JP2004134289A - 有機電界発光素子 - Google Patents

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Kazuhiro Enomoto
榎本 和弘
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Abstract

【課題】ガラス転移温度が大きく、かつ、高い被膜特性を有し、あらゆる環境下において、安定性に優れ、更には高い電子輸送性を有する材料を開発する。
【解決手段】陽極及び陰極、並びにこれら電極の間に配設された少なくとも1層以上の有機層を有する電界発光素子において、当該有機層中に少なくとも一般式(1)で示される化合物を含む電界発光素子。
【選択図】    なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、発光機能を有する有機電界発光素子に関する。詳しくは、特定の構造を有するトリアザインデン化合物を配位子とする金属錯体を電子性発光材料として用いた優れた発光機能、更には幅広い発光領域を有する有機電界発光素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機化合物の高い蛍光効率に注目し、有機化合物用いた電界発光素子(有機EL素子)の研究が近年盛んに行われてきている。有機EL素子は有機発光層を2つの電極で挟んだ構造を基本とし、陽極から注入された正孔と陰極から注入された電子が発光層中で再結合し光りを発する。これら有機EL素子には基本的には2つのタイプがあるとされている。1つはC.W.Tangらによって発表された蛍光色素を電荷輸送層中に添加したもの(J.Appl.Phys.65、3610(1989))、もう1つは、蛍光色素を単独に用いたものである(Jpn.J.Appl.Phys.27、L269(1988))。
【0003】
後者の素子では、蛍光色素が電荷の一つである正孔のみを輸送する正孔輸送層及び/あるいは電子のみを輸送する電子輸送層と積層している場合に発光効率が向上することがしめされている。これまで有機EL素子に使用されている正孔輸送材料は、トリフェニルアミン等のアリールアミン誘導体を中心に多種多様の材料が知られているにもかかわらず、電子輸送材料については、非常に少ない。これら電子輸送材料については発光性を有するオキシ(8−ヒドロキシキノリン)とアルミニウムから構成される、オキシネイト金属錯体が1987年に報告されていらい、ディスプレイ等への応用を目指した研究が盛んになり、高効率の発光を得るための材料開発が進められてきた。
【0004】
特に、1987年に発表されたオキシネイト金属錯体は、優れた発光特性を有している。更に近年、駆動電圧を下げる電界発光素子材料についての開発が精力的に行なわれてきている。また上記オキシネイト金属錯体は緑色の発光であり、カラー化対応には不十分な点が残されている。これらの対応において、青色領域において優れた輝度を有するとされる金属錯体が開示されている。しかしこの金属錯体は、耐熱性が低く、また電子性の輸送効率も充分でないため、発光強度、繰返し使用時での安定性に劣る傾向を有している(特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−81472号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、上記のような技術的背景の下で、種々の色度で高輝度に発光する有機EL素子を作成するために、ガラス転移温度が大きく、かつ、高い被膜特性を有し、あらゆる環境下において、安定性に優れ、更には高い電子輸送性を有する材料を開発することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を達成するために、種々検討を重ねた結果、特定の配位子を有する金属錯体が、高い電子輸送性、及び熱安定性、それに伴って電界発光素子としての高蛍光性、高輝度、低電圧での発光が得られることを見出した。本発明はかかる知見に基づいてなされたものである。
【0008】
すなわち、本発明は、
陽極及び陰極、並びにこれら電極の間に配設された少なくとも1層の有機層を有する電界発光素子において、該有機層に下記一般式(1)で示されるトリアザインデン化合物を配位子とする金属錯体を含有することを特徴とする有機電界発光素子を提供するものである。
【化7】
Figure 2004134289
・・・(1)(式中、R〜Rはそれぞれ独立して低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロゲン、水素を表し、RとRはそれぞれ低級アルキル基又は水素を表し、またRとR、RとR、RとR及びRとRは互いに結合して芳香環を形成してもよい。)
以下、本発明を詳細に説明する。
【0009】
一般式(1)で示されるトリアザインデン化合物を配位子とする金属錯体は、その多くが、高いガラス転移温度、非晶性、更には高い電子輸送性を有するという特徴をもっている。そして、一般式(1)で示されるトリアザインデン化合物は2座配位子としての機能を有しており、特に2価及び3価の金属との錯体が発光性電子輸送性化合物として好ましい。2価の金属との配位は一般式(5)で示される4座配位化合物になるが、3価の金属の場合多くが6座配位とならずに、4座配位化合物の状態で反応が停止する。このため、最外殻電子は比較的構造の小さいアニオンとのイオン性結合により安定化する。このアニオンとしては、水酸基、各種ハロゲン、次亜塩素酸塩、過塩素酸塩、チアシアナート(−SCN)基等があげられるが、経時性(湿度に対する安定性、熱分解性)、更には発光強度の点から、一般式(6)において、−OAとして示されるヒドロキシ基置換芳香族化合物(いわゆるフェノラート配位子)が好ましい。
【0010】
上記一般式(5)に示される金属錯体として、具体的には次のような一般式で示される化合物があげられる。
【化8】
Figure 2004134289
・・・5−1
【0011】
【化9】
Figure 2004134289
・・・5−2(上記5−1及び5−2式中、R、Rはそれぞれ独立して、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロゲン又は水素を表す)
さらに、具体的化合物として以下のごとき化合物が例示される。
【0012】
【化10】
Figure 2004134289
・・・5−3
【0013】
【化11】
Figure 2004134289
・・・5−4
【0014】
【化12】
Figure 2004134289
・・・5−5
【0015】
【化13】
Figure 2004134289
・・・5−6
【0016】
【化14】
Figure 2004134289
・・・5−7
【0017】
【化15】
Figure 2004134289
・・・5−8
【0018】
【化16】
Figure 2004134289
・・・5−9
【0019】
【化17】
Figure 2004134289
・・・5−10
【0020】
尚、上記例示化合物においてMは亜鉛、マグネシュウム、ベリリウム、ニッケル、水銀等を表す。特にベリリウム、亜鉛については発光強度が他の金属より強い傾向を有していた。
【0021】
また、一般式(6)中の−OAとして示されるフェノラートとしては、炭素数6から14の芳香族環が適当であり、これ以上の炭素数のものは、材料面、合成面(反応が進みにくい。)より好ましくない。これら芳香族環の代表的なものとしてフェニル基、ナフタレン基、フェナントレン基、インデン基等があげられる。さらにこれら芳香族環の置換基として、メトキシ、エトキシ、メチル、エチル、iso−プロピル、メチレンンヂオキシ基などはこのものだけでも発光があるが、電子供与基である関係上、電子輸送性の向上からは、好ましい置換基とは言えない。
【0022】
しかし電子供与作用の影響が少ないオルソ位に置換した低級アルキル基、低級アルコキシ基等は発光強度、印加電圧等の特性からみて、無置換体より良いものが認められる。これらの傾向は、いわゆる機能分離型電子写真感光体の電荷発生材料特性(ナフトールASのアニリド置換体効果:オルソ効果)とよく類似している。これに対して、塩素、臭素等のハロゲン、シアノ基、α−トリフロロメチル基等の電子吸引基は全般的に発光強度、印加電圧等の特性を良くするものが多い。この場合置換基の位置は大きく関係しない。唯、電子吸引基の場合でもオルソ効果が認められる。また同一元素(特に塩素)が3個以上置換したものは、あまり発光強度はよくなかった。これは多数の置換により立体的障害があるためと考えられる。更には蒸気相の転化の際、塩素の脱離が一部起ったものと推測される。
また、広意での電子吸引基である、フェニル、ジフェニル置換体は非常に好ましい化合物が多い。またこれらの置換体自身も高い電子輸送性を有しており、好適な化合物である。
【0023】
次に、一般式(6)で示される具体的な金属錯体としては、次のような化合物が例示される。
【化18】
Figure 2004134289
・・・6−1
【0024】
【化19】
Figure 2004134289
・・・6−2
【0025】
【化20】
Figure 2004134289
・・・6−3
【0026】
【化21】
Figure 2004134289
・・・6−4
【0027】
【化22】
Figure 2004134289
・・・・・6−5
【0028】
【化23】
Figure 2004134289
・・・6−6
【0029】
【化24】
Figure 2004134289
・・・6−7
【0030】
【化25】
Figure 2004134289
・・・6−8
【0031】
【化26】
Figure 2004134289
・・・6−9
【0032】
【化27】
Figure 2004134289
・・・6−10
【0033】
【化28】
Figure 2004134289
・・・6−11
【0034】
【化29】
Figure 2004134289
・・・6−12
【0035】
【化30】
Figure 2004134289
・・・6−13
【0036】
【化31】
Figure 2004134289
・・・6−14
【0037】
【化32】
Figure 2004134289
・・・6−15
【0038】
【化33】
Figure 2004134289
・・・6−16
尚、上記例示化合物 において、Mはアルミニュウム、インジュウム、ルテニュウム、ボロン、オスニウムを表す。
【0039】
一般式(1)で示される配位子化合物として、RとR、RとR、RとRは互いに結合して芳香環を形成した、ナフタレン環、アントラセン環、フロレン環等の化合物が一般式(5)及び(6)のどちらにも共通して好ましい。中核金属M2についてはアルミニウム、オスニウムの発光強度が他の金属より強い傾向を有していた。また配位子としては、多環構造の共役二重結合を有する置換体(例示化合物No.6−3、6−5、6−10、6−12,6−15等)が熱安定性にも優れている。
【0040】
次に、一般式(5)及び(6)で示される金属錯体について、その代表的合成法を説明する。
まず一般式(1)で示される配位子化合物を縮合反応により得る。(合成過程1及び2)次いでこれら化合物を配位子として、2価又は3価の金属と反応させることにより本発明の金属錯体(一般式(5)、(6))を得る。(合成過程3)ここで用いられる金属(金属塩)としては、塩化アルミニュウム、硝酸アルミニュウム、硫酸アルミニュウム、塩化ガリュウム、塩化インジュウム、塩化スカンジュム、塩化オスムウム等があげられる。一般的には塩化物が入手しやすく、主として金属ハロゲン塩を用いた。これらの合成過程を化学反応式により説明する。(反応式中のΔは加熱を表す。)
【0041】
(合成過程1)
【化34】
Figure 2004134289
(Yは水素又はアルカリ金属である。)
【0042】
合成過程1でのエステル化については、フェノールの代わりにアルコールを用いても良い。また必要に応じて、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の溶剤中で反応させても良い。反応時間、反応温度は、それぞれ6時間、100℃から120℃程度であれば良い。反応促進のために、再度脱水剤(オキシ塩化リン、3塩化リン等)を反応途中で加えることも必要である。反応後アルコール等を加えて析出した粉末を酢酸エチル等で再結晶することによりエステル体が得られる。このエステル体を2−ヒドラジノピリジン、2−ヒドラジノキノリン等とを高温(50℃以上)オルソーアミノフェノール体、オルソージアミノ体等と高温(150℃以上)下で反応を行なうことにより、一般式(1)で表される配位子化合物が得られる。このトリアザインデン化合物の基本的な合成法については、米国特許第2、976、146号明細書、同第2、865、749号明細書に詳しく記載されている。
【0043】
(合成過程2)
【化35】
Figure 2004134289
【0044】
上記合成過程2においては、加熱のみで触媒なしでも容易に目的物がえられる。反応溶剤として、ニトロベンゼン等を加えて反応を均一化さすことも必要である。このようにして得られた略橙色の生成物を酢酸エチル、トルエン、イソプロピルアルコール等から再結晶することにより目的化合物が得られる。この反応は2段階反応であるが、ほぼ定量的に最終化合物を得ることができる。
このようにして得られた化合物を適当な溶剤(NMP、DMF、DMSO、アルコール又はこれらの混合溶剤)に溶かし、次いでこの溶液に1,5〜2,0倍モルの水酸化カリウム(又は水酸ナトリュウム)を加え、最後に2価又は3価の金属塩(通常はハロゲン塩、酢酸塩)を徐々に加えた後、加熱攪拌を行う。尚、反応温度は比較的高温(150℃以上)で行った方が好ましい。このようにして一般式(5)又は(6)で示される有機錯体がえられる。なお、合成過程1を経ずに直接一般式(1)で表される配位子化合物を合成できるが、均一に反応が進みにくく、そのため副生成物も出来やすい。
【0045】
(合成過程3)
【化36】
Figure 2004134289
【0046】
3価の金属の場合、更にA−OH(フェノール誘導体)を反応させることにより、一般式(6)で示される有機錯体がえられる(合成過程4)。この場合、合成過程3の後半にフェノール誘導体のナトリュウム塩を加えることによっても得ることができる。フェノール誘導体はアルコール等で溶解した状態で加えるとスムースに反応が進行する。また加える量は理論量の1、2〜1、6倍程度を用いる。
【0047】
(合成過程4)
【化37】
Figure 2004134289
【0048】
このようにして得られた反応生成物を、水、アルコール洗浄を繰り返すことにより(場合により、昇華精製する)本発明の金属錯体が得られる。これらの合成については、米国特許第5、150、006号明細書及びAnalytical
Chemistry  1938P (1968)等に記載されている。
以上のようにして得られた本発明の金属錯体は、蛍光特性、発光特性に優れており、これらの特性を利用した種々の商品形態に適用できる。蛍光特性を利用したものとして蛍光塗料が代表的なものであり、発光特性を利用したものとして有機EL素子が代表的なものとしてあげられる。特に有機EL素子への適用については、本発明の金属錯体は、低電圧で高輝度の発光が可能な有機EL光素子の一成分として有効に利用できるものである。
【0049】
本発明の化合物を用いたEL素子の構成としては、透明電極と、ホール輸送層、発光層及び/または電子輸送層と陰極とがこの順に基板上に積層され、有機EL素子として構成されるのに好適である。その他蛍光塗料、光起電力装置用光電材料、映像装置用材料等の応用も考えられる。また、素子の安定性を高めるために、素子の一部又は全体を保護層で被覆してもよい。また、発光色を調整するために、カラーフィルターを組み込んでも良い。
【0050】
本発明の金属錯体は発光層又は電子輸送層、或いはその双方に含有させるのがよく、更には本発明の金属錯体の複数の種類による混合、また他の金属錯体、例えばオキシネイト誘導体等との混合も有効である。或いは下記構造式の4−ジシアノメチレン−6−(P−ジエチルアミノスチリル)−2−メチル−4H−ピラン等の蛍光色素とを混合してもよい。
【0051】
【化38】
Figure 2004134289
【0052】
また本発明の錯体を混合(共蒸着)することにより、発光波長のパンクロ化、さらにはアモルファス化による、密着性の向上効果をもたらす。特に中核金属が同じで、配位子化合物の違う錯体から構成されているものが好ましい。例えば、8−ヒドロキシキノリン、8−ヒドロキシ−2−メチルキノリン、2−(2−ヒドロキシナフチル)ベンゾオキサゾール、2−(2−ヒドロキシアントリル)ベンゾオキサゾール、2−(2−ヒドロキシフェナントリル)ベンゾオキサゾール、2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾオキサゾール、2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾオキサゾール等を配位子とするアルミニュウム金属、又はべリリュウム金属、亜鉛金属等からなる金属錯体の複数配位子から構成されている場合などである。
【0053】
この混合の割合は1:1モル比が一番適切であるが、その使用目的によって任意に変えてもよい。更には、これら錯体の配位子をドープしてもよい。その割合は等モル以下であればよい。
有機EL素子において、電極、ホール輸送層、発光層、電子輸送層のそれぞれの膜厚は、素子の動作電圧等によって決められるものであり、後述の実施例によって限定されるものではない。また、素子の各層の作成法も通常の真空蒸着法、ラングミュアープロジェット法をはじめ、スピンコート法、ディプ法等の塗布方式が採用可能である。
【0054】
次に有機EL素子の構成について図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に基づく有機EL素子 の一例を示したものである。まず透明基板7(例えばガラス基板)上に、ITO透明電極6、ホール輸送層5、発光層4、電子障壁層2、陰極1(例えばアルミニュウム系電極)を真空蒸着法、もしくはゾルーゲル法、有機溶剤を用いた塗液での塗布法等で順次製膜したものである。
そして、陽極である透明電極と陰極との間に直流電圧を選択的に印加することによって、透明電極から注入されたホールが、ホール輸送層を経て、また陰極から注入された電子が電子輸送層を経て、それぞれ発光層に到達して電子−ホールの再結合が生じ、これが透明基板の側から発光として観察できる。
【0055】
そして、発光層に本発明の金属錯体を含有させるが、蒸着により発光層を作成する場合、▲1▼単独で蒸着さす場合、▲2▼同時にアルカリ金属含有化合物(例えばリチュウム−α−ナフチオラート)又は他の金属錯体(例えばAlq3)等を蒸着さす場合、▲3▼本発明の金属錯体を混合蒸着さす場合等において、金属錯体間には蒸着スピードに違いがあり、まず蒸着条件の高い金属錯体を蒸着した後に、低い金属錯体、アルカリ金属塩を順次蒸着することがこのましい。
【0056】
また別の作成法としては、本発明の金属錯体を適当な有機溶剤に溶解、分散させてスピンコーター等により塗布することによっても作成できる。更にはこれら電界発光性金属錯体を2種類以上を用いてもよい。更には、一般的な蛍光物質をドープしたような層であってもよい。これら蛍光物質としては、多環芳香族化合物である、アントラセン、ナフタレン、フェナントレン、ピレン、ぺリレン、及びクマリン、アクリジン、スチルベン及びその誘導体等をあげることができる。これらのドープ量は大体2%以下であればよい。
或いは前述の4−ジシアノメチレン−6−(P−ジエチルアミノスチリル)−2−メチル−4H−ピラン等の蛍光色素と混合してもよい。
【0057】
そして、陽極である透明電極と陰極との間に直流電圧を選択的に印加することによって、透明電極から注入されたホールが、ホール輸送層を経て、また陰極から注入された電子が電子輸送層を経て、それぞれ発光層に到達して電子−ホールの再結合が生じ、これが透明基板の側から観察できる。また電子障壁層を陰極層上に設けることにより、電子注入効果を高める。
電子障壁層の膜厚は基本的には単分子配列を構成するに必要な厚さであればよいが、通常は10Å程度の最低限の膜厚が必要である。この電子障壁層の材料としてイオン化傾向の大きな、ルモ準位を下げる金属の無機塩、有機塩があげられる。ただこれらの塩の多くは水分を含有しやすく、また加水分解し易いものが多い。代表的なものとしては、α、α、α−トリフロロ酢酸のリチュウム塩、各種リチュウムフェノラート、スルホネート等があげられる。
【0058】
蒸着により発光層を作成する場合、同時に同じ、または複数の発光材料を違った方向から蒸着さす方法、また数回に分けて段階的に蒸着さす方法等が適用される。更には、夫々の発光材料の蒸着スピードの違いを利用して、2層構成に近い発光層を形成することも可能である。
また別の作成法としては、発光材料を適当な有機溶剤(例えばDMSO、NMP)に溶解させてスピンコーター等により塗布することによっても作成できる。この様な場合、溶解性、密着性の点より、発光材料をアモルファス状態にしたほうがよい。これによく適応させるために、非対称構造、更には長鎖のアルキル、分岐のアルキル基を置換した構造にしたほうがよい。
【0059】
これらの層構成からなる有機EL素子の作成順序について、まず透明電極6の上にホール輸送層5を作成し、次いで発光層4(電子輸送の機能を有する)、電子障壁層2を順次作成し、最後にアルミニュウム(リチュウム金属、リチュウム金属イオン化物をドープしたアルミニュウム)を主体とする陰極を設ける方法が一般的である。基本的には発光層は電子輸送性有するが、この作用を別の材料によって電子輸送層3として発光層、電子障壁層の間に設けてもよい(図2)。これら材料としては、テトラセン、ペンタセン、テトラフェニレン、ジフェニルオキサジアゾール等の縮合多環式炭化水素化合物、複素環化合物が代表的な材料としてあげられる。
【0060】
図3は、本発明に基づく有機EL素子 の他の一例を示したものである。まず透明基板7(例えばガラス基板)上に、ITO透明電極6、ホール輸送層5、発光層4、電子輸送層3、陰極1を真空蒸着法で順次製膜したものである。
そして、陽極である透明電極と陰極との間に直流電圧を選択的に印加することによって、透明電極から注入されたホールが、ホール輸送層を経て、また陰極から注入された電子が電子輸送層を経て、それぞれ発光層に到達して電子−ホールの再結合が生じ、これが透明基板の側から観察できる。
【0061】
発光層に本発明の金属錯体を含有させるが、蒸着により発光層を作成する場合、単独で蒸着する方法、同時にアルカリ金属塩、他の電子性発光材料を蒸着する方法、また複数回に分けて蒸着さす方法等が適用される。異なった材料を蒸着さす場合、これら材料間には蒸着スピードに違いがあり、蒸着スピードの遅い材料から蒸着するのが好ましい。 また別の作成法としては、これらアルカリ金属塩と電子性発光材料とを適当な有機溶剤に溶解させてスピンコーター等により塗布することによっても作成できる。これら電子性発光材料とアルカリ金属塩を2種類以上用いてもよい。アルカリ金属塩の発光層中の占める割合は発光材料1当量に対して1当量以下が好ましく、これ以上になると、ガラス転移点が低くなり、熱的な劣化が起りやすくなり、更には発光開始電圧の上昇傾向が認められる。また0、01当量以下であれとそのドープ効果が認められない。このため 0、1当量前後が大体最適なドープ量である。更には、前述の電子性輸送物質をさらにドープしたような層であってもよい。この場合、そのドープ量は大体2%以下であればよい。更にはこれら材料を電子性輸送層として陰極と発光層の間に設けてもよい。
【0062】
その膜厚は発光層とほぼ同じであればよい。この電子輸送層を設けた場合にはこの層中にもアルカリ金属塩をドープしたほうが駆動開始電圧を下げる場合が多い。そのドープの割合については30%モル以上が効果的である。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、これにより本発明の要旨がなんら制限をうけるものではない。
【0063】
【実施例】
実施例1〜6:
真空蒸着法により、ITOを蒸着したガラス基板の上に、真空蒸着により、約35nmの膜圧の下記構造式からなる、ビスエナミン化合物のホール輸送層を形成した。次いで、このホール輸送層の上に先に例示した配位子とアルミニュウム(即ちMがAl)からなる金属錯体6種類を真空蒸着により積層した。これらの膜厚は40nmから50nmの間におさまっていた。これら電子性発光層の上にα−ナフトールのリチュウム塩のDMF溶液をスピンコートし、次いで、Mg−Ag合金(陰極)を真空蒸着により積層することにより有機電界発光素子(有機EL素子)を作成した。この時の透明電極(陽極)の膜厚は50nm、リチュウム塩の膜厚は約40nm、陰極の膜厚は50nmであった。
【0064】
【化39】
Figure 2004134289
【0065】
尚、上記各層の真空蒸着条件については次のとおりである。
Figure 2004134289
これら各有機EL素子の発光スペクトルの最大波長について光電子増倍管により測定した。
尚、この時の印加電圧はどれも18(V)である。印加電圧18(V)の時流れた電流値、更には発光開始印加電圧を測定し、これら測定値を表1に記載した。
【0066】
【表1】
Figure 2004134289
【0067】
表1よりこれら素子は緑色から赤色の発光を示し、10V以下の低い発光開始電圧を有していることが判明した。特にRとRが結合することにより多環芳香環を形成した配位子から構成されるアルミ金属錯体を発光材料として用いた電界発光素子(6−3,6−10,6−15)は、橙色から赤色の発光特性を有していた。
【0068】
実施例7〜10:
電子性発光材料として、実施例1〜5の金属錯体の代わりに、次に示す配位子と亜鉛からなる金属錯体4種類を用いた以外、ほぼ実施例1〜6に準じて有機EL素子を作成した。
尚、電子輸送層としてリチュウム塩層と発光層の間にジフェニルオキサゾールからなる膜厚20nmの電子輸送層を真空蒸着法により設けた。唯、このとき電子輸送層とリチュウム金属塩層の界面は、断面写真より少し崩れていた。このことはリチュウムイオンが電子輸送層に拡散した状態であることを示している。
【0069】
【表2】
Figure 2004134289
【0070】
表2からも表1と同様なことが言える。また、電流値については、キノリン化合物を配位子とした錯体を発光材料とした素子が高い値を示していた。このことはこれら素子が大きな輝度をもっていることを示唆している。特にNo5−7の金属錯体を発光材料として用いた電界発光素子は赤橙色の発光を示していた。表1及び表2において配位子構造が多環構造を有している金属錯体からなる電界発光素子は相対的に長波長発光する傾向が強いことがいえる。
【0071】
実施例11及び12:
上記実施例のうち、実施例5及び9の有機EL素子について、リチュウム塩層フリーの系での素子について、印加電圧18(V)の時流れた電流値及び輝度、更には発光開始印加電圧を測定し、これら測定値を表3に記載した。
尚、実施例11が実施例5に、実施例12が実施例9に対応している。
【0072】
【表3】
Figure 2004134289
【0073】
表3よりリチュウム金属層を陰極側に設けることにより、発光開始電圧を下げる効果を有していることが、これにより確かめられた。
【0074】
実施例13〜18:
電子性発光材料として、実施例1〜5の金属錯体の代わりに、表4に示す配位子とアルミニュウムからなる金属錯体5種類を用いた以外、ほぼ実施例1〜5に準じて有機EL素子を作成した。
尚、電子輸送層としてリチュウム塩層と発光層の間にルブレンからなる膜厚20nmの電子輸送層を真空蒸着法により設けた。唯、この時電子輸送層とリチュウム金属塩層の界面は、断面写真より少し崩れていた。このことはリチュウムイオンが電子輸送層に拡散した状態であることを示している。尚、電子輸送層と金属錯体層からなる発光層の界面がはっきりと認められた。
これらの有機EL素子について実施例1〜5及び11、12と同様にして、印加電圧18(V)での電流値、その時の輝度、最大発光波長、及び発光開始電圧について測定を行った。その結果を表4に記載した。
【0075】
【表4】
Figure 2004134289
【0076】
尚、実施例18の金属錯体の配位子は実施例17と同じであり、中核金属がオスニウムである。
【0077】
表4からこれら3価の金属からなる、有機EL素子はほとんどが青色から赤味がかった発光を示す。この中でも配位子のトリアザインデンの3位に多環芳香属基が置換され、かつ、多価格の芳香族のフェノラートからなる発光材料から構成されている有機EL素子は全般的に輝度が大きい傾向を有している。更にこれらの中で芳香環集合型のものは、より長波長に発光がシフトしていることが認められる。(実施例16,17,18)
【0078】
実施例19〜21:
実施例5、15、17の3種類の有機EL素子を印加電圧18(V)において、初期発光輝度が消滅するに要した時間について測定した。その結果、それぞれ約7時間、23時間、25時間であり、この原因について調べたところ、発光層とホール輸送層、または電子障壁層の間において、空壁が生じこれによる、この個所に過重な電流が流れたことによる、発光材料の分解と考えられる。
このことから一般式(6)の金属錯体のほうが、相対的に層間における密着性がよいことが言える。
【0079】
【発明の効果】
本発明の特定の構造を有する金属錯体は、紫色から緑色発光を有する材料であり、この金属錯体を光学的素子、特に有機EL素子の電子輸送性を保持した発光材料に用いた場合、高輝度、低電圧の発光素子が得られる。更にはこれらを適度にブレンドすることにより劣化の少ない、安定性に優れた発光素子が得られる。また、これら金属錯体は既存の汎用性のある原料から容易に合成される。このため純度の点でも問題がない。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明に基づく有機EL素子の概略断面図である。
【図2】図2は本発明に基づく別の有機EL素子の概略断面図である。
【図3】図3は本発明に基づく別の有機EL素子の概略断面図である。
【符号の説明】
1 陰極
2 電子輸送層
3 発光層
4 ホール輸送層
5 電子障壁層
6 透明電極(陽極)
7 透明基板
8 電源
19 発光

Claims (11)

  1. 陽極及び陰極、並びにこれら電極の間に配設された少なくとも1層の有機層を有する電界発光素子において、該有機層に下記一般式(1)で示されるトリアザインデン化合物を配位子とする金属錯体を含有することを特徴とする有機電界発光素子。
    Figure 2004134289
    ・・・(1)
    (式中、R〜Rはそれぞれ独立して低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロゲン又は水素を表し、R、Rはそれぞれ低級アルキル基又は水素原子を表し、RとR、RとR、RとR及びRとRは互いに結合して芳香環を形成してもよい。)
  2. 一般式(1)で示される配位化合物が下記一般式(2)で示されるトリアザインデン化合物である請求項1記載の有機電界発光素子。
    Figure 2004134289
    ・・・(2)
    (式中、R、Rは一般式(1)と同義である。)
  3. 一般式(1)で示される配位化合物が下記一般式(3)で示されるトリアザインデン化合物である請求項1記載の有機電界発光素子。
    Figure 2004134289
    ・・・(3)
    (式中、R、Rは一般式(1)と同義である。)
  4. 一般式(1)で示される配位化合物が下記一般式(4)で示されるトリアザインデン化合物である請求項1記載の有機電界発光素子。
    Figure 2004134289
    ・・・(4)
    (式中、Rはメチル基、メとキシ基、ハロゲン又は水素を表し、R、Rは一般式(1)と同義である。)
  5. 金属錯体が2価又は3価の金属から構成されているものである請求項1〜4のいずれかに記載の有機電界発光素子。
  6. 金属錯体が下記一般式(5)又は(6)で示されるトリアザインデン化合物である請求項5記載の有機電界発光素子。
    Figure 2004134289
    ・・・(5)
    (式中、Mは2価の金属を表し、R〜Rは一般式(1)と同義である。)
    Figure 2004134289
    ・・・(6)
    (式中、Mは3価の金属を表し、Aはそれぞれ置換、非置換のアルキル基、アラルキル基若しくはアリール基を表す。R〜Rは一般式(1)と同義である。)
  7. Aが炭素数12から18のジフェニル基、ジフェニルエーテル基、ターフェニル基、ターフェニルエーテル基である請求項6記載の有機電界発光素子。
  8. 金属錯体が同一金属からなる複合体である請求項1〜4のいずれかに記載の有機電界発光素子。
  9. 3価の金属がアルミニウムである請求項1〜8のいずれかに記載の有機電界発光素子。
  10. 2価の金属がベリリウム又は亜鉛である請求項1〜6又は請求項8のいずれかに記載の有機電界発光素子。
  11. エナミン構造を有する芳香族化合物をホール輸送材料として用いた請求項1記載の有機電界発光素子。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2013136978A1 (ja) * 2012-03-16 2013-09-19 国立大学法人岐阜大学 イミダゾ[1,5-a]ピリジン誘導体を配位子とする錯化合物

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