JP2004134463A - 導電性樹脂板およびこれを用いるカバー - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、見栄えが良く、軽量で、電磁ノイズを効率よくシールドし、廉価で、かつ頑丈である導電性樹脂板を提供する。
【解決手段】溶融状態の樹脂中に銅粉とアルミナ粉を混入して、攪拌し、分散させる。その後樹脂を混入物の銅粉やアルミナ粉を包含した状態で固め、望む形状(インバータカバー等)に成形して導電性樹脂板10とする。
【選択図】 図1
【解決手段】溶融状態の樹脂中に銅粉とアルミナ粉を混入して、攪拌し、分散させる。その後樹脂を混入物の銅粉やアルミナ粉を包含した状態で固め、望む形状(インバータカバー等)に成形して導電性樹脂板10とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は導電性樹脂板、特に電気機器等から発せられる電磁ノイズをシールドする導電性樹脂板、およびこれを用いるカバーに関する。
【0002】
【従来の技術】
電気機器等から発生して外部へ放射する電磁ノイズや、外部から電気機器内へ入射する電磁ノイズを、その電気機器のカバー等でシールドすることが求められている。例えば、HV車等に搭載されるインバータではインバータ内部で発生する電磁ノイズが、インバータ内部から外部へ放射される。この電磁ノイズがシールドされていないと、車載される他の電気機器などは、この電磁ノイズにより動作が不安定になるおそれがある。一方、車体が放送局の電波塔の下など、外的な電磁ノイズが強力に発生している場所などでは、外部から入射される電磁ノイズがインバータ内部機器へ作用し、インバータ内部機器の動作が不安定になるおそれもある。
【0003】
従来は、このような内的・外的電磁ノイズをシールドするために、インバータの外部カバーなどにはAl板を使用していた。Al板は導電性が良く、シールド性に優れ、廉価であり、かつその独自のメタリック色である銀色により、外観を重要視されるエンジンルームでは好適な素材であった。しかし、金属ゆえ、重量が大きくなるという面も否めなかったため、カバー重量の軽量化という要請に答えることが難しかった。そこで、樹脂中にAl粉を分散させた導電性樹脂板で、カバー重量の軽量化を図ることとした。この導電性樹脂板は樹脂中にAl粉末を分散させて成型させて板にするだけでよいので簡易に低コストで製造できる。
【0004】
しかし、樹脂中にAl粉を分散させた導電性樹脂板で、カバーの軽量化を図ると、Al板よりもAl量が減少することに伴い、電磁波のシールド効果が減少することとなった。そこで、Al粉よりも電磁波のシールド効果が優れている銅粉を用いることとした。銅粉はAl粉よりも導電性が高く、優れたシールド効果を示し、Al粉と同様に廉価である。したがって、樹脂中にAl粉の代わりに銅粉を分散させた導電性樹脂板を用いると軽量でかつシールド性に優れたカバー等を提供できる。
【0005】
ところが、樹脂中にAl粉の代わりに銅粉を分散させた導電性樹脂板では、樹脂表面に銅粉の色が現れ、Al板など、メタリック色を出すことができない。自動車のエンジンルームは見栄えが重要であるため、エンジンルーム内で大きな面積をとり、すぐ見える位置にあるインバータの見栄えは重要である。このため、インバータの外部カバーは、ガソリンエンジン車のエンジンカバーのように、Al板のようなメタリック色であることがデザインの観点から好ましい。
【0006】
樹脂中に銅粉を分散させた導電性樹脂板の表面にメタリック色のコーティングを施すことも考えられる。しかし、このようなコーティングを行うと工程や材料費等が多くかかり、コストがかかることとなる。したがって、現実問題としてメタリック色のコーティングを導電性樹脂板表面に施すことは妥当といえない場合が多い。
【0007】
そこで、大きな電磁ノイズのシールド効果を持つ銅粉とともに、樹脂板の見栄えのためのAl粉を併用して、樹脂中にAl粉と銅粉を分散させた導電性樹脂板を用いることとしていた。このような構成とすることで、廉価であり、樹脂であるためAl板と比べ軽量化でき、銅粉によるシールド効果が顕著となり、見た目もAl粉のためにメタリック色となり好都合である導電性樹脂板を提供することができる。
【0008】
【特許文献1】
特開2000−358360号公報
【特許文献2】
特開昭53−40864号公報
【特許文献3】
特開平3−250645号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記樹脂板では、樹脂と樹脂中に分散しているAl粉や銅粉の間に水が入り込んだときに問題が生じる場合がある。水が樹脂板中に入り込むことでイオン化傾向は銅よりもAlの方が大きいため、樹脂板中のAl粉が特に腐食しやすくなる。例えばAl粉の腐食機構は、以下の式(1)のように表される。樹脂板中に入り込んだ水とAl粉は、
【化1】
Al → Al3++3e−
2Al3++6H2O+6e− → [Al(OH)6]+3H2↑ (1)
となりAl粉は腐食していく。
【0010】
さらには、水を介してAl粉と銅粉の局部電池反応が起こることもある。特に酸性雨やバッテリ補充液の水が樹脂板に付着する。樹脂板中に酸性の水が取り込まれ、その酸性の水を介して局部電池反応が起きやすい。局部電池反応が起こると、アノードとなるAl粉が上記(1)式で示されるように溶解し、母材である導電性樹脂板から流れだしたりする。Alが溶解し、樹脂板からAlが抜けてしまうと、樹脂板が脆くなってしまう場合がある。それ以外にも実際使用される樹脂板中には、いろいろな不純物が含まれていることが多く、両性金属であるAlは酸・塩基いずれとも化学反応を起こす性質があるため、このような不純物と副反応を起こし、不具合を生じるおそれもある。さらには、溶け出したAl含有水が電気機器等に接触し、故障等の原因となる場合も考えられる。また、上記(1)の反応とカソードとなる銅粉からは水素が発生する。発生した水素により樹脂板内部に空間が生じたり、水素ガスが抜け出すことにより、樹脂板をさらに脆くする。
【0011】
また、水が介在しない場合でも、両性金属であるAl粉が酸化し、アルミナ粉となると、Al粉がアルミナ粉となったことで、体積膨張し、結果として樹脂板を内部から引っ張り、樹脂板全体がゆがんでしまうこともある。
【0012】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、見栄えが良く、軽量で、電磁ノイズを効率よくシールドし、廉価で、かつ頑丈な導電性樹脂板およびこれを用いるカバーを提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明の導電性樹脂板は、電気機器から発生する電磁ノイズをシールドする導電性樹脂板において、前記樹脂中に、アルミナ粉と前記電磁ノイズをシールドする銅粉と、を含み、前記銅粉と前記アルミナ粉は、前記樹脂中に分散して混合されていることを特徴とする。
【0014】
または、上記課題を解決するために本発明の導電性樹脂板は、電気機器から発生する電磁ノイズをシールドする導電性樹脂板において、前記樹脂中に、マイカ粉と前記電磁ノイズをシールドする銅粉と、を含み、前記銅粉と前記マイカ粉は、前記樹脂中に分散して混合されていることを特徴とする。
【0015】
また、上記いずれの導電性樹脂板においても、前記導電性樹脂板を車載機器に使用されるカバーに用いることができる。
【0016】
本発明での導電性樹脂板の構成とすることで、以下のような利点が得られる。Al粉のかわりに混入した化学的に安定なアルミナ粉またはマイカ粉は、Al粉の様に腐食したりすることがない。よって、樹脂板を体積膨張によって内部から引っ張ったりすることがない。また、アルミナ粉またはマイカ粉は、その安定的な性質からAl粉のように銅粉との組み合わせで局部電池反応を起こすこともない。よって母材である樹脂板中から溶け出してしまうことを防止できる。また、局部電池反応により上記(1)式や銅から水素が発生したりすることもない。さらには樹脂中に含んでいるさまざまな不純物とアルミナ粉やマイカ粉は、その化学的安定性から反応性が少ない。またアルミナ粉は物性的に強固なため、樹脂板そのものの物性強度を上げる作用も期待できる。したがって以上の理由により、頑丈な導電性樹脂板を提供できる。アルミナ粉はAlと殆ど色が変わらなく、メタリック色であり見栄がよく、また、マイカ粉も見栄えの観点は申し分ないため両者とも良好である見栄えを導電性樹脂板の外観に提供できる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。本発明の実施形態は好ましい1例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。図1は、本発明に係る導電性樹脂板10である。樹脂中に銅粉とアルミナ粉が分散して混合されている。また、以下の実施形態において、マイカ粉をアルミナ粉の代わりに用いても同様であることはいうまでもない。
【0018】
まず、溶融状態の樹脂中に銅粉とアルミナ粉を混入して、攪拌し、分散させる。その後樹脂を混入物の銅粉やアルミナ粉を包含した状態で固め、望む形状(インバータカバー等)に成形して導電性樹脂板10とする。 ここで樹脂板10に用いられる樹脂は、ポリエステル、ポリプロピレン等、その用途等に応じて適する樹脂を用いてよい。樹脂中に分散させる銅粉やアルミナ粉の混入比は、樹脂板の外観がアルミナ粉の色であるメタリック色になる比率であればよいが、本実施形態では銅粉1に対してアルミナ粉が1.5の組成比以上であればよく、より好ましくは銅粉1に対してアルミナ粉が2.5の組成比程度である。銅粉の比率が多くなれば、導電性樹脂板10の電磁ノイズのシールド特性は向上するが、銅の色が樹脂板表面で目立ち、見栄えが悪くなる。一方、アルミナ粉の比率が多くなれば、導電性樹脂板10の見栄えは向上するが、電磁ノイズのシールド特性が減少してしまう。また、導電性樹脂板10中に含まれる銅紛とアルミナ粉の合わせた量が多すぎると、導電性樹脂板10の重量が増大し、軽量化が図れないおそれがある。一方、少なすぎた場合には電磁ノイズのシールド特性が減少することは勿論であるが、銅紛やアルミナ粉は一般的に樹脂に物性的に強固なため、樹脂板10そのものの物性強度を上げる効果が減少してしまう。したがって、以上のような理由から、本実施形態では、導電性樹脂板10中に含まれる、樹脂に対する、銅紛とアルミナ粉との合わせた量の比率は、樹脂1に対して銅紛とアルミナ粉との合わせた量が1.5以上の比率であればよく、より好ましくは樹脂1に対して銅紛とアルミナ粉との合わせた量が2.5の比率程度である。また銅粉の形状や大きさは粒状に限られず様々な種類を実施の形態に応じて用いてよい。本実施形態では、粒状の銅紛を用いたが、銅紛の粒径は5〜25μmであれば好ましい。同じく、アルミナ粉の形状や大きさは球状に限られず様々な種類を実施の形態に応じて用いてよい。本実施形態では、粒状のアルミナ紛を用いたが、アルミナ粉の粒径は5〜25μmであれば好ましい。このアルミナ紛は生産上特別な処理(例えば加工処理)なども必要としないものであり、コスト面等において有利である。樹脂を固め、成型する方法としては、例えば射出形成法などが挙げられる。射出形成法は生産上において、有利で安価に生産が可能となる一般的な形成方法である。該方法を用いると成形の時に高温状態となるが、Alと異なりアルミナは高温状態でも安定していて、酸化したりすることが少ないことからこの形成方法であっても問題なく成形できる。また本形成方法でなくとも真空引きによる形成方法などを、その都合に応じて用いてよい。
【0019】
本発明の導電性樹脂板10を適用すれば、HV車のインバータカバー以外にも、携帯電話、携帯型音楽再生装置、PDAなどの外部ケース部品への使用が可能である。また、ノイズシールド性を有し、軽量なことから、車両制御用ECUのケース、パソコンの筐体などに使用することにより電磁ノイズによる電波障害等を低減することができる。
【0020】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、見栄えが良く、軽量で、電磁ノイズを効率よくシールドし、廉価で、かつ頑丈である導電性樹脂板およびこれを用いるカバーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の導電性樹脂の構成例を示す図である。
【符号の説明】
10 導電性樹脂板。
【発明の属する技術分野】
本発明は導電性樹脂板、特に電気機器等から発せられる電磁ノイズをシールドする導電性樹脂板、およびこれを用いるカバーに関する。
【0002】
【従来の技術】
電気機器等から発生して外部へ放射する電磁ノイズや、外部から電気機器内へ入射する電磁ノイズを、その電気機器のカバー等でシールドすることが求められている。例えば、HV車等に搭載されるインバータではインバータ内部で発生する電磁ノイズが、インバータ内部から外部へ放射される。この電磁ノイズがシールドされていないと、車載される他の電気機器などは、この電磁ノイズにより動作が不安定になるおそれがある。一方、車体が放送局の電波塔の下など、外的な電磁ノイズが強力に発生している場所などでは、外部から入射される電磁ノイズがインバータ内部機器へ作用し、インバータ内部機器の動作が不安定になるおそれもある。
【0003】
従来は、このような内的・外的電磁ノイズをシールドするために、インバータの外部カバーなどにはAl板を使用していた。Al板は導電性が良く、シールド性に優れ、廉価であり、かつその独自のメタリック色である銀色により、外観を重要視されるエンジンルームでは好適な素材であった。しかし、金属ゆえ、重量が大きくなるという面も否めなかったため、カバー重量の軽量化という要請に答えることが難しかった。そこで、樹脂中にAl粉を分散させた導電性樹脂板で、カバー重量の軽量化を図ることとした。この導電性樹脂板は樹脂中にAl粉末を分散させて成型させて板にするだけでよいので簡易に低コストで製造できる。
【0004】
しかし、樹脂中にAl粉を分散させた導電性樹脂板で、カバーの軽量化を図ると、Al板よりもAl量が減少することに伴い、電磁波のシールド効果が減少することとなった。そこで、Al粉よりも電磁波のシールド効果が優れている銅粉を用いることとした。銅粉はAl粉よりも導電性が高く、優れたシールド効果を示し、Al粉と同様に廉価である。したがって、樹脂中にAl粉の代わりに銅粉を分散させた導電性樹脂板を用いると軽量でかつシールド性に優れたカバー等を提供できる。
【0005】
ところが、樹脂中にAl粉の代わりに銅粉を分散させた導電性樹脂板では、樹脂表面に銅粉の色が現れ、Al板など、メタリック色を出すことができない。自動車のエンジンルームは見栄えが重要であるため、エンジンルーム内で大きな面積をとり、すぐ見える位置にあるインバータの見栄えは重要である。このため、インバータの外部カバーは、ガソリンエンジン車のエンジンカバーのように、Al板のようなメタリック色であることがデザインの観点から好ましい。
【0006】
樹脂中に銅粉を分散させた導電性樹脂板の表面にメタリック色のコーティングを施すことも考えられる。しかし、このようなコーティングを行うと工程や材料費等が多くかかり、コストがかかることとなる。したがって、現実問題としてメタリック色のコーティングを導電性樹脂板表面に施すことは妥当といえない場合が多い。
【0007】
そこで、大きな電磁ノイズのシールド効果を持つ銅粉とともに、樹脂板の見栄えのためのAl粉を併用して、樹脂中にAl粉と銅粉を分散させた導電性樹脂板を用いることとしていた。このような構成とすることで、廉価であり、樹脂であるためAl板と比べ軽量化でき、銅粉によるシールド効果が顕著となり、見た目もAl粉のためにメタリック色となり好都合である導電性樹脂板を提供することができる。
【0008】
【特許文献1】
特開2000−358360号公報
【特許文献2】
特開昭53−40864号公報
【特許文献3】
特開平3−250645号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記樹脂板では、樹脂と樹脂中に分散しているAl粉や銅粉の間に水が入り込んだときに問題が生じる場合がある。水が樹脂板中に入り込むことでイオン化傾向は銅よりもAlの方が大きいため、樹脂板中のAl粉が特に腐食しやすくなる。例えばAl粉の腐食機構は、以下の式(1)のように表される。樹脂板中に入り込んだ水とAl粉は、
【化1】
Al → Al3++3e−
2Al3++6H2O+6e− → [Al(OH)6]+3H2↑ (1)
となりAl粉は腐食していく。
【0010】
さらには、水を介してAl粉と銅粉の局部電池反応が起こることもある。特に酸性雨やバッテリ補充液の水が樹脂板に付着する。樹脂板中に酸性の水が取り込まれ、その酸性の水を介して局部電池反応が起きやすい。局部電池反応が起こると、アノードとなるAl粉が上記(1)式で示されるように溶解し、母材である導電性樹脂板から流れだしたりする。Alが溶解し、樹脂板からAlが抜けてしまうと、樹脂板が脆くなってしまう場合がある。それ以外にも実際使用される樹脂板中には、いろいろな不純物が含まれていることが多く、両性金属であるAlは酸・塩基いずれとも化学反応を起こす性質があるため、このような不純物と副反応を起こし、不具合を生じるおそれもある。さらには、溶け出したAl含有水が電気機器等に接触し、故障等の原因となる場合も考えられる。また、上記(1)の反応とカソードとなる銅粉からは水素が発生する。発生した水素により樹脂板内部に空間が生じたり、水素ガスが抜け出すことにより、樹脂板をさらに脆くする。
【0011】
また、水が介在しない場合でも、両性金属であるAl粉が酸化し、アルミナ粉となると、Al粉がアルミナ粉となったことで、体積膨張し、結果として樹脂板を内部から引っ張り、樹脂板全体がゆがんでしまうこともある。
【0012】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、見栄えが良く、軽量で、電磁ノイズを効率よくシールドし、廉価で、かつ頑丈な導電性樹脂板およびこれを用いるカバーを提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明の導電性樹脂板は、電気機器から発生する電磁ノイズをシールドする導電性樹脂板において、前記樹脂中に、アルミナ粉と前記電磁ノイズをシールドする銅粉と、を含み、前記銅粉と前記アルミナ粉は、前記樹脂中に分散して混合されていることを特徴とする。
【0014】
または、上記課題を解決するために本発明の導電性樹脂板は、電気機器から発生する電磁ノイズをシールドする導電性樹脂板において、前記樹脂中に、マイカ粉と前記電磁ノイズをシールドする銅粉と、を含み、前記銅粉と前記マイカ粉は、前記樹脂中に分散して混合されていることを特徴とする。
【0015】
また、上記いずれの導電性樹脂板においても、前記導電性樹脂板を車載機器に使用されるカバーに用いることができる。
【0016】
本発明での導電性樹脂板の構成とすることで、以下のような利点が得られる。Al粉のかわりに混入した化学的に安定なアルミナ粉またはマイカ粉は、Al粉の様に腐食したりすることがない。よって、樹脂板を体積膨張によって内部から引っ張ったりすることがない。また、アルミナ粉またはマイカ粉は、その安定的な性質からAl粉のように銅粉との組み合わせで局部電池反応を起こすこともない。よって母材である樹脂板中から溶け出してしまうことを防止できる。また、局部電池反応により上記(1)式や銅から水素が発生したりすることもない。さらには樹脂中に含んでいるさまざまな不純物とアルミナ粉やマイカ粉は、その化学的安定性から反応性が少ない。またアルミナ粉は物性的に強固なため、樹脂板そのものの物性強度を上げる作用も期待できる。したがって以上の理由により、頑丈な導電性樹脂板を提供できる。アルミナ粉はAlと殆ど色が変わらなく、メタリック色であり見栄がよく、また、マイカ粉も見栄えの観点は申し分ないため両者とも良好である見栄えを導電性樹脂板の外観に提供できる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。本発明の実施形態は好ましい1例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。図1は、本発明に係る導電性樹脂板10である。樹脂中に銅粉とアルミナ粉が分散して混合されている。また、以下の実施形態において、マイカ粉をアルミナ粉の代わりに用いても同様であることはいうまでもない。
【0018】
まず、溶融状態の樹脂中に銅粉とアルミナ粉を混入して、攪拌し、分散させる。その後樹脂を混入物の銅粉やアルミナ粉を包含した状態で固め、望む形状(インバータカバー等)に成形して導電性樹脂板10とする。 ここで樹脂板10に用いられる樹脂は、ポリエステル、ポリプロピレン等、その用途等に応じて適する樹脂を用いてよい。樹脂中に分散させる銅粉やアルミナ粉の混入比は、樹脂板の外観がアルミナ粉の色であるメタリック色になる比率であればよいが、本実施形態では銅粉1に対してアルミナ粉が1.5の組成比以上であればよく、より好ましくは銅粉1に対してアルミナ粉が2.5の組成比程度である。銅粉の比率が多くなれば、導電性樹脂板10の電磁ノイズのシールド特性は向上するが、銅の色が樹脂板表面で目立ち、見栄えが悪くなる。一方、アルミナ粉の比率が多くなれば、導電性樹脂板10の見栄えは向上するが、電磁ノイズのシールド特性が減少してしまう。また、導電性樹脂板10中に含まれる銅紛とアルミナ粉の合わせた量が多すぎると、導電性樹脂板10の重量が増大し、軽量化が図れないおそれがある。一方、少なすぎた場合には電磁ノイズのシールド特性が減少することは勿論であるが、銅紛やアルミナ粉は一般的に樹脂に物性的に強固なため、樹脂板10そのものの物性強度を上げる効果が減少してしまう。したがって、以上のような理由から、本実施形態では、導電性樹脂板10中に含まれる、樹脂に対する、銅紛とアルミナ粉との合わせた量の比率は、樹脂1に対して銅紛とアルミナ粉との合わせた量が1.5以上の比率であればよく、より好ましくは樹脂1に対して銅紛とアルミナ粉との合わせた量が2.5の比率程度である。また銅粉の形状や大きさは粒状に限られず様々な種類を実施の形態に応じて用いてよい。本実施形態では、粒状の銅紛を用いたが、銅紛の粒径は5〜25μmであれば好ましい。同じく、アルミナ粉の形状や大きさは球状に限られず様々な種類を実施の形態に応じて用いてよい。本実施形態では、粒状のアルミナ紛を用いたが、アルミナ粉の粒径は5〜25μmであれば好ましい。このアルミナ紛は生産上特別な処理(例えば加工処理)なども必要としないものであり、コスト面等において有利である。樹脂を固め、成型する方法としては、例えば射出形成法などが挙げられる。射出形成法は生産上において、有利で安価に生産が可能となる一般的な形成方法である。該方法を用いると成形の時に高温状態となるが、Alと異なりアルミナは高温状態でも安定していて、酸化したりすることが少ないことからこの形成方法であっても問題なく成形できる。また本形成方法でなくとも真空引きによる形成方法などを、その都合に応じて用いてよい。
【0019】
本発明の導電性樹脂板10を適用すれば、HV車のインバータカバー以外にも、携帯電話、携帯型音楽再生装置、PDAなどの外部ケース部品への使用が可能である。また、ノイズシールド性を有し、軽量なことから、車両制御用ECUのケース、パソコンの筐体などに使用することにより電磁ノイズによる電波障害等を低減することができる。
【0020】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、見栄えが良く、軽量で、電磁ノイズを効率よくシールドし、廉価で、かつ頑丈である導電性樹脂板およびこれを用いるカバーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の導電性樹脂の構成例を示す図である。
【符号の説明】
10 導電性樹脂板。
Claims (3)
- 電気機器から発生する電磁ノイズをシールドする導電性樹脂板において、
前記樹脂中に、アルミナ粉と前記電磁ノイズをシールドする銅粉と、を含み、前記銅粉と前記アルミナ粉は、前記樹脂中に分散して混合されていること、
を特徴とする導電性樹脂板。 - 電気機器から発生する電磁ノイズをシールドする導電性樹脂板において、
前記樹脂中に、マイカ粉と前記電磁ノイズをシールドする銅粉と、を含み、
前記銅粉と前記マイカ粉は、前記樹脂中に分散して混合されていること、
を特徴とする導電性樹脂板。 - 請求項1または2に記載される導電性樹脂板であって、
車載機器に使用されるカバー。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002295316A JP2004134463A (ja) | 2002-10-08 | 2002-10-08 | 導電性樹脂板およびこれを用いるカバー |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002295316A JP2004134463A (ja) | 2002-10-08 | 2002-10-08 | 導電性樹脂板およびこれを用いるカバー |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004134463A true JP2004134463A (ja) | 2004-04-30 |
Family
ID=32285610
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002295316A Pending JP2004134463A (ja) | 2002-10-08 | 2002-10-08 | 導電性樹脂板およびこれを用いるカバー |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004134463A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2021087705A1 (zh) * | 2019-11-04 | 2021-05-14 | 深圳市大疆创新科技有限公司 | 电磁流量计、喷洒装置和可移动平台 |
-
2002
- 2002-10-08 JP JP2002295316A patent/JP2004134463A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2021087705A1 (zh) * | 2019-11-04 | 2021-05-14 | 深圳市大疆创新科技有限公司 | 电磁流量计、喷洒装置和可移动平台 |
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