JP2004134797A - ヒートシンク並びにヒートシンクを備えた光源装置 - Google Patents

ヒートシンク並びにヒートシンクを備えた光源装置 Download PDF

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Abstract

【課題】微細加工を保持することが可能で、熱変形がなく、1W以上の光源を得る。
【解決手段】板状部材1〜5を張り合わせて形成されるヒートシンクであって、冷却流体が供給される供給口6と排出される排出口7がヒートシンク外側表面に設けられ、供給口と排出口を連通される流路がヒートシンク内部に形成されるように少なくとも板状部材に溝及び/又は孔8〜12が設けられたヒートシンクの製造方法において、各板状部材を張り合わせる接着部材として共晶材料を使用する。このヒートシンクを用いて、高出力のレーザ及び高輝度のLEDの光源装置とする。
【選択図】図2

Description

 本発明はレーザダイオードや発光ダイオードを実装してなるヒートシンク及びこのヒートシンクを用いた光源装置に関するものであり、特に高出力のレーザダイオードが、また高輝度の発光ダイオードが実装できるヒートシンクであって、また高出力のレーザ光また高輝度のLED光が得られる光源装置に関する。
 一般的に冷却手段としては、受動的冷却手段と能動的冷却手段とに分けることができる。例えば、前者は熱容量の大きなヒートシンクに放熱するといった手段、後者は発熱体を実装するヒートシンク内に冷却水を流して熱を奪い取るといった手段である。例えば大出力半導体レーザの場合、発熱量も大きい為に、能動的冷却手段が好まれている。このような理由により、熱を能動的に冷却手段として、ヒートシンク内に水路を設け、半導体レーザなどの電子部品の直下を冷却する技術が提案されている。(特許文献1)
 従来、水冷による能動的冷却手段を得る方法として、例えば拡散接合により銅系薄板を積層し、拡散接合にて接合する方法がある。しかしながら、銅系薄板からなるヒートシンクの製造方法として1000℃以上の高温での熱処理が必要であった。また、銅製の薄板と共晶合金を作る金属、例えば銀ろうを施し積層し、真空炉中で加熱圧着する方法が示されているが、800℃以上の高温での熱処理が必要であった。
特開平9−102568号公報
 しかしながら、拡散接合法では接合温度が高く微細加工を保持することが困難で、また熱変形により平坦度が失われたり、そりが発生したりする。平坦度が失われ、そりが発生すると冷却材の漏れが発生する。これらの問題は板状部材が薄型化されるにつれ顕著になるため、ヒートシンクの低熱抵抗化が困難であった。
 また、銀ろうを使用する場合は、拡散接合法に比較すると低温で作成可能であるが、熱処理時に銀ろうの流動性が増すため、加熱圧着する場合は銀ろうが水路を埋める問題があった。
 そこで本発明のヒートシンクおよび光源装置は、以下の(1)〜(16)であることを特徴とする。
 (1)本発明のヒートシンクは、少なくとも2以上の板状部材を貼り合わせて形成されるヒートシンクであって、流体が供給される供給口と排出される排出口がヒートシンク外側表面に設けられ、供給口と排出口を連通される流路がヒートシンク内部に形成されるように少なくとも前記板状部材に溝及び/又は孔が設けられた、レーザダイオードを表面に具備するヒートシンクにおいて、貼り合わせの接着材料は共晶材料であることを特徴とする。共晶材料を使用することにより低温で板状部材を低温で貼り合わせることが可能になった。この構成をとることにより、板状部材に対する微細加工を容易に保持することができ、熱変形を抑制するばかりでなく薄型化を容易に実現でき、熱抵抗を低減できる。
 (2)本発明のヒートシンクは、前記(1)であって、前記共晶材料がAuSn、AuSi、SnAgBi、SnAgCu、SnAgBiCu、SnCu、SnBi、PbSn、Inからなる群から選択される少なくとも1種又は1種を含む接着材料であることを特徴とする。濡れ性・密着性の観点からこれらの接着材料が好適であることが分かった。
 (3)本発明のヒートシンクは、前記(1)または(2)であって、前記板状部材の共晶材料と接する面に、第1の金属膜が形成されていることを特徴とする。
 (4)本発明のヒートシンクは、前記(3)であって、前記第1の金属膜は、AuもしくはAuを含む積層体であることを特徴とする。
 (5)本発明のヒートシンクは、前記(3)または(4)であって、前記第1の金属膜は、前記板状部材の共晶材料と接する面から連続して、溝及び/又は孔の側面に形成されてなることを特徴とする。
 (6)本発明のヒートシンクは、前記(1)〜(5)のいずれかであって、前記ヒートシンクに実装されてなるレーザダイオードは、該ヒートシンクと接着部材により接着されてなり、前記接着部材は、前記共晶材料に対して、溶融温度が低い材料からなることを特徴とする。
 (7)本発明のヒートシンクは、前記(1)〜(6)のいずれかであって、前記レーザダイオードは2以上であって、前記ヒートシンク表面に、アレイ状に実装されてなることを特徴とする。
 (8)本発明の光源装置は、前記(1)〜(7)のいずれかのヒートシンクを用いた光源装置であって、前記レーザダイオードを具備するヒートシンクを複数積層した光源装置であって、対向する2つのヒートシンクが、該2つのヒートシンクのそれぞれの外側表面に設けられた供給口及び/または排出口が連結される孔を有するスペーサを介して接続されてなることを特徴とする。
 (9)本発明の光源装置は、前記(8)であって、前記スペーサは、一方がヒートシンクと、他方がヒートシンク上に絶縁膜を介して形成された第2の金属膜と、それぞれ電気的に接続されてなることを特徴とする。
 (10)本発明の光源装置は、前記(9)であって、前記絶縁膜は、熱硬化性の接着部材からなることを特徴とする。
 (11)本発明の光源装置は、前記(9)であって、前記絶縁膜は、ポリイミドを母材とする熱硬化性の接着部材からなることを特徴とする。
 (12)本発明の光源装置は、前記(9)乃至(11)のいずれかであって、前記レーザダイオードは、第1導電型層と第2導電型層とを有し、第1導電型層が該レーザダイオードが実装されたヒートシンクと、第2導電型層がヒートシンク上の第2の金属膜と、電気的に接続されてなることを特徴とする。
 (13)本発明の光源装置は、前記(12)であって、前記第2導電型層と第2の金属膜とは、ワイヤーで接続されてなることを特徴とする。
 (14)本発明の光源装置は、前記(12)または(13)であって、前記第1導電型層とヒートシンクとは、ワイヤーで接続されてなることを特徴とする。
 (15)本発明の光源装置は、前記(8)〜(14)のいずれかであって、前記スペーサは、孔にOリングを有することを特徴とする。
 (16)本発明の光源装置は、前記(8)〜(15)のいずれかであって、前記レーザダイオードが窒化物半導体素子であることを特徴とする。
 本発明の構成をとることにより、板状部材に対する微細加工を施すことが可能となり、熱変形も発生しなくなった。また、本発明の冷却装置に高出力半導体レーザおよび高出力半導体レーザアレイを実装することにより、窒化物系半導体レーザにおいて、CW駆動で室温で連続発振するワット光源(1W以上の光源)が得られる。
 以下図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明のヒートシンク110を構成する板状部材の側面図である。図2はヒートシンク110を構成する板状部材の平面図である。8〜12の白抜き部は供給口と排出口を連通するための流路を形成する孔である。6は流体の供給口で、7は排出口である。ここで流体とは冷却材のことを意味し、例えば純水や低沸点液体などを指す。
 ヒートシンク110を構成する板状部材同士は、共晶材料にて貼り合わせる。一方の板状部材の表面側に共晶材料を形成し、他方の板状部材の貼り合わせ面側に金属膜を形成する。つまり、板状部材の共晶材料と接する面に、第1の金属膜111が形成されてなる。このとき共晶材料としては、AuSn、AuSi、SnAgBi、SnAgCu、SnAgBiCu、SnCu、SnBi、PbSn、Inからなる群から選択される少なくとも1種又は1種を含む接着材料である。金属膜は接着部材との関係で濡れ性が良好なものが好ましい。種々検討の結果、接着部材としてはAuSn、金属膜としてAu、もしくはAuを含む積層体、との組み合わせが最適である。第1の金属膜111はさらに具体的にはNiとAuの積層体である。なお、水路形成はケミカルエッチングにより形成してもよく、またこれらの手法をもちいて例えば板状部材1と板状部材2といった組み合わせを予め一体化し、貼り合わせ枚数を減らしてもよい。この場合、孔は溝となる。また、板状部材に形成される水路形状は図2の形状に限定されるものではない。さらに、板状部材は熱伝導性のよい部材とすることが好ましい。ここで板状部材として好ましくは、銅(Cu)を母材とした銅系薄板材料を用い、最も好ましくは無酸素銅を用いる。
 また例えば図6に示されるように、板状部材101の共晶材料と接する面に形成される第1の金属膜111は、前記板状部材の共晶材料と接する面から連続して、溝及び/又は孔の側面601にまで形成されてなることが好ましい。第1の金属膜111は接着部材との濡れ性が良好な材料が選択されているので、2以上の板状部材を強固に接着でき、板状部材の間に冷却材が流れ込むことを防ぐことができる。さらに、溝及び/又は孔の側面にまで連続して形成されていると、冷却材の流れる水路上に板状部材の露出された面が無くなるため、冷却材の流れ込み防止の信頼性を上げることができ、また板状部材の冷却材による酸化等の劣化を防ぐこともできる。
 また、ヒートシンク110に実装されてなるレーザダイオード810は、該ヒートシンク110と接着部材により接着されてなり、前記接着部材は、前記共晶材料に対して、溶融温度が低い材料からなることを特徴とする。例えば、AuSn、AuSi、SnAgBi、SnAgCu、SnAgBiCu、SnCu、SnBi、PbSn、Inからなる群から選ばれる少なくとも1種または1種を含む共晶材料からなり、重量比を制御することなどで板状部材を貼り合わせるときに用いられる共晶材料の溶融温度より低くなる材料とする。2以上の板状部材を貼り合わせて形成されたヒートシンク110上に実装されるレーザダイオード810は、レーザ発振時に発熱し、その熱はヒートシンク110に好適に放熱される必要がある。その際、レーザダイオード810とヒートシンク110との接着面は高温になるので、強固な接着が必要とされる。高温にさらされても溶融しない材料が接着部材として好ましいが、本発明は、2以上の板状部材を共晶材料により貼り合わせているため、その共晶材料の溶融温度より高い溶融温度の接着部材を用いると、レーザダイオード810は強固に接着されても、板状部材の共晶材料が溶融する恐れがある。そこで好ましくは、共晶材料の溶融温度より低い溶融温度でかつ、溶融温度が発振時のレーザダイオード810の自己発熱による上昇温度より十分に高い溶融温度の接着部材を用いる。
 また、本発明のヒートシンク110は、レーザダイオード810は2以上であって、前記ヒートシンク110表面に、アレイ状に実装されてなることを特徴とする。本発明のヒートシンク110を用いることにより、レーザ発振時に発熱されるレーザダイオード810を複数実装されても十分な放熱と、冷却材などの流れ込みや、それによる板状部材のはがれ、レーザダイオード810とヒートシンク110とのはがれのないヒートシンク110とすることができる。ここで、レーザダイオード810実装面に位置するヒートシンク110の内部は、中空となっており、溝及び/又は孔からつながった冷却材の水路となる。このレーザダイオード810を実装するヒートシンク110の中空部は表面に凹凸加工が施されていることでさらに冷却効果が増す。これは、2以上の板状部材を貼り合わせて形成されたヒートシンク110であることにより実現できるものである。またヒートシンク110の同一面上に形成されるアレイ状のレーザダイオード810は並列に接続されていても直列に接続されていてもよい。
 また、本発明のヒートシンク110を用いてレーザダイオード810の光源装置とすることができる。好ましくは、1つもしくは複数のレーザダイオード810が実装されたヒートシンク110を複数積層して光源装置として用いる。高出力のレーザ光が出射される光源装置を、高密度な光源装置として得ることが可能となる。
 このヒートシンク110を複数積層して形成された光源装置は、好ましくは、対向する2つのヒートシンク110が、それぞれの外側表面に設けられた供給口及び/または排出口が連結されるような、それぞれの開口部に一致した孔を有するスペーサ802を介して接続されている。ヒートシンク110とヒートシンク110の間隔は、このスペーサ802の高さによって決まり、スペーサ802の高さは、少なくともヒートシンク110上に実装されるレーザダイオード810の高さより高いものとする。これにより、レーザダイオード810のヒートシンク110に実装された面と反対の面が、隣接するヒートシンク110に当たることなく、安定したレーザ発振が供給できる。このレーザダイオード810の通電(電気的接続手段)がワイヤボンディングでなされる場合は、ワイヤ811が隣接するヒートシンク110に当たらないように、さらに高くする。また本発明の光源装置において、レーザダイオード810は、レーザ光がヒートシンク110に当たることのないように、ヒートシンク110の表面のうち、一方の端部に実装されてなるので、スペーサ802は他方の端部で接着されていることが好ましい。これにより信頼性高く隣接するヒートシンク110の水路を連結することが可能となる。
 またスペーサ802は、導電性を有する材料からなり、さらに一方の面がヒートシンク110と、他方の面が隣接するヒートシンク110上に絶縁膜804を介して形成された第2の金属膜803と電気的に接続されていることが好ましい。これにより、隣接するヒートシンク110が絶縁膜804を介して接続されるようになり、隣接するヒートシンク110が絶縁される。
 さらに、レーザダイオード810810は第1導電型層と第2導電型層とを有し、第1導電型がn型の場合、第2導電型はp型となる。またこの逆でもよい。そして、第1の導電型層が該レーザダイオード810が実装されたヒートシンク110と、第2導電型層がヒートシンク110上の第2の金属膜803と、電気的に接続されてなることが好ましく、第2の金属膜803は、ヒートシンク110上に絶縁膜804を介して形成されており、またスペーサ802と接しているため、レーザを発振する際の通電経路として、レーザダイオード810が実装されたヒートシンク110を通りレーザダイオード810へ、レーザダイオード810から第2の金属膜803を通り、スペーサ802さらには隣接するヒートシンク110へ通るようになるため、積層されたヒートシンク110間でレーザダイオード810が直列に接続されるようになり、複雑な配線回路をヒートシンク110に形成することなく、高出力のレーザ光が出射される光源装置を形成することができる。ここで、レーザダイオード810は、第1の導電型層と第2の導電型層とが、対向する面にそれぞれあるとき、第1導電型層の面をヒートシンク110に実装し、第2導電型層の面をワイヤボンディングにより、第2の金属膜803に接続する。しかしながら、窒化ガリウム系半導体層に多く見られる、絶縁基板上に第1導電型層と第2導電型層とが形成されてなるレーザダイオード810の場合は、同一面側に第1の導電型層と第2の導電型層の表面を有するので、絶縁基板をヒートシンク110に直接実装し、第2導電型層の表面を第2の金属膜803にワイヤボンディングし、さらに第1導電型層の表面をヒートシンク110にワイヤボンディングする構造をとる。絶縁基板を上面にし、2つの異なる導電型層側がヒートシンク110に実装されてなる場合は、ヒートシンク110とレーザダイオード810との間に配線されたサブマウントを介して実装し、サブマウントから少なくとも第2の金属膜803にワイヤボンディングする構造とすればよい。ちなみに第1の導電型層の表面に第1導電型の電極を、第2の導電型層の表面には第2導電型の電極を、それぞれの半導体層と良好なオーミック接触となる材料を選択し、形成されていてもよい。また、第1導電型層と第2導電型層との間に、単一量子井戸や多重量子井戸の構造からなる活性層が形成されていてもよい。また、第1導電型層と第2導電型層とは、それぞれ複数の層が積層されていても、その層全体でその導電型を示すものであればよい。
 また本発明の光源装置において、ヒートシンク110と第2の金属膜803との間の絶縁膜804は接着部材であって、さらに熱硬化性の接着部材とすることが好ましい。第2の金属膜803は、スペーサ802に接着されており、スペーサ802が導電性を有するので、スペーサ802を介して接着される隣接するヒートシンク110と電気的に接続されることとなる。よって、ヒートシンク110と第2の金属膜803との間に形成する絶縁膜804は、隣接するヒートシンク110を直接電気的に接続されないような層として機能し、一方のヒートシンク110に流れる電流は、レーザダイオード810を通して、隣接する他方のヒートシンク110に流れるようにすることができる。そして、この絶縁膜804は、絶縁膜804上の第2の金属膜803がワイヤ811を有しており、ワイヤーボンディングする際に第2の金属膜803には加熱および過重がかかることとなる。そのとき、形成される絶縁膜804が熱可塑性の接着部材からなると、ワイヤボンディング時に加熱され、さらに横方向に過重がかかるため、絶縁膜804ではがれやずれが発生してしまう。よって、この絶縁膜804を熱硬化性の接着部材とし、ヒートシンク110と第2の金属膜803とを強固に接着することで、容易に光源装置を形成することができ、また信頼性も増す。熱硬化性の接着剤としては、例えば150℃以上で硬化する材料を選択することが好ましい。また、この絶縁膜804は、ポリイミドを母材とする接着部材であってもよい。これによっても、熱硬化性の接着部材と同様の効果を奏する。ポリイミドを母材とする接着部材としては、たとえばカプトンテープなどが挙げられる。また、例えばレーザダイオード810をヒートシンク110に実装する際などにおいても、加熱される。このような製造時において、第2の金属膜803とヒートシンク110とを絶縁膜804を介して接着する工程より後の工程で加熱を必要とする場合、この絶縁膜804において、後工程での加熱によるはがれやずれの発生をなくすことができる。
 また、本発明の光源装置は、ヒートシンク110が、外側表面に設けられた供給口及び/または排出口を冷却材が水路を通り、ヒートシンク110内部を冷却材が流れる構造となっており、レーザダイオード810から発生する熱を冷却材によってヒートシンク110から好適に放熱する機能を有する。ヒートシンク110は2以上の板状部材を貼り合わせて形成されており、濡れ性のよい金属膜などを設けて強固に接着されているのでヒートシンク110内部で冷却水が漏れるということはない。しかしながら、複数のヒートシンク110を積層してなり、隣接するヒートシンク110とスペーサ802を介して接合されている。ここでヒートシンク110とスペーサ802との間、また絶縁膜804と第2の金属膜803とを間に介する場合は、その第2の金属膜803とスペーサ802との間で冷却材が漏れないようにするために、少なくともそれぞれの間にOリング801が形成されてなることが好ましい。Oリング801は軟材料であって、冷却材によって腐食することのない材料が選択され、例えばゴムのOリング801を用いる。また、このOリング801は、スペーサ802の高さよりも高く、スペーサ802の孔の内部を貫通する形状であることが好ましい。そしてこのOリング801を用いて、隣接するヒートシンク110を接着することにより、接着されたときにはスペーサ802とほぼ同じ高さとなる。また軟材料であるのでスペーサ802の孔の内部を貫通する形状のOリング801が、高さ方向に圧縮されることになるので、高さ方向に垂直な方向に広がり、スペーサ802の孔に密着してOリング801を形成することができる。さらにまたOリング801は断面形状が四角形であり、隣接するそれぞれのヒートシンク110に対向する辺が平行であることが好ましく、これにより水路に面するOリング801の接合部が強固となり、さらに冷却材の漏れをなくすことが可能となる。図8(c)に示すように、Oリング801の外側側面は、スペーサ802と第2の金属膜803と絶縁膜804と接しており、Oリング801のヒートシンク110との接着面は、ヒートシンク110表面に形成された第1の金属膜111と接している。このとき、第1の金属膜111としては、AuもしくはAuを含む積層体が選択されることで、ヒートシンク110の母材となる銅に対して軟質材料であるため、接着面において、Oリング801と第1の金属膜111とが強固に接着される。とくにヒートシンク110の母材が銅系の材料からなると、表面粗さは大きいが、その表面に母材より軟質の第1の金属膜111が形成されているので、Oリング801と第1の金属膜111との接着面は密着性も良好となる。
 また、本発明のレーザダイオード810は、窒化物半導体素子であることが好ましい。これにより例えば600nm以下の短波長領域でレーザ発振する高出力のレーザ光源装置を得ることが可能となる。
 また、本発明の光源装置は、積層された複数のヒートシンク110を貫通する孔が、冷却部材の水路以外に設けられ、その孔に絶縁部材が貫通されていてもよい。これにより複数のヒートシンク110を絶縁状態で精度よく接着することができ、水路も良好に形成される。
 本実施の形態では、レーザダイオード810を用いたヒートシンク110および光源装置について説明したが、その他、発光ダイオードや受光素子等にも適用可能であることはいうまでもない。例えば図13に示すような、12個の発光ダイオードをヒートシンク110表面にマトリックス状に実装し、発光ダイオードの表面が発光面となる光源装置とすることができる。また例えば図14に示すような、4個の発光ダイオードがヒートシンク110上にアレイ上に実装されてなるヒートシンク110を3つ積層し、それぞれのヒートシンク110の大きさを変えることで、下に位置する発光ダイオードの発光を上に位置するヒートシンク110がさえぎらないようにすることができる。これら図13および図14に示される発光ダイオードを実装した光源装置は、発光ダイオードからの発熱を好適にヒートシンク110から放熱することができるので、複数個の高輝度の発光ダイオードを、高密度で実装でき、かつ高輝度の発光ダイオード光源装置を得ることができる。
[実施例1]
 以下に実施例を示すが、本発明は当然これに限定されるものではない。厚みで200μm以上500μm以下の無酸素銅からなる板状部材を、図2に示すように加工を施し、その表面にAu層、その裏面にAuSn層を形成した。これら一枚一枚の銅薄板を積層し、N2ガス雰囲気中にて300℃〜400℃の熱処理を施し貼り合わせ、厚みで1mm程度のヒートシンク110を得た。
 このヒートシンク110に窒化物半導体レーザ素子を接着部材としてAuSnを使用して実装した。このとき、銅薄板に施すAuSnの共晶温度に比べ、窒化物半導体レーザ素子を実装する際に用いるAuSnの共晶温度が低くなるよう、AuSn重量比を制御しておくことにより、窒化物半導体レーザ素子をヒートシンク110に実装する際、ヒートシンク110のAuSn共晶層から剥がれることがなくなった。
 また、図3に示すようにスタック構造を採用することにより本発明の薄型ヒートシンク110の実現で高密度半導体レーザアレイを作製することが可能である。
 [比較例]
 通常のステムに窒化物系半導体レーザを実装した場合、発熱源よりステムを経由してヒートシンク110に至る時点で、熱抵抗が約20℃/W程度ある。しかも過渡熱抵抗の測定で約数m秒後には熱がヒートシンク110到達することが図4(b)により読み取れる。ここで発熱量で10Wの半導体素子をCW連続駆動させた。ヒートシンク110からの上昇温度が、駆動開始から数m秒後には200℃となった。連続発振は実現できず素子破壊を起こした。
[実施例2]
 厚みが200μm以上500μm以下の無酸素銅からなる3枚の板状部材を、図5(a)および(b)に示すように加工を施し、すべての板状部材表面に第1の金属膜111としてAu層を形成し、それぞれの板状部材をAuSnからなる共晶材料により接着させてヒートシンク110を形成した。図5(a)は冷却部材の供給口と排出口とが両面に形成され、一方の孔が供給口で他方の孔が排出口となる。また図5(b)は冷却部材の供給口と排出口とが片面に形成されている。これにレーザダイオード810を共晶材料より溶融温度の低い材料として、AuSnの重量比をかえた共晶材料を用い、レーザダイオード810を実装した。レーザダイオード810は、ヒートシンク110の内部が中空で冷却材の水路となる、供給口及び排出口と反対のヒートシンク110表面端部501に実装した。このヒートシンク110に冷却部材を供給しレーザ発振させたところ、冷却部材がヒートシンク110内部で漏れることなく、また好適に放熱されるヒートシンク110が得られた。
[実施例3]
 実施例2において、板状部材の表面に形成されるAu層を、板状部材の孔の側面まで連続して形成したほかは、実施例2と同様にして、レーザダイオード810が実装されたヒートシンク110を作製した。図6は板状部材の1つについて示すものであり、孔の側面601にもAu層が形成されている。これにより、冷却部材がヒートシンク110内部で漏れることがなく、またさらにヒートシンク110の冷却部材による劣化も抑制することができた。
[実施例4]
 厚みが200μm以上500μm以下の無酸素銅からなる5枚の板状部材を、図7(a)および(b)に示すように加工を施し、すべての板状部材表面に第1の金属膜111としてAu層を形成し、それぞれの板状部材をAuSnからなる共晶材料により接着させてヒートシンク110を形成した。図7(a)は冷却部材の供給口と排出口とが両面に形成され、一方の孔が供給口で他方の孔が排出口となる。また図7(b)は冷却部材の供給口と排出口とが片面に形成されている。これにレーザダイオード810を共晶材料より溶融温度の低い材料として、AuSnの重量比をかえた共晶材料を用い、レーザダイオード810を実装した。レーザダイオード810は、ヒートシンク110の内部が中空で冷却材の水路となる、供給口及び排出口と反対のヒートシンク110表面端部701に実装した。このヒートシンク110に冷却部材を供給しレーザ発振させたところ、冷却部材がヒートシンク110内部で漏れることなく、また好適に放熱されるヒートシンク110が得られた。
[実施例5]
 実施例4において、板状部材の表面に形成されるAu層を、板状部材の孔の側面まで連続して形成したほかは、実施例4と同様にして、レーザダイオード810が実装されたヒートシンク110を作製した。図6は板状部材の1つについて示すものであり、孔の側面601にもAu層が形成されている。これにより、冷却部材がヒートシンク110内部で漏れることがなく、またさらにヒートシンク110の冷却部材による劣化も抑制することができた。
[実施例6]
 実施例5と同様にして、レーザダイオード810が実装された板状部材を積層したヒートシンク110を得る。図8は本実施例のヒートシンク110を模式的に示したものである。図8(a)は斜視図を、(b)は(a)の点線でカットしたときの断面図を、(c)は(b)の一部を拡大したものである。本実施例ではレーザダイオード810はバー状で略記されているが複数のレーザダイオード810をアレイ状に実装している。ここでレーザダイオード810はヒートシンク110と電気的に接続される。次にヒートシンク110のレーザダイオード810実装側表面に絶縁性で熱硬化性の接着部材を用いて第2の金属膜803として、CuとAuの積層体を形成する。この第2の金属膜803は、ヒートシンク110の供給口もしくは排出口となる孔に対応する位置に孔を有している。次に第2の金属膜803上にCuからなるスペーサ802を接着する。このスペーサ802にも、第2の金属膜803と同様に、ヒートシンク110の供給口もしくは排出口となる穴に対応する位置に孔を有している。
 次に、各レーザダイオード810をそれぞれ、第2の金属膜803とワイヤボンディングした。このとき、ワイヤボンディングによる第2の金属膜803のはがれやずれは発生しなかった。さらにスペーサ802の孔に断面が長方形のゴムからなるOリング801を挿入し、ヒートシンク110を得た。このとき、Oリング801は図8(c)に示すように、Oリング801の外側側面に絶縁膜804と第2の金属膜803とスペーサ802があり、またヒートシンク110と接する面は、ヒートシンク110の表面に形成された第1の金属膜111(Au層)と接している。このヒートシンク110は複数積層することができ、複数積層しても、冷却材が漏れることなく光源装置を形成でき、また好適に放熱されるヒートシンク110となる。
[実施例7]
 実施例6によって得られたヒートシンク110を図9の(c)に示すように4つ用い、積層して光源装置を形成した。図8に示されるヒートシンク110を積層する際、スペーサ802とヒートシンク110とが接合される。
 図9(a)に示されるヒートシンク110は、図9(b)に示されるよう、矢印901から冷却材が流入し、矢印902から冷却材が排出されるようになる。そして図9(c)に示される、ヒートシンク110を4層積層した光源装置は、図9(d)に示されるように冷却材が流入し、排出されるようになる。
 このようにして図9(c)に示されるような光源装置を作製し、レーザ発振させたところ、冷却部材がヒートシンク110内部で漏れることなく、また好適に放熱されるヒートシンク110が得られた。高出力のレーザ光源装置を得ることができた。
[実施例8]
 実施例5によって得られたヒートシンク110であって、ヒートシンク110上に、窒化ガリウム系の半導体素子を1個実装してレーザ発振を試みた。この結果、1WのCW駆動光源が得られた。また図10に示すI−L特性が得られた。
[実施例9]
 実施例5によって得られたヒートシンク110であって、ヒートシンク110上に11個のレーザダイオード810を直列接続でアレイ状に実装してレーザ発振を試みた。この結果、4WのCW駆動光源が得られた。また図11に示されるようなI−L特性が得られた。
[実施例10]
 実施例7によって得られた光源装置であって、1つのヒートシンク110上に12個の窒化ガリウム系の半導体素子を実装して、合計48個のレーザダイオード810を用いた光源装置とし、レーザ発振を試みた。この結果、18WのCW駆動光源が得られた。また図12に示されるようなI−L特性が得られた。
 本発明の構成をとることにより、板状部材に対する微細加工を施すことが可能となり、熱変形も発生しなくなった。また、本発明の冷却装置に高出力半導体レーザおよび高出力半導体レーザアレイを実装することにより、窒化物系半導体レーザにおいて、CW駆動で室温で連続発振するワット光源(1W以上の光源)が得られる。本発明のヒートシンク110は、高出力半導体レーザおよび高出力半導体レーザアレイで特に有効であるが、LED素子、受光素子等のあらゆるデバイスに対し適用できるヒートシンク110として用いることもできる。
本発明のヒートシンク110を構成する板状部材の模式的側面図である。 本発明のヒートシンク110を構成する板状部材のそれぞれについての平面図である。 (a)本発明の冷却装置を実装した半導体レーザアレイの模式的側面図である。(b)本発明の冷却装置を実装した半導体レーザアレイの模式的回路図である。 (a)比較例1に示した一般的ステム実装の半導体レーザを示す模式的斜視図である。(b)一般的ステムの時間(μs)に対する熱抵抗(℃/W)の変化図である。 本発明のヒートシンク110の一実施の形態を示す模式図である。 本発明のヒートシンク110となる板状部材の1つを模式的に示す図である。 本発明のヒートシンク110の他の実施の形態を示す模式図である。 本発明のヒートシンク110の一実施の形態を示す模式図である。 本発明の光源装置を示す模式図である。 本発明の一実施の形態によって発振されたレーザダイオード810のI−L特性を示す図である。 本発明の他の実施の形態によって発振されたレーザダイオード810のI−L特性を示す図である。 本発明の他の実施の形態によって発振されたレーザダイオード810のI−L特性を示す図である。 本発明の他の実施の形態として、発光ダイオードを実装した図である。 本発明の他の実施の形態として、発光ダイオードを実装した図である。
符号の説明
5・・・ヒートシンク110を構成する板状部材、
6・・・流体の供給口、
7・・・流体の排出口、
8、9、10、11、12・・・流路を構成する孔、
501・・・レーザダイオードを実装する面、
601・・・孔の側面、
701・・・レーザダイオードを実装する面、
801・・・Oリング、
802・・・スペーサ、
803・・・第2の金属膜、
804・・・絶縁膜、
810・・・レーザダイオード、
811・・・ワイヤ、
901・・・供給口、
902・・・排出口。

Claims (16)

  1. 少なくとも2以上の板状部材を貼り合わせて形成されるヒートシンクであって、流体が供給される供給口と排出される排出口がヒートシンク外側表面に設けられ、供給口と排出口を連通される流路がヒートシンク内部に形成されるように少なくとも前記板状部材に溝及び/又は孔が設けられた、レーザダイオードを表面に具備するヒートシンクにおいて、貼り合わせの接着材料は共晶材料であることを特徴とするヒートシンク。
  2. 前記共晶材料がAuSn、AuSi、SnAgBi、SnAgCu、SnAgBiCu、SnCu、SnBi、PbSn、Inからなる群から選択される少なくとも1種または1種を含む接着材料であることを特徴とする請求項1に記載のヒートシンク。
  3. 前記板状部材の共晶材料と接する面に、第1の金属膜が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のヒートシンク。
  4. 前記第1の金属膜は、AuもしくはAuを含む積層体であることを特徴とする請求項3に記載のヒートシンク。
  5. 前記第1の金属膜は、前記板状部材の共晶材料と接する面から連続して、溝及び/又は孔の側面に形成されてなることを特徴とする請求項3または4に記載のヒートシンク。
  6. 前記ヒートシンクに実装されてなるレーザダイオードは、該ヒートシンクと接着部材により接着されてなり、前記接着部材は、前記共晶材料に対して、溶融温度が低い材料からなることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のヒートシンク。
  7. 前記レーザダイオードは2以上であって、前記ヒートシンク表面に、アレイ状に実装されてなることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のヒートシンク。
  8. 前記レーザダイオードを具備するヒートシンクを複数積層した光源装置であって、対向する2つのヒートシンクが、該2つのヒートシンクのそれぞれの外側表面に設けられた供給口及び/または排出口が連結される孔を有するスペーサを介して接続されてなることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかのヒートシンクを用いた光源装置。
  9. 前記スペーサは、一方がヒートシンクと、他方がヒートシンク上に絶縁膜を介して形成された第2の金属膜と、それぞれ電気的に接続されてなることを特徴とする請求項8に記載の光源装置。
  10. 前記絶縁膜は、熱硬化性の接着部材からなることを特徴とする請求項9に記載の光源装置。
  11. 前記絶縁膜は、ポリイミドを母材とする接着部材からなることを特徴とする請求項9に記載の光源装置。
  12. 前記レーザダイオードは、第1導電型層と第2導電型層とを有し、第1導電型層が該レーザダイオードが実装されたヒートシンクと、第2導電型層がヒートシンク上の第2の金属膜と、電気的に接続されてなることを特徴とする請求項9乃至11のいずれかに記載の光源装置。
  13. 前記第2導電型層と第2の金属膜とは、ワイヤーで接続されてなることを特徴とする請求項12に記載の光源装置。
  14. 前記第1導電型層とヒートシンクとは、ワイヤーで接続されてなることを特徴とする請求項12または13に記載の光源装置。
  15. 前記スペーサは、孔にOリングを有することを特徴とする請求項8乃至14のいずれかに記載の光源装置。
  16. 前記レーザダイオードが窒化物半導体素子であることを特徴とする請求項8乃至15のいずれかに記載の光源装置。
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