JP2004124763A - 先行待機型立軸ポンプ - Google Patents
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Abstract
【課題】インペラ揚水水位以下のレベルにて揚水の停止、再開を自動的に切換える。
【解決手段】ポンプケーシング2のインペラ5よりも低位置に、下端が停止水位L3となるよう配した空気管16の上部を、導管15にて接続する。空気管16の上端に小孔20を備えた上部ストッパ部材19を取り付け、内側に浮動体17を収納する。浮動体17は、側壁上部と下部にそれぞれ開口部28と29を設け、上端にストッパ26を備えた円筒部材24の下側に、浮子25を取り付けて構成する。予めインペラ5を回転駆動し待機運転させ、ポンプ井8水位がインペラ揚水水位に達した時点で揚水を開始させる。ポンプ井8水位が停止水位L3に低下すると、下端開口部16aから空気管16、導管15を経てインペラ5下方に空気を導入させて揚水を停止させる。水位の再上昇時には、空気管16内にて浮動体17を浮上させてストッパ26により小孔20を塞ぎ、揚水を再開させる。
【選択図】 図1
【解決手段】ポンプケーシング2のインペラ5よりも低位置に、下端が停止水位L3となるよう配した空気管16の上部を、導管15にて接続する。空気管16の上端に小孔20を備えた上部ストッパ部材19を取り付け、内側に浮動体17を収納する。浮動体17は、側壁上部と下部にそれぞれ開口部28と29を設け、上端にストッパ26を備えた円筒部材24の下側に、浮子25を取り付けて構成する。予めインペラ5を回転駆動し待機運転させ、ポンプ井8水位がインペラ揚水水位に達した時点で揚水を開始させる。ポンプ井8水位が停止水位L3に低下すると、下端開口部16aから空気管16、導管15を経てインペラ5下方に空気を導入させて揚水を停止させる。水位の再上昇時には、空気管16内にて浮動体17を浮上させてストッパ26により小孔20を塞ぎ、揚水を再開させる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は大雨等によりポンプ井の水位が上昇したときに直ちに排水を開始できるよう予め駆動状態で待機させる先行待機型立軸ポンプに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
下水道設備として設けられる排水ポンプ機場は、地域住民を浸水等の被害から守るために、降雨時にはポンプ井に流入する雨水を速やかに排除できるようにすることが要求される。
【0003】
ところで、近年、都市部等では、宅地化や舗装化の進展に伴い、大半の雨水が地面に浸透せずに下水道へ集中するという状況にあり、更に、熱帯地域のスコールのような局所的集中豪雨が発生することがあることから、下水道への雨水流入量の増大と流達時間の短縮等により、排水ポンプ機場に急激に且つ大量の雨水が流入することがある。
【0004】
排水ポンプ機場では、停電等の異常時にもポンプの駆動が可能なようにポンプ用駆動装置としてはエンジンが一般的に用いられているが、ポンプ井の水位が上昇してからポンプ駆動用エンジンを始動させ、ポンプを起動させて排水を開始させる運転方式では、上記ポンプ駆動用エンジンの立上げに時間がかかるため、上記の都市部における局所的集中豪雨時のようにポンプ井へ大量の雨水が急激に流入する場合には、排水が間に合わなくなって水害の発生につながる虞がある。
【0005】
そのために、ポンプ井の水位に関係なく降雨状況によって予めポンプを始動させておくことで、ポンプ井の水位上昇に伴って直ちに排水を開始できて、駆動装置の発動・停止頻度を少なくできるようにした先行待機型立軸ポンプが開発されてきている。
【0006】
この種の先行待機型立軸ポンプとして従来提案されているものの一つとしては、図11にその一例の概略を示す如きものがある(たとえば、特許文献1参照)。これは、垂直方向に延び且つ上端部を横向きに屈曲させたポンプケーシング2の垂直部3の軸心位置に、下端部にインペラ5を一体に取り付けたポンプ軸4を配置し、上記ポンプケーシング2の垂直部3の軸心部に配置すると共に放射方向の支持部材7を介してポンプケーシング2の内壁に取り付けてある軸受6に、上記ポンプ軸4のインペラ5取付部分の直上位置を回転自在に支持させ、更に、上記ポンプ軸4の上部を、上記ポンプケーシング2の屈曲部における上側壁を貫通して上方へ突出させると共に、該ポンプ軸4の上端側に、図示しないポンプ駆動用エンジンを接続して立軸ポンプ本体1を形成し、且つ上記立軸ポンプ本体1を排水ポンプ機場におけるポンプ井8に設置するときに下端がポンプ井8の下部に達する長さとしてあるベルマウス9を、上記ポンプケーシング1の吸入側となる下端に取り付け、更に、上記インペラ5の下端レベルよりも所要寸法低い位置となるベルマウス9の所要個所に、逆U字形状としてある吸気管10の一端部を連通接続すると共に、該吸気管10の他端を開口端(自由端)10aとしてインペラ5よりも所要寸法高い位置にてポンプ井8内に開口させた構成としてある。これにより集中豪雨等のポンプ井8内への雨水の急な流入が予想されるときに、降雨情報に基いて予めポンプ駆動用エンジンを始動させ、該エンジンの回転駆動力によりポンプ軸4と一体にインペラ5を回転駆動させて気中にて待機運転させておくことにより、雨水の流入によりポンプ井8内の水位が上昇して図11に一点鎖線で示す如くインペラ揚水水位L1に達したときに、予め回転駆動状態とされている上記インペラ4によりポンプ井8内より揚水を直ちに開始させて、ポンプケーシング2の上端部に図示しない排水ダクトを介して接続した吐水槽へ排水させることができるようにしてある。このため上記揚水開始時には、吸気管10の開口端10aが空気中にあることから該吸気管10を通して空気を吸入させることにより揚水を気水混合状態で行わせ、その後、水位が更に上昇して図11に二点鎖線で示す如く吸気管10の開口端10aのレベルL2を越えると、該吸気管9を介した空気の吸い込みが阻止されることによりポンプ井8内の水を通常運転状態で揚水して吐水槽へ排出させることができるようにしてある。
【0007】
その後、ポンプ運転による揚水、排水処理に伴ってポンプ井8の水位が低下する場合は、図11に二点鎖線で示した如く吸気管10の開口端10aのレベルL2まで水面が低下すると、吸気管10から空気を吸入させて気水混合運転による揚水を行わせる。更に、水面が、図11に一点鎖線で示すインペラ揚水水位L1よりも低下した場合には、インペラ5の下方に吸気管10から吸入される空気を導入させてエアロックを生じさせることにより、回転駆動が継続されるインペラ4の上側には水を保持させた状態のまま揚水を停止させるようにしてある。再び水位が図11に一点鎖線で示す如きインペラ揚水水位L1まで上昇した場合には、直ちに揚水を再開できるようにしてある。
【0008】
又、先行待機型立軸ポンプの他の形式のものとしては、図12に示す如きものも提案されている(たとえば、特許文献2、特許文献3参照。)。これは、上記と同様に、立軸ポンプ本体1を形成すると共に、ポンプケーシング2の下端にベルマウス9を取り付けてなる構成において、上記ベルマウス9におけるインペラ5の下端よりも所要寸法下方位置に、途中に空気流通量を制御するための空気弁(流量制御弁)12を備えた吸気管11の下端側となる一端部を連通接続すると共に、該吸気管11の上端側となる他端部を開口端11aとして常時空気中に開放されるようにポンプ井8内の高所位置に配置する。更に、ポンプ井8内に該ポンプ井8水位を検出するための水位検出手段13を設けた構成として、図示しないポンプ駆動用エンジンの回転駆動力によりインペラ5を予め回転駆動させた状態にて、ポンプ井8水位の変動を上記水位検出手段13にて検出し、検出された水位に応じて上記空気弁12の開度を制御する。これにより上記吸気管11を通してポンプケーシング2内に吸入される空気の量を制御して、立軸ポンプ本体1の運転状態を、気中運転状態と、気水混合運転状態と、通常運転状態と、回転駆動中のインペラ5の上側に水を保持させたまま揚水を停止させるエアロック状態とを切替えることができるようにしてある。
【0009】
【特許文献1】特開平10−77984号公報
【特許文献2】特開平9−242683号公報
【特許文献3】特開2000−27786号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、図11に示した形式の先行待機型立軸ポンプでは、ポンプ井8水位の変動に対応した揚水開始と、エアロックにより揚水を停止させた待機運転状態と、該待機運転状態からの揚水再開という運転状態の切り替えを、いずれもポンプ井8水位がインペラ5の下端レベル、すなわち、インペラ揚水水位L1に達するか否かに依存して行うようにしてあるため、インペラ揚水水位L1よりも低い水位に対しては、揚水停止と揚水再開を切り替えるための水位を設定できないというのが実状である。
【0011】
一方、図12に示した形式の先行待機型立軸ポンプでは、吸気管11に設けてある空気弁12の開閉を切替えることにより、インペラ揚水水位よりも低いポンプ井8水位において揚水停止や揚水再開の運転状態を切り替えることは可能であるが、空気弁12の切替作動用の動力源、ポンプ井8水位の検出、空気弁12駆動のための信号発信等、動力及び付帯計装設備が必要になるという問題がある。又、かかる方式の場合には、これらの動力や付帯計装設備に不具合が生じると、作動不能になる虞が生じるという問題もある。
【0012】
そこで、本発明は、揚水停止水位及び揚水再開水位をインペラ揚水水位よりも低い水位に設定でき且つポンプ井水位の変動に応じて揚水開始、揚水停止、揚水再開を自動的に切換えて実施させることができる先行待機型立軸ポンプを提供しようとするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために、立軸ポンプの吸入部におけるインペラ下端部よりも所要寸法低い位置に、下端部が所望する停止水位レベルとなるように上下方向に配置してある空気管の上端部を導管を介して連通接続し、且つ上記空気管内に、ポンプ井の水位に追随して空気管内を昇降移動することにより該空気管を通して立軸ポンプのインペラ下方へ導入される空気量を調節することができるように浮動体を収納してなる構成とする。
【0014】
立軸ポンプのインペラを予め回転駆動した状態にて、雨水の流入によりポンプ井水位が上昇してインペラ揚水水位に達すると、立軸ポンプによる揚水が開始される。その後、ポンプ井水位が低下すると、該ポンプ井水位の変動に追随して空気管内にて浮動体が昇降移動させられ、これにより、該空気管を通して立軸ポンプのインペラの下方へ導入される空気量が調節される。この際、たとえば、空気管を通してインペラの下方へ多量の空気を導入させると、エアロックが生じるため、回転駆動されるインペラの上側には水が保持されたまま揚水が停止される。その後、ポンプ井の水位が再び上昇し、これに追随して空気管内にて浮動体が変位することにより空気管を通して立軸ポンプのインペラ下方への空気の供給が遮断されると、インペラの吸引力によりポンプ井の水が立軸ポンプに吸引され、これにより、揚水が再開されるようになる。
【0015】
又、空気管を、上端部に小孔を有し且つ下端に大きな下端開口部を有する構成とし、又、浮動体を、所要の高さ寸法として上端部にストッパを設け且つ下部側壁に開口部を設けた円筒部材と、該円筒部材の下側に、上記開口部が水位上面となるように浮力を付与するための浮子を取り付けてなる構成とし、該浮動体が上記空気管内にて上限まで上昇することにより、上記ストッパにて上記空気管上端部の小孔を閉塞できるようにした構成とする。これにより、空気管内にて水位が上昇するときに、該水位の上昇に伴って浮動体を上昇させることにより該空気管への空気の流入経路を閉塞できると共に、空気管内の水位が下端開口部位置となるときに、該空気管の下端開口部に浮動体の開口部を露出させることができることから、該開口部を通してて空気管内へ多量の空気を導入させることができる。
【0016】
更に、空気管の上端部の小孔を、上部ストッパ部材に設けて、該上部ストッパ部材を上記空気管の上端部に着脱自在に取り付けてなる構成とし、上部ストッパ部材を取り外すことにより上記空気管の上端部より、該空気管内の浮動体を取り出せるようにした構成とすることにより、空気管内に収納する浮動体を容易に取り替えることが可能になることから、浮動体を、円筒部材の高さ寸法が異なる浮動体に取り替えることにより、空気管内にて浮動体が上昇するときにおける空気管上端部に設けてある小孔を閉塞させるタイミングを変化させることができ、したがって、エアロックによる揚水停止状態から揚水を再開させるための水位を容易に変更することが可能になる。
【0017】
更に又、空気管の下部側壁に側壁開口部を設けて、円筒部材の下部側壁における上記空気管の側壁開口部と反対側となる位置に開口部を備えた浮動体と、円筒部材の下部側壁における上記空気管の側壁開口部側となる位置に開口部を備えた浮動体とを用意して、該各浮動体のいずれか一方を空気管に収納させるようにした構成とする。これにより、空気管に収納して使用する浮動体を交換すれば、ポンプ井水位が高い状態から徐々に低下するときに、空気管内に多量の空気を取り込ませるタイミングを変更できるため、ポンプによる揚水運転状態からエアロックを生じさせて揚水を停止させるための揚水停止水位を容易に切替えることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0019】
図1(イ)(ロ)乃至図6は本発明の先行待機型立軸ポンプの実施の一形態を示すもので、図1(イ)(ロ)に要部の詳細を、又、図2に全体構造をそれぞれ示す如く、図11に示したものと同様の立軸ポンプ本体1を形成すると共に、ポンプケーシング2の下端にベルマウス9を取り付けてなる構成において、上記ポンプケーシング2におけるインペラ5の下端よりも所要寸法低い位置の周壁部の所要個所に、内外方向に貫通する開口部14を設けて、外方へ所要寸法突出するよう導管15を連通接続すると共に、該導管15の突出端部に、上下方向に延びる円筒形状とし且つ下端が所望する揚水停止水位L3と同レベルになるよう配置してある空気管16の側壁上端部を連通接続する。更に、該空気管16内に、ポンプ井8の水位の変化に追随して昇降移動する浮動体17を収納して、該空気管16内における浮動体17の昇降移動により、該空気管16より導管15を通してポンプケーシング2内へ流入する空気の量を制御し、これにより揚水停止及び揚水再開のポンプ運転状態を切り替えることができるようにする。
【0020】
詳述すると、上記空気管16は、上端にフランジ18を形成して、該フランジ18上に、空気管16の軸心部と対応する中心部に小孔20を備えた円盤状の上部ストッパ部材19を載置して、該ストッパ部材19の外周縁部を取付ボルト21にて着脱自在に取り付ける。又、空気管16の下端には、軸心方向に対して斜めに切断した形状として下端開口部16aを形成して、ポンプ井8水位が上方から徐々に低下するときに、上記下端開口部16aの面積をポンプ井8水位の低下に伴って漸次増加させることができるようにする。更に、上記下端開口部16aの最下端部と対応する空気管16内周面に、内向きに所要寸法突出して後述する浮動体17の段差部23を係止させるための下部ストッパ部材22を設けて、上下の各ストッパ部材19と22により空気管16内に収納した浮動体17の昇降移動範囲を定めることができるようにする。
【0021】
上記浮動体17は、上記空気管16の内径よりもやや小さい外径とし且つ上下方向に所要の高さ寸法を備えて下端に底板24aを備えてなる円筒部材24の下側に、該円筒部材24よりも所要寸法細い径の浮子25を同軸心配置すると共に、該浮子25の上端を上記円筒部材24の下面に一体に取り付けて、上記円筒部材24の下端外周縁部に、上記空気管16の下端に設けた下部ストッパ部材22に係合させるための段差部23を形成する。
【0022】
又、上記円筒部材24の上端部軸心位置に、小径の円板状のストッパ26を、該ストッパ26の上面が円筒部材24の上端よりもやや上方へ突出するよう配置すると共に、支持部材27を介し円筒部材24の上端部に取り付けた構成として、浮動体17が空気管16内にて上限まで上昇するときに、上記ストッパ26が空気管16の上端に取り付けてある上部ストッパ部材19に衝合するようにすると同時に、上記ストッパ26によりストッパ部材19の小孔20を閉塞できるようにする。
【0023】
更に、上記円筒部材24の上端部壁面には、浮動体17が空気管16内にて上限まで上昇移動してストッパ26が上部ストッパ部材19に衝合する配置となるときに、導管15に臨むよう開口部28を設け、且つ円筒部材24の下端部壁面には、浮動体17が空気管16内にて下限まで下降移動して段差部23が下部ストッパ部材22に係止される配置となるときに、空気管16の下端開口部16aの最上端部側に露出するよう開口部29を設け、更に又、円筒部材24の底板24aの外周部には、所要寸法の小孔30を設けて、ポンプ井8水位が空気管16の下端よりも高く且つ立軸ポンプ本体1が通常運転による揚水状態にあるときには、空気管16の下端開口部16aから吸入した水を、空気管16より上記小孔30を通して浮動体17の円筒部材24内に導入した後、該円筒部材24内を上方へ流通する水を、開口部28、導管15を通してポンプケーシング2内へ導くことができるようにし、且つポンプ井8水位が空気管16の下端開口部16aのレベルに設定される停止水位L3まで低下する場合には、該下端開口部16aから空気管16内へ空気を導入できるようにし、該導入される空気を上記小孔30を通して浮動体17の円筒部材24内へ導くことにより、空気管16内の水位を徐々にポンプ井8水位と同レベルまで低下させることができるようにする。
【0024】
なお、上記において、空気管16内における水位が徐々に低下している間は、立軸ポンプ本体1による揚水は、気水混合状態で継続できるように上記小孔30の寸法は調整してある。又、浮動体17は、浮子25の浮力により開口部29が水位上面になるように調整してある。更に、上記浮動体17における円筒部材24の上下寸法は、ポンプ井8水位が低水位の状態から揚水再開を望む水位L4まで増加し、該ポンプ井8水位と同様に空気管16内の水位が揚水再開水位L4まで上昇するときに、空気管16内にて浮上する浮動体17のストッパ26が、空気管17上端部に取り付けてあるストッパ部材19に衝合するよう設定、すなわち、図1(イ)に矢印hで示す高さ寸法が共に等しくなるよう設定してある。
【0025】
更に又、上記浮動体17が空気管16内にて周方向に回転しないようにするために、空気管16の内壁面における周方向所要位置に、軸心方向に延びるガイドレール31を設けると共に、円筒部材24の外周面に、該円筒部材24と空気管16との隙間にて周方向に延び且つ上記ガイドレール31に対応する個所を切欠いた、リング状のガイド部材32を取り付けて、該ガイド部材32の切欠き部を上記ガイドレール31に沿わせながら浮動体17が空気管16内にて上下方向に滑らかに摺動できるようにしてある。
【0026】
図2における33はポンプ軸4の上端部に変速機34を介在させて接続したポンプ駆動用エンジン、35は吐出側となるポンプケーシング2の上端部に吐出管36を介して接続した吐水槽、37は該吐水槽35からの逆流を防ぐために吐出管36の出口側端部に設けたフラップ弁をそれぞれ示す。その他、図11に示したものと同一のものには同一符号が付してある。
【0027】
上記構成としてある先行待機型立軸ポンプを使用する場合は、先ず、図1(イ)(ロ)及び図2に示す如き初期状態にて、従来の先行待機型立軸ポンプの運用方法と同様に、雨水の流入が予想される場合には、ポンプ井8水位が低い状態のうちに降雨情報に基いてポンプ駆動用エンジン33を起動させ、該エンジン33の回転駆動力によりインペラ5をポンプ井8水位がインペラ揚水水位L1に近づく時点にて回転駆動させて、先行待機状態としておく。
【0028】
この状態において、雨水の流入に伴ってポンプ井8水位が上昇し、図3に示す如く、インペラ5の下端レベルであるインペラ揚水水位L1に達すると、回転駆動されるインペラ5により揚水が開始され、これによりポンプ井8内の水は、ポンプケーシング2より吐出管36を通して吐水槽35へ排出される。この際、空気管16内の水位もポンプ井8水位に対応して上昇するため、空気管16内は満水状態とされ、該空気管16内にて浮動体17はストッパ26が上部ストッパ部材19に衝合するまで浮上させられ、これにより、該上部ストッパ部材19の小孔20は閉塞され、この状態にて、回転駆動されるインペラ5による吸引力が作用するため、空気管16の下端開口部16aから水が吸入され、該吸入された水は浮動体17の小孔30、円筒部材24内、開口部28を通過した後、導管15を通してポンプケーシング2内へ吸入されて、ベルマウス9側より吸入される水と同様に揚水され、空気管16に負圧が発生するのを防ぐ。
【0029】
その後、上記先行待機型立軸ポンプによる揚水運転が継続され、ポンプ井8内の水が吐水槽35へ順次排水されることによりポンプ井8水位が徐々に低下する際、図3に二点鎖線で示す如く、ポンプ井8水位がインペラ揚水水位と空気管16の下端開口部16aとの中間にある間は、回転駆動されるインペラ5の吸引力によりベルマウス9の下端より水が吸入される。同時に、空気管16の下端開口部16aは水中に没していることから、該空気管16の下端開口部16aからも水が継続して吸入され、したがって、空気管16内に空気が供給されることはなくて、該空気管16内は引き続き満水状態となるため、空気管16内にて浮動体17は上限まで浮上されたままとなる。このため、上部ストッパ部材19の小孔20はストッパ26にて閉塞されたままとなり、このことからも、空気管16内へ空気が吸入されることはないため、立軸ポンプ本体1は、通常運転による揚水状態が継続される。
【0030】
更にポンプ井8からの排水が行われて、図4に示す如く、ポンプ井8水位が予め設定してある停止水位L3付近となる、空気管16の下端開口部16aの上端側レベルまで低下すると、インペラ5の吸引力により該空気管16の下端開口部16aより徐々に空気が吸入されるようになり、該空気管16内に吸入された空気は、浮動体17の小孔30を通して円筒部材16内へ導かれる。すなわち、空気管16の上部へ導かれることにより該空気管16内における水位は徐々に低下させられ、該空気管16内における水位の低下に伴って、空気管16内にて浮動体17が徐々に下降させられる。この際、浮動体17の位置が下がると、ストッパ26が上部ストッパ部材19から離され、これにより該上部ストッパ部材19の小孔20が開放されるため、該小孔20からも空気管16内に空気が流入させられるようになることから、該空気管16内における水位はポンプ井8水位と対応する空気管16の下端開口部16aのレベルまで更に低下させられるようになる。なお、この間、空気管16の下端開口部16aの開口量は少なく、又、上部ストッパ部材19の小孔20を通して空気管16内へ流入する空気量も多くはないため、空気管16内の空気が導管15を通してポンプケーシング2側へ導かれたとしても、該ポンプケーシング2内にてインペラ5によって揚水される水に対してバブル状になって混入され、このため立軸ポンプ本体1による揚水は気水混合運転状態で継続される。
【0031】
次いで、図5に示す如く、ポンプ井8水位が予め設定してある停止水位L3まで低下し、且つ、空気管16内の水位も、ポンプ井8水位に一致するように停止水位L3まで低下すると、空気管16内にて浮動体17が下限位置まで下降する。これにより該浮動体17下端部の開口部29が空気管16の下端開口部16aへ露出させられる。これにより上記開口部29を通して大量の空気が浮動体17の円筒部材24内へ導入され、該導入された空気は空気管16、導管15を通してポンプケーシング2内へ導かれる。これにより、ポンプケーシング2内では、インペラ5の下側に多量の空気が導入されるようになることから、エアロックが形成され、回転駆動状態が継続されるインペラ5の上方には水38が保持された状態にて揚水が停止させられるようになる。したがって、ベルマウス9内の水位はポンプ井8水位に一致させられる。その後、ポンプ井8水位が空気管16の下端レベルより更に低下しても、回転駆動状態のインペラ5の吸引力は、空気管16、導管15を通してポンプケーシング2内におけるインペラ5の下方へ空気を吸入することに消費されるため、ベルマウス9内の水位はポンプ井8水位に一致して、エアロック状態のまま待機運転状態が行われる。
【0032】
この待機運転状態において、ポンプ井8水位が再び上昇する場合、先ず、ポンプ井8水位が、空気管16の下端開口部16aのレベルを多少上回ったとしても、揚水再開水位L4に達するまでの間は、ポンプ井水位8と同期して空気管16内の水位が上昇しても、浮動体17の上方への移動量は上限に達しない。このため浮動体17のストッパ26が上部ストッパ部材19に衝合することはなくて、該上部ストッパ部材19の小孔20は閉塞されないため、該小孔20を通して空気管16内に流入する空気が、導管15を通してポンプケーシング2内におけるインペラ5の下方へ供給されるため、立軸ポンプ本体1はエアロック状態のまま揚水停止状態が継続される。
【0033】
その後、図6に示す如く、ポンプ井8水位が更に上昇して、浮動体17の筒状部材24の高さ寸法と対応させて予め設定してある揚水再開水位L4に達すると、空気管16内の水位も上記揚水再開水位L4と同レベルまで上昇させられる。これにより、空気管16内の水位の上昇に伴って上方移動する浮動体17のストッパ26が、上部ストッパ部材19に衝合させられて該ストッパ部材19の小孔20が塞がれる。このため空気管16内への空気の流入が遮断される。したがって、ポンプケーシング2内におけるインペラ5の下方への新たな空気の供給が遮断されるため、回転駆動されるインペラ5の吸引力によりポンプケーシング2内の空気が排除されるにしたがって、ベルマウス9及びインペラ5下方のポンプケーシング2内が満水とされ、これにより、回転駆動されるインペラ5による揚水が再開されるようになる。この際、空気管16内の空気もインペラ5の吸引力により吸引されて空気管16内も再び満水とされる。
【0034】
しかる後、揚水が継続されてポンプ井8の水位が再び低下する時は、図4及び図5で示した作動状態と同様に、ポンプ井8水位が空気管16の下端開口部16aのレベルに設定してある揚水停止水位L3よりも高いレベルにある間は、揚水が継続して行われ、ポンプ井8水位が揚水停止水位L3まで低下すると、気水混合運転による揚水状態を経て、揚水の停止した待機運転状態へと自動的に切換えられるようになる。
【0035】
このように、上記本発明の先行待機型立軸ポンプによれば、ポンプ井8水位の変動に応じて該ポンプ井8から吐水槽35への揚水運転状態と、揚水を停止した待機運転状態とを自動的に切替えることができる。この際、揚水停止への切り替えを行う水位を、空気管16の下端開口部16aのレベルとして、インペラ揚水水位よりも低い水位に設定できる。又、この際、揚水運転状態と揚水停止による待機運転状態との切換えのために、空気弁の切替作動用の動力源や、ポンプ井8水位の検出、空気弁駆動のための信号発信等、動力及び付帯計装設備を必要とすることはない。
【0036】
更に、揚水再開水位は、浮動体17の円筒部材24の高さ寸法に依存することから、該円筒部材24の高さ寸法を変更することにより、すなわち、たとえば、円筒部材24の高さ寸法の異なる複数の浮動体17を予め用意しておき、取付ボルト21を緩めて空気管16の上端部から上部ストッパ部材19を取り外して、空気管16内に収納する浮動体17を、円筒部材24の高さ寸法の異なる浮動体17に入れ替えることにより、揚水を再開させるべき揚水再開水位L4を自在に変更することも可能になる。
【0037】
次に、図7乃至図9は本発明の実施の他の形態として、待機運転へ移行させるための揚水停止水位を容易に切替えることができるようにしたものを示すもので、図1乃至図6に示した構成において、空気管16の下端開口部16aと対応したレベルに設定する第1の停止水位L3との切り替えを望む第2の停止水位L5と対応する空気管16の下部で且つ上記下端開口部16aの上端側と180度対向する側の壁面に、内外方向に貫通する所要口径の側壁開口部39を設ける。更に、浮動体を、図1乃至図6に示した浮動体17と同様の第1の浮動体17に加えて、該浮動体17と同様の構成にて、円筒部材24の側壁下端部に設ける開口部29の位置を、上部側壁に設けてある開口部28と同じ側に設けることに代えて、上記開口部28と180度対向する側の側壁下端部に開口部29を設けてなる第2の浮動体17aを用意して、空気管16上端部の上部ストッパ部材19を取付ボルト21を緩めることにより取り外して、上記各浮動体17と17aとを交換自在に空気管16内に収納させて使用できるようにしたものである。
【0038】
その他の構成は図1乃至図6に示したものと同様であり、同一のものには同一符号が付してある。
【0039】
本実施の形態によれば、先ず、第1の浮動体17を空気管16内に収納させて用いる場合には、図1乃至図6に示した実施の形態と同様に、ポンプ井8水位が上昇する以前にポンプ駆動用エンジン33を始動しておく待機運転状態から、インペラ揚水水位L1までポンプ井8水位が上昇して揚水が開始された後、ポンプ井8水位が徐々に低下するときに、図8に二点鎖線で示す如く、ポンプ井8水位が側壁開口部39の位置まで下がると、該側壁開口部39から空気が吸入される。これにより、上記実施の形態における図4に示した場合と同様に、上記側壁開口部39から空気管16内に吸入された空気が浮動体17の小孔30を通して円筒部材24内へ流入し、このため空気管16内における水位が低下させられて、上記第1の浮動体17の位置が下降するようになる。この際、上記浮動体17の円筒部材24の開口部29は、上記空気管16の側壁開口部39とは反対側にあるため、側壁開口部39から空気管16内に吸入される空気量は制限され、したがって、上記側壁開口部39より小孔30、円筒部材24内、空気管16、導管15を通して空気がポンプケーシング2内へ導かれるようになるが、立軸ポンプ本体1の運転は、気水混合運転状態とされて揚水が継続的に行われる。
【0040】
その後、ポンプ井8からの揚水、排水に伴って図8に実線で示す如く、ポンプ井8水位が空気管16の下端開口部16aのレベルである停止水位L3のレベルまで低下すると、上記実施の形態において図5に示した場合と同様に、空気管16の下端開口部16aから吸入される空気により空気管16内の水位が低下させられる。これにより空気管16の下端開口部16aに浮動体17の開口部29が露出させられ、該開口部29を通して多量の空気が空気管16内へ吸入されて、該吸入された多量の空気がポンプケーシング2内におけるインペラ5の下方へ導入されることにより、立軸ポンプ本体1に対してエアロックが形成されて揚水が停止されるようになる。
【0041】
一方、空気管16内に第2の浮動体17aを収納した場合には、上記と同様に、ポンプ井8水位がインペラ揚水水位に達して揚水運転が開始された後、ポンプ井8水位が徐々に低下して、側壁開口部39の位置として設定してある第2の停止水位L5まで低下すると、該側壁開口部39から流入する空気により空気管16内の水位が下がる。これにより該空気管16内にて浮動体17aが下降するようになるが、上記浮動体17aには、空気管16の側壁開口部39側の位置に開口部29が設けてあることから、図9に示す如く、該開口部29が、上記空気管16の側壁開口部39に露出した時点で、該側壁開口部39より開口部29を通して浮動体17の円筒部材24内へ多量の空気が流入するようになる。したがって、この時点でポンプケーシング2内におけるインペラ5の下方に多量の空気が導入されることから、エアロックが形成されて、揚水が停止させられる。
【0042】
このように、本実施の形態によれば、2つの浮動体17と17aを用意しておき、該各浮動体17と17aを適宜選択して空気管16に収納して使用することにより、揚水停止水位L3とL5を容易に切替えることができる。なお、上記各浮動体17と17aは、構成部材である円筒部材24の高さ寸法は等しくしてあるため、揚水再開水位は変化しない。
【0043】
次いで、図10(イ)(ロ)は図7乃至図9に示した実施の形態の応用例を示すもので、図7乃至図9に示した実施の形態において、円筒部材24の上部側壁に設けた開口部28と同じ側の下部側壁に開口部29を備えた第1の浮動体17と、上部側壁の開口部28と180度対抗する側の下部側壁に開口部29を備えた第2の浮動体17aとを用意して、空気管16に収納する浮動体17,17aを適宜取り替えることにより停止水位L3とL5の切り替えを行えるようにした構成に代えて、円筒部材24の上部における180度対向する個所の側壁に、空気管16内にて上限まで浮上したときに導管15に臨ませるための開口部28aと28bをそれぞれ設け、且つ該各開口部28aと28bのうちいずれか一方(図では28a)と同じ側の下部側壁に開口部29を設けてなる1つの浮動体17bを用意して、該浮動体17bを側壁開口部39を備えた空気管16へ収納するときに、図10(イ)に示す如く上記開口部29の方向を側壁開口部39と離隔する方向とするか、もしくは、図10(ロ)に示す如く、開口部29の方向を180度反転させて側壁開口部39に臨む方向として空気管16内に収納させることにより、停止水位L3とL5の切り替えを行えるようにしたものである。
【0044】
なお、浮動体17bを180度反転させても空気管16に収納できるようにするために、浮動体17bの円筒部材24の外周面に設けてあるガイド部材32には、周方向の180度位置に、空気管16内壁面のガイドレール31を係合させるための切欠きをそれぞれ設けるようにしてある。その他の構成は図7乃至図9に示したものと同様であり、同一のものには同一符号が付してある。
【0045】
本実施の形態によれば、空気管16に収納する浮動体17bの方向を適宜反転させることのみにより、図7乃至図9に示した実施の形態と同様の効果を得ることができ、しかも、浮動体17bは1つでよいため、製造コストを削減することができると共に、浮動体17と17aとを取替えて使用する場合、使用しない方の浮動体17,17aの保管のためのスペースやコストを不要とすることができる。
【0046】
なお、本発明は上記実施の形態のみに限定されるものではなく、立軸ポンプ本体1のインペラ5としては、通常の立軸ポンプに設けられている形式であれば、軸流、斜流、遠心斜流等、任意の形式のものを使用できること、上記各実施の形態では、空気管16内における浮動体17,17a,17bの自由な回転を防ぐために、ガイドレール31とガイド部材32を備えてなる形式のものを示したが、空気管16の断面形状を非円形、たとえば、楕円形や矩形とし、それに対応させて浮動体17,17a,17bの断面形状も非円径として、該浮動体17,17a,17bの回転を防止するようにしてもよいこと、浮動体17,17a,17bの円筒部材24の上端部における空気や水の流通を妨げないようにすれば、ストッパ26は円筒部材24の上端部における軸心位置を外れた位置に取り付けてもよく、この場合、上記ストッパ26の配置に応じてストッパ部材19の小孔20も偏心した位置に設ければよいこと、空気管16の下端は、軸心方向に対して斜めに傾斜させた形状として下端開口部16aを形成してあるが、浮動体17,17a,17bの段差部23が下部ストッパ部材22に衝合するときに、円筒部材24の下部側壁に設けた開口部29が、空気管16の下端開口部16aに露出できるようにすれば、空気管16の下端を軸心方向に直角な形状とすると共に、該空気管16の下端部の一側部を切り欠いて下端開口部16aを形成するようにしてもよいこと、空気管16の長さ寸法や下端の位置は、インペラ5回転駆動時の立軸ポンプ本体1の揚水能力や、揚水停止と揚水再開を切替えるべきポンプ井8内の水位に応じて自在に設定できること、図7乃至図9の実施の形態及び図10の実施の形態における空気管16の下部に設ける側壁開口部39の位置は、切換えを望む第2の停止水位L5のレベルに応じて自在に設定してよいこと、その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0047】
【発明の効果】
以上述べた如く、本発明によれば、以下の如き優れた効果を発揮する。
(1) 立軸ポンプの吸入部におけるインペラ下端部よりも所要寸法低い位置に、下端部が所望する停止水位レベルとなるように上下方向に配置してある空気管の上端部を導管を介して連通接続し、且つ上記空気管内に、ポンプ井の水位に追随して空気管内を昇降移動することにより該空気管を通して立軸ポンプのインペラ下方へ導入される空気量を調節することができるように浮動体を収納してなる構成としてあるので、ポンプ井内の水位が一旦インペラ揚水水位に達して揚水運転を開始させた後は、ポンプ井水位の変動に応じて揚水を停止した待機運転状態と、揚水再開を自動的に切替えることができ、この際、揚水停止への切り替えを行う水位としては、空気管の下端開口部のレベルとして、インペラ揚水水位よりも低い水位に設定でき、しかも、この際、揚水停止による待機運転状態と揚水再開の切換えのために、空気弁の切替作動用の動力源や、ポンプ井水位の検出、空気弁駆動のための信号発信等、動力及び付帯計装設備を必要としない。
(2) 空気管を、上端部に小孔を有し且つ下端に大きな下端開口部を有する構成とし、又、浮動体を、所要の高さ寸法として上端部にストッパを設け且つ下部側壁に開口部を設けた円筒部材と、該円筒部材の下側に、上記開口部が水位上面となるように浮力を付与するための浮子を取り付けてなる構成とし、該浮動体が上記空気管内にて上限まで上昇することにより、上記ストッパにて上記空気管上端部の小孔を閉塞できるようにした構成とすることにより、空気管内にて水位が上昇するときに、該水位の上昇に伴って浮動体を上昇させることにより該空気管への空気の流入経路を閉塞できると共に、空気管内の水位が下端開口部位置となるときに、該空気管の下端開口部に浮動体の開口部を露出させることができることから、該開口部を通してて空気管内へ多量の空気を導入させることができる。
(3) 空気管の上端部の小孔を、上部ストッパ部材に設けて、該上部ストッパ部材を上記空気管の上端部に着脱自在に取り付けてなる構成とし、上部ストッパ部材を取り外すことにより上記空気管の上端部より、該空気管内の浮動体を取り出せるようにした構成とすることにより、空気管内に収納する浮動体を容易に取り替えることが可能になることから、浮動体を、円筒部材の高さ寸法が異なる浮動体に取り替えることにより、空気管内にて浮動体が上昇するときにおける空気管上端部に設けてある小孔を閉塞させるタイミングを変化させることができ、したがって、エアロックによる揚水停止状態から揚水を再開させるための水位を容易に変更することが可能になる。
(4) 空気管の下部側壁に側壁開口部を設けて、円筒部材の下部側壁における上記空気管の側壁開口部と反対側となる位置に開口部を備えた浮動体と、円筒部材の下部側壁における上記空気管の側壁開口部側となる位置に開口部を備えた浮動体とを用意して、該各浮動体のいずれか一方を空気管に収納させるようにした構成とすることにより、空気管に収納して使用する浮動体を交換すれば、ポンプ井水位が高い状態から徐々に低下するときに、空気管内に多量の空気を取り込ませるタイミングを変更できるため、ポンプによる揚水運転状態からエアロックを生じさせて揚水を停止させるための揚水停止水位を容易に切替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の先行待機型立軸ポンプの実施の一形態を示すもので、(イ)は要部を示す切断側面図、(ロ)は(イ)のA−A方向矢視図である。
【図2】図1の先行待機型立軸ポンプの全体像を示す概略切断側面図である。
【図3】図1の先行待機型立軸ポンプの作動状態を示すもので、ポンプ井水位がインペラ揚水水位に達した状態を示す図1(イ)に相当する図である。
【図4】図1の先行待機型立軸ポンプの作動状態を示すもので、ポンプ井水位が停止水位付近まで低下した状態を示す図1(イ)に相当する図である。
【図5】図1の先行待機型立軸ポンプの作動状態を示すもので、ポンプ井水位が停止水位まで低下した状態を示す図1(イ)に相当する図である。
【図6】図1の先行待機型立軸ポンプの作動状態を示すもので、ポンプ井水位が再び上昇して揚水再開水位に達した状態を示す図1(イ)に相当する図である。
【図7】本発明の実施の他の形態における要部を示す切断側面図である。
【図8】図7の先行待機型立軸ポンプの作動状態を示すもので、空気管に一方の浮動体を収納した状態にてポンプ井水位が第1の停止水位まで低下した状態を示す図7に相当する図である。
【図9】図7の先行待機型立軸ポンプの作動状態を示すもので、空気管に他方の浮動体を収納した状態にてポンプ井水位が第2の停止水位まで低下した状態を示す図7に相当する図である。
【図10】本発明の実施の更に他の形態を示すもので、(イ)は浮動体の円筒部材の下部開口部を空気管下部の開口部と離隔配置した状態を、(ロ)は浮動体の円筒部材の下部開口部を空気管下部の開口部に臨むよう配置した状態を示す要部の切断側面図である。
【図11】従来の先行待機型立軸ポンプの一例を示す概略切断側面図である。
【図12】従来の先行待機型立軸ポンプの他の例を示す概略切断側面図である。
【符号の説明】
L3,L5 停止水位
1 立軸ポンプ本体(立軸ポンプ)
5 インペラ
8 ポンプ井
15 導管
16 空気管
16a 下端開口部
17,17a,17b 浮動体
19 上部ストッパ部材
20 小孔
24 円筒部材
25 浮子
26 ストッパ
29 開口部
39 側壁開口部
【発明の属する技術分野】
本発明は大雨等によりポンプ井の水位が上昇したときに直ちに排水を開始できるよう予め駆動状態で待機させる先行待機型立軸ポンプに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
下水道設備として設けられる排水ポンプ機場は、地域住民を浸水等の被害から守るために、降雨時にはポンプ井に流入する雨水を速やかに排除できるようにすることが要求される。
【0003】
ところで、近年、都市部等では、宅地化や舗装化の進展に伴い、大半の雨水が地面に浸透せずに下水道へ集中するという状況にあり、更に、熱帯地域のスコールのような局所的集中豪雨が発生することがあることから、下水道への雨水流入量の増大と流達時間の短縮等により、排水ポンプ機場に急激に且つ大量の雨水が流入することがある。
【0004】
排水ポンプ機場では、停電等の異常時にもポンプの駆動が可能なようにポンプ用駆動装置としてはエンジンが一般的に用いられているが、ポンプ井の水位が上昇してからポンプ駆動用エンジンを始動させ、ポンプを起動させて排水を開始させる運転方式では、上記ポンプ駆動用エンジンの立上げに時間がかかるため、上記の都市部における局所的集中豪雨時のようにポンプ井へ大量の雨水が急激に流入する場合には、排水が間に合わなくなって水害の発生につながる虞がある。
【0005】
そのために、ポンプ井の水位に関係なく降雨状況によって予めポンプを始動させておくことで、ポンプ井の水位上昇に伴って直ちに排水を開始できて、駆動装置の発動・停止頻度を少なくできるようにした先行待機型立軸ポンプが開発されてきている。
【0006】
この種の先行待機型立軸ポンプとして従来提案されているものの一つとしては、図11にその一例の概略を示す如きものがある(たとえば、特許文献1参照)。これは、垂直方向に延び且つ上端部を横向きに屈曲させたポンプケーシング2の垂直部3の軸心位置に、下端部にインペラ5を一体に取り付けたポンプ軸4を配置し、上記ポンプケーシング2の垂直部3の軸心部に配置すると共に放射方向の支持部材7を介してポンプケーシング2の内壁に取り付けてある軸受6に、上記ポンプ軸4のインペラ5取付部分の直上位置を回転自在に支持させ、更に、上記ポンプ軸4の上部を、上記ポンプケーシング2の屈曲部における上側壁を貫通して上方へ突出させると共に、該ポンプ軸4の上端側に、図示しないポンプ駆動用エンジンを接続して立軸ポンプ本体1を形成し、且つ上記立軸ポンプ本体1を排水ポンプ機場におけるポンプ井8に設置するときに下端がポンプ井8の下部に達する長さとしてあるベルマウス9を、上記ポンプケーシング1の吸入側となる下端に取り付け、更に、上記インペラ5の下端レベルよりも所要寸法低い位置となるベルマウス9の所要個所に、逆U字形状としてある吸気管10の一端部を連通接続すると共に、該吸気管10の他端を開口端(自由端)10aとしてインペラ5よりも所要寸法高い位置にてポンプ井8内に開口させた構成としてある。これにより集中豪雨等のポンプ井8内への雨水の急な流入が予想されるときに、降雨情報に基いて予めポンプ駆動用エンジンを始動させ、該エンジンの回転駆動力によりポンプ軸4と一体にインペラ5を回転駆動させて気中にて待機運転させておくことにより、雨水の流入によりポンプ井8内の水位が上昇して図11に一点鎖線で示す如くインペラ揚水水位L1に達したときに、予め回転駆動状態とされている上記インペラ4によりポンプ井8内より揚水を直ちに開始させて、ポンプケーシング2の上端部に図示しない排水ダクトを介して接続した吐水槽へ排水させることができるようにしてある。このため上記揚水開始時には、吸気管10の開口端10aが空気中にあることから該吸気管10を通して空気を吸入させることにより揚水を気水混合状態で行わせ、その後、水位が更に上昇して図11に二点鎖線で示す如く吸気管10の開口端10aのレベルL2を越えると、該吸気管9を介した空気の吸い込みが阻止されることによりポンプ井8内の水を通常運転状態で揚水して吐水槽へ排出させることができるようにしてある。
【0007】
その後、ポンプ運転による揚水、排水処理に伴ってポンプ井8の水位が低下する場合は、図11に二点鎖線で示した如く吸気管10の開口端10aのレベルL2まで水面が低下すると、吸気管10から空気を吸入させて気水混合運転による揚水を行わせる。更に、水面が、図11に一点鎖線で示すインペラ揚水水位L1よりも低下した場合には、インペラ5の下方に吸気管10から吸入される空気を導入させてエアロックを生じさせることにより、回転駆動が継続されるインペラ4の上側には水を保持させた状態のまま揚水を停止させるようにしてある。再び水位が図11に一点鎖線で示す如きインペラ揚水水位L1まで上昇した場合には、直ちに揚水を再開できるようにしてある。
【0008】
又、先行待機型立軸ポンプの他の形式のものとしては、図12に示す如きものも提案されている(たとえば、特許文献2、特許文献3参照。)。これは、上記と同様に、立軸ポンプ本体1を形成すると共に、ポンプケーシング2の下端にベルマウス9を取り付けてなる構成において、上記ベルマウス9におけるインペラ5の下端よりも所要寸法下方位置に、途中に空気流通量を制御するための空気弁(流量制御弁)12を備えた吸気管11の下端側となる一端部を連通接続すると共に、該吸気管11の上端側となる他端部を開口端11aとして常時空気中に開放されるようにポンプ井8内の高所位置に配置する。更に、ポンプ井8内に該ポンプ井8水位を検出するための水位検出手段13を設けた構成として、図示しないポンプ駆動用エンジンの回転駆動力によりインペラ5を予め回転駆動させた状態にて、ポンプ井8水位の変動を上記水位検出手段13にて検出し、検出された水位に応じて上記空気弁12の開度を制御する。これにより上記吸気管11を通してポンプケーシング2内に吸入される空気の量を制御して、立軸ポンプ本体1の運転状態を、気中運転状態と、気水混合運転状態と、通常運転状態と、回転駆動中のインペラ5の上側に水を保持させたまま揚水を停止させるエアロック状態とを切替えることができるようにしてある。
【0009】
【特許文献1】特開平10−77984号公報
【特許文献2】特開平9−242683号公報
【特許文献3】特開2000−27786号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、図11に示した形式の先行待機型立軸ポンプでは、ポンプ井8水位の変動に対応した揚水開始と、エアロックにより揚水を停止させた待機運転状態と、該待機運転状態からの揚水再開という運転状態の切り替えを、いずれもポンプ井8水位がインペラ5の下端レベル、すなわち、インペラ揚水水位L1に達するか否かに依存して行うようにしてあるため、インペラ揚水水位L1よりも低い水位に対しては、揚水停止と揚水再開を切り替えるための水位を設定できないというのが実状である。
【0011】
一方、図12に示した形式の先行待機型立軸ポンプでは、吸気管11に設けてある空気弁12の開閉を切替えることにより、インペラ揚水水位よりも低いポンプ井8水位において揚水停止や揚水再開の運転状態を切り替えることは可能であるが、空気弁12の切替作動用の動力源、ポンプ井8水位の検出、空気弁12駆動のための信号発信等、動力及び付帯計装設備が必要になるという問題がある。又、かかる方式の場合には、これらの動力や付帯計装設備に不具合が生じると、作動不能になる虞が生じるという問題もある。
【0012】
そこで、本発明は、揚水停止水位及び揚水再開水位をインペラ揚水水位よりも低い水位に設定でき且つポンプ井水位の変動に応じて揚水開始、揚水停止、揚水再開を自動的に切換えて実施させることができる先行待機型立軸ポンプを提供しようとするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために、立軸ポンプの吸入部におけるインペラ下端部よりも所要寸法低い位置に、下端部が所望する停止水位レベルとなるように上下方向に配置してある空気管の上端部を導管を介して連通接続し、且つ上記空気管内に、ポンプ井の水位に追随して空気管内を昇降移動することにより該空気管を通して立軸ポンプのインペラ下方へ導入される空気量を調節することができるように浮動体を収納してなる構成とする。
【0014】
立軸ポンプのインペラを予め回転駆動した状態にて、雨水の流入によりポンプ井水位が上昇してインペラ揚水水位に達すると、立軸ポンプによる揚水が開始される。その後、ポンプ井水位が低下すると、該ポンプ井水位の変動に追随して空気管内にて浮動体が昇降移動させられ、これにより、該空気管を通して立軸ポンプのインペラの下方へ導入される空気量が調節される。この際、たとえば、空気管を通してインペラの下方へ多量の空気を導入させると、エアロックが生じるため、回転駆動されるインペラの上側には水が保持されたまま揚水が停止される。その後、ポンプ井の水位が再び上昇し、これに追随して空気管内にて浮動体が変位することにより空気管を通して立軸ポンプのインペラ下方への空気の供給が遮断されると、インペラの吸引力によりポンプ井の水が立軸ポンプに吸引され、これにより、揚水が再開されるようになる。
【0015】
又、空気管を、上端部に小孔を有し且つ下端に大きな下端開口部を有する構成とし、又、浮動体を、所要の高さ寸法として上端部にストッパを設け且つ下部側壁に開口部を設けた円筒部材と、該円筒部材の下側に、上記開口部が水位上面となるように浮力を付与するための浮子を取り付けてなる構成とし、該浮動体が上記空気管内にて上限まで上昇することにより、上記ストッパにて上記空気管上端部の小孔を閉塞できるようにした構成とする。これにより、空気管内にて水位が上昇するときに、該水位の上昇に伴って浮動体を上昇させることにより該空気管への空気の流入経路を閉塞できると共に、空気管内の水位が下端開口部位置となるときに、該空気管の下端開口部に浮動体の開口部を露出させることができることから、該開口部を通してて空気管内へ多量の空気を導入させることができる。
【0016】
更に、空気管の上端部の小孔を、上部ストッパ部材に設けて、該上部ストッパ部材を上記空気管の上端部に着脱自在に取り付けてなる構成とし、上部ストッパ部材を取り外すことにより上記空気管の上端部より、該空気管内の浮動体を取り出せるようにした構成とすることにより、空気管内に収納する浮動体を容易に取り替えることが可能になることから、浮動体を、円筒部材の高さ寸法が異なる浮動体に取り替えることにより、空気管内にて浮動体が上昇するときにおける空気管上端部に設けてある小孔を閉塞させるタイミングを変化させることができ、したがって、エアロックによる揚水停止状態から揚水を再開させるための水位を容易に変更することが可能になる。
【0017】
更に又、空気管の下部側壁に側壁開口部を設けて、円筒部材の下部側壁における上記空気管の側壁開口部と反対側となる位置に開口部を備えた浮動体と、円筒部材の下部側壁における上記空気管の側壁開口部側となる位置に開口部を備えた浮動体とを用意して、該各浮動体のいずれか一方を空気管に収納させるようにした構成とする。これにより、空気管に収納して使用する浮動体を交換すれば、ポンプ井水位が高い状態から徐々に低下するときに、空気管内に多量の空気を取り込ませるタイミングを変更できるため、ポンプによる揚水運転状態からエアロックを生じさせて揚水を停止させるための揚水停止水位を容易に切替えることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0019】
図1(イ)(ロ)乃至図6は本発明の先行待機型立軸ポンプの実施の一形態を示すもので、図1(イ)(ロ)に要部の詳細を、又、図2に全体構造をそれぞれ示す如く、図11に示したものと同様の立軸ポンプ本体1を形成すると共に、ポンプケーシング2の下端にベルマウス9を取り付けてなる構成において、上記ポンプケーシング2におけるインペラ5の下端よりも所要寸法低い位置の周壁部の所要個所に、内外方向に貫通する開口部14を設けて、外方へ所要寸法突出するよう導管15を連通接続すると共に、該導管15の突出端部に、上下方向に延びる円筒形状とし且つ下端が所望する揚水停止水位L3と同レベルになるよう配置してある空気管16の側壁上端部を連通接続する。更に、該空気管16内に、ポンプ井8の水位の変化に追随して昇降移動する浮動体17を収納して、該空気管16内における浮動体17の昇降移動により、該空気管16より導管15を通してポンプケーシング2内へ流入する空気の量を制御し、これにより揚水停止及び揚水再開のポンプ運転状態を切り替えることができるようにする。
【0020】
詳述すると、上記空気管16は、上端にフランジ18を形成して、該フランジ18上に、空気管16の軸心部と対応する中心部に小孔20を備えた円盤状の上部ストッパ部材19を載置して、該ストッパ部材19の外周縁部を取付ボルト21にて着脱自在に取り付ける。又、空気管16の下端には、軸心方向に対して斜めに切断した形状として下端開口部16aを形成して、ポンプ井8水位が上方から徐々に低下するときに、上記下端開口部16aの面積をポンプ井8水位の低下に伴って漸次増加させることができるようにする。更に、上記下端開口部16aの最下端部と対応する空気管16内周面に、内向きに所要寸法突出して後述する浮動体17の段差部23を係止させるための下部ストッパ部材22を設けて、上下の各ストッパ部材19と22により空気管16内に収納した浮動体17の昇降移動範囲を定めることができるようにする。
【0021】
上記浮動体17は、上記空気管16の内径よりもやや小さい外径とし且つ上下方向に所要の高さ寸法を備えて下端に底板24aを備えてなる円筒部材24の下側に、該円筒部材24よりも所要寸法細い径の浮子25を同軸心配置すると共に、該浮子25の上端を上記円筒部材24の下面に一体に取り付けて、上記円筒部材24の下端外周縁部に、上記空気管16の下端に設けた下部ストッパ部材22に係合させるための段差部23を形成する。
【0022】
又、上記円筒部材24の上端部軸心位置に、小径の円板状のストッパ26を、該ストッパ26の上面が円筒部材24の上端よりもやや上方へ突出するよう配置すると共に、支持部材27を介し円筒部材24の上端部に取り付けた構成として、浮動体17が空気管16内にて上限まで上昇するときに、上記ストッパ26が空気管16の上端に取り付けてある上部ストッパ部材19に衝合するようにすると同時に、上記ストッパ26によりストッパ部材19の小孔20を閉塞できるようにする。
【0023】
更に、上記円筒部材24の上端部壁面には、浮動体17が空気管16内にて上限まで上昇移動してストッパ26が上部ストッパ部材19に衝合する配置となるときに、導管15に臨むよう開口部28を設け、且つ円筒部材24の下端部壁面には、浮動体17が空気管16内にて下限まで下降移動して段差部23が下部ストッパ部材22に係止される配置となるときに、空気管16の下端開口部16aの最上端部側に露出するよう開口部29を設け、更に又、円筒部材24の底板24aの外周部には、所要寸法の小孔30を設けて、ポンプ井8水位が空気管16の下端よりも高く且つ立軸ポンプ本体1が通常運転による揚水状態にあるときには、空気管16の下端開口部16aから吸入した水を、空気管16より上記小孔30を通して浮動体17の円筒部材24内に導入した後、該円筒部材24内を上方へ流通する水を、開口部28、導管15を通してポンプケーシング2内へ導くことができるようにし、且つポンプ井8水位が空気管16の下端開口部16aのレベルに設定される停止水位L3まで低下する場合には、該下端開口部16aから空気管16内へ空気を導入できるようにし、該導入される空気を上記小孔30を通して浮動体17の円筒部材24内へ導くことにより、空気管16内の水位を徐々にポンプ井8水位と同レベルまで低下させることができるようにする。
【0024】
なお、上記において、空気管16内における水位が徐々に低下している間は、立軸ポンプ本体1による揚水は、気水混合状態で継続できるように上記小孔30の寸法は調整してある。又、浮動体17は、浮子25の浮力により開口部29が水位上面になるように調整してある。更に、上記浮動体17における円筒部材24の上下寸法は、ポンプ井8水位が低水位の状態から揚水再開を望む水位L4まで増加し、該ポンプ井8水位と同様に空気管16内の水位が揚水再開水位L4まで上昇するときに、空気管16内にて浮上する浮動体17のストッパ26が、空気管17上端部に取り付けてあるストッパ部材19に衝合するよう設定、すなわち、図1(イ)に矢印hで示す高さ寸法が共に等しくなるよう設定してある。
【0025】
更に又、上記浮動体17が空気管16内にて周方向に回転しないようにするために、空気管16の内壁面における周方向所要位置に、軸心方向に延びるガイドレール31を設けると共に、円筒部材24の外周面に、該円筒部材24と空気管16との隙間にて周方向に延び且つ上記ガイドレール31に対応する個所を切欠いた、リング状のガイド部材32を取り付けて、該ガイド部材32の切欠き部を上記ガイドレール31に沿わせながら浮動体17が空気管16内にて上下方向に滑らかに摺動できるようにしてある。
【0026】
図2における33はポンプ軸4の上端部に変速機34を介在させて接続したポンプ駆動用エンジン、35は吐出側となるポンプケーシング2の上端部に吐出管36を介して接続した吐水槽、37は該吐水槽35からの逆流を防ぐために吐出管36の出口側端部に設けたフラップ弁をそれぞれ示す。その他、図11に示したものと同一のものには同一符号が付してある。
【0027】
上記構成としてある先行待機型立軸ポンプを使用する場合は、先ず、図1(イ)(ロ)及び図2に示す如き初期状態にて、従来の先行待機型立軸ポンプの運用方法と同様に、雨水の流入が予想される場合には、ポンプ井8水位が低い状態のうちに降雨情報に基いてポンプ駆動用エンジン33を起動させ、該エンジン33の回転駆動力によりインペラ5をポンプ井8水位がインペラ揚水水位L1に近づく時点にて回転駆動させて、先行待機状態としておく。
【0028】
この状態において、雨水の流入に伴ってポンプ井8水位が上昇し、図3に示す如く、インペラ5の下端レベルであるインペラ揚水水位L1に達すると、回転駆動されるインペラ5により揚水が開始され、これによりポンプ井8内の水は、ポンプケーシング2より吐出管36を通して吐水槽35へ排出される。この際、空気管16内の水位もポンプ井8水位に対応して上昇するため、空気管16内は満水状態とされ、該空気管16内にて浮動体17はストッパ26が上部ストッパ部材19に衝合するまで浮上させられ、これにより、該上部ストッパ部材19の小孔20は閉塞され、この状態にて、回転駆動されるインペラ5による吸引力が作用するため、空気管16の下端開口部16aから水が吸入され、該吸入された水は浮動体17の小孔30、円筒部材24内、開口部28を通過した後、導管15を通してポンプケーシング2内へ吸入されて、ベルマウス9側より吸入される水と同様に揚水され、空気管16に負圧が発生するのを防ぐ。
【0029】
その後、上記先行待機型立軸ポンプによる揚水運転が継続され、ポンプ井8内の水が吐水槽35へ順次排水されることによりポンプ井8水位が徐々に低下する際、図3に二点鎖線で示す如く、ポンプ井8水位がインペラ揚水水位と空気管16の下端開口部16aとの中間にある間は、回転駆動されるインペラ5の吸引力によりベルマウス9の下端より水が吸入される。同時に、空気管16の下端開口部16aは水中に没していることから、該空気管16の下端開口部16aからも水が継続して吸入され、したがって、空気管16内に空気が供給されることはなくて、該空気管16内は引き続き満水状態となるため、空気管16内にて浮動体17は上限まで浮上されたままとなる。このため、上部ストッパ部材19の小孔20はストッパ26にて閉塞されたままとなり、このことからも、空気管16内へ空気が吸入されることはないため、立軸ポンプ本体1は、通常運転による揚水状態が継続される。
【0030】
更にポンプ井8からの排水が行われて、図4に示す如く、ポンプ井8水位が予め設定してある停止水位L3付近となる、空気管16の下端開口部16aの上端側レベルまで低下すると、インペラ5の吸引力により該空気管16の下端開口部16aより徐々に空気が吸入されるようになり、該空気管16内に吸入された空気は、浮動体17の小孔30を通して円筒部材16内へ導かれる。すなわち、空気管16の上部へ導かれることにより該空気管16内における水位は徐々に低下させられ、該空気管16内における水位の低下に伴って、空気管16内にて浮動体17が徐々に下降させられる。この際、浮動体17の位置が下がると、ストッパ26が上部ストッパ部材19から離され、これにより該上部ストッパ部材19の小孔20が開放されるため、該小孔20からも空気管16内に空気が流入させられるようになることから、該空気管16内における水位はポンプ井8水位と対応する空気管16の下端開口部16aのレベルまで更に低下させられるようになる。なお、この間、空気管16の下端開口部16aの開口量は少なく、又、上部ストッパ部材19の小孔20を通して空気管16内へ流入する空気量も多くはないため、空気管16内の空気が導管15を通してポンプケーシング2側へ導かれたとしても、該ポンプケーシング2内にてインペラ5によって揚水される水に対してバブル状になって混入され、このため立軸ポンプ本体1による揚水は気水混合運転状態で継続される。
【0031】
次いで、図5に示す如く、ポンプ井8水位が予め設定してある停止水位L3まで低下し、且つ、空気管16内の水位も、ポンプ井8水位に一致するように停止水位L3まで低下すると、空気管16内にて浮動体17が下限位置まで下降する。これにより該浮動体17下端部の開口部29が空気管16の下端開口部16aへ露出させられる。これにより上記開口部29を通して大量の空気が浮動体17の円筒部材24内へ導入され、該導入された空気は空気管16、導管15を通してポンプケーシング2内へ導かれる。これにより、ポンプケーシング2内では、インペラ5の下側に多量の空気が導入されるようになることから、エアロックが形成され、回転駆動状態が継続されるインペラ5の上方には水38が保持された状態にて揚水が停止させられるようになる。したがって、ベルマウス9内の水位はポンプ井8水位に一致させられる。その後、ポンプ井8水位が空気管16の下端レベルより更に低下しても、回転駆動状態のインペラ5の吸引力は、空気管16、導管15を通してポンプケーシング2内におけるインペラ5の下方へ空気を吸入することに消費されるため、ベルマウス9内の水位はポンプ井8水位に一致して、エアロック状態のまま待機運転状態が行われる。
【0032】
この待機運転状態において、ポンプ井8水位が再び上昇する場合、先ず、ポンプ井8水位が、空気管16の下端開口部16aのレベルを多少上回ったとしても、揚水再開水位L4に達するまでの間は、ポンプ井水位8と同期して空気管16内の水位が上昇しても、浮動体17の上方への移動量は上限に達しない。このため浮動体17のストッパ26が上部ストッパ部材19に衝合することはなくて、該上部ストッパ部材19の小孔20は閉塞されないため、該小孔20を通して空気管16内に流入する空気が、導管15を通してポンプケーシング2内におけるインペラ5の下方へ供給されるため、立軸ポンプ本体1はエアロック状態のまま揚水停止状態が継続される。
【0033】
その後、図6に示す如く、ポンプ井8水位が更に上昇して、浮動体17の筒状部材24の高さ寸法と対応させて予め設定してある揚水再開水位L4に達すると、空気管16内の水位も上記揚水再開水位L4と同レベルまで上昇させられる。これにより、空気管16内の水位の上昇に伴って上方移動する浮動体17のストッパ26が、上部ストッパ部材19に衝合させられて該ストッパ部材19の小孔20が塞がれる。このため空気管16内への空気の流入が遮断される。したがって、ポンプケーシング2内におけるインペラ5の下方への新たな空気の供給が遮断されるため、回転駆動されるインペラ5の吸引力によりポンプケーシング2内の空気が排除されるにしたがって、ベルマウス9及びインペラ5下方のポンプケーシング2内が満水とされ、これにより、回転駆動されるインペラ5による揚水が再開されるようになる。この際、空気管16内の空気もインペラ5の吸引力により吸引されて空気管16内も再び満水とされる。
【0034】
しかる後、揚水が継続されてポンプ井8の水位が再び低下する時は、図4及び図5で示した作動状態と同様に、ポンプ井8水位が空気管16の下端開口部16aのレベルに設定してある揚水停止水位L3よりも高いレベルにある間は、揚水が継続して行われ、ポンプ井8水位が揚水停止水位L3まで低下すると、気水混合運転による揚水状態を経て、揚水の停止した待機運転状態へと自動的に切換えられるようになる。
【0035】
このように、上記本発明の先行待機型立軸ポンプによれば、ポンプ井8水位の変動に応じて該ポンプ井8から吐水槽35への揚水運転状態と、揚水を停止した待機運転状態とを自動的に切替えることができる。この際、揚水停止への切り替えを行う水位を、空気管16の下端開口部16aのレベルとして、インペラ揚水水位よりも低い水位に設定できる。又、この際、揚水運転状態と揚水停止による待機運転状態との切換えのために、空気弁の切替作動用の動力源や、ポンプ井8水位の検出、空気弁駆動のための信号発信等、動力及び付帯計装設備を必要とすることはない。
【0036】
更に、揚水再開水位は、浮動体17の円筒部材24の高さ寸法に依存することから、該円筒部材24の高さ寸法を変更することにより、すなわち、たとえば、円筒部材24の高さ寸法の異なる複数の浮動体17を予め用意しておき、取付ボルト21を緩めて空気管16の上端部から上部ストッパ部材19を取り外して、空気管16内に収納する浮動体17を、円筒部材24の高さ寸法の異なる浮動体17に入れ替えることにより、揚水を再開させるべき揚水再開水位L4を自在に変更することも可能になる。
【0037】
次に、図7乃至図9は本発明の実施の他の形態として、待機運転へ移行させるための揚水停止水位を容易に切替えることができるようにしたものを示すもので、図1乃至図6に示した構成において、空気管16の下端開口部16aと対応したレベルに設定する第1の停止水位L3との切り替えを望む第2の停止水位L5と対応する空気管16の下部で且つ上記下端開口部16aの上端側と180度対向する側の壁面に、内外方向に貫通する所要口径の側壁開口部39を設ける。更に、浮動体を、図1乃至図6に示した浮動体17と同様の第1の浮動体17に加えて、該浮動体17と同様の構成にて、円筒部材24の側壁下端部に設ける開口部29の位置を、上部側壁に設けてある開口部28と同じ側に設けることに代えて、上記開口部28と180度対向する側の側壁下端部に開口部29を設けてなる第2の浮動体17aを用意して、空気管16上端部の上部ストッパ部材19を取付ボルト21を緩めることにより取り外して、上記各浮動体17と17aとを交換自在に空気管16内に収納させて使用できるようにしたものである。
【0038】
その他の構成は図1乃至図6に示したものと同様であり、同一のものには同一符号が付してある。
【0039】
本実施の形態によれば、先ず、第1の浮動体17を空気管16内に収納させて用いる場合には、図1乃至図6に示した実施の形態と同様に、ポンプ井8水位が上昇する以前にポンプ駆動用エンジン33を始動しておく待機運転状態から、インペラ揚水水位L1までポンプ井8水位が上昇して揚水が開始された後、ポンプ井8水位が徐々に低下するときに、図8に二点鎖線で示す如く、ポンプ井8水位が側壁開口部39の位置まで下がると、該側壁開口部39から空気が吸入される。これにより、上記実施の形態における図4に示した場合と同様に、上記側壁開口部39から空気管16内に吸入された空気が浮動体17の小孔30を通して円筒部材24内へ流入し、このため空気管16内における水位が低下させられて、上記第1の浮動体17の位置が下降するようになる。この際、上記浮動体17の円筒部材24の開口部29は、上記空気管16の側壁開口部39とは反対側にあるため、側壁開口部39から空気管16内に吸入される空気量は制限され、したがって、上記側壁開口部39より小孔30、円筒部材24内、空気管16、導管15を通して空気がポンプケーシング2内へ導かれるようになるが、立軸ポンプ本体1の運転は、気水混合運転状態とされて揚水が継続的に行われる。
【0040】
その後、ポンプ井8からの揚水、排水に伴って図8に実線で示す如く、ポンプ井8水位が空気管16の下端開口部16aのレベルである停止水位L3のレベルまで低下すると、上記実施の形態において図5に示した場合と同様に、空気管16の下端開口部16aから吸入される空気により空気管16内の水位が低下させられる。これにより空気管16の下端開口部16aに浮動体17の開口部29が露出させられ、該開口部29を通して多量の空気が空気管16内へ吸入されて、該吸入された多量の空気がポンプケーシング2内におけるインペラ5の下方へ導入されることにより、立軸ポンプ本体1に対してエアロックが形成されて揚水が停止されるようになる。
【0041】
一方、空気管16内に第2の浮動体17aを収納した場合には、上記と同様に、ポンプ井8水位がインペラ揚水水位に達して揚水運転が開始された後、ポンプ井8水位が徐々に低下して、側壁開口部39の位置として設定してある第2の停止水位L5まで低下すると、該側壁開口部39から流入する空気により空気管16内の水位が下がる。これにより該空気管16内にて浮動体17aが下降するようになるが、上記浮動体17aには、空気管16の側壁開口部39側の位置に開口部29が設けてあることから、図9に示す如く、該開口部29が、上記空気管16の側壁開口部39に露出した時点で、該側壁開口部39より開口部29を通して浮動体17の円筒部材24内へ多量の空気が流入するようになる。したがって、この時点でポンプケーシング2内におけるインペラ5の下方に多量の空気が導入されることから、エアロックが形成されて、揚水が停止させられる。
【0042】
このように、本実施の形態によれば、2つの浮動体17と17aを用意しておき、該各浮動体17と17aを適宜選択して空気管16に収納して使用することにより、揚水停止水位L3とL5を容易に切替えることができる。なお、上記各浮動体17と17aは、構成部材である円筒部材24の高さ寸法は等しくしてあるため、揚水再開水位は変化しない。
【0043】
次いで、図10(イ)(ロ)は図7乃至図9に示した実施の形態の応用例を示すもので、図7乃至図9に示した実施の形態において、円筒部材24の上部側壁に設けた開口部28と同じ側の下部側壁に開口部29を備えた第1の浮動体17と、上部側壁の開口部28と180度対抗する側の下部側壁に開口部29を備えた第2の浮動体17aとを用意して、空気管16に収納する浮動体17,17aを適宜取り替えることにより停止水位L3とL5の切り替えを行えるようにした構成に代えて、円筒部材24の上部における180度対向する個所の側壁に、空気管16内にて上限まで浮上したときに導管15に臨ませるための開口部28aと28bをそれぞれ設け、且つ該各開口部28aと28bのうちいずれか一方(図では28a)と同じ側の下部側壁に開口部29を設けてなる1つの浮動体17bを用意して、該浮動体17bを側壁開口部39を備えた空気管16へ収納するときに、図10(イ)に示す如く上記開口部29の方向を側壁開口部39と離隔する方向とするか、もしくは、図10(ロ)に示す如く、開口部29の方向を180度反転させて側壁開口部39に臨む方向として空気管16内に収納させることにより、停止水位L3とL5の切り替えを行えるようにしたものである。
【0044】
なお、浮動体17bを180度反転させても空気管16に収納できるようにするために、浮動体17bの円筒部材24の外周面に設けてあるガイド部材32には、周方向の180度位置に、空気管16内壁面のガイドレール31を係合させるための切欠きをそれぞれ設けるようにしてある。その他の構成は図7乃至図9に示したものと同様であり、同一のものには同一符号が付してある。
【0045】
本実施の形態によれば、空気管16に収納する浮動体17bの方向を適宜反転させることのみにより、図7乃至図9に示した実施の形態と同様の効果を得ることができ、しかも、浮動体17bは1つでよいため、製造コストを削減することができると共に、浮動体17と17aとを取替えて使用する場合、使用しない方の浮動体17,17aの保管のためのスペースやコストを不要とすることができる。
【0046】
なお、本発明は上記実施の形態のみに限定されるものではなく、立軸ポンプ本体1のインペラ5としては、通常の立軸ポンプに設けられている形式であれば、軸流、斜流、遠心斜流等、任意の形式のものを使用できること、上記各実施の形態では、空気管16内における浮動体17,17a,17bの自由な回転を防ぐために、ガイドレール31とガイド部材32を備えてなる形式のものを示したが、空気管16の断面形状を非円形、たとえば、楕円形や矩形とし、それに対応させて浮動体17,17a,17bの断面形状も非円径として、該浮動体17,17a,17bの回転を防止するようにしてもよいこと、浮動体17,17a,17bの円筒部材24の上端部における空気や水の流通を妨げないようにすれば、ストッパ26は円筒部材24の上端部における軸心位置を外れた位置に取り付けてもよく、この場合、上記ストッパ26の配置に応じてストッパ部材19の小孔20も偏心した位置に設ければよいこと、空気管16の下端は、軸心方向に対して斜めに傾斜させた形状として下端開口部16aを形成してあるが、浮動体17,17a,17bの段差部23が下部ストッパ部材22に衝合するときに、円筒部材24の下部側壁に設けた開口部29が、空気管16の下端開口部16aに露出できるようにすれば、空気管16の下端を軸心方向に直角な形状とすると共に、該空気管16の下端部の一側部を切り欠いて下端開口部16aを形成するようにしてもよいこと、空気管16の長さ寸法や下端の位置は、インペラ5回転駆動時の立軸ポンプ本体1の揚水能力や、揚水停止と揚水再開を切替えるべきポンプ井8内の水位に応じて自在に設定できること、図7乃至図9の実施の形態及び図10の実施の形態における空気管16の下部に設ける側壁開口部39の位置は、切換えを望む第2の停止水位L5のレベルに応じて自在に設定してよいこと、その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0047】
【発明の効果】
以上述べた如く、本発明によれば、以下の如き優れた効果を発揮する。
(1) 立軸ポンプの吸入部におけるインペラ下端部よりも所要寸法低い位置に、下端部が所望する停止水位レベルとなるように上下方向に配置してある空気管の上端部を導管を介して連通接続し、且つ上記空気管内に、ポンプ井の水位に追随して空気管内を昇降移動することにより該空気管を通して立軸ポンプのインペラ下方へ導入される空気量を調節することができるように浮動体を収納してなる構成としてあるので、ポンプ井内の水位が一旦インペラ揚水水位に達して揚水運転を開始させた後は、ポンプ井水位の変動に応じて揚水を停止した待機運転状態と、揚水再開を自動的に切替えることができ、この際、揚水停止への切り替えを行う水位としては、空気管の下端開口部のレベルとして、インペラ揚水水位よりも低い水位に設定でき、しかも、この際、揚水停止による待機運転状態と揚水再開の切換えのために、空気弁の切替作動用の動力源や、ポンプ井水位の検出、空気弁駆動のための信号発信等、動力及び付帯計装設備を必要としない。
(2) 空気管を、上端部に小孔を有し且つ下端に大きな下端開口部を有する構成とし、又、浮動体を、所要の高さ寸法として上端部にストッパを設け且つ下部側壁に開口部を設けた円筒部材と、該円筒部材の下側に、上記開口部が水位上面となるように浮力を付与するための浮子を取り付けてなる構成とし、該浮動体が上記空気管内にて上限まで上昇することにより、上記ストッパにて上記空気管上端部の小孔を閉塞できるようにした構成とすることにより、空気管内にて水位が上昇するときに、該水位の上昇に伴って浮動体を上昇させることにより該空気管への空気の流入経路を閉塞できると共に、空気管内の水位が下端開口部位置となるときに、該空気管の下端開口部に浮動体の開口部を露出させることができることから、該開口部を通してて空気管内へ多量の空気を導入させることができる。
(3) 空気管の上端部の小孔を、上部ストッパ部材に設けて、該上部ストッパ部材を上記空気管の上端部に着脱自在に取り付けてなる構成とし、上部ストッパ部材を取り外すことにより上記空気管の上端部より、該空気管内の浮動体を取り出せるようにした構成とすることにより、空気管内に収納する浮動体を容易に取り替えることが可能になることから、浮動体を、円筒部材の高さ寸法が異なる浮動体に取り替えることにより、空気管内にて浮動体が上昇するときにおける空気管上端部に設けてある小孔を閉塞させるタイミングを変化させることができ、したがって、エアロックによる揚水停止状態から揚水を再開させるための水位を容易に変更することが可能になる。
(4) 空気管の下部側壁に側壁開口部を設けて、円筒部材の下部側壁における上記空気管の側壁開口部と反対側となる位置に開口部を備えた浮動体と、円筒部材の下部側壁における上記空気管の側壁開口部側となる位置に開口部を備えた浮動体とを用意して、該各浮動体のいずれか一方を空気管に収納させるようにした構成とすることにより、空気管に収納して使用する浮動体を交換すれば、ポンプ井水位が高い状態から徐々に低下するときに、空気管内に多量の空気を取り込ませるタイミングを変更できるため、ポンプによる揚水運転状態からエアロックを生じさせて揚水を停止させるための揚水停止水位を容易に切替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の先行待機型立軸ポンプの実施の一形態を示すもので、(イ)は要部を示す切断側面図、(ロ)は(イ)のA−A方向矢視図である。
【図2】図1の先行待機型立軸ポンプの全体像を示す概略切断側面図である。
【図3】図1の先行待機型立軸ポンプの作動状態を示すもので、ポンプ井水位がインペラ揚水水位に達した状態を示す図1(イ)に相当する図である。
【図4】図1の先行待機型立軸ポンプの作動状態を示すもので、ポンプ井水位が停止水位付近まで低下した状態を示す図1(イ)に相当する図である。
【図5】図1の先行待機型立軸ポンプの作動状態を示すもので、ポンプ井水位が停止水位まで低下した状態を示す図1(イ)に相当する図である。
【図6】図1の先行待機型立軸ポンプの作動状態を示すもので、ポンプ井水位が再び上昇して揚水再開水位に達した状態を示す図1(イ)に相当する図である。
【図7】本発明の実施の他の形態における要部を示す切断側面図である。
【図8】図7の先行待機型立軸ポンプの作動状態を示すもので、空気管に一方の浮動体を収納した状態にてポンプ井水位が第1の停止水位まで低下した状態を示す図7に相当する図である。
【図9】図7の先行待機型立軸ポンプの作動状態を示すもので、空気管に他方の浮動体を収納した状態にてポンプ井水位が第2の停止水位まで低下した状態を示す図7に相当する図である。
【図10】本発明の実施の更に他の形態を示すもので、(イ)は浮動体の円筒部材の下部開口部を空気管下部の開口部と離隔配置した状態を、(ロ)は浮動体の円筒部材の下部開口部を空気管下部の開口部に臨むよう配置した状態を示す要部の切断側面図である。
【図11】従来の先行待機型立軸ポンプの一例を示す概略切断側面図である。
【図12】従来の先行待機型立軸ポンプの他の例を示す概略切断側面図である。
【符号の説明】
L3,L5 停止水位
1 立軸ポンプ本体(立軸ポンプ)
5 インペラ
8 ポンプ井
15 導管
16 空気管
16a 下端開口部
17,17a,17b 浮動体
19 上部ストッパ部材
20 小孔
24 円筒部材
25 浮子
26 ストッパ
29 開口部
39 側壁開口部
Claims (4)
- 立軸ポンプの吸入部におけるインペラ下端部よりも所要寸法低い位置に、下端部が所望する停止水位レベルとなるように上下方向に配置してある空気管の上端部を導管を介して連通接続し、且つ上記空気管内に、ポンプ井の水位に追随して空気管内を昇降移動することにより該空気管を通して立軸ポンプのインペラ下方へ導入される空気量を調節することができるように浮動体を収納してなる構成を有することを特徴とする先行待機型立軸ポンプ。
- 空気管を、上端部に小孔を有し且つ下端に大きな下端開口部を有する構成とし、又、浮動体を、所要の高さ寸法として上端部にストッパを設け且つ下部側壁に開口部を設けた円筒部材と、該円筒部材の下側に、上記開口部が水位上面となるように浮力を付与するための浮子を取り付けてなる構成とし、該浮動体が上記空気管内にて上限まで上昇することにより、上記ストッパにて上記空気管上端部の小孔を閉塞できるようにした請求項1記載の先行待機型立軸ポンプ。
- 空気管の上端部の小孔を、上部ストッパ部材に設けて、該上部ストッパ部材を上記空気管の上端部に着脱自在に取り付けてなる構成とし、上部ストッパ部材を取り外すことにより上記空気管の上端部より、該空気管内の浮動体を取り出せるようにした請求項2記載の先行待機型立軸ポンプ。
- 空気管の下部側壁に側壁開口部を設けて、円筒部材の下部側壁における上記空気管の側壁開口部と反対側となる位置に開口部を備えた浮動体と、円筒部材の下部側壁における上記空気管の側壁開口部側となる位置に開口部を備えた浮動体とを用意して、該各浮動体のいずれか一方を空気管に収納させるようにした請求項2又は3記載の先行待機型立軸ポンプ。
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-
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- 2002-09-30 JP JP2002287918A patent/JP2004124763A/ja not_active Withdrawn
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