JP2004134557A - ハーメチックシール用キャップ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】Sb5〜20質量%、およびTe0.01〜5質量%を含む、残部がSnおよび不可避不純物であるろう材5を、金属板6からなるシールカバーの片面に接合する。好ましくは、前記ろう材5が、窓枠状である。前記ろう材5には、Sb、Teの他に、Pを微量含んでいることが好ましい。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体装置に使用する半導体パッケージに好適なハーメチックシール用キャップに関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体パッケージの一種に、図1に示すようなセラミック基板がある。図1に斜視図を示したセラミック基板では、下層板1c、中間板1bおよび上層板1aが一体化された3層構造を有するパッケージ基板1が用いられる。下層板1cは、中央に半導体素子接合用のメタライズ層を有する。中間板1bは、中央に開口を有し、上層板1aに面した表面にリードパターンが形成される。上層板1aは、前記リードパターンの開口部側先端部と、下層板1cに接合した半導体素子4の上の電極とを、結合可能とする幅だけ、中間板1bの開口より大きい開口を有する。さらに、長辺側部で、中間板1bと上層板1aとの間には、前記リードパターンの外側先端部と導通するように接合された金属リード2が設けられる。
【0003】
前記上層板1aの開口の周囲には、図2および図3に示したようにシールカバー6を接着するためのメタライズ層3が設けられる。メタライズ層3および前記リードパターンは、通常、Mo−Mn系の導電ペーストで形成され、これらとリード2には、ニッケルめっきおよび金めっきが施される。
【0004】
このようなセラミック基板を用いて半導体装置を組み立てるパッケージング工程は、ハーメチックシール工程と呼ばれる。
【0005】
ハーメチックシール工程では、まず、図2に示した断面図のように、パッケージ基板1の中央のくぼみに半導体素子接合用のメタライズ層を介して、半導体素子4を接合し、該半導体素子4の上の電極と、リードパターンの内側先端部とを、細いコネクター線で結合する。
【0006】
次に、シールカバー6にろう材5を窓枠状に設けて、ハーメチックシール用キャップを作製する。
【0007】
該ハーメチックシール用キャップを、ろう材5がメタライズ層3と接するように、パッケージ基板1の上に載せて、ろう材5の融点以上に加熱し、その後冷却することにより、シールカバー6をろう付けする。
【0008】
従来、ろう材5には、一般的に金錫合金ろうや、鉛錫系はんだが用いられ、シールカバー6の材質としては、一般的に鉄ニッケル合金、コバール系合金、銅あるいは銅合金、セラミック等が用いられている。例えば、特開平10−247696号公報には、鉛系ろう材(Pb−Sn−In)が用いられた半導体パッケージハーメチックシール用キャップが開示されている。
【0009】
金錫合金ろうは、主成分が高価な金であるために原料代が高く、プレス機を用いた打ち抜きにより所定の寸法に成形加工するために収率が極めて低いので、打ち抜き残りから有価金属を回収する必要があり、加工代も高い。そのため、非常に高価なものとなっている。
【0010】
鉛錫系はんだは、環境問題での鉛フリー化で錫系はんだに切り替えが進んでいるが、実装温度から、半導体には260℃10秒の耐熱が要求されるために、錫系はんだでも、比較的融点が高い錫アンチモン系はんだの採用が検討されている(たとえば、特開2000−184886号公報)。
【0011】
しかし、錫アンチモン系はんだはβ’相が粗大化しやすく、シールカバーとパッケージとの間に隙間ができ、気密封止不良を生じやすかった。
【0012】
錫アンチモン系以外の鉛フリーはんだとして、Sn−Ag−Cu系が特開2000−349180号公報に開示されている。
【0013】
【特許文献1】
特開平10−247696号公報
【0014】
【特許文献2】
特開2000−184886号公報
【0015】
【特許文献3】
特開2000−349180号公報
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、高価な金や、環境影響のある鉛を使用せずに、気密封止不良の発生が低いハーメチックシール用キャップを提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明による半導体パッケージハーメチックシール用キャップは、Sb5〜20質量%、およびTe0.01〜5質量%を含み、残部がSnおよび不可避不純物であるろう材を、片面に接合した金属板のシールカバーからなることを特徴とする。
【0018】
別の態様では、Sb5〜20質量%、Te0.01〜5質量%、P0.005〜0.5質量%を含み、残部がSnおよび不可避不純物であるろう材を、片面に接合した金属板のシールカバーからなることを特徴とする。
【0019】
前記ろう材が、窓枠状であってもよい。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の半導体パッケージハーメチックシール用キャップは、錫アンチモン系ろう材にTe添加を行い、β’相を微細化することにより、気密封止不良を低減させる。
【0021】
Sb濃度が5質量%未満では、ろう材の液相温度が240℃より低くなり、260℃に耐えられない。20質量%を超えると、ろう材の液相温度が320℃を超えて、一般的な封止作業温度である340℃でのろう付けが、不充分になる。
【0022】
Te濃度が0.01質量%未満ではβ’相微細化効果が出現せず、5質量%を超えても、β’相微細化効果に変化がない。従って、コストを抑えるために、Te濃度は0.01〜5質量%が望ましい。
【0023】
Pの添加により、はんだ組成物の酸化被膜の抑制等により、濡れ性を向上できる。P濃度が0.005質量%未満であると、Pの還元効果が見られない。0.5質量%を超えると、低コストでの鋳造が不可能となる。
【0024】
熱サイクル性の改善を図るため、必要に応じて、Ag、Cu、FeおよびNiを0.01〜5質量%添加してもよい。
【0025】
以下に、本発明の半導体パッケージハーメチックシール用キャップを用いた半導体装置の製造方法を示す。
【0026】
金属板からなるシールカバーへのろう材の接合は、金属フォイルとはんだフォイルを圧延機により冷間圧接するか、溶融したはんだを金属フォイルに塗布するか、はんだをペースト化して印刷後、リフローするかにより、行われる。このときの金属フォイルは、熱膨張の関係から、セラミック基板では42アロイまたはコバールが用いられ、銅基板では無酸素銅などが用いられる。
【0027】
得られたろう材付き金属フォイルを、金型により所定の寸法に打ち抜くことにより、本発明の半導体パッケージハーメチックシール用キャップが得られる。
【0028】
この方法では、連続で接合されるためコストを抑えることができるが、金属フォイル全面にろう材が接合される状態となるため、封止に使用されなかった中心部のろう材がパッケージ内部に垂れ落ちる危険性が若干ある。
【0029】
実際に封止に用いるろう材部分は窓枠上部分のみであるから、これを避けるために、窓枠状のろう材を用いることができる。この場合、ろう材形状や金属板形状が変形する冷間圧接などは使用できない。したがって、窓枠状のろう材を用いた接合では、拡散接合、スポット溶接や熱圧着により、個片の金属板とろう材を接合する。金属板には、42アロイ、コバール、無酸素銅などが使用されるが、金属板表面がろう材と拡散接合しやすくしたり、ろう材を溶かしたときに濡れがよくなるように、Ni、Auメッキを施される。これらの方法のいずれを採用するかは、任意である。
【0030】
図2および図3は、本発明の半導体パッケージハーメチックシール用キャップを用いて組み立てた半導体装置の一実施例の断面図である。
【0031】
パッケージ基板1は、一般的にはセラミック基板が用いられ、高周波用途では銅基板が用いられることもある。
【0032】
セラミック基板では、パッケージ基板1が、下層板1c、中間板1bおよび上層板1aが一体化された3層構造を有する。下層板1cは、中央に半導体素子接合用のメタライズ層を有する。中間板1bは、中央に開口を有し、上層板1aに面した表面にリードパターンが形成される。上層板1aは、前記リードパターンの開口部側先端部と、下層板1cに接合した半導体素子4の上の電極とを、結合可能とする幅だけ、中間板1bの開口より大きい開口を有する。さらに、長辺側部で、中間板1bと上層板1aとの間には、前記リードパターンの外側先端部と導通するように接合された金属リード2が設けられる。
【0033】
前記上層板1aの開口の周囲には、シールカバー6を接着するためのメタライズ層3が設けられる。メタライズ層3および前記リードパターンは、通常、Mo−Mn系の導電ペーストで形成され、これらとリード2には、ニッケルめっきおよび/または金めっきが施される。
【0034】
次に、パッケージ基板1の中央くぼみに半導体素子4が接合され、該半導体素子4の上の電極と、リードパターンの内側先端部とを、細いコネクター線で結合する。
【0035】
前述のようにして得られた本発明の半導体パッケージハーメチックシール用キャップを、メタライズ層3の上にろう材5を下に向けて載せて、ろう材の融点以上に加熱し、後冷却して融着させる。
【0036】
【実施例】
(実施例1)
42アロイフォイルと、Sn/5質量%Sb/0.1質量%Teのろう材フォイルとを、圧延機を用いて接合し、ろう材厚0.05mm、42アロイ厚0.2mm、外寸法10mm×10mmのハーメチックシール用キャップを50個作製した。得られたハーメチックシール用キャップを、最高温度320℃で半導体パッケージに封止した。得られた半導体パッケージを用いて、0.45MPa、2時間のヘリウムリーク試験を行った。ヘリウムリーク試験の結果、気密封止不良はなかった。
【0037】
(実施例2〜26)
表1に示した組成のろう材を用いた以外は、実施例1と同様に半導体パッケージを得て、同様の評価を行った。ヘリウムリーク試験の結果、気密封止不良はなかった。
【0038】
(比較例1〜4)
表1に示した組成のろう材を用いた以外は、実施例1と同様に半導体パッケージを得て、同様の評価を行った。ヘリウムリーク試験の結果、一部に気密封止が発生した。
【0039】
(実施例27)
板厚0.2mmの42アロイフォイルを一辺10mm角に打ち抜き、Niめっき2μm、Auめっき0.01μmを施した。板厚0.05mmのSn/5質量%Sb/0.1質量%Teのろう材フォイルを一辺10mm角、枠幅1mmの窓枠状に打ち抜いた。めっき済みの42アロイと、窓枠状のろう材を、200℃で熱圧着して、ハーメチックシール用キャップを50個作製した。得られたハーメチックシール用キャップを、最高温度320℃で半導体パッケージに封止した。
得られた半導体パッケージを用いて、0.45MPa、2時間のヘリウムリーク試験を行った。ヘリウムリーク試験の結果、気密封止不良はなかった。
【0040】
(実施例28〜52)
表1に示した組成のろう材を用いた以外は、実施例27と同様に半導体パッケージを得て、同様の評価を行った。ヘリウムリーク試験の結果、気密封止不良はなかった。
【0041】
(比較例5〜8)
表1に示した組成のろう材を用いた以外は、実施例27と同様に半導体パッケージを得て、同様の評価を行った。ヘリウムリーク試験の結果、一部に気密封止が発生した。
【0042】
【表1】
【0043】
【発明の効果】
本発明のハーメチックシールカバーにより、低コストで、かつ、環境影響に配慮した形で、半導体パッケージの気密不良の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】セラミック基板を用いた半導体パッケージを示した斜視図である。
【図2】半導体装置の断面図である。
【図3】半導体装置の断面図である。
【符号の説明】
1 セラミック基板
1a 上層板
1b 中間板
1c 下層板
2 金属リード
3 シールカバー接着用メタライズ層
4 半導体素子
5 ろう材
6 シールカバー
Claims (3)
- Sb5〜20質量%、およびTe0.01〜5質量%を含み、残部がSnおよび不可避不純物であるろう材を、片面に接合した金属板のシールカバーからなる半導体パッケージハーメチックシール用キャップ。
- Sb5〜20質量%、Te0.01〜5質量%、P0.005〜0.5質量%を含み、残部がSnおよび不可避不純物であるろう材を、片面に接合した金属板のシールカバーからなる半導体パッケージハーメチックシール用キャップ。
- 前記ろう材が窓枠状であることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体パッケージハーメチックシール用キャップ。
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