JP2004128696A - 車両用アンテナ装置 - Google Patents

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Tatsuaki Taniguchi
谷口 龍昭
Kazuo Shigeta
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Abstract

【課題】設置スペースが限られたアンテナで周波数の異なる複数の電波を受信する場合に、アンテナ構造の複雑化や製作コストの上昇を特に招くことなく、受信感度の両立を図ることができる車両用アンテナ装置を提供する.
【解決手段】フィーダ線Fdと該フィーダ線に接続されたアンテナ素子E1,E2,E3とを備えた車両用アンテナ装置A1であって、上記アンテナ素子は、車体から遠ざかる方向に延びる第1アンテナ素子E1と、該第1アンテナ素子から分岐し、第1アンテナ素子と交差する方向において実質的に互いに逆方向へ延びる第2アンテナ素子E2および第3アンテナ素子E3とを備えていることを特徴とする。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば自動車等の車両に搭載される車両用アンテナ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車等の車両に設けられる車両用アンテナ装置の受信対象電波としては、一般に、少なくともAMラジオ放送波,FMラジオ放送波およびTV放送波などが挙げられる。これら電波の周波数は、AMラジオ放送波で約1MHz、FMラジオ放送波で約76〜90MHz、また、TV(テレビ)放送波の場合、少なくとも、ロー(Low)バンドで約90〜108MHz,ハイ(High)バンドで約170〜225MHzと、それぞれ大きく異なっており、従って、その波長についてもそれぞれ大きく異なっている。アンテナの長さとしては、一般に受信電波の波長(λ)の1/4が理想的であるとされているので、受信対象に応じて理想のアンテナ長さも大きく異なることになる。
【0003】
ところで、近年では、車体重量低減の要請の高まりに伴って、バックドア等の開閉体やリヤスポイラ更にはバンパ等の一種の車体部材についても、少なくともその外板(ドア・アウタパネルやバンパフェイス)等を合成樹脂製としたものが、実用に供されるようになって来ている。
【0004】
このように、バックドアやリヤスポイラ更にはバンパ等の車体部材について、少なくともその外板を非導電性材料である樹脂製とした場合、これら部材を利用してその内部にアンテナ装置を設けることが考えられる。
例えば、特許文献1には、合成樹脂製のリヤスポイラの内部にアンテナ装置を取り付けた構成が開示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平5−106376号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記のような車体部材の内部にアンテナ装置を設ける場合には、その配置スペースが限られる関係上、アンテナ長さを適正に確保することが一般により難しくなる。
そこで、かかる問題への対策の一つとして、所謂モノポールアンテナの先端側を略直角に折り曲げて「L型アンテナ」とすることが考えられる。
【0007】
図1は、かかるL型アンテナ装置80の一例を示している。このL型アンテナ80では、フィーダFjの給電ポイントSjからアンテナ基板89の幅方向(図1における上下方向)に延びる第1アンテナ素子E81と、その端部から直角に折り曲げるようにして形成された第2アンテナ素子E82とで、L型のアンテナが構成されている。
【0008】
尚、図1の例では、第1アンテナ素子E81の長さは例えば100mmに、第2アンテナ素子E82の長さは例えば500mmにそれぞれ設定されており、アンテナ全長は600mmになっている。
しかしながら、図1に示したアンテナ装置80では、FM(ラジオ)放送波については良好な受信特性を示すが、AM(ラジオ)放送波についてはアンテナ素子の長さが短いので感度が不足するという難点がある。
【0009】
そこで、図2に示すように、第1アンテナ素子E91の長さはそのまま(100mm)で、第2アンテナ素子を延長してAM放送波に対する受信感度を向上させることが考えられる(延長した第2アンテナ素子E92:長さ740mm)。この場合には、アンテナ全長は840mmとなり、AM放送波に対する受信感度の向上は図れるものの、アンテナ基板99の長手方向についての必要スペースが大きくなり、しかも、インピーダンス不整合に起因して、FM放送波に対する受信感度が低下するという問題が生じる。尚、上記図2に示すように、図1のL型アンテナ80に対して、第2アンテナ素子を延長したものを「L型延長アンテナ」90と称することとする。
【0010】
この問題に対して、例えば図1の第2アンテナ素子E82の先端に、AM周波数帯域をパスしFM周波数帯域をブロックするコイルを追加した上で、そのコイル先端に延長用のアンテナ素子を追加することにより、FM放送波に対する受信感度を維持しつつ、AM放送波に対する受信感度を向上させることが考えられる。
しかしながら、この場合には、アンテナ構造が複雑となり、製作コストも高くなるという難点がある。
【0011】
以上のような受信感度の両立についての問題は、FM放送波とAM放送波との間だけに限らず、例えば、TV(テレビ)放送波のローバンドとハイバンド(VHF/High及びLow)との間など、1つのアンテナで周波数の異なる複数の電波を受信する場合には、不可避的につきまとうものである。
【0012】
この発明は、上記技術的課題に鑑みてなされたもので、設置スペースが限られたアンテナで周波数の異なる複数の電波を受信する場合に、アンテナ構造の複雑化や製作コストの上昇を特に招くことなく、受信感度の両立を図ることができる車両用アンテナ装置を提供することを、基本的な目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本願発明者等は、かかる目的達成のため、種々研究開発活動を重ねる中で、アンテナパターンをT型またはF型とすることにより、かなり広い受信周波数帯域にわたって比較的良好な受信特性が得られること、更に、かかるT型アンテナで異なる受信周波数帯域を構成する場合に、例えば、所謂VSWR(電圧定在波比:Voltage Standing Wave Ratio)を一定値以下に維持するなど、所定の条件の下で、周波数の倍率に関係して変化する係数を設定し、かかる係数を用いてアンテナ設計を行うことにより、非常に効率良く受信特性の優れたアンテナパターンが得られることを見出した。
【0014】
そこで、本願請求項1の発明(以下、第1の発明という)に係る車両用アンテナ装置は、フィーダ線と該フィーダ線に接続されたアンテナ素子とを備えた車両用アンテナ装置であって、上記アンテナ素子は、車体から遠ざかる方向に延びる第1アンテナ素子と、該第1アンテナ素子から分岐し、第1アンテナ素子と交差する方向において実質的に互いに逆方向へ延びる第2アンテナ素子および第3アンテナ素子とを備えていることを特徴としたものである。
【0015】
また、本願請求項2に係る発明(以下、第2の発明という)は、上記第1の発明において、上記アンテナ素子は、上記第3アンテナ素子の端末部から略直角方向に折り返されてなる第4アンテナ素子を備えていることを特徴としたものである。
【0016】
更に、本願請求項3の発明(以下、第3の発明という) に係る車両用アンテナ装置は、フィーダ線と該フィーダ線に接続されたアンテナ素子とを備えた車両用アンテナ装置であって、上記アンテナ素子は、車体から遠ざかる方向に延びる第1アンテナ素子と、該第1アンテナ素子から分岐し、第1アンテナ素子と交差する方向において実質的に互いに逆方向へ延びる第2アンテナ素子および第3アンテナ素子とで、全体として略T字状に形成されており、上記第1アンテナ素子と第2アンテナ素子とで低周波帯域を構成すると共に、上記第1アンテナ素子と第3アンテナ素子とで高周波帯域を構成し、上記第3アンテナ素子の長さは、上記第2アンテナ素子の長さに所定係数を乗算した値に基づいて設定されている、ことを特徴としたものである。
【0017】
また更に、本願請求項4に係る発明(以下、第4の発明という)は、上記第3の発明において、上記所定係数は、上記低周波数帯域の周波数に対する上記高周波数帯域の周波数の倍率に応じて変更されることを特徴としたものである。
【0018】
また更に、本願請求項5に係る発明(以下、第5の発明という)は、上記第4の発明において、上記所定係数は、上記倍率が大きくなるに連れて小さくなることを特徴としたものである。
【0019】
また更に、本願請求項6に係る発明(以下、第6の発明という)は、上記第1〜第5の発明の何れか一において、上記アンテナ素子は、車両の窓ガラスに取り付けられている
【0020】
また更に、本願請求項7に係る発明(以下、第7の発明という)は、上記第6の発明において、上記窓ガラスは車両後部の窓に取り付けられることを特徴としたものである。
【0021】
また更に、本願請求項8に係る発明(以下、第8の発明という)は、上記第1〜第5の発明の何れか一において、上記アンテナ素子は、少なくともアウタパネルが合成樹脂でなる開閉体における上記アウタパネルの内側に取り付けられていることを特徴としたものである。
【0022】
また更に、本願請求項9に係る発明(以下、第9の発明という)は、上記第8の発明において、上記開閉体はバックドアであり、該バックドアの上端側に、少なくともアウタパネルが合成樹脂でなるエアスポイラが設けられており、該エアスポイラの上記アウタパネルの内側に上記アンテナ素子が取り付けられていることを特徴としたものである。
【0023】
また更に、本願の請求項10に係る発明(以下、第10の発明という)は、上記第1〜第5の発明の何れか一において、上記アンテナ素子は、少なくともバンパフェイスが合成樹脂でなるバンパにおける上記バンパフェイスの内側に取り付けられていることを特徴としたものである。
【0024】
また更に、本願の請求項11に係る発明(以下、第11の発明という)は、上記第1〜第10の発明の何れか一において、上記アンテナ素子は薄板状のアンテナ基板上に配設され、該アンテナ基板を介して車体部材に取り付けられていることを特徴としたものである。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
まず、本発明の実施形態に係るアンテナ装置のアンテナパターンについて説明する。図3は本実施の形態に係る車両用アンテナ装置のアンテナパターンの一例を模式的に示す説明図である。
【0026】
この図に示すように、本実施の形態に係るアンテナ装置A1では、アンテナ基板P1上に全体として略T字状のアンテナパターンが形成されている。このアンテナパターンのアンテナ素子は、車体から遠ざかる方向(図3における上方)に延びる第1アンテナ素子E1と、該第1アンテナ素子E1の先端で分岐し、第1アンテナ素子E1と交差する方向(図3における左右方向)において実質的に互いに逆方向へ延びる第2アンテナ素子E2および第3アンテナ素子E3とで構成され、全体として略T字状を成している。上記第1アンテナ素子E1の基端側には、給電点Spを介してフィーダ線Fdが接続されている。
【0027】
そして、第1アンテナ素子E1と第3アンテナ素子E3とで高周波帯域(例えば、TV放送波の周波数帯域)が受信され、第1アンテナ素子E1と第2アンテナ素子E2とで次に高い周波数帯域(例えば、FM放送波の周波数帯域)が受信され、更に、第1〜第3アンテナ素子E1〜E3全体で低周波帯域(例えば、AM放送波の周波数帯域)が受信されるように構成されている。
【0028】
図3の例では、第1アンテナ素子E1の長さは例えば100mmに、第2アンテナ素子E2の長さは例えば500mmに、また、第3アンテナ素子E3の長さは例えば240mmにそれぞれ設定されており、アンテナ全長は840mmになっている。
そして、長さ340mmのアンテナ部分(第1アンテナ素子E1+第3アンテナ素子E3)でTV放送波が受信され、長さ600mmのアンテナ部分(第1アンテナ素子E1+第2アンテナ素子E2)でFM放送波が受信され、更に、長さ840mmのアンテナ(第1アンテナ素子E1+第2アンテナ素子E2+第3アンテナ素子E3)でAM放送波が受信されるように設定されている。
【0029】
このように、第1アンテナ素子E1と、該第1アンテナ素子E1の先端部分から分岐し交差する方向において実質的に互いに逆方向へ延びる第2アンテナ素子E2および第3アンテナ素子E3とで、全体として略T字状を成すアンテナパターンを構成したことにより、第1及び第2のアンテナ素子E1及びE2が組み合わされてなるアンテナ部分や第1及び第3のアンテナ素子E1及びE3が組み合わされてなるアンテナ部分と、第1〜第3の全てのアンテナ素子E1〜E3全体でなるアンテナとで、長さの異なる複数のアンテナに相当するアンテナ機能を備えることができ、1つのアンテナパターンで周波数の異なる複数の電波の受信に対応することが可能になる。
【0030】
すなわち、アンテナA1の設置スペースが限られている場合でも、第1〜第3の各アンテナ素子E1〜E3の長さを各々適切に設定することで、複数の受信周波数の各々について受信感度の両立を図ることが可能になる。この場合において、特殊なコイル等のアンテナ素子以外の部品を付加することなく対応できるので、アンテナ構造の複雑化や製作コストの上昇を特に招くことはない。
【0031】
図4は本実施の形態の変形例に係る車両用アンテナ装置A2のアンテナパターンの一例を模式的に示す説明図である。尚、以下の説明においては、上記図3で示した実施形態における場合と実質的に同様のものについては、同一の符号を付し、それ以上の説明は省略する。
この変形例では、基板P2上に配設されるアンテナ素子は、第3アンテナ素子の端末部から略直角方向(つまり、第1アンテナ素子E1と平行に)に折り返されてなる第4アンテナ素子E4を備えており、全体として略F字状のアンテナパターンを形成している。
【0032】
そして、第1アンテナ素子E1と第3及び第4アンテナ素子E3’及びE4とで高周波帯域(例えば、TV放送波の周波数帯域)が受信され、第1アンテナ素子E1と第2アンテナ素子E2とで次に高い周波数帯域(例えば、FM放送波の周波数帯域)が受信され、更に、第1〜第4アンテナ素子E1〜E4全体で低周波帯域(例えば、AM放送波の周波数帯域)が受信されるように構成されている。
【0033】
図4の例では、第1アンテナ素子E1の長さは図3の場合と同じく例えば100mmに、第2アンテナ素子E2の長さも図3の場合と同じく例えば500mmに、第3アンテナ素子E3’の長さは図3の場合よりも短く例えば140mmに、また、第4アンテナ素子E4の長さは第1アンテナ素子E1と等しく100mmにそれぞれ設定されており、アンテナ全長は図3の場合と等しく840mmになっている。
そして、長さ340mmのアンテナ部分(第1アンテナ素子E1+第3アンテナ素子E3’+第4アンテナ素子E4)でTV放送波が受信され、長さ600mmのアンテナ部分(第1アンテナ素子E1+第2アンテナ素子E2)でFM放送波が受信され、更に、長さ840mmのアンテナ(第1〜第4アンテナ素子E1〜E4全体)でAM放送波が受信されるように設定されている。
【0034】
この変形例のアンテナA2場合には、特に、第3アンテナ素子E3’の端末部から略直角方向に折り返されてなる第4アンテナ素子E4を備えており、全体として略F字状のアンテナパターンが構成されている。
従って、図3のアンテナ装置A1と比較して良く分かるように、アンテナ全長は同じでも、一般に最も長くなる第2及び第3アンテナ素子E2及びE3’の伸長方向(図4における左右方向)の長さは短くなっている。
【0035】
すなわち、図1に示したL型アンテナ80について、AM放送波の受信感度向上のためにアンテナ全長を長く設定する場合でも、左右方向の方向の長さを増すことなく、アンテナ長さを延長することができ、省スペース化を図る上でより有利なアンテナ装置を得ることができるのである。
【0036】
以上のような本発明の実施形態に係るアンテナ装置A1,A2の受信特性の向上効果を確かめるために、図1のL型アンテナ及び図2のL型延長アンテナを比較例として対比する比較試験を行った。本発明実施例としては、図4のF型アンテナA2を用いた。
試験は、603〜1404kHzの低周波数帯域(受信対象:AMラジオ放送波)と、76〜90MHz(受信対象:FMラジオ放送波)及び170〜225MHz(受信対象:VHF/Highバンド)の高周波帯域について行った。各試験の結果を、表1並びに図5及び図6に示す。
【0037】
【表1】
Figure 2004128696
【0038】
表1の試験結果から分かるように、AMラジオ放送波の周波数帯域(低周波数帯域)について、本発明実施例に係るF型アンテナの場合、L型アンテナ(基準)に比して受信感度が2〜3dB向上している。しかも、その向上の程度は、より大型の(左右方向に長い)L型延長アンテナの場合と比べて、殆ど遜色はない。
【0039】
また、図5のグラフから分かるように、FMラジオ放送波の周波数帯域について、本発明実施例に係るF型アンテナA2の場合、L型アンテナ80と殆ど同等の受信感度が得られる。これに対して、L型延長アンテナ90の場合には受信感度がかなり低下している。
更に、図6のグラフから分かるように、VHF/Highの周波数帯域については、F型アンテナA2とすることにより、L型アンテナ80よりも高い受信感度が得られた。
【0040】
以上より、F型のアンテナパターンを例とした本発明のアンテナを用いることにより、L型またはL型延長アンテナに比して、省スペース化を実現した上で、低周波数帯域および高周波数帯域の両方について、満足できる受信感度が得られることが確認できた。
【0041】
次に、前述のような略T字状パターンのアンテナ(図3参照)を用い、第1アンテナ素子と第2アンテナ素子とで低周波帯域に対応したアンテナ部分を構成すると共に、上記第1アンテナ素子と第3アンテナ素子とで高周波帯域に対応したアンテナ部分を構成することにより、周波数の異なる2つの電波を受信するアンテナを得る場合について、かかるアンテナ設計を簡易に行え、非常に効率良く両周波数帯域に対する受信特性の優れたアンテナパターンを得る方法について説明する。
【0042】
図7は、かかるアンテナパターン設定方法の説明に用いるT型アンテナA3の説明図である。図3における場合と同様に、アンテナ素子は、車体から遠ざかる方向に延びる第1アンテナ素子E1(長さ:C)と、該第1アンテナ素子E1の先端から分岐し、第1アンテナ素子E1と交差する方向において実質的に互いに逆方向へ延びる第2アンテナ素子E2(長さ:Lb)および第3アンテナ素子E3(長さ:La’)とで、全体として略T字状に形成されている。
【0043】
この図7のアンテナA3の場合には、上記第1アンテナ素子E1と第2アンテナ素子E2とで低周波帯域に対応した第1のアンテナ部分A3x(低周波用アンテナ:アンテナ長さ=C+Lb)を構成すると共に、上記第1アンテナ素子E1と第3アンテナ素子E3とで高周波帯域に対応した第2のアンテナ部分A3y(高周波用アンテナ:アンテナ長さLa=C+La’)を構成するように設定される。
尚、この実施形態では、上記アンテナA3は、例えばVHF受信用のものとされ、VHFの低周波帯域(VHF/Low)と高周波帯域(VHF/High)とを受信するものとして設定される。
【0044】
まず、第1アンテナ素子E1の長さCの設定について検討した。この第1アンテナ素子E1の長さCの好適な範囲を求めるために、第3アンテナ素子E3の長さLaを0(ゼロ)に固定し、つまり、L型アンテナとし、低周波用アンテナA3xの共振点を一定に固定して、上記第1アンテナ素子E1の長さCを、例えば0〜100mm(0,10,30,50,70,90,100mm)に順次変更して、低周波用アンテナA3xの第2アンテナ素子E2による共振周波数のVSWR(電圧定在波比:Voltage Standing Wave Ratio)を測定した。また、併せて、第2アンテナ素子E2の長さLbの変化も記録した。そして、かかる一連の測定を、低周波用アンテナA3xの共振点が種々に(例えば、90,100,110MHzに)それぞれ固定された場合について行った。
【0045】
周知のように、上記VSWRは小さい方が好ましく、車両用のアンテナ装置の場合には、一般に、このVSWRを3以下に抑えることが求められる。そこで、上記共振周波数のVSWRの測定においては、VSWR<3を維持できる第1アンテナ素子E1の長さCの範囲を求めるようにした。尚、このVSWRの測定方法および装置等は、従来公知のものと同様のものである。
【0046】
上記VSWRの測定結果より、C<50mmの範囲ではVSWR>3となる場合が生じることが分かった。具体的には、低周波用アンテナA3xの共振点が90MHzの場合に、C≧50mmの範囲ではVSWR<3を維持できるが、C<40mmの範囲では、C=30mmの場合を除いて、他は全てVSWR>3となった。
従って、上記第1アンテナ素子E1の長さCは、50mm以上(C≧50mm)に設定する必要がある。
【0047】
尚、低周波用アンテナA3xの共振点が90MHzの場合について、C=50mmとC=40mmでのVSWR測定のデータ例を図8及び図9に示す。両図を対比して分かるように、C=50mmの場合には、第1共振周波数(90MHz)及び第2共振周波数の両方においてVSWR<3が維持されているが、C=40mmの場合には、第1共振周波数でのVSWRが3を越えている。
【0048】
次に、高周波用アンテナA3yと低周波用アンテナA3xの長さの兼ね合いについて検討した。これを検討するに際して、低周波用アンテナA3xの第2アンテナ素子E2の長さLbに対する高周波用アンテナA3yの長さLa(=C+La’)の比率La/Lbを調べた。
【0049】
この比率(La/Lb)について好適な範囲を求めるために、低周波用アンテナA3xの共振点を一定に固定して、上記第1アンテナ素子E1の長さCを、例えば0〜100mm(0,10,30,50,70,90,100mm)に順次変動させるとともに、上記比率(La/Lb)を0.05刻みで0〜1.00まで変動させて、高周波用アンテナA3yによる共振周波数のVSWRを測定した。そして、かかる一連の測定を、上記低周波用アンテナA3xの共振点が種々に(例えば90,100MHzに)それぞれ固定された場合について行った。
【0050】
このVSWRの測定結果より、比率La/Lb>0.8の範囲では、C≧50mmであっても、VSWR>3となる場合が生じることが分かった。具体的には、表2に例示するように、低周波用アンテナA3xの共振点が90MHzの場合に、C=90mmであっても比率La/Lb≧0.85の範囲では、高周波用アンテナA3yによる第2共振周波数のVSWRが3を越えていた。
従って、上記比率(La/Lb)は、0.80以下(La/Lb≦0.80)に設定する必要がある。
【0051】
【表2】
Figure 2004128696
【0052】
また、比率La/Lbに関連した上記VSWRの測定時に、各比率での高周波用アンテナA3yの共振周波数を計測した。低周波用アンテナA3xの共振点が、例えば90,100MHzに固定された場合についての各比率による高周波用アンテナA3yの共振周波数の計測データ例を、表3,表4にそれぞれ示す。
【0053】
【表3】
Figure 2004128696
【0054】
【表4】
Figure 2004128696
【0055】
表3及び表4から分かるように、上記比率La/Lbが定まれば、第1アンテナ素子E1の長さC(≧50mm)の値に拘らず、高周波用アンテナA3yの共振周波数は非常に狭い範囲内に収まっている。このことは、低周波用アンテナA3xの共振点が異なっても同様であった。
【0056】
そして、例えば、低周波用アンテナA3xの共振点が90MHzで、比率La/Lb=0.40の場合を例にとって説明すれば、高周波用アンテナA3yの共振周波数は、C≧50mmの範囲に対して、179〜184MHzの範囲にあり、その平均値は181MHzであった。これは、低周波用アンテナA3xの共振点の2.01倍である。また、低周波用アンテナA3xの共振点が100MHzで、比率La/Lb=0.40の場合を例にとって説明すれば、高周波用アンテナA3yの共振周波数は、C≧50mmの範囲に対して、196〜199MHzの範囲にあり、その平均値は197.5MHzであった。これは、第2アンテナ素子の共振点の1.975倍である。
【0057】
すなわち、比率La/Lb=0.40の場合には、高周波用アンテナA3yの共振周波数は、低周波用アンテナA3xの共振周波数に拘らず、少なくともC≧50mmの範囲に対して低周波用アンテナA3xの共振点の約2.0倍であると言える。
このように、比率La/Lbが定まれば、高周波用アンテナA3yの共振周波数の低周波用アンテナA3xの共振点に対する倍率(倍数)が、第1アンテナ素子E1の長さC(≧50mm)や低周波用アンテナA3xの共振点が異なっても略一定となることは、他の比率La/Lbにおいても同様であった。
【0058】
換言すれば、高周波用アンテナA3yの共振周波数の低周波用アンテナA3xの共振周波数に対する倍率(倍数)が設定されると、上記比率La/Lbが定まることになる。従って、第2アンテナ素子E2の長さLb又は高周波用アンテナA3yの長さLaの何れか一方を設定し、高周波用アンテナA3yの共振周波数の低周波用アンテナA3xの共振周波数に対する倍数を設定することにより、他方の長さLa又はLbが、上記比率La/Lbによって定まることになる。
【0059】
そこで、以上のデータ(例えば、表3,表4参照)に基づいて、高周波用アンテナA3yの共振周波数の低周波用アンテナA3xの共振周波数に対する倍数Xと、第2アンテナ素子E2の長さLbに対する高周波アンテナA3yの長さLaの比率La/Lb(係数K)との相関関係を示す表5(倍数範囲:例えば1.5〜2.5)を作成し、この表5に基づいてアンテナパターンの設計を行えるようにした。この表5によれば、上記倍数Xが大きくなるに連れて係数Kは小さくなっている。
【0060】
【表5】
Figure 2004128696
【0061】
次に、この表5を用いた各アンテナ素子E1,E2,E3の長さの設定について、例えば、VHF(High及びLow)アンテナに適用した場合を例にとって説明する。
▲1▼ まず、例えば、低周波帯域(VHF/Low)で共振させたい(中心)周波数を設定し、第2アンテナ素子E2の長さLbを計算する。
▲2▼ アンテナパターンをT型とし、分岐点までの長さC(第1アンテナ素子E1の長さ)は、前述の理由により、C≧50mmの範囲とする。アンテナ基板の材料は誘電体であるので、その誘電率εに起因して、上記▲1▼項で求めた第2アンテナ素子E2の長さLbが実質的に短縮されるので、微調整を行う必要がある。尚、このとき、第3アンテナ素子E3は、10mm以上引いておく必要がある。
【0062】
▲3▼ 次に、高周波帯域(VHF/High)で共振させたい(中心)周波数を設定する。
▲4▼ 高周波帯域での共振周波数が低周波帯域での共振周波数の何倍であるか(倍数X)を計算する。
▲5▼ 上記表5に基づいて上記倍数Xに対応する係数Kを求め、上記▲2▼項で求めた第2アンテナ素子E2の長さLbに乗算する。これにより、高周波用アンテナA3yの長さLaが求まり、従って、第3アンテナ素子E3の長さLa’が求まる。すなわち、▲1▼項と▲3▼項で設定した希望の周波数に見合ったアンテナA3が得られる。
【0063】
以上のアンテナパターンの設定方法を、具体例に則して説明すれば、
▲1▼ 低周波帯域(VHF/Low)の共振周波数(第一共振周波数)を例えば100MHzに設定し、第2アンテナ素子E2の長さLbを計算する。
Lb+C=λ/4=750mm
尚、λは周波数100MHzに対応する波長で、λ/4はこの波長の電波を受信するアンテナの理想的なアンテナ長さを与えるものである。
▲2▼ 第1アンテナ素子E1の長さCを例えば90mmに設定する。従って、第2アンテナ素子E2の長さLbは660mmとなるが、アンテナ基板材料の誘電率εにより、共振周波数が100MHzとなるように微調整する。この微調整の結果、Lb=530mmとなった。
【0064】
▲3▼ 高周波帯域(VHF/High)での共振周波数(第二共振周波数)を、例えば200MHzに設定する。
▲4▼ 倍数Xを計算する。X=200/100=2
▲5▼ 上記表5に基づいて倍数X(=2)に対応する係数Kを求め(K=0.4)、この係数Kを▲2▼項で求めた第2アンテナ素子E2の長さLb(=530mm)に乗算する。これにより、高周波用アンテナA3yの長さLaが求まる。そして、第3アンテナ素子E3の長さLa’が求められる。
La=530×0.4=212mm
La’=212−90=122mm
【0065】
以上のようにして、低周波帯域(VHF/Low)での共振周波数が100MHzで、高周波帯域(VHF/High)での共振周波数が200MHzのVHFアンテナA3として、第1アンテナ素子E1の長さC=90mm,第2アンテナ素子E2の長さLb=530mm,第3アンテナ素子E3の長さLa’=122mmのアンテナA3が得られた。
【0066】
このような本実施の形態に係るアンテナパターンの設定方法で製作されたアンテナ装置によれば、第1〜第3のアンテナ素子E1〜E3で全体として略T字状のアンテナパターンが形成されていることにより、限られた設置スペースで、且つ、アンテナ構造の複雑化や製作コストの上昇を特に招くことなく、複数の受信周波数の各々について受信感度の両立を図ることができる。
【0067】
また、第1アンテナ素子E1と第2アンテナ素子E2とで低周波帯域に対応するアンテナ部分A3xを構成すると共に、上記第1アンテナ素子E1と第3アンテナ素子E3とで高周波帯域に対応するアンテナ部分A3yを構成するに際し、上記第3アンテナ素子E3の長さが、第2アンテナ素子E2の長さに所定係数を乗算した値に基づいて設定されているので、アンテナ設計が簡易に行え、非常に効率良く両周波数帯域に対する受信特性の優れたアンテナパターンが得られるのである。
【0068】
特に、低周波数帯域の周波数に対する高周波数帯域の周波数の倍率Xに応じて変更され、倍率Xが大きくなるに連れて小さくなる所定係数Kを用いて、非常に効率良く両周波数帯域に対する受信特性の優れたアンテナパターンが得られる。尚、上記のようなアンテナパターンの設定方法は、低周波用及び高周波用のアンテナ機能を備えたVHFアンテナのみならず、周波数が異なる複数の電波を受信する他の種々のアンテナの製作にも適用できるものであることは、言うまでもない。
【0069】
次に、本発明の実施形態に係るアンテナ装置を車両に取り付ける際の具体例について説明する。
図10は、本発明の実施形態に係る例えばT型とされたアンテナの模式的な説明図である。この図に示されるように、上記アンテナ装置Aは、図3及び図7に示されたものと同じく、第1,第2及び第3アンテナ素子E1,E2及びE3でT字状に形成されたアンテナパターンを備えており、かかるアンテナパターンを薄板状のアンテナ基板P上に配設して構成されている。
【0070】
このように、上記アンテナ素子E1〜E3は薄板状のアンテナ基板P上に配設され、該アンテナ基板Pを介して車体部材に取り付けられるので、車体部材に対して直接に取り付ける場合に比して、アンテナAの取付を容易かつ確実に行うことができる。
【0071】
上記アンテナAの第1アンテナ素子E1には、給電ポイントSpを介して、チューナTnから延設された給電用の同軸ケーブルFd(フィーダ)が接続されている。この同軸ケーブルFdは、その構造について具体的には図示しなかったが、従来公知のものと同様のもので、内部導体と外部導体とを備えており、給電ポイントSpの近傍では、その内部導体は例えばゴム又は軟質樹脂で形成された蛇腹状のブーツBtで覆われている。外部導体は接地部Gbで接地されている。
【0072】
図11は上記車両用アンテナ装置Aが組み付けられた自動車の車両後部を示す斜視図、図12は上記車両用アンテナ装置Aの車両への(具体的には、バックドアへの)取付構造を示す縦断面説明図である。
図11に示されるように、本実施の形態に係る自動車M1では、車室後部を後方に向かって開放する開口部を開閉する開閉体としてバックドア6が設けられ、該バックドア6にアンテナが取り付けられている。尚、図11においては、バックドア6のアンテナ取付部分の位置が斜線ハッチングで概略的に示されている。
【0073】
上記バックドア6は、図12から良く分かるように、ドア外板を構成するアウタパネル6aとドア内板を構成するインナパネル6bとを組み合わせ、その周縁部を接合して形成され、その中央のウインドウ開口部にはウインドウガラス7が装着されている。
自動車M1の車体1の後端上部には、車幅方向に延びる車体後端メンバ2が設けられ、具体的には図示しなかったが、この後端メンバ2にヒンジ機構が取り付けられている。上記バックドア6は、このヒンジ機構(不図示)を介して上下方向へ回動可能に支持され、車室後部の開口部を開閉するようになっている。
【0074】
本実施の形態では、上記バックドア6の少なくともアウタパネル6aは(好ましくは、インナパネル6bも)、非導電性材料としての合成樹脂材料を用いて成形加工により製作されている。そして、このバックドア6の上部(図11の斜線ハッチング参照)において、アウタパネル6aの内側に、つまりアウタパネル6aとインナパネル6bとで形成された空間部内に、アンテナ装置Aのアンテナ基板Pが配置されている。尚、同軸ケーブルFdの外部導体は車体側接地部Gbで車体1に対して接地されている。この車体側接地部Gbは、具体的には車体1の後端メンバ2に設けられている。
【0075】
該アンテナ基板Pは、例えば樹脂材料等の非導電性材料を用いて板状に形成され、例えば接着剤を用いてアウタパネル6aの内面側に固定されるものである。尚、アンテナ基板Pの上記アウタパネル6a内面に対する固定を、例えばビス止め等の他の公知の方法で行うようにしても良い。また、アンテナ基板Pをインナパネル6bに固定するようにいしても良い。
【0076】
以上のように、車両の開閉体としてのバックドア6を利用してアンテナAの取付を行うことにより、アンテナ素子E1〜E3及び給電ポイントPは、非導電性材料である合成樹脂製のアウタパネル6aの内側に取り付けられるので、受信性能を損なうことなく、アンテナ装置Aが車両外部から見えることを防止し車両の外観性向上に寄与することができるのである。
【0077】
尚、図11及び図12の例では、車体後部の開口を開閉する開閉体としてのバックドア6の合成樹脂製アウタパネル6aの内側にアンテナ基板Pを取り付けるようにしていたが、アンテナ基板Pを取り付ける開閉体としては、バックドアに限らず、例えばトランクリッドなど、車体後部の開口を開閉する他の開閉体であっても良い。また、かかる開閉体に限定されることなく、例えば車体ピラー部分のアウタパネルなど、車両M1の外板パネルの一部であって非導電性材料で成る他のアウタパネルの内側にアンテナ基板Pを取り付けることもできる。また、かかる外板パネルの材料としては、合成樹脂以外の非導電材料を使用することもできる。
【0078】
次に、アンテナ装置Aを車両のエアスポイラに取り付けた実施形態について説明する。尚、以下の説明において、上述の図11及び図12で示した実施形態における場合と同様の構成を備え同様の作用をなすものについては同一の符号を付し、それ以上の説明は省略する。
図13に示すように、この実施形態に係る自動車M2では、バックドア6の上部にエアスポイラ11が備えられている。尚、図13においては、エアスポイラ11のアンテナ取付部分の位置が斜線ハッチングで概略的に示されている。
【0079】
このエアスポイラ11は、非導電性材料としての合成樹脂材料により中空状に形成されており、そのアウタ部分11aの内面に、上記アンテナ装置Aのアンテナ基板Pが固定されている。
【0080】
この場合には、車両の開閉体としてのバックドア6の上端側に設けられたエアスポイラ11を利用してアンテナAの取付を行うことができる。また、この場合についても、アンテナ素子E1〜E3及び給電ポイントPは、非導電性材料である合成樹脂製のアウタパネル6aの内側に取り付けられるので、受信性能を損なうことなく、アンテナ装置Aが車両外部から見えることを防止し車両の外観性向上に寄与することができる
【0081】
この場合には、特に、エアスポイラ11の有無に応じて、つまり車種又は仕様に応じて、アンテナ装置Aの有無が定まることになる。従って、特に多様な車種が組み立てられる混流ラインでの車両組立時に、車両の外観のみからアンテナ装置Aの取付の要否が分かり、組立仕様等を参照して判断する等の手間を掛ける必要がなく、誤組立の惧れもない。
【0082】
次に、アンテナ装置Aを車両のバンパに取り付けた実施形態について、図15及び図16を参照しながら説明する。
図16から良く分かるように、この実施形態に係る自動車M3では、フロントバンパ15の内部に上記アンテナ装置Aアンテナ基板Pが固定されている。
上記バンパ15は、従来公知のものと同様のもので、その表面部に合成樹脂材料(非導電性材料)で成るバンパフェイス16を有すると共に、その内側には、車体に結合された鋼製のバンパレインフォースメント17を備えている。
【0083】
そして、上記バンパフェイス16の内側に、上記アンテナ装置Aのアンテナ基板Pが固定されている。この場合、同軸ケーブルFdの外部導体は、上記バンパレインフォースメント17に接地することができる。尚、図5においては、フロントバンパ15のアンテナ取付部分の位置が斜線ハッチングで概略的に示されている。
【0084】
この場合には、バンパフェイス16の内側に配設されるので、車体に対して後付けされる合成樹脂製の部品を利用し、受信性能を損なうことなく、アンテナ装置Aが車両外部から見えることを防止して車両の外観性向上に寄与することができる。
【0085】
次に、アンテナ装置Aを車両の窓ガラスに取り付けた実施形態について、図17及び図18を参照しながら説明する。
図17及び図18から良く分かるように、この実施形態に係る自動車M4では、車体後部の窓部20を覆う非導電性部材としてのリヤウインドウガラス21の比較的上側部分に、実質的に透明な樹脂で成形されたアンテナ基板P’が貼り付けられている。上記アンテナ基板Pに対しては、車体後端上部のリヤヘッダ29に対応するルーフトリム28内から引き出されたフィーダFdから給電が行われる。
【0086】
この場合には、受信範囲が広い車両の窓ガラス21を利用してアンテナAの取付を行うことができる。特に、車両後部で運転者の視界に影響を及ぼすことが少ない窓部20の窓ガラス21を利用してアンテナの取付を行うことができる。
【0087】
尚、図17及び図18の実施形態では、窓ガラス21を利用してアンテナAを取り付けるに際して、実質的に透明な樹脂で成形されたアンテナ基板P’を用いていたが、アンテナパターンを窓ガラス21に直接にプリントするようにしても良い。
【0088】
尚、本発明は、以上の実施態様に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良あるいは設計上の変更が可能であることは言うまでもない。
【0089】
【発明の効果】
本願の第1の発明に係る車両用アンテナ装置によれば、第1及び第2のアンテナ素子が組み合わされてなるアンテナ部分または第1及び第3のアンテナ素子が組み合わされてなるアンテナ部分と、第1〜第3の全てのアンテナ素子全体でなるアンテナとで、長さの異なる複数のアンテナに相当するアンテナ機能を備えることができ、1つのアンテナパターンで周波数の異なる複数の電波の受信に対応することが可能になる。すなわち、アンテナの設置スペースが限られている場合でも、第1〜第3の各アンテナ素子の長さを各々適切に設定することで、複数の受信周波数の各々について受信感度の両立を図ることが可能になる。この場合において、特殊なコイル等のアンテナ素子以外の部品を付加することなく対応できるので、アンテナ構造の複雑化や製作コストの上昇を特に招くことはない。
【0090】
また、本願の第2の発明によれば、基本的には、上記第1の発明と同様の効果を奏することができる。特に、第3アンテナ素子の端末部から略直角方向に折り返されてなる第4アンテナ素子を備えているので、一般に最も長くなる第2及び第3アンテナ素子の伸長方向の長さを増すことなく、アンテナ長さを延長することができ、省スペース化を図る上でより有利なアンテナ装置を得ることができる。
【0091】
更に、本願の第3の発明に係る車両用アンテナ装置によれば、第1〜第3のアンテナ素子で全体として略T字状のアンテナパターンが形成されていることにより、限られた設置スペースで、且つ、アンテナ構造の複雑化や製作コストの上昇を特に招くことなく、複数の受信周波数の各々について受信感度の両立を図ることについて、上記第1の発明と同様の効果を得ることができる。また、第1アンテナ素子と第2アンテナ素子とで低周波帯域に対応するアンテナ部分を構成すると共に、上記第1アンテナ素子と第3アンテナ素子とで高周波帯域に対応するアンテナ部分を構成するに際し、上記第3アンテナ素子の長さが、第2アンテナ素子の長さに所定係数を乗算した値に基づいて設定されているので、アンテナ設計が簡易に行え、非常に効率良く両周波数帯域に対する受信特性の優れたアンテナパターンが得られる。
【0092】
また更に、本願の第4の発明によれば、基本的には、上記第3の発明と同様の効果を奏することができる。特に、低周波数帯域の周波数に対する高周波数帯域の周波数の倍率に応じて変更される所定係数を用いて、非常に効率良く両周波数帯域に対する受信特性の優れたアンテナパターンが得られる。
【0093】
また更に、本願の第5の発明によれば、特に、倍率が大きくなるに連れて小さくなる所定係数を用いて、上記第4の発明と同様の効果を奏することができる。
【0094】
また更に、本願の第6の発明によれば、基本的には、上記第1〜第5の発明の何れか一と同様の効果を奏することができる。特に、受信範囲が広い車両の窓ガラスを利用してアンテナの取付を行うことができる。
【0095】
また更に、本願の第7の発明によれば、基本的には、上記第6の発明と同様の効果を奏することができる。特に、車両後部の窓の窓ガラスを利用してアンテナの取付を行うことができる。
【0096】
また更に、本願の第8の発明によれば、基本的には、上記第1〜第5の発明の何れか一と同様の効果を奏することができる。特に、車両の開閉体を利用してアンテナの取付を行うことができる。この場合において、アンテナ素子は、非導電性材料である合成樹脂製のアウタパネルの内側に取り付けられるので、受信性能を損なうことなく、アンテナ装置が車両外部から見えることを防止し車両の外観性向上に寄与することができる。
【0097】
また更に、本願の第9の発明によれば、基本的には、上記第8の発明と同様の効果を奏することができる。特に、上記開閉体としてのバックドアの上端側に設けられたエアスポイラを利用してアンテナの取付を行うことができる。この場合についても、アンテナ素子は、当該エアスポイラの合成樹脂製アウタパネルの内側に取り付けられるので、受信性能を損なうことなく、アンテナ装置が車両外部から見えることを防止できる。特に、エアスポイラの有無に応じて、つまり車種又は仕様に応じて、アンテナ装置の有無が定まり、車両組立時にアンテナ装置の取付の要否を判断する必要がなくなる。
【0098】
また更に、本願の第10の発明によれば、基本的には、上記第1〜第5の発明の何れか一と同様の効果を奏することができる。特に、車両のバンパを利用してアンテナの取付を行うことができる。この場合において、アンテナ素子は、非導電性材料である合成樹脂製のバンパフェイスの内側に取り付けられるので、車体に対して後付けされる合成樹脂製の部品を利用し、受信性能を損なうことなく、アンテナ装置が車両外部から見えることを防止し車両の外観性向上に寄与することができる。
【0099】
また更に、本願の第11の発明によれば、基本的には、上記第1〜第5の発明または第8〜第10の発明の何れか一と同様の効果を奏することができる。特に、上記アンテナ素子は薄板状のアンテナ基板上に配設され、該アンテナ基板を介して車体部材に取り付けられるので、車体部材に対して直接に取り付ける場合に比して、アンテナの取付を容易かつ確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】L型アンテナのアンテナパターンの一例を模式的に示す説明図である。
【図2】上記L型アンテナを延長したL型延長アンテナのアンテナパターンを模式的に示す説明図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るT型アンテナのアンテナパターンの一例を模式的に示す説明図である。
【図4】上記実施の形態の変形例に係るF型アンテナのアンテナパターンの一例を模式的に示す説明図である。
【図5】上記F型アンテナの受信感度の比較試験結果を示すグラフの一つである。
【図6】上記F型アンテナの受信感度の比較試験結果を示すグラフの一つである。
【図7】本発明の実施の形態に係るT型アンテナのパターン設定方法の説明に用いる模式的な説明図である。
【図8】上記T型アンテナの低周波用アンテナについてのVSWR測定データの一例を示すグラフである。
【図9】上記T型アンテナの低周波用アンテナについてのVSWR測定データの一例を示すグラフである。
【図10】本発明の実施の形態に係るT型パターンのアンテナ装置を模式的に示す説明図である。
【図11】本発明の実施形態に係る車両用アンテナ装置を備えた自動車の車両後部を示す斜視図である。
【図12】上記車両用アンテナのバックドアへの取付構造を示す縦断面説明図である。
【図13】上記車両用アンテナ装置を備えた自動車の車両後部を示す斜視図である。
【図14】上記車両用アンテナのエアスポイラへの取付構造を示す縦断面説明図である。
【図15】上記車両用アンテナ装置を備えた自動車の車両前部を示す斜視図である。
【図16】上記車両用アンテナのフロントバンパへの取付構造を示す縦断面説明図である。
【図17】上記車両用アンテナ装置を備えた自動車の車両後部を示す斜視図である。
【図18】上記車両用アンテナのリヤウインドウガラスへの取付構造を示す縦断面説明図である。
【符号の説明】
1…車体
6…バックドア
6a…バックドアのアウタパネル
11…エアスポイラ
11a…エアスポイラのアウタパネル
15…フロントバンパ
16…バンパフェイス
20…窓部
21…リヤウインドウガラス
A,A1,A2,A3…アンテナ装置
A3x…低周波用アンテナ
A3y…高周波用アンテナ
C…第1アンテナ素子の長さ
E1,E2,E3,E3’,E4…アンテナ素子
Fd…フィーダ
K…係数
La…高周波用アンテナの長さ
La’…第3アンテナ素子の長さ
Lb…第2アンテナ素子の長さ
M1,M2,M3,M4,M5…自動車
P,P1,P2…アンテナ基板
X…倍率

Claims (11)

  1. フィーダ線と該フィーダ線に接続されたアンテナ素子とを備えた車両用アンテナ装置であって、
    上記アンテナ素子は、車体から遠ざかる方向に延びる第1アンテナ素子と、該第1アンテナ素子から分岐し、第1アンテナ素子と交差する方向において実質的に互いに逆方向へ延びる第2アンテナ素子および第3アンテナ素子とを備えていることを特徴とする車両用アンテナ装置。
  2. 上記アンテナ素子は、上記第3アンテナ素子の端末部から略直角方向に折り返されてなる第4アンテナ素子を備えていることを特徴とする請求項1に記載の車両用アンテナ装置。
  3. フィーダ線と該フィーダ線に接続されたアンテナ素子とを備えた車両用アンテナ装置であって、
    上記アンテナ素子は、車体から遠ざかる方向に延びる第1アンテナ素子と、該第1アンテナ素子から分岐し、第1アンテナ素子と交差する方向において実質的に互いに逆方向へ延びる第2アンテナ素子および第3アンテナ素子とで、全体として略T字状に形成されており、
    上記第1アンテナ素子と第2アンテナ素子とで低周波帯域を構成すると共に、上記第1アンテナ素子と第3アンテナ素子とで高周波帯域を構成し、
    上記第3アンテナ素子の長さは、上記第2アンテナ素子の長さに所定係数を乗算した値に基づいて設定されている、
    ことを特徴とする車両用アンテナ装置。
  4. 上記所定係数は、上記低周波数帯域の周波数に対する上記高周波数帯域の周波数の倍率に応じて変更されることを特徴とする請求項3記載の車両用アンテナ装置。
  5. 上記所定係数は、上記倍率が大きくなるに連れて小さくなることを特徴とする請求項4記載の車両用アンテナ装置。
  6. 上記アンテナ素子は、車両の窓ガラスに取り付けられていることを特徴とする請求項1〜請求項5の何れか一に記載の車両用アンテナ装置。
  7. 上記窓ガラスは車両後部の窓に取り付けられることを特徴とする請求項6記載の車両用アンテナ装置。
  8. 上記アンテナ素子は、少なくともアウタパネルが合成樹脂でなる開閉体における上記アウタパネルの内側に取り付けられていることを特徴とする請求項1〜請求項5の何れか一に記載の車両用アンテナ装置。
  9. 上記開閉体はバックドアであり、該バックドアの上端側に、少なくともアウタパネルが合成樹脂でなるエアスポイラが設けられており、該エアスポイラの上記アウタパネルの内側に上記アンテナ素子が取り付けられていることを特徴とする請求項8記載の車両用アンテナ装置。
  10. 上記アンテナ素子は、少なくともバンパフェイスが合成樹脂でなるバンパにおける上記バンパフェイスの内側に取り付けられていることを特徴とする請求項1〜請求項5の何れか一に記載の車両用アンテナ装置。
  11. 上記アンテナ素子は薄板状のアンテナ基板上に配設され、該アンテナ基板を介して車体部材に取り付けられていることを特徴とする請求項1〜請求項10の何れか一に記載の車両用アンテナ装置。
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