JP2004129339A - 直流モータおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】軸方向長さを短縮し、直流モータの小型化を図るとともに、その組立て作業を容易にする。
【解決手段】電機子コイルをコイルボビンに巻回し、この電機子コイルに接続端子を取り付ける。電機子コイルを巻回したコイルボビンを、回転軸に取り付けた電機子鉄心の突極に嵌め込み固定するとともに、接続端子がコミュテータの接続フック部を挟み付けるようにして、接続端子を接続フック部に接続固定する。電機子コイルを巻回するのにコイル成形部材が使用されるが、この発明によれば、このコイル成形部材を突極の内端位置まで嵌め込む必要がなく、このため、コミュテータを電機子鉄心に近づけて配置でき、小型化を図ることができるとともに、接続端子の接続フック部への接続固定を簡単にできる。
【選択図】 図5
【解決手段】電機子コイルをコイルボビンに巻回し、この電機子コイルに接続端子を取り付ける。電機子コイルを巻回したコイルボビンを、回転軸に取り付けた電機子鉄心の突極に嵌め込み固定するとともに、接続端子がコミュテータの接続フック部を挟み付けるようにして、接続端子を接続フック部に接続固定する。電機子コイルを巻回するのにコイル成形部材が使用されるが、この発明によれば、このコイル成形部材を突極の内端位置まで嵌め込む必要がなく、このため、コミュテータを電機子鉄心に近づけて配置でき、小型化を図ることができるとともに、接続端子の接続フック部への接続固定を簡単にできる。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば車両用燃料ポンプに使用される直流モータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
特表2001−522580号公報(図1とその説明)。
【0003】
この種の直流モータは、例えば特表2001−522580号公報に開示されている。この種の直流モータは、この特表2001−522580号公報の図1に示されるように、電機子鉄心とコミュテータとを共通の回転軸上に配置して構成される。
【0004】
電機子鉄心には、電機子コイルが直接巻回されている。コンミュテータは、複数のコミュテータ部材を回転軸の外周に沿って配置したもので、このコミュテータは電機子鉄心と間隙を介して軸方向に対向して配置される。各コミュテータ部材には、電機子コイルを接続するための接続フック部が設けられている。電機子コイルは、電機子鉄心に直接巻回され、その端子が各コミュテータ部材の接続フック部に固定され、各コミュテータ部材から給電を受ける。
【0005】
この種の直流モータの従来の巻線工程を図7について説明する。電機子鉄心ACは複数の突極APを有し、この各突極APに順次電機子コイルAWが巻回される。この巻線工程では、傾斜した巻付け面WSを持ったコイル成形部材CSが使用される。このコイル成形部材CSは、突極APに嵌め込まれ、巻付け面WSに巻付けられるコイルターンを磁極APの外周に送り込む。コイル成形部材CSは、最初に、突極APの内端部まで嵌め込まれ、コイルの巻回に伴って、順次、突極APの外端部に移動して、コイルを突極APに送り込む。巻終わった電機子コイルAWが図7の右側の突極APの外周に示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の直流モータは、電機子コイルAWを電機子鉄心ACの突極APに直接巻回するため、コイル成形部材CSは突極APの内端位置まで、嵌め込まれる。これに伴い、コミュテータCTは電機子鉄心ACから軸方向に、大きな距離だけ隔たった位置において、回転軸RSに固定され、コイル成形部材CSを突極APに嵌め込むスペースSPが確保される。しかし、このスペースSPは、直流モータの軸方向長さを大きくするので、直流モータを小型化する上で、障害となる。
【0007】
この発明は、このようなスペースをより縮小し小型化を可能にした、改良された直流モータおよびその製造方法を提案するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明による直流モータは、回転軸上に設けられた電機子鉄心と、この電機子鉄心に磁束を発生させるように巻かれた電機子コイルと、前記回転軸上に設けられ前記電機子コイルに給電するコミュテータとを備えた直流モータであって、前記電機子コイルはコイルボビンに巻き付けられて前記電機子鉄心に取り付けられるともに、前記コミュテータとの接続のための接続端子を有し、また前記コンミュテータは前記電機子コイルとの接続のための接続フック部を持った複数のコミュテータ部材を有し、前記接続端子が前記接続フック部を挟み付け、前記接続フック部に固着されていることを特徴とする。
【0009】
この発明による直流モータにおいて、電機子コイルは、コイルボビンに巻かれ、電機子鉄心に直接巻回されない。このため、コイルボビンに対する電機子コイルの巻線工程は、電機子鉄心の突極の外端部にコイルボビンを保持した状態、または、電機子鉄心から離れた位置において行なうことができ、この巻線工程で使用するコイル成形部材を収容するためのスペースを、回転軸上で確保する必要がなくなる。これに伴い、コミュテータを電機子鉄心により接近した位置において回転軸に固定することができ、直流モータの軸方向長さを短縮し、小型化が可能となる。また、電機子コイルに設けた接続端子が、コミュテータの接続フック部を挟み付けた状態で、この接続フック部に固定する構成は、電機子コイルとコミュテータとの接続を容易にする。これらに基づき、直流モータの小型化とともに、その組立て作業を容易にできる。
【0010】
また、この発明による直流モータの製造方法は、複数の突極を有する電機子鉄心と、接続フック部を持った複数のコミュテータ部材を有するコミュテータとを、共通の回転軸上に取り付ける工程、およびコイルボビンに巻かれた電機子コイルを前記各突極に嵌め込むとともに、前記電機子コイルに取り付けた接続端子を前記接続フック部に挟み付ける工程を含んでいる。
【0011】
この発明による直流モータの製造方法では、コイルボビンに巻かれた電機子コイルを、電機子鉄心の突極に嵌め込むとともに、接続端子をコミュテータ部材の接続フック部に挟み付ける工程を含んでいる。この工程を採用することにより、コイルボビンに対する電機子コイルの巻線工程は、電機子鉄心の突極の外端部にコイルボビンを保持した状態、または、電機子鉄心から離れた位置において行なうことができ、この巻線工程で使用するコイル成形部材を収容するためのスペースを、回転軸上で確保する必要がなくなり、これに伴い、直流モータの軸方向長さを短縮し、小型化が可能となる。併せてコイルボビンを突極に嵌め込むとともに、電機子コイルに設けた接続端子でコミュテータの接続フック部を挟み付けるので、コミュテータとの接続も容易となり、直流モータの組立て作業を容易にできる。
【0012】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1はこの発明による直流モータの実施の形態1を示す正面図、図2は実施の形態1を示す平面図である。
【0013】
[実施の形態1の直流モータの構造の説明]
実施の形態1の直流モータは、回転軸10、電機子鉄心20、電機子コイル30、接続端子40およびコミュテータ50を有する。回転軸10は、図示しない軸受けにより、その両端部が回転可能に支持される。
【0014】
電機子鉄心20は、中心筒21とその周りに等しい角度間隔で配置された複数の突極23を有する。これらの中心筒21と複数の突極23は、例えば珪素鋼板を回転軸10の軸方向に積層して、一体に形成される。中心筒21は、回転軸10の外周に嵌め込まれ、この回転軸10に固定され、回転軸10とともに回転する。複数の突極23は、例えば6個の突極23を含んで構成され、各突極23は、回転軸10の軸心を中心として、放射状に突出している。6個の突極23は、隣接する突極23が互いに60度の等しい角度間隔を持って放射状に突出している。各突極23の外端部には、互いに対向する一対の固定部片25が突極23と一体に形成されている。この一対の固定部片23は、電機子コイル30の電機子コイルユニット31を巻回したコイルボビン33を、突極23の最も内端の位置まで嵌め込んだ状態で、互いに反対側に折り曲げられ、コイルボビン33を突極23に、抜け止めし、固定する。
【0015】
電機子コイル30は、複数の、例えば6個の電機子コイルユニット31を含む。各電機子コイルユニット31はコイルボビン33に巻回されている。コイルボビン33は、突極23に嵌め込まれる筒体34を有し、この筒体34の内端に内側鍔35を、またその外端に外側鍔36を有する。電機子コイルユニット31は、内側鍔35と外側鍔36との間の筒体34に巻回されている。なお筒体34は、突極23の外周にぴったりと嵌り込む形状とされている。各電機子コイルユニット31のコイルエンドには、接続端子40が取り付けられている。
【0016】
コミュテータ50は、回転軸10の外周に、電機子鉄心20と少しの間隙Sを介して固定され、回転軸10とともに回転する。コミュテータ50は、複数のコミュテータ部材51を有する。この複数のコミュテータ部材51は、回転軸10の外周に沿って、相互間に絶縁層を挟み、互いに絶縁され、配置されている。各コミュテータ部材51は、接続フック部53を有し、この接続フック部53には、接続端子40が接続、固定される。接続フック部53は、各コミュテータ部材51の一部から、外周へ突出するようにして、各コミュテータ部材51と一体に形成されている。
【0017】
図3は、実施の形態1のコミュテータ50と接続端子40との接続、固定状態を示す正面図、図4はそのコミュテータ部材51と接続端子40との関係を拡大して示す斜視図である。
【0018】
接続端子40は、コミュテータ50の接続フック部53に接続、固定される端子であり、コミュテータ50から電機子コイル30への給電を行なうものである。接続端子40は、弾性を有する導電材料、例えば黄銅の板材を図4のように折り曲げて構成される。この接続端子40は、平板部41、折曲部42、弾性部片44および折返し部46を一体に有する。折曲部42は平板部41の一端をほぼ直角に折り曲げて形成され、この折曲部42からさらに、折曲がって、弾性部片44が形成されている。弾性部片44は、折曲部42との間の角度が例えば約45度の鋭角となるように、折り曲げられており、その先端は隙間47を介して平板部41に対向している。折曲部42には、挿入孔43が形成されている。一方の折返し部47は、平板部41との間に、電機子コイルユニット31のコイルエンド31aを挟むように、折返されており、電機子コイルユニット31のコイルエンド31aを挟んだ状態で、ろう付けまたは溶接され、接続端子40がコイルエンド31aに接続、固定される。
【0019】
接続端子40は、その挿入孔43に接続フック部53が挿入されるようにして、接続フック部63に接続、固定される。接続フック部53は、挿入孔43から、弾性部片44と平板部41との隙間47を通過する位置まで挿入される。隙間47は、接続フック部53が挿入されない状態において、接続フック部53の厚さよりも小さい寸法に作られている。このため、隙間47に接続フック部53が挿入された状態では、弾性部片44がその弾性によって、接続フック部53を平板部41に押し付ける。併せて弾性部片44は、折曲部42に対し、鋭角をなすように、折曲部42から折曲げられており、このため、接続フック部53を挿入する方向では、接続フック部53が弾性部片44の先端をスライドしながら挿入されるが、挿入と逆の方向では、弾性部片44の先端が接続フック部53に食い込む角度となるので、接続フック部53からの抜けが防止される。
【0020】
図1、図2の直流モータは、コミュテータ60に接触する図示しないブラシと、電機子鉄心20を取り囲む図示しない界磁磁石を有する。この界磁磁石からの磁界の中で、ブラシから、コミュテータ50を介して電機子コイル30に直流電流が流れる結果、電機子コイル30に駆動力が発生し、この電機子コイル30が電機子鉄心20、回転軸10とともに、回転する。
【0021】
この実施の形態1の直流モータにおいて、電機子コイル30は、コイルボビン33に巻かれ、電機子鉄心20に直接巻回されない。このため、コイルボビン33に対する電機子コイル30の巻線工程は、電機子鉄心20の突極23の外端部にコイルボビン33を嵌め込んだ状態、または、電機子鉄心20に全く嵌め込まずに、電機子鉄心20から離れた別の位置、例えば直流モータの外部の適当な場所において行なうことができ、この巻線工程で使用するコイル成形部材を嵌め込むためのスペースを、回転軸上で確保する必要がなくなる。これに伴い、コミュテータ50を電機子鉄心20に、より接近した位置において、回転軸10に固定することができ、直流モータの軸方向長さを短縮し、小型化が可能となる。また、電機子コイル30に設けた接続端子40が、コミュテータ50の接続フック部53を挟み付けて固定する構成は、電機子コイル30とコミュテータ50との接続作業を容易にする。
【0022】
また、接続端子40に設けられた弾性部片44により、接続フック部53を挟み付けるようにしたので、接続端子40により接続フック部53を接続固定する構造を簡単に実現でき、加えて、弾性部片44の使用により、接続端子40を接続フック部53にろう付け固定する前に、簡単に接続フック部53を挟み付けることができ、組立ても簡単化される。
また、接続端子40に、弾性部片44とともに平板部41を設けたので、弾性部片44と平板部41との間に、接続フック部53を簡単に挟むことが可能となる。
また、弾性部片44と平板部41とを一体に形成したので、接続端子40の部品数を減少することができ、また弾性部片44を平板部41の一端に、折曲部42を介して接続したので、弾性部片44に簡単に必要な弾性を与えることができる。
また、折曲部42に挿入孔43を形成したので、この挿入孔43に接続フック部53を挿入し、弾性部片44と平板部41の間に、接続フック部53を簡単に挟み付けることができる。
【0023】
また、実施の形態1では、電機子鉄心20が回転軸10の軸心から放射状に突出する複数の突極23を有し、電機子コイルユニット31を巻回したコイルボビン33を各突極23に嵌め込むようにしているので、コイルボビン33を突極23に嵌め込むことにより、簡単に、組立てを行なうことができる。
また、突極23には固定部片25を設けたので、コイルボビン33を突極23に簡単に固定でき、またこの固定部片25は折り曲げにより、コイルボビン33を突極23に固定するようにしたので、簡単にコイルボビン33を固定できる。
【0024】
[実施の形態1の製造方法の説明]
次に実施の形態1の直流モータの製造方法を説明する。
この実施の形態1の製造方法では、第1工程から第3工程の3つの工程がこの順番に実行される。第1工程は、コイルボビン33に電機子コイル30を巻回して電機子コイルユニット31を形成する巻線工程であり、第2工程は、電機子コイルユニット31の完成後に、そのコイルボビン33を突極23の最終取り付け位置に取り付ける取り付け工程であり、第3工程は、電機子コイルユニット31の接続端子40を、対応するコミュテータ部材51の接続フック部53に接続、固定する接続固定工程である。
図5は特に第1、第2工程を含む直流モータの製造工程を示す正面図、図6はその平面図である。これらの図面を参照して、各工程について説明する。
【0025】
まず、第1工程、すなわち巻線工程について説明する。この巻線工程は、コイルボビン33を、突極23の外端部に嵌め込んだ状態で、このコイルボビン33に電機子コイル30を巻回する作業が行なわれる。図5において、左側に示された電機子コイルユニット31Aが、巻線工程を実行している状態にあるユニットである。
【0026】
この巻線工程において、コイルボビン33は、突極23の外端部に嵌め込まれている。図5の右側の電機子コイルユニット31は、第1工程、第2工程が終了し、コイルボビン33が突極23の内端位置にまで嵌め込まれた状態を示しているが、巻線工程にある電機子コイルユニット31Aのコイルボビン33は、この突極23の内端位置までは嵌め込まれておらず、その外端位置に留まった状態にある。コイルボビン33は突極23の外端位置に嵌め込まれた状態において、コイルボビン33の外周には、コイル成形部材60が嵌め込まれる。このコイル成形部材60は、コーン形のコイル巻付け面61を有し、最初に、コイル成形部材60がコイルボビン33の最も内端位置まで嵌め込まれた状態で、コイル巻付け面61に巻き付けられたコイルターンが、コイルボビン33の内端部に案内され、そこに巻付けられる。
【0027】
巻線工程の進行に伴い、コイル成形部材60はコイルボビン33の外端に向かって移動し、このコイル成形部材60の移動に伴って、コイルボビン33の中間にコイルターンが案内され、巻回されるようになり、最後にはコイルボビン33の外端部にコイルターンが案内され、巻回される。突極23の外端位置において、コイルボビン33への巻回作業が行なわれるので、コイル成形部材60は、突極23の内端位置にまで嵌め込む必要がなく、突極23の外端位置において、容易に行なうことができ、またコイル成形部材60を突極23の内端位置に嵌め込む必要がなくなるので、電機子鉄心20とコンミュテータ50との軸方向の間隔を小さくして、直流モータの小型化を図ることができる。
【0028】
この巻線工程において、コイルボビン33へのコイルの巻回作業が終わると、コイルの端部に接続端子40を固定する作業が行なわれる。この接続端子40の接続固定作業では、先に巻線工程を完了した隣接する電機子コイルユニット31のコイルエンド31aと、次に巻回作業が終了した電機子コイルユニット31Aのコイルエンド31aとに、1つの接続端子40に接続固定される。この作業において、接続端子40の折返し部46には、前述の2つのコイルエンド31a、31aが互いに対向する状態で挟さまれ(図4参照)、この折返し部46を平板部41に向かって押し付け、変形することにより、それらのコイルエンド31aが折返し部46によって挟み込まれ、固定される。この固定をさらに確実にし、しかも電気的接続をより確実にするために、接続端子40の折返し部46と平板部41との間で、ろう材を用いたろう付けまたは溶接が行なわれる。
【0029】
巻線工程の終了後、電機子コイルユニット31Aのコイルボビン33を突極23の最終取り付け位置にまで嵌め込み、固定する取り付け工程が行なわれる。このコイルボビン33の最終取り付け位置は、突極23の内端位置であり、コイルボビン33は、この突極23の内端位置まで嵌め込まれる。コイルボビン33を突極23の内端位置まで嵌め込んだ状態で、突極23の外端に設けられた一対の固定部片25が互いに反対方向に折り曲げられ、コイルボビン33を固定する。
【0030】
電機子コイルユニット31の取り付け工程が終了した後、接続端子40を、対応するコンミュテータ部材51の接続フック部53に接続固定する工程が実行される。この工程では、接続端子40の挿入孔43に、接続フック部53が差し込まれる。接続フック部53は、弾性部片44と平板部41との隙間47を通ってスライドし、弾性部片44の弾性に基づき、弾性部片44と平板部41との間に、挟み付けられる状態となる。この状態において、接続端子40は接続フック部53に保持されるが、接続端子40をより強固に、またより確実な電気的接続を達成するため、接続端子40と接続フック部53との間に、ろう付け、または溶接作業が行なわれる。
【0031】
この実施の形態1の製造方法では、電機子コイル30がコイルボビン33に巻かれており、この電機子コイル30に接続端子40を付け、この接続端子40をコミュテータ50の接続フック部53に挟み付けるので、コイル成形部材60を突極23の内端位置にまで嵌め込む必要がなくなるので、コミュテータ50と電機子鉄心20との間隔を小さくでき、モータの小型化を図ることができ、併せて、接続端子40が接続フック部53を挟み付けるようにしたので、この接続端子40を接続フック部53に接続固定する作業を容易に行なうことができ、モータの組立て作業を簡単に行なうことができる。
【0032】
また、実施の形態1の製造方法では、コイルボビン33が突極23の径方向の外端部に嵌められた状態で、電機子コイルユニット31に対する巻回作業が行なわれ、その後、コイルボビン33を突極23の内側に押し込み固定するようにしており、コイルボビン33が突極23の外端部に嵌め込まれた状態で巻回作業が行なわれるので、巻回作業を突極23の外端部の比較的広いスペースで、容易に行なうことができる。
また、この比較的広いスペースで、コイル巻付け面61を有するコイル成形部材60を用いて行なうので、コイル巻回作業を効率良く実行できる。
【0033】
実施の形態2.
この実施の形態2の直流モータは、実施の形態1の直流モータと同じ構成であり、その製造方法が実施の形態1の製造方法と異なる。この実施の形態2の製造方法は、コイルボビン33に対してコイルを巻回する巻線工程が、コイルボビン33を、突極23に嵌め込むことなく、電機子鉄心20から離れた場所で、実行される。この場所は、モータの外部であって、モータ製造工場の適当な場所とされ、この場所では、コイルボビン33に対する巻線工程を、電機子鉄心20に邪魔されることなく、広い場所で容易に行なうことができる。この巻線工程では、直流モータに必要な数、例えば6個の電機子コイルユニット31がコイル成形部材60をコイルボビン33に嵌め込みながら、順次形成される。
【0034】
巻線工程では、コイルボビン33に対して、コイルを巻回するとともに、この巻回作業の終わった状態で、コイルエンドに接続端子40を付ける作業が行なわれる。この作業では、隣接する電機子コイルユニット31の2つのコイルエンドに対して、1個の接続端子40が取り付けられ、巻回作業の終わった6個の電機子コイルユニット31に対し、合計6個の接続端子40が取り付けられる。この接続端子40の取り付け作業は、実施の形態1と同じ要領で行なわれるが、その作業は巻回作業と同じに、電機子鉄心20とは無関係の場所で、容易に実施できる。
【0035】
6個の接続端子40を付けた6個の電機子コイルユニット31は、電機子鉄心20の各突極23に、順次嵌めこまれ、固定部片25により、順次固定される。その後、6個の接続端子40は、順次対応するコミュテータ部材51の接続フック部53に接続固定される。この接続端子40と接続フック部53との接続固定作業は、実施の形態1と同じである。
【0036】
このように、実施の形態2では、コイルボビン33に対する巻回工程を、電機子鉄心20から離れた適当な場所において容易に行ない、また接続端子40の取り付け作業も、その場所で効率良く行なうことができる。
【0037】
【発明の効果】
以上のように、この発明による直流モータでは、電機子コイルがコイルボビンに巻回され、また、この電機子コイルには接続端子が取り付けられ、この接続端子がコミュテータの接続フック部を挟み付けた状態で取り付けられるので、コミュテータを電機子鉄心により接近した位置において回転軸に固定することができ、直流モータの軸方向長さを短縮し、小型化が可能となり、また、電機子コイルとコミュテータとの接続を容易に行なうことができる。
【0038】
また、この発明による直流モータの製造方法では、コイルボビンに巻かれた電機子コイルを電機子鉄心の突極に嵌め込むとともに、電機子鉄心に取り付けた接続端子をコミュテータの接続フック部に挟み付けるようにしたので、コミュテータを電機子鉄心により接近した位置において回転軸に固定することができ、直流モータの軸方向長さを短縮し、小型化が可能となり、また、電機子コイルとコミュテータとの接続を容易に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による直流モータの実施の形態1を示す正面図。
【図2】実施の形態1を示す平面図。
【図3】実施の形態1のコミュテータと接続端子の関係を示す正面図。
【図4】実施の形態1のコミュテータと接続端子の関係を拡大して示す斜視図。
【図5】実施の形態1の製造工程を示す正面図。
【図6】実施の形態1の製造工程を示す平面図。
【図7】従来の直流モータの巻線工程の説明図。
【符号の説明】
10 回転軸、 20 電機子鉄心、 23 突極、 25 固定部片、
30 電機子コイル、 31 電機子コイルユニット、
33 コイルボビン、
40 接続端子、 41 平板部、 42 折曲部、 43 挿入孔、
44 弾性部片、 46 折返し部、 47 隙間
50 コミュテータ、 51 コミュテータ部材、 53 接続フック部、
60 コイル成形部材、 61 コイル巻付け面。
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば車両用燃料ポンプに使用される直流モータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
特表2001−522580号公報(図1とその説明)。
【0003】
この種の直流モータは、例えば特表2001−522580号公報に開示されている。この種の直流モータは、この特表2001−522580号公報の図1に示されるように、電機子鉄心とコミュテータとを共通の回転軸上に配置して構成される。
【0004】
電機子鉄心には、電機子コイルが直接巻回されている。コンミュテータは、複数のコミュテータ部材を回転軸の外周に沿って配置したもので、このコミュテータは電機子鉄心と間隙を介して軸方向に対向して配置される。各コミュテータ部材には、電機子コイルを接続するための接続フック部が設けられている。電機子コイルは、電機子鉄心に直接巻回され、その端子が各コミュテータ部材の接続フック部に固定され、各コミュテータ部材から給電を受ける。
【0005】
この種の直流モータの従来の巻線工程を図7について説明する。電機子鉄心ACは複数の突極APを有し、この各突極APに順次電機子コイルAWが巻回される。この巻線工程では、傾斜した巻付け面WSを持ったコイル成形部材CSが使用される。このコイル成形部材CSは、突極APに嵌め込まれ、巻付け面WSに巻付けられるコイルターンを磁極APの外周に送り込む。コイル成形部材CSは、最初に、突極APの内端部まで嵌め込まれ、コイルの巻回に伴って、順次、突極APの外端部に移動して、コイルを突極APに送り込む。巻終わった電機子コイルAWが図7の右側の突極APの外周に示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の直流モータは、電機子コイルAWを電機子鉄心ACの突極APに直接巻回するため、コイル成形部材CSは突極APの内端位置まで、嵌め込まれる。これに伴い、コミュテータCTは電機子鉄心ACから軸方向に、大きな距離だけ隔たった位置において、回転軸RSに固定され、コイル成形部材CSを突極APに嵌め込むスペースSPが確保される。しかし、このスペースSPは、直流モータの軸方向長さを大きくするので、直流モータを小型化する上で、障害となる。
【0007】
この発明は、このようなスペースをより縮小し小型化を可能にした、改良された直流モータおよびその製造方法を提案するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明による直流モータは、回転軸上に設けられた電機子鉄心と、この電機子鉄心に磁束を発生させるように巻かれた電機子コイルと、前記回転軸上に設けられ前記電機子コイルに給電するコミュテータとを備えた直流モータであって、前記電機子コイルはコイルボビンに巻き付けられて前記電機子鉄心に取り付けられるともに、前記コミュテータとの接続のための接続端子を有し、また前記コンミュテータは前記電機子コイルとの接続のための接続フック部を持った複数のコミュテータ部材を有し、前記接続端子が前記接続フック部を挟み付け、前記接続フック部に固着されていることを特徴とする。
【0009】
この発明による直流モータにおいて、電機子コイルは、コイルボビンに巻かれ、電機子鉄心に直接巻回されない。このため、コイルボビンに対する電機子コイルの巻線工程は、電機子鉄心の突極の外端部にコイルボビンを保持した状態、または、電機子鉄心から離れた位置において行なうことができ、この巻線工程で使用するコイル成形部材を収容するためのスペースを、回転軸上で確保する必要がなくなる。これに伴い、コミュテータを電機子鉄心により接近した位置において回転軸に固定することができ、直流モータの軸方向長さを短縮し、小型化が可能となる。また、電機子コイルに設けた接続端子が、コミュテータの接続フック部を挟み付けた状態で、この接続フック部に固定する構成は、電機子コイルとコミュテータとの接続を容易にする。これらに基づき、直流モータの小型化とともに、その組立て作業を容易にできる。
【0010】
また、この発明による直流モータの製造方法は、複数の突極を有する電機子鉄心と、接続フック部を持った複数のコミュテータ部材を有するコミュテータとを、共通の回転軸上に取り付ける工程、およびコイルボビンに巻かれた電機子コイルを前記各突極に嵌め込むとともに、前記電機子コイルに取り付けた接続端子を前記接続フック部に挟み付ける工程を含んでいる。
【0011】
この発明による直流モータの製造方法では、コイルボビンに巻かれた電機子コイルを、電機子鉄心の突極に嵌め込むとともに、接続端子をコミュテータ部材の接続フック部に挟み付ける工程を含んでいる。この工程を採用することにより、コイルボビンに対する電機子コイルの巻線工程は、電機子鉄心の突極の外端部にコイルボビンを保持した状態、または、電機子鉄心から離れた位置において行なうことができ、この巻線工程で使用するコイル成形部材を収容するためのスペースを、回転軸上で確保する必要がなくなり、これに伴い、直流モータの軸方向長さを短縮し、小型化が可能となる。併せてコイルボビンを突極に嵌め込むとともに、電機子コイルに設けた接続端子でコミュテータの接続フック部を挟み付けるので、コミュテータとの接続も容易となり、直流モータの組立て作業を容易にできる。
【0012】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1はこの発明による直流モータの実施の形態1を示す正面図、図2は実施の形態1を示す平面図である。
【0013】
[実施の形態1の直流モータの構造の説明]
実施の形態1の直流モータは、回転軸10、電機子鉄心20、電機子コイル30、接続端子40およびコミュテータ50を有する。回転軸10は、図示しない軸受けにより、その両端部が回転可能に支持される。
【0014】
電機子鉄心20は、中心筒21とその周りに等しい角度間隔で配置された複数の突極23を有する。これらの中心筒21と複数の突極23は、例えば珪素鋼板を回転軸10の軸方向に積層して、一体に形成される。中心筒21は、回転軸10の外周に嵌め込まれ、この回転軸10に固定され、回転軸10とともに回転する。複数の突極23は、例えば6個の突極23を含んで構成され、各突極23は、回転軸10の軸心を中心として、放射状に突出している。6個の突極23は、隣接する突極23が互いに60度の等しい角度間隔を持って放射状に突出している。各突極23の外端部には、互いに対向する一対の固定部片25が突極23と一体に形成されている。この一対の固定部片23は、電機子コイル30の電機子コイルユニット31を巻回したコイルボビン33を、突極23の最も内端の位置まで嵌め込んだ状態で、互いに反対側に折り曲げられ、コイルボビン33を突極23に、抜け止めし、固定する。
【0015】
電機子コイル30は、複数の、例えば6個の電機子コイルユニット31を含む。各電機子コイルユニット31はコイルボビン33に巻回されている。コイルボビン33は、突極23に嵌め込まれる筒体34を有し、この筒体34の内端に内側鍔35を、またその外端に外側鍔36を有する。電機子コイルユニット31は、内側鍔35と外側鍔36との間の筒体34に巻回されている。なお筒体34は、突極23の外周にぴったりと嵌り込む形状とされている。各電機子コイルユニット31のコイルエンドには、接続端子40が取り付けられている。
【0016】
コミュテータ50は、回転軸10の外周に、電機子鉄心20と少しの間隙Sを介して固定され、回転軸10とともに回転する。コミュテータ50は、複数のコミュテータ部材51を有する。この複数のコミュテータ部材51は、回転軸10の外周に沿って、相互間に絶縁層を挟み、互いに絶縁され、配置されている。各コミュテータ部材51は、接続フック部53を有し、この接続フック部53には、接続端子40が接続、固定される。接続フック部53は、各コミュテータ部材51の一部から、外周へ突出するようにして、各コミュテータ部材51と一体に形成されている。
【0017】
図3は、実施の形態1のコミュテータ50と接続端子40との接続、固定状態を示す正面図、図4はそのコミュテータ部材51と接続端子40との関係を拡大して示す斜視図である。
【0018】
接続端子40は、コミュテータ50の接続フック部53に接続、固定される端子であり、コミュテータ50から電機子コイル30への給電を行なうものである。接続端子40は、弾性を有する導電材料、例えば黄銅の板材を図4のように折り曲げて構成される。この接続端子40は、平板部41、折曲部42、弾性部片44および折返し部46を一体に有する。折曲部42は平板部41の一端をほぼ直角に折り曲げて形成され、この折曲部42からさらに、折曲がって、弾性部片44が形成されている。弾性部片44は、折曲部42との間の角度が例えば約45度の鋭角となるように、折り曲げられており、その先端は隙間47を介して平板部41に対向している。折曲部42には、挿入孔43が形成されている。一方の折返し部47は、平板部41との間に、電機子コイルユニット31のコイルエンド31aを挟むように、折返されており、電機子コイルユニット31のコイルエンド31aを挟んだ状態で、ろう付けまたは溶接され、接続端子40がコイルエンド31aに接続、固定される。
【0019】
接続端子40は、その挿入孔43に接続フック部53が挿入されるようにして、接続フック部63に接続、固定される。接続フック部53は、挿入孔43から、弾性部片44と平板部41との隙間47を通過する位置まで挿入される。隙間47は、接続フック部53が挿入されない状態において、接続フック部53の厚さよりも小さい寸法に作られている。このため、隙間47に接続フック部53が挿入された状態では、弾性部片44がその弾性によって、接続フック部53を平板部41に押し付ける。併せて弾性部片44は、折曲部42に対し、鋭角をなすように、折曲部42から折曲げられており、このため、接続フック部53を挿入する方向では、接続フック部53が弾性部片44の先端をスライドしながら挿入されるが、挿入と逆の方向では、弾性部片44の先端が接続フック部53に食い込む角度となるので、接続フック部53からの抜けが防止される。
【0020】
図1、図2の直流モータは、コミュテータ60に接触する図示しないブラシと、電機子鉄心20を取り囲む図示しない界磁磁石を有する。この界磁磁石からの磁界の中で、ブラシから、コミュテータ50を介して電機子コイル30に直流電流が流れる結果、電機子コイル30に駆動力が発生し、この電機子コイル30が電機子鉄心20、回転軸10とともに、回転する。
【0021】
この実施の形態1の直流モータにおいて、電機子コイル30は、コイルボビン33に巻かれ、電機子鉄心20に直接巻回されない。このため、コイルボビン33に対する電機子コイル30の巻線工程は、電機子鉄心20の突極23の外端部にコイルボビン33を嵌め込んだ状態、または、電機子鉄心20に全く嵌め込まずに、電機子鉄心20から離れた別の位置、例えば直流モータの外部の適当な場所において行なうことができ、この巻線工程で使用するコイル成形部材を嵌め込むためのスペースを、回転軸上で確保する必要がなくなる。これに伴い、コミュテータ50を電機子鉄心20に、より接近した位置において、回転軸10に固定することができ、直流モータの軸方向長さを短縮し、小型化が可能となる。また、電機子コイル30に設けた接続端子40が、コミュテータ50の接続フック部53を挟み付けて固定する構成は、電機子コイル30とコミュテータ50との接続作業を容易にする。
【0022】
また、接続端子40に設けられた弾性部片44により、接続フック部53を挟み付けるようにしたので、接続端子40により接続フック部53を接続固定する構造を簡単に実現でき、加えて、弾性部片44の使用により、接続端子40を接続フック部53にろう付け固定する前に、簡単に接続フック部53を挟み付けることができ、組立ても簡単化される。
また、接続端子40に、弾性部片44とともに平板部41を設けたので、弾性部片44と平板部41との間に、接続フック部53を簡単に挟むことが可能となる。
また、弾性部片44と平板部41とを一体に形成したので、接続端子40の部品数を減少することができ、また弾性部片44を平板部41の一端に、折曲部42を介して接続したので、弾性部片44に簡単に必要な弾性を与えることができる。
また、折曲部42に挿入孔43を形成したので、この挿入孔43に接続フック部53を挿入し、弾性部片44と平板部41の間に、接続フック部53を簡単に挟み付けることができる。
【0023】
また、実施の形態1では、電機子鉄心20が回転軸10の軸心から放射状に突出する複数の突極23を有し、電機子コイルユニット31を巻回したコイルボビン33を各突極23に嵌め込むようにしているので、コイルボビン33を突極23に嵌め込むことにより、簡単に、組立てを行なうことができる。
また、突極23には固定部片25を設けたので、コイルボビン33を突極23に簡単に固定でき、またこの固定部片25は折り曲げにより、コイルボビン33を突極23に固定するようにしたので、簡単にコイルボビン33を固定できる。
【0024】
[実施の形態1の製造方法の説明]
次に実施の形態1の直流モータの製造方法を説明する。
この実施の形態1の製造方法では、第1工程から第3工程の3つの工程がこの順番に実行される。第1工程は、コイルボビン33に電機子コイル30を巻回して電機子コイルユニット31を形成する巻線工程であり、第2工程は、電機子コイルユニット31の完成後に、そのコイルボビン33を突極23の最終取り付け位置に取り付ける取り付け工程であり、第3工程は、電機子コイルユニット31の接続端子40を、対応するコミュテータ部材51の接続フック部53に接続、固定する接続固定工程である。
図5は特に第1、第2工程を含む直流モータの製造工程を示す正面図、図6はその平面図である。これらの図面を参照して、各工程について説明する。
【0025】
まず、第1工程、すなわち巻線工程について説明する。この巻線工程は、コイルボビン33を、突極23の外端部に嵌め込んだ状態で、このコイルボビン33に電機子コイル30を巻回する作業が行なわれる。図5において、左側に示された電機子コイルユニット31Aが、巻線工程を実行している状態にあるユニットである。
【0026】
この巻線工程において、コイルボビン33は、突極23の外端部に嵌め込まれている。図5の右側の電機子コイルユニット31は、第1工程、第2工程が終了し、コイルボビン33が突極23の内端位置にまで嵌め込まれた状態を示しているが、巻線工程にある電機子コイルユニット31Aのコイルボビン33は、この突極23の内端位置までは嵌め込まれておらず、その外端位置に留まった状態にある。コイルボビン33は突極23の外端位置に嵌め込まれた状態において、コイルボビン33の外周には、コイル成形部材60が嵌め込まれる。このコイル成形部材60は、コーン形のコイル巻付け面61を有し、最初に、コイル成形部材60がコイルボビン33の最も内端位置まで嵌め込まれた状態で、コイル巻付け面61に巻き付けられたコイルターンが、コイルボビン33の内端部に案内され、そこに巻付けられる。
【0027】
巻線工程の進行に伴い、コイル成形部材60はコイルボビン33の外端に向かって移動し、このコイル成形部材60の移動に伴って、コイルボビン33の中間にコイルターンが案内され、巻回されるようになり、最後にはコイルボビン33の外端部にコイルターンが案内され、巻回される。突極23の外端位置において、コイルボビン33への巻回作業が行なわれるので、コイル成形部材60は、突極23の内端位置にまで嵌め込む必要がなく、突極23の外端位置において、容易に行なうことができ、またコイル成形部材60を突極23の内端位置に嵌め込む必要がなくなるので、電機子鉄心20とコンミュテータ50との軸方向の間隔を小さくして、直流モータの小型化を図ることができる。
【0028】
この巻線工程において、コイルボビン33へのコイルの巻回作業が終わると、コイルの端部に接続端子40を固定する作業が行なわれる。この接続端子40の接続固定作業では、先に巻線工程を完了した隣接する電機子コイルユニット31のコイルエンド31aと、次に巻回作業が終了した電機子コイルユニット31Aのコイルエンド31aとに、1つの接続端子40に接続固定される。この作業において、接続端子40の折返し部46には、前述の2つのコイルエンド31a、31aが互いに対向する状態で挟さまれ(図4参照)、この折返し部46を平板部41に向かって押し付け、変形することにより、それらのコイルエンド31aが折返し部46によって挟み込まれ、固定される。この固定をさらに確実にし、しかも電気的接続をより確実にするために、接続端子40の折返し部46と平板部41との間で、ろう材を用いたろう付けまたは溶接が行なわれる。
【0029】
巻線工程の終了後、電機子コイルユニット31Aのコイルボビン33を突極23の最終取り付け位置にまで嵌め込み、固定する取り付け工程が行なわれる。このコイルボビン33の最終取り付け位置は、突極23の内端位置であり、コイルボビン33は、この突極23の内端位置まで嵌め込まれる。コイルボビン33を突極23の内端位置まで嵌め込んだ状態で、突極23の外端に設けられた一対の固定部片25が互いに反対方向に折り曲げられ、コイルボビン33を固定する。
【0030】
電機子コイルユニット31の取り付け工程が終了した後、接続端子40を、対応するコンミュテータ部材51の接続フック部53に接続固定する工程が実行される。この工程では、接続端子40の挿入孔43に、接続フック部53が差し込まれる。接続フック部53は、弾性部片44と平板部41との隙間47を通ってスライドし、弾性部片44の弾性に基づき、弾性部片44と平板部41との間に、挟み付けられる状態となる。この状態において、接続端子40は接続フック部53に保持されるが、接続端子40をより強固に、またより確実な電気的接続を達成するため、接続端子40と接続フック部53との間に、ろう付け、または溶接作業が行なわれる。
【0031】
この実施の形態1の製造方法では、電機子コイル30がコイルボビン33に巻かれており、この電機子コイル30に接続端子40を付け、この接続端子40をコミュテータ50の接続フック部53に挟み付けるので、コイル成形部材60を突極23の内端位置にまで嵌め込む必要がなくなるので、コミュテータ50と電機子鉄心20との間隔を小さくでき、モータの小型化を図ることができ、併せて、接続端子40が接続フック部53を挟み付けるようにしたので、この接続端子40を接続フック部53に接続固定する作業を容易に行なうことができ、モータの組立て作業を簡単に行なうことができる。
【0032】
また、実施の形態1の製造方法では、コイルボビン33が突極23の径方向の外端部に嵌められた状態で、電機子コイルユニット31に対する巻回作業が行なわれ、その後、コイルボビン33を突極23の内側に押し込み固定するようにしており、コイルボビン33が突極23の外端部に嵌め込まれた状態で巻回作業が行なわれるので、巻回作業を突極23の外端部の比較的広いスペースで、容易に行なうことができる。
また、この比較的広いスペースで、コイル巻付け面61を有するコイル成形部材60を用いて行なうので、コイル巻回作業を効率良く実行できる。
【0033】
実施の形態2.
この実施の形態2の直流モータは、実施の形態1の直流モータと同じ構成であり、その製造方法が実施の形態1の製造方法と異なる。この実施の形態2の製造方法は、コイルボビン33に対してコイルを巻回する巻線工程が、コイルボビン33を、突極23に嵌め込むことなく、電機子鉄心20から離れた場所で、実行される。この場所は、モータの外部であって、モータ製造工場の適当な場所とされ、この場所では、コイルボビン33に対する巻線工程を、電機子鉄心20に邪魔されることなく、広い場所で容易に行なうことができる。この巻線工程では、直流モータに必要な数、例えば6個の電機子コイルユニット31がコイル成形部材60をコイルボビン33に嵌め込みながら、順次形成される。
【0034】
巻線工程では、コイルボビン33に対して、コイルを巻回するとともに、この巻回作業の終わった状態で、コイルエンドに接続端子40を付ける作業が行なわれる。この作業では、隣接する電機子コイルユニット31の2つのコイルエンドに対して、1個の接続端子40が取り付けられ、巻回作業の終わった6個の電機子コイルユニット31に対し、合計6個の接続端子40が取り付けられる。この接続端子40の取り付け作業は、実施の形態1と同じ要領で行なわれるが、その作業は巻回作業と同じに、電機子鉄心20とは無関係の場所で、容易に実施できる。
【0035】
6個の接続端子40を付けた6個の電機子コイルユニット31は、電機子鉄心20の各突極23に、順次嵌めこまれ、固定部片25により、順次固定される。その後、6個の接続端子40は、順次対応するコミュテータ部材51の接続フック部53に接続固定される。この接続端子40と接続フック部53との接続固定作業は、実施の形態1と同じである。
【0036】
このように、実施の形態2では、コイルボビン33に対する巻回工程を、電機子鉄心20から離れた適当な場所において容易に行ない、また接続端子40の取り付け作業も、その場所で効率良く行なうことができる。
【0037】
【発明の効果】
以上のように、この発明による直流モータでは、電機子コイルがコイルボビンに巻回され、また、この電機子コイルには接続端子が取り付けられ、この接続端子がコミュテータの接続フック部を挟み付けた状態で取り付けられるので、コミュテータを電機子鉄心により接近した位置において回転軸に固定することができ、直流モータの軸方向長さを短縮し、小型化が可能となり、また、電機子コイルとコミュテータとの接続を容易に行なうことができる。
【0038】
また、この発明による直流モータの製造方法では、コイルボビンに巻かれた電機子コイルを電機子鉄心の突極に嵌め込むとともに、電機子鉄心に取り付けた接続端子をコミュテータの接続フック部に挟み付けるようにしたので、コミュテータを電機子鉄心により接近した位置において回転軸に固定することができ、直流モータの軸方向長さを短縮し、小型化が可能となり、また、電機子コイルとコミュテータとの接続を容易に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による直流モータの実施の形態1を示す正面図。
【図2】実施の形態1を示す平面図。
【図3】実施の形態1のコミュテータと接続端子の関係を示す正面図。
【図4】実施の形態1のコミュテータと接続端子の関係を拡大して示す斜視図。
【図5】実施の形態1の製造工程を示す正面図。
【図6】実施の形態1の製造工程を示す平面図。
【図7】従来の直流モータの巻線工程の説明図。
【符号の説明】
10 回転軸、 20 電機子鉄心、 23 突極、 25 固定部片、
30 電機子コイル、 31 電機子コイルユニット、
33 コイルボビン、
40 接続端子、 41 平板部、 42 折曲部、 43 挿入孔、
44 弾性部片、 46 折返し部、 47 隙間
50 コミュテータ、 51 コミュテータ部材、 53 接続フック部、
60 コイル成形部材、 61 コイル巻付け面。
Claims (12)
- 回転軸上に設けられた電機子鉄心と、この電機子鉄心に磁束を発生させるように巻かれた電機子コイルと、前記回転軸上に設けられ前記電機子コイルに給電するコミュテータとを備えた直流モータであって、前記電機子コイルはコイルボビンに巻き付けられて前記電機子鉄心に取り付けられるともに、前記コミュテータとの接続のための接続端子を有し、また前記コンミュテータは前記電機子コイルとの接続のための接続フック部を持った複数のコミュテータ部材を有し、前記接続端子が前記接続フック部を挟み付け、この接続フック部に固着されていることを特徴とする直流モータ。
- 請求項1記載の直流モータであって、前記接続端子が前記接続フック部を挟み付ける弾性部片を有し、この弾性部片により前記接続フック部を挟み付け、前記接続端子が前記接続フック部に固着されていることを特徴とする直流モータ。
- 請求項2記載の直流モータであって、前記接続端子は前記弾性部片とともに平板部を有し、これらの弾性部片と平板部との間に、前記接続フック部を挟むことを特徴とする直流モータ。
- 請求項3記載の直流モータであって、前記弾性部片と平板部とが一体に構成され、前記弾性部片が前記平板部の一端に折曲部を介して接続されていることを特徴とする直流モータ。
- 請求項4記載の直流モータであって、前記折曲部には挿入孔が形成されており、この挿入孔が前記接続フック部に嵌っていることを特徴とする直流モータ。
- 請求項1記載の直流モータであって、前記電機子鉄心が前記回転軸の軸心から外周に向かって突出する複数の突極を有し、前記電機子コイルは複数のコイルボビンに巻かれており、この各コイルボビンが前記各突極に嵌め込まれていることを特徴とする直流モータ。
- 請求項6記載の直流モータであって、前記各突極には固定部片が設けられ、前記各突極に嵌め込まれた各コイルボビンが、前記固定部片により、各突極に固定されていることを特徴とする直流モータ。
- 請求項7記載の直流モータであって、前記固定部片が前記突極から折り曲げられることにより、前記コイルボビンを前記突極に固定することを特徴とする直流モータ。
- 複数の突極を有する電機子鉄心と、接続フック部を持った複数のコミュテータ部材を有するコミュテータとを、共通の回転軸上に取り付ける工程、およびコイルボビンに巻かれた電機子コイルを前記各突極に嵌め込み、前記電機子コイルに取り付けた接続端子を、前記接続フック部に挟み付ける工程を含んだ直流モータの製造方法。
- 請求項9記載の直流モータの製造方法であって、前記コイルボビンが前記突極の径方向の外端部に嵌められた状態において、前記コイルボビンに前記電機子コイルが巻かれ、その後、前記電機子コイルを巻終わった前記コイルボビンが前記突極の径方向の内側に押し込まれて固定されることを特徴とする直流モータの製造方法。
- 請求項9記載の直流モータの製造方法であって、コイルボビンに巻かれた電機子コイルを準備する工程を含み、この電機子コイルを巻き終わったコイルボビンを前記突極に嵌め込み、固定することを特徴とする直流モータの製造方法。
- 請求項10または11記載の直流モータの製造方法であって、前記コイルボビンに前記電機子コイルを巻くときに、傾斜したコイル巻付け面を有するコイル成形部材を使用することを特徴とする直流モータの製造方法。
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