【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エポキシ樹脂成形材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
エポキシ樹脂は耐熱性、耐湿性、接着性、電気特性及び低収縮性などに優れており、自動車部品、電気・電子部品等に広く用いられている。特に成形材料として用いる場合、金属との接着性に優れることや、溶融粘度を低くすることができることから、ICなどの電子部品の封止成形に多く使用されている。
【0003】
エポキシ樹脂は他の熱硬化性樹脂と同様に、その硬化物は硬くて脆い性質を持っている。そのため、エポキシ樹脂成形材料には従来からシリカ、ガラス繊維等の無機基材が主に耐衝撃性、曲げ強さ等の機械的特性を改善する目的で配合されている(例えば、非特許文献1参照。)。
しかしながら、近年の電気電子機器の小型薄肉化に伴って、成型品の薄肉部での割れ、欠けが問題となっており、部品の機械的特性等の向上要求もより厳しくなっている。この問題に対して、上述した基材の配合による機械的特性の改善だけでは十分でないことが多くなっている。
耐衝撃性の向上にはゴム等を添加する方法があるが、耐熱性が低下するなどの問題も多い。そこで、従来有していた耐熱性を維持しつつ、エポキシ樹脂成形材料に耐衝撃性を付与し、機械的特性を向上させることが求められている。
【0004】
【非特許文献1】
室井宗一・石村秀一,「入門エポキシ樹脂」,高分子刊行会,1988年
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来のエポキシ樹脂成形材料が有する、優れた耐熱性を損なうことなく、耐衝撃性を付与することにより、機械的特性が向上したエポキシ樹脂成形材料を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)〜(3)記載の本発明により達成される。
(1)エポキシ樹脂(a)、無機基材(b)、及び熱可塑性ポリウレタン樹脂(c)を必須成分として含有することを特徴とするエポキシ樹脂成形材料。
(2)前記成形材料全体に対して、前記エポキシ樹脂(a)5〜20重量%、前記無機基材(b)60〜80重量%を含有し、かつ、前記エポキシ樹脂(a)100重量部に対して前記熱可塑性ポリウレタン樹脂(c)10〜50重量部を含有する上記(1)に記載のエポキシ樹脂成形材料。
(3)前記熱可塑性ポリウレタン樹脂(c)が、平均粒径10〜150μmの球形状のものである上記(1)または(2)に記載のエポキシ樹脂成形材料。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明のエポキシ樹脂成形材料について詳しく説明する。
本発明のエポキシ樹脂成形材料(以下、単に「成形材料」ということがある)は、エポキシ樹脂(a)、無機基材(b)、及び熱可塑性ポリウレタン樹脂(c)を必須成分として含有することを特徴とする。
【0008】
本発明の成形材料に用いられるエポキシ樹脂(a)としては特に限定されないが、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールAD型などのビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型などのノボラック型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型、臭素化フェノールノボラック型などの臭素化型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂などが挙げられる。これらを単独または2種類以上組み合わせて使用することができる。
これらの中でも、比較的低分子量のビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂などが好ましい。これにより、成形材料製造時の作業性や成形性を良好なものにすることができる。また、成形品に耐熱性が要求される場合は、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂が好ましく、特に、オルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂が好ましい。
オルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂を用いる場合は特に限定されないが、数平均分子量は500〜2000であることが好ましく、700〜1400であることがさらに好ましい。これにより、特に硬化後の耐熱性と成形材料製造時の作業性のバランスが良好になる。数平均分子量が前記下限値未満であると、エポキシ樹脂が液状となるので成形材料化が難しくなることがあり、前記上限値よりも大きいと、エポキシ樹脂の溶融粘度が高くなるため成形性が低下することがある。
【0009】
また、上記エポキシ樹脂には、通常硬化剤が使用される。エポキシ樹脂の硬化剤としては特に限定されないが、脂肪族ポリアミン、芳香族ポリアミン、ジシアンジアミドなどのアミン化合物、脂環族酸無水物、芳香族酸無水物などの酸無水物、ノボラック型フェノール樹脂、フェノールポリマーなどのポリフェノール化合物のほか、イミダゾール化合物などが挙げられる。
これらの中でも、エポキシ樹脂としてフェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂を用いる場合は、硬化剤としてノボラック型フェノール樹脂が好ましい。これにより、硬化物の耐熱性を向上させることができる。なお、硬化剤の配合量は特に限定されないが、エポキシ樹脂に対する理論当量からの許容幅を10%以内にして配合することが好ましい。
【0010】
また、上記硬化剤とともに、必要に応じて硬化促進剤を用いることができる。硬化促進剤としては特に限定されないが、例えばイミダゾール化合物、三級アミン化合物、有機リン化合物などを用いることができる。
これらの中でも、エポキシ樹脂としてフェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂を用いる場合は、イミダゾール化合物、有機リン化合物が好ましい。硬化促進剤の配合量は特に限定されないが、エポキシ樹脂100重量部に対して、0.1〜5重量部が好ましく、更に好ましくは0.5〜3重量部である。前記下限値未満では硬化促進の効果が小さく、前記上限値を超えると反応性が高くなりすぎることがあり、成形材料化が困難になる場合がある。
【0011】
本発明の成形材料には、無機基材(b)を配合する。これにより、成形品に機械的特性や難燃性を付与することができる。
本発明の成形材料で用いられる無機基材(b)としては特に限定されないが、例えば溶融シリカ、結晶シリカ、クレー、アルミナ、ガラス繊維等が挙げられる。また、必要に応じて水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の難燃性無機基材を併用してもよい。これらの中でも、溶融シリカ、ガラス繊維を用いた場合は、耐熱性を維持したまま機械的強度を向上できるので好ましい。
【0012】
本発明の成形材料におけるエポキシ樹脂(a)と無機基材(b)との配合量は特に限定されないが、成形材料全体に対して、エポキシ樹脂5〜20重量%、無機基材60〜80重量%であることが好ましく、さらに好ましくはエポキシ樹脂10〜18重量%、無機基材65〜75重量%である。両者をかかる範囲内の配合量とすることにより、成形材料化の作業性、成形品の成形性を良好にできるとともに、成形品の電気的特性、機械的特性を向上させることができる。
エポキシ樹脂が前記下限値より少なく、あるいは無機基材が前記上限値より多い場合は、成形材料化が困難になったり、成形性が低下することにより、成形品の電気的特性、機械的特性に影響を与えたりすることがある。一方、エポキシ樹脂が前記上限値より多く、あるいは無機基材が前記下限値より少ない場合は、成形材料製造時の材料粘度が低下し成形材料化が困難になったり、無機基材の配合効果が充分でなくなったりすることがある。
【0013】
また、無機基材(b)として溶融シリカ、ガラス繊維を用いる場合は、溶融シリカを無機基材全体に対し80重量%以上、ガラス繊維を無機基材全体に対して10重量%以上使用することが好ましい。
これにより、成形品の機械的特性を向上させることができる。溶融シリカ又はガラス繊維の配合量が前記下限値未満の場合は、機械的強度が不充分になることがある。
ここで溶融シリカを用いる場合は特に限定されないが、例えば溶融球状シリカが使用できる。溶融球状シリカは平均粒径5〜40μmのものが好ましく用いられる。また、ガラス繊維を用いる場合は特に限定されないが、例えばチョップドストランドが使用できる。チョップドストランドは平均繊維径3〜15μm、平均繊維長1.5〜6.0mmのものが好ましく用いられる。
【0014】
本発明の成形材料には、前記材料に加えて、熱可塑性ポリウレタン樹脂(c)を配合することを特徴とする。これにより、成形品の耐衝撃性を向上させることができる。
ポリウレタン樹脂は、主鎖中にウレタン結合(−NHCOO−)を有する合成高分子であり、2個以上のイソシアネート基(−NCO)を有するポリイソシアネート類と、ポリヒドロキシ化合物(ポリオール化合物)類との重付加反応によって製造されるのが一般的である。ポリウレタン樹脂には網状構造型の熱硬化性のものと、直鎖構造型の熱可塑性のものとがあるが、本発明で用いられるものは直鎖構造を有する熱可塑性ポリウレタンであり、他の一般的な熱可塑性樹脂と同様、容易に成形加工ができるものである。
【0015】
本発明の成形材料で用いられる熱可塑性ポリウレタン樹脂(c)(以下、単に「ポリウレタン樹脂」ということがある)は特に限定されないが、常温で固体であり、軟化点が80〜120℃であるものが好ましい。かかる性状のものを用いることにより、成形材料製造時に、常温での予備混合時には作業性に優れ、かつ、熱ロール等により混練する際にはポリウレタン樹脂が溶融するので、他の原材料との均一混合が容易となる。
また、ポリウレタン樹脂の粒径については特に限定されないが、平均粒径が10〜150μmであることが好ましく、さらに好ましくは30〜130μmである。さらに、ポリウレタン樹脂の形状についても特に限定されないが、球形状であることが好ましい。
かかる粒径と形状を有するものを用いることにより、材料の予備混合の段階から、ポリウレタン樹脂を成形材料中により均一に分散させることができ、成形品の耐衝撃性向上効果を高めることができる。
【0016】
ポリウレタン樹脂の配合量としては特に限定されないが、前記エポキシ樹脂100重量部に対して、10〜50重量部であることが好ましく、さらに好ましくは15〜35重量部である。これにより、成形材料製造時の作業性に優れ、かつ成形品の耐熱性を低下させることなく耐衝撃性を向上させることができる。ポリウレタン樹脂の配合量が前記下限値未満では耐衝撃性の向上効果が十分でないことがあり、一方前記上限値を超えると成形材料製造時の粘度増加が起こるようになるため、成形材料化に支障を生じることがある。
【0017】
本発明の成形材料では、エポキシ樹脂と無機基材とを必須成分とする成形材料組成に、ポリウレタン樹脂を配合することにより、成形品の耐衝撃性を向上させることを特徴とする。
ポリウレタン樹脂は、単独でも耐水性、耐油性、特に柔軟性、耐衝撃性に優れるという特徴を持っており、一般的な熱可塑性樹脂と同様、容易に成形加工することができる。エポキシ樹脂にポリウレタン樹脂を配合することにより、エポキシ樹脂の架橋構造内に耐衝撃性に優れたポリウレタン樹脂を分散させることができる。これがエポキシ樹脂のもつ脆さを緩和する効果を発現し、成形品の耐衝撃性を向上させることができる。さらに、粒径が10〜150μmで球形状のものを用いると、成形材料化する際に均一に分散させることができ、上記の作用をより効果的なものにできる。
なお、本発明の成形材料には、さらにこのほかにも、本発明の目的や効果を損なわない範囲で、必要に応じて離型剤、顔料、カップリング剤等の原料を配合することができる。
【0018】
本発明の成形材料は、通常の方法により製造することができる。すなわち、上記の材料を所定量配合し、リボンブレンダーやプラネタリミキサーなどを用いて予備混合する。さらに、これを加熱ロール、二軸押出混練機などを使用して溶融混練し、混練後のものを造粒したり冷却後に粉砕・分級したりすることにより得られる。
【0019】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明する。表1に示す配合(配合量は全て重量%を示す)からなる材料を予備混合後、95℃の加熱ロールで4分間混練し、冷却後粉砕して成形材料化した。
得られた成形材料を用いて、JIS K 6911に従って射出成形機(成形条件:金型温度175℃;硬化時間3分)によりテストピースを作製し、特性を測定し、表2に示す結果を得た。
【0020】
【表1】
【0021】
(表の注:原材料)
*1 エポキシ樹脂(1):オルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量215、軟化点85℃
*2 エポキシ樹脂(2):ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量450、軟化点70℃
*3 硬化剤(1):ノボラック型フェノール樹脂、数平均分子量600、軟化点80℃
*4 硬化剤(2):MPD(メタフェニレンジアミン)
*5 硬化触媒:TPP(トリフェニルフォスフィン)
*6 ポリウレタン樹脂(1):日本ポリウレタン社製「パールセン U−100A」(平均粒径40μm、球形状、軟化点95℃)
*7 ポリウレタン樹脂(2):日本ポリウレタン社製「パールセン U−100B」(平均粒径120μm、球形状、軟化点95℃)
*8 無機基材(1):シリカ(溶融球状シリカ)、電気化学工業社製「FB−24」(平均粒径19μm)
*9 無機基材(2):ガラス繊維(チョップドストランド)、日本板硝子社製「RES015−BM42」(平均繊維径11μm、平均繊維長1.5mm)
*10 離型剤:ステアリン酸カルシウム
*11 難燃剤:三酸化アンチモン
*12 着色剤:カーボンブラック
【0022】
【表2】
【0023】
(表の注:評価方法)
*13 曲げ強さ、曲げ弾性率、シャルピー衝撃強さ、絶縁抵抗:JIS K 6911に準じて測定した。
*14 はんだ耐熱性:270℃はんだ槽に30秒浸漬し、外観に変化のないものを○とした。
【0024】
表1、2に示すように、実施例1〜6はいずれも、エポキシ樹脂、無機基材、及び熱可塑性ポリウレタン樹脂を配合した本発明の成形材料である。エポキシ樹脂として実施例1〜4、及び比較例1はオルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂を、実施例5〜6、及び比較例2はビスフェノールA型エポキシ樹脂を用いた。これらの成形材料による成形品は、ポリウレタン樹脂を含まない比較例1、2と比べて、それぞれ曲げ強さ、はんだ耐熱性及び絶縁抵抗には実質的に差は見られないが、シャルピー衝撃強さで表される耐衝撃性が向上した。また、曲げ弾性率が小さくなっていることから、可撓性にも優れたものとなった。特に、実施例1〜3、5については、エポキシ樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂の配合量が最適であったので、これらの特性のバランスに特に優れたものとなった。
【0025】
【発明の効果】
本発明は、エポキシ樹脂、無機基材、及びポリウレタン樹脂を必須成分として含有することを特徴とするエポキシ樹脂成形材料であり、従来のエポキシ樹脂成形材料が有する電気的特性、耐熱性を損なうことなく、優れた耐衝撃性を付与することができる。従って本発明は、小型電子部品の用途に有用な機械的特性に優れた成形品に用いられるエポキシ樹脂成形材料として有用である。[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to an epoxy resin molding material.
[0002]
[Prior art]
Epoxy resins are excellent in heat resistance, moisture resistance, adhesiveness, electrical properties, low shrinkage, and the like, and are widely used in automobile parts, electric / electronic parts, and the like. In particular, when used as a molding material, they are often used for encapsulation molding of electronic components such as ICs because of their excellent adhesiveness to metal and the ability to lower the melt viscosity.
[0003]
Epoxy resins, like other thermosetting resins, have hardened and brittle properties. For this reason, an inorganic base material such as silica or glass fiber is conventionally blended with an epoxy resin molding material mainly for the purpose of improving mechanical properties such as impact resistance and bending strength (for example, Non-Patent Document 1). reference.).
However, with the recent trend toward miniaturization and thinning of electric and electronic equipment, cracking and chipping at a thin portion of a molded product have become a problem, and demands for improvement in mechanical properties and the like of components have become more severe. In order to solve this problem, it is often the case that merely improving the mechanical properties by blending the above-described base material is not sufficient.
Although there is a method of adding rubber or the like to improve the impact resistance, there are many problems such as a decrease in heat resistance. Therefore, it is required to improve the mechanical properties by imparting impact resistance to the epoxy resin molding material while maintaining the conventional heat resistance.
[0004]
[Non-patent document 1]
Soichi Muroi and Shuichi Ishimura, "Introductory Epoxy Resins", Polymer Publishing Association, 1988
[Problems to be solved by the invention]
The present invention provides an epoxy resin molding material having improved mechanical properties by imparting impact resistance without impairing the excellent heat resistance of a conventional epoxy resin molding material.
[0006]
[Means for Solving the Problems]
Such an object is achieved by the present invention described in the following (1) to (3).
(1) An epoxy resin molding material comprising, as essential components, an epoxy resin (a), an inorganic base material (b), and a thermoplastic polyurethane resin (c).
(2) 5 to 20% by weight of the epoxy resin (a) and 60 to 80% by weight of the inorganic base material (b) based on the entire molding material, and 100 parts by weight of the epoxy resin (a) The epoxy resin molding material according to the above (1), which contains 10 to 50 parts by weight of the thermoplastic polyurethane resin (c) based on the weight of the epoxy resin.
(3) The epoxy resin molding material according to the above (1) or (2), wherein the thermoplastic polyurethane resin (c) has a spherical shape with an average particle size of 10 to 150 µm.
[0007]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
Hereinafter, the epoxy resin molding material of the present invention will be described in detail.
The epoxy resin molding material of the present invention (hereinafter sometimes simply referred to as "molding material") contains an epoxy resin (a), an inorganic base material (b), and a thermoplastic polyurethane resin (c) as essential components. It is characterized by.
[0008]
The epoxy resin (a) used for the molding material of the present invention is not particularly limited, but for example, bisphenol type epoxy resins such as bisphenol A type, bisphenol F type and bisphenol AD type; phenol novolak type and cresol novolak type novolak. Epoxy resin, brominated bisphenol A type, brominated phenol novolak type and other brominated epoxy resins, biphenyl type epoxy resin, naphthalene type epoxy resin and the like. These can be used alone or in combination of two or more.
Among these, a bisphenol A type epoxy resin having a relatively low molecular weight, a phenol novolak type epoxy resin, a cresol novolak type epoxy resin and the like are preferable. Thereby, workability and moldability during the production of the molding material can be improved. When heat resistance is required for the molded article, a phenol novolak epoxy resin and a cresol novolak epoxy resin are preferable, and an ortho-cresol novolak epoxy resin is particularly preferable.
The use of an orthocresol novolak epoxy resin is not particularly limited, but the number average molecular weight is preferably from 500 to 2,000, more preferably from 700 to 1,400. Thereby, the balance between the heat resistance after curing and the workability during the production of the molding material is particularly improved. If the number average molecular weight is less than the lower limit, the epoxy resin may be in a liquid state, and thus it may be difficult to form a molding material.If the number average molecular weight is greater than the upper limit, the melt viscosity of the epoxy resin increases and moldability decreases. Sometimes.
[0009]
Further, a curing agent is usually used for the epoxy resin. The curing agent for the epoxy resin is not particularly limited, but includes aliphatic polyamines, aromatic polyamines, amine compounds such as dicyandiamide, alicyclic acid anhydrides, acid anhydrides such as aromatic acid anhydrides, novolak-type phenol resins, and phenols. In addition to polyphenol compounds such as polymers, imidazole compounds and the like can be mentioned.
Among these, when a phenol novolak type epoxy resin or a cresol novolak type epoxy resin is used as the epoxy resin, a novolak type phenol resin is preferable as the curing agent. Thereby, the heat resistance of the cured product can be improved. The amount of the curing agent is not particularly limited, but it is preferable to mix the curing agent within an allowable range of 10% or less from the theoretical equivalent to the epoxy resin.
[0010]
In addition, a curing accelerator can be used as needed together with the curing agent. The curing accelerator is not particularly limited, but for example, an imidazole compound, a tertiary amine compound, an organic phosphorus compound and the like can be used.
Among these, when a phenol novolak type epoxy resin or a cresol novolak type epoxy resin is used as the epoxy resin, an imidazole compound and an organic phosphorus compound are preferable. The amount of the curing accelerator is not particularly limited, but is preferably 0.1 to 5 parts by weight, more preferably 0.5 to 3 parts by weight, per 100 parts by weight of the epoxy resin. If it is less than the lower limit, the effect of accelerating the curing is small, and if it exceeds the upper limit, the reactivity may be too high, and it may be difficult to form a molding material.
[0011]
The molding material of the present invention contains an inorganic substrate (b). This makes it possible to impart mechanical properties and flame retardancy to the molded product.
The inorganic substrate (b) used in the molding material of the present invention is not particularly limited, and examples thereof include fused silica, crystalline silica, clay, alumina, and glass fibers. If necessary, a flame-retardant inorganic base material such as aluminum hydroxide and magnesium hydroxide may be used in combination. Among them, the use of fused silica or glass fiber is preferable because the mechanical strength can be improved while maintaining the heat resistance.
[0012]
The mixing amount of the epoxy resin (a) and the inorganic base material (b) in the molding material of the present invention is not particularly limited, but the epoxy resin is 5 to 20% by weight and the inorganic base material is 60 to 80% by weight based on the whole molding material. %, More preferably 10 to 18% by weight of an epoxy resin, and 65 to 75% by weight of an inorganic base material. By setting both the amounts to fall within the above ranges, the workability of forming a molding material and the moldability of a molded article can be improved, and the electrical properties and mechanical properties of the molded article can be improved.
If the epoxy resin is less than the lower limit or the inorganic base material is more than the upper limit, it becomes difficult to form a molding material, or the moldability is reduced, so that the electrical properties and mechanical properties of the molded product are reduced. May have an effect. On the other hand, if the epoxy resin is more than the upper limit or the inorganic base is less than the lower limit, the material viscosity during the production of the molding material is reduced, making the molding material difficult, or the effect of blending the inorganic substrate is reduced. May not be enough.
[0013]
When using fused silica and glass fiber as the inorganic base material (b), the fused silica is used in an amount of 80% by weight or more based on the entire inorganic base material, and the glass fiber is used in an amount of 10% by weight or more based on the entire inorganic base material. Is preferred.
Thereby, the mechanical characteristics of the molded article can be improved. If the amount of the fused silica or glass fiber is less than the lower limit, the mechanical strength may be insufficient.
The use of fused silica is not particularly limited, and for example, fused spherical silica can be used. The fused spherical silica having an average particle size of 5 to 40 μm is preferably used. When glass fibers are used, there is no particular limitation. For example, chopped strands can be used. Chopped strands having an average fiber diameter of 3 to 15 μm and an average fiber length of 1.5 to 6.0 mm are preferably used.
[0014]
The molding material of the present invention is characterized by blending a thermoplastic polyurethane resin (c) in addition to the above-mentioned material. Thereby, the impact resistance of the molded product can be improved.
A polyurethane resin is a synthetic polymer having a urethane bond (—NHCOO—) in the main chain, and is composed of a polyisocyanate having two or more isocyanate groups (—NCO) and a polyhydroxy compound (polyol compound). It is generally produced by a polyaddition reaction. Polyurethane resins include a network type thermosetting type and a linear type thermoplastic type, and those used in the present invention are thermoplastic polyurethanes having a linear structure, and other general-purpose thermoplastic polyurethanes. Like a typical thermoplastic resin, it can be easily molded.
[0015]
The thermoplastic polyurethane resin (c) (hereinafter sometimes simply referred to as "polyurethane resin") used in the molding material of the present invention is not particularly limited, but is a solid at ordinary temperature and has a softening point of 80 to 120C. Is preferred. By using such a property, the workability is excellent at the time of pre-mixing at room temperature during the production of the molding material, and the polyurethane resin is melted when kneading with a hot roll or the like, so that the polyurethane resin is uniformly mixed with other raw materials. Becomes easier.
The particle size of the polyurethane resin is not particularly limited, but the average particle size is preferably from 10 to 150 μm, and more preferably from 30 to 130 μm. Furthermore, the shape of the polyurethane resin is not particularly limited, but is preferably spherical.
By using a material having such a particle size and shape, the polyurethane resin can be more uniformly dispersed in the molding material from the premixing stage of the materials, and the effect of improving the impact resistance of the molded product can be enhanced.
[0016]
The mixing amount of the polyurethane resin is not particularly limited, but is preferably 10 to 50 parts by weight, more preferably 15 to 35 parts by weight, based on 100 parts by weight of the epoxy resin. Thereby, the workability during the production of the molding material is excellent, and the impact resistance can be improved without lowering the heat resistance of the molded product. If the amount of the polyurethane resin is less than the lower limit, the effect of improving the impact resistance may not be sufficient, whereas if the amount exceeds the upper limit, the viscosity may increase during the production of the molding material, which hinders the formation of the molding material. May occur.
[0017]
The molding material of the present invention is characterized by improving the impact resistance of a molded product by blending a polyurethane resin with a molding material composition containing an epoxy resin and an inorganic base material as essential components.
The polyurethane resin alone has excellent water resistance, oil resistance, particularly excellent flexibility and impact resistance, and can be easily molded and processed like a general thermoplastic resin. By blending the polyurethane resin with the epoxy resin, the polyurethane resin having excellent impact resistance can be dispersed in the crosslinked structure of the epoxy resin. This manifests the effect of alleviating the brittleness of the epoxy resin, and can improve the impact resistance of the molded product. Further, when a spherical material having a particle size of 10 to 150 μm is used, the material can be uniformly dispersed when forming into a molding material, and the above-mentioned action can be made more effective.
The molding material of the present invention may further contain, in addition to the above, raw materials such as a release agent, a pigment, and a coupling agent, as needed, as long as the objects and effects of the present invention are not impaired. .
[0018]
The molding material of the present invention can be produced by a usual method. That is, the above-mentioned materials are blended in a predetermined amount, and preliminarily mixed using a ribbon blender or a planetary mixer. Further, the mixture is melt-kneaded using a heating roll, a twin-screw extrusion kneader or the like, and the kneaded product is granulated or cooled and then pulverized and classified.
[0019]
【Example】
Hereinafter, the present invention will be described with reference to examples. After preliminarily mixing materials having the formulations shown in Table 1 (all blending amounts are shown by weight%), the materials were kneaded with a heating roll at 95 ° C. for 4 minutes, cooled and pulverized to form molding materials.
Using the obtained molding material, a test piece was produced by an injection molding machine (molding condition: mold temperature: 175 ° C .; curing time: 3 minutes) according to JIS K 6911, and the characteristics were measured. The results shown in Table 2 were obtained. Was.
[0020]
[Table 1]
[0021]
(Note to the table: Raw materials)
* 1 Epoxy resin (1): ortho-cresol novolak type epoxy resin, epoxy equivalent 215, softening point 85 ° C
* 2 Epoxy resin (2): bisphenol A type epoxy resin, epoxy equivalent 450, softening point 70 ° C
* 3 Curing agent (1): Novolak type phenol resin, number average molecular weight 600, softening point 80 ° C
* 4 Curing agent (2): MPD (metaphenylenediamine)
* 5 Curing catalyst: TPP (triphenylphosphine)
* 6 Polyurethane resin (1): Nippon Polyurethane Co., Ltd. “Palsen U-100A” (average particle size 40 μm, spherical shape, softening point 95 ° C.)
* 7 Polyurethane resin (2): Nippon Polyurethane Co., Ltd. “Palsen U-100B” (average particle size 120 μm, spherical shape, softening point 95 ° C.)
* 8 Inorganic substrate (1): silica (fused spherical silica), “FB-24” manufactured by Denki Kagaku Kogyo Co., Ltd. (average particle size: 19 μm)
* 9 Inorganic substrate (2): glass fiber (chopped strand), “RES015-BM42” manufactured by Nippon Sheet Glass (average fiber diameter 11 μm, average fiber length 1.5 mm)
* 10 Release agent: calcium stearate * 11 Flame retardant: antimony trioxide * 12 Colorant: carbon black
[Table 2]
[0023]
(Note to table: Evaluation method)
* 13 Flexural strength, flexural modulus, Charpy impact strength, insulation resistance: Measured according to JIS K 6911.
* 14 Solder heat resistance: Dipped in a solder bath at 270 ° C. for 30 seconds, and those with no change in appearance were rated as ○.
[0024]
As shown in Tables 1 and 2, Examples 1 to 6 are all molding materials of the present invention in which an epoxy resin, an inorganic substrate, and a thermoplastic polyurethane resin are blended. Examples 1 to 4 and Comparative Example 1 used an ortho-cresol novolak type epoxy resin as the epoxy resin, and Examples 5 to 6 and Comparative Example 2 used a bisphenol A type epoxy resin. The molded articles made of these molding materials have substantially no difference in bending strength, solder heat resistance and insulation resistance, respectively, as compared with Comparative Examples 1 and 2 containing no polyurethane resin, but have Charpy impact strength. The impact resistance represented by is improved. Further, since the flexural modulus was small, the flexibility was also excellent. Particularly, in Examples 1 to 3, the amounts of the epoxy resin and the thermoplastic polyurethane resin were optimal, so that the balance of these characteristics was particularly excellent.
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【The invention's effect】
The present invention is an epoxy resin molding material characterized by containing an epoxy resin, an inorganic substrate, and a polyurethane resin as essential components, without impairing the electrical properties and heat resistance of conventional epoxy resin molding materials. And excellent impact resistance can be imparted. Therefore, the present invention is useful as an epoxy resin molding material used for a molded article having excellent mechanical properties useful for small electronic components.