JP2004131892A - 古紙パルプの製造方法および紙 - Google Patents
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Abstract
【課題】原料となる古紙がホットメルト等の背糊や、コンパクトディスク等を含む場合に好適な古紙パルプの製造方法を提供する。
【解決手段】無選別古紙を離解し繊維懸濁液とする離解工程と、離解工程を経た懸濁液から夾雑物を除去する工程と、粗選工程を経た懸濁液からインキ・夾雑物をフローテイションにより除去するフローテイション工程と、フローテイション工程を経た懸濁液を0.12mm以下のスリット幅を有するスクリーンを備える分級装置により、短繊維と長繊維とに分級率10%以上で分級する分級工程と、を含む古紙パルプの製造方法。
【選択図】図1
【解決手段】無選別古紙を離解し繊維懸濁液とする離解工程と、離解工程を経た懸濁液から夾雑物を除去する工程と、粗選工程を経た懸濁液からインキ・夾雑物をフローテイションにより除去するフローテイション工程と、フローテイション工程を経た懸濁液を0.12mm以下のスリット幅を有するスクリーンを備える分級装置により、短繊維と長繊維とに分級率10%以上で分級する分級工程と、を含む古紙パルプの製造方法。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、古紙パルプの製造方法に関し、特に、原料となる古紙がホットメルト等の背糊や、コンパクトディスク等を含む場合に好適な古紙パルプの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
再生紙の原料となる古紙パルプは、新聞紙やチラシ等のように多種類の夾雑物が出にくい古紙を溶解して懸濁液となした後、夾雑物の除去処理、脱墨処理、漂白処理、漂白処理を順に経て製造するのが一般的であり、雑誌や書物などの古紙はほとんど利用されていない。これは、雑誌や書物等の古紙は、ホットメルト等の背糊が残存していたり、付録としてコンパクトディスク(以下、単にCDという。)等がページ間に挟まれていたりするため、生産性が下がる虞や、再生紙の品質劣化、印字障害等を招く虞があるためである。
【0003】
しかしながら、資源の有効利用という観点からは、雑誌や書物等の古紙も利用するのが望ましい。特に、雑誌や書物等の古紙を新聞紙やチラシ紙等の古紙と選別することなく利用することができれば、古紙選別の手間が省けるという点でも望ましい。
【0004】
そこで、本出願人は、先の特開平2002−155482号公報に示されるように、ホットメルトやCD等の熱溶融性かつアルカリ溶融性の材料を含む古紙を選別せずにそのまま利用することができる、経済的な古紙パルプの製造方法を提案した。
【特許文献】
特開平2002−155482号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記発明によりホットメルトやCD等の粗い夾雑物の分離除去に関しては概ね解決されたが、原料となる古紙を無選別とすると、原料古紙中に良質なパルプ繊維を含む古紙(以下、良質古紙ともいう。)があっても、他の質の悪いパルプ繊維を含む古紙(以下、粗悪古紙)の影響により、得られる古紙パルプの品質を向上させることが困難であった。また、無選別古紙では良質古紙と粗悪古紙の配合割合も一定ではないため、一定品質の古紙パルプを得ることが困難であった。そのため、無選別古紙を原料として高品質の古紙パルプを製造すること、また無選別古紙を原料とする古紙パルプから印刷用となりうる再生紙を製造することは、依然として困難な状況にあった。
【0006】
そこで、本発明の主たる課題は、無選別古紙から一定品質のパルプを安定して生産できるようにすることにある。他の課題は、無選別古紙から得られる古紙パルプおよびそれを原料とする再生紙の品質量化を図ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決した本発明およびその作用効果は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
無選別古紙を離解し繊維懸濁液とする離解工程と、
離解工程を経た懸濁液から夾雑物を除去する粗選工程と、
粗選工程を経た懸濁液からインキ・夾雑物をフローテーションにより除去するフローテーション工程と、
フローテーション工程を経た懸濁液を0.12mm以下のスリット幅を有するスクリーンを備える分級装置により短繊維と長繊維とに分級率10%以上で分級する分級工程と、を含むことを特徴とする古紙パルプの製造方法。
【0008】
<請求項2記載の発明>
分級処理後に長繊維と短繊維とを別々に処理し、各繊維からそれぞれ古紙パルプを製造する請求項1記載の古紙パルプの製造方法。
【0009】
<請求項3記載の発明>
請求項2記載の発明により得られる短繊維由来の古紙パルプおよび長繊維由来の古紙パルプの少なくとも一方のパルプを含むパルプ原料を抄紙してなることを特徴とする紙。
【0010】
(作用効果)
選別された古紙原料から古紙パルプを製造する従来方法において、繊維の分級操作をすることは行われていたが、無選別の古紙から古紙パルプを製造する方法において繊維の分級操作をする例はない。無選別の古紙を原料として古紙パルプを製造するにあたっては、従来の選別古紙を原料とする古紙パルプの製造方法とは異なり、CD、ビニール等の夾雑物の除去操作等、従来製造方法とは異質の工程を有する。また、含まれる繊維(分級対象となる繊維)の質や繊維長の幅も異なる。従って、従来製造方法に従って単純に工程内に分級操作を組み込んでも、本発明の効果は得られない。上記の本発明は、このような従来に例のない状況のなか、本発明者らが、分級操作をどの段階またどのような態様で行うべきかを鋭意研究した結果、実現されたのである。そしてその本発明に従って、CD、ビニール等の無選別古紙由来の夾雑物を除去し、その後、さらにフローテーション処理を行った後に、スリット幅分0.12mm以下の分級装置にて、短繊維と長繊維とに分級率10%で分級操作することにより、無選別古紙から印刷用紙等に適用可能な短繊維とその他の用途に可能な長繊維とを得ることができるようになる。
【0011】
さらに、請求項2記載の発明では、上記分級により得られた長繊維および短繊維を別々に処理、例えば、スクリーン、クリーナー、ニーダー等の混練機によりそれぞれに適した処理、を適宜別々に施して、それぞれについて古紙パルプを製造する。短繊維については分級処理により一定繊維長以上のものは含まれておらず、この短繊維を処理して得られる古紙パルプは一定品質でありかつ高品質である。そして、この短繊維由来の古紙パルプを原料として、印刷用紙を製造することで、従来、選別された古紙でなければ製造が困難であった印刷用紙を、無選別古紙から得られる古紙パルプを原料として製造することが可能となる。この場合において、前記短繊維については、より高品質な古紙パルプとすべく、印刷用紙に適する他のパルプに10%以上配合し、かかる配合により得られる古紙パルプを原料として、印刷用紙を製造することもできる。他方で、長繊維については、長繊維で事足りる用途、すなわち短繊維の含有率が高い高品質のパルプをさほど必要としない用途、例えば、新聞用紙や出版用紙に使用することができる。かかる用途に使用するのであれば、長繊維は、他の高品質パルプ原料と混合することなく古紙パルプを製造することができる。
【0012】
このようにして、短繊維と長繊維とに分級することにより、無選別古紙を原料として印刷用紙を製造できるようになるとともに、無駄のない環境保護の観点からも好ましい製造方法が構築できるようになる。
【0013】
また、本発明により得られる短繊維由来のパルプと長繊維由来のパルプを適宜配合して、各種用途に適した紙を製造することもできる。紙には、印刷用、新聞用、出版用等、種々の目的に適するものが存在するが、それらは原料となるパルプの繊維長分布により性能が異ならしめられていることがある。従って、本発明により得られる短繊維由来のパルプと長繊維由来のパルプとを、所望の用途に適するように適宜配合して抄紙し、各種用途に適した紙を製造することができる。これにより、無選別古紙から各種用途に適する様々な紙が得られる。
【0014】
さらには、長繊維由来のパルプと他のパルプを混合したパルプを原料として、短繊維由来のパルプと他のパルプとを混合したパルプを原料として、それぞれ種々の用途に適する紙を製造することもできる。
【0015】
もちろん、短繊維由来の古紙パルプのみを用いて紙を製造してもよいし、長繊維のみを用いて紙を製造することもできる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を詳説する。
図1は、本発明に係る再生紙製造フローを示している。本発明では、新聞紙、チラシのほか、雑誌古紙、書物等が混在した無選別古紙が使用される。原料古紙は、無選別のまま先ずパルパー等の機械攪拌式離解装置1に投入され、水等の溶解液中で離解され、繊維懸濁液とされる(離解工程)。
【0017】
離解処理においては、水酸化ナトリウムや珪酸ナトリウム等のアルカリ剤を主体とする脱墨薬品(通常は界面活性剤のほか、珪酸ナトリウム及び炭酸ナトリウムの少なくとも一方を含む緩衝材等を加える)を添加することができる。また、離解処理は、同種の又は異種の離解装置(高濃度パルパーと低濃度パルパーとの組合せ等)による複数段処理とすることもできる。
【0018】
離解工程から得られた懸濁液は、次に夾雑物除去工程に移され、必要に応じて補助離解装置によって機械攪拌力により懸濁液中の未離解パルプ繊維が離解されるとともに夾雑物が実質的に微細化され、その後に比重差分離装置(所謂クリーナー)によりCD砕片やステープル等の除去が行われる。(粗選工程2)
【0019】
かかる粗選工程2により粗い夾雑物が除去された懸濁液は、直接または他の処理を介してフローテーター3に送られ、インキ・夾雑物がフローテーションにより除去される。フローテーター3としては公知のあらゆる装置を利用できる。
【0020】
特徴的には、本発明では、前記フローテーション処理3の後に、0.12mm以下、特に0.05〜0.12mmのスリット幅を有するスクリーンを備える分級装置4により繊維懸濁液を分級処理して短繊維Sと長繊維Lとに分級する。スリット幅を0.12mm以上とした場合には、印刷用紙に好適な短繊維を得ることが困難となる。また、スリット幅が0.05mm未満となると分級装置への負荷が増大して分級処理が好適に行えなくなる。
【0021】
さらに、本実施の形態では、図示のように分級装置4、より具体的には分級装置のスクリーンのアクセプト側[短繊維Sが得られる側](または後述するようにリジェクト側[長繊維Lが得られる側]であっても良い)に自動夾雑物測定器Mを設けるのが好ましい。自動夾雑物測定器Mとしては、夾雑物の個数をオンライン測定するものが用いられる。そして、その測定結果は図示しない制御装置に送信される。制御装置は、測定結果が目標値以下となるように、当該分級装置4の流量制御を介して分級率(リジェクト率)を10%以上の領域で、特に10〜50%の範囲で自動制御する。分級率が10%未満では短繊維Sを通過させるのが困難となり、50%を超えると収率が極端に悪化する。この目標値は適宜設定することができ、例えば最終的な製品古紙パルプにおける短繊維あるいは長繊維の夾雑物量の目標値(最終目標値)とすることができる。
【0022】
そして、このように0.12mm以下の非常に微小なスリット幅または孔径を有するスクリーンを備える分級装置4による分級と、分級装置4の分級率の自動フィードバック制御とを組み合わせることによって、前述のとおり、先行例のような問題点は実質的に存在せず、無選別古紙の繊維種類および繊維長の多様性、経時的変動性に常に対応した制御が可能となるとともに、収率低下を最小限に抑えながら、分級処理を確実に行えるようになる。
【0023】
特に図示の実施形態では、かかる分級管理を行い、分級装置4のアクセプト物すなわち短繊維Sに基づき製造ラインAにより古紙パルプを製造する一方で、分級装置4のリジェクト物すなわち長繊維Lを前記短繊維Sとは別の製造ラインBで更に古紙パルプを製造し、両繊維より古紙パルプを製造物として得るように構成してある。かかる構成を採ることにより、微小なスリット等を有する分級装置と高分級率との組合せによる収率低下の問題を根本的に解決できる。
【0024】
この分級処理後の短繊維および長繊維から古紙パルプを製造する製造ラインA、B中には、比重差分離装置や、スクリーニング装置、フローテーション装置等により各種処理等を施して製造することができる。比重差分離装置としては所謂クリーナーを用いることができる。またスクリーニングには、ホールスクリーンやスリットスクリーンを用いることができ、また必要に応じて複数段、複数種のスクリーンを使用することができる。その他、機械的攪拌によるインキ・夾雑物の微細化及びその懸濁液中への分散を行う分散処理(所謂ニーダーまたはディスパーザーを使用できる)、パルプ洗浄機による洗浄等を適宜組み合わせて処理することもできる。特に長繊維については、スクリーンによる夾雑物の除去処理を再度行うようにするのが望ましい。
【0025】
上記のようにして、短繊維Sを処理して得られる古紙パルプは、分級処理により一定繊維長以下であることが担保され高品質であり、これを原料パルプとすれば印刷用紙となりうる高品質再生紙を製造できる。この高品質再生紙の製造において、短繊維の収量が多く望めない場合やより高品質な印刷用紙を得る場合等には、短繊維Sを処理した古紙パルプを他パルプへ配合することとしてもよい。この配合割合は、混合する他のパルプの品質あるいは短繊維の収量等によって適宜変更することができる。
【0026】
一方、長繊維を処理して得られる古紙パルプは、印刷用紙ほど短繊維を多く含む高品質パルプを必要としない用途、例えば、新聞用紙あるいは雑誌等の各種出版用紙とする。
【0027】
かくして無選別古紙を原料としても、印刷用紙として利用可能な古紙パルプが製造できる。
【0028】
(その他)
(イ)本発明でいう「分級率(リジェクト率)の変更」には、上記例のような自動制御の他、自動夾雑物測定器の数値を管理し、適宜(すなわち非自動で)分級率の設定を変えることも含まれる。
【0029】
(ロ)上記実施形態では、自動繊維物性測定器が分級装置のアクセプト側に設置されているが、これに代えて分級装置4のリジェクト側に設置することもできる。
【0030】
【実施例】
本発明に従って得られた短繊維由来のパルプを抄紙して得た印刷用紙(実施例)と、従来の上質古紙パルプを原料とする印刷用紙(従来例)とについて平滑感、白色感および印刷適性を比較検討した。なお、実施例にかかる印刷用紙は、従来例と同様の抄紙法により製造した。平滑感は手で触って平滑具合を確認し、白色感については目視にて確認し、印刷適性については実際にレーザープリンタにより印刷を行いその印刷具合を目視にて確認した。
【0031】
比較検討の結果、実施例にかかる印刷用紙は、従来例にかかる印刷用紙と遜色ないものであることが確認できた。
【0032】
【発明の効果】
以上詳述のとおり、本発明によれば、無選別古紙から一定品質のパルプを安定して生産できるようになり、また、無選別古紙から得られる古紙パルプおよびそれを原料とする再生紙の品質量化が図られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態のフロー図である。
【符号の説明】
1…離解装置、2…粗選設備、3…フローテーター、4…分級装置、L…長繊維、S…短繊維、M…自動夾雑物測定機。
【発明の属する技術分野】
本発明は、古紙パルプの製造方法に関し、特に、原料となる古紙がホットメルト等の背糊や、コンパクトディスク等を含む場合に好適な古紙パルプの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
再生紙の原料となる古紙パルプは、新聞紙やチラシ等のように多種類の夾雑物が出にくい古紙を溶解して懸濁液となした後、夾雑物の除去処理、脱墨処理、漂白処理、漂白処理を順に経て製造するのが一般的であり、雑誌や書物などの古紙はほとんど利用されていない。これは、雑誌や書物等の古紙は、ホットメルト等の背糊が残存していたり、付録としてコンパクトディスク(以下、単にCDという。)等がページ間に挟まれていたりするため、生産性が下がる虞や、再生紙の品質劣化、印字障害等を招く虞があるためである。
【0003】
しかしながら、資源の有効利用という観点からは、雑誌や書物等の古紙も利用するのが望ましい。特に、雑誌や書物等の古紙を新聞紙やチラシ紙等の古紙と選別することなく利用することができれば、古紙選別の手間が省けるという点でも望ましい。
【0004】
そこで、本出願人は、先の特開平2002−155482号公報に示されるように、ホットメルトやCD等の熱溶融性かつアルカリ溶融性の材料を含む古紙を選別せずにそのまま利用することができる、経済的な古紙パルプの製造方法を提案した。
【特許文献】
特開平2002−155482号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記発明によりホットメルトやCD等の粗い夾雑物の分離除去に関しては概ね解決されたが、原料となる古紙を無選別とすると、原料古紙中に良質なパルプ繊維を含む古紙(以下、良質古紙ともいう。)があっても、他の質の悪いパルプ繊維を含む古紙(以下、粗悪古紙)の影響により、得られる古紙パルプの品質を向上させることが困難であった。また、無選別古紙では良質古紙と粗悪古紙の配合割合も一定ではないため、一定品質の古紙パルプを得ることが困難であった。そのため、無選別古紙を原料として高品質の古紙パルプを製造すること、また無選別古紙を原料とする古紙パルプから印刷用となりうる再生紙を製造することは、依然として困難な状況にあった。
【0006】
そこで、本発明の主たる課題は、無選別古紙から一定品質のパルプを安定して生産できるようにすることにある。他の課題は、無選別古紙から得られる古紙パルプおよびそれを原料とする再生紙の品質量化を図ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決した本発明およびその作用効果は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
無選別古紙を離解し繊維懸濁液とする離解工程と、
離解工程を経た懸濁液から夾雑物を除去する粗選工程と、
粗選工程を経た懸濁液からインキ・夾雑物をフローテーションにより除去するフローテーション工程と、
フローテーション工程を経た懸濁液を0.12mm以下のスリット幅を有するスクリーンを備える分級装置により短繊維と長繊維とに分級率10%以上で分級する分級工程と、を含むことを特徴とする古紙パルプの製造方法。
【0008】
<請求項2記載の発明>
分級処理後に長繊維と短繊維とを別々に処理し、各繊維からそれぞれ古紙パルプを製造する請求項1記載の古紙パルプの製造方法。
【0009】
<請求項3記載の発明>
請求項2記載の発明により得られる短繊維由来の古紙パルプおよび長繊維由来の古紙パルプの少なくとも一方のパルプを含むパルプ原料を抄紙してなることを特徴とする紙。
【0010】
(作用効果)
選別された古紙原料から古紙パルプを製造する従来方法において、繊維の分級操作をすることは行われていたが、無選別の古紙から古紙パルプを製造する方法において繊維の分級操作をする例はない。無選別の古紙を原料として古紙パルプを製造するにあたっては、従来の選別古紙を原料とする古紙パルプの製造方法とは異なり、CD、ビニール等の夾雑物の除去操作等、従来製造方法とは異質の工程を有する。また、含まれる繊維(分級対象となる繊維)の質や繊維長の幅も異なる。従って、従来製造方法に従って単純に工程内に分級操作を組み込んでも、本発明の効果は得られない。上記の本発明は、このような従来に例のない状況のなか、本発明者らが、分級操作をどの段階またどのような態様で行うべきかを鋭意研究した結果、実現されたのである。そしてその本発明に従って、CD、ビニール等の無選別古紙由来の夾雑物を除去し、その後、さらにフローテーション処理を行った後に、スリット幅分0.12mm以下の分級装置にて、短繊維と長繊維とに分級率10%で分級操作することにより、無選別古紙から印刷用紙等に適用可能な短繊維とその他の用途に可能な長繊維とを得ることができるようになる。
【0011】
さらに、請求項2記載の発明では、上記分級により得られた長繊維および短繊維を別々に処理、例えば、スクリーン、クリーナー、ニーダー等の混練機によりそれぞれに適した処理、を適宜別々に施して、それぞれについて古紙パルプを製造する。短繊維については分級処理により一定繊維長以上のものは含まれておらず、この短繊維を処理して得られる古紙パルプは一定品質でありかつ高品質である。そして、この短繊維由来の古紙パルプを原料として、印刷用紙を製造することで、従来、選別された古紙でなければ製造が困難であった印刷用紙を、無選別古紙から得られる古紙パルプを原料として製造することが可能となる。この場合において、前記短繊維については、より高品質な古紙パルプとすべく、印刷用紙に適する他のパルプに10%以上配合し、かかる配合により得られる古紙パルプを原料として、印刷用紙を製造することもできる。他方で、長繊維については、長繊維で事足りる用途、すなわち短繊維の含有率が高い高品質のパルプをさほど必要としない用途、例えば、新聞用紙や出版用紙に使用することができる。かかる用途に使用するのであれば、長繊維は、他の高品質パルプ原料と混合することなく古紙パルプを製造することができる。
【0012】
このようにして、短繊維と長繊維とに分級することにより、無選別古紙を原料として印刷用紙を製造できるようになるとともに、無駄のない環境保護の観点からも好ましい製造方法が構築できるようになる。
【0013】
また、本発明により得られる短繊維由来のパルプと長繊維由来のパルプを適宜配合して、各種用途に適した紙を製造することもできる。紙には、印刷用、新聞用、出版用等、種々の目的に適するものが存在するが、それらは原料となるパルプの繊維長分布により性能が異ならしめられていることがある。従って、本発明により得られる短繊維由来のパルプと長繊維由来のパルプとを、所望の用途に適するように適宜配合して抄紙し、各種用途に適した紙を製造することができる。これにより、無選別古紙から各種用途に適する様々な紙が得られる。
【0014】
さらには、長繊維由来のパルプと他のパルプを混合したパルプを原料として、短繊維由来のパルプと他のパルプとを混合したパルプを原料として、それぞれ種々の用途に適する紙を製造することもできる。
【0015】
もちろん、短繊維由来の古紙パルプのみを用いて紙を製造してもよいし、長繊維のみを用いて紙を製造することもできる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を詳説する。
図1は、本発明に係る再生紙製造フローを示している。本発明では、新聞紙、チラシのほか、雑誌古紙、書物等が混在した無選別古紙が使用される。原料古紙は、無選別のまま先ずパルパー等の機械攪拌式離解装置1に投入され、水等の溶解液中で離解され、繊維懸濁液とされる(離解工程)。
【0017】
離解処理においては、水酸化ナトリウムや珪酸ナトリウム等のアルカリ剤を主体とする脱墨薬品(通常は界面活性剤のほか、珪酸ナトリウム及び炭酸ナトリウムの少なくとも一方を含む緩衝材等を加える)を添加することができる。また、離解処理は、同種の又は異種の離解装置(高濃度パルパーと低濃度パルパーとの組合せ等)による複数段処理とすることもできる。
【0018】
離解工程から得られた懸濁液は、次に夾雑物除去工程に移され、必要に応じて補助離解装置によって機械攪拌力により懸濁液中の未離解パルプ繊維が離解されるとともに夾雑物が実質的に微細化され、その後に比重差分離装置(所謂クリーナー)によりCD砕片やステープル等の除去が行われる。(粗選工程2)
【0019】
かかる粗選工程2により粗い夾雑物が除去された懸濁液は、直接または他の処理を介してフローテーター3に送られ、インキ・夾雑物がフローテーションにより除去される。フローテーター3としては公知のあらゆる装置を利用できる。
【0020】
特徴的には、本発明では、前記フローテーション処理3の後に、0.12mm以下、特に0.05〜0.12mmのスリット幅を有するスクリーンを備える分級装置4により繊維懸濁液を分級処理して短繊維Sと長繊維Lとに分級する。スリット幅を0.12mm以上とした場合には、印刷用紙に好適な短繊維を得ることが困難となる。また、スリット幅が0.05mm未満となると分級装置への負荷が増大して分級処理が好適に行えなくなる。
【0021】
さらに、本実施の形態では、図示のように分級装置4、より具体的には分級装置のスクリーンのアクセプト側[短繊維Sが得られる側](または後述するようにリジェクト側[長繊維Lが得られる側]であっても良い)に自動夾雑物測定器Mを設けるのが好ましい。自動夾雑物測定器Mとしては、夾雑物の個数をオンライン測定するものが用いられる。そして、その測定結果は図示しない制御装置に送信される。制御装置は、測定結果が目標値以下となるように、当該分級装置4の流量制御を介して分級率(リジェクト率)を10%以上の領域で、特に10〜50%の範囲で自動制御する。分級率が10%未満では短繊維Sを通過させるのが困難となり、50%を超えると収率が極端に悪化する。この目標値は適宜設定することができ、例えば最終的な製品古紙パルプにおける短繊維あるいは長繊維の夾雑物量の目標値(最終目標値)とすることができる。
【0022】
そして、このように0.12mm以下の非常に微小なスリット幅または孔径を有するスクリーンを備える分級装置4による分級と、分級装置4の分級率の自動フィードバック制御とを組み合わせることによって、前述のとおり、先行例のような問題点は実質的に存在せず、無選別古紙の繊維種類および繊維長の多様性、経時的変動性に常に対応した制御が可能となるとともに、収率低下を最小限に抑えながら、分級処理を確実に行えるようになる。
【0023】
特に図示の実施形態では、かかる分級管理を行い、分級装置4のアクセプト物すなわち短繊維Sに基づき製造ラインAにより古紙パルプを製造する一方で、分級装置4のリジェクト物すなわち長繊維Lを前記短繊維Sとは別の製造ラインBで更に古紙パルプを製造し、両繊維より古紙パルプを製造物として得るように構成してある。かかる構成を採ることにより、微小なスリット等を有する分級装置と高分級率との組合せによる収率低下の問題を根本的に解決できる。
【0024】
この分級処理後の短繊維および長繊維から古紙パルプを製造する製造ラインA、B中には、比重差分離装置や、スクリーニング装置、フローテーション装置等により各種処理等を施して製造することができる。比重差分離装置としては所謂クリーナーを用いることができる。またスクリーニングには、ホールスクリーンやスリットスクリーンを用いることができ、また必要に応じて複数段、複数種のスクリーンを使用することができる。その他、機械的攪拌によるインキ・夾雑物の微細化及びその懸濁液中への分散を行う分散処理(所謂ニーダーまたはディスパーザーを使用できる)、パルプ洗浄機による洗浄等を適宜組み合わせて処理することもできる。特に長繊維については、スクリーンによる夾雑物の除去処理を再度行うようにするのが望ましい。
【0025】
上記のようにして、短繊維Sを処理して得られる古紙パルプは、分級処理により一定繊維長以下であることが担保され高品質であり、これを原料パルプとすれば印刷用紙となりうる高品質再生紙を製造できる。この高品質再生紙の製造において、短繊維の収量が多く望めない場合やより高品質な印刷用紙を得る場合等には、短繊維Sを処理した古紙パルプを他パルプへ配合することとしてもよい。この配合割合は、混合する他のパルプの品質あるいは短繊維の収量等によって適宜変更することができる。
【0026】
一方、長繊維を処理して得られる古紙パルプは、印刷用紙ほど短繊維を多く含む高品質パルプを必要としない用途、例えば、新聞用紙あるいは雑誌等の各種出版用紙とする。
【0027】
かくして無選別古紙を原料としても、印刷用紙として利用可能な古紙パルプが製造できる。
【0028】
(その他)
(イ)本発明でいう「分級率(リジェクト率)の変更」には、上記例のような自動制御の他、自動夾雑物測定器の数値を管理し、適宜(すなわち非自動で)分級率の設定を変えることも含まれる。
【0029】
(ロ)上記実施形態では、自動繊維物性測定器が分級装置のアクセプト側に設置されているが、これに代えて分級装置4のリジェクト側に設置することもできる。
【0030】
【実施例】
本発明に従って得られた短繊維由来のパルプを抄紙して得た印刷用紙(実施例)と、従来の上質古紙パルプを原料とする印刷用紙(従来例)とについて平滑感、白色感および印刷適性を比較検討した。なお、実施例にかかる印刷用紙は、従来例と同様の抄紙法により製造した。平滑感は手で触って平滑具合を確認し、白色感については目視にて確認し、印刷適性については実際にレーザープリンタにより印刷を行いその印刷具合を目視にて確認した。
【0031】
比較検討の結果、実施例にかかる印刷用紙は、従来例にかかる印刷用紙と遜色ないものであることが確認できた。
【0032】
【発明の効果】
以上詳述のとおり、本発明によれば、無選別古紙から一定品質のパルプを安定して生産できるようになり、また、無選別古紙から得られる古紙パルプおよびそれを原料とする再生紙の品質量化が図られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態のフロー図である。
【符号の説明】
1…離解装置、2…粗選設備、3…フローテーター、4…分級装置、L…長繊維、S…短繊維、M…自動夾雑物測定機。
Claims (3)
- 無選別古紙を離解し繊維懸濁液とする離解工程と、離解工程を経た懸濁液から夾雑物を除去する粗選工程と、粗選工程を経た懸濁液からインキ・夾雑物をフローテーションにより除去するフローテーション工程と、フローテーション工程を経た懸濁液を0.12mm以下のスリット幅を有するスクリーンを備える分級装置により、短繊維と長繊維とに分級率10%以上で分級する分級工程と、を含むことを特徴とする古紙パルプの製造方法。
- 分級処理後に長繊維と短繊維とを別々に処理し、各繊維からそれぞれ古紙パルプを製造する請求項1記載の古紙パルプの製造方法。
- 請求項2記載の発明により得られる短繊維由来の古紙パルプおよび長繊維由来の古紙パルプの少なくとも一方のパルプを含むパルプ原料を抄紙してなることを特徴とする紙。
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