JP2004125940A - 発光素子及びそれを具えるフィールドエミッションディスプレイ - Google Patents

発光素子及びそれを具えるフィールドエミッションディスプレイ Download PDF

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Abstract

【課題】クロストークが生じることがなく、かつ、周辺雰囲気が大気圧の状態において非常に低い駆動電圧で発光を行うことができる発光素子及びそれを具えるフィールドエミッションディスプレイを提供する。
【解決手段】駆動電極4にパルス電圧を印加すると、スリット付近に電界が集中して電界放出現象が生じる。放出された電子は、透明電極9にバイアス電圧を印加することによって、導電性コーティング層6及び電子通過層7を通じて蛍光体層8に当たる。これによって、蛍光体層8が励起され、矢印で示すような発光が透明電極9を通じて生じる。発光素子1を2次元的に配列することによって、フィールドエミッションディスプレイを構成することができる。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、発光素子及びそれを具えるフィールドエミッションディスプレイに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、フィールドエミッションディスプレイ(FED)やバックライトのような種々のアプリケーションにおいて、駆動用の電極及び接地用の電極を有する電子放出素子が用いられている(例えば、特許文献1〜5及び非特許文献1〜3参照)。そのような電子放出素子は、FEDに適用される場合、2次元的に配列され、これら電子放出素子に対する複数の蛍光体が、所定の間隔を以ってそれぞれ配置されている。
【0003】
【特許文献1】特開平1−311,533号公報(第3頁、第1図)
【特許文献2】特開平7−147,131号公報(第3頁、図8及び図9)
【特許文献3】特開2000−285,801号公報(第5頁、図3)
【特許文献4】特公昭46−20,944号公報(第1頁、第2図)
【特許文献5】特公昭44−26,125号公報(第1頁、第2図)
【非特許文献1】安岡・石井、「強誘電体陰極を用いたパルス電子源」、応用物理 第68巻 第5号 p.546〜550(1999)
【非特許文献2】V.F.Puchkarev, G.A.Mesyats, On the mechanism of emissionfrom the ferroelectric ceramic cathode, J. Appl. Phys., Vol.78, No.9 November 1995, p.5633−5637
【非特許文献3】H.Riege, Electron emission ferroelectrics − a review, Nucl. Instr. And Meth. A340, p.80−89 (1994)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特許文献1〜5及び非特許文献1〜3に記載されているような従来の一般的な電子放出素子の直進性、すなわち、放出された電子が所定の対象(例えば蛍光体)に直進する程度が良好でなく、放出された電子によって所望の電流密度を確保するためには、比較的高い電圧を電子放出素子に印加する必要がある。
【0005】
また、従来の一般的な電子放出素子をFEDに適用した場合、直進性が良好でないためにクロストークが比較的に大きくなる、すなわち、放出された電子が、対応する蛍光体に隣接する蛍光体に入射するおそれが高くなる。その結果、蛍光体のピッチを狭くするのが困難となり、隣接する蛍光体に電子が入射されるのを防止するためにグリッドを設ける必要がある。
【0006】
本発明の目的は、クロストークが生じることがなく、かつ、周辺雰囲気を真空に維持する必要がないすなわち周辺雰囲気が大気圧の状態において非常に低い駆動電圧で発光を行うことができる発光素子及びそれを具えるフィールドエミッションディスプレイを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明による発光素子は、
誘電体によって構成された電界印加部と、
この電界印加部の一方の面に形成された第1電極と、
前記電界印加部の一方の面に形成され、前記第1電極とともにスリットを形成する第2電極と、
前記第1電極、第2電極及びスリットに設けられ、所定の電圧が印加された際に耐性を有するとともに電子が通過する特性を有する材料によって構成された電子通過層と、
その電子通過層に設けられた蛍光体層と、
その蛍光体層に設けられた透明電極又は前記蛍光体層に対して所定の間隔を以って配置された第3電極とを有することを特徴とする。
【0008】本発明によれば、第1又は第2電極にパルス電圧を印加すると、スリット付近に電界が集中して電界放出現象が生じる。放出された電子は、透明電極又は第3電極にバイアス電圧を印加することによって、電子通過層を通じて蛍光体層に当たる。これによって、蛍光体層が励起され、発光が生じる。
【0009】また、放出された電子が電子通過層と蛍光体層との間しか移動しないので、使用の際に放出電子の直進性すなわちクロストークを考慮する必要がなくなる。したがって、所望の電流密度を確保するために印加される電圧も、電子放出素子の場合に比べて低くなり、消費電力が大幅に低減される。また、発光素子それ自体が発光するため、発光の際に、電子を真空空間に放出し、放出電子を対応する蛍光体に当てる必要がなく、本発明による発光素子を、周辺雰囲気が大気圧の状態で用いることができる。その結果、大気圧の下で非常に低い駆動電圧によって発光を行うことができる。なお、第1及び第2電極等を厚膜印刷によって電界印加部に形成することができるので、本発明による発光素子は、耐久性及びコスト低減の観点からも好ましい。
【0010】本発明による他の発光素子は、
誘電体によって構成された電界印加部と、
この電界印加部の一方の面に形成された第1電極と、
前記電界印加部の一方の面に形成され、前記第1電極とともにスリットを形成する第2電極と、
前記第1電極、第2電極及びスリットに設けられ、所定の電圧が印加された際に耐性を有するとともに電子が通過する特性を有する材料によって構成された第1電子通過層と、
この第1電子通過層に設けられ、前記第1電子通過層から放出される電子を放出するための第3電極及び第4電極と、
前記第1電子通過層、第3電極及び第4電極に設けられ、所定の電圧が印加された際に耐性を有するとともに電子が通過する特性を有する材料によって構成された第2電子通過層と、
その第2電子通過層に設けられた蛍光体層と、
その蛍光体層に設けられた透明電極又は前記蛍光体層に対して所定の間隔をもって配置された第5電極とを有することを特徴とする発光素子。
【0011】本発明によれば、第1又は第2電極にパルス電圧を印加すると、スリット付近に電界が集中して電界放出現象が生じる。放出された電子は、透明電極又は第5電極にバイアス電圧を印加することによって、第3及び第4電極によって電子の放出を制御しながら第1及び第2電子通過層を通じて蛍光体層に当たる。これによって、蛍光体層が励起され、発光が生じる。
【0012】また、放出された電子が第1電子通過層から第2蛍光体層までしか移動しないので、使用の際に放出電子の直進性すなわちクロストークを考慮する必要がなくなる。したがって、所望の電流密度を確保するために印加される電圧も、電子放出素子の場合に比べて低くなり、消費電力が大幅に低減される。また、発光素子それ自体が発光するため、発光の際に、電子を真空空間に放出し、放出電子を対応する蛍光体に当てる必要がなく、本発明による発光素子を、周辺雰囲気が大気圧の状態で用いることができる。その結果、大気圧の下で非常に低い駆動電圧によって発光を行うことができる。さらに、第3及び第4電極によって電子の放出が制御されるので、所望の発光特性が容易に得られる。なお、第1及び第2電極等を厚膜印刷によって電界印加部に形成することができるので、本発明による発光素子は、耐久性及びコスト低減の観点からも好ましい。
【0013】発光素子に印加される電圧を更に低減するために、好適には、前記第1電極、第2電極及びスリットと前記電子通過層との間に介在する導電性コーティング層を更に有する。
【0014】電界を集中して電子の放出を容易にするために、前記第1電極と第2電極のうちの少なくとも一方が、凸部と凹部のうちの少なくとも一方を有するのが好ましい。凸部及び凹部は、直線と曲線のうちの少なくとも一方から規則的又は不規則的に任意の形状に形成され、例えば、直線のみによって規則的又は不規則的に形成する場合、第1電極と第2電極のうちの少なくとも一方は、鋭角を成す角部を有する。
【0015】電界を集中して電子の放出を容易にするために、前記第1電極と第2電極のうちの少なくとも一方に形成されるピンホールと、前記第1電極及び第2電極から電気的に絶縁して前記スリットに配置され、前記第1電極及び第2電極を構成する材料と同一材料によって構成された島のうちの少なくとも一方を有してもよい。ピンホール及び島も、直線と曲線のうちの少なくとも一方から規則的又は不規則的に任意の形状に形成される。
【0016】印加電圧の大幅な低減を図るために、前記電界印加部の比誘電率を1000以上とし、及び/又は、前記スリットの幅を0.1μmと500μmとの間とする。印加電圧を更に低減するためには、前記スリットの幅を0.1μmと50μmとの間とし、好適には、前記スリットの幅を0.1μmと10μmとの間とする。さらに好適には、前記スリットの幅を0.1μmと1μmとの間とし、この場合、10V程度の低い印加電圧で電子の放出が可能となる。
【0017】加工の容易性及び第1電極と第2電極との間の絶縁性の確保のために、スリットの幅の下限を0.1μmとするのがよく、また、電子放出の低電圧化、回路の小型化、コストの低減及び駆動電極(第1又は第2電極)の寿命の観点から、スリット幅の上限を1μmとするのがよい。
【0018】本発明による他のフィールドエミッションディスプレイは、
2次元的に配列された複数の発光素子を具え、
これら発光素子の各々が、
誘電体によって構成された電界印加部と、
この電界印加部の一方の面に形成された第1電極と、
前記電界印加部の一方の面に形成され、前記第1電極とともにスリットを形成する第2電極と、
前記第1電極、第2電極及びスリットに設けられ、所定の電圧が印加された際に耐性を有するとともに電子が通過する特性を有する材料によって構成された電子通過層と、
その電子通過層に設けられた蛍光体層と、
その蛍光体層に設けられた透明電極又は前記蛍光体層に対して所定の間隔をもって配置された第3電極とを有することを特徴とする。
【0019】本発明によれば、FEDの表示の際に発光素子それ自体が発光するので、FEDが蛍光体を具える必要がなくなり、その結果、蛍光体のピッチを考慮する必要がなくなるだけでなく、グリッドを設ける必要もなくなる。その結果、本発明によるFEDは、高精細化、解像度の向上、装置の小型化及びコストの低減の観点から好ましい。さらに、本発明によれば、発光素子を大気圧の状態で使用することができるので、FEDに真空空間を確保する必要がなく、FEDの薄型化に非常に有利である。
【0020】2次元的に配列された複数の発光素子を具え、
これら発光素子の各々が、
誘電体によって構成された電界印加部と、
この電界印加部の一方の面に形成された第1電極と、
前記電界印加部の一方の面に形成され、前記第1電極とともにスリットを形成する第2電極と、
前記第1電極、第2電極及びスリットに設けられ、所定の電圧が印加された際に耐性を有するとともに電子が通過する特性を有する材料によって構成された第1電子通過層と、
この第1電子通過層に設けられ、前記第1電子通過層から放出される電子を放出するための第3電極及び第4電極と、
前記第1電子通過層、第3電極及び第4電極に設けられ、所定の電圧が印加された際に耐性を有するとともに電子が通過する特性を有する材料によって構成された第2電子通過層と、
その第2電子通過層に設けられた蛍光体層と、
その蛍光体層に設けられた透明電極又は前記蛍光体層に対して所定の間隔をもって配置された第5電極とを有することを特徴とするフィールドエミッションディスプレイ。
【0021】本発明によれば、FEDの表示の際に発光素子それ自体が発光するので、FEDが蛍光体を具える必要がなくなり、その結果、蛍光体のピッチを考慮する必要がなくなるだけでなく、グリッドを設ける必要もなくなる。その結果、本発明によるFEDは、高精細化、解像度の向上、装置の小型化及びコストの低減の観点から好ましい。さらに、本発明によれば、発光素子を大気圧の状態で使用することができるので、FEDに真空空間を確保する必要がなく、FEDの薄型化に非常に有利である。さらに、個々の発光素子において、第3及び第4電極によって電子の放出が制御されるので、所望の発光特性が容易に得られ、FEDの表示を更に良好に行うことができる。
【0022】好適には、前記2次元的に配列された複数の発光素子を一体に形成した基板を更に具える。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明による発光素子及びそれを具えるフィールドエミッションディスプレイの実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図面中、同一部材に同一符号を付す。
図1Aは、本発明による発光素子の第1の実施の形態の側面図であり、図1Bは、そのI−I断面図である。本実施の形態の発光素子1は、基板2上に形成されており、誘電体によって構成された電界印加部3と、その一方の面に形成された第1電極としての駆動電極4と、駆動電極4とともにスリットを形成する第2電極としてのコモン電極5と、駆動電極4、コモン電極5及びスリットに設けられた導電性コーティング層6と、導電性コーティング層6に設けられた電子通過層7と、その電子通過層7に設けられた蛍光体層8と、その蛍光体層8に設けられた透明電極9とを有する。
【0024】基板2としては、駆動電極4に電気的に接続した配線10と、コモン電極5に電気的に接続した配線11とを電気的に分離するために、電気的な絶縁材料で構成するのが好ましい。
【0025】したがって、基板2を、高耐熱性の金属や、その金属表面をガラスなどのセラミックス材料によって被覆したホーローのような材料によって構成することができるが、セラミックスで構成するのが最適である。
【0026】基板4を構成するセラミックスとしては、例えば、安定化された酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、スピネル、ムライト、窒化アルミニウム、窒化珪素、ガラス、これらの混合物等を使用することができる。その中でも、酸化アルミニウム及び安定化された酸化ジルコニウムが、強度及び剛性の観点から好ましい。安定化された酸化ジルコニウムは、機械的強度が比較的高いこと、靭性が比較的高いこと、駆動電極4及びコモン電極5との化学反応が比較的小さいことなどの観点から特に好適である。なお、安定化された酸化ジルコニウムとは、安定化酸化ジルコニウム及び部分安定化酸化ジルコニウムを包含する。安定化された酸化ジルコニウムでは、立方晶などの結晶構造をとるため、相転移が生じない。
【0027】一方、酸化ジルコニウムは、1000℃前後で単斜晶と正方晶との間を相転移し、このような相転移の際にクラックが発生するおそれがある。安定化された酸化ジルコニウムは、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化イットリウム、酸化スカンジウム、酸化イッテルビウム、酸化セリウム、希土類金属の酸化物等の安定剤を、1−30モル%含有する。なお、基板2の機械的強度を向上させるために、安定化剤が酸化イットリウムを含有するのが好適である。この場合、酸化イットリウムを、好適には1.5−6モル%、更に好適には2−4モル%含有し、更に0.1−5モル%の酸化アルミニウムを含有するのが好ましい。
【0028】また、結晶相を、立方晶+単斜晶の混合相、正方晶+単斜晶の混合相、立方晶+正方晶+単斜晶の混合相等とすることができるが、その中でも、主たる結晶相を、正方晶又は正方晶+立方晶の混合相としたものが、強度、靭性及び耐久性の観点から最適である。
【0029】基板2をセラミックスから構成した場合、比較的多数の結晶粒が基板2を構成するが、基板2の機械的強度を向上させるためには、結晶粒の平均粒径を、好適には0.05−2μmとし、更に好適には0.1−1μmとする。
【0030】電界印加部3を構成する誘電体として、好適には、比誘電率が比較的高い、例えば1000以上の誘電体を採用する。このような誘電体としては、チタン酸バリウムの他に、ジルコン酸鉛、マクネシウムニオブ酸鉛、ニッケルニオブ酸鉛、亜鉛ニオブ酸鉛、マンガンニオブ酸鉛、マグネシウムタンタル酸鉛、ニッケルタンタル酸鉛、アンチモンスズ酸鉛、チタン酸鉛、チタン酸バリウム、マグネシウムタングステン酸鉛、コバルトニオブ酸鉛等又はこれらの任意の組合せを含有するセラミックスや、主成分がこれらの化合物を50重量%以上含有するものや、前記セラミックスに対して更にランタン、カルシウム、ストロンチウム、モリブデン、タングステン、バリウム、ニオブ、亜鉛、ニッケル、マンガン等の酸化物若しくはこれらのいずれかの組合せ又は他の化合物を適切に添加したもの等を挙げることができる。例えば、マグネシウムニオブ酸鉛(PMN)とチタン酸鉛(PT)の2成分系nPMN−mPT(n,mをモル数比とする。)においては、PMNのモル数比を大きくすると、キュリー点が下げられて、室温での比誘電率を大きくすることができる。特に、n=0.85−1.0,m=1.0−nで比誘電率3000以上となり好ましい。例えば、n=0.91,m=0.09で室温の比誘電率15000,n=0.95,m=0.05で室温の比誘電率20000が得られる。次に、マグネシウムニオブ酸鉛(PMN)、チタン酸鉛(PT)、ジルコン酸鉛(PZ)の3成分系では、PMNのモル数比を大きくする他に、正方晶と擬立方晶又は正方晶と菱面体晶のモルフォトロピック相境界(MPB:Morphotropic Phase Boundary)付近の組成とすることが比誘電率を大きくするのに好ましい。例えば、PMN:PT:PZ=0.375:0.375:0.25にて比誘電率5500,PMN:PT:PZ=0.5:0.375:0.125にて比誘電率4500となり、特に好ましい。さらに、絶縁性が確保できる範囲内でこれらの誘電体に白金のような金属を混入して、誘電率を向上させるのが好ましい。この場合、例えば、誘電体に白金を重量比で20%混入させる。
【0031】駆動電極4及びコモン電極5は、いずれも半円形状を有し、例えば膜厚が3μmのAuによって構成される。電界放出現象が生じやすくするようスリット幅Δを500μm以下にする。なお、市販のプラズマディスプレイ、蛍光表示管又は液晶ディスプレイで用いられるドライバICで本発明による発光素子を駆動するためには、スリット幅Δを20μm以下にするのが好ましい。
【0032】駆動電極4には、基板2の裏面から引き出された配線10を通じて電源(図示せず)からパルス電圧が印加される。コモン電極5には、基板2の裏面から引き出された配線11を通じて所定の電位(例えば接地電位)に維持され、コモン電極5が接地電位に維持される場合、コモン電極5とアースとの間に抵抗を配置するのが好ましい。
【0033】なお、導電性コーティング層6は、発光素子1に印加される電圧を更に低減する役割を果たし、例えば3μmの厚さを有するカーボンによって構成されるが、カーボンの他に、高温酸化雰囲気に対して耐性を有する導体、例えば金属単体、合金、絶縁性セラミックスと金属単体との混合物、絶縁性セラミックスと合金との混合物等によって構成し、好適には、白金、パラジウム、ロジウム、モリブデン等の高融点貴金属や、銀−パラジウム、銀−白金、白金−パラジウム等の合金を主成分とするものや、白金とセラミックス材料とのサーメット材料によって構成する。更に好適には、白金のみ又は白金系の合金を主成分とする材料によって構成する。また、導電性コーティング層6として、グラファイト系の材料、例えば、ダイヤモンド薄膜、ダイヤモンドライクカーボン、カーボンナノチューブも好適に使用される。なお、導電性コーティング材料中に添加させるセラミックス材料の割合は、5−30体積%程度が好適である。導電性コーティング部104の抵抗値を、例えば数キロΩ〜100キロΩとするのが好ましい。導電性コーティング部104を、蒸着カーボン(具体例として、サンユー工業社製「CARBON 5PC」を蒸着したもの)、刷り込みカーボン(具体例として、Degussa社製「FW200」など)、印刷カーボン等によって形成する。
【0034】電子通過層7は、所定の電圧(蛍光体層8が低電圧タイプの場合には数百ボルト以下となり、蛍光体層8が高電圧タイプの場合には数kV以上となる。)が印加された際に耐性を有するとともに電子が通過する特性を有する材料によって構成される。かかる材料は、誘電体に比べて誘電率が低く、具体的には、アモーファスSiOx、多孔質化ポリシリコン、アルミナ等から構成される。また、電子通過層7として、ポーラス上の絶縁層や、不純物注入によって抵抗が調整可能なダイヤモンド構造の炭素、グラファイト構造の炭素、ダイヤモンドライクカーボン、カーボンナノチューブ等の高抵抗層も使用できる。
【0035】蛍光体層8は、カラーディスプレイで使用されるような従来既知の蛍光体から構成され、透明電極9は、好適には酸化インジウム第一錫(ITO)によって構成され、バイアス電圧+Vbが印加される。
【0036】本実施の形態の動作を説明する。駆動電極4にパルス電圧を印加すると、スリット付近に電界が集中して電界放出現象が生じる。放出された電子は、透明電極9にバイアス電圧を印加することによって、導電性コーティング層6及び電子通過層7を通じて蛍光体層8に当たる。これによって、蛍光体層8が励起され、矢印で示すような発光が透明電極9を通じて生じる。
【0037】また、放出された電子が電子導電性コーティング層6から蛍光体層8までしか移動しないので、使用の際に放出電子の直進性すなわちクロストークを考慮する必要がなくなる。したがって、所望の電流密度を確保するために印加される電圧も、電子放出素子の場合に比べて低くなり、消費電力が大幅に低減される。また、発光素子1それ自体が発光するため、発光の際に、電子を真空空間に放出し、放出電子を対応する蛍光体に当てる必要がなく、本実施の形態による発光素子を、周辺雰囲気が大気圧の状態で用いることができる。その結果、大気圧の下で非常に低い駆動電圧によって発光を行うことができる。なお、駆動電極4及びコモン電極5等を厚膜印刷によって電界印加部に形成することができるので、本発明による発光素子は、耐久性及びコスト低減の観点からも好ましい。
【0038】図2Aは、本発明による発光素子の第2の実施の形態の側面図であり、図2Bは、そのII−II断面図である。本実施の形態では、駆動電極4a及びコモン電極5aは、凹部21、凸部22及びピンホール23を有し、スリットには、駆動電極4a及びコモン電極5aから電気的に絶縁して配置され、駆動電極4a及びコモン電極5aを構成する材料と同一材料(例えばAu)で構成された島24を有する。
【0039】本実施の形態によれば、凹部21、凸部22、ピンホール23及び島24に電界が集中し、電子の放出を容易になるので、発光素子21の駆動電圧を更に低くすることができる。
【0040】これら凹部21、凸部22、ピンホール23及び島24は、例えば、スリット幅が10μmとなるように共にAuによって構成した半円形状の駆動電極及びコモン電極を誘電体(誘電率5500)に形成した後、コモン電極とアースとの間に配置した抵抗を10Ωとした状態で、250V,5μ秒のパルス電圧を数回印加することによって形成される。なお、図2に示す発光素子として使用する際には、コモン電極とアースとの間に配置される抵抗を10kΩにする。
【0041】図3は、図2Bの一部を拡大して示す顕微鏡写真であり、図4は、図3の写真の説明図である。図4において、スリットを斜線で示す。この場合、駆動電極4aが凸部34を有し、コモン電極5aがピンホールを有し、スリットが島を有する。
【0042】図5Aは、本発明による発光素子の第3の実施の形態の側面図であり、図5Bは、そのIII−III断面図である。本実施の形態において、発光素子41の駆動電極4b及びコモン電極5bは、スリット側に規則的に形成された鋸歯形状部を有する。これによって、鋸歯形状部に電界が集中し、電子の放出を容易になるので、発光素子41の駆動電圧を更に低くすることができる。
【0043】図6Aは、本発明による発光素子の第4の実施の形態の側面図であり、図6Bは、そのIV−IV断面図である。本実施の形態において、発光素子51は、スリットに規則的に配置された円形の島52を有する。これによって、島52に電界が集中し、電子の放出を容易になるので、発光素子41の駆動電圧を更に低くすることができる。
【0044】図7Aは、本発明による発光素子の第5の実施の形態の側面図であり、図7Bは、そのV−V断面図である。本実施の形態において、発光素子61は、スリットに規則的に配置された円形の島62を有し、駆動電極4c及びコモン電極5cは、スリット側に規則的に形成された先鋭部を有する。これによって、先鋭部及び島62に電界が集中し、電子の放出を容易になるので、発光素子61の駆動電圧を更に低くすることができる。
【0045】図8Aは、本発明による発光素子の第6の実施の形態の側面図であり、図8Bは、そのVI−VI断面図である。本実施の形態において、発光素子71は、スリットに規則的に配置された菱形の島72を有し、駆動電極4d及びコモン電極5dは、スリット側に規則的に形成された鋸歯形状部を有する。これによって、先鋭部及び島72に電界が集中し、電子の放出を容易になるので、発光素子71の駆動電圧を更に低くすることができる。
【0046】図9Aは、本発明による発光素子の第7の実施の形態の側面図であり、図9Bは、そのVII−VII断面図である。本実施の形態による発光素子81は、図1に示す第1の実施の形態において、透明電極9の代わりに、蛍光体層8に対して所定の間隔を以って配置されるとともにバイアス電圧+Vbが印加されるコレクタ電極12を有する。駆動電極4にパルス電圧を印加することによって放出された電子は、コレクタ電極12にバイアス電圧+Vbを印加することによって、電子通過層7を通じて蛍光体層8に当たる。これによって、蛍光体層8が励起され、矢印で示すような発光が生じる。
【0047】図10Aは、本発明による発光素子の第8の実施の形態の側面図であり、図10Bは、そのVIII−VIII断面図である。本実施の形態において、基板2に形成される3極管構造の発光素子91は、図1に示す発光素子1の構成要素の他に、電子の放出を制御するために電子通過層7に設けた第3及び第4電極としてのゲート電極92及び93と、これらゲート電極92及び93によって制御された電子が通過する他の電子通過層94とを更に有する。本実施の形態によれば、ゲート電極92及び93によって電子の放出が制御されるので、所望の発光特性が容易に得られる。
【0048】図11Aは、本発明による発光素子の第9の実施の形態の側面図であり、図11Bは、そのIX−IX断面図である。本実施の形態による発光素子81は、図10に示す第8の実施の形態において、透明電極9の代わりに、蛍光体層8に対して所定の間隔を以って配置されるとともにバイアス電圧+Vbが印加されるコレクタ電極13を有する。駆動電極4にパルス電圧を印加することによって放出された電子は、コレクタ電極13にバイアス電圧+Vbを印加することによって、電子通過層7を通じて蛍光体層8に当たる。これによって、蛍光体層8が励起され、矢印で示すような発光が生じる。
【0049】図12Aは、本発明によるFEDの実施の形態を示す図である。このFEDは、2次元的に配列された複数の発光素子200R,200G,200Bと、これら複数の発光素子200R,200G,200Bが配置される基板201と、これら複数の発光素子200R,200G,200Bに対して所定の間隔を以って配置され、例えばガラスによって構成した透明基板202と、FEDの厚さ方向の空間を維持するためのスペーサ203とを有する。
【0050】本実施の形態では、発光素子200R,200G,200Bはそれぞれ、蛍光体層として赤色蛍光体、緑色蛍光体及び青色蛍光体を使用し、基板201を、図1などに示す基板2と同一材料で構成することができる。また、発光素子200R,200G,200Bは、図1に示す構造を有するが、図2,5−11のうちのいずれの構造を有してもよい。
【0051】本実施の形態によれば、FEDの表示の際に発光素子200R,200G,200Bそれ自体が発光するので、FEDが蛍光体を具える必要がなくなり、その結果、蛍光体のピッチを考慮する必要がなくなるだけでなく、グリッドを設ける必要もなくなる。その結果、本発明によるFEDは、高精細化、解像度の向上、装置の小型化及びコストの低減の観点から好ましい。さらに、本発明によれば、発光素子を大気圧の状態で使用することができるので、FEDに真空空間を確保する必要がなく、FEDの薄型化に非常に有利である。
【0052】本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、幾多の変更及び変形が可能である。
例えば、本発明のよる発光素子を、FED以外のアプリケーション、例えば、プロジェクタの光源用途のような高輝度かつ高効率仕様の光源や、チップ光源、信号機、携帯電話などの小型液晶ディスプレイのバックライトのようなLEDの代替用途に適用することもできる。また、電界放出現象が生じるように、駆動電極とコモン電極との間に好適には0.1μmと500μmとの間の幅を有するスリットを形成し、直線と曲線のうちの少なくとも一方から規則的又は不規則的に任意の形状に形成された凸部及び凹部が駆動電極とコモン電極のうちの少なくとも一方に設けられ、スリットに島が形成され、及び/又は、駆動電極とコモン電極のうちの少なくとも一方がピンホールを有する限り、駆動電極及びコモン電極の形状を任意の形状とすることができる。
【0053】ここで、駆動電極とコモン電極との間のスリット幅dについて考察すると、電子放出の際に発光素子に印加される電圧Vを低減するためには、スリット幅を比較的狭くするのが好ましい。電子を放出するためには、電界を集中させる箇所において、所定の値E以上の電界が生じる必要がある。電界Eは、
【数1】
E=V/d
によって決定されるので、電界Eを大きくするためには、電圧Vを高くし及び/又はスリット幅dを小さくする必要がある。
【0054】電圧Vを高くした場合、
(a)発光素子の駆動回路に印加される電圧も高くなるため、駆動回路の小型化が困難となり、発光素子及びその駆動回路を有する装置全体が高価なものとなる。
(b)プラズマ雰囲気で生成された正イオンが、電圧Vによってエネルギーを取得し、駆動電極に衝突し、したがって、駆動電極に損傷が生じるおそれが高くなる。
その結果、電界Eを大きくするためには、電圧Vを高くすることなくスリット幅dを小さくするのが好ましい。
【0055】スリット幅dをできるだけ小さくするのが好ましいが、本発明による発光素子によれば、電子を放出するに際し、従来のFEDに使用される電子放出素子の場合に比べてスリット幅dを小さくする必要がない。具体的に説明すると、電界放出を原理とする電子放出素子の場合、電界Eを5×10V/m程度とする必要があり、電圧Vを100V未満にするためには、スリット幅dを20nmにする必要がある。それに対して、本発明による発光素子によれば、電圧Vを100V未満に維持するためには、スリット幅dを20μmにすれば十分である。その結果、スリットを、廉価なスリット加工及びパターニングで形成することができる。
【0056】本発明によれば、スリット幅dを0.1μmと500μmとの間とする。印加電圧を更に低減するためには、スリット幅dを0.1μmと50μmとの間とし、好適には、0.1μmと10μmとの間とする。さらに好適には、スリット幅dを0.1μmと1μmとの間とし、この場合、10V程度の低い印加電圧で電子の放出が可能となる。
【0057】加工の容易性及び第1電極と第2電極との間の絶縁性の確保のために、スリット幅dの下限を0.1μmとするのがよく、また、電子放出の低電圧化、回路の小型化、コストの低減及び駆動電極の寿命の観点から、スリット幅dの上限を1μmとするのがよい。
【0058】上記実施の形態において、基板としてセラミックを用いた場合について説明したが、ガラス基板、金属板及びシリコン基板を使用することもでき、基板それ自体を誘電体によって構成してもよい。ガラス基板を用いた場合、大パネル化に有利であり、TFTによって回路を形成することもできる。金属層を用いた場合、絶縁層が必要となり、シリコン基板とした場合、回路形成が容易となる。基板それ自体を誘電体とした場合、基板それ自体が電界印加部となり、駆動電極及びコモン電極を基板に直接形成することができる。
【0059】上記実施の形態において、駆動電極(第1電極)、コモン電極(第2電極)及びスリットと電子通過層との間に導電性コーティング層を設けた場合について説明したが、導電性コーティング層を省略してもよく、この場合、駆動電極4を、高温酸化雰囲気に対して耐性を有する導体、例えば金属単体、合金、絶縁性セラミックスと金属単体との混合物、絶縁性セラミックスと合金との混合物等によって構成し、好適には、白金、パラジウム、ロジウム、モリブデン等の高融点貴金属や、銀−パラジウム、銀−白金、白金−パラジウム等の合金を主成分とするものや、白金とセラミックス材料とのサーメット材料によって構成する。更に好適には、白金のみ又は白金系の合金を主成分とする材料によって構成する。また、電極として、カーボン、グラファイト系の材料、例えば、ダイヤモンド薄膜、ダイヤモンドライクカーボン、カーボンナノチューブも好適に使用される。なお、電極材料中に添加させるセラミックス材料の割合は、5−30体積%程度が好適である。
【0060】駆動電極4を形成するに当たり、上記材料を用いて、スクリーン印刷、スプレー、導電性コーティング、ディッピング、塗布、電気泳動法等の各種の厚膜形成方法や、スパッタリング、イオンビーム、真空蒸着、イオンプレーティング、CVD、めっき等の各種の薄膜形成手法による通常の膜形成手法に従って形成することができ、好適には、これら厚膜形成手法によって形成される。
【0061】厚膜形成手法によって駆動電極4を形成する場合、その厚さは、一般的には20μm以下となり、好適には5μm以下となる。
【0062】コモン電極5は、駆動電極4と同様な材料及び手法によって形成されるが、好適には上記厚膜形成手法によって形成する。コモン電極5の厚さも、一般的には20μm以下とし、好適には5μm以下とする。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による発光素子の第1の実施の形態を示す図である。
【図2】本発明による発光素子の第2の実施の形態を示す図である。
【図3】図2Bの一部を拡大して示す顕微鏡写真である。
【図4】図3の写真の説明図である。
【図5】本発明による発光素子の第3の実施の形態を示す図である。
【図6】本発明による発光素子の第4の実施の形態を示す図である。
【図7】本発明による発光素子の第5の実施の形態を示す図である。
【図8】本発明による発光素子の第6の実施の形態を示す図である。
【図9】本発明による発光素子の第7の実施の形態を示す図である。
【図10】本発明による発光素子の第8の実施の形態を示す図である。
【図11】本発明による発光素子の第9の実施の形態を示す図である。
【図12】本発明によるFEDの実施の形態を示す図である。
【符号の説明】
1,21,41,51,61,71,81,91,200R,200G,200B 発光素子、2,201 基板、3 電界印加部、4,4a,4b,4c,4d 駆動電極、5,5a,5b,5c,5d コモン電極、6 導電性コーティング層、7,94 電子通過層、8 蛍光体層、9 透明電極、10,11 配線、12 コレクタ電極、21、凹部、22,34 凸部、23,35 ピンホール、24,36,52,62,72 島、92,93 ゲート電極、202透明基板、Δ スリット幅

Claims (21)

  1. 誘電体によって構成された電界印加部と、
    この電界印加部の一方の面に形成された第1電極と、
    前記電界印加部の一方の面に形成され、前記第1電極とともにスリットを形成する第2電極と、
    前記第1電極、第2電極及びスリットに設けられ、所定の電圧が印加された際に耐性を有するとともに電子が通過する特性を有する材料によって構成された電子通過層と、
    その電子通過層に設けられた蛍光体層と、
    その蛍光体層に設けられた透明電極又は前記蛍光体層に対して所定の間隔を以って配置された第3電極とを有することを特徴とする発光素子。
  2. 誘電体によって構成された電界印加部と、
    この電界印加部の一方の面に形成された第1電極と、
    前記電界印加部の一方の面に形成され、前記第1電極とともにスリットを形成する第2電極と、
    前記第1電極、第2電極及びスリットに設けられ、所定の電圧が印加された際に耐性を有するとともに電子が通過する特性を有する材料によって構成された第1電子通過層と、
    この第1電子通過層に設けられ、前記第1電子通過層から放出される電子を放出するための第3電極及び第4電極と、
    前記第1電子通過層、第3電極及び第4電極に設けられ、所定の電圧が印加された際に耐性を有するとともに電子が通過する特性を有する材料によって構成された第2電子通過層と、
    その第2電子通過層に設けられた蛍光体層と、
    その蛍光体層に設けられた透明電極又は前記蛍光体層に対して所定の間隔を以って配置された第5電極とを有することを特徴とする発光素子。
  3. 請求項1又は2記載の発光素子において、
    前記第1電極、第2電極及びスリットと前記電子通過層との間に介在する導電性コーティング層を更に有することを特徴とする発光素子。
  4. 請求項1から3のうちのいずれか1項に記載の発光素子において、
    前記第1電極と第2電極のうちの少なくとも一方が、凸部と凹部のうちの少なくとも一方を有することを特徴とする発光素子。
  5. 請求項1から4のうちのいずれか1項に記載の発光素子において、
    前記第1電極と第2電極のうちの少なくとも一方に形成されるピンホールと、前記第1電極及び第2電極から電気的に絶縁して前記スリットに配置され、前記第1電極及び第2電極を構成する材料と同一材料によって構成された島のうちの少なくとも一方を有することを特徴とする発光素子。
  6. 請求項1から5のうちのいずれか1項に記載の発光素子において、前記電界印加部の比誘電率を1000以上としたことを特徴とする発光素子。
  7. 請求項1から6のうちのいずれか1項に記載の発光素子において、
    前記スリットの幅を0.1μmと500μmとの間としたことを特徴とする発光素子。
  8. 請求項7記載の発光素子において、
    前記スリットの幅を0.1μmと50μmとの間としたことを特徴とする発光素子。
  9. 請求項8記載の発光素子において、
    前記スリットの幅を0.1μmと10μmとの間としたことを特徴とする発光素子。
  10. 請求項9記載の発光素子において、
    前記スリットの幅を0.1μmと1μmとの間としたことを特徴とする発光素子。
  11. 2次元的に配列された複数の発光素子を具え、
    これら発光素子の各々が、
    誘電体によって構成された電界印加部と、
    この電界印加部の一方の面に形成された第1電極と、
    前記電界印加部の一方の面に形成され、前記第1電極とともにスリットを形成する第2電極と、
    前記第1電極、第2電極及びスリットに設けられ、所定の電圧が印加された際に耐性を有するとともに電子が通過する特性を有する材料によって構成された電子通過層と、
    その電子通過層に設けられた蛍光体層と、
    その蛍光体層に設けられた透明電極又は前記蛍光体層に対して所定の間隔を以って配置された第3電極とを有することを特徴とするフィールドエミッションディスプレイ。
  12. 2次元的に配列された複数の発光素子を具え、
    これら発光素子の各々が、
    誘電体によって構成された電界印加部と、
    この電界印加部の一方の面に形成された第1電極と、
    前記電界印加部の一方の面に形成され、前記第1電極とともにスリットを形成する第2電極と、
    前記第1電極、第2電極及びスリットに設けられ、所定の電圧が印加された際に耐性を有するとともに電子が通過する特性を有する材料によって構成された第1電子通過層と、
    この第1電子通過層に設けられ、前記第1電子通過層から放出される電子を放出するための第3電極及び第4電極と、
    前記第1電子通過層、第3電極及び第4電極に設けられ、所定の電圧が印加された際に耐性を有するとともに電子が通過する特性を有する材料によって構成された第2電子通過層と、
    その第2電子通過層に設けられた蛍光体層と、
    その蛍光体層に設けられた透明電極又は前記蛍光体層に対して所定の間隔をもって配置された第5電極とを有することを特徴とするフィールドエミッションディスプレイ。
  13. 請求項11又は12記載のフィールドエミッションディスプレイにおいて、
    前記第1電極、第2電極及びスリットと前記電子通過層との間に介在する導電性コーティング層を更に有することを特徴とするフィールドエミッションディスプレイ。
  14. 請求項11から13のうちのいずれか1項に記載のフィールドエミッションディスプレイにおいて、
    前記第1電極と第2電極のうちの少なくとも一方が、凸部と凹部のうちの少なくとも一方を有することを特徴とするフィールドエミッションディスプレイ。
  15. 請求項11から14のうちのいずれか1項に記載のフィールドエミッションディスプレイにおいて、
    前記第1電極と第2電極のうちの少なくとも一方に形成されるピンホールと、前記第1電極及び第2電極から電気的に絶縁して前記スリットに配置され、前記第1電極及び第2電極を構成する材料と同一材料によって構成された島のうちの少なくとも一方を有することを特徴とするフィールドエミッションディスプレイ。
  16. 請求項11から15のうちのいずれか1項に記載のフィールドエミッションディスプレイにおいて、
    前記電界印加部の比誘電率を1000以上としたことを特徴とするフィールドエミッションディスプレイ。
  17. 請求項11から16のうちのいずれか1項に記載のフィールドエミッションディスプレイにおいて、
    前記スリットの幅を0.1μmと500μmとの間としたことを特徴とするフィールドエミッションディスプレイ。
  18. 請求項17記載の発光素子において、
    前記スリットの幅を0.1μmと50μmとの間としたことを特徴とする発光素子。
  19. 請求項18記載の発光素子において、
    前記スリットの幅を0.1μmと10μmとの間としたことを特徴とする発光素子。
  20. 請求項19記載の発光素子において、
    前記スリットの幅を0.1μmと1μmとの間としたことを特徴とする発光素子。
  21. 請求項11から20のうちのいずれか1項に記載のフィールドエミッションディスプレイにおいて、
    前記2次元的に配列された複数の発光素子を一体に形成した基板を更に具えることを特徴とするフィールドエミッションディスプレイ。
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