JP2004134326A - 温度制御装置及びその温度制御方法並びに温度制御装置を備えた電源システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】発電用燃料を用いて、所定の電力を発生する発電部20と、発電部20へのヒータ用電力の供給状態を制御して、発電部20における温度条件を設定制御するヒータ制御部60と、発電部20(ヒータ)に供給されるヒータ用電力の電圧成分に基づいて、ヒータ温度に対応する電圧検出信号を出力する温度計測部70と、電圧検出信号に基づいてヒータ温度を特定し、上記ヒータ制御部60によりヒータ用電力を調整して、ヒータ温度を制御する動作制御部80と、を備えている。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、温度制御装置及びその温度制御方法並びに温度制御装置を備えた電源システムに関し、特に、燃料電池のように、所定の発電用燃料を用いて発電を行う発電手段であって、その発電動作の制御条件として温度調整を必要とする場合に良好に適用することができる温度制御装置及びその温度制御方法、並びに、該温度制御装置を備えた電源システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境問題やエネルギー問題への関心の高まりに伴い、次世代の主流となる電源システム(又は、発電システム)として、環境への影響(環境負荷)が極めて小さく、かつ、エネルギー変換効率(発電効率)が既存の電源システムに比較して極めて高い(概ね30〜40%程度の)燃料電池の実用化、普及に向けた研究開発が盛んに行われている。
【0003】
従来、このような燃料電池を用いた電源システムとしては、例えば、自動車分野において、排気ガス等の排出による環境負荷が大きく、エネルギー変換効率の低いガソリンエンジンやディーゼルエンジンに代わる駆動装置として、電気モータを適用した電気自動車の電源ユニットとして実用化や製品化されつつある。更に、近年においては、このような電源システムを小型化して、普及が著しい携帯電話やノート型パーソナルコンピュータ、デジタルカメラ、携帯情報端末(PDA)等の携帯端末の電源ユニットとして適用する研究開発も進められている。
【0004】
ここで、燃料電池を用いた電源システムの構成例とその発電原理について、簡単に説明する。
図13は、燃料改質型の燃料電池を備えた電源システムの基本構成を示す概略構成図であり、図14は、該電源システムに適用される燃料改質部における化学反応の一例を示す概念図である。
図13に示すように、電源システムは、大別して、所定の化学反応(触媒反応)を用いて発電用燃料から特定の燃料成分を生成、抽出する燃料改質部110と、該燃料改質部110を介して供給される上記特定の燃料成分(水素)と酸素とを用いた電気化学反応により発電を行う燃料電池本体120と、を有して構成されている。
【0005】
このような構成において、発電用燃料としてメタノールと水とを用い、燃料改質部110において水素(H2)を生成する場合の一連の化学反応は、具体的には、図14に示すように、まず、蒸発過程において、メタノール(CH3OH)と水(H2O)からなる液体燃料を個別にもしくは一括して気化し、その後、水蒸気改質反応過程において、所定の触媒反応により、次の化学反応式(11)に示すように、水素(H2)と微量の二酸化炭素(CO2)が生成される。
CH3OH+H2O → 3H2+CO2 (11)
【0006】
ここで、上述した蒸発過程は、吸熱反応であって、所定の熱量を供給してメタノール及び水の沸点に近似する温度条件を設定する必要があり、また、水蒸気改質反応過程も吸熱反応であり、49.4kJ/mol程度の熱量を供給して、概ね300℃程度の温度条件に設定する必要がある。これらの温度条件は、例えば、燃料改質部110に付設されたヒータ(図示を省略)に所定の電力を供給することにより制御される。
【0007】
なお、上述した水蒸気改質反応過程においては、水素及び二酸化炭素が生成されるとともに、副生成物として微量の一酸化炭素(CO)が生成される場合がある。そのため、水蒸気改質反応過程の後段に一酸化炭素を除去する反応過程(水性シフト反応過程、選択酸化反応過程)等をさらに設けて、一酸化炭素の排出を抑制するようにしてもよい。詳しくは、後述する発明の詳細な説明において説明する。このような反応過程においても、所定の化学反応を促進させるために、ヒータを用いて温度条件を設定する必要がある。
【0008】
一方、燃料電池本体は、図13に示すように、概略、特定の燃料成分(水素)が供給される燃料極ELcと、空気中の酸素が供給される空気極ELaと、燃料極ELcと空気極ELa間に介装されたイオン交換膜FLと、を備えた構成を有している。そして、上記燃料改質部110により生成された水素ガスを燃料極ELcに供給することにより、燃料極ELc側において次の化学反応式(12)に示すような触媒反応が生じて、水素イオン(プロトン;H+)と電子(e−)に分解され、水素イオンがイオン交換膜FLを介して空気極ELa側に通過するとともに、電子が取り出されて負荷LDに供給される。
3H2 → 6H++6e− (12)
【0009】
また、大気中の酸素ガス(O2)を空気極ELaに供給することにより、空気極ELa側において次の化学反応式(13)に示すような触媒反応が生じて、負荷LDを経由した電子と、イオン交換膜FLを通過した水素イオン、大気中の酸素ガスから水(H2O)が生成される。
6H++(3/2)O2+6e− → 3H2O (13)
【0010】
このような燃料電池本体120における一連の電気化学反応は、概ね室温乃至80℃程度の比較的低温の温度条件の下で進行し、電力以外の副生成物は水のみとなる。したがって、上述した電気化学反応の進行状態を、温度条件も含めて制御する必要がある場合には、燃料改質部110における化学反応(蒸発過程、水蒸気改質反応過程)と同様に、燃料電池本体120に付設されたヒータ(図示を省略)に電力を供給して、温度条件を設定する必要がある。
【0011】
ここで、ヒータにより温度条件を設定制御する際の温度検出方法(温度計測方法)としては、一般的に、ヒータの近傍に、もしくは、ヒータに接触する位置に熱電対等の温度センサを設けて、電気信号の変化(電圧や電流の変化)を観測することにより、ヒータ及びその周辺の温度(以下、「ヒータ温度」と記す)を測定する手法が知られている。
【0012】
しかしながら、このような温度センサを用いた構成においては、ヒータ温度を高精度で測定するためには非常に高価な熱電対を用いる必要があるうえ、温度センサとの電気信号の送受をするためのセンサ配線が必要となり、当該センサ配線やその周辺部分を介してヒータの熱量が外部に放出されてしまう量が増加するため、熱効率が低下してしまい、ヒータに供給する電力を大きくしなければならなくなる。また、所望の温度条件に設定するための制御を困難なものとしていた。
【0013】
このような問題を解決する構成として、例えば、特許文献1等に記載されているように、ヒータに接続されたヒータ配線を介して、所定の時間間隔で加熱用の通電と温度計測用の信号印加とを交互に繰り返すことにより、発熱抵抗体からなるヒータを温度センサとして兼用し、ヒータ及びヒータ配線のみからなる構成で温度計測と温度制御を実現する技術が知られている。
ここで、温度計測の具体的な手法としては、一般に、ヒータ自体の温度特性、すなわち、ヒータに印加される電圧や電流の温度依存性に基づいて、ヒータ温度を特定する方法が知られている。なお、上記温度依存性は、発熱抵抗体からなるヒータにおける電気抵抗の温度変化に起因するものである。
【0014】
【特許文献1】
特開平5−114460号公報 (第2頁〜第3頁、図1)
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような燃料電池を用いた電源システムを小型化して、携帯機器等の電源ユニットとして適用する構成を考えた場合、すなわち、電源システムにおける上記温度条件を設定するヒータとして、例えば、一般的な発熱抵抗材料からなる薄膜ヒータを適用した場合、本願発明者らが各種実験検証を行ったところ、薄膜ヒータにおける温度特性は、温度係数が小さいため、熱電対等の温度センサに比較して、温度変化に対する電気抵抗の変化が極めて微小であり、顕著な数値変化として観測されないことが判明した。
【0016】
具体的には、薄膜ヒータは、電流を流すことにより熱エネルギーを放出し、電流値に応じて、その発熱量が変化する。一方、薄膜ヒータは、ヒータ温度に応じて、次式(14)の関係を維持しながら、その電気抵抗値が変化するので、該電気抵抗値を測定することにより温度計測素子としても機能させることができる。
R(T)÷R(0)=1−b×T+a×T2 (14)
ここで、Tはヒータ温度(℃)、R(T)は温度T℃における薄膜ヒータの電気抵抗値、R(0)は温度0℃における電気抵抗値、a、bは係数である。
【0017】
このような薄膜ヒータにおいて、電流によりヒータ温度を制御した場合に観測されるヒータ端子電圧(ヒータ電圧)の変化の一例を表1に示す。なお、ここでは薄膜ヒータを上述の電源システムにおける、吸熱又は発熱反応部の温度条件を設定するために用いる場合を想定しているため、表1に示すように、同じ温度に設定する場合であっても、必要な電流値(設定電流値)が異なる場合がある。そこで、表1に示すように、例えば、ヒータ温度0℃の状態における薄膜ヒータの電気抵抗値が50Ω、ヒータ温度300℃における電気抵抗値が45Ωとなる薄膜ヒータにおいて、ヒータ温度を一定温度に保持するために流す電流の設定値(設定電流)が、10mA〜200mAの範囲で変化した場合を考えると、ヒータ温度0℃で設定電流が10mAの場合には、電圧値0.50Vのヒータ電圧が観測され、温度300℃で設定電流が10mAの場合には、電圧値0.45Vのヒータ電圧が観測される。一方、温度0℃で設定電流が200mAの場合には、電圧値10Vのヒータ電圧が観測される。
【0018】
【表1】
【0019】
ここで、ヒータ電圧に基づいて電気抵抗値を求め、該電気抵抗値に対応するヒータ温度を特定する処理をデジタル信号処理により行う場合、上記測定結果(表1)に示したような電圧変化(0.50V−0.45V=0.05V)を温度に換算するために、次式(15)に示すように、極めて微小な電圧値を基準単位として用いなければならない。
(0.50V−0.45V)÷300℃=0.167mV/℃ (15)
【0020】
この基準単位を1ビットに対応させるとすると、ヒータ温度0℃で200mAの設定電流が流れ、ヒータ電圧10Vが観測された場合には、10V÷0.167mV=60,000のデータ量をデジタル信号処理において取り扱うことになり、そのためには、16ビットのアナログ−デジタル変換器(A/D変換器)を必要とすることになる。
このように、広範囲な信号電圧から、薄膜ヒータの温度特性(電気抵抗の温度変化)に基づく微小な電圧変化を検出するためには、非常に高感度(高分解能)で高価な測定回路を必要とするうえ、複雑で膨大なデータ処理を行わなければならず、製品コストの上昇や装置規模の大型化を招くうえ、ノイズ等の影響も受けやすいという問題を有していた。
【0021】
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑み、特に、燃料改質型の燃料電池を発電手段として適用した電源システムにおいて、燃料改質部や燃料電池本体における化学反応の進行状態を制御する温度条件を設定するヒータ温度を、比較的簡易かつ安価な構成により高精度に測定して、ヒータ温度を精度よく設定制御することができる温度制御装置及びその温度制御方法、並びに、該温度制御装置を備えた電源システムを提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の温度制御装置は、所定の発電用燃料を用いて発電動作を行う発電手段における、前記発電動作に関連する化学反応の進行状態を制御する温度条件を設定する温度制御装置において、前記発電手段に付設され、前記温度条件を設定するための熱量を放出する発熱手段と、前記発熱手段の電気抵抗に基づいて、前記発熱手段の温度を測定する温度測定手段と、を備え、前記温度測定手段は、前記発熱手段の温度に応じて変化する前記発熱手段の電気抵抗に対応する電圧を信号電圧として検出し、該信号電圧から所定のオフセット電圧を除外した電圧成分に基づいて、前記発熱手段の温度を特定することを特徴としている。
【0023】
請求項2記載の温度制御装置は、請求項1記載の温度制御装置において、前記オフセット電圧は、前記信号電圧から前記発熱手段の温度変化に対応して変化する電圧成分を除いた値、に対応した電圧であることを特徴としている。
請求項3記載の温度制御装置は、請求項1又は2記載の温度制御装置において、前記温度測定手段は、前記発熱手段の電気抵抗をアナログ信号電圧として検出する電圧測定部と、前記アナログ信号電圧から前記オフセット電圧を減算するオフセット減算部と、前記オフセット減算部により得られた電圧成分を任意の増幅率で増幅する電圧増幅部と、前記増幅された電圧成分をデジタル信号に変換するアナログ−デジタル変換部と、を備えていることを特徴としている。
【0024】
請求項4記載の温度制御装置は、請求項3記載の温度制御装置において、前記電圧増幅部は、前記オフセット減算部により得られた前記電圧成分を任意の信号減衰率で減衰処理する減衰器と、前記減衰された電圧成分を単一の信号増幅率で増幅処理する増幅器と、を備え、前記減衰器の前記信号減衰率は、前記増幅器の前記信号増幅率に等しいか、それより小さい値に設定されていることを特徴としている。
請求項5記載の温度制御装置は、請求項3又は4記載の温度制御装置において、前記温度測定手段は、前記デジタル信号に変換された前記電圧成分及び前記オフセット電圧を合算して得られた電圧値と、前記発熱手段に供給される電流値に基づいて前記発熱手段の電気抵抗を算出し、該電気抵抗に基づいて前記発熱手段の温度を特定することを特徴としている。
【0025】
請求項6記載の温度制御装置は、請求項1乃至5のいずれかに記載の温度制御装置において、前記温度制御装置は、前記特定された発熱手段の温度に基づいて、前記発熱手段に供給する電力を制御して、前記発熱手段の温度を調整する温度調整手段を備えていることを特徴としている。
請求項7記載の温度制御装置は、請求項6記載の温度制御装置において、前記温度調整手段は、前記発電手段における発電動作を起動する際には、前記発熱手段の温度変化の上限値における電気抵抗に対応する電圧を前記オフセット電圧として設定することを特徴としている。
【0026】
請求項8記載の温度制御装置は、請求項6記載の温度制御装置において、前記温度調整手段は、前記発電手段における発電動作が平衡状態にある場合には、前記発熱手段の連続する温度変化における任意の時点で特定された温度に対して、所定値だけ変化した場合の温度における電気抵抗に対応する電圧を前記オフセット電圧として設定することを特徴としている。
請求項9記載の温度制御装置は、請求項6乃至8のいずれかに記載の温度制御装置において、前記温度調整手段は、前記デジタル信号に変換される前記電圧成分が、前記アナログ−デジタル変換部における最大入力電圧を超過する場合には、前記電圧増幅部における信号減衰率を増大させることを特徴としている。
【0027】
請求項10記載の温度制御装置は、請求項6乃至8のいずれかに記載の温度制御装置において、前記温度調整手段は、前記デジタル信号に変換される前記電圧成分が、前記アナログ−デジタル変換部における最大入力電圧を超過する場合には、前記オフセット電圧を増大させることを特徴としている。
請求項11記載の温度制御装置は、請求項6乃至8のいずれかに記載の温度制御装置において、前記温度調整手段は、前記デジタル信号に変換される前記電圧成分が、前記アナログ−デジタル変換部のビット数の1/2より少ないビット数に対応する値である場合には、前記電圧増幅部における信号減衰率を低減させることを特徴としている。
【0028】
請求項12記載の温度制御装置は、請求項6乃至8のいずれかに記載の温度制御装置において、前記温度調整手段は、前記デジタル信号に変換される前記電圧成分が、前記アナログ−デジタル変換部のビット数の1/2より少ないビット数に対応する値である場合には、前記オフセット電圧を低減させることを特徴としている。
請求項13記載の温度制御装置は、請求項1乃至12のいずれかに記載の温度制御装置において、前記発電手段は、少なくとも、前記発電用燃料から触媒反応により水素を含む特定の燃料成分を生成する燃料改質部と、前記特定の燃料成分を用いた電気化学反応により電力を発電する燃料電池と、を備え、前記発熱手段は、少なくとも、前記燃料改質部に付設されていることを特徴としている。
【0029】
請求項14記載の温度制御装置は、請求項13記載の温度制御装置において、前記発電手段は、さらに、液体燃料からなる前記発電用燃料を気化する燃料気化部と、前記燃料改質部における前記触媒反応により発生する副生成物を除去する副生成物除去部と、を備え、前記発熱手段は、前記燃料気化部及び前記副生成物除去部にも付設されていることを特徴としている。
【0030】
請求項15記載の温度制御装置の温度制御方法は、所定の発電用燃料を用いて発電動作を行う発電手段における、前記発電動作に関連する化学反応の進行状態を制御する温度条件を設定する温度制御装置の温度制御方法において、前記温度条件を設定するための熱量を放出する発熱手段の温度に応じて変化する電気抵抗を信号電圧として検出する処理ステップと、前記信号電圧から所定のオフセット電圧を減算して、前記発熱手段の温度変化に対応して変化する電圧成分のみを抽出する処理ステップと、前記抽出された電圧成分を任意の増幅率で増幅する処理ステップと、前記増幅された電圧成分及び前記オフセット電圧を合算して得られた電圧値と、前記発熱手段に供給される電流値に基づいて前記発熱手段の電気抵抗を算出する処理ステップと、前記算出された電気抵抗に基づいて、前記発熱手段の温度を特定する処理ステップと、を含み、前記一連の処理ステップを所定の時間間隔で繰り返し実行して、前記発熱手段の温度変化を監視することを特徴としている。
【0031】
請求項16記載の温度制御装置の温度制御方法は、請求項15記載の温度制御装置の温度制御方法において、前記信号電圧を増幅する処理ステップは、前記電圧成分を任意の信号減衰率で減衰する処理と、前記減衰された電圧成分を単一の信号増幅率で増幅する処理と、を含み、前記信号減衰率を調整することにより、前記電圧成分を1以上の任意の増幅率で増幅することを特徴としている。
請求項17記載の温度制御装置の温度制御方法は、請求項15又は16記載の温度制御装置の温度制御方法において、前記発熱手段の温度変化に基づいて、前記発熱手段に供給する電力を制御して、前記発熱手段の温度を調整する処理ステップを、さらに含むことを特徴としている。
【0032】
請求項18記載の温度制御装置の温度制御方法は、請求項16又は17記載の温度制御装置の温度制御方法において、前記増幅された電圧成分に基づいて、前記オフセット電圧、もしくは、前記信号減衰率を変更設定して、前記増幅された電圧成分をアナログ−デジタル変換処理に適した任意の電圧値を有するように調整する処理ステップを、さらに含むことを特徴としている。
請求項19記載の温度制御装置の温度制御方法は、請求項18記載の温度制御装置の温度制御方法において、前記電圧成分の電圧値を調整する処理ステップは、前記発電手段における発電動作を起動する際には、前記オフセット電圧を前記発電手段の温度変化の上限値における電気抵抗に対応する電圧に設定することを特徴としている。
【0033】
請求項20記載の温度制御装置の温度制御方法は、請求項18記載の温度制御装置の温度制御方法において、前記電圧成分の電圧値を調整する処理ステップは、前記発電手段における発電動作が平衡状態にある場合には、前記オフセット電圧を前記発熱手段の連続する温度変化における任意時点の温度に対して、所定値だけ変化した場合の温度における電気抵抗に対応する電圧に設定することを特徴としている。
【0034】
請求項21記載の温度制御装置の温度制御方法は、請求項18記載の温度制御装置の温度制御方法において、前記前記電圧成分の電圧値を調整する処理ステップは、前記電圧成分が、前記アナログ−デジタル変換処理における最大入力電圧を超過する場合には、前記信号減衰率を増大させるように変更設定することを特徴としている。
請求項22記載の温度制御装置の温度制御方法は、請求項18記載の温度制御装置の温度制御方法において、前記前記電圧成分の電圧値を調整する処理ステップは、前記電圧成分が、前記アナログ−デジタル変換処理における最大入力電圧を超過する場合には、前記オフセット電圧を増大させるように変更設定することを特徴としている。
【0035】
請求項23記載の温度制御装置の温度制御方法は、請求項18記載の温度制御装置の温度制御方法において、前記前記電圧成分の電圧値を調整する処理ステップは、前記電圧成分が、前記アナログ−デジタル変換処理におけるビット数の1/2より少ないビット数に対応する値である場合には、前記信号減衰率を低減させるように変更設定することを特徴としている。
請求項24記載の温度制御装置の温度制御方法は、請求項18記載の温度制御装置の温度制御方法において、前記前記電圧成分の電圧値を調整する処理ステップは、前記電圧成分が、前記アナログ−デジタル変換処理におけるビット数の1/2より少ないビット数に対応する値である場合には、前記オフセット電圧を低減させるように変更設定することを特徴としている。
【0036】
請求項25記載の電源システムは、所定の発電用燃料を用いて所望の負荷を駆動するための負荷駆動電力を生成、供給する電源システムにおいて、前記発電用燃料を用いて電力を発電する発電手段と、前記発電手段への前記発電用燃料の供給状態を制御する燃料供給制御手段と、前記発電手段における発電動作に関連する温度条件を設定制御する発電制御手段と、前記発電手段に付設された発熱手段の温度を測定する温度測定手段と、少なくとも、前記発熱制御手段を制御して、前記温度測定手段により測定された温度に基づいて、前記発熱手段の温度を調整する温度制御手段と、を備え、前記温度測定手段は、前記発熱手段の温度に応じて変化する前記発熱手段の電気抵抗に対応する電圧を信号電圧として検出し、該信号電圧から所定のオフセット電圧を減算して、前記発熱手段の温度変化に対応する範囲の電圧成分のみを抽出し、該抽出された電圧成分を任意の信号減衰率で減衰処理するとともに所定の信号増幅率で増幅処理し、該増幅処理された電圧成分及び前記オフセット電圧の合計電圧値に基づいて、前記発熱手段の温度を特定することを特徴としている。
【0037】
請求項26記載の電源システムは、請求項25記載の電源システムにおいて、前記発電手段は、少なくとも、前記発電用燃料から触媒反応により水素を含む特定の燃料成分を生成する燃料改質部と、前記特定の燃料成分を用いた電気化学反応により電力を発電する燃料電池と、を備え、前記発熱手段は、少なくとも、前記燃料改質部に付設されていることを特徴としている。
請求項27記載の電源システムは、請求項26記載の電源システムにおいて、前記発電手段は、さらに、液体燃料からなる前記発電用燃料を気化する燃料気化部と、前記燃料改質部における前記触媒反応により発生する副生成物を除去する副生成物除去部と、を備え、前記発熱手段は、前記燃料気化部及び前記副生成物除去部にも付設されていることを特徴としている。
請求項28記載の電源システムは、請求項25乃至27のいずれかに記載の電源システムにおいて、前記温度制御手段は、前記負荷駆動電力により駆動する負荷を備えた電子機器内に設けられていることを特徴としている。
【0038】
すなわち、本発明に係る温度制御装置及びその温度制御方法は、燃料改質型の燃料電池のような、所定の発電用燃料を用いて発電動作を行う発電手段において、該発電動作に関連する化学反応の進行状態を制御する温度条件を設定する温度制御装置及びその制御方法であって、発電手段に付設された薄膜ヒータ(発熱手段)の温度を該薄膜ヒータの電気抵抗の温度依存性に基づいて計測するようにして、薄膜ヒータを温度計測素子として兼用した構成を有している。
これにより、薄膜ヒータの温度制御に係る構成を簡素化して、薄膜ヒータからの漏熱を抑制することができるので、熱効率の向上を図ることができるとともに、上記温度条件の正確な設定制御を実現することができる。また、製品コストの低減及び装置規模の小型化を図ることができる。
【0039】
特に、本発明においては、薄膜ヒータの温度に応じて変化する電気抵抗をヒータ端子電圧(信号電圧)として検出し、ヒータ端子電圧から上記温度変化に対応しない電圧非変動成分(オフセット電圧)を除外して、温度変化に対応する電圧範囲の電圧変動成分(差分電圧)のみを抽出し、該電圧変動成分を適宜増幅する処理手順を有している。ここで、電圧変動成分を適宜増幅する構成として、電圧変動成分を任意の信号減衰率で減衰処理するアッテネータ(減衰器)と、減衰された電圧変動成分を単一の信号増幅率で増幅処理する増幅器と、を備え、アッテネータの信号減衰率を調整することにより、全体として1以上の任意の増幅率で電圧変動成分を増幅処理するように構成されている。
【0040】
これにより、上記電圧変動成分及び電圧非変動成分に基づいて薄膜ヒータの温度を特定する処理をデジタル信号処理により行う場合、発電手段の動作状態(発電起動状態、発電平衡状態)に応じて、上記電圧非変動成分(オフセット電圧)の設定値、及び、上記増幅率を適宜調整することにより、処理データのデータ量を削減しつつ、適切なデータ量に設定することができるので、演算処理を実行する動作制御部やCPU(温度制御手段)の負担を軽減することができ、簡易な構成及び処理手順でヒータ温度を高精度に測定することができる。
【0041】
この場合、温度計測対象となる薄膜ヒータに、温度制御のために供給されるヒータ用電力の電圧成分(ヒータ端子電圧)や電流成分をそのまま用いて、ヒータ温度の計測及び特定を行うことができるので、温度計測の際に特別な制御を必要とせず、温度計測時のヒータ温度に影響を与えることがなく、より正確な温度を測定することができる。
また、上記電圧非変動成分の設定値、及び、上記増幅率を適宜調整することができるので、より広範なヒータ端子電圧に対応することができ、単一の温度計測部(温度測定手段)により複数の異なる温度特性を有する薄膜ヒータの温度を高精度に測定することができる。
【0042】
そして、このような温度制御装置及びその温度制御方法を備えた電源システムによれば、燃料改質型の燃料電池(発電手段)における発電動作を制御する燃料改質部や燃料電池本体の温度状態(薄膜ヒータの温度)を、簡易な構成により高精度に測定することができるので、熱効率を向上させて省電力で発電制御を実現することができるとともに、製品コストの低減及び装置規模の小型化を図ることができる。また、薄膜ヒータのヒータ端子電圧として検出し、該ヒータ端子電圧から上記温度変化に対応しない電圧非変動成分(オフセット電圧)を除外して、温度変化に対応する電圧範囲の電圧変動成分(差分電圧)のみを抽出し、該電圧変動成分に基づいて特定して調整制御する、比較的簡易な処理手順により上記温度状態を制御することができるので、上記発電動作の適切な制御を実現することができる。
【0043】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る温度制御装置及びその温度制御方法並びに温度制御装置を備えた電源システムの実施の形態について、具体的に説明する。
<電源システムを備えた電子機器>
まず、本発明に係る温度制御装置を備えた電源システムが適用される電子機器の全体構成について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る電源システムが適用される電子機器の一例を示す概略構成図であり、図2は、本発明に係る電源システムが適用される電子機器の内部構成を示す概略ブロック図である。
【0044】
本発明に係る電源システムが適用される電子機器は、例えば、電源システムがモジュール化されて、図1(a)〜(d)に示すように、その全体もしくは一部が、特定の電子機器や、既存の内蔵バッテリー又は汎用電池等により動作する電子機器(以下、「デバイス」と総称する)DVCの電源ユニットPUとして、一体的に内蔵された構成、もしくは、任意に分離可能な構成を有している。また、これらのデバイスDVCは、例えば、一般家庭用の商用交流電源BPや外部バッテリーBT、車両用電源等の外部電源に任意に接続して、該外部電源から供給される所定の電力(外部電力)によっても動作させることができるように構成されている。なお、外部電源として、商用交流電源を用いる場合には、AC−DCコンバータ(いわゆる、ACアダプタ)ADPを介して、また、車両用電源を用いる場合には、DC−DCコンバータ(いわゆる、カーアダプタ)を介して、例えば、所定の直流電圧・電流からなる電力に変換されてデバイスDVCに供給される。
【0045】
ここで、図1(a)、(b)においては、デバイスDVCとしてノート型パーソナルコンピュータを示し、例えば、発電動作に使用される発電用燃料を封入した燃料パックPCK(詳しくは、後述する)がデバイスDVCに対して着脱可能なように構成されるとともに、燃料パックPCK以外の電源システムの構成が、電源ユニットPUとしてデバイスDVCに内蔵された構成を有している。また、図1(c)、(d)においては、デバイスDVCとして携帯情報端末を示し、例えば、燃料パックを含む電源ユニットPU全体が汎用の一次電池や二次電池等と同等の形状及び電気的特性を有し、デバイスDVCに対して任意に装着又は取り外し可能なように構成されている。
【0046】
上述したような電源システムが適用されるデバイスDVCの内部構成は、概略、図2に示すように、デバイス本来の機能を実現するための各構成(以下、「機能部」と記す;負荷)、すなわち、制御プログラムや制御用各種データを固定的に記憶するROM1、制御プログラム実行中に生成される各種処理データ等を一時的に記憶するRAM2やフラッシュメモリ(F−ROM)3等の記憶手段と、タッチパネル、ポインティングデバイス、マウス等の入力インターフェース(入力I/F)4と、液晶表示パネル(LCD)5やLCD駆動装置(LCDドライバ)6等の表示出力手段と、デバイスDVCと通信ネットワークNET等との接続を可能とする通信インターフェース(通信I/F)7と、これらの入出力手段や記憶手段等を制御プログラムにしたがって制御する演算装置(CPU;温度制御手段)8と、デバイスDVC内部の各機能部に動作用電力を供給する電源ユニット9と、を有して構成されている。ここで、電源ユニット9は、本発明に係る電源システムを構成し、所定の発電用燃料を用いた発電動作により生成される電力、もしくは、上述した外部電源から供給される外部電力に基づいて、動作用電力(負荷駆動電力)を生成して、デバイスDVC内部の各機能部に供給する。
【0047】
<電源システム>
次に、上述したデバイスの電源ユニットに適用される電源システムの具体的な構成について、図面を参照して説明する。
図3は、本発明に係る電源システムの一実施形態を示す概略ブロック図である。
本実施形態に係る電源システムは、図3に示すように、大別して、液体燃料又は液化燃料又は気体燃料からなる発電用燃料が封入された燃料パック(燃料封入部;図1に示した燃料パックPCKに相当)200と、該燃料パック200から供給される発電用燃料、もしくは、外部電源から供給される外部電力に基づいて、負荷駆動電力を生成、出力する電力発生部100と、燃料パック200及び電力発生部100相互を物理的に結合するとともに、燃料パック200に封入された発電用燃料を電力発生部100に供給する燃料送出機構を備えたインターフェース部(以下、「I/F部」と略記する)300と、を有し、各構成が相互に、又は、任意の形態で結合、分離(装着及び取り外し)可能に、もしくは、各構成が一体的に形成された構成を有している。
【0048】
本実施形態に係る電力発生部100は、例えば、燃料パック200に封入された発電用燃料をI/F部300を介して取り込み、後述する発電部20へ供給する制御を行う燃料供給制御部(燃料供給制御手段)10と、燃料供給制御部10を介して供給される発電用燃料を用いて、所定の電力(発電電力)を発生する発電部(発電手段)20と、発電部20により生成された発電電力、又は、電源システム(電力発生部100)の外部に設けられた商用交流電源等の外部電源から供給される電力(外部電力)のいずれかを選択的に、後述する電力供給制御部50及び電力保持部40に供給する充電制御部30と、発電電力及び外部電力を一旦保持した後、一定電圧の電力を電力供給制御部50に出力する電力保持部40と、充電制御部30から供給された電力(発電電力、外部電力)及び電力保持部40を介して供給された電力(保持電力)の電圧成分を、電源システムが接続されるデバイスDVC(負荷)の駆動に適した所定の電圧に変換して、負荷駆動電力として供給する電力供給部50と、発電部20へのヒータ用電力の供給状態を制御して、発電部20における温度条件を設定制御するヒータ制御部(温度調整手段、発電制御手段)60と、発電部20(より詳しくは、発電部20に付設された加熱用又は吸熱用のヒータ)に供給されるヒータ用電力の電圧成分(すなわち、ヒータ端子電圧)に基づいて、発電部20における温度状態に対応する信号情報(電圧検出信号)を出力する温度計測部(温度測定手段)70と、電源システムの起動、停止に関わる情報(すなわち、外部電源との接続状態、デバイスDVC(負荷)の駆動状態等)を監視して、電源システム内部の各構成の動作を制御して発電部20における発電動作や、電力保持部40への充放電動作、電源システム内部の各構成への内部動作電力の供給動作、デバイスDVCへの負荷駆動電力の供給動作等を制御する動作制御部(温度調整手段、温度制御手段)80と、燃料パック200に封入された発電用燃料の残量を検出する残量検出部90と、を備えた構成を有している。ここで、上記発電部20に付設された加熱用又は吸熱用のヒータと、発電部20における温度条件を設定制御するヒータ制御部60と、ヒータ用電力の電圧成分を観測する温度計測部70と、動作制御部80は、本発明における温度制御装置を構成する。
【0049】
以下、電力発生部100の各構成について、具体的に説明する。
(燃料供給制御部)
燃料供給制御部10は、燃料パック200に封入された発電用燃料を、I/F部300を介して取り込み、発電部20に移送する燃料供給ポンプとしての機能を備えている。ここで、燃料供給制御部10は、動作制御部80からの制御信号に基づいて、発電部20への発電用燃料の供給状態(供給/遮断及び燃料供給量)を制御することにより、発電部20における発電状態(起動/停止及び発電量)を直接的に制御する。特に、電源システムが外部電源に接続され、外部電力が供給されている状態においては、動作制御部80からの制御信号に基づいて、発電部20への発電用燃料の供給を遮断し、発電部20における発電動作を停止させる制御を行う。
【0050】
(発電部)
図4は、本実施形態に係る電源システムに適用される発電部の概略構成を示すブロック図であり、図5は、本実施形態に係る発電部に適用されるCO除去器における化学反応の一例を示す概念図である。なお、ここでは、燃料改質方式を採用した固体高分子型の燃料電池を適用した場合について説明し、上述した図13、図14に示した構成を適宜参照するものとする。
【0051】
図4に示すように、発電部20は、大別して、燃料供給制御部10を介して供給される発電用燃料に対して所定の改質反応(触媒改質反応)を行い、特定の燃料成分(水素を含む)を生成する燃料改質部21と、電源システムの外部から空気(酸素を含む)を取り込む空気制御部22と、燃料改質部21から供給される特定の燃料成分(水素)及び空気制御部22から供給される空気(酸素)を用いた電気化学反応により、所定の電力(発電電力)を生成する燃料電池本体(燃料電池)23と、を備えた構成を適用することができる。
【0052】
(燃料改質部)
燃料改質部21は、具体的には、例えば、図4に示すように、発電用燃料(液体燃料)を気化する燃料気化器(燃料気化部)21aと、水蒸気改質反応により、気化された発電用燃料から水素及び二酸化炭素(CO2)、一酸化炭素(CO)等を生成する燃料改質器(燃料改質部)21bと、水性シフト反応や選択酸化反応により、燃料改質器21bにより生成された副生成物(CO)を除去するCO除去器(副生成物除去部)21cと、を備えた構成を有している。ここで、燃料改質部21を構成する上記各部には、ヒータ(発熱手段)Ha、Hb、Hcが個別に付設され、各ヒータHa、Hb、Hcにおける発熱量(熱エネルギー)を制御することにより、各部における温度状態が個別に調整される。なお、本発明においては、所定の発熱特性又は吸熱特性を有する温度調整機構を「ヒータ」と総称することとする。
【0053】
このような燃料改質部21における具体的な機能は、例えば、メタノール(CH3OH)及び水(H2O)からなる発電用燃料(液体燃料)を用いて、水素ガス(H2)を生成する場合にあっては、図14に示した場合と同様に、まず、燃料気化器21aにおける蒸発過程において、発電用燃料を構成するメタノール及び水を個別に気化、もしくは、混合液体を一括して気化することにより、発電用燃料の気体を生成する。この蒸発過程においては、後述するヒータ制御部60を介して供給されるヒータ用電力により、燃料気化器21aに付設されたヒータHaの温度が調整され、メタノール及び水の沸点程度の温度条件に設定することにより、発電用燃料を気化させる。
【0054】
次いで、燃料改質器21bにおける水蒸気改質反応過程において、ヒータ制御部60を介して供給されるヒータ用電力により、燃料改質器21bに付設されたヒータHbの温度が調整され、概ね300℃程度の温度条件を設定することにより、49.4kJ/molの熱エネルギーを吸熱して、上述した化学反応式(11)に示したように、水素(H2)と微量の二酸化炭素(CO2)を生成する。なお、この水蒸気改質反応においては、水素と二酸化炭素以外に副生成物として微量の一酸化炭素(CO)が生成される場合がある。
【0055】
したがって、このような副生成物を除去するため、図4、図5に示すように、CO除去器21cにおける水性シフト反応過程により、一酸化炭素に対して水(水蒸気;H2O)を反応させることにより、40.2kJ/molの熱エネルギーを発熱して、次の化学反応式(1)に示すように、二酸化炭素(CO2)と水素(H2)が生成される。
CO+H2O →CO2+H2 (1)
さらに、CO除去器21cにおける選択酸化反応過程により、水性シフト反応において二酸化炭素と水素に変換されなかった一酸化炭素に対して、酸素(O2)を反応させることにより283.5kJ/molの熱エネルギーを発熱して、次の化学反応式(2)に示すように、二酸化炭素(CO2)が生成される。
CO+(1/2)O2 →CO2 (2)
【0056】
ここで、CO除去器21cにおける水性シフト反応過程及び選択酸化反応過程においても、ヒータ制御部60を介して供給されるヒータ用電力により、CO除去器21cに付設されたヒータHc(具体的には、吸熱器や冷却器等の温度調節機構)の温度が調整され、上記熱エネルギーの発熱に対応した温度条件が設定される。
これにより、発電部20において、所定の電力を発生するために必要な量の水素ガス(H2)となる分の発電用燃料が燃料パック200から燃料供給制御部10を介して取り込まれ、上記燃料改質部21により改質されて、一定量の水素ガスが燃料電池本体23に供給される。
【0057】
(空気制御部)
空気制御部22は、燃料電池本体23における電気化学反応(化学反応式(12)及び(13)参照)に応じた必要な量の酸素ガス(O2)を、大気中から取り込んで燃料電池本体23に供給する制御を行う。ここで、空気制御部22は、燃料電池本体23における単位時間当たりの酸素の最大消費量に相当する酸素ガスを供給することができるものであれば、燃料電池本体23への酸素ガスの供給及び遮断を制御することなく、常に供給するように構成されたものであってもよい。すなわち、発電部20(燃料電池本体23)における電気化学反応の進行状態を、燃料供給制御部10及び燃料改質部21において調整される水素ガスの供給量、及び、ヒータ制御部60により設定される熱エネルギーの供給量のみで制御し、空気制御部22の代わりに通気孔等を設け、発電部20における電気化学反応に用いられる最低限の空気(酸素)が該通気孔を介して常時供給されるようにしたものであってもよい。
【0058】
(燃料電池本体)
燃料電池本体23は、周知の固体高分子型の燃料電池本体の構成を有し、上述した図13に示したように、概略、白金や白金・ルテニウム等の触媒微粒子が付着した炭素電極からなる燃料極(カソード)ELcと、白金等の触媒微粒子が付着した炭素電極からなる空気極(アノード)ELaと、該燃料極ELcと空気極ELaの間に介装されたフィルム状のイオン導電膜(交換膜)FLと、を有して構成されている。そして、燃料極ELcには、上記燃料改質部21により抽出された水素ガス(H2)が供給され、一方、空気極ELaには、上記空気制御部22を介して大気中の酸素ガス(O2)が供給される。これにより、化学反応式(12)及び(13)に示す電気化学反応により発電が行われ、後述する電力保持部40に蓄積された後、もしくは、発電電力が直接、電力供給制御部50において所定の電圧に変換されて、電源システム内部の動作を制御する内部動作電力として供給されるとともに、デバイスDVC(負荷)を駆動するための負荷駆動電力として供給される。
【0059】
ここで、燃料電池本体23においても、後述するヒータ制御部60を介して供給されるヒータ用電力により、燃料電池本体23に付設されたヒータ23Hの温度を調整して、上記一連の電気化学反応(化学反応式(12)、(13))を良好に進行させることができる温度条件を設定するようにしてもよい。また、燃料電池本体23における発電動作を温度条件により制御しない場合には、ヒータ23Hを備えない構成としてもよい。
なお、上述した燃料改質部21及び燃料電池本体23に設けられるヒータ構造としては、半導体製造分野において多用される薄膜形成技術を用いて、例えば、金属酸化膜や金属窒化膜等の所望の発熱特性を有する抵抗体材料からなる薄膜層(薄膜ヒータ)を、燃料改質部21の各反応部及び燃料電池本体23に個別に形成した構成を適用することができる。
【0060】
また、本実施形態においては、燃料パック200から供給される発電用燃料としてメタノールと水からなる液体燃料を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、少なくとも、水素元素を含む液体燃料又は液化燃料もしくは気体燃料であれば、同等の構成を良好に適用することができる。具体的には、メタノールやエタノール、ブタノール等のアルコール系の液体燃料や、ジメチルエーテルやイソブタン、天然ガス(CNG)等の常温常圧で気化される炭化水素からなる液化燃料、あるいは、水素ガス等の気体燃料等を良好に適用することができる。
【0061】
(充電制御部)
充電制御部30は、電源システム(電源ユニット)への外部電源の接続状態(より詳しくは、外部電源からの外部電力の供給状態)を検出して、動作制御部80からの制御信号に基づいて、外部電力が供給されている状態では、外部電力を取り込み、外部電力が遮断された状態では、上記発電部20において生成された発電電力を取り込む制御を行う。取り込まれた電力(外部電力、発電電力)は、電力保持部40の充電状態及びデバイスDVC(負荷)の駆動状態に応じて、電力保持部40又は電力供給制御部50もしくはこれら双方に供給される。
【0062】
(電力保持部)
電力保持部40は、例えば、発電部20から供給される発電電力又は外部電源から供給される外部電力に基づく電荷を蓄積(充電)、放出(放電)する機能、及び、該電荷の蓄積状態を検出する機能を備え、電力保持部40に蓄積された電荷に基づく充電電圧(又は、放電電圧)を常時監視し、該充電電圧が所定の基準電圧よりも低い場合には、電力消耗状態と判断して、充電制御部30を介して供給される電力を取り込み、充電する動作を実行し、一方、充電電圧が上記基準電圧よりも高い場合には、フル充電状態と判断して、上記電力の取り込みを遮断して、充電動作を停止することにより、電力保持部40における充電状態を制御する。ここで、電力保持部40において外部電力又は発電電力に基づく電荷を蓄積する構成としては、例えば、電気二重層コンデンサ等を備えた回路構成を適用することができる。
【0063】
(電力供給制御部)
電力供給制御部50は、動作制御部80からの制御信号に基づいて、充電制御部30から直接供給される電力(外部電力、発電電力)、もしくは、電力保持部40に蓄積された電荷に基づく電力のいずれかを選択的に取り込み、デバイスDVC(負荷)や電源システム(電力発生部)内部の各機能部における動作に適した一定の電圧を有する電力(負荷駆動電力、内部動作電力)に変換する電圧変換動作を行い、電源システム内部の各機能部もしくはデバイスDVC及び上記各機能部の双方に供給するDC−DCコンバータとしての機能(電圧変換機能)と電力供給制御機能とを備えた構成を有している。
【0064】
このような電力供給制御部50において、デバイスDVC(負荷)の駆動状態に関わらず、充電制御部30から直接供給される電力(外部電力、発電電力)、もしくは、電力保持部40に蓄積された保持電力に基づいて、電源システム内部の各機能部に内部動作電力が供給され、デバイスDVCが駆動した場合には、上記内部動作電力の供給動作に加えて、負荷駆動電力がデバイスDVCに供給されるように制御される。
【0065】
(ヒータ制御部)
ヒータ制御部60は、動作制御部80からの制御信号基づいて、上記発電部20において発電動作が起動、継続される場合には、発電部20を構成する燃料改質部21の各反応部(燃料気化器21a、燃料改質器21b、CO除去器21c)に設けられたヒータHa、Hb、Hc、及び、燃料電池本体23に設けられたヒータ23Hに個別にヒータ用電力を供給することにより、所定の熱エネルギーを放出(発熱)もしくは吸収(吸熱)して、上記化学反応式(1)、(2)及び(11)〜(13)に示した各化学反応の進行状態を制御する温度条件を設定する。一方、発電部20における発電動作が停止される場合には、上記各ヒータHa、Hb、Hc、23Hへのヒータ用電力の供給を遮断する。
【0066】
(温度計測部)
図6は、本実施形態に係る電源システムに適用される温度計測部の一構成例を示すブロック図であり、図7は、本実施形態に係る温度計測部における動作原理を示す概念図である。
図6に示すように、温度計測部70は、動作制御部80からの制御信号に基づいて、ヒータ制御部60から燃料改質部21の各反応部(燃料気化器21a、燃料改質器21b、CO除去器21c)に設けられたヒータHa、Hb、Hc、及び、燃料電池本体23に設けられたヒータ23Hに個別に供給されるヒータ用電力のうち、任意のヒータ用電力に係る電圧成分(ヒータ端子電圧)を選択的に取り込む入力切換部(電圧測定部)71と、所定のオフセット電圧を設定するデジタル−アナログ変換器(D/A変換器;デジタル−アナログ変換部)75と、該入力切換部71を介して取り込まれたヒータ端子電圧から、前記オフセット電圧を減算して該電圧間の差分(差分電圧)を抽出する差動増幅器(オフセット減算部)72と、該差分電圧を任意の増幅率で可変的に増幅する電圧増幅部を構成するアッテネータ(ATT;減衰器)73及び増幅器(AMP)74と、増幅器(AMP)74を介した後の差分電圧をデジタル電圧に変換して電圧検出信号として出力するアナログ−デジタル変換器(A/D変換器;アナログ−デジタル変換部)76を備えた構成を有している。
【0067】
ここで、差動増幅器72の非反転入力端(+)には、上記ヒータ端子電圧が入力切換部71を介してアナログ信号電圧として入力され、一方、反転入力端(−)には、後述する動作制御部80により設定されたオフセット電圧が、デジタル−アナログ変換器75を介して、アナログ信号電圧として入力される。また、アッテネータ73及び増幅器74により増幅処理して得られる電圧検出信号は、アナログ−デジタル変換器76を介して、デジタル信号として動作制御部80に入力される。すなわち、本実施形態に係る温度計測部70においては、信号電圧がアナログ信号処理される。
【0068】
また、アッテネータ73及び増幅器74からなる電圧増幅部は、例えば、アッテネータ73の信号減衰率が任意に変更設定することが可能なように構成され、一方、増幅器74の信号増幅率が一定に設定された構成を有し、後述する動作制御部80からの制御信号に基づいて、アッテネータ73の信号減衰率を変更設定することにより、電圧増幅部全体としての増幅率が1以上の任意の増幅率に設定制御される。
このような温度計測部70において、選択的に取り込まれたヒータ端子電圧から、所定のオフセット電圧を減算することにより、ヒータにおける温度状態の変化に直接対応しない電圧非変動成分(すなわち、オフセット電圧)が除外されて、上記温度状態の変化に直接対応する電圧変動成分(すなわち、差分電圧)のみが抽出されて、所定の増幅処理を施された後、電圧検出信号として出力される。
【0069】
具体的には、各ヒータにおけるヒータ温度と、該ヒータに一定の設定電流を印加した場合に観測されるヒータ端子電圧との関係は、金属酸化膜等の発熱抵抗材料からなる薄膜ヒータを適用した場合、例えば、図7の温度特性線Shに示すように、ヒータ温度の上昇に伴って、ヒータの電気抵抗が低下することにより、ヒータ端子電圧が低下する傾向を示すことが知られている。ここで、ヒータ温度は、無限に高くなる訳ではなく、ヒータ制御部60から供給されるヒータ用電力の上限値に応じて、一定の上限温度Tlimitが規定されることになる。
【0070】
したがって、差動増幅器72において、この上限温度Tlimitに対応するヒータ端子電圧Voffをオフセット電圧(電圧非変動成分)として、観測されたヒータ端子電圧から減算(除外)することにより、ヒータ温度に直接対応して変動する電圧成分(差分電圧;電圧変動成分)のみが抽出され、さらに、アッテネータ73及び増幅器74により1以上の任意の増幅率で増幅することにより、ヒータ温度に対応して変化する電圧成分(差分電圧)が適宜拡大されて、動作制御部80におけるデジタル信号処理に適した電圧検出信号として出力される。なお、オフセット電圧の設定値、及び、アッテネータ73及び増幅器74による増幅率の具体例については、後述する温度制御装置の動作(温度制御方法)において詳述する。
【0071】
(動作制御部)
動作制御部80は、外部電力の供給状態、デバイスDVCの駆動状態、及び、後述する残量検出部80からの検出信号に基づいて、上述した燃料供給制御部10、充電制御部30、電力保持部40、電力供給制御部50、ヒータ制御部60及び温度計測部70に、各々個別の制御信号を送出して動作状態を制御することにより、発電部20における発電動作を制御するとともに、電力発生部100の各部への内部動作電力及びデバイスDVCへの負荷駆動電力の生成、供給動作を制御する。
【0072】
特に、本実施形態に係る動作制御部80においては、ヒータ制御部60に制御信号を送出して、発電部20の燃料改質部21(燃料気化器21a、燃料改質器21b、CO除去器21c)の各ヒータHa、Hb、Hc、及び、燃料電池本体23のヒータ23Hへのヒータ用電力の供給状態(供給/遮断及び電力供給量)を制御して、発電部20における発電動作の起動、継続、停止を制御する。また、温度計測部70にオフセット電圧を設定出力して、上述した電圧変動成分に基づく電圧検出信号を受け取り、該電圧変動成分の換算値と上記オフセット電圧とを合算した電圧値(ヒータ端子電圧)に基づいて、任意のヒータの電気抵抗を算出してヒータ温度を特定する動作を実行する。さらに、特定されたヒータ温度に基づいて、各ヒータHa、Hb、Hc、23Hへのヒータ用電力の供給状態(電力供給量)を調整して、ヒータ温度を、燃料改質部21及び燃料電池本体23における各化学反応を良好に促進することができる所定の温度範囲に制御する動作を実行する。なお、ヒータ温度を観測して、温度状態を制御する動作(温度制御方法)については、詳しく後述する。
【0073】
なお、図3においては、動作制御部80が、電源システム(電源ユニット)の内部に設けられた構成を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、図2に示したデバイスDVCの各機能部を制御するCPU8に動作制御部80の機能を付加するように構成したものであってもよい。したがって、以下の説明において、動作制御部80と記載する場合、CPU8としての構成も包含するものとする。また、本実施形態に係る動作制御部80においては、上述したオフセット電圧の設定動作、ヒータ端子電圧の算出動作及びヒータ温度の特定動作がデジタル信号処理により実行される。
【0074】
(残量検出部)
残量検出部90は、燃料パック200に封入された発電用燃料の残量を検出し、該検出信号を動作制御部80に送出する。これにより、動作制御部80は、発電用燃料の残量が少なくなった場合やなくなった場合等に、デバイスDVCの表示出力手段(LCD等)を介して、発電用燃料の残量情報や電源ユニットにおける電力供給情報等を表示して、外部電源への接続や発電用燃料の補給等、適切な措置を促すように、デバイスDVCのユーザー等に報知する。また、デバイスDVCが既存の携帯型の電子機器等に多用されている周知のバッテリー残量通知機能、すなわち、バッテリーや電源ユニットからの出力電圧の変化(低下)に基づいてバッテリー残量や駆動可能時間等を報知する機能を備えている場合には、動作制御部80は、上記残量検出部90からの検出信号に基づいて燃料供給制御部10や発電部20、電力供給制御部50等を制御して、負荷駆動電力に係る電圧を徐々に変化(低下)させるように制御してもよい。
【0075】
(燃料パック)
燃料パック200は、上述したように、水素を含有する液体燃料や液化燃料又は気体燃料からなる発電用燃料が、充填、封入された密閉性の高い燃料貯蔵容器であって、図3に示したように、電力発生部100に対して、I/F部300を介して着脱可能に、又は、一体的に結合された構成を有している。ここで、燃料パック200に封入された発電用燃料は、後述するI/F部300に設けられた燃料送出機構を介して電力発生部100に取り込まれ、上述した燃料供給制御部10により所定の電力を発生するために必要な量の発電用燃料が、発電部20に随時供給される。
【0076】
(I/F部)
I/F部300は、少なくとも、電力発生部100と燃料パック200を物理的に結合するとともに、燃料パック200に封入された発電用燃料を電力発生部100に供給する燃料送出機構を備えている。これにより、燃料パック200がI/F部300を介して電力発生部100に結合された状態では、電力発生部100への発電用燃料の供給を可能とし、燃料パック200が電力発生部100から取り外された状態では、発電用燃料の供給を遮断して、電源システム(電源ユニット)外部への発電用燃料の漏出が防止される。
【0077】
<電源システムの温度制御方法>
次に、上述した構成を有する電源システム(温度制御装置)の動作について説明する。
(発電起動時における温度制御動作)
まず、本実施形態に係る電源システム(温度制御装置)における発電起動時の温度制御動作について、図面を参照して説明する。
【0078】
図8は、本実施形態に係る電源システムにおける温度制御動作の初期設定処理の一例を示すフローチャートであり、図9は、本実施形態に係る電源システムにおける温度制御動作の電圧計測処理、温度特定処理及び電力調整処理の一例を示すフローチャートである。図10は、本実施形態に係る電源システムにおける温度制御動作の設定変更処理(第1のフロー)の一例を示すフローチャートであり、図11は、本実施形態に係る電源システムにおける温度制御動作の設定変更処理(第2のフロー)の一例を示すフローチャートである。ここでは、上述した電源システム及び温度計測部の構成(図3、図4、図6)を適宜参照しながら説明する。
【0079】
発電起動時における電源システムの温度制御動作は、概略、温度計測部70に各種初期データを設定する初期設定処理と、上記温度計測部70に設定された初期データを適宜再設定する設定変更処理と、初期データもしくは再設定されたデータに基づいて、ヒータ端子電圧を測定する電圧計測処理と、該電圧計測処理により測定されたヒータ端子電圧に基づいて、ヒータ温度を特定する温度特定処理と、を含んでいる。また、本実施形態に係る温度制御動作は、特定されたヒータ温度に基づいて、当該ヒータに供給する電力を調整制御する電力調整処理を、さらに含んでいるものであってもよい。
【0080】
初期設定処理においては、まず、動作制御部80(又は、図2に示したCPU8)に初期設定データを取り込み、該データに基づいて、温度計測部70のアッテネータ73の信号減衰率を設定するとともに、差動増幅器72に入力されるオフセット電圧を設定する。
具体的には、図8に示すように、動作制御部80により所定の記憶手段(図示を省略;又は、図2に示したF−ROM3等)に予め記憶された、温度計測処理の対象となるヒータの初期設定データを読み込む(S101)。ここで、初期設定データは、当該ヒータにおける温度特性情報(電気抵抗の温度変化を示す対応テーブルや関係式)や、差動増幅器72に入力されるオフセット電圧やアッテネータ73に入力される信号減衰率の初期値を含むデータである。
【0081】
次いで、動作制御部80により、上記初期設定データに基づいて、まず、アッテネータ73の信号減衰率Attを初期値に設定する。例えば、アッテネータ73の後段に設けられた増幅器74の信号増幅率Ampが32倍に固定的に設定されている場合には、アッテネータの信号減衰率Attを32に設定(すなわち、1/32に減衰するように設定)して、アッテネータ73と増幅器74からなる電圧増幅部の増幅率が1になるように設定する(S102)。
【0082】
次いで、動作制御部80により、上記初期設定データに基づいて、差動増幅器72の反転入力端子(−)に入力するオフセット電圧の初期値を設定する。ここで、発電起動時に動作制御部80内部で設定されるオフセット電圧は、次式(3)に示すように、ヒータの上限温度Tlimitにおける電気抵抗(すなわち、最小抵抗値)がRilimである場合に、ヒータ制御部60から該ヒータに所定の設定電流Iiset(ヒータ用電力)を供給したときの電圧値Vdefに設定される(ここで、オフセット電圧Vdefは、図7におけるヒータ端子電圧Voffに相当する)(S103)。
Vdef=Iiset×Rilim (3)
例えば、ヒータの上限温度Tlimitが350℃における電気抵抗Rilimが43Ωであるとき、ヒータに200mAの設定電流Iisetが印加されているとすると、動作制御部80内部で設定されるオフセット電圧Vdefは、200mA×43Ω=8.6Vとなる。
【0083】
ここで、動作制御部80内部で設定されたオフセット電圧Vdefは、温度計測部70におけるアナログ信号処理に適合させるために、D/A変換器75によりアナログ変換される。
例えば、8ビットのD/A変換器75を適用して、上述したVdef=8.6Vをアナログ変換して出力する場合、D/A変換器75の分解能(1ビット)を0.04Vと設定することにより、次式(4)に示すように、オフセット電圧Vdefを1ビット電圧で除算した数(8.6÷0.04=215)の入力信号(デジタル信号)DAinが生成され(S104)、D/A変換器75に入力される(S106)。
DAin=Vdef÷0.04 (4)
【0084】
これにより、次式(5)に示すように、D/A変換器75において入力信号DAinに1ビット電圧を積算した電圧値(215×0.04=8.6V)を有するオフセット電圧(アナログ信号)Vdacが生成されて、差動増幅器72の反転入力端子(−)に供給される(S107)。
Vdac=DAin×0.04 (5)
次いで、上記処理ステップS102において、動作制御部80内部において設定された信号減衰率Attをアッテネータ73に設定する(S108)。
【0085】
次に、電圧計測処理においては、まず、上述した初期設定処理において、例えば、処理ステップS106〜S108に先立って、もしくは、並行して、動作制御部80から温度計測部70の入力切換器71に制御信号を送出して、ヒータ制御部60から各ヒータに供給されるヒータ用電力のうち、任意のヒータ用電力を選択して(S105)、該ヒータ用電力に係る電圧成分(ヒータ端子電圧)を差動増幅器72の非反転入力端子(+)に入力する。これにより、差動増幅器72の反転入力端子(−)には電圧非変動成分であるオフセット電圧Vdefが入力され、一方、非反転入力端子(+)には温度計測処理の対象となるヒータに供給されるヒータ端子電圧Viが入力されて、図9に示すように、これらの電圧の差分(差分電圧)が演算されて差動増幅器72から出力される(S111)。
例えば、差動増幅器72の非反転入力端子(+)に、ヒータ端子電圧Viとして9.8Vが入力され、反転入力端子(−)にオフセット電圧Vdefとして上記8.6Vが入力された場合には、ヒータ端子電圧Viからオフセット電圧Vdefが減算された信号電圧(9.8−8.6=1.2V)が差分電圧として出力される。
【0086】
次いで、上記差動増幅器72から出力された差分電圧は、アッテネータ73に入力され、上述した動作制御部80により設定された所定の信号減衰率Attで1/Attに減衰処理される。さらに、減衰処理された差分電圧は、後段の増幅器74に入力され、固定的に設定された信号増幅率Ampで増幅処理される(S112)。
上述したように、発電起動時においては、アッテネータ73及び増幅器74からなる電圧増幅部全体の増幅率が1倍になるように、アッテネータ73の信号減衰率Attが設定されている。これにより、例えば、上記差動増幅器72から出力される差分電圧が1.2Vである場合には、アッテネータ73により1/32に減衰処理された電圧(1.2÷32=0.0375V)が出力され、次いで、後段の増幅器74により32倍に増幅処理された電圧(0.0375×32=1.2V)が出力される。
【0087】
ここで、電圧増幅部(アッテネータ73、増幅器74)により増幅率1倍で増幅処理された電圧(以下、便宜的に「差分増幅電圧」と記す)は、動作制御部80(又は、CPU8)におけるデジタル信号処理に適合させるために、A/D変換器76によりデジタル変換される(S113)。
例えば、10ビットの分解能を有するA/D変換器76を適用して、上述した差分増幅電圧1.2Vを、210=1024における最大入力電圧Vrefを2.73Vとしてデジタル変換すると、1024×(1.2÷2.73)=450の出力信号(デジタル信号)がA/D変換器76から出力され、電圧検出信号ADoutとして動作制御部80に供給される。
【0088】
ここで、上述したような電圧計測処理において、上記差分増幅電圧によりA/D変換器76における処理データがオーバーフローした場合や極端に過小となった場合には、設定変更処理を実行する。
設定変更処理においては、具体的には、A/D変換器76における上記差分増幅電圧に係る処理データが10ビットの分解能を超えて、オーバーフローした場合には(過大状態となった場合)(S114)、温度計測部70から動作制御部80に出力される電圧検出信号のデジタル値が小さくなるように、動作制御部80により温度計測部70に設定されるアッテネータ73の信号減衰率Att、又は、差動増幅器72に設定入力されるオフセット電圧Vdacを変更設定し、当該設定データを用いて、上述した一連の電圧計測処理を再度実行する。
【0089】
すなわち、図9、図10に示すように、A/D変換器76における処理データのオーバーフローが動作制御部80により検出された場合には、まず、アッテネータ73に設定された信号減衰率Attが32であるか否かが確認され(S121)、信号減衰率Attが32(すなわち、上記初期設定値)である場合には、さらに、動作制御部80により設定されるオフセット電圧Vdef(すなわち、D/A変換部75の入力信号DAin)が、8ビットのD/A変換器75の最大分解能(255)であるか否かが確認される(S125)。
【0090】
オフセット電圧Vdef(入力信号DAin)がD/A変換器75の最大分解能である場合(DAin=255)には、動作制御部80において測定不能状態と判断してエラービットを立て(S137)、電源システムにおける温度制御動作(電圧計測処理)を一旦終了して、再度一連の初期設定動作及び電圧計測処理を繰り返す。一方、オフセット電圧Vdef(入力信号DAin)がD/A変換器75の最大分解能に達していない場合(DAin≠255)には、動作制御部80により、例えば、D/A変換器71の入力信号DAinに所定数(例えば、32)を加算して、DAin=DAin+32となるように変更設定する(S126)。ここで、この設定変更された入力信号DAinが、上記最大分解能(255)よりも大きい場合には(S127)、入力信号DAinは255に設定される(S128)。これにより、D/A変換器71の入力信号DAin、すなわち、差動増幅器72におけるオフセット電圧Vdacの設定変更処理が行われ、再度処理ステップS106〜S113のデータ設定処理及び電圧計測処理が実行される。
【0091】
また、アッテネータ73に設定された信号減衰率Attが32でない場合には、信号減衰率Attに所定数(例えば、1)を加算してAtt=Att+1となるように変更設定する(S122)。ここで、この設定変更された信号減衰率Attが、最大値(32)よりも大きい場合には(S123)、信号減衰率Attは32に設定される(S124)。これにより、アッテネータ73の信号減衰率Attの設定変更処理が行われ、再度処理ステップS108〜S113のデータ設定処理及び電圧計測処理が実行される。
【0092】
一方、処理ステップS114において、A/D変換器76における処理データがオーバーフローせず、極端に過小となった場合(S115)、例えば、4ビット以下(15以下)の極端に過小な状態となった場合には、温度計測部70から動作制御部80に出力される電圧検出信号のデジタル値が大きくなるように、動作制御部80により温度計測部70に設定されるアッテネータ73の信号減衰率Att、又は、差動増幅器72に設定入力されるオフセット電圧Vdacを変更設定し、当該設定データを用いて、上述した一連の電圧計測処理を再度実行する。
【0093】
すなわち、図9、図11に示すように、A/D変換器76における処理データの過小状態が動作制御部80により検出された場合には、まず、アッテネータ73に設定された信号減衰率Attが1であるか否かが確認され(S129)、信号減衰率Attが1でない場合(すなわち、上記初期設定値Att=32≠1)には、信号減衰率Attから所定数(例えば、1)を減算してAtt=Att−1となるように変更設定する(S130)。ここで、この設定変更された信号減衰率Attが、最小値(Att=1)よりも小さい場合には(S131)、信号減衰率Attは1に設定される(S132)。これにより、アッテネータ73の信号減衰率Attの設定変更処理が行われ、再度処理ステップS108〜S113のデータ設定処理及び電圧計測処理が実行される。
【0094】
また、アッテネータ73に設定された信号減衰率Attが1である場合には、さらに、動作制御部80により設定されるD/A変換部75の入力信号DAinが、最小値(0)であるか否かが確認される(S133)。ここで、入力信号DAinが0である場合には、動作制御部80において測定不能状態と判断してエラービットを立て(S137)、電源システムにおける温度制御動作(電圧計測処理)を一旦終了して、再度一連の初期設定動作及び電圧計測処理を繰り返す。一方、入力信号DAinが最小値でない場合(DAin≠0)には、動作制御部80により、入力信号DAinから所定数(例えば、32)を減算してDAin=DAin−32となるように変更設定する(S134)。ここで、この設定変更された入力信号DAinが、0よりも小さい場合には(S135)、入力信号DAinは0に設定される(S136)。これにより、D/A変換器71の入力信号DAin、すなわち、差動増幅器72におけるオフセット電圧Vdacの設定変更処理が行われ、再度処理ステップS106〜S113のデータ設定処理及び電圧計測処理が実行される。
【0095】
そして、上述した一連の電圧計測処理及び設定変更処理により、A/D変換器76における処理データがオーバーフロー状態や過小状態となることなく、A/D変換器76において、正常かつ適正に処理可能な範囲の信号電圧が得られた場合には、デジタル変換された差分増幅電圧(電圧検出信号)が動作制御部80に出力されて、図9に示すように、温度特定処理を実行する。
【0096】
温度特定処理においては、まず、次式(6)に示すように、温度計測部70から動作制御部80に出力された上記電圧検出信号ADoutの電圧換算値、及び、差動増幅器72に設定したオフセット電圧Vdacを合算して、ヒータ制御部60からヒータに供給されたヒータ用電力に係る電圧成分、すなわち、ヒータ端子電圧Vi´(=Vi)を算出する(S116)。
Vi´=ADout×Vref÷210÷Amp×Att+Vdac (6)
ここで、ADoutは温度計測部70から出力された電圧検出信号(デジタル信号)、VrefはA/D変換器の参照電圧、210はA/D変換器の分解能(10ビット)、Ampは増幅器の信号増幅率、Attはアッテネータの信号減衰率、Vdacは差動増幅器72に設定されたオフセット電圧である。
これにより、上述した電圧計測処理において例示した各数値を適用すると、動作制御部80により算出されるヒータ端子電圧Vi´は、450×2.73V÷210÷32×32+8.6V≒9.8Vとなる。
【0097】
次いで、次式(7)に示すように、上記算出されたヒータ端子電圧Vi´を、当該ヒータ電圧計測時のヒータに供給された設定電流Iisetで除算して、ヒータの電気抵抗Riを算出する(S117)。
Ri=Vi´÷Iiset (7)
例えば、上述したように、ヒータ端子電圧Vi´が9.8Vであり、設定電流Iisetとして200mAが供給されている場合、電気抵抗Riは、9.8V÷200mA=49Ωとなる。
次いで、上記ヒータ端子電圧Vi´から算出されたヒータの電気抵抗Riに基づいて、上述したように、記憶手段から読み出された温度計測処理の対象となるヒータの温度特性情報(電気抵抗の温度変化を示す対応テーブルや関係式)を参照することにより、ヒータ温度Tiを一義的に抽出して特定する(S118)。
【0098】
そして、電力調整処理においては、以上のようにして計測、特定されたヒータ温度Tiもしくはヒータの電気抵抗Riに基づいて、当該ヒータが付設された反応部における化学反応が適切に促進される温度条件に設定されるように、動作制御部80によりヒータ制御部60を制御して、ヒータに供給されるヒータ用電力(設定電流)を適宜調整する(S119)。
以上のような一連の温度制御動作を、発電部を構成する燃料改質部の各反応部及び燃料電池本体に付設された各ヒータについて、順次繰り返し実行することにより、各反応部における化学反応を適切に促進することができる温度条件を設定(調整)することができる。
【0099】
(発電平衡状態における温度制御動作)
次に、本実施形態に係る電源システムにおける発電動作が平衡状態(発電平衡状態)にある場合の温度制御動作について、図面を参照して説明する。
図12は、本実施形態に係る電源システムにおける温度制御動作のデータ設定処理の一例を示すフローチャートである。ここで、上述した発電起動時における温度制御動作と同等の処理ステップについては、その説明を簡略化又は省略する。なお、発電平衡状態における設定変更処理、電圧計測処理、温度特定処理及び電力調整処理については、上述した発電起動時における場合(図9、図10、図11参照)と同等であるので、その説明を省略する。
【0100】
電源システムにおける発電動作が平衡状態にある場合には、上記発電起動時等に比較してヒータの温度変化が小さいため、ヒータに供給されるヒータ用電力も比較的少ない。そこで、本実施形態においては、継続的に繰り返し実行される温度制御動作によって計測(特定)された前回のヒータ温度Tiに対応する信号に基づいて、次回の温度制御動作におけるデータ設定処理を実行する。
【0101】
具体的には、図12に示すように、まず、動作制御部80に温度計測処理の対象となるヒータの温度特性情報(電気抵抗の温度変化を示す対応テーブルや関係式)を読み込んだ後(S201)、前回の温度制御動作により得られた(特定された)ヒータ温度Tiから温度変化が想定される所定の温度分を減算した場合の電圧換算値を、動作制御部80内部におけるオフセット電圧Vdefとして再設定する(S202)。例えば、ヒータの温度変化を10℃程度と仮定した場合、オフセット電圧Vdefは、次式(8)に示すように、前回のヒータ端子電圧Vi´から10℃当たりの電圧変化分の電圧を減算した電圧値をオフセット電圧Vdefに設定する。
Vdef=Vi´−(R(0)−Ri)×10÷Ti×Iiset (8)
ここで、R(0)は0℃におけるヒータの電気抵抗、Riは前回特定されたヒータ温度Tiにおける電気抵抗、Iisetはヒータに供給されている設定電流である。したがって、前回計測されたヒータ温度が350℃である場合には、オフセット電圧Vdefは、Vi´−(R(0)−R(350))÷35×Iisetに再設定される。
【0102】
さらに、上述した初期設定動作においても説明したように、上記オフセット電圧Vdefをアナログ変換するために、例えば、8ビットのD/A変換器75を適用した場合、上記式(4)に示したように、オフセット電圧VdefをD/A変換器75の分解能(1ビット電圧=0.04V)で除算した入力信号(デジタル信号)DAinが生成され(S203)、D/A変換器75に入力される(S206)。
これにより、上記式(5)に示したように、D/A変換器75において入力信号DAinに応じたオフセット電圧(アナログ信号)Vdacが生成されて、差動増幅器72の反転入力端子(−)に供給される(S207)。
【0103】
また、上記処理ステップS206、S207に先立って、もしくは、並行して、動作制御部80によりアッテネータ73の信号減衰率Attが設定される。ここでは、前回のヒータ端子電圧Vi´及び前回のオフセットVdacに基づいて、次式(9)、(10)に示すように、差動増幅器72及び信号増幅部(アッテネータ73、増幅器74)を介してA/D変換器76に入力される差分増幅電圧が、A/D変換器76の最大入力電圧Vrefである2.73V以下になるように、信号減衰率Attが算出され(S204)、アッテネータ73に設定される(S208)。
(Vi´−Vdac)÷Att×Amp<Vref (9)
∴ Att=(Vi´−Vdac)×32÷2.73+1 (10)
【0104】
そして、上述したデータ設定処理において、例えば、処理ステップS206〜S208に先立って、もしくは、並行して、動作制御部80により入力切換器71を切り換え制御して(S205)任意のヒータ用電力に係る電圧成分(ヒータ端子電圧)を差動増幅器72の非反転入力端子(+)に取り込むようにすることにより、差動増幅器72の反転入力端子(−)に新たに設定された上記オフセット電圧Vdacが入力され、非反転入力端子(+)に温度計測処理の対象となるヒータのヒータ端子電圧Viが入力されて、上述した電圧計測処理が開始される(図9参照)。ここで、上述した発電起動時おける温度制御動作と同様に、A/D変換器76における処理データの状態(オーバーフロー状態や過小な状態)に応じて、設定変更処理(図10、図11参照)が実行され、A/D変換器76において正常かつ適正に処理可能な範囲の信号電圧が得られた場合に、上述した温度特定処理及び電力調整処理(図9参照)が実行される。
【0105】
このように、本実施形態に係る温度制御装置及びその温度制御方法によれば、燃料改質型の燃料電池を備えた電源システムにおいて、燃料改質部や燃料電池本体における化学反応の進行状態を制御するための温度条件を設定するヒータを温度計測素子として兼用することができるので、温度計測用の配線等の構成を別個に設けることなく、単一のヒータ及びヒータ配線からなる構成で温度計測と温度制御を実現することができる。したがって、ヒータからの漏熱を極力抑制して、熱効率を向上させることができるとともに、上記温度条件の正確な設定制御を実現することができる。
【0106】
特に、本実施形態に係る温度制御装置及びその温度制御方法においては、温度計測対象となるヒータの端子電圧から、所定のオフセット電圧を減算することによりヒータ温度に応じて変化する比較的狭い範囲の電圧成分のみを抽出、増幅して計測し、該電圧成分に基づいてヒータ温度を特定するように構成されているので、動作制御部(CPU)におけるデータ量を削減して、デジタル信号処理にかかる負担を軽減することができるとともに、ヒータ温度を高精度に測定して、精度よく設定制御することができる。
【0107】
ここで、本実施形態に係る温度制御方法においては、温度計測対象となるヒータに供給される、ヒータ温度制御用の電力に係る電圧(ヒータ端子電圧)や電流をそのまま用いて、温度計測処理及び温度特定処理を行うことができるので、温度計測の際に特別な制御を一切必要とせず、温度計測時のヒータ温度に影響を与えることがなく、正確な温度を測定することができる。
【0108】
また、上記オフセット電圧の電圧値、及び、上記電圧成分を増幅処理する増幅率(信号減衰率、信号増幅率)を、燃料電池の動作状態(発電起動状態、発電平衡状態)に応じて適宜調整することにより、上記電圧成分を動作制御部(CPU)におけるデジタル信号処理に適した電圧値となるように制御することができるので、精密なヒータ温度の計測制御を適切に実現することができる。また、上記オフセット電圧の電圧値、及び、上記増幅率を適宜調整することができるので、より広範なヒータ端子電圧に対応することができ、単一の温度計測部により複数の異なる温度特性を有するヒータの温度を高精度に測定することができる。
【0109】
さらに、上記電圧成分のみを抽出して計測する構成として、ヒータの端子電圧から所定のオフセット電圧を減算する差動増幅器と、その出力である差分電圧を任意の増幅率で増幅する信号増幅部(アッテネータ、増幅器)からなる比較的簡易な回路構成を適用することができるので、高感度(高分解能)で高価な測定回路を必要とすることなく、製品コストの削減や装置規模の小型化を図ることができる。
【0110】
なお、上述した実施形態においては、本発明に係る電源システム及びその駆動制御方法が適用される機器として、ノート型パーソナルコンピュータやPDA等の携帯機器を例に示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、機器内部に電力保持手段を備えるとともに、外部電源から供給される電力によっても駆動する負荷を備えた機器であって、当該負荷の起動、停止操作を比較的頻繁に行う使用形態のものであれば、他の電子機器や動力機器等に適用することができる。
【0111】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る温度制御装置及びその温度制御方法並びに電源システムによれば、燃料改質型の燃料電池のような、所定の発電用燃料を用いて発電動作を行う発電手段に付設された薄膜ヒータの温度を、該薄膜ヒータの電気抵抗の温度依存性に基づいて計測することにより、薄膜ヒータを温度計測素子として兼用することができるので、薄膜ヒータの温度制御に係る構成を簡素化して、薄膜ヒータからの漏熱を抑制して熱効率の向上を図ることができるとともに、製品コストの低減及び装置規模の小型化を図ることができる。
【0112】
特に、薄膜ヒータの温度に応じて変化する電気抵抗をヒータ端子電圧として検出し、ヒータ端子電圧から上記温度変化に対応しない電圧非変動成分(オフセット電圧)を除外して、温度変化に対応する電圧範囲の電圧変動成分(差分電圧)のみを抽出し、該電圧変動成分を適宜増幅するように構成されているので、薄膜ヒータの温度を特定する処理をデジタル信号処理により行う場合、処理データのデータ量を削減しつつ、適切なデータ量に設定することができ、演算処理の負担を大幅に軽減することができるとともに、簡易な処理手順でヒータ温度を高精度に測定することができる。
【0113】
また、この場合、温度計測対象となる薄膜ヒータに、温度制御のために供給されるヒータ用電力の電圧成分(ヒータ端子電圧)や電流成分をそのまま用いて、ヒータ温度の計測及び特定を行うことができるので、温度計測の際に特別な制御を必要とせず、温度計測時のヒータ温度に影響を与えることがなく、より正確な温度を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電源システムが適用される電子機器の一例を示す概略構成図である。
【図2】本発明に係る電源システムが適用される電子機器の内部構成を示す概略ブロック図である。
【図3】本発明に係る電源システムの一実施形態を示す概略ブロック図である。
【図4】本実施形態に係る電源システムに適用される発電部の概略構成を示すブロック図である。
【図5】本実施形態に係る発電部に適用されるCO除去器における化学反応の一例を示す概念図である。
【図6】本実施形態に係る電源システムに適用される温度計測部の一構成例を示すブロック図である。
【図7】本実施形態に係る温度計測部における動作原理を示す概念図である。
【図8】本実施形態に係る電源システムにおける温度制御動作の初期設定処理の一例を示すフローチャートである。
【図9】本実施形態に係る電源システムにおける温度制御動作の電圧計測処理、温度特定処理及び電力調整処理の一例を示すフローチャートである。
【図10】本実施形態に係る電源システムにおける温度制御動作の設定変更処理(第1のフロー)の一例を示すフローチャートである。
【図11】本実施形態に係る電源システムにおける温度制御動作の設定変更処理(第2のフロー)の一例を示すフローチャートである。
【図12】本実施形態に係る電源システムにおける温度制御動作のデータ設定処理の一例を示すフローチャートである。
【図13】燃料改質型の燃料電池を備えた電源システムの基本構成を示す概略構成図である。
【図14】燃料改質型の燃料電池を備えた電源システムに適用される燃料改質部における化学反応の一例を示す概念図である。
【符号の説明】
10 燃料供給制御部
20 発電部
50 電力供給制御部
60 ヒータ制御部
70 温度計測部
72 差動増幅器
73 アッテネータ
74 増幅器
80 動作制御部
100 電力発生部
DVC デバイス
Claims (28)
- 所定の発電用燃料を用いて発電動作を行う発電手段における、前記発電動作に関連する化学反応の進行状態を制御する温度条件を設定する温度制御装置において、
前記発電手段に付設され、前記温度条件を設定するための熱量を放出する発熱手段と、
前記発熱手段の電気抵抗に基づいて、前記発熱手段の温度を測定する温度測定手段と、
を備え、
前記温度測定手段は、前記発熱手段の温度に応じて変化する前記発熱手段の電気抵抗に対応する電圧を信号電圧として検出し、該信号電圧から所定のオフセット電圧分を除外した電圧成分に基づいて、前記発熱手段の温度を特定することを特徴とする温度制御装置。 - 前記オフセット電圧は、前記信号電圧から前記発熱手段の温度変化に対応して変化する電圧成分を除いた値、に対応した電圧であることを特徴とする請求項1記載の温度制御装置。
- 前記温度測定手段は、
前記発熱手段の電気抵抗をアナログ信号電圧として検出する電圧測定部と、
前記アナログ信号電圧から前記オフセット電圧を減算するオフセット減算部と、
前記オフセット減算部により得られた電圧成分を任意の増幅率で増幅する電圧増幅部と、
前記増幅された電圧成分をデジタル信号に変換するアナログ−デジタル変換部と、
を備えていることを特徴とする請求項1又は2記載の温度制御装置。 - 前記電圧増幅部は、
前記オフセット減算部により得られた前記電圧成分を任意の信号減衰率で減衰処理する減衰器と、
前記減衰された電圧成分を単一の信号増幅率で増幅処理する増幅器と、
を備え、
前記減衰器の前記信号減衰率は、前記増幅器の前記信号増幅率に等しいか、それより小さい値に設定されていることを特徴とする請求項3記載の温度制御装置。 - 前記温度測定手段は、前記電圧成分及び前記オフセット電圧を合算して得られた電圧値と、前記発熱手段に供給される電流値に基づいて前記発熱手段の電気抵抗を算出し、該電気抵抗に基づいて前記発熱手段の温度を特定することを特徴とする請求項3又は4記載の温度制御装置。
- 前記温度制御装置は、前記特定された発熱手段の温度に基づいて、前記発熱手段に供給する電力を制御して、前記発熱手段の温度を調整する温度調整手段を備えていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の温度制御装置。
- 前記温度調整手段は、前記発電手段における発電動作を起動する際には、前記発熱手段の温度変化の上限値における電気抵抗に対応する電圧を前記オフセット電圧として設定することを特徴とする請求項6記載の温度制御装置。
- 前記温度調整手段は、前記発電手段における発電動作が平衡状態にある場合には、前記発熱手段の連続する温度変化における任意の時点で特定された温度に対して、所定値だけ変化した場合の温度における電気抵抗に対応する電圧を前記オフセット電圧として設定することを特徴とする請求項6記載の温度制御装置。
- 前記温度調整手段は、前記デジタル信号に変換される前記電圧成分が、前記アナログ−デジタル変換部における最大入力電圧を超過する場合には、前記電圧増幅部における信号減衰率を増大させることを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載の温度制御装置。
- 前記温度調整手段は、前記デジタル信号に変換される前記電圧成分が、前記アナログ−デジタル変換部における最大入力電圧を超過する場合には、前記オフセット電圧を増大させることを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載の温度制御装置。
- 前記温度調整手段は、前記デジタル信号に変換される前記電圧成分が、前記アナログ−デジタル変換部のビット数の1/2より少ないビット数に対応する値である場合には、前記電圧増幅部における信号減衰率を低減させることを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載の温度制御装置。
- 前記温度調整手段は、前記デジタル信号に変換される前記電圧成分が、前記アナログ−デジタル変換部のビット数の1/2より少ないビット数に対応する値である場合には、前記オフセット電圧を低減させることを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載の温度制御装置。
- 前記発電手段は、少なくとも、
前記発電用燃料から触媒反応により水素を含む特定の燃料成分を生成する燃料改質部と、
前記特定の燃料成分を用いた電気化学反応により電力を発電する燃料電池と、を備え、
前記発熱手段は、少なくとも、前記燃料改質部に付設されていることを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の温度制御装置。 - 前記発電手段は、さらに、
液体燃料からなる前記発電用燃料を気化する燃料気化部と、
前記燃料改質部における前記触媒反応により発生する副生成物を除去する副生成物除去部と、
を備え、
前記発熱手段は、前記燃料気化部及び前記副生成物除去部にも付設されていることを特徴とする請求項13記載の温度制御装置。 - 所定の発電用燃料を用いて発電動作を行う発電手段における、前記発電動作に関連する化学反応の進行状態を制御する温度条件を設定する温度制御装置の温度制御方法において、
前記温度条件を設定するための熱量を放出する発熱手段の温度に応じて変化する電気抵抗に対応する電圧を信号電圧として検出する処理ステップと、
前記信号電圧から所定のオフセット電圧を減算して、前記発熱手段の温度変化に対応して変化する電圧成分のみを抽出する処理ステップと、
前記抽出された電圧成分を任意の増幅率で増幅する処理ステップと、
前記増幅された電圧成分及び前記オフセット電圧を合算して得られた電圧値と、前記発熱手段に供給される電流値に基づいて前記発熱手段の電気抵抗を算出する処理ステップと、
前記算出された電気抵抗に基づいて、前記発熱手段の温度を特定する処理ステップと、
を含み、
前記一連の処理ステップを所定の時間間隔で繰り返し実行して、前記発熱手段の温度変化を監視することを特徴とする温度制御装置の温度制御方法。 - 前記信号電圧を増幅する処理ステップは、前記電圧成分を任意の信号減衰率で減衰する処理と、前記減衰された電圧成分を単一の信号増幅率で増幅する処理と、を含み、
前記信号減衰率を調整することにより、前記電圧成分を1以上の任意の増幅率で増幅することを特徴とする請求項15記載の温度制御装置の温度制御方法。 - 前記発熱手段の温度変化に基づいて、前記発熱手段に供給する電力を制御して、前記発熱手段の温度を調整する処理ステップを、さらに含むことを特徴とする請求項15又は16記載の温度制御装置の温度制御方法。
- 前記増幅された電圧成分に基づいて、前記オフセット電圧、もしくは、前記信号減衰率を変更設定して、前記増幅された電圧成分をアナログ−デジタル変換処理に適した任意の電圧値を有するように調整する処理ステップを、さらに含むことを特徴とする請求項16又は17記載の温度制御装置の温度制御方法。
- 前記電圧成分の電圧値を調整する処理ステップは、前記発電手段における発電動作を起動する際には、前記オフセット電圧を前記発電手段の温度変化の上限値における電気抵抗に対応する電圧に設定することを特徴とする請求項18記載の温度制御装置の温度制御方法。
- 前記電圧成分の電圧値を調整する処理ステップは、前記発電手段における発電動作が平衡状態にある場合には、前記オフセット電圧を前記発熱手段の連続する温度変化における任意時点の温度に対して、所定値だけ変化した場合の温度における電気抵抗に対応する電圧に設定することを特徴とする請求項18記載の温度制御装置の温度制御方法。
- 前記前記電圧成分の電圧値を調整する処理ステップは、前記電圧成分が、前記アナログ−デジタル変換処理における最大入力電圧を超過する場合には、前記信号減衰率を増大させるように変更設定することを特徴とする請求項18記載の温度制御装置の温度制御方法。
- 前記前記電圧成分の電圧値を調整する処理ステップは、前記電圧成分が、前記アナログ−デジタル変換処理における最大入力電圧を超過する場合には、前記オフセット電圧を増大させるように変更設定することを特徴とする請求項18記載の温度制御装置の温度制御方法。
- 前記前記電圧成分の電圧値を調整する処理ステップは、前記電圧成分が、前記アナログ−デジタル変換処理におけるビット数の1/2より少ないビット数に対応する値である場合には、前記信号減衰率を低減させるように変更設定することを特徴とする請求項18記載の温度制御装置の温度制御方法。
- 前記前記電圧成分の電圧値を調整する処理ステップは、前記電圧成分が、前記アナログ−デジタル変換処理におけるビット数の1/2より少ないビット数に対応する値である場合には、前記オフセット電圧を低減させるように変更設定することを特徴とする請求項18記載の温度制御装置の温度制御方法。
- 所定の発電用燃料を用いて所望の負荷を駆動するための負荷駆動電力を生成、供給する電源システムにおいて、
前記発電用燃料を用いて電力を発電する発電手段と、
前記発電手段への前記発電用燃料の供給状態を制御する燃料供給制御手段と、前記発電手段における発電動作に関連する温度条件を設定制御する発電制御手段と、
前記発電手段に付設された発熱手段の温度を測定する温度測定手段と、
少なくとも、前記発熱制御手段を制御して、前記温度測定手段により測定された温度に基づいて、前記発熱手段の温度を調整する温度制御手段と、
を備え、
前記温度測定手段は、前記発熱手段の温度に応じて変化する前記発熱手段の電気抵抗に対応する電圧を信号電圧として検出し、該信号電圧から所定のオフセット電圧を減算して、前記発熱手段の温度変化に対応する範囲の電圧成分のみを抽出し、該抽出された電圧成分を任意の信号減衰率で減衰処理するとともに所定の信号増幅率で増幅処理し、該増幅処理された電圧成分及び前記オフセット電圧の合計電圧値に基づいて、前記発熱手段の温度を特定することを特徴とする電源システム。 - 前記発電手段は、少なくとも、
前記発電用燃料から触媒反応により水素を含む特定の燃料成分を生成する燃料改質部と、
前記特定の燃料成分を用いた電気化学反応により電力を発電する燃料電池と、を備え、
前記発熱手段は、少なくとも、前記燃料改質部に付設されていることを特徴とする請求項25記載の電源システム。 - 前記発電手段は、さらに、
液体燃料からなる前記発電用燃料を気化する燃料気化部と、
前記燃料改質部における前記触媒反応により発生する副生成物を除去する副生成物除去部と、
を備え、
前記発熱手段は、前記燃料気化部及び前記副生成物除去部にも付設されていることを特徴とする請求項26記載の電源システム。 - 前記温度制御手段は、前記負荷駆動電力により駆動する負荷を備えた電子機器内に設けられていることを特徴とする請求項25乃至27のいずれかに記載の電源システム。
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