(R)の循環ポンプ(41)による糖蜜(M)の強制的な攪拌・対流作用とが相俟って、蜜漬け中の水分蒸発を効率良く促進させることもでき、多量の甘納豆を蜜漬け処理するために著しく有効である。
【0094】
殊更、請求項5の構成を採用するならば、煮釜(1)内での煮炊き中にある豆類(B)の煮汁や、同じく蜜漬け中にある糖蜜(M)の強制的な攪拌・対流作用を、その煮釜(1)内の全体に効率良く且つ均等に波及させることができ、上記糖蜜(M)の液面(L−L)に皮膜が生成するおそれを、ますす確実に予防し得る効果もある。
【0095】
請求項6の構成を採用するならば、豆類(B)の煮炊き中には煮釜(1)を施蓋状態として、その放熱を防げる一方、豆類(B)の蜜漬け中には送風機(27)の送風を、その煮釜(1)の開口上面に沿う横断状態として、自づと正確に指向誘導できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る蜜漬け装置の正面図である。
【図2】図1の背面図である。
【図3】煮釜の天板を抽出して示す斜面図である。
【図4】煮釜を抽出して示す断面図である。
【図5】図1の拡大平面図である。
【図6】図5の一部を拡大して示す側面図である。
【図7】図5の一部を拡大して示す正面図である。
【図8】蜜漬け装置の電気制御回路図である。
【図9】豆類の煮炊き作用状態を示す説明図である。
【図10】豆類の蜜漬け作用状態を示す説明図である。
【図11】豆類の蜜漬け当初から蜜漬け終了に至る水分の蒸発量を例示した比較説明図である。
【図12】図11に対応する糖蜜の濃淡変化を示す比較説明図である。
【符号の説明】
(1)・煮釜
(1a)・胴面
(1b)・底面
(2)・天蓋
(3)・天板
(4)・支持脚
(5)・蒸気ジャケット
(14)・蒸気供給管路
(16)・電磁弁
(17)・加熱温度センサー
(18)・加熱温度調整ユニット
(26)・操作ボックス
(27)・送風機
(28)・支持ステー
(31)・給水管路
(35)・溢水管
(38)・排水管路
(41)・循環ポンプ
(42)・ギャードモーター
(48)・吸入口
(49)・吸入ホース
(52)・吐出口
(54)・吐出管
(57a)(57b)(57c)・ニップル
(58a)(58b)(58c)・吐出ホース
(59a)(59b)(59c)・帰還口
(61a)(61b)(61c)・ニップル
(B)・豆類
(C)・豆篭
(M)・糖蜜
(R)・循環回路
(L−L)(L1−L1)(L2−L2)・糖蜜の液面
(h)・一定高さ
(d)・一定間隔
Claims (6)
- 甘納豆の原料となる大納言やうずら豆、栗、甘藷芋、その他の豆類(B)を、煮釜(1)内での水漬け状態において煮炊きし、
その煮炊き終了できた豆類(B)を煮釜(1)からの排水後、その煮釜(1)内へ引き続き投入した糖蜜(M)での蜜漬け状態に保ち、所要時間だけ加熱して水分を強制的に蒸発させることにより、上記豆類(B)のブリックスを蜜漬け当初の淡蜜状態から自働連続的に高めてゆくと共に、
その最終目標の濃蜜状態を、水分の蒸発に連れて低下した糖蜜(M)の液面(L−L)から知得することを特徴とする甘納豆の蜜漬け方法。 - 煮釜(1)内での加熱中にある糖蜜(M)を、循環ポンプ(41)によって強制的に攪拌・対流させる一方、その煮釜(1)の開口上面から浮上する湯気を、送風機(27)によって吹き飛ばすことを特徴とする請求項1記載の甘納豆の蜜漬け方法。
- 糖蜜(M)での蜜漬け状態に保たれた豆類(B)の加熱温度を、約80℃〜約85℃に設定して、蒸気により約12時間〜約17時間の一定時間だけ加熱することを特徴する請求項1記載の甘納豆の蜜漬け方法。
- 甘納豆の原料となる大納言やうずら豆、栗、甘藷芋、その他の豆類(B)が収納された豆篭(C)を出し入れできる断面ほぼU字型の煮釜(1)と、
その煮釜(1)の約下半部を包囲する蒸気供給管路(14)並びにその途中に介在された電磁弁(16)と、
煮炊き中にある豆類(B)の加熱温度や蜜漬け中にある糖蜜(M)の加熱温度を検知すべく、上記煮釜(1)の内部に臨まされた加熱温度センサー(17)と、
その温度センサー(17)からの出力電気信号を受けて、上記蒸気供給管路(14)の電磁弁(16)を自動的に開閉制御する加熱温度調整ユニット(18)と、
蜜漬け中に浮上する湯気を吹き飛ばすべく、上記煮釜(1)の開口上面に向かって設置された送風機(27)と、
上記煮釜(1)における胴面(1a)の上端部から導出された給水管路(31)と、
上記煮釜(1)の底面(1b)から導出された排水管路(38)の途中と、同じく煮釜(1)における胴面(1a)の上端部とを連通接続すべく、その煮釜(1)の外部に配管された循環回路(R)と、
煮炊き中にある豆類(B)の煮汁や蜜漬け中にある糖蜜(M)を上記排水管路(38)から、再度煮釜(1)の内部へ強制的に攪拌・対流させるべく、上記循環回路(R)の途中に介挿設置された循環ポンプ(41)とを備え、
上記豆類(B)が収納された豆篭(C)を煮釜(1)内での水漬け状態に静置して、その蒸気供給管路(14)から蒸気ジャケット(5)への蒸気により加熱する一方、
その煮炊き終了できた豆類(B)を煮釜(1)からの排水後、その煮釜(1)内へ引き続き投入した糖蜜(M)での蜜漬け状態に保ち、やはり蒸気により加熱して水分を強制的に蒸発させ、
上記豆類(B)のブリックスを蜜漬け当初の淡蜜状態から最終目標の濃蜜状態へ、自働連続的に高めてゆくように定めたことを特徴とする甘納豆の蜜漬け装置。 - 排水管路(38)の途中と循環ポンプ(41)の吸入口(48)とを、単一のフレキシブルを吸入ホース(49)によって連通接続する一方、
煮釜(1)における胴面(1a)の上端部へ全体的な放射対称分布型に開口形成した複数の帰還口(59a)(59b)(59c)と上記循環ポンプ(41)の吐出管(54)から分岐させた複数のニップル(57a)(57b)(57c)とを、各々フレキシブルな吐出ホース(58a)(58b)(58c)によって連通接続したことを特徴とする請求項4記載の甘納豆の蜜漬け装置。 - 豆類(B)の煮炊き中には、煮釜(1)の開口上面を天蓋(2)によって施蓋する一方、
引き続く豆類(B)の蜜漬け中には、上記天蓋(2)に代る天板(3)の支持脚(4)を煮釜(1)の開口縁部へ係止させることにより、その煮釜(1)の開口上面を全開状態に維持すると共に、
上記煮釜(1)の開口上面と天板(3)との相互間に向かって、送風機(27)から送風するように定めたことを特徴とする請求項4記載の甘納豆の蜜漬け装置。
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CN103365274A (zh) * | 2013-07-09 | 2013-10-23 | 广西宏智科技有限公司 | 糖厂澄清、蒸发过程自动控制系统 |
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- 2002-10-18 JP JP2002304764A patent/JP2004135604A/ja active Pending
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