JP2004127516A - 多層記録ディスク及び再生システム - Google Patents

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Fumihiko Yokogawa
横川 文彦
Seiichi Osawa
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Abstract

【目的】情報データを精度良く読み取ることができる多層記録ディスク及び再生システムを提供する。
【解決手段】複数の情報記録層と共に、外部から電圧供給を受けるための導体を多層記録ディスクに設け、情報記録層各々の内から上記導体に印加された電圧に応じた1の情報記録層のみが読取対象となりこの情報記録層に読取光が導出される構造を採用する。
【選択図】 図19

Description

 本発明は、複数の情報記録層が積層されて形成される多層ディスク及び当該多層ディスクから記録情報の再生を行う再生システムに関する。
 従来の光ディスク記録情報の高密度化は、当該ディスク記録面における記録密度を上げることを主眼にしてきた。記録ビームを発射する光源の短波長化や再生系の信号処理と組み合わせて、トラックピッチを詰めたり、記録及び読み取り走査における線速方向に記録密度を上げる試みがなされてきた。
 しかしながら、光源の短波長化にしても、紫外領域までであるし、ピットにしてもカッティングの際にディスクに転写できるサイズまでにしか縮小することができないので、こうした記録密度向上のための試みは、ディスクの2次元の領域ではいずれ限界がくるものである。
 3次元へ、すなわちディスクの厚さ方向へ記録情報の高密度化を進めるために情報記録層を積層して形成された多層ディスクが提案されている(特許文献1参照)。
 しかしながら、このように複数の情報記録層が積層された多層ディスクからでは精度良く記録情報の読み取りを行うことができないという問題があった。
特開平2−223030号公報
 本発明は、上述した点に鑑みてなされたものであり、精度良く記録情報の読み取りを行うことが可能な多層ディスク及びこれを用いた再生システムを提供することを目的とする。
 請求項1記載による多層記録ディスクは、複数の情報記録層が積層されている多層記録ディスクであって、外部から電圧供給を受けるための導体を備え、前記情報記録層各々の内から前記導体に印加された電圧に応じた1の情報記録層のみが読取対象となりこの情報記録層に記録情報を読み取るための読取光が導出される。
 又、請求項8記載による再生システムは、複数の情報記録層が積層されていると共に外部から電圧供給を受けるための導体を備えた多層記録ディスクに記録された情報を再生する再生システムであって、前記導体に電圧を印加する電圧印加手段と、前記電圧に応じて読取対象となった前記情報記録層から記録情報を読み取る読取手段と、を備える。
 又、請求項10記載による再生システムは、複数の情報記録層、液晶層及び外部から電圧供給を受けるための導体を備えた多層記録ディスクに記録された情報を再生する再生システムであって、前記導体に電圧を印加することにより前記液晶層を駆動する電圧印加手段と、前記電圧に応じて読取対象となった前記情報記録層から記録情報を読み取る読取手段と、を備える。
 複数の情報記録層と共に、外部から電圧供給を受けるための導体を多層記録ディスクに設ける。かかる多層記録ディスクにおいては、情報記録層各々の内から上記導体に印加された電圧に応じた1の情報記録層のみが読取対象となりこの情報記録層に記録情報を読み取るための読取光が導出される。
 以下、本発明を図に基づいて詳細に説明する。
 図1に示されるような、情報記録層として2つの光反射層を有するROM型光ディスクは、次のように作製される。
 先ず、図2(a)に示す如く、第1の記録ピットP1を担持した透明基板11を用意する。透明基板11は、その表面に螺旋又は同心円状に第1の記録ピットP1が配列されたニッケルスタンパ(図示せず)を成形型として、PMMA(ポリメタアクリレート)、PC(ポリカーボネート)等の透明樹脂を射出成形することにより得られた透明基板である。射出成形により、ニッケルスタンパの配列ピットがエンボスピットすなわち第1ピットP1として基板11上に転写される。また別の方法としては、ガラス基板を、エッチングによりエンボスピットを持たせるようにして透明基板11を作製しても良い。
 次に、図2(b)に示す如く、真空蒸着装置を用いてこの基板11のピットP1を担持した表面上に、珪素(Si)、アルミニウム(Al)または後述される種々の材料を蒸着して、光反射層12を形成する。このようにして透明基板11上に第1反射層12を形成する。
 次に、透明スタンパ13を用意してこれを転写装置に装着する。透明スタンパ13は、次行程で塗布される放射線硬化型樹脂(紫外線硬化型樹脂)14を硬化させるに必要な波長帯の光を透過する放射線透過性のガラス又はプラスチックからなる。透明スタンパ13の表面に螺旋または同心円状に第2の記録ピットが配列されており、図2(c)に示す如く、そのピット面を上方に向けて転写装置に装着する。
 次に、図2(c)に示す如く、透明スタンパ13のピット面上に、液状の放射線硬化型樹脂14を供給する。
 次に、透明基板11を、第1反射層12を下方に向けて液状の放射線硬化型樹脂14を介して透明スタンパ13のピット面上に載置する。このように、第1反射層12及び透明スタンパ13間に放射線硬化型樹脂14を保持させる(図2(d))。
 次に、図2(d)に示す状態のままで、透明スタンパ13側すなわち図面下方から放射線を照射して、第1反射層12上の放射線硬化型樹脂14を硬化させる。このようにして、透明スタンパ13の配列ピットを第2ピットP2として担持した硬化した放射線硬化型樹脂14上に転写する。
 次に、図2(e)に示す如く、放射線硬化型樹脂の硬化後、この放射線硬化型樹脂14の層から透明スタンパ13を剥離する。かかる樹脂層14は、数10μmの厚みで形成できる。また、必ずしも紫外線硬化樹脂でなくても同様の層を形成するものならば、他の材料でも良い。
 次に、図2(f)に示す如く、真空蒸着装置を用いて、この基板11上の放射線硬化型樹脂14のエンボスピットすなわちピットP2を担持した表面上に、珪素、アルミニウムまたは後述される種々の材料を蒸着し、光反射層15を形成する。このように、放射線硬化型樹脂14上に第2反射層15を積層形成する。
 次に、図2(g)に示す如く、第2反射層15を保護する放射線硬化型樹脂からなる保護層16を積層して、所要の特性を有する第1及び第2反射層12,15を積層した光ディスクを得る。
 反射層12(または15)と透明樹脂層14との間、もしくは反射層15と保護層16との間には、光を透過する他の保護膜があっても良い。また、(f)の工程から(c),(d),(e)の工程と同様に、透明スタンパ,放射線硬化型樹脂及び光反射材を繰り返し使用することにより、3つ以上の反射層(記録面)を形成することができる。
 このような作製方法では、第1ピットを形成するのに透明基板にエンボスピットを持たせるようにしているが、図3の如く、平坦なガラス基板11Aを用い、10μm程度の薄い2P層(紫外線硬化樹脂層)14においてエンボスピットを持たせるようにしても良い。この場合、反射層12Aと樹脂層14の界面が第1情報記録面となる。
 上述の如きディスクは、情報記録層の積層数が多いほどディスクの記録密度が向上することとなるが、以降では説明の簡略化のために、情報記録面が2つ存在するROM型光ディスクを一例として、本発明光ディスクの所要の事項を述べる。
 図1のように、透明基板11の外面側から情報記録面へ向けて記録情報としてのピットを検出するための読取光が照射され、反射層15すなわち第2の情報記録面の記録情報を読み取る場合を想定する。また、透明基板11,第1の光反射層12,透明樹脂層14,第2の光反射層15の各々は、実際には屈折率が異なるが、ここでは先ず、簡単に説明するために、全て同一の屈折率nであると仮定する。
 読取光は、記録情報を読み取るために、対物レンズを介して第1または第2の情報記録面のいずれかに合焦させられる。例えば、読取光源として赤の半導体レーザを用い、該レーザビームを対物レンズを介して1μm程度のビームスポットに絞る。第2の情報記録面に合焦させるためには、例えば一度対物レンズをディスクから充分遠ざけてから、徐々にディスクに近づける動作を行う。かかる動作において、当該読取光の反射光に基づいて得られるフォーカスエラー信号(かかるフォーカスエラー検出系は周知のもの、ここでは詳述しない)は、図4のように、対物レンズとディスクとの間の距離の変位量に応じて基板の表面11、第1情報記録面、第2情報記録面の各々に対応したS字カーブを示す。故に当該フォーカシング動作の開始から3番目のS字カーブで、フォーカスサーボのインフォーカス(引き込み動作)をかけることにより、第2情報記録面に読取光の焦点を合わせることができる。
 参考までに、第2情報記録面に読取光が合焦しているときの、第1情報記録面での読取光(レーザ光ビーム)スポットの大きさaは、図5のような幾何学的模式図を用いて求めることができる。これは、図6から分かるように、読取光が第1情報記録面に合焦している場合の第2情報記録面における光ビームのスポットサイズと同じである。
 ビームスポット径aと第1,第2情報記録面間の距離tは、
  (数5)
  2t・tanθ´=a                   …(1.1)の関係がある。
 一方、スネルの法則により、
  (数6)
  sinθ/sinθ´=NA/sinθ´=1/n         …(1.2)となる。なお、nは、第1,第2情報記録面間の材質すなわち透明樹脂層14の等価屈折率である(第1,第2情報記録面間に複数層が存在する場合、tはこれら情報記録面の間のトータルの厚みとし、nは、複数層を光学的に1つのものに置き換えたときの等価屈折率とする)。
 なお、図5及び図6では、透明基板11と第1及び第2情報記録面間の材質の屈折率を同じとしたが、図7から分かるように、
  (数7)
  sinθ/sinθ´=1/n1                …(1.3)
  (数8)
  sinθ´/sinθ´´=n1/n2              …(1.4)により、
  (数9)
  sinθ/sinθ´´=1/n2               …(1.5)となり、必ずしも透明基板11の屈折率と同一である必要はない。
 (1.2)式より、
  (数10)
  sinθ´=NA×n                   …(1.6)であるから、
  (数11)
  θ´=sin-1(NA×n)                …(1.7)である。
 (1.7)式を(1.1)式に代入すれば、
  (数12)
  a=2t×tan{sin-1(NA×n)}           …(1.8)となる。
 本発明の主要な特徴事項としては、ある情報記録層に読取光の焦点を当てて信号を読み取る際に他の情報記録層はデフォーカス状態となるが、各デフォーカス状態の読取特性(MTF特性)と情報記録層間の距離との関係から、他の情報記録層の記録信号の読取成分がノイズにならないように、その情報記録層間距離及び記録する信号の帯域を定めることが挙げられる(事項1)。さらに、この事項1を前提に、デフォーカス時の再生レベルが高域で急激に落ちることに鑑み、低域成分を抑圧した方式により各記録面に信号を記録すること(事項2)、各情報記録面による読取信号の変調度に鑑み、読取光の入射側に近いほうの情報記録面の反射率を遠いほうの情報記録面よりも小さくすること(事項3)、さらなるS/Nの向上を図るべく、各情報記録面の反射光帯域を異ならしめること(事項4)、材料選定の容易性を考慮して、読取光の入射側に近いほうの情報記録面に、2種の波長光を同時に照射したときにのみ大きな反射率を示す材料を採用すること(事項5)、光反射層の材質に頼ることなくS/Nの向上を図るべく、情報記録面間に液晶層を配して読取光の入射側に近いほうの情報記録面を読み取る際に他の情報記録面への当該読取光の入射を遮断すること(事項6)、再生系におけるフォーカス制御及びトラッキング制御を含む読取動作の円滑な遂行に鑑み、各記録面における記録トラックのスパイラル方向を定めること(事項7)、再生系におけるランダムアクセスを考慮し、全ての情報記録面に関するTOC情報を記録すること(事項8)が挙げられる。さらに本発明は、読取光のエネルギー密度が情報記録層によって異なることに着目し、読取光のエネルギー密度に応じた光量または波長にて戻り光を生成させる光反射材により情報記録層を形成すること(事項9)を提示する。
 以下、順にこれら各事項を説明する。
 先ず事項1及び2について説明する。
 図5及び図6のように、積層された2の情報記録面のうちの1つに焦点を当て読取光を照射しているときには、当該読取光は、デフォーカスした状態で他の情報記録面の記録情報を読み取っている(すなわち読取光による全ての反射光は当該他の情報記録面の記録情報に応じたデフォーカス時の反射成分を有する)ことになる。このデフォーカスした状態でのMTF特性及びオンフォーカス状態のMTF特性が、図8に示される。かかるMTF特性は、読取光が入射されそれを反射せしめる光学的伝達特性を有するディスクを対象として、結像理論によるOTF特性に基づくものである。
 図8において、記録情報を読み取るべく読取光が合焦された情報記録面の読取信号(反射光)は、オンフォーカスの曲線(太線)に従い、読み取りの対象としていない他の情報記録面の読取信号(反射光)は、それに相当するデフォーカスでの曲線(細線)に従う。
 かかる細線による特性曲線によれば、デフォーカス収差W20 rms =0.1λ,0.2λ,0.3λ…をもってデフォーカスしても空間周波数の低域において再生レベル(反射光レベル)があまり落ちず、また高域で少し持ち上がる。これらデフォーカス時における再生レベルは、読み取るべき情報記録面(オンフォーカス状態にある情報記録面)以外の情報記録面(デフォーカス状態にある情報記録面)についてのものであるので、オンフォーカス時における再生レベルと比べて小さいほど良い。
 デフォーカス時の再生レベルをオンフォーカス時の再生レベルの例えば1/10以下とするために、デフォーカス収差量に対応して、規格化空間周波数すなわち記録信号の周波数帯域を限定すると、図9のグラフの如くなる。すなわち、グラフ中の曲線fmax が示す規格化空間周波数を上限とし曲線fmin が示す規格化空間周波数を下限とする帯域(限定帯域)に絞り込んで情報記録面に信号(ピット)を記録すれば良い。デフォーカス収差の0.2〜1.2rmsλの全てに亘ってオンフォーカスでの再生レベルに対しデフォーカスでの再生レベルを1/10以下とするためには、規格化空間周波数の帯域が0.7〜1.7であることが要求される。
 このような絞り込みは、かかる限定帯域とすべく、直流成分を抑圧するランレングスリミテッド(RLL)コードにより記録信号を形成したり、伝達特性を制限するパーシャルレスポンスを用いて記録信号帯域のシェーピングをしたり、FMやPM、QAM、QPSK、VSBといったキャリア変調による記録信号を形成したりする方法によって実現することができる。
 かくして、デフォーカス収差を0.2rmsλ以上にすれば、使用可能な記録信号の帯域を設定できることが分かる。
 次に、デフォーカス収差を0.2rmsλ以上としたときの第1情報記録層と第2情報記録層との間の距離の上限及び下限値を求める。
 ・下限値
 読取信号中のデフォーカス情報記録面による反射光成分は、オンフォーカス情報記録面から第1及び第2情報記録層間距離t(図5及び図6参照)に相当する分だけデフォーカスしたときのOTFにほぼ従う。このときのデフォーカス収差W20 rms は、
Figure 2004127516
Figure 2004127516
である。デフォーカス情報記録面の反射光成分がオンフォーカス情報記録面の反射光成分に対し十分抑圧されるためには、上述の如く少なくともW20 rms >0.2λが不可欠であるので、
Figure 2004127516
Figure 2004127516
  (数17)
   ∴ t>1.39nλ/NA2            …(1.13)となる。
 n=1.5とすれば、
  (数18)
   t>2λ/NA2                  …(1.14)である。
 例えば、記録信号が7個以上0が連続しない0,1符号化による(1,7)変調符号で、最短反転間隔2T(Tはサンプル周期)が例えば規格化空間周波数で1.2、最大反転間隔8Tがその1/4の0.3であったとすると、図9より、デフォーカス収差量が0.6rmsλ以上あれば、1.2〜0.3の規格化空間周波数帯域において、オンフォーカスでの再生レベルに対しデフォーカスでの再生レベルが1/10以下となることを充足する。W20 rms =0.6λとし、n=1.5,λ=680nm,NA=0.55とすると、上式(1.10)より、第1及び第2情報記録層間の厚みtは、14μm以上あれば良いことが分かる。
 また、W20 rms =0.2λとし、同じくn=1.5,λ=680nm,NA=0.55とすると、上式(1.10)より、第1及び第2情報記録層間の厚みtには4.67μmの下限値が導かれるが、フォーカスサーボにおけるインフォーカスのキャプチャレンジを考慮すると、厚みtは10μmよりも大きくさせることが望ましい。
 すなわち、デフォーカス情報記録面からの反射光により、フォーカスエラー信号に誤信号を有することとなるが、これを十分小さくするには、図4に示される如きキャプチャーレンジCRの3倍程度必要である。通常キャプチャーレンジは、少なくとも3〜4μm以上は必要であるから、
  (数19)
  ∴ t≧10μm                   …(1.15)となる。
 この式(1.15)によって定められる下限値及び先の式(1.10)に基づいて定められる下限値のうち値の大きい方を採用することが好ましい。
 ・上限値
 情報記録面間の距離tが大きくなりすぎると、球面収差が増えて記録信号を読み取れなくなるため、厚さtの上限値が導かれる。
 すなわち、図10の如きi(iは2以上の整数)個の情報記録面を有するディスクにおいて、第1情報記録面S1 を読む場合と第i情報記録面Si を読む場合では、光に対する厚みが(i−1)tだけ異なる(tは記録面間距離、各記録面間は等距離)。このとき、球面収差が発生してしまう。
 いま、第1情報記録面S1 と第i情報記録面Si との間の中間点に対して球面収差の補正されたレンズを用いて、第1情報記録面S1 または第i情報記録面Si を読む時i個の各層の記録層内で発生する球面収差は、
Figure 2004127516
となる。通常光ディスクの再生において、波面収差値はマレシャルクライラリオン(0.07rmsλ)より小さくする必要があることが経験上知られている。波面収差には対物レンズの収差やディスク傾きによる収差も含めて考える必要があるので、W40 rmsの許容量は約0.07rmsλの1/2以下にする必要があるので、
Figure 2004127516
  (数22)
 ∴ t ≦ 7.5n3λ/{(n2−1)NA4(i−1)}    …(1.18)である。
 いま、n≒1.5とすると、
  (数23)
   t ≦(20/NA4){λ/(i−1)}      …(1.19)となり、さらにi=2とすれば、
  (数24)
   t≦20λ/NA4                 …(1.20)となる。
 故に(1.14)式及び(1.20)式によってn=1.5,i=2の場合の情報記録面間の距離tは、
  (数25)
  2λ/NA2 ≦ t ≦ 20λ/NA4          …(1.21)と定められる。この式に基づき、比較的採用しやすい実際上の値にてNA及びλを変えてtの下限及び上限値を求めたものが図11の表に示される。さらにこの条件に(1.15)式を加え、
  (数26)
  10μm ≦ t ≦ 20λ/NA4           …(1.22)を充足することが好ましい。
 かくして事項1をまとめると、既述の式(1.13),(1.18)の如く、
  (数27)
 1.39nλ/(NA)2≦t≦7.5n3λ/{(n2-1)(NA)4(i-1)}  …(I)を満たす多層構造ディスクを作製することにより、デフォーカス情報記録面による影響を受けることなくフォーカス情報記録面の記録情報を読み取ることができる。そしてさらに好ましくは、上式に加えて、
  (数28)
 10μm≦t≦7.5n3λ/{(n2-1)(NA)4(i-1)}      …(II)を満たすことにより、フォーカスサーボにおける引き込み動作可能幅であるキャプチャレンジに基づくフォーカスエラー信号の保全をなすことができるのである。
 なお、事項1及び2では、情報記録面の各々が異なる反射光帯域を有することが要求されない。
 次に、上記事項3について説明する。
 これは、入射する読取光の波長により反射率や透過率が変化しない膜を各情報記録面の反射膜として用いる場合に適用される。
 例えば、図1において、第2情報記録面(反射層15)の読み取りにおいては、第1情報記録面(反射層12)を透過してきた光が第2情報記録面で反射し、この反射した光がさらに第1情報記録面を透過して、ディスクの反射光として光源側に戻ってきた光が受光され、その受光量に応じた読取信号が得られる。各反射層は、光を吸収しないものとして、第1情報記録面の反射率をα,透過率を(1−α)、第2情報記録面の反射率をβ,透過率を(1−β)とし、読取光量をPとし、第2情報記録面を透過した光はほぼディスクの反射光として戻ってこないと仮定し、各情報記録面のピットによる変調度をkとすると、第1情報記録面を読む際に得られる読取信号の変調度M1は、
  (数29)
  M1=Pαk/{α+(1−α)2β}
    =Pαk/(α+β−2αβ+α2β)
    ≒Pαk/(α+β)                …(3.1)
 第2情報記録面を読む際に得られる読取信号の変調度M2は、
  (数30)
  M2=P(1−α)2βk/{α+(1−α)2β}
    ≒P(1−α)2βk/(α+β)          …(3.2)
 α,βともに1より小さい数であり、従って(1−α)2は、1より小さい数の2乗値である。従って(3.1)式と(3.2)式が同じような値になるためには、βはαより十分大きな必要がある。すなわち、読取光が入射する側から見て、遠い情報記録面の反射率は、近い情報記録面の反射率より大きく設定する必要がある。
 例えば、α=0.36,β=0.9とすると、
  (数31)
  M1≒0.36Pk/1.26              …(3.3)
  (数32)
  M2≒0.37Pk/1.26              …(3.4)というように、M1とM2はほぼ等しくなる。この場合の各情報記録面における反射率特性を示したものが図12であり、横軸λが読取光の波長を表しており、縦軸Rはその読取光による反射率を表している。
 なお、事項3でも、情報記録面の各々が異なる反射光帯域を有することが要求されない。
 次に、上記事項4について説明する。ここでは、情報記録面の各々が異なる反射光帯域を有することが要求される。
 上記図12とともに説明した実施例では、単一波長の読み取り光源を用いて複数の情報記録面を読み取るときの反射膜の条件を示したが、理想的には、1つの情報記録面を読み取るときには、他の情報記録面は無色透明であることが望ましい。読み取り光源の波長を複数にし、各反射膜にこれら波長にそれぞれ対応して反射するようなものを採用すると、これに近い状態とすることができる。しかし、完全に無色透明というわけにはいかないので、この場合でも、上記式(I)を、好ましくは(II)を満たすことが望ましい。
 従って、当該式(I)または(II)を満たした上で、図13に示されるように、第1情報記録面S1 は、波長λ1 の読取光で、第2情報記録面S2 は波長λ2 の読取光で、第3情報面S3 は、波長λ3 の読取光で読み取るものとする。すなわち、図14に示されるように、第1情報記録面の反射膜は、波長λ1 で大きな反射率を示し、λ2,λ3では、反射率は落ちて、透過率が上がり、第2情報記録面の反射膜は、波長λ2 で大きな反射率を示し、λ1,λ3では、反射率は落ちて、透過率が上がり、第3情報記録面の反射膜は、波長λ3 で大きな反射率を示し、λ1,λ2では、反射率は落ちて、透過率が上がるような特性に設定するのである。これにより、S/Nの良好な読取信号が得られる。なお、このような反射膜には、例えば、色素材料等を用いて、波長選択性の有る光反射材が採用される。
 次に、上記事項5について説明する。ここでは、複数の情報記録面のうち読取光の入射側に近いほうの情報記録面が所定の反射率特性を有することが要求される。
 上記図13及び図14とともに説明した実施例では、読み取り光が、複数の波長を有する場合を示したが、読取光の波長を1種類とし、当該読取光以外の光源を用いて情報記録面の反射膜の反射率特性を変えつつ記録情報を読み取るようにしても良い。
 例えば、フォトクロミック材料の中には、図15のように、波長λ2 の単独の入射光では、反射率に変化がないが、波長λ2 の入射光に加えて波長λ1 の光を照射すると、波長λ2 及びこの前後の波長において反射率が上がるものがある。
 そこで、図16に示すように、透明基板11に近い方の情報記録面の反射膜12Bを、フォトクロミック材料とする。例えば、読み取り光源を赤色レーザダイオードとし、付加光として緑色の光源を照射した時には、情報記録面であるフォトクロミック層が反応して、赤色での反射率が上がるようなディスクを作製する。
 かかるディスクの記録情報再生システムとしては、図17のように、赤色のレーザービーム読取光をディスクに照射して情報検出をなすピックアップ31は1個だけ設けられ、このピックアップとは別に緑色光を発射するランプ32が設けられる。ランプ32は、第1情報記録面(12B)を読むときは、上述の如く作製されたディスク33(少なくともピックアップ31の情報検出点及びその近傍)を照射すべく点灯され、第2情報記録面(15)を読むときは緑色ランプ32を消灯する。
 また、図18のように、ピックアップ31A内部に緑色の発光ダイオード310を有し、このダイオード出力光と情報検出出力を得るための赤色のレーザーダイオード311により発射された赤色の読取光とを合成してディスク33に照射するようにしても良い。
 図18において、情報検出用赤色レーザ311の発射光は、緑色反射板312を透過してハーフミラー313及び対物レンズ314を介してディスク33に入射する。ディスク33から反射した赤色光は、ハーフミラー313を反射して赤色フィルタ315及び光学系316を介しフォトディテクタ317に導かれる。かかる光学系316は、例えば平行平板及びレンズからなり、フィルタ315を透過した光をフォトディテクタ317へ導き集光する。一方、付加光源たる緑色発光ダイオード310の発射光は、レンズ318を介して緑色反射板312に入射しかつここで反射され、反射板312を透過したレーザ311からの赤色光とともにディスク33へ入射する。
 第1情報記録面を読み取るときは、駆動回路により緑色ダイオード310を発光させ、ディスク33に赤色及び緑色の両波長光を照射して図15の点線の特性の状態で読取動作をなす。第2情報記録面を読み取るときには、緑色ダイオード310を消灯させ、ディスク33に赤色の波長光のみを照射して図15の実線の特性の状態で読取動作をなす。従って、緑色ダイオード310は、読み取るべき情報記録面に対応してオンオフ駆動される。
 さらに、かかるピックアップ31Aの如き構成のピックアップを複数用いて高読取転送レートの再生システムとしても良い。例えば当該ピックアップを2つ用意し、一方のピックアップを第1情報記録面の読み取り用に、他方のピックアップを第2情報記録面の読み取り用に、それぞれの赤色レーザ及び緑色ダイオードを動作させる。これにより、両情報記録面を同時に読み取ることができ、単位時間当たり沢山の情報を読み出すことができるので、大量の記録情報を扱うシステムに好適である。かかる構成では、必要に応じて一方と他方のピックアップの読み取る情報記録面を反対にすることも可能である。
 なお、読取光及び付加光は赤色光及び緑色光であるとして説明したが、可視光でなくても、赤外や紫外光であっても良いし、場合によっては、電磁波やX線等で特性の変わるものであっても良い。また、付加光源としてはフォトダイオードやランプに限られることなく、レーザダイオードであっても良い。なお、図18におけるダイオード310の発射光は、レーザほど絞ってディスク33の情報記録面に照射する必要はないので、レンズ等の光学部品には負荷とならない。また、フォトディテクタ317には、記録情報の読み取り光成分だけを入射した方が望ましいので、赤色光のみを透過するフィルタ315がその前段に介挿され、読取効率の向上が図られている。
 次に、上記事項6について説明する。ここでは、情報記録面の各々が異なる反射光帯域を有することを要求しない。
 上記図15ないし図18とともに説明した実施例では、読取光に付加光を照射することにより反射率特性の変わる反射層を用いたが、図19のように、透面電極に挟まれた液晶層により各情報記録層における反射率を変えるようにしても良い。
 図19において、透明基板11には第1の情報記録層として透明かつ導電性の反射層51が積層されるとともに、この反射層51は、ディスク50の外表面に例えば最外周近傍に配された導体リング51rと電気的に導通するよう接続される。保護層16に積層された第2の情報記録層としての反射層15及び透明樹脂層14上には透明電極層52が形成される。かかる一対の透明電極層51,52の間にはスペース部53に囲繞された液晶層54が形成される。導体リング52rは、導体リング51rよりも内周側に離間して配され、各リングは、露出している。
 このディスク50を読取再生するときには、各リングの露出面にブラシを接触させつつ当該ディスクを回転させる。そうして、第1情報記録面を読み取るときには、駆動回路57によって、一方の導体リング51rに接触するブラシ55と、他方のリング52rに接触するブラシ56との間に液晶層54を暗とすべき駆動電圧を印加しながら読取光を入射する。これにより、暗となった液晶層54によって第2情報記録層15への読取光の入射が遮断されるので、第1情報記録面のみが読み取られることとなる。第2情報記録面を読み取るときには、駆動回路57がオフとされ液晶層54が明となるので、読取光が第2情報記録層に到達し、第2情報記録面が読み取れる。
 かかる構成によって、第1情報記録面の読み取り時に、第2情報記録面へ入射する読み取り光がなくなるので、第2情報記録面の記録信号による不要な反射光成分を生じることなく第1情報記録面を読み取ることができ、さらなるS/Nの向上が達成される。
 次に、事項7について説明する。
 単一のピックアップで複数の情報記録面の読み取りをする場合は特に、次の点に鑑みるべきである。
 ディスクの1の情報記録面において、例えばスパイラルトラック状に内周から外周へと信号が記録され、当該情報記録面に記録された最後の信号が別の記録情報記録面に続くものとすると、各情報記録面におけるスパイラルの向きが同じであり、ディスクの回転方向を変えないならば、図20に示されるように、当該最後の信号に続くべく別の情報記録面の読取動作に移行するときに、内周に戻って、フォーカスを取り直す必要がある。また、CLVであるならば、ディスクの回転数を極端に変えなければならない。これに対し当該最後の信号の読取後、そのまま外周でフォーカスを取り直して、別の情報記録面の読取動作を外周から行うためには、ディスクを逆回転にしなければならない。
 かかる不具合に鑑みれば、図21に示されるように、例えば、第1情報記録面と第2情報記録面とで記録トラックのスパイラル方向を逆とし、第1情報記録面で内周から外周へと信号を読み取り、最後の信号を読み取った後は、ディスクの回転方向も回転数も変えずにフォーカスを取り直し、そのまま第2情報記録面の読取動作に移行して外周から内周へと読み取ることが好ましい。こうすることにより、多層構造ディスクの読取動作の円滑な連続性を保つことができる。情報記録層が3層あるディスクであれば、少なくとも1層が逆スパイラルになっていれば、かかる連続性が保てることになる。
 なお、情報記録層が2つある場合、フォーカスの取りやすさを考慮すれば、第1情報記録面における読み取りは、外周スタートで、内周に進み、当該情報記録面の最後の信号を読み取った後は、フォーカスを取り直して、第2情報記録面の読み取りを内周から外周に進ませるのが良い。また、スパイラルトラックに限らず同心円トラックにも本事項は適用可能である。
 次に、上記事項8について説明する。ここでは、再生系のランダムアクセスの容易性を考慮している。
 複数の情報記録面のうちの1つをイニシャル面とし、このイニシャル面の所定の記録領域にディスクの全記録情報についてのアロケーション情報(通常のCDで使用されているようなTOC情報に等価な情報,以下、TOC情報と呼ぶ)を記録する。これを示したのが図22であり、例えば第1情報記録層をイニシャル面に定め、その記録領域の先頭部にTOC情報を記録する。かかるTOCエリアには、第1から第mまでの当該ディスクの全ての情報記録層についてのTOC情報が個別に記録される。
 このように記録されたTOC情報を読取動作の立ち上げの際に予め読み取っておくことにより、後に指示されるランダムアクセスに機敏に応答することができる。
 他の方法としては、図23に示されるように、情報記録層の各々にTOCエリアを設け、このエリアに第1から第mまでの当該ディスクの全ての情報記録層についてのTOC情報を記録するようにしても良い。これによれば、イニシャル面を特に定めなくとも、どの情報記録面からでもディスク全体についてのTOC情報を読み取ることができる。
 事項9の説明の前に、先の図10を参照し、情報記録面Si を読み取るべく基板11及び情報記録面S1 〜Si-1 を読取光が透過し情報記録面Si に焦点制御された場合(A)を考える。この場合、情報記録面Si で反射した戻り光は、再び情報記録面S1 〜Si-1 を透過し基板11を経て図示せぬ受光系に導かれる。ここで、最下層の情報記録面Si の反射率が100%、基板11と情報記録面S1 との間の透過率及び各情報記録面間の透過率をそれぞれαとすると、基板11から出る戻り光の光量は、α2iで表される。例えば当該透過率が90%で情報記録面の積層数が10である場合はα=0.9、i=10であるので、ディスクへ入射する読取光量100%に対し僅か12%の戻り光量しか得られない。この試算においては情報記録面Si の反射率を100%にしたが、情報記録面Si が他の情報記録面と同様の光反射及び透過特性を有する場合、基板11から出る戻り光の光量は、αi-1(α−1)αi-1で表される。この場合にα=0.9、i=10とすると、ディスクへ入射する読取光量100%に対しさらに少ない1.5%の戻り光量しか得られないことになる。このように、記録面の多層構造においては、最下層の情報記録面まで読取光を通過させるために中間の各情報記録層の透過率を高くする必要がある一方、情報記録層の透過率を高くすると読み取るべき情報記録面において読取光を十分に反射できず十分な光量の戻り光が得られないという矛盾がある。
 そこで読み取るべき情報記録面すなわち読取光の焦点制御がなされている情報記録面についてのみ十分な戻り光量を得る方法を模索した結果、読取光のエネルギー密度が情報記録面でそれぞれ異なり、しかも読取光の焦点制御がなされている情報記録面では読取光のエネルギー密度が最大であることに着目した。例えば、情報記録面間距離t=200μm,対物レンズの開口数NA=0.5,情報記録面間の屈折率n=1.5とすると、情報記録面S3 に読取光の焦点が合わせられている場合(B)に、情報記録面S2 での読取光スポットの直径は、近似計算で200÷1.5×0.5×2=132[μm]となる。合焦点での読取光スポットは約1μmであるので、情報記録面S2 における読取光のエネルギー密度は情報記録面S3 の1/100以下となり、結局、隣合う情報記録面において読取光のエネルギー密度に相当な差があることが分かる。
 本事項においては、かかる情報記録面間における読取光のエネルギー密度の相違を利用し、情報記録面S1 〜Si を形成する反射層に、光エネルギー密度に応じた反射率を示す材料を採用する。つまり、読取光が合焦し光エネルギー密度が最大となった場合に反射率が著しく上昇しこれ以外の場合では比較的高い透過率を持つような性質の光反射材にて情報記録膜を形成するのである。このような情報記録膜としては、フォトクロミック膜、サーモクロミック膜、もしくは相変化膜等が挙げられる。かかる情報記録膜にて各情報記録面が形成された多層記録ディスクに対しては、単一の読取光で所望の情報記録面の読み取りを行うことができる。読取光の合焦位置にある情報記録面では、上記の性質により入射した読取光を高い反射率で反射させる一方、読取光の合焦位置にない情報記録面では入射した読取光を高い透過率で透過させるので、ディスクの戻り光には合焦位置にある情報記録面により変調された成分が多分に含まれ、合焦位置にない情報記録面により変調された成分は極めて少ない。従ってこのような戻り光から読み取るべき情報記録面の読取信号を良好に得ることができるのである。
 また、本事項においては、かかる情報記録面間における読取光のエネルギー密度の相違を利用し、情報記録面S1 〜Si を形成する反射層に、光エネルギー密度に応じた反射帯域を示す材料を採用する。つまり、読取光が合焦し光エネルギー密度が最大となった場合に読取光とは異なる波長成分を反射しこれ以外の場合では読取光と同等の波長成分を反射するような波長変換をなす性質の光反射材にて情報記録膜を形成するのである。このような情報記録膜としては、フォトルミネッセンス膜、蛍光色素膜、光半導体膜等が挙げられる。かかる情報記録膜にて各情報記録面が形成された多層記録ディスクに対しても、単一の読取光で所望の情報記録面の読み取りを行うことができる。読取光の合焦位置にある情報記録面では、上記の性質により入射した読取光とは異なる第2波長の光を反射させる一方、読取光の合焦位置にない情報記録面では入射した読取光と同じ第1波長の光を反射させるので、ディスクの戻り光には合焦位置にある情報記録面により変調された第2波長光と、合焦位置にない情報記録面により変調された第1波長光とが含まれる。従ってこのような戻り光から第2波長光を抽出しこれを読み取るべき情報記録面の読取信号として得ることができるのである。
 第2波長光を抽出する手段を含む再生システムの一例は、図24に示されており、図18と同等の部分には同一の符号が付されている。
 図24において、上述の如き情報記録面S1 ,S2 ,S3 を形成する反射層に光エネルギー密度に応じた反射帯域を示す材料が採用された光ディスク33´には、光源311´からの波長λ1 のレーザビームが読取光としてハーフミラー313及び対物レンズ314を介して照射される。この光ディスク33´への読取光が真ん中の情報記録面S2 に合焦するようフォーカス制御されると、情報記録面S2 における光エネルギー密度が増大し、情報記録面S2 に入射した波長λ1 の読取光の一部成分はここで波長λ2 の反射光に変換される。同時にこの波長λ1 の読取光の他の成分は情報記録面S1 ,S3 に達するが、ここでは光エネルギー密度が極めて低いので波長λ1 のまま読取光が反射する。かくしてディスク33´からは波長λ1 の戻り光と波長λ2 の戻り光が得られ、これらが対物レンズ314及びハーフミラー313を経て光学フィルタ320に導かれる。フィルタ320は、波長λ2 の光成分のみを透過する抽出手段を担い、ハーフミラー313からの波長λ1 の戻り光を遮断し、波長λ2 の戻り光のみをフォトディテクタ317へ供給する。従って、ディテクタ317は、読み取るべき情報記録面S2 の記録信号によって変調された戻り光だけを受光することができる。ディテクタ317は、その受光量に応じた電気信号を読取信号として図示せぬ信号処理系に供給する。
 なお図24では波長の変化の様子を明瞭に表すために実際とは異なる形で模式的に光路が描かれている。また、対物レンズ314やハーフミラー313には、波長λ1 及び波長λ2 の双方について同等の光学特性を有するものを採用するのが好ましい。さらに、光エネルギー密度に応じた波長変換をなす情報記録層を有するディスクとしては、上述した如き反射型に限らず透過型のものにも適用することができる。
 以上詳述したように、本発明においては、複数の情報記録層と共に、外部から電圧供給を受けるための導体を多層記録ディスクに設け、情報記録層各々の内から上記導体に印加された電圧に応じた1の情報記録層のみが読取対象となりこの情報記録層に読取光が導出される構造を採用している。
 よって、読み取り対象となった情報記録層以外の他の情報記録層からの不要な反射光成分が重畳することのない良好な読取信号を得ることが可能になる。
情報記録層として2つの光反射層を有するROM型光ディスクの構造を示す断面図。 図1における光ディスクの作製方法を説明するための各工程におけるディスク断面図。 図1における光ディスクと等価な構造を有するROM型光ディスクの構造を示す断面図。 図1及び図3の光ディスクに対するフォーカシング動作において、対物レンズとディスクとの間の距離の変位量に対するフォーカスエラーレベルを示すグラフ。 図1及び図3の光ディスクにおいて光ビームが第2情報記録面に合焦しているときの、第1情報記録面での光ビームの大きさを示す幾何学図。 図1及び図3の光ディスクにおいて光ビームが第1情報記録面に合焦しているときの、第2情報記録面での光ビームの大きさを示す幾何学図。 図1及び図3の光ディスクにおいて、透明基板と第1及び第2情報記録面間の層との屈折率が同一でない場合の、光ビームの第2情報記録面合焦時における第1情報記録面上光ビームの大きさを示す幾何学図。 図1及び図3の光ディスクにおいて、光ビームのデフォーカス及びオンフォーカス状態のMTF特性を示すグラフ。 デフォーカス時の再生レベルをオンフォーカス時の再生レベルの1/10以下とした場合の、デフォーカス収差量に対する規格化空間周波数の最大値及び最小値を示すグラフ。 光ディスクにおける情報記録面間の距離の上限値を導く説明及び読取光の各情報記録面における光エネルギー密度の相違の説明をするための、i個の情報記録面を有するディスクの簡略的断面図。 光ディスクにおける情報記録面間の距離の上限及び下限値の計算例を示す図表。 光ディスクの、読取光の入射する側に近い一方の情報記録面、及び他方の情報記録面の反射率特性を示すグラフ。 第1ないし第3情報記録面をそれぞれ異なる波長の読取光で読み取る様子を示すディスクの簡略的断面図。 図13における光ディスクの各情報記録面の反射率特性を示すグラフ。 フォトクロミック材料の反射率特性を示すグラフ。 多層記録ディスクの断面を示す図。 図16におけるディスクの記録情報を再生する再生システムの構成を示すブロック図。 図16におけるディスクの記録情報を再生する他の実施例による再生システムの構成を示すブロック図。 本発明による多層記録ディスクの断面図及び外観図。 多層記録ディスクにおける各情報記録面の記録トラックのスパイラル方向の不具合を説明するための模式図。 多層記録ディスクにおける各情報記録面の記録トラックのスパイラル方向を説明するための模式図。 多層記録ディスクにおけるTOC情報の記録形態の一例を示す模式図。 多層記録ディスクにおけるTOC情報の記録形態の他の例を示す模式図。 多層記録ディスクから記録情報を読み取る再生システムの構成を示すブロック図。
符号の説明
11,11A 透明基板
 12,12A 第1反射層
 13 放射線透過性透明スタンパ
 14 紫外線硬化型樹脂層
 15 第2反射層
 16 保護層
 S1 〜Si 情報記録面
 12B フォトクロミック反射膜
 31,31A,31A´ ピックアップ
 310 緑色光LED
 311 赤色レーザ
 312 緑色反射板
 313 ハーフミラー
 314 対物レンズ
 315 赤色フィルタ
 316 光学系
 317 フォトディテクタ
 318 レンズ
 50 多層記録ディスク
 51,52 透明電極層
 51r,52r 導体リング
 53 スペース部
 55,56 ブラシ
 57 駆動回路
 311´ 読取光源
 320 光学フィルタ

Claims (10)

  1.  複数の情報記録層が積層されている多層記録ディスクであって、
     外部から電圧供給を受けるための導体を備え、
     前記情報記録層各々の内から前記導体に印加された電圧に応じた1の情報記録層のみが読取対象となりこの情報記録層に記録情報を読み取るための読取光が導出されることを特徴とする多層記録ディスク。
  2.  前記導体は、外部に露出していることを特徴とする請求項1記載の多層記録ディスク。
  3.  前記導体は、前記読取光の入射する方のディスク表面上においてリング状に形成されていることを特徴とする請求項2記載の多層記録ディスク。
  4.  前記情報記録層の各々の間に形成されており前記導体に接続された電極層を更に含むことを特徴とする請求項1乃至3のうちの1に記載の多層記録ディスク。
  5.   前記電極層は、前記情報記録層各々のうちの1に形成されている反射層であることを特徴とする請求項4記載の多層記録ディスク。
  6.  前記電極層は、一対の透明電極層であることを特徴とする請求項4記載の多層記録ディスク。
  7.  前記一対の透明電極層の間に液晶層を有することを特徴とする請求項6記載の多層記録ディスク。
  8.  請求項1乃至7のうちの1に記載の多層記録ディスクに記録された情報を再生する再生システムであって、
    前記導体に電圧を印加する電圧印加手段と、
     前記電圧に応じて読取対象となった前記情報記録層から記録情報を読み取る読取手段と、を備えたことを特徴とする再生システム。
  9.  前記電圧印加手段は、前記導体に摺動しながら接触して電圧を印加することを特徴とする請求項8記載の再生システム。
  10.  請求項7記載の多層記録ディスクに記録された情報を再生する再生システムであって、
    前記導体に電圧を印加することにより前記液晶層を駆動する電圧印加手段と、
     前記電圧に応じて読取対象となった前記情報記録層から記録情報を読み取る読取手段と、を備えたことを特徴とする再生システム。
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